JP5530587B2 - 毛髪処理用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、水溶性高分子を含有する毛髪処理用組成物に関するものである。
毛髪処理用組成物、例えば、ヘアトリートメント、シャンプー、リンス、及び染毛用組成物において、一般に組成物に適度な粘度を付与するとともに、組成物の安定性を保持するための成分として水溶性高分子が知られている。毛髪に適用される水溶性高分子としては、天然高分子、例えばキサンタンガム、半合成高分子、例えばセルロース誘導体、及び合成高分子、例えばポリビニルアルコールが知られている。水溶性高分子、例えばキサンタンガム及びセルロース誘導体は、組成物に対して粘度の付与効果及び安定性の保持効果のみならず、毛髪表面に被膜を形成し、毛髪に保湿効果を付与する。
例えば、特許文献1には、カチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーを配合する組成物について開示されている。この組成物は、アニオン性ポリマーを角質物質に吸着させることにより、毛髪を構成する角質繊維を強化させる作用を発揮する。特許文献2は、カチオン性ポリマー及び両性ポリマーを配合する組成物について開示する。この組成物は、毛髪に対し柔軟性及びなめらかさを付与する効果を発揮する。特許文献3には、整髪性を付与する化合物として、合成高分子、例えばポリビニルピロリドンを配合する整髪剤について開示されている。
特公昭62−7164号公報 特公平3−14805号公報 特開平10−87448号公報
ところが、特許文献1,2に開示される組成物は、水溶性高分子が高い保湿効果を有するため毛髪のうるおい感が過剰になる場合があるといった問題があった。そのため、毛髪全体が重くなり毛髪、特に毛髪の根元付近の弾力性が低下し、ボリューム感のある髪型を作ることが困難であるといった問題があった。
特許文献3に開示される整髪剤は、毛髪に適用された際、毛髪の柔軟性が低下するとともに毛髪の感触が劣るという問題があった。したがって、合成高分子を使用したとしても、毛髪に対して柔軟性を付与しながら、ボリューム感のある髪型を作ることは困難であった。
本発明は、本発明者らの鋭意研究の結果、水溶性高分子が使用される毛髪処理用組成物において、特定の水溶性高分子とL−テアニンとを組み合わせて使用することにより上記問題が解決されることを見出したことによりなされたものである。本発明の目的は、毛髪に対して柔軟性を付与しながら、毛髪の根元付近の弾力性を向上させることができる毛髪処理用組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明の毛髪処理用組成物は、(A)L−テアニン、並びに(B)高分子化合物として非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子を含有し、前記(A)L−テアニンの含有量は、0.001〜5質量%であり、前記(B)高分子化合物の含有量は、0.01〜10質量%であることを特徴とする。
本発明によれば、毛髪に対して柔軟性を付与しながら、毛髪の根元付近の弾力性を向上させることができる。
以下、本発明を毛髪処理用組成物に具体化した実施形態について詳細に説明する。本実施形態に係る毛髪処理用組成物は、(A)L−テアニン、並びに(B)高分子化合物として非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子を含有している。
(A)L−テアニンは、(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子からなる高分子化合物との併用により、毛髪に対して柔軟性を付与しながら、毛髪の根元付近の弾力性を向上させる効果を発揮する。(A)L−テアニンは、それ単独で毛髪の修復効果も有する。(A)L−テアニンは、L−グルタミン酸の誘導体であり、アミノ酸の一種である。L−テアニンは、茶葉、特に玉露に多く含まれる成分であり、緑茶の旨味成分として知られている。L−テアニンは茶葉から常法によって抽出して得られる他、化学的な合成によっても得ることができる。毛髪処理用組成物には、そうした天然由来及び合成由来のいずれのL−テアニンも使用することができる。
毛髪処理用組成物中における(A)L−テアニンの含有量は、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜3質量%である。(A)L−テアニンの含有量が0.001質量%未満であると、毛髪に対し弾力性を向上させる効果を十分に発揮することができない。(A)L−テアニンの含有量が5質量%を超えて配合しても、それ以上の毛髪に対する弾力性の向上効果は得られない。
(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子からなる高分子化合物は、毛髪に対して、柔軟性とうるおい感を付与するために配合される。また、これらの高分子化合物は、水溶性高分子として、組成物に適度な粘度を与えるとともに、組成物の安定性を保持する。
非イオン性高分子として、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、PEG/PPGコポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びビニルピロリドン/酢酸ビニル(VA)コポリマーが挙げられる。
両性高分子としては、例えば(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマー、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−47、及びポリクオタニウム−53が挙げられる。
カチオン性高分子としては、例えばポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−37、ポリクオタニウム−51、ポリクオタニウム−53、ポリクオタニウム−61、ポリクオタニウム−63、ポリクオタニウム−64、及びポリクオタニウム−65が挙げられる。
毛髪処理用組成物中における(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子からなる高分子化合物の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%である。(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子からなる高分子化合物の含有量が0.01質量%未満であると、毛髪に対して柔軟性の向上効果を十分に発揮することができない。(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子からなる高分子化合物の含有量が10質量%を超えて配合しても、それ以上の毛髪に対する柔軟性の向上効果は得られず、組成物の粘度上昇を招き塗布性が低下するおそれがある。
(A)L−テアニンと(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子からなる高分子化合物との併用による、毛髪に対する柔軟性の向上効果、及び毛髪の根元付近の弾力性の向上効果をさらに発揮するためにと、それらの化合物の配合比は、次のように調整されることが好ましい。(A)L−テアニン:(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子からなる高分子化合物は、質量比として、好ましくは1:0.1〜1000であり、より好ましくは1:0.5〜500である。
毛髪処理用組成物は、必要に応じて、例えば水、アニオン性高分子、油性成分、多価アルコール、界面活性剤、糖類、防腐剤、キレート剤、安定剤、pH調整剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも一種を含有してもよい。
水は、各成分の溶媒又は分散媒として使用される。水は界面活性剤とともに適量配合されて、毛髪処理用組成物を乳化させる。毛髪処理用組成物中における水の含有量は、好ましくは50〜95質量%、さらに好ましくは70〜90質量%である。水の含有量が50質量%未満であると、毛髪処理用組成物の乳化が不十分となるおそれがある。水の含有量が95質量%を超えて配合すると、毛髪処理用組成物の均一性及び安定性を確保しにくくなる。
アニオン性高分子としては、例えばポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボマー、(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30))コポリマー、アクリルアミド・アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩コポリマー、アクリル酸アルキルコポリマー、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20)コポリマー、ビニルピロリドン・アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩コポリマー、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミドコポリマー、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、及びセルロースガム(カルボキシメチルセルロースナトリウム)が挙げられる。
油性成分は、毛髪にうるおい感を付与する。そのため、毛髪処理用組成物は、好ましくは油性成分を含有する。油性成分としては、例えば油脂類、ロウ類、高級アルコール、炭化水素類、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、及びシリコーン類が挙げられる。
油脂類としては、例えばオリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。ロウ類としては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。
高級アルコールとしては、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、及びラノリンアルコールが挙げられる。
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
エステル類としては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10−30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、及びコハク酸ジオクチルが挙げられる。
シリコーン類としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650〜10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。これらの油性成分の具体例は単独で使用されてもよく、2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
多価アルコールとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、イソペンチルジオール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、及び1,3−ブチレングリコール(BG)が挙げられる。
界面活性剤は、組成物の乳化剤又は組成物中の各成分の可溶化剤として毛髪処理用組成物の安定性を保持するために好適に配合される。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。イオン性界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンとしては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えばアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルケニルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ジアルケニルジメチルアンモニウム塩、ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、及びアルキロイルアミドプロピルジメチルアミンが挙げられる。アルキルトリメチルアンモニウム塩として、例えば塩化ステアリルトリメチルアンモニウムが挙げられる。ジアルキルジメチルアンモニウム塩として、例えば塩化ジステアリルジメチルアンモニウムが挙げられる。これらの界面活性剤のカチオン基の対イオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、アルキル硫酸イオン、及びサッカリンが挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、及びココアンホ酢酸ナトリウムが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルサッカライド界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミド、及びアルキルアミンオキサイドが挙げられる。ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとして、例えばラウレス、セテス、ステアレス、及びパレスが挙げられる。これらの界面活性剤の具体例は、単独で使用されてもよく、二種以上を組み合わせて使用されてもよい。
糖類としては、例えばソルビトール及びマルトースが挙げられる。防腐剤としては、例えばパラベンが挙げられる。キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA−2Na)が挙げられる。安定剤としては、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸が挙げられる。pH調整剤としては、例えば乳酸、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、ピロリドンカルボン酸(PCA)、コハク酸、クエン酸、グルタミン酸、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、トリエタノールアミン(TEA)、及びアルギニンが挙げられる。
毛髪処理用組成物は、液状、ミスト状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等の剤型にすることが可能である。この毛髪処理用組成物は、毛髪に柔軟性及び保湿効果を付与するためのヘアケア剤、例えばシャンプー、リンス、及びヘアトリートメント剤として使用することができる。この毛髪処理用組成物は、毛髪に適用した後に水や温水で洗い流すようにして使用してもよく、毛髪に付着した同組成物を水や温水で洗い流さないようにして使用してもよい。この毛髪処理用組成物は、整髪剤として使用してもよい。この毛髪処理用組成物は、毛髪に適用した後に水や温水で洗い流すようにして使用してもよく、毛髪に付着した同組成物を水や温水で洗い流さないようにして使用してもよい。この毛髪処理用組成物は、例えば染料をさらに配合することにより染毛処理剤、例えば酸化染毛剤及び酸性染毛料として使用してもよい。この毛髪処理用組成物は、例えば酸化剤を配合することにより、ブリーチ剤として適用してもよい。この毛髪処理用組成物は、例えば還元剤を配合することによりパーマネントウェーブ剤、縮毛矯正剤及び脱染剤として使用してもよい。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)本実施形態では、毛髪処理用組成物において(A)L−テアニンと(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子からなる高分子化合物を配合した。したがって、毛髪に対して柔軟性を付与しながら、毛髪の根元付近の弾力性を向上させることができる。
(2)本実施形態では、水溶性高分子を配合した場合であっても、毛髪に柔軟性のあるボリューム感のある髪型を作ることができる。特に、高い保湿効果によりボリューム感のある髪型をつくることが難しい細毛の毛髪に対しても、ボリューム感のある髪型を作ることができる。
(3)本実施形態では、毛髪処理用組成物において(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子からなる高分子化合物と、(A)L−テアニンとが併用される場合、(B)高分子化合物によって発揮される毛髪の保湿効果をさらに向上させることができる。
(4)本実施形態において、毛髪処理用組成物中に(A)L−テアニンが配合される。したがって、組成物は、例えば染毛処理、脱色処理、パーマネント処理及び紫外線照射により損傷を受けた毛髪に対して損傷の修復効果を発揮する。また、その修復効果の持続性も良好である。
(5)本実施形態では、毛髪処理用組成物において、(B)高分子化合物と(A)L−テアニンとが併用される場合、(A)L−テアニンによって発揮される修復効果をさらに向上させることができる。
なお、上記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・上記実施形態において、毛髪処理用組成物に配合される各成分を分割し、複数剤型として構成してもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(ヘアトリートメント剤)
表1〜3に示す各例において、各成分を混合することにより、ヘアトリートメント剤としての毛髪処理用組成物を調製した。各組成物をヒト黒毛束又はストレートボブスタイルのかつら(ウイッグ:図1参照)に塗布し、毛髪になじませた。次に、毛髪を3分間放置した後、温水ですすぎ、ドライヤーで乾燥させた。表1〜3において、各成分の配合量を示す数値の単位は質量%である。
(毛髪のボリューム感(量感))
毛髪のボリューム感は、各例の毛髪処理用組成物で処理したかつらについて、目視にて観察することにより判断した。毛髪のボリューム感の評価について、毛髪の根元付近の弾力性が十分にあることにより、ボリューム感が十分にある場合を「優れる」とし、毛髪の根元付近の弾力性があり、ボリューム感がある場合を「良好」とし、毛髪の根元付近の弾力性がやや失われ、ボリューム感がやや劣る場合を「やや悪い」とし、及毛髪の根元付近の弾力性が失われ、ボリューム感がない場合を「悪い」とした。
尚、図1において、毛髪のボリューム感の評価を参考に示す。図1の毛髪(かつら)において、頭頂部より左側の毛髪が、毛髪の根元付近の弾力性が十分にあることにより、ボリューム感が十分にある(「優れる」)と評価した。頭頂部より右側に毛髪が、毛髪の根元付近の弾力性が失われ、ボリューム感がない(「悪い」)と評価した。
(毛髪の引っ張り強度)
各例の毛髪処理用組成物で処理する前後のヒト黒毛束について、引張試験機(テンシロン(商品名)UTM−II、東洋ボールドウィン社製)を用いて破断応力値を測定し、その値の増加率を強度増加率(%)とした。
そして、求めた強度増加率から毛髪の強度について、次の基準で評価した。強度増加率が9%以上を「優れる」とし、強度増加率が7%以上9%未満を「良好」とし、強度増加率が5%以上7%未満を「やや悪い」とし、強度増加率が5%未満を「悪い」とした。
(毛髪のうるおい感)
各例の毛髪処理用組成物で処理したヒト黒毛束について、5名のパネラーが手で触れることにより、うるおい感が非常に良い場合を4点、良い場合を3点、やや悪い場合を2点、及び悪い場合を1点とする4段階で採点した。そして、うるおい感の評価として、5名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、その平均点が3.6点以上の場合を「優れる」とし、2.6点以上3.6点未満の場合を「良好」とし、1.6点以上2.6点未満の場合を「やや悪い」とし、及び1.6点未満の場合を「悪い」とした。
(毛髪の柔らかさ(柔軟性))
各例の毛髪処理用組成物で処理したヒト黒毛束について、5名のパネラーが手で触れることにより、毛髪の感触が非常に柔らかい場合を4点、毛髪の感触が柔らかい場合を3点、毛髪の感触が普通である場合を2点、及び毛髪がかたく感じられる場合を1点とする4段階で採点した。そして、柔らかさの評価として、5名のパネラーの採点結果について平均点を算出し、その平均点が3.6点以上の場合を「優れる」とし、2.6点以上3.6点未満の場合を「良好」とし、1.6点以上2.6点未満の場合を「やや悪い」とし、及び1.6点未満の場合を「悪い」とした。
表1に示されるように、(A)L−テアニン、並びに(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子からなる高分子化合物を含有する実施例1〜12の毛髪処理用組成物では、いずれの評価も「優れる」であることが確認された。
一方、(A)L−テアニンを含有しない比較例1の毛髪処理用組成物では、表2に示されるように、上記いずれの評価も低下する結果となった。比較例1では、実施例1と比較し、うるおい感が低下している。これは実施例1において、(A)L−テアニン、並びに(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子からなる高分子化合物を併用することによって、(B)高分子化合物による毛髪の保湿効果が向上していることによるものと思料される。
(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子の3成分、並びにアミノ酸としてのグルタミンとを併用する比較例2の毛髪処理用組成物では、毛髪のボリューム感は向上しないことが確認された。
(A)L−テアニン、並びに(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子のうちのいずれか一種を併用する比較例4〜9の毛髪処理用組成物では、毛髪のボリューム感及び柔らかさは向上しないことが確認された。また、比較例5,6及び比較例8,9に示されるように、(B)高分子化合物の配合量を増加させると毛髪のうるおい感及び柔らかさが低下する傾向にある。尚、(B)高分子化合物を使用しない比較例3の毛髪処理用組成物では、(B)高分子化合物を使用する比較例4〜6の毛髪処理用組成物と比較して、毛髪の引っ張り強度が低下していることが確認される。(A)L−テアニンと(B)高分子化合物とを併用することによって、(A)L−テアニンによる毛髪の引っ張り強度がさらに向上することがわかる。
(B)高分子化合物において、非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子から選ばれる二種と、(A)L−テアニンを併用する比較例10〜12の毛髪処理用組成物では、毛髪のボリューム感、毛髪のうるおい感及び柔らかさは向上しないことが確認された。
(B)高分子化合物において、非イオン性高分子として二種の成分及びカチオン性高分子として一種の成分と、(A)L−テアニンを併用する比較例13の毛髪処理用組成物では、毛髪のボリューム感、毛髪のうるおい感及び柔らかさは向上しないことが確認された。
(B)高分子化合物において、両性高分子として二種の成分及び非イオン性高分子として一種の成分と、(A)L−テアニンを併用する比較例14の毛髪処理用組成物では、毛髪のボリューム感、毛髪のうるおい感及び柔らかさは向上しないことが確認された。
(B)高分子化合物において、カチオン性高分子として二種の成分及び両性高分子として一種の成分と、(A)L−テアニンを併用する比較例15の毛髪処理用組成物では、毛髪のボリューム感、毛髪のうるおい感及び柔らかさは向上しないことが確認された。
(B)高分子化合物において、非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子から選ばれる少なくとも二種、並びにアニオン性高分子を併用する比較例16〜24の毛髪処理用組成物では、表3に示されるように毛髪のボリューム感、うるおい感及び柔らかさは向上しないことが確認された。
尚、表中における(A)及び(B)の表記は、本願請求項記載の各成分に対応する化合物を示す(以下、同様)。(B)の表記について、(B1)は非イオン性高分子、(B2)は両性高分子、及び(B3)はカチオン性高分子を示す。一方、表中におけるa及びbの表記は、それぞれ本願請求項記載の成分(A)及び(B)の対比化合物を示す。
(シャンプー)
表4に示す各例において、各成分を混合することにより、シャンプーとしての毛髪処理用組成物を調製した。各組成物をヒト黒毛束又はストレートボブスタイルのかつら(ウイッグ:図1参照)に塗布し、洗髪し、温水で洗い流した。次に、その毛髪をドライヤーで乾燥させて、乾燥後の毛髪について、毛髪のボリューム感、引っ張り強度、うるおい感及び柔らかさを評価した。各評価は、ヘアトリートメント剤欄に記載の方法にしたがった。表4において、各成分の配合量を示す数値の単位は質量%である。
表4に示されるように、(A)L−テアニン、並びに(B)高分子化合物として非イオン性高分子、両性高分子及びカチオン性高分子を含有する実施例13〜16では、毛髪のボリューム感、引っ張り強度、うるおい感、及び柔らかさのいずれの評価も「優れる」であることが確認された。
(アウトバストリートメント剤)
表5に示す各例において、各成分を混合することにより、アウトバストリートメント剤としての毛髪処理用組成物を調製した。各組成物を水洗後のヒト黒毛束又はストレートボブスタイルのかつら(ウイッグ:図1参照)に適量を塗布した。次に、毛髪をドライヤーを用いて乾燥させた。乾燥後の毛髪について、毛髪のボリューム感、引っ張り強度、うるおい感及び柔らかさについて評価した。各評価はヘアトリートメント剤欄に記載の方法にしたがった。表5において、各成分の配合量を示す数値の単位は質量%である。
表5に示されるように、(A)L−テアニン、並びに(B)高分子化合物として非イオン性高分子、両性高分子及びカチオン性高分子を含有する実施例17〜20では、毛髪のボリューム感、引っ張り強度、うるおい感、及び柔らかさのいずれの評価も「優れる」であることが確認された。
(酸化染毛剤)
酸化染毛剤としての毛髪処理用組成物は、酸化染料及びアルカリ剤を含有する酸化染毛剤第1剤(以下「第1剤」とする)と、酸化剤を含有する酸化染毛剤第2剤(以下「第2剤」とする)とから構成されている。表6に示す各例の第1剤及び第2剤を調製し、これらの第1剤及び第2剤を1:2の質量比で混合し、その混合物をヒト黒毛束又はストレートボブスタイルのかつら(ウイッグ:図1参照)に塗布した後、20分間放置した。その後、毛髪に付着した混合物を水で洗い流し乾燥させることにより、各毛髪に染毛処理を施した。このように酸化染毛剤で処理した各毛髪を使用して、毛髪のボリューム感、引っ張り強度、うるおい感及び柔らかさについて評価した。各評価は、ヘアトリートメント剤欄に記載の方法にしたがった。表6において、各成分の配合量を示す数値の単位は質量%である。
表6に示されるように、(A)L−テアニン、並びに(B)高分子化合物として非イオン性高分子、両性高分子及びカチオン性高分子を含有する実施例21〜25では、毛髪のボリューム感、引っ張り強度、うるおい感、及び柔らかさのいずれの評価も「優れる」であることが確認された。
次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(a)ヘアケア剤として使用される前記毛髪処理用組成物。
(b)(A)L−テアニン:(B)非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子からなる高分子化合物は、質量比として、1:0.1〜1000である前記毛髪処理用組成物。
毛髪のボリューム感の評価を示す参考図。頭頂部より左側の毛髪が、毛髪の根元付近の弾力性が十分にあることにより、ボリューム感が十分にある場合(「優れる」)を示す。頭頂部より右側に毛髪が、毛髪の根元付近の弾力性が失われ、ボリューム感がない場合(「悪い」)を示す。

Claims (1)

  1. (A)L−テアニン、並びに(B)高分子化合物として非イオン性高分子、両性高分子、及びカチオン性高分子を含有し、前記(A)L−テアニンの含有量は、0.001〜5質量%であり、前記(B)高分子化合物の含有量は、0.01〜10質量%であることを特徴とする毛髪処理用組成物。
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