JP5553763B2 - 複合有機エレクトロルミネッセンス材料 - Google Patents
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Description
一般的な真空蒸着法は、るつぼと呼ばれる蒸着源の中に有機材料を入れ、真空内で高温に加熱することにより材料を蒸発させ基板上に有機材料を成膜する。このため、るつぼ内にある材料すべてが常時高温加熱されるため材料劣化が促進する。また、真空雰囲気中で蒸発させるため材料の蒸発方向を制御することが難しく、実際に成膜に寄与する材料の利用効率を高めることが課題となっている。
そこで、フラッシュ蒸着法という蒸着手段が注目されている。
フラッシュ蒸着法は、材料を加熱した蒸着源に供給して、急速に蒸発させることにより、基板表面に有機化合物の蒸着薄膜(有機薄膜)を得る方法である。
フラッシュ蒸着は、材料収納容器に保持した有機薄膜用材料を、スクリュー部を通して、300〜600℃に加熱した加熱蒸発部に落下させ、該材料を一気に蒸発させる。蒸発した材料を加熱した加熱導管を経てあらかじめ設置された基板に向けて出力することにより、基板上に有機材料を成膜する。フラッシュ蒸着による加熱は、加熱蒸発部に材料を落下させて行うため、常時材料が加熱されるという問題がない。また、加熱・昇華した材料の進行方向を制御することができるため、材料の成膜への寄与率を高めることができるため注目されている。
1.第一の材料と第二の材料を含む2以上の材料が接着している粒子からなる複合有機エレクトロルミネッセンス材料。
2.第一の材料が、第二の材料で被覆されている粒子からなる複合有機エレクトロルミネッセンス材料。
3.前記第一の材料がホスト材料であり、前記第二の材料がドーパント材料である1又は2に記載の複合有機エレクトロルミネッセンス材料。
4.前記第一の材料は、アントラセン誘導体及びナフタセン誘導体からなる群から選択され、前記第二の材料は、芳香族アミン誘導体、ペリフランテン誘導体及びピロメテン誘導体から選択される1〜3のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス材料。
5.平均粒径が20〜(540−3σ)μmの粒子である1〜4のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス材料。
(ここでσは、前記複合有機エレクトロルミネッセンス材料の粒子の粒径分布の標準偏差である。)
6.平均粒径が20〜(200−3σ)μmの粒子である5に記載の複合有機エレクトロルミネッセンス材料。
(ここでσは、前記複合有機エレクトロルミネッセンス材料の粒子の粒径分布の標準偏差である。)
7.平均粒径が20〜80μmの粒子である1〜4のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス材料。
8.粒径10μm以下の粒子の含有量が10重量%以下である1〜7のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス材料。
9.第一の材料と第二の材料を含む2以上の材料を小粒子化し、
小粒子化した材料を接着して粒子化する、
複合有機エレクトロルミネッセンス材料の製造方法。
10.第一の材料と第二の材料を小粒子化し、
小粒子化した第一の材料を、小粒子化した第二の材料で被覆する、
複合有機エレクトロルミネッセンス材料の製造方法。
11.小粒子化により第二の材料の平均粒径を3〜30μmにする10に記載の複合有機エレクトロルミネッセンス材料の製造方法。
12.被覆をメカノフュージョン法により行う10又は11に記載の複合有機エレクトロルミネッセンス材料の製造方法。
13.小粒子化した第一の材料を分級して、第一の材料に含まれる粒径10μm以下の粒子を10重量%以下にする9〜12のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス材料の製造方法。
14.1〜8のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス材料を用いる蒸着方法。
本発明の複合有機EL材料(以下、複合材料と略記する場合がある。)は、複数の材料が接着している粒子の集合体である。接着とは1粒子に複数の材料を互いに強固に結合して含むものをいう。また、本発明の複合有機EL材料は、上記の第一の材料が第二の材料で被覆されている粒子の集合体である。被覆とは1粒子に、第1の材料及び第2の材料が、第1の材料を第2の材料により強固に結合して覆っている状態で存在するものをいう。複数の材料は、好ましくは、アントラセン誘導体及びナフタセン誘導体からなる群から選択される第一の材料と、芳香族アミン誘導体、ペリフランテン誘導体及びピロメテン誘導体から選択される第二の材料を含み、これらの化合物以外の化合物も含むことができる。本発明の複合有機EL材料は、第一の材料が、第二の材料だけで被覆されているものも、第二の材料に加えて他の材料と共に被覆されていているものも含む。
尚、本発明の複合有機EL材料は、接着又は被覆されていない第一の材料及び/又は第二の材料の粒子を含んでいてよい。
尚、3以上の材料からなる場合、図1A〜1Cでは、第二の材料と他の材料が第一の材料を被覆し、図1D〜1Fでは3以上の材料が混合されて互いに接着している。
このような複合材料は、流動性が高く、フラッシュ蒸着装置に用いるときスクリュー部内での材料の詰まりが少ない。
本発明において平均粒径はレーザー回折(Mie散乱理論)法によって測定する。レーザー回折式粒度分布測定装置、マイクロトラック社製MT−3300EXIIを用いることができる。充分な量の複合材料をサンプルとして採取し粒径分布を求める。Mie散乱理論により測定される粒径は、粒子の位置で切った断面の一端から他端の長さである。粒径の小さい方から大きい方へ存在量を積算していき、累積存在量50%となる粒径を平均粒径とする。
また、ホスト材料は、縮合芳香族環誘導体が好ましい。縮合芳香族環誘導体としては、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、ピレン誘導体、ペンタセン誘導体等が、発光効率や発光寿命の点でさらに好ましい。
また、ホスト材料は、縮合多環芳香族化合物が挙げられる。縮合多環芳香族化合物としては、ナフタレン化合物、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物が挙げられる。
また、ホスト材料は、含ヘテロ環化合物が挙げられる。含ヘテロ環化合物としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ラダー型フラン化合物、ピリミジン誘導体が挙げられる。
また、ドーパント材料として、スチリルアミン化合物も好ましい。スチリルアミン化合物としては、例えば、スチリルアミン、スチリルジアミン、スチリルトリアミン、スチリルテトラアミンが挙げられる。ここでスチリルアミンとは、置換されてもよいアリールアミンに少なくとも1つのアリールビニル基が置換されている化合物のことであり、前記アリールビニル基は置換されていてもよく、置換基としてはアリール基、シリル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアミノ基があり、これらの置換基にはさらに置換基を保有してもよい。また、ピロメテン誘導体が挙げられる。
また、ドーパント材料として、金属錯体も好ましい。金属錯体としては、例えば、イリジウム錯体、白金錯体が挙げられる。
ホスト材料及びドーパント材料は、蒸着に適したものとして分子量200〜2000の範囲にあるものが好ましい。さらに分子量200〜1500の範囲にあるものが好ましい。さらに分子量500〜1000の範囲にあるものがより好ましい。
本発明の複合材料は、複数の材料が均一に分散していて、かつ互いに強固に結合して分離しにくいので、フラッシュ蒸着装置に使用するのに適している。
図3Aにフラッシュ蒸着装置の一例を示す。フラッシュ蒸着装置5において、材料収納容器10内に保持した材料11を、スクリュー部21を介し材料供給部20から加熱蒸発部40へ微量落下させる。加熱蒸発部40は加熱されており落下した材料11を一気に蒸発させる。蒸発した材料は、加熱蒸発部40と加熱蒸気分配部60を接続する加熱導管80を通過し加熱蒸気分配部60に供給される。材料は蒸気のまま加熱蒸気出力部61から、設置台51に設置される基板50へ向けて放出される。放出された蒸気は基板50に堆積し、基板50に材料が成膜する。
特許文献3のフラッシュ蒸着装置においては材料供給部に開口部が形成されており、開口部の大きさと粒子の粒径の関係を粉体工学上考慮する必要がある。また、開口部だけでなく、材料が通過できるスクリュー部の口径との関係を考慮する必要がある。
本願における複合有機EL材料は、スクリューを円滑に通過し、蒸着装置へ安定的に通過できるため、粒径が所定範囲に十分な粒子量が存在する粒子群であることが求められる。そのため、複合有機EL材料の粒径が正規分布又は類似正規分布に従うことが望ましい。類似正規分布という用語は、粒径分布曲線が正確に正規分布に従わないが、正規分布曲線とほぼ同一に最大頻度を示す一つのピークを中心として左右に急激に減少する分布を意味するが、この用語は、分布曲線の両端のうち少なくとも一端が切断された形を含む反面、二頂の分布のように2つ以上の最大頻度ピークを有する分布を排除する意味で用いられる。ここでいう2つ以上の最大頻度ピークは最大のものから50%以下の値をもつピーク値は含まない。
材料供給装置が特許文献3に記載されているような微小な開口部を有し、当該開口部が溝部25とスクリュー保持部22の内壁によって形成される空間よりも小さい場合には、粉体の流動度による影響は開口部に依存するため開口部の径を口径Rとする。
本発明の複合材料は、各材料の小粒子化工程及びその後に行われる接着/被覆工程の順で製造することができる。原料の材料が十分に細かい場合、例えば、後述する平均粒径以下の場合には、小粒子化工程を省くことができる。必要により、接着/被覆工程の前に、小粒子化工程を経た粉体から微粉を除去する分級工程を加入する。
必要により各材料を小粒子化する。複数の材料を混合した状態で小粒子化してもよいが、好ましくはそれぞれの材料を独立して小粒子化を行う。
小粒子化は、粉砕により行うことが一般的であるが、溶液からの再沈殿等の方法によっても達成できる。
粉砕方法としては、従来知られた方法を採用することができる。例えば、乳鉢を用いて粉砕する。しかしより微細に粉砕するためには粉砕機を使用するのが好ましい。粉砕条件を種々設定することにより、様々な粒径の材料を得ることができる。
複合有機EL材料に含まれる微粉は、フラッシュ蒸着装置のスクリュー部の目詰まりの原因となる場合がある。このため、第一の材料を第二の材料で接着/被覆するとき、小粒子化後に、微粉を取り除くために第一の材料を分級することが好ましい。分級には、従来知られた方法を採用することができる。例えば、篩又は後記するマルチプレックスを使用して分級する。第二の材料が主成分でないとき、微粉除去は必ずしも必要ではない。また、製造後に、即ち接着工程や被覆工程を経た後に、複合材料全体を分級してもよい。
必要により小粒子化して得られた、あるいは小粒子化後に分級して得られた、第一の材料と第二の材料を混合し、接着又は被覆して複合有機EL材料を得る。
下記に例示する方法で接着及び被覆をしても全ての粒子が複合化されている必要はない。本発明の複合有機EL材料には、接着又は被覆されていない第一の材料及び/又は第二の材料の粒子を含んでいてよい。
一般に、メカノフュージョン法を用いた場合、図1A〜1Cに示すように第一の材料が第二の材料で被覆される状態となり、溶融混合の場合は、図1D〜1Fに示すように第一の材料と第二の材料が混合して互いに接着した状態となる。
メカノフュージョンは、複数の異なる粒子に強い機械的エネルギーを与えてメカノケミカル的な反応を起こさせて、複合粒子を製造する手法である。ただし、本発明においては複合粒子、例えば被覆粒子が得られれば足り、メカノケミカル反応は必須ではない。メカノフュージョンにおいて、材料同士を機械的に表面にこすりつけて複合化する方法、装置は特に限定されない。
メカノフュージョンによる複合化に用いる装置としては、一方の材料を他方の材料の表面に効率的にこすりつけ接着や被覆が得られるに足る剪断力を与えることができる装置が好ましい。このような装置としては、メカノフュージョン装置、ボールミル、撹拌ミル、遊星ミル、高速回転粉砕機、ジェット粉砕機、剪断ミル、又はローラーミル等が好ましく挙げられる。特にメカノフュージョン装置、ボールミル、剪断ミルが好ましい。
まず、回転する容器の内壁に遠心力により両粉体を固定させる。これらの粉体は中心軸に固定されたインナーピース2で瞬間的に圧密される。その後、この作用を受けた粉体はスクレーバ3によりかきとられる。これらの動作が高速で繰り返されることにより圧密作用と剪断作用が活用されて粒子複合化がなされる。その結果、メカノフュージョン現象により両粒子が接着してなる凝集体として混合材料が得られる。このようにして形成された混合材料は、従来の方法により形成した混合材料、即ち静電気的引力やファンデルワース力により一体化された凝集体よりも、粒子間の接着力が強い。
ホストの融点がドーパントの融点より低い場合には、ホストの融点より高い温度にすればよい。ドーパントの融点より高い温度まで加熱してもよいし加熱しなくてもよい。
冷却して室温に所定時間置くことにより飴状の固体を得る。これを粉砕することにより粉体を得る。粉砕は乳鉢により手粉砕してもよいし、粉砕機にて粉砕してもよい。
ホスト及びドーパントの融点が近い場合等には混合状態がホスト及びドーパントの判別が困難である図1Fのような複合材料が得られる。
また、結晶状態の一部を保持しつつホストの融点付近で加熱した場合には、図1Eのような複合材料が得られる。ホスト及びドーパント材料は、溶融混合に適したものとして融点100〜500℃であることが好ましい。さらに融点200〜300℃であることが好ましい。
[複合化の判定]
強固に結合していることは、即ち容易にそれぞれの材料粒子に分離することなく、結合状態を保持することを意味する。従って、複数の材料が接着していることを判定するためには、複合有機EL材料の平均粒径程度の粒径をもつ1粒子を抽出し、その粒子の第1の材料と第2の材料の濃度比が第1の材料及び第2の材料の接着又は被覆工程前の混合比程度であることを確認することにより特定できる。接着又は被覆工程前の混合比程度とは、接着又は被覆工程前の混合比の±10%の範囲にある混合比を意味する。好ましくは混合比の±5%の範囲にある混合比を意味する。平均粒径程度の粒径とは、平均粒径の±10μmの範囲にある粒径を意味する。また、濃度比の測定は、HPLC等により測定することができる。
また、以下の操作を行ってもよい。10個程度の平均粒径程度の粒子を抽出し当該粒子群の濃度を測定する。この操作を3回以上繰り返し接着又は被覆工程前の混合比程度であることを確認することにより特定できる。この特定方法は少量の粒子を精度よく濃度測定できない場合に有効である。
複数の材料が被覆していることを判定するためには、複合有機EL材料の平均粒径程度の粒径をもつ1粒子を抽出し、その粒子を蛍光顕微鏡で観察した際に、1粒子全体の領域のうち、60%以上の領域で第二の材料の発光色が観測されることを意味する。好ましくは80%以上の領域で第二の材料の発光色が観測されることを意味する。蛍光顕微鏡にて写真を画像処理によりそれぞれの材料の発光に対応した色領域において2値化した画像の2種の領域の面積比を算出することにより測定することができる。
図4は有機EL素子を模式的に示したものである。1は基板であり、通常、ガラス又はプラスチックシート又はフィルムからなる。2は陽極、3は発光層を含む有機薄膜層、4は陰極である。有機EL素子は、陽極2、有機薄膜層3、陰極4からなる。有機薄膜層3において、陽極2と発光層との間に、正孔注入層や正孔輸送層を設けてもよく、陰極4と発光層との間に、電子注入層や電子輸送層を設けてもよい。さらに、必要に応じて、電荷障壁層(正孔障壁層、電子障壁層)等を設けることができる。
基板は有機EL素子の支持体となる部材である。基板の材料としては、電気絶縁性の石英やガラスの板、プラスチックシート又はフィルム、金属薄膜等が用いられ、その種類には特に限定されない。また、透明であっても不透明であってもよいが、基板側から光を取り出す場合には、基板は透明であることが好ましい。好ましい透明な基板としては、ガラス、石英、透明プラスチックフィルム等を挙げることができる。
基板の厚みは0.01〜10mm程度、好ましくは0.1〜5mm程度である。用途によっては、フレキシブルな基板を用いてもよい。
基板としてプラスチックシート又はフィルムを用いることにより、有機ELパネルが可撓性になるとともに、重くて割れやすく、大面積化が難しいという欠点が解消される。
陽極としては、仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質として好ましく用いる。このような電極物質の具体例としては、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の金属酸化物、ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック又はポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子等からなる導電性透明材料が挙げられる。
有機薄膜層は、陽極と陰極の間に挟持され、例えば、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層のような組み合わせからなる。
これらの化合物のうちからホスト材料とドーパント材料を選択する。好ましいホスト材料としては、前記のジアリールアントラセン誘導体やジアリールナフタセン誘導体が挙げられる。また、好ましいドーパント材料としては、前記の芳香族アミン化合物やスチリルアミン化合物を挙げることができる。好ましくはホスト材料を70〜99.5重量%、ドーピング材料を0.5〜30重量%含むようにする。
陰極としては、仕事関数の小さい金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質として好ましく用いる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム/弗化リチウム混合物、希土類金属等が挙げられる。例えばこれらの電極材料を、真空蒸着法やスパッタリング法等の方法により、有機薄膜層上に薄膜として形成することによって陰極を作製することができる。陰極の膜厚は、材料により異なるが、通常1μm以下、好ましくは1nm〜500nmである。
ホスト材料H1(第一の材料)とドーパント材料D1(第二の材料)を92.5:7.5(重量%)で用いた。H1は融点273℃、分子量506のアントラセン誘導体である。また、D1は融点458℃、分子量956のアリールアミノ基を有する縮合芳香族環誘導体を用いた。また、H1の発光の主ピーク波長は422nmであり、D1の発光の主ピーク波長は507nmである。
また、任意抽出した1粒子をHPLCによりドーパント濃度を測定した結果、7.64%、7.57%、7.58%、7.63%、7.67%であった。混合比からの変動は、−1.9%、0.9%、−1.1%、−1.7%、−2.3%であり、±5%以内であった。
画像は、ユニオン光学のDZ3に対物レンズZC50を装着して撮影した。CCDは、SONY製3CCDカラービデオカメラ DXC−390を使用して静止画を得た。また、得られた上記複合有機EL材料について、同じ装置を用いて励起フィルタ:420〜490nm、接眼側吸収フィルタ:520nm〜を用いて撮影した。得られた写真を画像処理してホストの発光波長に一致する青領域とドーパントの発光波長に一致する緑領域を2値化した結果、その面積比は青領域:緑領域=17:83であり、80%以上の領域でドーパント材料D1の発光色が観測された。
実施例1で用いたホスト材料H1、ドーパント材料D1を92.5:7.5重量%で用いた。フラスコ内にこれら材料を入れ、マントルヒータにて350℃で4〜5時間熱し溶融混合した。その後室温に置き、乳鉢にて粉砕して、有機EL材料を作製した。測定結果を表1に示す。
得られた複合有機EL材料の写真を図5Bに示す。この写真に示される粒子は、図1Fに示されるようにホストとドーパントが分散した状態で存在している。
ホスト材料H1(第一の材料)とドーパント材料D1(第二の材料)を92.5:7.5(重量%)で用いた。ホスト材料H1及びドーパント材料D1をそれぞれ粉砕した。いずれも分級は行わなかった。それぞれの平均粒径は、73μm及び10μmとした。これらの材料をメカノフュージョン装置を用いずに混合した。測定結果を表1に示す。
また、得られた上記複合有機EL材料について、同じ装置を用いて励起フィルタ:420〜490nm、接眼側吸収フィルタ:520nm〜を用いて撮影した。得られた写真を画像処理してホストの発光波長に一致する青領域とドーパントの発光波長に一致する緑領域を2値化した結果、その面積比は青領域:緑領域=93:7であり、ドーパント材料D1の発光色の領域は60%未満であった。
ホスト材料、ドーパント材料として、化合物H2,D2(99:1(重量%))を用いた。H2は融点370℃、分子量684のナフタセン誘導体である。D2は融点310℃、分子量956のペリフランテン誘導体である。
粉砕後、メカノフュージョン装置を用いて回転数3000rpmで混合した。測定結果を表1に示す。
メカノフュージョン装置を用いて回転数7000rpmで混合した以外は実施例3と同様に有機EL材料を作製した。測定結果を表1に示す。
メカノフュージョン装置を用いず混合した以外は実施例3と同様に有機EL材料を作製した。測定結果を表1に示す。
ホスト材料H1の粉砕後に分級を行わず粒径が10μm以上の粒子をカットしなかった以外は実施例1と同様に有機EL材料を作製した。粒径10μm以下の粒子の含有量(重量%)を測定し、その結果を表2に示した。
複合材料中の10μm以下の粒子の含有量は、実施例1は製造時に分級して5.8体積%としたが、実施例5は分級しないため粒径10μm以下の粒子の含有量が相対的に高い。
内部摩擦角は、加重に比例して変化する粉体のせん断強度であり、10μm以下の粒子量が多い実施例5の方が大きな値を示している。
付着力とは、粉体を圧縮した時の固まりやすさの指標であり、10μm以下の粒子量が多い実施例5の方が大きな値を示している。
よって実施例5の複合材料の方が実施例1に比べ流動性が低く、実施例1の方がフラッシュ蒸着におけるスクリュー部から出力される複合材料の時間変化はより小さいものと予想できる。
この明細書に記載の文献の内容を全てここに援用する。
Claims (16)
- 第一の材料と第二の材料を含む2以上の材料が接着している粒子からなり、平均粒径が20〜(540−3σ)μmである複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料。
(ここでσは、前記複合有機エレクトロルミネッセンス材料の粒子の粒径分布の標準偏差である。) - 第一の材料が、第二の材料で被覆されている粒子からなり、平均粒径が20〜(540−3σ)μmである複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料。
(ここでσは、前記複合有機エレクトロルミネッセンス材料の粒子の粒径分布の標準偏差である。) - 前記第一の材料がホスト材料であり、前記第二の材料がドーパント材料である請求項1又は2に記載の複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料。
- 前記第一の材料と前記第二の材料の分子量が200〜2000の範囲である請求項3記載の複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料。
- 前記第一の材料は、アントラセン誘導体及びナフタセン誘導体からなる群から選択され、前記第二の材料は、芳香族アミン誘導体、ペリフランテン誘導体及びピロメテン誘導体から選択される請求項1〜4のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料。
- 平均粒径が20〜(200−3σ)μmである請求項1〜5のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料。
(ここでσは、前記複合有機エレクトロルミネッセンス材料の粒子の粒径分布の標準偏差である。) - 平均粒径が20〜80μmである請求項1〜6のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料。
- 粒径10μm以下の粒子の含有量が10重量%以下である請求項1〜7のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料。
- 第一の材料と第二の材料を含む2以上の材料を小粒子化し、
小粒子化した材料を接着して粒子化する、
複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料の製造方法であって、
前記複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料の平均粒径が20〜(540−3σ)μmである製造方法。
(ここでσは、前記複合有機エレクトロルミネッセンス材料の粒子の粒径分布の標準偏差である。) - 第一の材料と第二の材料を小粒子化し、
小粒子化した第一の材料を、小粒子化した第二の材料で被覆する、
複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料の製造方法であって、
前記複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料の平均粒径が20〜(540−3σ)μmである製造方法。
(ここでσは、前記複合有機エレクトロルミネッセンス材料の粒子の粒径分布の標準偏差である。) - 小粒子化により第二の材料の平均粒径を3〜30μmにする請求項10に記載の複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料の製造方法。
- 被覆をメカノフュージョン法により行う請求項10又は11に記載の複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料の製造方法。
- 小粒子化した第一の材料を分級して、第一の材料に含まれる粒径10μm以下の粒子を10重量%以下にする請求項9〜12のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料の製造方法。
- 前記第一の材料がホスト材料であり、前記第二の材料がドーパント材料である請求項9〜13のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料の製造方法。
- 前記第一の材料と前記第二の材料の分子量が200〜2000の範囲である請求項14に記載の複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の複合有機エレクトロルミネッセンス用蒸着材料を用いる蒸着方法。
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