JP2015103728A - 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、有機エレクトロルミネッセンス素子に金属層を適用した場合であっても、量子収率の低い量子ドットの発光効率を向上させつつ、有機エレクトロルミネッセンス素子全体としての発光効率が向上した有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
【解決手段】一対の電極間に、少なくとも有機発光性化合物を含有する有機発光層を含む複数の機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、有機発光層又は別の機能層に量子ドットが含有されており、さらに、別の機能層として金属層を有しており、当該金属層が、金属粒子が互いに離間して島状に、かつ、二次元的に配置されてなる粒子集合体からなる層であり、さらに当該金属層の厚さ方向の当該金属粒子の平均粒子径が10〜50nmの範囲内であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法に関する。より詳しくは、有機エレクトロルミネッセンス素子に金属層を適用した場合であっても、量子収率の低い量子ドットの発光効率を向上させつつ、有機エレクトロルミネッセンス素子全体としての発光効率が向上した有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法に関する。
近年、有機物質を使用した有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視されており、研究開発が活発に進められている。
有機EL素子は、フィルム上に形成された1対の陽極と陰極との間に、有機発光物質を含有する厚さ僅か0.1μm程度の機能層を単層構成又は多層構成で有する薄膜型の全固体素子である。このような有機EL素子に2〜20Vの範囲内程度の比較的低い電圧を印加すると、有機化合物層に陰極から電子が注入され、陽極から正孔が注入される。この電子と正孔とが発光層において再結合し、形成された励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを光として放出することにより発光が得られることが知られており、次世代の平面ディスプレイや照明として期待されている技術である。
さらに、最近発見されたリン光発光を利用する有機EL素子では、以前の蛍光発光を利用する方式に比べ、原理的には約4倍の発光効率が実現可能であることから、その材料開発をはじめとして、機能層の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。特に、地球温暖化防止策の一つとして、人類のエネルギー消費の多くを占める照明器具への応用が検討されはじめ、従来の照明器具に置き換わりうる白色発光パネルの実用化に向けて、性能の向上やコストダウンの試みが盛んに行われている。
照明用の白色発光パネルにおいては、高効率及び長寿命が求められているが、長寿命化の観点においては、蛍光灯や白色LEDに対して性能が不十分であるのが現状である。
更に、青色リン光発光性化合物として高い発光効率を有するものは一部では見いだされてはいるが、湿式塗布方式に対する適性や、寿命の長さ及び色純度の点で満足できるレベルのものは見いだされていないのが現状である。
これらの問題を解決する方法として、発光材料に無機発光物質である「量子ドット」を用いる方法がある。
量子ドットは、シャープな発光スペクトル特性に加え、無機物であるために耐久性に優れ、また各種溶媒に可溶である等の特徴を持つことから、湿式塗布プロセスに適用可能である。
例えば、特許文献1では、塗布型の有機発光ダイオード(以下、「OLED」ともいう。)の機能層に量子ドットを加えることで、発光効率の向上を狙っている。
しかし、このように量子ドットを用いると、量子ドットの量子収率が低いためにOLEDの発光効率を向上させる効果を十分に発揮できない場合が多い。
また、例えば、特許文献2では、平均粒子径が200〜1600nmの範囲内の金属層(金属原子の集合体)を用いて、量子収率の低い量子ドットの発光効率を向上させている。このように金属層を用いた量子ドットの発光効率の向上は、期待できる技術であるが、肝心の金属層の作製が難しいという問題がある。
また、平均粒子径が200〜1600nmの範囲内の金属層を有機EL素子に適用した場合、当該金属層により発光光が吸収されてしまうため、有機EL素子の発光効率を向上させる効果を十分に発揮できない、という問題がある。
特開2012−169460号公報 特開2013−093317号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、有機エレクトロルミネッセンス素子に金属層を適用した場合であっても、量子収率の低い量子ドットの発光効率を向上させつつ、有機エレクトロルミネッセンス素子全体としての発光効率が向上した有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、金属層の厚さ方向の金属粒子の平均粒子径が10〜50nmの範囲内であると、有機エレクトロルミネッセンス素子に金属層を適用した場合であっても、発光光の吸収が抑制され、量子収率の低い量子ドットの発光効率を向上させつつ、有機エレクトロルミネッセンス素子全体としての発光効率が向上した有機エレクトロルミネッセンス素子を提供できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.一対の電極間に、少なくとも有機発光性化合物を含有する有機発光層を含む複数の機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記有機発光層又は別の前記機能層に量子ドットが含有されており、
さらに、別の機能層として金属層を有しており、
当該金属層が、金属粒子が互いに離間して島状に、かつ、二次元的に配置されてなる粒子集合体からなる層であり、さらに当該金属層の厚さ方向の当該金属粒子の平均粒子径が10〜50nmの範囲内であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
2.前記金属粒子が、銀(Ag)を主成分とする金属粒子であることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記金属層を蒸着法又は非水分散溶液を用いた塗布法によって形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
本発明の上記手段により、量子収率の低い量子ドットの発光効率を向上させつつ、有機エレクトロルミネッセンス素子全体としての発光効率が向上した有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
金属粒子が互いに離間して島状に、かつ、二次元的に配置されてなる粒子集合体からなる金属層によれば、極めて強いプラズモン共鳴を示すだけでなく、プラズモン共鳴の作用範囲(プラズモンによる増強効果の及ぶ範囲)を著しく伸長でき、このような金属層(膜)を有機EL素子内に配置することにより、発光効率を飛躍的に向上させ得ることを見いだした。
さらに、金属層の厚さ方向の金属粒子の平均粒子径を10〜50nmの範囲内とすることで、当該金属層による発光光の吸収が抑えられるため、量子収率の低い量子ドットの発光効率を向上させつつ、有機EL素子全体としての発光効率を向上させることができることも見いだし、本発明に至った。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例を示す概略断面図 図1の変形例を示す概略断面図 図1の変形例を示す概略断面図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」ともいう。)は、一対の電極間に、少なくとも有機発光性化合物を含有する有機発光層を含む複数の機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記有機発光層又は別の前記機能層に量子ドットが含有されており、さらに、別の機能層として金属層を有しており、当該金属層が、金属粒子が互いに離間して島状に、かつ、二次元的に配置されてなる粒子集合体からなる層であり、さらに当該金属層の厚さ方向の当該金属粒子の平均粒子径が10〜50nmの範囲内であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項3までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記金属粒子が、銀(Ag)を主成分とする金属粒子であることが好ましい。これにより、安価で、吸収が小さい(可視光波長において誘電関数の虚部が小さい)ことから、有機EL素子を作製するコストを抑えることができ、また、発光効率の上昇させることができる。
なお、スパッタ法による金属構造の作製では、時間がかかり、さらに、機能層に損傷を与える懸念がある。また、金属粒子水分散液から金属層の作製を行っているが、一般に有機EL素子は耐水性が低いため、工程が制限されてしまう懸念がある。
そこで、本発明の有機EL素子を製造する有機EL素子の製造方法としては、前記金属層を蒸着法又は非水分散溶液を用いた塗布法によって形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法であることが、好ましい。このような方法を採用することにより、上記懸念を回避することができる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
《有機エレクトロルミネッセンス素子の構成》
図1に示すとおり、本発明の好ましい実施形態にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子100(以下、「有機EL素子100」ともいう)は、一対の電極間に、少なくとも有機発光性化合物を含有する有機発光層を含む複数の機能層を備えた有機EL素子である。具体的には、有機EL素子100は、支持基板(可撓性支持基板)1を有し、当該支持基板1上には陽極2が形成され、陽極2上には機能層20が形成され、機能層20上には陰極8が形成されている。
機能層20とは、陽極2と陰極8との一対の電極間に設けられている有機EL素子100を構成する各層をいう。
機能層20には、少なくとも有機発光性化合物を含有する有機発光層(発光層5)のほか、例えば、正孔注入層3、正孔輸送層4、電子輸送層6、電子注入層7が含まれ、そのほかに正孔ブロック層や電子ブロック層等が含まれてもよい。
支持基板1上の陽極2、機能層20、陰極8は封止接着剤9を介して可撓性封止部材10によって封止されている。
なお、本発明の有機EL素子は、上記機能層とは別の機能層として、後述の金属粒子51を有する金属層50及び有機下地層52を有している。
なお、有機EL素子100のこれらの層構造(図1参照)は単に好ましい具体例を示したものであり、本発明はこれらに限定されない。例えば、本発明に係る有機EL素子100は(i)〜(viii)の層構造を有していてもよい。
(i)支持基板/陽極/有機下地層/金属層/発光層/電子輸送層/陰極/熱伝導層/封止用接着剤/封止部材
(ii)支持基板/陽極/有機下地層/金属層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極/熱伝導層/封止用接着剤/封止部材
(iii)支持基板/陽極/有機下地層/金属層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極/熱伝導層/封止用接着剤/封止部材
(iv)支持基板/陽極/有機下地層/金属層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極/熱伝導層/封止用接着剤/封止部材
(v)支持基板/陽極/陽極バッファー層/有機下地層/金属層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極/熱伝導層/封止用接着剤/封止部材
(vi)ガラス支持体/陽極/正孔注入層/有機下地層/金属層/発光層/電子注入層/陰極/封止部材
(vii)ガラス支持体/陽極/正孔注入層/有機下地層/金属層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極/封止部材
(viii)ガラス支持体/陽極/正孔注入層/有機下地層/金属層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極/封止部材
《有機EL素子の機能層20》
次いで、本発明の有機EL素子を構成する機能層の詳細について説明する。
(1)注入層:正孔注入層3、電子注入層7
本発明の有機EL素子においては、注入層は必要に応じて設けることができる。注入層としては電子注入層と正孔注入層があり、上記のように陽極と発光層又は正孔輸送層の間及び陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させてもよい。
本発明でいう注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と発光層5との間に設けられる層で、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。
正孔注入層は、例えば、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、正孔注入層に適用可能な正孔注入材料としては、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体等を含むポリマーやアニリン系共重合体、ポリアリールアルカン誘導体、又は導電性ポリマーが挙げられ、好ましくはポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体であり、さらに好ましくはポリチオフェン誘導体である。
電子注入層は、例えば、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的には、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。本発明においては、上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、フッ化カリウム、フッ化ナトリウムが好ましい。その層厚は0.1nm〜5μm程度、好ましくは0.1〜100nm、さらに好ましくは0.5〜10nm、最も好ましくは0.5〜4nmである。
<正孔輸送層4>
本発明において正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する材料からなり、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有していればよい。
本発明に用いられる正孔輸送層の総層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲内であり、より好ましくは2〜500nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜200nmの範囲内である。
正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という。)としては、正孔の注入性又は輸送性若しくは電子の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体及びポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子材料若しくはオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えば、PEDOT/PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン及びポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、α−NPDに代表されるベンジジン型や、MTDATAに代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
さらに不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料やp型−Si、p型−SiC等の無機化合物を用いることもできる。さらにIr(ppy)に代表されるような中心金属にIrやPtを有するオルトメタル化有機金属錯体も好ましく用いられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザトリフェニレン誘導体、有機金属錯体、芳香族アミンを主鎖若しくは側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー等が好ましく用いられる。
本発明の有機EL素子に用いられる、公知の好ましい正孔輸送材料の具体例としては、上記で挙げた文献の他、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
例えば、Appl. Phys. Lett. 69, 2160 (1996)、J. Lumin. 72−74, 985 (1997)、Appl. Phys. Lett. 78, 673 (2001)、Appl. Phys. Lett. 90, 183503 (2007)、Appl. Phys. Lett. 90, 183503 (2007)、Appl. Phys. Lett. 51, 913 (1987)、Synth. Met. 87, 171 (1997)、Synth. Met. 91, 209 (1997)、Synth. Met. 111,421 (2000)、SID Symposium Digest, 37, 923 (2006)、J. Mater. Chem. 3, 319 (1993)、Adv. Mater. 6, 677 (1994)、Chem. Mater. 15,3148 (2003)、米国特許出願公開第2003/0162053号、米国特許出願公開第2002/0158242号、米国特許出願公開第2006/0240279号、米国特許出願公開第2008/0220265号、米国特許第5061569号、国際公開第2007/002683号、国際公開第2009/018009号、欧州特許第650955号明細書、米国特許出願公開第2008/0124572号、米国特許出願公開第2007/0278938号、米国特許出願公開第2008/0106190号、米国特許出願公開第2008/0018221号、国際公開第2012/115034号、特表2003−519432号公報、特開2006−135145号公報、米国特許出願番号13/585981号等である。
正孔輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
<電子輸送層6>
電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層又は複数層設けることができる。
単層の電子輸送層又は複数層からなる電子輸送層とする場合、発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。
さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(略称:Znq)等及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。
また、発光層5の材料としても用いられるジスチリルピラジン誘導体も電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は、上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
電子輸送層の層厚については、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲内の程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。
電子輸送層は、上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn型半導体的性質を有するとされる電子輸送材料を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。本発明においては、このようなn型半導体的性質を有するとされる電子輸送材料を用いることが、より低消費電力のデバイスを作製することができるため好ましい。
<発光層5>
本発明の有機EL素子を構成する発光層5は、電極又は電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
本発明に係る発光層は、含まれる発光材料が前記要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。
また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
本発明における発光層の厚さの総和は1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、さらに好ましくは、より低い駆動電圧を得ることができることから50nm以下である。なお、本発明でいう発光層の厚さの総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む厚さである。
個々の発光層の厚さとしては1〜50nmの範囲内に調整することが好ましい。
個々の発光層は青、緑、赤の各色発光を示してもよく、各発光層の厚さの関係については、特に制限はない。
発光層の作製には、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法等の公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。
本発明においては、各発光層には複数の発光材料を混合してもよく、またリン光発光材料と蛍光発光材料を同一発光層中に混合して用いてもよい。
本発明においては、発光層の構成として、ホスト化合物、発光材料(発光ドーパントともいう)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
[発光ドーパント]
本発明に用いられる発光ドーパントについて説明する。
発光ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう。)と、リン光発光性ドーパント(リン光発光性化合物ともいう。)が好ましく用いられる。本発明においては、少なくとも1層の発光層がリン光発光性ドーパントを含有することが好ましい。
発光層中の発光ドーパントの濃度については、使用される特定のドーパント及びデバイスの必要条件に基づいて、任意に決定することができ、発光層の層厚方向に対し、均一な濃度で含有されていてもよく、また任意の濃度分布を有していてもよい。
また、本発明に用いられる発光ドーパントは、複数種を併用して用いてもよく、構造の異なるドーパント同士の組み合わせや、蛍光発光性ドーパントとリン光発光性ドーパントとを組み合わせて用いてもよい。これにより、任意の発光色を得ることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に用いられる化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
本発明においては、1層又は複数層の発光層が、発光色の異なる複数の発光ドーパントを含有し、白色発光を示すことも好ましい。
白色を示す発光ドーパントの組み合わせについては特に限定はないが、例えば青と橙や、青と緑と赤の組み合わせ等が挙げられる。
本発明の有機EL素子における白色とは、2度視野角正面輝度を前述の方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がx=0.39±0.09、y=0.38±0.08の領域内にあることが好ましい。
(リン光発光性ドーパント)
本発明に用いられるリン光発光性ドーパントについて説明する。
本発明に用いられるリン光発光性ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物である。リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に用いられるリン光発光性ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光性ドーパントの発光は原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光性ドーパントに移動させることでリン光発光性ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。もう一つはリン光発光性ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光発光性ドーパント上でキャリアの再結合が起こりリン光発光性ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光発光性ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
本発明に使用できる公知のリン光発光性ドーパントの具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
Nature 395,151 (1998)、Appl. Phys. Lett. 78, 1622 (2001)、Adv. Mater. 19, 739 (2007)、Chem. Mater. 17, 3532 (2005)、Adv. Mater. 17, 1059 (2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許出願公開第2006/835469号、米国特許出願公開第2006/0202194号、米国特許出願公開第2007/0087321号、米国特許出願公開第2005/0244673号、Inorg. Chem. 40, 1704 (2001)、Chem. Mater. 16, 2480 (2004)、Adv. Mater. 16, 2003 (2004)、Angew. Chem. lnt. Ed. 2006, 45, 7800、Appl. Phys. Lett. 86, 153505 (2005)、Chem. Lett. 34, 592 (2005)、Chem. Commun. 2906 (2005)、Inorg. Chem. 42, 1248 (2003)、国際公開第2009/050290号、国際公開第2002/015645号、国際公開第2009/000673号、米国特許出願公開第2002/0034656号、米国特許第7332232号、米国特許出願公開第2009/0108737号、米国特許出願公開第2009/0039776号、米国特許第6921915号、米国特許第6687266号、米国特許出願公開第2007/0190359号、米国特許出願公開第2006/0008670号、米国特許出願公開第2009/0165846号、米国特許出願公開第2008/0015355号、米国特許第7250226号、米国特許第7396598号、米国特許出願公開第2006/0263635号、米国特許出願公開第2003/0138657号、米国特許出願公開第2003/0152802号、米国特許第7090928号、Angew. Chem. lnt. Ed. 47, 1 (2008)、Chem. Mater. 18, 5119 (2006)、Inorg. Chem. 46, 4308 (2007)、Organometallics 23, 3745 (2004)、Appl. Phys. Lett. 74, 1361 (1999)、国際公開第2002/002714号、国際公開第2006/009024号、国際公開第2006/056418号、国際公開第2005/019373号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2007/004380号、国際公開第2006/082742号、米国特許出願公開第2006/0251923号、米国特許出願公開第2005/0260441号、米国特許第7393599号、米国特許第7534505号、米国特許第7445855号、米国特許出願公開第2007/0190359号、米国特許出願公開第2008/0297033号、米国特許第7338722号、米国特許出願公開第2002/0134984号、米国特許第7279704号、米国特許出願公開第2006/098120号、米国特許出願公開第2006/103874号、国際公開第2005/076380号、国際公開第2010/032663号、国際公開第2008/140115号、国際公開第2007/052431号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2011/157339号、国際公開第2010/086089号、国際公開第2009/113646号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/004639号、国際公開第2011/073149号、米国特許出願公開第2012/228583号、米国特許出願公開第2012/212126号、特開2012−069737号公報、特願2011−181303号公報、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−363552号公報等である。
中でも、好ましいリン光発光性ドーパントとしては、Ir(イリジウム)を中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含む錯体が好ましい。
(蛍光発光性ドーパント)
本発明に用いられる蛍光発光性ドーパント(以下、「蛍光ドーパント」ともいう。)について説明する。
本発明に用いられる蛍光ドーパントは、励起一重項からの発光が可能な化合物であり、励起一重項からの発光が観測される限り特に限定されない。
本発明に用いられる蛍光ドーパントとしては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ホウ素錯体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、シアニン誘導体、クロコニウム誘導体、スクアリウム誘導体、オキソベンツアントラセン誘導体、フルオレセイン誘導体、ローダミン誘導体、ピリリウム誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、又は希土類錯体系化合物等が挙げられる。
また、近年では遅延蛍光を利用した発光ドーパントも開発されており、これらを用いてもよい。
遅延蛍光を利用した発光ドーパントの具体例としては、例えば、国際公開第2011/156793号、特開2011−213643号公報、特開2010−93181号公報等に記載の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
[ホスト化合物]
本発明に用いられるホスト化合物は、発光層において主に電荷の注入及び輸送を担う化合物であり、有機EL素子においてそれ自体の発光は実質的に観測されない。
好ましくは室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物であり、さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満の化合物である。また、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
また、ホスト化合物の励起状態エネルギーは、同一層内に含有される発光ドーパントの励起状態エネルギーよりも高いことが好ましい。
ホスト化合物は、単独で用いてもよく、複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。
本発明で用いることができるホスト化合物としては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられる化合物を用いることができる。低分子化合物でも繰り返し単位を有する高分子化合物でもよく、また、ビニル基やエポキシ基のような反応性基を有する化合物でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能又は電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、さらに、有機EL素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対して安定して動作させる観点から、高いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。好ましくはTgが90℃以上のホスト化合物であり、より好ましくは120℃以上である。
ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121−2012に準拠した方法により求められる値である。
本発明の有機EL素子に用いられる、公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報、米国特許出願公開第2003/0175553号、米国特許出願公開第2006/0280965号、米国特許出願公開第2005/0112407号、米国特許出願公開第2009/0017330号、米国特許出願公開第2009/0030202号、米国特許出願公開第2005/0238919号、国際公開第2001/039234号、国際公開第2009/021126号、国際公開第2008/056746号、国際公開第2004/093207号、国際公開第2005/089025号、国際公開第2007/063796号、国際公開第2007/063754号、国際公開第2004/107822号、国際公開第2005/030900号、国際公開第2006/114966号、国際公開第2009/086028号、国際公開第2009/003898号、国際公開第2012/023947号、特開2008−074939号公報、特開2007−254297号公報、欧州特許第2034538号明細書等である。
<量子ドット>
本発明の有機EL素子は、有機発光層又は別の機能層に量子ドットを有することを特徴とする。
本願において、「量子ドット」とは、電子(及び正孔)を微小な空間に閉じ込めるために形成した直径数〜数十nmの範囲内の半導体微結晶であって、量子サイズ効果を発現する微結晶いう。
本発明において、量子ドットは、上述の発光層5(以下、「第1の発光層」ともいう。)の界面に存在していても良い。また、量子ドットは、上記第1の発光層とは異なる層の界面に接して存在し、第2の発光層(量子ドットの単分子膜)を形成してもよい。
前記第1の発光層の界面に量子ドットが存在する場合、当該量子ドットは、前記第1の発光層と前記正孔輸送層との界面及び前記第1の発光層と前記電子輸送層との界面の少なくともいずれか一方に含まれていることが好ましい。
量子ドットが、第1の発光層と正孔輸送層の界面に存在する場合は正孔ブロック層として機能し、量子ドットが、第1の発光層と電子輸送層との界面に存在している場合は、電子ブロック層として機能する。本発明においては、量子ドットはブロック層として機能する。発光はリン光発光性化合物よりなされることが好ましいが、量子ドットから発光することを妨げるものではない。
量子ドットは図1に示すとおりに第1の発光層(発光層5)と正孔輸送層との界面に存在していても良いし、第1の発光層と電子輸送層との界面に存在していても良い。この中では、量子ドットは第1の発光層と正孔輸送層との界面に存在していることが好ましい。これは正孔の方が電子に比べ移動度が高く、正孔が第1の発光層を突き抜けていくのを効果的に防ぐためであると思われる。また、第1の発光層と当該発光層に隣接する層との両方の界面に存在していてもよい。
なお、本実施形態において界面とは、例えば、第1の発光層と正孔輸送層又は第1の発光層と電子輸送層の境界面をいい、量子ドットは第1の発光層と正孔輸送層又は第1の発光層と電子輸送層に接して存在していてもよい。量子ドットが単分子層となり、第1の発光層と正孔輸送層又は第1の発光層と電子輸送層の間に単分子層を形成してもよく、好ましい態様である。
本発明においては、量子ドットは界面に均一に分散して存在することが好ましく、第1の発光層、正孔輸送層又は電子輸送層中に量子ドットが埋め込まれた場合は、ブロック層としての機能が効きにくくなり、好ましくない。
界面に存在していることは、断面SEM(走査型顕微鏡)や透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することができる。
第1の発光層に隣接する少なくとも正孔輸送層又電子輸送層の界面に量子ドットを有することで、有機EL素子の発光効率や低駆動電圧超寿命などを達成できるため好ましい。
これは前記界面の一方、若しくは両方に量子ドットを含有させることで、発光層で生成した励起子、又は電子、正孔が拡散することなく発光層で効率よく発光できるようになったためと考えられる。本実施形態では、量子ドットは電子、正孔が発光層を通り抜けることを防ぐブロック層として機能すると考えられる。
この効果は発光層中のホスト化合物のバンドギャップが量子ドットのバンドギャップより大きいと効果が大きい。具体的にはホスト化合物のバンドギャップが量子ドットのバンドギャップより0.1eV以上大きいことが好ましい。
また発光層中のリン光発光性化合物のバンドギャップが、前記量子ドットのバンドギャップより小さいことが好ましい。具体的には、リン光発光性化合物のバンドギャップが、前記量子ドットのバンドギャップより0.1eV以上小さいことが好ましい。
なお、本発明において、ホスト化合物のバンドギャップ及びリン光発光性化合物のバンドギャップとは、最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギー準位と最低空分子軌道(LUMO)のエネルギー準位とのエネルギー差(エネルギーギャップ)をいう。また量子ドットのバンドギャップとは、量子ドットの荷電子帯と伝導帯のエネルギー差(エネルギーギャップ)をいう。
バンドギャップ測定方法について説明する。本発明においてバンドギャップ測定には光化学的測定手法の一つとして知られるTaucプロットを利用する。ただし本発明では物理的に同義な特性値が得られるのであれば本手法に限定されない。Taucプロットを用いたバンドギャップエネルギー(E)の測定原理を以下に示す。
半導体材料の長波長側の光学吸収端近傍の比較的吸収の大きい領域において光吸収係数αと光エネルギーhν(ただし、hはプランク常数、νは振動数)及びバンドキャップエネルギーEの間には下記式(I)、が成り立つと考えられている。
式(I) αhν=B(hν−E
したがって、吸収スペクトルを測定し、そこから(αhν)の0.5乗に対してhνをプロット(いわゆるTaucプロット)し、直線区間を外挿したα=0におけるhνの値が求めようとするバンドギャップエネルギーEとなる。
光吸収の観察は、紫外可視近赤外分光光度計(「V−7200型」、日本分光株式会社製)などを使用し、波長範囲350−800nmで行うことができる。試料薄膜を使用し、透過法によって測定することができる。
量子ドットは、量子閉じ込め効果を有する所定の大きさの粒子である。量子ドット(微粒子)の粒子径は、具体的には1〜20nmの範囲内であり、好ましくは1〜10nmの範囲内である。このような微粒子のエネルギー準位Eは、一般に、プランク定数を「h」と、電子の有効質量を「m」と、微粒子の半径を「R」としたとき、式(II)で表される。
式(II) E∝h/mR
式(II)で示されるように、微粒子のバンドギャップは、「R−2」に比例して大きくなり、いわゆる、量子ドット効果が得られる。このように、量子ドットの粒子径を制御、規定することによって、量子ドットのバンドギャップ値を制御することができる。すなわち、微粒子の粒子径を制御、規定することにより、通常の原子には無い多様性を持たせることができる。
またブロック層としては、バンドギャップが広い方が好ましく、量子ドットの粒子径としては10〜20nmの範囲内が好ましく、5〜10nmの範囲内はさらに好ましく、1〜3nmの範囲内が特に好ましい。具体的なバンドギャップとしては1.8〜3.2eVの範囲内であることが好ましく、2.2〜3.0eVの範囲内であることが好ましく、2.6〜3.0eVの範囲内であることが最も好ましい。
平均粒子径の測定方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)により量子ドットの粒子観察を行い、そこから粒子径分布の数平均粒子径として求める方法や、動的光散乱法により量子ドットの粒子径分布を測定し、その数平均粒子径として求める方法、X線小角散乱法により得られたスペクトルから量子ドットの粒子径分布シミュレーション計算を用いて粒子径分布を導出する方法などが挙げられる。本発明においては、動的散乱法により、粒子径測定装置(Malvern社製「ZETASIZER Nano Series Nano −ZS」)を用いて測定した。
量子ドットの構成材料としては、例えば、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、スズ等の周期表第14族元素の単体、リン(黒リン)等の周期表第15族元素の単体、セレン、テルル等の周期表第16族元素の単体、炭化ケイ素(SiC)等の複数の周期表第14族元素からなる化合物、酸化スズ(IV)(SnO)、硫化スズ(II、IV)(Sn(II)Sn(IV)S)、硫化スズ(IV)(SnS)、硫化スズ(II)(SnS)、セレン化スズ(II)(SnSe)、テルル化スズ(II)(SnTe)、硫化鉛(II)(PbS)、セレン化鉛(II)(PbSe)、テルル化鉛(II)(PbTe)等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、窒化ホウ素(BN)、リン化ホウ素(BP)、ヒ化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム(AlN)、リン化アルミニウム(AlP)、ヒ化アルミニウム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム(InN)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)等の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物(あるいはIII−V族化合物半導体)、硫化アルミニウム(Al)、セレン化アルミニウム(AlSe)、硫化ガリウム(Ga)、セレン化ガリウム(GaSe)、テルル化ガリウム(GaTe)、酸化インジウム(In)、硫化インジウム(In)、セレン化インジウム(InSe)、テルル化インジウム(InTe)等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、塩化タリウム(I)(TlCl)、臭化タリウム(I)(TlBr)、ヨウ化タリウム(I)(TlI)等の周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化水銀(HgS)、セレン化水銀(HgSe)、テルル化水銀(HgTe)等の周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物(あるいはII−VI族化合物半導体)、硫化ヒ素(III)(As)、セレン化ヒ素(III)(AsSe)、テルル化ヒ素(III)(AsTe)、硫化アンチモン(III)(Sb)、セレン化アンチモン(III)(SbSe)、テルル化アンチモン(III)(SbTe)、硫化ビスマス(III)(Bi)、セレン化ビスマス(III)(BiSe)、テルル化ビスマス(III)(BiTe)等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化銅(I)(CuO)、セレン化銅(I)(CuSe)等の周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物、塩化銅(I)(CuCl)、臭化銅(I)(CuBr)、ヨウ化銅(I)(CuI)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)等の周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物、酸化ニッケル(II)(NiO)等の周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化コバルト(II)(CoO)、硫化コバルト(II)(CoS)等の周期表第9族元素と周期表第16族元素との化合物、四酸化三鉄(Fe)、硫化鉄(II)(FeS)等の周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化マンガン(II)(MnO)等の周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物、硫化モリブデン(IV)(MoS)、酸化タングステン(IV)(WO)等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化バナジウム(II)(VO)、酸化バナジウム(IV)(VO)、酸化タンタル(V)(Ta)等の周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化チタン(TiO、Ti、Ti、Ti等)等の周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物、硫化マグネシウム(MgS)、セレン化マグネシウム(MgSe)等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、酸化カドミウム(II)クロム(III)(CdCr)、セレン化カドミウム(II)クロム(III)(CdCrSe)、硫化銅(II)クロム(III)(CuCr)、セレン化水銀(II)クロム(III)(HgCrSe)等のカルコゲンスピネル類、バリウムチタネート(BaTiO)等が挙げられるが、SnS、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等のIII−V族化合物半導体、Ga、Ga、GaSe、GaTe、In、In、InSe、InTe等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族化合物半導体、As、As、AsSe、AsTe、Sb、Sb、SbSe、SbTe、Bi、Bi、BiSe、BiTe等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物が好ましく、中でも、Si、Ge、GaN、GaP、InN、InP、Ga、Ga、In、In、ZnO、ZnS、CdO、CdSがより好ましい。これらの物質は、毒性の高い陰性元素を含まないので耐環境汚染性や生物への安全性に優れており、有機EL素子の形成に有利である。これらの材料のうち、CdSe、ZnSe、CdSは、発光の安定性の点で好ましい。発光効率、高屈折率、安全性の経済性の観点から、ZnO、ZnSの量子ドットが好ましい。また、上記の材料は、1種で用いるものであってもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上述した量子ドットには、必要に応じて微量の各種元素を不純物としてドープしてもよい。
量子ドットの表面は、不活性な無機物の被覆層又は有機配位子で構成された被膜で被覆されたものであるのが好ましい。すなわち、量子ドットの表面は、量子ドットで構成されたコア領域と、不活性な無機物の被覆層又は有機配位子で構成されたシェル領域とを、有するものであるのが好ましい。コア・シェル構造は少なくとも2種類の化合物で形成されていることが好ましく、2種類以上の化合物でグラジエント構造を形成していても良い。これにより、塗布液中における量子ドットの凝集を効果的に防止することができ、量子ドットの分散性を向上させることができるとともに、輝度効率が向上し、連続駆動させた場合に生じる色ズレを抑制することができる。また、被覆層の存在により安定的に発光特性が得られる。
また、量子ドットの表面が被膜で被覆されていると、後述するような表面修飾剤を量子ドットの表面付近に確実に担持させることができる。被膜の厚さは、特に限定されないが、0.1〜10nmの範囲内であるのが好ましく、0.1〜5nmの範囲内であるのがより好ましい。一般に、量子ドットのサイズにより発光色が制御でき、被膜の厚さが前記範囲内の値であると、被膜の厚さが原子数個分に相当する厚さから量子ドット1個に満たない厚さであり、量子ドットを高密度で充填することができ、十分な発光量が得られる。また、被膜の存在によりお互いのコア粒子の粒子表面に存在する欠陥、ダングリングボンドへの電子トラップによる非発光の電子エネルギーの転移を抑制でき、量子効率の低下を抑えることができる。
[機能性表面修飾剤]
塗布液中において量子ドットの表面付近には、表面修飾剤が付着しているのが好ましい。これにより、塗布液中における量子ドットの分散性を特に優れたものとすることができる。また、量子ドットの製造時において量子ドットの表面に表面修飾剤を付着させることにより、形成される量子ドットの形状が真球度の高いものとなり、また、量子ドットの粒子径分布を狭く抑えられるため、例えば、特に優れたものとすることができる。
これらの機能性表面修飾剤は、量子ドットの表面に直接付着したものであってもよいし、シェルを介して付着したもの(表面修飾剤が直接付着するのはシェルで、量子ドットコアには接触していないもの)であってもよい。
表面修飾剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン類;ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;トリ(n−ヘキシル)アミン、トリ(n−オクチル)アミン、トリ(n−デシル)アミン等の第3級アミン類;トリプロピルホスフィンオキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシド、トリデシルホスフィンオキシド等の有機リン化合物;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ピリジン、ルチジン、コリジン、キノリン類の含窒素芳香族化合物等の有機窒素化合物;ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン等のアミノアルカン類;ジブチルスルフィド等のジアルキルスルフィド類;ジメチルスルホキシドやジブチルスルホキシド等のジアルキルスルホキシド類;チオフェン等の含硫黄芳香族化合物等の有機硫黄化合物;パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;アルコール類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類;ポリエチレンイミン類等が挙げられるが、量子ドットが後述するような方法で調製されるものである場合、表面修飾剤は、高温液相において微粒子に配位して安定化する物質であるのが好ましく、具体的には、トリアルキルホスフィン類、有機リン化合物、アミノアルカン類、第3級アミン類、有機窒素化合物、ジアルキルスルフィド類、ジアルキルスルホキシド類、有機硫黄化合物、高級脂肪酸、アルコール類が好ましい。このような表面修飾剤を用いることにより、塗布液中における量子ドットの分散性を特に優れたものとすることができる。また、量子ドットの製造時において形成される量子ドットの形状をより真球度の高いものとし、量子ドットの粒度分布をよりシャープなものとすることができる。
[量子ドットの製造方法]
量子ドットの製造方法としては、従来行われている下記のような量子ドットの製造方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく公知の任意の方法を用いることができる。
例えば、高真空下のプロセスとしては、分子ビームエピタキシー法、CVD法等;液相製造方法としては、原料水溶液を、例えば、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン等のアルカン類、又はベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の非極性有機溶媒中の逆ミセルとして存在させ、この逆ミセル相中にて結晶成長させる逆ミセル法、熱分解性原料を高温の液相有機媒体に注入して結晶成長させるホットソープ法、さらに、ホットソープ法と同様に、酸塩基反応を駆動力として比較的低い温度で結晶成長を伴う溶液反応法等が挙げられる。
これらの製造方法から任意の方法を使用することができるが、中でも、液相製造方法が好ましい。
なお、液相製造方法において、量子ドットの合成に際して表面に存在する有機表面修飾剤を初期表面修飾剤と呼ぶ。例えば、ホットソープ法における初期表面修飾剤の例としては、トリアルキルホスフィン類、トリアルキルホスフィンオキシド類、アルキルアミン類、ジアルキルスルホキシド類、アルカンホスホン酸等が挙げられる。これらの初期表面修飾剤は、交換反応により上述の機能性表面修飾剤に交換することが好ましい。
具体的には、例えば、前述したホットソープ法により得られるトリオクチルホスフィンオキシド等の初期表面修飾剤は、機能性表面修飾剤を含有する液相中で行う交換反応により、上述の機能性表面修飾剤と交換することが可能である。
以下に、量子ドットの製造方法の一例を示す。
(量子ドットの製造例1)
まず、CdOパウダー(1.6mmol、0.206g;Aldrich、+99.99%)とオレイン酸(6.4mmol、1.8g;Aldrich、95%)とを40mlのトリオクチルアミン(TOA、Aldrich、95%)中で混合する。混合された溶液を高速で撹拌しながら150℃で熱処理し、Nを流しながら300℃まで温度を上昇させた。次いで、300℃で、トリオクチルホスフィン(TOP、Strem、97%)に添加された2.0モル/LのSe(Alfa Aesar)0.2mlを、上記Cd−含有混合物に高速で注入する。
90秒後、TOA(210μl in6ml)に添加された1.2mmolのn−オクタンチオールを注射器ポンプ(syringe pump)により1ml/minの速度で注入して40分間反応させる。
次に、0.92gの酢酸亜鉛と2.8gのオレイン酸とを20mlのTOAに200℃で、N雰囲気下で溶解させて0.25モル/LのZn前駆体溶液を調製する。
次いで、16mlのアリコート(aliquot)のZn−オレイン酸溶液(100℃で加熱された)を前記Cd−含有反応媒質に2ml/minの速度で注入する。その後、TOA(1.12ml in 6ml)中の6.4mmolのn−オクタンチオールを、注射器ポンプを用いて1ml/minの速度で注入する。
全体反応は、2時間かけて行う。反応が終わった後、生成物を約50〜60℃の範囲内に冷却し、有機スラッジを遠心分離(5600rpm)で除去する。不透明な塊がなくなるまでエタノール(Fisher、HPLC grade)を添加する。次いで、遠心分離して得られた沈殿物をトルエン(Sigma−Aldrich、Anhydrous 99.8%)中で溶解させることにより、CdSe/CdS/ZnSコア−シェル量子ドットコロイド溶液を得ることができる。
(量子ドットの製造例2)
CdSe/ZnSのコア・シェル構造を有する量子ドットを得ようとする場合、界面活性剤としてTOPO(trioctylphosphine oxide)を使用した有機溶媒に(CHCd(dimethyl cadmium)、TOPSe(trioctylphosphine selenide)などのコア(CdSe)に該当する前駆体物質を注入して結晶が生成されるようにし、結晶が一定の大きさで成長するように高温で一定時間維持した後、シェル(ZnS)に該当する前駆体物質を注入して既に生成されたコアの表面にシェルが形成されるようにすることで、TOPOでキャッピング(capping)されたCdSe/ZnSの量子ドットを得ることができる。
(量子ドットの製造例3)
アルゴン気流下、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)(関東化学社製)7.5gに、ステアリン酸(関東化学社製)2.9g、n−テトラデシルホスホン酸(AVOCADO社製)620mg、及び、酸化カドミニウム(和光純薬工業社製)250mgを加え、370℃に加熱混合した。これを270℃まで自然冷却させた後、あらかじめトリブチルホスフィン(関東化学社製)2.5mlにセレン(STREM CHEMICAL社製)200mgを溶解させた溶液を加え、減圧乾燥し、TOPOで被覆されたCdSe微粒子を得る。
次いで、得られたCdSe微粒子に、TOPO15gを加えて加熱し、引き続き270℃でトリオクチルホスフィン(シグマアルドリッチ社製)10mlにジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(東京化成社製)1.1gを溶解した溶液を加え、表面にTOPOが固定された、CdSeのナノ結晶をコアとし、ZnSをシェルとするナノ粒子(以下、TOPO固定量子ドットともいう)を得た。なお、この状態の量子ドットは、トルエンやテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒に可溶である。
その後、作製したTOPO固定量子ドットをTHFに溶解させて85℃に加温し、そこにエタノールに溶解させたN−[(S)−3−メルカプト−2−メチルプロピオニル]−L−プロリン(シグマアルドリッチ社製)100mgを滴下させ、12時間程度還流させた。12時間還流後、NaOH水溶液を加え、2時間、90℃で加熱してTHFを蒸発させた。得られた未精製の量子ドットを、限外濾過(Millipore社製、「Microcon」)及びセファデックスカラム(Amersham Biosciences社製、「MicroSpin G−25Columns」)を用いて精製と濃縮とを行うことで、量子ドットの表面にN−[(S)−3−メルカプト−2−メチルプロピオニル]−L−プロリンが固定された親水性の量子ドットを製造することができる。
[量子ドットの製膜方法]
正孔輸送材料、電子輸送材料、発光層材料などの材料と量子ドットの混合液をスピンコートなどで塗布することで、各種材料層と層分離した量子ドット層を界面に形成することができる。その他にも、自己組織化単分子膜をパターニングされたPDMS(ポリジメチルシロキサン)スタンプ等を用いて基板上に転写する、マイクロコンタクトプリンティング法等のドライ法や、量子ドットを含有する塗工液をスピンコートする方法等を挙げることができる。
<金属層>
本発明の有機EL素子は、金属層を有することを特徴とする。
本発明の金属層は、金属粒子が互いに離間して島状に、かつ、二次元的に配置されてなる粒子集合体からなる層であり、さらに当該金属層の厚さ方向の当該金属粒子の平均粒子径が10〜50nmの範囲内である。
本発明の金属層の具体的構成について説明する。
金属粒子を構成する金属原子は、ナノ粒子又はその集合体としたときに、吸光光度法による吸光スペクトル測定において、紫外〜可視領域にプラズモンピークを有する限り特に限定されず、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム等の貴金属や、アルミニウム、タンタル等の金属であってもよいし、該貴金属又は金属を含有する合金の状態であってもよく、また、該貴金属又は金属を含む金属化合物(金属酸化物や金属塩など)の状態であってもよい。これらの中でも、金、銀、銅、白金、パラジウム等の貴金属が好ましく、安価で、吸収が小さい(可視光波長において誘電関数の虚部が小さい)ことから銀であることがより好ましい。
金属粒子の平均粒子径は10〜50nmの範囲内であることが好ましい。
ここでいう金属粒子の平均粒子径とは、金属粒子が互いに離間して島状に、かつ、二次元的に配置された金属層の直上からのSEM観察画像において、無作為に粒子を10個選択し、各粒子像内に無作為に接線径を5本引き(ただし、接線径となる直線はいずれも粒子像内部のみを通ることができ、このうち1本は粒子内部のみ通り、最も長く引ける直線であるものとする)、その平均値を各粒子の粒子径としたときの、選択した10個の粒子径の平均値である。接線径とは、粒子の輪郭(投影像)をこれに接する2本の平行線で挟んだときの間隔(日刊工業新聞社 「粒子計測技術」,1994,第5頁)を結ぶ垂線と定義する。
金属粒子のアスペクト比は1〜8の範囲内であることが好ましい。金属粒子のアスペクト比は、後述の金属粒子の高さに対する上記平均粒子径の比(平均粒子径/金属粒子の高さ)で定義される。金属粒子は真球状であってもよい。
金属粒子は、効果の高いプラズモンを励起する観点から、その表面が滑らかな曲面からなることが好ましく、とりわけ表面が滑らかな曲面からなる扁平形状を有していることがより好ましいが、表面に微小な凹凸(粗さ)を幾分含んでいてもよく、このような意味において金属粒子は不定形であってもよい。
金属層内におけるプラズモン共鳴の強さの均一性に鑑み、金属粒子間のサイズのバラツキはできるだけ小さいことが好ましい。ただし、粒子径に多少バラツキが生じたとしても、大型粒子間の距離が大きくなることは好ましくなく、その間を小型の粒子が埋めることで大型粒子間の相互作用を発現しやすくすることが好ましい。
本実施形態に係る金属層において金属粒子は、その隣り合う金属粒子との平均距離(平均粒子間距離)が1〜150nmの範囲内となるように金属粒子どうしが互いに離間して島状に、かつ、二次元的に配置される。このように金属粒子を密に配置することにより、著しく強いプラズモン共鳴及びプラズモン共鳴の作用範囲の著しい伸長を実現することができる。
ここでいう平均粒子間距離とは、金属粒子が互いに離間して島状に、かつ、二次元的に複数配置された金属層の直上からのSEM観察画像において、無作為に粒子を30個選択し、選択したそれぞれの粒子について、隣り合う粒子との粒子間距離を求めたときの、これら30個の粒子の粒子間距離の平均値である。隣り合う粒子との粒子間距離とは、全ての隣り合う粒子との距離(表面同士間の距離である)をそれぞれ測定し、これらを平均した値である。
金属層における金属粒子の数密度は、7個/μm以上であることが好ましく、15個/μm以上であることがより好ましい。
金属層において、金属粒子間は互いに絶縁されている、換言すれば、隣り合う金属粒子との間に関して非導電性であることが好ましい。一部若しくは全ての金属粒子間で電子の授受が可能であると、プラズモンピークは先鋭さを失い、バルク金属の吸光スペクトルに近づき、また高いプラズモン共鳴が得られない。したがって、金属粒子間は確実に離間されており、金属粒子間には導電性物質が介在されないことが好ましい。
なお、金属粒子間の間隙には、目的に応じて無機物又は有機物を含有させても良い。
なお、金属層の厚さ方向の金属粒子の平均粒子径は、10〜50nmの範囲内である。本実施形態において、金属層の厚さ方向の金属粒子の平均粒子径とは、金属層のAFM観察画像において、無作為に金属粒子を10個選択し、これら10個の粒子の厚さ方向の粒子径を測定したときの、10個の測定値の平均値(金属粒子の高さ)である。
金属層の作製方法は特に限定されないが、機能層に損傷を与えることを抑制し、かつ、製造工程が制限されることを回避するために、水分散液から作製する方法ではなく、金属原子を蒸着させる方法や、下記のような非水分散液を塗布させる方法(塗布法)が好ましい。
[非水分散液の調製方法]
非水分散液の調製方法としては、従来公知の分散液を製造する方法を用いることができる。例えば、ホモジナイザー(高圧、超音波等)、ビーズミル、ジェットミル、アルティマイザーによる物理的な力による分散や、乳化分散等がある。
非水分散液の調製には、上記の方法を単独で用いてもよく、複数の方法を併用(複合して用いるともいう)して用いても構わない。また、従来公知の再沈法(例えば、化学と工業、137ページ、2002年に記載の方法)等を適用してもよい。
(非水分散液:非水溶媒中に分散物が分散されている)
本実施形態に係る非水分散液とは、分散液における分散溶媒(複数種の分散溶媒を使用する場合は構成する分散溶媒の内、50体積%以上の主成分であるもの)として、後述する非水溶媒を用いて調製された分散液を表し、非水溶媒としては、水以外の溶媒として好ましくは、アルコール系、ニトリル系、炭化水素系溶媒(具体的には、下記に示す芳香族系溶剤等が挙げられる)等を用いている分散液を指す。
非水分散液の調製においては、分散液中の固形分が分散液全体の質量の0.01〜50質量%の範囲内に調整することが好ましく、また、分散液の調製においては、分散粒子の粒子径が1μm以下になるように調整することが好ましい。
(非水溶媒)
本実施形態に係る非水溶媒について説明する。
塗布液(溶液でも、分散液でもよい)を調製するにあたり、本発明に係る好ましい態様の一つとして、非水溶媒を用いて調製することが挙げられる。
ここで、非水溶媒とは、実質的に水を含まない溶媒をいうが、『実質的に水を含まない溶媒とは、溶媒中の水の含有量が0.1質量%以下』であるものを非水溶媒と定義し、また、溶媒中の水の含有量は、従来公知のカールフィッシャー水分計や、市販の自動水分測定装置等により測定できる。
(分散液の調製に用いる溶媒)
分散液の調製に用いる溶媒としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、ジクロロヘキサノン等のハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、n−プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、炭酸ジエチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、1−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒、ジメチルスルホキシド、これらの混合溶媒、等が挙げられる。
なお、これらの中でも前記溶媒として、メタノール、1−ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、これらの混合溶媒等を使用すると、親水性分散液が得られる。
上記の中でも、分散液を調製する場合は、分散溶媒は分散媒体を溶解しないものなら、何でもよいがアルコール系溶媒及びニトリル系溶媒が好ましい、より好ましくはメタノール、エタノール、アセトニトリル及びプロピオニトリルである。
また、溶媒の沸点としては、60〜200℃の範囲内が好ましく、更に好ましくは、80〜180℃の範囲内である。
(分散液中の分散物の濃度)
分散液中の金属原子の濃度(分散物濃度、微粒子分散物濃度ともいう)の測定は、固形分濃度を求め、この値を分散液の濃度とする。
(固形分濃度の測定)
分散液5gを量り取り、減圧下、100℃で3時間乾燥し、残渣の質量を測定した。この時、下記一般式を用いて分散液の濃度(固形分濃度)を求めることができる。
固形分濃度(%)=残渣質量(g)/5(g)×100
(分散液の粘度)
本発明の分散液の粘度としては、乾燥時の塗布ムラを低減させ、かつ、乾燥層厚の調整を容易にする観点から、0.5〜500mPa・sの範囲内が好ましく、更に、1〜100mPa・sの範囲内に調整することが好ましい。
なお、分散液の粘度は、分散液を用いて塗布を行う際の温度、圧力等を調節することにより適宜所望の範囲に調整することができ、粘度は、従来公知の回転粘度計、B型粘度計等を用いて測定できる。
また、一般に有機EL素子は耐水性が低いため、有機EL素子を製造する工程が制限されてしまう懸念があるため、分散液には水を加えないほうが好ましいが、限定されるわけではなく、条件によって水を加えてもよい。
(分散液の塗布方法、塗布手段)
前記分散液を用いて塗布を行う際には、例えば、ディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ロールコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビヤコート法等の湿式塗布法により特に好適に行うことができる。これらの中でも、塗布手段としてコーターを用いて行うのが好ましく、前記コーターの中でも、吐出型コーターを用いて行うのが特に好ましい。
また、吐出型コーターを用いる場合、精密ダイヤフラムポンプを備え、該精密ダイヤフラムポンプの駆動により塗布液が吐出される態様が好ましい。
この場合、前記塗布液の吐出量を容易に制御し、大面積に塗布可能であり、精密に、かつ、薄層に、しかも任意の形状に塗布できるので、高輝度で発光効率に優れた有機EL素子が低コストで効率良く得られる点で非常に有利である。
(分散液塗布後の乾燥)
前記乾燥の条件としては、特に制限はないが、塗布形成した層が損傷しない範囲の温度、圧力等を採用することが好ましい。
なお、金属層の形成において、金属粒子どうしが接触し、膜となることを防ぐため、蒸着又は塗布は、下記式(A)を満たしている層に行われることが好ましい。
式(A)
2.0×10−3≧CN
〔式(A)中、CNは、“(化合物中に含まれる芳香族に関与しない、金属に配位していない非共有電子対の数)/(化合物の分子量)”を表す。〕
また、上記式(A)を満たすような有機下地層を有機EL素子内に設け、当該有機下地層上に、金属層を上記方法で作製してもよい。なお、このような有機下地層は、特に限定されないが、例えば、アントラセン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)の他、下記化合物1〜3までなどが挙げられる。
Figure 2015103728
有機下地層は、上記化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。
有機下地層の厚さについては特に制限はないが、通常は1〜100μmの範囲内の程度、好ましくは5〜50nmの範囲内である。有機下地層は上記材料の1種又は2種以上からなる1層構造であってもよい。
なお、本願発明の有機EL素子における金属層及び有機下地層が形成される位置は、特に限定されず、図1のように正孔注入層の上に形成されていてもよいし、図2のように電子輸送層の上であってもよく、さらには、図3のように第2の発光層53の上に形成されるものであってもよい。
《陽極》
有機EL素子を構成する陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(InO3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状パターンを形成してもよく、あるいはパターン精度を余り必要としない場合(100μm以上程度)は、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗値は数百Ω/□以下が好ましい。さらに厚さは材料にもよるが、通常は、10〜1000nmの範囲内であり、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗値は数百Ω/□以下が好ましく、厚さは通常10nm〜5μmの範囲内、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの範囲内の厚さで作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に形成することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する有機EL素子を作製することができる。
《支持基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。リジットな基板よりもフレキシブルな基板において、高温保存安定性や色度変動を抑制する効果が大きく現れるため、特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な可撓性を備えた樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定した酸素透過度が、10−3cm/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が10−3g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましく、前記の水蒸気透過度が10−5g/(m・24h)以下であることがさらに好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等の有機EL素子の劣化を招く因子の浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と機能層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。本発明の有機EL素子において、発光の室温における外部取り出し量子効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
《封止(封止接着剤、封止部材)》
本発明の有機EL素子に適用可能な封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコーン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。さらには、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3cm/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤としては、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、機能層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と機能層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相を形成することを目的として、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
封止にはケーシングタイプの封止(缶封止)と密着タイプの封止(固体封止)があるが、薄型化の観点からは固体封止が好ましい。また、可撓性の有機EL素子を作製する場合は、封止部材にも可撓性が求められるため、固体封止が好ましい。
以下に、固体封止を行う場合の好ましい態様を説明する。
本発明に係る封止用接着剤には、熱硬化接着剤や紫外線硬化樹脂などを用いることができるが、好ましくはエポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂など熱硬化接着剤、より好ましくは耐湿性、耐水性に優れ、硬化時の収縮が少ないエポキシ系熱硬化型接着性樹脂である。
本発明に係る封止用接着剤の含水率は、300ppm以下であることが好ましく、0.01〜200ppmであることがより好ましく、0.01〜100ppmであることが最も好ましい。本発明でいう含水率は、いかなる方法により測定しても構わないが、例えば容量法水分計(カールフィッシャー)、赤外水分計、マイクロ波透過型水分計、加熱乾燥重量法、GC/MS、IR、DSC(示差走査熱量計)、TDS(昇温脱離分析)が挙げられる。また、精密水分計AVM−3000型(オムニテック社製)等を用い、水分の蒸発によって生じる圧力上昇から水分を測定でき、フィルムまた固形フィルム等の水分率の測定を行うことができる。
本発明おいて、封止用接着剤の含水率は、例えば、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmの窒素雰囲気下に置き時間を変化させることで調整することができる。また、100Pa以下の真空状態で置き時間を変化させて乾燥させることもできる。また、封止用接着材は接着剤のみで乾燥させることもできるが、封止部材へあらかじめ配置し乾燥させることもできる。
密着封止(固体封止)を行う場合、封止部材としては、例えば、50μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)にアルミ箔(30μm厚)をラミネートしたものを用いる。これを封止部材として、アルミニウム面にディスペンサーを使用して均一に塗布し封止用接着剤をあらかじめ配置しておき、支持基板1と可撓性封止部材10を位置合わせ後、両者を圧着して(0.1〜3MPa)、温度80〜180℃で密着・接合(接着)して、密着封止(固体封止)する。
接着剤の種類又は量、そして面積等によって加熱また圧着時間は変わるが0.1〜3MPaの圧力で仮接着、また80〜180℃の温度で、熱硬化時間は5秒〜10分間の範囲で選べばよい。加熱した圧着ロールを用いると圧着(仮接着)と加熱が同時にでき、かつ内部の空隙も同時に排除でき好ましい。また、接着層の形成方法としては、材料に応じて、ディスペンサーを用い、ロールコート、スピンコート、スクリーン印刷法、スプレーコートなどのコーティング法、印刷法を用いることができる。
固体封止は以上のように封止部材と有機EL素子基板との間に空間がなく硬化した樹脂で覆う形態である。封止部材としては、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等の金属、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル等のプラスチック及びこれらの複合物、ガラス等が挙げられ、必要に応じて、特に樹脂フィルムの場合には、樹脂基板と同様、アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素等のガスバリア層を積層したものを用いることができる。
ガスバリア層は、封止部材成形前に封止部材の両面若しくは片面にスパッタリング、蒸着等により形成することもできるし、封止後に封止部材の両面若しくは片面に同様な方法で形成してもよい。これについても、酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材としては、アルミニウム等の金属箔をラミネートしたフィルム等でも良い。金属箔の片面にポリマーフィルムを積層する方法としては、一般に使用されているラミネート機を使用することができる。接着剤としてはポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系等の接着剤を用いることができる。必要に応じて硬化剤を併用してもよい。ホットメルトラミネーション法やエクストルージョンラミネート法及び共押出しラミネーション法も使用できるがドライラミネート方式が好ましい。
また、金属箔をスパッタや蒸着等で形成し、導電性ペースト等の流動性電極材料から形成する場合は、逆にポリマーフィルムを基材としてこれに金属箔を成膜する方法で作製してもよい。
《保護膜、保護板》
機能層を挟み支持基板と対向する側の封止膜、あるいは封止用フィルムの外側に、有機EL素子の機械的強度を高めるため、保護膜あるいは保護板を設けてもよい。特に、封止が封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
本発明において、支持基板から陽極との間、あるいは支持基板から光出射側のいずれかの場所に光取出し部材を有することが好ましい。光取出し部材としては、プリズムシートやレンズシート及び拡散シートが挙げられる。また、全反射を起こす界面若しくはいずれかの媒質中に導入される回折格子や拡散構造等が挙げられる。
通常、基板から光を放射するような有機EL素子においては、発光層から放射された光の一部が基板と空気との界面において全反射を起こし、光を損失するという問題が発生する。この問題を解決するために、基板の表面にプリズムやレンズ状の加工を施す、若しくは基板の表面にプリズムシートやレンズシート及び拡散シートを貼り付けることにより、全反射を抑制して光の取り出し効率を向上させる。また、光取り出し効率を高めるためには、全反射を起こす界面若しくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法や拡散構造を導入する方法が知られている。
《有機EL素子の製造方法》
本発明の有機EL素子の製造方法の一例として、陽極/正孔注入層/有機下地層/金属層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の製造方法を説明する。
はじめに、適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの厚さになるように、蒸着やスパッタリング等の薄膜形成方法により形成させて、陽極を作製する。
次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、有機下地層、金属層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を形成させる。
上記各層を形成する工程は、主に、(i)その各層を構成する塗布液を、支持基板の陽極上に塗布・積層する工程と、(ii)塗布・積層後の塗布液を、乾燥させる工程と、で構成される。
(i)の工程では、各層の形成方法として、前記のように蒸着法、ウェットプロセス(例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法)等を挙げることができる。)を用いることができ、少なくとも量子ドットはウェットプロセスを用いて形成することが好ましい。
正孔注入層以外の上記各層の形成においても、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、本発明においてはウェットプロセスが好ましく、中でも、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法等の塗布法による成膜が好ましい。
本発明に係る有機EL材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の有機溶媒を用いることができる。また分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
また、本発明に係る有機EL材料を溶解又は分散する調液工程、基材上に塗布されるまでの塗布工程は不活性ガス雰囲気下であることが好ましいが、使用素材により不活性ガス雰囲気下で行わなくとも有機EL素子性能を落とさずに成膜できるため、必ずしも不活性ガス雰囲気下で行わなくても良い場合がある。この場合、製造コストを抑えることができより好ましい。
(ii)の工程では、塗布・積層された上記各層の乾燥を行う。ここでいう乾燥とは、塗布直後の各層の溶媒含有量を100%とした場合に、0.2%以下まで低減されることを指す。
乾燥の手段としては一般的に汎用されているものを使用でき、減圧あるいは加圧乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、IR乾燥及び電磁波による乾燥などが挙げられる。中でも加熱乾燥が好ましく、上記各層の塗布溶媒の中で最も低沸点の溶媒の沸点以上の温度であり、機能層の材料のTgの中で最も低Tgである材料の(Tg+20)℃より低い温度で保持することが最も好ましい。本発明において、より具体的には80〜150℃の範囲内で保持し乾燥することが好ましく、100〜130℃の範囲内で保持し乾燥することがより好ましい。
塗布・積層後の塗布液を乾燥させる際の雰囲気は、不活性ガス以外の気体の体積濃度が200ppm以下の雰囲気とすることが好ましいが、調液塗布工程と同様に必ずしも不活性ガス雰囲気下で行わなくても良い場合がある。この場合、製造コストを抑えることができ、より好ましい。不活性ガスは好ましくは窒素ガス及びアルゴンガス等の希ガスであり、製造コスト上最も好ましくは窒素ガスである。
これらの層の塗布・積層及び乾燥工程は枚葉製造であっても、ライン製造であっても良い。更に、乾燥工程はライン上で搬送中に行っても良いが、生産性の観点から堆積あるいはロール状に非接触で巻き取り乾燥しても良い。
これらの層を乾燥後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲内の厚さになるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望の有機EL素子が得られる。該加熱処理後に前記密着封止あるいは封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着することで有機EL素子を製造することができる。
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。
発光光源として、例えば、家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源、さらには表示装置を必要とする一般の家庭用電気器具等広い範囲の用途が挙げられるが、特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
(実施例1)
《量子ドットの作製》
以下のようにして平均粒子径2.0nmの量子ドットを作製した。
アルゴン気流下で、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)(関東化学社製)7.5gに、ステアリン酸(関東化学社製)2.9g、n−テトラデシルホスホン酸(AVOCADO社製)620mg、及び、酸化カドミニウム(和光純薬工業社製)250mgを加え、370℃に加熱混合した。これを270℃まで自然冷却させた後、あらかじめトリブチルホスフィン(関東化学社製)2.5mlに、セレン(STREM CHEMICAL社製)200mgを溶解させた溶液を加え、減圧乾燥し、TOPOで被覆されたCdSeの量子ドットを得た。
なお、これらの量子ドットの平均粒子径は、動的光散乱法により測定を行った。
《有機EL素子の作製》
<有機EL素子1−1の作製>
(ガスバリア性の支持基板の作製)
支持基板(可撓性フィルム)として、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製フィルム、以下、PENと略記する)の陽極を形成する側の全面に、特開2004−68143号公報に記載の構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、連続して支持基板上に、SiOxからなる無機物のガスバリア膜を厚さ500nmとなるように形成し、酸素透過度0.001ml/m・day・atm以下、水蒸気透過度0.001g/m・day・atm以下のガスバリア性の支持基板を作製した。
(陽極の形成)
準備したガスバリア性の支持基板上に厚さ120nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、陽極を形成した。なお、パターンは発光面積が50mm平方になるパターンとした。
(正孔注入層の形成)
パターニング後のITO基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSSと略記、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、200℃にて1時間乾燥し、厚さ30nmの正孔注入層を設けた。
(正孔輸送層及び量子ドット単分子層の形成)
この基板を、窒素ガス(グレードG1)を用いた窒素雰囲気下に移し、正孔輸送材料と平均粒子径2.0nmの量子ドットとの混合液(1:1)をクロロベンゼンに0.5%分散した分散液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、160℃で30分間保持し、厚さ30nmの正孔輸送層と層分離した量子ドットからなる単一分子層を形成した。
(発光層の形成)
次いで、下記組成の発光層組成物及び同溶媒により倍希釈した組成物を1500rpm、30秒でスピンコート法によりそれぞれ製膜した後、120℃で30分間保持し厚さ40nmの発光層をそれぞれ形成した。
〈発光層組成物〉
例示化合物a−38(ホスト化合物) 13.950質量部
例示化合物D−66(青色リン光発光性化合物) 2.450質量部
例示化合物GD−1(緑色リン光発光性化合物) 0.025質量部
例示化合物RD−1(赤色リン光発光性化合物) 0.025質量部
トルエン 2000質量部
Figure 2015103728
(量子ドット層の形成)
上述の量子ドットをクロロベンゼンに0.25%分散した分散液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、160℃で30分間保持し、量子ドットからなる単一分子層を形成した。
(電子輸送層の形成)
続いて、電子輸送材料として20mgの下記化合物Aを、4mlのテトラフルオロプロパノール(TFPO)に溶解した溶液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、120℃で30分間保持し、層厚30nmの電子輸送層とした。
Figure 2015103728
(電子注入層、陰極の形成)
続いて、基板を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付けた。また、モリブデン製抵抗加熱ボートにフッ化ナトリウム及びフッ化カリウムを入れたものを真空蒸着装置に取り付け、真空槽を4×10−5Paまで減圧した後、前記ボートに通電して加熱してフッ化ナトリウムを0.02nm/秒で前記電子輸送層上に厚さ1nmの薄膜を形成し、続けて同様にフッ化カリウムを0.02nm/秒でフッ化ナトリウム上に厚さ1.5nmの電子注入層を形成した。引き続き、アルミニウム100nmを蒸着して陰極を形成した。
(封止)
引き続き、市販のロールラミネート装置を用いて封止部材を接着し、有機EL素子1−1を製作した。
なお、封止部材として、可撓性の厚さ30μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm厚)をドライラミネーション用の接着剤(2液反応型のウレタン系接着剤)を用いラミネートした(接着剤層の厚さ1.5μm)ものを用いた。
アルミニウム面に封止用接着剤として、熱硬化性接着剤を、ディスペンサーを使用してアルミ箔の接着面(つや面)に沿って厚さ20μmで均一に塗布した。これを100Pa以下の真空下で12時間乾燥させた。さらに露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmの窒素雰囲気下へ移動し、12時間以上乾燥させ、封止用接着剤の含水率を100ppm以下となるように調整した。
熱硬化接着剤としては下記の(A)〜(C)を混合したエポキシ系接着剤を用いた。
(A)ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)
(B)ジシアンジアミド(DICY)
(C)エポキシアダクト系硬化促進剤
以上のようにして、封止基板を、取り出し電極及び電極リードの接合部を覆うようにして密着・配置して、圧着ロールを用いて厚着条件、圧着ロール温度120℃、圧力0.5MPa、装置速度0.3m/minで密着封止した。
以上のようにして、発光層と電子輸送層及び発光層と正孔輸送層の両方の界面に平均粒子径2.0nmの量子ドットを有する有機EL素子1−1を作製した。
Figure 2015103728
<有機EL素子1−2の作製>
有機EL素子1−1において、正孔注入層の形成をした後、下記手順にて、金属層を形成し、その上に正孔輸送層、量子ドット層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極を形成したほかは、有機EL素子1−1と同様にして有機EL素子1−2を作製した。
(金属層の形成)
スパッタ法により、銀粒子の高さが55nmとなるようにして、正孔注入層の上に金属層を形成した。なお、正孔注入層は、上記式(A)の関係を満たしているため、金属層は、膜状とならず、銀原子が集合した粒子が複数の島状に形成され、本願の金属層となる。
なお、金属層の厚さ方向の当該金属粒子の平均粒子径(金属粒子の高さ)は、金属層のAFM観察画像において、無作為に金属粒子を10個選択し、金属層の厚さ方向の平均粒子径をこれら10個の金属粒子について測定し、10個の測定値の平均値とした。
<有機EL素子1−3の作製>
有機EL素子1−2の作製において、金属層を下記工程で作製したほかは、同様にして有機EL素子1−3を作製した。
銀ナノ粒子水分散物(三菱製紙社製、銀ナノ粒子濃度:25質量%)を純水で、銀ナノ粒子濃度が2質量%となるように希釈した。次いで、この銀ナノ粒子水分散物に対して1体積%の界面活性剤を添加してよく撹拌した後、得られた銀ナノ粒子水分散物に対して80体積%のアセトンを添加して常温で十分撹拌し、銀ナノ粒子塗工液を調製した。
次に、正孔注入層上に上記銀ナノ粒子塗工液を1000rpmでスピンコートし、乾燥後の金属粒子の高さが5nmの金属層を形成した。
<有機EL素子1−4の作製>
銀の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で正孔注入層上に蒸着し、金属粒子の高さが40nmの金属層を形成したほかは、有機EL素子1−3の作製と同様にして有機EL素子1−4を作製した。
<有機EL素子1−5の作製>
ホモジナイザーを使用し、平均粒子径5nmの銀微粒子200ppmの分散したトルエン溶液100g(非水分散溶液)を作製した。これを正孔注入層上に1000rpmでスピンコートし、乾燥後の金属粒子の高さが10nmの金属層を形成したほかは、有機EL素子1−3の作製と同様にして有機EL素子1−5を作製した。
<有機EL素子1−6の作製>
金属層を形成する金属を銀(Ag)から銅(Cu)に換え、さらに、金属粒子の高さを表1に記載の厚さに換えたほかは、有機EL素子1−4と同様にして有機EL素子1−6を作製した。
<有機EL素子1−7の作製>
金属層を形成する金属を銀(Ag)から銅(Cu)に換え、金属粒子の高さを表1の記載のようにしたほかは、有機EL素子1−5と同様にして有機EL素子1−7を作製した。
<有機EL素子1−8の作製>
有機EL素子1−4において、正孔注入層の形成をした後、下記手順にて有機下地層を形成し、その上に表1に記載の金属粒子の高さで金属層を形成し、さらに、正孔輸送層、量子ドット単分子層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極を形成したほかは、有機EL素子1−4と同様にして有機EL素子1−8を作製した。
(有機下地層の形成)
支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにAlqを200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
次いで、真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、前記加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で前記正孔注入層の上に蒸着して更に厚さ5nmの有機下地層を設けた。なお、蒸着時の基板温度は室温であった。
<有機EL素子1−9〜1−13の作製>
有機下地層の材料、金属粒子の高さを表1のようにしたほかは、有機EL素子1−8と同様にして、有機EL素子1−9〜1−13を作製した。
《有機EL素子の評価》
有機EL素子1−1〜1−13についてそれぞれ下記の各評価を行った。各評価の結果は、表2に示すとおりである。
(発光効率(相対効率)の測定)
上記作製した各有機EL素子を、室温(約23℃)で、2.5mA/cmの定電流条件下で発光させ、発光開始直後の発光輝度Lを、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて測定した。
次いで、比較例である有機EL素子1−1の発光輝度を1.0とした相対発光輝度(相対効率)を求め、これを発光効率(外部取り出し量子効率)の尺度とした。相対効率は、その数値が大きいほど、発光効率に優れていることを表す。
(連続駆動安定性(寿命)の評価)
各サンプルを半径5cmの円柱に巻きつけ、その後各サンプルを折り曲げた状態で連続駆動させ、上記分光放射輝度計CS−2000を用いて輝度を測定し、測定した輝度が半減するまでに要する時間(LT50)を求めた。駆動条件は、連続駆動開始時に4000cd/mとなる電流値とした。
次いで、比較例である有機EL素子1−1の駆動時間を100とした場合の相対駆動時間を各有機EL素子について求め、これをそれぞれの寿命とした。
(高温・高湿保存性)
高温・高湿保存性の評価においては、有機EL素子1−1〜1−13について、それぞれ10個の有機EL素子からなる発光パネルを作製し、各発光パネルを高温高湿環境(温度60℃、湿度90%)下に300時間保存し、保存後でも発光する素子の個数(高温・高湿素子生存数)をカウントした。
Figure 2015103728
(まとめ)
有機EL素子1−4〜1−13までは、比較例である有機EL素子1−1〜1−3までに比べ、相対効率(有機EL素子全体としての発光効率)、寿命及び高温・高湿保存性に優れることが示された。
(実施例2)
<有機EL素子2−1の作製>
上記実施例1の有機EL素子1−1と同様にして、有機EL素子2−1を作製した。
<有機EL素子2−2〜2−7の作製>
上記実施例1の有機EL素子1−2〜1−7において、金属層を電子輸送層と電子注入層との間に形成したほかは、有機EL素子1−2〜1−7と同様にして、有機EL素子2−2〜2−7を作製した。具体的には、電子輸送層の上に、有機EL素子1−2〜1−7と同様の方法で金属層を形成し、その上に電子注入層を形成した。
<有機EL素子2−8〜2−13の作製>
上記実施例1の有機EL素子1−8〜1−13において、金属層及び有機下地層を電子輸送層と電子注入層との間に形成したほかは、有機EL素子1−8〜1−13と同様にして、有機EL素子2−8〜2−13を作製した。具体的には、電子輸送層の上に、有機EL素子1−8〜1−13と同様の方法で有機下地層を形成した後、金属層を形成し、その上に電子注入層を形成した。
《有機EL素子の評価》
有機EL素子2−1〜2−13についてそれぞれ実施例1と同様の評価を行った。各評価の結果は、表3に示すとおりである。
Figure 2015103728
(まとめ)
有機EL素子2−4〜2−13までは、比較例である有機EL素子2−1〜2−3までに比べ、相対効率、寿命及び高温・高湿保存性に優れることが示された。
(実施例3)
<有機EL素子3−1の作製>
(ガスバリア性の支持基板の作製)
支持基板として、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製フィルム、以下、PENと略記する)の陽極を形成する側の全面に、特開2004−68143号公報に記載の構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、連続して可撓性フィルム上に、SiOxからなる無機物のガスバリア膜を厚さ500nmとなるように形成し、酸素透過度0.001ml/m・day・atm以下、水蒸気透過度0.001g/m・day・atm以下のガスバリア性の支持基板を作製した。
(量子ドット層の形成)
上述の量子ドットをクロロベンゼンに0.25%分散した分散液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、160℃で30分間保持し、量子ドットからなる単一分子層を形成した。
(陽極の形成)
準備したガスバリア性の支持基板上に厚さ120nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、陽極を形成した。なお、パターンは発光面積が50mm平方になるようなパターンとした。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
(正孔注入輸送層の形成)
真空度1×10−4Paまで減圧した後、化合物M−2の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で透明支持基板に蒸着し、厚さ40nmの正孔注入輸送層を形成した。
(第1の発光層の形成)
次いで、化合物BD−1及び化合物H−1を、化合物BD−1が5%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、厚さ15nmの青色発光を呈する蛍光発光層を形成した。
次いで、化合物GD−1、RD−1及び化合物H−2を、化合物GD−1が17%、RD−1が0.8%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、厚さ15nmの黄色を呈するリン光発光層を形成した。
(電子輸送層の形成)
化合物Aを蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、厚さ30nmの電子輸送層を形成した。
Figure 2015103728
(陰極の形成)
LiFを厚さ1.5nmにて形成した後に、アルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成した。
次いで、上記素子の非発光面をガラスケースで覆い、「有機EL素子3−1」を作製した。
<有機EL素子3−2の作製>
有機EL素子3−1の作製において、量子ドット層の形成をした後、有機EL素子1−2と同様の手順にて金属層を形成し、その上に陽極、正孔注入輸送層、発光層、電子輸送層、陰極を形成した。金属層の形成以外は、有機EL素子3−1と同様にして有機EL素子3−2を作製した。
<有機EL素子3−3の作製>
有機EL素子3−2の作製において、金属層の形成を有機EL素子1−3と同様の方法で行ったほかは有機EL素子3−2の作製と同様にして、有機EL素子3−3を作製した。
<有機EL素子3−4の作製>
有機EL素子3−2の作製において、金属層の形成を有機EL素子1−4と同様の方法で行ったほかは、有機EL素子3−2の作製と同様にして、有機EL素子3−4を作製した。
<有機EL素子3−5の作製>
有機EL素子3−2の作製において、金属層の形成を有機EL素子1−5と同様の方法で行ったほかは、有機EL素子3−2の作製と同様にして、有機EL素子3−5を作製した。
<有機EL素子3−6の作製>
有機EL素子3−2の作製において、金属層の形成を有機EL素子1−6と同様の方法で行ったほかは、有機EL素子3−2の作製と同様にして、有機EL素子3−6を作製した。
<有機EL素子3−7の作製>
有機EL素子3−2の作製において、金属層の形成を有機EL素子1−7と同様の方法で行ったほかは、有機EL素子3−2の作製と同様にして、有機EL素子3−7を作製した。
<有機EL素子3−8の作製>
有機EL素子3−2の作製において、量子ドット層を形成した後、有機EL素子1−8と同様の方法で有機下地層を形成し、さらに有機EL素子1−8と同様の方法で金属層の形成をしたほかは、有機EL素子3−2の作製と同様にして、有機EL素子3−8を作製した。
<有機EL素子3−9〜3−13の作製>
有機下地層の材料、金属粒子の高さを有機EL素子1−9〜1−13と同様にしたほかは、有機EL素子3−8と同様にして、有機EL素子3−9〜3−13を作製した。
《有機EL素子の評価》
有機EL素子3−1〜3−13についてそれぞれ実施例1と同様の評価を行った。各評価の結果は、表4に示すとおりである。
Figure 2015103728
(まとめ)
有機EL素子3−4〜3−13までは、比較例である有機EL素子3−1〜3−3までに比べ、相対効率(有機EL素子全体としての発光効率)、寿命及び高温・高湿保存性に優れることが示された。
1 支持基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層(第1の発光層)
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極
9 封止接着剤
10 可撓性封止部材
11 量子ドット
20 機能層
50 金属層
51 金属粒子
52 有機下地層
53 発光層(第2の発光層)
100 有機エレクトロルミネッセンス素子

Claims (3)

  1. 一対の電極間に、少なくとも有機発光性化合物を含有する有機発光層を含む複数の機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記有機発光層又は別の前記機能層に量子ドットが含有されており、
    さらに、別の機能層として金属層を有しており、
    当該金属層が、金属粒子が互いに離間して島状に、かつ、二次元的に配置されてなる粒子集合体からなる層であり、さらに当該金属層の厚さ方向の当該金属粒子の平均粒子径が10〜50nmの範囲内であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記金属粒子が、銀(Ag)を主成分とする金属粒子であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であって、前記金属層を蒸着法又は非水分散溶液を用いた塗布法によって形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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