JP5552891B2 - 単結晶製造装置および単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、ヒーターはスリット端付近と中央(発熱中心)付近では電流密度分布が異なるため、厳密には検出する場所によって温度が異なる。
そして、検出したヒーター温度に基づいてヒーター出力を変更しているため、検出されるヒーター温度が変わると、それに伴ってヒーターパワーも変わってしまう。従って、実際のヒーター温度が所定の制御温度からずれたり、ヒーター出力が安定しない、という問題があった。
このように、温度検出手段が、少なくとも、放射温度計と、該放射温度計の昇降用の軸と、該軸の駆動用モーターと、該駆動用モーターを駆動するためのモータードライバからなるものとすることによって、高温となったヒーターの温度を安定して検出することが可能な放射温度計を、ヒーターの昇降に伴って安定して、かつ高精度に昇降させることができ、よりヒーター温度の安定した検出が可能となり、またヒーター出力もより安定化させることができる。
このように、ヒーター外周部に配置された断熱等やチャンバーに温度検出用の穴が長穴形状で設けられたものであれば、その長穴から、ヒーターの昇降に伴ったヒーター温度検出を行うことができ、ヒーター温度検出をより容易にかつ安定して行うことができ、より安定した操業が可能となる。
ヒーター中央部±10mmの範囲は、電流密度が他の箇所(例えばスリット端など)に比べて安定しており、すなわち温度も安定している。よって、温度検出手段によって検出するヒーターの位置を、ヒーターの中央±10mmの範囲とすることによって、ヒーター温度が安定した高さ位置の温度を検出しながら単結晶の引き上げを行うことができ、より安定したヒーター出力制御、安定操業が可能となる。
図1に例示するように、本発明の単結晶製造装置10は、少なくとも、原料融液を保持する坩堝13を収容するチャンバー11と、単結晶を引き上げる引き上げ機構16と、原料を加熱する昇降可能なヒーター12と、ヒーター12の温度を検出する温度検出手段14と、ヒーター12の外周部に配置された断熱筒15とを備えたものである。
これにより、放射温度計14aはヒーター12の動作と連動し、放射温度計14aは常にヒーター12の中央付近の温度を検出することができる。
また各々のモータードライバからは、それぞれが駆動する駆動部の現在の状況(位置・回転速度・方向)をコンピュータ17へフィードバックし、目標値となるように制御を行っている。
このように、ヒーター外周部に配置された断熱筒やチャンバーに、長穴の温度検出用の穴を設けることによって、操業時のヒーター移動量を考慮でき、放射温度計等の温度計の視野欠けを確実に防ぐことができる。従って、ヒーターの昇降に伴ったヒーター温度検出を確実かつ安定して行うことができる。よって、より安定した操業を行うことができる。
このヒーター12によって加熱する際、ヒーター12に電圧を印加して通電させる。そしてその際、当然原料融液や坩堝13の温度を間接的に評価するために、放射温度計14aなどの温度検出手段14によってヒーター12の温度の測定を行う。
そしてこれに伴って、ヒーター12も昇降させており、本発明においては、従来のようにヒーター12のみならず、ヒーター12の温度を検出する温度検出手段14も、ヒーター12の昇降に伴って昇降させながら単結晶を引き上げるものである。
よって、ヒーター温度の検出が従来に比べて安定し、単結晶引き上げ中のヒーター出力も安定化する。従って検出温度に基づいたヒーター出力の制御も安定化し、実際のヒーター温度も安定化させることができる。そして原料融液の対流等も安定化させることができ、引き上げられる単結晶の品質も安定化できる。
単結晶の育成中のヒーターのうち、ヒータースリット端付近(領域A)とヒーター中央付近(領域B)の温度を実際に放射温度計で測定し、比較すると、電流密度の大きいヒータースリット端付近の方が温度制御中のヒーター電力の変動量が大きく(図2,3参照)、温度制御上の余計な外乱要因となる。そこで、ヒーター温度の検出位置を、ヒーターを円周方向に見たときの温度ムラが小さいヒーター中央部±10mmの範囲内とすることによって、常にヒーター温度が安定した位置の温度を検出しながら単結晶の引き上げを行うことができ、より安定したヒーター出力制御、安定操業が可能となる。
(実施例1)
ヒーター温度検出位置と温度変動の関係について、直径26インチ(650mm)坩堝を用いた炉内構造、ヒーター使用時間400時間、ヒーター電力100kW、坩堝回転速度0.1rpmの条件で、坩堝に原料を投入しない空焼テストにて、放射温度計をヒーターの上昇に合わせて上昇させて同一ポイントの温度を検出し続けるようにして確認を行った。
なお、この温度変動とは、分割型黒鉛坩堝使用時に坩堝の合せ目付近(坩堝回転周期)で起こる温度変動のことである。
同様に、ヒーター温度検出位置をスリット端付近から中央付近になるように徐々に移動させた場合でも温度変動は中央に近づくにつれ徐々に減少した。
そして、温度検出位置がヒーター中央±10mmの範囲のときが最も温度変動が小さかった。
次に、実際の操業条件においても同じような結果が得られるか確認するために、直径26インチ(650mm)坩堝を用いた炉内構造、ヒーター使用時間1200時間、ヒーター電力120kW、坩堝回転速度0.1rpm、種付け前の条件でテストを行った。
そしてヒーターの温度検出位置を常に中央±10mm付近とすることで、外乱の影響が小さくなり、温度検出はより安定することが判った。
11…チャンバー、 11a…温度検出用穴、
12…ヒーター、 12a…スリット、 12a’…スリット端、 12b…ヒーター軸、 12c…ヒーター電源、 12d…温度調整器、
13…坩堝、 13a…坩堝軸、
14…温度検出手段、 14a…放射温度計、 14b…軸、 14c…駆動用モーター、 14d…モータードライバ、
15…断熱筒、 15a…温度検出用穴、
16…引き上げ機構、 16a…引き上げ軸昇降用モーター、
17…コンピュータ、
21…チャンバー、 22…ヒーター、 23…坩堝、 24…温度検出手段、 25…断熱筒。
Claims (5)
- 少なくとも、原料融液を保持する坩堝を収容するチャンバーと、単結晶を引き上げる引き上げ機構と、前記原料を加熱する昇降可能なヒーターと、該ヒーターの温度を検出する温度検出手段とを備えた単結晶製造装置において、
前記温度検出手段は、前記ヒーターの昇降に伴って昇降することができるものであることを特徴とする単結晶製造装置。 - 前記温度検出手段は、少なくとも、放射温度計と、該放射温度計の昇降用の軸と、該軸の駆動用モーターと、該駆動用モーターを駆動するためのモータードライバからなるものであることを特徴とする請求項1に記載の単結晶製造装置。
- 前記ヒーターの外周部に配置された断熱筒を有し、該断熱筒および前記チャンバーには、前記ヒーター温度を検出するための温度検出用穴が設けられたものであり、該温度検出用穴は長穴であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の単結晶製造装置。
- チョクラルスキー法により単結晶を製造する方法であって、
ヒーターによって溶融された引き上げ原料を保持する坩堝中の融液から引き上げ機構によって単結晶を引き上げる際に、ヒーター温度を検出する温度検出手段を、前記ヒーターの昇降に伴って昇降させながら前記単結晶を引き上げることを特徴とする単結晶の製造方法。 - 前記温度検出手段によって検出する前記ヒーターの高さ位置を、該ヒーターの中央±10mmの範囲内とすることを特徴とする請求項4に記載の単結晶の製造方法。
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