JP5552891B2 - 単結晶製造装置および単結晶の製造方法 - Google Patents

単結晶製造装置および単結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、単結晶引き上げ時のヒーター温度を安定して検出することができる単結晶製造装置および単結晶の製造方法に関する。
半導体集積回路等の基板材料であるシリコン単結晶の製造方法の一つとして、坩堝内の原料融液から円柱状の単結晶を引き上げるチョクラルスキー法(以下CZ法とも記載する)が用いられている。
このCZ法においては、例えば図4に示すような単結晶製造装置のチャンバー21内に設置した坩堝23に原料である多結晶を充填し、前記坩堝23の外周に設けた円筒状のヒーター22によって原料を加熱溶解した後、シードチャックに取り付けた種結晶を融液に浸漬し、シードチャックおよび坩堝23を同一方向または逆方向に回転しながらシードチャックを引き上げて単結晶を成長させる。
このCZ法による単結晶の製造の際には、ヒーター22の温度を制御するために、チャンバー21等に固定された放射温度計等の温度計(温度検出手段24)によってヒーター温度を検出している(例えば特許文献1,2等参照)。
特開平5−24967号公報 特開平3−137092号公報
ところで、CZ法による単結晶製造においては、一般的に使用されている黒鉛ヒーターは、スリット型のものが採用されている。
しかし、ヒーターはスリット端付近と中央(発熱中心)付近では電流密度分布が異なるため、厳密には検出する場所によって温度が異なる。
また、この温度検出手段24は一般的にチャンバー21等に固定されているため、坩堝23の上昇に伴ってヒーター22も上昇させる等、操業条件によってヒーター位置が上下に移動した場合、測温部がずれてしまうという問題があった。
つまり、操業条件の変更によってヒーター位置が変わった場合、ヒーター温度は同じであるにもかかわらず、測温部が変わったことによって検出される温度が変わってしまうという事態が発生する。
そして、検出したヒーター温度に基づいてヒーター出力を変更しているため、検出されるヒーター温度が変わると、それに伴ってヒーターパワーも変わってしまう。従って、実際のヒーター温度が所定の制御温度からずれたり、ヒーター出力が安定しない、という問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、操業条件を変更しても、安定したヒーター温度検出を行うことができ、これによってヒーター温度およびヒーター出力を安定して制御でき、安定した操業を行うことができる単結晶製造装置や単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、少なくとも、原料融液を保持する坩堝を収容するチャンバーと、単結晶を引き上げる引き上げ機構と、前記原料を加熱する昇降可能なヒーターと、該ヒーターの温度を検出する温度検出手段とを備えた単結晶製造装置において、前記温度検出手段は、前記ヒーターの昇降に伴って昇降することができるものであることを特徴とする単結晶製造装置を提供する。
このように、ヒーターの温度を検出する温度検出手段を、ヒーターの昇降に伴って昇降するものとすることによって、ヒーターの同一点の温度を検出するものとすることができ、ヒーター温度検出位置が変わることによって検出誤差が発生することを防止することができる。よって、ヒーター温度の安定した検出が可能となり、またヒーター出力も安定化することができ、安定した操業を行うことができる単結晶製造装置とすることができる。
ここで、前記温度検出手段は、少なくとも、放射温度計と、該放射温度計の昇降用の軸と、該軸の駆動用モーターと、該駆動用モーターを駆動するためのモータードライバからなるものであることが好ましい。
このように、温度検出手段が、少なくとも、放射温度計と、該放射温度計の昇降用の軸と、該軸の駆動用モーターと、該駆動用モーターを駆動するためのモータードライバからなるものとすることによって、高温となったヒーターの温度を安定して検出することが可能な放射温度計を、ヒーターの昇降に伴って安定して、かつ高精度に昇降させることができ、よりヒーター温度の安定した検出が可能となり、またヒーター出力もより安定化させることができる。
また、前記ヒーターの外周部に配置された断熱筒を有し、該断熱筒および前記チャンバーには、前記ヒーター温度を検出するための温度検出用穴が設けられたものであり、該温度検出用穴は長穴であることが好ましい。
このように、ヒーター外周部に配置された断熱等やチャンバーに温度検出用の穴が長穴形状で設けられたものであれば、その長穴から、ヒーターの昇降に伴ったヒーター温度検出を行うことができ、ヒーター温度検出より容易にかつ安定して行うことができ、より安定した操業が可能となる。
また、本発明では、チョクラルスキー法により単結晶を製造する方法であって、ヒーターによって溶融された引き上げ原料を保持する坩堝中の融液から引き上げ機構によって単結晶を引き上げる際に、ヒーター温度を検出する温度検出手段を、前記ヒーターの昇降に伴って昇降させながら前記単結晶を引き上げることを特徴とする単結晶の製造方法を提供する。
このように、ヒーター温度を検出する温度検出手段を、ヒーターの昇降に伴って昇降させながら単結晶を引き上げることによって、ヒーター温度の検出位置を一定の箇所に固定することができ、安定したヒーター温度検出が行われることになる。従って、単結晶引き上げ中のヒーター出力を安定させることができ、単結晶引き上げを安定して行うことができる単結晶の製造方法となる。
ここで、前記温度検出手段によって検出する前記ヒーターの高さ位置を、該ヒーターの中央±10mmの範囲内とすることが好ましい。
ヒーター中央部±10mmの範囲は、電流密度が他の箇所(例えばスリット端など)に比べて安定しており、すなわち温度も安定している。よって、温度検出手段によって検出するヒーターの位置を、ヒーターの中央±10mmの範囲とすることによって、ヒーター温度が安定した高さ位置の温度を検出しながら単結晶の引き上げを行うことができ、より安定したヒーター出力制御、安定操業が可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、ヒーターの昇降に伴って温度検出手段を昇降させることができるので、ヒーターの高さ修正に伴い温度変動や、分割型黒鉛坩堝に起因した温度変動の影響さえも、より高い精度で抑えることができるため、ヒーター温度制御従来に比べて大幅に安定化させることができる。従って、単結晶製造の際の直径制御も容易となるため、育成結晶の有転位化の低減、生産性の向上へと繋げることができる。更に、検出温度が安定することによって結晶引き上げ速度も安定するため、所望の結晶品質を有する単結晶を従来に比べてより安定して得ることができるという効果も奏する単結晶製造装置と単結晶の製造方法が提供される。
本発明の単結晶製造装置の概略の一例を示した図である。 一般的なヒーターの形状の電極部近傍における概略を示した拡大図である。 実施例1,2におけるヒーター温度検出位置と、ヒーター出力(電力)変動の最大値との関係を示した図である。 従来の単結晶製造装置の概略の一例を示した図である。
以下、本発明について図を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1に例示するように、本発明の単結晶製造装置10は、少なくとも、原料融液を保持する坩堝13を収容するチャンバー11と、単結晶を引き上げる引き上げ機構16と、原料を加熱する昇降可能なヒーター12と、ヒーター12の温度を検出する温度検出手段14と、ヒーター12の外周部に配置された断熱筒15とを備えたものである。
そして、温度検出手段14は、チャンバー本体に固定されずに、検出位置を可変でき、ヒーター12の昇降に伴って昇降することができるものである。例えば、図1に示すように、少なくとも、放射温度計14aと、放射温度計の昇降用の軸14bと、軸の駆動用モーター14cと、駆動用モーター14cを駆動するためのモータードライバ14dとからなるものである。
このような場合、放射温度計14aのヒーター温度検出位置を、例えば予めヒーター12の中央付近となるように調整しておき、その位置を基準として、ヒーター軸12bの昇降指令と同じ指令を放射温度計の昇降用の軸14bのモータードライバ14dへ与え、駆動用モーター14cによって放射温度計の昇降用の軸14bを昇降させ、放射温度計14aの昇降をヒーター軸12b昇降連動させるようになっているものである。
これにより、放射温度計14aはヒーター12の動作と連動し、放射温度計14aは常にヒーター12の中央付近の温度を検出することができる。
そして放射温度計14aによって検出したヒーター12の温度を、ヒーター温度を調整するための温度調整器12dにフィードバックし、該温度調整器12dはフィードバックされた信号に基づいてヒーター電源12cに信号を発信し、ヒーター12の出力(電力)を調整するものである。
図2に示すように、一般的に使用されているスリット12aが形成されたヒーターでは、電流密度の大きいヒータースリット端12a’付近(領域A)の方が、温度制御中のヒーター電力の変動量が大きく、ヒーター中心部(領域B)では安定している。そのため、ヒーター温度の検出位置が変わると、実際に温度が変わっていないにも関わらず、検出される温度が変わってしまうことになる。
しかし、本発明によれば、ヒーターの温度を検出する温度検出手段を、ヒーターの昇降に伴って昇降させるため、ヒーター温度の検出位置が単結晶の引き上げ中に変わることを防止でき、ヒーターの同一点の温度を検出し続けることができる。よって、ヒーター温度の安定した検出が可能となり、またヒーター温度に基づいて制御するヒーター出力も安定させることができる。これらの効果によって、単結晶の安定した引き上げを行うことができ、また原料融液の状態を安定化させることができ、引き上げた単結晶の結晶品質も安定化させることができる単結晶製造装置とすることができる。
ここで、単結晶製造装置10の各駆動部(ヒーター軸12b、坩堝軸13a、放射温度計の昇降用の軸14b、引き上げ軸昇降用モーター16aをそれぞれ駆動するモータードライバ)は、制御を行っているコンピュータ17からの各モータードライバへの指令(位置・回転速度・方向)に従って駆動するものとすることができる。
また各々のモータードライバからは、それぞれが駆動する駆動部の現在の状況(位置・回転速度・方向)をコンピュータ17へフィードバックし、目標値となるように制御を行っている。
なお、温度検出手段14は、図1に示すような実施形態に限られず、ヒーター12の昇降に伴って昇降することができるものであればよく、例えば測温抵抗体等を用いることもできる。
また、温度検出手段14によって検出するヒーター12の温度の検出高さ位置は、ヒーター12の中央±10mmとなるように調整することが望ましい。
そして、図1に示すように、ヒーター12の外周部に配置された断熱筒15とチャンバー11には、ヒーター12の温度を検出するための温度検出用穴15aおよび11aが設けられたものとし、この温度検出用穴11a,15aの形状は長穴とすることができる。
このように、ヒーター外周部に配置された断熱筒やチャンバーに、長穴の温度検出用の穴を設けることによって、操業時のヒーター移動量を考慮でき、放射温度計等の温度計の視野欠けを確実に防ぐことができる。従って、ヒーターの昇降に伴ったヒーター温度検出を確実かつ安定して行うことができる。よって、より安定した操業を行うことができる。
上記のような、本発明の単結晶製造装置を用いた、本発明の単結晶の製造方法の一例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前述した単結晶製造装置10において、坩堝13内の原料融液から単結晶を引き上げるにあたって、坩堝13内の原料を溶融させるために、坩堝13の周りに配置されたヒーター12で加熱する必要がある。
このヒーター12によって加熱する際、ヒーター12に電圧を印加して通電させる。そしてその際、当然原料融液や坩堝13の温度を間接的に評価するために、放射温度計14aなどの温度検出手段14によってヒーター12の温度の測定を行う。
そしてこの坩堝13中の原料融液に種結晶を浸漬させた後、原料融液から単結晶が引き上げられるが、坩堝13は結晶成長軸方向に昇降可能であり、単結晶の成長が進行して減少した原料融液の液面下降分を補うように、成長中に坩堝13を上昇させることにより、原料融液の融液面の高さを常に一定に保っている。
そしてこれに伴って、ヒーター12も昇降させており、本発明においては、従来のようにヒーター12のみならず、ヒーター12の温度を検出する温度検出手段14も、ヒーター12の昇降に伴って昇降させながら単結晶を引き上げるものである。
このように、ヒーター温度を検出する温度検出手段を、ヒーターの昇降に伴って昇降させながら単結晶を引き上げると、ヒーター温度の検出位置が引き上げ方向に対して変わることを防ぐことができ、ヒーターの一定の箇所の温度を検出し続けることができる。
よって、ヒーター温度の検出が従来に比べて安定し、単結晶引き上げ中のヒーター出力も安定化する。従って検出温度に基づいたヒーター出力の制御も安定化し、実際のヒーター温度も安定化させることができる。そして原料融液の対流等も安定化させることができ、引き上げられる単結晶の品質も安定化できる。
ここで、温度検出手段によって検出するヒーターの高さ位置を、ヒーターの中央±10mmの範囲内とすることができる。
単結晶の育成中のヒーターのうち、ヒータースリット端付近(領域A)とヒーター中央付近(領域B)の温度を実際に放射温度計で測定し、比較すると、電流密度の大きいヒータースリット端付近の方が温度制御中のヒーター電力の変動量が大きく(図2,3参照)、温度制御上の余計な外乱要因となる。そこで、ヒーター温度の検出位置を、ヒーターを円周方向に見たときの温度ムラが小さいヒーター中央部±10mmの範囲内とすることによって、常にヒーター温度が安定した位置の温度を検出しながら単結晶の引き上げを行うことができ、より安定したヒーター出力制御、安定操業が可能となる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ヒーター温度検出位置と温度変動の関係について、直径26インチ(650mm)坩堝を用いた炉内構造、ヒーター使用時間400時間、ヒーター電力100kW、坩堝回転速度0.1rpmの条件で、坩堝に原料を投入しない空焼テストにて、放射温度計をヒーターの上昇に合わせて上昇させて同一ポイントの温度を検出し続けるようにして確認を行った。
なお、この温度変動とは、分割型黒鉛坩堝使用時に坩堝の合せ目付近(坩堝回転周期)で起こる温度変動のことである。
その結果、図3(A)に示すように、ヒーター温度検出位置を中央付近、スリット端に固定した場合の温度変動(電力変動)は、温度計の検出位置がヒーター中央付近のときにある方がスリット端付近にあるときに比べ約50%小さかった。
同様に、ヒーター温度検出位置をスリット端付近から中央付近になるように徐々に移動させた場合でも温度変動は中央に近づくにつれ徐々に減少した。
そして、温度検出位置がヒーター中央±10mmの範囲のときが最も温度変動が小さかった。
なお、本実施例1において、一番温度変動が大きかったスリット端の位置の測定であっても、温度計を固定した従来に比べて出力変動は約90%となっており、また中央では変動幅は50%以下となり、本発明によって、どのヒーター温度検出位置であっても従来よりヒーター出力も安定化させることができることが判った。
(実施例2)
次に、実際の操業条件においても同じような結果が得られるか確認するために、直径26インチ(650mm)坩堝を用いた炉内構造、ヒーター使用時間1200時間、ヒーター電力120kW、坩堝回転速度0.1rpm、種付け前の条件でテストを行った。
その場合においても、図3(B)に示すように、実施例1と同様にヒーター温度検出位置がヒーター中央のとき最も温度変動が小さかった。温度計を固定した場合、変動幅は8kw以上であるので、大幅に改善されることが判った。
以上のことから、本発明のように、放射温度計をヒーターの上昇に合わせて上昇させて同一ポイントの温度を検出し続けることでヒーター温度検出は安定化できることが判った。
そしてヒーターの温度検出位置を常に中央±10mm付近とすることで、外乱の影響が小さくなり、温度検出はより安定することが判った。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
10…単結晶製造装置、
11…チャンバー、 11a…温度検出用穴、
12…ヒーター、 12a…スリット、 12a’…スリット端、 12b…ヒーター軸、 12c…ヒーター電源、 12d…温度調整器、
13…坩堝、 13a…坩堝軸、
14…温度検出手段、 14a…放射温度計、 14b…軸、 14c…駆動用モーター、 14d…モータードライバ、
15…断熱筒、 15a…温度検出用穴、
16…引き上げ機構、 16a…引き上げ軸昇降用モーター、
17…コンピュータ、
21…チャンバー、 22…ヒーター、 23…坩堝、 24…温度検出手段、 25…断熱筒。

Claims (5)

  1. 少なくとも、原料融液を保持する坩堝を収容するチャンバーと、単結晶を引き上げる引き上げ機構と、前記原料を加熱する昇降可能なヒーターと、該ヒーターの温度を検出する温度検出手段とを備えた単結晶製造装置において、
    前記温度検出手段は、前記ヒーターの昇降に伴って昇降することができるものであることを特徴とする単結晶製造装置。
  2. 前記温度検出手段は、少なくとも、放射温度計と、該放射温度計の昇降用の軸と、該軸の駆動用モーターと、該駆動用モーターを駆動するためのモータードライバからなるものであることを特徴とする請求項1に記載の単結晶製造装置。
  3. 前記ヒーターの外周部に配置された断熱筒を有し、該断熱筒および前記チャンバーには、前記ヒーター温度を検出するための温度検出用穴が設けられたものであり、該温度検出用穴は長穴であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の単結晶製造装置。
  4. チョクラルスキー法により単結晶を製造する方法であって、
    ヒーターによって溶融された引き上げ原料を保持する坩堝中の融液から引き上げ機構によって単結晶を引き上げる際に、ヒーター温度を検出する温度検出手段を、前記ヒーターの昇降に伴って昇降させながら前記単結晶を引き上げることを特徴とする単結晶の製造方法。
  5. 前記温度検出手段によって検出する前記ヒーターの高さ位置を、該ヒーターの中央±10mmの範囲内とすることを特徴とする請求項4に記載の単結晶の製造方法。
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