JP5333396B2 - 単結晶の製造方法及び単結晶製造装置 - Google Patents
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Description
このCZ法においては、単結晶製造装置のチャンバー内に設置した石英ルツボに原料である多結晶を充填し、石英ルツボを支持するための黒鉛ルツボを囲繞する円筒状のヒーターによって原料を加熱溶解した後、シードチャックに取り付けた種結晶を融液に浸漬させ、シードチャック及びルツボを同一方向又は逆方向に回転させながら、シードチャックを引き上げて単結晶を成長させる(例えば特許文献1参照)。
しかし、黒鉛ルツボが分割構造であると、分割部付近とそれ以外の部分で黒鉛ルツボに温度勾配が生じる。特に、CZ法において結晶中の酸素濃度を制御するために、ルツボを低速の回転速度で引上げる場合(例えば回転速度0.3rpm以下)では、黒鉛ルツボ表面の僅かな温度勾配でも、ヒーターの温度を測定するための測温部に温度勾配が現れる。そのため、ヒーター温度を検出している放射温度計も、黒鉛ルツボの回転速度の周期毎に訪れる温度変化を検出してしまう。
以上により、ヒーター出力はルツボ回転周期の変動に追従して変化し安定せず、ルツボ回転速度が約0.1rpmの場合には、ヒーター出力は10kW程度の変動が見られた。このため、引き上げる単結晶の直径等にも変動が生じて、歩留まりの低下等の問題があった。
このように、ヒーターの出力を、測定したヒーターの温度の2以上の検出値間の最小値を基に制御することで、黒鉛ルツボの分割部に対応する位置では他の位置より高い温度を検出するため、2以上の検出値間の最小値は黒鉛ルツボの分割部の影響の少ない部分の温度であり、当該最小値を基にヒーターの出力を簡易な方法で精度良く制御することができる。
このように、ヒーターの出力を、測定したヒーターの温度の2以上の検出値間の平均値を基に制御することで、平均値であれば、黒鉛ルツボの分割部の影響が低減されるため、ヒーターの出力を、簡易な方法でこれまでより精度良く制御することができる。
このように、黒鉛ルツボ及び石英ルツボの回転数を、0.1〜0.3rpmとすることで、当該低速の回転数では、ヒーター温度の測温部に黒鉛ルツボの表面の温度勾配の影響が出やすく、本発明の方法を用いるのに好適である。
このように、黒鉛ルツボを二分割されたものとし、ヒーターの温度の各測定位置を、黒鉛ルツボの回転軸を中心として回転角が20〜160°離れた位置とすることで、一つの測定位置が黒鉛ルツボの分割部と対応する位置に一致した場合に、当該分割部付近の温度勾配の影響が少ない位置まで他の測定位置が離れているため、ヒーターの温度を確実に精度良く検出することができる。
このように、制御機構は、測定したヒーターの温度の2以上の検出値間の最小値を基にヒーターの出力を制御するものであれば、放射温度計は、黒鉛部材の分割部に対応する位置を測定する場合、高い温度を検出するため、分割部と離れた測定位置での検出値が2以上の検出値間の最小値となる。このため、ヒーターの出力を、当該最小値を基に制御することで、黒鉛ルツボの分割部の影響を低減して、簡易な方法で精度良く制御することができる装置となる。
このように、制御機構は、前記測定したヒーターの温度の2以上の検出値間の平均値を基に前記ヒーターの出力を制御するものであれば、黒鉛ルツボの分割部の影響が低減され、ヒーターの出力を当該平均値を基に、簡易な方法でこれまでより精度良く制御することができる装置となる。
このように、黒鉛ルツボ及び石英ルツボは、0.1〜0.3rpmで回転するものとすることで、当該低速の回転数では、ヒーター温度の測温部に黒鉛ルツボの分割部付近の温度勾配の影響が出やすく、本発明の装置であれば、当該温度勾配のヒーターの温度検出への影響を低減でき、好適である。
このように、黒鉛ルツボは二分割されたもので、2以上の放射温度計の各測定位置は、黒鉛ルツボの回転軸を中心として回転角が20〜160°離れた位置であれば、一つの放射温度計の測定位置が黒鉛ルツボの分割部と対応する位置に一致した時に、当該分割部における温度勾配の影響が少ない位置まで他の放射温度計の測定位置が離れているため、ヒーターの温度を安定して精度良く検出することができる装置となる。
このような問題に対して、本発明者らは以下のような検討を行った。
図8に示すように、ヒーター温度の検出値の変動は、ルツボ位置(回転角度)に依存する。つまり、黒鉛ルツボの分割部が、放射温度計の測定位置の前を通る時、測温部(検出値)は周期的に高温となり、分割部が測定位置からずれているときには測温部が周期的に低温となっている。このような検出される温度変動幅は、ルツボの回転速度に依存し、速度が遅くなるにつれ、変動幅が大きくなる。これは、黒鉛ルツボの分割部の温度勾配が測温部へ伝わるまでの応答時間が存在し、回転速度が遅くなるほど、測温部へ伝わる応答時間が長くなるためと考えられる。
そして、このような2つの放射温度計a、bの検出値のうち、最小値を真値として採用して補正したものが図1(c)である。図1(c)に示すように、黒鉛ルツボの分割部起因の高温のピークは消去されている。この補正した検出値を基に制御した図1(d)に示すヒーター出力は、安定している。
まず、本発明の単結晶製造装置を以下説明する。図4は、本発明の単結晶製造装置の実施態様の一例を示す概略図である。図5は、本発明の単結晶製造装置においてヒーター出力を制御するフローを示す図である。
黒鉛ルツボ11は、単結晶18の引き上げ後に残った原料融液17が固まった際に割れないように、縦方向に分割されている。このため、黒鉛ルツボ11は回転軸方向(縦方向)にルツボ下面まで続く分割部を有する。
上記範囲で離れた位置であれば、少なくとも一つの放射温度計の検出値では黒鉛ルツボ11の分割部における温度勾配の影響が十分に小さいため、より正確にヒーター温度を検出することができる装置となる。
また、図2(a)に示すように3つの放射温度計を配置することもでき、又は、3つ以上配置することも可能である。
このように、検出値のうち最小値、又は、検出値間の平均値を真値として補正された検出値を基に制御すれば、黒鉛ルツボ11の分割部起因の高温のピークを容易に消去でき、安定した検出値を基にヒーター出力を制御できる装置となる。また、平均値を用いる場合には、黒鉛ルツボ11の分割数や放射温度計の数が3つ以上である方が高温のピークをより効果的に低減することができる。
このような低速で回転させる場合には、特に黒鉛ルツボ11の分割部の温度の影響がヒーター温度の測温部までよく伝わり、検出値に高温のピークが生じやすいため、当該高温のピークを低減できる本発明の装置が好適である。
図4に示す単結晶製造装置10を用いて、チョクラルスキー法により、黒鉛ルツボ11及び石英ルツボ12を回転させ、ヒーター13の温度を測定し、該測定したヒーター13の温度を基にヒーター13の出力を制御しながら、石英ルツボ12中の原料融液17から単結晶18を引き上げる。
これにより、黒鉛ルツボ11の分割部が原因の不要なノイズを除去して、実際のヒーター温度が反映されたヒーター出力の制御を安定して行うことができる。
酸素濃度の低い単結晶の製造の際にはルツボの回転速度を0.1〜0.3rpmといった低速にする必要があるが、本発明の製造方法は、このような黒鉛ルツボの回転速度が低速の場合に特に好適である。
また、黒鉛ルツボ11を二分割されたものとし、ヒーター13の温度の各測定位置を、黒鉛ルツボ11の回転軸を中心として回転角が好ましくは20〜160°、より好ましくは45〜135°離れた位置とすることができる。
このような位置関係にすることにより、上述したように、より正確なヒーター温度を検出でき、安定した単結晶引き上げを行うことができる。
(実施例)
図1(a)に示すような2分割された黒鉛ルツボを配備した図4に示す単結晶製造装置を準備し、直径26インチ(650mm)の石英ルツボに原料多結晶シリコンを180kgチャージし、直径200mmの単結晶を製造した。この際の黒鉛ルツボ及び石英ルツボの回転速度は0.2〜0.3rpmとした。
この際、二つの放射温度計を図1(a)に示すように、回転角90°の間隔で配置し、ヒーター温度の検出値のうち最小値を基にヒーター出力を制御した。
実施例と同様に、ただし、図8のように放射温度計は一つ配置し、当該放射温度計の検出値を基にヒーター出力を制御した。
図6に示すように、比較例の場合、検出した温度の周期的な変動の影響を受けて、直径も周期的に変動している様子が顕著である。比較例の直径変動幅が約3mmに対して、一方、実施例では直径変動幅が1mm以下にまで抑えることができた。
13…ヒーター、 14…ルツボ回転軸、 15、15’…放射温度計、
16…制御機構、 17…原料融液、 18…単結晶、 19…引上げ機構、
20…チャンバー、 21…断熱部材。
Claims (10)
- 少なくとも、チャンバー内に、分割されて分割部を有する黒鉛ルツボと、該黒鉛ルツボに支持された石英ルツボと、前記黒鉛ルツボを囲繞するヒーターとが装備された単結晶製造装置を用いて、チョクラルスキー法により、前記黒鉛ルツボ及び前記石英ルツボを回転させ、前記ヒーターの温度を測定し、該測定したヒーターの温度を基に前記ヒーターの出力を制御しながら、前記石英ルツボ中の原料融液から単結晶を引き上げる単結晶の製造方法であって、
前記ヒーターの温度を、前記回転する黒鉛ルツボの分割部と対応する円周方向の角度位置に同時に一致しない2以上の測定位置で測定して検出し、該測定したヒーターの温度の2以上の検出値を基に前記ヒーターの出力を制御しながら、前記単結晶を引き上げることを特徴とする単結晶の製造方法。 - 前記ヒーターの出力を、前記測定したヒーターの温度の2以上の検出値間の最小値を基に制御することを特徴とする請求項1に記載の単結晶の製造方法。
- 前記ヒーターの出力を、前記測定したヒーターの温度の2以上の検出値間の平均値を基に制御することを特徴とする請求項1に記載の単結晶の製造方法。
- 前記黒鉛ルツボ及び前記石英ルツボの回転数を、0.1〜0.3rpmとすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
- 前記黒鉛ルツボを二分割されたものとし、前記ヒーターの温度の各測定位置を、前記黒鉛ルツボの回転軸を中心として回転角が20〜160°離れた位置とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の単結晶の製造方法。
- チョクラルスキー法によって、チャンバー内で、分割されて分割部を有する黒鉛ルツボと該黒鉛ルツボに支持された石英ルツボを回転させながら、前記石英ルツボ中の原料融液から単結晶を引き上げる単結晶製造装置であって、
該単結晶製造装置は、少なくとも、前記チャンバーと、前記分割されて分割部を有する黒鉛ルツボと、前記石英ルツボと、前記黒鉛ルツボを囲繞し、前記原料融液を加熱するヒーターと、該ヒーターの温度を測定するための2以上の放射温度計と、前記ヒーターの出力を制御する制御機構とを備え、
前記2以上の放射温度計は、前記回転する黒鉛ルツボの分割部と対応する円周方向の角度位置に同時に一致しない2以上の測定位置に配置され、前記制御機構は、前記測定されたヒーターの温度の2以上の検出値を基に前記ヒーターの出力を制御するものであることを特徴とする単結晶製造装置。 - 前記制御機構は、前記測定したヒーターの温度の2以上の検出値間の最小値を基に前記ヒーターの出力を制御するものであることを特徴とする請求項6に記載の単結晶製造装置。
- 前記制御機構は、前記測定したヒーターの温度の2以上の検出値間の平均値を基に前記ヒーターの出力を制御するものであることを特徴とする請求項6に記載の単結晶製造装置。
- 前記黒鉛ルツボ及び前記石英ルツボは、0.1〜0.3rpmで回転するものであることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の単結晶製造装置。
- 前記黒鉛ルツボは二分割されたもので、前記2以上の放射温度計の各測定位置は、前記黒鉛ルツボの回転軸を中心として回転角が20〜160°離れた位置であることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか一項に記載の単結晶製造装置。
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