JP5190707B2 - ヒーター出力制御方法及び単結晶製造装置 - Google Patents

ヒーター出力制御方法及び単結晶製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、チョクラルスキー法によって単結晶を育成する際のヒーターの出力を制御するための制御方法及び単結晶製造装置に関し、具体的には、分割された黒鉛ルツボを備えた単結晶製造装置における単結晶引上げ時の温度制御を安定化するためのヒーター出力の制御方法と単結晶製造装置に関する。
半導体集積回路等の基板材料であるシリコン単結晶の製造方法の一つとして、ルツボ内の原料融液から円柱状の単結晶を引き上げるチョクラルスキー法(以下CZ法とも記載する)が用いられている。
このCZ法においては、単結晶製造装置のチャンバ内に設置したルツボに原料である多結晶を充填し、前記ルツボの外周に設けた円筒状のヒーターによって原料を加熱溶解した後、シードチャックに取り付けた種結晶を融液に浸漬し、シードチャックおよびルツボを同一方向または逆方向に回転しながらシードチャックを引き上げて単結晶を成長させる(例えば特許文献1、2参照)。
特開昭57−40119号公報 特開平3−97688号公報
そして、このCZ法によって結晶中の酸素濃度を制御するために、ルツボ回転速度を低速として単結晶を引き上げる場合がある。
しかし、原料を保持するための黒鉛ルツボが分割可能な構造の場合、分割部分の接合面付近とそれ以外の部分で、黒鉛ルツボに温度勾配が生じる。特に低速のルツボ回転速度領域(0.3rpm以下)では、このような黒鉛ルツボの分割構造に由来する僅かな温度勾配が顕著に現れることとなる。
そのため、ヒーター温度を検出している放射温度計の検出値にも、ルツボ回転速度の周期毎に温度変化が現れてしまう。
ここで、図7に示すように、従来のヒーター出力の制御方法では、放射温度計によるヒーター温度の検出値をフィードバックし、目標温度となるようにヒーター出力の制御を行っている。
このような制御方法では、放射温度計の検出値が安定していない場合、炉内温度が安定していないと判断して、制御系は目標温度に合うように温度制御を行っていた。
しかし最終的な制御対象である融液温度は実際は変化しておらず、融液の温度制御にとって、分割された黒鉛ルツボの温度勾配によりもたらされるヒーター温度の周期的な変動は、制御系にとって見れば不要な外乱であった。
そのため、ルツボ回転周期の変動に追従したヒーター温度の検出値の変化に伴ってヒーター出力が変化し、ヒーター出力は安定していなかった。
実際には、黒鉛ルツボの回転速度が0.1rpm付近の時では約9kW(8%)程度の変動が見られている。
そしてこのような変動によって原料融液の温度が変動するという問題が発生していた。そのため、引き上げる単結晶の直径制御が安定せず、生産性が低下するという問題が発生していた。
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、分割された黒鉛ルツボの構造に起因するルツボの低速回転領域で特に顕著に現れる周期的なヒーター温度の検出値の変動によって引き起こされるヒーター出力の変動を低減することによって、原料融液の温度制御が安定化し、よって単結晶の直径制御を安定化させることができるヒーター出力制御方法及び単結晶製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、少なくとも分割された黒鉛ルツボが装備された単結晶製造装置を用いて、チョクラルスキー法によって、前記黒鉛ルツボに支持された石英ルツボ中の原料を加熱するためのヒーターによって溶融された原料融液から単結晶を引き上げる際に、前記ヒーターの出力を制御するための制御方法であって、前記ヒーターの出力を、前記ヒーターの温度を放射温度計で測定した検出値に加えて、前記黒鉛ルツボの回転に伴って発生する前記放射温度計の周期的な温度変動を打ち消す補正信号を加算した制御信号によって制御することを特徴とするヒーター出力制御方法を提供する。
このように、放射温度計で測定したヒーター温度の他に、更に黒鉛ルツボの回転に伴って発生する放射温度計の周期的な温度変動を打ち消す補正信号がヒーター温度に加算された制御信号によってヒーターの出力を制御する。
上述のように、従来は分割部分とそれ以外の部分で黒鉛ルツボの温度が異なることによって発生する周期的な温度変化によって、実際には原料融液の温度は変化していないにも係わらずヒーターの出力も周期的に変化してしまっていたが、本発明のヒーター出力制御方法によれば、分割された黒鉛ルツボ由来の周期的な温度変動によってヒーター出力が周期的に変化することを抑制することができ、よってヒーター温度の変動を小さくすることができる。従って、原料融液の温度変動を小さくすることができ、よって育成する単結晶の直径を安定させることが可能となり、生産性を向上させることができる。また、結晶引上げ速度も安定させることができるので、所望の結晶品質を有する単結晶を安定して得ることができる。
ここで、前記補正信号は、前記周期的な温度変動に近似した近似信号を反転させることによって得るものとすることが好ましい。
このように、周期的な温度変動の波形に近似した近似信号を反転させた信号を補正信号として放射温度計の検出値とともにヒーター出力の制御に用いることによって、黒鉛ルツボの回転に伴う温度変動を高い精度で抑えることができ、よってヒーター出力の変動をより小さなものとすることができる。
また、前記補正信号は、更に、前記近似信号に、前記ルツボの位置に応じた位置関数を加算及び/または乗じたものとすることができる。
このように、分割部分やボディ部などのルツボの位置に応じた位置関数を近似信号に加算及び/または乗じることによって、更に黒鉛ルツボの回転に伴う温度変動を高い精度で抑えることができ、よって更にヒーター出力の変動を抑制することができる。
そして、前記補正信号は、更に、前記近似信号に、前記黒鉛ルツボの回転速度に応じた温度変動関数を加算及び/または乗じたものとすることができる。
このように、黒鉛ルツボの回転速度に応じた温度変動関数を加算及び/または乗じることによって、周期的な温度変動を更に抑制することができるため、ヒーター出力の変動を更に抑制することができる。
更に、前記黒鉛ルツボの回転数を0.1〜0.3rpmとすることが好ましい。
このように、ルツボの回転数が0.1〜0.3rpmといった低速回転領域において、本発明のヒーター出力制御方法は好適なものとなっている。
また、本発明では、チョクラルスキー法によって、分割可能な黒鉛ルツボに支持された石英ルツボ内の原料融液から単結晶を引き上げる単結晶製造装置であって、該単結晶製造装置は、少なくとも、前記分割可能な黒鉛ルツボと、前記石英ルツボと、前記原料を溶融するためのヒーターと、該ヒーターの温度を測定するための放射温度計と、前記ヒーターの出力を制御する制御機構とを備えるものであって、前記制御機構は、前記放射温度計の検出値に加えて、前記黒鉛ルツボの回転に伴って発生する前記放射温度計の周期的な温度変動を打ち消す補正信号を加算した制御信号によって前記ヒーターの出力を制御するものであることを特徴とする単結晶製造装置を提供する。
このように、放射温度計の検出値に加えて、黒鉛ルツボの回転に伴って発生する放射温度計の周期的な温度変動を打ち消す補正信号を加算した制御信号によってヒーターの出力を制御する制御機構を備えた単結晶製造装置であれば、黒鉛ルツボの分割部分とその他の部分でのルツボ温度の違いによる放射温度計の周期的な温度変動によって発生するヒーター出力の変動が発生することが抑制されたものとなっている。よって、ヒーター出力の変動による原料融液の温度変動を小さくすることができ、単結晶を引き上げる際に単結晶の直径が不安定になることを抑制することができ、生産性及び歩留りを向上させることができる。また、結晶引上げ速度も安定させることができるので、所望の結晶品質を有する単結晶を安定して得ることができる単結晶製造装置となっている。
ここで、前記補正信号は、前記周期的な温度変動に近似した近似信号を反転させることによって得られるものであることが好ましい。
このように、補正信号を、周期的な温度変動に近似した近似信号を反転させることによって得られたものとすることによって、黒鉛ルツボの回転に伴う周期的な温度変動を高い精度で抑えることができ、よってヒーター出力の変動がより小さなものとなる。
また、前記補正信号は、更に、前記近似信号に、前記ルツボの位置に応じた位置関数を加算及び/または乗じたものであることができる。
このように、補正信号を、上述の近似信号に更にルツボの位置に応じた位置関数を加算及び/または乗じたものとすることによって、更に黒鉛ルツボの回転に伴う温度変動を高い精度で抑えることができ、よって更にヒーター出力の変動が小さなものとなる。
そして、前記補正信号は、更に、前記近似信号に、前記黒鉛ルツボの回転速度に応じた温度変動関数を加算及び/または乗じたものであることができる。
このように、補正信号を、上述の近似信号に更に黒鉛ルツボの回転速度に応じた温度変動関数を加算及び/または乗じたものとすることによって、周期的な温度変動を更に抑制することができ、ヒーター出力の変動が更に抑制されたものとなる。
更に、前記黒鉛ルツボは、0.1〜0.3rpmで回転するものであることが好ましい。
このように、本発明の単結晶製造装置は、黒鉛ルツボが0.1〜0.3rpmと低速で回転するような場合において、特にその効果をより発揮することができるものであり、このような低速での回転が必要な酸素濃度の低い単結晶の製造に特に好適なものとなっている。
以上説明したように、本発明によれば、特にルツボの低速回転領域で見られた、分割型の黒鉛ルツボの構造に起因する放射温度計のヒーター温度の周期的な変動、これに基づくヒーター出力の周期的な変動が低減し、融液の温度制御が向上する。また、ルツボの回転周期で現れていた温度変動が抑えられているため、単結晶の直径制御が安定化し、目標直径に近いものとすることができるので、生産性を向上させることができる。そしてまた、結晶引上げ速度も安定させることができるので、所望の結晶品質を有する単結晶を安定して得ることができるヒーター出力制御方法及び単結晶製造装置を提供することができる。
本発明のヒーター出力制御方法の一例を示した図である。 単結晶製造装置における黒鉛ルツボの位置と放射温度計の検出値の関係を示した図である。 単結晶製造装置における黒鉛ルツボの回転速度と検出値の関係を示した図である。 本発明のヒーター出力制御方法における補正信号や近似信号の作成方法の概略の一例について示した図である。 実施例及び比較例のヒーター出力制御方法によってヒーター出力を制御して単結晶を製造した際の黒鉛ルツボの回転数とヒーター出力(ヒーター電力)の変動率の関係を示した図である。 単結晶製造装置の概略の一例を示した図である。 従来のヒーター出力制御方法の一例を示した図である。
以下、本発明についてより具体的に説明する。
前述のように、分割された黒鉛ルツボの構造に起因するルツボの低速回転領域で特に顕著に現れる周期的なヒーター温度の検出値の変動によって引き起こされるヒーター出力の変動を低減することによって、原料融液の温度制御が安定化し、よって単結晶の直径制御を安定化させることができるヒーター出力制御方法及び単結晶製造装置の開発が待たれていた。
そこで、本発明者は上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた。そこで、単結晶製造中の放射温度計の出力変動には少なくとも以下の2つの特徴があることを発見した。
まず、1つ目として、出力変動はルツボの回転周期(位置)に依存することが明らかとなった。
以下、2分割可能な黒鉛ルツボの場合について説明する。
例えば、図2に示すように、黒鉛ルツボの接合面付近A,B(計2箇所)が放射温度計の前を通る時、検出値は低温となり、また接合面に対して90°ずれた付近(2箇所)では高温となる(図2参照)。
そして、A地点の温度を検出する時を基準として0°とする場合、90°回転するまでは検出値が上昇し、90°を頂点としてまた検出値は減少していく。そしてA地点とは反対のB地点の温度を検出(180°回転)するときからまた検出値は上昇していき、270°回転した後にまた検出値は反転して減少し、360°回転で元に戻ることになる。
2つ目に、温度変動の幅は、ルツボの回転速度に依存し、速度が遅くなるにつれ変動幅が大きくなることが判った。これは回転速度が遅い場合、温度の低い黒鉛ルツボの接合面が放射温度計の前を通過している時間や、逆に最も温度が高くなる黒鉛ルツボの接合面と接合面の中間部分が放射温度計の前を通過している時間が長くなるためであり、検出値の上昇幅や減少幅が大きくなるため、検出値の上下の幅も大きくなるためである。また回転速度が遅く、変動幅自体が大きくなるため、より原料融液の温度変動が大きくなってしまっていた。
例えば、図2におけるΔT1(0°と90°での検出値の差)やΔT2(180°と270°での検出値の差)は、回転数が速くなるにつれてその絶対値が小さくなっていたことが判った。
そして、ルツボの温度勾配が測温部へ伝わるまでの応答時間が存在するので、例えば図3に示すように、回転速度が速くなるにつれて変動幅が減少することになり、ひいては温度変動そのものが小さくなっていくことも判った。ここで図3はルツボの回転速度と放射温度計の検出値の関係を示した図である。
なお、ΔT1とΔT2に差がでる原因について必ずしも明らかではないが、分割された黒鉛ルツボの開き方がA地点とB地点で完全に対称とはならない事によって発生しているものと考えられる。
そしてこのような問題を克服するために更に検討を重ねた結果、放射温度計の検出値に加えて、上述のような黒鉛ルツボの回転に伴って発生する放射温度計の周期的な温度変動を打ち消す補正信号を加算した制御信号によってヒーターの出力を制御することによって上記問題を解決できることを知見し、本発明を完成させた。
以下、本発明について図を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図1は本発明のヒーター出力制御方法の概略の一例を示した図、図6は単結晶製造装置の概略の一例を示した図である。
図6に示すように、本発明の単結晶製造装置10は、少なくとも、分割可能な黒鉛ルツボ11と、該黒鉛ルツボ11に支持された石英ルツボ12と、その内に収容された原料融液17から単結晶18を引き上げる引上げ機構19と、原料を溶融するためのヒーター13と、該ヒーター13の温度を測定するための放射温度計15と、ヒーター13の出力を制御する制御機構16と、黒鉛ルツボ11や石英ルツボ12を回転させるためのルツボ回転軸14とを備えるものである。
そして制御機構16は、放射温度計15の検出値に加えて、黒鉛ルツボ11の回転に伴って発生する放射温度計15の周期的な温度変動を打ち消す補正信号を加算した制御信号によってヒーター13の出力を制御するものとなっている。
この制御機構16としては、外部と信号のやり取りが可能な機器と、補正信号を作ることが可能な機器(例えば、シーケンサやパソコン等)から構成されることが望ましい。
このように単結晶製造装置において、放射温度計の検出値に加えて、黒鉛ルツボの回転に伴って発生する放射温度計の周期的な温度変動を打ち消す補正信号を加算した制御信号によってヒーターの出力を制御する制御機構を備えることによって、分割されたな黒鉛ルツボが原因となる放射温度計の周期的な温度変動によるヒーター出力の変動を抑制することができる。そのため、ヒーター出力の変動による原料融液の温度変動が小さくなり、単結晶を引き上げる際に単結晶の直径が不安定になることを抑制された単結晶製造装置となり、単結晶製造の生産性及び歩留りを向上させることができる。
ここで、補正信号は、周期的な温度変動に近似した近似信号を反転させることによって得るものとすることができる。
これによって、黒鉛ルツボの回転に伴う温度変動を従来に比べてより高い精度で抑えることができ、よってヒーター出力の変動がより小さなものとなった単結晶製造装置とすることができる。
また、補正信号は、更に、近似信号に、ルツボの位置に応じた位置関数を加算及び/または乗じたものとすることができる。
これによって、更に黒鉛ルツボの回転に伴う温度変動を高い精度で抑えることができ、よって更にヒーター出力の変動が抑制された単結晶製造装置とすることができる。
そして、補正信号は、更に、近似信号に、黒鉛ルツボの回転速度に応じた温度変動関数を加算及び/または乗じたものとすることができる。
これによって、周期的な温度変動が更に抑制された単結晶製造装置となり、ヒーター出力の変動が更に抑制されたものとなる。
更に、黒鉛ルツボは、0.1〜0.3rpmで回転するものとすることができる。
このように、ルツボの回転数が0.1〜0.3rpmといった低速回転領域において、本発明の単結晶製造装置はその効果をより発揮できるものであり、とくに、低酸素濃度の単結晶の製造に好適なものとなっている。
そして例えばこのような単結晶製造装置を用いた本発明のヒーター出力制御方法について図を参照して以下説明するが、もちろんこれに限定されるものではない。
前述した単結晶製造装置10において、分割可能な黒鉛ルツボ11に支持された石英ルツボ12内の原料融液17から単結晶18を引き上げるにあたって、石英ルツボ12内の原料を溶融させるために、黒鉛ルツボ11や石英ルツボ12の周りに配置されたヒーター13で加熱する必要がある。このヒーター13によって加熱する際、ヒーター13に電圧を印加して通電させる。そしてその際、当然原料融液17や石英ルツボ12、黒鉛ルツボ11の温度を間接的に評価するために、放射温度計15によってヒーター13の温度の測定を行う。この際ヒーター13の温度を測定し、その検出値からヒーター出力の制御を制御機構16によって行う。
ここで、黒鉛ルツボ11が分割されているため、上述の図2のように、A地点とB地点の温度を検出する場合と、A地点及びB地点から90°ずれた箇所の温度を検出する場合では黒鉛ルツボ11の温度自体が異なるため、放射温度計15によって検出される検出値も当然周期的に変動する。
本発明では、この放射温度計によって検出されるヒーター温度の検出値の周期的な変動を抑制するため、図1に示すように、例えば制御機構によって、設定温度の他に、ルツボ回転速度の周期毎に現れる温度計出力の変動を打ち消すための補正信号を作り、この補正信号を放射温度計によって検出されたヒーター温度である検出値に加算した制御信号を元にヒーター出力の制御を行う。
この補正信号としては、例えば、温度計出力を波形近似し、それをもとに変動を打ち消す補正信号を作り出す方法や、もっと単純に、ルツボ1回転中の温度変動分を平均化した温度信号を補正信号として制御機構へ受け渡してもよい。
以下、2分割型の黒鉛ルツボの場合を例に挙げ、具体的に説明する。
毎操業時、例えば原料溶融工程などでルツボ回転速度0.1〜0.3rpm間の数箇所のルツボ1、2回転分の温度計出力を温度補正装置に取込み、図3のような回転速度に対する温度変動幅の特性曲線を得る。
そして、ルツボの回転速度に対する温度変化量の推移を測定する(例えば、ルツボ回転速度が0.1rpmの時と0.3rpmの時のΔTから、おおよその傾きを求める)。
また、ルツボ回転軸14に回転角度検出器(ロータリーエンコーダ)等を取付け、ルツボの現在位置を把握することで、図2のようなルツボ位置に対する温度の関係式を得る。
そしてこれらの特性曲線や関係式によって、任意のルツボ位置、回転速度に応じた外乱を打ち消すための補正信号を作り出す。
そして、元の放射温度計の検出値に、このような補正信号を重ね合わせることで、ヒーター出力を安定させることができ、ひいては原料融液温度の安定化を図ることが可能となる。
このような補正信号のより詳細な作成例について図4を用いて説明する。
まず、予め原料溶融工程などに温度が最小となるルツボ位置を基準(0°)として、ルツボ1回転分の温度変動特性から、温度がそれぞれ0°〜180°で最大、180°〜360°で最大となる位置を求め、ルツボ位置に応じた温度計出力の近似信号(α)を得る。
ここで、補正信号として、この周期的な温度変動に近似した近似信号を反転させることによって得ることができる。
更に、補正を効かせたい分だけの適当な係数(k倍)を乗じることができる。
また、補正信号は、更に、近似信号に、ルツボの位置に応じた位置関数を加算及び/または乗じたものとすることができる。
そして更に、操業中の回転速度についても考慮して、図3に示すような特性曲線より求めた回転速度に応じた温度変動分の関数(β)を乗じてやることで補正信号(B)を得ることができる。
このように、補正信号は、更に、近似信号に、黒鉛ルツボの回転速度に応じた温度変動関数を加算及び/または乗じたものとすることができる。
そして引上げ工程中に、上述のような温度計の出力信号(A)と補正信号(B)を温度補正装置内で重ね合わせてヒーターに出力することで、ルツボ回転周期の温度変動を抑えた制御信号(C)を得ることができる。
これらの効果によって、分割構造の黒鉛ルツボに起因した周期的な温度変動をより高い精度で打ち消すことができるため、ヒーター出力をより安定させ、原料融液の温度を更に安定させることができる。従って、単結晶製造の際の直径制御が更に容易になり、また生産性を更に向上させることができる。また、結晶引上げ速度も安定させることができるので、所望の結晶品質を有する単結晶を安定して得ることができる。
ここで、黒鉛ルツボを、0.1〜0.3rpmで回転するものとすることができる。
酸素濃度の低い単結晶の製造の際にはルツボの回転速度を0.1〜0.3rpmといった低速にする必要があるが、本発明の単結晶製造装置やヒーター出力制御方法は、このような黒鉛ルツボの回転速度が低速の場合に特に好適なものとなっている。
そして、育成する単結晶の直径は、200mm以上(特に300mmあるいは450mm以上)が望ましく、また用いる石英ルツボの口径は、26インチ(650mm)以上(特に32インチ(800mm)以上)が望ましい。このような大口径、低速回転で単結晶を引上げる場合にルツボの回転に伴って発生する温度変動がより大きくなるので、本発明は更に有効となる。
以上説明してきたように、本発明のヒーター出力制御方法によれば、周期的なヒーター出力の変動が抑制されるため、原料融液温度が安定する。従って、用いる石英ルツボの口径が26インチ以上(特に32インチ以上)となって、育成する単結晶の直径が200mm以上(特に300mmあるいは450mm以上)と大口径化した場合であっても、高い精度で単結晶の直径を制御することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例・比較例)
図6に示すような2分割された黒鉛ルツボを配備した単結晶製造装置を準備し、直径26インチ(650mm)の石英ルツボに原料多結晶シリコンを200kgチャージし、直径200mmの単結晶を製造した。
このとき、制御機構でのヒーター出力の制御方法として、放射温度計で測定したヒーター温度の他に、更に黒鉛ルツボの回転に伴って発生する放射温度計の周期的な温度変動を打ち消す補正信号をヒーター温度に加算した制御信号によってヒーターの出力の制御を行った(実施例)場合と、行わない(比較例)場合の計2回、単結晶の製造を行った。
そして単結晶を引き上げる際にルツボの回転速度を0.1〜0.4rpmと変化させ、ヒーター出力を観察しながら単結晶を製造した。
この時のヒーター電力は平均で約110kWとした。
単結晶製造後、観察していたヒーター出力とルツボの回転数の関係を評価し、図5にまとめた。
図5に示すように、ルツボ回転によるヒーター出力(電力)変動が、検出値の他に黒鉛ルツボの回転に伴って発生する放射温度計の周期的な温度変動を打ち消す補正信号を加算した制御信号で制御を行う(実施例)ことによって、行わない場合(比較例)に比べて小さくなった。そしてこの変動幅の縮小は0.1〜0.3rpmといった低速の場合に特に顕著であることが判った。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
10…単結晶製造装置、 11…黒鉛ルツボ、 12…石英ルツボ、 13…ヒーター、 14…ルツボ回転軸、 15…放射温度計、 16…制御機構、 17…原料融液、 18…単結晶、 19…引上げ機構。

Claims (10)

  1. 少なくとも分割された黒鉛ルツボが装備された単結晶製造装置を用いて、チョクラルスキー法によって、前記黒鉛ルツボに支持された石英ルツボ中の原料を加熱するためのヒーターによって溶融された原料融液から単結晶を引き上げる際に、前記ヒーターの出力を制御するための制御方法であって、
    前記ヒーターの出力を、前記ヒーターの温度を放射温度計で測定した検出値に加えて、前記黒鉛ルツボの回転に伴って発生する前記放射温度計の周期的な温度変動を打ち消す補正信号を加算した制御信号によって制御することを特徴とするヒーター出力制御方法。
  2. 前記補正信号は、前記周期的な温度変動に近似した近似信号を反転させることによって得るものとすることを特徴とする請求項1に記載のヒーター出力制御方法。
  3. 前記補正信号は、更に、前記近似信号に、前記ルツボの位置に応じた位置関数を加算及び/または乗じたものとすることを特徴とする請求項2に記載のヒーター出力制御方法。
  4. 前記補正信号は、更に、前記近似信号に、前記黒鉛ルツボの回転速度に応じた温度変動関数を加算及び/または乗じたものとすることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のヒーター出力制御方法。
  5. 前記黒鉛ルツボの回転数を0.1〜0.3rpmとすることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のヒーター出力制御方法。
  6. チョクラルスキー法によって、分割可能な黒鉛ルツボに支持された石英ルツボ内の原料融液から単結晶を引き上げる単結晶製造装置であって、
    該単結晶製造装置は、少なくとも、前記分割可能な黒鉛ルツボと、前記石英ルツボと、前記原料を溶融するためのヒーターと、該ヒーターの温度を測定するための放射温度計と、前記ヒーターの出力を制御する制御機構とを備えるものであって、
    前記制御機構は、前記放射温度計の検出値に加えて、前記黒鉛ルツボの回転に伴って発生する前記放射温度計の周期的な温度変動を打ち消す補正信号を加算した制御信号によって前記ヒーターの出力を制御するものであることを特徴とする単結晶製造装置。
  7. 前記補正信号は、前記周期的な温度変動に近似した近似信号を反転させることによって得られるものであることを特徴とする請求項6に記載の単結晶製造装置。
  8. 前記補正信号は、更に、前記近似信号に、前記ルツボの位置に応じた位置関数を加算及び/または乗じたものであることを特徴とする請求項7に記載の単結晶製造装置。
  9. 前記補正信号は、更に、前記近似信号に、前記黒鉛ルツボの回転速度に応じた温度変動関数を加算及び/または乗じたものであることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の単結晶製造装置。
  10. 前記黒鉛ルツボは、0.1〜0.3rpmで回転するものであることを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか1項に記載の単結晶製造装置。
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