JP5552842B2 - 圧電素子、液滴吐出ヘッド、および液滴吐出装置 - Google Patents

圧電素子、液滴吐出ヘッド、および液滴吐出装置 Download PDF

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本発明は、圧電素子、液滴吐出ヘッド、および液滴吐出装置に関する。
圧電体を2つの電極によって挟んだ構造を有する圧電素子は、例えば、各種のアクチュエーターに利用されている。圧電アクチュエーターとしては、例えば、振動板などの可動部材が撓み振動モードによって駆動される型式のものがある。このような圧電アクチュエーターは、例えば、インク滴を吐出するノズル孔と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、振動板を圧電素子により駆動して圧力発生室内に導入されたインクを加圧し、ノズル孔からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド等に利用されている。
一方、圧電体としては、結晶化されたセラミックスが用いられることが多く、セラミックスの結晶構造や結晶性が、圧電素子の性能を左右する要素の一つとなっている。例えば特許文献1には、下部電極層と上部電極層とに挟まれた誘電体層を有する誘電体素子において、下部電極の結晶性と誘電体層の結晶性が特定の関係にあるものが提案されている。
特開2005−223318号公報
ところで、圧電素子の特性が、少なくとも、圧電体からなる圧電体層およびこれを挟持する2つの電極の3つの部材のそれぞれの結晶性や結晶構造に依存することは、容易に予想できる。また、圧電素子の特性に直接的に影響を与える因子の一つが、圧電体の結晶性や結晶構造にあることは自明であろう。
発明者による検討の結果、例えば特許文献1のように、圧電体を挟む2つの電極のうち、片方の電極および圧電体層の結晶性の関係を特定の関係に設計するだけでは必ずしも高性能な圧電素子は得られないことが判明した。また、発明者の検討の結果、特許文献1に開示された内容とは逆に、圧電体層の結晶性が、これを挟持する電極の結晶性よりも良好であるほうが、圧電素子の特性が向上することが分かってきた。そして、圧電体からなる圧電体層およびこれを挟持する2つの電極の3つの部材のそれぞれの結晶性や結晶構造が特定の関係にあるときに、優れた性能を有する圧電素子となることが分かってきた。
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、圧電体を挟む2つの電極および圧電体層の結晶性の関係が良好な圧電素子を提供することにある。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明にかかる圧電素子の一態様は、
第1電極と、第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に挟持された圧電体層と、を含む圧電素子であって、
前記第1電極および前記圧電体層は、ペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物を主成分とし、
前記第2電極は、面心立方の結晶構造を有する金属を主成分とし、
前記第1電極、前記圧電体層および前記第2電極は、それぞれ優先配向構造を有し、
前記第1電極、前記圧電体層および前記第2電極の、優先配向軸におけるX線回折強度測定のピークの半値幅を、それぞれf1、f2およびf3(°)としたとき、下記式(1):
f1>f2>f3 ・・・・(1)
の関係を満たすことを特徴とする。
本適用例の圧電素子は、第1電極、圧電体層および第2電極の、優先配向軸におけるX線回折強度測定のピークの半値幅を、それぞれf1、f2およびf3(°)としたとき、上記式(1)の関係を満たしている。そのため、第1電極側から、圧電体層および第2電極の順に、結晶の大きさ、結晶の欠陥や歪み、空間的な規則性などの結晶性が向上している。
これにより、本適用例の圧電素子は、例えば、圧電体層の結晶性や結晶構造を非常に良好にすることができ、例えば、リーク電流、および変位量の低下を長期間にわたって抑制することができる。
また、本適用例の圧電素子は、これを製造する際に、各電極と圧電体層との格子のミスマッチを選択することができる。そのため、圧電素子が配置される基体の態様にかかわらず、第1電極が接する基体を自由に選択することができる。さらに、本適用例の圧電素子は、面心立方晶以外の構造を有するあらゆる基体上で、第1電極、圧電体層および第2電極の逆格子マップによるピークの半値幅が上記式(1)の関係を満たす圧電素子となっている。
なお、本明細書において、優先配向という文言は、薄膜状、層状あるいは平板状の部材において、当該部材を構成する物質の結晶の特定の面が、当該部材の平面に、他の面よりも高い頻度で、平行に配置されていることを指す。
[適用例2]
適用例1において、
前記第1電極は、ランタンおよびニッケルを含む酸化物を主成分とし、(200)優先配向構造を有する、圧電素子。
本適用例の圧電素子は、圧電体層の圧電体の結晶配向がさらに良好となっている。そのため、本適用例の圧電素子は良好な圧電特性を有する。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記圧電体層は、少なくとも鉛、ジルコニウム、チタンおよび酸素を含む酸化物を主成分とし、(200)優先配向構造を有する、圧電素子。
本適用例の圧電素子は、圧電体層を構成する圧電体が、少なくとも鉛、ジルコニウム、チタンおよび酸素を含む酸化物を主成分としている。そのため、本適用例の圧電素子は、電気機械変換効率が高く優れた圧電性能を有している。
[適用例4]
適用例3において、
前記圧電体層の前記酸化物の鉛の含有量は、ジルコニウムおよびチタンの含有量の合計に対して、1.05倍以上1.15倍以下である、圧電素子。
本適用例の圧電素子は、圧電体層を構成する圧電体が、少なくとも鉛、ジルコニウム、チタンおよび酸素を含む酸化物を主成分としており、しかも、当該酸化物の鉛の含有量は、ジルコニウムおよびチタンの含有量の合計に対して、1.05倍以上1.15倍以下である。そのため、本適用例の圧電素子は、電気機械変換効率が非常に高く特に漏れ電流が低いという優れた特性を有している。
[適用例5]
適用例3または適用例4において、
前記圧電体層の前記酸化物のジルコニウムおよびチタンの含有比率は、ジルコニウム:チタン=40:60〜55:45の範囲である、圧電素子。
本適用例の圧電素子は、圧電体層を構成する圧電体が、少なくとも鉛、ジルコニウム、チタンおよび酸素を含む酸化物を主成分としており、しかも、当該酸化物のジルコニウムおよびチタンの含有比率は、ジルコニウム:チタン=40:60〜55:45の範囲である。そのため、本適用例の圧電素子は、電気機械変換効率が非常に高く優れた圧電性能を有している。
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか一例において、
前記第2電極は、PtおよびIrの少なくとも一方を主成分とし、
前記PtおよびIrの少なくとも一方は、面心立方構造の結晶構造を有し、
前記第2電極は、(111)優先配向構造を有する、圧電素子。
本適用例の圧電素子は、第2電極が、PtまたはIrの少なくとも一方を主成分とし、該PtまたはIrの少なくとも一方は、面心立方構造の結晶構造を有する、そして、第2電極が、(111)優先配向構造を有する。そのため、本適用例の圧電素子は、圧電体層の結晶性や結晶構造の質がさらに向上し、電気機械変換効率が非常に高く優れた圧電性能を有している。
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか一例において、
前記f1および前記f2は、(200)ピークの半値幅であり、
前記f3は、(111)ピークの半値幅である、圧電素子。
本適用例の圧電素子は、さらに特性の良い圧電素子となっている。
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか一例において、
前記優先配向構造は、80%以上の優先配向度である、圧電素子。
本適用例の圧電素子は、さらに特性の良い圧電素子となっている。
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか一例において、
f3≦0.26、かつ、0.26<f2≦0.75、かつ、f1<2.00の関係を満たす、圧電素子。
本適用例の圧電素子は、f3≦0.26、かつ、0.26<f2≦0.75、かつ、f1<2.00の関係を満たすため、さらに特性の良い圧電素子となっている。
[適用例10]
適用例1ないし適用例9のいずれか一例に記載された圧電素子を含む、液滴吐出ヘッド。
本適用例の液滴吐出ヘッドは、上記適用例のいずれか一例の圧電素子を含んでいる。そのため、本適用例の液滴吐出ヘッドは、例えば漏れ電流が小さく、耐久性に優れた液滴吐出ヘッドである。
[適用例11]
適用例10に記載された液滴吐出ヘッドを含む、液滴吐出装置。
本適用例の液滴吐出装置は、上記適用例の液滴吐出ヘッドを含んでいる。そのため本適用例の液滴吐出装置は、例えば漏れ電流が小さく、耐久性に優れた液滴吐出装置である。
実施形態の圧電素子の断面の模式図。 実施形態の圧電素子のX線回折強度測定結果の一例を示すチャート。 実施形態の液滴吐出ヘッドを模式的に示す分解斜視図。 実施形態の液滴吐出装置を模式的に示す斜視図。 実験例および参考例の圧電素子のX線回折強度ピークの半値幅のプロット。 実験例および参考例の圧電素子のX線回折強度ピークの半値幅のプロット。 実験例および参考例の圧電素子のヒステリシスループ。
以下に本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお以下の実施形態は、本発明の一例を説明するものである。そのため、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で実施される各種の変形例も含む。なお、下記の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。また、ここでは説明の便宜のために、単純な例を示すのであり、本実施形態の圧電素子の構造は、ここで示す構造に限定されるものではない。
1.圧電素子
図1は、本実施形態にかかる圧電素子100の断面の模式図である。図1において、圧電素子100は、基体10の上に形成されている。本実施形態にかかる圧電素子100は、第1電極20と、第2電極40と、圧電体層30と、を含む。
1.1.基体
圧電素子100は、例えば、図1に示すような基体10の表面に形成される。基体10は、導体、半導体または絶縁体で形成されることができる。基体10は、例えば平板状の部材とすることができ、この場合、基体10は、単層であっても、複数の層が積層された構造であってもよい。図1の例では、基板1および基板1の主面に形成された導電層2を合わせて基体10となっている。
本実施形態では、基板1は、平板状の形状を有している。基板1の内部の構造は限定されず、例えば、内部に空間等が形成された構造であってもよい。また、例えば、後述する液滴吐出ヘッドのように、基板1に圧力室等の空洞が形成され、ノズル板が接続されているような場合においては、基板1やノズル板を含む複数の構成をまとめて一つの基板1とみなしてもよい。
また、基板1は、可撓性を有してもよく、圧電体層30(圧電素子100)の動作によって変形(屈曲)することのできる振動板(絶縁層)であってもよい。この場合は、圧電素子100によって振動板が駆動される圧電アクチュエーターとなることができる。基板1が振動板である場合は、基板1の材質としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、窒化シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機酸化物、無機窒化物、およびステンレス鋼などの合金を例示することができる。これらのうち、基板1(振動板)の材質としては、化学的安定性および剛性の点で、酸化ジルコニウムが特に好適である。この場合においても基板1は、例示した物質の2種以上の積層構造であってもよい。
さらに、基板1は、シリコン基板や水晶基板であってもよい。この場合、基板1を例えば音叉型に形成し、圧電素子100によって励振、または、圧電素子100によって振動を検出するタイミングデバイスを構成することができる。また、この場合、超音波発振器等の超音波デバイス、超音波モーターのような機械的出力を有するデバイス、および、基板1に加わる応力や基板1の変形を圧電素子100によって検出するような圧力センサー等の圧電デバイスを構成することができる。
本実施形態では、基板1の主面に導電層2が形成されている。導電層2は、必要に応じて形成されることができる。導電層2は、例えば、第1電極20の導電性を補助するために形成されてもよい。また、導電層2は、複数の圧電素子100の第1電極30を電気的に接続するために形成されてもよい。図示の例では、導電層2は、第1電極30と同様の形状にパターニングされているが、他の形状にパターニングされていてもよい。
導電層2を形成する場合には、導電層2は、例えば、金属または合金によって形成されることが好ましい。導電層2が形成される場合、当該金属または当該合金としては、例えば、Pd(パラジウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)およびこれらの金属を含む合金が挙げられる。導電層2がこのような材質で形成されると、第1電極20の導電性をさらに十分に補助させることができる。また、導電層2がこのような材質で形成されると、第1電極20の結晶の配向度をより高めることができる。
導電層2は、積層構造であってもよい。例えば、上述した金属の層が複数層積層していてもよいし、上述した合金の層が複数層積層していてもよいし、上述した金属の層および上述した合金の層が、規則的または交互に、あるいはランダムに積層していてもよい。さらに積層する層の数も任意である。また、図示の例では、導電層2は、1層となっているように描いているが、酸素バリア、水分バリア、密着性付与などの他の機能を有する層(例えば、窒化物、酸化物、酸化窒化物の層または薄膜(アイランド状を含む))が積層されていてもよい。
1.2.第1電極
第1電極20は、第2電極40と対になって、圧電体層30を挟んで設けられる。第1電極20は、層状、薄膜状あるいは平板状の形状を有する。第1電極20の厚みは、例えば、20nm以上60nm以下とすることができる。第1電極20の厚みが20nmよりも小さいと、第1電極20の導電性が不足したり、圧電体層30の材料の結晶性や結晶の配向が所望のものとならない場合がある。また、第1電極20が、60nmよりも大きいと、圧電素子100の変位を拘束してしまう場合がある。また、第1電極20を、平面的に見たときの形状については、第2電極40との間に圧電体層30を配置できる形状であれば、特に限定されず、例えば、矩形、円形等とすることができる。また、圧電素子100を平面的に見たときに、第1電極20および第2電極40は、オーバーラップする領域を有している。第1電極20の機能の一つとしては、圧電体層30に電界を印加するための一方の電極(例えば、圧電体層30の下方に形成された下部電極)となることが挙げられる。
第1電極20は、ペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物を主成分として形成され導電性を有する。第1電極20に用いられるペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物としては、例えば、化学組成が、一般式M(式中Mで表される元素が酸素を12配位し、Mで表される元素が酸素を6配位する)で表される酸化物が挙げられる。
このような酸化物の具体例としては、一般式Mにおいて、Mの元素として、La(ランタン)、Sr(ストロンチウム)、Ca(カルシウム)、Ba(バリウム)、Pb(鉛)、Na(ナトリウム)およびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種、Mの元素として、Ni(ニッケル)、Ru(ルテニウム)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、In(インジウム)、Sn(スズ)、およびHf(ハフニウム)からなる群より選択される少なくとも1種である化合物を挙げることができる。
これらのうち第1電極20に主成分として用いられる酸化物として、より好ましくはLa、Sr、Ca、In、Ni、Ru、およびSnからなる群より選択される少なくとも1種を含む酸化物を挙げることができる。さらに、特に、導電性、結晶性や結晶構造の優れた酸化物の例として、ランタンおよびニッケルを含む酸化物が挙げられ、より具体的にはLaNiOを挙げることができる。第1電極20がランタンおよびニッケルを含む酸化物を主成分として形成されると、圧電体層30の圧電体の結晶配向をさらに良好とすることができ、前述の式(1)の関係を満足しやすくなる。
第1電極20の主成分となる酸化物は、自己配向性に優れている。すなわち、第1電極20は、特定の面によって優先配向している。第1電極20における優先配向構造は、優先配向度が80%以上であることがより好ましい。上記好ましい例として挙げたランタンおよびニッケルを含む酸化物は、自己配向性に特に優れている。すなわち、ランタンおよびニッケルを含む酸化物は、第1電極20として成膜される過程において、結晶構造を採る場合に、第1電極20が展開される平面の法線方向に、結晶の<100>方向が自発的に配向しやすい。すなわち、第1電極20が展開される平面に(100)面と等価な面を平行にして形成されやすい。
このような第1電極20の自己配向性により、第1電極20に隣接して形成される圧電体層30の材料が結晶化する際に、第1電極20の酸化物の結晶の配向を引き継いで、圧電体層30の法線方向に対して、圧電体層30を構成する材料の結晶を、特定の面によって優先配向しやすくするという効果を発現させることができる。
本実施形態の圧電素子100では、第1電極20および圧電体層30は、ともにペロブスカイト型の結晶構造を採りうる材質で構成される。そして、各々の層の法線方向に、結晶の<100>方向が配向しやすくなっている。すなわち、第1電極20および圧電体層30は、(100)面と等価な面を、第1電極20および圧電体層30と平行にして配置されやすくなっている。このような配向における結晶の軸方向は、第1電極20および圧電体層30の材料を適宜選択することによって、<100>方向だけでなく、例えば、<110>方向や、<111>方向などとすることもできる。また、このような結晶軸の配向は、圧電素子100の用途によっても適宜選択されることができる。すなわち、圧電体層30の結晶の配向と、第1電極20および第2電極40によって印加される電界の方向の組合せから、圧電素子100の変位のモードや方向を選択することができ、また、圧電素子100を強誘電体メモリのキャパシタとして用いる場合のように、その用途によって素子としての性能が高まる配向とするように、適宜調節することができる。
第1電極20は、積層構造であってもよい。例えば、互いに異なる組成のペロブスカイト型の結晶構造をとる酸化物の層の複数が、規則的または交互に、あるいはランダムに積層していてもよい。さらに積層する層の数も任意である。
第1電極20は、これを構成する物質が、基体10および圧電体層30の少なくとも一方に拡散、または基体10および圧電体層30の少なくとも一方を構成する物質と相互に拡散する場合があり、顕微鏡等によって観察した場合に、基体10や圧電体層30との間に明確な境界が見られない場合がある。このような場合には、元素組成のマッピングや、デプスプロファイル等を観測することによって、基体10や圧電体層30との間の境界を見積もることができる。
第1電極20は、適宜パターニングされることができる。図示の例では、第1電極20は、第1電極20の側面と圧電体層30の側面とが一致するようにパターニングされているがこの限りでない。第1電極20は、例えば、蒸着、スパッタ、CVD(Chemical Vapour Deposition)等により形成することができる。そして必要に応じて、フォトリソグラフィ法等によって、パターニングされることができる。なお、第1電極20は、印刷、インプリンティングなどの方法で形成することもでき、この場合は、基体10に直接、第1電極20を形成することができる。
1.3.圧電体層
圧電体層30は、図1に示すように、第1電極20および第2電極40の間に挟持される。圧電体層30と、第1電極20および第2電極40との間には、それぞれ他の層が形成されてもよい。この場合の他の層としては、例えばチタン層などが挙げられる。
図1の例では、圧電体層30は、第1電極20および第2電極40に接して設けられている、圧電体層30の厚さは、例えば、100nm以上2000nm以下とすることができる。圧電体層30の厚みがこの範囲を外れると、十分な変形(電気機械変換)が得られなくなる場合がある。また、圧電体層30のより好ましい厚みとしては、1000nm以上、1500nm以下である。圧電体層30の厚みが、このような範囲内であると、圧電素子100の変位量を十分大きくとることができるとともに、薄膜化に寄与することができる。
圧電体層30は、ペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物を主成分として形成され圧電性を有する。第1電極20に用いられるペロブスカイト型の結晶構造を有する酸化物としては、例えば、化学組成が、一般式M(式中Mで表される元素が酸素を12配位し、Mで表される元素が酸素を6配位する)で表される酸化物が挙げられる。圧電体層30の主成分となる酸化物は、圧電性を有するものであるかぎり特に限定されないが、例えば、一般式Mにおいて、Mが、Pb、K、Ba、Sr、およびBiからなる群より選択される少なくとも1種であり、Mが、Zr、Ti、Nb、Na、TaおよびLaからなる群より選択される少なくとも1種である酸化物が好ましい。
これらのうち、圧電体層30の材質としてより好ましくは、少なくとも鉛、ジルコニウム、チタンおよび酸素を含む酸化物を主成分とすることが好適である。圧電体層30の主成分として好適な酸化物の具体例としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)(以下これを「PZT」と略記することがある)、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O)(以下これを「PZTN」と略記することがある。)などが挙げられる。
このような酸化物は、いずれも式中、Mサイトの酸化物とMサイトの酸化物の固溶体を形成することができる。そして、このような複合酸化物は、結晶化により、ペロブスカイト型の結晶構造をとることができる。このような酸化物は、ペロブスカイト型の結晶構造をとることにより、圧電性を呈することができる。これにより、圧電体層30は、第1電極20および第2電極40によって電界が印加されることで変形することができる(電気機械変換)。圧電素子100が圧電体層30の変形によって変形するため、例えば、圧電素子100を含むアクチュエーターを構成すると、アクチュエーターの可動部を変形させたり(たわませたり)、振動させたりすることができる。
圧電体層30は、圧電体層30の材料が結晶化する際に、第1電極20の結晶配向の影響を受ける場合がある。また、圧電体層30の材料が結晶化する際に、第1電極20の、結晶粒の大きさや、質などの結晶性を引き継ぐ場合がある。このような現象を利用すれば、圧電体層30の材料の結晶構造や結晶性を制御することができる。
例えば、圧電体層30の材料が結晶化する際に、第1電極20の結晶の配向が、層の法線方向に、結晶の<100>方向を向いている場合((100)優先配向)に、圧電体層30の結晶の軸方向が、<100>方向に向きやすくなっている((100)優先配向)。圧電体層30における優先配向構造は、優先配向度が80%以上であることがより好ましい。また、このような結晶の配向は、圧電素子100の用途によっても適宜選択されることができる。すなわち、圧電体層30の結晶の配向と、第1電極20および第2電極40によって印加される電界の方向の組合せから、圧電素子100の変位のモードや方向を選択することができ、また、圧電素子100を強誘電体メモリのキャパシタとして用いる場合のように、その用途によって素子としての性能が高まる配向とするように、適宜調節することができる。
圧電体層30は、積層構造であってもよい。例えば、互いに異なる組成の圧電体の層や、同一の組成の圧電体の層が、複数層積層していてもよい。また、圧電体層30には、厚みの方向に組成が傾斜していてもよい。さらに積層する層の数も任意である。
圧電体層30は、これを構成する物質が、第1電極20および第2電極40の少なくとも一方に拡散、または第1電極20および第2電極40の少なくとも一方を構成する物質と相互に拡散する場合があり、顕微鏡等によって観察した場合に、第1電極20および第2電極40との間に明確な境界が見られない場合がある。このような場合には、元素組成のマッピングや、デプスプロファイル等を観測することによって、第1電極20および第2電極40との間の境界を見積もることができる。
1.4.第2電極
第2電極40は、図1に示すように、第1電極20と対になって圧電体層30を挟持する。第2電極40は、全体が第1電極20と対向していてもよいし、一部が第1電極20に対向していてもよい。第2電極40の形状は、第1電極20と対向できるかぎり限定されないが、圧電素子100を薄膜状、層状あるいは板状にする場合には、同様に薄膜状、層状あるいは板状の形状が好ましい。この場合の第2電極40の厚みは、例えば、50nm以上300nm以下とすることができる。また、第2電極40の平面的な形状についても、第1電極20に対向して配置されたときに両者の間に圧電体層30を配置できる形状であれば、特に限定されず、例えば、矩形、円形等とすることができる。第2電極40の機能の一つとしては、圧電体層30に電圧を印加するための一方の電極(例えば、圧電体層30の上に形成された上部電極)となることが挙げられる。
第2電極40の材質としては、例えば、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの導電性酸化物(例えば酸化イリジウムなど)、およびそれらの合金などを例示することができる。第1電極20は、例示した材料の単層構造でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。さらに、第2電極40は、構成および材質を、上述の第1電極20と同様としてもよい。また、第2電極40は、白金およびイリジウムの少なくとも一方を主成分とすることが特に好ましい。そしてこの場合には、白金およびイリジウムの少なくとも一方は、面心立方構造の結晶構造を有することが好ましく、当該結晶の(111)面が優先配向していることが特に好ましい。第2電極40が、このような構造を有すると、圧電体層30の結晶性や結晶構造の質をさらに向上させることができる。
図1では、第1電極20と第2電極40とが平面的に同じ形状で形成された例を示しているが、第2電極40のほうが第1電極20よりも平面的に大きく形成されてもよい。この場合は、第2電極40は、圧電体層30の側面に形成されてもよく、第2電極40に、水分や水素等から圧電体層30を保護する機能を兼ねさせることができる。なお、第1電極20および第2電極40の一方が他方よりも大きく形成された場合、当該大きく形成された電極を、複数の圧電素子の共通電極としてもよい。
1.5.第1電極、圧電体層および第2電極の結晶性
第1電極20、圧電体層30および第2電極40は、上記のようにそれぞれ、構成する材料の特定の面によって優先配向している。したがって第1電極20、圧電体層30および第2電極40は、優先配向の軸においてX線回折強度測定を行うことができる。ここでいうX線回折強度測定は、市販の装置で行うことができ、例えば、2θ/θスキャン、ロッキングカーブ、χ−スキャン、逆格子マップ測定などを行うことができる。
図2は、第1電極20にLNOを用い、圧電体層30にPZTを用い、第2電極40に金属イリジウムを用いた圧電素子のX線回折強度測定結果の一例である。図2に示すように、第1電極20、圧電体層30および第2電極40は、同時にX線回折強度測定を行うことができ、各層の材料に由来するピークを検出することができる。例えば、図示のように、基体10に形成された圧電素子100に対して、2θ/θスキャンのX線回折強度測定を行うと、第1電極20に含まれる酸化物に由来する(100)面、(200)面などのピーク、圧電体層30の酸化物に由来する(100)面、(200)面などのピーク、および第2電極40の金属等に由来する(111)面などのピークを観測することができる。また、この場合、適宜な関数を用いてフィッティングを行って、ピーク分離等を行い、所望のピークを検出してもよい。その際に用いる関数およびフィッティング手法は、一般的なものを用いることができ特に限定されない。関数としては、例えば、ガウス関数、ローレンツ関数、および、擬ヴォイト関数、並びに、これらの関数や他の関数の複数を組み合わせた関数などを用いることができる。図2には、擬ヴォイト関数によって、最小二乗法にてフィッティングした例を示している。
得られる測定結果のチャートにおいて、各ピークは、いずれもそれぞれの結晶が属する部材に対して、優先配向した構造を有しているため、特定の大きさの幅を有している。X線回折強度測定のピークにおける幅は、一般に、結晶の大きさ、結晶の欠陥や歪み、空間的な規則性、および測定装置の条件によって変化する。したがって、測定装置の条件を一定とした場合には、ピークの幅は、結晶の質および結晶の配置(結晶性)に起因して変化する。また、本実施形態では、ピークは、ベースラインからピークの頂点までの距離(強度の差)の1/2の位置における幅(半値幅:FWHM(full width at half maximum))によって特徴付けられる。
本実施形態では、第1電極20、圧電体層30および第2電極40の、優先配向軸におけるX線回折強度測定のピークの半値幅を、それぞれf1、f2およびf3(°)としたとき、下記式(1):
f1>f2>f3 ・・・・(1)
の関係を満たしている。すなわち、第1電極20側から、圧電体層30および第2電極40の順に、構成する材料に由来するピークの半値幅が減少するように形成されている。このことは、構造上の違いとして、第1電極20側から、圧電体層30および第2電極40の順に、結晶の大きさ、結晶の欠陥や歪み、空間的な規則性などの結晶性が向上していることを示している。
第1電極20の材質がLNOを主成分とし、圧電体層30の材質がPZTを主成分とし、第2電極40の材質がイリジウムを主成分としている場合、典型的には、f1は、LNOの(200)面のピークの半値幅、f2は、PZTの(200)面のピークの半値幅、f3は、Irの(111)面のピークの半値幅とすることができる。しかし上記式(1)の関係には、他の面(それぞれのより高次の面または低次の面)のピークの半値幅を用いてもよく、例えば、f1にLNOの(100)面のピークの半値幅、f2にPZTの(100)面のピークの半値幅、f3にIrの(111)面のピークの半値幅を、選択することについての制限はない。
各ピークの半値幅を変化させる方法としては、例えば、各層の材料の組成を変化させること、各層を形成する際の条件(例えば、焼成温度、焼成時の環境(圧力、雰囲気気体)など)を変化させることの少なくとも一種が挙げられる。上記式(1)の関係とするために、これらの方法は、適宜組み合わせて適用されることができる。
これらの方法のうち、圧電体層30をPZTを主成分としたときには、PZTの鉛の含有量を、ジルコニウムおよびチタンの含有量の合計に対して、1.05倍以上1.15倍以下とすると、上記式(1)の関係を満たしやすい傾向があり、また、PZTのジルコニウムおよびチタンの含有比率を、ジルコニウム:チタン=40:60〜55:45の範囲とすることにより、上記式(1)の関係を満たしやすい傾向がある。これらの傾向は、必ずしも互いに独立して現れるものではなく、各ピークの半値幅に対しては、多くの要因が互いに影響を及ぼしあうため、圧電体層30の圧電特性を損なわない範囲で、適宜選択して適用される。
さらに、式(1)の関係においては、f3≦0.26、かつ、0.26<f2≦0.75、かつ、f1<2.00の関係を満たすことがより好ましい。f1、f2、およびf3が、それぞれこのような関係にあると、さらに漏れ電流等が小さくなり圧電素子100の特性を向上することができる。
本実施形態の圧電素子100は、上述したように、第1電極20、圧電体層30および第2電極40の、優先配向軸におけるX線回折強度測定のピークの半値幅を、それぞれf1、f2およびf3(°)としたとき、上記式(1)の関係を満たしている。そのため、第1電極20側から、圧電体層30および第2電極40の順に、結晶の大きさ、結晶の欠陥や歪み、空間的な規則性などの結晶性が向上している。
これにより、本実施形態の圧電素子100は、例えば、圧電体層30の結晶性や結晶構造を非常に良好にすることができ、例えば、リーク電流、および変位量の低下を長期間にわたって抑制することができる。
また、本実施形態の圧電素子は、これを製造する際に、各電極と圧電体層30との格子のミスマッチを選択することができる。そのため、圧電素子100が配置される基体10の態様にかかわらず、第1電極20が接する基体10を自由に選択することができる。さらに、本実施形態の圧電素子100は、面心立方晶以外の構造を有するあらゆる基体10上で、第1電極20、圧電体層30および第2電極40の逆格子マップによるピークの半値幅が上記式(1)の関係を満たす圧電素子となっている。
2.圧電アクチュエーター
次に、本実施形態の圧電素子100を含む圧電アクチュエーターについて説明する。本実施形態の圧電アクチュエーターは、上述の圧電素子100を有し、上述の基板1が振動板となっている。
振動板は、単層であっても、複数の層が積層された構造であってもよい。振動板は、可撓性を有し(撓むことができ)、圧電体層30(圧電素子100)の動作によって変形(屈曲)することができる。そして振動板と、圧電素子100を含んで圧電アクチュエーターが構成される。振動板のたわみ量は、圧電アクチュエーターを液滴吐出ヘッドに使用する場合、吐出させる液体の体積と同程度に圧力室の容積を変化させうる程度であれば十分である。振動板の材質としては、「1.1.基体」の項で述べたと同様である。
なお、圧電アクチュエーターの圧電素子100において、圧電体層30を水分や水素等から保護するための保護膜が設けられていてもよい。このような保護膜としては、例えば、窒素化合物の層や、高分子化合物の層を挙げることができる。
以上のように、本実施形態では、基板1が振動板であって、酸化ジルコニウムによって形成されている圧電アクチュエーターを説明した。このような圧電アクチュエーターは、上述の圧電素子100を有しているため、例えば、リーク電流、および変位量の低下が長期間にわたって少なく、少なくとも耐久性に優れている。
なお上記説明では、本発明にかかる圧電アクチュエーターの一例として、基板1が撓み等の変形動作される振動板となっている圧電アクチュエーターについて説明した。しかし、本発明にかかる圧電アクチュエーターとしては、例えば、基体10が音叉型の振動片となっているようなタイミングデバイスや、基体10が超音波領域の周波数で振動され超音波を発生する超音波発振器等の超音波デバイス、基体10が超音波領域の周波数で振動して他の部材を駆動する超音波モーターのような機械的出力を有するデバイス、および、基体10に加わる応力や基体10の変形を圧電素子100によって検出するような圧力センサー等、他の圧電デバイスも例示することができる。
3.液滴吐出ヘッド
図3は、液滴吐出ヘッド600を模式的に示す分解斜視図である。液滴吐出ヘッド600は、少なくとも、上述の圧電素子100と、基体10と、ノズル板610と、を有する。液滴吐出ヘッド600の基体10は、振動板621および圧力室基板620を合わせたものに相当する。
ノズル板610は、図3に示すように、ノズル孔612を有する。ノズル孔612からは、インクが吐出されることができる。ノズル板610には、例えば、多数のノズル孔612が一列に設けられている。ノズル板620の材質としては、例えば、シリコン、ステンレス鋼(SUS)などを挙げることができる。
圧力室基板620は、ノズル板610上(図3の例では下)に設けられている。圧力室基板620の材質としては、例えば、シリコンなどを例示することができる。圧力室基板620がノズル板610と振動板621との間の空間を区画することにより、図3に示すように、リザーバー(液体貯留部)624と、リザーバー624と連通する供給口626と、供給口626と連通する圧力室622と、が設けられている。この例では、リザーバー624と、供給口626と、圧力室622とを区別して説明するが、これらはいずれも液体の流路であって、このような流路はどのように設計されても構わない。また例えば、供給口626は、図示の例では流路の一部が狭窄された形状を有しているが、設計にしたがって任意に形成することができ、必ずしも必須の構成ではない。リザーバー624、供給口626および圧力室622は、ノズル板610と圧力室基板620と振動板621とによって区画されている。リザーバー624は、外部(例えばインクカートリッジ)から、振動板621に設けられた貫通孔628を通じて供給されるインクを一時貯留することができる。リザーバー624内のインクは、供給口626を介して、圧力室622に供給されることができる。圧力室622は、振動板621の変形により容積が変化する。圧力室622はノズル孔612と連通しており、圧力室622の容積が変化することによって、ノズル孔612からインク等が吐出される。
圧電素子100は、圧力室基板620上(図3の例では下)に設けられている。圧電素子100は、圧電素子駆動回路(図示せず)に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて動作(振動、変形)することができる。振動板621は、圧電素子100の動作によって変形し、圧力室622の内部圧力を適宜変化させることができる。
筐体630は、図3に示すように、ノズル板610、圧力室基板620および圧電素子100を収納することができる。筐体630の材質としては、例えば、樹脂、金属などを挙げることができる。
液滴吐出ヘッド600は、圧電素子100を有する。そのため、圧電素子100の圧電体層20の特性が良好で、漏れ電流が低減され、安定した動作が可能である。
本実施形態の液滴吐出ヘッドは、たとえば、プリンター等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)、電気泳動ディスプレー等の電極やカラーフィルターの形成に用いられる液体材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機材料噴射ヘッドとしても好適に利用することができる。
4.液滴吐出装置
図4は、液滴吐出装置700を模式的に示す斜視図である。
液滴吐出装置700は、図4に示すように、ヘッドユニット730と、駆動部710と、制御部760と、を含む。さらに、液滴吐出装置700は、装置本体720と、給紙部750と、記録用紙Pを設置するトレイ721と、記録用紙Pを排出する排出口722と、装置本体720の上面に配置された操作パネル770と、を含むことができる。
ヘッドユニット730は、上述した液滴吐出ヘッド600(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット730は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ731と、ヘッドおよびインクカートリッジ731を搭載した運搬部(キャリッジ)732と、を備える。
駆動部710は、ヘッドユニット730を往復動させることができる。駆動部710は、ヘッドユニット730の駆動源となるキャリッジモーター741と、キャリッジモーター741の回転を受けて、ヘッドユニット730を往復動させる往復動機構742と、を有する。
往復動機構742は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸744と、キャリッジガイド軸744と平行に延在するタイミングベルト743と、を備える。キャリッジガイド軸744は、キャリッジ732が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ732を支持している。さらに、キャリッジ732は、タイミングベルト743の一部に固定されている。キャリッジモーター741の作動により、タイミングベルト743を走行させると、キャリッジガイド軸744に導かれて、ヘッドユニット730が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
なお、本実施形態では、液滴吐出ヘッド600および記録用紙Pがいずれも移動しながら印刷が行われる例を示しているが、本発明の液体噴射装置は、液滴吐出ヘッド600および記録用紙Pが互いに相対的に位置を変えて記録用紙Pに印刷される機構であればよい。また、本実施形態では、記録用紙Pに印刷が行われる例を示しているが、本発明の液体噴射装置によって印刷を施すことができる記録媒体としては、紙に限定されず、布、フィルム、金属など、広範な媒体を挙げることができ、適宜構成を変更することができる。
制御部760は、ヘッドユニット730、駆動部710および給紙部750を制御することができる。
給紙部750は、記録用紙Pをトレイ721からヘッドユニット730側へ送り込むことができる。給紙部750は、その駆動源となる給紙モーター751と、給紙モーター751の作動により回転する給紙ローラー752と、を備える。給紙ローラー752は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラー752aおよび駆動ローラー752bを備える。駆動ローラー752bは、給紙モーター751に連結されている。制御部760によって供紙部750が駆動されると、記録用紙Pは、ヘッドユニット730の下方を通過するように送られる。
ヘッドユニット730、駆動部710、制御部760および給紙部750は、装置本体720の内部に設けられている。
液滴吐出装置700は、液滴吐出ヘッド600を有する。したがって圧電素子100の圧電体層20の特性が良好で、漏れ電流が低減され、安定した動作が可能で、印刷特性等が良好なものとなっている。
なお、上記例示した液滴吐出装置は、1つの液滴吐出ヘッドを有し、この液滴吐出ヘッドによって、記録媒体に印刷を行うことができるものであるが、複数の液滴吐出ヘッドを有してもよい。液滴吐出装置が複数の液滴吐出ヘッドを有する場合には、複数の液滴吐出ヘッドは、それぞれ独立して上述のように動作されてもよいし、複数の液滴吐出ヘッドが互いに連結されて、1つの集合したヘッドとなっていてもよい。このような集合となったヘッドとしては、例えば、複数のヘッドのそれぞれのノズル孔が全体として均一な間隔を有するような、ライン型のヘッドを挙げることができる。
以上、本発明にかかる圧電素子を有する液滴吐出装置の一例として、インクジェットプリンターとしての液滴吐出装置700を説明したが、本発明にかかる液滴吐出装置は、工業的にも利用することができる。この場合に吐出される液体(液状材料)としては、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したものなどを用いることができる。本発明にかかる液滴吐出装置は、例示したプリンター等の画像記録装置以外にも、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)、電気泳動ディスプレイ等の電極やカラーフィルターの形成に用いられる液体材料噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機材料噴射装置としても好適に用いられることができる。
5.実験例および参考例
以下に実験例および参考例を示し、本発明にかかる圧電素子をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によってなんら限定されるものではない。
5.1.基体の作成
実験例および参考例の圧電素子は、次のような基体の上に形成した。まず、シリコン基板を準備し、シリコン基板の表面に1070nmの酸化シリコン層を熱酸化により形成した。次に、酸化シリコン層の上に、酸化ジルコニウムを400nm、酸化チタンを40nm、および金属イリジウムを50nmの順に、スパッタ法により堆積させ、実験例および参考例の共通の基体として用いた。なお、基体の表面には、金属イリジウムが堆積されているが、この金属イリジウムの層は、実施形態で述べた導電層2と見なしてもよい。
5.2.圧電素子の作成
実験例および参考例のいずれも、まず、上述の基体の上に、第1導電層として、LaNiO(LNO)をスパッタ法により40nm堆積し、LNO層を形成した。LNO層を形成するときのCVD装置等の条件としては、基体の温度を250℃とし、チャンバー内の圧力を1.2Pa、RF電力を1kWとした。この条件は、実験例および参考例において共通とした。
次に、圧電体層としてPZT層を、LNO層の上に形成した。実験例および参考例では、いずれも圧電体層としてPZTを用いたが、各例ごとに、鉛、ジルコニウム、およびチタンの組成を変化させて作成した。PZT層は、ゾルゲル法によって作成した。実験例および参考例に用いた前駆体溶液の各原料の組成比を表1に示す。
表1に示した組成の前駆体溶液を、LNO層の上にスピンコートにより塗布し、ホットプレート上で、100℃、150℃、400℃の順にそれぞれ5分間ずつ加熱し、溶媒および低分子量成分を除去した(脱脂)。この操作を3回繰り返し、試料をRTA装置に導入し、酸素雰囲気下、750℃にて5分間加熱して焼成(結晶化)を行った。脱脂および結晶化の操作を4回繰り返し、合計1350nmの厚みの前駆体層を形成した。このときPZT層のPZTは、ペロブスカイト型の結晶構造をとっていると考えられる。
次に、第2導電層として、金属イリジウム層(Ir層)をPZT層の上に形成した。Ir層は、スパッタ法により形成し、スパッタ装置の条件としては、基体の温度を250℃とし、チャンバー内の圧力を0.9Pa、RF電力を1.5kWとした。この条件は、実験例および参考例において共通とした。
以上のようにして得られた各実験例および各参考例の圧電素子を、X線回折測定装置(XRD)(ブルカー社製、型式D8 with GADDS)に導入し、2θ/θスキャンによる測定を実施した。測定によって得られたピークにつき、装置付属の解析ソフトウェアによってフィッティングして半値幅(f1、f2、f3)を求め、表1に併記した。なお、半値幅を求めたピークは、LNO層ではLNOの(200)面のピーク、PZT層ではPZTの(200)面のピーク、Ir層ではIrの(111)面のピークとした。
図5は、PZT層の鉛量に対して、各ピークの半値幅(f1、f2、f3)をプロットしたものである。このときのZr/Ti比は、50/50である。また、図6は、PZT層のZr/Ti比に対して、各ピークの半値幅(f1、f2、f3)をプロットしたものである。このときのPZT層の鉛量は、1.05である。
図5を見ると、鉛量が1.2よりも小さいときに(実験例)、f1>f2>f3(式(1))の関係を満足していることが判明した。また、図6を見ると、Zr/Ti比が40/60〜55/45の範囲(実験例)で式(1)の関係を満足していることが判明した。
図7は、PZT層のPZTの鉛量を変化させたときのヒステリシスループの変化を示している。図7の結果から、鉛量が1.2よりも小さいときに(実験例)、正常な曲線を描くことが判明し、鉛量が1.2では(実験例)、漏れ電流(リーク)の大きい曲線を描くことが判明した。
以上のように、f1>f2>f3(式(1))の関係を満足する各実験例の圧電素子は、漏れ電流の小さい良好な圧電素子となっており、式(1)の関係を満足しない参考例の圧電素子は、必ずしも良好な圧電素子となっていないことが判明した。
以上に述べた実施形態および各変形実施形態は、任意の複数の形態を適宜組み合わせることが可能である。これにより、組み合わされた実施形態は、それぞれの実施形態が有する効果または相乗的な効果を奏することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…基板、2…導電層、10…基体、20…第1電極、30…圧電体層、40…第2電極、100…圧電素子、600…液滴吐出ヘッド、610…ノズル板、612…ノズル孔、620…圧力室基板、621…振動板、622…圧力室、624…リザーバー、626…供給口、628…貫通孔、630…筐体、700…液滴吐出装置、710…駆動部、720…装置本体、721…トレイ、722…排出口、730…ヘッドユニット、731…インクカートリッジ、732…キャリッジ、741…キャリッジモーター、742…往復動機構、743…タイミングベルト、744…キャリッジガイド軸、750…給紙部、751…給紙モーター、752…給紙ローラー、752a…従動ローラー、752b…駆動ローラー、760…制御部、770…操作パネル

Claims (7)

  1. ランタンおよびニッケルを含む酸化物を主成分とし、(200)優先配向構造を有する第1電極と、
    面心立方構造の結晶構造を有するPtおよびIrの少なくとも一方を主成分とし、(111)優先配向構造を有する第2電極と、
    前記第1電極および前記第2電極の間に挟持され、少なくとも鉛、ジルコニウム、チタンおよび酸素を含む酸化物を主成分とし、(200)優先配向構造を有する圧電体層と、を含む圧電素子であって、
    前記第1電極および前記圧電体層は、ペロブスカイト型の結晶構造を有し
    前記圧電体層の前記酸化物の鉛の含有量は、ジルコニウムおよびチタンの含有量の合計に対して、1.05倍以上1.15倍以下であり、
    前記第1電極、前記圧電体層および前記第2電極の、優先配向軸におけるX線回折強度測定のピークの半値幅を、それぞれf1、f2およびf3(°)としたとき、下記式(1):
    f1>f2>f3 ・・・・(1)
    の関係を満たす、圧電素子。
  2. 請求項において、
    前記圧電体層の前記酸化物のジルコニウムおよびチタンの含有比率は、ジルコニウム:チタン=40:60〜55:45の範囲である、圧電素子。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記f1は、(111)ピークの半値幅であり、
    前記f2および前記f3は、(200)ピークの半値幅である、圧電素子。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    前記優先配向構造は、80%以上の優先配向度である、圧電素子。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか一項において、
    f3≦0.26、かつ、0.26<f2≦0.75、かつ、f1<2.00の関係を満たす、圧電素子。
  6. 請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載された圧電素子を含む、液滴吐出ヘッド。
  7. 請求項に記載された液滴吐出ヘッドを含む、液滴吐出装置。
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