JP5304978B2 - 圧電素子、液体噴射ヘッド、およびプリンタ - Google Patents

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

本発明は、圧電素子およびその製造方法、液体噴射ヘッド、並びに、プリンタに関する。
現在、高精細、高速印刷手法として、インクジェット法が実用化されている。インク液滴を吐出させるためには、圧電体層を電極で挟んだ構造の圧電素子を用いる方法が有用である。代表的な圧電体層の材料としては、ペロブスカイト型酸化物であるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:PZT)が挙げられる(例えば特許文献1参照)。PZTは、結晶性が高いことが望まれている。
特開2001−223404号公報
本発明の目的は、圧電特性の向上を図ることができる圧電素子およびその製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、上記圧電素子を有する、液体噴射ヘッドおよびプリンタを提供することにある。
本発明に係る圧電素子は、
基体と、
前記基体の上方に形成され、アモルファス状態の金属からなるバッファ層と、
前記バッファ層の上方に形成された下部電極と、
前記下部電極の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された上部電極と、を含む。
本発明に係る圧電素子は、圧電体層が(100)に優先的に配向し、結晶性が高くなる。そのため、圧電素子の変位量が大きくなり、本発明に係る圧電素子は、良好な圧電特性を有する。
なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上方」に他の特定のもの(以下「B」という)を形成する」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。
また、本発明において、「優先的に(100)に配向する」とは、(100)にすべての結晶が配向している場合と、例えば、70%以上の結晶が(100)に配向しており、(100)に配向していない残りの結晶が(110)などに配向している場合と、を含むことを意味する。
本発明に係る圧電素子において、
前記バッファ層は、ホウ化コバルト鉄からなることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記バッファ層は、ホウ化コバルト鉄ニッケルからなることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記バッファ層の厚さは、2nm以上、10nm以下であることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記基体は、基板と、前記基板の上方に形成された振動板と、を有することができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記振動板は、前記基板側から順に形成された第1振動層と、第2振動層と、を有し、
前記第1振動層は、酸化シリコンからなり、
前記第2振動層は、酸化ジルコニウムからなることができる。
本発明に係る圧電素子において、
前記圧電体層は、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物であり、
前記Aは、鉛を含み、
前記Bは、ジルコニウムおよびチタンを含むことができる。
本発明に係る圧電素子の製造方法は、
基体の上方に、アモルファス状態の金属からなるバッファ層を形成する工程と、
前記バッファ層の上方に下部電極を形成する工程と、
前記下部電極の上方に圧電体層を形成する工程と、
前記圧電体層の上方に上部電極を形成する工程と、を含む。
本発明に係る液体噴射ヘッドは、
本発明に係る圧電素子を有することができる。
本発明に係るプリンタは、
本発明に係る液体噴射ヘッドを有することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
1.圧電素子
図1は、本実施形態に係る圧電素子100を模式的に示す断面図である。
圧電素子100は、図1に示すように、基体1と、バッファ層30と、駆動部40と、を含む。基体1は、基板10と、振動板20と、を有することができる。
基板10としては、例えば、(110)単結晶シリコン基板を用いることができる。基板10は、例えば、開口部12を有することができる。開口部12は、例えば、インクジェット式記録ヘッドのキャビティ(圧力室)となることができる。
振動板20は、基板10の上に形成される。振動板20は、駆動部40の動作により、屈曲することができる。振動板20は、第1振動層22と、第2振動層24と、を有することができる。
第1振動層22は、基板10の上に形成される。第1振動層22は、例えば、酸化シリコン(SiO)からなることができる。第1振動層22の厚さは、例えば、1μm程度であることができる。第1振動層22は、後述するように、例えば、基板10を下方からエッチングして開口部12を形成する場合に、エッチングストッパ層として機能することができる。
第2振動層24は、第1振動層22の上に形成される。第2振動層24は、例えば、結晶(単結晶および多結晶)からなることができる。第2振動層24は、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)からなることができる。第2振動層24の厚さは、例えば、500nm程度であることができる。第2振動層24は、例えば、圧電体層44が鉛を含むペロブスカイト型酸化物である場合、鉛が第1振動層22に拡散することを防止することができる。
バッファ層30は、第2振動層24の上に形成される。バッファ層30は、アモルファス(非晶質)状態の金属からなる。バッファ層30は、例えば、ホウ化コバルト鉄(FeCoB)、ホウ化コバルト鉄ニッケル(FeCoNiB)からなることができる。バッファ層30がホウ化コバルト鉄からなる場合、その組成は、例えば、Fe0.4Co0.40.2であることができる。バッファ層30がホウ化コバルト鉄ニッケルからなる場合、その組成は、例えば、Fe0.55Co0.2Ni0.10.15であることができる。バッファ層30がアモルファス状態の金属からなることにより、バッファ層30は、ラフネスの小さい表面を有することができる。すなわち、第2振動層24の上に直接下部電極を形成する場合に比べ、バッファ層30の上に形成される下部電極42に対して、滑らかな表面を提供することができる。これにより、下部電極42の表面のラフネスが小さくなり、その上に形成される圧電体層44は、優先的に(100)に配向することができる。バッファ層30の厚さは、例えば、2nm〜10nmとすることができる。バッファ層30の厚さを2nm〜10nmとすることで、圧電層44は結晶性が高くなり、圧電素子100の変位量は大きくなる。このことは、後述する実施例においても確認されている。
駆動部40は、バッファ層30の上に形成される。駆動部40は、振動板20を屈曲させることができる。駆動部40は、下部電極42と、圧電体層44と、上部電極46と、を有する。
下部電極42は、バッファ層30の上に形成される。下部電極42は、圧電体層44に電圧を印加するための一方で電極である。下部電極42は、例えば、白金、イリジウム、それらの導電性酸化物などからなることができる。下部電極42は、前記例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。下部電極42の厚さは、例えば、50nm〜300nmとすることができる。
圧電体層44は、下部電極42の上に形成される。圧電体層44は、ペロブスカイト型酸化物の圧電材料からなることができる。圧電体層44は、例えば、一般式ABOで示され、Aは、鉛を含み、Bは、ジルコニウムおよびチタンを含むことができる。前記Bは、例えば、さらにニオブを含むことができる。具体的には、圧電体層44としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:PZT)、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O:PZTN)などを用いることができる。また、前記Aは、例えば、さらにランタン、バリウムなどを含むことができる。圧電体層44の厚さは、例えば、300nm〜3000nmとすることができる。圧電体層44は、前述のように、優先的に(100)に配向していることができる。圧電体層44の結晶構造は、例えば、モノクリニック構造であることができる。圧電体層44の分極方向は、例えば、膜面垂直方向(圧電体層44の厚さ方向)に対して、一定の角度だけ傾いているエンジニアード・ドメイン配置であることができる。
なお、図示はしないが、例えば、下部電極42と圧電体層44との間にチタン層を形成することができる。チタン層は、圧電体層44の(100)配向性を高める機能を有する。チタン層の厚さは、例えば、2〜10nmとすることができる。
上部電極46は、圧電体層44の上に形成される。上部電極46は、圧電体層44に電圧を印加するための他方で電極である。上部電極46は、例えば、白金、イリジウム、それらの導電性酸化物などからなることができる。上部電極46は、前記例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。上部電極46の厚みは、例えば、50nm〜300nmとすることができる。
本実施形態に係る圧電素子100は、例えば、以下の特徴を有する。
圧電素子100は、バッファ層30を有する。バッファ層30はアモルファス状態の金属からなるので、バッファ層30の表面は、ラフネスが小さい。そのため、例えば、多結晶の第2振動板24の上に直接下部電極を形成する場合に比べ、下部電極42の表面のラフネスは小さくなる。これにより、圧電体層44は、優先的に(100)に配向し、結晶性が高くなる。その結果、圧電素子100は、良好な圧電特性を有することができる。
圧電素子100は、バッファ層30の厚さを、2nm〜10nmとすることができる。これにより、圧電層44は、優先的に(100)に配向し、結晶性が高くなる。その結果、圧電素子100の変位量が大きくなり、圧電素子100は、良好な圧電特性を有することができる。
2.圧電素子の製造方法
次に、本実施形態に係る圧電素子100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図2および図3は、本実施形態に係る圧電素子100の製造工程を概略的に示す断面図である。
(1)図2に示すように、基板10の上に振動板20を形成する。具体的には、基板10の上に、第1振動板22と、第2振動板24とをこの順に形成する。第1振動板22は、例えば、熱酸化法により形成される。第2振動板24は、例えば、スパッタ法により形成される。
次に、第2振動板24の上にバッファ層30を形成する。バッファ層30は、例えば、スパッタ法により形成される。
(2)図3に示すように、バッファ層30の上に駆動部40を形成する。具体的には、バッファ層30の上に、下部電極42と、圧電体層44と、上部電極46とをこの順に形成する。
下部電極層42は、例えば、スパッタ法、めっき法、真空蒸着法などにより形成される。
圧電体層44は、例えば、ゾルゲル法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、MOD(Metal Organic Deposition)法、スパッタ法、レーザーアブレーション法などにより形成される。ここでは一例として、PZTからなる圧電体層44を形成する場合について説明する。
まず、Pb、Zr、およびTiをそれぞれ含有する有機金属化合物を溶媒に溶解させた溶液(圧電材料)を、バッファ層30上の全面にスピンコート法等により塗布する。
次に、熱処理(乾燥工程、脱脂工程)を行うことにより、圧電体層44の前駆体層を形成することができる。乾燥工程の温度は、例えば、150℃以上200℃以下であることが好ましい。乾燥工程の時間は、例えば、5分以上であることが好ましい。脱脂工程では、乾燥工程後のPZT前駆体層中に残存する有機成分をNO、CO、HOなどに熱分解して離脱させることができる。脱脂工程の温度は、例えば、300℃程度である。なお、前駆体層を成膜する場合には、1回で成膜せず、複数回に分けて成膜することもできる。具体的には、例えば、圧電材料の塗布、乾燥、および脱脂を複数回繰り返すことができる。
次に、前駆体層を焼成する。焼成工程では、PZT前駆体層を加熱することによって結晶化させることができる。焼成工程の温度は、例えば、700℃程度である。焼成工程の時間は、例えば、5分以上30分以下であることが好ましい。焼成工程に用いる装置としては、特に限定されず、拡散炉やRTA(Rapid Thermal Annealing)装置などを用いることができる。なお、焼成工程は、例えば、圧電材料の塗布、乾燥、および脱脂の1サイクルごとに行っても良い。
以上の工程により、圧電体層44を形成することができる。
なお、図示はしないが、例えば、下部電極42と圧電体層44との間にチタン層を形成することができる。チタン層は、例えば、スパッタ法などにより形成される。
上部電極46は、例えば、スパッタ法、めっき法、真空蒸着法などにより形成される。
次に、例えば、上部電極46および圧電体層44をパターニングして、駆動部40を形成する。その後、例えば、下部電極42をパターニングしてもよい。パターニングは、例えば、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により行われる。パターニングは、各層の形成後に行ってもよいし、複数層の形成後に一括して行ってもよい。
以上の工程により、下部電極42、圧電体層44および上部電極46を有する駆動部40形成することができる。
(3)図1に示すように、基板10をパターニングして、開口部12を形成する。パターニングは、例えば、公知のフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により行われる。開口部12は、例えば、第1振動板22を露出させるように基板10の一部をエッチングして形成される。このエッチング工程において、第1振動板22は、エッチングストッパとしての機能を有する。すなわち、第1振動板22のエッチング速度は、基板10のエッチング速度よりも遅い。
以上の工程により、圧電素子100を形成することができる。
本実施形態に係る圧電素子100の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
圧電素子100の製造方法によれば、バッファ層30が形成される。バッファ層30はアモルファス状態の金属からなるので、バッファ層30の表面は、ラフネスが小さい。そのため、例えば、多結晶の第2振動板24の上に直接下部電極を形成する場合に比べ、下部電極42の表面のラフネスは小さくなる。これにより、圧電体層44は、優先的に(100)に配向し、結晶性が高くなる。その結果、良好な圧電特性を有する圧電素子100を得ることができる。
3.液体噴射ヘッド
次に、本発明に係る圧電素子を有する液体噴射ヘッドについて説明する。ここでは、本実施形態に係る液体噴射ヘッド200がインクジェット式記録ヘッドである場合について説明する。
図4は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド200の要部を概略的に示す断面図である。図5は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド200の分解斜視図であり、通常使用される状態とは上下を逆に示したものである。なお、図4では、便宜上、圧電素子100の駆動部40を簡略化して示している。
液体噴射ヘッド200は、例えば図1に示す圧電素子100と、ノズル板11と、を含む。液体噴射ヘッド200は、さらに、筐体17を有することができる。
ノズル板11は、キャビティ(圧力室)12に通じるノズル孔13を有する。ノズル孔13からは、インクが吐出される。ノズル板11には、例えば、多数のノズル孔13が一列に設けられている。ノズル板11は、例えばステンレス鋼(SUS)製の圧延プレートである。ノズル板11は、通常使用される状態では基板10の下(図5では上)に固定される。筐体17は、ノズル板11および圧電素子100を収納することができる。筐体17は、例えば、各種樹脂材料、各種金属材料等を用いて形成される。
圧電素子100の基板10がノズル板11と振動板20との間の空間を区画することにより、リザーバ(液体貯留部)14、供給口15および複数のキャビティ12が設けられている。圧電素子100の振動板20には、厚さ方向に貫通した貫通孔16が設けられている。リザーバ14は、外部(例えばインクカートリッジ)から貫通孔16を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。供給口15によって、リザーバ14から各キャビティ12へインクが供給される。
キャビティ12は、前述のように基板10の開口部12から構成されている。キャビティ12は、各ノズル孔13に対して1つずつ配設されている。キャビティ12は、振動板20の変形により容積可変になっている。この容積変化により、ノズル孔13からインクが吐出される。
駆動部40は、圧電素子駆動回路(図示せず)に電気的に接続され、圧電素子駆動回路の信号に基づいて作動(振動、変形)することができる。振動板20は、駆動部40の変形によって変形し、キャビティ12の内部圧力を瞬間的に高めることができる。
本実施形態に係る液体噴射ヘッド200は、例えば、以下のような特徴を有する。
液体噴射ヘッド200は、圧電素子100を有することができる。圧電素子100は、上述のように、良好な圧電特性を有することができる。従って、良好な特性を有する液体噴射ヘッド200を得ることができる。
なお、上述した例では、液体噴射ヘッド200がインクジェット式記録ヘッドである場合について説明した。しかしながら、本発明の液体噴射ヘッドは、例えば、液晶ディスプレイなどのカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)などの電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドなどとして用いられることもできる。
4.実施例
次に、実施例について説明する。
実施例に係る液体噴射ヘッドのサンプルは、以下のようにして作製した。
(110)単結晶シリコンからなる基板10の上に、第1振動層22を形成した。第1振動層22としては、厚さ1μmの酸化シリコンを熱酸化法により形成した。第1振動層22の上に、第2振動層24を形成した。第2振動層24としては、厚さ500nmの酸化ジルコニウムをスパッタ法で形成した。
第2振動層24の上に、バッファ層30を形成した。バッファ層30は、スパッタ法で形成した。バッファ層30としては、ホウ化コバルト鉄(Fe0.4Co0.40.2)もしくはホウ化コバルト鉄ニッケル(Fe0.55Co0.2Ni0.10.15)を用いた。ホウ化コバルト鉄を用いたサンプルは、バッファ層30の厚さを、2nmから10nmまで、2nmずつ変化させた(サンプル2〜6)。ホウ化コバルト鉄ニッケルを用いたサンプルは、バッファ層30の厚さを、6nmとした(サンプル7)。また、比較例として、バッファ層30を形成しないもの、言い換えるならば、バッファ層30の厚さが0nmのサンプルを形成した(サンプル1)。
バッファ層30の上に(サンプル1に関しては第2振動層24の上に)、下部電極42を形成した。下部電極42としては、バッファ層30側から、厚さ10nmのイリジウムと、厚さ150nmの白金とからなる積層体をスパッタ法で形成した。下部電極42の上に、厚さ4nmのチタン層を形成した。チタン層は、スパッタ法で形成した。チタン層の上に、圧電体層44を形成した。圧電体層44としては、厚さ1μmのPZT(Pb(Zr0.5,Ti0.5)O)をゾルゲル法で形成した。圧電体層44の焼成は、700℃で行った。圧電体層44の上に、上部電極46を形成した。上部電極46としては、厚さ200nmのイリジウムをスパッタ法で形成した。
基板10に、開口部(キャビティ)12を形成した。開口部12の形状は、幅50μm、長さ500μm、高さ60μmの直方体とした。開口部12は、水酸化カリウムを用いて基板10を異方性エッチングすることにより形成した。
以上のようにして作製した液体噴射ヘッドの各サンプルに対して、PZT(圧電体層44)の結晶性を評価するために、X線回折測定を行った。具体的には、PZTの(200)ピークに関して、ロッキングカーブの半値幅を測定した。なお、(200)ピークは(100)ピークと等価であり、(200)ピークの半値幅が小さいほど、PZTの結晶性が高い。
また、各サンプルに対して、上下電極に0Vから35Vに変化する電圧を印加して、振動板20の変位量を求めた。振動板20の変位量測定には、レーザードップラー計を用いた。
表1に、各サンプルのPZTの(200)ピークの半値幅および振動板20の変位量を示す。
Figure 0005304978
これらの結果から、バッファ層30の厚さが2nm〜10nmのサンプル(サンプル2〜7)は、バッファ層30を有さないサンプル(サンプル1)に比べ、PZTの(200)ピークの半値幅が小さく、振動板20の変位量が大きいことがわかった。すなわち、バッファ層30の厚さが2nm〜10nmのサンプルは、PZTの結晶性が高く、圧電特性が良好であることが確認された。
5.プリンタ
次に、本発明に係る液体噴射ヘッドを有するプリンタについて説明する。ここでは、本実施形態に係るプリンタ300がインクジェットプリンタである場合について説明する。
図6は、本実施形態に係るプリンタ300を概略的に示す斜視図である。
プリンタ300は、ヘッドユニット330と、ヘッドユニット駆動部310と、制御部360と、を含む。また、プリンタ300は、装置本体320と、給紙部350と、記録用紙Pを設置するトレイ321と、記録用紙Pを排出する排出口322と、装置本体320の上面に配置された操作パネル370と、を含むことができる。
ヘッドユニット330は、例えば、上述した液体噴射ヘッドから構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)200を有する。ヘッドユニット330は、さらに、ヘッド200にインクを供給するインクカートリッジ331と、ヘッド200およびインクカートリッジ331を搭載した運搬部(キャリッジ)332と、を備える。
ヘッドユニット駆動部310は、ヘッドユニット330を往復動させることができる。ヘッドユニット駆動部310は、ヘッドユニット330の駆動源となるキャリッジモータ341と、キャリッジモータ341の回転を受けて、ヘッドユニット330を往復動させる往復動機構342と、を有する。
往復動機構342は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸344と、キャリッジガイド軸344と平行に延在するタイミングベルト343と、を備える。キャリッジガイド軸344は、キャリッジ332が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ332を支持している。さらに、キャリッジ332は、タイミングベルト343の一部に固定されている。キャリッジモータ341の作動により、タイミングベルト343を走行させると、キャリッジガイド軸344に導かれて、ヘッドユニット330が往復動する。この往復動の際に、ヘッド200から適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
制御部360は、ヘッドユニット330、ヘッドユニット駆動部310および給紙部350を制御することができる。
給紙部350は、記録用紙Pをトレイ321からヘッドユニット330側へ送り込むことができる。給紙部350は、その駆動源となる給紙モータ351と、給紙モータ351の作動により回転する給紙ローラ352と、を備える。給紙ローラ352は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラ352aおよび駆動ローラ352bを備える。駆動ローラ352bは、給紙モータ351に連結されている。
ヘッドユニット330、ヘッドユニット駆動部310、制御部360および給紙部350は、装置本体320の内部に設けられている。
本実施形態に係るプリンタ300は、例えば、以下のような特徴を有する。
液体噴射ヘッド300は、液体噴射ヘッド200を有することができる。液体噴射ヘッド200は、上述のように、良好な特性を有することができる。従って、良好な特性を有するプリンタ300を得ることができる。
なお、上述した例では、プリンタ300がインクジェットプリンタである場合について説明したが、本発明のプリンタは、工業的な液滴吐出装置として用いられることもできる。この場合に吐出される液体(液状材料)としては、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したものなどを用いることができる。
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、上述した本発明の実施形態に係る圧電素子は、発振器や周波数フィルタなどに用いられる圧電振動子、デジタルカメラやカーナビゲーションシステムなどに用いられる角速度センサなどに適用されることができる。
本実施形態に係る圧電素子を模式的に示す断面図 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る圧電素子の製造工程を模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す断面図。 本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す分解斜視図。 本実施形態に係るプリンタを模式的に示す斜視図。
符号の説明
1 基体、10 基板、11 ノズル板、12 開口部(キャビティ)、13 ノズル孔、14 リザーバ、15 供給口、16 貫通孔、17 筐体、20 振動板、22 第1振動板、24 第2振動板、30 バッファ層、40 駆動部、42 下部電極、44 圧電体層、46 上部電極、100 圧電素子、200 液体噴射ヘッド、300 プリンタ、310 ヘッドユニット駆動部、320 装置本体、321 トレイ、322 排出口、330 ヘッドユニット、331 インクカートリッジ、332 キャリッジ、341 キャリッジモータ、342 往復動機構、343 タイミングベルト、344 キャリッジガイド軸、350 給紙部、351 給紙モータ、352 給紙ローラ、360 制御部、370 操作パネル

Claims (7)

  1. 基体と、
    前記基体の上方に形成され、アモルファス金属であるバッファ層と、
    前記バッファ層の上方に形成された下部電極と、
    前記下部電極の上方に形成され、優先的に(100)に配向したペロブスカイト型酸化物からなる圧電体層と、
    前記圧電体層の上方に形成された上部電極と、を含み、
    前記アモルファス金属は、ホウ化コバルト鉄またはホウ化コバルト鉄ニッケルを含む、圧電素子。
  2. 請求項1において、
    前記バッファ層の厚さは、2nm以上、10nm以下である、圧電素子。
  3. 請求項1または2において、
    前記基体は、基板と、前記基板の上方に形成された振動板と、を有する、圧電素子。
  4. 請求項において、
    前記振動板は、前記基板側から順に形成された第1振動層と、第2振動層と、を有し、
    前記第1振動層は、酸化シリコンからなり、
    前記第2振動層は、酸化ジルコニウムからなる、圧電素子。
  5. 請求項1ないしのいずれかにおいて、
    前記圧電体層は、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物であり、
    前記Aは、鉛を含み、
    前記Bは、ジルコニウムおよびチタンを含む、圧電素子。
  6. 請求項1ないしのいずれかに記載の圧電素子を有する、液体噴射ヘッド。
  7. 請求項に記載の液体噴射ヘッドを有する、プリンタ。
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