JP5552406B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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されている。この制御装置では、内燃機関の筒内で仕事して取り出し得る状態で生じた発熱量のうち図示仕事として用いられずに排出された排気損失としての排気エネルギを燃焼サイクルごとに算出し、この算出した排気エネルギを所定の目標値に一致させることにより、触媒の温度を所望の温度に制御する。
図1は、図示しない車両に搭載された本実施形態に係る内燃機関(以下、「エンジン」という)2の排気浄化装置1の構成を示す図である。
エンジン2は、リーンバーンエンジンであり、図示しない各気筒の吸気ポート付近には図示しない燃料噴射弁が設けられている。これら燃料噴射弁は、制御装置4により電気的に接続されており、燃料噴射弁による燃料噴射量や噴射時期などは、制御装置4により制御される。
本実施形態における排気系は、排気管3と、この排気管3内に設けられた酸化触媒31、CSF32及び選択還元触媒33とを含んで構成される。
保温モードとは、例えば選択還元触媒33の温度が目標温度に達した後において、選択還元触媒33の温度を目標温度の近傍に保持し、NOx浄化性能を高く維持する制御モードである。
停止モードとは、例えば高負荷運転時など選択還元触媒33の温度が目標温度に対して十分に高い場合において、上記昇温モードや保温モードのように選択還元触媒33の昇温及び保温に寄与する制御を行わない制御モードである。
図2は、排気系温度推定装置43の構成を示すブロック図である。
排気系温度推定装置43は、排気系温度推定モデル431と、温度センサモデル432と、モデルパラメータ同定器434と、排気系熱容量推定部435とを備え、これらにより、排気系の各種温度及び熱容量を推定する。
温度制御装置41は、メインコントローラ42と、排気エネルギ推定部44と、目標排気エネルギ算出部45と、制御モード設定部46とを含んで構成され、これらにより選択還元触媒の温度を制御する。
目標排気エネルギ算出部45は、上記排気エネルギ推定値EHATに対する目標値である排気エネルギ目標値EHAT_TRGTと、排気エネルギ積算量推定値ΣEHATに対する目標値である排気エネルギ積算量目標値ΣEHAT_TRGTを算出する。
メインコントローラ42は、排気系温度推定装置43により算出された酸化触媒温度推定値TDOC_HAT、CSF温度推定値TCSF_HAT及び選択還元触媒温度推定値TSCR_HAT、並びに排気エネルギ推定部44及び目標排気エネルギ算出部45により算出された排気エネルギ推定値EHAT及び排気エネルギ目標値EHAT_TRGTに基づいて、選択還元触媒の温度に影響のあるエンジンの運転パラメータとして、ポスト噴射の実行に供される燃料噴射量であるポスト噴射量GPOSTを決定する。
乗算器442は、排気熱容量推定値σEXに排気温度推定値TEX_HATを乗算することにより、単位時間当りに排気管内に流入する排気の熱量に相当する排気温度エネルギ[W]の推定値EEX_HATを算出する。
したがって、昇温モード時に参照されるマップ及び保温モード時に参照されるマップは、同じ選択還元触媒温度推定値TSCR_HAT及び目標温度TSCR_TRGTに対し、保温モード時における必要排気エネルギ基準値よりも昇温モード時における必要排気エネルギ基準値の方が大きな値になるように設定される。このようにして必要排気エネルギ基準値を定めることにより、昇温モード時における排気エネルギ目標値を保温モード時における排気エネルギ目標値よりも大きな値に設定される。
放熱エネルギ算出部453は、単位時間当りに排気系から放熱される熱量、すなわち排気管内に供給された排気エネルギのうち、排気系の昇温に寄与することなく排気系から放熱されて外に逃げていくエネルギに相当する放熱エネルギERADを算出する。より具体的には、放熱エネルギ算出部453は、エンジンの負荷パラメータTRQ及び外気温度に基づいて所定のマップを検索することにより、放熱エネルギERADを算出する。
加算器454,455は、以上のようにして算出された基準値EBASE_TRGT、TP排気エネルギETP及び放熱エネルギERADを合算し、この合計値を排気エネルギ目標値EHAT_TRGTとして決定する。
必要上昇温度算出部456は、選択還元触媒の目標温度TSCR_TRGTからエンジンの始動開始時における選択還元触媒の温度を減算することにより、エンジン始動開始時において、選択還元触媒の温度を目標温度まで上昇させる必要のある温度に相当する必要上昇温度ΔTSCRを算出する。
乗算器457は、上記必要上昇温度ΔTSCRに、排気系熱容量σSYSTEMを乗算して得られる値を、エンジンの始動開始時において選択還元触媒の温度をエンジンの始動開始時における温度から目標温度TSCR_TRGTまで上昇させるために最低限必要なエネルギに相当する排気エネルギ積算量目標値ΣEHAT_TRGTとして決定する。
S4の判別がNOの場合、制御モードを昇温モードに設定し続ける必要があると判断し
S3に移る。S4の判別がYESの場合、すなわち排気エネルギ積算量推定値ΣEHATが排気エネルギ積算量目標値ΣEHAT_TRGTに達した場合には、選択還元触媒の温度を目標温度TSCR_TRGTまで昇温するのに必要なエネルギは既に供給され、近い将来選択還元触媒の温度が目標温度TSCR_TRGTに到達すると判断し、S5に移り、制御モードを昇温モードから保温モードに切り替える。
図7に示すように、メインコントローラ42では、エンジンの運転状態に応じて基準噴射量算出部420により算出された基準噴射量GPOST_BASEと、選択還元触媒の温度を目標温度に一致させるように温度FB噴射量算出部421により算出された温度FB噴射量GCOR_TEMPと、排気エネルギをその目標値に一致させるようにエネルギFB噴射量算出部422により算出されたエネルギFB噴射量GCOR_ENERGYと、を合算することでポスト噴射量GPOSTを決定する。
時刻t0においてエンジンの始動を開始すると、排気管内のうち最も上流側に設けられた酸化触媒の温度が急激に上昇し、時刻t1近傍で平衡に達する。これに対し、酸化触媒よりも下流側に設けられた選択還元触媒の温度は、酸化触媒の温度が平衡に達する時刻t1の近傍において相当の時間の遅れをもって上昇し始める。
先ず、時刻t3においてエンジンの始動を開始すると、昇温モード下で選択還元触媒の温度が制御される。すなわち、排気管内に供給する排気エネルギの目標値を大きな値に設定し、選択還元触媒を速やかに昇温する制御が行われる。したがって、上記従来の排気浄化装置と同様に、酸化触媒の温度は時刻t4において速やかに平衡に達するとともに、酸化触媒の温度上昇に遅れて選択還元触媒の温度が上昇し始める。なお、本実施形態の排気浄化装置では、図9中最下段に示すように、従来のもとと異なり、エンジンの始動開始後、昇温モード下で制御を開始してからの排気エネルギの積算量である排気エネルギ積算量の推定値ΣEHATを算出する。
このように、排気エネルギ積算量推定値ΣEHATに基づいて制御モードを切り替えることにより、選択還元触媒を過剰昇温させる余分なエネルギを供給することなく昇温モードから保温モードに切り替えることができるので、従来の排気浄化装置と比較して早期(図9中時間T参照)に保温モードに切り替え、選択還元触媒の温度を目標温度に精度良く制御することができる。
(1)本実施形態では、選択還元触媒の温度を目標温度TSCR_TRGTまで速やかに昇温するための昇温モードと、選択還元触媒の温度を目標温度TSCR_TRGT近傍に保持するための保温モードとを含む複数種類の制御モード下で選択還元触媒の温度を制御する温度制御装置を設けた。また、この温度制御装置によりエンジンの始動開始後に昇温モード下で選択還元触媒の温度を制御している間において、エンジンの始動開始時から現在までの排気エネルギの積算量の推定値ΣEHATが、選択還元触媒の温度をその目標温度TSCR_TRGTまで上昇させるのに最低限必要な排気エネルギ積算量に相当する目標値ΣEHAT_HATに達したときに、制御モードを昇温モードから保温モードへの切替える制御モード設定部を設けた。これにより、エンジンの始動開始後、昇温モード下で選択還元触媒の温度を制御している間において、エンジンの始動開始時から現在までの排気エネルギ積算量の推定値ΣEHATが目標値ΣEHAT_HATに達した場合には、選択還元触媒の温度が近い将来に目標温度TSCR_TRGTに到達すると予測できるので、現在の選択還元触媒の温度がまだ目標温度TSCR_TRGTに達していなくても制御モードを昇温モードから保温モードへと早期に切替えることができる。このように、選択還元触媒の昇温に寄与する排気エネルギ積算量に基づいて、制御モードを昇温モードから保温モードへと切替えることにより、昇温モード下で選択還元触媒の温度を速やかに昇温しつつ、当該触媒の温度を目標温度TSCR_TRGTにオーバーシュートすることなく精度良く制御することができる。
例えば、上記実施形態では、排気浄化装置1をリーンバーン式のエンジンに適用したが、これに限定されず、ディーゼルエンジンに適用することもできる。
2…エンジン(内燃機関)
3…排気管(排気通路)
4…制御装置
41…温度制御装置(触媒温度制御手段)
42…メインコントローラ(触媒温度制御手段)
44…排気エネルギ推定部(排気エネルギ算出手段)
45…目標排気エネルギ算出部(目標排気エネルギ算出手段)
46…制御モード設定部(制御モード切替手段)
43…排気系温度推定装置
Claims (3)
- 内燃機関の排気通路に設けられた排気浄化触媒を備える内燃機関の排気浄化装置であって、
前記排気浄化触媒の温度を所定の目標温度まで昇温するための昇温モードと、前記排気浄化触媒の温度を前記目標温度近傍に保持するための保温モードと、を含む複数種類の制御モード下で前記排気浄化触媒の温度を制御する触媒温度制御手段と、
前記排気通路内に単位時間当りに供給されたエネルギである排気エネルギと、当該排気エネルギの所定の期間にわたる積算量である排気エネルギ積算量とを算出する排気エネルギ算出手段と、
前記内燃機関の始動開始後に前記触媒温度制御手段が前記昇温モード下で前記排気浄化触媒の温度を制御している間において、前記内燃機関の始動開始時から現在までの排気エネルギ積算量が所定の目標値に達した場合には、前記排気浄化触媒の温度が前記目標温度に達していなくても前記制御モードを昇温モードから保温モードへ切替える制御モード切替手段と、を備え、
前記排気エネルギ積算量の目標値は、前記排気浄化触媒の温度を前記内燃機関の始動開始時における温度から前記目標温度まで上昇させるのに必要な排気エネルギ積算量に相当することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記排気エネルギに対する目標値である排気エネルギ目標値を算出する目標排気エネルギ算出手段をさらに備え、
前記触媒温度制御手段は、前記排気エネルギを前記排気エネルギ目標値に一致させながら、前記排気浄化触媒の温度を前記目標温度に一致させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。 - 前記目標排気エネルギ算出手段は、前記昇温モード時における排気エネルギ目標値を、前記保温モード時における排気エネルギ目標値よりも大きな値に設定することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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