JP4100077B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、良好な排気エミッション特性を得るうえで好適な内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば特開平11−336596号公報に開示されるように、内燃機関の燃焼状態が目標の状態となるようにフィードバック制御を行う装置が知られている。上記公報には、内燃機関の燃焼状態として、排気ガスの状態、筒内圧、機関回転数などが例示されている。また、排気ガスの状態を表すパラメータとしては、排気空燃比や、排気ガス中の酸素濃度、HC濃度、CO濃度、NOx濃度などが挙げられている。更にフィードバック制御の対象としては、燃料噴射量、点火時期、還流排気ガス量(EGR量)などが開示されている。
【0003】
上記従来の装置は、内燃機関の始動直後に、安定した運転状態を確保しつつ、未燃ガスの排出量を抑制することを目的としている。そして、この目的を達成するため、内燃機関の運転状態が不安定とならない範囲で、未燃ガスの排出量が最小となるように、燃料噴射量などのパラメータをフィードバック制御することとしている。このため、上記従来の装置によれば、内燃機関の始動直後に、燃料増量等の補正が必要以上に行われるのを防止して、良好な排気エミッション特性を実現することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
内燃機関の排気エミッション特性を総合的に改善するためには、内燃機関から排出される未浄化の成分を減らすことと共に、排気ガスを浄化する触媒の状態をも考慮することが望ましい。例えば、内燃機関が始動された後、未だ触媒の暖機が終了していないような状況下では、つまり、触媒温度が十分な浄化能力を得るための活性温度に達していないような状況下では、未燃ガスの排出量が多少増えても、触媒の暖機を優先させた方が総合的には良好なエミッション特性が得られることがある。
【0005】
しかしながら、上記従来の装置において、燃料噴射量や点火時期などのフィードバック制御は、内燃機関の燃焼状態の安定性のみを基礎として実行されている。つまり、上記従来の装置では、触媒の状態を考慮することなしに点火時期等のフィードバック制御が実行されている。このため、上記従来の装置によっては、総合的に見て最適な排気エミッション特性を実現することができなかった。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、触媒の状態を考慮したパラメータ制御を行うことで、良好な排気エミッション特性を実現することのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の排気通路に配置された触媒に供給すべき排気エネルギの目標値を設定する目標値設定手段と、
前記触媒に供給されている現実の排気エネルギを推定する排気エネルギ推定手段と、
前記排気エネルギの目標値と前記現実の排気エネルギとが一致するように内燃機関の制御パラメータを制御するパラメータ制御手段と、を備え
前記排気エネルギは、内燃機関の筒内で仕事として取り出し得る状態で生じた発熱量のうち図示仕事として用いられずに排出された排気損失であり、
前記排気エネルギの目標値は、内燃機関が始動された後、前記触媒の暖機過程で排出されるエミッションの総量を抑制しつつその暖機を速やかに完了させることができる値として定められたものであることを特徴とする。
【0008】
また、第2の発明は、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の排気通路に配置された触媒に供給すべき排気エネルギの目標値を設定する目標値設定手段と、
前記触媒に供給されている現実の排気エネルギを推定する排気エネルギ推定手段と、
前記排気エネルギの目標値と前記現実の排気エネルギとが一致するように内燃機関の制御パラメータを制御するパラメータ制御手段と、を備え、
前記排気エネルギは、
内燃機関の筒内で仕事として取り出し得る状態で生じた発熱量のうち図示仕事として用いられずに排出された前記排気損失と、
内燃機関に供給された全ての燃料が燃焼することで発生する総熱量から前記発熱量、及び冷却損失を除いた残部である未燃損失と、の和であり、
前記排気エネルギの目標値は、内燃機関が始動された後、前記触媒の暖機過程で排出されるエミッションの総量を抑制しつつその暖機を速やかに完了させることができる値として定められたものであることを特徴とする。
【0009】
また、第3の発明は、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の排気通路に配置された触媒に供給すべき排気エネルギの目標値を設定する目標値設定手段と、
前記触媒に供給されている現実の排気エネルギを推定する排気エネルギ推定手段と、
前記排気エネルギの目標値と前記現実の排気エネルギとが一致するように内燃機関の制御パラメータを制御するパラメータ制御手段と、を備え、
前記排気エネルギは、内燃機関に供給された全ての燃料が燃焼することで発生する総熱量から、内燃機関の筒内で仕事として取り出し得る状態で生じた発熱量、及び冷却損失を除いた残部である未燃損失であり、
前記排気エネルギの目標値は、内燃機関が始動された後、前記触媒の暖機過程で排出されるエミッションの総量を抑制しつつその暖機を速やかに完了させることができる値として定められたものであることを特徴とする。
【0011】
また、第の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、前記目標値設定手段は、前記排気エネルギの目標値を、触媒温度と、内燃機関の運転状態とに基づいて算出する目標値算出手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、第の発明は、第5の発明において、前記目標値算出手段は、前記触媒の暖機過程において、前記排気エネルギの目標値を、当該触媒の暖機後に排出される通常の排気エネルギに比して大きな値に設定する暖機時目標値算出手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また、第の発明は、第5の発明において、前記目標値算出手段は、前記触媒の過熱時、或いはその過熱が予想される状況下では、前記排気エネルギの目標値を、当該触媒の暖機後に排出される通常の排気エネルギに比して小さな値に設定する過熱防止目標値算出手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また、第の発明は、第1乃至第7の発明の何れかにおいて、前記排気エネルギ推定手段は、内燃機関の筒内圧と行程容積とに基づいて、前記排気エネルギを算出する排気エネルギ算出手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、第の発明は、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の排気通路に配置されたNOx吸蔵触媒に吸蔵されている総NOx吸蔵量を推定する総NOx吸蔵量推定手段と、
前記NOx吸蔵触媒からNOxを離脱させる必要があるか否かを判断する離脱必要性判断手段と、
前記NOx吸蔵触媒からNOxを離脱させる必要があると判断された場合に、当該NOx吸蔵触媒に流入する排気ガスの空燃比がリッチになるようにリッチスパイク制御を実行する燃料噴射量制御手段と、
内燃機関に供給された全ての燃料が燃焼することで発生する総熱量から内燃機関の筒内で仕事として取り出し得る状態で生じた発熱量および冷却損失を除いた残部である未燃損失を、前記リッチスパイク制御の実行中に推定する未燃損失推定手段と、
前記リッチスパイク制御の実行中に、前記未燃損失に基づいて、前記NOx吸蔵触媒に吸蔵されているNOx総吸蔵量を推定するNOx吸蔵量推定手段と、
前記NOx総吸蔵量が0となった時点で、リッチスパイク制御の終了を指示する終了指示手段と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また、第の発明は、第の発明において、前記リッチスパイク制御の実行中に、前記NOx総吸蔵量が所定の判定値を超えている場合に、前記未燃損失が増大するように内燃機関のパラメータを制御するパラメータ制御手段を備えることを特徴とする。
【0017】
また、第10の発明は、第または第の発明において、前記未燃損失推定手段は、内燃機関の筒内圧と行程容積とに基づいて、前記未燃損失を算出する未燃損失算出手段を備えることを特徴とする。
【0018】
また、第11の発明は、第1乃至第10の発明の何れかにおいて、前記パラメータ制御手段は、点火時期を制御する点火時期制御手段を含むことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0020】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。図1に示すシステムは、内燃機関10を備えている。内燃機関10には、吸気通路12および排気通路14が連通している。
【0021】
吸気通路12には、エアフィルタ16の下流にエアフロメータ18が配置されている。エアフロメータ18は、吸気通路12を流れる吸入空気量Gaを検出するセンサである。エアフロメータ18の下流には、スロットルバルブ20が設けられている。更に、吸気通路12には、内燃機関10の吸気ポートに燃料を噴射するための燃料噴射弁22が配置されている。
【0022】
排気通路14には、NOx吸蔵触媒24が連通している。NOx吸蔵触媒24は、空燃比のリーンな排気ガスが排出されている場合に、そのガス中に含まれるNOxを吸蔵することで排気ガスを浄化する装置である。NOx吸蔵触媒24に吸蔵されたNOxは、排気ガスの空燃比を短時間だけリッチにすることで放出させ、かつ還元させることができる。このため、内燃機関10においては、NOx吸蔵触媒24がNOxを吸蔵できる間は空燃比をリーンに制御し、また、NOx吸蔵触媒24がNOxを一杯に吸蔵した時点で一時的に空燃比をリッチにすることで良好な排気エミッション特性を実現することができる。以下、上記の如く空燃比を一時的にリッチにする制御を「リッチスパイク制御」と称す。
【0023】
排気通路14には、また、NOx吸蔵触媒24の上流に空燃比センサ26が配置されている。空燃比センサ26は、排気空燃比に応じた出力を発するセンサである。空燃比センサ26によれば、内燃機関10から排出されてきた直後の排気ガスの空燃比、すなわち、NOx吸蔵触媒24により浄化される以前の排気ガスの空燃比を検出することができる。
【0024】
NOx吸蔵触媒24の下流には、NOx濃度センサ28が配置されている。NOx濃度センサ28は、NOx吸蔵触媒24の下流に流出してくる排気ガス中のNOx濃度を検出することができる。内燃機関10が空燃比のリーンな排気ガスを排出している場合、NOx吸蔵触媒24の下流には、NOx吸蔵触媒24に一杯にNOxが吸蔵された時点以降NOxが吹き抜けてくる。NOx濃度センサ28によれば、そのNOxの吹き抜けを検知して、リッチスパイク制御の必要性を判断することができる。
【0025】
尚、本実施形態では、NOx吸蔵触媒24の下流にNOx濃度センサ28を配置することとしているが、そのセンサは、NOx濃度センサ28に限られるものではない。すなわち、NOx吸蔵触媒24の下流に配置するセンサは、空燃比がリッチであるかリーンであるかに応じて出力を変化させる酸素濃度センサであってもよい。NOx吸蔵触媒24の下流に流出してくる排気ガス中の酸素濃度は、NOx吸蔵触媒24がNOxを一杯に吸蔵する前後で大きく変化する。従って、酸素濃度センサによっても、NOx濃度センサ28の場合と同様に、リッチスパイク制御の必要性を精度良く判定することができる。
【0026】
内燃機関10には、その先端部が筒内に露出するように点火プラグ30が組み付けられている。また、内燃機関10のシリンダブロックには、冷却水温THWを検出するための水温センサ32が組み付けられている。更に、内燃機関10は、筒内圧を検出するための筒内圧センサ34、および内燃機関内燃機関が所定のクランク角だけ回転する毎にパルス信号を発するクランク角センサ36を備えている。
【0027】
本実施形態のシステムは、図1に示すようにECU(Electronic Control Unit)40を備えている。上述した各種センサ、燃料噴射弁22、および点火プラグ30は、ECU40と電気的に接続されている。ECU40は、それらのセンサ出力に基づいて、燃料噴射時期および燃料噴射量、並びに点火時期などを制御する。
【0028】
次に、図2を参照して、以下の説明において用いられる各種物理量の定義について説明する。
図2は、内燃機関10にa[g]の燃料が供給された場合に、そのa[g]の燃料が発生することのできる熱量の総量が、どのように消費されるかを説明するための図である。図2に示すように、a[g]の燃料が完全燃焼した場合に生ずる総熱量は、「発熱量Q1」、「冷却損失Q3」、および「未燃損失Q4」の何れかの形態で消費される。
【0029】
「発熱量Q1」は、内燃機関10の筒内で仕事として取り出し得る形で発生した熱量の総量であり、現実に仕事として取り出される「図示仕事W」と、仕事として取り出されることなく排気ガスと共に排出される「排気損失Q2」との和として捕らえることができる。後述の如く、発熱量Q1、および図示仕事Wは、何れも、筒内圧力pと行程容積vとに基づいて理論計算により求めることができる。従って、排気損失Q2は、発熱量Q1から図示仕事Wを減ずることにより算出することができる。
【0030】
「冷却損失Q3」とは、内燃機関10の筒内で、仕事として取り出すことのできない形で発生する熱量、つまり、冷却により消費される熱量である。冷却損失Q3は、冷却水温度THWや内燃機関10の運転状態に対してほぼ一義的に決まる値である。このため、冷却損失Q3も、計算により求めることができる。
【0031】
「未燃損失Q4」とは、内燃機関10に供給されたa[g]の燃料のうち、筒内で燃焼せずに排出された燃料が、排気系で燃焼することにより生ずる熱量である。未燃損失Q4は、a[g]の燃焼が完全燃焼することで生ずる総熱量Hu・aから、上記の発熱量Q1および冷却損失Q3を減ずることにより算出することができる。但し、上記の「Hu」は、燃料1[g]当たりの発熱量、すなわち、燃料低発熱量である。
【0032】
内燃機関10の排気系が十分に高温であり、かつ、その内部に十分な酸素が存在する場合は、内燃機関10の筒内で燃焼しなかった全ての燃料は排気系で燃焼することができる。この場合、排気系には、上述した排気損失Q2と未燃損失Q4との和に相当するエネルギが排出されることになる。以下、図2に示すように、そのエネルギQ2+Q4を「排気エネルギQ5」と称することにする。
【0033】
次に、図3を参照して、内燃機関10のエミッション特性と排気エネルギQ5との関係について説明する。
図3(A)は、内燃機関10が冷間始動された後、所定の時間が経過した時点でのNOx吸蔵触媒24の暖機状態(触媒温度)と、排気エネルギQ5との関係を示す。図3(A)に示す通り、NOx吸蔵触媒24の暖機は、排気エネルギQ5が多量であるほど早期に進行する。NOx吸蔵触媒24は適当な暖機状態に至ることにより正常な浄化能力を発揮する。従って、内燃機関10が始動された後、NOx吸蔵触媒24は、排気エネルギQ5が多量であるほどより早期に正常な浄化能力を発揮し得る状態となる。
【0034】
図3(B)は、NOx吸蔵触媒24に流入するエミッション(HC、CO)の量と、排気エネルギQ5との関係を示す。図3(B)に示す通り、触媒流入エミッションの量は、排気エネルギQ5が多いほど多量となる。NOx吸蔵触媒24の下流に吹き抜けてくるエミッションの量は、当然に、触媒流入エミッションが多量であるほど多くなる。このため、内燃機関10のエミッション特性は、排気エネルギQ5が多量となるほど悪化し易い。
【0035】
図3(C)は、NOx吸蔵触媒24の暖機過程において、その下流に吹き抜ける触媒流出エミッション(HC、CO)の量と、排気エネルギQ5との関係を示す。暖機過程中にNOx吸蔵触媒24の下流に吹き出してくる触媒流出エミッションの量は、図3(A)に示す触媒暖機の状態、および図3(B)に示す触媒流入エミッションの双方に基づいて決定される。そして、触媒流出エミッションの量は、図3(C)に示す通り、特定の排気エネルギQ5に対して下限値を示すように変化する。従って、NOx吸蔵触媒24の暖機過程におけるエミッション特性を最適化するうえでは、単に触媒流出エミッションを最少化したり、或いは、単に触媒暖機を優先させたりするのではなく、両者を共に考慮したうえで、触媒流出エミッションの量が下限値となるように暖機過程における排気エネルギQ5を制御することが望ましい。
【0036】
本実施形態のシステムは、上記の要求に応えるべく、以下のような手順に従って、点火時期の制御を行うこととしている。
すなわち、本実施形態のシステムは、点火時期の制御を実行する前提として、内燃機関の運転状態を表すパラメータ(機関回転数NE、吸入空気量Gaなど)や、NOx吸蔵触媒24の温度との関係で目標排気エネルギQtを定めたマップを備えている。このマップに含まれる目標排気エネルギQtは、通常の走行パターンを網羅するものとして定められた特定の走行モードを前提として、NOx吸蔵触媒24の暖機が終了するまでにその下流に排出されるエミッションの総量が最少になるように、実験的に、或いはシミュレーションにより決定された値である。より具体的には、それらの目標排気エネルギQtは、NOx吸蔵触媒24の暖機が終了した後、通常の運転状態で内燃機関10から排出される排気エネルギに比べて大きな値であり、かつ、NOx吸蔵触媒24の下流に不当に多量の未燃成分を排出することのない値である。
【0037】
本実施形態において、ECU40は、内燃機関10が始動された後、NOx吸蔵触媒24の暖機が終了するまで、上記のマップを参照して、内燃機関10の運転状態や触媒温度に対応する目標排気エネルギQtを設定する。そして、現実の排気エネルギQ5がその目標排気エネルギQtに一致するように、内燃機関10の点火時期を制御する。
【0038】
図4は、上記の機能を実現するためにECU40が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。このルーチンは、一定のクランク角毎に実行される。
図4に示すルーチンでは、先ず、NOx吸蔵触媒24の暖機中であるか否かが判別される(ステップ100)。
【0039】
その結果、暖機中でないと判別された場合は、以後速やかに今回の処理サイクルが終了される。一方、NOx吸蔵触媒24の暖機中であると判別された場合は、現在までの暖機実行時間が検知される(ステップ102)。
暖機の実行時間は、暖機過程にあるNOx吸蔵触媒24の温度を推定するために検知される。従って、触媒温度が直接検出できる場合には、暖機の実行時間に換えて、触媒温度を本ステップ102で検出することとしてもよい。
【0040】
図4に示すルーチンでは、次に、内燃機関10の筒内圧力pとクランク角とが計測される(ステップ104,106)。
より具体的には、これらのステップ104,106では、燃焼行程の開始時点から排気行程の終了時点まで、所定のサンプリング時間毎に筒内圧力pとクランク角とが検出される。
【0041】
次に、その燃焼行程のために内燃機関10に供給された燃料a[g]が検出される(ステップ108)。
【0042】
次いで、上記ステップ104および106で検出された筒内圧力pおよびクランク角に基づいて、以下に示す演算式に従って、発熱量Q1および図示仕事W(図2参照)が演算される(ステップ110)。
W=∫pdv
Q1=∫{1/(κ−1)}(vdp+κpdv)
但し、vは、クランク角からの換算により得られた行程容積である。また、κは比熱比である。
【0043】
発熱量Q1および図示仕事Wが算出されたら、次に、それらの算出値を次式に当てはめることにより排気損失Q2が演算される(ステップ112)。
Q2=Q1−W
【0044】
次に、内燃機関の冷却損失Q3が検出される(ステップ114)。
冷却損失Q3は、既述した通り、内燃機関10の運転状態や、冷却水温度THWに対して一義的に決定される値である。ECU40は、それらのパラメータとの関係で冷却損失Q3を定めたマップを記憶しており、本ステップ114では、そのマップを参照することで、現在の状況下で発生すると予測される冷却損失Q3を推定する。
【0045】
図4に示すルーチンでは、次に、未燃損失Q4が算出される(ステップ116)。
既述した通り、未燃損失Q4は、a[g]の燃焼が完全燃焼することにより生ずる総熱量Hu・aから、発熱量Q1および冷却損失Q3を減ずることにより求めることができる(図2参照)。従って、本ステップ116では、上記ステップ108で検出された燃料噴射量a、上記ステップ110で算出された発熱量Q1、および上記ステップ114で算出された冷却損失Q3を、次式に代入することにより未燃損失Q4が算出される。
Q4=Hu・a−(Q1+Q3)
【0046】
上記の処理により未燃損失Q4が算出されると、その算出値Q4と、上記ステップ112で算出された排気損失Q2とを次式に代入することで、排気エネルギQ5が算出される(ステップ118)。
【0047】
次に、NOx吸蔵触媒24の暖機過程に排出されるエミッションの総量を最少とするための目標排気エネルギQtが設定される(ステップ120)。
既述した通り、ECU40は、内燃機関の運転状態や触媒温度との関係で目標排気エネルギQtを定めたマップを記憶している。本ステップ120では、そのマップを参照することで、内燃機関10の運転状態、およびNOx吸蔵触媒24の温度(上記ステップ102で検知した暖機実行時間から推定した温度)に対応する目標排気エネルギQtが設定される。
【0048】
図4に示すルーチンでは、次に、目標排気エネルギQtと現実の排気エネルギQ5との差が、所定の判定値α以上であるか否かが判別される(ステップ122)。
【0049】
その結果、│Qt−Q5│≧αが成立しないと判別された場合は、現実の排気エネルギQ5がほぼ目標を満たしていると判断することができる。この場合、以後、速やかに今回の処理サイクルが終了される。一方、上記の条件が成立すると判別された場合は、現実の排気エネルギQ5が、目標排気エネルギQtに近づくように点火時期の補正量が決定される(ステップ124)。
【0050】
排気エネルギQ5は、既述した通り、排気損失Q2と未燃損失Q4との和である。排気損失Q2や未燃損失Q4は、筒内での燃焼状態と排気行程の開始時期との関係、つまり、筒内での燃焼状態とクランク角との関係が変化することにより変化する。点火時期が変わると、上記の関係が変化するため、排気損失Q2や未燃損失Q4の値に変化が生ずる。このため、上記ステップ124において、点火時期を適当に制御すれば、排気エネルギQ5を目標排気エネルギQtに近づけることができる。
【0051】
本実施形態において、ECU40は、空燃比センサ26が活性状態である場合は、そのセンサ出力(すなわち、排気空燃比)に基づいて、公知の空燃比フィードバック制御によって燃料噴射量を制御する。上記ステップ124における点火時期の制御は、空燃比フィードバック制御を実行すべき状況下では、その制御と共に実行される。このため、本実施形態の装置によれば、排気空燃比を目標空燃比に維持したまま、排気エネルギQ5を目標排気エネルギQtに向けて増大させることができる。
【0052】
以上説明した通り、図4に示すルーチンによれば、点火時期を適当に制御することにより、NOx吸蔵触媒24の暖機中に、排気エネルギQ5を、目標排気エネルギQtに一致させることができる。既述した通り、目標排気エネルギQtは、NOx吸蔵触媒24の暖機が終了した後、通常の運転状態で排出される排気エネルギに比して大きな値であり、かつ、不当に多量の未燃成分をNOx吸蔵触媒24の下流に排出させることのない値である。このため、本実施形態の装置によれば、内燃機関10が始動された後、NOx吸蔵触媒24の暖機過程で排出されるエミッションの総量を抑制しつつその暖機を速やかに完了させることができ、その結果、良好な排気エミッション特性を実現することができる。
【0053】
更に、本実施形態の装置は、筒内圧力pと行程容積vとに基づいて、内燃機関10において現実に生じている発熱量Q1や図示仕事Wなどを算出し、それらの算出値に基づいて排気エネルギを算出している。そして、その排気エネルギが目標排気エネルギQtと一致するように点火時期を制御することとしている。このような手法によれば、内燃機関10の個体差や経年変化に起因するばらつきの影響を吸収して、常に最適な点火時期制御を達成することができる。このため、本実施形態の装置によれば、個体差や経年変化に関わらず、常に良好な排気エミッション特性を実現することができる。
【0054】
ところで、上述した実施の形態1においては、排気通路14に配置される触媒を、NOx吸蔵触媒24に限定しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明において、排気通路に配置される触媒は、三元触媒であってもよい。
【0055】
また、上述した実施の形態1においては、排気損失Q2と未燃損失Q4との和を排気エネルギQ5として、その排気エネルギQ5を目標の値に一致させることにより暖機過程におけるエミッション量を削減することとしているが、エミッション量を削減するために制御すべき物理量は上記の排気エネルギQ5に限定されるものではない。すなわち、排気損失Q2そのもの、或いは未燃損失Q3そのものを単独で排気エネルギと捕らえて、それらの排気エネルギ(Q2またはQ3)が、それらの目標値に一致するように制御を行うこととしてもよい。
【0056】
更に、上述した実施の形態1においては、空燃比フィードバック制御を実行しつつ、点火時期を制御することで排気エネルギQ5を目標排気エネルギQtに一致させることとしているが、排気エネルギQ5を変化させる手法はこれに限定されるものではない。
すなわち、排気エネルギQ5は、燃料噴射量(空燃比)を変化させることによっても変化させることができる。従って、空燃比を維持するよりも、排気エネルギQ5を目標排気エネルギQtに一致させることを優先すべき場合には、点火時期に代えて、或いは点火時期と共に燃料噴射量を制御することにより、排気エネルギQ5を目標排気エネルギQtに一致させることとしてもよい。
【0057】
また、上述した実施の形態1においては、点火時期を変化させることにより筒内で燃焼が開始されるタイミングを変化させ、その変化によって排気エネルギQ5を変化させることとしているが、排気エネルギQ5を変化させる手法はこれに限定されるものではない。すなわち、排気エネルギQ5は、筒内での燃焼速度を変化させることによって変化させることとしてもよい。
【0058】
図5(A)は、筒内での燃焼速度とEGR率(排気ガス還流比率)との関係を示す。この図に示す通り、筒内での燃焼速度は、EGR率が高くなるほど、つまり、筒内に還流される排気ガスの比率が高くなるほど遅くなる。筒内での燃焼速度が遅くなると、排気行程が開始される時点で図示仕事Wに変換されていない熱量が増加し、また、その時点で燃焼していない燃料の量が増加する。従って、排気損失Q2および未燃損失Q4は、何れもEGR率が高くなるほど増加する。
【0059】
以上の理由により、排気エネルギQ5は、図5(B)に示すようにEGR率が高くなるほど増加する傾向を示す。このため、内燃機関10が排気ガス還流システム(EGRシステム)を備えている場合は、点火時期に代えて、或いは点火時期と共に、EGR率を制御することにより排気エネルギQ5を変化させることとしてもよい。
【0060】
また、排気エネルギQ5は、筒内での混合気の燃焼温度を変化させることにより増減させることもできる。このため、内燃機関10が、筒内での燃焼温度を変化させるために機構を備えている場合は、点火時期に代えて、或いは点火時期と共に、その機構を制御することにより排気エネルギQ5を変化させることとしてもよい。
【0061】
筒内での燃焼温度を変化させる手法としては、また、吸気バルブの閉弁時期を早める手法が知られている。
図6は、吸気バルブが下死点BDCで閉じられる場合のPV線図(実線)と、吸気バルブがより早く閉じられた場合のPV線図(破線)を示す(P:筒内圧力、V:行程容積)。図6中に実線で示す通り、吸気バルブが下死点BDCで閉じられる場合は、ピストンが下死点BDCに至るまで、ほぼ一定の筒内圧力Pが維持され、その後、ピストンが上死点TDCに向かって移動する全過程において筒内圧力Pは上昇傾向を示す。一方、図6中に破線で示す通り、吸気バルブがより早期に閉弁された場合は、ピストンが下死点BDCに到達する以前に筒内圧力Pに減少が生ずる。この場合、ピストンが上死点TDCに到達した際に得られる筒内圧力Pは、吸気バルブが下死点BDCで閉じられる場合に比して低いものとなる。
【0062】
燃焼室温度は、ピストンが上死点TDCに達した際の筒内圧力Pが高いほど高温となり、その温度が低いほど低温となる。内燃機関10の筒内に導かれた混合気は、燃焼室温度が高温であるほど高い燃焼温度となり易い。このため、内燃機関10が吸気バルブの閉弁時期を可変とする機構を備えている場合は、その機構を制御することで燃焼温度を制御し、その結果として排気エネルギQ5を変化させることとしてもよい。
【0063】
筒内での燃焼温度を変化させる手法としては、更に、インタークーラを用いて吸気温度を下げる手法が知られている。
内燃機関10の筒内に導かれた混合気は、吸気温度が低いほど低温となり易い。このため、内燃機関10がインタークーラなどの冷却機構を備えている場合は、その冷却機構の作動状態を変化させることにより燃焼温度を制御し、その結果として排気エネルギQ5を変化させることとしてもよい。
【0064】
尚、上述した実施の形態1においては、点火時期が前記第1乃至第3の発明における「内燃機関の制御パラメータ」に相当していると共に、ECU40が、上記ステップ120の処理を実行することにより前記第1乃至第3の発明における「目標値設定手段」が、上記ステップ104〜118の処理を実行することにより前記第1乃至3の発明における「排気エネルギ推定手段」が、上記ステップ122,124の処理を実行することにより前記第1乃至第3の発明における「パラメータ制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0065】
また、上述した実施の形態1においては、ECU40が、上記ステップ120の処理を実行することにより前記第の発明における「目標値算出手段」、および前記第の発明における「暖機時目標値算出手段」が実現されている。
【0066】
また、上述した実施の形態1においては、ECU40が、上記ステップ104〜118の処理を実行することにより前記第の発明における「排気エネルギ算出手段」が実現されている。
【0067】
実施の形態2.
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施形態の装置は、実施の形態1の場合と同様の構成を用いて、ECU40に、上記図4に示すルーチンに代えて、或いは、そのルーチンと共に、図7に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0068】
内燃機関10の運転中、特に、高負荷高回転運転中には、多大な排気エネルギが継続的に排出されることにより、排気系が過熱状態となることがある。排気系の耐久性を高めるうえでは、このような過熱状態の発生を避けることが望ましい。そこで、本実施形態の装置は、排気系が過熱状態となることが予想されるような場合には、排気エネルギQ5が小さくなるように内燃機関の制御パラメータを変更して、その過熱状態の発生を回避することとしている。
【0069】
図7は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU40が実行する制御ルーチンのフローチャートである。このルーチンは、一定クランク角毎に実行される。尚、図7において、上記図4に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0070】
図7に示すルーチンでは、先ず、内燃機関10の運転状態に基づいてNOx吸蔵触媒24が過熱状態となっているか否かが判別される(ステップ130)。
【0071】
その結果、NOx吸蔵触媒24が過熱状態でないと判別された場合は、以後、何ら処理を進める必要がないため、そのまま今回の処理サイクルが終了される。一方、NOx吸蔵触媒24が過熱状態であると判別された場合は、その後、実施の形態1の場合と同様の手法で排気エネルギQ5を算出すべく、ステップ104〜118の処理が実行される。
【0072】
図4に示すルーチンでは、次に、排気系の過熱を防止するための目標排気エネルギQtが設定される(ステップ132)。
ECU40は、内燃機関の運転状態を表すパラメータ(機関回転数NE、吸入空気量Gaなど)や、NOx吸蔵触媒24の温度との関係で目標排気エネルギQtを定めたマップを備えている。このマップに含まれる目標排気エネルギQtは、通常の運転状態で内燃機関10から排出される排気エネルギに比べて小さな値である。従って、現実の排気エネルギQ5がその目標排気エネルギQtに制御されれば、高負荷高回転運転時においても、NOx吸蔵触媒24の過熱を有効に防止することができる。
【0073】
目標排気エネルギQtが設定されると、次に、その値Qtと現実の排気エネルギQ5との差が、所定の判定値β以上であるか否かが判別される(ステップ134)。
【0074】
その結果、│Qt−Q5│≧βが成立しないと判別された場合は、現実の排気エネルギQ5がほぼ目標を満たしていると判断することができる。この場合、以後、速やかに今回の処理サイクルが終了される。一方、上記の条件が成立すると判別された場合は、現実の排気エネルギQ5を、目標排気エネルギQtに近づけるべく、ステップ124の処理、すなわち、点火時期補正量を決定する処理が実行される。
【0075】
ECU40は、実施の形態1の場合と同様に、空燃比センサ26が活性状態である場合は、上記ステップ124の点火時期制御を、空燃比フィードバック制御による燃料噴射量制御と共に実行する。このため、本実施形態の装置によれば、排気空燃比を目標空燃比に維持したまま、排気エネルギQ5を目標排気エネルギQtの近傍に制御してNOx吸蔵触媒24の過熱を防止することができる。
【0076】
ところで、上記の説明では、ステップ130において、NOx吸蔵触媒24が現実に過熱状態となっているか否かを判別することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、上記ステップ130では、NOx吸蔵触媒24が、過熱状態となる可能性があるか否かを判別することとしてもよい。
【0077】
また、上記の説明では、ステップ130において、内燃機関10の運転状態に基づいて過熱状態に関する判断を行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、過熱状態に関する判断は、例えば、触媒温度を計測するセンサを設けて、そのセンサにより実測される触媒温度に基づいて行うこととしてもよい。
【0078】
また、上述した実施の形態2においては、排気通路14にNOx吸蔵触媒24を配置することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、排気系に配置される触媒は三元触媒であってもよい。
【0079】
また、上述した実施の形態2においては、排気損失Q2と未燃損失Q4との和を排気エネルギQ5としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、排気損失Q2そのもの、或いは未燃損失Q3そのものを単独で排気エネルギと捕らえてもよい。
【0080】
また、上述した実施の形態2においては、空燃比フィードバック制御の実行と併せて点火時期の制御を行うことで排気エネルギQ5を制御することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、空燃比を維持するよりも、排気エネルギQ5を目標排気エネルギQtに一致させることを優先すべき場合には、点火時期に代えて、或いは点火時期と共に燃料噴射量を制御することにより、排気エネルギQ5を目標排気エネルギQtに一致させることとしてもよい。
【0081】
また、上述した実施の形態2においては、排気エネルギQ5を変化させるための制御パラメータとして点火時期を用いているが、このような制御パラメータは、点火時期に限られるものではない。すなわち、実施の形態1の変形例としても説明した通り、排気エネルギQ5を変化させるための制御パラメータは、EGR率のように筒内での燃焼速度を変化させるパラメータや、バルブオーバーラップ量、吸気バルブの閉じタイミング、或いはインタークーラの作動状態など、筒内での燃焼温度を変化させるパラメータであってもよい。
【0082】
尚、上述した実施の形態2においては、点火時期が前記第1乃至第3の発明における「内燃機関の制御パラメータ」に相当していると共に、ECU40が、上記ステップ132の処理を実行することにより前記第1乃至第3の発明における「目標値設定手段」が、上記ステップ104〜118の処理を実行することにより前記第1乃至第3の発明における「排気エネルギ推定手段」が、上記ステップ134,124の処理を実行することにより前記第1乃至第3の発明における「パラメータ制御手段」が、それぞれ実現されている。
【0083】
また、上述した実施の形態1においては、ECU40が、上記ステップ132の処理を実行することにより前記第の発明における「目標値算出手段」、および前記第の発明における「過熱防止目標値算出手段」が実現されている。
【0084】
実施の形態3.
次に、図8および図9を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施形態の装置は、実施の形態1の場合と同様の構成(図1参照)を用いて、ECU40に、上記図4に示すルーチンに代えて、或いは、そのルーチンと共に、後述する図9に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0085】
本実施形態の装置は、排気通路14にNOx吸蔵触媒24を備えている。
図8は、NOx吸蔵触媒24を備える内燃機関10において、通常実行される空燃比制御の内容を説明するためのタイミングチャートである。より具体的には、図8(A)は、ECU40が空燃比フィードバック制御の際に用いる目標空燃比の波形である。また、図8(B)は、NOx吸蔵触媒24に吸蔵されるNOxの総量を表す波形である。
【0086】
NOx吸蔵触媒24は、既述した通り、空燃比のリーンな排気ガスが排出されている場合に、そのガス中のNOxを吸蔵することで排気ガスの浄化を図る装置である。このため、内燃機関10においては、エミッション特性の悪化を伴うことなく、長期間に渡って空燃比をリーンに維持することができる。
【0087】
空燃比が長期に渡ってリーンに維持されている間、NOx吸蔵触媒24中のNOx量は、図8(B)に示す通り徐々に増加する。そして、NOx吸蔵触媒24は、やがて、能力一杯にNOxを吸蔵した状態となる(時刻t1)。ここで、能力一杯とは、NOx吸蔵触媒24が最大に吸蔵できる量の数割程度を示し、少なくともこれ以上NOxが吸蔵されるとNOx吸蔵触媒24からNOxが排出されてしまう量である。
【0088】
NOx吸蔵触媒24が能力一杯にNOxを吸蔵した後、更に空燃比がリーンに制御され続けると、NOx吸蔵触媒24の下流にNOxを含む排気ガスが吹き抜ける事態が生ずる。このため、本実施形態の装置は、NOx吸蔵触媒24に能力一杯のNOxが吸蔵されたことを検知すると、以後、リッチスパイク制御を開始する。
【0089】
リッチスパイク制御は、既述した通り、排気ガスの空燃比を一時的にリッチとする制御である。NOx吸蔵触媒24は、リッチスパイク制御の開始に伴ってNOx吸蔵触媒24に流入する排気ガスがリッチ化されると、NOx吸蔵触媒24に吸蔵されているNOxの放出、還元が行われる。その結果、NOx吸蔵触媒24に吸蔵されているNOxの総量は、図8(B)に示す通り、時刻t1の後急激に減少し、短時間の後にほぼ0となる(時刻t2)。
【0090】
NOx吸蔵触媒24が全てのNOxを放出した後、更にリッチスパイク制御が継続されると、NOx吸蔵触媒24の下流にHC、COなどの未燃成分を含む排気ガスが吹き抜ける事態が生ずる。このため、本実施形態の装置は、NOx吸蔵触媒24からほぼ全てのNOxが放出されたことを検知すると、以後、リッチスパイク制御を終了させる。
【0091】
ところで、ECU40が、上述したリッチスパイク制御を開始するためには、NOx吸蔵触媒24が能力一杯にNOxを吸蔵した状態を検知する必要がある。また、開始したリッチスパイク制御を終了させるためには、ECU40が、NOx吸蔵触媒24から、ほぼ全てのNOxが放出された状態を検知する必要がある。前者の状態は、NOx吸蔵触媒24の下流にNOx(或いは酸素)を含むガスが吹き抜けてきたか否かを見ることで判断することができる。また、後者の状態は、NOx吸蔵触媒24の下流にHCやCOを含むガスが吹き抜けてきたか否かを見ることで判断することができる。しかしながら、それらの方法では、極めて短い時間ではあるが、NOxやHC、COなどが大気に放出されるのを許容することになる。
【0092】
内燃機関10において良好なエミッション特性を得るためには、リッチスパイク制御の開始時および終了時にも、NOxやHC、COなどの未浄化成分が大気に放出されないことが望ましい。そこで、本実施形態の装置は、NOx吸蔵触媒24に吸蔵されているNOxの総量を常時推定し、その推定量が既定の吸蔵能力に達したか否か、或いは、その推定量が0となったか否かに基づいて、リッチスパイク制御の開始および終了を指令することとしている。
【0093】
図9は、上記の機能を実現するためにECU40が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。
図9に示すルーチンでは、先ず、リッチスパイク制御の実行中であるか否かが判別される(ステップ140)。
【0094】
その結果、リッチスパイク制御の実行中ではないと判別された場合は、次に、機関回転数NE、吸入空気量Ga、および燃料噴射量(燃料噴射時間TAU)など、NOx排出量QNOxを算出するための物理量が計測される(ステップ142)。
【0095】
次に、上記ステップ142で計測された各種の物理量に基づいて、単位時間当たりに内燃機関10から排出されるNOxの量QNOxが算出される(ステップ144)。
ECU40は、例えば、予め記憶しているマップを参照するなど、公知の手法でNOx排出量QNOxを算出することができる。
【0096】
次に、前回の処理サイクル時に算出されたNOx吸蔵触媒24におけるNOxの総吸蔵量SUMQNOxOが読み出される(ステップ146)。
【0097】
次いで、NOx吸蔵触媒24におけるNOxの捕獲率Rが算出される(ステップ146)。
NOx吸蔵触媒24は、NOxの総吸蔵量SUMQNOxが少ないほど、排気ガス中のNOxを高い割合で捕獲する。ECU40は、その捕獲の割合、つまり捕獲率Rと総吸蔵量SUMQNOxとの関係を定めたマップを記憶している。本ステップ146では、そのマップを参照して、前回の処理サイクル時に算出された総吸蔵量SUMQNOxOに対応する捕獲率Rが算出される。
【0098】
図9に示すルーチンでは、次に、上記ステップ144で算出されたNOx排出量QNOxと上記ステップ148で算出された捕獲率Rとを掛け合わせることにより、NOx吸蔵触媒24における単位時間当たりのNOx捕獲量=R・QNOxが算出される(ステップ150)。
【0099】
次いで、前回の処理サイクル時に算出された総吸蔵量SUMQNOxOに、上記ステップ150で算出された捕獲量R・QNOxを加えることにより、最新の総吸蔵量SUMQNOxが算出される(ステップ152)。
【0100】
上記の処理により最新の総吸蔵量SUMQNOxが算出されると、次に、算出された値SUMQNOxが、最大許容吸蔵量QMAX以上であるか、つまり、NOx吸蔵触媒24が最大限吸蔵することのできるNOx量以上であるかが判別される(ステップ154)。
【0101】
その結果、SUMQNOx≧QMAXが成立しないと判別された場合は、まだ、NOx吸蔵触媒24に能力一杯のNOxが吸蔵されていないと判断することができる。つまり、リッチスパイク制御を開始すべき状況が未だ形成されていないと判断することができる。この場合、以後、速やかに今回の処理サイクルが終了される。
【0102】
一方、上記ステップ154において、SUMQNOx≧QMAXが成立すると判別された場合は、NOx吸蔵触媒24に能力一杯のNOxが吸蔵されている、つまり、リッチスパイク制御を開始すべき状況が形成されていると判断することができる。この場合、リッチスパイク制御の開始が指令された後(ステップ156)、今回の処理サイクルが終了される。
【0103】
上記ステップ156の処理が実行されると、内燃機関10では、その後、速やかにリッチスパイク制御が開始される。その結果、NOx吸蔵触媒24に空燃比のリッチな排気ガスが流入し始め、NOx吸蔵触媒24に吸蔵されているNOxの放出が開始される。
【0104】
図9に示すルーチン中、上記ステップ140において、リッチスパイク制御の実行中であるとの判断がなされた場合は、次に、内燃機関10の筒内圧力pとクランク角とが計測される(ステップ158,160)。
より具体的には、これらのステップ158,160では、燃焼行程の開始時点から排気行程の終了時点まで、所定のサンプリング時間毎に筒内圧力pとクランク角とが検出される。
【0105】
次に、その燃焼行程のために内燃機関10に供給された燃料a[g]が検出される(ステップ162)。
【0106】
次いで、上記ステップ158および160で検出された筒内圧力pおよびクランク角に基づいて発熱量Q1(図2参照)が演算される(ステップ164)。
本ステップ164において、発熱量Q1は、実施の形態1の場合と同様の手法で算出される(上記ステップ110参照)。すなわち、筒内圧力pと、クランク角から求めた行程容積vと、比熱非κとを用いて、次式に従って演算される。
Q1=∫{1/(κ−1)}(vdp+κpdv)
【0107】
次に、内燃機関の冷却損失Q3が検出される(ステップ166)。
冷却損失Q3は、実施の形態1の場合と同様に(上記ステップ114参照)、ECU40に記憶されているマップを参照して、内燃機関10の運転状態や、冷却水温度THWに基づいて算出される。
【0108】
更に、実施の形態1の場合と同様の手法で(上記ステップ116参照)、未燃損失Q4が算出される(ステップ168)。
具体的には、未燃損失Q4は、次式に従って算出される。
Q4=Hu・a−(Q1+Q3)
但し、Huは燃料低発熱量、つまり、燃料1[g]当たりの発熱量である。
【0109】
上記ステップ168において算出される未燃損失Q4は、排気ガス中に含まれているHCやCOの量と対応している。また、リッチスパイク制御の実行中に、単位時間当たりに還元されるNOxの量、つまり、単位時間当たりにNOx吸蔵触媒24から放出されるNOxの量は、排気ガス中のHCやCOの量と対応している。従って、リッチスパイク制御が実行されることにより、NOx吸蔵触媒24から放出される単位時間当たりのNOx量は、未燃損失Q4に対応した値となる。
【0110】
図9に示すルーチンでは、上記ステップ168の処理に次いで、その処理により算出された未燃損失Q4と、換算値γとが掛け合わされることにより、還元量γ・Q4が算出される(ステップ170)。
換算値γは、未燃損失Q4を、NOx吸蔵触媒24から放出される単位時間当たりのNOx量に換算するための係数である。従って、本ステップ170の処理によれば、未燃損失Q4に基づいて、単位時間当たりにNOx吸蔵触媒24から放出されるNOxの量を、還元量γ・Q4として算出することができる。
【0111】
次に、前回の処理サイクル時に算出されたNOx総吸蔵量SUMQNOxOが読み出される(ステップ172)。
【0112】
次いで、上記ステップ172において読み出された総吸蔵量SUMQNOxOから、上記ステップ170で算出された還元量γ・Q4を減ずることにより、最新の総吸蔵量SUMQNOxが算出される(ステップ174)。
【0113】
上記の処理により最新の総吸蔵量SUMQNOxが算出されると、次に、算出された値SUMQNOxが0以下であるか、つまり、NOx吸蔵触媒24が全てのNOxを放出した状態にあるかが判別される(ステップ176)。
【0114】
その結果、SUMQNOx≦0が成立しないと判別された場合は、まだ、NOx吸蔵触媒24にNOxが残存していると判断することができる。つまり、リッチスパイク制御を終了すべき状況が未だ形成されていないと判断することができる。この場合、以後、速やかに今回の処理サイクルが終了される。
【0115】
一方、上記ステップ176において、SUMQNOx≦0が成立すると判別された場合は、NOx吸蔵触媒24から実質的に全てのNOxが放出されている、つまり、リッチスパイク制御を終了すべき状況が形成されていると判断することができる。この場合、リッチスパイク制御の終了が指令された後(ステップ178)、今回の処理サイクルが終了される。
【0116】
以上説明した通り、図9に示すルーチンによれば、NOx吸蔵触媒24に吸蔵されているNOxの総量SUMQNOxを常時監視すること、特に、リッチスパイク制御の実行中にも、その総吸蔵量SUMQNOxを監視することができる。そして、総吸蔵量SUMQNOxの値に基づいて、リッチスパイク制御の開始と終了を指令することができる。このため、本実施形態の装置によれば、NOx吸蔵触媒24の下流に、未浄化の成分を流出させることなく、リッチスパイク制御の開始および終了を指令することができ、極めて優れた排気エミッション特性を実現することができる。
【0117】
更に、図9に示すルーチンでは、NOxの総吸蔵量SUMQNOxを監視しながらリッチスパイク制御が進められるため、何らかの事情により、NOx吸蔵触媒24中の全てのNOxが放出される以前にリッチスパイク制御が中止された場合にも、その時点におけるNOxの残留量を精度良く把握しておくことができる。このため、本実施形態の装置によれば、NOxが完全に放出される前にリッチスパイク制御が中止されることがあっても、その中止の後も、優れた排気エミッション特性を維持することができる。
【0118】
ところで、上述した実施の形態3においては、リッチスパイク制御が実行されていない期間中もNOxの総吸蔵量SUMQNOxの監視を実行して、その値SUMQNOxが最大吸蔵量QMAXに達した時点でリッチスパイク制御の必要性を判断することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、リッチスパイク制御の必要性については、NOx吸蔵触媒24の下流に、NOx或いは酸素を含む排気が流出してきたか否かに基づいて判断することとしてもよい。
【0119】
尚、上述した実施の形態3においては、ECU40が、上記ステップ142〜152および158〜174の処理を実行することにより、前記第の発明における「総NOx吸蔵量推定手段」が、上記ステップ154の処理を実行することにより前記第の発明における「離脱必要性判断手段」が、上記ステップ156の指令を受けて「リッチスパイク制御」を実行することにより前記第の発明における「燃料噴射量制御手段」が、上記ステップ158〜168の処理を実行することにより前記第の発明における「未燃損失推定手段」が、上記ステップ172および174の処理を実行することにより前記第の発明における「NOx吸蔵量推定手段」が、上記ステップ176および178の処理を実行することにより前記第の発明における「終了指示手段」が、それぞれ実現されている。
【0120】
また、上述した実施の形態3においては、ECU40が、上記ステップ158〜168の処理を実行することにより、前記第10の発明における「未燃損失算出手段」が実現されている。
【0121】
実施の形態4.
次に、図10を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
本実施形態の装置は、実施の形態3の装置に、上記図9に示すルーチンに代えて、図10に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
【0122】
上述した実施の形態3の装置は、NOx吸蔵触媒24から放出されるNOxの量が未燃損失Q4と相関を有することを利用して、リッチスパイク制御の実行中に、未燃損失Q4を算出し、その値に基づいて総吸蔵量SUMQNOxの減算処理を実行している。ところで、NOx吸蔵触媒24から放出されるNOxの量は、未燃損失Q4を増大させることにより増加させることができる。従って、総吸蔵量SUMQNOxが多量に存在する場合に、未燃損失Q4を増大させれば、NOx吸蔵触媒24内に残存しているNOxを早期に放出させてリッチスパイク制御の実行期間を短縮することができる。そこで、本実施形態の装置は、リッチスパイク制御の実行中に、NOx吸蔵触媒24内に多量の総吸蔵量SUMQNOxが残存している場合は、未燃損失Q4が増えるように内燃機関10の制御パラメータを制御して、リッチスパイク制御の実行期間を短縮することとしている。
【0123】
図10は、上記の機能を実現するためにECU40が実行する制御ルーチンのフローチャートを示す。この制御ルーチンは、ステップ176において、SUMQNOx≦0の条件が成立しないと判別された場合に、ステップ180および182の処理が実行される点を除き、上記図9に示すルーチンと同一である。尚、図10において、上記図9に示すステップと同一のステップについては、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
【0124】
すなわち、図10に示すルーチンにおいては、リッチスパイク制御の実行中に、ステップ176においてSUMQNOx≦0が成立しない、つまり、リッチスパイク制御を終了させる必要がないと判別された場合に、その時点おける総吸蔵量SUMQNOxが、所定の判定値δ以上であるか否かが判別される(ステップ180)。
【0125】
上記の判別の結果、SUMQNOx≧δが成立しないと判別された場合は、NOx吸蔵触媒24に吸蔵されているNOxの量が僅かであると判断することができる。この場合、以後、何ら処理が実行されることなく今回の処理サイクルが終了される。一方、上記の条件が成立すると判別された場合は、NOx吸蔵触媒24内に未だ多量のNOxが残存していると判断することができる。この場合、未燃損失Q4が増加するように点火時期が変更される(ステップ182)。
【0126】
本実施形態において、ECU40は、空燃比センサ26が活性状態である場合は、そのセンサ出力(すなわち、排気空燃比)に基づいて、公知の空燃比フィードバック制御によって燃料噴射量を制御する。上記ステップ182の処理(点火時期の変更)は、空燃比フィードバック制御を実行すべき状況下では、その制御と共に実行される。
【0127】
未燃損失Q4は、実施の形態1または2において説明した通り、点火時期に応じて変化する。具体的には、未燃損失Q4は、一般に点火時期が遅角されることにより増大し、点火時期が進角されることにより減少する。従って、上記ステップ124において、点火時期を適当に制御すれば、排気空燃比を目標空燃比に維持したまま、未燃損失Q4を増やして、NOxの放出を促進させることができる。
【0128】
以上説明した通り、図10に示すルーチンによれば、リッチスパイク制御の実行中に多量の総吸蔵量SUMQNOxが残存している場合には、未燃損失Q4を増やしてNOxの放出を促進させることができる。このため、本実施形態の装置によれば、実施の形態3の装置に比して、リッチスパイク制御を短期間で終了させ得るという効果を得ることができる。
【0129】
ところで、上述した実施の形態4においては、空燃比フィードバック制御の実行と併せて点火時期の制御を行うことで未燃損失Q4を制御することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、空燃比を維持するよりも、未燃損失Q4の変化を優先すべき場合には、点火時期に代えて、或いは点火時期と共に燃料噴射量を制御することにより、未燃損失Q4を変化させることとしてもよい。
【0130】
また、上述した実施の形態4においては、未燃損失Q4を変化させるための制御パラメータとして点火時期を用いているが、このような制御パラメータは、点火時期に限られるものではない。すなわち、未燃損失Q4を変化させるための制御パラメータは、EGR率のように筒内での燃焼速度を変化させるパラメータや、バルブオーバーラップ量、吸気バルブの閉じタイミング、或いはインタークーラの作動状態など、筒内での燃焼温度を変化させるパラメータであってもよい。
【0131】
また、上述した実施の形態4においては、リッチスパイク制御の実行中に、多量の総吸蔵量SUMQNOxが残存している場合に、目標を定めることなく、点火時期を変更することとしているが、点火時期の変更手法はこれに限定されるものではない。すなわち、点火時期を変更する際には、総吸蔵量SUMQNOxに基づいて未燃損失Q4の目標、或いは点火時期の目標を設定し、その目標が達成されるように点火時期を制御することとしてもよい。
【0132】
尚、上述した実施の形態4においては、ECU40が、上記ステップ180および182の処理を実行することにより前記第の発明における「パラメータ制御手段」が実現されている。
【0133】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
第1の発明によれば、内燃機関の排気通路に配置された触媒に、目標値と一致した排気エネルギを供給することができる。このため、本発明によれば、触媒温度を精度良く所望の温度として、触媒の浄化能力を効率的に引き出すことができる。
【0134】
また、この発明によれば、内燃機関の排気損失を目標値に一致させることにより、触媒の浄化能力を効率的に引き出すことができる。
【0135】
の発明によれば、内燃機関の排気損失と未燃損失との和を目標値に一致させることにより、触媒の浄化能力を効率的に引き出すことができる。
【0136】
の発明によれば、内燃機関の未燃損失を目標値に一致させることにより、触媒の浄化能力を効率的に引き出すことができる。
【0137】
の発明によれば、触媒温度と、内燃機関の運転状態とに基づいて、触媒に供給すべき排気エネルギの目標値を算出することができる。このため、本発明によれば、内燃機関の運転状態を考慮したうえで、触媒温度を精度良く所望の温度に制御することができる。
【0138】
の発明によれば、触媒の暖機過程では、通常時に比して多量の排気エネルギを発生させることにより、触媒の暖機を促進することができる。
【0139】
の発明によれば、触媒の過熱時、或いはその過熱が予想される状況下では、通常時に比して排気エネルギを少量とすることで、触媒の過熱を効果的に防止することができる。
【0140】
の発明によれば、内燃機関の筒内圧と行程容積とに基づいて、排気エネルギを精度良く算出することができる。
【0141】
の発明によれば、リッチスパイク制御の実行中に生じた未燃損失に基づいてNOx総吸蔵量を推定すると共に、その推定値が0となった時点でリッチスパイクを終了させることができる。この場合、リッチスパイク制御は、NOx吸蔵触媒に吸蔵されているNOxを脱離させるうえで必要十分な未燃損失が生じた時点で終了される。従って、本発明によれば、リッチスパイクの実行に伴う未燃成分の大気放出を有効に防止して、優れた排気エミッション特性を実現することができる。
【0142】
の発明によれば、リッチスパイク制御の実行中に、未だ多量のNOxがNOx吸蔵触媒に吸蔵されている場合には、未燃損失を増大させて、NOxの離脱を促進することができる。このため、本発明によれば、NOx吸蔵触媒に吸蔵されているNOxを、短時間で完全に離脱させることができる。
【0143】
10の発明によれば、内燃機関の筒内圧と行程容積とに基づいて、未燃損失を精度良く算出することができる。
【0144】
11の発明によれば、点火時期を制御することで、排気エネルギや未燃損失を精度良く制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。
【図2】 実施の形態1で用いられる各種の物理量の定義を説明するための図である。
【図3】 内燃機関のエミッション特性と排気エネルギとの関係を説明するための図である。
【図4】 実施の形態1において実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【図5】 EGR率と排気エネルギとの関係を説明するための図である。
【図6】 吸気バルブの閉じタイミングと燃焼室温度との関係を説明するための図である。
【図7】 本発明の実施の形態2において実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【図8】 リッチスパイク制御の内容を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】 本発明の実施の形態3において実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【図10】 本発明の実施の形態4において実行される制御ルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
10 内燃機関
12 吸気通路
14 排気通路
24 NOx吸蔵触媒
26 空燃比センサ
28 NOx濃度センサ
34 筒内圧センサ
36 クランク角センサ
40 ECU(Electronic Control Unit)
a 燃焼噴射量
Q1 発熱量
Q2 排気損失
Q3 冷却損失
Q4 未燃損失
Q5 排気エネルギ
W 図示仕事
Hu 燃料低発熱量
Qt,Qt 目標排気エネルギ
SUMQNOx NOx総吸蔵量
SUMQNOxO 前回の処理サイクルで求められたNOx総吸蔵量

Claims (11)

  1. 内燃機関の排気通路に配置された触媒に供給すべき排気エネルギの目標値を設定する目標値設定手段と、
    前記触媒に供給されている現実の排気エネルギを推定する排気エネルギ推定手段と、
    前記排気エネルギの目標値と前記現実の排気エネルギとが一致するように内燃機関の制御パラメータを制御するパラメータ制御手段と、を備え
    前記排気エネルギは、内燃機関の筒内で仕事として取り出し得る状態で生じた発熱量のうち図示仕事として用いられずに排出された排気損失であり、
    前記排気エネルギの目標値は、内燃機関が始動された後、前記触媒の暖機過程で排出されるエミッションの総量を抑制しつつその暖機を速やかに完了させることができる値として定められたものであることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 内燃機関の排気通路に配置された触媒に供給すべき排気エネルギの目標値を設定する目標値設定手段と、
    前記触媒に供給されている現実の排気エネルギを推定する排気エネルギ推定手段と、
    前記排気エネルギの目標値と前記現実の排気エネルギとが一致するように内燃機関の制御パラメータを制御するパラメータ制御手段と、を備え、
    前記排気エネルギは、
    内燃機関の筒内で仕事として取り出し得る状態で生じた発熱量のうち図示仕事として用いられずに排出された前記排気損失と、
    内燃機関に供給された全ての燃料が燃焼することで発生する総熱量から前記発熱量、及び冷却損失を除いた残部である未燃損失と、の和であり、
    前記排気エネルギの目標値は、内燃機関が始動された後、前記触媒の暖機過程で排出されるエミッションの総量を抑制しつつその暖機を速やかに完了させることができる値として定められたものであることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 内燃機関の排気通路に配置された触媒に供給すべき排気エネルギの目標値を設定する目標値設定手段と、
    前記触媒に供給されている現実の排気エネルギを推定する排気エネルギ推定手段と、
    前記排気エネルギの目標値と前記現実の排気エネルギとが一致するように内燃機関の制御パラメータを制御するパラメータ制御手段と、を備え、
    前記排気エネルギは、内燃機関に供給された全ての燃料が燃焼することで発生する総熱量から、内燃機関の筒内で仕事として取り出し得る状態で生じた発熱量、及び冷却損失を除いた残部である未燃損失であり、
    前記排気エネルギの目標値は、内燃機関が始動された後、前記触媒の暖機過程で排出されるエミッションの総量を抑制しつつその暖機を速やかに完了させることができる値として定められたものであることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 前記目標値設定手段は、前記排気エネルギの目標値を、触媒温度と、内燃機関の運転状態とに基づいて算出する目標値算出手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記目標値算出手段は、前記触媒の暖機過程において、前記排気エネルギの目標値を、当該触媒の暖機後に排出される通常の排気エネルギに比して大きな値に設定する暖機時目標値算出手段を備えることを特徴とする請求項記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記目標値算出手段は、前記触媒の過熱時、或いはその過熱が予想される状況下では、前記排気エネルギの目標値を、当該触媒の暖機後に排出される通常の排気エネルギに比して小さな値に設定する過熱防止目標値算出手段を備えることを特徴とする請求項記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記排気エネルギ推定手段は、内燃機関の筒内圧と行程容積とに基づいて、前記排気エネルギを算出する排気エネルギ算出手段を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
  8. 内燃機関の排気通路に配置されたNOx吸蔵触媒に吸蔵されている総NOx吸蔵量を推定する総NOx吸蔵量推定手段と、
    前記NOx吸蔵触媒からNOxを離脱させる必要があるか否かを判断する離脱必要性判断手段と、
    前記NOx吸蔵触媒からNOxを離脱させる必要があると判断された場合に、当該NOx吸蔵触媒に流入する排気ガスの空燃比がリッチになるようにリッチスパイク制御を実行する燃料噴射量制御手段と、
    内燃機関に供給された全ての燃料が燃焼することで発生する総熱量から内燃機関の筒内で仕事として取り出し得る状態で生じた発熱量および冷却損失を除いた残部である未燃損失を、前記リッチスパイク制御の実行中に推定する未燃損失推定手段と、
    前記リッチスパイク制御の実行中に、前記未燃損失に基づいて、前記NOx吸蔵触媒に吸蔵されているNOx総吸蔵量を推定するNOx吸蔵量推定手段と、
    前記NOx総吸蔵量が0となった時点で、リッチスパイク制御の終了を指示する終了指示手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  9. 前記リッチスパイク制御の実行中に、前記NOx総吸蔵量が所定の判定値を超えている場合に、前記未燃損失が増大するように内燃機関のパラメータを制御するパラメータ制御手段を備えることを特徴とする請求項記載の内燃機関の制御装置。
  10. 前記未燃損失推定手段は、内燃機関の筒内圧と行程容積とに基づいて、前記未燃損失を算出する未燃損失算出手段を備えることを特徴とする請求項または記載の内燃機関の制御装置。
  11. 前記パラメータ制御手段は、点火時期を制御する点火時期制御手段を含むことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
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