JP5549457B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
特許文献1に、内燃機関の制御装置が記載されている。この制御装置では、制御対象に入力される操作量と該制御対象の制御量との関係を表現したモデル式を用いて算出される制御量(以下この制御量を「算出制御量」という)と制御対象の実際の制御量(以下この制御量を「実制御量」という)との偏差が積分されることによって制御量の偏差の積分値(以下この積分値を「制御量偏差積分値」という)が算出される。そして、この制御量偏差積分値を反映させた状態フィードバックを行うことによって、目標とする制御量(以下この制御量を「目標制御量」という)を達成するために制御対象に入力されるべき操作量が決定され、この操作量が制御対象に入力される。斯くして、制御対象の制御量を目標制御量に制御するようにしている。
ところで、一般的に、制御対象に入力された操作量が極端に大きな操作量であると、制御対象が同操作量に対応する動作を行えない場合がある(以下、制御対象に入力されたときに該制御対象に対応する動作を行わせることができない操作量を「飽和操作量」ともいう)。すなわち、制御対象がそこに入力される操作量に対応する動作を行えるか否かという観点から、制御対象には該制御対象に入力される操作量に関する制約がある(以下この制約を「制御入力制約」ともいう)。
ここで、特許文献1に記載の制御装置のように、目標制御量を達成するために制御対象に入力されるべき操作量の決定に上記制御量偏差積分値を考慮している場合において、制御対象がそこに入力される操作量に対応する動作を行えない状態が継続すると、制御対象の実際の制御量が目標制御量からずれた状態が継続し、このため、上記算出制御量からずれた状態が継続することから、制御量偏差積分値が増大し続けてしまう。そして、制御対象の実際の制御量が上記算出制御量に一致していればとるはずのない値にまで制御量偏差積分値が増大してしまう場合がある。そして、この場合において、制御対象に制御入力制約があったとしても達成可能な制御量に目標制御量が変更されたとき、極めて大きい制御量偏差積分値の影響によって実際の制御量が変更後の目標制御量に十分な追従性(以下、目標制御量に対する実際の制御量の追従性を「目標値追従性」ともいう)をもって到達することができない。
そこで、特許文献1に記載の制御装置では、制御対象がそこに入力された操作量に対応する動作を行えるか否か、すなわち、制御対象に入力された操作量が飽和操作量であるか否かが判断される。そして、制御対象に入力された操作量が飽和操作量である場合には、上記制御量偏差積分値の算出が停止される。これによって、特許文献1に記載の制御装置では、飽和操作量が制御対象に入力されたことによって制御量偏差積分値が極端に増大してしまうことを防止し、それによって、目標制御量が達成可能な制御量に変更されたときに実際の制御量を変更後の目標制御量に十分な追従性をもって到達させることができるようにしている。
特開2002−39350号公報 特開2008−157084号公報
ところで、上述したように、特許文献1に記載の制御装置では、制御対象に入力された操作量が飽和操作量であったときに制御量偏差積分値の算出を停止し、制御量偏差積分値が極端に増大してしまうことを防止し、実際の制御量を目標制御量に十分な追従性をもって到達させるようにしている。すなわち、制御対象に入力された操作量が飽和操作量になって初めて、制御量偏差積分値の算出を停止するようにしている。しかしながら、より確実に実際の制御量を目標制御量に十分な追従性をもって到達させるという観点では、制御対象に入力される操作量が飽和操作量になる前に制御量偏差積分値の算出を停止することが好ましい。
そして、このことは、広くは、制御入力制約がある制御対象を制御する場合に当てはまる。すなわち、制御入力制約がある制御対象を制御する場合において、より確実に実際の制御量を目標制御量に十分な追従性をもって到達させるという観点では、制御対象に入力される操作量が飽和操作量になる前に同操作量が飽和操作量になることに起因する目標値追従性の低下を防止する対応をとることが好ましい。
そこで、本発明の目的は、制御入力制約がある制御対象を制御する場合において、より確実に実際の制御量を目標制御量に十分な追従性をもって到達させることになる。
本願の1番目の発明は、第1制御量を制御する第1制御対象と、第2制御量を制御する第2制御対象とを具備する内燃機関の制御装置に関する。そして、本発明の制御装置は、現時点における内燃機関に対する要求に応じて第1制御量の目標値を目標第1制御量として設定する目標第1制御量設定手段と、該目標第1制御量設定手段によって設定された目標第1制御量に基づいて第1制御対象の目標とするべき動作状態を目標第1動作状態として設定する目標第1動作状態設定手段と、前記目標第1制御量設定手段によって設定された目標第1制御量に基づいて第2制御量の目標値を目標第2制御量として設定する目標第2制御量設定手段と、該目標第2制御量設定手段によって設定された目標第2制御量に基づいて第2制御対象の目標とするべき動作状態を基準第2動作状態として設定する基準第2動作状態設定手段と、該基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に基づいて第2制御対象の目標とするべき動作状態を目標第2動作状態として設定する目標第2動作状態設定手段とを具備する。
そして、本発明では、前記目標第1動作状態設定手段によって設定される目標第1動作状態に従って該目標第1動作状態が達成されるように第1制御対象の動作状態が制御されると共に、前記目標第2制御対象設定手段によって設定される目標第2動作状態に従って該目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態が制御される。
ここで、本発明では、現時点よりも予め定められた時間前に前記目標第1動作状態設定手段によって設定された目標第1動作状態に従って該目標第1動作状態が達成されるように第1制御対象の動作状態が制御される。
一方、本発明では、現時点よりも前記予め定められた時間前の時点から現時点までの間に前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に従ってこれら基準第2動作状態の設定順に第2制御対象の動作状態が制御されたとした場合の現時点よりも前記予め定められた時間後の内燃機関の状態が将来の内燃機関の状態として予測され、該予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する制約条件を成立させる状態にあるときには、現時点よりも前記予め定められた時間前に前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に基づいて目標第2動作状態が前記目標第2動作状態設定手段によって設定され、該設定された目標第2動作状態に従って該目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態が制御される。
一方、本発明では、前記予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する前記制約条件を成立させる状態にないときには、前記将来の内燃機関の状態を内燃機関に関する前記制約条件を成立させる状態にすることができる第2制御対象の動作状態が制約第2動作状態として算出され、該算出された制約第2動作状態に基づいて目標第2動作状態が設定され、該設定された目標第2動作状態に従って該目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態が制御される。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、第2制御対象が物理的にとり得る動作状態に限界がある場合において、目標第2動作状態が第2制御対象が物理的に達成することができない動作状態(以下この動作状態を「第2制御対象の達成不能な動作状態」という)に設定されているときに該目標第2動作状態に従って第2制御対象の動作状態が制御されたとしても、第2制御対象の動作状態がそもそも目標第2動作状態に到達することができないのであるから、目標第2制御量が達成されないことになる。こうした場合に、第2制御対象の達成不能な動作状態に設定されている目標第2動作状態に従って第2制御対象の動作状態を制御していると、目標第2動作状態が第2制御対象が物理的に達成することができる動作状態(以下この動作状態を「第2制御対象の達成可能な動作状態」という)に設定されたときに第2制御対象の動作状態が十分な追従性をもって目標第2動作状態に到達することができない可能性がある。したがって、目標第2動作状態が第2制御対象の達成不能な動作状態に設定されていることが判明した場合、第2制御対象の動作状態を十分な追従性をもって目標第2動作状態に制御するという観点からは、目標第2動作状態が第2制御対象の達成可能な動作状態となるように目標第2動作状態を補正することが好ましい。
さらに、この場合、目標第2動作状態が第2制御対象の達成不能な動作状態に設定されていることが判明した時点で目標第2動作状態を補正しようとすると、第2制御対象の制御が遅れる可能性があるし、場合によっては、第2制御対象の達成不能な動作状態に設定されている目標第2動作状態に従って第2制御対象の動作状態が制御されてしまう可能性もある。こうしたことを回避するためには、目標第2動作状態に従って実際に第2制御対象の動作状態が制御される前に目標第2動作状態が第2制御対象の達成不能な動作状態に設定されていることを把握して目標第2動作状態を補正することが好ましい。
また、第2制御対象の動作状態の影響を受ける内燃機関の性能として所期の性能を内燃機関に発揮させるという観点から第2制御対象がとり得る動作状態に限界がある場合において、目標第2動作状態が上記観点から第2制御対象がとることが好ましくない動作状態(以下この動作状態を「第2制御対象の許容不能な動作状態」という)に設定されているときに該目標第2動作状態に従って第2制御対象の動作状態が制御されると、内燃機関に所期の性能を発揮させることができない。したがって、目標第2動作状態が第2制御対象の許容不能な動作状態に設定されていることが判明した場合、内燃機関に所期の性能を発揮させるという観点からは、目標第2動作状態が所期の性能を内燃機関に発揮させるという観点から第2制御対象がとり得る動作状態となるように目標第2動作状態を補正することが好ましい。
さらに、この場合、目標第2動作状態が第2制御対象の許容不能な動作状態に設定されていることが判明した時点で目標第2動作状態を補正しようとすると、第2制御対象の制御が遅れる可能性があるし、場合によって、第2制御対象の許容不能な動作状態に設定されている目標第2動作状態に従って第2制御対象の動作状態が制御されてしまう可能性もある。こうしたことを回避するためには、目標第2動作状態に従って実際に第2制御対象の動作状態が制御される前に目標第2動作状態が第2制御対象の許容不能な動作状態に設定されていることを把握して目標第2動作状態を補正することが好ましい。
すなわち、第2制御対象の動作状態が第2制御対象の達成可能な動作状態にあるという条件や内燃機関が所期の性能を発揮するという条件を内燃機関に関する制約条件と称したとき、目標第2動作状態に従って第2制御対象の動作状態が制御されたときに上記制約条件が成立するか否かを目標第2動作状態に従って実際に第2制御対象の動作状態が制御される前に判断し、上記制約条件が成立しないと判断したときには上記制約条件が成立するように目標第2動作状態を補正することが好ましい。
本発明では、基準第2動作状態に基づいて目標第2動作状態が設定される。ここで、現時点において設定された基準第2動作状態に基づいて設定される目標第2動作状態は、予め定められた時間後の時点における実際の第2制御対象の動作状態の制御に用いられる。云い方を換えれば、現時点において設定された基準第2動作状態が第2制御対象の動作状態の制御に用いられるのは、結果的に、当該基準第2動作状態が設定された時点から予め定められた時間が経過した時である。
そして、本発明では、予め定められた時間前の時点から現時点までの間に設定された基準第2動作状態に従って第2制御対象の動作状態が制御されたとした場合の予め定められた時間後の内燃機関の状態(すなわち、将来の内燃機関の状態)が予測される。すなわち、現時点において設定された基準第2動作状態が実際に第2制御対象の動作状態の制御に用いられる前に、現時点において設定された基準第2動作状態が実際に第2制御対象の動作状態の制御に用いられたときの将来の内燃機関の状態が予測される。そして、この将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態であるときには、現時点において設定された基準第2動作状態がそのまま用いられて予め定められた時間後に第2制御対象の動作状態が制御される。一方、上記将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときには、将来の内燃機関の状態を制約条件を成立させる状態にすることができる制約第2動作状態が算出され(結果的に、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態になるように基準第2動作状態が補正されると言える)、この制約第2動作状態が目標第2動作状態の設定に用いられる。
したがって、本発明によれば、全体として、制約条件を成立させつつ第2制御量を目標第2制御量に十分な追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
また、本願の2番目の発明では、上記1番目の発明において、前記目標第2動作状態設定手段によって設定された目標第2動作状態に従って前記第2制御対象の動作状態が制御される時点における実際の第2制御量が取得され、現時点よりも前記予め定められた時間前に設定された目標第2制御量に対する前記取得された実際の第2制御量との偏差が第2制御量偏差として算出される。そして、該算出された第2制御量偏差が積分されて第2制御量偏差積分値が算出され、該算出された第2制御量偏差積分値が前記第2制御量偏差を零にするように前記目標第2動作状態の設定に反映される。
ここで、本発明では、前記将来の内燃機関の状態が前記制約条件を成立させる状態にないときには現時点において前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に対する現時点において算出された前記制約第2動作状態の偏差が制約第2動作状態偏差として算出され、該算出された制約第2動作状態偏差が前記第2制御量偏差積分値を減少させるように該第2制御量偏差積分値に反映される。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、第2制御量偏差積分値は、第2制御量が目標第2制御量に近い値になったときに定常的に発生する目標第2制御量に対する実際の第2制御量の偏差を零にする働きをする。したがって、制約条件が成立しないことから第2制御量が目標第2制御量に到達し得ない状況において、第2制御量偏差積分値が算出され続けると、第2制御量偏差積分値が不必要に大きくなってしまう。この場合において、状況が第2制御量が目標第2制御量に到達し得る状況に変わったときに、不必要に大きくなってしまった第2制御量偏差積分値の影響によって目標第2制御量に対する実際の第2制御量の追従性が低下してしまう。
ここで、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときに基準第2動作状態に基づいて設定された目標第2動作状態に従って第2制御対象の動作状態が制御されると、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にあるときに同様に第2制御対象の動作状態が制御される場合に比べて、目標第2制御量に対する実際の第2制御量の偏差が大きくなる。この場合、第2制御量偏差積分値が不必要に大きくなる可能性がある。しかしながら、本発明では、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときには制約第2動作状態偏差が第2制御量偏差積分値を減少させるように該第2制御量偏差積分値に反映される。このため、第2制御量偏差積分値が不必要に大きくなることが抑制される。したがって、本発明によれば、全体として、第2制御量を目標第2制御量に高い追従性をもって制御することができるという効果が得られる。
また、本願の3番目の発明では、上記1または2番目の発明において、前記将来の内燃機関の状態前記制約条件を成立させる状態にすることができる前記制約第2動作状態のうち、現時点よりも前記予め定められた時間前に前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に可能な限り近い制約第2動作状態が目標第2動作状態の設定に用いられる。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、基準第2動作状態は、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態であるか否かに無関係に第2制御量を目標第2制御量に制御することができる第2制御量の動作状態として設定される動作状態である。したがって、基準第2動作状態は、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態でありさえすれば第2制御量を高い追従性をもって目標第2制御量に制御することができる動作状態であると言える。ここで、本発明では、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態ではないとき、基準第2動作状態に可能な限り近い制約第2動作状態が目標第2動作状態の設定に用いられる。
したがって、本発明によれば、全体として、制約条件を成立させつつ第2制御量を目標第2制御量により高い追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
また、本願の4番目の発明では、上記1〜3番目の発明のいずれか1つにおいて、前記第1制御対象が燃料噴射弁であり、前記第1制御量が該燃料噴射弁から噴射される燃料の量であり、前記目標第1制御量が内燃機関から出力されるトルクとして要求されるトルクに基づいて設定される。
また、本願の5番目の発明は、上記1〜4番目の発明のいずれか1つにおいて、第3制御量を制御する第3制御対象をさらに具備し、第2制御対象の動作状態が変更されると該第2制御対象の動作状態の変更が第3制御量に影響する内燃機関の制御装置に関する。
そして、本発明の制御装置は、前記目標第1制御量設定手段によって設定された目標第1制御量に基づいて第3制御量の目標値を目標第3制御量として設定する目標第3制御量設定手段と、該目標第3制御量設定手段によって設定された目標第3制御量と前記目標第2制御量設定手段によって設定された目標第2制御量とに基づいて第3制御対象の目標とするべき動作状態を基準第3動作状態として設定する基準第3動作状態設定手段と、該基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に基づいて第3制御対象の目標とするべき動作状態を目標第3動作状態として設定する目標第3動作状態設定手段とをさらに具備する。
ここで、本発明では、現時点よりも前記予め定められた時間前の時点から現時点までの間に前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に従ってこれら基準第2動作状態の設定順に第2制御対象の動作状態が制御され、且つ、現時点よりも前記予め定められた時間前の時点から現時点までの間に前記基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に従ってこれら基準第3動作状態の設定順に第3制御対象の動作状態が制御されたとした場合の現時点よりも前記予め定められた時間後の内燃機関の状態が将来の内燃機関の状態として予測され、該予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する制約条件を成立させる状態にあるときには、現時点よりも前記予め定められた時間前に前記基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に基づいて目標第3動作状態が前記目標第3動作状態設定手段によって設定され、該設定された目標第3動作状態に従って該目標第3動作状態が達成されるように第3制御対象の動作状態が制御される。
一方、本発明では、前記予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する前記制約条件を成立させる状態にないときには、前記将来の内燃機関の状態を内燃機関に関する前記制約条件を成立させる状態にすることができる第3制御対象の動作状態が制約第3動作状態として算出され、該算出された制約第3動作状態に基づいて目標第3動作状態が設定され、該設定された目標第3動作状態に従って該目標第3動作状態が達成されるように第3制御対象の動作状態が制御される。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、第3制御対象が物理的にとり得る動作状態に限界があり、第3制御対象の動作状態の影響を受ける内燃機関の性能として所期の性能を内燃機関に発揮させるという観点から第3制御対象がとり得る動作状態に限界がある場合、上記1番目の発明から得られる効果に関連して説明した理由と同様の理由から、第3制御対象の動作状態が第3制御対象の達成可能な動作状態(すなわち、第3制御対象が物理的にとり得る動作状態)にあるという条件や内燃機関が所期の性能を発揮するという条件を内燃機関に関する制約条件と称したとき、目標第3動作状態に従って第3制御対象の動作状態が制御されたときに上記制約条件が成立するか否かを目標第3動作状態に従って実際に第3制御対象の動作状態が制御される前に判断し、上記制約条件が成立しないと判断したときには上記制約条件が成立するように目標第3動作状態を補正することが好ましい。
本発明では、基準第3動作状態に基づいて目標第3動作状態が設定される。ここで、現時点において設定された基準第3動作状態に基づいて設定される目標第3動作状態は、予め定められた時間後の時点における実際の第3制御対象の動作状態の制御に用いられる。云い方を換えれば、現時点において設定された基準第3動作状態が第3制御対象の動作状態の制御に用いられるのは、結果的に、当該基準第3動作状態が設定された時点から予め定められた時間が経過した時である。
そして、本発明では、予め定められた時間前の時点から現時点までの間に設定された基準第2動作状態に従って第2制御対象の動作状態が制御され、且つ、予め定められた時間前の時点から現時点までの間に設定された基準第3動作状態に従って第3制御対象の動作状態が制御されたとした場合の予め定められた時間後の内燃機関の状態(すなわち、将来の内燃機関の状態)が予測される。すなわち、現時点において設定された基準第2動作状態および基準第3動作状態が実際に第2制御対象および第3制御対象の動作状態の制御に用いられる前に、現時点において設定された基準第2動作状態および基準第3動作状態が実際に第2制御対象および第3制御対象の動作状態の制御に用いられたときの将来の内燃機関の状態が予測される。そして、この将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態であるときには、現時点において設定された基準第3動作状態がそのまま用いられて予め定められた時間後に第3制御対象の動作状態が制御される。一方、上記将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときには、将来の内燃機関の状態を制約条件を成立させる状態にすることができる制約第3動作状態が算出され(結果的に、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態になるように基準第3動作状態が補正されると言える)、この制約第3動作状態が目標第3動作状態の設定に用いられる。
したがって、本発明によれば、全体として、制約条件を成立させつつ第2制御量を目標第2制御量に十分な追従性をもって到達させることができると共に、たとえ、第3制御量が第3制御対象の動作状態の影響を受けるだけでなく第2制御対象の動作状態の影響を受ける場合においても第3制御量を目標第3制御量に十分な追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
また、本願の6番目の発明では、上記5番目の発明において、前記目標第3動作状態設定手段によって設定された目標第3動作状態に従って前記第3制御対象の動作状態が制御される時点における実際の第3制御量が取得され、現時点よりも前記予め定められた時間前に設定された目標第3制御量に対する前記取得された実際の第3制御量との偏差が第3制御量偏差として算出される。そして、該算出された第3制御量偏差が積分されて第3制御量偏差積分値が算出され、該算出された第3制御量偏差積分値が前記第3制御量偏差を零にするように前記目標第3動作状態の設定に反映される。
ここで、本発明では、前記将来の内燃機関の状態が前記制約条件を成立させる状態にないときには現時点において前記基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に対する現時点において算出された前記制約第3動作状態の偏差が制約第3動作状態偏差として算出され、該算出された制約第3動作状態偏差が前記第3制御量偏差積分値を減少させるように該第3制御量偏差積分値に反映される。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、本発明では、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときには制約第3動作状態偏差が第3制御量偏差積分値を減少させるように該第3制御量偏差積分値に反映される。したがって、本発明によれば、上記2番目の発明から得られる効果に関連して説明した理由と同様の理由から、全体として、第3制御量を目標第3制御量に高い追従性をもって制御することができるという効果が得られる。
また、本願の7番目の発明では、上記5番目の発明において、前記目標第2動作状態設定手段によって設定された目標第2動作状態に従って前記第2制御対象の動作状態が制御される時点における実際の第2制御量が取得され、現時点よりも前記予め定められた時間前に設定された目標第2制御量に対する前記取得された実際の第2制御量との偏差が第2制御量偏差として算出される。また、前記目標第3動作状態設定手段によって設定された目標第3動作状態に従って前記第3制御対象の動作状態が制御される時点における実際の第3制御量が取得され、現時点よりも前記予め定められた時間前に設定された目標第3制御量に対する前記取得された実際の第3制御量との偏差が第3制御量偏差として算出される。そして、前記算出された第2制御量偏差が積分されて第2制御量偏差積分値が算出され、前記算出された第3制御量偏差が積分されて第3制御量偏差積分値が算出され、これら算出された第2制御量偏差積分値および第3制御量偏差積分値が前記第2制御量偏差および前記第3制御量偏差を零にするように前記目標第2動作状態および前記目標第3動作状態の設定に反映される。
ここで、本発明では、前記将来の内燃機関の状態が前記制約条件を成立させる状態にないときには現時点において前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に対する現時点において算出された前記制約第2動作状態の偏差が制約第2動作状態偏差として算出されると共に前記基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に対する現時点において算出された前記制約第3動作状態の偏差が制約第3動作状態偏差として算出され、これら算出された制約第2動作状態偏差および制約第3動作状態偏差が前記第2制御量偏差積分値および前記第3制御量偏差積分値を減少させるようにこれら第2制御量偏差積分値および第3制御量偏差積分値に反映される。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、本発明では、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときには制約第2動作状態偏差および制約第3動作状態偏差が第2制御量偏差積分値および第3制御量偏差積分値を減少させるようにこれら第2制御量偏差積分値および第3制御量偏差積分値に反映される。したがって、本発明によれば、上記2番目の発明から得られる効果に関連して説明した理由と同様の理由から、全体として、第2制御量および第3制御量を目標第2制御量および目標第3制御量に高い追従性をもって制御することができるという効果が得られる。
また、本願の8番目の発明では、上記5〜7番目の発明のいずれか1つにおいて、前記将来の内燃機関の状態前記制約条件を成立させることができる制約第3動作状態のうち、現時点よりも前記予め定められた時間前に前記基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に可能な限り近い制約第3動作状態が目標第3動作状態の設定に用いられる。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、本発明では、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態ではないとき、基準第3動作状態に可能な限り近い制約第3動作状態が目標第3動作状態の設定に用いられる。
したがって、本発明によれば、上記3番目の発明から得られる効果に関連して説明した理由と同様の理由から、全体として、制約条件を成立させつつ第3制御量を目標制御量により高い追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
また、本願の9番目の発明は、上記5〜8番目の発明のいずれか1つにおいて、第3制御対象の動作状態が変更されると該第3制御対象の動作状態の変更が第2制御量に影響する内燃機関の制御装置に関する。
そして、本発明では、現時点よりも前記予め定められた時間前の時点から現時点までの間に前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に従ってこれら基準第2動作状態の設定順に第2制御対象の動作状態が制御され、且つ、現時点よりも前記予め定められた時間前の時点から現時点までの間に前記基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に従ってこれら基準第3動作状態の設定順に第3制御対象の動作状態が制御されたとした場合の現時点よりも前記予め定められた時間後の内燃機関の状態が将来の内燃機関の状態として予測され、該予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する制約条件を成立させる状態にあるときには、現時点よりも前記予め定められた時間前に前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に基づいて目標第2動作状態が前記目標第2動作状態設定手段によって設定され、該設定された目標第2動作状態に従って該目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態が制御される。
一方、本発明では、前記予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する前記制約条件を成立させる状態にないときには、前記将来の内燃機関の状態を内燃機関に関する前記制約条件を成立させる状態にすることができる第2制御対象の動作状態が制約第2動作状態として算出され、該算出された制約第2動作状態に基づいて目標第2動作状態が設定され、該設定された目標第2動作状態に従って該目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態が制御される。
本発明によれば、以下の効果が得られる。すなわち、上記5番目の発明から得られる効果に関連して説明した理由と同様の理由から、本発明によれば、全体として、第2制御量が第2制御対象の動作状態の影響を受けるだけでなく第3制御対象の動作状態の影響を受ける共に第3制御量が第3制御対象の動作状態の影響を受けるだけでなく第2制御対象の動作状態の影響を受ける場合においても第2制御量を目標第2制御量に十分な追従性をもって到達させることができると共に第3制御量を目標第3制御量に十分な追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
また、本願の10番目の発明では、上記5〜9番目の発明のいずれか1つにおいて、前記第2制御対象が内燃機関の吸気通路内を流れるガスの圧力を可変に制御することができる過給機であり、前記目標第2制御量が前記過給機によって制御される内燃機関の吸気通路内を流れるガスの圧力であり、前記第3制御対象が内燃機関の燃焼室から排出された排気ガスを吸気通路内に導入することができる排気再循環装置であり、前記目標第3制御量が前記排気再循環装置によって吸気通路内に導入される排気ガスの量である。
本発明の制御装置が適用された内燃機関の全体図である。 図1に示されている内燃機関の過給機の排気タービンの内部を示した図である。 本発明の実施形態に従った目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度の設定を示したブロック図である。 本発明の実施形態に従った制御対象(すなわち、燃料噴射弁、スロットル弁、EGR制御弁、および、ベーン)の制御を実行するルーチンの一例を示した図である。 本発明の実施形態に従った目標燃料噴射量の設定を実行するルーチンの一例を示した図である。 本発明の実施形態に従った制約偏差(すなわち、制約スロットル弁開度偏差、制約EGR制御弁開度偏差、および、制約ベーン開度偏差)の算出を実行するルーチンの一例の一部を示した図である。 本発明の実施形態に従った制約偏差(すなわち、制約スロットル弁開度偏差、制約EGR制御弁開度偏差、および、制約ベーン開度偏差)の算出を実行するルーチンの一例の一部を示した図である。 本発明の実施形態に従った目標開度(すなわち、目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度)の設定を実行するルーチンの一例を示した図である。 本発明の実施形態に従った制御対象(すなわち、燃料噴射弁、スロットル弁、EGR制御弁、および、ベーン)の操作を実行するルーチンの一例を示した図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の制御装置が適用された内燃機関10を示している。内燃機関10は、内燃機関の本体(以下「機関本体」という)20と、該機関本体の4つの燃焼室にそれぞれ対応して配置された燃料噴射弁21と、該燃料噴射弁21に燃料供給管23を介して燃料を供給する燃料ポンプ22とを具備する。また、内燃機関10は、外部から燃焼室に空気を供給する吸気系30と、燃焼室から排出される排気ガスを外部に排出する排気系40とを具備する。また、内燃機関10は、圧縮自着火式の内燃機関(いわゆる、ディーゼルエンジン)である。
なお、以下の説明において、「機関運転状態」は「内燃機関10の運転状態」であり、「機関回転数」は「内燃機関10の回転数」であり、「機関出力トルク」は「内燃機関10から出力されるトルク」であり、「機関要求トルク」は「機関出力トルクとして内燃機関10に要求されるトルク」であり、「燃料噴射量」は「燃料噴射弁21から噴射される燃料の量」または「燃料噴射弁21から噴射させる燃料の量」である。
吸気系30は、吸気枝管31と吸気管32とを有する。なお、以下の説明において、吸気系30を「吸気通路」と称することもある。吸気枝管31の一方の端部(すなわち、枝部)は、各燃焼室に対応して機関本体20内に形成された吸気ポート(図示せず)に接続されている。一方、吸気枝管31の他方の端部は、吸気管32に接続されている。吸気管32内には、該吸気管内を流れる空気の量を制御するスロットル弁33が配置されている。さらに、吸気管32には、該吸気管内を流れる空気を冷却するインタークーラ34が配置されている。さらに、吸気管32の外部を臨む端部には、エアクリーナ36が配置されている。
なお、スロットル弁33は、その動作状態(具体的には、その開度であって、以下この開度を「スロットル弁開度」という)が制御されることによって燃焼室に吸入されるガスの量を可変に制御することができる。
一方、排気系40は、排気枝管41と排気管42とを有する。なお、以下の説明において、排気系40を「排気通路」と称することもある。排気枝管41の一方の端部(すなわち、枝部)は、各燃焼室に対応して機関本体20内に形成された排気ポート(図示せず)に接続されている。一方、排気枝管41の他方の端部は、排気管42に接続されている。排気管42には、排気ガス中の特定成分を浄化する排気浄化触媒43aを内蔵した触媒コンバータ43が配置されている。
また、内燃機関10は、過給機35を具備する。過給機35は、インタークーラ34よりも上流の吸気管32内に配置されるコンプレッサ35Aと、触媒コンバータ43よりも上流の排気管42内に配置される排気タービン35Bとを有する。排気タービン35Bは、図2に示されているように、排気タービン本体35Cと翼状の複数のベーン35Dとを有する。
排気タービン35B(厳密には、排気タービン本体35C)は、シャフト(図示せず)を介してコンプレッサ35Aに接続されている。排気タービン本体35Cが排気ガスによって回転せしめられると、その回転がシャフトを介してコンプレッサ35Aに伝達され、これによって、コンプレッサ35Aが回転せしめられる。このコンプレッサ35Aの回転によってコンプレッサよりも下流の吸気管32内のガスが圧縮せしめられ、その結果、同ガスの圧力(以下この圧力を「過給圧」という)が上昇せしめられる。
一方、ベーン35Dは、排気タービン本体35Cを包囲するように該排気タービン本体の回転中心軸線R1を中心として放射状に等角度間隔で配置されている。また、各ベーン35Dは、図2に符号R2で示されているそれぞれ対応する軸線周りで回動可能に配置されている。そして、各ベーン35Dが延在している方向(すなわち、図2に符号Eで示されている方向)を「延在方向」と称し、排気タービン本体35Cの回転中心軸線R1とベーン35Dの回動軸線R2とを結ぶ線(すなわち、図2に符号Aで示されている線)を「基準線」と称したとき、各ベーン35Dは、その延在方向Eとそれに対応する基準線Aとがなす角度が全てのベーン35Dに関して等しくなるように回動せしめられる。そして、各ベーン35Dがその延在方向Eとそれに対応する基準線Aとがなす角度が小さくなるように、すなわち、隣り合うベーン35D間の流路面積が小さくなるように回動せしめられると、排気タービン本体35Cに供給される排気ガスの流速が速くなる。その結果、排気タービン本体35Cの回転速度が速くなり、その結果、コンプレッサ35Aの回転速度も速くなり、したがって、吸気管32内を流れるガスがコンプレッサ35Aによって大きく圧縮されることになる。このため、各ベーン35Dの延在方向Eとそれに対応する基準線とがなす角度(以下この角度を「ベーン開度」という)が小さくなるほど、コンプレッサ35Aによって吸気管32内を流れるガスが圧縮される程度が大きくなる。
したがって、過給機35は、ベーン35Dの動作状態(具体的には、ベーン開度)を制御することによって過給圧を可変に制御することができる。
また、内燃機関10は、排気再循環装置(以下これを「EGR装置」という)50を具備する。EGR装置50は、排気再循環管(以下これを「EGR通路」という)51を有する。EGR通路51の一端は、排気枝管41に接続されている。すなわち、EGR通路51の一端は、排気タービン35Bよりも上流の排気通路40の部分に接続されている。一方、EGR通路51の他端は、吸気枝管31に接続されている。すなわち、EGR通路51の他端は、コンプレッサ35Aよりも下流の吸気通路の部分に接続されている。また、EGR通路51には、該EGR通路内を流れる排気ガスの流量を制御する排気再循環制御弁(以下この排気再循環制御弁を「EGR制御弁」という)52が配置されている。内燃機関10では、EGR制御弁52の開度(以下この開度を「EGR制御弁開度」という)が大きいほど、EGR通路51内を流れる排気ガスの流量が多くなる。さらに、EGR通路51には、該EGR通路内を流れる排気ガスを冷却する排気再循環クーラ53が配置されている。
なお、EGR装置50は、EGR制御弁52の動作状態(具体的には、EGR制御弁52の開度であって、以下この開度を「EGR制御弁開度」という)を制御することによってEGR通路51を介して吸気通路30に導入される排気ガスの量を可変に制御することができる。
なお、以下の説明において、「EGR率」は「燃焼室内に形成される混合気中のガスのトータルの量に対する同混合気中の排気ガスの割合」であり、「吸入ガス」は「燃焼室に吸入されるガス(このガスには、空気と排気ガスが含まれる)」であり、「吸入空気」は「燃焼室に吸入される空気」であり、「要求吸入空気量」は「燃焼室内に形成される混合気中の燃料を完全に燃焼させために要求される吸入空気の量」であり、「EGRガス」は「EGR通路51を介して吸気通路30に導入される排気ガス」または「EGR通路51および吸気通路30を介して燃焼室に吸入される排気ガス」である。
また、エアクリーナ36よりも下流であってコンプレッサ35Aよりも上流の吸気管32には、該吸気管内を流れる空気の流量を検出するエアフローメータ71が取り付けられている。また、吸気枝管31には、該吸気枝管内のガスの圧力(すなわち、過給圧)を検出する圧力センサ(以下「過給圧センサ」という)72が取り付けられている。また、機関本体20には、クランクシャフトの回転位相を検出するクランクポジションセンサ74が取り付けられている。
また、内燃機関10は、電子制御装置60を具備する。電子制御装置60は、マイクロプロセッサ(CPU)61と、リードオンリメモリ(ROM)62と、ランダムアクセスメモリ(RAM)63と、バックアップRAM(Back up RAM)64と、インターフェース65とを有する。インターフェース65には、燃料噴射弁21、燃料ポンプ22、スロットル弁33、ベーン35D、および、EGR制御弁52が接続されており、これらの動作を制御する制御信号がインターフェース65を介して電子制御装置60から与えられる。また、インターフェース65には、エアフローメータ71、過給圧センサ72、クランクポジションセンサ74、および、アクセルペダルAPの開度(すなわち、アクセルペダルAPの踏込量であって、以下これを「アクセルペダル開度」という)を検出するアクセルペダル開度センサ75も接続されており、エアフローメータ71によって検出された流量に対応する信号、過給圧センサ72によって検出された圧力に対応する信号、クランクポジションセンサ74によって検出されたクランクシャフトの回転位相に対応する信号、および、アクセルペダル開度センサ75によって検出されたアクセルペダルAPの踏込量に対応する信号がインターフェース65に入力される。
なお、過給圧センサ72によって検出された圧力に対応する信号に基づいて過給圧が電子制御装置60によって算出され、クランクポジションセンサ74によって検出されたクランクシャフトの回転位相に対応する信号に基づいて機関回転数が電子制御装置60によって算出され、アクセルペダル開度センサ75によって検出されたアクセルペダルAPの踏込量に対応する信号に基づいてアクセルペダル開度が電子制御装置60によって算出される。
ところで、機関出力トルクや燃焼室から排出される排気ガス中のエミッションに関して内燃機関10に所定の性能を発揮させるために考慮するべきパラメータとして、燃焼室内に形成される混合気中の燃料の量、同混合気中の空気の量、および、同混合気中の排気ガスの量がある。そして、混合気中の燃料の量を決定するパラメータは、燃料噴射弁21から噴射される燃料の量である。そこで、本実施形態では、燃料噴射弁21から噴射させる燃料の量として目標とするべき量が目標燃料噴射量として設定され、この目標燃料噴射量の燃料を燃料噴射弁21に噴射させるために燃料噴射弁21を開弁する時間が目標開弁時間として設定される。そして、この目標開弁時間だけ燃料噴射弁21が開弁されるように燃料噴射弁21が操作される。
一方、混合気中の空気の量と同混合気中の排気ガスの量を決定するパラメータは、過給圧およびEGR率である。また、過給圧およびEGR率に影響する制御対象は、スロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dである。そこで、本実施形態では、目標とするべき過給圧が目標過給圧として設定されると共に目標とするべきEGR率が目標EGR率として設定され、これら目標過給圧および目標EGR率を達成するために目標とするべきスロットル弁開度、EGR制御弁開度、および、ベーン開度がそれぞれ目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度として設定され、これら目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作される。
次に、本実施形態に従った目標燃料噴射量、目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度の設定の概略について説明する。
燃料噴射量が多ければ機関出力が大きく、燃料噴射量が少なければ機関出力が小さい。すなわち、機関出力トルクは燃料噴射量によって決まる。一方、アクセルペダル開度が大きければ機関要求トルクが大きく、アクセルペダル開度が小さければ機関要求トルクが小さい。すなわち、機関要求トルクはアクセルペダル開度によって決まる。したがって、アクセルペダル開度によって決まる機関要求トルクを内燃機関10から出力させるためには、機関要求トルクを内燃機関10から出力させることができる燃料噴射量をアクセルペダル開度に応じて目標燃料噴射量として決定し、この目標燃料噴射量の燃料が燃料噴射弁21から噴射されるように燃料噴射弁21を操作すればよい。そこで、本実施形態では、基本的には、機関要求トルクを内燃機関10から出力させることができるようにアクセルペダル開度に基づいて目標燃料噴射量が設定される。そして、斯くして設定される目標燃料噴射量の燃料が燃料噴射弁21から噴射されるように燃料噴射弁21を開弁させる時間が目標開弁時間として設定され、斯くして設定される目標開弁時間に従って燃料噴射弁21が操作される。
また、過給圧が高ければ吸入ガス量が多いことから吸入空気量が多く、過給圧が低ければ吸入ガス量が少ないことから吸入空気量が少ない。すなわち、吸入空気量は過給圧によって決まる。一方、燃料噴射量が多ければ要求吸入空気量が多く、燃料噴射量が少なければ要求吸入空気量が少ない。すなわち、要求吸入空気量は燃料噴射量によって決まる。そして、上述したように、本実施形態では、目標燃料噴射量の燃料が燃料噴射弁21から噴射されることから、要求吸入空気量は目標燃料噴射量によって決まると言える。そこで、本実施形態では、基本的には、機関要求トルクを内燃機関10から出力させることができるように目標燃料噴射量に基づいて目標過給圧が設定される。
一方、EGR率が高ければEGRガス量が多いことから吸入空気量が少なく、EGR率が低ければEGRガス量が少ないことから吸入空気量が多い。すなわち、吸入空気量はEGR率によっても決まる。そして、上述したように、要求吸入空気量は目標燃料噴射量によって決まる。そこで、本実施形態では、基本的には、機関要求トルクを内燃機関10から出力させることができるように目標EGR率に基づいて目標EGR率が設定される。
そして、スロットル弁開度が大きくなれば過給圧が高くなるが、過給圧が高くなる分だけEGR通路51から吸気通路に排気ガスが流入しづらくなることから、EGR率が低くなる。一方、スロットル弁開度が小さくなれば過給圧が低くなるが、過給圧が低くなる分だけEGR通路51から吸気通路に排気ガスが流入しやすくなることから、EGR率が高くなる。すなわち、スロットル弁開度に応じて過給圧とEGR率との両方が高くなったり低くなったりする。
また、EGR制御弁開度が大きくなればEGR率が高くなるが、EGR率が高くなる分だけ過給機35の排気タービン35Bに到来する排気ガスの量が少なくなることから、過給圧が低くなる。一方、EGR制御弁開度が小さくなればEGR率が低くなるが、EGR率が低くなる分だけ過給機35の排気タービン35Bに到来する排気ガスの量が多くなることから、過給圧が高くなる。すなわち、EGR制御弁開度に応じてEGR率と過給圧との両方が高くなったり低くなったりする。
また、ベーン開度が大きくなれば過給圧が低くなるが、上述したように、過給圧が低くなる分だけEGR率が高くなる。一方、ベーン開度が小さくなれば過給圧が高くなるが、上述したように、過給圧が高くなる分だけEGR率が低くなる。すなわち、ベーン開度に応じて過給圧とEGR率との両方が高くなったり低くなったりする。
このように、過給圧とEGR率とは、スロットル弁開度、EGR制御弁開度、および、ベーン開度に応じて変化する。そこで、本実施形態では、上述したように設定される目標過給圧および目標EGR率が達成されるようにスロットル弁開度の目標値(以下この目標値を「目標スロットル弁開度」という)、EGR制御弁開度の目標値(以下この目標値を「目標EGR制御弁開度」という)、および、ベーン開度の目標値(以下この目標値を「目標ベーン開度」という)が設定され、斯くして設定される目標スロットル弁開度に従ってスロットル弁33が操作され、斯くして設定される目標EGR制御弁開度に従ってEGR制御弁52が操作され、斯くして設定される目標ベーン開度に従ってベーン35Dが操作される。
ところで、スロットル弁33には、その開度としてとり得る最大の開度(以下この開度を「上限スロットル弁開度」という)があるし、その開度としてとり得る最小の開度(以下この開度を「下限スロットル弁開度」という)もある。したがって、スロットル弁33は、上限スロットル弁開度よりも大きな目標スロットル弁開度を達成することができないし、下限スロットル弁開度よりも小さな目標スロットル弁開度を達成することもできない。このように、スロットル弁開度としてスロットル弁33がとり得る値の範囲(以下この範囲を「適正範囲」という)には限界がある。
したがって、目標スロットル弁開度が上限スロットル弁開度よりも大きい値に設定されたり下限スロットル弁開度よりも小さい値に設定されたりし、該目標スロットル弁開度に従ってスロットル弁33が制御されたとしても、スロットル弁開度がそもそも目標スロットル弁開度に到達することができないのであるから、目標過給圧および目標EGR率が達成されないことになる。一方、上述したように、過給圧およびEGR率は、EGR制御弁52やベーン35Dによっても制御可能である。したがって、目標スロットル弁開度が上限スロットル弁開度よりも大きかったり下限スロットル弁開度よりも小さかったりすることが判明した場合、目標過給圧および目標EGR率を確実に達成するという観点からは、目標スロットル弁開度がスロットル弁開度の適正範囲内の値になるように目標スロットル弁開度を補正すると共に、補正後の目標スロットル弁開度に従ってスロットル弁33が操作されたとしても、目標過給圧および目標EGR率が達成されるように目標EGR制御弁開度または目標ベーン開度を補正することが好ましい。
さらに、この場合、目標スロットル弁開度が適正範囲内の値ではないことが判明した時点で目標スロットル弁開度を補正すると共に目標EGR制御弁開度および目標ベーン開度を補正しようとすると、スロットル弁開度の制御が遅れるだけでなく、EGR制御弁開度およびベーン開度の制御も遅れることになるし、場合によっては、適正範囲内にない目標スロットル弁開度に従ってスロットル弁33が操作されてしまう可能性もある。こうしたことを回避するためには、目標スロットル弁開度に従って実際にスロットル弁33が操作されようとする前に目標スロットル弁開度が適正範囲内の値ではないことを把握して目標スロットル弁開度を補正することが好ましい。
そして、このことは、EGR制御弁52およびベーン35Dにも当てはまる。すなわち、EGR制御弁52にも、その開度としてとり得る最大の開度(以下この開度を「上限EGR制御弁開度」という)とその開度としてとり得る最小の開度(以下この開度を「下限EGR制御弁開度」という)とがあるし、ベーン35Dにも、その開度としてとり得る最大の開度(以下この開度を「上限ベーン開度」という)とその開度としてとり得る最小の開度(以下この開度を「下限ベーン開度」という)とがある。したがって、EGR制御弁52は、上限EGR制御弁開度よりも大きな目標EGR制御弁開度も下限EGR制御弁開度よりも小さな目標EGR制御弁開度も達成することができないし、ベーン35Dは、上限ベーン開度よりも大きな目標ベーン開度も下限ベーン開度よりも小さな目標ベーン開度も達成することができない。このように、EGR制御弁開度としてEGR制御弁52がとり得る値の範囲(以下この範囲を「適正範囲」という)があり、ベーン開度としてベーン35Dがとり得る範囲(以下この範囲を「適正範囲」という)がある。
したがって、目標EGR制御弁開度が上限EGR制御弁開度よりも大きい値に設定されたり下限EGR制御弁開度よりも小さい値に設定されたりし、該目標EGR制御弁開度に従ってEGR制御弁52が制御されたとしても、EGR制御弁開度がそもそも目標EGR制御弁開度に到達することができないのであるから、目標過給圧および目標EGR率が達成されないことになる。一方、上述したように、過給圧およびEGR率は、スロットル弁33やベーン35Dによっても制御可能である。したがって、目標EGR制御弁開度が上限EGR制御弁開度よりも大きかったり下限EGR制御弁開度よりも小さかったりすることが判明した場合、目標過給圧および目標EGR率を確実に達成するという観点からは、目標EGR制御弁開度がEGR制御弁開度の適正範囲内の値になるように目標EGR制御弁開度を補正すると共に、補正後の目標EGR制御弁開度に従ってEGR制御弁52が操作されたとしても、目標過給圧および目標EGR率が達成されるように目標スロットル弁開度または目標ベーン開度を補正することが好ましい。
さらに、この場合、目標EGR制御弁開度が適正範囲内の値ではないことが判明した時点で目標EGR制御弁開度を補正すると共に目標スロットル弁開度および目標ベーン開度を補正しようとすると、EGR制御弁開度の制御が遅れるだけでなく、スロットル弁開度およびベーン開度の制御も遅れることになるし、場合によっては、適正範囲内にない目標EGR制御弁開度に従ってEGR制御弁52が操作されてしまう可能性もある。こうしたことを回避するためには、目標EGR制御弁開度に従って実際にEGR制御弁52が操作されようとする前に目標EGR制御弁開度が適正範囲内の値ではないことを把握して目標EGR制御弁開度を補正することが好ましい。
同様に、目標ベーン開度が上限ベーン開度よりも大きい値に設定されたり下限ベーン開度よりも小さい値に設定されたりし、該目標ベーン開度に従ってベーン35Dが操作されたとしても、ベーン開度がそもそも目標ベーン開度に到達することができないのであるから、目標過給圧および目標EGR率が達成されないことになる。一方、上述したように、過給圧およびEGR率は、スロットル弁33やEGR制御弁52によっても制御可能である。したがって、目標ベーン開度が上限ベーン開度よりも大きかったり下限ベーン開度よりも小さかったりすることが判明した場合、目標過給圧および目標EGR率を確実に達成するという観点からは、目標ベーン開度がベーン開度の適正範囲内の値になるように目標ベーン開度を補正すると共に、補正後の目標ベーン開度に従ってベーン35Dが操作されたとしても、目標過給圧および目標EGR率が達成されるように目標スロットル弁開度または目標EGR制御弁開度を補正することが好ましい。
さらに、この場合、目標ベーン開度が適正範囲内の値ではないことが判明した時点で目標ベーン開度を補正すると共に目標スロットル弁開度および目標EGR制御弁開度を補正しようとすると、ベーン開度の制御が遅れるだけでなく、スロットル弁開度およびEGR制御弁開度の制御も遅れることになるし、場合によっては、適正範囲内にない目標ベーン開度に従ってベーン35Dが操作されてしまう可能性もある。こうしたことを回避するためには、目標ベーン開度に従って実際にベーン35Dが操作されようとする前に目標ベーン開度が適正範囲内の値ではないことを把握して目標ベーン開度を補正することが好ましい。
また、内燃機関10に関しては、上述したようなスロットル弁、EGR制御弁、および、ベーンの動作上における制約以外の制約もある。例えば、機関出力トルクが極めて大きくなってしまったり、燃焼室から排出される排気ガス中のエミッション(例えば、スモーク)の量が許容可能な量を超えてしまったりすることは好ましくない。すなわち、内燃機関10に関しては、機関出力トルクや排気ガス中のエミッション量に関する制約もある。したがって、目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作されたときに、これら機関出力トルクや排気ガス中のエミッション量に関する制約が満たされないことが判明した場合、この制約を満たすという観点からは、この制約が満たされるように目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、または、目標ベーン開度を補正すると共に、補正後の目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、または、目標ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、または、ベーン35Dが操作されることが好ましい。
さらに、この場合、機関出力トルクや排気ガス中のエミッション量に関する制約が満たされないことが判明した時点で目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、または、目標ベーン開度を補正し、補正後の目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、または、目標ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、または、ベーン35Dを操作しようとすると、スロットル弁開度、EGR制御弁開度、および、ベーン開度の制御が遅れることになるし、場合によっては、補正前の目標スロットル弁開度、補正前の目標EGR制御弁開度、または、補正前の目標ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、または、ベーン35Dが操作されてしまう可能性もある。こうしたことを回避するためには、目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度に従って実際のスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作されようとする前に機関出力トルクや排気ガス中のエミッション量に関する制約が満たされないことを把握して目標スロットル弁開度、EGR制御弁開度、または、目標ベーン開度を補正することが好ましい。
本実施形態では、こうしたスロットル弁、EGR制御弁、および、ベーンの動作上の制約や機関出力トルクおよび排気ガス中のエミッション量に関する制約を考慮して目標燃料噴射量、目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度が設定される。
次に、本実施形態に従った目標スロットル開度、目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度の設定の詳細について説明する。
なお、以下の説明において、「制約条件が成立する」とは「スロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35の動作状態、ならびに、機関出力トルクおよび排気ガス中のエミッション量を含む内燃機関10の状態が許容可能な状態にあること」を意味する。
また、以下の説明において、「目標燃料噴射量演算」は「目標燃料噴射量を設定するための演算」であり、「制約偏差演算」は「後述する制約スロットル弁開度偏差、制約EGR制御弁開度偏差、および、制約ベーン開度偏差を算出するための演算」であり、「目標開度演算」は「目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度を設定するための演算」であり、「制御対象操作」は「スロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dを操作する処理」である。また、本実施形態では、予め定められた時間間隔毎に目標燃料噴射量演算が開始され、目標燃料噴射量演算の完了後に順に制約偏差演算、目標開度演算、そして、制御対象操作が実行される。また、以下の説明において、「演算間隔」は「目標燃料噴射量演算が開始される予め定められた時間間隔」に相当し、目標燃料噴射量演算の開始から制御対象操作の完了までの処理を1つの演算として捉えることとする。したがって、以下の説明において、単に「演算」という用語が用いられている場合、この「演算」は、目標燃料噴射量演算の開始から制御対処操作の完了までの一連の処理を示している。また、以下の説明において、例えば、「1演算間隔後」は「現在の演算の実行時点から1演算間隔後の時点」を意味し、「1演算間隔前」は「現在の演算の実行時点から1演算間隔前の時点」を意味し、「1演算間隔後の目標燃料噴射量」は「1演算間隔後に目標燃料噴射量として用いられる目標燃料噴射量」を意味し、「1演算間隔前の目標燃料噴射量」は「1演算間隔前に設定された目標燃料噴射量」を意味する。
また、以下の説明において、「目標過給圧」は「目標燃料噴射量の燃料を十分に燃焼させるために必要な空気を燃焼室内に吸入させるために必要な過給圧であって、予め実験等によって求められ、目標燃料噴射量の関数のマップの形で電子制御装置60に記憶されている過給圧」であり、「目標EGR率」は「目標燃料噴射量の燃料を十分に燃焼させるために必要な空気を燃焼室内に吸入させるために必要なEGR率であって、予め実験等によって求められて目標燃料噴射量の関数のマップの形で電子制御装置60に記憶されている過給圧」である。なお、「目標EGR率」は「目標燃料噴射量の燃料を十分に燃焼させるために必要な空気を燃焼室内に吸入させるために且つ燃焼室から排出される排気ガス中のエミッションの量を許容可能な量に抑制するために必要なEGR率であって、予め実験等によって求められて目標燃料噴射量と機関運転状態(例えば、機関回転数)との関数の形で電子制御装置60に記憶されているEGR率」であってもよい。
また、以下の説明において、「基準スロットル弁開度」は「目標過給圧および目標EGR率を達成するために必要なスロットル弁開度であって、予め実験等によって求められて目標過給圧と目標EGR率との関数のマップの形で電子制御装置60に記憶されているスロットル弁開度」であり、「基準EGR制御弁開度」は「目標過給圧および目標EGR率を達成するために必要なEGR制御弁開度であって、予め実験等によって求められて目標過給圧と目標EGR率との関数のマップの形で電子制御装置60に記憶されているEGR制御弁開度」であり、「基準ベーン開度」は「目標過給圧および目標EGR率を達成するために必要なベーン開度であって、予め実験等によって求められて目標過給圧と目標EGR率との関数のマップの形で電子制御装置60に記憶されているベーン開度」である。
目標燃料噴射量演算が開始されると、上述したように、現在のアクセルペダル開度に基づいて目標燃料噴射量が設定され、この目標燃料噴射量が電子制御装置60に記憶され、今回の目標燃料噴射量演算が終了する。なお、今回の目標燃料噴射量延在において電子制御装置60に記憶された目標燃料噴射量は、現時点から予め定められた演算間隔後の目標燃料噴射量として用いられる。言い換えれば、今回の演算(詳細には、今回の目標燃料噴射量演算の直後に実行される制御対象操作)において用いられる目標燃料噴射量は、現時点よりも上記予め定められた演算間隔前に実行された目標燃料噴射量演算において設定されて電子制御装置60に記憶された目標燃料噴射量である。
なお、以下では、今回の目標燃料噴射量演算によって設定された目標燃料噴射量が4演算間隔後の目標燃料噴射量として用いられる場合を例に、本実施形態に従った目標燃料噴射量、目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度の設定について説明する。
目標燃料噴射量演算が完了すると、制約偏差演算が開始される。制約偏差演算が開始されると、今回の制約偏差演算の開始直前に実行された目標燃料噴射量演算によって設定された目標燃料噴射量に基づいて目標過給圧および目標EGR率が算出され、これら目標過給圧および目標EGR率が電子制御装置60に記憶される。そして、斯くして算出された目標過給圧および目標EGR率に基づいて基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度が算出され、これら開度が電子制御装置60に記憶される。
なお、今回の制約偏差演算において算出されて電子制御装置60に記憶された目標過給圧、目標EGR率、基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度は、現時点から4演算間隔後に実行される目標開度演算において目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度の設定に用いられる。言い換えれば、今回の演算(詳細には、今回の制約偏差演算の直後に実行される目標開度演算)において用いられる目標過給圧、目標EGR率、基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度は、それぞれ、現時点よりも4演算間隔前に実行された制約偏差演算において算出されて電子制御装置60に記憶された目標過給圧、目標EGR率、基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度である。
そして、斯くして算出された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度に従って4演算間隔後の制御対象操作においてスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作されたときに、制約条件が成立するか否かが判別される。すなわち、今回の制約偏差演算の実行時点では、1〜4演算間隔前に実行された制約偏差演算において算出された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度が電子制御装置60に記憶されている。
そこで、これら1〜4演算間隔前に実行された制約偏差演算において算出された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作された後に、今回の制約偏差演算において算出された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作されたとした場合に、制約条件が成立するか否かが判別される。
より詳細には、今回の演算(詳細には、今回の制約偏差演算の直後に実行される制御対象操作)において、4演算間隔前に実行された制約偏差演算において算出された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作され、次いで、3演算間隔前に実行された制約偏差演算において算出された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作され、次いで、2演算間隔前に実行された制約偏差演算において算出された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作され、次いで、1演算間隔前に実行された制約偏差演算において算出された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作され、次いで、今回の制約偏差演算において算出された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作されたとした場合の内燃機関10の状態が予測され、この予測された内燃機関10の状態に基づいて制約条件が成立するか否かが判別される。
端的に表現すれば、本実施形態では、4演算間隔前に実行された制約偏差演算から今回の制約偏差演算までにおいて算出された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度に基づいて、これら基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作された場合に5演算間隔後に内燃機関10がとるであろう状態が予測され、この予測された内燃機関10の状態に基づいて5演算間隔後に制約条件が成立しているか否かが判別される。
ここで、制約条件が成立していないときには、制約条件を成立させることができるスロットル弁開度、EGR制御弁開度、および、ベーン制御弁開度がそれぞれ制約スロットル弁開度、制約EGR制御弁開度、および、制約ベーン開度として算出される。そして、この算出された制約スロットル弁開度に対する基準スロットル弁開度(この基準スロットル弁開度は、今回の制約偏差演算において算出された基準スロットル弁開度である)の偏差が制約スロットル弁開度偏差として算出され、上記算出された制約EGR制御弁開度に対する基準EGR制御弁開度(この基準EGR制御弁開度は、今回の制約偏差演算において算出された基準EGR制御弁開度である)の偏差が制約EGR制御弁開度偏差として算出され、上記算出された制約ベーン開度に対する基準ベーン開度(この基準ベーン開度は、今回の制約偏差演算において算出された基準ゲイン開度である)の偏差が制約ベーン開度偏差として算出され、これら偏差が電子制御装置60に記憶され、今回の制約偏差演算が終了する。
一方、制約条件が成立しているときには、基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度がそれぞれ制約スロットル弁開度、制約EGR制御弁開度、および、制約ベーン開度とされる。すなわち、制約条件が成立していれば、基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度をそのまま目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度としてスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dを操作しても、制約条件が成立した状態で目標過給圧および目標EGR率が設定されることから、基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度がそれぞれ制約スロットル弁開度、制約EGR制御弁開度、および、制約ベーン開度とされるのである。そして、この場合、制約スロットル弁開度偏差、制約EGR制御弁開度偏差、および、制約ベーン開度偏差は、それぞれ、零となる。そして、これら制約スロットル弁開度偏差、制約EGR制御弁開度偏差、および、制約ベーン開度偏差(すなわち、零)が電子制御装置60に記憶され、今回の制約偏差演算が終了する。
なお、今回の制約偏差演算において算出されて電子制御装置60に記憶された制約スロットル弁開度偏差、制約EGR制御弁開度偏差、および、制約ベーン開度偏差は、現時点から4演算間隔後に実行される目標開度演算において目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度の設定に用いられる。言い換えれば、今回の演算(詳細には、今回の制約偏差演算の直後に実行される目標開度演算)において用いられる制約スロットル弁開度偏差、制約EGR制御弁開度偏差、および、制約ベーン開度偏差は、それぞれ、現時点よりも4演算間隔前に実行された制約偏差演算において算出されて電子制御装置60に記憶された制約スロットル弁開度偏差、制約EGR制御弁開度偏差、および、制約ベーン開度偏差である。
また、制約偏差演算における5演算間隔後の内燃機関10の状態の予測の一例を後述にて紹介する。
制約偏差演算が完了すると、目標開度演算が開始される。目標開度演算が開始されると、現在の実際の過給圧と現在の実際のEGR率とが取得される。さらに、今回の演算よりも4演算間隔前に実行された制約偏差演算において算出されて電子制御装置60に記憶された目標過給圧、目標EGR率、基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、基準ベーン開度、制約スロットル弁開度偏差、制約EGR制御弁開度偏差、および、制約ベーン開度偏差が取得される。
そして、上記取得された目標過給圧に対する上記取得された現在の実際の過給圧の偏差が実過給圧偏差として算出される。また、上記取得された目標EGR率に対する上記取得された現在の実際のEGR率の偏差が実EGR率偏差として算出される。そして、これら実過給圧偏差および実EGR率偏差に基づいたPID制御によってこれら偏差が零になるように上記取得された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度を補正するための補正係数がそれぞれスロットル弁開度補正係数、EGR制御弁開度補正係数、および、ベーン開度補正係数として算出される。また、上記取得された制約スロットル弁開度偏差、制約EGR制御弁開度偏差、および、制約ベーン開度偏差に基づいたPID制御によってこれら偏差が零となるように上記取得された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度を補正するための補正係数がそれぞれ制約スロットル弁開度補正係数、制約EGR制御弁開度補正係数、および、制約ベーン開度補正係数として算出される。
そして、最終的に、上記取得された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度と、上記算出されたスロットル弁開度補正係数、EGR制御弁開度補正係数、および、ベーン開度補正係数と、上記算出された制約スロットル弁開度補正係数、制約EGR制御弁開度補正係数、および、制約ベーン開度補正係数とを用いて、上記取得された目標過給圧および目標EGR率を達成するためのスロットル弁開度、EGR制御弁開度、および、ベーン開度がそれぞれ目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度として算出され、今回の目標開度演算が終了する。
目標開度演算が完了すると、制御対象操作が実行される。制御対象操作が開始されると、今回の演算の実行時点よりも4演算間隔前に実行された目標燃料噴射量演算において設定されて電子制御装置60に記憶された目標燃料噴射量に従って、該目標燃料噴射量の燃料が燃料噴射弁21から噴射されるように燃料噴射弁21が操作される。また、今回の演算(詳細には、今回の制御対象操作の直前に実行された目標開度演算)によって算出された目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度に従って、これら目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度が達成されるようにスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作される。
以上説明した本実施形態に従った目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度の設定をブロック図で表すと、図3に示されているようなブロック図となる。
すなわち、まず、現在のアクセルペダル開度Accが目標燃料噴射量変換部71に取得され、該目標燃料噴射量変換部71において目標燃料噴射量TQに変換されて出力される。そして、この目標燃料噴射量TQは、目標値変換部72に取得され、該目標値変換部72において目標過給圧TPimおよび目標EGR率TRegrに変換されて出力される。そして、これら目標過給圧TPimおよび目標EGR率TRegrは、目標開度変換部73に取得され、該目標開度変換部73において基準スロットル弁開度Dthb、基準EGR制御弁開度Degrb、および、基準ベーン開度Dvnbに変換させて出力される。そして、これら基準スロットル弁開度Dthb、基準EGR制御弁開度Degrb、および、基準ベーン開度Dvnbは、ディレー部74に入力されて該ディレー部74において4演算間隔に相当する時間だけ経過した時に該ディレー部74から出力される。
また、目標値変換部72から出力された目標過給圧TPimおよび目標EGR率TRegrは、ディレー部76にも入力されて該ディレー部76において4演算時間に相当する時間だけ経過した時に該ディレー部76から出力される。
また、目標開度変換部73から出力された基準スロットル弁開度Dthb、基準EGR制御弁開度Degrb、および、基準ベーン開度Dvnbは、制約判定部77にも入力され、該制約判定部77において制約条件を成立させる開度であるか否かが判定される。ここで、基準スロットル弁開度Dthbが制約条件を成立させるスロットル弁開度ではないときには、制約スロットル弁開度DthLが出力され、基準スロットル弁開度Dthbから制約スロットル弁開度DthLを差し引いた値(すなわち、制約スロットル弁開度偏差ΔDthbL)がディレー部78に入力される。また、基準EGR制御弁開度Degrbが制約条件を成立させるEGR制御弁開度ではないときには、制約EGR制御弁開度DegrLが出力され、基準EGR制御弁開度Degrbから制約EGR制御弁開度DegrLを差し引いた値(すなわち、制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrbL)がディレー部78に入力される。また、基準ベーン開度Dvnbが制約条件を成立させるベーン開度ではないときには、制約ベーン開度DvnLが出力され、基準ベーン開度Dvnbから制約ベーン開度DvnLを差し引いた値(すなわち、制約ベーン開度偏差ΔDvnbL)がディレー部78に入力される。
そして、ディレー部78に入力された制約スロットル弁開度偏差ΔDthbL、制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrbL、および、制約ベーン開度偏差ΔDvnbLは、ディレー部78において4演算時間に相当する時間だけ経過した時に該ディレー部78から出力される。
一方、ディレー部76から出力された目標過給圧TPimおよび目標EGR率TRegrは、それぞれから現在の過給圧Pimおよび現在のEGR率Regrが差し引かれた後、実過給圧偏差ΔPimおよび実EGR率偏差ΔRegrとしてPID補償部79に入力される。また、ディレー部78から出力された制約スロットル弁開度偏差ΔDthbL、制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrbL、および、制約ベーン開度偏差ΔDvnbLも、PID補償部79に入力される。
そして、PID補償部79は、そこに入力された実過給圧偏差ΔPim、実EGR率偏差ΔRegr、制約スロットル弁開度偏差ΔDthbL、制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrbL、および、制約ベーン開度偏差ΔDvnbLに基づいて、これら偏差を零にするのに適したスロットル弁開度補正係数Kdth、EGR制御弁開度補正係数Kdegr、ベーン開度補正係数Kdvn、制約スロットル弁開度補正係数KdthL、制約EGR制御弁開度補正係数KdegrL、および、制約ベーン開度補正係数KdvnLを出力する。
そして、PID補償部79から出力された補正係数は、目標開度設定部75に入力される。一方、ディレー部74から出力された基準スロットル弁開度Dthb、基準EGR制御弁開度Degrb、および、基準ベーン開度Dvnbも、目標開度設定部75に入力される。そして、目標開度設定部75は、そこに入力された基準スロットル弁開度Dthb、基準EGR制御弁開度Degrb、基準ベーン開度Dvnb、スロットル弁開度補正係数Kdth、EGR制御弁開度補正係数Kdegr、ベーン開度補正係数Kdvn、制約スロットル弁開度補正係数KdthL、制約EGR制御弁開度補正係数KdegrL、および、制約ベーン開度補正係数KdvnLを用いて最終的な目標スロットル弁開度TDth、目標EGR制御弁開度TDegr、および、目標ベーン開度TDvnを出力する。
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。すなわち、上述した実施形態では、基準EGR制御弁開度に基づいて目標EGR制御弁開度が設定される。ここで、現時点において設定された基準EGR制御弁開度に基づいて設定される目標EGR制御弁開度は、4演算間隔後の時点における実際のEGR制御弁開度の制御に用いられる。云い方を換えれば、現時点において設定された基準EGR制御弁開度がEGR制御弁開度の制御に用いられるのは、結果的に、当該基準EGR制御弁開度が設定された時点から4演算間隔が経過した時である。
そして、上述した実施形態では、4演算間隔前の時点から現時点までの間に設定された基準EGR制御弁開度(詳細には、4演算間隔前、3演算間隔前、2演算間隔前、1演算間隔前、および、現時点において設定された基準EGR制御弁開度)に従ってEGR制御弁開度が制御されたとした場合の4演算間隔後の内燃機関の状態(すなわち、4演算間隔後の将来の内燃機関の状態)が予測される。すなわち、現時点において設定された基準EGR制御弁開度が実際にEGR制御弁開度の制御に用いられる前に、現時点において設定された基準EGR制御弁開度が実際にEGR制御弁開度の制御に用いられたときの将来の内燃機関の状態が予測される。そして、この将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態であるときには、現時点において設定された基準EGR制御弁開度がそのまま用いられて4演算間隔後にEGR制御弁開度が制御される。一方、上記将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときには、将来の内燃機関の状態を制約条件を成立させる状態にすることができる制約EGR制御弁開度が算出され(結果的に、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態になるように基準EGR制御弁開度が補正されると言える)、この制約EGR制御弁開度が目標EGR制御弁開度の設定に用いられる。
したがって、上述した実施形態によれば、全体として、制約条件を成立させつつEGR率を目標EGR率に十分な追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
もちろん、同様の理由から、上述した実施形態によれば、全体として、制約条件を成立させつつ過給圧を目標過給圧に十分な追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
上述した実施形態は、EGR率がEGR制御弁開度の影響だけでなくスロットル弁開度およびベーン開度の影響を受けると共に過給圧がベーン開度の影響だけでなくスロットル弁開度およびEGR制御弁開度の影響を受ける場合に本発明を適用した実施形態であるが、少なくとも、上述した実施形態から得られる上述した効果を得るという観点では、本発明の考え方は、広くは、特定の1つの制御量が少なくとも特定の1つの制御対象の動作状態の影響を受ける場合に適用可能である。
また、上述した実施形態では、アクセルペダル開度に基づいて設定される目標燃料噴射量に基づいて目標過給圧および目標EGR率が設定される。しかしながら、目標過給圧および目標EGR率の設定に用いられるパラメータとして、目標燃料噴射量以外のパラメータが用いられてもよい。そして、この場合、現時点において設定された値が4演算間隔後にそのままの値で用いられるパラメータであることが好ましい。
また、上述した実施形態では、目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度は、これら開度がスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dの操作に用いられるときに設定される。しかしながら、目標過給圧に対する実際の過給圧の偏差および目標EGR率に対する実際のEGR率の偏差に基づいたPID制御を行わないのであれば、内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にあるときに現時点において設定される基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度をそのまま目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度に設定し、内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときに現時点において算出される制約スロットル弁開度、制約EGR制御弁開度、および、制約ベーン開度をそのまま目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度に設定するようにしてもよい。
これによれば、目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度がスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dの操作に用いられる時点よりも4演算間隔前に設定されることになる。このため、実際にスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dを操作するときの制御遅れを抑制することができるという効果が得られる。
したがって、以上の実施形態に関する説明を考慮すれば、上述した実施形態を広く表現すれば、以下のようになる。すなわち、上述した実施形態は、第1制御量(上述した実施形態では、燃料噴射量)を制御する第1制御対象(上述した実施形態では、燃料噴射弁)と、第2制御量(上述した実施形態では、EGR率または過給圧)を制御する第2制御対象(上述した実施形態では、EGR制御弁またはベーン)とを具備し、現時点における内燃機関に対する要求に応じて第1制御量の目標値を目標第1制御量(上述した実施形態では、目標燃料噴射量)として設定し、この目標第1制御量に基づいて第1制御対象の目標とするべき動作状態を目標第1動作状態(上述した実施形態では、目標開弁時間として設定し、この目標第1制御量に基づいて第2制御量の目標値を目標第2制御量(上述した実施形態では、目標EGR率または目標過給圧)として設定し、この目標第2制御量に基づいて第2制御対象の目標とするべき動作状態を基準第2動作状態(上述した実施形態では、基準EGR制御弁または基準ベーン開度)として設定し、この基準第2動作状態に基づいて第2制御対象の目標とするべき動作状態を目標第2動作状態(上述した実施形態では、目標EGR制御弁開度または目標ベーン開度)として設定する。
そして、上述した実施形態は、目標第1動作状態に従って目標第1動作状態が達成されるように第1制御対象の動作状態を制御すると共に、目標第2動作状態に従って目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態を制御する。
ここで、上述した実施形態は、現時点よりも予め定められた時間前(上述した実施形態では、4演算間隔前)に設定された目標第1動作状態に従って目標第1動作状態が達成されるように第1制御対象の動作状態を制御する。
一方、上述した実施形態は、現時点よりも上記予め定められた時間前の時点から現時点までの間に設定された基準第2動作状態に従ってこれら基準第2動作状態の設定順に第2制御対象の動作状態が制御されたとした場合の現時点よりも上記予め定められた時間後の内燃機関の状態を将来の内燃機関の状態として予測し、該予測した将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する制約条件を成立させる状態にあるときには、現時点よりも上記予め定められた時間前に設定された基準第2動作状態に基づいて目標第2動作状態を設定し、該設定した目標第2動作状態に従って該目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態を制御する。
一方、上述した実施形態は、上記予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する上記制約条件を成立させる状態にないときには、上記将来の内燃機関の状態を内燃機関に関する上記制約条件を成立させる状態にすることができる第2制御対象の動作状態を制約第2動作状態として算出し、該算出した制約第2動作状態に基づいて目標第2動作状態を設定し、該設定した目標第2動作状態に従って該目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態を制御する。
なお、上述した実施形態において、制約EGR制御弁開度偏差、制約ベーン開度偏差、および、制約スロットル弁開度偏差が目標EGR制御弁開度の設定に用いられるとき、実EGR率偏差に基づいたPID制御における積分項(すなわち、実EGR率偏差を積分して算出されるEGR率偏差積分値)および実過給圧偏差に基づいたPID制御における積分項(すなわち、実過給圧偏差を積分して算出される過給圧偏差積分値)の少なくとも1つが減少するように制約EGR制御弁開度偏差、制約ベーン開度偏差、および、制約スロットル弁開度偏差の少なくとも1つが当該EGR率偏差積分値または過給圧偏差積分値に反映されると好ましい。
これによれば、以下の効果が得られる。すなわち、EGR率偏差積分値は、EGR率が目標EGR率に近い値になったときに定常的に発生する目標EGR率に対する実際のEGR率の偏差を零にする働きをする。また、過給圧偏差積分値は、過給圧が目標過給圧に近い値になったときに定常的に発生する目標過給圧に対する実際の過給圧の偏差を零にする働きをする。したがって、制約条件が成立していないことからEGR率が目標EGR率に到達し得ない状況において、EGR率偏差積分値が算出され続けると、EGR率偏差積分値が不必要に大きくなってしまうし、制約条件が成立していないことから過給圧が目標過給圧に到達し得ない状況において、過給圧偏差積分値が算出され続けると、過給圧偏差積分値が不必要に大きくなってしまう。この場合において、状況がEGR率が目標EGR率に到達し得る状況に変わったときに不必要に大きくなってしまったEGR率偏差積分値の影響によって目標EGR率に対する実際のEGR率の追従性が低下してしまうし、或いは、状況が過給圧が目標過給圧に到達し得る状況に変わったときに不必要に大きくなってしまった過給圧偏差積分値の影響によって目標過給圧に対する実際の過給圧の追従性が低下してしまう。
ここで、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときに基準EGR制御弁開度に基づいて設定された目標EGR制御弁開度に従ってEGR制御弁開度が制御されると、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にあるときに同様にEGR制御弁開度が制御される場合に比べて、目標EGR率に対する実際のEGR率の偏差が大きくなるし、目標過給圧に対する実際の過給圧の偏差も大きくなる。この場合、EGR率偏差積分値および過給圧偏差積分値が不必要に大きくなる可能性がある。しかしながら、上述したように、実EGR率偏差に基づいたPID制御におけるEGR率偏差積分値および過給圧偏差積分値の少なくとも1つが減少するように制約EGR制御弁開度偏差、制約ベーン開度偏差、および、制約スロットル弁開度偏差の少なくとも1つが当該EGR率偏差積分値または過給圧偏差積分値に反映される場合、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときには制約EGR制御弁開度偏差がEGR率偏差積分値または過給圧偏差積分値を減少させるように当該EGR率偏差積分値または過給圧偏差積分値に反映される。このため、EGR率偏差積分値または過給圧偏差積分値が不必要に大きくなることが抑制される。したがって、全体として、EGR率または過給圧を目標EGR率または目標過給圧に高い追従性をもって制御することができるという効果が得られる。
もちろん、上述した実施形態において、制約EGR制御弁開度偏差、制約ベーン開度偏差、および、制約スロットル弁開度偏差が目標ベーン開度の設定に用いられるとき、実EGR率偏差に基づいたPID制御における積分項(すなわち、実EGR率偏差を積分して算出されるEGR率偏差積分値)および実過給圧偏差に基づいたPID制御における積分項(すなわち、実過給圧偏差を積分して算出される過給圧偏差積分値)の少なくとも1つが減少するように制約EGR制御弁開度偏差、制約ベーン開度偏差、および、制約スロットル弁開度偏差の少なくとも1つが当該EGR率偏差積分値または過給圧偏差積分値に反映されると好ましい。
また、上述した実施形態において、制約EGR制御弁開度偏差、制約ベーン開度偏差、および、制約スロットル弁開度偏差が目標スロットル弁開度の設定に用いられるとき、実EGR率偏差に基づいたPID制御における積分項(すなわち、実EGR率偏差を積分して算出されるEGR率偏差積分値)および実過給圧偏差に基づいたPID制御における積分項(すなわち、実過給圧偏差を積分して算出される過給圧偏差積分値)の少なくとも1つが減少するように制約EGR制御弁開度偏差、制約ベーン開度偏差、および、制約スロットル弁開度偏差の少なくとも1つが当該EGR率偏差積分値または過給圧偏差積分値に反映されると好ましい。
そして、これによっても、上述した理由と同様の理由から、EGR率偏差積分値または過給圧偏差積分値が不必要に大きくなることが抑制される。したがって、全体として、EGR率または過給圧を目標EGR率または目標過給圧に高い追従性をもって制御することができるという効果が得られる。
なお、上述した実施形態において、制約条件を成立させることができるスロットル弁開度として算出される制約スロットル弁開度のうち、現時点において算出された基準スロットル弁開度に可能な限り近い制約スロットル弁開度が目標スロットル弁開度の設定に用いられることが好ましい。
これによれば、以下の効果が得られる。すなわち、基準スロットル弁開度は、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態であるか否かに無関係に過給圧およびEGR率をそれぞれ目標過給圧および目標EGR率に制御することができるスロットル弁開度として設定されるスロットル弁開度である。したがって、基準スロットル弁開度は、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態でありさえすれば過給圧およびEGR率を高い追従性をもって目標過給圧および目標EGR率に制御することができるスロットル弁開度であると言える。したがって、これによれば、全体として、制約条件を成立させつつ過給圧およびEGR率を目標過給圧および目標EGR率により高い追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
同様に、制約条件を成立させることができるEGR制御弁開度として算出される制約EGR制御弁開度のうち、現時点において算出された基準EGR制御弁開度に可能な限り近い制約EGR制御弁開度が目標EGR制御弁開度の設定に用いられることが好ましい。
そして、これによれば、以下の効果が得られる。すなわち、基準EGR制御弁開度も、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態であるか否かに無関係に過給圧およびEGR率をそれぞれ目標過給圧および目標EGR率に制御することができるEGR制御弁開度である。したがって、基準EGR制御弁開度は、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態でありさえすれば過給圧およびEGR率を高い追従性をもって目標過給圧および目標EGR率に制御することができるEGR制御弁開度であると言える。したがって、これによれば、全体として、制約条件を成立させつつ過給圧およびEGR率を目標過給圧および目標EGR率により高い追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
同様に、制約条件を成立させることができるベーン開度として算出される制約ベーン開度のうち、現時点において算出された基準ベーン開度に可能な限り近い制約ベーン開度が目標ベーン開度の設定に用いられることが好ましい。
そして、これによれば、以下の効果が得られる。すなわち、基準ベーン開度も、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態であるか否かに無関係に過給圧およびEGR率をそれぞれ目標過給圧および目標EGR率に制御することができるベーン開度である。したがって、基準ベーン開度は、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態でありさえすれば過給圧およびEGR率を高い追従性をもって目標過給圧および目標EGR率に制御することができるベーン開度であると言える。したがって、これによれば、全体として、制約条件を成立させつつ過給圧およびEGR率を目標過給圧および目標EGR率により高い追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
さらに、上述した実施形態では、将来の内燃機関の状態として、4演算間隔前の時点から現時点までの間に設定された基準EGR制御弁開度および基準ベーン開度に従ってEGR制御弁開度およびベーン開度が制御されたとした場合の4演算間隔後の将来の内燃機関の状態が予測される。すなわち、現時点において設定された基準EGR制御弁開度および基準ベーン開度が実際にEGR制御弁開度およびベーン開度の制御に用いられる前に、現時点において設定された基準EGR制御弁開度および基準ベーン開度が実際にEGR制御弁開度およびベーン開度の制御に用いられたときの将来の内燃機関の状態が予測される。そして、この将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときには、将来の内燃機関の状態を制約条件を成立させる状態にすることができる制約ベーン開度が算出され(結果的に、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態になるように基準ベーン開度が補正されると言える)、この制約ベーン開度が目標ベーン開度の設定に用いられる。
したがって、上述した実施形態によれば、全体として、制約条件を成立させつつEGR率を目標EGR率に十分な追従性をもって到達させることができると共に、たとえ、過給圧がベーン開度の影響を受けるだけでなくEGR制御弁開度の影響を受ける場合においても、過給圧を目標過給圧に十分な追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
もちろん、上述した実施形態では、上記予測された将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときには、将来の内燃機関の状態を制約条件を成立させる状態にすることができる制約EGR制御弁開度が算出され(結果的に、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態になるように基準EGR制御弁開度が補正されると言える)、この制約EGR制御弁開度が目標EGR制御弁開度の設定に用いられる。
したがって、上述した実施形態によれば、全体として、制約条件を成立させつつ過給圧を目標過給圧に十分な追従性をもって到達させることができると共に、たとえ、EGR率がEGR制御弁開度の影響を受けるだけでなくベーン開度の影響を受ける場合においても、EGR率を目標EGR率に十分な追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
さらに、上述した実施形態では、4演算間隔前の時点から現時点までの間に設定された基準EGR制御弁開度および基準ベーン開度に従ってEGR制御弁開度およびベーン開度が制御され且つ4演算間隔前の時点から現時点までの間に設定された基準スロットル弁開度に従ってスロットル弁開度が制御されたとした場合の4演算間隔後の将来の内燃機関の状態が予測される。すなわち、現時点において設定された基準EGR制御弁開度、基準ベーン開度、および、基準スロットル弁開度が実際にEGR制御弁開度、ベーン開度、および、スロットル弁開度の制御に用いられる前に、現時点において設定された基準EGR制御弁開度、基準ベーン開度、および、基準スロットル弁開度が実際にEGR制御弁開度、ベーン開度、および、スロットル弁開度の制御に用いられたときの将来の内燃機関の状態が予測される。そして、この将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態にないときには、将来の内燃機関の状態を制約条件を成立させる状態にすることができる制約スロットル弁開度が算出され(結果的に、将来の内燃機関の状態が制約条件を成立させる状態になるように基準スロットル弁開度が補正されると言える)、この制約スロットル弁開度が目標スロットル弁開度の設定に用いられる。
したがって、上述した実施形態によれば、全体として、過給圧がベーン開度の影響を受けるだけでなくスロットル弁開度の影響を受ける場合、或いは、EGR率がEGR制御弁開度の影響を受けるだけでなくスロットル弁開度の影響を受ける場合においても、過給圧を目標過給圧に十分な追従性をもって到達させることができ、或いは、EGR率を目標EGR率に十分な追従性をもって到達させることができるという効果が得られる。
上述した実施形態は、EGR率がEGR制御弁開度の影響だけでなくスロットル弁開度およびベーン開度の影響を受けると共に過給圧がベーン開度の影響を受けるだけでなくスロットル弁開度およびEGR制御弁開度の影響を受ける場合に本発明を適用した実施形態であるが、少なくとも、上述した実施形態から得られる上述した効果を得るという観点では、本発明の考え方は、広くは、特定の1つの制御量が少なくとも2つの制御対象の動作状態の影響を受ける場合に適用可能である。
上述した実施形態に従った制御対象(すなわち、燃料噴射弁21、スロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35D)の制御を実行するルーチンの一例が図4に示されている。なお、図4のルーチンは、上記予め定められた時間間隔毎に実行される。
図4のルーチンが開始されると、ステップ10において、図5に示されている目標燃料噴射量の設定ルーチンが実行される。次いで、ステップ20において、図6および図7に示されている制約偏差の算出ルーチンが実行される。次いで、ステップ30において、図8に示されている目標開度の算出ルーチンが実行される。次いで、ステップ40において、図9に示されている制御対象の操作ルーチンが実行される。
次に、図4の各ステップにおいて実行されるルーチンについて順に説明する。
図4のステップ10において図5のルーチンが開始されると、ステップ100において、現在のアクセルペダル開度Acc(k)が取得される。次いで、ステップ101において、ステップ100で取得された現在のアクセルペダル開度Acc(k)に基づいて目標燃料噴射量TQが算出される。
次いで、ステップ102において、前回の本ルーチンのステップ102で1演算間隔後の燃料噴射量に設定された目標燃料噴射量TQ1(k−1)が現時点の目標燃料噴射量TQ(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ102で2演算間隔後の燃料噴射量に設定された目標燃料噴射量TQ2(k−1)が1演算間隔後の燃料噴射量TQ1(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ102で3演算間隔後の燃料噴射量に設定された目標燃料噴射量TQ3(k−1)が2演算間隔後の燃料噴射量TQ2(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ102で4演算間隔後の燃料噴射量に設定された目標燃料噴射量TQ4(k−1)が3演算間隔後の燃料噴射量TQ3(k)に入力され、今回の本ルーチンのステップ101で算出された目標燃料噴射量TQが4演算間隔後の燃料噴射量TQ4(k)に入力され、ルーチンが終了する。
なお、図5のステップ102において現時点の目標燃料噴射量TQ(k)に入力された目標燃料噴射量は、図9のステップ400において、現時点の目標燃料噴射量TQ(k)として取得され、同図9のステップ401において、この取得された現時点の目標燃料噴射量TQ(k)の燃料が燃料噴射弁21から噴射されるように、燃料噴射弁21の動作が制御される。ここで、図5のルーチンによれば、ステップ102において現時点の目標燃料噴射量TQ(k)に入力された目標燃料噴射量は、4演算間隔前に図4のステップ101で算出された目標燃料噴射量TQである。したがって、図9のステップ401における制御によって燃料噴射弁21から噴射される燃料の量は、図9のルーチンの今回の実行時点よりも4演算間隔前に図5のステップ101において算出された目標燃料噴射量TQである。すなわち、図5のルーチンの今回の実行によって現在のアクセルペダル開度Acc(k)に基づいて算出される目標燃料噴射量TQは、4演算間隔後の時点の燃料噴射弁の制御における目標燃料噴射量として用いられることになる。
次いで、図4のステップ20において図6および図7のルーチンが開始されると、図6のステップ200において、図5のステップ102で4演算間隔後の燃料噴射量TQ4(k)に入力された目標燃料噴射量(すなわち、図5のステップ101で算出された目標燃料噴射量TQ)が取得される。次いで、ステップ201において、ステップ200で取得された4演算間隔後の燃料噴射量TQ4(k)に基づいて所定の空燃比を達成するための目標過給圧TPimと目標EGR率TRegrとが算出される。
次いで、ステップ202において、前回の本ルーチンのステップ202で1演算間隔後の過給圧に設定された目標過給圧TPim1(k−1)が現時点の目標過給圧TPim(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ202で2演算間隔後の過給圧に設定された目標過給圧TPim2(k−1)が1演算間隔後の過給圧TPim1(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ202で3演算間隔後の過給圧に設定された目標過給圧TPim3(k−1)が2演算間隔後の過給圧TPim2(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ202で4演算間隔後の過給圧に設定された目標過給圧TPim4(k−1)が3演算間隔後の過給圧TPim3(k)に入力され、今回の本ルーチンのステップ201で算出された目標過給圧TPimが4演算間隔後の過給圧TPim4(k)に入力され、また、前回の本ルーチンのステップ202で1演算間隔後のEGR率に設定された目標EGR率TRegr1(k−1)が現時点の目標EGR率TRegr(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ202で2演算間隔後のEGR率に設定された目標EGR率TRegr2(k−1)が1演算間隔後のEGR率TRegr1(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ202で3演算間隔後のEGR率に設定された目標EGR率TRegr3(k−1)が2演算間隔後のEGR率TRegr2(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ202で4演算間隔後のEGR率に設定された目標EGR率TRegr4(k−1)が3演算間隔後のEGR率TRegr3(k)に入力され、今回の本ルーチンのステップ201で算出された目標EGR率TRegrが4演算間隔後のEGR率TRegr4(k)に入力される。
なお、図6のステップ202において現時点の目標過給圧TPim(k)に入力された目標過給圧および現時点の目標EGR率TRegr(k)に入力された目標EGR率は、図8のステップ301において、現時点の目標過給圧TPim(k)および現時点の目標EGR率TRegr(k)として取得され、同図8のルーチンに用いられる。ここで、図6のルーチンによれば、ステップ202において現時点の目標過給圧TPim(k)および現時点の目標EGR率TRegr(k)に入力された目標過給圧および目標EGR率は、4演算間隔前に図6のステップ201で算出された目標過給圧TPimおよび目標EGR率TRegrである。したがって、図6のルーチンの今回の実行によって算出される目標過給圧TPimおよび目標EGR率TRegrは、4演算間隔後の時点のスロットル弁、EGR制御弁、および、ベーンの制御における目標過給圧および目標EGR率として用いられることになる。
次いで、ステップ203において、ステップ202で4演算間隔後の過給圧TPim4(k)に入力された目標過給圧(すなわち、ステップ201で算出された目標過給圧TPim)とステップ202で4演算間隔後のEGR率TRegr4(k)に入力された目標EGR率(すなわち、ステップ201で算出された目標EGR率TRegr)とに基づいて、基準スロットル弁開度Dthb、基準EGR制御弁開度Degrb、および、基準ベーン開度Dvnbが算出される。
次いで、ステップ204において、前回の本ルーチンのステップ204で1演算間隔後の基準スロットル弁開度に設定された基準スロットル弁開度Dthb1(k−1)が現時点の基準スロットル弁開度Dthb(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ204で2演算間隔後の基準スロットル弁開度に設定された基準スロットル弁開度Dthb2(k−1)が1演算間隔後の基準スロットル弁開度Dthb1(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ204で3演算間隔後の基準スロットル弁開度に設定された基準スロットル弁開度Dthb3(k−1)が2演算間隔後の基準スロットル弁開度Dthb2(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ204で4演算間隔後の基準スロットル弁開度に設定された基準スロットル弁開度Dthb4(k−1)が3演算間隔後の基準スロットル弁開度Dthb3(k)に入力され、今回の本ルーチンのステップ203で算出された基準スロットル弁開度Dthbが4演算間隔後の基準スロットル弁開度Dthb4(k)に入力され、これら基準スロットル弁開度Dthb(k)およびDthb1〜4(k)が電子制御装置60に記憶される。
また、ステップ204では、前回の本ルーチンのステップ204で1演算間隔後の基準EGR制御弁開度に設定された基準EGR制御弁開度Degrb1(k−1)が現時点の基準EGR制御弁開度Degrb(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ204で2演算間隔後の基準EGR制御弁開度に設定された基準EGR制御弁開度Degrb2(k−1)が1演算間隔後の基準EGR制御弁開度Degrb1(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ204で3演算間隔後の基準EGR制御弁開度に設定された基準EGR制御弁開度Degrb3(k−1)が2演算間隔後の基準EGR制御弁開度Degrb2(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ204で4演算間隔後の基準EGR制御弁開度に設定された基準EGR制御弁開度Degrb4(k−1)が3演算間隔後の基準EGR制御弁開度Degrb3(k)に入力され、今回の本ルーチンのステップ203で算出された基準EGR制御弁開度Degrbが4演算間隔後の基準EGR制御弁開度Degrb4(k)に入力され、これら基準EGR制御弁開度Degrb(k)およびDegrb1〜4(k)が電子制御装置60に記憶される。
また、ステップ204では、前回の本ルーチンのステップ204で1演算間隔後の基準ベーン開度に設定された基準ベーン開度Dvnb1(k−1)が現時点の基準ベーン開度Dvnb(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ204で2演算間隔後の基準ベーン開度に設定された基準ベーン開度Dvnb2(k−1)が1演算間隔後の基準ベーン開度Dvnb1(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ204で3演算間隔後の基準ベーン開度に設定された基準ベーン開度Dvnb3(k−1)が2演算間隔後の基準ベーン開度Dvnb2(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ204で4演算間隔後の基準ベーン開度に設定された基準ベーン開度Dvnb4(k−1)が3演算間隔後の基準ベーン開度Dvnb3(k)に入力され、今回の本ルーチンのステップ203で算出された基準ベーン開度Dvnbが4演算間隔後の基準ベーン開度Dvnb4(k)に入力され、これら基準ベーン開度Dvnb(k)およびDvnb1〜4(k)が電子制御装置60に記憶される。
なお、図6のステップ204において現時点の基準スロットル弁開度Dthb(k)に入力された基準スロットル弁開度、現時点の基準EGR制御弁開度Degrb(k)に入力された基準EGR制御弁開度、および、現時点の基準ベーン開度Dvnb(k)に入力された基準ベーン開度は、図8のステップ302において、現時点の基準スロットル弁開度Dthb(k)、現時点の基準EGR制御弁開度Degrb(k)、および、現時点の基準ベーン開度Dvnb(k)として取得され、同図9のルーチンに用いられる。ここで、図6のルーチンによれば、ステップ204において現時点の基準スロットル弁開度Dthb(k)、現時点の基準EGR制御弁開度Degrb(k)、および、現時点の基準ベーン開度Dvnb(k)に入力された基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度は、4演算間隔前に図6のステップ203で算出された基準スロットル弁開度Dthb、基準EGR制御弁開度Degrb、および、基準ベーン開度Dvnbである。したがって、図6のルーチンの今回の実行によって算出される基準スロットル弁開度Dthb、基準EGR制御弁開度Degrb、および、基準ベーン開度Dvnbは、4演算間隔後の時点の目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度の算出に用いられることになる。
次いで、図7のステップ205において、5演算間隔後の内燃機関10の状態に基づいて制約条件が成立するか否かが判別される。すなわち、ステップ205では、ステップ204で電子制御装置60に記憶された現時点の基準スロットル弁開度Dthb(k)、基準EGR制御弁開度Degrb(k)、および、基準ベーン開度Dvnb(k)に従って、スロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作され、次いで、1演算間隔後の基準スロットル弁開度Dthb1(k)、基準EGR制御弁開度Degrb1(k)、および、基準ベーン開度Dvnb1(k)に従って、スロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作され、次いで、2演算間隔後の基準スロットル弁開度Dthb1(k)、基準EGR制御弁開度Degrb1(k)、および、基準ベーン開度Dvnb1(k)に従って、スロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作され、次いで、3演算間隔後の基準スロットル弁開度Dthb1(k)、基準EGR制御弁開度Degrb1(k)、および、基準ベーン開度Dvnb1(k)に従って、スロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作され、次いで、4演算間隔後の基準スロットル弁開度Dthb1(k)、基準EGR制御弁開度Degrb1(k)、および、基準ベーン開度Dvnb1(k)に従って、スロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作されたとして場合に内燃機関10がとりうる状態が予測され、この予測された内燃機関10の状態に基づいて制約条件が5演算間隔後に成立するか否かが判別される。
ここで、制約条件が成立すると判別されたときには、ルーチンはステップ206に進む。一方、制約条件が成立しないと判別されたときには、ステップ208に進む。
ステップ205において制約条件が成立すると判別され、ルーチンがステップ206に進むと、制約スロットル弁開度、制約EGR制御弁開度、および、制約ベーン開度が算出され、ルーチンがステップ207に進む。なお、この場合、制約スロットル弁開度、制約EGR制御弁開度、および、制約ベーン開度は、それぞれ、基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度と同じ値とされる。
一方、ステップ205において制約条件が成立しないと判別され、ルーチンがステップ208に進むと、制約スロットル弁開度、制約EGR制御弁開度、および、制約ベーン開度が算出され、ルーチンがステップ207に進む。
ルーチンがステップ206からステップ207に進んだ場合、ステップ207では、ステップ206で算出された制約スロットル弁開度DthLとステップ203で算出された基準スロットル弁開度Dthbとに基づいて制約スロットル弁開度偏差ΔDthLが算出され、ステップ206で算出された制約EGR制御弁開度DegrLとステップ203で算出された基準EGR制御弁開度Degrbとに基づいて制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrLが算出され、ステップ206で算出された制約ベーン開度DvnLとステップ203で算出された基準ベーン開度Dvnbとに基づいて制約ベーン開度偏差ΔDvnLが算出される。なお、この場合、制約スロットル弁開度、制約EGR制御弁開度、および、制約ベーン開度がそれぞれ基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度と同じ値であることから、ステップ207で算出される制約スロットル弁開度偏差ΔDthL、制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL、および、制約ベーン開度偏差ΔDvnLは、それぞれ、零である。
一方、ルーチンがステップ208からステップ207に進んだ場合、ステップ207では、ステップ208で算出された制約スロットル弁開度DthLとステップ203で算出された基準スロットル弁開度Dthbとに基づいて制約スロットル弁開度偏差ΔDthLが算出され、ステップ208で算出された制約EGR制御弁開度DegrLとステップ203で算出された基準EGR制御弁開度Degrbとに基づいて制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrLが算出され、ステップ208で算出された制約ベーン開度DvnLとステップ203で算出された基準ベーン開度Dvnbとに基づいて制約ベーン開度偏差ΔDvnLが算出される。
次いで、ステップ208において、前回の本ルーチンのステップ208で1演算間隔後の制約スロットル弁開度偏差に設定された制約スロットル弁開度偏差ΔDthL1(k−1)が現時点の制約スロットル弁開度偏差ΔDthL(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ208で2演算間隔後の制約スロットル弁開度偏差に設定された制約スロットル弁開度偏差ΔDthL2(k−1)が1演算間隔後の制約スロットル弁開度偏差ΔDthL1(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ208で3演算間隔後の制約スロットル弁開度偏差に設定された制約スロットル弁開度偏差ΔDthL3(k−1)が2演算間隔後の制約スロットル弁開度偏差ΔDthL2(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ208で4演算間隔後の制約スロットル弁開度偏差に設定された制約スロットル弁開度偏差ΔDthL4(k−1)が3演算間隔後の制約スロットル弁開度偏差ΔDthL3(k)に入力され、今回の本ルーチンのステップ207で算出された制約スロットル弁開度偏差ΔDthLが4演算間隔後の制約スロットル弁開度偏差ΔDthL4(k)に入力される。
なお、図7のステップ208において現時点の制約スロットル弁開度偏差ΔDthL(k)に入力された制約スロットル弁開度偏差は、図8のステップ303において、現時点の制約スロットル弁開度偏差ΔDthL(k)として取得され、同図8のルーチンに用いられる。ここで、図7のルーチンによれば、ステップ208において現時点の制約スロットル弁開度偏差ΔDthL(k)に入力された制約スロットル弁開度偏差は、4演算間隔前に図7のステップ207で算出された制約スロットル弁開度偏差ΔDthLである。したがって、図7のルーチンの今回の実行によって算出される制約スロットル弁開度偏差ΔDthLは、4演算間隔後の時点の目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度の算出に用いられることになる。
また、ステップ208では、前回の本ルーチンのステップ208で1演算間隔後の制約EGR制御弁開度偏差に設定された制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL1(k−1)が現時点の制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ208で2演算間隔後の制約EGR制御弁開度偏差に設定された制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL2(k−1)が1演算間隔後の制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL1(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ208で3演算間隔後の制約EGR制御弁開度偏差に設定された制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL3(k−1)が2演算間隔後の制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL2(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ208で4演算間隔後の制約EGR制御弁開度偏差に設定された制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL4(k−1)が3演算間隔後の制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL3(k)に入力され、今回の本ルーチンのステップ207で算出された制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrLが4演算間隔後の制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL4(k)に入力される。
なお、図7のステップ208において現時点の制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL(k)に入力された制約EGR制御弁開度偏差は、図8のステップ304において、現時点の制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL(k)として取得され、同図8のルーチンに用いられる。ここで、図7のルーチンによれば、ステップ208において現時点の制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL(k)に入力された制約EGR制御弁開度偏差は、4演算間隔前に図7のステップ207で算出された制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrLである。したがって、図7のルーチンの今回の実行によって算出される制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrLは、4演算間隔後の時点の目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度の算出に用いられることになる。
ステップ208では、前回の本ルーチンのステップ208で1演算間隔後の制約ベーン開度偏差に設定された制約ベーン開度偏差ΔDvnL1(k−1)が現時点の制約ベーン開度偏差ΔDvnL(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ208で2演算間隔後の制約ベーン開度偏差に設定された制約ベーン開度偏差ΔDvnL2(k−1)が1演算間隔後の制約ベーン開度偏差ΔDvnL1(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ208で3演算間隔後の制約ベーン開度偏差に設定された制約ベーン開度偏差ΔDvnL3(k−1)が2演算間隔後の制約ベーン開度偏差ΔDvnL2(k)に入力され、前回の本ルーチンのステップ208で4演算間隔後の制約ベーン開度偏差に設定された制約ベーン開度偏差ΔDvnL4(k−1)が3演算間隔後の制約ベーン開度偏差ΔDvnL3(k)に入力され、今回の本ルーチンのステップ207で算出された制約ベーン開度偏差ΔDvnLが4演算間隔後の制約ベーン開度偏差ΔDvnL4(k)に入力される。
なお、図7のステップ208において現時点の制約ベーン開度偏差ΔDvnL(k)に入力された制約ベーン開度偏差は、図8のステップ304において、現時点の制約ベーン開度偏差ΔDvnL(k)として取得され、同図8のルーチンに用いられる。ここで、図7のルーチンによれば、ステップ208において現時点の制約ベーン開度偏差ΔDvnL(k)に入力された制約ベーン開度偏差は、4演算間隔前に図7のステップ207で算出された制約ベーン開度偏差ΔDvnLである。したがって、図7のルーチンの今回の実行によって算出される制約ベーン開度偏差ΔDvnLは、4演算間隔後の時点の目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度の算出に用いられることになる。
次いで、図4のステップ30において図8のルーチンが開始されると、ステップ300において、現在の過給圧Pim(k)と現在のEGR率Regr(k)が取得される。次いで、ステップ301において、図6のステップ202で設定された現時点の目標過給圧TPim(k)と現時点の目標EGR率TRegr(k)とが取得される。次いで、ステップ302において、図6のステップ204で設定された現時点の基準スロットル弁開度Dthb(k)、現時点の基準EGR制御弁開度Degrb(k)、および、現時点の基準ベーン開度Dvn(k)が取得される。次いで、ステップ303において、図7のステップ208で設定された現時点の制約スロットル弁開度偏差ΔDthL(k)、現時点の制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL(k)、および、現時点の制約ベーン開度偏差ΔDvnL(k)が取得される。
次いで、ステップ304において、ステップ301で取得された目標過給圧TPim(k)に対するステップ300で取得された過給圧Pim(k)の偏差が実過給圧偏差ΔPim(k)として算出されると共に、ステップ301で取得された目標EGR率TRegr(k)に対するステップ300で取得されたEGR率Regr(k)の偏差が実EGR率偏差ΔRegr(k)として算出される。次いで、ステップ305において、ステップ304で算出された実過給圧偏差ΔPim(k)および実EGR率偏差ΔRegr(k)に基づいたPID制御によってこれら偏差が零になるようにステップ302で取得された基準スロットル弁開度Dthb(k)、基準EGR制御弁開度Degrb(k)、および、基準ベーン開度Dvnb(k)を補正するための補正係数がそれぞれスロットル弁開度補正係数Kdth(k)、EGR制御弁開度補正係数Kdegr(k)、および、ベーン開度補正係数Kdvn(k)として算出される。
次いで、ステップ306において、ステップ303で取得された制約スロットル弁開度偏差ΔDthL(k)、制約EGR制御弁開度偏差ΔDegrL(k)、および、制約ベーン開度偏差ΔDvnL(k)に基づいたPID制御によってこれら偏差が零となるようにステップ302で取得された基準スロットル弁開度Dthb(k)、基準EGR制御弁開度Degrb(k)、および、基準ベーン開度Dvn(k)を補正するための補正係数がそれぞれ制約スロットル弁開度補正係数KdthL(k)、制約EGR制御弁開度補正係数KdegrL(k)、および、制約ベーン開度補正係数KdvnL(k)として算出される。
次いで、ステップ307において、ステップ302で取得された基準スロットル弁開度Dthb(k)、基準EGR制御弁開度Degrb(k)、および、基準ベーン開度Dvnb(k)と、ステップ305で算出されたスロットル弁開度補正係数Kdth(k)、EGR制御弁開度補正係数Kdegr(k)、および、ベーン開度補正係数Kdvn(k)と、ステップ306で算出された制約スロットル弁開度補正係数KdthL(k)、制約EGR制御弁開度補正係数KdegrL(k)、および、制約ベーン開度補正係数KdvnL(k)とを用いて、ステップ301で取得された目標過給圧TPim(k)および目標EGR率TRegr(k)を達成するためのスロットル弁開度、EGR制御弁開度、および、ベーン開度がそれぞれ目標スロットル弁開度TDth(k)、目標EGR制御弁開度TDegr(k)、および、目標ベーン開度TDvn(k)として算出され、ルーチンが終了する。
そして、図4のステップ40において図9のルーチンが開始されると、ステップ400において、図8のステップ307で算出された最終的な目標スロットル弁開度TDth(k)、最終的な目標EGR制御弁開度TDegr(k)、および、最終的な目標ベーン開度TDvn(k)が取得される。次いで、ステップ401において、ステップ400で取得された目標スロットル弁開度TDth(k)、目標EGR制御弁開度TDegr(k)、および、目標ベーン開度TDvn(k)が達成されるように、制御対象であるスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作される。
次に、上述した実施形態の制約偏差演算における5演算間隔後の内燃機関10の状態の予測の一例を紹介する。
内燃機関の複数の構成要素(上述した実施形態では、スロットル弁、EGR制御弁、および、ベーン)を制御対象とし、現時点における内燃機関の内部状態を内部状態ベクトル「x」で表し、各制御対象の動作状態を目標とする動作状態(上述した実施形態では、基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度)にするために各制御対象に入力される操作量を操作量ベクトル「u」で表したとき、各制御対象にそれぞれ対応する操作量が入力されたときの内燃機関の内部状態、すなわち、次の演算実行時における内燃機関の内部状態を表す状態ベクトル「x」は、定数行列(または、係数行列)AiおよびBiを用いて、次式1の状態方程式によって表現可能である。
Figure 0005549457
なお、上式1において、「x」は、分割された状態空間「Xi」に含まれているものとしている。
また、各制御対象の動作状態を目標とする動作状態とする各制御対象にそれぞれ対応する操作量が入力されたときの制御量(すなわち、上述した実施形態では、過給圧、EGR率、機関出力トルク、および、排気ガス中のエミッション量)を表す制御量ベクトル「y」は、定数行列(または、係数行列)CiおよびDiを用いて、次式2の出力方程式によって表現可能である。
Figure 0005549457
ここで、上記内部状態ベクトルxに関する制約、上記操作量ベクトルuに関する制約、および、上記制御量ベクトルyに関する制約を表すベクトル(以下このベクトルを「被拘束信号ベクトル」という)「c」を次式3で表すものと定義する。
Figure 0005549457
そして、上式3のように被拘束信号ベクトルcを定義したとき、被拘束信号ベクトルcは、上式1および上式2から次式4によって表現される。
Figure 0005549457
ここで、定数行列(または、係数行列)Ccを次式5のように定義し、定数行列(または、係数行列)Dcを次式6のように定義する。
Figure 0005549457
そして、上式5および上式6のように定数行列CcおよびDcを定義したとき、上式4は、次式7によって表現される。
Figure 0005549457
このように、制御対象に関する状態空間モデルは、上式1、上式2、および、上式7で表現されることになる。
ここで、内部状態ベクトルxで表される各制御対象の内部状態に関する制約を有界閉集合「X」で表し、操作量ベクトルuで表される各制御対象に入力される操作量に関する制約を有界閉集合「U」で表し、制御量ベクトルyで表される各制御対象から出力される制御量に関する制約を有界閉集合「Y」で表し、有界閉集合「C」を次式8で表すものと定義する。なお、内部状態ベクトルxがm次元のベクトルであり、操作量ベクトルuがn次元のベクトルであり、制御量ベクトルyがp次元のベクトルであり、q=m+n+pであるとしたとき、有界閉集合Cは、ベクトル空間Rに属している。
Figure 0005549457
そして、被拘束信号ベクトルcが上記有界閉集合Cに属するならば、内部状態ベクトルxが上記有界閉集合Xに属し、操作量ベクトルuが上記有界閉集合Uに属し、制御量ベクトルyが上記有界閉集合Yに属することになる。したがって、被拘束信号ベクトルcが上記有界閉集合Cに属するように操作量ベクトルu(すなわち、各操作量)が修正され、この修正された操作量ベクトルuに従った操作量が各制御対象に入力されたとき、各制御対象の内部状態に関する制約、各制御対象に入力される操作量に関する制約、および、各制御対象から出力される制御量に関する制約の全てが満たされた形で、各制御対象の制御量が制御されることになる。
以上のことを前提とし、スロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dを含む内燃機関の複数の構成要素の内部状態観測による内部状態フィードバックと、目標過給圧に対する実際の過給圧の偏差(すなわち、過給圧偏差)と目標EGR率に対する実際のEGR率の偏差(すなわち、EGR率偏差)とに基づく追従誤差積分制御とを行うとしたとき、以下のように、目標燃料噴射量に基づいて算出される目標過給圧および目標EGR率に基づいて算出される基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度が修正され、制約条件を成立させることができる制約スロットル弁開度、制約EGR制御弁開度、および、制約ベーン開度が求められる。
すなわち、内部状態フィードバックに関するフィードバックゲインを「Kxi」で表し、追従誤差積分制御に関するフィードバックゲインを「Kvi」で表し、内燃機関の複数の構成要素の内部状態を表す内部状態ベクトルを「x」で表し、追従誤差積分制御における追従誤差積分値を表す追従誤差積分値ベクトルを「v」で表し、スロットル弁33に入力される操作量、EGR制御弁52に入力される操作量、および、ベーン35Dに入力される操作量を表す操作量ベクトルを「u」で表したとき、操作量ベクトルuは、次式9によって表現される。
Figure 0005549457
また、目標過給圧および目標EGR率を表す目標値ベクトルを「r」で表し、制御対象の制御量である過給圧およびEGR率を表す制御量ベクトルを「y」で表し、目標過給圧に対する実際の過給圧の偏差(すなわち、追従誤差)および目標EGR率に対する実際のEGR率の偏差(すなわち、追従誤差)を表す追従誤差ベクトルを「e」で表したとき、追従誤差ベクトルeは、次式10によって表現される。
Figure 0005549457
さらに、現時点における追従誤差積分値ベクトルを「v」で表し、次の演算の実行時点における追従誤差積分値ベクトルを「v」で表したとき、次の演算の実行時点における追従誤差積分値ベクトルvは、次式11によって表現される。
Figure 0005549457
そして、上式10および上式11を上式1、上式2、および、上式7に代入して変形すると、次式12〜次式14の閉ループ系の状態空間モデルが得られる。
Figure 0005549457
ここで、上式12は、過給圧およびEGR率に関する現時点における追従誤差積分値(これらは、追従誤差積分値ベクトルvで表されている)と、内燃機関の構成要素の現時点における内部状態(これらは、内部状態ベクトルxで表されている)と、現時点における目標過給圧および目標EGR率(これらは、目標値ベクトルrで表されている)とに基づいて、次の演算の実行時点における追従誤差積分値(これらは、追従誤差積分値ベクトルvで表されている)および内燃機関の構成要素の次の演算の実行時点における内部状態(これらは、内部状態ベクトルxで表されている)を求める式である。
また、上式13は、過給圧およびEGR率に関する追従誤差積分値と、内燃機関の構成要素の内部状態とに基づいて、制御対象の制御量である過給圧およびEGR率(これらは、制御量ベクトルyで表されている)を求める式である。
さらに、上式14は、過給圧およびEGR率に関する追従誤差積分値と、内燃機関の構成要素の内部状態とに基づいて、上述した被拘束信号ベクトルcを求める式である。
そして、上式12〜上式14に示されている状態空間モデルが上述した実施形態の内燃機関10の状態の予測に用いられるモデルに相当する。
一方、「ξ」、「Φ」、「G」、「H」、および、「Hc」をそれぞれ次式15〜次式19のように定義する。
Figure 0005549457
そして、上記「ξ」、「Φ」、「G」、「H」、および、「Hc」を用いれば、上式12〜上式14は、次式20〜次式22のように表現可能される。
Figure 0005549457
そして、演算が実行される時間間隔を「ステップ」と称し、目標過給圧および目標EGR率が目標値ベクトルrとして与えられたとき、hステップ先の制約条件が満たされる目標過給圧および目標EGR率を求める場合、目標燃料噴射量に基づいて設定される目標過給圧および目標EGR率を表す初期目標値ベクトルを「r」で表したとき、初期目標値ベクトルrに対する今回求めるべき目標過給圧および目標EGR率を表す目標値ベクトルrの偏差の絶対値の最小値を求めるという下の(23)に示されている最適化問題を解くことによって得られる目標値ベクトルrで表される目標過給圧および目標EGR率が全ての制約を満たした状態で過給圧およびEGR率を制御することができる目標過給圧および目標EGR率である。
Figure 0005549457
すなわち、逐次、上の(23)に示されている最適化問題を解いて得られる目標過給圧および目標EGR率に基づいて算出される基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度を制約スロットル弁開度、制約EGR制御弁開度、および、制約ベーン開度として用いて目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度を算出し、これら目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度に基づいてスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作されれば、全ての制約が満たされることになる。
ここで、上の(23)に示されている最適化問題において、「ck+j|k」は、時刻kにおける必要情報が既知である場合の時刻k+jにおける「c」の推定値を表しており、「ξk+j|k」は、時刻kにおける必要情報が既知である場合の時刻k+jにおける「ξ」の推定値を表している。
なお、上述した実施形態では、5演算間隔後の内燃機関10の状態が予測されるのであるから、上記「h」が「5」になる。
なお、上で紹介した例では、状態空間モデルを用いて、全ての制約条件が満たされるように目標燃料噴射量に基づいて設定された目標過給圧および目標EGR率が修正され、これら修正された目標過給圧および目標EGR率が目標スロットル弁開度、目標EGR制御弁開度、および、目標ベーン開度の設定に用いられる。したがって、上で紹介した例では、目標燃料噴射量に基づいて設定された目標過給圧および目標EGR率に基づいて算出される基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度に従ってスロットル弁33、EGR制御弁52、および、ベーン35Dが操作されたときの過給圧、EGR率、スロットル弁の動作状態、EGR制御弁の動作状態、および、ベーンの動作状態が、状態空間モデルによって予測され、この予測結果に基づいて全ての制約条件が満たされるか否かが判別され、全ての制約条件が満たされると判断されるまで基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度が修正され、全ての制約条件が満たされると判断されたときの基準スロットル弁開度、基準EGR制御弁開度、および、基準ベーン開度がそれぞれ制約スロットル弁開度、制約EGR制御弁開度、および、制約ベーン開度として用いられるものと言える。
なお、上式23の最適化問題を解く場合、最適解を求めるようにしてもよいが、1回の演算にかけられる時間が比較的短い場合、或いは、解を迅速に求める必要がある場合には、近似解を求めるようにしてもよい。
なお、以上、圧縮自着火式の内燃機関に本発明の制御装置を適用した場合を例に本発明の実施形態を説明したが、本発明は火花点火式の内燃機関にも適用可能である。
10…内燃機関、21…燃料噴射弁、35…過給機、35A…コンプレッサ、35B…排気タービン、35D…ベーン、50…EGR装置、52…EGR制御弁、60…電子制御装置、72…過給圧センサ、74…クランクポジションセンサ、75…アクセルペダル開度センサ

Claims (10)

  1. 第1制御量を制御する第1制御対象と、第2制御量を制御する第2制御対象とを具備する内燃機関の制御装置であって、現時点における内燃機関に対する要求に応じて第1制御量の目標値を目標第1制御量として設定する目標第1制御量設定手段と、該目標第1制御量設定手段によって設定された目標第1制御量に基づいて第1制御対象の目標とするべき動作状態を目標第1動作状態として設定する目標第1動作状態設定手段と、前記目標第1制御量設定手段によって設定された目標第1制御量に基づいて第2制御量の目標値を目標第2制御量として設定する目標第2制御量設定手段と、該目標第2制御量設定手段によって設定された目標第2制御量に基づいて第2制御対象の目標とするべき動作状態を基準第2動作状態として設定する基準第2動作状態設定手段と、該基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に基づいて第2制御対象の目標とするべき動作状態を目標第2動作状態として設定する目標第2動作状態設定手段とを具備し、前記目標第1動作状態設定手段によって設定される目標第1動作状態に従って該目標第1動作状態が達成されるように第1制御対象の動作状態が制御されると共に、前記目標第2制御対象設定手段によって設定される目標第2動作状態に従って該目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態が制御される内燃機関の制御装置において、
    現時点よりも予め定められた時間前に前記目標第1動作状態設定手段によって設定された目標第1動作状態に従って該目標第1動作状態が達成されるように第1制御対象の動作状態が制御され、現時点よりも前記予め定められた時間前の時点から現時点までの間に前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に従ってこれら基準第2動作状態の設定順に第2制御対象の動作状態が制御されたとした場合の現時点よりも前記予め定められた時間後の内燃機関の状態が将来の内燃機関の状態として予測され、
    該予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する制約条件を成立させる状態にあるときには、現時点よりも前記予め定められた時間前に前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に基づいて目標第2動作状態が前記目標第2動作状態設定手段によって設定され、該設定された目標第2動作状態に従って該目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態が制御され、
    前記予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する前記制約条件を成立させる状態にないときには、前記将来の内燃機関の状態を内燃機関に関する前記制約条件を成立させる状態にすることができる第2制御対象の動作状態が制約第2動作状態として算出され、該算出された制約第2動作状態に基づいて目標第2動作状態が設定され、該設定された目標第2動作状態に従って該目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態が制御される内燃機関の制御装置。
  2. 前記目標第2動作状態設定手段によって設定された目標第2動作状態に従って前記第2制御対象の動作状態が制御される時点における実際の第2制御量が取得され、現時点よりも前記予め定められた時間前に設定された目標第2制御量に対する前記取得された実際の第2制御量との偏差が第2制御量偏差として算出され、該算出された第2制御量偏差が積分されて第2制御量偏差積分値が算出され、該算出された第2制御量偏差積分値が前記第2制御量偏差を零にするように前記目標第2動作状態の設定に反映され、
    前記将来の内燃機関の状態が前記制約条件を成立させる状態にないときには現時点において前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に対する現時点において算出された前記制約第2動作状態の偏差が制約第2動作状態偏差として算出され、該算出された制約第2動作状態偏差が前記第2制御量偏差積分値を減少させるように該第2制御量偏差積分値に反映される請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記将来の内燃機関の状態前記制約条件を成立させる状態にすることができる前記制約第2動作状態のうち、現時点よりも前記予め定められた時間前に前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に可能な限り近い制約第2動作状態が目標第2動作状態の設定に用いられる請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記第1制御対象が燃料噴射弁であり、前記第1制御量が該燃料噴射弁から噴射される燃料の量であり、前記目標第1制御量が内燃機関から出力されるトルクとして要求されるトルクに基づいて設定される請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
  5. 第3制御量を制御する第3制御対象をさらに具備し、第2制御対象の動作状態が変更されると該第2制御対象の動作状態の変更が第3制御量に影響する内燃機関の制御装置であって、
    前記目標第1制御量設定手段によって設定された目標第1制御量に基づいて第3制御量の目標値を目標第3制御量として設定する目標第3制御量設定手段と、該目標第3制御量設定手段によって設定された目標第3制御量と前記目標第2制御量設定手段によって設定された目標第2制御量とに基づいて第3制御対象の目標とするべき動作状態を基準第3動作状態として設定する基準第3動作状態設定手段と、該基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に基づいて第3制御対象の目標とするべき動作状態を目標第3動作状態として設定する目標第3動作状態設定手段とをさらに具備し、
    現時点よりも前記予め定められた時間前の時点から現時点までの間に前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に従ってこれら基準第2動作状態の設定順に第2制御対象の動作状態が制御され、且つ、現時点よりも前記予め定められた時間前の時点から現時点までの間に前記基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に従ってこれら基準第3動作状態の設定順に第3制御対象の動作状態が制御されたとした場合の現時点よりも前記予め定められた時間後の内燃機関の状態が将来の内燃機関の状態として予測され、
    該予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する制約条件を成立させる状態にあるときには、現時点よりも前記予め定められた時間前に前記基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に基づいて目標第3動作状態が前記目標第3動作状態設定手段によって設定され、該設定された目標第3動作状態に従って該目標第3動作状態が達成されるように第3制御対象の動作状態が制御され、
    前記予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する前記制約条件を成立させる状態にないときには、前記将来の内燃機関の状態を内燃機関に関する前記制約条件を成立させる状態にすることができる第3制御対象の動作状態が制約第3動作状態として算出され、該算出された制約第3動作状態に基づいて目標第3動作状態が設定され、該設定された目標第3動作状態に従って該目標第3動作状態が達成されるように第3制御対象の動作状態が制御される請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記目標第3動作状態設定手段によって設定された目標第3動作状態に従って前記第3制御対象の動作状態が制御される時点における実際の第3制御量が取得され、現時点よりも前記予め定められた時間前に設定された目標第3制御量に対する前記取得された実際の第3制御量との偏差が第3制御量偏差として算出され、該算出された第3制御量偏差が積分されて第3制御量偏差積分値が算出され、該算出された第3制御量偏差積分値が前記第3制御量偏差を零にするように前記目標第3動作状態の設定に反映され、
    前記将来の内燃機関の状態が前記制約条件を成立させる状態にないときには現時点において前記基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に対する現時点において算出された前記制約第3動作状態の偏差が制約第3動作状態偏差として算出され、該算出された制約第3動作状態偏差が前記第3制御量偏差積分値を減少させるように該第3制御量偏差積分値に反映される請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記目標第2動作状態設定手段によって設定された目標第2動作状態に従って前記第2制御対象の動作状態が制御される時点における実際の第2制御量が取得され、現時点よりも前記予め定められた時間前に設定された目標第2制御量に対する前記取得された実際の第2制御量との偏差が第2制御量偏差として算出され、
    前記目標第3動作状態設定手段によって設定された目標第3動作状態に従って前記第3制御対象の動作状態が制御される時点における実際の第3制御量が取得され、現時点よりも前記予め定められた時間前に設定された目標第3制御量に対する前記取得された実際の第3制御量との偏差が第3制御量偏差として算出され、
    前記算出された第2制御量偏差が積分されて第2制御量偏差積分値が算出され、前記算出された第3制御量偏差が積分されて第3制御量偏差積分値が算出され、これら算出された第2制御量偏差積分値および第3制御量偏差積分値が前記第2制御量偏差および前記第3制御量偏差を零にするように前記目標第2動作状態および前記目標第3動作状態の設定に反映され、
    前記将来の内燃機関の状態が前記制約条件を成立させる状態にないときには現時点において前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に対する現時点において算出された前記制約第2動作状態の偏差が制約第2動作状態偏差として算出されると共に前記基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に対する現時点において算出された前記制約第3動作状態の偏差が制約第3動作状態偏差として算出され、これら算出された制約第2動作状態偏差および制約第3動作状態偏差が前記第2制御量偏差積分値および前記第3制御量偏差積分値を減少させるようにこれら第2制御量偏差積分値および第3制御量偏差積分値に反映される請求項5に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記将来の内燃機関の状態前記制約条件を成立させることができる制約第3動作状態のうち、現時点よりも前記予め定められた時間前に前記基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に可能な限り近い制約第3動作状態が目標第3動作状態の設定に用いられる請求項5〜7のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
  9. 第3制御対象の動作状態が変更されると該第3制御対象の動作状態の変更が第2制御量に影響する内燃機関の制御装置であって、
    現時点よりも前記予め定められた時間前の時点から現時点までの間に前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に従ってこれら基準第2動作状態の設定順に第2制御対象の動作状態が制御され、且つ、現時点よりも前記予め定められた時間前の時点から現時点までの間に前記基準第3動作状態設定手段によって設定された基準第3動作状態に従ってこれら基準第3動作状態の設定順に第3制御対象の動作状態が制御されたとした場合の現時点よりも前記予め定められた時間後の内燃機関の状態が将来の内燃機関の状態として予測され、
    該予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する制約条件を成立させる状態にあるときには、現時点よりも前記予め定められた時間前に前記基準第2動作状態設定手段によって設定された基準第2動作状態に基づいて目標第2動作状態が前記目標第2動作状態設定手段によって設定され、該設定された目標第2動作状態に従って該目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態が制御され、
    前記予測された将来の内燃機関の状態が内燃機関に関する前記制約条件を成立させる状態にないときには、前記将来の内燃機関の状態を内燃機関に関する前記制約条件を成立させる状態にすることができる第2制御対象の動作状態が制約第2動作状態として算出され、該算出された制約第2動作状態に基づいて目標第2動作状態が設定され、該設定された目標第2動作状態に従って該目標第2動作状態が達成されるように第2制御対象の動作状態が制御される請求項5〜8のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
  10. 前記第2制御対象が内燃機関の吸気通路内を流れるガスの圧力を可変に制御することができる過給機であり、前記目標第2制御量が前記過給機によって制御される内燃機関の吸気通路内を流れるガスの圧力であり、前記第3制御対象が内燃機関の燃焼室から排出された排気ガスを吸気通路内に導入することができる排気再循環装置であり、前記目標第3制御量が前記排気再循環装置によって吸気通路内に導入される排気ガスの量である請求項5〜9のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置。
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