JP2007064022A - 制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】暫定目標値に基づく物理量の将来の変化予測を行いつつも、効率的にアクチュエータを動作させることのできる制御装置を提供する。
【解決手段】暫定目標駆動位置refpの遅延値を目標駆動位置refとしてアクチュエータの駆動位置のフィードバック制御を行うとともに、暫定目標駆動位置refpに基づきアクチュエータの将来の駆動位置を、先読み推定駆動位置yestとして推定する。張り付き判定において、上記フィードバック制御でのアクチュエータの操作量uに基づき、その出力が飽和しているか否かを判定し、出力飽和時には、補正処理にて、その変化率が低減されるように、上記推定に用いる暫定目標駆動位置refpを補正する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、暫定目標値の遅延値として設定された目標値と計測値との偏差に基づき制御指令値を演算してアクチュエータの動作をフィードバック制御するとともに、そのアクチュエータの動作により変化される物理量の将来の変化を上記暫定目標値に基づき推定する制御装置に関する。
周知のように、車載等の内燃機関では、排気性能の向上を目的として、燃焼される混合気の空気と燃料との比率である空燃比を好適に保持する制御、いわゆる空燃比制御が行われることがある。一般に空燃比制御では、吸気通路内の空気の流量を計測し、その計測結果に基づいて、所望とされる空燃比が得られるように燃料噴射量を決定する。こうした旧来の空燃比制御態様では、加減速時など、機関運転状態の大幅に変化する過渡運転時には、吸気通路内の空気流動の遅れに起因して、上記測定結果が、実際にその時点でシリンダに流入されている空気の量(シリンダ流入空気量)と一時的に対応しなくなり、空燃比制御精度の悪化を招くことがある。
そこで従来、例えば特許文献1〜4に見られるように、スロットル開度の目標値から将来のシリンダ流入空気量を予測し、その予測結果に応じて燃料噴射量を算出する内燃機関の制御装置が提案されている。この種の内燃機関の制御装置における燃料噴射量の制御ロジックを図11および図12に示す。
同図11および図12に示されるように、従来の制御装置では、アクセル操作量ACCPをもとにマップを通じてスロットルバルブの暫定目標開度TAtpが算出されている。そしてスロットル開度の制御にあっては、この暫定目標開度TAtpに遅延処理が施されて所定の遅延時間TDだけ遅延された値を電子制御スロットルに実際に指令するスロットルバルブの目標開度TAtとして算出する。そしてその算出された目標開度TAtと、スロットル開度の計測値である実開度TAactとの偏差errを低減すべく、周知のPID制御によって制御されている。なお同図の制御態様例では、先行微分型のPID制御が採用されており、目標開度TAtと実開度TAactの先行微分値TAactdとの偏差errに応じて、電子制御スロットルに指令される電圧デューティ比TAdutyが求められている。
他方、燃料噴射量の算出にあっては、同暫定目標値TAtpの逆先行微分値を、遅延時間TD後のスロットル開度(先読み推定開度TAest)として推定している。また、その先読み推定開度TAestに基づいて、遅延時間TD後のシリンダ流入空気量(推定シリンダ流入空気量KLfwd)の推定値を求めている。そして、その推定シリンダ流入空気量KLfwdに応じて、将来において目標空燃比を実現するに必要な燃料噴射量が算出されている。
このように、この種の内燃機関の制御装置では、遅延処理後の目標値に基づいてスロットル開度をフィードバック制御するとともに、シリンダ流入空気量の将来の変化を遅延処理前の目標値(暫定目標値TAtp)に基づき推定するようにしている。そのため、図13にその吸入空気量制御態様の一例をタイムチャートにて示すように、上述のような過渡運転時であれ、適正に燃料噴射量を演算することができるようになる。
特開平11−36930号公報 特開平11−62673号公報 特開平11−82102号公報 特開2004−316530号公報
ところで、上記態様での遅延時間TD後のシリンダ流入空気量の推定(予測)は、目標開度TAtに対して電子制御スロットルの動作が十分に追従していることがその前提となっている。すなわち、実開度TAactと目標開度TAtとの乖離が小さく、暫定目標値TApの逆先行微分値である先読み推定開度TAestが、遅延時間TD後の実際のスロットル開度を正しく反映するものとなっていることを条件に、上記のようなシリンダ流入空気量の予測が可能となっている。
ところが、車載電源の給電能力低下時には、電子制御スロットルのモータ(スロットルモータ)は、本来の応答性能を発揮することができなくなってしまう。またスロットルバルブの弁軸等へのデポジットの付着による摺動抵抗の増加などといった経時変化の影響によっても、スロットルモータの応答性能は本来よりも低下する。そうした状況では、図14に示すように、電圧デューティ比TAdutyを±100%に設定してスロットルモータを最大限に駆動しても、目標値TAtと実開度TAactとの偏差errを十分に縮小することができないことがある。すなわち、スロットルモータの出力が飽和してしまい、偏差errを十分に縮小することができないことがある。外的要因がスロットルモータの出力に与える影響のすべてを前もって把握しておくことはできないため、こうしたモータ出力の飽和の発生を完全に回避することは難しい。
モータ出力の飽和発生時の先読み推定開度TAestは、同図に示すように、将来の、すなわち遅延時間TD後の実開度TAactを適切に反映したものではなくなってしまう。そしてそうした先読み推定開度TAestに基づき推定される推定シリンダ流入空気量KLfwdも、自ずと現実とは乖離した値となってしまい、燃料噴射量に過不足が生じて空燃比の悪化を招く虞がある。
そのため、上記従来の制御装置では、機関運転中にスロットルモータ出力の飽和が発生しない範囲内に、目標開度TAtの変化率ΔTAtに制限を課していた。こうした場合の目標変化率TAtの変化率ΔTAtの許容設定範囲の上限値および下限値は、例えば以下の態様で求められる。
まず機関運転中に想定される最悪の条件で、スロットルモータを最大限に駆動したときの、すなわち電圧デューティ比TAdutyを±100%に設定したときの実開度TAactの変化(曲線L2)を実験等で確認し、このときの実開度TAactの変化を再現可能な目標開度TAtの推移曲線L5の変化率を算出する。上述したような先行微分型のPID制御では、上記のような外的要因の影響がなければ、目標開度TAtと実開度TAactの先行微分値TAactdとは、ほぼ一致して推移することになる。そのため、上記実験等で求められた実開度TAactの先行微分値TAactdから、そうした目標開度TAtの推移曲線L5の変化率を求めることができる。
こうして求められた目標開度TAtの推移曲線L5の変化率は、機関運転中に想定される最悪の条件下においても、実開度TAactが目標開度TAtに対して十分に追従可能な目標開度TAtの変化率の限界となる。目標開度TAtの変化率の許容設定範囲の上限値および下限値は、こうして求められた目標開度TAtの変化率の限界に、更に余裕代を持たせた値が設定されることになる。
このように設定された許容設定範囲内に目標開度TAtの変化率ΔTAtを制限すれば、最悪の条件下でもスロットルモータの出力は飽和しないため、上述のような外的要因によるスロットルモータの性能低下に起因した空燃比の悪化を回避することはできる。しかしながらそうした制限下でのスロットルバルブの応答性能は、自ずと制限されてしまうことになる。
すなわち、より良好な条件下では、上記目標値TAtの変化率ΔTAtが上記許容設定範囲の上限値を超えたり、その下限値を下回ったりしていても、ある程度までは、出力を飽和させずにスロットルモータを動作させることができる。図15の例では、良好な条件下では、曲線L4に示すような、許容設定範囲の上限値よりも大きい変化率で目標開度TAtを変化させても、追従遅れを生じることなく、曲線L1に示すように実開度TAactを変化させることが本来は可能である。したがって、上記のような最悪の条件を想定して設定された許容設定範囲内に変化率ΔTAtを恒常的に制限してしまっては、ほとんどの条件でスロットルモータは、十分な余力があるにも拘わらず、本来よりも低い応答性能で動作されていることとなる。そのため、上記のような制御装置を採用する内燃機関では、スロットルモータの応答性能が大きく制約されてしまっており、要求される応答性能を確保するためには、余剰な出力性能を有した、より大型なスロットルモータを採用する必要があった。
こうした問題は、上記のような電子制御スロットルの制御に限らず、同様に生じ得る。すなわち、暫定目標値の遅延値として設定された目標値と計測値との偏差に基づき制御指令値を演算してアクチュエータの動作をフィードバック制御するとともに、そのアクチュエータの動作により変化される物理量の将来の変化を、上記暫定目標値に基づき推定する制御装置であれば、同様な問題を生じる虞がある。
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、暫定目標値に基づく物理量の将来の変化予測を行いつつも、効率的にアクチュエータを動作させることのできる制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果を記載する。
請求項1に記載の発明は、暫定目標値の遅延値として設定された目標値と計測値との偏差に応じて制御指令値を演算してアクチュエータの動作をフィードバック制御するとともに、前記アクチュエータの動作により変化する物理量の将来の変化を前記暫定目標値に基づき推定する制御装置において、前記アクチュエータの出力が飽和していることを条件に、前記暫定目標値をその変化率が低減されるように補正する補正手段を備えたことをその要旨とする。
上記構成では、暫定目標値の遅延値を目標値して設定してアクチュエータの動作をフィードバック制御していることから、将来に設定される目標値を前もって把握しておき、将来におけるアクチュエータの動作を、ひいては将来における物理量の変化を予め推定することができる。こうした物理量の将来の変化の推定は、目標値に対してアクチュエータの動作が十分に追従していることがその前提となっている。ところが、外的要因がアクチュエータの動作に与える影響のすべてを前もって把握しておくことはできないため、状況によってはアクチュエータの出力が飽和して、その動作が目標値に対して十分に追従不能となり、目標値と実値とが大きく乖離してしまうことになる。目標値が実値と大きく乖離すれば、上記暫定目標値に基づいても、将来の物理量を適切に予測することができなくなってしまう。したがって、将来の物理量の変化を常に適正に予測するには、想定される最悪の条件でも、アクチュエータの出力の飽和が生じないように、目標値の変化率を予め制限しておく必要があるが、これでは、アクチュエータの応答性能が大きく制約されてしまうことになる。
その点、上記構成では、アクチュエータの出力が飽和したときには、補正手段によって目標値の変化率が低減され、その出力の飽和による目標値と実値(計測値)との乖離の拡大が抑制されることから、出力の飽和時にも、上記暫定目標値に基づく将来の物理量の変化の予測精度の悪化を好適に抑えることができる。そのため、最悪の条件を想定した目標値変化率の制限を恒常的に行わずとも、将来の物理量の変化を適正に予測することができるようになり、アクチュエータの応答性能を恒常的に制約しておくことが不要となる。
したがって、上記構成によれば、将来の物理量の変化を予測しつつも、効率的にアクチュエータを動作させることができる。
ちなみに、上記補正手段の補正による暫定目標値の変化率の低減は、請求項2に記載のように暫定目標値を徐変処理したり、請求項3に記載のように暫定目標値の許容設定範囲を縮小したりすることで、行うことができる。
一方、アクチュエータの出力が飽和すれば、目標値と実値(計測値)との乖離が拡大し、制御指令値が平常とは異なった値を取るようになる。よって、アクチュエータの出力の飽和の有無の確認は、請求項4に記載のように、制御指令値を監視することで行うことができる。また制御指令値からは、アクチュエータの出力の飽和による目標値と実値との乖離度合を把握することもできる。そのため、請求項5に記載のように、制御指令値に応じて出力飽和確認時の目標値の変化率の低減度合を可変とすれば、目標値の変化率を、目標値と実値との乖離度合に応じて適度に制限することが可能になる。
更に請求項6に記載のように、補正手段によって、制御指令値に基づいてアクチュエータの出力が飽和寸前の状態にあることが確認されたときにも、暫定目標値をその変化率が低減されるように補正すれば、アクチュエータの出力の飽和を予め抑制することができるようにもなる。このときの補正手段による補正を、請求項7に記載のように、アクチュエータの出力が飽和に近い状態にあるほど、変化率の低減度合を大きくするように行えば、そうした飽和の抑制をより効率的に行うことができる。
ちなみに上記各構成の制御装置は、請求項8に記載のような、その動作に応じて、内燃機関の吸入空気量を上記物理量として変化させるアクチュエータ、例えば請求項9に記載のスロットルバルブの開度調整に用いられるアクチュエータや、請求項10に記載の吸気バルブのバルブリフト時間面積の可変に用いられるアクチュエータを制御する制御装置などに適用することができる。
以下、本発明の制御装置を具体化した一実施形態を、図1〜図8を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる制御装置の一実施形態について、その適用される内燃機関およびその制御系の構成を模式的に示したものである。はじめに、この図1を参照してこの内燃機関の構成について説明する。
同図1に示されるように、当該制御装置を備える内燃機関10は、大きくは、吸気通路11、排気通路12、および燃焼室13を有して構成されている。
このうち、吸気通路11には、該吸気通路11に導入した空気を浄化するエアクリーナ14をはじめ、同吸気通路11内の空気の流量(吸入空気量GA)を検出するエアフローメータ15、および吸入空気量GAを調整する電子制御スロットルがそれぞれ備えられている。電子制御スロットルは、吸気通路11内の空気の流路面積を可変とするスロットルバルブ16、その弁軸に連結されて該スロットルバルブ16を駆動するスロットルモータ17、スロットルバルブ16の開度(実開度TAact)を検出するスロットルセンサ18を備えて構成されている。また、吸気通路11のスロットルバルブ16の下流側には、吸気通路11における吸気脈動や吸気音等を低減するサージタンク19が備えられている。そしてこの吸気通路11は、サージタンク19の下流側において、内燃機関10のシリンダヘッドに形成された吸気ポート20および該吸気ポート20を開閉する吸気バルブ22を介して燃焼室13に接続されている。なお、吸気ポート20には、燃焼室13内での燃焼に供される燃料を噴射供給するインジェクタ21が配設されている。
また、この内燃機関10は、吸気バルブ22のバルブリフト量を可変とするバルブリフト可変機構(VVL)23、および同吸気バルブ22のバルブタイミングを可変とする吸気側バルブタイミング可変機構(吸気VVT)24等を備えている。
他方、燃焼室13には、インジェクタ21から噴射供給された燃料と吸気通路11を通じて吸入された空気との混合気を着火させる点火プラグ25が配設されている。そしてこの燃焼室13は、内燃機関10のシリンダヘッドに形成された排気ポート26およびこの排気ポート26を開閉する排気バルブ27を介して排気通路12に接続されている。なお、ここでも内燃機関10には、排気バルブ27のバルブタイミングを可変とする以下で説明する排気側バルブタイミング可変機構(排気VVT)28が備えられている。
また一方、排気通路12には、排気ガス中の未燃焼酸素濃度(空燃比AbyF)を検出する空燃比センサ29、および排気ガスに含まれる有害成分(CO、HC、NOx等)を浄化する触媒装置30が備えられている。
こうした内燃機関10は電子制御装置31によって制御されており、同電子制御装置31は、内燃機関10の制御にかかる各種処理を実行するCPU、制御用のプログラムやその制御に必要な情報を記憶するメモリ、外部との信号の入出力を司る入力ポートおよび出力ポート(いずれも図示略)をその内部に有して構成されている。そしてこの電子制御装置31の入力ポートには、上記エアフローメータ15やスロットルセンサ18をはじめ、機関回転速度NEを検出するクランク角センサ32、アクセル操作量ACCPを検出するアクセルセンサ33等が接続されており、機関制御に必要とされる情報が各センサからそれぞれ同電子制御装置31に取り込まれている。他方、この電子制御装置31の出力ポートには、上記スロットルモータ17をはじめ、インジェクタ21、点火プラグ25、バルブリフト可変機構23、吸気VVT24、および排気VVT28等が接続されており、機関を制御する指令値が同電子制御装置31から各アクチュエータ毎にそれぞれ出力されている。
図2は、バルブリフト可変機構23、吸気側バルブタイミング可変機構(吸気VVT)24、および排気側バルブタイミング可変機構28を有して構成される上述の内燃機関10の可変動弁系について、その概略構成を示したものである。また、図3(a)は吸気側バルブタイミング可変機構(吸気VVT)24および排気側バルブタイミング可変機構(排気VVT)28の動作態様を示したものであり、(b)はバルブリフト可変機構(VVL)23の動作態様を示したものである。次に、これら図2および図3を併せ参照して可変動弁系の構成および機能について説明する。
同図2に示されるように、吸気VVT24および排気VVT28はそれぞれ、機関出力軸であるクランクシャフト(図示略)にそれぞれ駆動連結された吸気スプロケット34および排気スプロケット36とともに、吸気カムシャフト35および排気カムシャフト37の一端に配設されている。そして、吸気側油圧制御弁(吸気側OCV)38および排気油圧制御弁(排気側OCV)39が指令値VTINrefおよびVTEXrefを電子制御装置31からそれぞれ受けて駆動されることにより、これら両VVT24および28は油圧作動されている。こうした油圧作動により、両VVT24および28は、吸気スプロケット34と吸気カムシャフト35との相対回転位相、および排気スプロケット36と排気カムシャフト37との相対回転位相を、ひいてはクランクシャフトと両カムシャフト35および37との相対回転位相をそれぞれ可変としている。
また、これら両VVT24および28によってクランクシャフトとの相対回転位相が可変とされる両カムシャフト35および37の回転位相、すなわち吸気側および排気側のカム角は、吸気側カム角センサ40および排気側カム角センサ41によってそれぞれ検出されている。そしてその検出されたカム角に関する情報は、吸気側カム角VTINactおよび排気側カム角VTEXactとして電子制御装置31に取り込まれている。このような構成により、吸気VVT24および排気VVT28は、図3(a)に示されるように、クランクシャフトに対する吸気カムシャフト35および排気カムシャフト37の相対回転位相を進角側あるいは遅角側に変化させ、吸気バルブ22および排気バルブ27(図1)の作動タイミング(バルブタイミング)をクランクシャフトの回転角(クランク角)に対して変更している。
他方、図2に示されるように、吸気カムシャフト35には吸気カム42が備えられており、バルブリフト可変機構23は同吸気カム42のカム面に当接された態様で設けられている。そして吸気カム42の押圧は、バルブリフト可変機構23を介して吸気バルブ22(図1)に伝達されるようになっている。バルブリフト可変機構23には、電子制御装置31から指令値VCAMrefを受けて駆動されるアクチュエータ43の回転運動を直線運動に変換するボールねじ機構44、および吸気カムシャフト35に対して平行に設けられて軸方向に同じく直線運動するコントロールシャフト45が順次接続されている。そしてバルブリフト可変機構23は、コントロールシャフト45の変位に応じて動作され、吸気カム42から吸気バルブ22への押圧の伝達態様を変化させる。具体的には、バルブリフト可変機構23は、吸気カム42の押し下げ量を、その動作に応じて拡大/縮小して吸気バルブ22に伝達する。このような構成により、バルブリフト可変機構23は、図3(b)に示されるように、吸気バルブ22の最大リフト量および実質的な吸気カム42の作用角を連続的に可変としている。
なお、バルブリフト可変機構23によって可変とされる吸気バルブ22の最大リフト量は、ボールねじ機構44に設けられた作用角センサ46の検出するコントロールシャフト45の変位量として測定され、バルブリフト量VCAMactとして電子制御装置31に取り込まれている。なお同図3(b)から明らかなように、上記のようなバルブリフト可変機構23の動作により、図中に斜線で示す吸気バルブ22のバルブリフト時間面積(開弁から閉弁までのリフト量のクランク角積分値A)は増減することになる。そのため、この内燃機関10では、スロットルバルブ16の開度調整に加え、バルブリフト可変機構23による吸気バルブ22の最大リフト量の調整によっても、吸気バルブ22の開弁期間に燃焼室13(図1)に吸入される空気量を調整可能となっている。
図4は、本実施形態における吸入空気量制御の制御ロジックの概略を示したものである。次に、同図4を参照して、上記電子制御装置を通じて内燃機関に対し実行される吸入空気量制御について詳述する。
電子制御装置の目標シリンダ流入空気量算出部P01では、現時点における運転者の要求出力を示すパラメータの1つであるアクセル開度ACCPおよび現時点の機関回転速度NEがそれぞれ、アクセルセンサ33およびクランク角センサ32(いずれも図1)から取り込まれている。同算出部P01は、これら取り込んだアクセル開度ACCPおよび機関回転速度NEから、予め実験やシミュレーション等を通じて得られたマップに基づいて、運転者の要求出力を実際に出力するに必要とされる目標シリンダ流入空気量KLrefを算出する。なおこのマップ(図示略)は、機関回転速度NEとアクセル開度ACCPとを引数とする2次元マップであり、各機関回転数NE1、NE2、…、NEnと各アクセル開度ACCP1、ACCP2、…、ACCPmとの組み合わせ毎に目標シリンダ流入空気量の最適値がマップ値KLref11、…、KLrefnmとして、上記メモリに格納されている。そして同算出部P01は、目標スロットル開度算出部P02および目標バルブ特性算出部P03にそれぞれ、同目標シリンダ流入空気量KLrefを出力している。
また、電子制御装置の目標スロットル開度算出部P02では、目標シリンダ流入空気量KLrefおよび機関回転速度NEが、上記目標シリンダ流入空気量算出部P01および上記クランク角センサ32からそれぞれ取り込まれている。同算出部P02は、これら取り込んだ目標シリンダ流入空気量KLrefおよび機関回転速度NEから、目標シリンダ吸入空気量KLrefが実際にシリンダ内に吸入されるに必要となる暫定目標スロットル開度TApref(暫定目標値)をマップに基づいて算出する。また、このマップも上述のように、機関回転速度NEと目標シリンダ流入空気量KLrefとを引数とする2次元マップであり、各引数の値に応じた暫定目標スロットル開度TAprefの最適値が上記メモリに格納されている。そして同算出部P02は、遅延処理部P06およびスロットル開度推定部P09(図示略、図5にて後述)に、同暫定目標スロットル開度TAprefを出力している。なお、同算出部P02において算出される暫定目標スロットル開度TAprefに基づくシリンダ吸入空気量の将来の変化にかかる推定処理については後述する。
同様に、電子制御装置の目標バルブ特性算出部P03でも、目標シリンダ流入空気量KLrefおよび機関回転速度NEが、上記目標シリンダ流入空気量算出部P01および上記クランク角センサ32からそれぞれ取り込まれている。同算出部P03は、これら取り込んだ目標シリンダ流入空気量KLrefおよび機関回転速度NEから、目標シリンダ吸入空気量KLrefが実際にシリンダ内に吸入されるに必要となる暫定目標作用角VCAMpref(暫定目標値)をやはりマップに基づいて算出する。このマップも上記のごとく、機関回転速度NEと目標シリンダ流入空気量KLrefとを引数とする2次元マップであり、各引数の値に応じた暫定目標作用角VCAMprefの最適値が上記メモリに格納されている。またこのとき同算出部P03は、目標吸気バルブタイミングVTINrefおよび目標排気バルブタイミングVTEXrefもそれぞれのマップに基づいて併せて算出している。そして同算出部P03は、遅延処理部P06および作用角推定部(図示略、図5にて後述)に暫定目標作用角VCAMprefを、吸気VVT用OCV操作量演算部P04に目標吸気バルブタイミングVTINrefを、排気VVT用OCV操作量演算部P05に目標排気バルブタイミングVTEXrefをそれぞれ出力している。なお、同算出部P03において算出される暫定目標作用角VTINrefに基づくシリンダ吸入空気量の将来の変化にかかる推定についてもやはり後述する。
また、電子制御装置の吸気VVT用OCV操作量演算部P04および排気VVT用OCV操作量演算部P05では、目標吸気バルブタイミングVTINrefおよび目標排気バルブタイミングVTEXrefが目標バルブ特性算出部P03からそれぞれ取り込まれている。そして両演算部P04およびP05は、このようにして取り込んだ両バルブタイミングに対応する指令値を、吸気側OCV38および排気側OCV39にそれぞれ出力する。こうして指令値を受けた両OCV38および39が油圧作動することで、クランクシャフトと両カムシャフト35および37(図2)との相対回転位相をそれぞれ可変としていることは、上述の通りである。
一方、遅延処理部P06では、上記目標スロットル開度算出部P02から暫定目標スロットル開度TAprefが、上記目標バルブ特性算出部P03から暫定目標作用角VCAMprefがそれぞれ取り込まれている。そして同処理部P06は、これら取り込んだ値を遅延時間TDだけ遅延させ、これらを目標スロットル開度TArefおよび目標作用角VCAMrefとしてスロットルモータ操作量演算部P07およびVVL操作量演算部P08にそれぞれ出力する。すなわち、遅延処理部P06は、現時点より遅延時間TD前の時点において上記目標スロットル開度算出部P02および上記目標バルブ特性算出部P03にてそれぞれ算出された暫定目標スロットル開度TAprefおよび暫定目標作用角VCAMprefを、目標スロットル開度TArefおよび目標作用角VCAMrefとして出力する。なお、この遅延時間TDの長さは、燃料噴射量の算出に係る演算処理を開始する時点から、その算出結果に基づく燃料噴射が実際に行われる時点までのタイムラグの長さに概ね一致するように設定されている。
そして同演算部P07および同演算部P08では、遅延処理部P06から取り込んだ目標スロットル開度TArefおよび目標作用角VCAMrefに応じて、それぞれスロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43に対して指令信号を出力する。なおこの内燃機関10では、スロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43は、駆動電圧のパルス幅変調(PWM)を通じて駆動制御されている。そして上記演算部P07およびP08は上記指令信号として、駆動電圧のスイッチングパルスの1周期に対する電圧オン期間の比率であるデューティ比dutyを出力し、スロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43を動作させる。これにより、吸気通路11(図1)内の空気の流路面積を可変にするとともに、吸気バルブ22(図1)の最大リフト量の調整も可能とし、ひいては、シリンダ吸入空気量を調整することが可能になっている。
図5は、本実施形態の制御装置により実行される燃料噴射制御の制御ロジックについてその概略を示したものである。また、図6は、本実施形態によって実行される駆動位置制御および駆動位置推定について、そのロジックを示したものであり、図7は、本実施形態において実行されるアクチュエータ操作量(制御指令値)の張り付き判定および暫定目標駆動位置の補正処理について、その具体的な処理手順を示したものである。
ちなみに、周知の空燃比制御では、現時点における吸気通路11(図1)内の空気の流量をエアフローメータ15(図1)により計測し、その計測結果に基づいて所望とする空燃比が得られるように燃料噴射量を決定していた。しかしながらこの計測結果は、例えば加減速時などの機関運転状態が大幅に変化する過渡運転時においては、吸気通路11内の空気流動の遅れに起因して、実際にその時点でのシリンダ流入空気量と一時的に対応しなくなる傾向にある。また上述したように燃焼噴射量の算出が行われてから、その算出結果に基づく燃料噴射が実際に行われるまでにはタイムラグが有り、上記計測結果に基づいて算出された燃料噴射量は、実際に噴射が行われる時点よりもそのタイムラグ分だけ以前のシリンダ流入空気量に対応したものとなってしまう。したがって、その時点でのシリンダ流入空気量をより正確に把握するには、吸入空気量(物理量)の挙動モデルに基づく演算によりこれを予め推定(予測)することが望ましい。そこで、上記電子制御装置31(図1)は、
(イ)現時点における運転者の要求出力に対応する暫定目標スロットル開度および暫定目標作用角(図4)といった暫定目標値を遅延時間TDだけ遅延させ、この遅延値を目標値として設定し、該目標値に対してスロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43(図4)の位置制御を実施する。
(ロ)スロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43の実駆動位置を先行微分型のPID制御系により制御し、上記暫定目標値の逆先行微分値(先読み駆動位置)を実駆動位置とみなして上記吸入空気量の挙動モデルから吸入空気量を予測する。
等々の処理を実行する。これにより、こうした電子制御装置31における推定処理に要する時間を確保してシリンダ流入空気量の将来の変化を推定することができるようになる。
また一方、こうした吸入空気量の挙動モデルに基づく演算によりシリンダ流入空気量をより適正に予測するには、上記スロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43の実駆動位置と目標値との乖離は小さく、暫定目標値の逆先行微分値である先読み駆動位置は遅延時間TD後の実駆動位置を正しく反映するものとなっていることが必要となる。
そこで、上記電子制御装置31は、
(ハ)先行微分型のPID制御系による上記スロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43の操作量(制御指令値)を監視し、これらの出力が飽和していることを条件に暫定目標値を徐変処理することで補正処理(補正手段)を行う。
等の処理を行う。これにより、例えば車載電源の給電能力低下やスロットルバルブの弁軸等へのデポジットの付着といった外的要因により上記スロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43の出力に飽和が生じていても、シリンダ吸入空気量をより適正に予測することができるようになる。
具体的には、図5に示されるように、電子制御装置31のスロットル開度推定部P09では、先の目標スロットル開度算出部P02(図4)から暫定目標スロットル開度TAprefが取り込まれ、また、作用角推定部P10では、先の目標バルブ特性算出部P03(図4)から暫定目標作用角VCAMprefが取り込まれている。同推定部P09およびP10では、これら取り込んだ暫定目標スロットル開度TAprefおよび暫定目標作用角VCAMprefに対し以下で説明する推定処理および補正処理がそれぞれ実施され、先読み推定スロットル開度TAestおよび先読み推定作用角VCAMestがそれぞれ吸入空気挙動モデルP11に出力される。そして、これら先読み推定スロットル開度TAest、先読み推定作用角VCAMest、および同吸入空気挙動モデルP11を通じて、シリンダ吸入空気量の将来の変化を反映した推定シリンダ流入空気量KLfwdが算出されることとなる。なお、同モデルP11としては、例えば推定を行う時点までのスロットルバルブ16の開度、吸気バルブ22のバルブ作用角およびシリンダ流入空気量等の推移、更には吸気通路11やサージタンク19(図1)等の外形や大きさ等に基づき立式される動的モデルが採用されている。
また、噴射量算出部P13には、同モデルP11を通じて算出された推定シリンダ流入空気量KLfwdを目標空燃比設定部P12から出力される目標空燃比AbyFrefで除算することで算出される必要燃料量Fcfwdが入力される。そして同算出部P13は、このようにして入力された必要燃料量Fcfwdに対応する燃料噴射量指令値Fibを算出するとともにこれをインジェクタ21に出力し、その結果、必要燃料量Fcfwdが同インジェクタ21を介して吸気通路11(図1)内の吸入空気に噴射供給されることとなる。ちなみに、実際には、燃料噴射量指令値Fibは、吸気ポート20や吸気バルブ22等への燃料の付着量や、以前に付着した燃料の揮発量を考慮して、必要燃料量Fcfwd分の燃料が燃焼室13に供給されるように、その値が設定されるようになっている。
次に、同図6を参照して、吸入空気量用のアクチュエータ、すなわち上記スロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43の駆動位置の制御、およびそれらの駆動位置の推定に係る処理について説明する。なお、上記スロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43(いずれも図4)の両者における上記駆動位置の制御、および駆動位置の推定に係る処理は概ね共通しており、いずれも同図6に示される態様でそれぞれ実施される。
暫定目標スロットル開度TAprefおよび暫定目標作用角VCAMpref(いずれも図5)に相当する暫定目標駆動位置refpが、目標スロットル開度算出部P02および目標バルブ特性算出部P03(いずれも図4)から出力されると、該出力された暫定目標駆動位置refに対し、同図6に示されるように、大きくは遅延処理および補正処理が実施される。
暫定目標駆動位置refpの遅延処理にあっては、上述の遅延処理部P06(図4)にて説明したように、暫定目標駆動位置refを遅延時間TDだけ遅延させた値を、目標駆動位置refとしている。そして、この目標駆動位置refと実駆動位置yとの偏差errの絶対値を低減すべく、同図6中に破線で囲む比例・積分補償や先行微分D(s)などを有して構成される先行微分型のPID制御系により、上記スロットルモータ17やVVL用アクチュエータ43等のアクチュエータが制御されている。また、図6の制御態様例では、先行微分型のPID制御系を採用しているため、実際には目標駆動位置refと実駆動位置yの先行微分値ydとの偏差errに応じて、アクチュエータ操作量u(制御指令値)が求められている。ここでの比例・積分補償にかかるゲインTiおよびKp、あるいは先行微分D(s)にかかる定数TdおよびWd等は、実験やシミュレーション等を通じて予め定められる値である。なお上述したように、この内燃機関10では、アクチュエータ操作量uとして駆動電圧のデューティ比dutyが用いられている。
他方、暫定目標駆動位置refpの補正処理にあっては、アクチュエータ操作量u(制御指令値)の張り付き判定が同補正処理に並行して実施されている。この張り付き判定は、アクチュエータの出力が飽和しているか否かを判定するために行われる。ここでアクチュエータの出力が飽和していることを確認すると、暫定目標駆動位置refはその変化率が低減されるように補正される。そしてこの補正処理により補正された暫定目標駆動位置refpは、推定用暫定目標駆動位置refpcとして逆先行微分D(s)-1項に入力され、さらに逆先行微分される。このように逆先行微分されて算出された先読み推定駆動位置yestは上述の図5における先読み推定スロットル開度TAestおよび先読推定作用角VCAMestに相当するものであり、これに基づき吸入空気量の将来の変化にかかる推定処理が実施されることは上述の通りである。
図7は、上記アクチュエータの駆動位置の推定処理に係る電子制御装置31の具体的な処理手順を示している。なお、上記スロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43(いずれも図4)のいずれについても、同図7に示される態様で、駆動位置の推定に係る処理がそれぞれ実施されている。
電子制御装置31にあってはまず、ステップS10の処理およびステップS20の判断処理を通じて、暫定目標駆動位置refpおよびアクチュエータ操作量であるデューティ比dutyが読み込まれ、この読み込んだデューティ比dutyが「−100%」から「100%」の間にあるか否かが判断される。
なお、上記偏差errの絶対値が著しく大きいとき、すなわちアクチュエータの目標駆動位置refに対して実駆動位置yが大きく応答遅れしているときには、デューティ比dutyが「−100%」以下、或いは「100%」に設定されてしまうことがある。この場合、実際にそうしたデューティ比dutyに対応した出力でアクチュエータを駆動し得ないため、いわゆる出力が飽和した状態となってしまう。通常の運転状態であれば、デューティ比dutyが、そうした不適切な値を取らないような範囲に、目標駆動位置refの変化率が制限されている。しかしながら、上述したようなバッテリ電圧の低下時等には、そうした不適切な値にデューティ比dutyが設定されてしまうことが起こり得る。
さて、ステップS20の判断処理において、アクチュエータ操作量が「−100%」から「100%」の間にないと判定された場合には、アクチュエータの出力が飽和していると判断し、続くステップS30の処理として、暫定目標駆動位置refpの徐変値を推定用暫定目標駆動位置refpcに設定する。具体的には、前回の推定用暫定目標駆動位置refpcおよび今回の暫定目標駆動位置refpを用いた以下の(1)式に示す演算を実行する。(1)式において定数「n」は、徐変の度合を決める定数であり、その値は、0よりも大きく、1よりも小さい値が設定される。ちなみに、この定数nが0に近づく程、暫定目標駆動位置refpの変化に対する推定用暫定目標駆動位置refpcの追従性が低くなる。

repfc←repfc[前回値]×(1−n)+refp×n・・・(1)

これにより、推定用暫定目標駆動位置repcを逆先行微分して得られる先読み推定駆動位置は、その変化率が低減されるように補正されることとなる。
他方、先のステップS20の判断処理において、アクチュエータ操作量が「−100%」から「100%」の間にあると判定された場合には、アクチュエータの出力が飽和している状況にないと判断し、ステップS40の処理として、以下の(2)式に示す演算を実行して、暫定目標駆動位置refpをそのまま推定用暫定目標駆動位置refpcに設定する。

refpc←refp・・・(2)

このように、ステップS30の処理あるいはステップS40の処理を通じて、暫定目標駆動位置refpの補正処理が実行されると、ステップS50の処理において、推定用暫定目標値refpcを逆先行微分した値が先読み推定駆動位置yestに設定される。こうした一連の処理が繰返し実行されている。
以上のように、アクチュエータの出力が飽和していることが確認されると、補正処理(補正手段)によって暫定目標駆動位置refp(目標値)の変化率が低減され、アクチュエータの出力の飽和による目標値と実駆動位置y(実値)との乖離の拡大が抑制されることとなる。したがって、アクチュエータの出力の飽和時にも、暫定目標駆動位置refpに基づくシリンダ吸入空気量の将来の変化にかかる予測精度の悪化を好適に抑えることができる。また、最悪の条件を想定した目標値変化率の制限を恒常的に行わずとも、シリンダ吸入空気量の将来の変化を適正に予測することができるようになり、アクチュエータの応答性能を恒常的に制約しておくことが不要になる。すなわち、シリンダ吸入空気量の将来の変化を予測しつつも、効率的にアクチュエータを動作させることができるようになる。
図8(a)〜(c)は、本実施形態の制御装置で実行される各部の処理を通じた吸入空気量制御態様例をタイムチャートにて示したものである。次にこの図8を参照して、この制御装置としての動作を総括する。
同図(a)に示されるように、まず、時刻t1において、運転者からの要求出力に応じて算出された暫定目標スロットル開度TAprefおよび暫定目標作用角VCAMprefに相当する暫定駆動位置目標値refp(この時点では推定用駆動位置目標値refpcに同一)が直線的に増加し始める。他方、ほぼ時刻t1において、同図(c)に示されるように、この増加し始めた推定用駆動位置目標値refpcを逆先行微分して求められる先読み推定駆動位置yestも増加し始める。
そして、時刻t1から遅延時間Tdryだけ経過した時刻t2において、同図(a)に示されるように、暫定駆動位置目標値refpが上述の遅延処理を通じて遅延時間Tdryだけ遅延された駆動位置目標値refが増加し始める。このとき、同図(b)に示されるように、駆動位置目標値refと駆動位置検出値yとの偏差の縮小を図るべく、上述の先行微分型のPID制御系によるデューティ比dutyが増加し始める。
こうして増加し始めたデューティ比dutyは、同図(b)に示されるように、時刻t3において、その上限であるdutyMAX(=100%)に達する。すなわち、この時刻t3以後、アクチュエータの出力が飽和していることとなる。このとき、上述の張り付き判定によってアクチュエータの出力の飽和を確認すると、同図(a)に示されるように、上述の補正処理によって推定用駆動位置目標値refpcをその変化率が低減されるように補正される。そして同図(c)に示されるように、この推定用駆動位置目標値refpcの補正に伴い、先読み推定駆動位置yestもその変化率が低減されるように補正されることとなる。
以上説明したように、本実施形態にかかる制御装置によれば、以下の優れた効果が得られるようになる。
・先行微分型のPID制御系によるスロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43の操作量(制御指令値)を監視し、これらの出力が飽和していることを条件に暫定目標駆動位置refpを徐変処理することで補正処理(補正手段)を行うこととした。これにより、例えば車載電源の給電能力低下やスロットルバルブの弁軸等へのデポジットの付着といった外的要因により上記スロットルモータ17およびVVL用アクチュエータ43の出力に飽和が生じていても、シリンダ吸入空気量をより適正に予測することができるようになる。また、最悪の条件を想定した目標値変化率の制限を恒常的に行わずとも、シリンダ吸入空気量の将来の変化を適正に予測することができるようになり、アクチュエータの応答性能を恒常的に制約しておくことが不要にもなる。すなわち、シリンダ吸入空気量の将来の変化を予測しつつも、効率的にアクチュエータを動作させることができるようになる。
なお、この発明にかかる制御装置は上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、同実施形態を適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記実施形態では、先の図7に示したように、デューティ比duty(制御指令値)に基づいて上記アクチュエータの出力の飽和が確認されるとき、上記(1)式に示す徐変処理を通じて上記推定用目標駆動位置refpcを補正することとしたが、補正処理についてはこれに限られない。図7に対応する図として図9に示すように、ステップS32およびステップS34の判断処理を通じて、暫定目標駆動位置refpの変化率|Δrefp|が所定の変化率α(>0)よりも大きく、かつ、Δrefpが正であればステップS36の処理として以下の(3)式に従う補正を行う。一方、暫定目標駆動位置refpの変化率|Δrefp|が所定の変化率αよりも大きく、かつ、Δrefpが負であればステップS38の処理として以下の(4)式に従う補正を行うことで、暫定目標駆動位置(暫定目標値)の変化率の許容設定範囲を縮小することとしてもよい。

refpc←refpc[前回値]−α・・・(3)

refpc←refpc[前回値]+α・・・(4)

・上記実施形態では、先の図8(b)に示したように、デューティ比duty(制御指令値)に基づいて上記アクチュエータの出力の飽和が確認されるとき、上記(1)式に示す徐変処理を通じて上記推定用目標駆動位置refpcを補正することとしたが、補正処理についてはこれに限られない。例えば、図8に対応する図として図10に示すように、デューティ比dutyが、90%、95%、100%と、その上限に近づくほど、すなわち、上記アクチュエータの出力が飽和に近い状態にあるほど、上記推定用駆動位置目標値refpcの低減度合を大きくすることとしてもよい。また例えば、このように上記アクチュエータの出力が飽和寸前の状態にあることが確認されたときにも、上記推定用駆動位置目標値refpcをその変化率が低減されるように補正することとしてもよい。また例えば、デューティ比duty(制御指令値)に応じて、上記出力の飽和が確認されたときの上記推定用駆動位置目標値refpcの変化率の低減度合を可変とすることとしてもよい。
・上記実施形態では、先の図7で示したように、デューティ比duty(制御指令値)が「−100%」から「100%」の間にあるか否かを、すなわち上記アクチュエータの出力の飽和の有無を、張り付き判定を通じて確認していたが、これに限られない。張り付き判定についてはこれを、例えば、目標駆動位置refと実駆動位置yとの偏差errの大きさに基づくこととしてもよい。要は、上記アクチュエータの出力の飽和の有無が確認できれば、その判定方法は任意である。
・上記実施形態では、内燃機関の吸入空気量を変化させるアクチュエータとして、スロットルバルブの開度を調整するスロットルモータ17、あるいは吸気バルブのバルブリフト時間面積を可変とするVVL用アクチュエータ43を採用したが、これに限られない。内燃機関の吸入空気量を変化させるアクチュエータであれば、その種類は任意である。
・上記実施形態では、上記アクチュエータの動作により変化する物理量として、シリンダ吸入空気量の将来の変化を上記暫定目標値に基づき推定することとしたが、推定する物理量はこれに限られない。上記暫定目標値の遅延値として設定された目標値と計測値との偏差に基づき制御指令値を演算してアクチュエータの動作をフィードバック制御するとともに、そのアクチュエータの動作により変化される物理量の将来の変化を、上記暫定目標値に基づき推定する制御装置であれば、この発明は同様に適用できる。
本発明の一実施形態についてその適用される内燃機関及びその制御系の構成を示す模式図。 上記内燃機関の可変動弁系の構成を示す模式図。 (a)バルブタイミング可変機構及び(b)バルブリフト可変機構の動作態様をそれぞれ示す図。 上記実施形態に採用される吸入空気量制御の制御態様を示すブロック図。 同実施形態に採用される燃料噴射制御の制御態様を示すブロック図。 同実施形態の駆動位置制御及び駆動位置推定制御の制御態様を併せ示すブロック図。 同実施形態に採用される駆動位置制御処理のフローチャート。 (a)〜(c)同実施形態の吸入空気量制御態様例を示すタイムチャート。 上記実施形態の一変形例についてその駆動位置制御処理の処理手順の一部を示すフローチャート。 (a)及び(b)上記実施形態の別の変更例についてその制御態様例を示すタイムチャート。 従来の内燃機関に採用される燃料噴射制御の制御態様を示すブロック図。 同じく従来の内燃機関に採用されるスロットル開度制御及びその推定制御の制御態様を併せ示すブロック図。 (a)〜(c)従来の内燃機関における吸入空気量制御態様例を示すタイムチャート。 (a)〜(c)同じく従来の内燃機関における吸入空気量制御態様の他の例を示すタイムチャート。 同じく従来の内燃機関におけるスロットルバルブの(a)実開度及び(b)先行微分値の推移態様の一例を示すタイムチャート。
符号の説明
10…内燃機関、11…吸気通路、12…排気通路、13…燃焼室、14…エアクリーナ、15…エアフローメータ、16…スロットルバルブ、17…スロットルモータ(アクチュエータ)、18…スロットルセンサ、19…サージタンク、20…吸気ポート、21…インジェクタ、22…吸気バルブ、23…バルブリフト可変機構、24…吸気側バルブタイミング可変機構(吸気VVT)、25…点火プラグ、26…排気ポート、27…排気バルブ、28…排気側バルブタイミング可変機構(排気VVT)、29…空燃比センサ、30…触媒装置、31…電子制御装置、32…クランク角センサ、33…アクセルセンサ、34…吸気スプロケット、35…吸気カムシャフト、36…排気スプロケット、37…排気カムシャフト、38…吸気側油圧制御弁、39…排気側油圧制御弁、40…吸気側カム角センサ、41…排気側カム角センサ、42…吸気カム、43…(バルブリフト可変機構用)アクチュエータ、44…ボールねじ機構、45…コントロールシャフト、46…作用角センサ。

Claims (10)

  1. 暫定目標値の遅延値として設定された目標値と計測値との偏差に応じて制御指令値を演算してアクチュエータの動作をフィードバック制御するとともに、前記アクチュエータの動作により変化する物理量の将来の変化を前記暫定目標値に基づき推定する制御装置において、
    前記アクチュエータの出力が飽和していることを条件に、前記暫定目標値をその変化率が低減されるように補正する補正手段を備えたことを特徴とする制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記暫定目標値を徐変処理することで前記補正を行う請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記暫定目標値の変化率の許容設定範囲を縮小することで前記補正を行う請求項1に記載の制御装置。
  4. 前記補正手段は、前記制御指令値の監視により前記出力の飽和の有無を確認する請求項1〜3のいずれか1項に記載の制御装置。
  5. 前記補正手段は、前記制御指令値に応じて、前記出力の飽和が確認されたときの前記変化率の低減度合を可変とする請求項4に記載の制御装置。
  6. 前記補正手段は、前記制御指令値に基づいて前記アクチュエータの出力が飽和寸前の状態にあることが確認されたときにも、前記暫定目標値をその変化率が低減されるように補正する請求項4または5に記載の制御装置。
  7. 前記補正手段は、前記飽和寸前の状態にあることが確認されたときの前記補正において、前記アクチュエータの出力が飽和に近い状態にあるほど、前記変化率の低減度合を大きくする請求項6に記載の制御装置。
  8. 前記アクチュエータはその動作に応じて、前記物理量として内燃機関の吸入空気量を変化させるものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の制御装置。
  9. 前記アクチュエータは、スロットルバルブの開度を調整するものである請求項8に記載の制御装置。
  10. 前記アクチュエータは、吸気バルブのバルブリフト時間面積を可変とするものである請求項8に記載の制御装置。
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