JP5547526B2 - 塗料組成物、塗膜形成方法および塗膜構造 - Google Patents
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1.金属酸化物を被覆した酸化アルミニウムである光干渉性顔料、透明性顔料である着色顔料及びマルチカラー光輝性顔料である金属酸化物を被覆した鱗片状シリカを含む塗料組成物であって、マルチカラー光輝性顔料である金属酸化物を被覆した鱗片状シリカのハイライトにおける干渉色と透明性顔料である着色顔料の色との関係及び金属酸化物を被覆した酸化アルミニウムである光干渉性顔料のハイライトの干渉色とマルチカラー光輝性顔料である金属酸化物を被覆した鱗片状シリカのハイライトにおける干渉色との関係が補色の関係にあることを特徴とする塗料組成物、
2.基材に1項に記載の塗料組成物を塗装して得られた塗膜上に、さらにトップクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法、
3.2項に記載の塗膜形成方法で形成された塗膜構造。
に関する。
仕上がり性の点から、塗料組成物中の樹脂固形分100質量部に対し5質量部以下が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部の範囲内である。
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(製造例1)水酸基含有アクリル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート50部を仕込み、撹拌混合し、135℃に昇温した。次いで下記のモノマー/重合開始剤の混合物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10部、2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.6部からなる混合物を同温度に保持した1時間30分かけて滴下し、さらに2時間熟成した。次にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを減圧下で留去し、水酸基価54mgKOH/g、数平均分子量20,000、樹脂固形分65質量%の水酸基含有アクリル樹脂を得た。ここで数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものを意味する。
モノマー/重合開始剤の混合物:
メチルメタクリレ−ト38部、エチルアクリレ−ト17部、n−ブチルアクリレ−ト17部、ヒドロキシエチルメタクリレ−ト7部、ラウリルメタクリレ−ト20部及びアクリル酸1部及び2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)2部からなる混合物。
(製造例2)アクリル樹脂エマルションの製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130質量部、アクアロンKH−10(商品名、界面活性剤、第一工業製薬社製)0.52質量部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3質量部とを反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%ジメチルエタノールアミン水溶液40質量部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定した。)、固形分濃度30%のアクリル樹脂エマルションを得た。得られたアクリル樹脂は、酸価が33mgKOH/g、水酸基価が25mgKOH/gであった。
(製造例3)ポリエステル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109質量部、1,6−ヘキサンジオール141質量部、ヘキサヒドロ無水フタル酸126質量部及びアジピン酸120質量部を仕込み、160℃から230℃に達するまでの時間を3時間となるように昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3質量部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノールで希釈し、固形分濃度70%であるポリエステル樹脂溶液を得た。得られたポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、重量平均分子量が6,400であった。ここで重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものを意味する。
(製造例4)着色顔料分散体1の調製
225ml容マヨネーズビンに、GREEN L8730(商品名、塩素化銅フタロシアニン緑顔料、平均粒径40nm、BASF社製)を7.4部、製造例3で得られたポリエステル樹脂溶液53部及び脱イオン水50部を配合し、さらに1.5mm径のジルコニアビーズ130部を投入して密栓し、振とう型ペイントコンディショナーを使用して120分分散した。分散後100メッシュの金網濾過を行なってジルコニアビーズを除去して、着色顔料分散体1を得た。
(製造例5)着色顔料分散体2の調製
225ml容マヨネーズビンに、MONARCH1300(商品名、高漆黒性カーボンブラック顔料、キャボットスペシャリティケミカルズ社製)を7.4部、製造例3で得られたポリエステル樹脂溶液53部及び脱イオン水50部を配合し、さらに1.5mm径のジルコニアビーズ130部を投入して密栓し、振とう型ペイントコンディショナーを使用して120分分散した。分散後100メッシュの金網濾過を行なってジルコニアビーズを除去して、着色顔料分散体2を得た。
(製造例6)高濃度光輝性顔料液1の調製
ステンレス製ビーカー内において、COLOR STREAM T20−01 WNT Viola Fantasy(商品名、酸化チタン被覆シリカフレークマルチカラー光輝性顔料、メルク社製)100部、エチレングリコールモノブチルエーテル130質量部を攪拌混合して、高濃度光輝性顔料液1を得た。
(製造例7)高濃度光輝性顔料液2の調製
ステンレス製ビーカー内において、Xirallic T60−24 WNT Stellar Green(商品名、酸化チタン被覆酸化アルミニウム顔料、干渉色=緑、メルク社製)を100部、エチレングリコールモノブチルエーテル130部を攪拌混合して、高濃度光輝性顔料液2を得た。
(光輝性顔料の干渉色及び着色顔料の色測定)
実施例及び比較例に使用する光輝性顔料の干渉色と着色顔料の色を以下の要領で測定し、結果を表1に示した。
製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)あたり、光輝性顔料及び着色顔料を表2に示す比率で配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈して、固形分約25%の有機溶剤型塗料を調整し、実施例1〜5及び比較例1〜4に使用する塗料組成物を作成した。
製造例2で得られたアクリル樹脂エマルション100部、製造例3で得られたポリエステル樹脂溶液51.8部、製造例4で得られた着色顔料分散体1を6.7部、製造例5で得られた着色顔料分散体2を4部、高濃度光輝性顔料液1を11.5質量部、高濃度光輝性顔料液2を11.5質量部及びサイメル325(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、さらに、プライマルASE−60(商品名、ロームアンドハース社製、ポリアクリル酸系増粘剤)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、塗料固形分25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度40秒の水性塗料組成物を調製した。
(試験板の作成)
基材の調整
脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG3141、大きさ400×300×0.8mm)にカチオン電着塗料「エレクロン9400HB」(商品名:関西ペイント株式会社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネ−ト化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させて電着塗膜を得た。
塗装
(1)で調整した基材に実施例及び比較例で調整した塗料組成物をそれぞれREAガンを用いて、ブ−ス温度25℃、湿度75%の条件で、硬化塗膜として、25μmとなるように塗装し、室温にて15分間放置し、ついで、これらの未硬化塗面にクリヤー塗料(ル−ガベ−ククリヤ−、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)をミニベル型回転式静電塗装機を用いて、ブ−ス温度25℃、湿度75%の条件で硬化塗膜として、25〜35μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて試験板を得た。
(意匠性の評価)
上記試験板の意匠性を以下の要領にて評価し、結果を表2に示した。
目視:作成した塗板を、人工太陽灯(セリック社製、色温度6500K)で照明し、試験板の照明に対する角度を変えて観察して、ハイライト(正面)〜シェード(スカシ)への色相変化を目視にて評価した。
◎:色相変化が適度に抑制されている。
○:色相変化が抑制されている。
△:色相変化が少ない又は過剰である。
×:色相変化がない又は著しく過剰である。
Δh:作成した塗板のΔh(L*C*h表色系における色相角度hの差)をX−Rite社製のMA−68II(商品名)を使用して、正反射光に対して15°と75°の受光角度で測定した分光反射率に基づいて、L*C*h表色系における色相角度の差Δhを計算した。
(2)金属感
作成した塗板を、人工太陽灯(セリック社製、色温度6500K)で照明し、試験板の照明に対する角度を変えて観察して、金属感(ハイライト〜シェードへの明度変化)を目視にて評価した。
◎:金属感に優れる。
○:金属感がある。
△:金属感に乏しい。
×:金属感がない。
(3)観察角度による彩度変化
作成した塗板を、人工太陽灯(セリック社製、色温度6500K)で照明し、試験板の照明に対する角度を変えて観察して、ハイライト(正面)〜シェード(スカシ)への彩度変化を目視にて評価した。
◎:ハイライト〜シェードに彩度が大きく上昇。
○:ハイライト〜シェードに彩度がやや上昇。
△:ハイライト〜シェードへの彩度変化に乏しい。
×:ハイライト〜シェードへの彩度変化にない。
Claims (3)
- 金属酸化物を被覆した酸化アルミニウムである光干渉性顔料、透明性顔料である着色顔料及びマルチカラー光輝性顔料である金属酸化物を被覆した鱗片状シリカを含む塗料組成物であって、マルチカラー光輝性顔料である金属酸化物を被覆した鱗片状シリカのハイライトにおける干渉色と透明性顔料である着色顔料の色との関係及び金属酸化物を被覆した酸化アルミニウムである光干渉性顔料のハイライトの干渉色とマルチカラー光輝性顔料である金属酸化物を被覆した鱗片状シリカのハイライトにおける干渉色との関係が補色の関係にあることを特徴とする塗料組成物。
- 基材に請求項1に記載の塗料組成物を塗装して得られた塗膜上に、さらにトップクリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法。
- 請求項2に記載の塗膜形成方法で形成された塗膜構造。
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