JP5368967B2 - 複層塗膜形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイライト(正反射光近傍)において金属感に優れた均一な質感を示し、シェード(斜め方向)において模様意匠を発現する観察角度によって塗膜全体の質感が大きく変化する塗膜を形成可能な複層塗膜形成方法に関するものである。
観察角度によって色の見え方が変化するメタリック塗色は、高級感があり、特に工業製品に適用する塗色として人気が高いものとなっている。また、異なる色が混在する模様意匠は、工業的に生産される建材等に適用されて、天然素材の持つ質感に近づけるものとして人気が高いものになっている。
特許文献1には、異なる色及び/又は質感が混在する塗膜の形成方法として、第1ベース塗料による塗膜上に、第1ベース塗料とは色や質感が異なる塗料を、第1ベース塗料による塗膜の一部が露出するように塗装して、色及び/又は質感が異なる部位が混在する模様意匠を付与する塗膜形成方法が記載されている。
特許文献1に開示されて方法において、第1ベース塗料又は第2ベース塗料として、観察角度によって色の見え方が変化するメタリック塗色を形成可能な塗料を適用すれば、模様の一部の色が観察角度によって変化するが、塗膜全体の質感が観察角度によって大きく変化するには至らない問題点があった。
特開2007−216220号公報
本発明の目的は、ハイライト(正反射光近傍)において金属感に優れた均一な質感を示し、シェード(斜め方向)において模様意匠を発現する観察角度によって塗膜全体の質感が大きく変化する塗膜を形成可能な複層塗膜形成方法を提供することである。
本発明は、
1.基材上に、着色顔料及び鱗片状光輝性顔料を含む光輝性塗料組成物を塗装し、該光輝性塗料組成物による塗膜上に着色顔料を含む着色塗料組成物の塗膜が10〜50%被覆し且つ着色塗料組成物による塗膜が不連続となるように塗装し、さらに得られた塗膜上にトップクリヤー塗料を塗装する複層塗膜形成方法であって、光輝性塗料組成物による塗膜が45度の角度から照射された光を正反射光に対して25度の角度から受光した分光反射率に基づくL*a*b*表色系におけるL*値が40〜110の範囲内であり、着色塗料組成物による塗膜と光輝性塗料組成物による塗膜との45度の角度から照射された光を正反射光に対して25度の角度から受光した分光反射率に基づくL*の差分であるΔLが10〜40の範囲内である複層塗膜形成方法であって、着色塗料組成物による塗膜が、塗膜上から見たときの形状が複数の楕円形の集合であり、該複数の楕円形は長径の平均値が100〜900μmの範囲内である複層塗膜形成方法
に関する。
本発明によれば、ハイライト(正反射光近傍)において金属感に優れた均一な質感を示し、シェード(斜め方向)において模様意匠を発現する観察角度によって塗膜全体の質感が大きく変化する塗膜を形成可能な複層塗膜形成方法を得ることができる。
本発明の複層塗膜形成方法において、基材としては、鉄、亜鉛、アルミニウム等の金属やこれらを含む合金、及びこれらの金属によるメッキまたは蒸着が施された成型物、ならびに、ガラス、プラスチックや発泡体などによる成型物等を挙げることができる。これら素材に応じて適宜、脱脂処理や表面処理して基材とすることができる。さらに、上記基材に下塗り塗膜や中塗り塗膜を形成させて基材とすることもでき、これらのものが特に好ましい。
上記下塗り塗膜とは、素材表面を隠蔽したり、素材に防食性及び防錆性などを付与するために形成されるものであり、下塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。この下塗り塗料種としては特に限定されるものではなく、例えば、電着塗料、溶剤型プライマー等を挙げることができる。
また、上記中塗り塗膜とは、下塗り塗膜を隠蔽したり、付着性や耐チッピング性などを付与するために形成されるものであり、乾燥硬化した下塗り塗膜又は未硬化の下塗り塗膜上に、中塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。中塗り塗料種は、特に限定されるものではなく、既知のものを使用でき、例えば、熱硬化性樹脂組成物及び着色顔料を必須成分とする有機溶剤系又は水系の中塗り塗料を好ましく使用できる。
また、基材として、下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を形成させる場合においては、下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を加熱し、架橋硬化後に本発明の塗料組成物を塗装することができる。あるいは、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が未硬化の状態で、塗装することもできる。
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記の如き基材上に、塗装して得られる塗膜に対して45度の角度から照射されて光を正反射光に対して25度の角度から受光した分光反射率に基づくL*a*b*表色系におけるL*値が40〜110の範囲内である光輝性塗料組成物を塗装する。L*a*b*表色系とは、1976年に国際照明委員会で規定され、JIS Z 8729にも採用されている表色系であり、L*は明度を表わす数値である。本明細書において、光輝性塗料組成物による塗膜のL*a*b*表色系における明度L*は、光輝性塗料組成物を塗装可能な粘度となるように水や有機溶媒を加えて希釈攪拌し、予めN−6グレー色に塗装された塗板上に硬化塗膜として膜厚30μmとなるように塗装し、乾燥硬化した光輝性塗料組成物による塗膜をMA−68II(商品名、多角度分光光度計、X−Rite社製)を使用して、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光から25度の角度で受光したときの分光反射率から計算して得られた数値とする。
本発明の光輝性塗料組成物は、塗装して得られる塗膜の明度を前記範囲となるように制御するために、着色顔料を配合する。着色顔料としては、特に制限されるものではないが、具体的には、透明性酸化鉄顔料、チタンイエロー等の複合酸化物顔料等の無機顔料やアゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料等の有機顔料、酸化チタン顔料及びカーボンブラック顔料等の中から任意のものを1種もしくはそれ以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の光輝性塗料組成物における着色顔料の含有量は、複層塗膜のハイライト部において金属感を発現する点から、後述するビヒクル形成成分である樹脂固形分100質量部に対し0.01〜20質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜18質量部、特に好ましくは0.1〜15質量部の範囲内であることが好ましい。
本発明の光輝性塗料組成物には、複層塗膜のハイライトにおける金属感を発現させるために鱗片状光輝性顔料を配合する。鱗片状光輝性顔料としては、例えばアルミニウム、銅、ニッケル合金、ステンレス等の鱗片状金属顔料、表面を金属酸化物で被覆した鱗片状金属顔料、表面に着色顔料を化学吸着させた鱗片状金属顔料、表面に酸化還元反応を起こさせることにより酸化アルミニウム層を形成した鱗片状アルミニウム顔料、アルミニウム固溶板状酸化鉄顔料、ガラスフレーク顔料、表面を金属又は金属酸化物で被覆したガラスフレーク顔料、表面に着色顔料を化学吸着させたガラスフレーク顔料、表面を二酸化チタンで被覆した干渉マイカ顔料、干渉マイカ顔料を還元した還元マイカ顔料、表面に着色顔料を化学吸着させたり、表面を酸化鉄で被覆した着色マイカ顔料、表面を二酸化チタンで被覆したグラファイト顔料、表面を二酸化チタンで被覆したシリカフレークやアルミナフレーク顔料、板状酸化鉄顔料、ホログラム顔料、合成マイカ顔料、らせん構造を持つコレステリック液晶ポリマー顔料、オキシ塩化ビスマス顔料などが挙げられる。本発明においては、これらのうちで、反射性の高い鱗片状光輝性顔料である鱗片状アルミニウム顔料や、鱗片状アルミニウム顔料の表面に着色顔料を担持させたり、金属酸化物を被覆させたりすることで着色させた着色アルミニウム顔料を使用することが、複層塗膜のハイライトにおける金属感の点から好ましい。
また、鱗片状光輝性顔料の大きさは、平均粒径が5〜45μmの範囲内のものを使用することが、塗装された塗膜の仕上がり性の点から好ましく、より好ましくは粒径が7〜30μmの範囲内もの、特に好ましくは8〜25μmの範囲内ものである。厚さは0.05〜1.5μmの範囲内のものを使用することが好ましい。ここでいう粒径及び厚さは、光学顕微鏡又は電子顕微鏡で該鱗片状光輝性顔料を観察して得られた数値を意味する。
また、鱗片状光輝性顔料の含有量は、塗装して得られる塗膜のハイライトにおける金属感や、仕上がり性の点から、光輝性塗料組成物におけるビヒクル形成成分である塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、合計で0.01〜30質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは0.05〜25質量部の範囲内、特に好ましくは1〜20質量部の範囲内である。
本発明の光輝性塗料組成物には、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、具体的には、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂と、必要に応じてメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤とを併用したものが挙げられ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散して使用される。
さらに、光輝性塗料組成物には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
光輝性塗料組成物は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製することができる。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、12〜60質量%、好ましくは15〜50質量%に、20℃における粘度を17〜23秒/フォードカップ#3に調整しておくことが好ましい。
光輝性塗料組成物は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて1〜50μmの範囲内とするのが、基材を隠蔽する点や塗膜の平滑性の点から好ましく、より好ましくは1〜30μmの範囲内である。通常、常温〜約150℃の温度で架橋硬化させることができる。
本発明の複層塗膜形成方法においては、前述の方法で形成された光輝性塗料組成物による塗膜上に、着色顔料を含み、塗装して得られた塗膜の45度の角度から照射されて光を正反射光に対して25度の角度から受光した分光反射率に基づくL*と、前記光輝性塗料組成物による塗膜のL*との差分であるΔLが10〜40の範囲内である着色塗料組成物を塗装する。
本発明の着色塗料組成物に配合する着色顔料は、シェードにおいて模様意匠を発現せしめるために、該着色塗料組成物による塗膜と前記光輝性塗料組成物による塗膜とのΔLを調整するために種類や量を決定するものである。試用する着色顔料としては特に制限されるものではないが、前記光輝性塗料組成物に配合することができるものとして例示したものの中から1種以上を選択して使用することができるが、シェード方向おける模様意匠を強く発現し、複層塗膜の観察角度における質感の変化を大きくさせる点から、酸化チタン顔料を使用することが好ましい。
酸化チタン顔料は、屈折率が高いことから白色顔料として広く使用されているものであり、結晶形によってルチル型とアナターゼ型があり、本発明においてはいずれを使用しても良いが、耐候性の点からルチル型を使用することができる。また、分散性や耐候性を向上させることを目的として、表面をシリカ、ジルコニウム、アルミニウム等の無機化合物で処理したものを使用しても良い。本発明においては、複層塗膜のシェードにおける模様発現の点から、一次粒子径が100〜400nmの範囲内のものを使用することが好ましく、さらに好ましくは、200〜300nmの範囲内のものである。
着色塗料組成物への酸化チタン顔料の含有量は、仕上がり性の点から、後述するビヒクル形成成分である樹脂固形分100質量部に対して、10〜200質量部が好ましく、特に好ましくは、30〜120質量部である。
着色塗料組成物には、酸化チタン顔料以外の着色顔料を、複層塗膜の明度を微調整することを目的として配合することができる。その場合、配合量は、複層塗膜の明度の点から、樹脂固形分100質量部に対し30質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜20質量部の範囲内であることが好ましい。
着色塗料組成物は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、12〜60質量%、好ましくは15〜50質量%に、20℃における粘度を17〜23秒/フォードカップ#3に調整しておくことが好ましい。
着色塗料組成物は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができる。本発明の複層塗膜方法においては、着色塗料組成物による塗膜が不連続であり且つ着色塗料組成物による塗膜の面積が、光輝性塗料組成物による塗膜の面積の10〜50%の範囲内となるように塗装するのが好ましく、より好ましくは10〜30%の範囲内であることが好ましい。さらに、模様塗膜の発現の点から、光輝性塗料組成物による塗膜が、塗膜上から見たときの形状が複数の円形及び/又は楕円形の集合であり、各々の円形又は楕円形が、円形の場合は直径、楕円形の場合は短径もしくは長径が100〜900μmの範囲内となるように塗装する。
具体的な塗装方法としては、例えば回転霧化方式の塗装機を使用する場合には、仕上がり性を重視した通常の塗装方法の場合と比較して、回転数、シェーピングエア圧を低く設定して、塗料の微粒化を悪くして塗装することができる。
例えば、メタベル(ABB社製)を用いて塗装する場合において、スプレー時の塗料固形分35%の場合、ベル回転数30000rpm、シェーピングエア圧3.0kg/cm、吐出量約150cc/分、電圧−90Kv、ガン距離25cmの条件で、平滑な仕上がりになるのであれば、ベル回転数を約1/3の7000〜13000rpm、シェーピングエア圧0.5〜1.5kg/cmに変更すればよい。
本発明の複層塗膜形成方法においては、光輝性塗料組成物を塗装後、硬化又は未硬化の状態でさらにトップクリヤー塗料を1層もしくは2層以上塗装して、トップクリヤー塗膜を形成する。
本発明の塗膜形成方法におけるトップクリヤー塗料は、樹脂成分および溶剤を主成分とし、さらに必要に応じてその他の塗料用添加剤などを配合してなる無色もしくは有色の透明塗膜を形成する液状塗料である。
本発明方法におけるトップクリヤー塗料としては、従来公知のものが制限なく使用できる。例えば、基体樹脂及び架橋剤を含有する液状もしくは粉体状の塗料組成物が適用できる。基体樹脂の例としては、水酸基、カルボキシル基、シラノール基、エポキシ基などの架橋性官能基を含有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、シリコン含有樹脂などが挙げられる。架橋剤としては、前記基体樹脂の官能基と反応しうるメラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物又は樹脂、カルボキシル基含有化合物又は樹脂、酸無水物、アルコキシシラン基含有化合物又は樹脂等が挙げられる。また、必要に応じて、水や有機溶剤等の溶媒、硬化触媒、消泡剤、レオロジーコントロール剤、酸化防止剤、表面調整剤等の添加剤を適宜配合することができる。
上記トップクリヤー塗料には、透明性を損なわない範囲内において、着色顔料を適宜配合することができる。着色顔料としては、インク用、塗料用として従来公知の顔料を1種あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。その添加量は、適宜決定されて良いが、トップクリヤー塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、30質量部以下、好ましくは0.01〜5質量部である。
上記トップクリヤー塗料は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて5〜40μmの範囲内とするのが好ましい。トップクリヤー塗料の塗膜それ自体は常温〜150℃の温度で架橋硬化させることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(製造例1)水酸基含有アクリル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート40部を仕込み、撹拌混合し、135℃に昇温した。次いで下記のモノマー/重合開始剤の混合物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10部、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.6部からなる混合物を同温度に保持した1時間30分かけて滴下し、さらに2時間熟成した。次にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを減圧下で留去し、水酸基価54mgKOH/g、数平均分子量20,000、樹脂固形分65質量%の水酸基含有アクリル樹脂を得た。ここで数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものを意味する。
モノマー/重合開始剤の混合物:
メチルメタクリレート38部、エチルアクリレート17部、n−ブチルアクリレート17部、ヒドロキシエチルメタクリレート7部、ラウリルメタクリレート20部及びアクリル酸1部及び2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)2部からなる混合物。
(製造例2)酸化チタン顔料分散体の調製
225ml容マヨネーズビンに、製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂15.4部、溶剤20部、CR−95(商品名、白色酸化チタン、石原産業社製)50部を投入し、攪拌混合後、さらに1.5mm径のガラスビーズ130部を投入して密栓し、DASH2000ーK Disperser(商品名、LAU社製、振とう型ペイントコンディショナー)を使用して60分間分散した。分散後100メッシュの金網濾過を行なってガラスビーズを除去して、固形分70.3質量%、顔料固形分/樹脂固形分5/1の酸化チタン顔料分散体を得た。
(製造例3)カーボンブラック顔料分散体の調製
225ml容マヨネーズビンに、Monarch1300(商品名、カーボンブラック顔料、キャボット社製)を7.4部、製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂57.1部及び溶剤45.9部を配合し、さらに1.5mm径のジルコニアビーズ130部を投入して密栓し、振とう型ペイントコンディショナーを使用して120分分散した。分散後100メッシュの金網濾過を行なってジルコニアビーズを除去して、固形分40.3質量%、顔料固形分/樹脂固形分5/1のカーボンブラック顔料分散体を得た。
(製造例5)鱗片状アルミニウム顔料液の調製
ステンレス製ビーカー内において、アルミペーストGX−180A(商品名、鱗片状アルミニウム顔料ペースト、固形分74質量%、平均粒子径16.9μm、旭化成メタルズ社製)135部、溶剤100質量部を攪拌混合して、鱗片状アルミニウム顔料液を得た。
(製造例6〜9)光輝性塗料組成物1〜3の調製
ステンレス製ビーカーに製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂、ユーバン28ー60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)、製造例3で得られたカーボンブラック顔料分散体を表1に示す量となるように投入し、攪拌混合した後にさらに製造例5で得られた鱗片状アルミニウム顔料液を表1に示す量となるように投入し、さらに有機溶剤を用いて塗装に適正な粘度に希釈して、光輝性塗料組成物1〜4を調製した。
(製造例10〜12)着色塗料組成物1〜3を調製
ステンレス製ビーカーに製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂、ユーバン28ー60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)、製造例2で得られた酸化チタン顔料分散体及び製造例3で得られたカーボンブラック顔料分散体を表1に示す量となるように投入し、攪拌混合した後にさらに有機溶剤を用いて塗装に適正な粘度に希釈して、着色塗料組成物1〜3を調製した。
(明度の測定)
光輝性塗料組成物及び着色塗料組成物の明度を次に示す要領で測定し、結果を表1に示した。
平滑なブリキ板を溶剤脱脂し、中塗塗料「ルーガベーク中塗りグレーN−6」(商品名:関西ペイント株式会社製、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系、有機溶剤型)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚30μmとなるように塗装し、気温約20℃の実験室内に15分間静置後、熱風乾燥機を使用して140℃で30分加熱して架橋硬化させて、グレー(N−6)の中塗塗膜を形成した。
中塗塗膜上に、光輝性塗料組成物及び着色塗料組成物をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚30μmとなるように塗装し、気温約20℃の実験室内に15分間静置後、熱風乾燥機を使用して140℃で30分加熱して架橋硬化せしめて、光輝性塗料組成物及び着色と量組成物による塗膜を得た。
得られた塗膜のL*a*b*表色系における明度L*をX−Rite社製のMA−68II(商品名)を使用して測定を行ない、正反射光に対して25度の受光角度で測定した明度L*を得た。
実施例1〜6,比較例1〜6
(試験板の作成)
(1) 基材の調整
脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG3141、大きさ400×300×0.8mm)にカチオン電着塗料「エレクロン9400HB」(商品名:関西ペイント株式会社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネート化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させて電着塗膜を得た。
得られた電着塗面に、中塗塗料「ルーガベーク中塗りグレー」(商品名:関西ペイント株式会社製、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系、有機溶剤型)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚30μmになるように塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させて、中塗塗膜を形成せしめて得られた塗板を基材として用いた。
(2) 塗装
(1)で調整した基材に上記光輝性塗料組成物、着色塗料組成物及びクリヤー塗料を表1に示す構成となるように塗装し、クリヤー塗料を塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、その後に熱風乾燥機を使用して140℃の温度で30分間乾燥硬化せしめて試験板を作成した。着色塗料組成物の塗料固形分は35%に予め調整し、電圧−90Kv、ガン距離30cmは共通である。着色塗料組成物を塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、その後にクリヤー塗料(ル−ガベ−ククリヤ−、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)をミニベル型回転式静電塗装機を用いて、ブ−ス温度25℃、湿度75%の条件で硬化塗膜として、30μmとなるように塗装した。
Figure 0005368967
(着色塗料組成物による塗膜の面積)
得られた試験版を、画像スキャナー(EPSON社製、商品名:GT−9700F)を用いて、スキャン条件:24bitカラースケール、解像度72dpiの条件でスキャンして、データをコンピューターに入力した。その後、各画像について、画像解析ソフトウェア(NIH Image)を用いて着色塗料組成物による塗膜の面積%(画像全体に占める割合)を測定し、結果を表2に示した。
(着色塗料組成物による塗膜:模様の形状)
面積測定時に使用した画像を画像解析ソフトウェア(NIH Image)を用いて着色塗料組成物による塗膜(斑点状)について、各々の楕円の長径を測定し、平均値を表2に示した。
(質感の評価)
作成した塗板を、人工太陽灯(セリック社製、色温度6500K)で照明し、試験板の照明に対する角度を変えて観察して、ハイライト(正反射光近傍)の金属感、フェース(ハイライトとシェードの中間)における模様発現を目視にて評価した。評価は、色彩開発に3年以上従事するデザイナー2名と技術者3名の計5名が行ない、平均点を採用し表2に示した。
Figure 0005368967
本発明の塗膜形成方法は、各種工業製品、特に自動車車体の外板に適用できる。

Claims (1)

  1. 基材上に、着色顔料及び鱗片状光輝性顔料を含む光輝性塗料組成物を塗装し、該光輝性塗
    料組成物による塗膜上に着色顔料を含む着色塗料組成物の塗膜が10〜50%被覆し且つ
    着色塗料組成物による塗膜が不連続となるように塗装し、さらに得られた塗膜上にトップ
    クリヤー塗料を塗装する複層塗膜形成方法であって、光輝性塗料組成物による塗膜が45
    度の角度から照射された光を正反射光に対して25度の角度から受光した分光反射率に基
    づくL*a*b*表色系におけるL*値が40〜110の範囲内であり、着色塗料組成物
    による塗膜と光輝性塗料組成物による塗膜との45度の角度から照射された光を正反射光
    に対して25度の角度から受光した分光反射率に基づくL*の差分であるΔLが10〜4
    0の範囲内である複層塗膜形成方法であって、着色塗料組成物による塗膜が、塗膜上から見たときの形状が複数の楕円形の集合であり、該複数の楕円形は長径の平均値が100〜900μmの範囲内である複層塗膜形成方法。
JP2009295237A 2009-12-25 2009-12-25 複層塗膜形成方法 Expired - Fee Related JP5368967B2 (ja)

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