JP3956718B2 - 化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅等の建築物における壁材や天井材、床材等の内装材や造作材、キッチン扉等の収納扉、建具、家具、什器、家電製品や住設機器の外装材、車両等の輸送機器内装材等の表面化粧に使用するための化粧シートに関するものであり、特に、金属調の意匠の付与又は高度の隠蔽性の付与等を目的として、光輝性顔料を含有する印刷又は塗工層が少なくとも設けられてなる化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記の如く、通常の着色顔料を用いた印刷層によっては実現不可能な、金属製品であるかの様な金属調(メタリック調)の意匠感や、極めて高度の隠蔽性などが要求される用途の化粧シートとしては従来、紙又は合成樹脂フィルム等からなる基材シートの片面又は両面に、光反射性微粒子からなる光輝性顔料を含有する印刷又は塗工層を設けてなる化粧シートが、広く用いられている。上記光輝性顔料としては、例えばアルミニウム粉、ブロンズ粉等、光反射性や光遮蔽性に優れた金属粉顔料が用いられるのが一般的である(特開平5−64870号、特開平5−111991号等)。
【0003】
ところで、係る化粧シートは、建築内装材や家具材等の表面化粧材として、数年乃至数十年単位の長期間に亘って使用され、その間、物品や人体等が載ったり接触したりするほか、セロハン粘着テープ等が貼着され剥離されるなどして、表面に応力が掛かることも屡々であるから、係る応力によって容易に化粧シートが剥離して破損することがないように、化粧シートには十分な層間密着強度が要求される。この様な層間密着強度の要求が特に厳しい用途には、内部強度の弱い紙の使用を避け、例えばポリ塩化ビニル樹脂やポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂フィルムを主体として構成される、熱可塑性樹脂製の化粧シートが用いられるのが一般的である。
【0004】
ところが、化粧シートの主構成材料である基材シート等として、内部強度の高い熱可塑性樹脂フィルムを使用しても、前記した様な金属調の意匠や高度の隠蔽性の付与などを目的として、金属粉顔料を大量に含有する印刷又は塗工層を設けると、金属粉顔料とバインダー樹脂との密着性が乏しいために、該印刷又は塗工層の内部凝集力が弱く、この層が弱点となって、化粧シート全体としては十分な層間密着強度を得ることができないという問題がある。
【0005】
そこで、化粧シート全体の層間密着強度をあまり低下させることなく、金属調の意匠や優れた隠蔽性の付与が可能な方法として、上記した金属粉顔料に代えて、金属粉顔料に近似した光反射性を有しつつ、金属粉顔料よりもバインダー樹脂との親和性に優れた、酸化チタン被覆雲母等の真珠光沢顔料を用いたものもある(特開平6−262735号、特開2000−62081号等)。
【0006】
しかしながら、上記真珠光沢顔料は、透明薄膜の光干渉効果を利用して光反射効果を得るものであって、金属粉顔料と比較すれば、光反射率、光遮蔽性(光透過率が低いこと)ともに劣るものである。従って、この真珠光沢顔料を使用した化粧シートによっては、金属粉顔料を使用した化粧シートに匹敵する高輝度の金属光沢や隠蔽性を有する化粧シートを得ることができないという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記の様な問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、金属調(メタリック調)の光輝性意匠感及び/又は高度の隠蔽性を備えた、金属粉顔料を含有する印刷又は塗工層を具備する化粧シートであって、該印刷又は塗工層が化粧シートの構成層として十分な内部凝集力を有し、層間密着強度に優れた化粧シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱可塑性樹脂からなる基材シートの少なくとも片面に、光輝性顔料を含有する印刷又は塗工層が設けられてなる化粧シートにおいて、前記光輝性顔料が、表面がベーマイト処理された鱗片状アルミニウム粉末からなる金属粉顔料と真珠光沢顔料との混合物であることを特徴とする化粧シートである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の化粧シートの具体的構成としては各種の態様が考えられるが、代表的なものを挙げれば、例えば以下の様な構成のものがある。
【0012】
(1)図1に示す様に、熱可塑性樹脂からなる基材シート1の表面上に、光輝性顔料を含有する印刷又は塗工層(以下、光輝性顔料含有層という)2が設けられた構成。光輝性顔料含有層2の上にさらに、通常の印刷インキ等による絵柄層3や、表面保護層4等が設けられていても良い。
【0013】
(2)図2に示す様に、熱可塑性樹脂からなる透明な基材シート1の裏面に、光輝性顔料含有層2が設けられた構成。基材シート1と光輝性顔料含有層2との間に、通常の印刷インキ等による絵柄層3が設けられていたり、基材シート1の表面に、表面保護層4が設けられていたりしても良い。
【0014】
(3)図3に示す様に、裏面側の透明又は不透明な基材シート11と、表面側の透明な基材シート12との間に、光輝性顔料含有層2が設けられた構成。光輝性顔料含有層2と透明な基材シート12との間に、通常の印刷インキ等による絵柄層3が設けられていたり、2層の基材シート11、12の間に、透明な接着剤層5が設けられていたり、透明な基材シート12の表面に、表面保護層4が設けられていたりしても良い。
【0015】
なお、光輝性顔料含有層2は、図1〜3に示す様にベタ状に設けるほか、図4に示す様に、所望の絵柄状等に部分的に設けても良い。この場合、通常の印刷インキ等による絵柄層3(31)は、光輝性顔料含有層2の表面側に設けるほか、図5に示す様に、光輝性顔料含有層2の裏面側に、少なくとも光輝性顔料含有層2と重複しない部分を有する絵柄層32及び/又はベタ層33として設けても良い。また、図6に示す様に、ベタ状又は部分的な光輝性顔料含有層21と、その表面側の部分的な光輝性顔料含有層22とを併設しても良く、この様に光輝性顔料含有層21を複数層設けることで、輝度感に強弱をつけたり、それらの相互間で含有させる光輝性顔料の種類や粒径を異ならせる等して、光輝感の変化による複雑な興趣感や立体感等を表現したりすることもできる。
【0016】
また、光輝性顔料含有層21、22、23を複数層設ける場合には、図7〜8に示す様に、光輝性顔料含有層21、22、23の相互間に、透明な材質からなる層(例えば、透明な基材シート12、13や、透明な接着剤層5、51、52、透明な印刷インキ等による透明ベタ層等)を介在させることにより、立体感をより強調することもできる。さらにまた、ベタ状の光輝性顔料含有層21とその片面又は両面に隣接する基材シート11とは、図9に示す様に、光輝性顔料を練り込んだ熱可塑性樹脂シート等からなる光輝性顔料含有基材シート14によって代替することもできる。以上のことは、上記(1)〜(3)を含め、あらゆる構成の化粧シートに共通である。
【0017】
本発明の化粧シートにおいて、熱可塑性樹脂からなる基材シート1(11、12、13、14)や絵柄層3(31、32、33)、表面保護層4、接着剤層5等の構成材料には一切制限はなく、従来の化粧シートにおけるそれらと同様のものを任意に使用することができる。
【0018】
基材シート1としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はその鹸化物、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体又はそのエステル化物若しくは金属中和物等のオレフィン系共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチロール系樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂、或いはそれらの複数種の混合物、共重合体、複合体、積層体等からなるフィルム乃至シートを使用することができる。また、必要に応じて例えば紫外線吸収剤や光安定剤、酸化防止剤、着色剤、充填剤等の各種添加剤が添加されていても良い。
【0019】
絵柄層3は、染料又は顔料等の着色剤を適当なバインダー樹脂と共に適当な溶剤中に溶解又は分散してなる印刷インキ又は塗料等を使用して、印刷法又は塗工法等により形成することができる。着色剤としては、例えば酸化チタン、酸化鉄、コバルトブルー、カーボンブラック等の無機顔料や、縮合アゾ、不溶性アゾ、アントラキノン、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、イミダゾロン等の有機顔料等、バインダー樹脂としては、例えば硝化綿、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等を、それぞれ単独又は複数種の混合系で使用することができ、水性型、溶剤型、無溶剤型の別や、1液型と2液型の別、溶剤乾燥型、熱硬化型、電離放射線硬化型の別なども特に問わない。印刷法としては例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、転写印刷法等、塗工法としては例えばグラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、ダイコート法、スプレーコート法等を単独又は複数種を組み合わせて行うことができる。
【0020】
表面保護層4は、化粧シートの表面に表面硬度や耐磨耗性、耐擦傷性、耐溶剤性、耐汚染性等の優れた表面物性を付与するために設けられるもので、一般的には、例えば2液硬化型ウレタン系樹脂やアミノアルキド系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂等の熱硬化性樹脂や、(メタ)アクリレート系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等の電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂が使用される場合が多い。また必要に応じて、例えば紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、防黴剤、滑剤、艶調整剤、減摩剤等の添加剤が適宜添加される。形成方法としては、絵柄層3の場合と同様の各種印刷法や塗工法が用いられる。
【0021】
接着剤層5は、相互に接着すべき基材シート1(11、12、13、14)や絵柄層3等の材質や加工方法(接着方法)等に応じて、例えば溶剤賦活型接着剤、感熱型接着剤、感圧型接着剤、反応硬化型接着剤等から適宜選択が可能である。熱可塑性樹脂からなる基材シート1の接着用としては、2液硬化型ウレタン系又は2液硬化型ポリエステル系等のドライラミネート接着剤や、湿気硬化型ウレタン系等の反応型若しくはエチレン−酢酸ビニル共重合体系、アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の非反応型のホットメルト接着剤などが代表的なものである。勿論、例えば熱融着法又は押出ラミネート法等により接着剤層5を介在させずに接着可能である場合には、接着剤層5は必ずしも設けなくても良い。
【0022】
本発明の化粧シートは、上記の様に光輝性顔料含有層2(21、22、23)を少なくとも具備する化粧シートにおいて、該光輝性顔料含有層2に含有される光輝性顔料が、金属粉顔料と真珠光沢顔料との混合物であることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の化粧シートは上記の様に、光輝性顔料含有層2に含有させる光輝性顔料として、金属粉顔料と真珠光沢顔料との混合物を採用したことにより、光反射性や光遮蔽性には優れる一方、大量に含有させると光輝性顔料含有層2の内部凝集力を著しく低下させる欠点を持つ、バインダー樹脂との親和性の低い金属粉顔料の含有量を抑制し、それによって不足となる輝度感や隠蔽性の一部を、金属粉顔料よりは光反射性や光遮蔽性に劣るが、バインダー樹脂との親和性には優れる真珠光沢顔料によって補うことにより、金属調の輝度感及び/又は高度の隠蔽性と、光輝性顔料含有層2の内部凝集力、延いては化粧シート全体としての層間密着強度との双方に優れた特性を有する化粧シートの実現に成功したものである。
【0024】
本発明において、金属粉顔料としては、例えば金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛粉、ステンレス粉、ニッケル粉等が使用可能であるが、輝度感(光反射率)又は光遮蔽性、印刷インキ又は塗料中への分散性、経済性(価格)等の面で、アルミニウム粉が最も好適である。粒子形状としては、鱗片状のものが使用されるのが一般的であり、その製法としては、粒状又は粉状の金属材料を粉砕する方法のほか、金属材料を合成樹脂フィルム等の表面に真空製膜法により製膜した薄膜を剥離後粉砕する方法によるものもある。なお、上記金属粉顔料には、例えばシランカップリング剤処理や表面酸化処理等、バインダー樹脂との接着力を向上させるための表面処理を施しておくこともできる。例えば、アルミニウム粉末の場合には、ベーマイト処理などが特に有効である。
【0025】
上記ベーマイト処理とは、アルミニウムを高温水又は加圧水蒸気等で処理することにより、アルミニウムの表面にベーマイト(AlOOH)を含む透明で緻密な水和酸化皮膜を生成させる表面処理方法であり、表面の粗面化による投錨効果と、水酸基の生成による水素結合効果とにより、合成樹脂等との接着性が向上することが知られている。処理条件としては、高純度の水(例えば電気伝導度10μS/cm以下の蒸留水等)中に、アミン系の反応促進剤(例えばトリエタノールアミン等)を添加した処理水を沸騰状態(95℃以上)として、この中に被処理物であるアルミニウムを数十秒程度浸漬する方法によるのが一般的である(高分子論文集、Vol.58,No.7,pp.353−362(Jul.,2001)。
【0026】
上記ベーマイト処理により、鱗片状アルミニウム粉末の表面にベーマイトの結晶による微細な凹凸組織が形成されており、バインダー樹脂との間での投錨効果が生じると共に、ベーマイトに由来する水酸基が表面に導入されており、バインダー樹脂の有する官能基との間で水素結合を生成することによって、バインダー樹脂との接着性が格段に向上する。従って、ベーマイト処理が施された鱗片状アルミニウム粉末が分散された印刷又は塗工層(光輝性顔料含有層2)は、無処理の場合と比較して、その内部凝集力が格段に向上し、その結果、この層を含む化粧シートは、層間密着強度に優れたものとなる。
【0027】
上記ベーマイト処理は、鱗片状アルミニウム粉末の片面のみに施されていても良いが、両面に施されていればさらに有効である。鱗片状アルミニウム粉末として、粉状乃至粒状のアルミニウムを原料とした粉砕物を使用する場合には、ベーマイト処理が片面のみであると、無処理面のバインダー樹脂との接着性が不足するので、ベーマイト処理は両面に施すことが望ましい。これに対し、真空製膜法により形成された薄膜の粉砕物を使用する場合には、ベーマイト処理は片面(製膜面)のみであっても比較的に良好な結果が得られる場合が多い。
【0028】
これは、合成樹脂フィルムの表面に真空製膜法により形成されたアルミニウム薄膜を剥離する際に、薄膜の剥離面には被製膜基材である合成樹脂フィルムの分子又は官能基等の一部が取り込まれ、これがバインダー樹脂との接着に寄与しているものと考えられる。なお、合成樹脂フィルムからの薄膜の剥離を容易とするために、合成樹脂フィルムとして例えばポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等の様に表面の接着性に乏しい材質を使用すると共に、その製膜面に他の合成樹脂からなる剥離層を設ける場合も多く、この場合には、剥離層とアルミニウム薄膜とは、真空中を飛来した高エネルギーのアルミニウム原子(又はイオン)と剥離層との衝突エネルギーの作用によって強固に接着しており、剥離層の合成樹脂は通常のバインダー樹脂とよく接着するので、アルミニウム薄膜の製膜面(被製膜基材とは反対側の面)のみにベーマイト処理を施せば、両面共にバインダー樹脂との十分な接着性が確保できるものと考えられる。
【0029】
上記ベーマイト処理は、鱗片状アルミニウム粉末を粉状乃至粒状の原料アルミニウムの粉砕により製造する場合には、当然に粉砕後に行う必要があり、従って必然的に両面処理となる。これに対し、真空製膜法により形成されたアルミニウム薄膜の粉砕により製造する場合には、ベーマイト処理は粉砕後であっても良いが粉砕前であっても良く、後者の場合には被製膜基材からの剥離後であっても剥離前であっても良い。剥離前であれば、アルミニウム薄膜は被製膜基材の表面に付着した状態なので、取扱性が良く、処理の自動化や連続化が容易で、効率的且つ安定的に処理を実施できる利点がある。この場合には必然的に片面処理(製膜面のみ)となるが、前述した理由により特に問題はない。
【0030】
もう一方の光輝性顔料である真珠光沢顔料としては、例えば太刀魚等の魚鱗粉、塩基性炭酸鉛、砒酸水素鉛、酸化塩化ビスマス、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母等が使用可能であるが、供給の安定性、無害性、輝度感(光反射率)等の面で、酸化チタン被覆雲母が最も好適である。酸化チタン被覆雲母には、酸化チタン被膜の膜厚により、白色光沢のものと干渉色光沢のものがあり、本発明の目的にはいずれも使用可能である。但し、主として高度の隠蔽性の付与を目的として、光輝性顔料含有層2を隠蔽層として設ける場合には、広範囲の波長の光に対して高い光反射率を示す白色光沢のものを使用することが望ましい。
【0031】
光輝性顔料含有層2には、上記した金属粉顔料及び真珠光沢顔料の他、必要に応じて、所望の色彩に着色するための着色剤が添加されていても良い。この着色剤としては、例えば絵柄層3に使用したものと同様の、染料又は顔料等の公知の着色剤を使用することができる。
【0032】
光輝性顔料含有層2に含有させる光輝性顔料としての、金属粉顔料と真珠光沢顔料との比率に関しては、相対的に、前者が多すぎると、光輝性顔料含有層2の内部凝集力が低下して化粧シートの層間密着強度の低下の原因となり、逆に後者が多すぎると、輝度感や隠蔽性が不足するので、金属粉顔料60〜90重量%に対し、真珠光沢顔料40〜10重量%の比率とすることが望ましい。
【0033】
光輝性顔料含有層2のバインダー樹脂としては、例えば前述した絵柄層3のバインダー樹脂と同様のものが使用可能であり、印刷又は塗工の対象となる基材シート1との密着性等を考慮して適宜選定すればよい。光輝性顔料とバインダー樹脂との比率に関しては、光輝性顔料の含有量が多すぎると、光輝性顔料含有層2の内部凝集力が低下して化粧シートの層間密着強度の低下の原因となり、逆に少なすぎると、輝度感や隠蔽性が不足するので、バインダー樹脂100重量部当たり、光輝性顔料2〜30重量部の比率とすることが望ましい。
【0034】
本発明の化粧シートは、既に述べたとおり、金属調(メタリック調)の輝度感ある意匠及び/又は高度の隠蔽性と共に、優れた層間密着強度が要求される用途に適している。その中でも、例えばVカット加工又はラッピング加工等の折り曲げ加工や、真空成形加工又は射出成形同時積層加工等の立体成形加工等の様に、局所的又は全体的に光輝性顔料含有層2が面内方向への延伸を受ける用途にあっては、従来の光輝性顔料として金属粉顔料のみを用いたものは、初期状態において層間密着強度が低いのみならず、光輝性顔料含有層2の延伸変形に伴い、光輝性顔料含有層2が容易に凝集破壊を発生するため、加工後の製品の層間密着強度が加工前よりもさらに大幅に低下するという問題があったのに対し、本発明の化粧シートは、金属粉顔料よりもバインダー樹脂との親和性の高い真珠光沢顔料を併用したことによって、光輝性顔料含有層2の内部凝集力が向上しているので、光輝性顔料含有層2が延伸変形を受けても、光輝性顔料含有層2は凝集破壊を発生しにくく、内部凝集力の低下が少ないので、折り曲げ加工や立体成形加工に供しても、層間密着強度の良好な加工製品を容易に得ることができる利点がある。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明する。
【0036】
<金属粉顔料の調製>
厚み16μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを被製膜基材として、その片面に厚み1μmのアクリル樹脂系剥離層を介して、真空蒸着法によりアルミニウムを厚み30nmに製膜した。しかる後、アルミニウム薄膜を剥離層と共に被製膜基材から剥離し、湿式ボールミル法により粒径5〜15μmの鱗片状に粉砕して、鱗片状アルミニウム粉末からなる金属粉顔料(無処理)を調製した。
一方、上記工程において、アルミニウム薄膜の剥離前に蒸着フィルムを、蒸留水に反応促進剤としてトリエタノールアミンを0.3重量%添加した沸騰状態(95℃以上)の処理水に20秒間浸漬して、ベーマイト処理を施し、以下上記と同一の要領にて、表面がベーマイト処理された鱗片状アルミニウム粉末からなる金属粉顔料を調製した。
【0037】
<実施例1>
バインダー樹脂としての塩化酢酸ビニル樹脂及びアクリル樹脂の混合樹脂を溶剤(メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル及びメチルイソブチルケトンの混合溶剤)に溶解してなるメジウム(大日本インキ化学工業社製、商品名VD EXP11210メジューム、固形分32重量%)100重量部に、上記表面がベーマイト処理された鱗片状アルミニウム粉末からなる金属粉顔料75重量%及び酸化チタン被覆雲母粉末(日本光研社製、商品名ME100)25重量%の混合物からなる光輝性顔料5重量部を分散し、溶剤を添加して粘度調整して、固形分8重量%の光輝性印刷インキを作製した。この印刷インキを使用して、厚み80μmの着色非晶質ポリエステル樹脂フィルム(リケンテクノス社製、商品名リベスター)の表面に、グラビア印刷法により乾燥後の塗布量1g/m2のベタ状に印刷した。しかる後該印刷面に、2液硬化型ウレタン系ドライラミネート接着剤(東洋モートン社製、商品名AD−806/AD−RT8=100/10、乾燥後の塗布量2g/m2)を介して、厚み80μmの透明非晶質ポリエステル樹脂フィルム(リケンテクノス社製、商品名リベスター)をドライラミネートし、さらにその表面に2液硬化型ウレタン系樹脂(大日本インキ化学工業社製、商品名UCクリアー)によるトップコート(乾燥後の塗布量6g/m2)を施して、本発明の化粧シートを作製した。
【0038】
<比較例1>
上記実施例1において、上記光輝性顔料として、酸化チタン被覆雲母粉末を混合せずに上記金属粉顔料(無処理)のみを使用し、その他は上記実施例1と同一条件にて化粧シートを作製した。
【0039】
<比較例2>
上記実施例1において、上記光輝性顔料として、金属粉顔料を混合せずに上記酸化チタン被覆雲母粉末のみを使用し、その他は上記実施例1と同一条件にて化粧シートを作製した。
【0041】
<性能評価>
上記実施例1及び比較例1〜2の各化粧シートについて、輝度感を目視評価すると共に、初期状態と、100%伸長後との2条件で、180度剥離強度を測定したところ、結果は以下の通りであった。
【0042】
評価結果一覧(剥離強度の単位:[N/m])
輝度感 初期剥離強度 伸長後剥離強度
実施例1 ○ 1270 510
比較例1 ○ 650 180
比較例2 × 900 240
【0043】
【発明の効果】
以上詳細に説明した様に、本発明の化粧シートは、熱可塑性樹脂からなる基材シートの少なくとも片面に、光輝性顔料を含有する印刷又は塗工層(光輝性顔料含有層)が設けられてなる化粧シートにおいて、前記光輝性顔料として、金属粉顔料と真珠光沢顔料との混合物を使用したことにより、光輝性顔料含有層の光輝性や隠蔽性を著しく低下させることなく、光輝性顔料含有層の内部凝集力を向上し、層間密着強度の優れた化粧シートが得られるという顕著な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図2】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図3】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図4】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図5】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図6】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図7】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図8】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【図9】本発明の化粧シートの実施の形態を示す模式断面図。
【符号の説明】
1、11、12、13‥‥基材シート
14‥‥光輝性顔料含有基材シート
2、21、22、23‥‥光輝性顔料含有層
3、31、32‥‥絵柄層
33‥‥ベタ層
4‥‥表面保護層
5、51、52‥‥接着剤層
Claims (1)
- 熱可塑性樹脂からなる基材シートの少なくとも片面に、光輝性顔料を含有する印刷又は塗工層が設けられてなる化粧シートにおいて、前記光輝性顔料が、表面がベーマイト処理された鱗片状アルミニウム粉末からなる金属粉顔料と真珠光沢顔料との混合物であることを特徴とする化粧シート。
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