以下、本実施の形態について図に基づいて説明する。
まず、本発明の思想を適用可能な作業車両の一例である油圧ショベルの構成について図1を用いて説明するが、本発明はホイールローダ、ブルドーザなどの排気処理ユニットを含むエンジンユニットを備えた作業車両に適用可能である。
図1は、本発明の一実施形態における作業車両としての、油圧ショベル1の構成を示す概略斜視図である。図1を参照して、油圧ショベル1は、下部走行体2と、上部旋回体3と、作業機4とを主に備えている。下部走行体2と上部旋回体3とにより、作業車両本体が構成されている。
下部走行体2は、左右一対の履帯2aを有している。下部走行体2は、一対の履帯2aが回転することにより自走可能に構成されている。上部旋回体3は、下部走行体2に対して旋回自在に設置されている。
上部旋回体3は、前方側F(車両前側)の左側Lに、オペレータが油圧ショベル1を操作するための空間を構成するキャブ5を有している。上部旋回体3は、後方側B(車両後側)に、エンジンを収納するエンジンルーム6、およびカウンタウェイト7を有している。なお、本実施の形態では、オペレータがキャブ5内に着座した状態で、オペレータの前方側(正面側)を上部旋回体3の前方側Fとし、これと反対側、つまりオペレータの後方側を上部旋回体3の後方側とし、着座状態でのオペレータの左側を上部旋回体3の左側Lとし、オペレータの右側を上部旋回体3の右側Rとする。以降は、上部旋回体3の前後左右と作業車両の前後左右は一致しているとする。またオペレータの上下方向を図中矢印Zで示している。
上部旋回体3は、旋回フレーム9を有している。旋回フレーム9は、作業車両本体に含まれている。旋回フレーム9は、下部走行体2の上方に配置されており、下部走行体2に対して旋回自在に設けられている。作業機4、キャブ5およびカウンタウェイト7は、旋回フレーム9に搭載されており、旋回フレーム9の上面に配置されている。なお、油圧ショベル1は、上部旋回体3を下部走行体2に対して相対的に旋回させるための、図示しない旋回装置を備えている。旋回装置は、下部走行体2に支持された旋回モータ、旋回フレーム9に支持されたギアなどから構成されている。
土砂の掘削などの作業を行う作業機4は、上下方向Zに作動可能に、上部旋回体3により軸支されている。作業機4は、上部旋回体3の前方側Fの略中央部に上下方向Zに作動可能に取り付けられたブーム4aと、ブーム4aの先端部に前後方向F,Bに作動可能に取り付けられたアーム4bと、アーム4bの先端部に前後方向F,Bに作動可能に取り付けられたバケット4cとを有している。ブーム4a、アーム4bおよびバケット4cはそれぞれ、油圧シリンダ4dによって、駆動されるように構成されている。
作業機4は、キャブ5に対して右側Rに設けられている。作業機4は、上部旋回体3の前方側Fの左側Lに配置されたキャブ5に対し、キャブ5の一方の側部側である右側Rに設けられている。なお、キャブ5と作業機4との配置は図1に示す例に限られるものではなく、たとえば上部旋回体3の前方右側に配置されたキャブ5の左側に作業機4が設けられていてもよい。
エンジンルーム6は、カウンタウェイト7の前方側Fに隣接するように、旋回フレーム9の上方に設けられている。旋回フレーム9は、エンジンルーム6の床部分を形成している。エンジンルーム6は、エンジンフード8によって上側から覆われている。エンジンフード8は、エンジンルーム6の天井部分を形成している。カウンタウェイト7は、エンジンルーム6の後方側Bに配置されており、エンジンルーム6の後方側Bの壁を形成している。エンジンフード8から上方へ、エンジンから排出された排気ガスを油圧ショベル1の車外に排出する排気筒15が突き出ている。
カウンタウェイト7は、掘削作業などにおいて油圧ショベル1の車体バランスを保持するために、旋回フレーム9の後端部に設けられている。カウンタウェイト7は、旋回フレーム9上におけるエンジンルーム6の後方側Bに設けられている。カウンタウェイト7は、たとえば、鋼板を組み立てて形成した箱の中に屑鉄およびコンクリートなどを入れて固めることにより形成されている。カウンタウェイト7の後面は、油圧ショベル1の後方側Bの表面を構成しており、滑らかに湾曲した形状を有している。
次に、本実施の形態の作業車両における還元剤タンクから排気処理ユニットまでの還元剤配管の経路について図2を用いて説明する。図2は、図1に示す作業車両(油圧ショベル)1において旋回フレーム9上における還元剤タンクから排気処理ユニットまでの還元剤配管の経路を示す平面図である。図2を参照して、油圧ショベル1は、下部走行体2および作業機4を駆動するための動力源であるエンジン10を備えている。エンジン10は、旋回フレーム9上に搭載されている。エンジン10は、旋回フレーム9のうち左右方向の中央側のセンタフレームの、後部に搭載されている。エンジン10は、エンジンルーム6内に収容されている。
油圧ショベル1は、エンジンルーム6内に、エンジン10から排出される排気ガスを処理して浄化するための排気処理ユニットを備えている。排気処理ユニットは、エンジン10の上方に配置されており、排気処理装置12,14と、中継接続管13と、排気筒15と、還元剤の噴射ノズル28を主に備えている。排気処理装置12は、後述する排気管11(図3)によりエンジン10と接続されている。排気処理装置14は、中継接続管13により排気処理装置12と接続されている。エンジン10から排出される排気ガスは、排気処理装置12,14を順に通過して、排気筒15から大気中に排出される。エンジン10からの排気ガスの排出の流れに対して、排気処理装置12はエンジン10の下流側に配置されており、排気処理装置14は排気処理装置12の下流側に配置されている。
排気処理装置12は、エンジン10から排出される排気ガス中の粒子状物質を捕集して、排気ガス中の粒子状物質の濃度を低下させる。排気処理装置12は、たとえばディーゼル微粒子捕集フィルター装置である。排気処理装置14は、還元剤との反応によって排気ガス中に含まれている窒素酸化物を還元し、窒素酸化物を無害な窒素ガスに化学変化して、排気ガス中の窒素酸化物濃度を低下させる。排気処理装置14は、たとえば選択触媒還元式の脱硝装置である。中継接続管13には、中継接続管13内に還元剤を噴射するための噴射ノズル28が設けられている。中継接続管13は、排気ガスに還元剤を噴射し混合するミキシング配管としての機能を有している。
油圧ショベル1はまた、排気処理ユニットへ還元剤を供給するための、還元剤供給部を備えている。還元剤供給部は、還元剤タンク20、および還元剤ポンプ22を備えている。還元剤タンク20および還元剤ポンプ22は、旋回フレーム9のうち、右側Rのサイドフレーム上に搭載されている。還元剤ポンプ22は、エンジンルーム6に対して前方側Fに配置されている。還元剤タンク20は、還元剤ポンプ22よりも前方側Fに配置されている。還元剤タンク20は、排気処理装置14で使用される還元剤を貯留する。還元剤としては、たとえば尿素水が好適に用いられるが、これに限られるものではない。
還元剤タンク20と還元剤ポンプ22とは、送り配管21および戻し配管23によって、互いに連結されている。送り配管21は、還元剤タンク20から還元剤ポンプ22へ還元剤を送出するための配管である。戻し配管23は、還元剤ポンプ22から還元剤タンク20へ還元剤を戻すための配管である。還元剤ポンプ22と噴射ノズル28とは、圧送配管25によって、互いに連結されている。圧送配管25は、還元剤ポンプ22から噴射ノズル28に還元剤を移送するための配管である。
還元剤タンク20から送り配管21を経由して還元剤ポンプ22へ移送されてきた還元剤は、還元剤ポンプ22において二分岐する。排気処理に使用されない還元剤は、還元剤ポンプ22から戻し配管23を経由して、還元剤タンク20へ戻される。排気処理に使用される還元剤は、還元剤ポンプ22から圧送配管25を経由して、噴射ノズル28へ到達し、噴射ノズル28から排気管13内へ噴霧される。
エンジン10からの排気ガスは、中継接続管13を経由して排気処理装置14へ流入する。中継接続管13は、排気ガスの流れにおいて、排気処理装置14の上流側に設けられている。還元剤タンク20から吸い出された還元剤は、中継接続管13に取り付けられた噴射ノズル28を経由して、中継接続管13内を流れる排気ガス中に噴射される。還元剤は、排気処理装置14に対し排気ガスの流れの上流側に噴射される。排気ガス中に噴射される還元剤の量は、排気処理装置14を通過する排気ガスの温度、および排気ガス中の窒素酸化物の濃度に基づいて、制御されている。
次に、本実施の形態の作業車両における熱交換用の媒体の経路と還元剤の経路とについて図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態の作業車両における還元剤の経路、熱交換用の媒体の経路、およびエンジンからの排気ガスの排気経路を模式的に示す機能図である。図3に示すように、エンジン10から排出された排気ガスは、排気管11、排気処理装置12、中継接続管13、排気処理装置14を順に経て排気筒15から車外に排気される。排気処理装置14に対して排気ガスの流れの上流側の中継接続管13に、噴射ノズル28が設けられている。
還元剤タンク20は、還元剤90を貯留するための容器本体33を有している。容器本体33の内部には、還元剤タンク20から流出する還元剤90が流れる吸出管70が配置されている。吸出管70は、送り配管21に連結されている。還元剤タンク20から吸い出された還元剤90は、還元剤ポンプ22によって移送され、送り配管21および圧送配管25を順に経由して、噴射ノズル28へ到達する。排気処理に使用されない還元剤90は、還元剤ポンプ22から戻し配管23を経由して、還元剤タンク20へ戻される。
噴射ノズル28は、還元剤タンク20から吸い出した還元剤90を排気処理装置14に対し排気ガスの上流側に噴射する、還元剤噴射装置としての機能を有している。噴射ノズル28により、排気管13内を流れる排気ガス中に還元剤90が供給される。排気処理装置14において、排気ガス中に含有される窒素酸化物が還元剤90と反応することにより、排気ガス中の窒素酸化物の濃度が減少する。還元剤90が尿素水である場合、排気管13内において尿素水は分解してアンモニアへと変化し、窒素酸化物とアンモニアとの反応によって窒素酸化物は無害な窒素および酸素に分解される。窒素酸化物の量が適正値に低下した排気ガスは、排気筒15から排出される。
還元剤タンク20の内部には、還元剤90との間で熱交換する媒体(熱交換媒体)が流れる熱交換器40が配置されている。熱交換媒体としては、エンジン10の冷却水が用いられている。熱交換器40は、熱交換媒体を還元剤タンク20内に導く第1管路50と、還元剤タンク20から熱交換媒体を流出させる第2管路60とを有している。第1管路50は、冷却水配管17に連結されている。第2管路60は、冷却水配管18に連結されている。冷却水配管18には、ラジエータ16と、冷却水ポンプ19とが設けられている。
冷却水ポンプ19の駆動によって、エンジン10の冷却水は、エンジン10、熱交換器40、ラジエータ16、および冷却水ポンプ19を、循環して流れる。エンジン10で加熱された冷却水は、熱交換器40において還元剤90と熱交換することにより、冷却される。他方、還元剤90は、冷却水から熱を受けることにより、加熱される。ラジエータ16は、冷却水と空気との熱交換を行い、冷却水を冷却するための熱交換器である。ラジエータ16において冷却された冷却水がエンジン10のウォータジャケットに流れることにより、エンジン10は適切に冷却される。
以下、還元剤タンク20の構成について詳細に説明する。図4は、本発明の一実施の形態における還元剤タンク20の構成を概略的に示す斜視図である。還元剤タンク20は、図4に示すように、中空の容器本体33を有している。容器本体33は、略矩形箱状の外形を有している。容器本体33は、上面34、側面35a,35cおよび図4には図示しない側面35b,35d、ならびに図4には図示しない底面36により、構成されている。容器本体33は、上面34と底面36との間で、還元剤を貯留する空間を構成している。容器本体33は、ポリエチレンなどの耐食性に優れる樹脂材料により、一体に成形されている。
容器本体33の上面34には、還元剤を補充するための補充口37と、図4には図示しない後述する開口31(図6)とが形成されている。開口31は、円板状の天蓋30によって閉塞されている。開口31の周囲には、ボルト32を締結するための有底のボルト穴が複数形成されている。天蓋30の外周部には、天蓋30を厚み方向に貫通する複数の貫通孔が形成されている。天蓋30は、締結部材としてのボルト32により、容器本体33に着脱可能に取り付けられている。上面34と天蓋30との間にはOリングなどのシール部材が設けられており、これにより、天蓋30を上面34に固定した状態で開口31は液密に封止されている。天蓋30は、たとえば、剛性に優れる金属材料によって成形されている。
天蓋30には、貫通部51,61が取り付けられている。貫通部51,61は、還元剤との間で熱交換する熱交換器の一部を構成している。貫通部51には、容器本体33内に流入する媒体が流れる。貫通部61には、容器本体33から流出する媒体が流れる。
天蓋30には、還元剤が容器本体33から流出する流出口71と、容器本体33へ戻される還元剤が流れる戻り口79とが取り付けられている。図2,3に示す送り配管21の端部は、流出口71に連結されている。図2,3に示す戻し配管23の端部は、戻り口79に連結されている。
天蓋30には、取付シート81がボルトにより着脱可能に締結されている。取付シート81は、容器本体33内の還元剤の水位、還元剤の濃度、および還元剤の温度を計測するセンサの基部86を支持している。基部86から突出するように、ハーネス87が設けられている。ハーネス87の先端に、コネクタ88が設けられている。計測された還元剤の水位、濃度および温度の値は、ハーネス87およびコネクタ88を経由して、図示しないコントローラへ出力される。
天蓋30には、空気抜き穴91と、ブリーザ92とが取り付けられている。補充口37から容器本体33に還元剤が補充されるとき、容器本体33内に存在していた空気は、空気抜き穴91を経由して、容器本体33の外へ流出する。ブリーザ92は、容器本体33内の空気圧を自動的に一定に保つために設けられている。気温の変化のために容器本体33内の空気が膨張または収縮するとき、ブリーザ92を経由して空気が排出または吸入され、これにより容器本体33内の圧力が一定に保持される。
図5は、図4に示す還元剤タンクの一部を破断して示す一部破断断面図である。図5を参照して、容器本体33は、側面35aに対向する側面35b、図4に示す側面35cに対向する側面35d、および上面34に対向する底面36を有している。側面35aと側面35bとは、略平行に設けられている。側面35cと側面35dとは、略平行に設けられている。上面34と底面36とは、略平行に設けられている。
図6は、還元剤タンク20の上面34を下方から見た斜視図である。図6を参照して、還元剤タンク20の容器本体33の上面34には、上面34を貫通する開口31が形成されている。開口31は、円形に形成されている。上述した天蓋30は、開口31を上方から覆い、開口31を塞いでいる。開口31の径は、開口31を塞ぐ天蓋30の径よりも、小さい。天蓋30に固定された貫通部51,61は、容器本体33の上面34を貫通して、容器本体33の上面34から底面36に向かう方向に延びている。貫通部51,61は、上面34および底面36に直交する方向に延びている。貫通部51,61は、円板状の天蓋30に直交する方向に延びている。
図7は、還元剤タンク20の内部の、熱交換器40の先端付近を拡大して示す斜視図である。図8は、熱交換器40と、吸出管70およびセンサユニット80との配置を示す斜視図である。図5〜8を適宜参照して、還元剤タンク20のうち、容器本体33の内部に配置されている構成について、説明する。
還元剤タンク20の容器本体33の内部には、還元剤との間で熱交換する媒体が流れる熱交換器40が配置されている。熱交換器40の構造の詳細については、後述する。
容器本体33の内部には、容器本体33に貯留された還元剤90を吸い出す吸出管70(図6)が配置されている。吸出管70は、天蓋30に取り付けられた流出口71を有している。吸出管70はまた、上方垂延部72と、傾斜部73と、下方垂延部74とを有している。上方垂延部72は、流出口71と同一直線上に、天蓋30から垂れ下がるように延びている。傾斜部73は、上方垂延部72の下端に接続されており、上方垂延部72に対して傾斜して天蓋30から離れる側に延びている。下方垂延部74は、傾斜部73の下端に接続されており、上方垂延部72と平行に延びている。
上方垂延部72および下方垂延部74は、容器本体33の側面35a〜35dに平行に延びており、容器本体33の上面34および底面36に対して垂直に延びている。傾斜部73は、容器本体33の上面34、側面35a〜35dおよび底面36に対して傾斜する方向に延びている。
吸出管70はまた、延伸部75(図12参照)と、ストレーナ(濾過器)76とを有している。延伸部75は、下方垂延部74の下端に接続されており、容器本体33の底面36に沿って、側面35aに向かって延びている。ストレーナ76は、吸出管70の先端部分を形成している。容器本体33内に貯留された還元剤が、ストレーナ76を経由して吸出管70内に流入する。ストレーナ76は、容器本体33内の不純物を濾し取り、不純物が吸出管70内に流入するのを防止するために設けられている。図5に示されるように、容器本体33内の還元剤の量が少なくなっても、吸出管70から還元剤を吸い出せるように、ストレーナ76は容器本体33の底面36近くに配置されている。
容器本体33の底面36上に、支持板77が載せ置かれている。支持板77から、容器本体33の上面34に向かって、板状支持部78が突起している。板状支持部78の先端付近において、ストレーナ76は板状支持部78にボルトを用いて固定されている。ストレーナ76は、支持板77および板状支持部78を介して容器本体33の底面36に支持されている。これにより、吸出管70の剛性が向上している。
容器本体33の内部には、センサユニット80が配置されている。センサユニット80は、ハーネス82と、水位計83と、濃度および温度計85とを有している。ハーネス82および水位計83は、ホルダ84によって、天蓋30の下面に取り付けられている。ハーネス82および水位計83は、天蓋30から垂れ下がるように、容器本体33の底面36に向かって延びている。ハーネス82および水位計83の下端に、濃度および温度計85が取り付けられている。
水位計83は、その内部にフロートを有している。フロートは、還元剤の液面に位置している。当該フロートの高さ位置情報に基づいて、容器本体33の内部の還元剤の水位が検出される。濃度および温度計85は、還元剤の濃度および温度を計測する。計測された還元剤の水位、濃度および温度の値に係る信号は、ハーネス82を経由して図4,5に示す基部86に伝達され、さらにハーネス87およびコネクタ88を経由して、図示しないコントローラへ出力される。
センサユニット80は、クランプ部120を介して、伝熱プレート110に支持されている。これにより、センサユニット80の剛性が向上している。伝熱プレート110の詳細は後述する。
図9は、天蓋30に支持された熱交換器40を示す斜視図である。図10は、図9に示す天蓋30および熱交換器40の平面図である。図11は、図9に示す天蓋30および熱交換器40の側面図である。図12は、図9に示す天蓋30および熱交換器40の正面図である。図9〜12および図5〜8を適宜参照して、還元剤との間で熱交換を行う熱交換器40の構造について説明する。
熱交換器40は、垂下部41と、並行部44と、先端屈曲部45とを有している。垂下部41は、熱交換器40のうち、容器本体33の上面33から底面36へ向かって延びる部分である。並行部44は、熱交換器40のうち、垂下部41の下端に接合されており、容器本体33の底面36に沿って水平に延びる部分である。先端屈曲部45は、並行部44の先端に接合されている。先端屈曲部45は、並行部44に対して屈曲しており、容器本体33の側面35aに沿って上方に延びている。先端屈曲部45は、熱交換器40の先端部分を形成している。
垂下部41、並行部44および先端屈曲部45は、略U字形状の管材を曲げ加工することにより、一体に形成されている。または、垂下部41、並行部44および先端屈曲部45の各々を構成する管材をたとえば溶接により継ぎ合わせることによって、熱交換器40を形成しても構わない。
熱交換器40を別の観点から見ると、熱交換器40は、熱交換媒体を容器本体33内に導く第1管路50(図9)と、容器本体33から熱交換媒体を流出させる第2管路60と、折り返し部59とを有している。第1管路50と第2管路60とは、折り返し部59を介して、互いに連通している。
第1管路50は、貫通部51と、傾斜部52と、下方垂延部53と、延伸部54と、立上り部55とを有している。貫通部51は、容器本体33の上面34を貫通して、容器本体33の内部の空間内に延びている。傾斜部52は、貫通部51の下端に接続されている。傾斜部52は、貫通部51に対して傾斜して底面36側に延びる、第1の傾斜部として設けられている。下方垂延部53は、傾斜部52の下端に接続されており、貫通部51と平行に延びている。
貫通部51および下方垂延部53は、容器本体33の側面35a〜35dに平行に延びており、容器本体33の上面34および底面36に対して垂直に延びている。傾斜部52は、容器本体33の上面34、側面35a〜35dおよび底面36に対して傾斜する方向に延びている。
延伸部54は、下方垂延部53の下端に接合されており、容器本体33の底面36に沿って、容器本体33の側面35aに向かって延びている。立上り部55は、延伸部54の先端に接合されており、容器本体33の側面35aに沿って、容器本体33の上面34に向かって延びている。
容器本体33の上面34から底面36へ向かって延びる垂下部41は、第1管路50のうち、貫通部51、傾斜部52および下方垂延部53を含んで構成されている。第1管路50に含まれる垂下部41に2箇所の屈曲が形成され、この屈曲によって傾斜部52が形成されている。並行部44は、第1管路50のうち、延伸部54を含んで構成されている。先端屈曲部45は、第1管路50のうち、立上り部55を含んで構成されている。
第2管路60は、貫通部61と、傾斜部62と、下方垂延部63と、延伸部64と、立上り部65とを有している。貫通部61は、容器本体33の上面34を貫通して、容器本体33の内部の空間内に延びている。傾斜部62は、貫通部61の下端に接続されている。傾斜部62は、貫通部61に対して傾斜して底面36側に延びる、第2の傾斜部として設けられている。下方垂延部63は、傾斜部62の下端に接続されており、貫通部61と平行に延びている。
貫通部61および下方垂延部63は、容器本体33の側面35a〜35dに平行に延びており、容器本体33の上面34および底面36に対して垂直に延びている。傾斜部62は、容器本体33の上面34、側面35a〜35dおよび底面36に対して傾斜する方向に延びている。
延伸部64は、下方垂延部63の下端に接合されており、容器本体33の底面36に沿って、容器本体33の側面35aに向かって延びている。立上り部65は、延伸部64の先端に接合されており、容器本体33の側面35aに沿って、容器本体33の上面34に向かって延びている。
容器本体33の上面34から底面36へ向かって延びる垂下部41は、第2管路60のうち、貫通部61、傾斜部62および下方垂延部63を含んで構成されている。第2管路60に含まれる垂下部41に2箇所の屈曲が形成され、この屈曲によって傾斜部62が形成されている。並行部44は、第2管路60のうち、延伸部64を含んで構成されている。先端屈曲部45は、第2管路60のうち、立上り部65を含んで構成されている。
貫通部51,61および下方垂延部53,63は、各々、互いに平行に配置されている。延伸部54,64は、互いに平行に配置されている。延伸部54,64は、下方垂延部53,63に対して直交する方向に延びている。
先端屈曲部45は、第1管路50の立上り部55、第2管路60の立上り部65、および第1管路50と第2管路60とを連通する折り返し部59によって、形成されている。先端屈曲部45のうち容器本体33の上面34に最も近い点における熱交換器40の延びる方向に直交し、当該最も近い点を含む断面が、折り返し部59を形成している。先端屈曲部45のうち容器本体33の上面34に最も近い点を含み、容器本体33の側面35c,35dに平行な熱交換器40の断面が、折り返し部59を形成している。先端屈曲部45は、逆U字形状に形成されている。
垂下部41において、第1管路50および第2管路60間の距離は、略一定とされている。並行部44において、第1管路50および第2管路60間の距離は、略一定とされている。先端屈曲部45において、第1管路50および第2管路60間の距離は、折り返し部59に近づくに従って、小さくなっている。ここで、第1管路50および第2管路60間の距離とは、第1管路50または第2管路60の延びる方向に直交する方向における、第1管路50と第2管路60との最短距離を示している。
図8に示されるように、第1管路50に含まれている傾斜部52と、第2管路60に含まれている傾斜部62とは、それぞれ、貫通部51,61から離れるに従ってセンサユニット80に近づくように、貫通部51,61に対して傾斜している。センサユニット80は、第1管路50の下方垂延部53と、第2管路60の下方垂延部63との間の位置に配置されている。センサユニット80およびセンサユニット80の周辺の還元剤に対して、より効率よい熱伝達が行われるように、熱交換器40は、センサユニット80に接近して配置されている。
還元剤が流れる吸出管70の傾斜部73(図6)は、上方垂延部72から離れるに従って第1管路50に近づくように、上方垂延部72に対して傾斜している。吸出管70の下方垂延部74は、第1管路50の下方垂延部53と平行に配置されており、第1管路50の下方垂延部53に沿って延びている。第1管路50の下方垂延部53と吸出管70の下方垂延部74間との間隔は、最小化されている。たとえば下方垂延部53,74間の距離を、第1管路50を形成する配管の外径以下としてもよい。吸出管70および吸出管70の周辺の還元剤に対して、より効率よい熱伝達が行われるように、熱交換器40は、吸出管70に接近して配置されている。
吸出管70の先端のストレーナ76は、熱交換器40の垂下部41および先端屈曲部45によって側方の二方向を覆われ、並行部44によって下方を覆われるように、配置されている。ストレーナ76の周辺に熱交換器40を配置することで、ストレーナ76の近傍の還元剤への熱伝達が優先的に行われ、還元剤が凍結した場合にストレーナ76の近傍の還元剤を優先して解凍できる構成とされている。
熱交換器40の垂下部41は、開口31を閉塞する天蓋30に取り付けられており、天蓋30から吊り下げられている。天蓋30の厚み方向に見た場合に、垂下部41は、開口31を形成する円の内側に配置されている。傾斜部52,62は、貫通部51,61の延びる方向に沿う開口31の投影に相当する領域内で、貫通部51,61に対して傾斜している。これにより、天蓋30を容器本体33の上面34から取り外して、天蓋30を上面34に直交する方向(図10に示す紙面垂直方向)に持ち上げることにより、開口31を経由して垂下部41を容器本体33の外部へ取り出すことが可能とされている。
図10および後述する図13,17〜20に示す寸法LDは、容器本体33の上面34に形成されている開口31の、開口31の中心COを通る最大内法長さを示している。詳細には、寸法LDは、開口31の内側のさし渡し長さのうち、開口31をその外部から上面34の延びる方向に沿って見る場合における、360°の全ての角度から見て最大となる長さを示している。寸法LDは、開口31の内法長さのうち、中心COを通るものの中で、最大となる長さを示している。開口31が円形である場合、寸法LDは、当該円形の直径を示している。
図10,11に示す寸法Wは、先端屈曲部45の幅寸法を示している。詳細には、寸法Wは、図10に示す先端屈曲部45の平面形状の、延伸部54から延伸部64にまで亘って延びる外形寸法を示している。寸法Wは、立上り部55の外径と、立上り部65の外径と、図11中の左右方向に沿う立上り部55,65間の距離との和のうち、最大の値を示している。寸法Wは、熱交換器40が容器本体33の内部に配置された状態で、側面35aに沿い、かつ上面34および底面36に平行な方向における、先端屈曲部45の外形寸法を示している。
図11に示すように、第1管路50と第2管路60とは、第1管路50の外径と、第2管路60の外径と、第1管路50および第2管路60間の距離との和を、円形の開口31の直径を示す寸法LDよりも小さく保ったまま、天蓋30から折り返し部59まで延びている。先端屈曲部45の幅寸法を示す寸法Wは、円形の開口31の直径を示す寸法LDよりも、小さくなっている。
図11,12に示す寸法Hは、先端屈曲部45の立上り高さ、すなわち、先端屈曲部45を側方視した図11,12中の上下方向における先端屈曲部45の外形寸法を示している。寸法Hは、熱交換器40が容器本体33の内部に配置された状態で、側面35aに沿い、かつ上面34および底面36に直交する方向における、先端屈曲部45の外形寸法を示している。
図12に示す寸法L1は、並行部44の長さ、または延伸部54,64の長さを示している。寸法L1は、第1管路50および第2管路60の下方垂延部53,63の外径と、立上り部65の外径と、図12中の左右方向に沿う下方垂延部53,63と立上り部65間との距離との和のうち、最大の値を示している。寸法L1は、熱交換器40が容器本体33の内部に配置された状態で、底面36に沿い、かつ側面35c,35d(図4,5参照)に平行な方向における、延伸部54,64の外形寸法を示している。
図12に示す寸法L2は、第1管路50および第2管路60の貫通部51,61の外径と、立上り部65の外径と、貫通部51,61と立上り部65との間の図12中の左右方向に沿う距離との和のうち、最大の値を示している。
図9に示すように、第1管路50と第2管路60との両方に亘って、伝熱プレート110が設けられている。伝熱プレート110は、平板形状の第1の平板部111と、平板形状の第2の平板部112とを有している。伝熱プレート110は、第1の平板部111と第2の平板部112とを繋ぐ屈曲部113を有している。伝熱プレート110は、一枚の平板が屈曲加工されて形成されている。
伝熱プレート110は、貫通部51,61の延びる方向における、第1管路50の傾斜部52と第2管路60の傾斜部62との間に設けられている。第1の平板部111は、傾斜部52よりも容器本体33の上面34から離れる側の、下方垂延部53に、たとえば溶接により固定されている。第2の平板部112は、傾斜部62よりも容器本体33の上面34に近い側の、貫通部61に、たとえば溶接により固定されている。伝熱プレート110は、第1管路50および第2管路60の両方に固定されている。
第1の平板部111の下端部には、クランプ部120(図8)が取り付けられている。クランプ部120は、センサユニット80のうち、ハーネス82および水位計83の周囲を囲い、センサユニット80を支持している。熱交換器40、伝熱プレート110およびセンサユニット80によって、立体的な支持構造が形成されており、これにより、熱交換器40およびセンサユニット80の剛性が向上している。
図13は、容器本体33内の熱交換器40の配置の概略を示す模式図である。図13には、側面35b,35dに沿う容器本体33の断面と、容器本体33の内部に配置されている熱交換器40とを、線図化して示している。図13にはまた、開口31の最大内法長さを示す寸法LD、先端屈曲部45の側面35aに沿う立上り高さを示す寸法H、延伸部54,64の底面36に沿う長さを示す寸法L1、および、垂下部41から先端屈曲部45までの底面36に沿う最大距離を示す寸法L2が図示されている。
図13には、開口31の全周における縁のうち、側面35aとの距離を最小にする部分が、縁39として示されている。図13に示す中点Mは、容器本体33の上面34に沿う、開口31の縁39と容器本体33の側面35aとを結ぶ線分の中点を示している。図13中に一点鎖線BLは、開口31の縁39と容器本体33の側面35aとの距離を二等分する中点Mを通り、上面34に直交する方向に延びる垂直二等分線である。
図13を参照して、延伸部54,64により構成されている並行部44の、底面36に沿う長さを示す寸法L1は、開口31の最大内法長さを示す寸法LDよりも、大きくなっている。先端屈曲部45の側面35aに沿う立上り長さを示す寸法Hは、開口31の最大内法長さを示す寸法LDよりも、小さくなっている。
延伸部54,64により構成されている並行部44は、垂下部41から、容器本体33の側面35aへ向かって延びている。熱交換器40は、先端屈曲部45において、側面35aに最接近している。先端屈曲部45は、二等分線BLよりも、側面35aに近く配置されている。先端屈曲部45と側面35aとの距離は、開口31の縁39と側面35aとの最短距離を二等分した長さよりも、小さくなっている。
熱交換器40のうち、貫通部51,61は、開口31を貫通して配置されている。貫通部51,61は、開口31の中心に対して側面35aから離れる側の位置に、配置されている。貫通部51,61は、開口31の中心に対して、垂下部41から延伸部54,64が延びる向きと反対側の位置に、配置されている。
図14は、先端屈曲部45の投影45pと開口31との関係の第1の例を示す模式図である。図14には、先端屈曲部45を側面35aに投影した像を示す投影45pと、容器本体33の上面34に形成された開口31を平面視した形状との、寸法関係が図示されている。投影45pは、図11に示す延伸部54,64の延びる方向から見た場合の、先端屈曲部45の形状に相当している。図14中に破線で示す外接円CCは、先端屈曲部45の投影45pの外接円を示している。
図14に示すように、先端屈曲部45を延伸部54,64の延びる方向から見た形状は、開口31の平面形状に内包されている。先端屈曲部45を延伸部54,64の延びる方向から見た形状の外接円CCは、開口31の平面形状に内包されている。開口31の中心COを通る最大内法長さを示す寸法LDは、円形の開口31の直径を示している。また、開口31が円形である場合、円形の開口31の直径は、開口31の中心COを通る最小の内法長さ(寸法SD)とも表現できる。先端屈曲部45の立上り長さを示す寸法Hおよび先端屈曲部45の幅を示す寸法Wは、いずれも、寸法SDよりも小さい。
図15は、先端屈曲部45の投影と開口との関係の第2の例を示す模式図である。容器本体33の上面34を貫通して形成されている開口31は、円形に限られるものではなく、多角形状などの他の任意の形状であってもよい。図15には、開口31の平面形状が正方形である例を示している。図15に示す第2の例においても、先端屈曲部45を延伸部54,64の延びる方向から見た形状を示す投影45pは、開口31の平面形状に内包されている。先端屈曲部45を延伸部54,64の延びる方向から見た形状の外接円CCは、開口31の平面形状に内包されている。
開口31が正方形である場合、開口31の最大内法長さを示す寸法LDは、当該正方形の対角線の長さを示している。図15に示す寸法SDは、正方形の開口31の、互いに対向する二辺間の距離を示している。寸法SDは、正方形の開口31の一辺の長さに対応している。寸法SDは、正方形の開口31の中心COを通る最小の内法長さである。寸法SDは、寸法LDよりも小さい。先端屈曲部45の立上り長さを示す寸法Hおよび先端屈曲部45の幅を示す寸法W(図14参照)は、いずれも、図15に示す寸法SDよりも小さい。
図16は、先端屈曲部45の投影45pと開口31との関係の第3の例を示す模式図である。図16には、開口31の平面形状が正六角形である例を示している。図16に示す第3の例においても、先端屈曲部45を延伸部54,64の延びる方向から見た形状を示す投影45pは、開口31の平面形状に内包されている。先端屈曲部45を延伸部54,64の延びる方向から見た形状の外接円CCは、開口31の平面形状に内包されている。
開口31が正六角形である場合、開口31の最大内法長さを示す寸法LDは、当該正六角形の対角線のうち、長さが最大の対角線の長さを示している。図16に示す寸法SDは、正六角形の開口31の、互いに対向する二辺間の距離を示している。寸法SDは、正六角形の開口31の中心COを通る最小の内法長さである。寸法SDは、寸法LDよりも小さい。先端屈曲部45の立上り長さを示す寸法Hおよび先端屈曲部45の幅を示す寸法W(図14参照)は、いずれも、図16に示す寸法SDよりも小さい。
図17〜20は、容器本体33から熱交換器40を抜き出す各工程を示す斜視図である。天蓋30に取り付けられた熱交換器40は、天蓋30と一体に、容器本体33から取り外し可能に形成されている。
具体的には、熱交換器40の垂下部41は、貫通部51,61の延びる方向に沿う開口31の投影に相当する領域に収まるように、形成されている。そのため、天蓋30を容器本体33に固定しているボルト32を全て外し、天蓋30をそのまま上方へ持ち上げると、図17に示すように、熱交換器40の垂下部41は、開口31を経由して容器本体33の外部へ移動可能である。
図18に示すように、第2管路60の傾斜部62が開口31の外部へ抜き出されるまで天蓋30および熱交換器40を上面34から離れる方向に持ち上げた後に、天蓋30および熱交換器40を傾斜させる。図12,13に示す逆L字形状の熱交換器40を、反時計回り方向に回転させるように、天蓋30および熱交換器40を、容器本体33の上面34に対して傾斜させる。
そのまま熱交換器40の傾斜を続けると、熱交換器40の下方垂延部53,63と容器本体33の上面34とのなす角度が小さくなってゆく。図19に示すように、容器本体33の外部に露出した下方垂延部53,63が容器本体33の上面34と接触しない程度に、下方垂延部53,63を可能な限り上面34へ接近させる。これにより、熱交換器40の先端屈曲部45が開口31に対向する位置に移動する。
その後、図20に示されるように、延伸部54,64の延びる方向に沿って、垂下部41が容器本体33の上面34から離れる方向に、天蓋30および熱交換器40を移動させる。先端屈曲部45は、その立上り長さが開口31の最大内法長さよりも小さく、その投影45p(図14)が開口31の平面形状に内包される形状を有している。そのため、延伸部54,64の延びる方向に沿って熱交換器40を持ち上げるように移動させると、先端屈曲部45を、開口31を経由して容器本体33の外部へ移動させることができる。このようにして、天蓋30および熱交換器40は、一体として容器本体33から取り外される。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の還元剤タンク20によれば、図5,9に示すように、熱交換器40を構成している第1管路50と第2管路60とは、それぞれ、天蓋30から容器本体33の底面36へ向かって延びる垂下部41に含まれている貫通部51,61、傾斜部52,62および下方垂延部53,63とを有している。さらに、第1管路50と第2管路60とは、それぞれ、垂下部41の下端から底面36に沿って容器本体33の側面35aへ向かって延びる延伸部54,64と、延伸部54,64の先端から側面35aに沿って容器本体33の上面34へ向かって折り返し部59まで延びる立上り部55,65とを有している。延伸部54,64の底面36に沿う長さを示す寸法L1は、開口31の最大内法長さを示す寸法LDよりも、大きくなっている。
熱交換器40の内部には、エンジン10で加熱された冷却水が循環して流れる。熱交換器40の内部を流れる冷却水は、容器本体33内に貯留された還元剤よりも、温度が高い。そのため、熱交換器40から還元剤への放熱が行われる。容器本体33の上面34の厚み方向に見て、熱交換器40の延伸部54,64を開口31からはみ出る位置にまで延びるようにすれば、延伸部54,64の長さがより増大することにより、熱交換器40の還元剤タンク20内における経路長を長く確保でき、熱交換器40の表面積が増大する。熱交換器40から還元剤への伝熱面積を増大できることにより、熱交換器40内を流れる冷却水から還元剤への熱伝達効率を向上させることができる。
また図9,11に示すように、第1管路50の立上り部55、第2管路60の立上り部65、および折り返し部59は、熱交換器40の先端屈曲部45を形成している。図13に示すように、先端屈曲部45の容器本体33の側面35aに沿う立上り長さを示す寸法Hは、開口31の中心を通る最小内法長さを示す寸法SDよりも、小さくなっている。
このようにすれば、熱交換器40を、開口31を経由して容器本体33の内部から外部へ移動することが可能となる。したがって、天蓋30および熱交換器40を、一体として容器本体33から取り外すことが可能となり、メンテナンス時などに熱交換器40を容器本体33から抜き取ることが容易になる。
また図14〜16に示すように、先端屈曲部45を延伸部54,64の延びる方向から見た形状は、開口31の平面形状に内包されている。このようにすれば、先端屈曲部45が開口31をより容易に通過可能となるため、熱交換器40の容器本体33からの抜き取りがより容易になる。先端屈曲部45を延伸部54,64の延びる方向から見た形状の外接円CCが開口31の平面形状に内包されるようにすれば、先端屈曲部45が開口31をさらに容易に通過可能となり、熱交換器40の容器本体33からの抜き取りがさらに容易になるため望ましい。
また図13に示すように、先端屈曲部45と容器本体33の側面35aとの距離は、開口31の縁39と側面35aとの最短距離を二等分した長さよりも小さい。このようにすれば、熱交換器40の延伸部54,64が底面36に沿って延びる長さをより大きくすることができるので、熱交換器40の還元剤タンク20内における経路長が長くなり、熱交換器40から還元剤への伝熱面積を増大できる。したがって、熱交換器40内を流れる冷却水から還元剤への熱伝達効率をより向上することができる。
また図6,14に示すように、開口31は円形である。このようにすれば、容器本体33の上面34と、開口31を覆う天蓋30との間のシール性を向上でき、上面34と天蓋30との間の隙間の発生を抑制できるので、容器本体33内に貯留されている還元剤の漏れをより確実に防止することができる。
また図11に示すように、第1管路50と第2管路60とは、第1管路50の外径と、第2管路60の外径と、第1管路50および第2管路60間の距離との和を、開口31の中心を通る最小内法長さを示す寸法SDよりも小さく保ったまま、天蓋30から第1管路50と第2管路60とを連通している折り返し部59まで、延びている。このようにすれば、天蓋30から折り返し部59にまで至る熱交換器40の全体を、開口31を経由して容器本体33の内部から外部へ移動することができるので、熱交換器40を容器本体33から抜き取ることがより容易になる。
図9,11に示すように、還元剤タンク20は、容器本体33に貯留された還元剤を吸い出す吸出管70を備えている。吸出管70は、第1管路50に沿って延びる部分を有している。このようにすれば、吸出管70内を流れる還元剤を効率的に加熱できるので、吸出管70内における還元剤の凍結をより確実に抑制することができる。傾斜部52を傾斜部62よりも容器本体33の上面34の近くに配置することにより、吸出管70を第1管路50に長く沿わせることができるので、吸出管70の解凍および吸出管70の凍結防止に有利な還元剤タンク20を実現することができる。
図5,8に示すように、還元剤タンク20は、容器本体33の上面34から底面36へ向かって延びるセンサユニット80を備えている。傾斜部52,62は、貫通部51,61から離れるに従って、センサユニット80に近づいている。熱交換器40とセンサユニット80とは、いずれも天蓋30に取り付けられ、天蓋30の位置において間隔を空けて配置されている。容器本体33の内部において熱交換器40を屈曲させ、傾斜部52,62をセンサユニット80に近づけるように配置すれば、傾斜部52,62よりも下方の下方垂延部53,63はセンサユニット80に沿って延びるように配置されることになる。これにより、センサユニット80およびセンサユニット80の周辺の還元剤に効率的に熱を伝達することができ、還元剤の凍結がセンサユニット80の検出精度を悪化させる不具合を回避できる。したがって、センサユニット80による還元剤の状態の検出精度を向上することができる。
図2,3を参照して、本実施の形態の作業車両としての油圧ショベル1は、エンジン10と、エンジン10からの排気ガスを還元反応により処理する排気処理装置14と、上記の還元剤タンク20と、還元剤タンク20から吸い出した還元剤を排気処理装置14に導かれる排気ガスに対して噴射する噴射ノズル28とを備えている。これにより、還元剤タンク20内における熱交換器40の経路長を長く確保しつつ、天蓋30および熱交換器40の取外しを可能にする還元剤タンク20を備えている油圧ショベル1を提供することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。