JP5544687B2 - リチウムイオン二次電池の状態検出方法及びリチウムイオン二次電池の状態検出装置 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の状態検出方法及びリチウムイオン二次電池の状態検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の状態検出方法及びリチウムイオン二次電池の状態検出装置に関する。
従来、リチウムイオン二次電池の状態検出方法としては、バッテリの電圧及び電流に基づき、充放電の動作周期の周波数ごとにバッテリの内部インピーダンスを求め、求めたインピーダンス値と、予め定められたバッテリの劣化を検出する劣化検出マップとを用いてバッテリの劣化状態を検出することにより、種々のバッテリに対応可能であると共に劣化状態に依存せずにバッテリの劣化を精度よく検出するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−85772号公報
ところで、リチウムイオン二次電池では、電池の長寿命化を図る観点から、電池の状態、例えば、負極でのリチウム金属の析出状態や、電池劣化状態などを具体的に検出することが望まれていた。しかしながら、この特許文献1に記載されたリチウムイオン二次電池の状態検出方法では、リチウムイオン二次電池の具体的な状態を検出することは検討されていなかった。また、この状態検出方法では、周波数を可変にスイープする必要があり、検出装置構成的にも検出方法的にも煩雑となる問題があり、簡便に電池の状態を検出することが望まれていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、より容易にリチウムイオン二次電池の状態を検出することができるリチウムイオン二次電池の状態検出方法及びリチウムイオン二次電池の状態検出装置を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、特定周波数の交流電圧及び/又は交流電流をリチウムイオン二次電池へ入力し、この入力に対する出力の位相差に基づいてリチウムイオン二次電池の状態を検出すると、より容易にリチウムイオン二次電池の状態を検出することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のリチウムイオン二次電池の状態検出方法は、
リチウムイオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出しうる負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在しイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えたリチウムイオン二次電池の状態検出方法であって、
(a)特定周波数の交流電圧及び交流電流のうち少なくとも一方を前記リチウムイオン二次電池へ入力するステップと、
(b)前記ステップ(a)の入力に対する応答である電流及び電圧の少なくとも一方を測定し該入力に対する該出力の位相差に基づいて前記リチウムイオン二次電池の状態を検出するステップと、
を含むものである。
また、本発明のリチウムイオン二次電池の状態検出装置は、
上述したリチウムイオン二次電池の状態検出方法を実行するものである。
このリチウムイオン二次電池の状態検出方法及びリチウムイオン二次電池の状態検出装置では、より容易にリチウムイオン二次電池の状態を検出することができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推測される。例えば、電池反応を電気的等価回路モデルにて表すと、抵抗とキャパシタンスの並列回路に模擬される。即ち、このような電池反応の特性から、交流電圧若しくは交流電流を入力したときには、ある周波数ではその応答電流又は応答電圧に位相差が生じる。その位相差の大きさは、電池反応を表す抵抗値とキャパシタンスとの大きさのバランスによって決定される。そしてその抵抗値やキャパシタンスは、電池内の電極の状態や有効反応面積などによって変化する。このため、電極が変化したり負極上でリチウム金属が析出した際には、それらにより抵抗値やキャパシタンスの大きさが変化し、リチウムイオン二次電池に特有の周波数に反映されるものと推測される。この特定の周波数の位相差を測定することによりより容易にリチウムイオン二次電池の状態を把握することができるのである。
本発明の状態検出方法で用いるリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出しうる負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えている。
リチウムイオン二次電池の正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物や、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを用いることができる。具体的には、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2などの遷移金属硫化物、Li(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)、Li(1-x)Mn24などのリチウムマンガン複合酸化物、Li(1-x)CoO2などのリチウムコバルト複合酸化物、Li(1-x)NiO2などのリチウムニッケル複合酸化物、LiV23などのリチウムバナジウム複合酸化物、V25などの遷移金属酸化物などを用いることができる。これらのうち、リチウムニッケル複合酸化物など、リチウムの遷移金属複合酸化物が好ましい。導電材は、正極の電気伝導性を確保するためのものであり、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、ニードルコークスなどの無定形炭素などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂等を用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴムの水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼などの箔を用いることができる。
リチウムイオン二次電池の負極は、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウム、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、導電性ポリマーなどが挙げられるが、このうち炭素質材料が安全性の面から見て好ましい。この炭素質材料は、特に限定されるものではないが、黒鉛、石油系コークス、石炭系コークス、石油系ピッチの炭化物、石炭系ピッチの炭化物、フェノール樹脂,結晶セルロースなど樹脂の炭化物、及びこれらを一部炭化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維などが挙げられる。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼などの箔を用いることができる。
リチウムイオン二次電池のイオン伝導媒体としては、支持塩を含む非水系電解液や非水系ゲル電解液などを用いることができる。非水系電解液の溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類として、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸エチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフランなどのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。なお、環状カーボネート類は、比誘電率が比較的高く、電解液の誘電率を高めていると考えられ、鎖状カーボネート類は、電解液の粘度を抑えていると考えられる。また、液状のイオン伝導媒体の代わりに、固体のイオン伝導性ポリマー、無機固体電解質、あるいは有機ポリマー電解質と無機固体電解質の混合材料、若しくは有機バインダーによって結着された無機固体粉末などを利用することができる。
リチウムイオン二次電池に含まれている支持塩は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この電解質塩は、非水系電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。電解質塩の濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。また、この非水系電解液には、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加してもよい。
リチウムイオン二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウムイオン二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
リチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、本発明のリチウムイオン二次電池10の一例を示す模式図である。このリチウムイオン二次電池10は、集電体11に正極活物質12を形成した正極シート13と、集電体14の表面に負極活物質17を形成した負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に設けられたセパレータ19と、正極シート13と負極シート18の間を満たす非水系電解液20と、を備えたものである。このリチウムイオン二次電池10では、正極シート13と負極シート18との間にセパレータ19を挟み、これらを捲回して円筒ケース22に挿入し、正極シート13に接続された正極端子24と負極シートに接続された負極端子26とを配設して形成されている。
本発明のリチウムイオン二次電池の状態検出方法は、特定周波数の交流電圧の印加及び/又は交流電流の入力を上述したリチウムイオン二次電池へ入力するステップ(a)と、ステップ(a)の入力に対する応答である電流及び/又は電圧を測定し該入力に対する該出力の位相差に基づいて前記リチウムイオン二次電池の状態を検出するステップ(b)と、を含むものである。ここで、ステップ(b)では、ステップ(a)で特定周波数の交流電圧を印加(入力)したときには、この入力に対する応答として電流の位相差を測定するものとしてもよいし、ステップ(b)では、ステップ(a)で特定周波数の交流電流を入力したときには、この入力に対する応答として電圧の位相差を測定するものとしてもよい。説明の便宜のため、以下はステップ(a)では特定周波数の交流電圧をリチウムイオン二次電池へ印加し、ステップ(b)ではこの電圧印加に対する応答として電流の位相差を測定する場合について主として説明する。なお、「特定周波数」とは、1つの周波数又は2つ以上の任意の数の周波数としてもよいが、できるだけ少ない数(例えば5つ以下など)であることが処理の簡略化の面で好ましい。リチウムイオン二次電池では、電池の状態として、例えば、電池劣化状態と負極でのリチウム金属析出状態とがあり、これらが組み合わされた状態、即ち、電池劣化もリチウム金属の析出もない状態、電池劣化せずリチウム金属が析出した状態、電池劣化しているがリチウム金属が析出していない状態、電池劣化しており且つリチウム金属が析出した状態が考えられる。そして、各状態に応じて出力の位相差の周波数領域が異なるものと推察される。これらの状態が個別に検出することができれば、例えば、電池劣化しておらずリチウム金属が析出した状態を検出し、このリチウム金属が析出した状態を解消する処理を行うことができ、電池寿命をより長くすることが可能である。
リチウムイオン二次電池の状態検出方法において、ステップ(a)では、リチウムイオン二次電池の状態として負極でのリチウム金属の析出状態を検出する特定周波数の交流電圧を印加するものとしてもよい。このとき、ステップ(a)では、リチウムイオン二次電池へ10Hz以上300Hz以下の範囲にある特定周波数の交流電圧を印加することが好ましい。特定周波数が10Hz以上300Hz以下の範囲は、リチウム金属の析出量と関係することがあり、リチウム金属の析出量を検出するのに好ましい。この特定周波数の交流電圧は、20Hz以上200Hz以下の範囲であることが、リチウム金属の析出量をより検出しやすく、より好ましい。このとき、ステップ(a)では、リチウムイオン二次電池へ更に0.1Hz以上10Hz未満の範囲にある特定周波数の交流電圧の印加を行うことが好ましい。10Hz以上300Hz以下の範囲の交流電圧を印加した応答である位相差は、電池劣化時においても変化することがある。ここで、0.1Hz以上10Hz未満の範囲の交流電圧を印加した応答である位相差は電池劣化状態であるときに相関する範囲であることがあり、これと、10Hz以上300Hz以下の範囲での位相差とを利用して、電池劣化状態であるか、負極でのリチウム金属析出状態であるかを判別することができる。この入力する特定周波数は、1Hz以上9Hz以下がより好ましく、5Hz以上8Hz以下が一層好ましい。なお、電池の状態の検出の容易さを考慮すると、検出する位相差は少ないほど好ましいため、ステップ(a)では、0.1Hz以上10Hz未満の範囲の交流電圧の1つ(例えば2Hz)と、10Hz以上300Hz以下の範囲の交流電圧の1つ(例えば100Hz)と、の2つの交流電圧を印加するものとするのが好ましい。
あるいは、ステップ(a)では、リチウムイオン二次電池の状態として電池劣化状態を検出する特定周波数の交流電圧を印加するものとしてもよい。このとき、ステップ(a)では、リチウムイオン二次電池へ0.05Hz以上10Hz以下の範囲にある特定周波数の交流電圧を印加することが好ましい。特定周波数が0.05Hz以上10Hz以下の範囲での位相差は、電池の劣化状態を反映していることがあり、電池の劣化状態を検出するのに好ましい。この特定周波数は、0.1Hz以上3Hz以下の範囲であることが、電池の劣化状態を検出しやすく、より好ましい。
リチウムイオン二次電池の状態検出方法において、ステップ(b)では、入力に対する出力の位相差と、リチウム金属析出の範囲として予め定められた位相差の所定の析出範囲と、に基づいて、リチウムイオン二次電池の状態として負極でのリチウム金属の析出状態を検出するものとしてもよい。この所定の析出範囲は、特定の周波数の交流電圧をリチウムイオン二次電池へ印加した応答である位相差と負極でのリチウム金属の析出量との関係を予め実験によって求め、この関係に基づいて例えば、電池が使用できなくなるリチウム金属の析出量から所定のマージン(例えば2割など)を差し引いた値により設定した位相差の範囲に設定することができる。このとき、入力に対する出力の位相差が析出範囲内にあるときに、負極がリチウム金属の析出状態にあるものと検出するものとしてもよい。あるいは、このステップ(b)では、リチウム金属の析出状態として、入力に対する出力の位相差に対応するリチウム金属の析出量を算出するものとしてもよい。このとき、出力の位相差とリチウム金属の析出量との対応関係(例えばマップなど)を予め実験によって求めておき、得られた位相差とこの対応関係とを用いてリチウム金属の析出量を算出するものとしてもよい。あるいは、出力の位相差とリチウム金属の析出量との対応関係に基づいて関係式を求めておき、得られた位相差とこの関係式とを用いてリチウム金属の析出量を算出するものとしてもよい。また、ステップ(b)では、ステップ(a)でリチウムイオン二次電池へ10Hz以上300Hz以下の範囲にある特定周波数の交流電圧を印加した際に、10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差が負側に大きくなると大きくなる傾向に負極でのリチウム金属の析出量を検出するものとしてもよい。このステップ(b)では、0.1Hz以上10Hz未満の範囲での入力に対する出力の位相差が電池の劣化状態でない範囲として予め定められた所定の非劣化範囲内であり、且つ10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差がリチウム金属析出の範囲として予め定められた所定の析出範囲内であるときに、この10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差に基づいて負極でのリチウム金属の析出量を検出するものとしてもよい。こうすれば、0.1Hz以上10Hz未満での位相差と、10Hz以上300Hz以下の範囲での位相差とを利用して、電池劣化状態であるか、負極でのリチウム金属析出状態であるかを判別することができる。
あるいは、ステップ(b)では、入力に対する出力の位相差と、電池が劣化状態である範囲として予め定められた位相差の所定の劣化範囲とに基づいて、リチウムイオン二次電池の状態としてリチウムイオン二次電池の劣化状態を検出するものとしてもよい。この所定の劣化範囲は、特定の周波数の交流電圧を印加した応答である位相差と電池の劣化状態との関係を予め実験によって求め、この関係に基づいて例えば、電池の使用に許容される状態(電池が使用不可となる劣化状態から所定のマージンを設けた状態)に対応する位相差の範囲に設定することができる。このとき、入力に対する出力の位相差が劣化範囲内にあるときに、電池が劣化状態にあるものと検出するものとしてもよい。あるいは、このステップ(b)では、電池の劣化状態として、入力に対する出力の位相差に対応する電池の劣化度を算出するものとしてもよい。電池の劣化度は、例えば、初期状態と使用不可となる劣化状態との間を数値化するものとしてもよい。このとき、出力の位相差と電池の劣化度との対応関係(例えばマップなど)を予め実験によって求めておき、得られた位相差とこの対応関係とを用いて電池の劣化度を算出するものとしてもよい。このとき、ステップ(b)では、ステップ(a)でリチウムイオン二次電池へ0.05Hz以上10Hz以下の範囲にある特定周波数の交流電圧を印加し、入力に対する出力の位相差に基づいて、リチウムイオン二次電池の劣化状態を検出するものとするのが好ましい。特定周波数が0.05Hz以上10Hz以下の範囲での位相差は、電池の劣化状態を反映していることがあり、電池の劣化状態を検出するのに好ましい。なお、この「劣化範囲」は、上述した「非劣化範囲外」と同じ範囲としてもよいし、異なる範囲としてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池の状態検出装置は、上述したリチウムイオン二次電池の状態検出方法を実行するものである。図2は、状態検出装置30の一例を表すブロック図である。状態検出装置30は、駆動部44を駆動するモータ42にリチウムイオン二次電池10がスイッチ46を介して接続された電気回路に接続され、リチウムイオン二次電池10の状態を検出する装置として構成されている。この状態検出装置30は、各種制御を実行する図示しないCPUや各種制御プログラムを記憶するフラッシュROM、データを一時記憶するRAMなどを備えた制御部32と、特定の周波数の交流電圧を生成する交流発振機34と、リチウムイオン二次電池10から出力される交流電圧及び交流電流を検出可能な電流電圧測定器36とを備えている。この状態検出装置30の動作について説明する。この状態検出装置30の制御部32は、所定のタイミングで(例えばリチウムイオン二次電池10が開回路状態のときなど)交流発振機34により生成した特定の周波数の交流電圧をリチウムイオン二次電池10に対して印加し、その応答である交流電流を電流電圧測定器36により測定し、入力に対する出力の位相差を求め、この位相差から電池の状態を検出する。ここでは、特定の周波数として、0.1Hz以上10Hz未満の範囲で1つ(例えば2Hz)と、10Hz以上300Hz以下の範囲で1つ(例えば100Hz)の2つの周波数で位相差を求めるものする。電池状態の検出は、上述した劣化範囲としての劣化閾値と、上述した析出範囲としての析出閾値とを用いて行う。例えば、制御部32は、2Hzでの位相差の絶対値が劣化閾値を下回るときにはリチウムイオン二次電池10が劣化状態にないと判定し、2Hzでの位相差の絶対値が劣化閾値以上であるときにはリチウムイオン二次電池10が劣化状態にあると判定し、その旨の信号を出力する。また、制御部32は、100Hzでの位相差の絶対値が析出閾値以下であるときには、リチウムイオン二次電池10がリチウム金属の析出状態でないと判定する。一方、制御部32は、2Hzでの位相差によりリチウムイオン二次電池10が劣化状態にないと判定し、且つ100Hzでの位相差の絶対値が析出閾値を超えるときにはリチウムイオン二次電池10がリチウム金属の析出状態であると検出し、その旨の信号を出力する。これを受けた図示しないリチウムイオン二次電池10を制御する制御装置は、リチウム金属の析出を解消する処理、例えば比較的低電流で繰り返し充放電するなどの処理を行う。なお、この状態検出方法は、リチウムイオン二次電池10が開回路状態のときに限らず、閉回路状態(通電状態)においても、交流電流を重畳して通電することにより同様の電池状態の検出をすることができる。
この状態検出装置30では、2つの周波数の交流電圧を印加しその応答である位相差を求めることによりリチウムイオン二次電池10の状態を検出するため、例えば、周波数をスイープさせいわゆる交流インピーダンススペクトルを測定することにより電池の状態を検出するものに比して、より容易な方法及び装置構成でリチウムイオン二次電池10の状態を検出することができる。また、状態検出装置30では、リチウムイオン二次電池10の状態、具体的には、負極でのリチウム金属の析出状態と、電池劣化状態との組み合わされた状態を検出し、リチウム金属の析出状態を解消することが可能であるため、例えば、リチウム金属が析出し続けて生じうる正負極の短絡などを防止することができ、リチウムイオン二次電池10の電池寿命をより長くすることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば上述した実施形態では、0.1Hz以上10Hz未満の範囲での入力に対する出力の位相差と10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差とに基づいて負極でのリチウム金属の析出を検出するものとしたが、ステップ(a)では、リチウムイオン二次電池へ10Hz以上300Hz以下の範囲にある特定周波数の交流電圧を入力し、ステップ(a)での入力及び応答である電流及び電圧に基づいて抵抗値を求めるステップ(c)を行い、ステップ(b)では、求めた抵抗値が、電池が劣化状態でない範囲として予め定められた所定の非劣化範囲内にあり、且つ10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差がリチウム金属析出の範囲として予め定められた所定の析出範囲内であるときに、10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差に基づいて負極でのリチウム金属の析出量を検出するものとしてもよい。こうすれば、電池劣化状態により影響される抵抗値と、負極でのリチウム金属析出状態により影響される位相差とを利用して、両状態のいずれであるかを判別することができる。ここで、入力及び応答である電流及び電圧に基づいて抵抗値を求めるに際して、ステップ(a)での入力電圧の最大値を入力に対する応答である電流の最大値で除算することにより求めるものとしてもよい。また、ステップ(a)で交流電流をリチウムイオン二次電池へ入力した際には、ステップ(a)での入力に対する応答である交流電圧の最大値をステップ(a)で入力した交流電流の最大値で除算することにより求めるものとしてもよい。
上述した実施形態では、状態検出装置30が負極でのリチウム金属の析出状態と電池劣化状態との組み合わされたうちいずれかの状態であるかを検出するものとしたが、電池劣化状態のみを検出するものとしてもよいし、リチウム金属の析出状態のみを検出するものとしてもよい。
以下には、リチウムイオン二次電池の状態検出方法を具体的に検討した例を、実施例として説明する。
[リチウムイオン二次電池の作製]
正極活物質としてLiNiO2を85重量部、導電材としてアセチレンブラックを10重量部、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5重量部混合し、分散剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量添加し、スラリー状の正極材とした。この正極材スラリーを20μm厚のアルミニウム箔集電体の両面に均一に塗布し、加熱乾燥して正極塗布シートを作製した。その後、この塗布シートをプレスし、所定サイズの矩形状に切り出し、電流取り出し用のリードタブ溶接部となる部分の正極材を剥ぎ取り、シート状の正極電極とした。負極活物質として炭素材料粉末(人造黒鉛)を95重量部、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を5重量部混合し、正極と同様に負極スラリーを作製し、これを10μm厚の銅箔集電体の両面に均一に塗布し、加熱乾燥して負極塗布シートを作製した。その後、この塗布シートをプレスし、所定サイズの矩形状に切り出し、電流取り出し用のリードタブ溶接部となる部分の負極材を剥ぎ取り、シート状の負極電極とした。
これらの正極電極と負極電極とを25μm厚の微多孔性ポリエチレン製フィルムからなるセパレータを挟んで捲回し、ロール状の電極体とし、このロール状の電極体を円筒ケースに挿入し、ケース内に保持させた。このとき、正極及び負極のリードタブ溶接部に接続した集電リードをケースに設けられた正極端子及び負極端子にそれぞれを接合した。その後、有機溶媒としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比で3:7の割合で混合した混合溶液にLiPF6を1.0M溶解させた非水系電解液をケース内に注入し、密閉して円筒型リチウムイオン二次電池とした(図1参照)。このリチウムイオン二次電池は、その容量が500mAhであった。このリチウムイオン二次電池を複数作製し、種々の条件によりリチウム金属を負極上に析出させたりリチウム金属が析出しないように劣化させたりしたものを各々用意し、交流電圧の周波数、電池から出力される位相差及び劣化状態との関係を検討した。
[実験例1〜5、リチウム金属の析出量測定]
得られた電池を、以下に説明する繰り返し充放電を行わないものを実験例1とした。また、得られた電池を用い、0℃で、上限電圧4.1V,下限電圧3.0V、電流値1000mAの条件で200回充放電サイクルを行ったものを実験例2とした。また、電流値を2500mAの条件とした以外は実験例2と同様の処理を行ったものを実験例3とした。これらの電池を解体し、副反応により負極上に析出したリチウム金属を定量した。この結果、実験例2が4.4mg、実験例3が9.1mgであり、実験例3が最も多かった。ここで、上記0℃での充放電サイクル後に20℃での充放電サイクルを行うと、析出したリチウム金属が再度酸化溶解し、負極でのリチウム金属の析出量が減少することがわかった。そこで、この実験例3を複数用意し、20℃で、上限電圧4.1V,下限電圧3.0V、電流値100mAの条件で3回充放電サイクルを行ったものを実験例4とし、上限電圧4.1V,下限電圧3.0V、電流値100mAの条件で10回充放電サイクルを行ったものを実験例5とした。副反応により負極上に析出したリチウム金属は、実験例4が6.7mg、実験例5が3.1mgであった。
[実験例6〜8、充放電サイクル試験、容量低下率]
実験例1と同様の工程により作製し、下記の充放電サイクル試験を行っていないリチウムイオン二次電池を実験例6とした。また、実験例6のリチウムイオン二次電池を雰囲気温度20℃の恒温槽に入れ、充電電流1000mAで4.1Vまでの定電流充電を行ったのち、放電電流1000mAで3.0Vまでの定電流放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計500サイクル行う充放電サイクル試験を行ったものを実験例7とした。また、雰囲気温度を60℃とした以外は実験例7と同様の条件で充放電サイクル試験を行ったものを実験例8とした。実験例7,8について、1回目のサイクルでの放電容量を初期容量W1(mAh)とし、500サイクル後の放電容量をサイクル後容量W500(mAh)とし、次式(1)により容量低下率Dを算出した。
容量低下率D(%)=(1−W500/W1)×100 …式(1)
[位相差測定、抵抗算出]
実験例1〜8の交流電圧の位相差測定及び抵抗値の算出を行った。位相差測定は、環境温度を20℃とし、ソーラトロン社製、ポテンショガルバノスタット1287及び周波数応答解析装置1255Bを組み合わせ、実験例1〜5では4.1Vでの満充電状態のリチウムイオン二次電池の電圧を一定に制御し、実験例6〜8では3.68Vでリチウムイオン二次電池の電圧を一定に制御しつつ、周波数1Hz、5mVの交流電圧又は周波数100Hz、5mVの交流電圧を印加し、応答する電流値を測定し、印加電圧と応答電流との位相差を測定した。また、このとき、印加電圧の最大値を応答電流の最大値で除算し、得られた値を抵抗値とした。
[電池抵抗増加率]
実験例6〜8のリチウムイオン二次電池を用い、充放電のサイクルを繰り返した際の電池抵抗増加率Rinを、上述した「抵抗値」とは別の方法により求めた。電池抵抗は、20℃、充電電流100mAで3.7Vまで定電流定電圧充電したのち、放電電流5000mAで定電流放電を行い、10秒後の電圧を測定し、電圧降下により求めた。電池抵抗増加率Rinは、20℃において、上記充放電サイクル試験の前に測定した電池抵抗Rbと、上記充放電サイクル試験の後に測定した電池抵抗Raとを用い、次式(2)により求めた。
電池抵抗増加率Rin(%)=(Ra−Rb)/Rb×100 …式(2)
[測定結果]
実験例1〜5の測定結果を表1及び図3〜5に示し、実験例6〜8の測定結果を表2及び図6〜8に示す。図3は、リチウム金属の析出量に対する100Hzでの位相差及び抵抗の関係を表す測定結果であり、図4は、実験例1〜3のリチウム金属析出時の電池電圧4.1Vでの周波数に対する位相差の関係を表す測定結果であり、図5は、実験例1〜3の電池電圧に対する100Hzでの位相差の関係を表す測定結果であり、図6は、容量低下率に対する1Hzでの位相差及び抵抗の関係を表す測定結果であり、図7は、容量低下率に対する100Hzでの位相差及び抵抗の関係を表す測定結果であり、図8は、容量低下時の電池電圧3.68Vでの周波数に対する位相差の関係を表す測定結果である。表1及び図3に示すように、実験例1〜5の測定結果では、抵抗値はリチウム金属の析出量にかかわらず一定値を示したが、100Hzでの位相差はリチウム金属の析出量の増加に伴い負方向に増加する(位相差の絶対値が増加する)ことが明らかとなった。このため、リチウム金属が析出した電池状態の位相差の範囲を予め設定しておき、位相差を測定すれば負極上のリチウム金属の析出状態を把握することができる。また、図4に示すように、実験例1〜3を用い、5mVで0.1Hz〜1000Hzの交流電圧を印加し、位相差の周波数依存性を検討したところ、実験例1に対して実験例2,3の10Hz以上300Hz以下の範囲における位相差が負方向に増加していることが明らかとなった。したがって、10Hz以上300Hz以下の範囲の任意の1又は2以上の特定の周波数を用いれば、100Hzに限らず負極でのリチウム金属の析出状態を検出することができる。図5に示すように、位相差の測定時に一定とする電池電圧を変化させて実験例1〜3を用いて検討したところ、一定にする電池電圧を4.1Vとするのに限らず(図3,4参照)、リチウム金属析出により位相差が負側に増加することがわかった。即ち、リチウム金属の析出の有無を検出する際、位相差を検出するタイミングは、電池がどの電圧にあってもよいことがわかった。なお、電池電圧がより高い方がより位相差の変化が大きくなるため好ましいことがわかった。
また、表2及び図6に示すように、実験例6〜8の測定結果では、交流電圧1Hzにおいて、位相差は容量の低下即ち電池劣化状態の進行に伴い負側に増加し、抵抗値は容量の低下に伴い正側に増加することがわかった。また、表2及び図7に示すように、実験例6〜8の測定結果では、交流電圧100Hzにおいても、位相差は容量の低下に伴い負側に増加し、抵抗値は容量の低下に伴い正側に増加することがわかった。なお、実験例6〜8では、リチウム金属の析出は認められなかった。ここで、図8に示すように、実験例6〜8を用い、電池電圧を3.68Vで一定になるよう調整し、5mVで0.02Hz〜1000Hzの交流電圧を印加し、位相差の周波数依存性を検討したところ、電池が劣化状態にあるときには、実験例6に対して実験例7,8の0.05Hz以上10Hz以下の範囲における位相差が負方向に増加していることが明らかとなった。したがって、0.05Hz以上10Hz以下の範囲の任意の1又は2以上の特定の周波数を用いれば、1Hzに限らず電池の劣化状態を検出することができることがわかった。なお、充放電サイクル試験での電池劣化は正極の劣化による影響が大きいと考えられることから、10Hz未満の領域は正極の劣化状態を反映し、10Hz以上の領域は負極での劣化状態又はリチウム金属の析出状態を反映しているものと推察された。ここで、電池劣化時においても100Hzでの位相差変化が認められたことから(図7,8参照)、リチウム金属の析出と電池劣化とが重畳する場合には、100Hzでの位相差変化について、電池劣化によるものかリチウム金属によるものなのかを判別する点が問題となる。この点について、図4に示すように電池劣化が起きずにリチウム金属が析出しているときには、0.1Hz以上10Hz未満の範囲での位相差の変化が小さいことから、0.1Hz以上10Hz未満の範囲で1以上の測定を行うと共に(例えば2Hz)、10Hz以上300Hz以下の範囲で1以上の測定を行う(例えば100Hz)ことを組み合わせることにより、電池劣化とリチウム金属の析出状態とを区別することができる。例えば、0.1Hz以上10Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差が電池が劣化状態でない範囲として予め定められた位相差の所定の非劣化範囲内であり、且つ10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差がリチウム金属析出の範囲として予め定められた位相差の所定の析出範囲内であるときに、この10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差に基づいて負極でのリチウム金属の析出量を検出することができる。あるいは、図3に示すように電池劣化が起きずにリチウム金属が析出しているときには、抵抗値の値が略変化せず、電池劣化が起きているときには抵抗値が増加することから(図7参照)、抵抗値の値を求めると共に、10Hz以上300Hz以下の範囲で1以上の測定を行う(例えば100Hz)ことを組み合わせることにより、電池劣化とリチウム金属の析出状態とを区別することができる。例えば、求めた抵抗値の値が、電池が劣化状態でない範囲として予め定められた抵抗値の所定の非劣化範囲内にあり、且つ10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差がリチウム金属析出の範囲として予め定められた位相差の所定の析出範囲内であるときに、この位相差に基づいて負極でのリチウム金属の析出量を検出することができる。
Figure 0005544687
Figure 0005544687
リチウムイオン二次電池10の一例を示す模式図である。 状態検出装置30の一例を表すブロック図である。 リチウム金属の析出量に対する100Hzでの位相差及び抵抗の関係を表す測定結果である。 リチウム金属析出時の電池電圧4.1Vでの周波数に対する位相差の関係を表す測定結果である。 電池電圧に対する100Hzでの位相差の関係を表す測定結果である。 容量低下率に対する1Hzでの位相差及び抵抗の関係を表す測定結果である。 容量低下率に対する100Hzでの位相差及び抵抗の関係を表す測定結果である。 容量低下時の電池電圧3.68Vでの周波数に対する位相差の関係を表す測定結果である。
符号の説明
10 リチウムイオン二次電池、11 集電体、12 正極活物質、13 正極シート、14 集電体、17 負極活物質、18 負極シート、19 セパレータ、20 非水電解液、22 円筒ケース、24 正極端子、26 負極端子、30 状態検出装置、32 制御部、34 交流発振機、36 電流電圧測定器、42 モータ、44 駆動部、46 スイッチ。

Claims (6)

  1. リチウムイオンを吸蔵・放出しうる正極活物質を有する正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出しうる負極活物質を有する負極と、前記正極と前記負極との間に介在しイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えたリチウムイオン二次電池の状態検出方法であって、
    (a)特定周波数の交流電圧及び交流電流のうち少なくとも一方を前記リチウムイオン二次電池へ入力するステップと、
    (b)前記ステップ(a)の入力に対する応答である電流及び電圧の少なくとも一方を測定し該入力に対する該出力の位相差に基づいて前記リチウムイオン二次電池の状態を検出するステップと、を含み、
    前記ステップ(a)では、前記リチウムイオン二次電池へ10Hz以上300Hz以下の範囲にある特定周波数の交流電流及び交流電圧の少なくとも一方を入力し、
    前記ステップ(b)では、前記入力に対する出力の位相差と、リチウム金属析出の範囲として予め定められた位相差の範囲とに基づいて、前記リチウムイオン二次電池の状態として前記負極でのリチウム金属の析出状態を検出する、
    リチウムイオン二次電池の状態検出方法。
  2. 前記ステップ(a)では、前記リチウムイオン二次電池へ更に0.1Hz以上10Hz未満の範囲にある特定周波数の交流電流及び交流電圧の少なくとも一方を入力し、
    前記ステップ(b)では、前記0.1Hz以上10Hz未満の範囲での入力に対する出力の位相差が電池の劣化状態でない範囲として予め定められた所定の非劣化範囲内であり、且つ前記10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差がリチウム金属析出の範囲として予め定められた位相差の範囲内であるときに、該10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差に基づいて前記負極でのリチウム金属の析出量を検出する、請求項に記載のリチウムイオン二次電池の状態検出方法。
  3. 請求項に記載のリチウムイオン二次電池の状態検出方法であって、
    (c)ステップ(a)での入力及び応答である電流及び電圧に基づいて抵抗値を求めるステップ、を含み、
    前記ステップ(b)では、前記求めた抵抗値が、電池が劣化状態でない範囲として予め定められた所定の非劣化範囲内にあり、且つ前記10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差がリチウム金属析出の範囲として予め定められた位相差の範囲内であるときに、該10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差に基づいて前記負極でのリチウム金属の析出量を検出する、リチウムイオン二次電池の状態検出方法。
  4. 前記ステップ(a)では、前記リチウムイオン二次電池へ10Hz以上300Hz以下の範囲にある特定周波数の交流電流及び交流電圧の少なくとも一方を入力し、
    前記ステップ(b)では、前記10Hz以上300Hz以下の範囲での入力に対する出力の位相差が負側に大きくなると大きくなる傾向に前記負極でのリチウム金属の析出量を検出する、請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の状態検出方法。
  5. 前記リチウムイオン二次電池は、前記正極活物質にはニッケル酸リチウムが含まれており、前記負極活物質には黒鉛系炭素が含まれている、請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の状態検出方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池の状態検出方法を実行する、リチウムイオン二次電池の状態検出装置。
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