JP5544161B2 - 蛍光体 - Google Patents
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Description
一方、特許文献1に記載のように、La3Si8N11O4等のLa系蛍光体も知られている。これら公知のLa系窒化物蛍光体は、全て青色の蛍光を発する蛍光体(青色蛍光体)である。
さらに、特許文献2,3には、La3Si6N11:Ceの組成を有する蛍光体が記載されている。
本発明は上述の課題に鑑みて創案されたもので、温度特性に優れた新規な蛍光体及びその製造方法と、その蛍光体を用いた蛍光体含有組成物及び発光装置、並びにその発光装置を用いた画像表示装置及び照明装置を提供することを目的とする。
CexMIII 3−xMIV yX−III z [1]
(前記式[1]において、MIIIは、前記式[1]の結晶構造においてCeとともに3価のサイトに入る金属元素であって、La、Lu、Y、Gd、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Ho、Er、Yb、Sc、Ga、In、Al、Ga、Biからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、Laを必須元素とし、且つ、90モル%以上が3価の金属元素で占められ、前記3価の金属元素の中でLaが90モル%以上を占める元素を表わし、MIVは、前記式[1]の結晶構造において4価のサイトに入る金属元素であって、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、Siを必須元素とし、且つ、90モル%以上が4価の金属元素で占められ、前記4価の金属元素の中でSiが90モル%以上を占める元素を表わし、X−IIIは、前記式[1]の結晶構造において−3価のサイトに入る元素であって、N、O、S、F、Clからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、且つ、窒素元素を必須元素とし、前記窒素が85モル%以上を占める元素を表わし、xは、0.005≦x≦0.4を満足する数を表わし、yは、5.7≦y≦6.3を満足する数を表わし、zは、10.5≦z≦11.6を満足する数を表わす。)
このとき、前記焼成工程後に、少なくとも洗浄、乾燥、分級、表面処理のいずれかの処理を行うことが好ましい。
また、前記蛍光体中の酸素含有率が1.8重量%以下となるように、原料を選択することが好ましい。
さらに、焼成温度が1400℃以上2300℃以下であることが好ましい。
また、焼成時に、酸素濃度が20ppm以下の不活性ガスを用いることが好ましい。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
さらに、本明細書における色名と色度座標との関係は、すべてJIS規格に基づく(JISZ8110)。
[I−1.結晶相の組成]
本発明の蛍光体は、下記式[1]の化学組成を有する結晶相を含有する。
CexMIII 3−xMIV yX−III z [1]
(前記式[1]において、
MIIIは、前記式[1]の結晶構造においてCeとともに3価のサイトに入る元素であって、且つ、90モル%以上が3価の金属元素で占められ、該3価の金属元素の中でLa、Lu、Y及びGdの合計が90モル%以上を占める元素を表わし、
MIVは、前記式[1]の結晶構造において4価のサイトに入る元素であって、且つ、90モル%以上が4価の金属元素で占められ、該4価の金属元素の中でSi及びGeの合計が90モル%以上を占める元素を表わし、
X−IIIは、前記式[1]の結晶構造において−3価のサイトに入る元素であって、且つ、窒素が85モル%以上を占める元素を表わし、
xは、0.001≦x≦1を満足する数を表わし、
yは、5.4≦y≦6.6を満足する数を表わし、
zは、9.9≦z≦12.1を満足する数を表わす。)
式[1]において、MIIIは、前記式[1]の結晶構造においてCeとともに3価のサイトに入る元素を表わす。その例を挙げると、La、Lu、Y、Gd、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Ho、Er、Yb、Sc、Ga、In、Al、Ga、Bi等の3価の金属元素などが挙げられる。また、MIIIは、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
なお、X−IIIに占めるNの割合が100モル%未満の場合、X−IIIとして含有されるN以外の元素としてはOであることが好ましい。
即ち、式[1]の化学組成のうち好ましい例としては、酸素が混入していない例としては、Ce0.1La2.9Si6N11、Ce0.02La2.98Si6N11等が、僅かな酸素が混入している例としては、Ce0.1La2.89Si6N10.97O0.03、Ce0.1La2.7Si6N10.4O0.6等が挙げられる。
[I−2−1.蛍光の色に関する特性]
本発明の蛍光体は、通常は黄色に発光する。即ち、本発明の蛍光体は、通常は黄色蛍光体となる。
本発明の蛍光体が黄色に発光する場合、当該蛍光の色度座標は、通常、(x,y)=(0.393,0.464)、(0.513,0.464)、(0.393,0.584)及び(0.513,0.584)で囲まれる領域内の座標となり、好ましくは、(x,y)=(0.418,0.489)、(0.488,0.489)、(0.418,0.559)及び(0.488,0.559)で囲まれる領域内の座標となる。
なお、蛍光の色度座標は、後述する発光スペクトルから算出することができる。
本発明の蛍光体が発する蛍光のスペクトル(発光スペクトル)に特に制限は無いが、黄色蛍光体としての用途に鑑みれば、波長455nmの光で励起した場合に、その発光スペクトルに以下の特性を有することが好ましい。
なお、本発明の蛍光体は、正確には複数の発光ピークを有する場合が多く、複数の発光ピークを有する場合は、最も強度の高いピークの強度の、半分以上の強度を有する波長領域の幅を半値幅とする。
本発明の蛍光体の励起光のスペクトル(励起スペクトル)に制限は無く、本発明の蛍光体は、青色領域の光でも、近紫外領域の光でも励起可能である。
中でも、本発明の蛍光体に好適な励起光は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは435nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下の波長領域に発光ピーク(以下適宜、励起光の発光ピークを「励起ピーク」という)を有する。励起ピークが短すぎても、長すぎても、後述する第1の発光体で励起される強さが低下する。
この際、各励起ピークの大きさに制限は無いが、最も高い励起ピーク(即ち、最も強度が大きい励起ピーク)の高さIAと、2番目に高い励起ピークの高さIBとの比IA/IBは、通常0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.64以上である。前記の比IA/IBが小さすぎても大きすぎても、青色領域の光、及び近紫外領域の光の両者で励起が可能であるという効果が得られにくくなる可能性がある。なお、上限は、通常2以下である。
本発明の蛍光体の酸素含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1.8重量%以下、好ましくは1.3重量%以下、より好ましくは1.2重量%以下である。本発明の蛍光体の酸素含有率が高すぎると、発光強度が低下する可能性がある。さらに、特開2003−206481号公報(特許文献4)及び米国特許第6670748B2号(特許文献5)に記載の青色に発光する結晶相(本発明者らの検討によると、La3Si6N11:Ceではなく、LaSi3N5:Ceだと考えられる。)が生成し、黄色発光が得られない傾向にある。なお、酸素含有率の下限は、酸素が含有されないように合成しても、原料中の含有酸素により、合成される蛍光体結晶相に酸素が混入してしまうことから、酸素含有率が0.2重量%以上となる場合が多い。
なお、本発明の蛍光体の酸素含有率は、蛍光体中の酸素を炭酸ガス化後、赤外線で検出する方法により測定することができる。
本発明の蛍光体は、その重量メジアン径が、通常0.1μm以上、中でも0.5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向があり好ましくない。一方、重量メジアン径が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向があり好ましくない。
なお、本発明の蛍光体の重量メジアン径は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置等の装置を用いて測定することができる。
本発明の蛍光体は、温度特性に優れる。例えば、波長455nmの励起光で励起した場合、温度24℃に対する温度140℃の発光強度維持率(即ち、24℃における発光強度I24と、140℃における発光強度I140との比I140/I24)が、通常60%以上、好ましくは66%以上、より好ましくは72%以上である。このように温度特性に優れているため、本発明の発光装置は、後述する発光装置等に用いて好適である。
なお、前記の発光強度維持率は、プレート加熱型温度特性評価装置により測定することができる。
本発明の蛍光体は、通常は、耐薬品性に優れている。例えば、本発明の蛍光体は、前記式[1]の化学組成を有する結晶相が、酸強度が極めて強い王水に溶解せず、王水に浸漬した後でも蛍光を発することができる。このため、本発明の蛍光体は多様な環境下で使用することが可能であり、工業的に非常に有用である。
本発明の蛍光体の製造方法に制限は無く、任意の方法を採用することができる。例えば、原料として蛍光体前駆体を用意し、その蛍光体前駆体を混合し(混合工程)、混合した蛍光体前駆体を焼成する工程(焼成工程)を経て製造することができる。以下、本発明の蛍光体の製造方法の一例として、この製造方法(以下、適宜「本発明に係る製造方法」という)について説明する。
蛍光体前駆体としては、上述の式[1]における、Ceの原料(以下適宜「Ce源」という)、MIIIの原料(以下適宜「MIII源」という)、MIVの原料(以下適宜「MIV源」という)、及び、X−IIIの原料(以下適宜「X−III源」という)を用意する。
即ち、MIII源のうち、La源としては、例えば、窒化ランタン、酸化ランタン、硝酸ランタン、水酸化ランタン、蓚酸ランタン、炭酸ランタン等が挙げられ、中でも窒化ランタンが好ましい。
また、MIII源のうち、Lu源としては、例えば、窒化ルテチウム、酸化ルテチウム、硝酸ルテチウム、蓚酸ルテチウム等が挙げられる。
さらに、MIII源のうち、Y源としては、例えば、窒化イットリウム、酸化イットリウム、硝酸イットリウム、蓚酸イットリウム、炭酸イットリウム等が挙げられる。
また、MIII源のうち、Gd源としては、例えば、窒化ガドリニウム、酸化ガドリニウム、硝酸ガドリニウム、水酸化ガドリニウム、蓚酸ガドリニウム等が挙げられる。
即ち、MIV源のうち、Si源としては、例えば、Si3N4、SiO2、H4SiO4、Si(NH)2、Si(OCOCH3)4等が挙げられる。中でも、Si3N4が好ましい。
また、MIV源のうち、Ge源としては、例えば、Ge3N4、GeNH、GeO2、Ge(OH)4、Ge(OCOCH3)4、GeCl4等が挙げられる。中でも、Ge3N4が好ましい。
即ち、X−III源のうち、N源としては、例えば、窒化ランタン、 窒化ケイ素、窒化セリウム等の窒化物などが挙げられる。また、焼成時の雰囲気としてアンモニア、水素含有窒素等を選択した場合、焼成時の雰囲気がN源となり得る。
また、X−III源のうち、O源としては、例えば、窒化ケイ素中含有酸素、窒化ランタン中含有酸素、酸化セリウム中の酸素等が挙げられる。
さらに、X−III源のうち、S源としては、例えば、硫化ランタン、硫化セリウム等の硫化物などが挙げられる。
また、X−III源のうち、F源としては、例えば、フッ化ランタン、フッ化セリウム等のフッ化物などが挙げられる。
さらに、X−III源のうち、Cl源としては、例えば、塩化ランタン、塩化セリウム等の塩化物などが挙げられる。
また、ある蛍光体前駆体が、Ce源、MIII源、MIV源及びX−III源のうち2つ以上を兼ねていてもよい。
Ce源、MIII源、MIV源及びX−III源を混合する手法は特に制限されないが、例としては、下記の(A)及び(B)の手法が挙げられる。
焼成工程は通常、上述の混合工程により得られたCe源、MIII源、MIV源及びX−III源等の蛍光体前駆体の混合物を、各蛍光体前駆体と反応性の低い材料からなるルツボやトレイ等の耐熱容器中に入れ、加熱することにより行なう。
焼成時の圧力は、焼成温度等によっても異なるが、通常の場合、簡便さの観点から、常圧で行うことが多い。しかし、焼成雰囲気が窒素の場合、通常3気圧以上、好ましくは4気圧以上、より好ましくは8気圧以上である。
焼成時間は、焼成時の温度や圧力等によっても異なるが、通常10分以上、好ましくは1時間以上、通常24時間以下、好ましくは10時間以下の範囲である。
上述の焼成工程後、必要に応じて洗浄、乾燥、分級等の処理を行なうことにより、本発明の蛍光体を得ることができる。
なお、本発明の蛍光体を用いて、後述の方法で発光装置を製造する際には、必要に応じて公知の表面処理、例えば燐酸カルシウム処理を行なってから、使用に供することが好ましい。
また、王水処理などによって式[1]の化学組成を有する結晶相以外の部分を除去するようにすれば、本発明の蛍光体の発光効率などをより一層高めることが可能である。
本発明の蛍光体は、蛍光体を使用する任意の用途に用いることができるが、特に、青色光又は近紫外光で励起可能であるという特性を生かして、各種の発光装置(後述する「本発明の発光装置」)に用いて好適である。特に、本発明の蛍光体が黄色蛍光体である場合、青色光を発する励起光源を組み合わせれば、白色発光装置を製造することができる。さらに、この白色発光装置に赤色蛍光体(赤色の蛍光を発する蛍光体)を組み合わせれば、電球色(暖かみのある白色)に発光する発光装置を実現することができる。また、近紫外光を発する励起光源に、本発明の蛍光体と、青色蛍光体を組み合わせても、白色発光装置を製造することができる。
本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液状媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液状媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
なお、通常、蛍光体含有組成物を発光装置等の構成部材(例えば、後述する第2の発光体)に用いる場合には、液状媒体を硬化させることにより当該蛍光体含有組成物を硬化させて用いる。
次に、本発明の発光装置について説明する。本発明の発光装置は、第1の発光体と、第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを、少なくとも備えて構成される。
[II−1.第1の発光体]
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。第1の発光体の発光波長は、後述する第2の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、近紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用され、具体的数値としては、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下の発光波長を有する発光体が使用される。この第1の発光体としては、一般的には半導体発光素子が用いられ、具体的には発光ダイオード(light emitting diode。適宜「LED」と略称する。)や半導体レーザーダイオード(semiconductor laser diode。適宜「LD」と略称する。)等が使用できる。
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、第1の蛍光体を含有するとともに、その用途等に応じて適宜、第2の蛍光体を含有する。また、例えば、第2の発光体は、第1及び/又は第2の蛍光体を封止材料中に分散させて構成される。
本発明の発光装置において、第2の発光体は、上記の本発明の蛍光体を含有するものであり、第1の蛍光体として、少なくとも、1種以上の本発明の蛍光体を含有する。また、第1の蛍光体としては、本発明の蛍光体以外にも、本発明の蛍光体と同色の蛍光を発する蛍光体(同色併用蛍光体)を用いても良い。通常、本発明の蛍光体は黄色蛍光体であるので、第1の蛍光体として、本発明の蛍光体と共に他種の黄色蛍光体を併用することができる。
本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体以外にも蛍光体(即ち、第2の蛍光体)を含有していてもよい。この第2の蛍光体は、第1の蛍光体とは発光波長が異なる蛍光体である。通常、これらの第2の蛍光体は、第2の発光体の発光の色調を調節するために使用されるため、第2の蛍光体としては第1の蛍光体とは異なる色の蛍光を発する蛍光体を使用することが多い。上記のように、通常は第1の蛍光体として黄色蛍光体を使用するので、第2の蛍光体としては、例えば赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体等の黄色蛍光体以外の蛍光体を用いる。
(i)第1の発光体として青色発光体(青色LED等)を使用し、第1の蛍光体として黄色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用する。これにより、擬似白色に発光する発光装置を構成できる。
(ii)第1の発光体として青色発光体(青色LED等)を使用し、第1の蛍光体として黄色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として赤色蛍光体を使用する。これにより、電球色に発光する発光装置を構成できる。
(iii)第1の発光体として近紫外発光体(近紫外LED等)を使用し、第1の蛍光体として黄色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として青色蛍光体を使用する。これにより、擬似白色に発光する発光装置を構成できる。
(iv)第1の発光体として近紫外発光体(近紫外LED等)を使用し、第1の蛍光体として黄色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として赤色蛍光体及び青色蛍光体を使用する。これにより、電球色に発光する発光装置を構成できる。
第1の蛍光体及び第2の蛍光体の重量メジアン径は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1μm以上、中でも0.5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向がある。一方、重量メジアン径が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
第2の発光体は、通常、第1の蛍光体及び必要に応じて使用される第2の蛍光体を、封止材料に分散させて構成される。
封止材料の例を挙げると、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の樹脂材料が挙げられる。具体例を挙げると、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂などが挙げられる。また、無機系材料、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液又はこれらの組み合わせを固化した無機系材料、例えばシロキサン結合を有する無機系材料を用いることができる。
なお、封止材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
本発明の発光装置は、上述の第1の発光体及び第2の発光体を備えていれば、そのほかの構成は特に制限されないが、通常は、適当なフレーム上に上述の第1の発光体及び第2の発光体を配置してなる。この際、第1の発光体の発光によって第2の発光体が励起されて(即ち、第1及び第2の蛍光体が励起されて)発光を生じ、且つ、この第1の発光体の発光及び/又は第2の発光体の発光が、外部に取り出されるように配置されることになる。この場合、第1の蛍光体と第2の蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、第1の蛍光体を含有する層の上に第2の蛍光体を含有する層が積層する等、蛍光体の発色毎に別々の層に蛍光体を含有するようにしてもよい。
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
また、透明樹脂は蛍光発光部4のバインダであり、ここでは、上述の封止材料を用いている。
例えば、第1の発光体として面発光型のものを使用し、第2の発光体として膜状のものを用いることができる。この場合、第1の発光体の発光面に、直接膜状の第2の発光体を接触させた形状とすることが好ましい。なお、ここでいう接触とは、第1の発光体と第2の発光体とが空気や気体を介さないでぴたりと接している状態をつくることを言う。その結果、第1の発光体からの光が第2の発光体の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
このような構成の発光装置8によれば、上記実施形態と同様の利点に加え、光量損失を避けて発光効率を向上させることが可能である。
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能である。中でも、温度特性が良好であることから、本発明の発光装置は、画像表示装置及び照明装置の光源としてとりわけ好適に用いられる。なお、本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。
結晶母体の原料は、窒化ランタン粉末、及び窒化ケイ素粉末(平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93重量%、α型含有量92%の)を用いた。一方、付活元素の原料は、金属セリウムをアンモニア中で窒化して合成した窒化セリウムの粉末、又は、酸化セリウム粉末を用いた。
窒化セリウム粉末と窒化ランタン粉末と窒化ケイ素粉末とを、それぞれ表1に示す重量(g)だけ秤量した。ここで、CeN及びLaNは、理論値よりも24%過剰に秤量している。続いて、メノウ乳棒と乳鉢で10分間混合を行なった後に、得られた混合物を、成型器により150kg/cm2の圧力をかけて直径6.5mmのペレットに成型し、窒化ホウ素製のるつぼに入れた。なお、粉末の秤量、混合、成型、充填の各工程は全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で操作を行なった。
図4より、実施例1で作製した蛍光体は、近紫外領域の波長でも励起可能なことが分かる。なお、図4では、最大の発光ピークの大きさでピーク強度を規格化した規格化強度を縦軸としている。
なお、実施例1の蛍光体とYAGの発光スペクトルについて半値幅を求めたところ、実施例1では132nm、YAGでは129nmであった。この点からも、実施例1で作製した蛍光体は演色性を向上させることができるという利点があることが分かる。
また、実施例1の蛍光体の色度座標のx値、y値は、それぞれ、0.453、0.525であった。
実施例2〜5及び比較例1〜3において、原料とその仕込み重量が異なること以外は、実施例1と同様に実験をした。原料とその仕込み重量は表1に、その仕込みモル比を表2に示す。また、表2には、得られた試料の中にLa3Si6N11相とLaSi3N5相がどの程度生成しているかの目安となるそれぞれの相のX線回折主ピークの相対強度、元素分析によって得られた蛍光体中の酸素濃度、及び、励起スペクトルと発光スペクトルの測定によって得られた発光特性を示す。表2において、発光特性は、黄色発光ピークについては青色光励起で、青色発光ピークについては近紫外光励起で測定を行なった。各々の励起波長については表2に記載の通りである。また、発光ピークの相対強度は、実施例1の黄色発光ピークの強度を100として、実施例2〜5、及び比較例1〜3の黄色及び/又は青色発光ピークの強度を求めた。
実施例2で作製した蛍光体を、王水20mLで10分攪拌後、14時間静置し、水洗・乾燥後、粉砕をした後、再び王水20mLで3時間40分攪拌し、水洗・乾燥して、励起スペクトルと発光スペクトルを測定し、王水処理した蛍光体の発光特性を得た。測定された励起スペクトルと発光スペクトルを図6に示す。また、図6には、実施例2で作製した蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルも示す。なお、図6では、縦軸は発光の相対的な強度を示している。図6から、王水処理により青色LED励起黄色発光強度が1.6倍に増大することがわかる。
実施例6において王水処理した蛍光体を用い、以下の方法によって輝度を測定し、温度特性の評価を行なった。また、比較のため、YAGについても同様に評価を行なった。
<温度特性の評価>
GaN系青色発光ダイオードの主波長である455nmで蛍光体を励起させ、窒素雰囲気下、加熱前の24℃、及び、加熱により設定される各温度において、トプコン社製輝度計BM−5Aを用いて輝度を測定した。
また、上述のような特性を有する本発明の蛍光体を用いた本発明の発光装置は、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用可能であるが、中でも画像表示装置や照明装置の光源としてとりわけ好適に用いられる。
2 フレーム
2A フレームの凹部
3 青色LED(第1の発光体)
4 蛍光発光部(第2の発光体)
5 銀ペースト
6 ワイヤ
7 モールド部
8 発光装置
9 基板
10 面発光型GaN系LD(第1の発光体)
11 第2の発光体
12 面発光照明装置
13 保持ケース
14 拡散板
Claims (5)
- 下記式[1]の化学組成を有する結晶相を含有し、かつ、
480nm以上、650nm以下の波長範囲に発光ピークを有する蛍光体の製造方法であって、
得られる蛍光体の結晶相が下記式[1]の化学組成となるように、少なくとも、Ce源、MIII源、MIV源、及びX−III源を、所定の割合で混合して混合物とし、該混合物中の酸素含有量が、原料中のSi量6モルに対し、0.12モル以下であり、
次いで前記混合物を焼成する焼成工程を有する蛍光体の製造方法であって、
前記Ce源が窒化物、酸化物、又はハロゲン化物であり、
前記M III 源が窒化物であり、
前記X −III 源が窒化ランタンまたは窒化珪素である
ことを特徴とする蛍光体の製造方法。
CexMIII 3−xMIV yX−III z [1]
(前記式[1]において、
MIIIは、前記式[1]の結晶構造においてCeとともに3価のサイトに入る金属元素で
あって、La、Lu、Y、Gd、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Ho、Er、Yb、Sc、Ga、In、Al、Ga、Biからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、Laを必須元素とし、且つ、90モル%以上が3価の金属元素で占められ、前記3価の金属元素の中でLaが90モル%以上を占める元素を表わし、
MIVは、前記式[1]の結晶構造において4価のサイトに入る金属元素であって、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、Siを必須元素とし、且つ、90モル%以上が4価の金属元素で占められ、前記4価の金属元素の中でSiが90モル%以上を占める元素を表わし、
X−IIIは、前記式[1]の結晶構造において−3価のサイトに入る元素であって、N、O、S、F、Clからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、且つ、窒素元素を必須元素とし、前記窒素が85モル%以上を占める元素を表わし、
xは、0.005≦x≦0.4を満足する数を表わし、
yは、5.7≦y≦6.3を満足する数を表わし、
zは、10.5≦z≦11.6を満足する数を表わす。) - 前記焼成工程後に、少なくとも洗浄、乾燥、分級、表面処理のいずれかの処理を行う
ことを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体の製造方法。 - 前記蛍光体中の酸素含有率が1.8重量%以下となるように、原料を選択する
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の蛍光体の製造方法。 - 焼成温度が1400℃以上2300℃以下である
ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。 - 焼成時に、酸素濃度が20ppm以下の不活性ガスを用いる
ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。
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