JP5544161B2 - 蛍光体 - Google Patents

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Description

本発明は、蛍光体及びその製造方法と、その蛍光体を用いた蛍光体含有組成物及び発光装置、並びにその発光装置を用いた画像表示装置及び照明装置に関する。より詳しくは、温度特性に優れた蛍光体及びその製造方法と、その蛍光体を用いた蛍光体含有組成物及び発光装置、並びにその発光装置を用いた画像表示装置及び照明装置に関する。
蛍光体は、励起光を吸収して所定の色の蛍光を発光するものであり、発光装置などに使用されている。このうち、黄色の蛍光を発光する蛍光体(黄色蛍光体)としては、従来、YAl12:Ce(以下、適宜「YAG」という)が広く使用されていた。
一方、特許文献1に記載のように、LaSi11等のLa系蛍光体も知られている。これら公知のLa系窒化物蛍光体は、全て青色の蛍光を発する蛍光体(青色蛍光体)である。
さらに、特許文献2,3には、LaSi11:Ceの組成を有する蛍光体が記載されている。
特開2005−112922号公報 特開2003−206481号公報 米国特許第6670748B2号明細書
蛍光体を用いた発光装置には、通常、励起光を発するための光源が設けられる。しかし、この光源は発光時に発熱するものが多い。このため、発光装置の使用時には光源の発熱により蛍光体が昇温することがある。特に、近年ではより明るい発光装置が求められているため、光源としてパワーLED等の高出力な光源を使用することがあるが、通常は高出力な光源の発熱の程度は大きいため、前記の昇温の程度も大きくなる。
ところが、YAG等の従来の蛍光体は温度特性が不十分であったため、高温環境では常温環境よりも発光強度が低下することが多かった。したがって、従来の発光装置は、前記の昇温により明るさが低下することがあった。また、蛍光体の発光強度の低下により発光装置が発する光の成分のバランスが変化しやすかったために、発光装置が発する光の色を所望の色にすることが困難であった。
また、特許文献2,3では、蛍光体LaSi11:Ceの発光領域が435nm〜452nm(青色)であると記載されている。しかし、本発明者らの検討によれば、当該蛍光体は青色に発光するものではない。
以上のように、温度特性に優れた蛍光体の開発は未だ満足できるものではなく、更なる改良が求められていた。
本発明は上述の課題に鑑みて創案されたもので、温度特性に優れた新規な蛍光体及びその製造方法と、その蛍光体を用いた蛍光体含有組成物及び発光装置、並びにその発光装置を用いた画像表示装置及び照明装置を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の組成範囲を有する蛍光体が、温度特性が良好であり、黄色に発光する蛍光体として好適であることを見出した。また、本発明者等はこの蛍光体が光源として非常に優れた特性を示し、発光装置等の用途に好適に使用できることを見出して、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、下記式[1]の化学組成を有する結晶相を含有し、かつ、480nm以上、650nm以下の波長範囲に発光ピークを有する蛍光体の製造方法であって、得られる蛍光体の結晶相が下記式[1]の化学組成となるように、少なくとも、Ce源、MIII源、MIV源、及びX−III源を、所定の割合で混合して混合物とし、該混合物中の酸素含有量が、原料中のSi量6モルに対し、0.12モル以下であり、次いで前記混合物を焼成する焼成工程を有し、前記Ce源が窒化物、酸化物、又はハロゲン化物であり、前記M III 源が窒化物であり、前記X −III 源が窒化ランタンまたは窒化珪素であることを特徴とする蛍光体の製造方法に存する。
CeIII 3−xIV −III [1]
(前記式[1]において、MIIIは、前記式[1]の結晶構造においてCeとともに3価のサイトに入る金属元素であって、La、Lu、Y、Gd、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Ho、Er、Yb、Sc、Ga、In、Al、Ga、Biからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、Laを必須元素とし、且つ、90モル%以上が3価の金属元素で占められ、前記3価の金属元素の中でLaが90モル%以上を占める元素を表わし、MIVは、前記式[1]の結晶構造において4価のサイトに入る金属元素であって、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、Siを必須元素とし、且つ、90モル%以上が4価の金属元素で占められ、前記4価の金属元素の中でSiが90モル%以上を占める元素を表わし、X−IIIは、前記式[1]の結晶構造において−3価のサイトに入る元素であって、N、O、S、F、Clからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、且つ、窒素元素を必須元素とし、前記窒素が85モル%以上を占める元素を表わし、xは、0.005≦x≦0.4を満足する数を表わし、yは、5.7≦y≦6.3を満足する数を表わし、zは、10.5≦z≦11.6を満足する数を表わす。)
このとき、前記焼成工程後に、少なくとも洗浄、乾燥、分級、表面処理のいずれかの処理を行うことが好ましい
た、前記蛍光体中の酸素含有率が1.8重量%以下となるように、原料を選択することが好ましい。
さらに、焼成温度が1400℃以上2300℃以下であることが好ましい。
また、焼成時に、酸素濃度が20ppm以下の不活性ガスを用いることが好ましい。
本発明によれば、温度特性に優れた新規な蛍光体及びその製造方法を提供できる。また、この蛍光体を含有する蛍光体樹脂組成物を用いることによって、高性能な発光装置を得ることができる。また、この発光装置は、画像表示装置や照明装置の用途に好適に用いられる。
本発明の一実施形態に係る発光装置の構成を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態について示すもので、第1の発光体として面発光型のものを用い、第2の発光体として膜状のものを適用した発光装置の一例を示す模式的な斜視図である。 本発明の一実施形態について示すもので、発光装置を組み込んだ面発光照明装置の一例を模式的に示す図である。 本発明の実施例1において作製した蛍光体及びYAGの励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。 本発明の実施例1及び比較例1において作製した蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。 本発明の実施例2及び実施例6において作製した蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを示す図である。 本発明の実施例2及び実施例6において作製した蛍光体のX線回折パターンを示す図である。 本発明の実施例8での温度特性の評価結果を表わす図である。
以下、本発明について実施形態や例示物を示して説明するが、本発明は以下の実施形態や例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
さらに、本明細書における色名と色度座標との関係は、すべてJIS規格に基づく(JISZ8110)。
また、本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表わす。また、カンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち一種又は二種以上を任意の組み合わせ及び組成で含有していてもよいことを示している。例えば、「(Ba,Sr,Ca)Al:Eu」という組成式は、「BaAl:Eu」と、「SrAl:Eu」と、「CaAl:Eu」と、「Ba1−xSrAl:Eu」と、「Ba1−xCaAl:Eu」と、「Sr1−xCaAl:Eu」と、「Ba1−x−ySrCaAl:Eu」とを全て包括的に示しているものとする(但し、前記式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)。
[I.本発明の蛍光体]
[I−1.結晶相の組成]
本発明の蛍光体は、下記式[1]の化学組成を有する結晶相を含有する。
CeIII 3−xIV −III [1]
(前記式[1]において、
IIIは、前記式[1]の結晶構造においてCeとともに3価のサイトに入る元素であって、且つ、90モル%以上が3価の金属元素で占められ、該3価の金属元素の中でLa、Lu、Y及びGdの合計が90モル%以上を占める元素を表わし、
IVは、前記式[1]の結晶構造において4価のサイトに入る元素であって、且つ、90モル%以上が4価の金属元素で占められ、該4価の金属元素の中でSi及びGeの合計が90モル%以上を占める元素を表わし、
−IIIは、前記式[1]の結晶構造において−3価のサイトに入る元素であって、且つ、窒素が85モル%以上を占める元素を表わし、
xは、0.001≦x≦1を満足する数を表わし、
yは、5.4≦y≦6.6を満足する数を表わし、
zは、9.9≦z≦12.1を満足する数を表わす。)
以下、前記式[1]について詳細に説明する。
式[1]において、MIIIは、前記式[1]の結晶構造においてCeとともに3価のサイトに入る元素を表わす。その例を挙げると、La、Lu、Y、Gd、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Ho、Er、Yb、Sc、Ga、In、Al、Ga、Bi等の3価の金属元素などが挙げられる。また、MIIIは、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ただし、式[1]において、MIIIの通常90モル%以上、好ましくは92モル%以上、より好ましくは95モル%以上が、3価の金属元素で占められている。なお、この範囲の上限は、理論的には100モル%以下であり、100モル%であることが最も好ましい。MIIIに占める3価の金属元素の割合が小さくなりすぎると、発光強度が低下する可能性がある。
また、当該3価の金属元素(即ち、MIIIの90モル%以上を占める3価の金属元素)は、当該3価の金属元素全体の中に占める、La、Lu、Y及びGdの合計の割合が、通常90モル%以上、好ましくは92モル%以上、より好ましくは95モル%以上である。なお、この範囲の上限は、理論的には100モル%以下であり、100モル%であることが最も好ましい。3価の金属元素全体に占める、La、Lu、Y及びGdの合計の割合が小さくなりすぎると、発光強度が低下する可能性がある。
式[1]において、MIVは、前記式[1]の結晶構造において4価のサイトに入る元素を表わす。その例を挙げると、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hf等が挙げられる。また、MIVは、1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ただし、式[1]において、MIVの通常90モル%以上、好ましくは92モル%以上、より好ましくは95モル%以上が、4価の金属元素で占められている。なお、この範囲の上限は、理論的には100モル%以下であり、100モル%であることが最も好ましい。MIVに占める4価の金属元素の割合が小さくなりすぎると、発光強度が低下する可能性がある。
また、当該4価の金属元素(即ち、MIVの90モル%以上を占める4価の金属元素)は、当該4価の金属元素全体の中に占める、Si及びGeの合計の割合が、通常90モル%以上、好ましくは92モル%以上、より好ましくは95モル%以上である。なお、この範囲の上限は、理論的には100モル%以下であり、100モル%であることが最も好ましい。4価の金属元素全体に占める、Si及びGeの合計の割合が小さくなりすぎると、発光強度が低下する可能性がある。
式[1]において、X−IIIは、前記式[1]の結晶構造において−3価のサイトに入る元素を表わす。その例を挙げると、N等の−3価の元素;O、S等の−2価の元素;F、Cl等の−1価の元素などが挙げられる。なお、X−IIIは、1種類を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。ここで、X−IIIとしては、OH等の2種類の元素が結合したものを含むものとする。
ただし、式[1]において、X−IIIの通常85モル%以上、好ましくは92モル%以上、より好ましくは95モル%以上がNで占められている。なお、この範囲の上限に制限は無いが、理論的には100モル%以下であり、100モル%であることが最も好ましい。しかし、実際は、原料中に酸素が含有されていることから、合成される蛍光体結晶相に酸素が混入し、その分だけX−IIIに占めるNの割合が100%から低減するため、X−IIIに占めるNの割合が99モル%以下となる場合が多い。X−IIIに占めるNの割合が小さくなりすぎると、発光強度が低下する傾向にある。
なお、X−IIIに占めるNの割合が100モル%未満の場合、X−IIIとして含有されるN以外の元素としてはOであることが好ましい。
式[1]において、xは、Ceのモル数を表わす数であり、通常0.001以上、好ましくは0.005以上、より好ましくは0.01以上、更に好ましくは0.02以上、また、通常1以下、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.4以下、更に好ましくは0.3以下である。xは、小さすぎると、Ceによる励起発光が充分ではなく、発光強度が低下する可能性があり、大きすぎると、濃度消光が起こり、発光強度が低下する可能性がある。
式[1]において、yは、MIVのモル数を表わす数であり、通常5.4以上、好ましくは5.7以上であり、通常6.6以下、好ましくは6.3以下であり、6に近い方が好ましい。yは、小さすぎても、大きすぎても、格子欠陥を招き、発光強度が低下する場合が多い。
式[1]において、zは、X−IIIのモル数を表わす数であり、通常9.9以上、好ましくは10.5以上、より好ましくは10.7以上、また、通常12.1以下、好ましくは11.6以下、より好ましくは11.3以下であり、11に近い方が好ましい。zは、小さすぎても、大きすぎても、格子欠損を招き、発光強度が低下する場合が多い。
式[1]の化学組成のうち、好ましいものの具体例を以下に挙げるが、本発明の蛍光体の組成は以下の例示に限定されるものではない。
即ち、式[1]の化学組成のうち好ましい例としては、酸素が混入していない例としては、Ce0.1La2.9Si11、Ce0.02La2.98Si11等が、僅かな酸素が混入している例としては、Ce0.1La2.89Si10.970.03、Ce0.1La2.7Si10.40.6等が挙げられる。
また、本発明の蛍光体は、上述した式[1]の化学組成を有する結晶相を、その少なくとも一部に含有していれば、当該蛍光体の全体が前記式[1]の化学組成を有していなくても構わない。本発明の蛍光体は、式[1]の化学組成を有する結晶相とは異なる結晶相を含有していてもよく、蛍光体全体として2種類以上の結晶相を有する場合もある。この際、式[1]の化学組成を有する結晶相以外の部分については、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はなく任意である。ただし、本発明の利点を顕著に得るために、当該蛍光体全体が、上述した式[1]の化学組成を有する結晶相からなることが最も好ましい。
[I−2.蛍光体の特性]
[I−2−1.蛍光の色に関する特性]
本発明の蛍光体は、通常は黄色に発光する。即ち、本発明の蛍光体は、通常は黄色蛍光体となる。
本発明の蛍光体が黄色に発光する場合、当該蛍光の色度座標は、通常、(x,y)=(0.393,0.464)、(0.513,0.464)、(0.393,0.584)及び(0.513,0.584)で囲まれる領域内の座標となり、好ましくは、(x,y)=(0.418,0.489)、(0.488,0.489)、(0.418,0.559)及び(0.488,0.559)で囲まれる領域内の座標となる。
なお、蛍光の色度座標は、後述する発光スペクトルから算出することができる。
[I−2−2.発光スペクトルに関する特性]
本発明の蛍光体が発する蛍光のスペクトル(発光スペクトル)に特に制限は無いが、黄色蛍光体としての用途に鑑みれば、波長455nmの光で励起した場合に、その発光スペクトルに以下の特性を有することが好ましい。
即ち、本発明の蛍光体の発光ピーク波長は、480nm以上、650nm以下の波長範囲にある。付活元素であるCeが2種類の基底状態を有することから、本発明の蛍光体は、2種類の基底状態のエネルギーレベルの差に応じて2つの発光ピークを有する場合が多い。この場合、長波長側の発光ピークは、通常550nm以上、好ましくは570nm以上、また、通常650nm以下、好ましくは620nm以下の波長範囲に発光ピークを有する。一方、短波長側のピークは、通常480nm以上、好ましくは、510nm以上、また、通常580nm以下、好ましくは570nm以下の波長範囲に発光ピークを有する。発光ピークの波長が短すぎても、長すぎても、後述する第1の発光体との組み合わせで適切な補色関係が得られず、良好な白色光が得られにくくなる可能性がある。
さらに、本発明の蛍光体の発光領域について述べる。発光スペクトルにおいて、最も高い発光ピークの高さの半値以上となっている波長領域が、広い方が好ましく、上限値が、通常、520nm以上、好ましくは530nm以上、下限値が、通常620nm以下、好ましくは600nm以下である。このように発光領域が大きいために、本発明の蛍光体を用いた場合、発光装置等の演色性を良好にすることができる。
また、本発明の蛍光体は、発光ピークの半値幅(full width at half maximum。以下適宜「FWHM」という。)が、通常110nm以上、好ましくは120nm以上、より好ましくは130nm以上である。このように半値幅が広いことにより、本発明の蛍光体を青色LED等と組み合わせた場合、発光装置等の演色性を良好にすることができる。なお、発光ピークの半値幅の上限に制限は無いが、通常280nm以下である。
なお、本発明の蛍光体は、正確には複数の発光ピークを有する場合が多く、複数の発光ピークを有する場合は、最も強度の高いピークの強度の、半分以上の強度を有する波長領域の幅を半値幅とする。
本発明の蛍光体の発光スペクトルの測定、並びにその発光領域、発光ピーク波長及びピーク半値幅の算出は、例えば、室温において、日本分光社製蛍光測定装置等の装置を用いて行なうことができる。
[I−2−3.励起スペクトルに関する特性]
本発明の蛍光体の励起光のスペクトル(励起スペクトル)に制限は無く、本発明の蛍光体は、青色領域の光でも、近紫外領域の光でも励起可能である。
中でも、本発明の蛍光体に好適な励起光は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは435nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下の波長領域に発光ピーク(以下適宜、励起光の発光ピークを「励起ピーク」という)を有する。励起ピークが短すぎても、長すぎても、後述する第1の発光体で励起される強さが低下する。
また、特に、本発明の励起スペクトルとしては、2本以上の励起ピークを有するものが好ましく、通常300nm以上530nm以下の波長範囲に、2本以上の励起ピークを有することがより好ましく、360nm以上410nm以下の波長範囲と、430nm以上475nm以下の波長範囲の両方に励起ピークを有することがさらに好ましい。青色領域の光でも近紫外領域の光でも励起可能となるからである。特に、本発明の蛍光体は、近紫外領域で発光する酸化亜鉛系LEDの発光領域に励起ピークを有することから、近未来の近紫外LEDと組み合わせる蛍光体として好適である。
この際、各励起ピークの大きさに制限は無いが、最も高い励起ピーク(即ち、最も強度が大きい励起ピーク)の高さIと、2番目に高い励起ピークの高さIとの比I/Iは、通常0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.64以上である。前記の比I/Iが小さすぎても大きすぎても、青色領域の光、及び近紫外領域の光の両者で励起が可能であるという効果が得られにくくなる可能性がある。なお、上限は、通常2以下である。
なお、励起スペクトルの測定及び励起ピークの算出は、例えば、室温において、日本分光社製蛍光測定装置等の装置を用いて行なうことができる。
[I−2−4.酸素含有率に関する特性]
本発明の蛍光体の酸素含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1.8重量%以下、好ましくは1.3重量%以下、より好ましくは1.2重量%以下である。本発明の蛍光体の酸素含有率が高すぎると、発光強度が低下する可能性がある。さらに、特開2003−206481号公報(特許文献4)及び米国特許第6670748B2号(特許文献5)に記載の青色に発光する結晶相(本発明者らの検討によると、LaSi11:Ceではなく、LaSi:Ceだと考えられる。)が生成し、黄色発光が得られない傾向にある。なお、酸素含有率の下限は、酸素が含有されないように合成しても、原料中の含有酸素により、合成される蛍光体結晶相に酸素が混入してしまうことから、酸素含有率が0.2重量%以上となる場合が多い。
なお、本発明の蛍光体の酸素含有率は、蛍光体中の酸素を炭酸ガス化後、赤外線で検出する方法により測定することができる。
[I−2−5.重量メジアン径]
本発明の蛍光体は、その重量メジアン径が、通常0.1μm以上、中でも0.5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向があり好ましくない。一方、重量メジアン径が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向があり好ましくない。
なお、本発明の蛍光体の重量メジアン径は、例えばレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置等の装置を用いて測定することができる。
[I−2−6.温度特性]
本発明の蛍光体は、温度特性に優れる。例えば、波長455nmの励起光で励起した場合、温度24℃に対する温度140℃の発光強度維持率(即ち、24℃における発光強度I24と、140℃における発光強度I140との比I140/I24)が、通常60%以上、好ましくは66%以上、より好ましくは72%以上である。このように温度特性に優れているため、本発明の発光装置は、後述する発光装置等に用いて好適である。
なお、前記の発光強度維持率は、プレート加熱型温度特性評価装置により測定することができる。
[I−2−7.耐薬品性]
本発明の蛍光体は、通常は、耐薬品性に優れている。例えば、本発明の蛍光体は、前記式[1]の化学組成を有する結晶相が、酸強度が極めて強い王水に溶解せず、王水に浸漬した後でも蛍光を発することができる。このため、本発明の蛍光体は多様な環境下で使用することが可能であり、工業的に非常に有用である。
[I−3.蛍光体の製造方法]
本発明の蛍光体の製造方法に制限は無く、任意の方法を採用することができる。例えば、原料として蛍光体前駆体を用意し、その蛍光体前駆体を混合し(混合工程)、混合した蛍光体前駆体を焼成する工程(焼成工程)を経て製造することができる。以下、本発明の蛍光体の製造方法の一例として、この製造方法(以下、適宜「本発明に係る製造方法」という)について説明する。
[I−3−1.蛍光体前駆体の用意]
蛍光体前駆体としては、上述の式[1]における、Ceの原料(以下適宜「Ce源」という)、MIIIの原料(以下適宜「MIII源」という)、MIVの原料(以下適宜「MIV源」という)、及び、X−IIIの原料(以下適宜「X−III源」という)を用意する。
本発明に係る製造方法で使用されるCe源、MIII源及びMIV源としては、例えば、これらCe、MIII及びMIVそれぞれの窒化物、Si(NH)等の窒素含有化合物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物等が挙げられる。これらの化合物の中から、窒素、水素含有窒素、アンモニア、アルゴン等の焼成雰囲気の種類に応じて、適宜選択すればよい。
Ce源の具体例を挙げると、窒化セリウム、酸化セリウムなどが挙げられる。
III源の具体例を、MIIIの種類毎に分けて列挙すると、以下の通りである。
即ち、MIII源のうち、La源としては、例えば、窒化ランタン、酸化ランタン、硝酸ランタン、水酸化ランタン、蓚酸ランタン、炭酸ランタン等が挙げられ、中でも窒化ランタンが好ましい。
また、MIII源のうち、Lu源としては、例えば、窒化ルテチウム、酸化ルテチウム、硝酸ルテチウム、蓚酸ルテチウム等が挙げられる。
さらに、MIII源のうち、Y源としては、例えば、窒化イットリウム、酸化イットリウム、硝酸イットリウム、蓚酸イットリウム、炭酸イットリウム等が挙げられる。
また、MIII源のうち、Gd源としては、例えば、窒化ガドリニウム、酸化ガドリニウム、硝酸ガドリニウム、水酸化ガドリニウム、蓚酸ガドリニウム等が挙げられる。
IV源の具体例を、MIVの種類毎に分けて列挙すると、以下の通りである。
即ち、MIV源のうち、Si源としては、例えば、Si、SiO、HSiO、Si(NH)、Si(OCOCH等が挙げられる。中でも、Siが好ましい。
また、MIV源のうち、Ge源としては、例えば、Ge、GeNH、GeO、Ge(OH)、Ge(OCOCH、GeCl等が挙げられる。中でも、Geが好ましい。
−III源の具体例を、X−IIIの種類毎に分けて列挙すると、以下の通りである。
即ち、X−III源のうち、N源としては、例えば、窒化ランタン、 窒化ケイ素、窒化セリウム等の窒化物などが挙げられる。また、焼成時の雰囲気としてアンモニア、水素含有窒素等を選択した場合、焼成時の雰囲気がN源となり得る。
また、X−III源のうち、O源としては、例えば、窒化ケイ素中含有酸素、窒化ランタン中含有酸素、酸化セリウム中の酸素等が挙げられる。
さらに、X−III源のうち、S源としては、例えば、硫化ランタン、硫化セリウム等の硫化物などが挙げられる。
また、X−III源のうち、F源としては、例えば、フッ化ランタン、フッ化セリウム等のフッ化物などが挙げられる。
さらに、X−III源のうち、Cl源としては、例えば、塩化ランタン、塩化セリウム等の塩化物などが挙げられる。
なお、Ce源、MIII源、MIV源及びX−III源は、それぞれ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、ある蛍光体前駆体が、Ce源、MIII源、MIV源及びX−III源のうち2つ以上を兼ねていてもよい。
[I−3−2.混合工程]
Ce源、MIII源、MIV源及びX−III源を混合する手法は特に制限されないが、例としては、下記の(A)及び(B)の手法が挙げられる。
(A)ハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを組み合わせ、Ce源、MIII源、MIV源及びX−III源等の蛍光体前駆体を粉砕混合する乾式混合法。
(B)Ce源、MIII源、MIV源及びX−III源等の蛍光体前駆体に水等の溶媒又は分散媒を加え、粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
[I−3−3.焼成工程]
焼成工程は通常、上述の混合工程により得られたCe源、MIII源、MIV源及びX−III源等の蛍光体前駆体の混合物を、各蛍光体前駆体と反応性の低い材料からなるルツボやトレイ等の耐熱容器中に入れ、加熱することにより行なう。
焼成時の温度は、本発明の蛍光体が得られる限り任意であるが、通常1400℃以上、好ましくは1600℃以上、より好ましくは1700℃以上、また、通常2300℃以下、好ましくは2150℃以下の範囲である。焼成温度が低過ぎても、高過ぎても、本発明の結晶相の生成が困難となる傾向にある。
焼成時の圧力は、焼成温度等によっても異なるが、通常の場合、簡便さの観点から、常圧で行うことが多い。しかし、焼成雰囲気が窒素の場合、通常3気圧以上、好ましくは4気圧以上、より好ましくは8気圧以上である。
焼成時間は、焼成時の温度や圧力等によっても異なるが、通常10分以上、好ましくは1時間以上、通常24時間以下、好ましくは10時間以下の範囲である。
焼成時の雰囲気は本発明の蛍光体が得られる限り特に制限されないが、本発明では、酸素濃度の低い雰囲気下で焼成を行なうことが好ましい。得られる蛍光体の酸素含有率を抑制するためである。焼成時の酸素濃度は、好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、特に好ましくは20ppm以下であり、理想的には、酸素が全く存在しないことが好ましい。焼成時の雰囲気の具体例としては、原料の種類に応じて、適宜変えることが望ましいが、窒素と水素の混合ガス、アンモニアガス、アルゴン、一酸化炭素、二酸化炭素等の不活性ガス、及びそれらの混合ガス等を使用することができる。中でも、窒素ガス、又は、窒素と水素の混合ガスが好ましい。
また、蛍光体の酸素含有率を抑制する観点からは、焼成工程以前において蛍光体前駆体を取り扱う場合、各操作は水分含有量及び酸素含有量が少ない雰囲気下で行なうことが好ましい。したがって、例えば、各蛍光体前駆体の秤量から、焼成工程においてルツボ等に蛍光体前駆体を充填するまでは、蛍光体前駆体の取り扱いは水分含有量及び酸素含有量が少ない雰囲気下で行なうことが好ましい。
[I−3−4.後処理]
上述の焼成工程後、必要に応じて洗浄、乾燥、分級等の処理を行なうことにより、本発明の蛍光体を得ることができる。
なお、本発明の蛍光体を用いて、後述の方法で発光装置を製造する際には、必要に応じて公知の表面処理、例えば燐酸カルシウム処理を行なってから、使用に供することが好ましい。
また、王水処理などによって式[1]の化学組成を有する結晶相以外の部分を除去するようにすれば、本発明の蛍光体の発光効率などをより一層高めることが可能である。
[I−4.蛍光体の用途]
本発明の蛍光体は、蛍光体を使用する任意の用途に用いることができるが、特に、青色光又は近紫外光で励起可能であるという特性を生かして、各種の発光装置(後述する「本発明の発光装置」)に用いて好適である。特に、本発明の蛍光体が黄色蛍光体である場合、青色光を発する励起光源を組み合わせれば、白色発光装置を製造することができる。さらに、この白色発光装置に赤色蛍光体(赤色の蛍光を発する蛍光体)を組み合わせれば、電球色(暖かみのある白色)に発光する発光装置を実現することができる。また、近紫外光を発する励起光源に、本発明の蛍光体と、青色蛍光体を組み合わせても、白色発光装置を製造することができる。
発光装置の発光色としては白色に制限されず、必要に応じて、赤色蛍光体、青色蛍光体、緑色蛍光体(緑色の蛍光を発する蛍光体)、他種の黄色蛍光体等を組み合わせることにより、任意の色に発光する発光装置を製造することができる。こうして得られた発光装置を、画像表示装置の発光部(特に液晶用バックライトなど)や照明装置として使用することができる。
[I−5.蛍光体含有組成物]
本発明の蛍光体を発光装置等の用途に使用する場合には、これを液状媒体中に分散させた形態で用いることが好ましい。本発明の蛍光体を液状媒体中に分散させたものを、適宜「本発明の蛍光体含有組成物」と呼ぶものとする。
本発明の蛍光体含有組成物に使用可能な液状媒体としては、所望の使用条件下において液状の性質を示し、本発明の蛍光体を好適に分散させると共に、好ましくない反応等を生じないものであれば、任意のものを目的等に応じて選択することが可能である。液状媒体の例としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの液状媒体は1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。なお、上記の液状媒体に有機溶媒を含有させることもできる。
液状媒体の使用量は、用途等に応じて適宜調整すればよいが、一般的には、本発明の蛍光体に対する液状媒体の重量比で、通常3重量%以上、好ましくは5重量%以上、また、通常30重量%以下、好ましくは15重量%以下の範囲である。液状媒体が少なすぎると、体積あたりの蛍光体含有組成物からの発光量が低下する傾向にあり、多すぎると、蛍光体粉の分散性が悪くなり、色むらが起こる傾向にある。
また、本発明の蛍光体含有組成物は、本発明の蛍光体及び液状媒体に加え、その用途等に応じて、その他の任意の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、拡散剤、増粘剤、増量剤、干渉剤等が挙げられる。具体的には、アエロジル等のシリカ系微粉、アルミナ等が挙げられる。なお、これらその他の成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、通常、蛍光体含有組成物を発光装置等の構成部材(例えば、後述する第2の発光体)に用いる場合には、液状媒体を硬化させることにより当該蛍光体含有組成物を硬化させて用いる。
[II.発光装置]
次に、本発明の発光装置について説明する。本発明の発光装置は、第1の発光体と、第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する第2の発光体とを、少なくとも備えて構成される。
[II−1.第1の発光体]
本発明の発光装置における第1の発光体は、後述する第2の発光体を励起する光を発光するものである。第1の発光体の発光波長は、後述する第2の発光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の発光体を使用することができる。通常は、近紫外領域から青色領域までの発光波長を有する発光体が使用され、具体的数値としては、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下の発光波長を有する発光体が使用される。この第1の発光体としては、一般的には半導体発光素子が用いられ、具体的には発光ダイオード(light emitting diode。適宜「LED」と略称する。)や半導体レーザーダイオード(semiconductor laser diode。適宜「LD」と略称する。)等が使用できる。
中でも、第1の発光体としては、GaN系化合物半導体を使用したGaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、前記蛍光体と組み合わせることによって、非常に低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系LEDやLDはSiC系の100倍以上の発光強度を有する。GaN系LEDやLDにおいては、AlGaN発光層、GaN発光層、またはInGaN発光層を有しているものが好ましい。GaN系LEDにおいては、それらの中でInGaN発光層を有するものが発光強度が非常に強いので、特に好ましく、GaN系LDにおいては、InGaN層とGaN層の多重量子井戸構造のものが発光強度が非常に強いので、特に好ましい。
なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、および基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlGaN層、GaN層、またはInGaN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高く、好ましく、さらにヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率がさらに高く、より好ましい。
[II−2.第2の発光体]
本発明の発光装置における第2の発光体は、上述した第1の発光体からの光の照射によって可視光を発する発光体であり、第1の蛍光体を含有するとともに、その用途等に応じて適宜、第2の蛍光体を含有する。また、例えば、第2の発光体は、第1及び/又は第2の蛍光体を封止材料中に分散させて構成される。
[II−2−1.第1の蛍光体]
本発明の発光装置において、第2の発光体は、上記の本発明の蛍光体を含有するものであり、第1の蛍光体として、少なくとも、1種以上の本発明の蛍光体を含有する。また、第1の蛍光体としては、本発明の蛍光体以外にも、本発明の蛍光体と同色の蛍光を発する蛍光体(同色併用蛍光体)を用いても良い。通常、本発明の蛍光体は黄色蛍光体であるので、第1の蛍光体として、本発明の蛍光体と共に他種の黄色蛍光体を併用することができる。
第1の蛍光体として本発明の蛍光体と併用できる黄色蛍光体の例を挙げると、YAl12:Ce、Eu付活M(Si,Al)12(O,N)16(Mは、Ca、Y等の金属元素を表す。ここで、xは、酸素原子のモル数をMの平均価数で割ったものであり、酸素原子のモル数は通常、0より大きく、4.3以下であることが好ましい。)などが挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
第1の蛍光体の発光ピーク波長λ(nm)に制限は無いが、第1の蛍光体として黄色蛍光体を用いる場合には、通常500nm以上、好ましくは520nm以上、また、通常650nm以下、好ましくは630nm以下の波長範囲である。第1の蛍光体の発光ピーク波長が短すぎても、長すぎても、第1の発光体や第2の蛍光体との組み合わせにおいて、良好な白色が得られない傾向にある。
第1の蛍光体の発光ピークの半値幅(FWHM)に制限は無いが、第1の蛍光体として黄色蛍光体を用いる場合には、通常110nm以上、好ましくは120nm以上、また、通常280nm以下である。この半値幅が狭過ぎると演色性が低下する可能性がある。
なお、前記の第1の蛍光体の発光ピーク波長及び半値幅は、CCD又はマルチフォトアナライザーを搭載した蛍光測定装置等により測定することができる。
第1の蛍光体として本発明の蛍光体とその他の蛍光体とを併用する場合、両者の比率は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、本発明の蛍光体の比率が大きいほうが好ましい。具体的には、第1の蛍光体全体に占める本発明の蛍光体の比率が、通常40重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。ただし、第1の蛍光体として本発明の蛍光体のみを使用することが特に好ましい。
[II−2−2.第2の蛍光体]
本発明の発光装置における第2の発光体は、その用途に応じて、上述の第1の蛍光体以外にも蛍光体(即ち、第2の蛍光体)を含有していてもよい。この第2の蛍光体は、第1の蛍光体とは発光波長が異なる蛍光体である。通常、これらの第2の蛍光体は、第2の発光体の発光の色調を調節するために使用されるため、第2の蛍光体としては第1の蛍光体とは異なる色の蛍光を発する蛍光体を使用することが多い。上記のように、通常は第1の蛍光体として黄色蛍光体を使用するので、第2の蛍光体としては、例えば赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体等の黄色蛍光体以外の蛍光体を用いる。
第2の蛍光体として赤色蛍光体を使用する場合、当該赤色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常610nm以上、好ましくは615nm以上、より好ましくは620nm以上、また、通常660nm以下、好ましくは655nm以下、より好ましくは650nm以下の波長範囲にあることが好適である。赤色蛍光体の発光ピーク波長が短すぎる場合や、長すぎる場合は、電球色のような温かみのある白色光が得にくくなる可能性がある。
第2の蛍光体として緑色蛍光体を使用する場合、当該緑色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nm以上、好ましくは510nm以上、より好ましくは520nm以上、また、通常570nm以下、好ましくは560nm以下、より好ましくは550nm以下の波長範囲にあることが好適である。
第2の蛍光体として青色蛍光体を使用する場合、当該青色蛍光体は本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを使用することができる。この際、青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常430nm以上、好ましくは435nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下の波長範囲にあることが好適である。青色蛍光体の発光ピーク波長が短すぎても、長すぎても、第1の発光体及び第1の蛍光体との組み合わせにおいて、良好な白色が得られない傾向にある。
なお、第2の蛍光体としては、1種類の蛍光体を単独で使用してもよく、2種以上の蛍光体を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、第1の蛍光体と第2の蛍光体との比率も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。したがって、第2の蛍光体の使用量、並びに、第2の蛍光体として用いる蛍光体の組み合わせ及びその比率などは、発光装置の用途などに応じて任意に設定すればよい。
本発明の発光装置において、以上説明した第2の蛍光体(赤色蛍光体、青色蛍光体、緑色蛍光体等)の使用の有無及びその種類は、発光装置の用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、第1の蛍光体が黄色蛍光体である場合には、本発明の発光装置を黄色に発光する発光装置として構成する場合には、第1の蛍光体のみを使用すればよく、第2の蛍光体の使用は通常は不要である。
一方、所望の色の光が得られるように、第2の発光体が含有する蛍光体として、第1の蛍光体(黄色蛍光体)と第2の蛍光体とを適切に組み合わせて発光装置を構成することも可能である。
発光装置を構成する場合における、第1の発光体と、第1の蛍光体と、第2の蛍光体との好ましい組み合わせの例としては、以下の(i)〜(iv)の組み合わせが挙げられる。
(i)第1の発光体として青色発光体(青色LED等)を使用し、第1の蛍光体として黄色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用する。これにより、擬似白色に発光する発光装置を構成できる。
(ii)第1の発光体として青色発光体(青色LED等)を使用し、第1の蛍光体として黄色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として赤色蛍光体を使用する。これにより、電球色に発光する発光装置を構成できる。
(iii)第1の発光体として近紫外発光体(近紫外LED等)を使用し、第1の蛍光体として黄色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として青色蛍光体を使用する。これにより、擬似白色に発光する発光装置を構成できる。
(iv)第1の発光体として近紫外発光体(近紫外LED等)を使用し、第1の蛍光体として黄色蛍光体(本発明の蛍光体等)を使用し、第2の蛍光体として赤色蛍光体及び青色蛍光体を使用する。これにより、電球色に発光する発光装置を構成できる。
[I−2−3.第1及び第2の蛍光体のその他の特性]
第1の蛍光体及び第2の蛍光体の重量メジアン径は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1μm以上、中でも0.5μm以上、また、通常30μm以下、中でも20μm以下の範囲であることが好ましい。重量メジアン径が小さすぎると、輝度が低下し、蛍光体粒子が凝集してしまう傾向がある。一方、重量メジアン径が大きすぎると、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞が生じる傾向がある。
[II−2−4.封止材料]
第2の発光体は、通常、第1の蛍光体及び必要に応じて使用される第2の蛍光体を、封止材料に分散させて構成される。
封止材料の例を挙げると、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等の樹脂材料が挙げられる。具体例を挙げると、ポリメタアクリル酸メチル等のメタアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂などが挙げられる。また、無機系材料、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液又はこれらの組み合わせを固化した無機系材料、例えばシロキサン結合を有する無機系材料を用いることができる。
なお、封止材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[II−3.発光装置の構成]
本発明の発光装置は、上述の第1の発光体及び第2の発光体を備えていれば、そのほかの構成は特に制限されないが、通常は、適当なフレーム上に上述の第1の発光体及び第2の発光体を配置してなる。この際、第1の発光体の発光によって第2の発光体が励起されて(即ち、第1及び第2の蛍光体が励起されて)発光を生じ、且つ、この第1の発光体の発光及び/又は第2の発光体の発光が、外部に取り出されるように配置されることになる。この場合、第1の蛍光体と第2の蛍光体とは必ずしも同一の層中に混合されなくてもよく、例えば、第1の蛍光体を含有する層の上に第2の蛍光体を含有する層が積層する等、蛍光体の発色毎に別々の層に蛍光体を含有するようにしてもよい。
また、本発明の発光装置では、上述の第1の発光体、第2の発光体及びフレーム以外の部材を用いてもよい。その例としては、封止材料が挙げられる。具体例を挙げると、封止材料は、発光装置において、第1の発光体、第2の発光体及びフレーム間を接着する目的で用いることができる。なお、封止材料としては、例えば、第2の発光体の構成材料として例示したものと同様のものが使用できる。
[II−4.発光装置の実施形態]
以下、本発明の発光装置について、具体的な実施の形態を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る発光装置の構成を模式的に示す図である。本実施形態の発光装置1は、フレーム2と、光源である青色LED(第1の発光体)3と、青色LED3から発せられる光の一部を吸収し、それとは異なる波長を有する光を発する蛍光発光部(第2の発光体)4からなる。
フレーム2は、青色LED3、蛍光発光部4を保持するための金属製の基部である。フレーム2の上面には、図1中上側に開口した断面台形状の凹部(窪み)2Aが形成されている。これにより、フレーム2はカップ形状となっているため、発光装置1から放出される光に指向性をもたせることができ、放出する光を有効に利用できるようになっている。更に、フレーム2の凹部2A内面は、銀などの金属メッキにより、可視光域全般の光の反射率を高められていて、これにより、フレーム2の凹部2A内面に当たった光も、発光装置1から所定方向に向けて放出できるようになっている。
フレーム2の凹部2Aの底部には、光源として青色LED3が設置されている。青色LED3は、電力を供給されることにより青色の光を発するLEDである。この青色LED3から発せられた青色光の一部は、蛍光発光部4内の発光物質(第1の蛍光体及び第2の蛍光体)に励起光として吸収され、また別の一部は、発光装置1から所定方向に向けて放出されるようになっている。
また、青色LED3は前記のようにフレーム2の凹部2Aの底部に設置されているが、ここではフレーム2と青色LED3との間は銀ペースト(接着剤に銀粒子を混合したもの)5によって接着され、これにより、青色LED3はフレーム2に設置されている。更に、この銀ペースト5は、青色LED3で発生した熱をフレーム2に効率よく放熱する役割も果たしている。
更に、フレーム2には、青色LED3に電力を供給するための金製のワイヤ6が取り付けられている。つまり、青色LED3の上面に設けられた電極(図示省略)とは、ワイヤ6を用いてワイヤボンディングによって結線されていて、このワイヤ6を通電することによって青色LED3に電力が供給され、青色LED3が青色光を発するようになっている。なお、ワイヤ6は青色LED3の構造にあわせて1本又は複数本が取り付けられる。
更に、フレーム2の凹部2Aには、青色LED3から発せられる光の一部を吸収し異なる波長を有する光を発する蛍光発光部4が設けられている。蛍光発光部4は、蛍光体と透明樹脂(封止材料)とで形成されている。本実施形態において、蛍光体は、青色LED3が発する青色光により励起されて、青色光よりも長波長の光である光を発する物質である。蛍光発光部4を構成する蛍光体は一種類であっても良いし、複数からなる混合物であってもよく、青色LED3の発する光と蛍光体発光部4の発する光の総和が所望の色になるように選べばよい。色は白色だけでなく、黄色、オレンジ、ピンク、紫、青緑等であっても良い。また、これらの色と白色との間の中間的な色であっても良い。ここでは、蛍光体として、本発明の蛍光体からなる黄色蛍光体(第1の蛍光体)と赤色蛍光体(第2の蛍光体)とを用い、発光装置から電球色の光が発せられるようになっているものとする。
また、透明樹脂は蛍光発光部4のバインダであり、ここでは、上述の封止材料を用いている。
モールド部7は、青色LED3、蛍光発光部4、ワイヤ6などを外部から保護するとともに、配光特性を制御するためのレンズとしての機能を持つ。モールド部7は主にエポキシ樹脂を用いる。
本実施形態の発光装置は以上のように構成されているので、青色LED3が発光すると、蛍光体発光部4内の黄色蛍光体と赤色蛍光体とが励起されて発光する。これにより、発光装置からは、青色LED3が発する青色光、黄色蛍光体が発する黄色光、及び、赤色蛍光体が発する赤色光からなる電球色の光が発せられることになるのである。
この際、本実施形態の発光装置では、黄色蛍光体として、温度特性に優れた本発明の蛍光体を使用している。このため、青色LED3が発熱したとしても黄色蛍光体が発する光の輝度は大きく低下することはなく、この結果、青色LED3の発熱による発光装置の発光強度の低下を抑制できると共に、発光装置が発する色が黄色光の輝度の低下により変化することを防止できる。
本発明の発光装置は、上記の実施形態のものに限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
例えば、第1の発光体として面発光型のものを使用し、第2の発光体として膜状のものを用いることができる。この場合、第1の発光体の発光面に、直接膜状の第2の発光体を接触させた形状とすることが好ましい。なお、ここでいう接触とは、第1の発光体と第2の発光体とが空気や気体を介さないでぴたりと接している状態をつくることを言う。その結果、第1の発光体からの光が第2の発光体の膜面で反射されて外にしみ出るという光量損失を避けることができるので、装置全体の発光効率を良くすることができる。
図2は、このように、第1の発光体として面発光型のものを用い、第2の発光体として膜状のものを適用した発光装置の一例を示す模式的な斜視図である。図2に示す発光装置8では、基板9上に第1の発光体としての面発光型GaN系LD10が設けられ、面発光型GaN系LD10の上に膜状の第2の発光体11が形成されている。ここで、相互に接触した状態をつくるためには、第1の発光体であるLD10と第2の発光体11とそれぞれ別個に用意して、それらの面同士を接着剤やその他の手段によって接触させても良いし、LD10の発光面上に第2の発光体11を成膜(成型)させても良い。これらの結果、LD11と第2の発光体11とを接触した状態とすることができる。
このような構成の発光装置8によれば、上記実施形態と同様の利点に加え、光量損失を避けて発光効率を向上させることが可能である。
[II−5.発光装置の用途]
本発明の発光装置の用途は特に制限されず、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用することが可能である。中でも、温度特性が良好であることから、本発明の発光装置は、画像表示装置及び照明装置の光源としてとりわけ好適に用いられる。なお、本発明の発光装置を画像表示装置の光源として用いる場合には、カラーフィルターとともに用いることが好ましい。
発光装置1を組み込んだ面発光照明装置12の一例を図3に模式的に示す。この面発光照明装置12では、内面を白色の平滑面等の光不透過性とした方形の保持ケース13の底面に、多数の発光装置1を、その外側に発光装置1の駆動のための電源及び回路等(図示せず。)を設けて配置してある。また、発光の均一化のために、保持ケース13の蓋部に相当する箇所には、乳白色としたアクリル板等の拡散板14が固定されている。
この面発光照明装置12の使用時には、発光装置1を発光させる。この光が拡散板14を透過して、図面上方に出射され、保持ケース13の拡散板14面内において均一な明るさの照明光が得られることとなる。
以下、本発明について、実施例及び比較例を示して更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これらに限定されるものではない。
[原料について]
結晶母体の原料は、窒化ランタン粉末、及び窒化ケイ素粉末(平均粒径0.5μm、酸素含有量0.93重量%、α型含有量92%の)を用いた。一方、付活元素の原料は、金属セリウムをアンモニア中で窒化して合成した窒化セリウムの粉末、又は、酸化セリウム粉末を用いた。
[実施例1]
窒化セリウム粉末と窒化ランタン粉末と窒化ケイ素粉末とを、それぞれ表1に示す重量(g)だけ秤量した。ここで、CeN及びLaNは、理論値よりも24%過剰に秤量している。続いて、メノウ乳棒と乳鉢で10分間混合を行なった後に、得られた混合物を、成型器により150kg/cmの圧力をかけて直径6.5mmのペレットに成型し、窒化ホウ素製のるつぼに入れた。なお、粉末の秤量、混合、成型、充填の各工程は全て、水分1ppm以下酸素1ppm以下の窒素雰囲気を保持することができるグローブボックス中で操作を行なった。
原料の入った窒化ホウ素製るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成の操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から800℃まで毎分20℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を0.92MPaとし、毎分20℃で1950℃まで昇温し、1950℃で2時間保持して行なった。焼成後に得られた試料を粗粉砕の後、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、Ce0.1La2.9Si11の粉(CeとLaのモル比は25%程度の誤差を含む)を得た。
原料とその仕込み重量を表1に、その仕込みモル比を表2に示す。また、表2には、得られた試料の中にLaSi11相とLaSi相とがどの程度生成しているかの目安となるそれぞれの相のX線回折主ピークの相対強度、元素分析によって得られた蛍光体中の酸素濃度、及び、励起スペクトルと発光スペクトルの測定によって得られた発光特性を示す。表2において、発光特性は、黄色発光ピークについては青色励起で、青色発光ピークについては近紫外励起で測定を行なった。各々の励起波長については表2に記載の通りである。
また、実施例1で作製した蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを、YAl12:Ce(即ち、YAG;化成オプトニクス社製、製品No.P46−Y3)と比較した。実施例1で作製した蛍光体(図4ではLaSi11:Ceで表記した)及びYAGの励起スペクトル及び発光スペクトルを、図4に示す。なお、励起スペクトル及び発光スペクトルは、日立製作所(株)製蛍光測定装置F―4500を用いて測定した。具体的には、励起・発光の三次元スペクトルをとり、励起ピーク位置と発光ピーク位置を決定後、それぞれのピーク位置で、発光スペクトルと励起スペクトルを精密測定した。
図4より、実施例1で作製した蛍光体は、近紫外領域の波長でも励起可能なことが分かる。なお、図4では、最大の発光ピークの大きさでピーク強度を規格化した規格化強度を縦軸としている。
また、図4から、実施例1で作製した蛍光体の発光スペクトルは、YAGの発光領域をほぼ全てカバーしており、YAGよりも低波長領域まで伸びていることが分かる。この点から、実施例1で作製した蛍光体は演色性を向上させることができるという利点があることが分かる。
なお、実施例1の蛍光体とYAGの発光スペクトルについて半値幅を求めたところ、実施例1では132nm、YAGでは129nmであった。この点からも、実施例1で作製した蛍光体は演色性を向上させることができるという利点があることが分かる。
また、実施例1の蛍光体の色度座標のx値、y値は、それぞれ、0.453、0.525であった。
[実施例2〜5及び比較例1〜3]
実施例2〜5及び比較例1〜3において、原料とその仕込み重量が異なること以外は、実施例1と同様に実験をした。原料とその仕込み重量は表1に、その仕込みモル比を表2に示す。また、表2には、得られた試料の中にLaSi11相とLaSi相がどの程度生成しているかの目安となるそれぞれの相のX線回折主ピークの相対強度、元素分析によって得られた蛍光体中の酸素濃度、及び、励起スペクトルと発光スペクトルの測定によって得られた発光特性を示す。表2において、発光特性は、黄色発光ピークについては青色光励起で、青色発光ピークについては近紫外光励起で測定を行なった。各々の励起波長については表2に記載の通りである。また、発光ピークの相対強度は、実施例1の黄色発光ピークの強度を100として、実施例2〜5、及び比較例1〜3の黄色及び/又は青色発光ピークの強度を求めた。
表2にみられるとおり、原料としてCeOを使用した場合、その量が小さい程、試料中酸素濃度が減少し、LaSi相の生成が抑制され、LaSi11相の生成量が増大する。それに伴い、LaSi相由来の青色発光強度が減少し、LaSi11相由来の黄色発光強度が増大することがわかる。一方、原料としてCeNを使用した場合、それを使用したモル比によらず黄色発光強度が強いことがわかる。更に、比較例1〜3にみられるとおり、CeOのモル比が0.15以上となると、黄色発光強度がゼロとなることがわかる。以上から、酸素濃度が低い方が、黄色発光領域において発光強度に優れることが分かる。
また、CeNを0.036モル使用して実施例1で製造した蛍光体、及び、CeOを0.061モル使用して比較例1で製造した蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルを図5に示す。なお、図5では、縦軸は発光の相対的な強度を示している。図5から、Ce源としてCeNを用いる等、蛍光体中の酸素濃度を低下させることにより黄色発光が得られることがわかった。また、図5に記載の励起スペクトルから、実施例1で作製した蛍光体(LaSi11相)は近紫外領域でも青色領域でも励起されるが、比較例1で作製した蛍光体(LaSi相)は、近紫外領域では励起されるが、青色領域では励起されないことがわかる。
Figure 0005544161
Figure 0005544161
[実施例6]
実施例2で作製した蛍光体を、王水20mLで10分攪拌後、14時間静置し、水洗・乾燥後、粉砕をした後、再び王水20mLで3時間40分攪拌し、水洗・乾燥して、励起スペクトルと発光スペクトルを測定し、王水処理した蛍光体の発光特性を得た。測定された励起スペクトルと発光スペクトルを図6に示す。また、図6には、実施例2で作製した蛍光体の励起スペクトル及び発光スペクトルも示す。なお、図6では、縦軸は発光の相対的な強度を示している。図6から、王水処理により青色LED励起黄色発光強度が1.6倍に増大することがわかる。
また、実施例2及び実施例6のそれぞれで作製した蛍光体について、X線回折パターンを測定した。測定結果を図7に示す。図7より、実施例2で作製した蛍光体にはLaSi11相以外の異相も含まれるが、実施例7で作製した蛍光体には、王水処理により異相がほとんど除去され、LaSi11単一相に近い蛍光体が得られることがわかり、青色LED励起黄色蛍光体がLaSi11:Ceであることが明らかとなった。
表3に、実施例2及び実施例6のそれぞれで作製した蛍光体の発光特性を示す。
Figure 0005544161
[実施例7]
原料の粉を成型しなかったこと以外は、実施例4と同様に実験をした。その発光特性を表4に示す。粉の場合も青色LED励起黄色発光強度が高いことがわかる。
Figure 0005544161
[実施例8]
実施例6において王水処理した蛍光体を用い、以下の方法によって輝度を測定し、温度特性の評価を行なった。また、比較のため、YAGについても同様に評価を行なった。
<温度特性の評価>
GaN系青色発光ダイオードの主波長である455nmで蛍光体を励起させ、窒素雰囲気下、加熱前の24℃、及び、加熱により設定される各温度において、トプコン社製輝度計BM−5Aを用いて輝度を測定した。
結果を図8に示す。なお、図8においては、各測定温度における発光強度を、24℃における発光強度を100とした場合の相対的強度を縦軸(維持率(%))として示している。図8より、実施例6で作製した蛍光体は、従来の蛍光体であるYAGと比較して、温度が高くなった場合でも輝度の維持率が高いため、温度特性に優れていることが分かる。
本発明の蛍光体の用途は特に制限されず、通常の蛍光体が用いられる各種の分野に使用可能であるが、温度特性に優れているという特性を生かして、近紫外LEDや青色LED等の光源で励起される一般照明用発光体を実現する目的に適している。
また、上述のような特性を有する本発明の蛍光体を用いた本発明の発光装置は、通常の発光装置が用いられる各種の分野に使用可能であるが、中でも画像表示装置や照明装置の光源としてとりわけ好適に用いられる。
1 発光装置
2 フレーム
2A フレームの凹部
3 青色LED(第1の発光体)
4 蛍光発光部(第2の発光体)
5 銀ペースト
6 ワイヤ
7 モールド部
8 発光装置
9 基板
10 面発光型GaN系LD(第1の発光体)
11 第2の発光体
12 面発光照明装置
13 保持ケース
14 拡散板

Claims (5)

  1. 下記式[1]の化学組成を有する結晶相を含有し、かつ、
    480nm以上、650nm以下の波長範囲に発光ピークを有する蛍光体の製造方法であって、
    得られる蛍光体の結晶相が下記式[1]の化学組成となるように、少なくとも、Ce源、MIII源、MIV源、及びX−III源を、所定の割合で混合して混合物とし、該混合物中の酸素含有量が、原料中のSi量6モルに対し、0.12モル以下であり、
    次いで前記混合物を焼成する焼成工程を有する蛍光体の製造方法であって、
    前記Ce源が窒化物、酸化物、又はハロゲン化物であり、
    前記M III 源が窒化物であり、
    前記X −III 源が窒化ランタンまたは窒化珪素である
    ことを特徴とする蛍光体の製造方法。
    CeIII 3−xIV −III [1]
    (前記式[1]において、
    IIIは、前記式[1]の結晶構造においてCeとともに3価のサイトに入る金属元素で
    あって、La、Lu、Y、Gd、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Ho、Er、Yb、Sc、Ga、In、Al、Ga、Biからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、Laを必須元素とし、且つ、90モル%以上が3価の金属元素で占められ、前記3価の金属元素の中でLaが90モル%以上を占める元素を表わし、
    IVは、前記式[1]の結晶構造において4価のサイトに入る金属元素であって、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、Siを必須元素とし、且つ、90モル%以上が4価の金属元素で占められ、前記4価の金属元素の中でSiが90モル%以上を占める元素を表わし、
    −IIIは、前記式[1]の結晶構造において−3価のサイトに入る元素であって、N、O、S、F、Clからなる群より選ばれる1種又は2種以上を含み、且つ、窒素元素を必須元素とし、前記窒素が85モル%以上を占める元素を表わし、
    xは、0.005≦x≦0.4を満足する数を表わし、
    yは、5.7≦y≦6.3を満足する数を表わし、
    zは、10.5≦z≦11.6を満足する数を表わす。)
  2. 前記焼成工程後に、少なくとも洗浄、乾燥、分級、表面処理のいずれかの処理を行う
    ことを特徴とする、請求項1に記載の蛍光体の製造方法。
  3. 前記蛍光体中の酸素含有率が1.8重量%以下となるように、原料を選択する
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の蛍光体の製造方法。
  4. 焼成温度が1400℃以上2300℃以下である
    ことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。
  5. 焼成時に、酸素濃度が20ppm以下の不活性ガスを用いる
    ことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の蛍光体の製造方法。
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