実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る中空積層構造体を示す図であり、図1(a)は全体図、図1(b)は分解図、図1(c)は図1(a)のA−A線に沿った断面を矢印方向から見た図である。なお、図中、同一、相当部分には同一符号を付している。
本実施の形態1に係る中空積層構造体100は、任意の形状が加工された複数の板状体を所定の順序で積層することにより、任意の中空構造(図示せず)を実現するものである。また、その所定の順序で積層したときのみ互いに嵌合する穴部と突起部からなる嵌め込み構造Aを有する。嵌め込み構造Aを構成する突起部および穴部は、各板状体の中空構造を実現するための形状に影響がない箇所に設けられている。
中空積層構造体100においては、各板状体の積層順序、裏表方向、または板状体面内における上下左右方向に誤りがあった場合、あるいは積層される板状体に重複や抜けがあった場合、任意の中空構造が実現できないため不良品となる。そこで、所定の順序で積層したときのみ互いに嵌合する穴部と突起部からなる嵌め込み構造Aを設けることにより、各板状体の積層順序、裏表方向、板状体面内における上下左右方向、および積層される板状体の重複や抜けを容易に確認でき、それらに起因する不良品を容易且つ迅速に抽出できるようにしたものである。
以下に、嵌め込み構造Aについて詳細に説明する。嵌め込み構造Aは、所定の順序で積層されたn枚の板状体を、その積層順に1枚目、・・m枚目・・、n枚目の板状体としたとき(m、nは整数、1<m<n、3≦n)、中空積層構造体の最表面となる1枚目の板状体は、2枚目の板状体側に開口した第1穴部を有する。また、m枚目の板状体は、(m−1)枚目の板状体の方向に突出し、(m−1)枚目の板状体が有する第(m−1)穴部に嵌合する第m突起部を有するとともに、第m突起部とは別の箇所に(m+1)枚目の板状体側に開口した第m穴部を有する。さらに、n枚目の板状体は、(n−1)枚目の板状体の方向に突出し、(n−1)枚目の板状体が有する第(n−1)穴部に嵌合する第n突起部を有する。
中空積層構造体100における嵌め込み構造Aでは、各穴部は、その穴部を有する板状体を積層方向に貫通しており、各穴部の深さ寸法は各板状体の板厚に等しい。また、各突起部は筒状体で構成され、これらの筒状体はその突出方向側の端部を塞ぐ頂部を有している。
具体的には、図1(c)に示すように、1枚目の板状体である第1板状体1は、第1板状体1を貫通する第1穴部1bを有する。なお、図1では、第1板状体1は第1突起部1aを有しているが、第1突起部1aは嵌め込み構造Aには直接関係していないため、無くてもよい。しかし、第1突起部1aの突出方向によって第1板状体1の表裏方向を確認できる。
2枚目の板状体である第2板状体2は、第1板状体1の方向に突出し、第1板状体1が有する第1穴部1bに嵌合する第2突起部2aを有するとともに、第2突起部2aとは別の箇所に第2板状体2を貫通する第2穴部2bを有する。また、3枚目の板状体である第3板状体3は、第2板状体2の方向に突出し、第2板状体2が有する第2穴部2bに嵌合する第3突起部3aを有するとともに、第3突起部3aとは別の箇所に第3板状体3を貫通する第3穴部3bを有する。
さらに、4枚目の板状体である第4板状体4は、第3板状体3の方向に突出し、第3板状体3が有する第3穴部3bに嵌合する第4突起部4aを有する。なお、図1では、第4板状体4は第4穴部4bを有しているが、第4穴部4bは嵌め込み構造Aには直接関係していないため、無くてもよい。
嵌め込み構造Aの具体的な寸法として、図1に示す例では、第1板状体1および第2板状体2の板厚をそれぞれ5mm、第3板状体3の板厚を4mm、第4板状体4の板厚を2mmとし、互いに嵌合する突起部と穴部の隙間を0.5mmとしたとき、各穴部1b、2b、3b、4bの直径は5mm、各突起部1a、2a、3a、4aの直径は4.5mmと設定することができる。
また、各突起部の高さ寸法は、その突起部が嵌合する穴部の深さ寸法、すなわち突出方向に隣り合う板状体の板厚と等しく設定することができる。図1に示す例では、中空積層構造体100の最表面となる第1板状体1の第1突起部1aの高さ寸法を第1板状体1の板厚と同じ5mmとし、第2突起部2aの高さ寸法を第1板状体1の板厚と同じ5mm、第3突起部3aの高さ寸法を第2板状体2の板厚と同じ5mm、第4突起部4aの高さ寸法を第3板状体3の板厚と同じ4mmと設定することができる。
中空積層構造体100における嵌め込み構造Aによれば、各突起部の突出方向によって各板状体の表裏方向を確認できる。例えば図1に示すように、突起部が突出している面を各板状体の表面と定義することができる。また、各突起部の位置によって、各板状体の面内における上下左右方向を確認できる。例えば図1(b)では、中空積層構造体100の四つの角部のうちの一つに全ての突起部が配置されているが、いずれかの突起部がその他の角部に配置されていた場合は、その突起部を有する板状体は面内における上下左右方向が正しくないと判断できる。
さらに、各板状体の突起部と穴部の位置関係により、中空積層構造体100における各板状体の積層順序が確認できるとともに、板状体の重複や抜けを抽出できる。例えば図2(a)は、同じ板状体(第2板状体2)が2枚重複している状態を示している。この例では、それぞれの第2板状体2が有する第2突起部2aの位置が重なるため積層できない。また、図2(a)において、上側の第2板状体2の第2穴部2bに下側の第2板状体2の第2突起部2aを嵌合させると、全体的な外形がずれてしまい、不良品であることがわかる。
また、図2(b)は、第3板状体3の上に第1板状体1を積層し、第2板状体2が抜けた状態を示している。このように、第1板状体1の第1穴部1bに第3板状体3の第3突起部3aを嵌合させると、全体的な外形がずれてしまい、不良品であることがわかる。また、第1板状体1と第3板状体3の外形を揃えると、第1板状体1の第1穴部1bと第3板状体3の第3突起部3aの位置がずれるため嵌合しない。また、突起部の高さ寸法よりも突起部を嵌合した穴部の深さ寸法が小さい場合も、突起部が板状体表面から突出するため不良品であることがわかる。
なお、本実施の形態1では、嵌め込み構造Aの形状例として、円柱状の筒状体である突起部を用いたが、嵌め込み構造Aの形状はこれに限定されるものではなく、四角柱状や多角柱状の筒状体、または曲げと切欠き等の構造でもよい。また、嵌め込み構造Aを有する各板状体は、プレス加工、切削加工、エッチングおよび射出成形のいずれの手段により作製されたものであってもよい。また、図2(c)に示すように、突起部に頂部を設けなくてもよい。
以上のように、本実施の形態1に係る中空積層構造体100によれば、所定の順序で積層したときのみ互いに嵌合する穴部と突起部からなる嵌め込み構造Aを有することにより、各板状体の積層順序、裏表方向、板状体面内における上下左右方向、および積層される板状体の重複や抜けを容易に確認でき、それらに起因する不良品を容易且つ迅速に抽出することが可能である。従って、この中空積層構造体100をアンテナ、導波管、車載用電波レーダ等に用いることにより、組み立て作業の効率化および歩留まり向上等の効果を奏する。
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2に係る中空積層構造体を示す図であり、図3(a)は全体図、図3(b)は図3(a)のB−B線に沿った断面を矢印方向から見た図、図3(c)は、積層される板状体の抜けがある状態を示す図である。なお、図中、同一、相当部分には同一符号を付している。
本実施の形態2に係る中空積層構造体101が有する嵌め込み構造Aは、上記実施の形態1で説明したものと基本的な構成は同じであるので、詳細な説明は省略する。ただし、中空積層構造体101は、嵌め込み構造Aには直接関係していない第1板状体11の第1突起部と、第4板状体14の第4穴部を有していない。さらに、第2突起部12aは、その高さ寸法が、第1穴部11bの深さ寸法よりも小さく設定されている。これにより、中空積層構造体101の最表面となる第1板状体11の表面からは何も突出していない。
具体的には、図3(b)に示すように、第1板状体11は、第1板状体11を貫通する第1穴部11bを有する。第2板状体12は、第1板状体11の方向に突出し、第1板状体11が有する第1穴部11bに嵌合する第2突起部12aを有するとともに、第2突起部12aとは別の箇所に第2板状体12を貫通する第2穴部12bを有する。
また、第3板状体13は、第2板状体12の方向に突出し、第2板状体12が有する第2穴部12bに嵌合する第3突起部13aを有するとともに、第3突起部13aとは別の箇所に第3板状体13を貫通する第3穴部13bを有する。さらに、第4板状体14は、第3板状体13の方向に突出し、第3板状体13が有する第3穴部13bに嵌合する第4突起部14aを有する。
本実施の形態2における嵌め込み構造Aにおいても、上記実施の形態1と同様に、各板状体の積層順序、裏表方向、板状体面内における上下左右方向、および積層される板状体の重複や抜けを容易に確認できる。なお、本実施の形態2では、図3(c)に示すように、第1板状体11が抜けた状態のとき、中空積層構造体101の最表面に第2板状体12の第2突起部12aが突出しているため、不良品であることがわかる。
本実施の形態2によれば、上記実施の形態1と同様の効果に加え、中空積層構造体101の最表面から突起部が突出していないため、アダプタ等の部品に組み付け易く、アンテナとして使用する場合には電波特性に影響を与えないという効果を奏する。
実施の形態3.
図4は、本発明の実施の形態3に係る中空積層構造体を示す図であり、図4(a)は全体図、図4(b)は図4(a)のC−C線に沿った断面を矢印方向から見た図である。なお、図中、同一、相当部分には同一符号を付している。
本実施の形態3に係る中空積層構造体102が有する嵌め込み構造Aは、上記実施の形態1で説明したものと基本的な構成は同じであるので、詳細な説明は省略する。ただし、中空積層構造体102は、上記実施の形態2に係る中空積層構造体101と同様に、第1板状体の第1突起部と、第4板状体の第4穴部を有していない。さらに、第2突起部22aは、その高さ寸法が、第1穴部21bの深さ寸法と等しく設定されている。これにより、中空積層構造体102の最表面となる第1板状体21の表面からは何も突出しておらず、第2突起部22aの頂部が中空積層構造体102の最表面と同じ面位置にある。
具体的には、図4(b)に示すように、第1板状体21は、第1板状体21を貫通する第1穴部21bを有する。第2板状体22は、第1板状体21の方向に突出し、第1板状体21が有する第1穴部21bに嵌合する第2突起部22aを有するとともに、第2突起部22aとは別の箇所に第2板状体22を貫通する第2穴部22bを有する。
また、第3板状体23は、第2板状体22の方向に突出し、第2板状体22が有する第2穴部22bに嵌合する第3突起部23aを有するとともに、第3突起部23aとは別の箇所に第3板状体23を貫通する第3穴部23bを有する。さらに、第4板状体24は、第3板状体23の方向に突出し、第3板状体23が有する第3穴部23bに嵌合する第4突起部24aを有する。
本実施の形態3によれば、上記実施の形態1と同様の効果に加え、中空積層構造体102の最表面から突起部が突出しておらず、最表面に穴部もないため、アダプタ等の部品に組み付け易く、アンテナとして使用する場合には、上記実施の形態2に係る中空積層構造体101よりも電波特性に影響を与えないという効果を奏する。
実施の形態4.
図5は、本発明の実施の形態4に係る中空積層構造体を示す図であり、図5(a)は全体図、図5(b)は図5(a)のD−D線に沿った断面を矢印方向から見た図である。なお、図中、同一、相当部分には同一符号を付している。
本実施の形態4に係る中空積層構造体103は、任意の形状が加工された複数の板状体を所定の順序で積層することにより、任意の中空構造(図示せず)を実現するものである。また、その所定の順序で積層したときのみ互いに嵌合する穴部と突起部からなる嵌め込み構造Bを有する。嵌め込み構造Bを構成する突起部および穴部は、各板状体の中空構造を実現するための形状に影響がない箇所に設けられている。
中空積層構造体103においては、各板状体の積層順序、裏表方向、または板状体面内における上下左右方向に誤りがあった場合、あるいは積層される板状体に重複や抜けがあった場合、任意の中空構造が実現できないため不良品となる。そこで、所定の順序で積層したときのみ互いに嵌合する穴部と突起部からなる嵌め込み構造Bを設けることにより、各板状体の積層順序、裏表方向、板状体面内における上下左右方向、および積層される板状体の重複や抜けを容易に確認でき、それらに起因する不良品を容易且つ迅速に抽出できるようにしたものである。
以下に、嵌め込み構造Bについて詳細に説明する。嵌め込み構造Bは、所定の順序で積層されたn枚の板状体を、その積層順に1枚目、・・m枚目・・、n枚目の板状体としたとき(m、nは整数、1<m<n、3≦n)、中空積層構造体の最表面となる1枚目の板状体は、積層方向に貫通した(n−1)個の第1穴部を有する。
また、m枚目の板状体は、(m−1)枚目の板状体の方向に突出し、(m−1)枚目の板状体が有する積層方向に貫通した第(m−1)穴部のうちの1つに嵌合する第m突起部を有するとともに、第m突起部とは別の箇所で且つ第(m−1)穴部と重なる箇所に、積層方向に貫通した(n−m)個の第m穴部を有する。さらに、n枚目の板状体は、(n−1)枚目の板状体の方向に突出し、(n−1)枚目の板状体が有する積層方向に貫通した第(n−1)穴部に嵌合する第n突起部を有する。
中空積層構造体103における嵌め込み構造Bでは、各突起部は筒状体で構成され、これらの筒状体は、その突出方向側の端部を塞ぐ頂部を有している。また、各穴部は、その穴部を有する板状体を積層方向に貫通しており、各穴部の深さ寸法は各板状体の板厚に等しい。さらに、第m穴部は、第1穴部に連通しており、第m突起部は、第(m−1)穴部とこれに連通する第1穴部に嵌合し、且つ第1穴部から突出する高さ寸法に設定されている。
具体的には、図5(b)に示すように、1枚目の板状体である第1板状体31は、積層方向に貫通した3個の第1穴部311b、312b、313bを有する。なお、図5(b)では、第1板状体31は第1突起部31aを有しているが、この第1突起部31aは嵌め込み構造Bには直接関係していないため、無くてもよい。しかし、第1突起部31aの突出方向によって第1板状体31の表裏方向を確認できる。
また、2枚目の板状体である第2板状体32は、第1板状体31の方向に突出し、第1板状体31が有する積層方向に貫通した第1穴部のうちの1つである第1穴部311bに嵌合する第2突起部32aを有するとともに、第2突起部32aとは別の箇所で且つ第1穴部312b、313bと重なる箇所に、積層方向に貫通した2個の第2穴部322b、323bを有する。
また、3枚目の板状体である第3板状体33は、第2板状体32の方向に突出し、第2板状体32が有する積層方向に貫通した第2穴部のうちの1つである第2穴部322bと、これに重なる第1穴部312bに嵌合する第3突起部33aを有するとともに、第3突起部33aとは別の箇所で且つ第2穴部323bと重なる箇所に、積層方向に貫通した1個の第3穴部333bを有する。さらに、4枚目の板状体である第4板状体34は、第3板状体33の方向に突出し、第3板状体33が有する積層方向に貫通した第3穴部333bと、これに重なる第2穴部323bと第1穴部313bに嵌合する第4突起部34aを有する。
嵌め込み構造Bの具体的な寸法として、図5に示す例では、第1板状体31および第2板状体32の厚みをそれぞれ5mm、第3板状体33の厚みを4mm、第4板状体34の厚みを2mmとし、互いに嵌合する突起部と穴部の周面の隙間を0.5mmとしたとき、各穴部311b、312b、313b、322b、323b、333bの直径は5mm、各突起部31a、32a、33a、34aの直径は4.5mmと設定することができる。
また、各突起部の高さ寸法は、その突起部が嵌合する全ての連通した穴部の深さ寸法の合計よりも大きく設定される。例えば、第1板状体31の第1突起部31aの高さ寸法を第1板状体31の板厚と同じ5mmとし、第2突起部32aの高さ寸法を第1板状体31の板厚よりも5mm大きい10mm、第3突起部33aの高さ寸法を第1板状体31と第2板状体32の板厚の合計10mmよりも5mm大きい15mm、第4突起部34aの高さ寸法を第1板状体31、第2板状体32および第3板状体33の板厚の合計14mmよりも5mm大きい19mmと設定することができる。これにより、全ての突起部31a、32a、33a、34aは、中空積層構造体103の最表面となる第1板状体31表面からそれぞれ5mm突出する。
中空積層構造体103における嵌め込み構造Bによれば、各突起部の突出方向によって各板状体の表裏方向を確認できる。例えば図5に示すように、突起部が突出している面を各板状体の表面と定義することができる。また、突起部の位置によって、各板状体の面内における上下左右方向を確認できる。例えば図5(a)では、中空積層構造体103の四つの角部のうちの一つに全ての突起部が配置されているが、いずれかの突起部がその他の角部に配置されていた場合、その突起部を有する板状体は面内における上下左右方向が正しくないと判断できる。
さらに、各板状体の突起部と穴部の位置関係により、中空積層構造体103における各板状体の積層順序が確認できるとともに、板状体の重複や抜けを抽出できる。例えば図6(a)は、第1板状体31が抜けた状態を示している。第1板状体31が抜けた場合、中空積層構造体の表面に突起部が3個しか突出しておらず、且つ表面に突出している突起部の高さ寸法が正しく積層された場合よりも大きいので不良品であることがわかる。
また、図6(b)は、第4板状体34が抜けた状態を示している。第4板状体34が抜けた場合、中空積層構造体の表面に突起部が3個しか突出しておらず、また、中空積層構造体の積層方向に貫通した穴ができている。なお、第2板状体32、第3板状体33が抜けた場合も、中空積層構造体の表面に穴ができる。このように、板状体の抜けがある場合、中空積層構造体表面の突起部の個数や穴の存在で積層抜けが抽出でき、それらの位置関係でどの板状体が抜けているのか判断できる。さらに、同じ板状体が重複した場合には、それぞれの板状体が有する突起部の位置が重なり積層できないため、不良品であることがわかる。
なお、本実施の形態4では、嵌め込み構造Bの形状例として、円柱状の筒状体である突起部を用いたが、嵌め込み構造Bの形状はこれに限定されるものではなく、四角柱状や多角柱状の筒状体、または曲げと切欠き等の構造でもよい。また、筒状体には、突出方向側の端部を塞ぐ頂部を設けなくてもよい。さらに、嵌め込み構造Bを有する各板状体は、プレス加工、切削加工、エッチングおよび射出成形のいずれの手段により作製されたものであってもよい。
以上のように、本実施の形態4に係る中空積層構造体103によれば、所定の順序で積層したときのみ互いに嵌合する穴部と突起部からなる嵌め込み構造Bを有することにより、各板状体の積層順序、裏表方向、板状体面内における上下左右方向、および積層される板状体の重複や抜けを容易に確認でき、それらに起因する不良品を容易且つ迅速に抽出することが可能である。従って、この中空積層構造体103をアンテナ、導波管、車載用電波レーダ等に用いることにより、組み立て作業の効率化および歩留まり向上等の効果を奏する。
実施の形態5.
図7は、本発明の実施の形態5に係る中空積層構造体を示す図である。本実施の形態5に係る中空積層構造体が有する嵌め込み構造Bは、上記実施の形態4で説明したものと基本的な構成は同じであるので、詳細な説明は省略する。ただし、本実施の形態5に係る中空積層構造体は、嵌め込み構造Bには直接関係していない第1板状体41の第1突起部を有していない。
また、本実施の形態5に係る中空積層構造体の嵌め込み構造Bは、所定の順序で積層されたn枚の板状体を、その積層順に1枚目、・・m枚目・・、n枚目の板状体としたとき(m、nは整数、1<m<n、3≦n)、第m穴部は、第1穴部に連通している。さらに、第m突起部は、その高さ寸法が、第(m−1)穴部の深さ寸法よりも小さく設定される。これにより、中空積層構造体の最表面となる第1板状体41の表面からは何も突出していない。
具体的には、図7に示すように、第1板状体41は、積層方向に貫通した3個の第1穴部411b、412b、413bを有する。第2板状体42は、第1板状体41の方向に突出し、第1板状体41が有する積層方向に貫通した第1穴部のうちの1つである第1穴部411bに嵌合する第2突起部42aを有するとともに、第2突起部42aとは別の箇所で且つ第1穴部412b、413bと重なる箇所に、積層方向に貫通した2個の第2穴部422b、423bを有する。
また、第3板状体43は、第2板状体42の方向に突出し、第2板状体42が有する積層方向に貫通した第2穴部のうちの1つである第2穴部422bに嵌合する第3突起部43aを有するとともに、第3突起部43aとは別の箇所で且つ第2穴部423bと重なる箇所に、積層方向に貫通した1個の第3穴部433bを有する。さらに、第4板状体44は、第3板状体43の方向に突出し、第3板状体43が有する積層方向に貫通した第3穴部433bに嵌合する第4突起部44aを有する。
本実施の形態5によれば、上記実施の形態4と同様の効果に加え、中空積層構造体の最表面から突起部が突出していないため、アダプタ等の部品に組み付け易く、アンテナとして使用する場合には電波特性に影響を与えないという効果を奏する。
実施の形態6.
図8は、本発明の実施の形態6に係る中空積層構造体を示す図である。本実施の形態6に係る中空積層構造体が有する嵌め込み構造Bは、上記実施の形態4で説明したものと基本的な構成は同じであるので、詳細な説明は省略する。ただし、本実施の形態6に係る中空積層構造体は、嵌め込み構造Bには直接関係していない第1板状体51の第1突起部を有していない。
また、本実施の形態6に係る中空積層構造体の嵌め込み構造Bは、所定の順序で積層されたn枚の板状体を、その積層順に1枚目、・・m枚目・・、n枚目の板状体としたとき(m、nは整数、1<m<n、3≦n)、第m穴部は、第1穴部に連通している。さらに、第m突起部は、第(m−1)穴部に連通する第1穴部に嵌合し、且つ第1穴部から突出しない高さ寸法に設定される。
図8に示す例では、各突起部の高さ寸法は、その突起部が嵌合する全ての連通した穴部の深さ寸法の合計と等しく設定されている。これにより、中空積層構造体の最表面となる第1板状体51の表面からは何も突出しておらず、第2突起部52a、第3突起部53aおよび第4突起部54aの頂部は、中空積層構造体の最表面である第1板状体51表面と同じ面位置にある。
具体的には、図8に示すように、第1板状体51は、積層方向に貫通した3個の第1穴部511b、512b、513bを有する。第2板状体52は、第1板状体51の方向に突出し、第1板状体51が有する積層方向に貫通した第1穴部のうちの1つである第1穴部511bに嵌合する第2突起部52aを有するとともに、第2突起部52aとは別の箇所で且つ第1穴部512b、513bと重なる箇所に、積層方向に貫通した2個の第2穴部522b、523bを有する。
また、第3板状体53は、第2板状体52の方向に突出し、第2板状体52が有する積層方向に貫通した第2穴部のうちの1つである第2穴部522bとこれに重なる第1穴部512bに嵌合する第3突起部53aを有するとともに、第3突起部53aとは別の箇所で且つ第2穴部523bと重なる箇所に、積層方向に貫通した1個の第3穴部533bを有する。さらに、第4板状体54は、第3板状体53の方向に突出し、第3板状体53が有する積層方向に貫通した第3穴部533bとこれに重なる第2穴部523bと第1穴部513bに嵌合する第4突起部54aを有する。
本実施の形態6によれば、上記実施の形態4と同様の効果に加え、中空積層構造体の最表面から突起部が突出しておらず、最表面に穴部もないため、アダプタ等の部品に組み付け易く、アンテナとして使用する場合には、上記実施の形態5に係る中空積層構造体よりも電波特性に影響を与えないという効果を奏する。
実施の形態7.
図9は、本発明の実施の形態7に係る中空積層構造体を示す図であり、図9(a)は全体図、図9(b)は図9(a)のE−E線に沿った断面を矢印方向から見た図である。また、図10は、本発明の実施の形態7における挿し込み構造の凹部と凸部の寸法を説明する図である。なお、図中、同一、相当部分には同一符号を付している。
本実施の形態7に係る中空積層構造体104は、任意の形状が加工された複数の板状体を所定の順序で積層することにより、任意の中空構造(図示せず)を実現するものである。また、その所定の順序で積層したときのみ互いに嵌合する凸部と凹部からなる挿し込み構造を有する。挿し込み構造を構成する凸部および凹部は、各板状体の中空構造を実現するための形状に影響がない箇所に設けられている。
中空積層構造体104においては、各板状体の積層順序、裏表方向、または板状体面内における上下左右方向に誤りがあった場合、あるいは積層される板状体に重複や抜けがあった場合、任意の中空構造が実現できないため不良品となる。そこで、所定の順序で積層したときのみ互いに嵌合する凸部と凹部からなる挿し込み構造を設けることにより、各板状体の積層順序、裏表方向、板状体面内における上下左右方向、および積層される板状体の重複や抜けを容易に確認でき、それらに起因する不良品を容易且つ迅速に抽出できるようにしたものである。
以下に、挿し込み構造について詳細に説明する。挿し込み構造は、所定の順序で積層されたn枚の板状体を、その積層順に1枚目、・・m枚目・・、n枚目の板状体としたとき(m、nは整数、1<m<n、3≦n)、中空積層構造体の最表面となる1枚目の板状体は、2枚目の板状体側に開口した第1凹部を有する。
また、m枚目の板状体は、(m−1)枚目の板状体の方向に突出し、(m−1)枚目の板状体が有する第(m−1)凹部に嵌合する第m凸部を有するとともに、第m凸部の内部がくり貫かれてなる(m+1)枚目の板状体側に開口した第m凹部を有する。さらに、n枚目の板状体は、(n−1)枚目の板状体の方向に突出し、(n−1)枚目の板状体が有する第(n−1)凹部に嵌合する第n凸部を有する。
中空積層構造体104における挿し込み構造では、1枚目の板状体は、2枚目の板状体と反対の方向に突出した第1凸部を有し、第1凹部は、第1凸部の内部がくり貫かれてなる。また、各凸部は筒状体で構成され、これらの筒状体は、その突出方向側の端部を塞ぐ頂部を有している。すなわち、各凹部の深さ寸法は、各凸部の高さ寸法と各板状体の板厚の合計から、各凸部の頂部の厚さ寸法を引いたものに等しい。
具体的には、図9(b)に示すように、1枚目の板状体である第1板状体61は、2枚目の板状体である第2板状体62と反対の方向に突出した第1凸部61aと、第2板状体62側に開口した第1凹部61bを有している。この第1凹部61bは、第1凸部61aの内部がくり貫かれてなるものである。また、第2板状体62は、第1板状体61の方向に突出し、第1板状体61が有する第1凹部61bに嵌合する第2凸部62aを有するとともに、第2凸部62aの内部がくり貫かれてなる第2凹部62bを有している。第2凹部62bは、3枚目の板状体である第3板状体63側に開口している。
また、第3板状体63は、第2板状体62の方向に突出し、第2板状体62が有する第2凹部62bに嵌合する第3凸部63aを有するとともに、第3凸部63aの内部がくり貫かれてなる第3凹部63bを有している。第3凹部63bは、4枚目の板状体である第4板状体64側に開口している。さらに、第4板状体64は、第3板状体63の方向に突出し、第3板状体63が有する第3凹部63bに嵌合する第4凸部64aを有する。なお、第4板状体64は、第4凸部の内部がくり貫かれてなる第4凹部64bを有しているが、この第4凹部64bは挿し込み構造には直接関係していない。
中空積層構造体104における挿し込み構造の凹部と凸部の寸法の関係について、図10を用いて説明する。挿し込み構造において、第m凸部の高さ寸法をAmとし、第m凹部内部の深さ寸法をBmとしたとき、Am<Bm−1<Am+1<Bmの関係が成り立つ。これについて、以下に詳細に説明する。
第1板状体61の第1凸部61aの高さ寸法A1は任意の値とし、第(m+1)板状体の第(m+1)凸部の高さ寸法Am+1は、第m板状体の第m凹部の深さ寸法Bmより小さく(Am+1<Bm)、第(m−1)板状体の第(m−1)凹部の深さ寸法Bm−1は、第(m+1)板状体の第(m+1)凸部の高さ寸法Am+1よりも小さく(Bm−1<Am+1)、第m板状体の第m凸部の高さ寸法Amは、第(m−1)板状体の第(m−1)凹部の深さ寸法Bm−1よりも小さい(Am<Bm−1)。従って、Am<Bm−1<Am+1<Bmの関係が成り立つ。
具体的には、図10において、第1板状体61および第2板状体62の板厚をそれぞれ3mm、第3板状体63および第4板状体64の板厚をそれぞれ6mmとし、互いに嵌合する凸部の頂部と凹部の底部の間隔を0.5mm、各凸部の頂部の厚さ寸法を0.5mmとしたとき、第1板状体61の第1凸部61aの高さ寸法A1は第1板状体61の板厚と同じ3mm、第1板状体61の第1凹部61bの深さ寸法B1は、第1凸部61aの高さ寸法A1と第1板状体61の板厚3mmの和から第1突起部61a頂部の厚さ0.5mmを引いた5.5mmとなる。また、第2板状体62の第2凸部62aの高さ寸法A2は、第1板状体61の第1凹部61bの深さ寸法B1より0.5mm小さい5mm、第2板状体62の第2凹部62bの深さ寸法B2は、第2凸部62aの高さ寸法A2と第2板状体62の板厚3mmの和から第2突起部62a頂部の厚さ0.5mmを引いた7.5mmとなる。
同様に、第3板状体63の第3凸部63aの高さ寸法A3は、第2板状体62の第2凹部62bの深さ寸法B2より0.5mm小さい7mm、第3板状体63の第3凹部63bの深さ寸法B3は、第3凸部63aの高さ寸法A3と第3板状体63の板厚6mmの和から第3突起部63a頂部の厚さ0.5mmを引いた12.5mmとなる。さらに、第4板状体64の第4凸部64aの高さ寸法A4は、第3板状体63の第3凹部63bの深さ寸法B3より0.5mm小さい12mm、第4板状体64の第4凹部64bの深さ寸法B4は、第4凸部64aの高さ寸法A4と第4板状体64の板厚6mmの和から第4突起部64a頂部の厚さ0.5mmを引いた17.5mmとなる。
中空積層構造体104における挿し込み構造によれば、各凸部の突出方向によって各板状体の表裏方向を確認できる。例えば図9に示すように、凸部が突出している面を各板状体の表面と定義することができる。また、各凸部の位置によって、各板状体の面内における上下左右方向を確認できる。例えば、図9(a)では、中空積層構造体104の四つの角部のうちの一つにすべての凸部が配置されているが、いずれかの凸部がその他の角部に配置されていた場合、その凸部を有する板状体は面内における上下左右方向が正しくないと判断できる。
さらに、各板状体の凸部の高さ寸法と凹部の深さ寸法の関係により、中空積層構造体104における各板状体の積層順序が確認できるとともに、板状体の重複や抜けを抽出できる。例えば図11(a)は、第3板状体63が抜けた状態を示している。このように第3板状体63が抜けた場合、第2板状体62と第4板状体64の間に隙間ができるため積層できない。また、第2板状体62が抜けた場合も同様に、第1板状体61と第3板状体63の間に隙間ができる。第1板状体61が抜けた場合には、中空積層構造体104の最表面に第2板状体62の第2凸部62aが突出するため、凸部の高さの違いで不良品であることがわかる。また、第4板状体64が抜けた場合には、中空積層構造体104全体の厚さが正常な場合よりも小さくなるため、積層抜けを抽出できる。
また、図11(b)は、第2板状体62と第3板状体63の積層順序が逆になった状態を示している。このように積層順序が逆になった場合や、同じ板状体を重複して積層した場合には、凸部が凹部に挿し込めないため不良品であることがわかる。
なお、本実施の形態7では、挿し込み構造の形状例として、円柱状の凸部とこれをくり貫いた凹部を用いたが、挿し込み構造の形状はこれに限定されるものではなく、四角柱状や多角柱状でもよい。また、凸部には、突出方向側の端部を塞ぐ頂部を設けなくてもよい。さらに、挿し込み構造を有する各板状体は、プレス加工、切削加工、エッチングおよび射出成形のいずれの手段により作製されたものであってもよい。
以上のように、本実施の形態7に係る中空積層構造体104によれば、所定の順序で積層したときのみ互いに嵌合する凸部と凹部からなる挿し込み構造を有することにより、各板状体の積層順序、裏表方向、板状体面内における上下左右方向、および積層する板状体の重複や抜けを容易に確認でき、それらに起因する不良品を容易且つ迅速に抽出することが可能である。従って、この中空積層構造体104をアンテナ、導波管、車載用電波レーダ等に用いることにより、組み立て作業の効率化および歩留まり向上等の効果を奏する。
さらに、本実施の形態7における挿し込み構造は、上記実施の形態1〜実施の形態3における嵌め込み構造A、および上記実施の形態4〜実施の形態6における嵌め込み構造Bよりもスペースをとらないという利点がある。
実施の形態8.
図12は、本発明の実施の形態8に係る中空積層構造体を示す図である。本実施の形態8に係る中空積層構造体が有する挿し込み構造は、上記実施の形態7で説明したものと基本的な構成は同じであるので、詳細な説明は省略する。ただし、本実施の形態8に係る中空積層構造体の第1板状体71は第1凸部を有しておらず、第1凹部71bの深さ寸法は、第1板状体71の板厚より小さく設定されている。このため、中空積層構造体の最表面となる第1板状体71の表面からは何も突出していない。
具体的には、図12に示すように、第1板状体71は、第2板状体72側に開口した第1凹部71bを有している。また、第2板状体72は、第1板状体71の方向に突出し、第1板状体71が有する第1凹部71bに嵌合する第2凸部72aを有するとともに、第2凸部72aの内部がくり貫かれてなる第2凹部72bを有している。この第2凹部72bは、第3板状体73側に開口している。
また、第3板状体73は、第2板状体72の方向に突出し、第2板状体72が有する第2凹部72bに嵌合する第3凸部73aを有するとともに、第3凸部73aの内部がくり貫かれてなる第3凹部73bを有している。この第3凹部73bは、第4板状体74側に開口している。さらに、第4板状体74は、第3板状体73の方向に突出し、第3板状体73が有する第3凹部73bに嵌合する第4凸部74aを有する。
本実施の形態8における挿し込み構造においても、上記実施の形態7と同様に、各板状体の積層順序、裏表方向、板状体面内における上下左右方向、および積層する板状体の重複や抜けを容易に確認できる。なお、本実施の形態8では、第1板状体71が抜けた状態のとき、第2板状体72が中空積層構造体の最表面となり凸部72aが突出するため、不良品であることがわかる。
本実施の形態8によれば、上記実施の形態7と同様の効果に加え、中空積層構造体の最表面から凸部が突出しておらず、最表面に凹部もないため、アダプタ等の部品に組み付け易く、アンテナとして使用する場合には電波特性に影響を与えないという効果を奏する。
実施の形態9.
図13は、本発明の実施の形態9に係る中空積層構造体を示す図である。本実施の形態9に係る中空積層構造体が有する挿し込み構造は、上記実施の形態7で説明したものと基本的な構成は同じであるので、詳細な説明は省略する。ただし、本実施の形態9に係る中空積層構造体は、挿し込み構造を複数有しており、それら複数の挿し込み構造は凸部の突出方向が逆向きのものを含んでいる。
具体的には、図13に示すように、1つめの挿し込み構造(図中右側)においては、第1板状体81は、第2板状体82側に開口した第1凹部811bを有している。また、第2板状体82は、第1板状体81の方向に突出し、第1板状体81が有する第1凹部811bに嵌合する第2凸部821aを有するとともに、この第2凸部821aの内部がくり貫かれてなる第2凹部821bを有している。
また、第3板状体83は、第2板状体82の方向に突出し、第2板状体82が有する第2凹部821bに嵌合する第3凸部831aを有するとともに、第3凸部831aの内部がくり貫かれてなる第3凹部831bを有している。さらに、第4板状体84は、第3板状体83の方向に突出し、第3板状体83が有する第3凹部831bに嵌合する第4凸部841aを有する。
また、2つめの挿し込み構造(図中左側)においては、凸部の方向が逆向きであるため、第4板状体84から順に説明する。第4板状体84は、第3板状体83側に開口した第1凹部842bを有している。また、第3板状体83は、第4板状体84の方向に突出し、第4板状体84が有する第1凹部842bに嵌合する第2凸部832aを有するとともに、この第2凸部832aの内部がくり貫かれてなる第2凹部832bを有している。
また、第2板状体82は、第3板状体83の方向に突出し、第3板状体83が有する第2凹部832bに嵌合する第3凸部822aを有するとともに、第3凸部822aの内部がくり貫かれてなる第3凹部822bを有している。さらに、第1板状体81は、第2板状体82の方向に突出し、第2板状体82が有する第3凹部822bに嵌合する第4凸部812aを有する。
本実施の形態9における挿し込み構造においても、上記実施の形態7と同様に、各板状体の積層順序、裏表方向、板状体面内における上下左右方向、および積層する板状体の重複や抜けを容易に確認できる。なお、本実施の形態9では、第1板状体81または第4板状体84が抜けた状態のとき、第2板状体82の第2凸部821a、または第3板状体83の第2凸部832aが中空積層構造体の最表面から突出するため、不良品であることがわかる。
本実施の形態9によれば、上記実施の形態7と同様の効果に加え、挿し込み構造を複数有しているので、より確実で外れ難い挿し込みが可能となり信頼性が向上する。
実施の形態10.
図14は、本発明の実施の形態10に係る中空積層構造体を示す図である。本実施の形態10に係る中空積層構造体が有する挿し込み構造は、上記実施の形態7で説明したものと基本的な構成は同じであるので、詳細な説明は省略する。ただし、本実施の形態10における挿し込み構造の各凸部は筒状体で構成され、これらの筒状体はその両端部が貫通している。
具体的には、図14(a)に示すように、第1板状体91は、積層方向に貫通した第1凹部91bを有している。また、第2板状体92は、第1板状体91の方向に突出し、第1板状体91が有する第1凹部91bに嵌合する第2凸部92aを有するとともに、第2凸部92aの内部がくり貫かれてなる積層方向に貫通した第2凹部92bを有している。また、第3板状体93は、第2板状体92の方向に突出し、第2板状体92が有する第2凹部92bに嵌合する第3凸部93aを有するとともに、第3凸部93aの内部がくり貫かれてなる積層方向に貫通した第3凹部93bを有している。
さらに、第4板状体94は、第3板状体93の方向に突出し、第3板状体93が有する第3凹部93bに嵌合する第4凸部94aを有する。この第4凸部94aの内部がくり貫かれてなる第4凹部94bは、積層方向に貫通している。これらすべての凸部は、筒状体の突出方向側の端部が、中空積層構造体の最表面である第1板状体91の表面と同じ面位置にある。
本実施の形態10における挿し込み構造においても、上記実施の形態7と同様に、各板状体の積層順序、裏表方向、板状体面内における上下左右方向、および積層する板状体の重複や抜けを容易に確認できる。図14(b)は、第3板状体93が抜けた状態を示している。このように第3板状体93が抜けた場合、第4板状体94の第4凸部94aが中空積層構造体の最表面から突出するため、不良品であることがわかる。
また、第1板状体91、第2板状体92が抜けた場合も同様に、第4板状体94の第4凸部94aが中空積層構造体の最表面から突出するため、不良品であることがわかる。なお、どの板状体が抜けているかは、中空積層構造体の表面にできた隙間の位置から判断することができる。例えば図14(b)に示す例では、第2凹部92bと第4凸部94aとの隙間が通常より大きいため、第3凸部がないことがわかり、第3板状体93の抜けが抽出できる。
本実施の形態10によれば、上記実施の形態7と同様の効果に加え、挿し込み構造の凸部と凹部が積層方向に貫通しており、凸部の突出方向側の端部が中空積層構造体の最表面と同じ面位置にあるため、アダプタ等に組み付けるときの位置決め穴や固定用穴として利用することができる。
実施の形態11.
図15は、本発明の実施の形態11に係る中空積層構造体を示す図である。本実施の形態11に係る中空積層構造体105が有する挿し込み構造は、上記実施の形態7で説明したものと基本的な構成は同じであるので、詳細な説明は省略する。ただし、中空積層構造体105における挿し込み構造は、所定の順序で積層されたn枚の板状体を、その積層順に1枚目、・・m枚目・・、n枚目の板状体としたとき(m、nは整数、1<m<n、3≦n)、各凸部は筒状体で構成され、そのうち第m凸部は、筒状体の両端部が貫通しており、また、第n凸部は、筒状体の突出方向側の端部を塞ぐ頂部を有し、この頂部が1枚目の板状体表面と同じ面位置である。
具体的には、図15(b)に示すように、第1板状体101は、積層方向に貫通した第1凹部101bを有している。また、第2板状体102は、第1板状体101の方向に突出し、第1板状体101が有する第1凹部101bに嵌合する第2凸部102aを有するとともに、第2凸部102aの内部がくり貫かれてなる積層方向に貫通した第2凹部102bを有している。また、第3板状体103は、第2板状体102の方向に突出し、第2板状体102が有する第2凹部102bに嵌合する第3凸部103aを有するとともに、第3凸部103aの内部がくり貫かれてなる積層方向に貫通した第3凹部103bを有している。
さらに、第4板状体104は、第3板状体103の方向に突出し、第3板状体103が有する第3凹部103bに嵌合する第4凸部104aを有する。この第4凸部104aは、その突出方向側の端部を塞ぐ頂部を有しており、この頂部が中空積層構造体105の最表面となる第1板状体101の表面と同じ面位置にある。
本実施の形態11によれば、上記実施の形態7と同様の効果に加え、中空積層構造体105の最表面から凸部が突出しておらず、最表面に穴部もないため、アダプタ等の部品に組み付け易く、アンテナとして使用する場合には電波特性に影響を与えないという効果を奏する。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。