JP5540702B2 - 対物レンズ、レボルバ及びこれらを備える倒立顕微鏡 - Google Patents

対物レンズ、レボルバ及びこれらを備える倒立顕微鏡 Download PDF

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Description

本発明は対物レンズ、レボルバ及びこれらを備える倒立顕微鏡に関する。
従来の倒立顕微鏡においては、複数の対物レンズと、これらの対物レンズを保持するレボルバと、ステージに固定され、支持部を介してレボルバを支持するレボルバ支持部材とが、それぞれステージの下方に配置されている(特開平11−38326号公報参照)。
レボルバ支持部材と支持部との間にはラック・ピニオン機構が設けられている。レボルバ支持部材に設けられた焦準ノブを回転させることにより、光路上に選択配置された対物レンズをステージに対して上下動させて、標本にピントを合わせることができる。対物レンズとステージとの距離は標本にピントを合わせた時の対物レンズと標本との距離に保つ必要がある。
顕微鏡が内蔵する光源、電源等が発熱したり、エアコンの使用によって顕微鏡の周囲温度が上昇したりすると、レボルバに保持された対物レンズの鏡筒が熱膨張して、対物レンズとステージとの間の距離が変化し、ピントずれが生じることがある。ピントずれが対物レンズの焦点深度を超えると、鮮明な画像を得ることができない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、対物レンズの鏡筒の熱膨張によるピントずれを低減することが出来る対物レンズ、レボルバ及びこれらを備える倒立顕微鏡を提供することである。
上記課題を解決するため本発明の第1の態様による、顕微鏡のレボルバの装着部に装着される対物レンズは、
複数のレンズ群からなる結像レンズと、
前記結像レンズを保持する鏡筒とを備え、
前記鏡筒は、前記複数のレンズ群からなる結像レンズのうち観察標本に最も近い位置に配置された第1レンズ群を保持する先端部側の外周面であって、前記先端部から所定距離離れた該外周面に、前記レボルバの装着部に結合する結合部が形成され
前記結合部は、螺子結合あるいはバヨネットマウントによる結合構造を持つことを特徴とする。
また、上記課題を解決するため本発明の第1の態様による、顕微鏡のレボルバの装着部に装着される対物レンズは、
複数のレンズ群からなる結像レンズと、
前記結像レンズを保持する鏡筒とを備え、
前記鏡筒は、前記複数のレンズ群からなる結像レンズのうち観察標本に最も近い位置に配置された第1レンズ群を保持する先端部側の外周面であって、前記先端部から所定距離離れた該外周面に、前記レボルバの装着部に結合する結合部が形成され、
前記結合部の結合構造が、前記レボルバの装着部に形成されためねじと、前記外周面に形成されたおねじとから形成されることを特徴とする。
本発明の第1の態様による対物レンズにおいて、前記鏡筒は、前記結合部で結合した際に前記レボルバの装着穴の当接面に当接するマウント面が形成されていることが好ましい。
本発明の第1の態様による対物レンズにおいて、前記結合部の結合構造が、前記レボルバの装着穴に形成されためねじと、前記外周面に形成されたおねじとから形成されることが好ましい。
本発明の第1の態様による対物レンズにおいて、倍率あるいは開口数の異なる複数の前記対物レンズが前記レボルバに装着される場合、前記各対物レンズの前記おねじは、同焦点ずれが解消されるように、前記先端部からの所定距離が調整されて前記外周面にそれぞれ形成されることが好ましい。
本発明の第1の態様による対物レンズにおいて、前記鏡筒は低熱膨張係数のインバー系材料で形成されていることが好ましい。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による対物レンズが装着されるレボルバであって、前記めねじは前記対物レンズの先端部を前記観察標本側のレボルバ表面から突出させることができる貫通穴であることを特徴とするレボルバを提供する。
本発明の第3の態様は、前記第1の態様の対物レンズと前記第2の態様によるレボルバとを備えていることを特徴とする倒立顕微鏡を提供する。
本発明によれば、対物レンズの鏡筒の熱膨張によるピントずれを低減することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る倒立顕微鏡を側方から見た概念図である。 図2は図1の部分拡大図である。 図3A、図3Bおよび図3Cは、対物レンズと同焦点距離との関係を示す図であり、それぞれ4倍、10倍及び100倍の対物レンズを示している。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る倒立顕微鏡を側方から見た概念図である。
この倒立顕微鏡は顕微鏡本体部10と鏡筒20と照明支柱30とステージユニット40とを備えている。
顕微鏡本体部10の一端に照明支柱30が設けられている。
照明支柱30は垂直部31とこの垂直部31の上端から水平に延びる水平部32とで構成される。垂直部31の上端背面側にはランプハウス35が設けられ、水平部32には取付部34を介してコンデンサレンズ33が設けられている。ランプハウス35には例えばハロゲンランプ36が収容されている。
照明支柱30の下端背面側には落射蛍光観察のための落射蛍光ユニット90が設けられている。落射蛍光ユニット90はランプハウス91と落射蛍光装置92とフィルタユニット93とを備えている。ランプハウス91には例えば水銀ランプが収容されている。
顕微鏡本体部10の他端には鏡筒20が設けられ、鏡筒20には対物レンズ50によって生じた像を肉眼で観察できるように拡大する接眼レンズ21が設けられている。
ステージユニット40は、標本45が載置されるステージ60と、異なる種類の複数の対物レンズ50A,50Bを保持し、回転して複数の対物レンズ50A,50Bのいずれかの対物レンズを選択的に光軸L上に配置するレボルバ70と、選択された対物レンズ50A,50Bのいずれかを光軸L方向へ移動させる焦準機構80とを備える。ステージ60はビス61によって顕微鏡本体部10に取り付けられている。レボルバ70、焦準機構80はステージ60の下方に配置されている。また、顕微鏡本体部10内にはプリズム101が配置されている。
図2は図1の部分拡大図である。
標本45はペトリディッシュ46に収容された培養液である。ペトリディッシュ46は筒状である。ペトリディッシュ46の下端にはカバーガラス47が貼り付けられ、上端には雑菌等が入らないように蓋48が被せられている。カバーガラス47の上面が標本面45aである。
対物レンズ50Aは高開口数の対物レンズである。対物レンズ50Aはレンズ51a〜51dと鏡筒52と補正環53とを備えている。補正環53は鏡筒52の外周面に設けられている。鏡筒52にはピン53aが対物レンズ50Aの光軸方向へ移動できるように長穴(図示せず)が形成されている。鏡筒52の内周面には、レンズ51dを保持するレンズ枠52aの外周面側にピン53aが固定され、補正環53の内側には螺旋状の溝が形成されている。補正環53の内側の溝に沿ってピン53aは摺動可能である。そのため、補正環53を回転させるとレンズ枠52aが光軸L方向へ移動する。レンズ51dがレンズ枠52aと一体に光軸L方向へ移動し、カバーガラス47の厚み誤差に起因する収差を補正する。鏡筒52の先端部(ステージ60に接続される側の端部)の外周面には、レボルバ70のめねじ70aに螺合するおねじ52eと、レボルバ70のレボルバ側当て面(当接面)70bに当接する鏡筒側当て面(マウント面)52bとが形成されている。レボルバ側当て面70bに鏡筒側当て面52bが当接するまで、鏡筒52のおねじ52eはレボルバ70のめねじ70aにねじ込まれている。なお、鏡筒52の後端(ステージ60から遠い側の端部)におねじ52cが形成されている。鏡筒52は低熱膨張係数のインバー系材料で形成されている。おねじ52cにより対物レンズ50Aは従来のレボルバに対しても取付けて使用することができる。
対物レンズ50Bは低倍対物レンズである。対物レンズ50Bはレンズ51e,51fと鏡筒55とを備えている。鏡筒55の先端部の外周面には、レボルバ70のめねじ70aに螺合するおねじ(第1のおねじ)55aと、レボルバ70のレボルバ側当て面70bに当接する鏡筒側当て面55bとが形成されている。なお、鏡筒55の後端におねじ(第2のおねじ)55cが設けられている。おねじ55cにより対物レンズ50Bは従来のレボルバに対しても取付けて使用することができる。
レボルバ70のめねじ70aは対物レンズ50A,50Bの先端部をレボルバ表面から突出させることができる貫通穴である。
焦準機構80はレボルバ固定部81とスプライン軸82とスプラインブシュ83とカムディスク84とブロック85とを備えている。
レボルバ固定部81の一部分は鋼球81a,81bを介してレボルバ70を回転可能に支持する。上側の鋼球81aによってレボルバ70のスラスト方向が決められ、下側の鋼球81bによってレボルバ70のラジアル方向が決められる。
レボルバ固定部81の他の部分はスプライン溝を介してスプライン軸82に係合している。レボルバ固定部81はスプライン軸82に沿って滑動可能である。レボルバ固定部81はスプライン軸82にはめ込まれたスプラインブシュ83に支持されている。
スプライン軸82の下端はブロック85の座ぐり穴85aに支持され、上端はボルト60aによってステージ60に固定されている。ブロック85はステージ60に固定されている。
また、レボルバ固定部81には先端部にベアリング86を備えた、光軸と直交する方向へ延びる軸86aが設けられている。ベアリング86の外輪はスプライン軸82にラジアルベアリング82aを介して取り付けられたカムディスク84の上面に形成されたカム面84aに接触して回転する。カム面84aの高さ(光軸方向の高さ)はカムディスク84の周方向へ変化する。カムディスク84の回転に伴ってカム面84aの光軸方向の高さが変化する。ラジアルベアリング82aの内輪はスプライン軸82に固定されている。
カムディスク84の下面はスラスト円筒ころ軸受ユニット87で支持されている。そのため、カムディスク84の回転時の摩擦トルクは軽減され、カムディスク84をスプライン軸82周りへスムーズに回転させることができる。カムディスク84の外周に形成された歯車84bを図示しないノブ等の操作によって回転することができる。
ノブを操作してカムディスク84を回転させたとき、ベアリング86がカム面84a上を周方向へ相対的に移動し、レボルバ固定部81が上下動する。その結果、レボルバ固定部81に支持されたレボルバ70が上下動する。
図3A,図3B、図3Cは対物レンズと同焦点距離との関係を示す図である。
レボルバ70には対物レンズ50A,50Bの他に対物レンズ50D,50Cを装着することができる。
図3A,図3B、図3Cに示す対物レンズ50D,50C,50Aの倍率はそれぞれ4倍、10倍及び100倍である。なお、同図中、H1,H2はそれぞれ同焦点距離を示す。
図3A,図3B、図3Cに示すように、対物レンズ50D,50C,50Aの胴つき面Aから鏡筒側当て面57b,59b,52bまでの高さは同じである。すなわち、倍率あるいは開口数の異なる対物レンズのおねじ57a,59a,52aは、同焦点ずれが解消されるように各対物レンズの先端部の外周面に形成されていて、それぞれレボルバ70のめねじ70aに螺合により装着される。このように構成することで倍率の異なる対物レンズに交換したときに改めてピント合わせする手間を省くことができる。
この実施形態によれば、対物レンズの鏡筒が周囲温度の上昇によって熱膨張した場合であっても、対物レンズの鏡筒の先端おねじ部がレボルバ70に支持されているので、鏡筒の光軸L方向の伸張量は従来例に比べて少ない。その結果、対物レンズとステージ60(対物レンズと標本45との距離)との間の距離の変化は従来例より少なくなり、ピントずれを低減させることができる。特に、標本45が生細胞であるような場合には、周囲の温度コントロールが行い易くなる。また、鏡筒の後端におねじを設けたので、従来のレボルバに対しても対物レンズ50を装着することができる。更に、鏡筒は低熱膨張係数のインバー系材料で形成したので、鏡筒の光軸L方向の伸張量をより少なくすることができる。また、レボルバ70のめねじ70aが対物レンズの先端部をレボルバ表面から突出させることができる貫通穴であるので、倍率あるいは開口数の異なる対物レンズ50A,50B,50C、50Dをレボルバ70に装着することができる。
なお、上記実施形態では、対物レンズの鏡筒とレボルバの装着穴との結合構造が螺子結合である例を説明したが、これに限られることはなく、例えばバヨネットマウントによる結合構造を採用することもできる。

Claims (8)

  1. 顕微鏡のレボルバの装着部に装着される対物レンズにおいて、
    複数のレンズ群からなる結像レンズと、
    前記結像レンズを保持する鏡筒とを備え、
    前記鏡筒は、前記複数のレンズ群からなる結像レンズのうち観察標本に最も近い位置に配置された第1レンズ群を保持する先端部側の外周面であって、前記先端部から所定距離離れた該外周面に、前記レボルバの装着部に結合する結合部が形成され
    前記結合部は、螺子結合あるいはバヨネットマウントによる結合構造を持つことを特徴とする対物レンズ。
  2. 顕微鏡のレボルバの装着部に装着される対物レンズにおいて、
    複数のレンズ群からなる結像レンズと、
    前記結像レンズを保持する鏡筒とを備え、
    前記鏡筒は、前記複数のレンズ群からなる結像レンズのうち観察標本に最も近い位置に配置された第1レンズ群を保持する先端部側の外周面であって、前記先端部から所定距離離れた該外周面に、前記レボルバの装着部に結合する結合部が形成され、
    前記結合部の結合構造が、前記レボルバの装着部に形成されためねじと、前記外周面に形成されたおねじとから形成されることを特徴とする対物レンズ。
  3. 前記鏡筒は、前記結合部で結合した際に前記レボルバの装着穴の当接面に当接するマウント面が形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の対物レンズ。
  4. 前記結合部の結合構造が、前記レボルバの装着部に形成されためねじと、前記外周面に形成されたおねじとから形成されることを特徴とする請求項1又は3に記載の対物レンズ。
  5. 倍率あるいは開口数の異なる複数の前記対物レンズが前記レボルバに装着される場合、各対物レンズの前記おねじは、同焦点ずれが解消されるように、前記先端部からの所定距離が調整されて前記外周面にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項2又は4に記載の対物レンズ。
  6. 前記鏡筒は低熱膨張係数のインバー系材料で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の対物レンズ
  7. 請求項2又は4記載の対物レンズが装着されるレボルバであって、前記めねじは前記対物レンズの先端部を前記観察標本側のレボルバ表面から突出させることができる貫通穴であることを特徴とするレボルバ。
  8. 請求項1乃至6のいずれか1項記載の対物レンズと請求項7記載のレボルバとを備えていることを特徴とする倒立顕微鏡。
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