JP5539817B2 - 磁気記録装置及び磁気記録方法 - Google Patents

磁気記録装置及び磁気記録方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気記録方法及び磁気記録装置に関し、特に高密度記録に対応したエネルギーアシスト磁気記録の方法及び装置に関する。
磁気記録装置は、大容量データを記録できるデバイスとして現在の高度情報化社会を支える基盤技術である。磁気記録装置では、記録媒体上のデータは磁気ヘッドによって読み書きされる。磁気ディスクの単位面積あたりの記録容量を多くするためには、ビット面記録密度を高くする必要がある。記録密度の向上のためには、所定の信号対雑音比を確保しながら線記録密度とトラック密度を向上する必要がある。
線記録密度を向上させるためには、媒体上に記録された記録パターンの不規則性に起因するメディアノイズの低下、及び再生信号分解能の向上による信号品質の向上が必要である。磁気記録媒体は磁性微粒子の集合体であるグラニュラー媒体が用いられている。磁性粒子を微細化することでビット境界の揺らぎによる転移性ノイズや記録トラック端部の揺らぎに起因するトラックエッジノイズなどのメディアノイズを低減できるが、磁性粒子が熱的に不安定になる問題がある。従って、熱安定性を確保しながら磁性粒子を微細化するためには、媒体の磁気異方性エネルギーKuを大きくする必要がある。しかしながら、磁気異方性エネルギーKuの増大は磁化反転に必要なスイッチング磁界の増加につながる。このスイッチング磁界の増加に合わせてヘッドの記録磁界強度も大きくしなければ記録特性が低下し信号品質は劣化する。
一方、トラック密度を向上するためには磁気記録ヘッドの主磁極幅の狭小化が求められる。しかし、主磁極幅の狭小化は記録磁界強度を低下させる。また、記録磁極材料や記録ヘッドの構造の最適化による記録磁界強度の増大にも限界がある。
よって、記録媒体の熱安定性と記録特性を維持したまま記録媒体の磁性粒子の微細化と主磁極幅の狭小化を行うことは困難である。このように、信号品質の向上、記録媒体の熱安定性の確保、記録特性の維持は互いにトレードオフにあることから、この課題はトリレンマと呼ばれる。トリレンマを解決する方法として以下の2つの記録方式が提案されている。
トリレンマを解決する第一の方法として、従来の記録ヘッドからの記録磁界と同時に局所的に熱を印加する熱アシスト磁気記録方式や、記録磁界と同時に高周波磁界を印加するマイクロ波アシスト記録方式などのエネルギーアシスト磁気記録方式が提案されている(非特許文献1,2)。
エネルギーアシスト磁気記録方式では熱やマイクロ波を印加することで記録媒体のスイッチング磁界(磁化反転磁界)を低減することができるため、従来の記録磁界では十分に反転することのできない磁気異方性エネルギーKuの大きな記録媒体に記録することが可能となる。そのため、粒径を低減でき高密度化が可能である。
第2の方法として、特許文献1に記載されているようなシングルレコーディング(Shingle recording)方式がある。これは、従来のランダムアクセス方式とは異なり、あるトラックから隣のトラックへとトラック幅方向に一方向に重ね書きしていく方法である。記録幅が広くても、トラックの片側の一部を残して次のトラックを上書きしていくため、記録幅よりも狭いトラックを形成することができる。そのため、必ずしも主磁極幅を狭小化する必要がなく、トラック幅の減少による記録特性の低下を緩和することができる。
これらの記録方式では、再生は従来の磁気記録で用いられているMR(磁気抵抗効果型)ヘッドを用いる。
磁気記録装置における再生信号分解能は、記録パターンのビット境界の磁化遷移幅と再生ヘッドの再生分解能で決まる。磁化遷移幅を急峻にするには、記録電流波形が理想的な矩形波であることが望ましい。しかしながら、現実の電子機器では完全に矩形の記録電流波形を作ることはできない。また、記録ヘッドのインピーダンスにより歪みを受ける。この歪みの抑制には記録電流の立上がり部、及び立下り部にオーバーシュートを発生させることが有効である(特許文献2)。また、記録電流波形のオーバーシュートは、熱アシスト磁気記録において熱揺らぎの影響を抑制し、磁化遷移幅の拡大を抑制する手段としても提案されている(特許文献3)。
米国特許第6185063号明細書 特許第3978901号明細書 特開2008−210426号公報
Japanese Journal of Applied Physics, 38, Part 1, pp.1839-1840 (1999) IEEE Transactions on Magnetics, vol.44, pp.125-131 (2008)
記録磁界強度は記録電流の大きさで決まるため、記録電流波形がオーバーシュートを有する場合には局所的に記録磁界強度が増加して記録幅が広くなる。記録幅が増大した場所では隣接するトラックの信号を消してしまうため、トラック密度を増加することが困難となる。
また、オーバーシュートの有無によらず、記録電流の反転時間をゼロとすることはできない。記録電流が小さくなる極性反転時には記録磁界強度は減少し、磁化反転のない定常記録状態と比べて記録幅が狭くなる。記録幅が減少すると信号が減少して信号品質が劣化するため線記録密度を増加することが困難となる。
このように、記録電流波形を理想的な矩形波にできないことによる記録幅の変動は高密度化の制限要因である。
本発明の目的は、記録幅変動を抑制し、高密度記録を可能にする磁気記録装置、磁気記録方法を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明のエネルギーアシスト磁気記録では、記録電流が小さくなる極性反転時に磁気記録媒体の記録領域に局所的に付与するエネルギーを、記録電流の極性反転時以外の時より大きくし、極性反転時における記録領域の磁化反転磁界低減率をそれ以外の時より大きくする。
本発明の磁気記録装置は、磁気記録媒体に対して記録磁界を印加する記録磁極と、磁気記録媒体に局所的にエネルギーを印加するアシスト素子を備える磁気ヘッドを有する。
一例として、アシスト素子は記録磁極の駆動電流の極性反転時以外の時は直流電流により連続的に駆動され、記録磁極の駆動電流の極性反転時には前記直流電流にパルス電流を加えた電流で駆動されるように電流制御を行う。直流電流に加えるパルス電流の幅は記録磁極に印加する記録電流の反転時間よりも短いのが好ましい。また、直流電流に加えるパルス電流のピーク時間は記録磁極に印加する記録電流の反転開始時間から極性反転時間の間になるように電流制御を行うのが好ましい。
他の例として、アシスト素子はパルス電流により間欠的に駆動してもよい。その場合には、記録磁極の駆動電流の反転開始時間から極性反転時間の間のアシスト素子の駆動パルス電流の振幅を、それ以外の時間の振幅より大きくするように制御する。あるいは、記録磁極の駆動電流の反転開始時間から極性反転時間の間のアシスト素子の駆動パルス電流のパルス幅を、それ以外の時間のパルス幅より長くするように制御する。又は、記録磁極の駆動電流の反転開始時間から極性反転時間の間のアシスト素子の駆動パルス電流の間隔を、それ以外の時間のパルス電流の間隔より短くするように制御するのが好ましい。
また、本発明のエネルギーアシスト磁気記録方法は、記録磁極から磁気記録媒体に所定強度の記録磁界を印加すると共にアシスト素子から磁気記録媒体の記録磁界印加領域にエネルギーを付与する第1の工程と、記録磁極から磁気記録媒体に印加する磁界を反転させながらアシスト素子から磁気記録媒体の記録磁界印加領域に第1の工程のときより大きなエネルギーを付与する第2の工程とを有する。
このとき、第1の工程ではアシスト素子を所定の大きさの直流電流で駆動し、第2の工程ではアシスト素子を直流電流にパルス電流を加えた電流で駆動するようにしてもよい。パルス電流はインパルス電流、あるいはダイパルス電流とすることができる。
また、第1の工程ではアシスト素子を第1の振幅のパルス電流で駆動し、第2の工程ではアシスト素子を第1の振幅より大きな第2の振幅のパルス電流で駆動するようにしてもよい。
また、第1の工程ではアシスト素子を第1のパルス幅のパルス電流で駆動し、第2の工程ではアシスト素子を第1のパルス幅より大きな第2のパルス幅のパルス電流で駆動するようにしてもよい。
また、第1の工程ではアシスト素子を第1のパルス間隔のパルス電流で駆動し、第2の工程ではアシスト素子を第1のパルス間隔より短い第2のパルス間隔のパルス電流で駆動するようにしてもよい。
アシスト素子としては、記録媒体に局所的に熱を加える加熱素子、あるいは記録媒体に局所的に高周波磁界を印加する高周波磁界発生素子、あるいはそれらの両方を用いることができる。
アシスト電流の設定は記録トラックの半径位置や記録ビット長によって変えることが望ましいが、記録媒体の領域を半径方向にいくつかのゾーンに区分し、ゾーンごとに設定してもよい。制御情報は参照テーブルを参照する。この参照テーブルは、ハードディスクドライブ内の個々の磁気ヘッドに対して設けられている。参照テーブルは、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)内に記憶してもよいし、磁気記録媒体の管理領域あるいは他のストレージ媒体に記憶してもよい。
本発明によると、記録幅変動を抑制することができ、高記録密度の磁気記録が可能になる。
本発明による磁気ディスク装置の構造例を示す模式図。 本発明による記録ヘッド、記録媒体の構成例を示す模式図。 本発明による記録ヘッドの構成例を示す模式図。 本発明によるエネルギーアシスト磁気記録装置の記録制御系のブロック図。 本発明によるエネルギーアシスト磁気記録装置の記録電流の制御例を示す図。 本発明によるエネルギーアシスト磁気記録装置の記録電流の制御例を示す図。 本発明によるエネルギーアシスト磁気記録装置の記録電流の制御例を示す図。 本発明によるエネルギーアシスト磁気記録装置の記録電流の制御例を示す図。 本発明によるエネルギーアシスト磁気記録装置の記録電流の制御例を示す図。 本発明によるエネルギーアシスト磁気記録装置の記録電流の制御例を示す図。 記録電流とアシスト素子駆動電流の設定値の参照テーブル。 本発明のシングル記録方式への適用を説明する図。 記録幅変動の規格化パルス電流振幅依存性を示す図。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明による磁気記録装置の構造を示す模式図である。磁気記録装置のドライブ内には通常一枚ないし数枚の磁気記録媒体15が実装されている。磁気記録媒体15は、モータなどの駆動手段10によって矢印10aの方向に回転駆動される。拡大図(a)に示すように、サスペンションアーム13の先端に固定された磁気ヘッドスライダー11の後端に設けられた磁気ヘッド12は、ボイスコイルモータ14によって所望のトラックにアクセスし、記録媒体15上で情報の記録再生を行う。
拡大図(b)は、磁気ヘッド12について、記録を行う記録ヘッド19と再生を行う再生ヘッド16の構成を媒体対向面から見た概略図である。再生ヘッドは、磁気シールド17の間に配置される磁気抵抗効果素子からなる再生素子18を備えることが望ましいが、記録媒体のKerr効果及びFaraday効果を利用した光学的磁束検出手段を搭載した再生ヘッドを用いて光学的に再生してもよい。磁気抵抗効果素子としてはGMR(巨大磁気抵抗効果)素子やTMR(トンネル磁気抵抗効果)素子などを用いる。
図2は、本発明による記録ヘッドと記録媒体の構成例を示す断面図である。記録媒体15は、基板114上に形成された磁気記録層111を備える。基板材料としては、ガラス、金属などを用いる。基板と記録層の間には記録層の配向を制御する下地層112や記録ヘッドからの磁界強度を強める軟磁性層113を設けてもよい。また、記録層の上には保護膜115や潤滑層116を設けてもよい。記録層の材料としては磁気異方性が大きい強磁性材料が適しており、特に膜面垂直方向に磁化容易磁区を有するCo,Fe,Pt,Sm,Crなどを主成分とする合金の微粒子の粒界にSiO2などの非磁性材料を偏析させたグラニュラー媒体が望ましい。
記録ヘッド19は、記録磁界を発生する磁気記録ヘッド20と熱や高周波磁界を発生するアシスト素子21を有する。記録中の記録ビットの熱減磁を抑制するため、アシスト素子は図のように磁気記録ヘッドのトレーリング側に配置することが望ましいが、リーディング側に配置してもよい。磁気記録ヘッドは、図3に示すようにパーマロイやFeCo等の軟磁性材料から成る主磁極101と、図示はしていないが主磁極を励磁する様に形成したコイルとを有する。コイルの両端は外部に引き出されて磁気ヘッド駆動回路に接続されている。また、記録ヘッドには、所望の磁界強度を出すために補助磁極102を設けた。
記録磁極の役割は、記録層111の磁化の極性を所望の向きに磁化反転させるため、記録磁界を印加することである。単磁極ヘッドの代わりに長手記録に用いられるリングヘッドを用いてもよい。
アシスト素子としては、記録媒体を局所的に加熱する加熱素子、もしくは記録媒体に局所的に高周波磁界を印加する高周波磁界発生素子、あるいはそれらの両方を用いてもよい。
加熱素子を用いる場合、図3のように近接場光を発生するための導電性を有する散乱体22を有することが望ましい。導波路を用いて半導体レーザー23などからのレーザー光を散乱体22へ入射するが、光の入射方向は任意である。本実施例では散乱体22の形状は三角形としたが、三角形に代えて台形、長方形、楕円形、球等の形状にしてもよい。散乱体22の材質は、導電性を有するものであればよく、金、銀、銅、アルミ、鉄、ニッケルなどの金属又は合金、又はSiなどの半導体にしてもよい。加熱方法としては、導電性の散乱体を用いる代わりに、レーザー光をレンズなどで絞り込む方式、光の波長以下の微小開口部を有する金属に光を入射する方式などを用いてもよい。高周波磁界発生素子としては、1GHzから100GHz程度の高周波磁界を発生するスピントルク発振器などを用いる。
アシスト素子の幅に特に制限はないが、隣接トラックに形成された記録磁化の消去を避けるため、アシスト素子から記録媒体に印加される熱や磁界の幅が記録幅と同程度であることが望ましい。
本発明によるエネルギーアシスト磁気記録装置の記録制御系のブロック図を図4に示す。記録データ51を受け取り、不揮発メモリ55に格納されている制御情報に基づいて記録信号制御部52にて生成された記録パターン信号が、磁気記録ヘッド駆動回路54及びアシスト素子駆動回路53に与えられ、それぞれ磁気記録ヘッドを駆動する電流波形及びアシスト素子を駆動する電流波形に変換され、決められたタイミングで、記録ヘッドの主磁極から記録磁界が磁気記録層に印加されると共にアシスト素子から近接場光が磁気記録層に印加される。
以下、記録電流とアシスト素子駆動電流の制御方法の実施例を示す。
図5に、本発明による磁気ヘッド駆動電流(記録電流)とアシスト素子駆動電流の波形例を示す。上のグラフは磁気ヘッドの駆動電流波形を表し、下のグラフはアシスト素子の駆動電流波形を表す。上下のグラフとも、縦軸は磁化反転のない定常記録時の値で規格化した駆動電流であり、横軸は時間である。上のグラフに示されているように、記録電流反転開始時間30から記録電流反転完了時間32の間は、主磁極より記録媒体に印加される記録磁界強度が低下したのち極性が逆になって再び増加する。矢印33は記録電流振幅を示している。下のグラフに示すように、記録電流反転時間34の間、すなわち記録電流反転開始時間30から記録電流反転完了時間32の間に、アシスト素子駆動電流にインパルス電流を加えて振幅を高くする。すると、定常記録時のアシスト素子駆動電流にインパルス電流が加わった期間中は記録媒体がより強く加熱され、記録層の反転に必要な記録磁界が定常記録時より更に低下するため、記録幅の減少を抑制することができる。図中の矢印37はアシスト素子駆動インパルス電流振幅を示し、矢印38はアシスト素子駆動電流振幅を示している。
アシスト素子駆動電流のピークタイミング35は、記録磁界強度がゼロとなる記録電流の極性反転時間31と略一致、もしくは時間的にそれより前となるように制御することが望ましい。また、インパルス電流の半値幅で定義されるインパルス幅36は記録電流の反転時間34よりも短いことが望ましい。このように制御すれば、アシスト素子駆動電流のピークタイミング以降記録媒体のスイッチング磁界は徐々に増加するため、極性反転時間よりも時間的に後で完了する媒体の磁化反転時の実効的な記録磁界勾配は高くなり、磁化遷移幅の広がりを抑制できる。
図6は、本発明による磁気ヘッド駆動電流(記録電流)とアシスト素子駆動電流の他の波形例を示す図である。本実施例では、記録電流反転時間34の間のアシスト素子駆動電流波形を、定常記録時の駆動電流に振幅39を有するダイパルスを加えた波形とした。本実施例は、記録幅変動の抑制効果は図5の実施例と比べて小さくなるが、ピークタイミング40以降の記録媒体のスイッチング磁界の勾配が高められるため、磁化遷移幅をより狭小化できる。ダイパルス電流幅41は記録電流の反転時間34よりも短いことが望ましい。
図7は、本発明による磁気ヘッド駆動電流(記録電流)とアシスト素子駆動電流の更に他の波形例を示す図である。本実施例では、記録電流にオーバーシュート及びアンダーシュートを発生させ、増加後減少するダイパルス状のアシスト素子駆動電流波形と組み合わせた。図中の矢印42は、記録電流のオーバーシュート振幅を示す。本実施例によると、図5や図6の実施例と比べて回路が複雑化するが、記録幅変動の抑制と記録遷移幅の抑制効果を高めることができる。
また、本発明の他の実施例によれば、アシスト素子を連続して駆動する連続駆動型のエネルギーアシスト記録方式の代わりに、アシスト素子を間欠的に駆動するパルス駆動型のエネルギーアシスト記録方式を用いてもよい。通常、磁気記録装置では回転速度を一定とするため、内周と外周では線速度が異なる。従って、アシスト素子から印加される単位ビット当たりのエネルギー供給量は半径位置により異なる。パルス駆動型の記録方式ではこの変化による影響を抑制することができる。
その場合、図8に示すように、アシスト素子駆動パルス電流の幅45を記録電流の反転時間34よりも短くし、記録電流の反転開始時間30から極性反転時間31の間のパルス電流の振幅44をそれ以外の時間における振幅43と比べて大きくする。また、図9に示すように、記録電流の反転開始時間30から極性反転時間31の間のアシスト素子駆動パルス電流のパルス幅47をそれ以外の時間におけるパルス幅46と比べて長くしてもよい。また、図10に示すように、記録電流の反転開始時間30から極性反転時間31の間のアシスト素子駆動パルス電流の生成間隔50をそれ以外の時間における間隔、すなわち定常記録時の間隔49と比べて短くしてもよい。
記録トラックの幅や磁化遷移位置は線速度やビット系列によっても異なるため、記録電流やアシスト素子駆動電流の設定値は記録媒体の半径位置やビット系列に応じて変更することが望ましい。これらの制御情報は、図11に示すような参照テーブルを参照して決定すればよい。一般に、記録媒体の内周側と比べて外周側の方がアシスト効率が低くなるため、記録電流やアシスト素子駆動電流及びアシスト素子駆動パルス電流の振幅が大きくなるように設定することが望ましい。この参照テーブルは、ハードディスクドライブ内の個々の磁気ヘッドに対して設けられている。参照テーブルは、RAMやROM内に記憶してもよいし、磁気記録媒体の管理領域あるいは他のストレージ媒体に記憶してもよい。
また、本発明を図12に示すようにシングル記録方式に適用してもよい。矢印64はヘッド走行方向、矢印65は記録時トラック移動方向を示している。62は、記録パターンの書き残しエッジ、63は記録パターンの上書きエッジである。こうして、磁気記録媒体の半径方向にトラック幅方向端部を重ね書きしながら一方向に記録することにより、トラック幅の狭いシングルレコーディング方式の記録パターン61が形成される。シングル記録方式は、ランダムアクセス方式と比べてトラックエッジの影響を受けやすいため、本発明の適用によって、より大きな効果を得ることができる。
以下に、本発明の効果を詳細な熱アシスト磁気記録シミュレーションによって検討した結果を示すが、マイクロ波アシスト記録方式を用いる場合でも同様に制御することで本発明の効果を得られる。
記録ヘッドには、図3に示した主磁極101を有する単磁極ヘッドと三角形の導電性の散乱体22を用いた。単磁極ヘッドの磁極の幅は40nm、記録ヘッドと記録媒体の間隔である磁気的スペーシングは10nm、記録媒体の記録層の膜厚は10nmとし、記録層の中心の記録磁界分布を有限要素法により計算した。磁気ヘッドとアシスト素子の駆動電流は、図5に示した制御方式を用いて制御した。散乱体から記録媒体に照射される近接場光のスポットサイズは50nmである。記録ヘッドと記録媒体の相対線速度は25m/s、記録電流の反転時間は2ns、アシスト素子駆動電流に加えるパルス電流のパルス幅は0.3nsとした。
記録媒体の非加熱時のスイッチング磁界は10kOeであり、アシスト素子駆動時の加熱中心におけるスイッチング磁界の低下量はアシスト素子の駆動電流に比例するとした。パルス電流を加えずに記録媒体を加熱する定常記録時のスイッチング磁界の低下量は5kOeとした。
図13は、記録幅及び記録幅変動のアシスト素子駆動電流のパルス振幅依存性を示す図である。左側の縦軸は、記録幅の最大値及び最小値に対応し、右側の縦軸は記録幅変動、すなわち記録幅の最大値から最小値を引いた値に対応する。横軸は、定常記録時のアシスト素子駆動電流値で規格化したアシスト素子駆動電流に加えるパルス電流のパルス振幅である。
パルス電流振幅がゼロにおける点が従来方式の結果である。規格化振幅が1より小さい範囲でパルス電流振幅を大きくした場合、記録幅の最小値は増加する一方、記録幅の最大値はほぼ一定であるため記録幅変動は減少している。特に、パルス振幅を50%以上120%以下とすることで、記録幅変動を20%以上低減することが可能である。このように本発明によると記録幅変動を抑制することができるため、高密度記録の磁気記録装置を提供することが可能となる。パルス振幅50%以上120%以下とすることでアシスト素子から印加されるエネルギー供給量の最大値は定常記録時の1.5倍以上2.2倍以下となる。この関係より、本発明の別の実施例でも同様の効果が得られる。
本発明による別の実施例である図8の電流波形を用いる場合には磁化反転時アシスト素子駆動電流振幅44を定常記録時アシスト素子駆動電流パルス振幅43の1.5倍以上2.2倍以下となるように制御すればよい。同様に、図9の電流波形を用いる場合には磁化反転時アシスト素子駆動電流パルス幅47を定常記録時アシスト素子駆動電流パルス幅46の1.5倍以上2.2倍以下となるように制御すればよい。図10の電流波形を用いる場合には磁化反転時アシスト素子駆動電流のパルス間隔50を定常記録時アシスト素子駆動電流のパルス間隔49の1/2.2から1/1.5となるように制御すればよい。
10 駆動手段
11 磁気ヘッドスライダー
12 磁気ヘッド
13 サスペンションアーム
14 ボイスコイルモータ
15 磁気ディスク
16 再生ヘッド
17 磁気シールド
18 再生素子
19 記録ヘッド
20 磁気記録ヘッド
21 アシスト素子
22 光散乱体
23 半導体レーザー
24 導波路
30 記録電流反転開始時間
31 記録電流極性反転時間
32 記録電流反転完了時間
33 記録電流振幅
34 記録電流反転時間
35 アシスト素子駆動電流インパルスタイミング
36 アシスト素子駆動電流インパルス幅
37 アシスト素子駆動インパルス電流振幅
38 アシスト素子駆動電流振幅
39 アシスト素子駆動ダイパルス電流振幅
40 アシスト素子駆動ダイパルス電流タイミング
41 アシスト素子駆動ダイパルス電流幅
42 記録電流オーバーシュート振幅
43 定常記録時アシスト素子駆動電流パルス振幅
44 磁化反転時アシスト素子駆動電流振幅
45 アシスト素子駆動電流パルス幅
46 定常記録時アシスト素子駆動電流パルス幅
47 磁化反転時アシスト素子駆動電流パルス幅
48 アシスト素子駆動電流パルス振幅
49 定常記録時アシスト素子駆動電流のパルス間隔
50 磁化反転時アシスト素子駆動電流のパルス間隔
51 記録データ
52 記録信号制御部
53 アシスト素子駆動回路
54 磁気記録ヘッド駆動回路
55 不揮発メモリ
101 主磁極
102 補助磁極
110 記録媒体
111 磁気記録層
112 下地層
113 軟磁性層
114 基板
115 保護膜
116 潤滑層

Claims (21)

  1. 磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を駆動する媒体駆動部と、前記磁気記録媒体に対して記録磁界を印加する記録磁極及び前記磁気記録媒体に局所的にエネルギーを印加するアシスト素子を備える磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の所望のトラックに位置決めするヘッド駆動部とを有し、
    前記アシスト素子は前記記録磁極の駆動電流の極性反転時以外の時は直流電流により連続的に駆動され、前記記録磁極の駆動電流の極性反転時には前記直流電流にパルス電流を加えた電流で駆動されるように電流制御を行うことを特徴とする磁気記録装置。
  2. 請求項1記載の磁気記録装置において、前記直流電流に加えるパルス電流の幅は前記記録磁極に印加する記録電流の反転時間よりも短いことを特徴とする磁気記録装置。
  3. 請求項1又は2記載の磁気記録装置において、前記直流電流に加えるパルス電流のピーク時間は前記記録磁極に印加する記録電流の反転開始時間から極性反転時間の間になるように電流制御を行うことを特徴とする磁気記録装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の磁気記録装置において、前記アシスト素子は前記記録磁極のトレーリング側に配置されていることを特徴とする磁気記録装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の磁気記録装置において、前記アシスト素子は近接場光発生素子であることを特徴とする磁気記録装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の磁気記録装置において、前記アシスト素子の駆動電流に加えるパルス電流はインパルス電流であることを特徴とする磁気記録装置。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項記載の磁気記録装置において、前記アシスト素子の駆動電流に加えるパルス電流はダイパルス電流であることを特徴とする磁気記録装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の磁気記録装置において、前記アシスト素子の駆動電流のパルス電流の振幅は、前記極性反転時以外の時の駆動電流の大きさの50%以上120%以下であることを特徴とする磁気記録装置。
  9. 磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体を駆動する媒体駆動部と、前記磁気記録媒体に対して記録磁界を印加する記録磁極及び前記磁気記録媒体に局所的にエネルギーを印加するアシスト素子を備える磁気ヘッドと、前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の所望のトラックに位置決めするヘッド駆動部とを有し、
    前記アシスト素子はパルス電流により間欠的に駆動され、
    前記記録磁極の駆動電流の反転開始時間から極性反転時間の間の前記アシスト素子の駆動パルス電流振幅をそれ以外の時間の振幅と比べて大きくするように、又は前記記録磁極の駆動電流の反転開始時間から極性反転時間の間の前記アシスト素子の駆動パルス電流のパルス幅をそれ以外の時間のパルス幅と比べて長くするように、又は前記記録磁極の駆動電流の反転開始時間から極性反転時間の間の前記アシスト素子の駆動パルス電流の間隔をそれ以外の時間のパルス電流の間隔と比べて短くするように電流制御を行うことを特徴とする磁気記録装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載の磁気記録装置において、前記記録磁極の駆動電流の立ち上がり部及び立ち下り部にオーバーシュートを有することを特徴とする磁気記録装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項記載の磁気記録装置において、前記記録磁極の駆動電流及び前記アシスト素子の駆動電流の設定を前記磁気記録媒体の半径位置及びビット系列によって変えることを特徴とする磁気記録装置。
  12. 請求項11記載の磁気記録装置において、前記記録磁極の駆動電流及び前記アシスト素子の駆動電流の設定値は不揮発性メモリに格納されていることを特徴とする磁気記録装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項記載の磁気記録装置において、前記磁気記録媒体の半径方向についてトラック幅方向端部を重ね書きしながら一方向に記録するシングルレコーディング方式の磁気記録を行うことを特徴とする磁気記録装置。
  14. 請求項9〜13のいずれか1項記載の磁気記録装置において、前記記録磁極の駆動電流の反転開始時間から極性反転時間の間の前記アシスト素子の駆動パルス電流振幅をそれ以外の時間の振幅と比べて1.5倍以上2.2倍以下とするように、又は前記記録磁極の駆動電流の反転開始時間から極性反転時間の間の前記アシスト素子の駆動パルス電流のパルス幅をそれ以外の時間のパルス幅と比べて1.5倍以上2.2倍以下とするように、又は前記記録磁極の駆動電流の反転開始時間から極性反転時間の間の前記アシスト素子の駆動パルス電流の間隔をそれ以外の時間のパルス電流の間隔と比べて1/2.2〜1/1.5とするように電流制御を行うことを特徴とする磁気記録装置。
  15. 記録磁極から磁気記録媒体に所定強度の記録磁界を印加すると共にアシスト素子から前記磁気記録媒体の前記記録磁界印加領域にエネルギーを付与する第1の工程と、
    前記記録磁極から前記磁気記録媒体に印加する磁界を反転させながら前記アシスト素子から前記磁気記録媒体の前記記録磁界印加領域に前記エネルギーより大きなエネルギーを付与する第2の工程と、
    を有することを特徴とするエネルギーアシスト磁気記録方法。
  16. 請求項15記載のエネルギーアシスト磁気記録方法において、前記第1の工程では前記アシスト素子を所定の大きさの直流電流で駆動し、前記第2の工程では前記アシスト素子を前記直流電流にパルス電流を加えた電流で駆動することを特徴とするエネルギーアシスト磁気記録方法。
  17. 請求項15記載のエネルギーアシスト磁気記録方法において、前記パルス電流はインパルス電流であることを特徴とするエネルギーアシスト磁気記録方法。
  18. 請求項15記載のエネルギーアシスト磁気記録方法において、前記パルス電流はダイパルス電流であることを特徴とするエネルギーアシスト磁気記録方法。
  19. 請求項15記載のエネルギーアシスト磁気記録方法において、前記第1の工程では前記アシスト素子を第1の振幅のパルス電流で駆動し、前記第2の工程では前記アシスト素子を前記第1の振幅より大きな第2の振幅のパルス電流で駆動することを特徴とするエネルギーアシスト磁気記録方法。
  20. 請求項15記載のエネルギーアシスト磁気記録方法において、前記第1の工程では前記アシスト素子を第1のパルス幅のパルス電流で駆動し、前記第2の工程では前記アシスト素子を前記第1のパルス幅より大きな第2のパルス幅のパルス電流で駆動することを特徴とするエネルギーアシスト磁気記録方法。
  21. 請求項15記載のエネルギーアシスト磁気記録方法において、前記第1の工程では前記アシスト素子を第1のパルス間隔のパルス電流で駆動し、前記第2の工程では前記アシスト素子を前記第1のパルス間隔より短い第2のパルス間隔のパルス電流で駆動することを特徴とするエネルギーアシスト磁気記録方法。
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