JP2004355739A - 磁気記録装置 - Google Patents

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哲 喜々津
Yoshiyuki Kamata
芳幸 鎌田
Seiji Morita
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Abstract

【課題】パターンド媒体に熱アシスト磁気記録を適用し、効率的な記録スキームを実施できる磁気記録装置を提供する。
【解決手段】パターン化された強磁性領域が配列している記録層を有する磁気記録媒体と、前記記録層に記録磁界を印加する磁界印加手段および前記記録層を加熱する加熱素子を含むヘッドと、前記加熱素子による加熱をパルス化するパルス変調回路と、前記加熱素子による加熱パルスのパルス幅を、前記加熱素子が前記記録層の強磁性領域を通過する時間よりも短くするように制御する制御手段とを具備したことを特徴とする磁気記録装置。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、媒体の一部を分断して配列化した、いわゆるパターンド媒体を有する磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体の高密度化に対して、熱揺らぎ現象が問題となっている。現在の磁気記録媒体では、情報の記録単位である磁区は磁気的に分離した多数の磁性粒子から構成されている。高密度の磁気記録を行うには磁区を小さくする必要があり、磁区の境界を明確に識別できるようにするためには磁性粒子を小さくする必要がある。そうすると磁性粒子の磁化の向きを一方向に保つのに必要な磁気異方性エネルギー(磁気異方性エネルギー密度Kuと磁性粒子の体積Vとの積で表される)が室温の熱揺らぎエネルギー程度になってしまい、時間とともに磁化が揺らいで記録した情報が消失してしまう。これが熱揺らぎ問題である。
【0003】
この熱揺らぎ問題を解決するためにパターンド媒体が提案されている。パターンド媒体とは、磁気的に連続した磁性薄膜を記録磁区の大きさに分断したものである。こうすることによって磁性粒子の体積Vを大きくすることができるので熱揺らぎ問題を回避することができる。
【0004】
パターンド媒体の考え方は古くから提唱されているが、媒体のナノメータサイズの加工が困難なため、実際に浮上ヘッドで記録再生を行う実験は未だ報告されていない。このため、記録再生スキームについての検討はまだなされていない。特に、従来の媒体は任意の位置に「磁化転移」を形成することで情報を記録するのに対し、パターンド媒体は媒体上で画定された特定の強磁性領域(記録セル)を狙って記録動作を行うという、記録スキーム上の大きな変革点がある。したがって、記録磁界を印加するタイミングなどについてもまだ検討されていない。
【0005】
また、パターンド媒体はあくまでも近い将来に想定されている記録密度における熱揺らぎ問題の回避を目的としている。しかし、密度向上に伴いセルサイズが小さくなって、現状の記録媒体を構成する磁性粒子と同程度の大きさになってしまえば同様の熱揺らぎ問題が起こることが予想される。このような状況でさらにセルサイズを小さくして記録密度の向上を図るために現状で考えられる対策は、強磁性材料の磁気異方性エネルギーKuを大きくすることである。しかし、Kuを大きくすると磁化反転するのに必要な磁界強度(保磁力)が大きくなるために、既存の記録ヘッドでは記録できなくなってしまう。大きな記録磁界を出すためには飽和磁束密度の大きな材料を磁極として用いる必要があるが、既知の記録ヘッドの磁極材料は物理学上予測される最高値に近いため、これ以上の飛躍的な向上は望めない。したがって、磁気異方性エネルギーKuを大きくする対策をとると、記録する手段がなくなるという問題に直面する。
【0006】
この問題を解決する対策のひとつが熱アシスト磁気記録である。この方法は、磁気異方性エネルギーKuが温度とともに減少することを利用し、記録時にのみ局所的に媒体を加熱してKuを下げた状態で磁気記録を行うものである(たとえば特許文献1参照)。しかしながら、パターンド媒体自体についてすらあまり検討されていない現状では、当然、パターンド媒体に熱アシスト磁気記録を適用するに際して加熱をどのように行えばよいかといった記録スキームの検討はほとんどなされていない。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−175602号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、パターンド媒体に熱アシスト磁気記録を適用し、効率的な記録スキームを実施できる磁気記録装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様に係る磁気記録装置は、パターン化された強磁性領域が配列している記録層を有する磁気記録媒体と、前記記録層に記録磁界を印加する磁界印加手段および前記記録層を加熱する加熱素子とを含むヘッドと、前記加熱素子による加熱をパルス化するパルス変調回路と、前記加熱素子による加熱パルスのパルス幅を、前記加熱素子が前記記録層の強磁性領域を通過する時間よりも短くするように制御する制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の実施形態に係る磁気記録装置の要部を概略的に示す。図1において、磁気記録媒体10は、基板11上に、パターン化され規則的に配列された強磁性領域(記録セル)12を含む記録層15が形成された構造を有する。図1では強磁性領域12の間を空間として示しているが、非磁性物質が充填されていてもよい。一方、磁気記録媒体10上に配置されるヘッド20は、磁界印加手段としての記録磁極21と、記録層15を加熱する加熱素子22とを有する。図中の矢印はヘッド20の移動方向を示している。
【0011】
基板11の材料としては、金属、ガラス、セラミックスなどの硬質材料を用いることができる。基板11の形状は、通常ディスク状である。また、矩形状の基板を用いて、ヘッドをXY方向に動かして記録セルにアクセスする、いわゆるXY型の記録媒体とすることもできる。
【0012】
記録層におけるパターン化された強磁性領域(記録セル)の材料としては、現在の磁気記録媒体で一般的に用いられている強磁性材料が使われる。すなわち、飽和磁化Isが大きくかつ磁気異方性が大きい強磁性材料が適している。このような特性を示す強磁性材料としては、例えばCo、Pt、Sm、Fe、Ni、Cr、Mn、Bi、およびAlならびにこれらの金属の合金からなる群より選択される少なくとも一種が用いられる。これらのうちでは、結晶磁気異方性の大きいCo基合金、特にCoPt、SmCo、CoCrをベースとしたものや、FePt,CoPtなどの規則合金がより好ましい。具体的には、Co−Cr,Co−Pt,Co−Cr−Ta,Co−Cr−Pt,Co−Cr−Ta−Pt、Fe50Pt50、Co50Pt50、Fe50Pd50、CoPtなどである。これらの他にも、Tb−Fe,Tb−Fe−Co,Tb−Co,Gd−Tb−Fe−Co,Gd−Dy−Fe−Co,Nd−Fe−Co,Nd−Tb−Fe−Coなどの希土類−遷移金属合金、磁性層と貴金属層の多層膜(Co/Pt、Co/Pdなど)、PtMnSbなどの半金属、Coフェライト、Baフェライトなどの磁性酸化物から選択することができる。磁気特性を制御する目的で、上記の磁性体にさらに磁性元素であるFe、Niから選ばれる少なくとも1つ以上の元素を添加して合金化させてもよい。また、これらの金属または合金に、磁気特性を向上させるための添加物、例えばCr、Nb、V、Ta、Mo、Ti、W、Hf、Cr、V、In、Zn、Al、Mg、Si、Bなど、またはこれらの元素と酸素、窒素、炭素、水素から選ばれる少なくとも一つの元素との化合物を加えてもよい。
【0013】
強磁性領域の磁気異方性に関しては、垂直磁気異方性成分が主であればよく、面内磁気異方性成分が含まれていても構わない。
【0014】
強磁性領域となる強磁性膜の厚さに特に制限はないが、高密度記録を考えると100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が更に好ましい。0.1nm以下になると薄膜を構成するのが困難になるので好ましくない。強磁性膜は、これまでの磁気記録媒体の形態と同様に、磁性粒子とその間に存在する非磁性物質とから構成される複合材料であっても構わない。
【0015】
上述したように図1の強磁性領域(記録セル)12の間は空間でもよいし、非磁性物質が充填されていてもよい。非磁性物質を充填する場合、強磁性領域(記録セル)12と非磁性領域(マトリックス)との表面高さを揃えてもよいし、揃えなくてもよい。強磁性領域(記録セル)が突出していれば、記録再生の効率が向上する点で好ましい。非磁性領域(マトリックス)が突出していれば、ヘッドクラッシュ時の記録セルの保護という点で好ましい。
【0016】
記録層15の下に、軟磁性材料からなる軟磁性層を設けてもよい。軟磁性層を設けると、垂直磁気記録を行う場合に記録再生の効率が向上するため好ましい。
【0017】
パターン化された強磁性領域を形成するには、パターンド媒体の製造方法として知られている方法を用いることができる。すなわち、半導体で使われるリソグラフィー(電子線、光、X線)などの技術を利用して連続膜を加工してもよいし、自己組織化するポリスチレン(PS)−ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのジブロックコポリマーを利用した自己組織化マスクを用いて加工してもよいし、メタルマスクを介した粒子線照射で形状をほとんど変化させずに磁気特性のみを変質させることで実質的にパターニングする手法でもよいし、FIB(Focused Ion Beam)などで直接加工してもよい。リソグラフィーによる加工プロセスを用いる場合、リフトオフ法で不要部分を除去してもよいし、あらかじめ形成した穴に強磁性材料を埋め込んでもよい。
【0018】
必要に応じて、記録層の下、記録層と軟磁性層との間、軟磁性層の下に、下地層を設けてもよい。下地層は複数の層からなっていてもよい。下地層の目的は、記録層や軟磁性層の磁気特性、結晶性または微細構造を制御することである。また、必要に応じて、記録層の上に保護層(CやSiOなどから構成される)を設けてもよい。
【0019】
記録磁極21の役割は、記録層15の強磁性領域(記録セル)12を磁化反転させるための磁界を印加することであり、通常の垂直磁気記録で用いられるものと同様の構造のものを用いることができる。また、長手記録に用いられているリングヘッドを用いても垂直磁気記録が可能である。リングヘッドを用いる場合には、軟磁性下地層が必ずしも必要でないので好ましいが、記録磁界が小さいという欠点がある。
【0020】
加熱素子22は、記録層のうち記録温度に達する部分を局所的にすることができるものであれば、媒体全面を加熱するものでもよいし、または媒体の一部を局所的に加熱するものでもよい。一般に、記録保持特性(アーカイブ特性)や使用電力を考慮すると、加熱素子22としては局所加熱できるものを用い、媒体の大部分を室温または室温以下の温度に保つ方が好ましい。高速かつ局所的な加熱が可能な加熱素子22としては、光ディスクに用いられているようなレーザを用いるもの、誘導加熱を行うもの、電熱線などで加熱されたプローブを近づけたり遠ざけたりするもの、電子線を放出するものなどが考えられる。より局所的な加熱を行うためには、レーザ光をレンズなどによって媒体面状で絞りこむような方式、レーザ光を微小開口やソリッドイマージョンレンズを用いて近接場光とする方式、プローブ先端に微細なアンテナを作製してそこから誘導加熱を行う方式、加熱プローブの媒体対向部の形状をできる限り先鋭化したり媒体との距離をより短くしたりする方法、電子線放出プローブの媒体対向部の形状をできる限り先鋭化する方法などが挙げられる。また、いわゆるbow−tieアンテナを形成し、10nm程度の開口領域に表面プラズモンを形成させるもの、金属膜に開口を設けその周りで表面プラズモン共鳴を起こさせるものなどを用いることもできる。これらの加熱素子は、媒体の記録面側に配置してもよいし、その反対面側に配置してもよい。
【0021】
本発明の実施形態に係る磁気記録装置では、加熱素子による加熱をパルス化するパルス変調回路および制御手段を設け、パターン化された強磁性領域が配列している記録層に対してパルス状に加熱を行い、かつ加熱パルスのパルス幅を加熱素子が記録層の1つの強磁性領域(記録セル)を通過する時間よりも短くするように制御する。
【0022】
図2を参照して、本発明の実施形態に係る磁気記録装置の作用効果を原理的に説明する。図2の31は、加熱パルスのタイミングチャートを示している。31のチャートでは、高レベルはOFF(加熱しない)、低レベルはON(加熱する)を意味する。図2の32は、加熱素子と強磁性領域(記録セル)との位置関係を表すタイミングチャートを示している。32のチャートでは、高レベルは加熱素子が記録セル上(ON)に位置し、低レベルは加熱素子が記録セル外(OUT)に位置していることを意味する。図2に示すように、記録層はパルス状に加熱され、加熱パルスのパルス幅は加熱素子が1つの記録セルを通過する時間よりも短くなっている。
【0023】
光ディスクの場合に知られているように、レーザによる加熱時間が長い場合には、レーザからのパワーの供給量は媒体の線速度に反比例する。一般に磁気ディスクは、アクセス速度を向上させるために回転数一定(または複数のゾーンを設定しその中で回転数一定)としているので、例えば加熱素子が記録セル上に滞在している間中ずっとパワーを供給すると、記録セルの温度が媒体の半径位置またはヘッドの通過速度によって変化する結果を招き、安定した記録ができなくなる。これに対して、図2に示したように、記録セルをパルス状に加熱すると、1パルスあたりの供給熱量は一定であるので、各記録セルの温度が一定となり、安定した記録が可能になる。
【0024】
図3に、本発明の実施形態に係る磁気記録装置の信号処理回路図を示す。この図には装置の動作を理解しやすくするために必要な部位のみを示している。なお、この図では個々の回路ブロックによって1つの機能を果すように図示しているが、実際には1つの回路ブロックに複数の機能を組み込める場合もある。
【0025】
図3に示されるように、本発明に係るパターンド磁気記録媒体である磁気ディスク10がスピンドルモータ100に回転可能に取り付けられている。磁気ディスク10の近傍に設置された駆動装置110にサスペンション111が支持され、このサスペンション111の先端にスライダー112が取り付けられている。このスライダー112に加熱素子、記録素子、再生素子を含むヘッド20が設けられている。駆動装置110としては、通常のHDDではボイスコイルモータが用いられるが、ここでは圧電素子とマイクロメータからなる駆動装置を用いている。この駆動装置110によりヘッド20を磁気ディスク10上の任意の位置に移動させることができる。
【0026】
他の信号処理系(CPUなど)から送信されてくる駆動信号は、インターフェース120からドライブコントローラ130を経由して駆動制御回路131へ転送される。駆動制御回路131は、スピンドルモータ100と駆動装置110とを制御し、ヘッド20の位置を決定し、情報が保存されている媒体10上の位置(記録/再生タイミングまたはデータ/サーボといった情報の種類)を決定する。また、他の信号処理系(CPUなど)から送信されてくる記録情報は、インターフェース120を介して変調回路140へと転送されて記録に適した符合化がなされた後、記録ヘッドドライバ141へ送られる。記録ヘッドドライバ141からは記録素子へ制御/駆動信号が出力される。同様に、記録ヘッドドライバ141からはパルス変調回路150および加熱源ドライバ151を経由して加熱素子の加熱源160へ制御/駆動信号が出力される。
【0027】
ピックアップ160により検出された信号はアンプ161で増幅され、A−D変換162および波形等化163を施され、データ検出部164で二値データ(デジタル信号)となる。これをデコーダ165で複号して再生情報を得る。複号された信号とドライブコントローラ130における情報位置とを合わせて、PCなどで処理可能な再生情報とし、この再生情報がインターフェース120を介して他の信号処理系へと送信される。
【0028】
図3の信号処理回路では、加熱源ドライバ151の制御ラインに、パルス変調回路150が追加されている構成が従来の信号処理回路と異なる。なお、パルス変調回路150は、加熱源ドライバ151、記録ヘッドドライバ141または変調回路140に組み込んでもよい。パルス変調回路150には、インターフェース120および情報処理系から、ヘッドが位置している半径位置情報とスピンドルの回転数情報が入力され、加熱パルスのパルス幅を加熱素子が記録セルを通過する時間よりも短くするように制御がなされる。実際には、この情報は、インターフェース120、変調回路140、記録ヘッドドライバ141によって駆動/制御信号に変換されて加熱源160へと伝わる。なお、いかなる半径位置においても、加熱パルスのパルス幅が加熱素子の記録セル通過時間よりも短くなるようなパルス幅をプリセットしてもよい。
【0029】
本発明の実施形態に係る磁気記録装置では、磁界印加手段である記録磁極のトレーリングエッジが1つの強磁性領域(記録セル)を通り過ぎるまで記録磁界を印加するように制御してもよい。
【0030】
熱アシスト磁気記録を行う場合には、記録磁界が通り過ぎた後でも記録セルは加熱された状態であるため、熱揺らぎの加速現象が起こり、いったん記録がなされても再び消去されてしまう場合が想定される。これを防ぐためには、媒体が充分に冷却されるまで記録磁界を印加しつづける方法が考えられるが、従来の連続媒体の場合には記録磁区間にデッドエリアが発生して記録密度向上にとって好ましくない場合が生じる可能性がある。
【0031】
この検討をパターンド磁気記録媒体の場合についても行ってみた。詳細な熱伝導シミュレーションと熱揺らぎ加速シュミュレーションの結果、パターンド磁気記録媒体では1つの記録セルから隣接セルへの伝熱が少なく、1つの記録セルの加熱・冷却が隣接セルにあまり影響を及ぼさないことがわかった。このため、記録磁極のトレーリングエッジが記録セルを通過した後まで、記録磁界の印加時間を延長すれば、熱揺らぎ加速現象を抑制できることがわかった。したがって、本発明の実施形態に係る磁気記録装置によれば、熱揺らぎ加速現象の影響を最小限に抑えた熱アシスト磁気記録ができるようになる。
【0032】
図4に、図3の構成に加えて、上記のような記録磁界の印加タイミングを実現する機能を追加した信号処理回路図を示す。図4では、インターフェース120から、ヘッドが記録セルのどの位置にあるかという情報(セル位置情報)が、磁気記録ヘッドの駆動/制御信号に加えられるようになっている。実際には、セル位置情報は、インターフェース120、変調回路140、記録ヘッドドライバ141によって駆動/制御信号に変換されて磁気記録ヘッドへと伝わる方式になっていてもよい。
【0033】
本発明の実施形態に係る磁気記録装置では、加熱パルスのパルス幅を一定とし、かつ強磁性領域(記録セル)あたりの加熱パルスの個数を平均値の80〜120%の範囲内に収めるのがよい。
【0034】
パターンド磁気記録媒体の場合、強磁性領域(記録セル)がパターン化されているため、光記録媒体とは違った加熱・冷却が起こる。詳細なシミュレーションの結果、記録セルの周りが熱伝導率の低い非磁性材料で囲まれている場合、冷却は主に記録セルから基板側への熱流で起こることがわかった。すなわち、光記録媒体の場合に頻繁に発生する隣接加熱部位からの熱流はほとんどない。この知見をもとに検討を行ったところ、以下の記録スキームが有効であることを見出した。
【0035】
図2に示す方法と同様にパルス加熱を行うが、その際に加熱パルスの長さをディスクの半径位置またはヘッドの走査速度に関係なく一定とし、加熱パルスの周期を調整することによって記録セルあたりの加熱パルスの個数を一定になるようにする。このようにすれば、加熱パルスの幅が一定であるので、ひとつの加熱パルスあたりの供給熱量は一定である。そして、各記録セルに対して加熱パルスの個数がほぼ一定であるので、各記録セルに供給される熱量はほぼ一定になる。したがって、全ての記録セルにおいてほぼ同じ加熱状態を実現できることになり、安定した熱アシスト磁気記録が行えるようになる。図5に記録セルあたりの加熱パルスの個数が4個である場合のタイミングチャートを示す(既述の図2は記録セルあたりの加熱パルスの個数が1個である場合を示している)。
【0036】
加熱パルスの個数がどの記録セルでも完全に同一であれば、精度の高い加熱制御ができるため好ましい。しかし、パターンド磁気記録媒体の磁気特性やシステムの要求によっては、記録セルあたりの加熱パルスの個数にある程度の誤差があっても許容される。熱伝導シミュレーションの結果、記録セルあたりの加熱パルスの個数が平均値の80〜120%の範囲内に収まっていれば、媒体の加熱温度差を線速の違いによる加熱温度差以内に抑制できることが判明した。例えば記録セルあたりの加熱パルスの個数を平均値で1個とした場合、記録セルに0.8〜1.2個の加熱パルスが照射されれば、ある程度精度の高い加熱制御ができる。この場合、システムによっては特に加熱パルスの周期を調整することなしに、全ての記録セルにおいてほぼ同じ加熱状態を実現できるようになり、装置コストを低減できるという利点がある。
【0037】
図6に、図4の構成に加えて、記録セルあたりの加熱パルスの個数を平均値の80〜120%の範囲内に収める機能を追加した信号処理回路図を示す。図6では、図4のパルス変調回路150がパルス間隔変調回路152/パルス幅変調回路153に変更されており、加熱素子が位置する半径位置情報に応じたパルス間隔およびパルス幅が駆動/制御系に出力されるようになっている。パルス間隔変調回路152/パルス幅変調回路153は、加熱源ドライバ151、記録ヘッドドライバ141または変調回路140に組み込まれていてもよい。
【0038】
なお、いかなる半径位置においても、上記の条件を満たすようなパルス幅/パルス間隔の値を事前に算出し、これらの値をプリセットしてもよい。このような方式を採用する場合、図3の信号処理回路が用いられる。ただし、より高度な制御を行う場合には、図6の信号処理回路を用いてパルス幅およびパルス間隔を半径位置に応じて変化させることが好ましい。
【0039】
本発明の実施形態に係る磁気記録装置では、加熱パルスの個数を個々の強磁性領域(記録セル)の体積に比例させてもよい。
【0040】
パターンド磁気記録媒体においては、強磁性領域(記録セル)の体積を半径またはヘッドの走査速度によって変える場合が想定される。これは、再生素子の感度や記録/再生の許容周波数、またはヘッドのアクセス性能といったシステムの要請に基づいて、最適な記録を行えるようにするためである。記録セルの体積が異なると、同じ個数の加熱パルスを照射しても加熱状態が同じにはならない。そこで熱伝導シミュレーションで検討した結果、記録セルの体積に比例した個数の加熱パルスを照射すればよいことがわかった。このことにより安定した熱アシスト磁気記録ができるようになる。
【0041】
加熱パルスの個数の精度は、上記と同じく、平均値の80〜120%の範囲内に収めるのがよい。システム構成上、同一の半径位置(ディスク媒体の場合)または座標(XY型媒体の場合)では記録セルの大きさを同一にするのが通常なので、ヘッドの半径位置または座標に応じて照射する加熱パルスの個数を制御するようにでき、回路構成の複雑化を避けることができる。
【0042】
図7に、図6の構成に加えて、加熱パルスの個数を記録セルの体積に比例させる機能を追加した信号処理回路図を示す。この信号処理回路では、インターフェース120から、加熱素子が位置する半径位置情報に基づくセル体積情報が、パルス間隔変調回路152およびパルス幅変調回路153へと伝わる。実際には、これらの情報は、インターフェース120、変調回路140、記録ヘッドドライバ141によって駆動/制御信号へ変換されて加熱源へと伝わる方式になっていてもよい。
【0043】
本発明の実施形態に係る磁気記録装置では、加熱パルスの照射タイミングを、加熱素子が記録層の1つの強磁性領域(記録セル)上を通過しているタイミングと同期させてもよい。
【0044】
上述したように、各々の強磁性領域(記録セル)に対して同じ個数の加熱パルスを照射して加熱するか、またはさらに加熱パルスのパルス幅を制御して一定のエネルギー供給を行うことで、安定した熱アシスト磁気記録を行うことができるようになる。しかしながら、より高密度の磁気記録を行うか、または熱アシスト磁化反転の条件のマージンが狭いパターンド磁気記録媒体に対して記録を行う場合には、より詳細な加熱制御が必要になる。加熱パルスがランダムなタイミングで照射されると、例えば1つの記録セル内で最高到達温度となる位置(相対位置)が一定ではなくなる。
【0045】
この問題を解決するには、加熱パルスの照射タイミングを、加熱素子が記録層の1つの記録セル上を通過しているタイミングに同期させるようにすればよい。図8に、加熱パルスの照射タイミングの一例を示す。図8の意味は図2と同じであり、31は加熱パルスのタイミングチャートを示し、32は加熱素子と強磁性領域(記録セル)との位置関係を表すタイミングチャートを示している。図8は、加熱素子が1つの記録セルの開始位置上を通過し始めた後、予め設定されたある時間遅れ41と周期42に従って加熱パルスを照射することを示している。図8の例では加熱パルスの個数は2個である。システムの要請によっては、時間遅れ41や周期42を、半径位置またはヘッド走査速度に応じて変化させるような制御を行ってもよい。このような同期照射を行うことによって、どの記録セルでも同じ位置(相対位置)で加熱が行われ、結果として例えば各々の記録セル内で最高温度に到達する位置(相対位置)を概ね一定にすることができるようになる。この方式によって、より安定した熱アシスト磁気記録ができるようになる。ただし、この方式では回路構成が複雑になり、高速記録が難しくなるといった問題点もあるので、この方式を取り入れるかどうかはシステムの仕様によって決定される。また、この方式を採用すれば、記録セルと記録セルとの間の非磁性領域を加熱することがなくなる。これによって磁気記録媒体の不要な加熱を防ぐことができるので、熱による劣化を抑える、熱揺らぎ劣化を抑える、消費電力を小さくする、といった利点もある。
【0046】
図9に、図7の構成に加えて、加熱パルスの照射タイミングを、加熱素子が記録セル上を通過しているタイミングに同期させる機能を追加した信号処理回路図を示す。図9に示されるように、変調回路140と記録ヘッドドライバ141との間に、駆動/制御信号のタイミングを制御するための同期回路170が挿入されている。この同期回路170は、インターフェース120、変調回路140または記録ヘッドドライバ141に組み込まれていてもかまわない。加熱素子が位置する半径位置に基づく記録セル位置情報は、インターフェース120よりパルス間隔変調回路152およびパルス幅変調回路153にも伝わる。実際には、セル位置情報は、インターフェース120、変調回路140、同期回路170、記録ヘッドドライバ141、パルス間隔変調回路152、パルス幅変調回路153によって、駆動/制御信号へ変換される方式になっていてもかまわない。
【0047】
本発明の実施形態に係る磁気記録装置では、記録時に記録層の1つの強磁性領域内で最高温度となる位置を、トラック方向に沿う前記強磁性領域の中心に対して前方または後方にずらせてもよい。
【0048】
詳細な熱アシスト磁化反転シミュレーションにより、核となる磁化反転領域が小さくても記録セル全体の反転ができることが判明した。この磁化反転の核の位置は、記録セル内でランダムに発生するよりも、トラック方向に沿う記録セルの中心位置よりも前または後にずれている方が、より磁化反転が容易になる、すなわち、より低い加熱でも磁化反転できることがわかった。
【0049】
図10に強磁性領域(記録セル)内の温度分布を模式的に示す。53は1つの強磁性領域(記録セル)を示し、54はトラック方向に沿う記録セルの中心位置を示している。加熱素子は図中矢印で示す方向に進行する。この図は、記録セルが最高到達温度に達した時刻での記録セル内の温度分布を示している。51は記録セル内で最高温度となる位置がトラック方向に沿う記録セルの中心より後方にずれている場合の温度分布を示す。52は記録セル内で最高温度となる位置がトラック方向に沿う記録セルの中心より前方にずれている場合の温度分布を示す。このときに記録磁界が印加されているので、セルの磁化反転すなわち記録過程が起こる。
【0050】
シミュレーションの結果、核発生位置が中心よりずれている場合には磁化反転が容易に起こる場合があることが判明した。詳細な原因は不明であるが、記録セル端部による反磁界と磁化反転様式によるものと思われる。核発生位置の記録セル中心からのずれ量の絶対値は記録セルの磁気特性と、加熱条件を定めるシステム仕様に依存するので、ここで限定することはできない。本質的なのは、最高温度となる位置が記録セルの中心からずれていることにある。
【0051】
また、最高温度となる位置が記録セルの中心に対して後方にずれている51の場合には、磁化反転後の磁界印加時間が長いので、熱揺らぎ加速現象をより効果的に抑制できる利点がある。一方、最高温度となる位置が記録セルの中心に対して前方にずれている52の場合には、トラック方向に沿って後方に位置する記録後の記録セルの冷却が促進されて熱揺らぎ加速が抑えられるので好ましい。
【0052】
また、磁化反転核の発生自体に関しては、反磁界が最も大きくなる記録セルの中央で最も発生しやすくなる場合が多い。従って、パターンド媒体の熱アシスト磁気記録において、記録時に51や52の温度分布になっている方が常に好ましいと言うわけではないことを付記しておく。どの態様が好ましいかは、磁気特性とシステム仕様に依存する。
【0053】
図11に、図7の構成に加えて、記録セル内の最高温度となる位置を、トラック方向に沿う記録セルの中心に対して前方または後方へずらせる機能を追加した信号処理回路図を示す。図11には、記録セルの温度を推定して温度分布を補償する機能を持つ温度推定/補償回路180が追加されている。記録セル内で最高温度となる位置は、半径位置に対して照射される加熱パルスのパルス幅およびパルス間隔で制御することができる。インターフェース120からの信号(ヘッド位置情報など)は温度推定/補償回路180へと伝わり、駆動/制御信号としてパルス間隔変調回路152およびパルス幅変調回路153へと伝わる。温度推定/補償回路180は、インターフェース120、変調回路140、記録ヘッドドライバ141、またはパルス間隔変調回路152/パルス幅変調回路153に組み込まれていてもかまわない。
【0054】
本発明の実施形態に係る磁気記録装置において、図10に示した温度分布(51または52)を作り出すには、図8に示したように、加熱パルスの照射タイミングを加熱素子が1つの強磁性領域(記録セル)上を通過しているタイミングに同期させ、トラック方向に沿う強磁性領域の中心に対して前方または後方のいずれかに集中的に加熱パルス(加熱パルス列)を照射するやり方がある。同期回路を設けて、半径位置またはヘッド走査速度に応じた時間遅れ41や周期42を適切に設定することにより、全ての記録セルに対して各々の記録セルに適した温度分布を作り出すことができる。これによって、より安定した熱アシスト磁気記録ができるようになる。ただし、この方式を採用すると、回路などのコストがかかり、高速の記録/再生が難しくなる欠点がある。
【0055】
図12に、図11に加えて、加熱パルスの照射タイミングを加熱素子が記録セル上を通過しているタイミングに同期させる機能を追加した信号処理回路図を示す。変調回路140と記録ヘッドドライバ141との間に、駆動/制御信号のタイミングを制御するための同期回路170が挿入されている。この同期回路170は、インターフェース120、変調回路140または記録ヘッドドライバ141に組み込まれていてもかまわない。加熱素子が位置する半径位置に基づく記録セル位置情報は、インターフェース120からパルス間隔変調回路152/パルス幅変調回路153にも伝わる。実際には、この情報は、インターフェース120、変調回路140、同期回路170、記録ヘッドドライバ141、パルス間隔変調回路152/パルス幅変調回路153によって、駆動/制御信号へ変換される方式になっていてもかまわない。
【0056】
【実施例】
(実施例1)
以下のようにしてパターンド磁気記録媒体を作製した。
インプリントのための原盤(スタンパ)を以下のようにして作製した。ガラス基板上にレジストを塗布し、電子線リソグラフィにより、ディスク半径方向に長さ200nm、ディスク周方向に幅(20±α)nmの矩形領域を5nmの間隔を隔てて配列したパターンを形成した。次に、メッキ法によって矩形パターンを転写したNi原盤を作製した。これをインプリントのための原盤(スタンパ)として用いた。
【0057】
2.5インチのガラスディスク基板上に、NiAl50nm/Cr20nm/Pt5nm/FePt10nm/C5nmをスパッタ法により堆積した。FePt層成膜時に、基板温度を350℃に加熱した。このディスク基板上にレジストを塗布し、Ni原盤をインプリントしてレジストをパターニングした。レジストパターンをマスクとしてCl系ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)によってFePt層を加工した。その後、酸素アッシングでレジストを除去し、パターンド媒体を作製した。
【0058】
作製されたパターンド媒体では個々の矩形のFePt領域が、磁気記録の一単位である記録セルとなる。記録セルのディスク周方向の幅は、ディスク基板の半径上の中間領域において20nmとし、ディスク基板の内周側および外周側ではディスク線速に応じて変化させた。すなわち、ヘッドから見て常に同じ通過時間となるように、ディスク周方向の幅を変化させた(この調整分をαと表している)。このように記録セルのディスク周方向の幅を変化させたことにより、半径位置によらず、記録セルの再生周波数を一定にすることができる。この媒体の磁気特性をVSMで調べたところ、垂直磁気異方性を示し、保磁力は15kOeであった。
【0059】
この媒体に対して、リングヘッドを用いて記録/再生実験を行った。なお、記録磁極先端にFIBにより曲率10nm以下の突起を設け、記録磁極に電流源を接続し、浮上量8nmの浮上動作で記録磁極先端の突起から電子線を放出させ、それによるジュール加熱で媒体温度を数百℃上昇できるようにしている。すなわち、この記録磁極は加熱素子も兼ねている。
【0060】
まず、ディスク回転数を一定とし、記録磁極から一定の電子線放出量で連続的に電子線を放出させることにより熱アシスト磁気記録の実験を試みた(比較例)。この記録磁極は、軟磁性下地層がない場合、2.0kOeの垂直磁気記録媒体に記録することができる能力を持つ。この記録磁極の最大印加磁界強度の90%に相当する一定の強度の磁界を印加しながら、ディスク半径上の内周、中間領域、外周の3箇所で記録実験を行った。常に一定の磁界、一定の加熱で熱アシスト磁気記録を行うので、本来的にはどの位置でもall−oneの細密信号が得られるはずである。ところが、外周側で記録できない領域が発生し、再生波形エンベロープが大きく乱れた。そこで、電子線の照射量を増やして外周領域でもエンベロープの乱れない信号が得られる条件を探し、再び中間領域および内周で記録を試みた。すると今度は内周側のエンベロープが乱れた。
【0061】
上記の現象が起こる原因は以下のとおりである。前者の場合には外周側の加熱が不十分であるため十分な記録ができなかった。一方、後者の場合には内周側で過度の加熱が起こり、熱揺らぎ加速のためにいったん反転した磁化が不安定になって記録が消去された。従って、上記のように連続的に電子を放出させる方式でHDDシステムを構築する場合には、記録位置によって加熱量すなわち電子の放出量を制御する必要がある。電界放出による電流量は印加電圧によって制御可能であるが、電圧と放出量が線形な関係を示す領域が狭く、また放出量と加熱温度との関係も非線形であるので、精密な制御は困難である。
【0062】
次に、本発明に従い、図3の信号処理回路を用いて、印加電圧をパルス変調することによって記録磁極からパルス状の電子線放出が起こるようにして加熱パルスを照射し、熱アシスト磁気記録の実験を試みた。このとき、ディスク回転数、ディスク上の半径位置、記録セルの周方向の幅から、加熱素子が1つの記録セル上を通過する時間を計算した。そして、加熱パルスのパルス幅(照射時間)を種々変化させて熱アシスト磁気記録を行った後、再生して再生波形のエンベロープを観測した。この実験では、加熱素子が1つの記録セル上を通過する時間を100%として、加熱パルスのパルス幅を200%、175%、150%、125%、100%、75%、50%、25%と変化させた。なお、連続照射の場合に内周側の再生波形にエンベロープの乱れが見られた印加電圧の1.5倍の印加電圧条件で電子線を放出させた。
【0063】
その結果、加熱パルスのパルス幅が125%よりも長い場合には、内周側の再生波形にエンベロープの乱れが見られた。加熱パルスのパルス幅が100%または75%の場合には、全ての位置において再生波形にエンベロープの乱れは認められなかった。加熱パルスのパルス幅が50%または25%の場合には、全ての位置において再生波形にエンベロープの乱れが認められたが、印加電圧条件を2.5倍にすることで再生波形にエンベロープの乱れは認められなくなった。
【0064】
これらの結果は、加熱パルスのパルス幅を、加熱素子が記録セルを通過する時間よりも短くすると、各々の記録セルの加熱温度が概ね一定に保たれるようになることを示している。一方、連続照射の場合または加熱パルスのパルス幅が長い場合には、1つの記録セルへ入力されるエネルギーは、加熱素子が記録セル上に滞在している間ずっと積算されるため、記録セルの温度はその位置での線速によって大きく異なる。これに対して、パルス幅の短い加熱パルスを照射する場合には、1つの記録セルに複数個の加熱パルスが照射されることがあっても、パルス間に照射されない時間が必ず存在するため冷却が起こり、過度の加熱を防止できているものと思われる。
【0065】
上記の考察を検証するために、いわゆるXY型の磁気記録媒体で熱アシスト磁気記録を行った。基板として矩形のガラス基板を用い、電子線直描リソグラフィーにより1mm四方の領域に強磁性領域(記録セル)のパターンを直接形成した以外は、上記と同様にしてXY型の磁気記録媒体を作製した。上記実験で用いたヘッドをZ駆動可能なピエゾ素子に取り付け、媒体をXY駆動可能なピエゾ素子で駆動されるステージに載せて、記録再生実験を行った。この場合、ヘッドと媒体との間の空隙が小さいので、上記の実験の約1/3の印加電圧で電子線の放出が可能であった。記録/再生はピエゾでX方向に駆動しながら行うので、再生信号波形からヘッドがセル上にある場合とセル間にある場合とを区別できる。
【0066】
X方向のスキャン速度と加熱パルスのパルス幅とを調整し、加熱素子が記録セルを通過する時間に対する加熱パルスのパルス幅の比率が200%、175%、150%、125%、100%、75%、50%、25%の条件で熱アシスト磁気記録を行った後、再生して再生波形を観測した。各々のパルス幅の条件において、再生波形が乱れなくなる印加電圧マージンを測定した。その結果、パルス幅が125%以上ではマージンはほぼ同じで、100%,75%,50%の順にマージンが増えていった。また、パルス幅が25%の場合には、安定した放電ができる上限の印加電圧まで再生波形が乱れなかった。スキャン速度を変えた場合にも同じ傾向が認められた。この結果は、ディスク媒体で行った実験結果に対する考察を支持するものである。すなわち、パルス照射によって均一な加熱ができるようになった結果、加熱素子の通過時間/照射パワーに対するマージンが広くなっているものと思われる。
【0067】
次に、このXY系セットアップを用いて、磁界印加タイミングの検討を行った。ここでは、記録セルごとに印加磁界の向きを切り替えて「1,−1,1,−1,…」の記録を行う実験を行った。電子線放出のための印加電圧は連続磁界印加時における上限値(パルス幅が50%の場合)に固定し、磁界印加タイミングと得られた再生信号波形との関係を調べることによって、記録状態への影響を調べた。
【0068】
図13および図14を参照して、記録磁極のトレーリングエッジが記録セルを通り過ぎるタイミングに対して、記録磁界(+1,0,−1)の印加タイミングをどのように設定するのが適切なのかを説明する。
【0069】
これらの図において、上のチャートは記録磁界(+1,0,−1)のタイミングチャートを示し、下のチャートは記録磁極のトレーリングエッジと記録セルとの位置関係を表すタイミングチャートを示している。下のチャートでは、高レベルはトレーリングエッジが記録セル上(ON)に位置し、低レベルはトレーリングエッジが記録セル外(OUT)に位置していることを意味する。
【0070】
図13は、記録磁極のトレーリングエッジが記録セルを通過した後も、ある時間遅れ61の間は記録磁界を印加する態様を示している。この態様では、再生波形に乱れは観察されなかった。
【0071】
図14は、記録磁極のトレーリングエッジが記録セルを通過する前に、記録磁界の印加を中止する態様を示している。すなわち、図14は時間遅れ61’がマイナスの場合である。この態様では、1,−1,1,−1,…となるべき再生波形に信号の「抜け」が発生し、正しく記録できない場合があることがわかった。これは記録磁界がなくなった後にも、記録セルがまだ高温状態であるために熱揺らぎ現象の加速が起こり、磁化が不安定になったためと思われる。
【0072】
興味深いことに、図15に示したように時間遅れ61が長く、記録磁極のリーディングエッジが隣の記録セル上に達している場合においても安定した記録ができることがわかった。すなわち、超過時間71の間は、記録磁極のリーディングエッジが通過している記録セルに対して、ひとつ前の記録セルへの記録磁界が印加されているにもかかわらず、所望の記録が可能である。このことは、安定な記録を行う決定的要因が、記録磁極のトレーリングエッジが記録セルを通過するタイミングまで記録磁界が印加されていることにあることを意味している。
【0073】
(実施例2)
以下のようにしてパターンド磁気記録媒体を作製した。2.5インチのガラスディスク基板上に、Ti50nm/FeAlSi150nm/MgO2nm/Cr10nm/Pt5nm/(Fe50Pt50)Cu10 10nm/C5nmをスパッタ法により堆積した。FeAlSi層は軟磁性下地層である。FePt層成膜時に、基板温度を350℃に加熱した。実施例1と同様の手法により、同じ構造のパターンド媒体を作製した。この媒体の磁気特性をKerr効果測定装置で調べたところ、垂直磁気異方性を示し、保磁力は20kOeであった。
【0074】
この媒体について、熱アシスト磁気記録/再生実験を行った。垂直磁気記録用の記録磁極を用い、印加磁界は一定とした。記録磁極の前方にいわゆるbow−tie素子による加熱素子を設置した。図16にヘッドを媒体対向面(ABS面)からみた平面図を示す。矢印はヘッドの移動方向を示す。このヘッドは、前方から説明すると、Cuを加工して形成したbow−tie素子81、記録磁極82、再生素子83が順に設けられている。bow−tie素子81のギャップ部にヘッドの上方から光ファイバーを介してレーザ光が照射されるようになっており、表面プラズモン共鳴によって、ギャップ部のみに強度の強い近接場電界が発生する。媒体表面とこのギャップ部が10nm程度に近接すると、近接場電界が媒体側と接することで伝播光と同様なエネルギー流が発生する。このエネルギーによって媒体は局所的に加熱される。加熱温度およびタイミングは照射するレーザのパワーおよびon/offで制御することができる。
【0075】
この媒体の回転数を4500rpm一定とし、加熱パルスのパルス幅を一定にして、最内周、中間領域、最外周の3つの領域に熱アシスト磁気記録する実験を行った。パルス幅は一定であるので、実施例1で述べたように、パルス照射に基づく冷却効果によって全周にわたって概ね記録を行うことができる。しかし、最内周と最外周とでは線速が異なるため、記録セルあたりの加熱パルスの照射回数が異なる。したがって、外周側では加熱不足による記録不良が発生しやすく、内周側では過加熱による熱揺らぎ加速で記録不良が発生しやすい。
【0076】
そこで、加熱パルスのパルス幅とパルス間隔を変化させて、安定な記録が行える条件を調べた。記録セルあたりに照射される平均の加熱パルス数を計算し、平均加熱パルス数に対する個々の記録セルに照射された加熱パルス数の差をパーセンテージで表して加熱パルス数の誤差を求めた。当然、この誤差はディスクの最内周と最外周で大きくなる。パルス幅、パルス間隔、位相関係を変えた種々の条件で、加熱パルス数の誤差と再生信号のCNR(キャリア−ノイズ比)との関係を求めた。その結果をまとめて図17に示す。
【0077】
図17に示されるように、条件によらず、CNRは加熱パルス数誤差とよい相関を持つことがわかった。図17から、加熱パルス数の誤差が20%以内であればCNRの大きな劣化がないことがわかった。
【0078】
次に、図6のように加熱源にパルス間隔変調回路を接続し、パルス幅を一定とし、ディスク上の半径位置に応じてパルス間隔を変えるようにした。上述したように記録セルの幅が内周側と外周側で異なるので、加熱すべき記録セルの体積は異なる。そこで、各半径位置での記録セルの体積を求め、記録セルの体積に比例した個数の加熱パルスを照射するようにパルス間隔を変調して、上記と同じ実験を行った。その結果、図17と同様の結果が得られたが、誤差20%におけるCNRの劣化分が1.5dBとなり、記録の安定性が向上した。これは、より均一な加熱が達成されたためであると思われる。ただし、パルス間隔変調回路が必要になり、加熱方式によっては入力電圧(エネルギー)に対する出力エネルギーの関係に非線形性があるのでハードウェアが複雑になる欠点がある。従って、本実施例に従う方式を採用するかどうかは、ドライブとしてのシステム設計に関わる事項である。
【0079】
(実施例3)
以下のようにしてパターンド磁気記録媒体を作製した。
インプリントのための原盤(スタンパ)を以下のようにして作製した。ガラス基板上にレジストを塗布し、光ディスクで用いられるのと同様な方法で幅200nmのレジストグルーブを形成した。このガラス基板上に、自己組織化ジブロックコポリマーであるポリスチレン(PS)−ポリメチルメタクリレート(PMMA)を塗布した。140℃でアニールしてコポリマーを自己組織化させた後、自己組織化パターンをマスクとしてRIEによりガラス基板をエッチングした。このときのパターンは、幅200nmのグルーブ中に、40nm径のドットがトラック方向に沿って80nmピッチで並んだ列が3列含まれたものである。グルーブの平面内では、ドットは三角格子を組んで配列している。次に、電鋳によってドットパターンを転写したNi原盤を作製した。これをインプリントのための原盤(スタンパ)として用いた。
【0080】
2.5インチのガラスディスク基板上に、Pd15nm/[Co0.3nm/Pd0.7nm]10/C5nmをスパッタ法により堆積した。[Co0.3nm/Pd0.7nm]10記録層はCo0.3nmとPd0.7nmを交互に10回繰り返した、いわゆる人工格子膜である。このディスク基板上にレジストを塗布し、Ni原盤をインプリントし、Cl系ガスを用いたRIEにより記録層をエッチングし、酸素アッシングでレジストを除去し、パターンド媒体を作製した。このパターンド媒体では、強磁性領域である個々のドットが、磁気記録の一単位(記録セル)となる。この媒体の磁気特性をVSMで調べたところ、垂直磁気異方性を示し、保磁力は10kOeであった。
【0081】
この媒体について、熱アシスト磁気記録/再生実験を行った。垂直磁気記録用の記録磁極を用い、印加磁界は一定とした。記録磁極の前方にテーパをつけた導波路を設置し、近接場による加熱素子とした。図18にヘッドを媒体対向面(ABS面)からみた平面図を示す。矢印はヘッドの移動方向を示す。このヘッドは、前方から説明すると、導波路91(この図では終端部が見えている)、記録磁極82、再生素子83が順に設けられている。導波路91にはその上方に設けられた光ファイバー(図示せず)を介してレーザ光が照射され、導波路91の終端部に強度の強い近接場電界が発生する。媒体表面と導波路91の終端部が10nm程度に近接すると、近接場電界が媒体側と接することで伝播光と同様なエネルギー流が発生する。このエネルギーによって媒体は局所的に加熱される。加熱温度およびタイミングは照射するレーザのパワーおよびon/offで制御することができる。
【0082】
図9の信号処理回路を用い、この媒体の回転数を4500rpm一定とし、加熱パルスの照射タイミングを加熱素子が記録セルを通過しているタイミングに同期させた。すなわち、ディスク回転のインデックス信号を基にして各半径位置で再生信号(all−one記録されている)の位相ずれを調べ、その位相ずれを基にしてレーザパルス照射タイミングを同期させた。この制御により、各記録セルに対して1個の加熱パルスを照射できる。また、再生信号位相に対してパルス照射のゲートの位相を同期させるようにすれば、任意の数、間隔でパルス加熱ができるようになる。
【0083】
各記録セルに加熱パルスを1回照射する設定で熱アシスト磁気記録の実験を行った。その結果、実施例1の場合よりもノイズが3dB減少した。再生波形を詳細に解析すると、エンベロープの乱れが少なく、記録が安定化されていることが示唆された。また、この方式により加熱パワーマージンが30%増加した。実施例2の方式を加えて同じ実験を行ったところ、この照射方式でも同じ効果が得られることを確認した。また、いずれの場合にも加熱パワーマージンが20−50%増加した。このことは、加熱パルスを同期させることにより、各半径位置において加熱がより均一になったためと思われる。ただし、同期加熱のためのコストがかかるので、本実施例に従う方式を採用するかどうかはシステム設計において検討すべき事項である。
【0084】
(実施例4)
実施例2と同じ媒体・ヘッドを用いて熱アシスト磁気記録の実験を行った。この実験で用いられる系のパラメータを用い、パルス列の照射ストラテジーと記録セルの上昇温度との関係を熱伝導解析ソルバーによって検討した。一般に、記録セルに長い加熱パルスが照射されるか複数個の加熱パルスが照射されると、加熱初期からの熱の蓄積によって、最高温度到達位置は加熱パルスの照射位置(パルス中心)とはずれる。
【0085】
そこで、種々の位相の照射タイミングに対して、最高到達温度が記録セル中のどの位置になるかを見積もった。また、all−one記録を行ったときの再生信号CNRが3dBダウンする範囲を加熱パワーマージンとした。その際、パルス幅(記録セル長さを100%として、100%以下)とパルス間隔との組み合わせを数種類変化させた。図19に、最高到達温度位置と加熱パワーマージンの関係を示す。図の縦軸は最大の加熱パワーマージンで規格化した値である。加熱パワーマージンの絶対値は用いた条件により異なるが、最大のマージンで規格化すると同じ相関が得られる。このように、照射タイミングの違いに拠らず、最高到達温度位置と加熱パワーマージンとの間には特定の相関がある。
【0086】
図19からわかるように、記録セル中の最高到達温度が記録セルの中心よりも前方(プラス)または後方(マイナス)にある場合の方が、加熱パワーマージンが増加している。この理由は不明であるが、磁化反転機構や熱揺らぎ加速現象による影響であると思われる。なお、加熱パワーマージンを優先したシステムを設計する場合には、本実施例のように最高到達温度位置が記録セルの中心から後方または前方にずれている方が好ましいが、他のマージンを優先するシステムの場合には最高到達温度位置がセルの中心であっても構わない。
【0087】
上記と同じ実験を、加熱パルスの照射タイミングを加熱素子が記録セル上を通過しているタイミングに同期させる方式で行った。この場合、再生波形エンベロープの乱れが少なくなり、ノイズレベルが大幅に低下する。このため加熱パワーマージンの絶対値は図19の場合に比べて概ね50%増加した。ただし、最大値で規格化したときの相関は図19とほとんど同じであった。従って、より加熱マージンの広いシステムを作る場合には同期パルス加熱が適しているが、上述したようにシステム製造コストが増加するデメリットがある。
【0088】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、パターンド媒体に熱アシスト磁気記録を適用し、効率的な記録スキームを実施できる磁気記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気記録装置の要部を概略的に示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る磁気記録装置における、加熱パルスの照射タイミングと加熱素子が記録セルを通過するタイミングとの関係を示す図。
【図3】本発明の実施形態に係る磁気記録装置の信号処理回路図。
【図4】本発明の他の実施形態に係る磁気記録装置の信号処理回路図。
【図5】本発明の他の実施形態に係る磁気記録装置における、加熱パルスの照射タイミングと加熱素子が記録セルを通過するタイミングとの関係を示す図。
【図6】本発明の他の実施形態に係る磁気記録装置の信号処理回路図。
【図7】本発明の他の実施形態に係る磁気記録装置の信号処理回路図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る磁気記録装置における、加熱パルスの照射タイミングと加熱素子が記録セルを通過するタイミングとの関係を示す図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る磁気記録装置の信号処理回路図。
【図10】記録セル内の温度分布を模式的に示す図。
【図11】本発明の他の実施形態に係る磁気記録装置の信号処理回路図。
【図12】本発明の他の実施形態に係る磁気記録装置の信号処理回路図。
【図13】本発明の実施例1における記録磁界の印加タイミングの一例を示す模式図。
【図14】本発明の実施例1における記録磁界の印加タイミングの他の例を示す模式図。
【図15】本発明の実施例1における記録磁界の印加タイミングのさらに他の例を示す模式図。
【図16】本発明の実施例2における磁気記録装置のヘッドを媒体対向面(ABS面)からみた平面図。
【図17】本発明の実施例2における、加熱パルス数の誤差と再生信号のCNRとの関係を示す図
【図18】本発明の実施例3における磁気記録装置のヘッドを媒体対向面(ABS面)からみた平面図。
【図19】本発明の実施例4における最高到達温度位置と加熱パワーマージンとの関係を示す図。
【符号の説明】
10…磁気記録媒体、11…基板、12…強磁性領域(記録セル)、15…記録層、20…ヘッド、21…記録磁極、22…加熱素子、31…加熱パルスのタイミング、32…加熱素子の通過タイミング、41…時間遅れ、42…パルス周期、53…記録セル、54…記録セルの中心位置、61、61’…時間遅れ、71…超過時間、81…bow−tie素子、82…記録磁極、83…再生素子、91…導波路、100…スピンドルモータ、110…駆動装置、111…サスペンション、112…スライダー、120…インターフェース、130…ドライブコントローラ、131…駆動制御回路、140…変調回路、141…記録ヘッドドライバ、150…パルス変調回路、151…加熱源ドライバ、152…パルス間隔変調回路、153…パルス幅変調回路、160…加熱源+磁気ピックアップ、161…アンプ、162…A−D変換、163…波形等化、164…データ検出部、165…デコーダ、170…同期回路、180…温度推定/補償回路。

Claims (7)

  1. パターン化された強磁性領域が配列している記録層を有する磁気記録媒体と、
    前記記録層に記録磁界を印加する磁界印加手段および前記記録層を加熱する加熱素子を含むヘッドと、
    前記加熱素子による加熱をパルス化するパルス変調回路と、
    前記加熱素子による加熱パルスのパルス幅を、前記加熱素子が前記記録層の強磁性領域を通過する時間よりも短くするように制御する制御手段と
    を具備したことを特徴とする磁気記録装置。
  2. 前記磁界印加手段のトレーリングエッジが1つの強磁性領域を通り過ぎるまで記録磁界を印加するように制御することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録装置。
  3. 前記加熱パルスのパルス幅を一定とし、かつ強磁性領域あたりの加熱パルスの個数を平均値の80〜120%の範囲内に収めることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録装置。
  4. 前記加熱パルスの個数を個々の強磁性領域の体積に比例させることを特徴とする請求項2に記載の磁気記録装置。
  5. 前記加熱パルスの照射タイミングを、前記加熱素子が前記記録層の1つの強磁性領域上を通過しているタイミングに同期させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気記録装置。
  6. 記録時に前記記録層の1つの強磁性領域内で最高温度となる位置を、トラック方向に沿う前記強磁性領域の中心に対して前方または後方にずらせることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気記録装置。
  7. 前記加熱パルスの照射タイミングを、前記加熱素子が前記記録層の1つの強磁性領域上を通過しているタイミングに同期させ、トラック方向に沿う強磁性領域の中心に対して前方または後方のいずれかに集中的に加熱パルスを照射することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気記録装置。
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