JP4219529B2 - 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法及び磁化パターン形成装置 - Google Patents

磁気記録媒体の磁化パターン形成方法及び磁化パターン形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録装置に用いられる磁気ディスクなどの磁気記録媒体の磁化パターン形成方法及び磁化パターン形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気ディスク装置に代表される磁気記録装置はコンピュータなどの情報処理装置の外部記憶装置として広く用いられ、近年は動画像の録画装置やセットトップボックスのための記録装置としても使用されつつある。
磁気ディスク装置は、通常、磁気ディスクを1枚或いは複数枚を串刺し状に固定するシャフトと、該シャフトにベアリングを介して接合された磁気ディスクを回転させるモータと、記録及び/又は再生に用いる磁気ヘッドと、該ヘッドが取り付けられたアームと、ヘッドアームを介してヘッドを磁気記録媒体上の任意の位置に移動させることのできるアクチュエータとからなり、記録再生用ヘッドが磁気記録媒体上を一定の浮上量で移動している。
【0003】
磁気ディスク装置に搭載される磁気記録媒体は、一般にアルミニウム合金などからなる基板の表面にNiP層を形成し、所要の平滑化処理、テキスチャリング処理などを施した後、その上に、非磁性金属下地層、磁性層、保護層、潤滑層などを順次形成して作製されている。あるいは、ガラスなどからなる非磁性基板の表面に非磁性金属下地層、磁性層(情報記録層)、保護層、潤滑層などを順次形成して作製されている。磁気記録媒体には面内磁気記録媒体と垂直磁気記録媒体とがある。
【0004】
面内磁気記録媒体は、通常、長手記録が行われる。
磁気記録媒体の高密度化は年々その速度を増しており、近年においては年率60%以上の増加率で高密度化が進んでいる。この高密度化を実現する技術には様々なものがあり、例えば磁気ヘッドの浮上量をより小さくしたり磁気ヘッドとしてGMRヘッドを採用したり、また磁気ディスクの記録層に用いる磁性材料の改良や、磁気ディスクの情報記録トラックの間隔を狭くすることなどが試みられている。
【0005】
情報記録トラックの間隔を狭めてトラック数を増加させると、データ書込み/再生用ヘッドの位置制御に用いる信号(以下、「サーボ信号」と言うことがある。)もそれに合わせてディスクの半径方向に対して密に、すなわちより多く設けて精密な制御を行えるようにしなければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
サーボ信号としてはいくつかの方法が提案されている。広く製造に用いられている方法は、ドライブ(磁気記録装置)のヘッドアクチュエータ近傍に穴を開け、その部分にエンコーダ付きのピンを挿入し、該ピンでアクチュエータを係合し、ヘッドを正確な位置に駆動してサーボ信号を書き込もうとするものである。
【0007】
他の方法としては、最外周或いは最内周にヘッドを機械的に位置決めし、最初のサーボ信号(又はサーボ信号を書き込むためのリファレンス信号)を書き込み、次のサーボ信号(又はサーボ信号を書き込むためのリファレンス信号)は、前書き込み済みのサーボ信号(又はサーボ信号を書き込むためのリファレンス信号)出力が一定割合減ずる位置に書き込んでいくといった、ドライブ自身でサーボ信号を書き込む方法も提案されている。
【0008】
また、サーボ信号に相当する凹凸面を擁したマスターディスクを磁気記録媒体に密着させ、さらに磁界をかけることで磁気記録媒体にマスターディスクの凹凸を磁気転写する、静的にサーボ信号を書き込む技術も提案されている(特開平10−269566号公報)。
或いは、レーザービームを磁気記録媒体に照射して媒体表面を局所的に変形させ物理的な凹凸を形成することで、凹凸サーボ信号を形成する技術も提案されている。
【0009】
磁気記録媒体の記録密度は、数十Gbit/inch2から数年後には、100Gbit/inch2以上に達しようとしている。100Gbit/inch2を実現するには、トラック密度は100ktpiを超える密度の実現が必要とされるが、従来の手法では、効率よくしかも精度よく磁化パターンを形成するのが難しいという問題があった。
【0010】
例えば、サーボ信号の書き込みを例にとると、上述の外部ピンを使用した方法だと、位置決め機構とアクチュエータの重心が異なる位置にあるため、高精度のトラック位置制御ができず、サーボ信号を正確に記録するのが困難であった。
また、ドライブ自身でサーボ信号を書き込む方法では、重心のずれによる問題は無いものの、前に書き込んだサーボ信号(又はサーボ信号を書き込むためのリファレンス信号)を次の書き込みに利用しているため、書き込みを順次進めていく間に誤差が累積していってしまうという問題があった。
【0011】
磁気転写により静的にサーボ信号を書き込む方法では、累積誤差、重心の問題は無いが、マスターディスクと磁気転写される磁気記録媒体との完全な密着が非常に難しい。
また、密着の際にゴミを挟み込みゴミの跡を磁気記録媒体に転写してしまい、媒体が不良になるだけでなく、高価なマスターディスクを痛めてしまう恐れがあり、その発生等をどう抑えるかと言った難しい問題が残っている。さらに、ガラスを材料にした硬質基板で構成された磁気記録媒体にこの方法を適用した場合、微小なゴミ等の挟み込みにより、密着が不十分になり、磁気転写できなかったり、磁気記録媒体にクラックが発生したりするので、ガラス基板を用いた磁気記録媒体に本方法を適用することは難しい。
【0012】
そこで本発明者は、特願2000−25854号及び特願2000−48721号において、マスク手段を介したエネルギー線照射と外部磁場印加とによる磁化パターン形成方法を提案した。これによれば、効率よく精度よくパターンが形成でき、しかも媒体やマスクを傷つけることなく欠陥発生も少ない。ただし本方法において、磁場強度の均一な一般的な磁石を外部磁場印加手段として用いた場合、円板状の磁気記録媒体の磁化パターン形成が均一に行われない可能性があった。
【0013】
本発明はこれら問題点を解決し、効率よく精度よくパターンが形成でき、しかも媒体やマスクを傷つけることなく、欠陥発生の少ない磁化パターン形成方法を提供し、ひいては高密度記録が可能な磁化パターン形成装置を短時間かつ安価に提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気記録媒体の磁化パターン形成方法は、基板上に少なくとも1層の磁性薄膜を設けてなる円板状の磁気記録媒体に対し、マスク手段を介してエネルギー線を照射する工程と、前記磁気記録媒体の扇形の領域に磁場印可する外部磁場印加手段により外部磁場を印加する工程とにより磁化パターンを形成する方法であって、前記外部磁場印加手段は、磁気記録媒体の内周部より外周部において磁場強度が強いことを特徴とする。これにより、円盤状の磁気記録媒体の全面において、ばらつきなく磁化パターン形成が行える。
【0015】
磁気記録媒体の内周部より外周部において磁場強度を強くすると、半径方向に一様でスキューによる損失のない磁化パターンが形成でき好ましい。
また、外部磁場印加手段が、磁気的極性の互いに異なる二つの印加手段で構成され、両印加手段がともに磁気記録媒体の同一面に対向していると配置が簡単となり好ましい。両印加手段は、磁気記録媒体の半径方向に略放射状に配置されているとよい。
【0016】
外部磁場印加手段としては、複数の永久磁石で構成するのが最も簡便である。本発明において磁場強度とは、外部磁場印加手段の最大磁場強度であり、該手段に十分に近接した位置で測定された値をいう。例えばN極とS極の両印加手段からなる場合には、両極を結ぶ直線上の磁極近傍で測定する。
エネルギー線の照射に先立って、磁気記録媒体の磁性薄膜を外部磁場により均一に磁化しておくと、形成される磁化パターンの分解能が上がるため好ましい。
【0017】
本磁化パターン形成方法は、磁化パターンが、磁気記録媒体上のデータトラックに書き込み/読み込みヘッドをトラッキングするためのサーボパターン或いはサーボパターンを書き込むための基準パターンである場合に用いると最も有効である。これらパターンは一定のパターンを精密に形成する必要があるためである。
【0018】
本発明の磁化パターン形成装置は、基板上に少なくとも1層の磁性薄膜を設けてなる円板状の磁気記録媒体に対し、マスク手段を介してエネルギー線を照射するためのエネルギー線照射手段と、前記磁気記録媒体の扇形の領域に磁場印可する外部磁場印加手段を備えてなり、前記磁気記録媒体に対し、前記外部磁場印加手段によって外部磁場を印加し前記マスク手段を介してエネルギー線を照射することによって、磁化パターンを形成する磁化パターン形成装置であって、外部磁場印加手段は、磁気記録媒体の内周部より外周部において磁場強度が強いことを特徴とする。これにより、簡易な構成でありながら、精密な磁化パターンを効率よく、マスク及び媒体を損傷することなく形成できる。
【0020】
好ましくは、磁気記録媒体を装置に組みこんだ後、上記磁化パターンを磁気ヘッドにより再生し信号を得、該信号を基準としてサーボバースト信号を該磁気ヘッドにより記録する。非常に精度の高いサーボバースト信号が得られ、かつ、非常に簡易な基準パターンを磁気記録媒体に形成しておけばよいため、パターン形成の効率が上がり好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、基板上に少なくとも1層の磁性薄膜を設けてなる磁気記録媒体に対し、マスク手段を介してエネルギー線を照射する工程と外部磁場印加手段により外部磁場を印加する工程とにより磁化パターンを形成するにあたり、外部磁場印加手段の磁場強度を該媒体の半径方向で異ならせる。
【0022】
円板状の磁気記録媒体として代表的なのは、ハードディスクドライブに用いられる磁気ディスクである。このような円板状の媒体にエネルギー線照射と磁場印加により磁化パターンを形成しようとする場合、記録領域を扇形に区切って形成するのが効率的である。
また、角速度一定で回転させて記録を行う媒体では、一般に、外周ほど線記録密度が低い。角速度一定で回転させて記録すると、外周ほど1磁区の記録長が長くなってしまう。このため各トラックに同じ磁化パターンを形成しようとするとパターンは外周ほど扇形に広がる。
【0023】
従って、磁場印加もディスクの半径方向に略扇形に行われる。
一般的な磁石、すなわち磁場強度の均一な磁石によって扇形の領域に磁場印加すると、外周部ほどディスクに印加される実際の磁場強度が小さくなってしまい、磁化パターンが明瞭に形成されにくくなる。磁石とディスクの距離や磁極間の距離が大きいほど磁場強度が小さくなるためである。
【0024】
本発明においては、外部磁場印加手段の磁場強度を半径方向で異ならせることで、ディスクに実際に印加される磁場強度を均一にし、全面で磁化パターンを明瞭かつ均一に形成できる。
磁場強度は直線的に変化させても、曲線的に変化させても、階段状に変化させてもよい。
また、磁場強度の最大値と最小値は5%以上異なっている。上限は特にないが、2.5インチ磁気ディスクの場合は5倍以下程度とするのが好ましい。
【0025】
本発明は、エネルギー線照射と磁場印加を同時に行う場合に特に有効である。後述するように、磁場印加をエネルギー線照射に先立ってと同時との2回行う場合には、両方に用いる。磁場印加手段は、磁場強度が磁気記録媒体の半径方向に異なっていればよく、構成する材料及び構成は限定されない。例えば磁気ヘッドを用いてもよいし、電磁石または、永久磁石を所望の磁化方向に磁場が生じるよう配置して用いてもよい、更にそれらの異なる手段を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
電磁石を用いる場合は、コイルの巻き数や密度を半径方向に変化させことで、磁場強度が容易に変えられる。1つの電磁石の中でコイルの巻き数や密度を半径方向に変化させてもよいし、コイルの巻き数や密度の異なる電磁石を半径方向に配置してもよい。
好ましくは複数の永久磁石で構成すると、個々の磁石の強さを変えることで磁場強度が簡単に内外周で変えられ、配置の工夫もしやすい。使用できる磁石の種類は、所望の磁場が取り出せるものであれば良い。高密度記録に適した高保磁力媒体を効率よく磁化するためには、フェライト磁石、ネオジム系希土類磁石、サマリウムコバルト系希土類磁石などが好適である。
【0027】
外部磁場印加手段が、磁気的極性の互いに異なる二つの印加手段で構成され、両印加手段がともに磁気記録媒体の同一面に対向していると配置が簡単となり好ましい。両印加手段は、磁気記録媒体の半径方向に略放射状に配置されていると、磁気記録媒体の半径方向に一様かつスキューによる損失がなく磁化パターンが生成でき、より好ましい。
【0028】
例えば、ディスク最内周に、同じ永久磁石を片方はN極を媒体に対向させ、他方はS極を媒体に対向させ、かつ周方向に並ぶように配置する。これに隣接して、強度が強い永久磁石を磁極間の距離を大きくして配置する。さらに隣に、強度がより強い永久磁石を磁極間の距離をより大きくして配置する。これを繰り返して最外周まで永久磁石を配置していく。最終的に、N極端部の列とS極端部の列が略放射状に配置される。
【0029】
両端部がN極とS極であるU字型の永久磁石を、両端部が媒体面に対向するように配置してもよい。
略放射状とは、外周ほど距離が大きければよく、いわゆる直線的な放射状のほか、曲線的であってもよい。特に磁気記録媒体のセクターの形状に合わせると効果的である。例えば、円板状磁気記録媒体を角度出ししながら全周にわたって磁化パターン化したり、回転させながら磁化パターン化する際にも好適である。
【0030】
また、両磁極の磁場強度が略等しいと構成、配置が簡単になりよい。本発明において磁場強度とは、外部磁場印加手段の最大磁場強度であり、該手段に十分に近接した位置で測定された値をいう。例えばN極とS極の両印加手段からなる場合には、両極を結ぶ直線上の磁極近傍で測定する
【0031】
また、磁界の強さは、磁気記録媒体の磁性薄膜の特性によって異なるが磁性薄膜の室温での保磁力より小さい磁界とする。好ましくは磁性薄膜の室温での保磁力の1/8以上の磁界とする。これより弱いと、加熱部が、冷却時に周囲の磁区からの磁場の影響をうけて再び周囲と同じ方向に磁化されてしまう可能性がある。
【0032】
ただし、磁性薄膜の室温での保磁力の2/3倍以下とするのが好ましい。これより大きいと、加熱部の周囲の磁区も影響を受けてしまう可能性がある。より好ましくは1/2倍以下とする。
エネルギー線の照射に先立って、磁気記録媒体の磁性薄膜を外部磁場により均一に磁化しておくと、後述するように、形成される磁化パターンの分解能が上がるため好ましい。
【0033】
本磁化パターン形成方法は、比較的パターンが単純で、かつ高密度化・高精度化するほど書き込みが困難で、磁気記録媒体のコストアップの主原因になっている、データトラックに書き込み/読み込みヘッドをトラッキングするためのサーボパターン又はサーボパターン書きこみ用基準パターンの形成に使用すると効果が大きい。
【0034】
面内磁気記録媒体は、近年の高密度化により狭トラック幅化が進み、ヘッドでの書き込みによる磁気にじみの影響が相対的に大きくなりつつある。特にサーボ信号等の位置決め信号で磁気にじみが大きいと、ヘッド位置の精度が保てず、エラーレートが増加するおそれがある。本発明の書き込み方法によれば、スポット的な急激に昇温された部分のみに書き込みが選択的に行われるため、磁気にじみが起こりにくく、さらなる高密度記録が行えるようになる。
【0035】
また、円板状の磁気記録媒体に対し、マスク手段を介してエネルギー線を照射するためのエネルギー線照射手段と、外部磁場を印加するための外部磁場印加手段を備える磁化パターン形成装置であって、外部磁場印加手段を以上説明したように構成した装置は、簡易な構成でありながら、精密な磁化パターンを効率よく、マスク及び媒体を損傷することなく形成できる。
【0036】
本方法により磁化パターンを形成した円板状磁気記録媒体は、安価でありかつ高密度記録が可能である。
次に、本発明の他の構成について説明する。
本発明においては、磁場印加と局所加熱を組み合わせ、加熱の際に、媒体上にマスク手段を配し、これを通してエネルギー線等を照射することで、磁化パターンを短時間かつ簡便に生成することができる。
【0037】
マスク手段は、形成すべき磁化パターンに対応して磁気ディスク面上にエネルギー線の濃淡を形成するものであればよい。例えば、パターンに応じてエネルギー線を透過する透過部を有するフォトマスクや、特定のパターンを媒体上に結像するホログラムが記録されたホログラムマスクである。これにより、複数又は広い面積の磁化パターンを一度に形成することができるため、磁化パターン形成工程が短時間かつ簡便なものとなる。ホログラムマスクによればシャープで明瞭なパターンが形成しやすく好ましいが、フォトマスクは簡単かつ安価に作成できる点で好ましい。
【0038】
加熱と同時に外部磁場を印加する場合は、外部磁場も該加熱された広い領域に亘って印加することで、複数の磁化パターンを一度に形成することができる。
さらには、一旦マスクを形成すれば、どのような形状の磁化パターンも媒体上に形成できるため、複雑なパターンや従来法では作りにくかった特殊なパターンも容易に形成できる。
【0039】
例えば、磁気ディスクの位相サーボ方式には、内周から外周に、半径に対して斜めに直線的に延びる磁化パターンが用いられる。このような、半径方向に連続したパターンや斜めのパターンは、ディスクを回転させながら1トラックずつサーボ信号を記録する従来のサーボパターン形成方法では作りにくく、複雑な計算や構成が必要であった。
【0040】
しかし本発明によれば、該形状に応じたマスクを一旦作成すれば、ディスク上の所望の位置でマスク露光するだけで当該パターンを簡単に形成できる。
まず、フォトマスクを用いた磁化パターン形成方法について説明する。図4は、フォトマスクを用いた磁化パターン形成方法の一例の説明図である。磁気ディスク101を外部磁場により予め周方向の一方向に一様に磁化する。そののちフォトマスク102を磁気ディスク101上にスペースSを介して配置し、パルス状レーザー光103を照射する。同時に外部磁場104を印加する。このときの外部磁場は、先に一様に磁化した際の外部磁場とは逆方向である。
【0041】
形成すべき磁化パターンに応じて複数の透過部を形成したマスクを用意し、これを通して磁性薄膜上にレーザービームを照射する。ビーム径を大径又は細長い楕円形等として、複数トラック分又は複数セクター分の磁化パターンを一括して照射すれば、書き込み効率が一段と上がり、これからの容量の伸びに伴いサーボ書き込み時間が増大するといった問題も改善され非常に好ましい。
【0042】
フォトマスクは、所望の磁化パターンに相当する透過部と非透過部を備えているマスクであればよいが、石英ガラス、ソーダライムガラス等の原盤上にCr等の金属、NiFe等の軟磁性材料をスパッタリング形成し、その上にフォトレジストを塗布し、エッチング等によって、所望の透過部と非透過部を作成することができる。
【0043】
次に、ホログラムマスクを用いた磁化パターン形成方法について説明する。図5はホログラムマスクを用いた磁化パターン形成方法の一例の説明図である。
図5(a)のごとく、磁気ディスク上に形成すべき磁化パターンに応じて透過部/非透過部を形成したフォトマスク106を通して物体光107をプリズム108上のフォトポリマー105に照射する。ここに、プリズムを通して参照光109を照射し、物体光107と参照光109の干渉によるホログラムをフォトポリマー105上に記録する。
【0044】
なお、フォトマスクを使用せず、露光すべきパターンを計算により求めてこれに応じてホログラムマスクを作成してもよい。
これに図5(b)のようにプリズムを通して参照光109を照射すると、フォトポリマーから所定の距離にホログラフに応じたパターンが結像する。この原理を用い、図5(c)のごとく、プリズム108を通してフォトポリマー105にレーザー光源110からレーザー光(参照光)109を照射し、ホログラフに応じたパターンが結像する面に磁気ディスク101を置き、反射板111を動かして参照光109をフォトポリマー105上をスキャンすると同時に外部磁場104を印加することにより、磁化パターンを形成する。このときの外部磁場は、先に一様に磁化した際の外部磁場とは逆方向である。
【0045】
磁気記録媒体とマスク手段の間は密着していても間隙があってもよいが、好ましくは間隙を設ける。
間隙を設ける場合のスペーシングは、1μm以上であることが好ましい。媒体に付着しやすいダストであってエアーブローなどにより容易に取り除けないダストは、通常、1μm未満のものがほとんどである。また、間隔を1μm未満とすると媒体表面のうねりによって、磁化パターン形成部分がマスク手段と予期せぬ接触を起こしてしまうことがあり、マスクあるいは磁気記録媒体を損傷してしまう恐れがある。より好ましくは5μm以上とする。また、スペーシングは1mm以下とする。これより大きいとエネルギー線の回折が大きく、磁化パターンがぼやけてしまいやすい。
【0046】
フォトマスクを用いる場合は、上記条件の範囲内で、媒体との距離をできるだけ短くするのが好ましい。距離が長いほど照射するエネルギー線の回り込みにより磁化パターンがぼやけやすくなるためである。これを改善し、より明瞭なパターンを得るために、マスクの透過部の外側に、回折格子の働きをする細い透過部を形成したり、半波長板の働きをする手段を設けたりすることで回り込み光を干渉により打ち消すこともできる。
【0047】
一方、ホログラムマスクを用いる場合は、ホログラフに応じたパターンの結像面までの距離は予め決まるため、その距離になるよう媒体との間隔を調節する。なお、図5のごとくプリズムを使用することで、マスクと媒体とを近接させることができるようになる。
磁化パターンを形成する際には、エネルギー線の光源とマスク手段との間、又はマスク手段と該媒体との間の照射をしたくない領域に、エネルギー線を部分的に遮光可能な遮光板を設けて、エネルギー線の再照射を防ぐ構造とするのが好ましい。
【0048】
遮光板としては、使用するエネルギー線の波長を透過しないものであればよく、エネルギー線を反射又は吸収すればよい。ただし、エネルギー線の熱を吸収すると加熱し磁化パターンに影響を与えやすいため、熱伝導率がよく反射率の高いものが好ましい。例えば、Cr、Al、Feなどの金属板である。
本発明における磁気記録媒体の基板が、ガラスからなると、エネルギー線によって与えられた熱が熱拡散により分散する量が少なくエネルギーを効率的に使用でき好ましい。また、そればかりでなく熱拡散が少ないことで磁化パターンの分解能も上がる効果もある。ガラス基板の場合には、マスク手段とのあいだに間隙を設けると、ゴミ等の挟み込みにも強く、基板表面の硬さ故に磁気記録媒体にクラックが入ったり、マスターが傷つくことがなく好ましい。
【0049】
また、磁化パターン形成プロセスによる媒体の損傷を防ぐため、磁性薄膜の上に厚さ50nm以下の保護層を設けるのが好ましい。磁性薄膜が複数層ある場合には、最表面に近い磁性薄膜の上に保護層を設ければよい。より好ましくは保護層上に厚さ10nm以下の潤滑層を設ける。
磁気記録媒体の磁化パターン形成領域とマスク手段の間隙を保つ方法としては、両者を一定距離に保てる方法であればよい。例えばマスクと媒体とを特定の装置により保持して一定距離を保っても良い。また、両者のあいだの、磁化パターン形成領域以外の場所にスペーサを挿入してもよい。マスク自体に、スペーサを一体形成しても良い。
【0050】
マスク手段と磁気記録媒体とのあいだに、媒体の磁化パターン形成領域の外周部又は/及び内周部にスペーサーを設けると磁気記録媒体表面のうねりを矯正する効果が生まれるので磁化パターン形成の精度が上がるのでよい。
磁性薄膜を局所的に加熱する手段は、記録層表面を部分的に加熱できる物なら何でもよいが、不要な部分へのエネルギー線の照射を防げることからレーザが好ましく、中でも、熱の蓄積の起こりにくいパルス状エネルギー線が好適である。具体的には、エキシマレーザ(248nm)、YAGのQスイッチレーザ(1064nm)の2倍波(523nm)、3倍波(355nm)、或いは4倍波(266nm)、Arレーザー(488nm、514nm)、ルビーレーザー(694nm)などである。
【0051】
エネルギー線の波長は、1100nm以下であることが好ましい。これより波長が短いと回折作用が小さく分解能が上がるため、微細な磁化パターンを形成しやすい。更に好ましくは、600nm以下の波長である。高分解能であるだけでなく、回折が小さいため間隙によるマスク手段と磁気記録媒体のスペーシングも広くとれハンドリングがしやすく、磁気転写装置が構成しやすくなるという利点が生まれる。また、波長は150nm以上であるのが好ましい。150nm未満では、マスクに用いる合成石英の吸収が大きくなり、加熱が不十分となりやすい。波長を350nm以上とすれば、光学ガラスをマスクとして使用することもできる。
【0052】
パルス状エネルギー線の1パルス当たりのパワーは1000mJ/cm2以下とすることが好ましい。これより大きなパワーをかけると、パルス状エネルギー線によって、磁気記録媒体表面が損傷を受け、変形を起こす可能性がある。より好ましくは、500mJ/cm2以下であり、更に好ましくは100mJ/cm2以下である。この領域であると比較的熱拡散の大きな基板を用いた場合でも分解能の高い磁化パターンが形成しやすい。また、パワーは10mJ/cm2以上とするのが好ましい。これより小さいと、磁性薄膜の温度が上がりにくく磁気転写が起こりにくい。
【0053】
パルス状エネルギー線のパルス幅は、1μsec以下であることが望ましい。これよりパルス幅が広いと該磁気記録媒体にパルス状エネルギー線にて与えたエネルギーによる発熱が分散して、分解能が低下しやすい。1パルス当たりのパワーが同じである場合、パルス幅を短くし一度に強いエネルギーを照射した方が、熱拡散が小さく磁化パターンの分解能が高くなる傾向にある。より好ましくは100nsec以下である。この領域であるとAlなど金属の比較的熱拡散の大きな基板を用いた場合でも分解能の高い磁化パターンが形成しやすい。即ち、分解能を重視すれば、パルス幅は短いほど良い。ただし、パルス幅は1nsec以上であるのが好ましい。磁性薄膜の磁化反転が完了するまでの時間、加熱を保持しておくのが好ましいからである。
【0054】
なお、パルス状レーザの一種として、モードロックレーザのようにフェムト秒レベルの超短パルスを高周波で発生できるレーザがある。超短パルスを高周波で照射している期間においては、各々の超短パルス間のごく短い時間はレーザが照射されないが非常に短い時間であるため加熱部はほとんど冷却されない。すなわち、一旦キュリー温度以上に昇温された領域はキュリー温度以上に保たれる。
【0055】
従ってこのような場合、連続照射期間(超短パルス間のレーザが照射されない時間も含めた連続照射期間)を1パルスとする。また連続照射期間の照射エネルギー量の積分値を1パルス当たりのパワー(mJ/cm2)とする。
次に、局所加熱と磁場印加による磁化パターン形成の原理について説明する。本発明においては、磁性薄膜を局所的に加熱する工程と、磁性薄膜に外部磁場を印加する工程の組み合わせとして以下の態様をとりうる。
【0056】
態様1:加熱前に強い外部磁場で磁性薄膜を所望の方向に均一に磁化し、その後所望部位をキュリー点近傍まで加熱消磁することで磁化パターンを形成する方法。これによれば最も簡便に磁化パターンを形成することができる。また、磁性薄膜が均一に磁化されているため、本方法により磁化パターンを形成した後に通常の磁気記録を行うことができる。
【0057】
態様2:加熱前に強い外部磁場で磁性薄膜を所望の方向に均一に磁化し、その後所望部位をキュリー点近傍まで加熱すると同時に弱い磁場を印加して消磁することで磁化パターンを形成する方法。これによれば、消磁が完全に行えるので、信号強度の大きな磁化パターンが得られる。
態様3:加熱と同時に弱い外部磁場を印加することで、加熱部のみ外部磁場の方向に磁化して、磁化パターンを形成する方法。これによれば最も簡便に磁化パターンを形成することができ、かつ外部磁場も弱いものでよい。
【0058】
態様4:加熱前に強い外部磁場で磁性薄膜を所望の方向に均一に磁化し、その後所望部位を加熱すると同時に弱い磁場を加熱前とは逆方向に印加磁化することで磁化パターンを形成する方法。これによれば、信号強度が最も強く、C/N及びS/Nが良好な磁化パターンが得られる。
以下、各態様について説明する。
【0059】
態様1の外部磁場の方向は、磁気記録媒体の磁性薄膜の種類によって異なる。磁化容易軸が面内方向にある媒体の場合には、磁性薄膜が、データの書込み/再生ヘッドの走行方向(媒体とヘッドの相対移動方向)と同一又は逆方向に磁化されるように印加する。さらに、磁気記録媒体が円板状である場合には、その半径方向に磁化するように印加することも可能である。磁化容易軸が面内方向に垂直にある場合には、磁性薄膜が、該垂直方向のいずれかに磁化されるように印加する。
【0060】
磁場の強さは磁気記録媒体の磁性薄膜の特性によって異なり、磁性薄膜の室温での保磁力の2倍以上の磁界によって磁化することが好ましい。これより弱いと磁化が不十分となる可能性がある。ただし、磁場印加に用いる着磁装置の能力上、磁性薄膜の室温での保磁力の5倍以下とするのが好ましい。
態様2は、加熱前の外部磁場の方向及び強さは態様1と全く同様である。
【0061】
加熱と同時に印加する磁界の方向は、磁化容易軸が面内方向にある媒体の場合には、面内と垂直である方向に、磁化容易軸が面内方向に垂直にある場合には、媒体の面内方向である。このように磁界を印加して磁化を消去する。
また、磁界の強さは、磁気記録媒体の磁性薄膜の特性によって異なるが磁性薄膜の室温での保磁力より小さい磁界とする。好ましくは磁性薄膜の室温での保磁力の1/8以上の磁界とする。これより弱いと、加熱部が、冷却時に周囲の磁区からの磁場の影響をうけて再び周囲と同じ方向に磁化されてしまう可能性がある。
【0062】
ただし、磁性薄膜の室温での保磁力の2/3倍以下とするのが好ましい。これより大きいと、加熱部の周囲の磁区も影響を受けてしまう可能性がある。より好ましくは1/2倍以下とする。
加熱は、磁性薄膜の保磁力の低下が見られる温度まで加熱できればよいが、例えば磁性薄膜のキュリー温度近傍である。好ましくは100℃以上に加熱する。100℃未満で外部磁場により影響を受けるような磁性薄膜は、室温での磁区の安定性が低い傾向がある。また、加熱温度は400℃以下とするのが好ましい。これを超えると、磁性薄膜が変形してしまう可能性がある。
【0063】
態様3の加熱と同時の外部磁場の方向は、磁気記録媒体の磁性薄膜の種類によって異なる。磁化容易軸が面内方向にある媒体の場合には、磁性薄膜が、データの書込み/再生ヘッドの走行方向(媒体とヘッドの相対移動方向)と同一又は逆方向に磁化されるように印加する。さらに、磁気記録媒体が円板状である場合には、その半径方向に磁化するように印加することも可能である。磁化容易軸が面内方向に垂直にある場合には、磁性薄膜が、該垂直方向のいずれかに磁化されるように印加する。
【0064】
磁界の強さは、態様2の、加熱と同時の外部磁場の強さと同様である。また、加熱温度についても態様2と同様である。
態様4は、加熱前の外部磁場の方向及び強さは態様1と全く同様である。
加熱と同時に印加する磁界の強さは態様2と同様であるが、その方向は、加熱前磁界の方向とは逆方向に印加し、局所的に逆向きに磁化されるようにする。加熱温度に関しては態様2と同様である。
【0065】
本方式が特に有効な分野は、磁化パターンが単純であるが、その記録密度の延びからヘッドでの書き込みが一段と困難になってきたサーボ信号又はサーボ信号書きこみのための基準信号への利用である。サーボ信号又はサーボ信号書きこみ用基準信号の書き込みは、データトラックピッチの半分のピッチでの書き込みとなるため、その書き込み精度を確保するのが難しかった。本方法を適用することで高密度向けのサーボ信号又はサーボ信号書きこみ用基準信号の書き込みが容易に行える。
【0066】
次に、本発明の磁気記録媒体の構成について説明する。
本発明の磁気記録媒体における基板としては、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、Zn−Mg合金、通常のソーダガラス、アルミノシリケート系ガラス、非結晶ガラス類、結晶化ガラス、シリコン、チタン、セラミックス、各種樹脂からなる基板やそれらを組み合わせた基板などを用いることができる。中でも結晶化ガラス等のガラス製基板を用いると該マスク手段と磁気記録媒体が非接触である利点が特に生かされ好ましい。
【0067】
磁気ディスクの製造工程においては、まず基板の洗浄・乾燥が行われるのが通常であり、本発明においても各層の密着性を確保する見地からもその形成前に洗浄、乾燥を行うことが望ましい。
本発明の磁気記録媒体の製造に際しては、非磁性基板表面にNiP等の非磁性金属被覆層を形成してもよい。
【0068】
非磁性金属被覆層を形成する場合に、その手法としては、無電解めっき法、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法など薄膜形成に用いられる方法を利用することができる。導電性の材料からなる基板の場合であれば電解めっきを使用することが可能である。非磁性金属被覆層の膜厚は50nm以上あればよい。ただし、磁気ディスク媒体の生産性などを考慮すると50nm以上500nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは50nm以上300nm以下である。
【0069】
また、非磁性金属被覆層を成膜する領域は基板表面全域が望ましいが、一部だけ、例えばテキスチャリングを施す領域のみでも実施可能である。
又、基板表面、又は非磁性金属被覆層が形成された基板表面に同心状テキスチャリングを施してもよい。本発明において同心状テキスチャリングとは、例えば遊離砥粒とテキスチャーテープを使用した機械式テキスチャリングやレーザー光線などを利用したテキスチャリング加工、又はこれらを併用することによって、円周方向に研磨することによって基板円周方向に微小溝を多数形成した状態を指称する。
【0070】
機械的テキスチャリングを施すための遊離砥粒の種類としてはダイアモンド砥粒、中でも表面がグラファイト化処理されているものが最も好ましい。機械的テキスチャリングに用いられる砥粒としては他にアルミナ砥粒が広く用いられているが、特にテキスチャリング溝に沿って磁化容易軸を配向させるという面内配向媒体の観点から考えるとダイアモンド砥粒が極めて良い性能を発揮する。この原因については現在のところ明確にはなっていないが、極めて再現性の良い結果が得られている。
【0071】
基板の表面は、表面粗さ(Ra)がどのような値をとっても本発明の効果には基本的には影響ないが、ヘッド浮上量ができるだけ小さいことが高密度磁気記録の実現には有効であり、またこれら基板の特徴のひとつが優れた表面平滑性にあることから、基板表面のRaは2nm以下、さらには1nm以下であることが好ましく、中でも0.5nm以下であることが好ましい。ただし、ここでRaの決定は、触針式表面粗さ計を用いて測定した場合を想定している。このとき測定用の針の先端は半径0.2μm程度の大きさのものが使用される。
【0072】
次に基板上には、磁性薄膜層との間に下地層等を形成してもよい。下地層は、結晶を微細化ならびにその結晶面の配向を制御することを目的としていて、Crを主成分とするものがよく用いられる。
Crを主成分とする下地層の材料としては、純Crの他、記録層との結晶マッチングなどの目的でCrにV、Ti、Mo、Zr、Hf、Ta、W、Ge、Nb、Si、Cu、Bなどの第二、第三元素を添加したものや、酸化Crなども含む。中でも純CrやTi、Mo、W、V、Ta、Si、Nb、Zr及びHfを有するものが好ましい。これら第二、第三元素の含有量はそれぞれの元素によって最適な量が異なるが、一般には1原子%〜50原子%、好ましくは5原子%〜30原子%、さらに好ましくは5原子%〜20原子%の範囲である。
【0073】
下地層の膜厚はこの異方性を発現させ得るに十分なものであればよく、0.1〜50nmであり、好ましくは0.3〜30nm、さらに好ましくは0.5〜10nmである。Crを主成分とする下地層の成膜時は基板加熱を行っても行わなくてもよい。
下地層の上には、場合によって軟磁性層を設けても良い。特に磁化遷移ノイズの少ないキーパー媒体、或いは垂直記録記録媒体には、効果が大きく、よく用いられる。
【0074】
軟磁性層は、透磁率が比較的高く、損失の少ない物であれば何でもよく、任意であるが、代表的なものでNiFeや、それに第3元素としてMo等を添加した物がよく用いられる。最適な透磁率は、データの書き込みに利用されるヘッドや、記録層の特性によっても大きく変わるが、概して、最大透磁率が10〜1000000(H/m)程度であることが好ましい。
【0075】
次に記録層が形成されるが、記録層と軟磁性層の間には下地層と同一の材料の層或いは、他の非磁性材料が挿入されていてもよい。記録層の成膜時は、基板加熱を行っても行わなくてもよい。
記録層としては、Co合金磁性膜、TbFeCoを代表とする希土類系磁性膜、CoとPdの積層膜を代表とする遷移金属と貴金属系の積層膜等が用いられる。
Co合金磁性層としては、通常、純CoやCoNi、CoSm、CoCrTa、CoNiCr、CoCrPtなどの磁性材料として一般に用いられるCo合金磁性材料を用いる。これらのCo合金に更にNi、Cr、Pt、Ta、W、Bなどの元素やSiO2等の化合物を加えたものでも良い。例えばCoCrPtTa、CoCrPtB、CoNiPt、CoNiCrPtB等が挙げられる。Co合金磁性層の膜厚は任意であるが、通常5〜50nm、好ましくは10〜30nmである。また、本記録層は、適当な非磁性の中間層を介して、或いは直接2層以上積層してもよい。その時、積層される磁性材料の組成は、同じであっても異なっていてもよい。
【0076】
希土類系磁性層としては、通常TbFeCo、GdFeCo、DyFeCo、TbFeなどの磁性材料として一般に用いられる希土類磁性材料を用いる。これらの希土類合金にTb、Dy、Hoなどを添加し4元系としてもよいし、酸化劣化防止の目的からTi、Al、Ptが添加されていてもよい。希土類系磁性層の膜厚は、任意であるが、通常5〜100nm程度である。また、本記録層は、適当な非磁性の中間層を介して、或いは直接2層以上積層してもよい。その時、積層される磁性材料の組成は、同じであっても異なっていてもよい。特に希土類系磁性層は、アモルファス構造膜かつメディア面内に対して垂直方向に磁化を持つため高記録密度記録に適し、本発明記録がより簡単に適用できる。
【0077】
同様に垂直磁気記録に適した遷移金属と貴金属系の積層膜としては、通常Co/Pd、Co/Pt、Fe/Pt、Fe/Au、Fe/Agなどの磁性材料として一般に用いられる積層膜材料を用いる。これらの積層膜の遷移金属、貴金属は、特に純粋なものでなくてもよく、それらを主とする合金であってもよい。積層膜の膜厚は、任意であるが、通常5〜1000nm程度である。また、積層の仕方についても任意で、必ずしも2つの材料の積層でなくてもよい。
【0078】
本発明においては、磁性薄膜上に保護層を形成するのが好ましい。すなわち、媒体の最表面を硬質の保護層により覆う。保護層は、磁化パターン形成時のヘッドやマスクとの衝突や塵埃・ゴミ等のマスクとの挟み込みによる磁性薄膜の損傷を防ぐ働きをする。特に通常の大気中で磁化パターン形成プロセスが行われる場合は重要である。磁性薄膜が複数層ある場合には、最表面に近い磁性薄膜の上に保護層を設ければよい。保護層は磁性薄膜上に直接設けても良いし、必要に応じて間に他の働きをする層をはさんでも良い。
【0079】
保護層としては、C、水素化C、窒素化C、アモルファスC、SiC等の炭素質層やSiO2、Zr23、SiN、TiNなどの硬質材料を用いることができる。透明でも不透明であってもよい。
エネルギー線の一部は保護層でも吸収され、熱伝導によって磁性薄膜を局所的に加熱する働きをする。このため保護層が厚すぎると横方向への熱伝導により磁化パターンがぼやけてしまう可能性があるため、膜厚は薄い方が好ましい。また、記録再生時の磁性薄膜とヘッドとの距離を小さくするためにも薄い方が好ましい。従って50nm以下が好ましく、特に30nm以下が好ましい。ただし、充分な耐久性を得るためには1nm以上が好ましい。
【0080】
また、保護層が2層以上の層から構成されていてもよい。磁性層の直上の保護層をCrを主成分とする層を設けると、磁性層への酸素透過を防ぐ効果が高く好ましい。
より好ましくは、保護層上に潤滑層を形成する。潤滑層に用いる潤滑剤としては、フッ素系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤及びこれらの混合物等が挙げられる。磁化パターン形成の妨げとならないために潤滑層は薄い方が好ましく。10nm以下が好ましい。十分な潤滑性能を得るためには1nm以上が好ましい。
【0081】
本磁気記録媒体への磁化パターンの形成は、該記録層に対して行い、通常は、保護層、又は保護膜と潤滑層を形成した後に既術のいずれかの方法で行うが、記録層の酸化の心配がない場合は、記録層の成膜直後に行っても良い。
磁気記録媒体の各層を形成する成膜方法としては任意であるが、例えば直流(マグネトロン)スパッタリング法、高周波(マグネトロン)スパッタリング法、ECRスパッタリング法、真空蒸着法などの物理的蒸着法が挙げられる。
【0082】
又、成膜時の条件としても特に制限はなく、到達真空度、基板加熱の方式と基板温度、スパッタリングガス圧、バイアス電圧等は、成膜装置により適宜決定すればよい。例えば、スパッタリング成膜では、通常の場合、到達真空度は5×10-6Torr以下、基板温度は室温〜400℃、スパッタリングガス圧は1×10-3〜20×10-3Torr、バイアス電圧は一般的には0〜−500Vである。
【0083】
成膜に当たっては、非磁性基板を加熱する場合、下地層形成前に行っても良いし、熱吸収率が低い透明な基板を使用する場合には、熱吸収率を高くするため、Crを主成分とする種子層又はB2結晶構造を有する下地層を形成してから基板を加熱し、しかる後に記録層等を形成しても良い。
記録層が、希土類系の磁性膜の場合には、腐食、酸化防止の見地から、ディスクの最内周部及び最外周部を最初マスクして、記録層まで成膜、続く保護層の成膜の際にマスクを外し、記録層を保護膜で完全に覆う方法や、保護層が2層の場合には、記録層と第一の保護層までをマスクしたまま成膜、第二の保護層を成膜する際にマスクを外し、やはり記録層を第二の保護膜で完全に覆うようにすると希土類系磁性層の腐食、酸化が防げて好適である。
【0084】
本発明の磁気記録装置は、少なくとも上述してきた磁気記録媒体と、これを記録方向に駆動する駆動部と、記録部と再生部からなる磁気ヘッドと、磁気ヘッドを磁気記録媒体に対して相対移動させる手段と、磁気ヘッドへの信号入力と磁気ヘッドからの出力信号再生を行うための記録再生信号処理手段を有する磁気記録装置である。
【0085】
磁気記録装置として代表的な、磁気ディスク装置を例に説明する。
磁気ディスク装置は、通常、磁気ディスクを1枚或いは複数枚を串刺し状に固定するシャフトと、該シャフトにベアリングを介して接合された磁気ディスクを回転させるモータと、記録及び/又は再生に用いる磁気ヘッドと、該ヘッドが取り付けられたアームと、ヘッドアームを介してヘッドを磁気記録媒体上の任意の位置に移動させることのできるアクチュエータとからなり、記録再生用ヘッドが磁気記録媒体上を一定の浮上量で移動している。記録情報は、信号処理手段を経て記録信号に変換されて磁気ヘッドにより記録される。また、磁気ヘッドにより読み取られた再生信号は同信号処理手段を経て逆変換され、再生情報が得られる。
【0086】
ディスク上には、情報信号が同心円状のトラックに沿って、セクター単位で記録される。サーボパターンは通常、セクター間に記録される。磁気ヘッドは該パターンからサーボ信号を読み取り、これによりトラックの中心に正確にトラッキングを行い、そのセクターの情報信号を読み取る。記録時も同様にトラッキングを行う。
【0087】
前述の通り、サーボ信号を発生するサーボパターンは、情報を記録する際のトラッキングに使用するという性質上、特に高精度が要求される。また現在多く使用されているサーボパターンは、1トラックあたり、互いに1/2ピッチずれた2組のパターンからなるため、情報信号の1/2のピッチ毎に形成する必要があり、2倍の精度が要求される。
【0088】
しかしながら、従来のサーボパターン形成方法では、外部ピンとアクチュエータの重心が異なることから生じる振動の影響でライトトラック幅で0.2〜0.3μm程度が限界であり、トラック密度の増加にサーボパターンの精度が追いつかず、磁気記録装置の記録密度向上及びコストダウンの妨げとなりつつある。
本発明によれば、マスク露光の手法を用いて効率よく精度の高い磁化パターンを形成することができるので、従来のサーボパターン形成方法に比べて格段に低コスト、短時間で精度良くサーボパターンを形成でき、媒体のトラック密度を高めることができる。従って本媒体を用いた磁気記録装置は高密度での記録が可能となる。
【0089】
また、位相サーボ方式を用いれば連続的に変化するサーボ信号が得られるのでよりトラック密度を上げることができ、0.1μm幅以下でのトラッキングも可能となり、より高密度記録が可能である。
前述のように、位相サーボ方式には、例えば、内周から外周に、半径に対して斜めに直線的に延びる磁化パターンが用いられる。このような、半径方向に連続したパターンや斜めのパターンは、ディスクを回転させながら1トラックずつサーボ信号を記録する従来のサーボパターン形成方法では作りにくく、複雑な計算や構成が必要であった。
【0090】
しかし本発明によれば、該形状に応じたマスクを一旦作成すれば、ディスク上の所望の位置でマスク露光するだけで当該パターンを容易に形成できるため、位相サーボ方式に用いる媒体を簡単かつ短時間、安価に作成することができる。ひいては、高密度記録が可能な、位相サーボ方式の磁気記録装置を提供できる。
さて、従来主流のサーボパターン形成方法は、媒体を磁気記録装置(ドライブ)に組み込んだのちに、クリーンルーム内で専用のサーボライターを用いて行う。
【0091】
各ドライブをサーボライターに装着し、ドライブ表面あるいは裏面のいずれかにある孔よりサーボライターのピンを差し入れ磁気ヘッドを機械的に動かしながら、トラックに沿って1パターンずつ記録を行う。このためドライブ一台あたり15〜20分程度と非常に時間がかかる。専用のサーボライターを用い、またドライブに孔を開けるためこれら作業はクリーンルーム内で行う必要があり、工程上も煩雑でコストアップの要因であった。
【0092】
本発明により、予めパターンを記録したマスクを通してエネルギー線を照射することで、サーボパターン或いはサーボパターン書き込み用基準パターンを一括して記録でき、非常に簡便かつ短時間で媒体にサーボパターンを形成できる。このようにしてサーボパターンを形成した媒体を組み込んだ磁気記録装置は、上記サーボパターン書込み工程は不要となる。
【0093】
或いはサーボパターン書き込み用基準パターンを形成した媒体を組み込んだ磁気記録装置は、該基準パターンをもとにして装置内で所望のサーボバースト信号を書込むことができるため、上記のサーボライターは不要であり、クリーンルーム内での作業も必要なく、高精度のサーボパターンを有する磁気記録装置が簡単な工程で安価に得られる。
【0094】
また、磁気記録装置の裏側に孔を開ける必要がなく耐久性や安全性の上でも好ましい。
さらに、マスクと媒体との間に間隙を設けることで、マスクとの接触による媒体の変形損傷や、微小な塵埃やゴミの挟み込みによる媒体の損傷を防ぎ、欠陥の発生を防ぐことができる。
【0095】
以上のように、本発明によれば信頼性の高い高密度記録が可能な磁気記録装置を、簡便な工程で安価に得ることができる。
磁気ヘッドとしては、薄膜ヘッド、MRヘッド、GMRヘッド、TMRヘッドなど各種のものを用いることができる。
磁気ヘッドの再生部をMRヘッドで構成することにより、高記録密度においても十分な信号強度を得ることができ、高記録密度を持った磁気記憶装置を実現することができる。
【0096】
またこの磁気ヘッドを、浮上量が0.001μm以上、0.05μm未満の従来より低い高さで浮上させると、出力が向上して高い装置S/Nが得られ、大容量で高信頼性の磁気記憶装置を提供することができる。また、最尤復号法による信号処理回路を組み合わせるとさらに記録密度を向上でき、例えば、トラック密度10kTPI以上、線記録密度200kFCI以上、1平方インチ当たり2G
ビット以上の記録密度で記録・再生する場合にも十分なS/Nが得られる。
【0097】
さらに磁気ヘッドの再生部を、互いの磁化方向が外部磁界によって相対的に変化することによって大きな抵抗変化を生じる複数の導電性磁性層と、その導電性磁性層の間に配置された導電性非磁性層からなるGMRヘッド、あるいはスピン・バルブ効果を利用したGMRヘッドとすることにより、信号強度をさらに高めることができ、1平方インチ当たり3ギガビット以上、240kFCI以上の線記録密度を持った信頼性の高い磁気記憶装置の実現が可能となる。
【0098】
【実施例】
以下に本発明の磁気記録媒体を詳細に説明するが、その要旨の範囲を越えない限り、実施例により限定されるものでは無い。
実施例1
2.5インチ径のアルミノシリケート系ガラス基板を洗浄、乾燥し、その上に到達真空度:1×10-7Torr基板温度:350℃、バイアス電圧:−200V、スパッタリングガス圧は、Arで3×10-3Torrの条件下でNiAlを600Å、Cr94Mo6を100Å、記録層としてCo72Cr18Pt10を220Å、保護層としては、スパッターカーボンを50Å成膜した。その上には潤滑層として、フッ素系潤滑剤を1.5nmの厚さ塗布し、100℃40分焼成し、室温での保磁力3000Oeの面内磁気記録用磁気ディスクを得た。
【0099】
磁化パターン形成のため、まず、電磁石を磁界方向がディスクの回転方向と同じとなるように構成して、約10kOeの強度で印加して、ディスク面を周方向に一様に磁化した。
その後、深さ約20nmの凹凸による、半径方向に15mm(半径15mmから半径30mmまで)で円周方向に幅2μmの透過パターンが、円周方向に45°毎に繰り返される、半径方向に放射状に延びるパターンを有したCrマスク(凸部が非透過であって、凹部が透過部であり、凸部がよりディスクに近接する。)の上に磁気ディスクを静置させた。
【0100】
そして、該パターンの位置がエネルギー線のスポットの中心に来るように角度出ししながら、ディスク全面にわたって、波長λ=248nm、パルス幅25nsecのエキシマレーザを周波数10Hzで、エネルギー密度を80mJ/cm2、ビーム径:10mm*30mm(ピークエネルギーの1/e2となる径)として照射し、その部位をキュリー温度近傍にまで加温した。
【0101】
加温部位には同時に図1に記載したように永久磁石を配置した外部磁場印加手段を用いて、予め磁化した方向とは逆方向に磁場を印加し磁気パターンの転写を試みた。
磁場強度が2.7kガウス、2.3kガウス、1.9kガウス、1.5kガウス、1.2kガウスのNdFe磁石を2個ずつ、磁極を互いに逆向きにして、図1のごとく磁石ヨーク7上に配置した。磁場強度は、N極とS極の両磁石を結ぶ直線上の各磁極近傍で測定した。各磁石の寸法は6.0mm*6.0mm*6.0mmであり、最内周に位置する磁石の端部がディスクの中心から10mmに位置するように配し、他の磁石を半径方向に隣接して角度6°の放射状に配した。ディスクと磁石との距離は、磁石3、3°の中心において、ディスクに印加される磁場強度が1.3kガウスとなるように、約5mm程度とした。これにより、一対の磁石の直線で結ぶ中心部での磁場分布が1.2kガウスから1.6kガウスの範囲に保たれるようにした。
【0102】
磁化パターン形成の強度は次のように評価した。すなわち、リード幅0.9μmのハードディスク用MRヘッドで、ディスクの線速度(1.0m/S)を一定に保ちながら磁化パターンを再生し、その波形をオシロスコープで観察して、出力強度をピークtoピークで測定した。結果を表−1に示す。なお、評価結果は、同一ディスクの同一箇所に実際のMRヘッドで信号を書き込み読み出した際の出力を100%として、その割合で示した。即ち数値が大きいほど明瞭な信号が記録されたことを示し、同一ディスク内での数値の差が少ないほど全面でばらつきなく均一に磁化パターンが生成できたことを示す。
【0103】
【表1】
Figure 0004219529
実施例2
外部磁場印加手段として図2に記載したように永久磁石を配置した以外は、実施例1と同様に磁気ディスクに磁気パターンの転写を試みた。
【0104】
磁場強度が2.7kガウス、2.3kガウス、1.9kガウス、1.6kガウス、1.4kガウス、1.2kガウスのNdFe磁石を2個ずつ、磁極を互いに逆向きにして、図2のごとく磁石ヨーク7上に配置した。磁場強度は、N極とS直線上の各磁極近傍で測定した。各磁石の寸法は5.0mm*5.0mm*5.0mmであり、最内周に位置する磁石の端部がディスクの中心から10mmに位置するように配し、他の磁石を半径方向に隣接して角度6°の放射状に配した。ディスクと磁石との距離は、磁石3、3°の中心において、ディスクに印加される磁場強度が1.3kガウスとなるように、約4mm程度とした。これにより、一対の磁石の直線で結ぶ中心部での磁場分布が1.2kガウスから1.6kガウスの範囲に保たれるようにした。
【0105】
磁化パターン形成の強度を実施例1と同様に評価した。結果を表−1に示す。
比較例1
外部磁場印加手段として図3に記載したように永久磁石を配置した以外は、実施例1と同様に磁気ディスクに磁気パターンの転写を試みた。
磁場強度が1.9kガウスのNdFe磁石を2個ずつ、磁極を互いに逆向きにして、図3のごとく磁石ヨーク7上に配置した。磁場強度は、N極とS極の両磁石を結ぶ直線上の各磁極近傍で測定した。各磁石の寸法は6.0mm*6.0mm*6.0mmであり、最内周に位置する磁石の端部がディスクの中心から10mmに位置するように配し、他の磁石を半径方向に隣接して角度6°の放射状に配した。ディスクと磁石との距離は、磁石3、3°の中心において、ディスクに印加される磁場強度が1.3kガウスとなるように、約5mm程度とした。
【0106】
磁化パターン形成の強度を実施例1と同様に評価した。結果を表−1に示す。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、効率よく精度よく、しかも媒体やマスクを傷つけることなく欠陥発生の少ない磁化パターンを、短時間で均一に磁気記録媒体に形成することができる。ひいては、欠陥が少なく信頼性の高い、高密度記録が可能な磁気記録媒体及び磁気記録装置を短時間かつ安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の外部磁場印加手段の一例を説明するための平面図。
【図2】本発明の外部磁場印加手段の他の一例を説明するための平面図。
【図3】従来の外部磁場印加手段を説明するための平面図。
【図4】本発明の磁化パターン形成方法の一例を説明するための図。
【図5】本発明の磁化パターン形成方法の他の一例を説明するための図。
【符号の説明】
1、2、3、4、5、6 磁石(ディスク対向面がN極)
1’、2’、3’、4’、5’、6’ 磁石(ディスク対向面がS極)
7 磁石ヨーク
101 磁気ディスク
102 フォトマスク
103 パルス状レーザー光
104 外部磁場
105 フォトポリマー
106 フォトマスク
107 物体光
108 プリズム
109 参照光
110 光源
111 反射板

Claims (7)

  1. 基板上に少なくとも1層の磁性薄膜を設けてなる円板状の磁気記録媒体に対し、
    マスク手段を介してエネルギー線を照射する工程と、
    前記磁気記録媒体の扇形の領域に磁場印可する外部磁場印加手段により外部磁場を印加する工程とにより磁化パターンを形成する方法であって、
    前記外部磁場印加手段は、磁気記録媒体の内周部より外周部において磁場強度が強いことを特徴とする磁気記録媒体の磁化パターン形成方法。
  2. 前記外部磁場印加手段が、磁気的極性の互いに異なる二つの印加手段で構成され、両印加手段がともに磁気記録媒体の同一面に対向している、請求項1に記載の磁気記録媒体の磁化パターン形成方法。
  3. 両印加手段が、磁気記録媒体の半径方向に略放射状に配置されている請求項2に記載の磁気記録媒体の磁化パターン形成方法。
  4. 前記外部磁場印加手段が、複数の永久磁石で構成されてなる請求項1乃至3のいずれかに記載の磁気記録媒体の磁化パターン形成方法。
  5. エネルギー線の照射に先立って、磁気記録媒体の磁性薄膜を外部磁場により均一に磁化する、請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気記録媒体の磁化パターン形成方法。
  6. 磁化パターンが、磁気記録媒体上のデータトラックに書き込み/読み込みヘッドをトラッキングするためのサーボパターン或いはサーボパターンを書き込むための基準パターンである請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気記録媒体の磁化パターン形成方法。
  7. 基板上に少なくとも1層の磁性薄膜を設けてなる円板状の磁気記録媒体に対し、マスク手段を介してエネルギー線を照射するためのエネルギー線照射手段と、
    前記磁気記録媒体の扇形の領域に磁場印可する外部磁場印加手段を備えてなり、
    前記磁気記録媒体に対し、前記外部磁場印加手段によって外部磁場を印加し前記マスク手段を介してエネルギー線を照射することによって、磁化パターンを形成する磁化パターン形成装置であって、
    外部磁場印加手段は、磁気記録媒体の内周部より外周部において磁場強度が強いことを特徴とする磁化パターン形成装置。
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