JP2002358634A - 磁気記録媒体の磁化パターン形成装置及び形成方法 - Google Patents

磁気記録媒体の磁化パターン形成装置及び形成方法

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JP2002358634A
JP2002358634A JP2001159220A JP2001159220A JP2002358634A JP 2002358634 A JP2002358634 A JP 2002358634A JP 2001159220 A JP2001159220 A JP 2001159220A JP 2001159220 A JP2001159220 A JP 2001159220A JP 2002358634 A JP2002358634 A JP 2002358634A
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JP2001159220A
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Hidekazu Fujiwara
英一 藤原
Hisashi Toda
久志 戸田
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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  • Holding Or Fastening Of Disk On Rotational Shaft (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気記録媒体に磁化パターンを偏心なく、ま
た磁気記録媒体にたわみを生じさせることなく形成する
ことができる磁化パターン形成装置と、この装置を用い
た磁化パターン形成方法を提供する。 【解決手段】 磁気記録媒体1をターンテーブル10の
上方に搬入する。次いで、昇降装置によって軸保持部材
66が上昇され、ターンテーブル10の上面に磁気記録
媒体1が載る。エアシリンダ58にロッド58aの後退
動作を行わせると、進退部材34が下方移動し、テーパ
面34tが固定片14のテーパ面14tを押圧し、固定
片14の上部が拡開する。これにより、中心孔1aに固
定片14が押し付けられ、磁気記録媒体1が固定され
る。ターンテーブル10を回転させながら磁界を発生さ
せると共に、エネルギー線照射領域にレーザビーム等の
エネルギー線を照射して加熱し、磁気記録媒体1に磁化
パターンを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に用
いられる磁気ディスクなどの磁気記録媒体の磁化パター
ン形成方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置(ハードディスクドラ
イブ)に代表される磁気記録装置はコンピュータなどの
情報処理装置の外部記憶装置として広く用いられ、近年
は動画像の録画装置やセットトップボックスのための記
録装置としても使用されつつある。
【0003】一般に、磁気ディスクの各トラックには、
磁気ヘッドを制御するための制御用磁化パターン、例え
ば磁気ヘッドの位置制御に用いる信号や同期制御に用い
る信号が形成されている。この情報記録トラックの間隔
を狭めてトラック数を増加させるためには、データ記録
/再生用ヘッドの位置制御に用いる信号(以下、「サー
ボ信号」と言うことがある。)もそれに合わせてディス
クの半径方向に対して密に、すなわちより多く設け、磁
気ヘッドを精密に制御する必要がある。
【0004】また、データ記録に用いる以外の領域、即
ちサーボ信号に用いる領域や該サーボ領域とデータ記録
領域の間のギャップ部を小さくしてデータ記録領域を広
くし、データ記録容量を上げる場合にも、サーボ信号の
出力を上げたり同期信号の精度を上げる必要がある。
【0005】従来、磁気記録媒体のサーボ信号パターン
の形成方法として、ドライブ(磁気記録装置)のヘッド
アクチュエータ近傍に穴を開け、その部分にエンコーダ
付きピンを挿入し、該ピンにアクチュエータを係合さ
せ、ヘッドを正確な位置に駆動してサーボ信号を記録す
る方法がある。しかしながら、位置決め機構とアクチュ
エータの重心が異なる位置にあるため、この方法では高
精度のトラック位置制御ができず、サーボ信号を正確に
記録するのが困難であった。
【0006】一方、レーザビームを磁気ディスクに照射
してディスク表面を局所的に変形させ物理的な凹凸を形
成することにより凹凸サーボ信号を形成する方法も提案
されている。しかしながら、この方法には、凹凸により
浮上ヘッドが不安定となり記録再生に悪影響を及ぼす;
凹凸を形成するために大きなパワーをもつレーザビーム
を用いる必要がありコストがかかる;凹凸を1ずつ形成
するために時間がかかる;といった問題があった。
【0007】別のサーボ信号形成法として、媒体を予め
一方向に磁化しておき、マスターディスクに高透磁率で
低保磁力の軟磁性層をパターニングし、マスターディス
クを媒体に密着させるとともに外部磁界をかける磁気転
写方法がある。この軟磁性層がシールドとして働き、シ
ールドされていない領域に磁化パターンが転写される。
この磁気転写法では、マスターディスクを用い、強力な
磁界によって磁化パターンを媒体に形成している。
【0008】さらに別の磁化パターン形成方法として、
局所加熱と外部磁界印加を組み合わせて磁気記媒体に磁
化パターンを形成する加熱磁気転写法がある。この方法
では、例えば、媒体を予め一方向に磁化しておき、パタ
ーニングされたマスクを介してエネルギー線等を照射し
局所的に加熱し、該加熱領域の保磁力を下げつつ外部磁
界を印加し、加熱領域に外部磁界による記録を行い、磁
化パターンを形成する。このマスクは、ディスク状磁気
記録媒体とマスクとの間を真空吸引することにより磁気
記録媒体に蒸着して固定される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】 このような磁気転
写法や加熱磁気転写法によって磁化パターンを形成した
磁気記録媒体において、形成された磁化パターンと媒体
中心に偏心があると、該磁気記録媒体が記録再生装置
(ドライブ)に装着されたときに、偏心をキャンセルす
る特別な機構が必要になる。
【0010】特に、磁化パターンが記録再生ヘッドの位
置決めに用いるサーボパターンである場合は、記録再生
装置(ドライブ)に装着された状態で、その装置の回転
機構の回転中心とサーボパターンの中心とにズレがある
と、振動が起こったり、消費電力の増大につながる。ま
た、サーボパターンとのズレが大きい場合は、データの
読み書きができなくなってしまう。
【0011】通常の場合サーボパターン形成装置には多
数のディスクを抜き差しするので、サーボパターン形成
装置のスピンドルと媒体の貫通穴は公差が大きく作られ
ており、従って50μmぐらいのズレが生じる。
【0012】 上記の通り、従来の加熱磁気転写方法
においては、磁気記録媒体とマスクの間を真空吸着して
両者を固定するので、ディスク状磁気記録媒体にたわみ
が生じやすく、干渉縞ができてしまい、形成された磁化
パターンの再生信号のモジュレーションが悪化する。
【0013】この対策として、ディスク状磁気記録媒体
とマスクの内周と外周を保持部材で押さえて固定する方
法が考えられる。しかし、磁化パターン形成領域にエネ
ルギー線を照射するので、外周保持部材と内周保持部材
は一体にしにくい。外周保持部材を内周保持部材から独
立させた場合、該外周保持部材のみを高精度で芯出しす
るのは困難であり、磁気記録媒体の外周では精密に位置
決めできない。また、ディスク状磁気記録媒体の最内
周、最外周には、これらの保持部材が存在するためのパ
ターン形成できず、従って記録領域が制限されてしま
い、容量を大きくできない。
【0014】 なお、磁気記録媒体に外部磁界を印加
し、及び/又は、該マスクを介してエネルギー線を照射
し該磁性層を局所的に加熱して磁化パターンを形成する
方法の一つの態様では、高保磁力の磁性層を持つマスタ
ーディスクにサーボパターンを形成し、マスターディス
クを磁気記録媒体に密着させるとともに、外部から補助
磁界をかけて磁化パターンを転写する。この磁気転写方
法は米国特許USP5,991,104号に記載されて
いる。
【0015】この磁化パターン形成方法の他の一つの態
様では、媒体を予め一方向に磁化しておき、マスターデ
ィスクに高透磁率で低保磁力の軟磁性層をパターニング
し、マスターディスクを媒体に密着させるとともに外部
磁界をかける。軟磁性層がシールドとして働き、シール
ドされていない領域に磁化パターンが転写される。この
磁気転写方法は、特開昭50−60212号公報(US
P3、869、711号、特開平10−40544号公
報(EP915456号)、Digest of InterMag 2000,
GP-06、に記載されている。この磁気転写法によると、
マスターディスクを用い、強力な磁界によって磁化パタ
ーンを媒体に形成することができる。
【0016】一般に磁界の強度は距離に依存するので、
磁界によって磁化パターンを記録する際には、漏れ磁界
によってパターン境界が不明瞭になりやすい。そこで、
漏れ磁界を最小にするためにマスターディスクと媒体を
密着させることが不可欠である。そしてパターンが微細
になるほど、隙間なく完全に密着させる必要があり、通
常、両者は真空吸着などにより圧着される。
【0017】また、媒体の保磁力が高くなるほど転写に
用いる磁界も大きくなり、漏れ磁界も大きくなるため、
更に完全に密着させる必要がある。
【0018】従って上記の磁気転写方法は、保磁力の低
い磁気ディスクや圧着しやすい可撓性のフロッピー(登
録商標)ディスクには適用しやすいが、硬質基板を用い
た、高密度記録用の保磁力が3000Oe以上もあるよ
うな磁気ディスクへの適用が非常に難しい。
【0019】即ち、硬質基板の磁気ディスクは、密着の
際に微小なゴミ等を挟み込み媒体に欠陥が生じたり、或
いは高価なマスターディスクを痛めてしまう恐れがあっ
た。特にガラス基板の場合、ゴミの挟み込みで密着が不
十分になり磁気転写できなかったり、磁気記録媒体にク
ラックが発生したりするという問題があった。
【0020】また、特開昭50−60212号に記載さ
れたような技術では、ディスクのトラック方向に対して
斜めの角度を有したパターンは、記録は可能であるが信
号強度の弱いパターンしか作れないという問題があっ
た。保磁力が2000〜2500Oe以上の高保磁力の
磁気記録媒体に対しては、転写の磁界強度を確保するた
めに、マスターディスクのパターン用強磁性体(シール
ド材)は、パーマロイあるいはセンダスト等の飽和磁束
密度の大きい軟磁性体を使わざるを得ない。
【0021】しかし、斜めのパターンでは、磁化反転の
磁界はマスターディスクの強磁性層が作るギャップに垂
直方向となってしまい所望の方向に磁化を傾けることが
できない。その結果、磁界の一部が強磁性層に逃げてし
まい磁気転写の際に所望の部位に十分な磁界がかかりに
くく、十分な磁化反転パターンを形成できず高い信号強
度が得にくくなってしまう。こうした斜めの磁化パター
ンは、再生出力が、トラックに垂直のパターンに対して
アジマスロス以上に大きく減ってしまう。
【0022】本発明は、上記問題点を解決し、磁気記録
媒体に磁化パターンを偏心なく、また磁気記録媒体にた
わみを生じさせることなく形成することができる磁化パ
ターン形成装置と、この装置を用いた磁化パターン形成
方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体の
磁化パターン形成装置は、中心に開口を有したディスク
状の磁気記録媒体を載荷するためのターンテーブルと、
該ターンテーブルを回転させる回転駆動軸と、該ターン
テーブル上のマスクに重ね合わせるマスクと、該マスク
を通して磁気記録媒体にエネルギー線を照射するエネル
ギー線照射装置と、該磁気記録媒体に磁化パターン形成
用の磁界を印加するための磁界発生装置と、を有する磁
気記録媒体の磁化パターン形成装置であって、該回転駆
動軸に設けられており、該回転駆動軸から放射方向に拡
開して前記磁気記録媒体の中心開口の内周面に当接して
磁気記録媒体を固定する固定片と、該固定片を拡開させ
るための拡開機構と、該マスクの中心側を吸引して前記
回転駆動軸に固定するマスク固定機構と、を備えてなる
ものである。
【0024】また、本発明の磁気記録媒体の磁化パター
ン形成方法は、かかる本発明装置を用い、磁気記録媒体
に磁化パターンを形成する方法であって、該ターンテー
ブルを回転させながら磁界発生装置で磁気記録媒体に磁
界を印加すると共に、該磁気記録媒体にエネルギー線を
照射することを特徴とする。
【0025】本発明では、固定片の内周側には第1のテ
ーパ面が設けられており、前記回転駆動軸には、該第1
のテーパ面に重なる第2のテーパ面を有し、該回転駆動
軸の軸心線方向に進退することにより、該第2のテーパ
面を第1のテーパ面に押し当てて各固定片を拡開させる
進退部材が設けられていることが好ましい。
【0026】かかる本発明の磁気記録媒体の磁化パター
ン形成装置及び方法にあっては、内周のみでマスクを保
持し外周部を押さえないので、外周ぎりぎりまでディス
ク状磁気記録媒体に磁化パターンを形成できる。
【0027】本発明では、磁気記録媒体の内周面に固定
片を押し当てて磁気記録媒体を固定するようにしてお
り、磁気記録媒体を高精度にて回転駆動軸に同軸状に配
置することができる。また、磁気記録媒体にたわみが生
じにくい。なお、マスクとターンテーブルとで磁気記録
媒体を挟むようにした場合には、該マスク及びターンテ
ーブルのいずれも磁気記録媒体より剛性が高いので、磁
気記録媒体に生じることがある反りを矯正することがで
きる。これにより、磁気記録媒体とマスクとの間隔が均
一になり、干渉縞が少なく、モジュレーションの良好な
再生信号が得られる。
【0028】本発明では、磁気記録媒体の最内周と最外
周とで該磁気記録媒体を支持するのが好ましいが、磁化
パターン形成領域では接触しないのが好ましい。これ
は、磁気記録媒体の磁化パターン形成領域を傷つけない
ためである。
【0029】このためには、ターンテーブルの磁気記録
媒体載荷面は、内周側と外周側とが凸段状となってお
り、磁気記録媒体は、その内周縁と外周縁のみが該凸段
状の部分に当接してターンテーブルに保持される構成と
すればよい。
【0030】磁気記録媒体の反りを矯正し保持するため
には、磁気記録媒体と当接する凸段状の部分は平面度を
2μm以内とするのが好ましい。即ち、高さの差の最大
値を2μm以内とする。
【0031】本発明では、マスクは、前記磁気記録媒体
に重なるディスク状のマスク本体と、該マスク本体の中
心部に固着されたマスク保持部材とを備えてなり、該マ
スク保持部材は、該マスクの中心からマスク面と垂直方
向に突出する凸軸部を有しており、前記進退部材には、
該凸軸部を受け入れる受入穴が設けられると共に、該受
入穴内に負圧を導入してマスクを回転駆動軸に固定する
ための負圧導入路が設けられている構成とすることが好
ましい。かかる構成によれば、負圧導入路に負圧を導入
することによりマスクを回転駆動軸に容易に固定するこ
とができる。また、負圧導入路への負圧導入を停止する
ことにより、マスクの固定解除も容易に行うことができ
る。
【0032】本発明では、マスクを介してエネルギー線
を照射する局所加熱と外部磁界印加を組み合わせて磁気
記録媒体に磁化パターンを形成する加熱磁気転写方法を
採用する。例えば、媒体を予め一方向に磁化しておき、
パターニングされたマスクを介してエネルギー線等を照
射し局所的に加熱し、該加熱領域の保磁力を下げつつ外
部磁界を印加し、加熱領域に外部磁界による記録を行
い、磁化パターンを形成する。
【0033】この加熱磁気転写方法によれば、加熱によ
り保磁力を下げて外部磁界を印加するので、外部磁界が
媒体の保磁力より高い必要はなく、弱い磁界で記録でき
る。そして、記録される領域が加熱領域に限定され、加
熱領域以外には磁界が印加されても記録されないので、
媒体にマスク等を密着させなくても明瞭な磁化パターン
が記録できる。このため圧着によって媒体やマスクを傷
つけることなく、媒体の欠陥を増加させることもない。
【0034】また、この加熱磁気転写方法によると、マ
スターディスクの軟磁性体によって外部磁界をシールド
する必要がないので、斜めの磁化パターンも良好に形成
することができる。
【0035】本発明の磁化パターン形成方法は、サーボ
パターンの形成に適用するのに好適であるが、他の磁化
パターンの形成にも適用できる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して実施の形態
について説明する。第1図は実施の形態に係る磁気記録
媒体の磁化パターン形成装置の縦断面図、第2図は第1
図の磁気記録媒体の磁化パターン形成装置の上部の拡大
図、第3図は磁気記録媒体及びマスクを装着した状態の
磁気記録媒体の磁化パターン形成装置の上部の拡大図、
第4図はこの磁気記録媒体の磁化パターン形成装置の上
部の模式的な斜視図である。
【0037】磁気記録媒体1は、中心孔1aを有したデ
ィスク状のものである。磁気記録媒体の磁化パターン形
成装置は、この磁気記録媒体1を載荷するためのターン
テーブル10と、該ターンテーブル10を回転駆動する
ための回転駆動軸12と、該ターンテーブル10に磁気
記録媒体1を固定するための固定片14と、該固定片1
4を拡開させる拡開機構と、磁気記録媒体1に重なるマ
スク16と、磁気記録媒体1に磁界を印加させる磁界印
加装置としてのマグネット18と、磁気記録媒体1にエ
ネルギー線を照射する照射装置(図示略)とを有する。
【0038】ターンテーブル10の上面には、その内周
側と外周側とにそれぞれ凸段部10a,10bが設けら
れており、磁気記録媒体1はこの凸段部10a,10b
にのみ接触する。即ち、凸段部10a,10b間の凹所
10cは磁気記録媒体1に接触しない。10dはターン
テーブル10を上下に貫通する孔を示す。
【0039】第4図の如く、ターンテーブル10上に外
部磁界によって予め周方向に一様に磁化された磁気記録
媒体1を載荷して固定片14によって固定した後、該磁
気記録媒体1にマスク16を重ね合わせる。ターンテー
ブル10を所定角度ずつ間欠的に回転させつつ、マグネ
ット18によって上記外部磁界とは逆方向の磁界を磁気
記録媒体1に印加すると共にエネルギー線照射領域Eに
エネルギー線を照射し、磁気記録媒体1に磁化パターン
を形成する。この所定角度は、例えば3°〜45°程度
に設定される。
【0040】例えば、15°ずつターンテーブル10を
回転させた後停止することを繰り返し、停止時にこの1
5°分の領域Eにエネルギー線を照射する。
【0041】ターンテーブル10の下面中央部からは、
筒状のボス部20が下方に突設され、このボス部20が
回転駆動軸12の上端に固着されている。回転駆動軸1
2は、その最外周を構成する筒状のスピンドル22と、
該スピンドル22内の上部に内嵌した軸継手24と、該
スピンドル22及び軸継手24を上下方向に貫通したパ
イプ状のシャフト26とを有する。このパイプ状のシャ
フト26の内孔が負圧導入路26aとなっている。
【0042】軸継手24の上部の外周面及びスピンドル
22の上部内周面は上方ほど拡径するテーパ状となって
おり、両テーパ面が密着し、両者が正確に同軸に接続さ
れている。そして、スピンドル22に径方向に螺着した
ボルト28(第1図)によって両者が固定されている。
【0043】この軸継手24の上部に前記ボス部20が
外嵌し、ボルト(図示略)によって固定されている。シ
ャフト26の上部外周面に雄ねじが刻設され、この雄ね
じにカップ形状の進退部材34の中心孔が螺着され、ナ
ット36によって固定されている。
【0044】この進退部材34は、マスク16の後述す
る凸軸部86を受け入れる空室38を有している。この
空室38の入口部には、内周面が上方ほど拡径するテー
パ面となった内向き鍔部40が設けられている。この内
向き鍔部40よりも上側は、マスク16の後述するフラ
ンジ82の受入用凹陥部41となっている。
【0045】この進退部材34の上端部の外周面は、上
方ほど拡径するテーパ面34tとなっている。このテー
パ面34tは、該進退部材34が下降したときに前述の
固定片14のテーパ面14tと重なり合い、該固定片1
4の上部を拡開させる。
【0046】この固定片14は、ターンテーブル10の
ボス部20の内周面と進退部材34の外周面との間に配
置されている。この固定片14は、少なくともその上部
に上下方向に複数のスリ割りを有し、拡径変形可能とな
っている。固定片14の上部内周面は前記の通り上方ほ
ど拡径するテーパ面14tとなっている。固定片14の
上部の外周は、外方に突出した鍔状となっている。この
固定片14の上部外周とターンテーブル10との間に
は、固定片14の拡径を許容するクリアランスがあいて
いる。固定片14の上端部は、ターンテーブル10の上
面から、磁気記録媒体1の1枚分の厚さだけ上方に突出
している。
【0047】進退部材34は、この固定片14の内周面
に沿って上下方向に摺動可能とされている。この進退部
材34に連結された前記シャフト26は、スピンドル2
2を貫通し、該スピンドル22の下端から下方に突出し
ている。
【0048】このシャフト26の下端近傍にフランジ4
6が固定されていると共に、スピンドル22の下端面に
フランジ48が固着されている。これらのフランジ4
6,48間に圧縮コイルスプリングよりなる押下スプリ
ング50が介在されており、シャフト26は常に下方に
押圧されている。
【0049】シャフト26の下端は接続フランジ52に
摺動自在に挿入されている。このフランジ52には、該
シャフト26の内孔よりなる負圧導入路26aに負圧を
伝達するための配管継手54が固着されている。このフ
ランジ52には、また、連結部材56を介してエアシリ
ンダ58のピストンロッド58aが連結されている。こ
のピストンロッド58aは鉛直上方に延出しており、該
エアシリンダ58がピストン突出動作すると、シャフト
26が上方に押し上げられる。エアシリンダ58がピス
トン後退動作すると、押下スプリング50の押圧力にも
助勢されてシャフト26が引き下げられる。
【0050】このシャフト26の上下動により、該シャ
フト26に固着された進退部材34も一体に上下動す
る。なお、進退部材34の固定用のナット36と前記軸
継手24との間には、圧縮コイルスプリングよりなる押
圧スプリング60が介在されている。これにより、進退
部材34には常に上向きの押圧力が加えられている。
【0051】該シャフト26が内挿された前記スピンド
ル22は、ベアリング62,64を介して軸保持部材6
6に回転自在に支持されている。スピンドル22の下部
にはプーリ68が固着されており、ベルト及び原動機
(いずれも図示略)を介して該スピンドル22を含む回
転駆動軸12が回転可能とされている。
【0052】軸保持部材66に対しブラケット70,7
2を介して前記エアシリンダ58が連結されている。
【0053】この軸保持部材66は、図示しない昇降装
置に取り付けられており、ターンテーブル10、回転駆
動軸12、エアシリンダ58を含めて第1図の機構が全
体として昇降可能となっている。
【0054】前記マスク16は、ディスク状のマスク本
体76と、該マスク本体76の中心部を保持するマスク
保持部材78とを有する。このマスク保持部材78は、
ナット84で狭圧された1対のフランジ80,82間に
てマスク本体76の中心孔の縁部を挟持している。この
マスク保持部材78の下面中央からは凸軸部86が下方
に突設されている。このマスク16は、ターンテーブル
10の上方に配置され、クランプ装置によって支持され
ている。
【0055】このように構成された磁気記録媒体の磁化
パターン形成装置を用いて磁気記録媒体1を磁化する方
法について次に説明する。
【0056】磁気記録媒体1は、外部磁界により予め周
方向の一方向に均一に磁化されている。この磁気記録媒
体1を搬送コンベヤ(図示略)によってターンテーブル
10の上方に搬入する。次いで、昇降装置によって軸保
持部材66が上昇され、第1図に示す機構全体が上方移
動する。この上方移動の途中でターンテーブル10の上
面に磁気記録媒体1が載る。
【0057】そこで、エアシリンダ58にロッド58a
の後退動作を行わせると、シャフト26がスピンドル2
2に対し相対的に下方に押し下げられる。そして、進退
部材34が下方移動し、テーパ面34tが固定片14の
テーパ面14tを押圧し、固定片14の上部が拡開す
る。これにより、磁気記録媒体1の中心孔1aに固定片
14が押し付けられ、磁気記録媒体1が固定片14を介
してターンテーブル10に固定される。
【0058】この間にも第1図の機構全体が上昇し、や
がて磁気記録媒体1がマスク本体76の下面に重なり合
うと共に、凸軸部86が空室38に入り込む。そこで、
マスククランプ装置をアンクランプとすると共に、配管
継手54を介してシャフト26内の負圧導入路26aに
負圧を導入する。そうすると、進退部材34の空室38
内に導入された負圧によってマスク16の凸軸部86が
吸引され、マスク16が進退部材34に吸着され、第3
図の状態となる。
【0059】また、これと併せて、ターンテーブル10
の下側にマグネット18c,18d(18cは図示略)
が進出する。
【0060】そして、ターンテーブル10を回転させな
がらマグネット18a,18b間及びマグネット18
c,18d間に磁界を発生させると共に、マグネット1
8a,18c間のエネルギー線照射領域にレーザビーム
等のエネルギー線を照射して加熱し、磁気記録媒体1に
磁化パターンを形成する。
【0061】磁化パターンを形成した後は、ターンテー
ブル10を停止し、負圧導入路26aへの負圧導入を停
止する。また、ターンテーブル10の下側のマグネット
18c,18dを退避させた後、マスク16をクランプ
装置でクランプする。そして、エアシリンダ58のロッ
ド58aを後退させ、固定片14による磁気記録媒体1
の固定を解除する。次いで、昇降装置により第1図に示
す機構の全体を下降させ、この途中で磁気記録媒体1を
コンベヤ(図示略)に明け渡す。パターンを形成した磁
気記録媒体を搬出した後、入れ替りにパターン未形成の
磁気記録媒体1をターンテーブル1の上方に搬入し、上
記と同一の手順を行う。
【0062】この実施の形態に係る磁気記録媒体の磁化
パターン形成装置及び方法にあっては、マスク保持部材
78によってマスク本体76の中心側のみを保持し外周
部を押さえないので、磁気記録媒体1の外周ぎりぎりま
で磁化パターンを形成できる。また、磁気記録媒体1の
中心孔1aの内周面に固定片14を押し当てて磁気記録
媒体1を固定するようにしており、磁気記録媒体1の偏
心が防止されると共に、磁気記録媒体1にたわみが生じ
ない。
【0063】なお、マスク本体76とターンテーブル1
0とで磁気記録媒体1を挟むようにした場合には、該マ
スク本体16及びターンテーブル10のいずれも磁気記
録媒体1より剛性が高いので、磁気記録媒体1に生じる
ことがある反りを矯正することができる。これにより、
磁気記録媒体1とマスク本体76との間隔が均一にな
り、干渉縞が少なく、モジュレーションの良好な再生信
号が得られる。
【0064】この実施の形態にあっては、負圧導入路2
6aに負圧を導入することによりマスク16を回転駆動
軸12に容易に固定することができる。また、負圧導入
路26aへの負圧導入を停止することにより、マスク1
6の固定解除も容易に行うことができる。従って、マス
ク16の着脱を迅速に行い、効率良く磁気記録媒体1に
磁化パターンを形成することができる。
【0065】なお、マスク本体76を回転駆動軸12と
正確に同軸とする場合、次のように行うのが好ましい。
即ち、ナット84を緩めた状態で凸軸部86を内向き鍔
部40を通して空室38に挿入する。そして、磁化パタ
ーン領域の最外周/最内周境界部をカメラなどで観察
し、マスクを回転させると、偏心があれば境界部が動
く。境界部が動かないようにマスクを位置合わせする。
この位置合わせの後、ナット84を締め込む。
【0066】本発明の装置は、磁化パターン形成に際
し、例えば数千ガウスの強力なマグネットで磁化するの
で、スピンドル22、ターンテーブル10、マスク保持
部材78は、銅、チタン、セラミックス等の非磁性体又
はステンレス等の常磁性体からなるのがよい。また、こ
れら部材(特にターンテーブル10)は剛性が高い材料
からなるのが好ましい。この点において、ステンレス
は、加工精度が良く平坦度が出やすいと共に、剛性も高
く、安価なので最も好ましい。
【0067】本発明では、マスクと磁気記録媒体の内周
及び外周の間にスペーサを介在させてもよい。このスペ
ーサはマスク上に一体に設けられていても良く、ステン
レス、銅、ポリイミドなどからなる別個のものでもい
い。
【0068】マスク上に一体に設ける例としては、ポリ
イミド、クロム/酸化クロム、ガラスの突起などが例示
される。
【0069】スペーサの高さは、マスクと磁気記録媒体
のパターン形成領域での間隔を狭くし回折による入射エ
ネルギーの拡散を防ぎ、磁気記録媒体及びマスク面から
の再反射光と入射光との干渉縞の生成を抑えるためには
低いほどよく、高さが10μm以下であるのが好まし
い。より好ましくは7μm以下であり、更に好ましくは
5μm以下である。
【0070】形成するパターンの線幅(パターンの最小
幅)が1μmよりも狭くなると、特に光の回折の影響を
多く受けるようになり干渉縞が生成しやすくなるため、
線幅が狭いほど突起の高さをより低くするのが望まし
い。
【0071】ただし、あまり低いと磁気記録媒体のうね
りと接触するおそれがあるため、高さは0.01μm以
上であるのが好ましい。より好ましくは0.1μm以上
である。
【0072】なお、本願においてパターンの最小幅と
は、パターン中の最も狭い長さを言う。四角形のパター
ンであれば短辺、円形ならば直径、楕円形ならば短径で
ある。
【0073】マスク保持部材の押さえ部の外径は大きい
ほど、マスクの固定効果は高いので好ましい。マスクの
パターン領域の最内周との距離が5mm以下がよい。た
だしあまり近いとパターン転写のエネルギー線を妨害し
やすいので、0.2mm以上がよい。
【0074】ディスク受け部のディスク支持部とパター
ン領域との距離は、パターン領域を傷つけるおそれがな
いよう0.2mm以上がよい。ディスクとマスクの固定
効果を高めるためには2mm以下が好ましい。
【0075】なお、この磁化に際しては、磁気記録媒体
1はターンテーブル10の内周側及び外周側の凸段部1
0a,10bにのみ当接し、凹所10cには当接しない
ので、磁気記録媒体1の磁化パターン形成領域に傷が付
かない。
【0076】上記のマスク本体76は、形成すべき磁化
パターンに応じて複数の透過部を形成したものとなって
おり、これを通して磁性層上に好ましくはレーザビーム
を照射する。ビーム径を大径又は横に細長い楕円形等と
して、複数トラック分又は複数セクター分の磁化パター
ンを一括して照射すれば、記録効率が一段と上がり、こ
れからの容量の伸びに伴いサーボ記録時間が増大すると
いった問題も改善され非常に好ましい。
【0077】マスク本体76は、所望の磁化パターンに
相当する透過部と非透過部を備えているマスクであれば
よい。このようなマスクは、例えば、石英ガラス、ソー
ダライムガラス等の透明原盤上にCr等の金属をスパッ
タリング形成し、その上にフォトレジストを塗布し、エ
ッチング等によって、所望の透過部と非透過部を作成す
ることができる。この場合は原盤上にCr層を有する部
分がエネルギー線非透過部、原盤のみの部分が透過部と
なる。
【0078】このようにして形成したマスクは通常凹凸
を有しており、凸部がレーザ光等のエネルギー線に対し
て非透過で、凸部を媒体に近接させ、或いは略接触させ
る。或いはまた、このようなマスクを形成した後に凹部
にエネルギー線に透明である材料を埋め込み、媒体との
略接触面を平坦にして使用することもできる。
【0079】本発明においては、局所加熱と外部磁界印
加の組み合わせは様々考えられるが、好ましくは、外部
磁界を印加し磁性層を予め所望の方向に均一に磁化した
のち、磁性層を局所的に加熱すると同時に外部磁界を印
加し加熱部を該所望の方向とは逆方向に磁化して磁化パ
ターンを形成する。これによれば、互いに逆向きの磁区
が明瞭に形成されるので、信号強度が強くC/N及びS
/Nが良好な磁化パターンが得られる。
【0080】なお、加熱や外部磁界の印加は、磁性層に
直接行ってもよいし、磁性層上に保護層など他の層を設
けたのち、行ってもよい。
【0081】次に、本発明において用いるのに好適なレ
ーザ光などのエネルギー線について説明する。
【0082】エネルギー線は連続照射よりもパルス状に
して加熱部位の制御や加熱温度の制御を行うのが好まし
い。
【0083】特にパルスレーザ光源の使用が好適であ
る。パルスレーザ光源はレーザをパルス状に断続的に発
振するものであり、連続レーザを音響光学素子(AO)
や電気光学素子(EO)などの光学部品で断続させパル
ス化するのに比して、パワー尖頭値の高いレーザをごく
短時間に照射することができ熱の蓄積が起こりにくく非
常に好ましい。
【0084】連続レーザを光学部品によりパルス化した
場合、パルス内ではそのパルス幅に亘ってほぼ同じパワ
ーを持つ。一方パルスレーザ光源は、例えば光源内で共
振によりエネルギーをためて、パルスとしてレーザを一
度に放出するため、パルス内では尖頭のパワーが非常に
大きく、その後小さくなっていく。本発明では、コント
ラストが高く精度の高い磁化パターンを形成するため
に、ごく短時間に急激に加熱しその後急冷させるのが好
ましいため、パルスレーザ光源の使用が適している。
【0085】磁化パターンが形成される媒体面は、パル
ス状エネルギー線の照射時と非照射時で温度差が大きい
方が、パターンのコントラストを上げ、或いは記録密度
を上げるために好ましい。従ってパルス状エネルギー線
の非照射時には室温以下程度になっているのが好まし
い。室温とは25℃程度である。
【0086】エネルギー線の波長は、1100nm以下
であることが好ましい。これより波長が短いと回折作用
が小さく分解能が上がるため、微細な磁化パターンを形
成しやすい。更に好ましくは、600nm以下の波長で
ある。高分解能であるだけでなく、回折が小さいため間
隙によるマスクと磁気記録媒体のスペーシングも広くと
れハンドリングがしやすく、磁化パターン形成装置が構
成しやすくなるという利点が生まれる。また、波長は1
50nm以上であるのが好ましい。150nm未満で
は、マスクに用いる合成石英の吸収が大きくなり、加熱
が不十分となりやすい。波長を350nm以上とすれ
ば、光学ガラスをマスクとして使用することもできる。
【0087】具体的には、エキシマレーザ(157,1
93,248,308,351nm)、YAGのQスイ
ッチレーザ(1064nm)の2倍波(532nm)、
3倍波(355nm)、或いは4倍波(266nm)、
Arレーザ(488nm、514nm)、ルビーレーザ
(694nm)などである。
【0088】パルス状エネルギー線の1パルス当たりの
パワーは1000mJ/cm2以下とすることが好まし
い。これより大きなパワーをかけると、パルス状エネル
ギー線によって該磁気記録媒体表面が損傷を受け変形を
起こす可能性がある。変形により粗度Raが3nm以上
やうねりWaが5nm以上に大きくなると、浮上型/接
触型ヘッドの走行に支障を来すおそれがある。
【0089】より好ましくは500mJ/cm2以下で
あり、更に好ましくは200mJ/cm2以下である。
この領域であると比較的熱拡散の大きな基板を用いた場
合でも分解能の高い磁化パターンが形成しやすい。ま
た、パワーは10mJ/cm2以上とするのが好まし
い。これより小さいと、磁性層の温度が上がりにくく磁
気転写が起こりにくい。
【0090】なお、パターン幅が狭いほど必要なパワー
は増加する傾向にある。また、エネルギー線の波長が短
いほど照射可能なパワーは低下する傾向にある。
【0091】また、エネルギー線による磁性層、保護
層、潤滑層の損傷が心配される場合は、パルス状エネル
ギー線のパワーを小さくして、該パルス状エネルギー線
と同時に印加される磁界強度を上げるといった手段を取
ることもできる。例えば、面内記録媒体の場合は、常温
での保磁力の25〜75%、垂直記録の場合には、1か
ら50%のできるだけ大きな力をかけ、照射エネルギー
を下げる。
【0092】なお、保護層と潤滑層を介してパルス状エ
ネルギー線を照射するにあたり、潤滑剤の受けるダメー
ジ(分解、重合)等も考慮し、照射後に再塗布するなど
の必要がある場合がある。
【0093】パルス状エネルギー線のパルス幅は、1μ
sec以下であることが望ましい。これよりパルス幅が
広いと該磁気記録媒体にパルス状エネルギー線にて与え
たエネルギーによる発熱が分散して、分解能が低下しや
すい。1パルス当たりのパワーが同じである場合、パル
ス幅を短くし一度に強いエネルギーを照射した方が、熱
拡散が小さく磁化パターンの分解能が高くなる傾向にあ
る。より好ましくは100nsec以下である。この領
域であるとAlなど金属の比較的熱拡散の大きな基板を
用いた場合でも分解能の高い磁化パターンが形成しやす
い。特に最小幅2μm以下の磁化パターンを形成する際
には、25nsec以下とするのが好ましい。即ち、分
解能を重視すれば、パルス幅は短いほど良い。また、パ
ルス幅は1nsec以上であるのが好ましい。磁性層の
磁化反転が完了するまでの時間、加熱を保持しておくの
が好ましいからである。
【0094】なお、パルス状レーザの一種として、モー
ドロックレーザのようにピコ秒、フェムト秒レベルの超
短パルスを高周波で発生できるレーザがある。超短パル
スを高周波で照射している期間においては、各々の超短
パルス間のごく短い時間はレーザが照射されないが非常
に短い時間であるため加熱部はほとんど冷却されない。
すなわち、一旦キュリー温度以上に昇温された領域はキ
ュリー温度以上に保たれる。
【0095】従ってこのような場合、連続照射期間(超
短パルス間のレーザが照射されない時間も含めた連続照
射期間)を1パルスとする。また連続照射期間の照射エ
ネルギー量の積分値を1パルス当たりのパワー(mJ/
cm2)とする。
【0096】好ましくは、エネルギー照射領域における
エネルギー線の強度分布を15%以内とする。照射した
領域の加熱状態の分布を小さく抑えることができ、磁化
パターンの磁気的強さの分布を小さく抑えることができ
る。従って、磁気ヘッドを使用して信号強度を読み取る
際に、信号強度の均一性の高い磁化パターンを形成する
ことができる。
【0097】レーザなどのエネルギー線は、一般にビー
ムスポット内で強度分布(エネルギー密度分布)を有し
ており、エネルギー線を照射して局部加熱した場合もエ
ネルギー密度による温度上昇の違いが生じる。このため
加熱ムラにより局部的に転写の強度の違いが起こる。通
常、エキシマレーザやYAG−Qスイッチレーザなどの
パルスレーザを用いると、ビームスポット内の強度分布
は30%程度ある。
【0098】そこで例えば、強度分布の小さいエネルギ
ー線源を使用したり、エネルギー線の強度分布の小さい
部分だけを遮光板等で透過したのち必要に応じて拡大し
たり、ホモジナイザやコンデンサレンズ等を用いるなど
して、エネルギー線のビームスポット内での強度分布を
15%以内に抑えるようにする。
【0099】また好ましくは、エネルギー線に予め強度
分布の均一化処理をなす。照射した領域の加熱状態の分
布を小さく抑えることができ、磁化パターンの磁気的強
さの分布を小さく抑えることができる。従って、磁気ヘ
ッドを使用して信号強度を読み取る際に、信号強度の均
一性の高い磁化パターンを形成することができる。
【0100】強度分布の均一化処理としては、例えば以
下のような処理が挙げられる。ホモジナイザやコンデン
サレンズを用いて均一化したり、遮光板やスリットなど
でエネルギー線の強度分布の小さい部分だけを透過し必
要に応じて拡大する、などである。
【0101】好ましくは、エネルギー線を、一旦光学分
割したのち重ね合わせることによって均一化処理する
と、エネルギー線を無駄なく使用でき使用効率が良い。
本発明においては、磁性層の加熱には、高強度のエネル
ギー線を短時間に照射するのがよく、このためにはエネ
ルギーを無駄なく使用するのが好ましい。
【0102】磁気ディスクはディスクの主両面に磁性層
が形成されている場合があるが、その場合、本発明の磁
化パターン形成は片面づつ、逐次に行ってもよいし、マ
スク、エネルギー照射系および外部磁界を印加する手段
を磁気ディスクの両面に設置して、両面同時に磁化パタ
ーン形成を行うこともできる。
【0103】一面に二層以上の磁性層が形成されてお
り、それぞれに異なるパターンを形成したい場合は、照
射するエネルギー線の焦点を各層に合わせることによ
り、各層を個別に加熱し、個別のパターンを形成でき
る。
【0104】磁化パターンを形成する際には、エネルギ
ー線の光源とマスクとの間、又はマスクと該媒体との間
の照射をしたくない領域に、エネルギー線を部分的に遮
光可能な遮光板を設けて、エネルギー線の再照射を防ぐ
構造とするのが好ましい。
【0105】遮光板としては、使用するエネルギー線の
波長を透過しないものであればよく、エネルギー線を反
射又は吸収すればよい。ただし、エネルギー線を吸収す
ると加熱し磁化パターンに影響を与えやすいため、熱伝
導率がよく反射率の高いものが好ましい。例えば、C
r、Al、Feなどの金属板である。
【0106】次に、外部磁界について説明する。
【0107】媒体が円板形状であるので、外部磁界の印
加方向は、周方向、半径方向、板面に垂直方向のいずれ
かをとるのが好ましい。
【0108】加熱と同時に外部磁界を印加する場合は、
外部磁界も該加熱された広い領域に亘って印加すること
で、複数の磁化パターンを一度に形成することができ
る。
【0109】磁性層に外部磁界を印加するためのマグネ
ットとしては、電磁石または、永久磁石を所望の磁化方
向に磁界が生じるように配置して用いるのが好ましい。
また、これらの異なる磁石を組み合わせて使用してもよ
い。高密度記録に適した高保磁力媒体を効率よく磁化す
るためには、フェライト磁石、ネオジム系希土類磁石、
サマリウムコバルト系希土類磁石などの永久磁石が好適
である。
【0110】以上のような方法で磁化パターンが形成さ
れた磁気記録媒体は、干渉縞の影響が抑えられ、再生信
号のモジュレーションの小さい微細な磁化パターンが精
度良く形成される。そして、磁化遷移幅が小さく磁区の
境界での磁化遷移が非常に急峻で出力信号の品質が高い
パターンが形成される。
【0111】また非常に短時間で簡便に製造でき、従来
のようにマスターディスクと密着させることがないた
め、傷や欠陥が少ない。
【0112】特に、高密度記録になるにつれて、サーボ
信号が書きにくいだけでなくサーボ記録がコストアップ
の主原因となるため高密度記録用の媒体に本発明を適用
すると効果が大きい。垂直磁気記録媒体であれば磁界の
印加が容易であることからより本発明を適用しやすい。
【0113】本技術を磁気記録媒体の製造ラインに組み
入れれば、ヘッド制御用の高精度の磁化パターンが形成
された媒体を短時間かつ安価に製造できる。
【0114】次に、本発明が適用されるのに好適な磁気
記録媒体の構成について説明する。
【0115】この磁気記録媒体における基板としては、
高速記録再生時に高速回転させても振動しない必要があ
り、通常、硬質基板が用いられる。振動しない十分な剛
性を得るため、基板厚みは一般に0.3mm以上が好ま
しい。但し厚いと磁気記録装置の薄型化に不利なため、
3mm以下が好ましい。例えば、Alを主成分とした例
えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、Mgを主成分
とした例えばMg−Zn合金等のMg合金基板、通常の
ソーダガラス、アルミノシリケート系ガラス、非結晶ガ
ラス類、シリコン、チタン、セラミックス、各種樹脂の
いずれかからなる基板やそれらを組み合わせた基板など
を用いることができる。中でもAl合金基板や強度の点
では結晶化ガラス等のガラス製基板、コストの点では樹
脂製基板を用いることが好ましい。
【0116】この磁気記録媒体は硬質基板を有する媒体
であることが好ましい。従来の磁気転写法では硬質基板
を有する媒体はマスターディスクとの密着が不十分にな
り傷や欠陥が発生したり転写された磁区の境界が不明確
でPW50が広がりやすい傾向があったが本発明ではマ
スクと媒体とを圧着しないのでそのような問題がない。
特に、ガラス製基板のようにクラックの入りやすい基板
を有する媒体には効果的である。
【0117】磁気ディスクの製造工程においては、まず
基板の洗浄・乾燥が行われるのが通常であり、本発明に
おいても各層の密着性を確保する見地からもその形成前
に洗浄、乾燥を行うことが望ましい。基板表面にNi
P,NiAl等の金属層を形成してもよい。
【0118】金属層を形成する場合に、その手法として
は、無電解めっき法、スパッタリング法、真空蒸着法、
CVD法など薄膜形成に用いられる方法を利用すること
ができる。導電性の材料からなる基板の場合であれば電
解めっきを使用することが可能である。金属層の膜厚は
50nm以上が好ましい。ただし、磁気ディスク媒体の
生産性などを考慮すると20μm以下であることが好ま
しい。さらに好ましくは10μm以下である。
【0119】また、金属層を成膜する領域は基板表面全
域が望ましいが、一部だけ、例えばテキスチャリングを
施す領域のみでも実施可能である。
【0120】また、基板表面、又は基板に金属層が形成
された表面に同心状テキスチャリングを施してもよい。
本発明において同心状テキスチャリングとは、例えば遊
離砥粒とテキスチャーテープを使用した機械式テキスチ
ャリングやレーザ光線などを利用したテキスチャリング
加工、又はこれらを併用することによって、円周方向に
研磨することによって基板円周方向に微小溝を多数形成
した状態を指称する。
【0121】機械的テキスチャリングを施すための遊離
砥粒の種類としてはダイヤモンド砥粒、中でも表面がグ
ラファイト化処理されているものが最も好ましい。機械
的テキスチャリングに用いられる砥粒としては他にアル
ミナ砥粒が広く用いられているが、特にテキスチャリン
グ溝に沿って磁化容易軸を配向させるという面内配向媒
体の観点から考えるとダイヤモンド砥粒が極めて良い性
能を発揮する。
【0122】ヘッド浮上量ができるだけ小さいことが高
密度磁気記録の実現には有効であり、またこれら基板の
特長のひとつが優れた表面平滑性にあることから、基板
表面の粗度Raは2nm以下が好ましく、より好ましく
は1nm以下である。特に0.5nm以下が好ましい。
なお、基板表面粗度Raは、触針式表面粗さ計を用いて
測定長400μmで測定後、JIS B0601に則っ
て算出した値である。このとき測定用の針の先端は半径
0.2μm程度の大きさのものが使用される。
【0123】次に基板上には、磁性層との間に下地層等
を形成してもよい。下地層は、結晶を微細化し、かつそ
の結晶面の配向を制御することを目的とし、Crを主成
分とするものが好ましく用いられる。
【0124】Crを主成分とする下地層の材料として
は、純Crのほか、記録層との結晶マッチングなどの目
的で、CrにV、Ti、Mo、Zr、Hf、Ta、W、
Ge、Nb、Si、Cu、Bから選ばれる1又は2以上
の元素を添加した合金や酸化Crなども含む。
【0125】中でも純Cr、又はCrにTi、Mo、
W、V、Ta、Si、Nb、Zr及びHfから選ばれる
1又は2以上の元素を添加した合金が好ましい。これら
第二、第三元素の含有量はそれぞれの元素によって最適
な量が異なるが、一般には1原子%〜50原子%が好ま
しく、より好ましくは5原子%〜30原子%、さらに好
ましくは5原子%〜20原子%の範囲である。
【0126】下地層の膜厚はこの異方性を発現させ得る
に十分なものであればよいが、好ましくは0.1〜50
nmであり、より好ましくは0.3〜30nm、さらに
好ましくは0.5〜10nmである。Crを主成分とす
る下地層の成膜時は基板加熱を行っても行わなくてもよ
い。
【0127】下地層の上には、記録層との間に、場合に
より軟磁性層を設けても良い。特に磁化遷移ノイズの少
ないキーパー媒体、或いは磁区が媒体の面内に対して垂
直方向にある垂直記録媒体には、効果が大きく、好適に
用いられる。
【0128】軟磁性層は透磁率が比較的高く損失の少な
いものであればよいが、NiFeや、それに第3元素と
してMo等を添加した合金が好適に用いられる。最適な
透磁率は、データの記録に利用されるヘッドや記録層の
特性によっても大きく変わるが、概して、最大透磁率が
10〜1000000(H/m)程度であることが好ま
しい。
【0129】或いはまた、Crを主成分とする下地層上
に必要に応じ中間層を設けてもよい。例えばCoCr系
中間層を設けると磁性層の配向がより好ましく制御でき
る。
【0130】次に記録層(磁性層)を形成するが、記録
層と軟磁性層の間には下地層と同一材料の層又は他の非
磁性材料が挿入されていてもよい。記録層の成膜時は、
基板加熱を行っても行わなくてもよい。記録層として
は、Co合金磁性層、TbFeCoを代表とする希土類
系磁性層、CoとPdの積層膜を代表とする遷移金属と
貴金属系の積層膜等が好ましく用いられる。
【0131】Co合金磁性層としては、通常、純Coや
CoNi、CoSm、CoCrTa、CoNiCr、C
oCrPtなどの磁性材料として一般に用いられるCo
合金磁性材料を用いうる。これらのCo合金に更にN
i、Cr、Pt、Ta、W、Bなどの元素やSiO2
の化合物を加えたものでも良い。例えばCoCrPtT
a、CoCrPtB、CoNiPt、CoNiCrPt
B等が挙げられる。Co合金磁性層の膜厚は任意である
が、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以
上である。また、好ましくは50nm以下、より好まし
くは30nm以下である。また、本記録層は、適当な非
磁性の中間層を介して、或いは直接2層以上積層しても
よい。その時、積層される磁性材料の組成は、同じであ
っても異なっていてもよい。
【0132】希土類系磁性層としては、磁性材料として
一般的なものを用いうるが、例えばTbFeCo、Gd
FeCo、DyFeCo、TbFeなどが挙げられる。
これらの希土類合金にTb、Dy、Hoなどを添加して
もよい。酸化劣化防止の目的からTi、Al、Ptが添
加されていてもよい。希土類系磁性層の膜厚は、任意で
あるが、通常5〜100nm程度である。また、本記録
層は、適当な非磁性の中間層を介して、或いは直接2層
以上積層してもよい。その時、積層される磁性材料の組
成は、同じであっても異なっていてもよい。特に希土類
系磁性層は、アモルファス構造膜であり、かつメディア
面内に対して垂直方向に磁化を持つため高記録密度記録
に適し、高密度かつ高精度に磁化パターンを形成できる
本発明の方法がより効果的に適用できる。
【0133】同様に垂直磁気記録が行える、遷移金属と
貴金属系の積層膜としては、磁性材料として一般的なも
のを用いうるが、例えばCo/Pd、Co/Pt、Fe
/Pt、Fe/Au、Fe/Agなどが挙げられる。こ
れらの積層膜材料の遷移金属、貴金属は、特に純粋なも
のでなくてもよく、それらを主とする合金であってもよ
い。積層膜の膜厚は、任意であるが、通常5〜1000
nm程度である。また、必要に応じて3種以上の材料の
積層であってもよい。
【0134】記録層としての磁性層は、室温において磁
化を保持し、加熱時に消磁されるか、或いは加熱と同時
に外部磁界を印加されることで磁化される。
【0135】磁性層の室温での保磁力は、室温において
磁化を保持し、かつ適当な外部磁界により均一に磁化さ
れるものである必要がある。磁性層の室温での保磁力を
2000Oe以上とすることで、小さな磁区が保持でき
高密度記録に適した媒体が得られる。より好ましくは3
000Oe以上である。
【0136】従来の磁気転写法では、あまり保磁力が高
い媒体には転写が困難であるが、磁性層を加熱し保磁力
を十分に下げて磁化パターンを形成することにより、保
磁力の大きい媒体に磁化パターンを形成することができ
る。
【0137】ただし、保磁力は好ましくは20kOe以
下とする。20kOeを超えると、一括磁化のために大
きな外部磁界が必要となり、また通常の磁気記録が困難
となる可能性がある。
【0138】磁性層は、室温において磁化を保持しつ
つ、適当な加熱温度では弱い外部磁界で磁化されるもの
である必要がある。また室温と磁化消失温度との差が大
きい方が磁化パターンの磁区が明瞭に形成しやすい。こ
のため磁化消失温度は高いほうが好ましく、100℃以
上が好ましくより好ましくは150℃以上である。例え
ば、キュリー温度近傍(キュリー温度のやや下)や補償
温度近傍に磁化消失温度がある。
【0139】キュリー温度は、好ましくは100℃以上
である。100℃未満では、室温での磁区の安定性が低
い傾向がある。より好ましくは150℃以上である。ま
た好ましくは700℃以下である。磁性層をあまり高温
に加熱すると、変形してしまう可能性があるためであ
る。
【0140】磁気記録媒体が面内磁気記録媒体である場
合、高密度用の高い保磁力を持った磁気記録媒体に対し
ては従来の磁気転写法では飽和記録が難しく、磁界強度
の高い磁化パターン生成が困難となり、半値幅も広がっ
てしまう。このような高記録密度に適した面内記録媒体
でも、本方法によれば良好な磁化パターン形成が可能と
なる。特に、該磁性層の飽和磁化が50emu/cc以
上である場合は、反磁界の影響が大きいので本発明を適
用する効果が大きい。
【0141】100emu/cc以上だとより効果が高
い。ただしあまり大きいと磁化パターンの形成がしにく
いため、500emu/cc以下が好ましい。
【0142】磁気記録媒体が垂直磁気記録媒体であり、
磁化パターンが比較的大きく1磁区の単位体積が大きい
場合は、飽和磁化が大きくなり、磁気的な減磁作用で磁
化反転が起こりやすいためそれがノイズとなり半値幅を
悪化させる。しかし、本発明では、軟磁性を使用した下
地層の併用で、これらの媒体にも良好な記録が可能とな
る。
【0143】これら記録層は、記録容量増大などのため
に、二層以上設けてもよい。このとき、間には他の層を
介するのが好ましい。
【0144】磁性層上には保護層を形成するのが好まし
い。すなわち、媒体の最表面を硬質の保護層により覆
う。保護層はヘッドや衝突や塵埃・ゴミ等のマスクとの
挟み込みによる磁性層の損傷を防ぐ働きをする。本発明
のようにマスクを用いた磁化パターン形成法を適用する
際には、マスクとの接触から媒体を保護する働きもあ
る。
【0145】保護層は、加熱された磁性層の酸化を防止
する。磁性層は一般に酸化されやすく、加熱されると更
に酸化されやすい。本発明では磁性層をエネルギー線な
どで局所的に加熱するため、酸化を防ぐための保護層を
磁性層上に予め形成しておくことが好ましい。
【0146】磁性層が複数層ある場合には、最表面に近
い磁性層の上に保護層を設ければよい。保護層は磁性層
上に直接設けても良いし、必要に応じて間に他の働きを
する層をはさんでも良い。
【0147】エネルギー線の一部は保護層でも吸収さ
れ、熱伝導によって磁性層を局所的に加熱する働きをす
る。このため保護層が厚すぎると横方向への熱伝導によ
り磁化パターンがぼやけてしまう可能性があるので、膜
厚は薄い方が好ましい。また記録再生時の磁性層とヘッ
ドとの距離を小さくするためにも薄い方が好ましい。従
って50nm以下が好ましく、より好ましくは30nm
以下、さらに好ましくは20nm以下である。ただし、
充分な耐久性を得るためには0.1nm以上が好まし
く、より好ましくは1nm以上である。
【0148】保護層としては、一般にカーボン、水素化
カーボン、窒素化カーボン、アモルファスカーボン、S
iC等の炭素質層やSiO2、Zr23、SiN、Ti
Nなどの硬質材料が用いられる。
【0149】磁気ディスクにおいては、ヘッドと磁性層
の距離を極限まで近づけるため、非常に硬質の保護層を
薄く設けることが好ましい。従って耐衝撃性及び潤滑性
の点で炭素質保護膜が好ましく、特にダイヤモンドライ
クカーボンが好ましい。エネルギー線による磁性層の損
傷防止の役割を果たすだけでなく、ヘッドによる磁性層
の損傷にも極めて強くなる。本発明の磁化パターン形成
法は、炭素質保護層のような不透明な保護層に対しても
適用できる。
【0150】また、保護層が2層以上の層から構成され
ていてもよい。磁性層の直上の保護層としてCrを主成
分とする層を設けると、磁性層への酸素透過を防ぐ効果
が高く好ましい。
【0151】更に保護層上には潤滑層を形成するのが好
ましい。媒体のマスク及び磁気ヘッドによる損傷を防ぐ
機能を持つ。潤滑層に用いる潤滑剤としては、フッ素系
潤滑剤、炭化水素系潤滑剤及びこれらの混合物等が挙げ
られ、ディップ法、スピンコート法などの常法で塗布す
ることができる。磁化パターン形成の妨げとならないた
めに潤滑層は薄い方が好ましく、10nm以下が好まし
い。より好ましくは4nm以下である。十分な潤滑性能
を得るためには0.5nm以上が好ましい。より好まし
くは1nm以上である。
【0152】潤滑層上からエネルギー線を照射する場合
には、潤滑剤のダメージ(分解、重合)等を考慮し、再
塗布などを行ってもよい。
【0153】以上述べた層以外の層を、必要に応じて設
けてもよい。
【0154】浮上型/接触型ヘッドの走行安定性を損な
わないよう、磁化パターン形成後の該媒体の表面粗度R
aは3nm以下に保つのが好ましい。なお、媒体表面粗
度Raとは潤滑層を含まない媒体表面の粗度であって、
触針式表面粗さ計(機種名:Tencor P−12d
isk profiler(KLA Tencor社製))
を用いて測定長400μmで測定後、JIS B060
1に則って算出した値である。より好ましくは1.5n
m以下とする。
【0155】望ましくは磁化パターン形成後の該媒体の
表面うねりWaを5nm以下に保つ。Waは潤滑層を含
まない媒体表面のうねりであって、触針式表面粗さ計
(機種名:Tencor P−12disk profi
ler(KLA Tencor社製))を用いて測定長2
mmで測定後、Ra算出に準じて算出した値である。よ
り好ましくは3nm以下とする。
【0156】磁気記録媒体の各層を形成する成膜方法と
しては各種の方法が採りうるが、例えば直流(マグネト
ロン)スパッタリング法、高周波(マグネトロン)スパ
ッタリング法、ECRスパッタリング法、真空蒸着法な
どの物理的蒸着法が挙げられる。
【0157】また、成膜時の条件としては、得るべき媒
体の特性に応じて、到達真空度、基板加熱の方式と基板
温度、スパッタリングガス圧、バイアス電圧等を適宜決
定する。例えば、スパッタリング成膜では、通常の場
合、到達真空度は5×10-6Torr以下、基板温度は
室温〜400℃、スパッタリングガス圧は1×10-3
20×10-3Torr、バイアス電圧は0〜−500V
が好ましい。
【0158】基板を加熱する場合は下地層形成前から加
熱しても良い。或いは、熱吸収率が低い透明な基板を使
用する場合には、熱吸収率を高くするため、Crを主成
分とする種子層又はB2結晶構造を有する下地層を形成
してから基板を加熱し、しかる後に記録層等を形成して
も良い。
【0159】記録層が、希土類系の磁性層の場合には、
腐食・酸化防止の見地から、ディスクの最内周部及び最
外周部を最初マスクして、記録層まで成膜、続く保護層
の成膜の際にマスクを外し、記録層を保護層で完全に覆
う方法や、保護層が2層の場合には、記録層と第一の保
護層までをマスクしたまま成膜、第2の保護層を成膜す
る際にマスクを外し、やはり記録層を第二の保護層で完
全に覆うようにすると希土類系磁性層の腐食、酸化が防
げて好適である。
【0160】上述の方法で磁化パターンを形成した磁気
記録媒体と、磁気記録媒体を記録方向に駆動する駆動部
と、記録部と再生部からなる磁気ヘッドと、磁気ヘッド
を磁気記録媒体に対して相対移動させる手段と、磁気ヘ
ッドへの記録信号入力と磁気ヘッドからの再生信号出力
を行うための記録再生信号処理手段とを備えることによ
り、磁気記録装置が構成される。この磁気ヘッドとして
は、高密度記録を行うため、通常は浮上型/接触型磁気
ヘッドを用いる。
【0161】高精度なサーボパターン等の磁化パターン
が形成された磁気記録媒体を用いるので、このような磁
気記録装置は高密度記録が可能である。また、媒体に傷
がなく欠陥も少ないため、エラーの少ない記録を行うこ
とができる。
【0162】また、磁気記録媒体を装置に組みこんだ
後、上記磁化パターンを磁気ヘッドにより再生し信号を
得、該信号を基準としてサーボバースト信号を該磁気ヘ
ッドにより記録してなる磁気記録装置に用いることで、
簡易に精密なサーボ信号を得ることができる。
【0163】また、磁気ヘッドでのサーボバースト信号
記録後にも、ユーザデータ領域として用いられない領域
には本発明により磁化パターンとして記録した信号が残
っていると何らかの外乱により磁気ヘッドの位置ずれが
起きたときにも所望の位置に復帰させやすいので、両者
の書き込み方法による信号が存在する磁気記録装置は、
信頼性が高い。
【0164】磁気記録装置として代表的な、磁気ディス
ク装置の一例について次に説明する。
【0165】磁気ディスク装置は、通常、磁気ディスク
を1枚或いは複数枚を串刺し状に固定するシャフトと、
該シャフトにベアリングを介して接合された磁気ディス
クを回転させるモータと、記録及び/又は再生に用いる
磁気ヘッドと、該ヘッドが取り付けられたアームと、ヘ
ッドアームを介してヘッドを磁気記録媒体上の任意の位
置に移動させることのできるアクチュエータとからな
り、記録再生用ヘッドが磁気記録媒体上を一定の浮上量
で移動している。記録情報は、信号処理手段を経て記録
信号に変換されて磁気ヘッドにより記録される。また、
磁気ヘッドにより読み取られた再生信号は同信号処理手
段を経て逆変換され、再生情報が得られる。
【0166】ディスク上には、情報信号が同心円状のト
ラックに沿って、セクター単位で記録される。サーボパ
ターンは通常、セクター間に記録される。磁気ヘッドは
該パターンからサーボ信号を読み取り、これによりトラ
ックの中心に正確にトラッキングを行い、そのセクター
の情報信号を読み取る。記録時も同様にトラッキングを
行う。
【0167】前述の通り、サーボ信号を発生するサーボ
パターンは、情報を記録する際のトラッキングに使用す
るという性質上、特に高精度が要求される。また現在多
く使用されているサーボパターンは、1トラックあた
り、互いに1/2ピッチずれた2組のパターンからなる
ため、情報信号の1/2のピッチ毎に形成する必要があ
り、2倍の精度が要求される。
【0168】しかしながら、従来のサーボパターン形成
方法では、外部ピンとアクチュエータの重心が異なるこ
とから生じる振動の影響でライトトラック幅で0.2〜
0.3μm程度が限界であり、トラック密度の増加にサ
ーボパターンの精度が追いつかず、磁気記録装置の記録
密度向上及びコストダウンの妨げとなりつつある。
【0169】本発明によれば、縮小結像技術を用いるこ
とで効率よく精度の高い磁化パターンを形成することが
できるので、従来のサーボパターン形成方法に比べて格
段に低コスト、短時間で精度良くサーボパターンを形成
でき、例えば40kTPI以上に媒体のトラック密度を
高めることができる。従って本媒体を用いた磁気記録装
置は高密度での記録が可能となる。
【0170】また、位相サーボ方式を用いると連続的に
変化するサーボ信号が得られるのでよりトラック密度を
上げることができ、0.1μm幅以下でのトラッキング
も可能となり、より高密度記録が可能である。
【0171】前述のように、位相サーボ方式には、例え
ば、内周から外周に、半径に対して斜めに直線的に延び
る磁化パターンが用いられる。このような、半径方向に
連続したパターンや斜めのパターンは、ディスクを回転
させながら1トラックずつサーボ信号を記録する従来の
サーボパターン形成方法では作りにくく、複雑な計算や
構成が必要であった。
【0172】しかし本発明によれば、該形状に応じたマ
スクを一旦作成すれば、マスクを介してエネルギー線を
照射するだけで当該パターンを容易に形成できるため、
位相サーボ方式に用いる媒体を簡単かつ短時間、安価に
作成することができる。ひいては、高密度記録が可能
な、位相サーボ方式の磁気記録装置を提供できる。
【0173】従来主流のサーボパターン形成方法は、媒
体を磁気記録装置(ドライブ)に組み込んだのちに、ク
リーンルーム内で専用のサーボライターを用いて行う。
【0174】各ドライブをサーボライターに装着し、ド
ライブ表面あるいは裏面のいずれかにある孔よりサーボ
ライターのピンを差し入れ磁気ヘッドを機械的に動かし
ながら、トラックに沿って1パターンずつ記録を行う。
このためドライブ一台あたり15〜20分程度と非常に
時間がかかる。専用のサーボライターを用い、またドラ
イブに孔を開けるためこれら作業はクリーンルーム内で
行う必要があり、工程上も煩雑でコストアップの要因で
あった。
【0175】本発明の磁化パターン形成方法において、
予めパターンを記録したマスクを介してエネルギー線を
照射することにより、サーボパターン或いはサーボパタ
ーン記録用基準パターンを一括して記録でき、非常に簡
便かつ短時間で媒体にサーボパターンを形成できる。こ
のようにしてサーボパターンを形成した媒体を組み込ん
だ磁気記録装置は、上記サーボパターン書込み工程は不
要となる。
【0176】或いはサーボパターン記録用基準パターン
を形成した媒体を組み込んだ磁気記録装置は、該基準パ
ターンをもとにして装置内で所望のサーボパターンを書
込むことができ、上記のサーボライターは不要であり、
クリーンルーム内での作業も必要ない。
【0177】また、磁気記録装置の裏側に孔を開ける必
要がなく耐久性や安全性の上でも好ましい。
【0178】さらに、本発明においてはマスクと媒体と
の間を密着させなくてよいので、磁気記録媒体と他の構
成部材との接触による損傷や、微小な塵埃やゴミの挟み
込みによる媒体の損傷を防ぎ、欠陥の発生を防ぐことが
できる。
【0179】以上のように、本発明によれば高密度記録
が可能な磁気記録装置を、簡便な工程で安価に得ること
ができる。
【0180】磁気ヘッドとしては、薄膜ヘッド、MRヘ
ッド、GMRヘッド、TMRヘッドなど各種のものを用
いることができる。磁気ヘッドの再生部をMRヘッドで
構成することにより、高記録密度においても十分な信号
強度を得ることができ、より高記録密度の磁気記録装置
を実現することができる。
【0181】また磁気ヘッドを、浮上量が0.001μ
m以上、0.05μm未満と、従来より低い高さで浮上
させると、出力が向上して高い装置S/Nが得られ、大
容量で高信頼性の磁気記録装置を提供することができ
る。
【0182】また、最尤復号法による信号処理回路を組
み合わせるとさらに記録密度を向上でき、例えば、トラ
ック密度13kTPI以上、線記録密度250kFCI
以上、1平方インチ当たり3Gビット以上の記録密度で
記録・再生する場合にも十分なS/Nが得られる。
【0183】さらに磁気ヘッドの再生部を、互いの磁化
方向が外部磁界によって相対的に変化することによって
大きな抵抗変化を生じる複数の導電性磁性層と、その導
電性磁性層の間に配置された導電性非磁性層からなるG
MRヘッド、あるいはスピン・バルブ効果を利用したG
MRヘッドとすることにより、信号強度をさらに高める
ことができ、1平方インチ当たり10Gビット以上、3
50kFCI以上の線記録密度を持った信頼性の高い磁
気記録装置の実現が可能となる。
【0184】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0185】実施例1 3.5インチ径のNiPメッキ付きアルミニウム合金基
板を洗浄、乾燥し、その上に到達真空度:1×10−7
Torr(1.3×10−5Pa)、基板温度:350
℃、バイアス電圧:−200V、スパッタリングガス:
Ar、ガス圧:3×10−3Torr(0.4Pa)の
条件下で、NiAlを60nm、Cr Moを10
nm、記録層としてCo72Cr18Pt10を22n
m、保護層としてカーボン(ダイヤモンドライクカーボ
ン)を3nmの厚さにそれぞれ成膜した。
【0186】保護層の上には潤滑層としてフッ素系潤滑
剤を1.5nmの厚さに塗布し、100℃で40分焼成
して、室温での保磁力3000Oe、飽和磁化310e
mu/ccの面内記録用磁気ディスクを得た。記録層の
キュリー温度は250℃であった。
【0187】このディスクに、電磁石の磁界方向がディ
スクの回転方向と同じとなるように構成して、約10k
Oe(約10kガウス)の強度で磁界を印加して、ディ
スク面を一様にかつ均一に磁化した。
【0188】次に第5図に示すようなフォトマスクを作
製した。
【0189】127mm×127mmの正方形で厚さ
2.3mmの石英ガラス131を基材とし、ディスクに
対する面側に、クロムを75nm、酸化クロム25nm
の膜厚で順次に成膜し、エッチング領域132(パター
ン領域)をパターン最小幅1μmにエッチングし、非透
過部を形成した。なお、エッチング領域132(パター
ン領域)以外の領域は全てクロム層と酸化クロム層が形
成された非透過部である。その後、非感光性ポリイミド
樹脂を用いて3μmのスペーサを作成した。スペーサの
突起形成用マスクは、直径約3.5インチのディスク状
で、半径13〜15.5mmの領域及び半径47〜48
mmの領域に、直径50μmの円形突起部が50μm間
隔で並んでいる。これにより、第5図に示す如く、パタ
ーン領域132が半径18〜45mmの範囲に形成さ
れ、パターン領域132の内,外周縁部、つまりパター
ン領域132以外の外周側の半径約47〜48mmの範
囲133a及び内周側の半径約13〜15.5mmの範
囲133bに、高さ3μm、直径50μmの略円形の突
起(スペーサ)が50μm間隔で形成されたフォトマス
ク16を得た。
【0190】このフォトマスクと上記ディスクを第1図
〜第4図に示す本発明の磁化パターン形成装置に装着し
た。
【0191】第2図に示すように、マスク16を、マス
クに形成されたパターンの中心とマスク保持部材78の
中心とが合致するように調整し、固定した。
【0192】次に、ディスク1をターンテーブル10に
置いてから、スリ割りを開いて固定片14によってディ
スク1を位置決めした。この上に上記マスク16とマス
ク保持部材78とを置いた。この時、ディスク1の下面
部とターンテーブル10とが接触する位置は、内周側が
半径13〜15mmの部分(凸段部10a)、外周側が
半径47mmより外側の部分(凸段部10b)であっ
た。その後、マスク保持部材78を真空圧−500mm
Hg(−6.5×10Pa)で吸引し、減圧して固定
した。
【0193】このマスク16とディスク1を一体とし
て、12°ずつの回転、停止を繰り返し、3.2秒間で
1回転の速度で回転させた。ここに波長248nmのエ
キシマパルスレーザをパルス幅:25nsec、パワー
(エネルギー密度):170mJ/cm、ビーム形
状:10mm×30mm(ピークエネルギーの1/e
となる径)に制御し、レーザ照射口にビーム形状を角度
12°の扇形に整形する遮光板を設置して、繰り返し周
波数10Hzで32パルス照射し、同時に約1.7kガ
ウスの磁界をディスクの円周方向で一様磁化とは逆の方
向に永久磁石にて印加し、磁気パターンの転写を試み
た。
【0194】なお、ここで用いた、レーザ照射のための
光学系の構成は以下の通りである。
【0195】エキシマパルスレーザ光源から発振したパ
ルスレーザはプログラマブルシャッターを通過する。プ
ログラマブルシャッターは光源から所望のパルスのみ取
り出す役目をする。
【0196】プログラマブルシャッターで選択されたレ
ーザは、所望のパワーに出力調整された後、ビームエキ
スパンダに至る。次いで、レーザは短軸方向を3分割す
るためのプリズムアレイと、長軸方向を7分割するため
のプリズムアレイを通過し、投影レンズに至る。プリズ
ムアレイは、レーザを分割し重ね合わせ、エネルギー強
度分布を均一にする機能を有する。これらをホモジナイ
ザと称することもある。さらに、レーザは必要に応じて
遮光板を通して所望のビーム形状とし、フォトマスクに
より強度分布を磁化パターンに応じて変化させた後、デ
ィスクに投影される。
【0197】比較例1 実施例1と同様に磁気ディスクを作成した。
【0198】このディスクに、電磁石の磁界方向がディ
スクの回転方向と同じとなるように構成して、約10k
Oe(約10kガウス)の強度で磁界を印加して、ディ
スク面を一様に磁化した。
【0199】実施例1と同様の手順で、最小幅1μmの
パターン、高さ3μmのスペーサを有するフォトマスク
を作成した。さらに、マスクのパターン中心から半径1
4mmの円周上に90°刻みで直径1.5mmの貫通孔
を4つ設けた。
【0200】このマスクとディスクとを第6図に示す装
置に次のようにして装着した。
【0201】回転可能なスピンドル101に固定された
ターンテーブル102上に、マスク103を載置し、固
定部104を載せ、ネジ止め等により固定した。マスク
103にはスペーサ105が形成されている。次いで、
ディスク1を載置し、マスク103に設けられた4つの
貫通孔を通して溝106から真空圧−500mmHg
(−6.5×10Pa)で吸引しディスク1とマスク
103の間を減圧して固定した。107はマグネットを
示す。
【0202】この状態で、光学系、磁化パターン形成条
件等は実施例1と同様にして、ディスクに磁化パターン
を形成した。
【0203】実施例1及び比較例1で磁化パターンを形
成したディスクについて、各々、全く同一の条件で磁化
パターンを再生し、その再生信号のモジュレーションを
測定した結果を表1に示す。
【0204】なお、モジュレーション(Mod)とは、
同一パターン領域の平均出力をTAA(トータルアベレ
ージアンプリチュード)、その領域内の最大値と最小値
をそれぞれ、AMPmax、AMPminとしたとき、
Mod=(AMPmax−AMPmin)/TAA×1
00で表される。ただし、TAA、AMPmax、AM
Pminはいずれもピークトゥピーク(peak−to
−peak)の値である。一般に、モジュレーションの
値は小さいほどよいが、サーボトラッキング精度を上げ
るためには、20%以下が好ましく、更には10%以下
が好ましいとされている。
【0205】表1に示すように、比較例1で磁化パター
ンを形成したディスクではモジュレーションが非常に高
いのに対し、実施例1ではマスクパターン通りの磁化パ
ターンが形成されており、磁化パターンの精度が高く、
出力信号のモジュレーションが小さい良好な磁気ディス
クが得られている。また、ディスクのたわみも極めて少
ないと考えられる。
【0206】
【表1】
【0207】
【発明の効果】以上の通り、本発明によると、磁気記録
媒体に偏心を生じさせることなく、高精度にて磁化パタ
ーンを効率良く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る磁気記録媒体の磁化パターン
形成装置の縦断面図である。
【図2】第1図の磁気記録媒体の磁化パターン形成装置
の上部の拡大図である。
【図3】磁気記録媒体及びマスクを装着した状態の磁気
記録媒体の磁化パターン形成装置の上部の拡大図であ
る。
【図4】磁気記録媒体の磁化パターン形成装置の上部の
模式的な斜視図である。
【図5】実施例1で作製したマスクを示す平面図であ
る。
【図6】比較例1で用いた磁化パターン形成装置を示す
縦断面図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体 10 ターンテーブル 12 回転駆動軸 14 固定片 14t テーパ面 16 マスク 22 スピンドル 26 シャフト 26a 負圧導入路 34 進退部材 34t テーパ面 38 空室 50 押下スプリング 58 エアシリンダ 60 押上スプリング 68 プーリ 76 マスク本体 78 マスク保持部材
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年12月20日(2001.12.
20)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体の
磁化パターン形成装置は、中心に開口を有したディスク
状の磁気記録媒体を載荷するためのターンテーブルと、
該ターンテーブルを回転させる回転駆動軸と、該ターン
テーブル上の磁気記録媒体に重ね合わせるマスクと、該
マスクを通して磁気記録媒体にエネルギー線を照射する
エネルギー線照射装置と、該磁気記録媒体に磁化パター
ン形成用の磁界を印加するための磁界発生装置と、を有
する磁気記録媒体の磁化パターン形成装置であって、該
回転駆動軸に設けられており、該回転駆動軸から放射方
向に拡開して前記磁気記録媒体の中心開口の内周面に当
接して磁気記録媒体を固定する固定片と、該固定片を拡
開させるための拡開機構と、該マスクの中心側を吸引し
て前記回転駆動軸に固定するマスク固定機構と、を備え
てなるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D138 RA01 RA11 SA10 SA17 SA18 SA22 TA12 TA16 TC02 TC19 TC30 TD03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心に開口を有したディスク状の磁気記
    録媒体を載荷するためのターンテーブルと、 該ターンテーブルを回転させる回転駆動軸と、 該ターンテーブル上のマスクに重ね合わせるマスクと、 該マスクを通して磁気記録媒体にエネルギー線を照射す
    るエネルギー線照射装置と、 該磁気記録媒体に磁化パターン形成用の磁界を印加する
    ための磁界発生装置と、を有する磁気記録媒体の磁化パ
    ターン形成装置であって、 該回転駆動軸に設けられており、該回転駆動軸から放射
    方向に拡開して前記磁気記録媒体の中心開口の内周面に
    当接して磁気記録媒体を固定する固定片と、 該固定片を拡開させるための拡開機構と、 該マスクの中心側を吸引して前記回転駆動軸に固定する
    マスク固定機構と、を備えてなる磁気記録媒体の磁化パ
    ターン形成装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記固定片の内周側
    には第1のテーパ面が設けられており、 前記回転駆動軸には、該第1のテーパ面に重なる第2の
    テーパ面を有し、該回転駆動軸の軸心線方向に進退する
    ことにより、該第2のテーパ面を第1のテーパ面に押し
    当てて各固定片を拡開させる進退部材が設けられている
    ことを特徴とする磁気記録媒体の磁化パターン形成装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記マスクは、前記
    磁気記録媒体に重なるディスク状のマスク本体と、該マ
    スク本体の中心部に固着されたマスク保持部材とを備え
    てなり、 該マスク保持部材は、該マスクの中心からマスク面と垂
    直方向に突出する凸軸部を有しており、 前記進退部材には、該凸軸部を受け入れる受入穴が設け
    られると共に、該受入穴内に負圧を導入してマスクを回
    転駆動軸に固定するための負圧導入路が設けられている
    ことを特徴とする磁気記録媒体の磁化パターン形成装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項におい
    て、前記ターンテーブルの磁気記録媒体載荷面は、内周
    側と外周側とが凸段状となっており、磁気記録媒体は、
    その内周縁と外周縁のみが該凸段状の部分に当接してタ
    ーンテーブルに保持されることを特徴とする磁気記録媒
    体の磁化パターン形成装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項の磁気
    記録媒体の磁化パターン形成装置により磁気記録媒体に
    磁化パターンを形成する方法であって、 該磁界発生装置で磁気記録媒体に磁界を印加すると共
    に、該磁気記録媒体の所定領域にエネルギー線を照射し
    た後、該ターンテーブルを所定角度回転させる工程を繰
    り返すことを特徴とする磁気記録媒体の磁化パターン形
    成方法。
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