JP2001357524A - 磁気記録媒体の磁化パターン形成方法及び磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法、並びに磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体の磁化パターン形成方法及び磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法、並びに磁気記録装置

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JP2001357524A
JP2001357524A JP2000226556A JP2000226556A JP2001357524A JP 2001357524 A JP2001357524 A JP 2001357524A JP 2000226556 A JP2000226556 A JP 2000226556A JP 2000226556 A JP2000226556 A JP 2000226556A JP 2001357524 A JP2001357524 A JP 2001357524A
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JP
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magnetic
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magnetic recording
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energy beam
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JP2000226556A
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English (en)
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Masahiro Kawashima
雅博 川島
Yoshiyuki Ikeda
祥行 池田
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度で欠陥の無い磁化パターンを精度よ
く、かつ簡便に、短時間で磁気記録媒体に形成すること
ができる。さらに、高密度記録が可能で、耐久性の高い
磁気記録媒体及び磁気記録装置を短時間かつ安価に提供
できる。 【解決手段】 基板上に磁性薄膜を設けてなる磁気記録
媒体に対し、マスク手段を通してパルス状エネルギー線
を照射し磁性薄膜上にエネルギー線の濃淡を形成し局所
的に加熱する工程と、磁性薄膜に外部磁界を印加する工
程とを含む磁化パターンの形成方法であって、マスク手
段及び/又は磁気記録媒体と、エネルギー線位置とを相
対移動させながらパルス状エネルギー線を照射し、かつ
パルス状エネルギー線照射と、上記相対移動とを同期さ
せる磁気記録媒体の磁化パターン形成方法、及びそれに
より磁化パターンを形成した磁気記録媒体並びにそれを
用いた磁気記録装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録装置に用
いられる磁気ディスクなどの磁気記録媒体の磁化パター
ン形成方法及び磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方
法、並びに磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスク装置に代表される磁気記録
装置はコンピュータなどの情報処理装置の外部記憶装置
として広く用いられ、近年は動画像の録画装置やセット
トップボックスのための記録装置としても使用されつつ
ある。磁気ディスク装置は、通常、磁気ディスクを1枚
或いは複数枚を串刺し状に固定するシャフトと、該シャ
フトにベアリングを介して接合された磁気ディスクを回
転させるモータと、記録及び/又は再生に用いる磁気ヘ
ッドと、該ヘッドが取り付けられたアームと、ヘッドア
ームを介してヘッドを磁気記録媒体上の任意の位置に移
動させることのできるアクチュエータとからなり、記録
再生用ヘッドが磁気記録媒体上を一定の浮上量で移動し
ている。
【0003】磁気ディスク装置に搭載される磁気記録媒
体は、一般にアルミニウム合金などからなる基板の表面
にNiP層を形成し、所要の平滑化処理、テキスチャリ
ング処理などを施した後、その上に、金属下地層、磁性
層(情報記録層)、保護層、潤滑層などを順次形成して
作製されている。あるいは、ガラスなどからなる基板の
表面に金属下地層、磁性層(情報記録層)、保護層、潤
滑層などを順次形成して作製されている。磁気記録媒体
には面内磁気記録媒体と垂直磁気記録媒体とがある。
【0004】磁気記録媒体の高密度化は年々その速度を
増しており、近年においては年率60%以上の増加率で
高密度化が進んでいる。この高密度化を実現する技術に
は様々なものがあり、例えば磁気ヘッドの浮上量をより
小さくしたり磁気ヘッドとしてGMRヘッドを採用した
り、また磁気ディスクの記録層に用いる磁性材料の改良
や、磁気ディスクの情報記録トラックの間隔を狭くする
ことなどが試みられている。情報記録トラックの間隔を
狭めてトラック数を増加させると、データ書込み/再生
用ヘッドの位置制御に用いる信号(以下、「サーボ信
号」と言うことがある。)もそれに合わせてディスクの
半径方向に対して密に、すなわちより多く設けて精密な
制御を行えるようにしなければならない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】サーボ信号としてはい
くつかの方法が提案されている。広く製造に用いられて
いる方法は、ドライブ(磁気記録装置)のヘッドアクチ
ュエータ近傍に穴を開け、その部分にエンコーダ付きの
ピンを挿入し、該ピンでアクチュエータを係合し、ヘッ
ドを正確な位置に駆動してサーボ信号を書き込もうとす
るものである。他の方法としては、最外周或いは最内周
にヘッドを機械的に位置決めし、最初のサーボ信号(又
はサーボ信号を書き込むためのリファレンス信号)を書
き込み、次のサーボ信号(又はサーボ信号を書き込むた
めのリファレンス信号)は、前書き込み済みのサーボ信
号(又はサーボ信号を書き込むためのリファレンス信
号)出力が一定割合減ずる位置に書き込んでいくといっ
た、ドライブ自身でサーボ信号を書き込む方法も提案さ
れている。
【0006】また、サーボ信号に相当する凹凸面を擁し
たマスターディスクを磁気記録媒体に密着させ、さらに
磁界をかけることで磁気記録媒体にマスターディスクの
凹凸を磁気転写する、静的にサーボ信号を書き込む技術
も提案されている(特開平10−269566号公
報)。或いは、レーザービームを磁気記録媒体に照射し
て媒体表面を局所的に変形させ物理的な凹凸を形成する
ことで、凹凸サーボ信号を形成する技術も提案されてい
る。磁気記録媒体の記録密度は、数十Gbit/inc
2から数年後には、100Gbit/inch2以上に
達しようとしている。100Gbit/inch2を実
現するには、トラック密度は100ktpiを超える密
度の実現が必要とされるが、従来の手法では、効率よく
しかも精度よく磁化パターンを形成するのが難しいとい
う問題があった。
【0007】例えば、サーボ信号の書き込みを例にとる
と、上述の外部ピンを使用した方法だと、位置決め機構
とアクチュエータの重心が異なる位置にあるため、高精
度のトラック位置制御ができず、サーボ信号を正確に記
録するのが困難であった。また、ドライブ自身でサーボ
信号を書き込む方法では、重心のずれによる問題は無い
ものの、前に書き込んだサーボ信号(又はサーボ信号を
書き込むためのリファレンス信号)を次の書き込みに利
用しているため、書き込みを順次進めていく間に誤差が
累積していってしまうという問題があった。磁気転写に
より静的にサーボ信号を書き込む方法では、累積誤差、
重心の問題は無いが、マスターディスクと磁気転写され
る磁気記録媒体との完全な密着が非常に難しい。更に
は、密着の際のゴミ発生等をどう解決するかといった難
しい問題が残っている。凹凸サーボ信号を形成する方法
では、凹凸により浮上ヘッドが不安定となり記録再生に
悪影響を及ぼす、凹凸を形成するために大きなパワーを
もつレーザービームを用いる必要がありコストがかか
る、凹凸を1ずつ形成するために時間がかかる、といっ
た問題があった。
【0008】本発明者らは、これら問題点を解決し、効
率よくしかも精度よく磁化パターンを形成する方法を提
供するために、磁性薄膜を局所的に加熱する工程と、該
磁性薄膜に外部磁界を印加する工程とを組み合わせるこ
とで精度良く、かつ効率的に磁気記録媒体のサーボ信号
となる磁化パターンが形成できることを見出し、特願2
000−25854号及び特願2000−48721号
などにおいて提案した。以下にその方法の概要について
説明する。外部磁界を印加し磁性薄膜を予め所望の方向
に均一に磁化したのち、局所的に加熱し消磁すること
で、精度良くかつ効率的に磁化パターンを形成する方法
である。また、磁性薄膜を局所的に加熱すると同時に外
部磁界を印加し加熱部を所望の磁化方向としてもよい。
或いは、外部磁界を印加し磁性薄膜を予め所望の方向に
均一に磁化したのち、局所的に加熱すると同時に外部磁
界を印加し加熱部を消磁するか該所望の方向とは逆方向
に磁化することとしてもよい。なお、所望の磁化方向と
は、磁化容易軸が面内方向にある媒体の場合には、デー
タの書込み/再生ヘッドの走行方向(媒体とヘッドの相
対移動方向)と同一又は逆方向であり、磁化容易軸が面
内方向に垂直にある場合には、該垂直方向のいずれかで
ある。
【0009】また、外部磁界を印加し磁性薄膜を予め所
望の方向に均一に磁化するとは、通常、磁性薄膜の全部
を均一に磁化することを言うが、磁化パターンを形成す
べき領域が均一に磁化されていれば、磁化薄膜の一部で
あってもよい。より精密な磁化パターン形成のために、
加熱するための手段は、パワーコントロール、加熱する
部位の大きさが制御しやすいなどの理由でエネルギー線
を使用することが好ましい。更に、磁気記録媒体に、形
成すべき磁化パターンに対応して媒体上にエネルギー線
の濃淡を形成するマスクを通してエネルギー線を照射す
ることで磁気記録媒体の磁化パターンを形成すると磁化
パターンの精度が良いばかりでなく、自由な形状のパタ
ーンを簡単かつ短時間で形成することができる。マスク
は媒体にできるだけ近接させるのがよく、略接触させて
もよい。このようにして磁化パターンが形成された磁気
記録媒体は、安価でかつ高密度記録が可能である。
【0010】しかし、一旦エネルギー線を照射し磁化パ
ターン形成を行った領域に再度エネルギー線が照射(重
ね打ち)されると2度目のエネルギー線照射の熱による
熱減磁等による信号の劣化が起こるおそれがある。ま
た、2度の照射による熱蓄積により加熱領域が広がり磁
化パターンが広がってしまい磁化パターンが精密に形成
されなくなったり、過剰な熱により媒体が損傷し欠陥と
なるおそれがある。さらに、2度の照射位置の微妙なず
れによりやはり磁化パターンが広がり、精密に形成され
なくなるおそれもある。本発明はこれら問題点を解決
し、効率よく精密なパターンが形成でき、しかも媒体を
傷つけることなく欠陥の少ない磁化パターン形成方法を
提供し、ひいては高密度記録が可能な磁気記録媒体及び
磁気記録装置を短時間かつ安価に提供することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
基板上に磁性薄膜を設けてなる磁気記録媒体に対し、マ
スク手段を通してパルス状エネルギー線を照射し磁性薄
膜上にエネルギー線の濃淡を形成し局所的に加熱する工
程と、磁性薄膜に外部磁界を印加する工程とを含む磁化
パターンの形成方法であって、マスク手段及び/又は磁
気記録媒体と、エネルギー線位置とを相対移動させなが
らパルス状エネルギー線を照射し、かつパルス状エネル
ギー線照射と、上記相対移動とを同期させることを特徴
とする磁気記録媒体の磁化パターン形成方法に存する。
本発明においてエネルギー線位置とは、集光されたエネ
ルギービームの位置である。本発明の別の要旨は、基板
上に磁性薄膜を設けてなる磁気記録媒体に対し、マスク
手段を通して該磁気記録媒体にエネルギー線を照射し磁
性薄膜上にエネルギー線の濃淡を形成し局所的に加熱す
る工程と、該磁性薄膜に外部磁界を印加する工程とを含
む磁化パターンの形成方法であって、マスク手段及び/
又は磁気記録媒体と、エネルギー線位置とを相対移動さ
せながらパルス状エネルギー線を照射し、かつパルス状
エネルギー線の照射と、該エネルギー線照射の検知と、
上記相対移動と、相対移動の検知とを順次行うことを特
徴とする磁気記録媒体の磁化パターン形成方法に存す
る。本発明のさらに別の要旨は、このような磁化パター
ン形成方法により磁化パターンが形成されてなることを
特徴とする磁気記録媒体に存する。本発明のさらに別の
要旨は、そのように磁化パターンを形成した磁気記録媒
体と、磁気記録媒体を記録方向に駆動する駆動部と、記
録部と再生部からなる磁気ヘッドと、磁気ヘッドを磁気
記録媒体に対して相対移動させる手段と、磁気ヘッドへ
の記録信号入力と磁気ヘッドからの再生信号出力を行う
ための記録再生信号処理手段を有する磁気記録装置に存
する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明によれば、基板上に磁性薄
膜を設けてなる磁気記録媒体に対し、マスク手段を通し
てパルス状エネルギー線を照射し磁性薄膜上にエネルギ
ー線の濃淡を形成し局所的に加熱する工程と、磁性薄膜
に外部磁界を印加する工程とにより磁化パターンを形成
するので、従来のように強い外部磁界を用いる必要がな
く、加熱領域以外に漏れ磁界が及んでも磁化されないの
で、磁区境界が明瞭になり、信号品質の高い精密な磁化
パターンを効率よく形成できる。そして、従来のように
媒体とマスターディスクを圧着させる必要がないので、
媒体やマスクを傷つけることなく、媒体の欠陥を増加さ
せるおそれもない。また、局所加熱にエネルギー線を用
いるので、加熱部位の大きさやパワーの制御がしやす
く、磁化パターンを精度良く形成できる。
【0013】更に、本発明(請求項1)では、マスク手
段や磁気記録媒体とエネルギー線位置とを相対移動させ
ながらパルス状エネルギー線を照射し、かつパルス状エ
ネルギー線照射と、上記相対移動とを同期させる。磁気
記録媒体として代表的な、磁気ディスクを例に以下説明
する。一度にエネルギー線を照射できる領域はせいぜい
十〜数十mm程度に限られ、3.5インチや2.5イン
チといった磁気ディスク全面に一度に照射するのは難し
いので、エネルギー線で連続的に媒体面を走査して照射
することが考えられる。しかしこれによると、同一位置
へのエネルギー線の重ね打ちや長時間の照射が起こりや
すい。
【0014】そこで本発明では、1つの態様として、例
えばディスク形状のマスクをディスクに同軸に固定し、
ディスクを複数の扇形の仮想領域に分け、マスクを通し
て各々の扇形領域に1回ずつパルス状エネルギー線を照
射する。ディスクとマスク手段とを一体にして低速で回
転させ、その回転速度に同期させてパルス状エネルギー
線を照射する。扇形の角度が12゜で、ディスクを2r
pm(30秒間で1回転)で回転させるときは、エネル
ギー線を周波数1Hzでタイミングよく照射すると、回
転と照射とが同期できる。回転速度は、エンコーダ等を
使用して一定に保つことができる。
【0015】或いは、他の態様として、扇形形状のマス
クをディスク上に配置し、マスクを通してディスクの扇
形の仮想領域に1パルス照射する。次いでマスク又はデ
ィスクのみを回転させ、所定角度回転したら再度マスク
を通して隣接する扇形の仮想領域に1パルス照射する。
扇形の角度が12゜で、ディスク又はマスクを2rpm
(30秒間で1回転)で回転させるときは、エネルギー
線を周波数1Hzでタイミングよく照射すると、回転と
照射とが同期できる。回転速度は、エンコーダ等を使用
して一定に保つことができる。エネルギー線のパルス幅
が十分短ければ、エネルギー線照射中もディスクを止め
ることなく回転しつづけてもよいが、磁化パターンの明
瞭度を上げるには、好ましくは都度ディスクを止めて照
射する。本発明によれば、同一位置へのエネルギー線の
重ね打ちを防止できるので、熱減磁による信号劣化がな
く、熱蓄積による磁化パターン境界の不明瞭化や媒体の
損傷もないので、欠陥が少なく、効率よく精密な磁化パ
ターンが形成できる。
【0016】或いは、本発明(請求項2)は、マスク手
段及び/又は磁気記録媒体とエネルギー線位置とを相対
移動させながらパルス状エネルギー線を照射し、かつパ
ルス状エネルギー線の照射と、該エネルギー線照射の検
知と、上記相対移動と、相対移動の検知とを順次行い磁
化パターンを形成することにより、同一位置へのエネル
ギー線の重ね打ちを防止することができる。例えばパル
ス状エネルギー線を発振した際に、発振信号(外部トリ
ガー信号等)を取り出し発振信号を検知した後、磁気記
録媒体の移動用のモーター等を所望の位置まで回転/移
動(相対移動)する。相対移動が終了した際の信号を検
知して、この信号をエネルギー線発生源に送り、この信
号をトリガー信号として次のパルス状エネルギー線を発
振する。このような操作を繰り返すことにより同期をと
ることができる。
【0017】本発明において、エネルギー線位置とマス
ク手段及び/又は磁気記録媒体との相対移動の方法は、
特に限定されないが、いくつか考えられる。例えば、エ
ネルギー線位置を固定したまま、媒体を単独で、又は媒
体とマスクを共にスピンドルに固定してモーター等で回
転させる。或いは、媒体やマスクを平行スライダー上に
固定しモーター等で平行移動させてもよい。ディスク形
状の媒体、すなわち磁気ディスクの場合は、回転させる
のが最も簡便かつ精度の高い方法であり好ましい。逆
に、媒体とマスクを固定したまま、エネルギー線位置を
移動させる方法もある。例えば、エネルギー線照射系の
一部又は全部をスライダー上に載せて移動させてもよ
い。或いは、エネルギー線照射系中のダイクロイックミ
ラーやガルバノメータでエネルギー線の角度を変化さ
せ、f−θレンズ等を使用してエネルギー線位置を移動
させてもよい。
【0018】これらを合わせ用いてもよい。例えば、エ
ネルギー線のビーム径が小さい場合、1度の照射で磁気
ディスクの半径方向全てを照射できないときは、磁気デ
ィスクやマスクを平行スライダー上に固定して、半径方
向に相対移動させながら複数回照射することで、全てを
照射できる。例えば、ディスクやマスクを回転させなが
ら、スライダー上に載せたエネルギー線照射系を半径方
向に徐々に移動させつつ、照射してもよい。或いは、デ
ィスクやマスクを回転させながら、ダイクロイックミラ
ーやガルバノメータでエネルギー線の角度を徐々に変化
させ、エネルギー線位置を半径方向に移動させつつ照射
してもよい。逆に、エネルギー線位置を半径方向に移動
させつつひととおり照射し、ディスクやマクスを少し回
転させ、またエネルギー線位置を半径方向に移動させつ
つひととおり照射することを繰り返しても良い。広い領
域をできるだけ短時間で走査するには、エネルギー線は
短パルスを高速で発生させるのが好ましい。こうして相
対移動させながらパルス状エネルギー線を照射すること
により、エネルギー線を磁気記録媒体の全面に照射し磁
化パターンを形成することが出来る。
【0019】媒体に形成すべきパターンがマスク1枚に
書込まれている場合には、マスクを媒体に一体に固定し
て移動させながら、エネルギー線のパルスを照射すれば
よい。磁気ディスクの場合、ディスクの周/径方向に周
期性の無いパターンを形成する際に適している。媒体に
形成すべきパターンが、ある単位パターンの繰り返しで
ある場合には、マスクに単位パターンを形成し、マスク
を移動させず磁気記録媒体のみを移動しながら、或いは
媒体を移動させずマスクのみを移動しながら、エネルギ
ー線のパルスを照射すればよい。磁気ディスクの場合、
ディスクの周/径方向に周期性のあるパターンを形成す
る際に適している。より好ましくは、相対移動が媒体又
はマスクの回転を含む。いわゆる面内磁気ディスクで、
磁化方向を磁気記録媒体の周方向に一致させるには、平
行移動させるよりも回転させる方が適している。
【0020】マスク及び/又は磁気記録媒体とエネルギ
ー線との同期を取るためには、まず磁気記録媒体の全面
にパターンを転写するために必要な照射回数を、エネル
ギー線の照射面積から算出し、エネルギー線の使用可能
な繰り返し発振周波数およびパターン形成の時間から最
適な繰り返し周波数を選択し、重ね打ちが起こらない回
転数や平行移動速度を設定して行うことができる。
【0021】マスク手段は、形成すべき磁化パターンに
対応して磁気ディスク面上にエネルギー線の濃淡を形成
するものであればよい。例えば、パターンに応じてパル
ス状エネルギー線を透過する透過部を有するフォトマス
クや、特定のパターンを媒体上に結像するホログラムが
記録されたホログラムマスク、結像光学系などである。
また、エネルギー線照射系とは、エネルギー線源から出
射したエネルギー線を磁気記録媒体に導くレンズやミラ
ーなどの光学系の全部または一部を言う。例えば、光源
から出射したレーザを磁気記録媒体に照射するための対
物レンズ、投影レンズ、ガルバノミラー、ダイクロイッ
クミラーなどが含まれる。
【0022】エネルギー線の光源とマスク手段との間、
又はマスク手段と該媒体との間であって、所望の領域に
該エネルギー線を部分的に遮光可能な遮光手段を設ける
のが、余分なエネルギー線をカットし重ね打ちを防ぐた
め、好ましい。その遮光手段はその波長のエネルギー線
を吸収や反射等を用いて、通過させない方法を用いたも
のが望ましい。照射されるエネルギー線のビーム形状
が、光源から出射したエネルギー線のビーム形状を光学
的処理により所望の形状に変形したものであるのが好ま
しい。磁気ディスクに適用する場合は、ビーム形状は扇
型の形状が好ましい。エネルギー線を光学的に均一化、
拡大、縮小、変形することにより基板形状に合わせるこ
とが望ましい。エネルギー線の光学的均一化は、ホモジ
ナイザーでビームスポット内のエネルギー分布を均一化
することによってできる。エネルギー線の光学的拡大
は、ビームエキスパンダでビームを一方向に長く伸ばす
ことで達成できる。
【0023】以下、本発明を適用するより好ましい条件
について説明する。マスク手段は、形成すべき磁化パタ
ーンに対応して磁気ディスク面上にエネルギー線の濃淡
を形成するものであればよい。例えば、パターンに応じ
てエネルギー線を透過する透過部を有するフォトマスク
や、特定のパターンを媒体上に結像するホログラムが記
録されたホログラムマスクである。これにより、複数又
は広い面積の磁化パターンを一度に形成することができ
るため、磁化パターン形成工程が短時間かつ簡便なもの
となる。ホログラムマスクによればマスクと媒体の距離
を十分離してもシャープで明瞭なパターンが形成しやす
く好ましいが、フォトマスクは簡単かつ安価に作成でき
る点で好ましい。
【0024】或いはマスク手段として結像光学系を用い
てもよい。例えば、レーザ光源からのエネルギー線をビ
ームエキスパンダーで拡大し、その光をマスク手段に入
射する。マスク手段を出たマスク手段の濃淡分布を持っ
たエネルギー線を結像レンズに入射、ディスク面にエネ
ルギー線の濃淡分布を結像するといった方法である。本
方法は、エネルギー線の濃淡を持ったパターンを絞り込
むため、小径の磁気記録媒体を磁化パターン化するのに
有効である。
【0025】また、マスクの材質は限定されないが、本
発明においてマスクを非磁性材料で構成すると、どのよ
うなパターン形状でも均一な明瞭さで磁化パターンが形
成でき、均一で強い再生信号が得られる。強磁性体を含
むマスクを使用した場合は、磁化で磁界分布が乱される
ため好ましくない。強磁性の性質上、磁気ディスクの半
径方向或いは、半径方向に延びた円弧状のパターンから
斜傾したパターン形状の場合は、磁化遷移部分で磁区が
互いに十分対抗しないので良質の信号が得にくい。
【0026】加熱と同時に外部磁界を印加する場合は、
外部磁界も該加熱された広い領域に亘って印加すること
で、複数の磁化パターンを一度に形成することができ
る。さらには、一旦マスクを形成すれば、どのような形
状の磁化パターンも媒体上に形成できるため、複雑なパ
ターンや従来法では作りにくかった特殊なパターンも容
易に形成できる。
【0027】例えば、磁気ディスクの位相サーボ方式に
は、内周から外周に、半径に対して斜めに直線的に延び
る磁化パターンが用いられる。このような、半径方向に
連続したパターンや斜めのパターンは、ディスクを回転
させながら1トラックずつサーボ信号を記録する従来の
サーボパターン形成方法では作りにくく、複雑な計算や
構成が必要であった。
【0028】しかし本発明によれば、該形状に応じたマ
スクを一旦作成すれば、ディスク上の所望の位置でマス
ク露光するだけで当該パターンを簡単に形成できる。図
を用いて詳細に説明する。まず、フォトマスクを用いた
磁化パターン形成方法について説明する。図1は、フォ
トマスクを用いた磁化パターン形成方法の一例の説明図
である。磁気ディスク1を外部磁界により予め周方向の
一方向に一様に磁化する。そののちフォトマスク2を磁
気ディスク1上にスペースSを介して配置し、パルス状
レーザ3を照射する。同時に外部磁界4を印加する。こ
のときの外部磁界は、先に一様に磁化した際の外部磁界
とは逆方向である。
【0029】形成すべき磁化パターンに応じて複数の透
過部を形成したマスクを用意し、これを通して磁性薄膜
上にレーザービームを照射する。ビーム径を大径又は横
に細長い楕円形等として、複数トラック分又は複数セク
ター分の磁化パターンを一括して照射すれば、記録効率
が一段と上がり、これからの容量の伸びに伴いサーボ記
録時間が増大するといった問題も改善され非常に好まし
い。
【0030】フォトマスクは、所望の磁化パターンに相
当する透過部と非透過部を備えているマスクであればよ
いが、石英ガラス、ソーダライムガラス等の原盤上にC
r等の金属、NiFe等の軟磁性材料をスパッタリング
形成し、その上にフォトレジストを塗布し、エッチング
等によって、所望の透過部と非透過部を作成することが
できる。
【0031】次に、ホログラムマスクを用いた磁化パタ
ーン形成方法について説明する。図2はホログラムマス
クを用いた磁化パターン形成方法の一例の説明図であ
る。図2(a)のごとく、磁気ディスク上に形成すべき
磁化パターンに応じて透過部/非透過部を形成したフォ
トマスク6を通して物体光7をプリズム8上のフォトポ
リマー5に照射する。ここに、プリズムを通して参照光
9を照射し、物体光7と参照光9の干渉によるホログラ
ムをフォトポリマー5上に記録する。なお、フォトマス
クを使用せず、露光すべきパターンを計算により求めて
これに応じてホログラムマスクを作成してもよい。
【0032】これに図2(b)のようにプリズムを通し
て参照光9を照射すると、フォトポリマーから所定の距
離にホログラフに応じたパターンが結像する。この原理
を用い、図2(c)のごとく、プリズム8を通してフォ
トポリマー5にレーザ光源10からレーザ(参照光)9
を照射し、ホログラフに応じたパターンが結像する面に
磁気ディスク1を置き、反射板11を動かして参照光9
をフォトポリマー5上をスキャンすると同時に外部磁界
4を印加することにより、磁化パターンを形成する。こ
のときの外部磁界は、先に一様に磁化した際の外部磁界
とは逆方向である。
【0033】エネルギー線としては、記録層表面を部分
的に加熱できればよいが、不要な部分へのエネルギー線
の照射を防げることからレーザが好ましい。特にパルス
レーザ光源の使用が好適である。パルスレーザ光源はレ
ーザをパルス状に断続的に発振するものであり、連続レ
ーザを音響光学素子(AO)や電気光学素子(EO)な
どの光学部品で断続させパルス化するのに比して、パワ
ー尖頭値の高いレーザをごく短時間に照射することがで
き熱の蓄積が起こりにくく非常に好ましい。
【0034】連続レーザを光学部品によりパルス化した
場合、パルス内ではそのパルス幅に亘ってほぼ同じパワ
ーを持つ。一方パルスレーザ光源は、例えば光源内で共
振によりエネルギーをためて、パルスとしてレーザを一
度に放出するため、パルス内では尖頭のパワーが非常に
大きく、その後小さくなっていく。本発明では、コント
ラストが高く精度の高い磁化パターンを形成するため
に、ごく短時間に急激に加熱しその後急冷させるのが好
ましいため、パルスレーザ光源の使用が適している。
【0035】磁化パターンが形成される媒体面は、パル
ス状エネルギー線の照射時と非照射時で温度差が大きい
方が、パターンのコントラストを上げ、或いは記録密度
を上げるために好ましい。従ってパルス状エネルギー線
の非照射時には室温以下程度になっているのが好まし
い。室温とは25℃程度である。具体的には、エキシマ
レーザ(248nm)、YAGのQスイッチレーザ(1
064nm)の2倍波(532nm)、3倍波(355
nm)、或いは4倍波(266nm)、Arレーザー
(488nm、514nm)、ルビーレーザー(694
nm)などである。
【0036】エネルギー線の波長は、1100nm以下
であることが好ましい。これより波長が短いと回折作用
が小さく分解能が上がるため、微細な磁化パターンを形
成しやすい。更に好ましくは、600nm以下の波長で
ある。高分解能であるだけでなく、回折が小さいため間
隙によるマスクと磁気記録媒体のスペーシングも広くと
れハンドリングがしやすく、磁気転写装置が構成しやす
くなるという利点が生まれる。また、波長は150nm
以上であるのが好ましい。150nm未満では、合成石
英の吸収が大きくなり、マスクが使用しにくくなる。波
長を350nm以上とすれば、光学ガラスをマスクとし
て使用することもできる。
【0037】エネルギー線による同一位置の加熱時間幅
は、10μsec以下であることが望ましい。これより
パルス幅が広いと該磁気記録媒体にエネルギー線で与え
たエネルギーによる発熱が分散して、分解能が低下しや
すい。より好ましくは100nsec以下である。この
領域であるとAlなど金属の比較的熱拡散の大きな基板
を用いた場合でも分解能の高い磁化パターンが形成しや
すい。特に好ましくは25nsec以下である。また、
パルス幅は1nsec以上であるのが好ましい。磁性薄
膜の磁化反転が完了するまでの時間、加熱を保持してお
くのが好ましいからである。より好ましくは3nsec
以上とする。
【0038】なお、パルス状レーザの一種として、モー
ドロックレーザのようにピコ秒、フェムト秒レベルの超
短パルスを高周波で発生できるレーザがある。超短パル
スを高周波で照射している期間においては、各々の超短
パルス間のごく短い時間はレーザが照射されないが非常
に短い時間であるため加熱部はほとんど冷却されない。
すなわち、一旦磁化消失温度以上に昇温された領域は磁
化消失温度以上に保たれる。
【0039】従ってこのような場合、連続照射期間(超
短パルス間のレーザが照射されない時間も含めた連続照
射期間)を1パルスとする。また連続照射期間の照射エ
ネルギー量の積分値を1パルス当たりのパワー(mJ/
cm2)とする。パルス状エネルギー線の1パルス当た
りのパワーは1000mJ/cm2以下とすることが好
ましい。これより大きなパワーをかけると、パルス状エ
ネルギー線によって該磁気記録媒体表面が損傷を受け変
形を起こす可能性がある。変形により粗度Raが3nm
以上やうねりWaが5nm以上に大きくなると、浮上型
/接触型ヘッドの走行に支障を来すおそれがある。
【0040】より好ましくは、500mJ/cm2以下
であり、更に好ましくは100mJ/cm2以下であ
る。この領域であると比較的熱拡散の大きな基板を用い
た場合でも分解能の高い磁化パターンが形成しやすい。
また、パワーは10mJ/cm 2以上とするのが好まし
い。これより小さいと、磁性薄膜の温度が上がりにくく
磁気転写が起こりにくい。
【0041】1パルス当たりのパワーが同じである場
合、パルス幅を短くし一度に強いパルスを照射した方
が、熱拡散が小さく磁化パターンの分解能が高くなる傾
向にある。本発明に用いる基板がAl等の金属又は合金
である場合は、熱伝導率が大きいことから、局所に与え
た熱が所望の部位以外にも広がってしまい磁化パターン
を歪ませることが無いよう、また、過剰なエネルギーに
よって基板に物理的な損傷が起きないよう、該パワーは
30〜120mJ/cm2の範囲が好ましい。
【0042】基板がガラス等のセラミックスである場合
はAl等に比して熱伝導が少なく、パルス状エネルギー
線照射部位での熱の蓄積が多いことから、該パワーは1
0〜100mJ/cm2の範囲が好ましい。基板がポリ
カーボネイト等の樹脂である場合は、パルス状エネルギ
ー線照射部位での熱の蓄積が多くガラス等に比して融点
が低いことから、該パワーは10〜80mJ/cm2
範囲が好ましい。
【0043】また、エネルギー線による磁性薄膜、保護
層、潤滑層の損傷が心配される場合は、パルス状エネル
ギー線のパワーを小さくして、該パルス状エネルギー線
と同時に印加される磁界強度を上げるといった手段を取
ることもできる。例えば、面内記録媒体の場合は、常温
での保磁力の25〜75%、垂直記録の場合には、1か
ら50%のできるだけ大きな力をかけ、照射エネルギー
を下げる。なお、磁性薄膜上に保護層と潤滑層を介して
パルス状エネルギー線を照射する場合には、潤滑剤の受
けるダメージ(分解、重合)等も考慮し、照射後に再塗
布してもよい。
【0044】媒体が円板形状である場合、外部磁界の印
加方向は、周方向、半径方向、板面に垂直方向のいずれ
かをとるのが好ましい。磁性薄膜に外部磁界を印加する
手段は、磁気ヘッドを用いてもよいし、電磁石または、
永久磁石を所望の磁化方向に磁界が生じるよう複数個配
置して用いてもよい、更にそれらの異なる手段を組み合
わせて使用してもよい。本発明においては、少なくとも
媒体の磁化パターン形成領域では、マスク手段と媒体と
のあいだに間隙を設けるのが好ましい。磁気記録媒体の
磁化パターン形成領域とマスク手段の間隙を保つ方法と
しては、両者を一定距離に保てる方法であればよい。例
えばマスクと媒体とを特定の装置により保持して一定距
離を保っても良い。また、両者のあいだの、磁化パター
ン形成領域以外の場所にスペーサを挿入してもよい。マ
スク自体に、スペーサを一体形成しても良い。
【0045】マスク手段と磁気記録媒体とのあいだに、
媒体の磁化パターン形成領域の外周部又は/及び内周部
にスペーサーを設けると磁気記録媒体表面のうねりを矯
正する効果が生まれるので磁化パターン形成の精度が上
がるのでよい。最小間隔(スペーシング)は、1μm以
上であることが好ましい。媒体に付着しやすいダストで
あってエアーブローなどにより容易に取り除けないダス
トは、通常、1μm未満のものがほとんどである。ま
た、間隔を1μm未満とすると媒体表面のうねりによっ
て、磁化パターン形成部分がマスク手段と予期せぬ接触
を起こしてしまうことがあり、マスクあるいは磁気記録
媒体を損傷してしまう恐れがある。より好ましくは5μ
m以上とする。また、スペーシングは1mm以下とす
る。これより大きいとエネルギー線の回折が大きく、磁
化パターンがぼやけてしまいやすい。
【0046】例えば、エキシマレーザ(248nm)を
用い、フォトマスクに形成された2×2μmのパターン
(2μmの透過部と2μmの非透過部を交互に持つパタ
ーン)を媒体に転写する場合、マスクと媒体のあいだの
距離は25〜45μm程度以下に保つ必要がある。これ
以上距離が大きいと、回折現象によってレーザ光の明暗
のパターンが鮮明でなくなる。1×1μmのパターン
(1μmの透過部と1μmの非透過部を交互に持つパタ
ーン)の場合、距離は10〜15μm程度以下とする。
【0047】フォトマスクを用いる場合は、上記条件の
範囲内で、媒体との距離をできるだけ短くするのが好ま
しい。距離が長いほど照射するエネルギー線の回り込み
により磁化パターンがぼやけやすくなるためである。こ
れを改善し、より明瞭なパターンを得るために、マスク
の透過部の外側に、回折格子の働きをする細い透過部を
形成したり、半波長板の働きをする手段を設けたりする
ことで回り込み光を干渉により打ち消すこともできる。
【0048】一方、ホログラムマスクを用いる場合は、
ホログラフに応じたパターンの結像面までの距離は予め
決まるため、その距離になるよう媒体との間隔を調節す
る。なお、図2のごとくプリズムを使用することで、マ
スクと媒体とを近接させることができるようになる。磁
化パターンを形成する際には、エネルギー線の光源とマ
スク手段との間、又はマスク手段と該媒体との間の照射
をしたくない領域に、エネルギー線を部分的に遮光可能
な遮光板を設けて、エネルギー線の再照射を防ぐ構造と
するのが好ましい。
【0049】遮光板としては、使用するエネルギー線の
波長を透過しないものであればよく、エネルギー線を反
射又は吸収すればよい。ただし、エネルギー線の熱を吸
収すると加熱し磁化パターンに影響を与えやすいため、
熱伝導率がよく反射率の高いものが好ましい。例えば、
Cr、Al、Feなどの金属板である。本発明における
磁気記録媒体の基板が、ガラスからなると、エネルギー
線によって与えられた熱が熱拡散により分散する量が少
なくエネルギーを効率的に使用でき好ましい。また、そ
ればかりでなく熱拡散が少ないことで磁化パターンの分
解能も上がる効果もある。本発明をガラス基板に適用す
ると、ゴミ等の挟み込みにも強く、基板表面の硬さ故に
磁気記録媒体にクラックが入ったり、マスターが傷つく
ことがなく好ましい。
【0050】また、磁化パターン形成プロセスによる媒
体の損傷を防ぐため、磁性薄膜の上に厚さ50nm以下
の保護層を設けるのが好ましい。磁性薄膜が複数層ある
場合には、最表面に近い磁性薄膜の上に保護層を設けれ
ばよい。より好ましくは保護層上に厚さ10nm以下の
潤滑層を設ける。本方法によれば従来より精密な磁化パ
ターンが形成でき、かつ単位パターンを繰り返すような
パターンが容易に形成できるので、媒体の記録及び/又
は再生に用いる磁気ヘッドの制御用磁化パターンの形成
に適している。特に、比較的パターンが単純で、かつ高
密度化・高精度化するほど記録が困難で、磁気記録媒体
のコストアップの主原因になっている、データトラック
に記録/再生ヘッドをトラッキングするためのサーボパ
ターン又はサーボパターン書きこみ用基準パターンの形
成に使用すると効果が大きい。本発明においては、磁性
薄膜を局所的に加熱する工程と、磁性薄膜に外部磁界を
印加する工程の組み合わせとして以下の態様をとりう
る。
【0051】態様1:加熱前に強い外部磁界で磁性薄膜
を所望の方向に均一に磁化し、その後所望部位を磁化消
失温度、例えばキュリー点近傍まで加熱消磁することで
磁化パターンを形成する方法。これによれば最も簡便に
磁化パターンを形成することができる。また、磁性薄膜
が均一に磁化されているため、本方法により磁化パター
ンを形成した後に通常の磁気記録を行うことができる。
【0052】態様2:加熱前に強い外部磁界で磁性薄膜
を所望の方向に均一に磁化し、その後所望部位を磁化消
失温度、例えばキュリー点近傍まで加熱すると同時に弱
い磁界を印加して消磁することで磁化パターンを形成す
る方法。これによれば、消磁が完全に行えるので、信号
強度の大きな磁化パターンが得られる。 態様3:加熱と同時に弱い外部磁界を印加することで、
加熱部のみ外部磁界の方向に磁化して、磁化パターンを
形成する方法。これによれば最も簡便に磁化パターンを
形成することができ、かつ外部磁界も弱いものでよい。
【0053】態様4:加熱前に強い外部磁界で磁性薄膜
を所望の方向に均一に磁化し、その後所望部位を加熱す
ると同時に弱い磁界を加熱前とは逆方向に印加磁化する
ことで磁化パターンを形成する方法。これによれば、信
号強度が最も強く、C/N及びS/Nが良好な磁化パタ
ーンが得られるので最も好ましい。以下、各態様につい
て説明するので、最も好ましい。
【0054】態様1の外部磁界の方向は、磁気記録媒体
の磁性薄膜の種類によって異なる。磁化容易軸が面内方
向にある媒体の場合には、磁性薄膜が、データの書込み
/再生ヘッドの走行方向(媒体とヘッドの相対移動方
向)と同一又は逆方向に磁化されるように印加する。さ
らに、磁気記録媒体が円板状である場合には、その半径
方向に磁化するように印加することも可能である。磁化
容易軸が面内方向に垂直にある場合には、磁性薄膜が、
該垂直方向のいずれかに磁化されるように印加する。
【0055】磁界の強さは磁気記録媒体の磁性薄膜の特
性によって異なり、磁性薄膜の室温での保磁力の2倍以
上の磁界によって磁化することが好ましい。これより弱
いと磁化が不十分となる可能性がある。ただし、磁界印
加に用いる着磁装置の能力上、磁性薄膜の室温での保磁
力の5倍以下とするのが好ましい。態様2は、加熱前の
外部磁界の方向及び強さは態様1と全く同様である。
【0056】加熱と同時に印加する磁界の方向は、磁化
容易軸が面内方向にある媒体の場合には、面内と垂直で
ある方向に、磁化容易軸が面内方向に垂直にある場合に
は、媒体の面内方向である。このように磁界を印加して
磁化を消去する。また、磁界の強さは、磁気記録媒体の
磁性薄膜の特性によって異なるが磁性薄膜の室温での保
磁力より小さい磁界とする。好ましくは磁性薄膜の室温
での保磁力の1/8以上の磁界とする。これより弱い
と、加熱部が、冷却時に周囲の磁区からの磁界の影響を
うけて再び周囲と同じ方向に磁化されてしまう可能性が
ある。
【0057】ただし、磁性薄膜の室温での保磁力の1/
2倍以下とするのが好ましい。これより大きいと、加熱
部の周囲の磁区も影響を受けてしまう可能性がある。加
熱は、磁性薄膜の保磁力の低下が見られる温度まで加熱
できればよいが、例えば磁性薄膜の磁化消失温度である
キュリー温度近傍である。好ましくは100℃以上に加
熱する。100℃未満で外部磁界により影響を受けるよ
うな磁性薄膜は、室温での磁区の安定性が低い傾向があ
る。また、加熱温度は700℃以下とするのが好まし
く、特には400℃以下とするのが好ましい。これを超
えると、磁性薄膜が変形してしまう可能性がある。
【0058】態様3の加熱と同時の外部磁界の方向は、
磁気記録媒体の磁性薄膜の種類によって異なる。磁化容
易軸が面内方向にある媒体の場合には、磁性薄膜が、デ
ータの書込み/再生ヘッドの走行方向(媒体とヘッドの
相対移動方向)と同一又は逆方向に磁化されるように印
加する。さらに、磁気記録媒体が円板状である場合に
は、その半径方向に磁化するように印加することも可能
である。磁化容易軸が面内方向に垂直にある場合には、
磁性薄膜が、該垂直方向のいずれかに磁化されるように
印加する。
【0059】磁界の強さは、態様2の、加熱と同時の外
部磁界の強さと同様である。また、加熱温度についても
態様2と同様である。態様4は、加熱前の外部磁界の方
向及び強さは態様1と全く同様である。加熱と同時に印
加する磁界の強さは態様2と同様であるが、その方向
は、加熱前磁界の方向とは逆方向に印加し、局所的に逆
向きに磁化されるようにする。加熱温度に関しては態様
2と同様である。
【0060】磁気ディスクはディスクの主両面に磁性薄
膜が形成されている場合があるが、その場合、本発明の
磁化パターン形成は片面づつ、逐次に行ってもよいし、
マスク手段、エネルギー照射系および外部磁界を印加す
る手段を磁気ディスクの両面に設置して、両面同時に磁
化パターン形成を行うこともできる。
【0061】本方式が特に有効な分野は、磁化パターン
が単純であるが、その記録密度の延びからヘッドでの書
き込みが一段と困難になってきたサーボ信号又はサーボ
信号書きこみのための基準信号への利用である。サーボ
信号又はサーボ信号書きこみ用基準信号の書き込みは、
データトラックピッチの半分のピッチでの書き込みとな
るため、その書き込み精度を確保するのが難しかった。
本方法を適用することで高密度向けのサーボ信号又はサ
ーボ信号書きこみ用基準信号の書き込みが容易に行え
る。
【0062】次に、本発明の磁気記録媒体の構成につい
て説明する。本発明の磁気記録媒体における基板として
は、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl
合金基板や、Mgを主成分とした例えばMg−Zn合金
等のMg合金基板や、通常のソーダガラス、アルミノシ
リケート系ガラス、非結晶ガラス類、シリコン、チタ
ン、セラミックス、各種樹脂からなる基板やそれらを組
み合わせた基板などを用いることができる。中でもAl
合金基板や、強度の点では結晶化ガラス等のガラス製基
板、コストの点では樹脂製基板を用いると該マスク手段
と磁気記録媒体が非接触である利点が特に生かされ好ま
しい。
【0063】磁気ディスクの製造工程においては、まず
基板の洗浄・乾燥が行われるのが通常であり、本発明に
おいても各層の密着性を確保する見地からもその形成前
に洗浄、乾燥を行うことが望ましい。本発明の磁気記録
媒体の製造に際しては、基板表面にNiP等の金属被覆
層を形成してもよい。
【0064】金属被覆層を形成する場合に、その手法と
しては、無電解めっき法、スパッタリング法、真空蒸着
法、CVD法など薄膜形成に用いられる方法を利用する
ことができる。導電性の材料からなる基板の場合であれ
ば電解めっきを使用することが可能である。金属被覆層
の膜厚は50nm以上あればよい。ただし、磁気ディス
ク媒体の生産性などを考慮すると50nm以上500n
m以下であることが好ましい。さらに好ましくは50n
m以上300nm以下である。
【0065】また、金属被覆層を成膜する領域は基板表
面全域が望ましいが、一部だけ、例えばテキスチャリン
グを施す領域のみでも実施可能である。又、基板表面、
又は金属被覆層が形成された基板表面に同心状テキスチ
ャリングを施してもよい。本発明において同心状テキス
チャリングとは、例えば遊離砥粒とテキスチャーテープ
を使用した機械式テキスチャリングやレーザー光線など
を利用したテキスチャリング加工、又はこれらを併用す
ることによって、円周方向に研磨することによって基板
円周方向に微小溝を多数形成した状態を指称する。
【0066】機械的テキスチャリングを施すための遊離
砥粒の種類としてはダイアモンド砥粒、中でも表面がグ
ラファイト化処理されているものが最も好ましい。機械
的テキスチャリングに用いられる砥粒としては他にアル
ミナ砥粒が広く用いられているが、特にテキスチャリン
グ溝に沿って磁化容易軸を配向させるという面内配向媒
体の観点から考えるとダイアモンド砥粒が極めて良い性
能を発揮する。この原因については現在のところ明確に
はなっていないが、極めて再現性の良い結果が得られて
いる。
【0067】ヘッド浮上量ができるだけ小さいことが高
密度磁気記録の実現には有効であり、またこれら基板の
特徴のひとつが優れた表面平滑性にあることから、基板
表面のRaは2nm以下、さらには1nm以下であるこ
とが好ましく、中でも0.5nm以下であることが好ま
しい。ただし、ここでRaの決定は、触針式表面粗さ計
を用いて測定した場合を想定している。このとき測定用
の針の先端は半径0.2μm程度の大きさのものが使用
される。
【0068】次に基板上には、磁性薄膜層との間に下地
層等を形成してもよい。下地層は、結晶を微細化ならび
にその結晶面の配向を制御することを目的としていて、
Crを主成分とするものがよく用いられる。Crを主成
分とする下地層の材料としては、純Crの他、記録層と
の結晶マッチングなどの目的でCrにV、Ti、Mo、
Zr、Hf、Ta、W、Ge、Nb、Si、Cu、Bな
どの第二、第三元素を添加したものや、酸化Crなども
含む。中でも純CrやTi、Mo、W、V、Ta、S
i、Nb、Zr及びHfを有するものが好ましい。これ
ら第二、第三元素の含有量はそれぞれの元素によって最
適な量が異なるが、一般には1原子%〜50原子%、好
ましくは5原子%〜30原子%、さらに好ましくは5原
子%〜20原子%の範囲である。
【0069】下地層の膜厚はこの異方性を発現させ得る
に十分なものであればよく、0.1〜50nmであり、
好ましくは0.3〜30nm、さらに好ましくは0.5
〜10nmである。Crを主成分とする下地層の成膜時
は基板加熱を行っても行わなくてもよい。下地層の上に
は、場合によって軟磁性層を設けても良い。特に磁化遷
移ノイズの少ないキーパーメディア、或いは磁区がメデ
ィア面内に対して垂直方向にある垂直記録媒体には、効
果が大きく、よく用いられる。
【0070】軟磁性層は、透磁率が比較的高く、損失の
少ない物であれば何でもよく、任意であるが、代表的な
ものでNiFeや、それに第3元素としてMo等を添加
した物がよく用いられる。最適な透磁率は、データの記
録に利用されるヘッドや、記録層の特性によっても大き
く変わるが、概して、最大透磁率が10〜100000
0(H/m)程度であることが好ましい。
【0071】次に記録層が形成されるが、記録層と軟磁
性層の間には下地層と同一の材料の層或いは、他の非磁
性材料が挿入されていてもよい。記録層の成膜時は、基
板加熱を行っても行わなくてもよい。記録層としては、
Co合金磁性膜、TbFeCoを代表とする希土類系磁
性膜、CoとPdの積層膜を代表とする遷移金属と貴金
属系の積層膜等が用いられる。Co合金磁性層として
は、通常、純CoやCoNi、CoSm、CoCrT
a、CoNiCr、CoCrPtなどの磁性材料として
一般に用いられるCo合金磁性材料を用いる。これらの
Co合金に更にNi、Cr、Pt、Ta、W、Bなどの
元素やSiO2等の化合物を加えたものでも良い。例え
ばCoCrPtTa、CoCrPtB、CoNiPt、
CoNiCrPtB等が挙げられる。Co合金磁性層の
膜厚は任意であるが、通常5〜50nm、好ましくは1
0〜30nmである。また、本記録層は、適当な非磁性
の中間層を介して、或いは直接2層以上積層してもよ
い。その時、積層される磁性材料の組成は、同じであっ
ても異なっていてもよい。
【0072】希土類系磁性層としては、通常TbFeC
o、GdFeCo、DyFeCo、TbFeなどの磁性
材料として一般に用いられる希土類磁性材料を用いる。
これらの希土類合金にTb、Dy、Hoなどを添加し4
元系としてもよいし、酸化劣化防止の目的からTi、A
l、Ptが添加されていてもよい。希土類系磁性層の膜
厚は、任意であるが、通常5〜100nm程度である。
また、本記録層は、適当な非磁性の中間層を介して、或
いは直接2層以上積層してもよい。その時、積層される
磁性材料の組成は、同じであっても異なっていてもよ
い。特に希土類系磁性層は、アモルファス構造膜かつメ
ディア面内に対して垂直方向に磁化を持つため高記録密
度記録に適し、本発明記録がより簡単に適用できる。
【0073】同様に垂直磁気記録に適した遷移金属と貴
金属系の積層膜としては、通常Co/Pd、Co/P
t、Fe/Pt、Fe/Au、Fe/Agなどの磁性材
料として一般に用いられる積層膜材料を用いる。これら
の積層膜の遷移金属、貴金属は、特に純粋なものでなく
てもよく、それらを主とする合金であってもよい。積層
膜の膜厚は、任意であるが、通常5〜1000nm程度
である。また、積層の仕方についても任意で、必ずしも
2つの材料の積層でなくてもよい。
【0074】本発明において、記録層としての磁性薄膜
は、室温において磁化を保持し、加熱時に消磁される
か、或いは加熱と同時に外部磁界を印加されることで磁
化される。磁性薄膜の室温での保磁力は、室温において
磁化を保持し、かつ適当な外部磁界により均一に磁化さ
れるものである必要がある。好ましくは2000Oe以
上である。高密度記録媒体の磁性薄膜としては2000
Oe以上が好ましいためである。より好ましくは250
0Oe以上、特に好ましくは3000Oe以上である。
【0075】室温での保磁力は大きい方が高密度記録が
可能であり好ましい。従来の磁気転写法では、あまり保
磁力が高い媒体には転写が困難であったが、本発明にお
いては磁性薄膜を加熱し保磁力を十分に下げて磁化パタ
ーンを形成するため、保磁力の大きい媒体への適用が好
ましい。ただし、好ましくは20000Oe以下とす
る。20000Oeを超えると、一括磁化のために大き
な外部磁界が必要となり、また通常の磁気記録が困難と
なる可能性がある。
【0076】磁性薄膜は、室温において磁化を保持しつ
つ、適当な加熱温度では弱い外部磁界で磁化されるもの
である必要がある。また室温と磁化消失温度との差が大
きい方が磁化パターンの磁区が明瞭に形成しやすい。こ
のため磁化消失温度は高いほうが好ましく、100℃以
上が好ましく、より好ましくは150℃以上である。例
えば、キュリー温度近傍(キュリー温度のやや下)や補
償温度近傍に磁化消失温度がある。
【0077】キュリー温度は、好ましくは100℃以上
である。100℃未満では、室温での磁区の安定性が低
い傾向がある。より好ましくは150℃以上である。特
に好ましくは180℃以上である。また好ましくは70
0℃以下である。磁性薄膜をあまり高温に加熱すると、
変形してしまう可能性があるためである。面内磁気記録
媒体は、近年の高密度化により狭トラック幅化が進み、
ヘッドでの記録による磁気にじみの影響が相対的に大き
くなりつつあり、特にサーボ信号等の位置決め信号で磁
気にじみが大きいとヘッド位置の精度が保てず、エラー
レートが増加するおそれがあるが、本発明の記録方法に
よれば、スポット的な急激に昇温された部分のみに記録
が選択的に行われるため、磁気にじみが起こりにくく、
さらなる高密度記録が行えるようになる。
【0078】好ましくはMR、GMR、TMRヘッドな
どの磁気ヘッドで磁気的に信号を検出するために、磁性
薄膜の飽和磁化が50emu/cc以上とする。この場
合反磁界の影響が大きいため、加熱と外部磁界によって
磁化反転された部分の温度が急峻に下がるよう、パルス
幅はできるだけ狭い方が望ましい。より好ましくは、1
00emu/cc以上とする。ただしあまり大きいと磁
化パターンの形成がしにくいため、500emu/cc
以下が好ましい。一方、磁気記録媒体が垂直磁気記録媒
体である場合、加熱消磁或いは加熱磁化する際の減磁作
用が少なく、本発明を適用するのに好適である。好まし
くはMRヘッドなどの磁気ヘッドで磁気的に信号を検出
するために、磁性薄膜の飽和磁化が50emu/cc以
上とする。より好ましくは、100emu/cc以上と
する。ただしあまり大きいと磁化パターンの形成がしに
くいため、500emu/cc以下が好ましい。しかし
ながら、飽和磁化が大きいと磁気的な減磁作用で意図し
ない磁化反転が起こりやすくエキストラパルスやノイズ
が発生するので、磁性薄膜の下に前述の軟磁性層を設け
ることが有効である。
【0079】特に、磁化パターンが比較的大きく1磁区
の単位体積が大きい場合は、該磁化反転が起こりやすい
ため軟磁性層を設けるのが好ましい。本発明において
は、磁性薄膜上に保護層を形成するのが好ましい。すな
わち、媒体の最表面を硬質の保護層により覆う。保護層
は、磁化パターン形成時のヘッドやマスクとの衝突や塵
埃・ゴミ等のマスクとの挟み込みによる磁性薄膜の損傷
を防ぐ働きをする。特に通常の大気中で磁化パターン形
成プロセスが行われる場合は重要である。磁性薄膜が複
数層ある場合には、最表面に近い磁性薄膜の上に保護層
を設ければよい。保護層は磁性薄膜上に直接設けても良
いし、必要に応じて間に他の働きをする層をはさんでも
良い。
【0080】保護層としては、カーボン、水素化カーボ
ン、窒素化カーボン、アモルファスカーボン、SiC等
の炭素質層やSiO2、Zr23、SiN、TiNなど
の硬質材料を用いることができる。透明でも不透明であ
ってもよい。耐衝撃性及び潤滑性の点では炭素質保護膜
が好ましく、特にダイヤモンドライクカーボンが好まし
い。エネルギー線による磁性薄膜の損傷防止の役割を果
たすだけでなく、ヘッドによる磁性薄膜の損傷にも極め
て強くなる。
【0081】エネルギー線の一部は保護層でも吸収さ
れ、熱伝導によって磁性薄膜を局所的に加熱する働きを
する。このため保護層が厚すぎると横方向への熱伝導に
より磁化パターンがぼやけてしまう可能性があるため、
膜厚は薄い方が好ましい。また、記録再生時の磁性薄膜
とヘッドとの距離を小さくするためにも薄い方が好まし
い。従って50nm以下が好ましく、より好ましくは3
0nm以下、さらに好ましくは20nm以下である。た
だし、充分な耐久性を得るためには0.1nm以上が好
ましく、より好ましくは1nm以上である。
【0082】また、保護層が2層以上の層から構成され
ていてもよい。磁性層の直上の保護層をCrを主成分と
する層を設けると、磁性層への酸素透過を防ぐ効果が高
く好ましい。より好ましくは、保護層上に潤滑層を形成
する。媒体のマスク及び磁気ヘッドによる損傷を防ぐ機
能を持つ。潤滑層に用いる潤滑剤としては、フッ素系潤
滑剤、炭化水素系潤滑剤及びこれらの混合物等が挙げら
れ、ディップ法、スピンコート法などの常法で塗布する
ことができる。磁化パターン形成の妨げとならないため
に潤滑層は薄い方が好ましく。10nm以下が好まし
い。十分な潤滑性能を得るためには1nm以上が好まし
い。ただし、潤滑層上からエネルギー線を照射する場合
には、潤滑剤のダメージ(分解、重合)等を考慮し、再
塗布などを行ってもよい。
【0083】更に、浮上ヘッドの走行安定性を損なわな
いよう、磁化パターン形成後の該媒体の表面粗度Raを
3nm以下に保つのが好ましい。なお、媒体表面粗度R
aとは潤滑層を含まない媒体表面の粗度であって、触針
式表面粗さ計を用いて測定長400μmで測定後、JI
S B0601に則って算出した値である。より好まし
くは1.5nm以下とする。
【0084】さらに望ましくは磁化パターン形成後の該
媒体の表面うねりWaを5nm以下に保つ。Waは潤滑
層を含まない媒体表面のうねりであって、触針式表面粗
さ計を用いて測定長2mmで測定後、Ra算出に準じて
算出した値である。より好ましくは3nm以下とする。
本磁気記録媒体への磁化パターンの形成は、該記録層に
対して行い、通常は、保護層、又は保護膜と潤滑層を形
成した後に既術のいずれかの方法で行うが、記録層の酸
化の心配がない場合は、記録層の成膜直後に行っても良
い。
【0085】磁気記録媒体の各層を形成する成膜方法と
しては任意であるが、例えば直流(マグネトロン)スパ
ッタリング法、高周波(マグネトロン)スパッタリング
法、ECRスパッタリング法、真空蒸着法などの物理的
蒸着法が挙げられる。又、成膜時の条件としても特に制
限はなく、到達真空度、基板加熱の方式と基板温度、ス
パッタリングガス圧、バイアス電圧等は、成膜装置によ
り適宜決定すればよい。例えば、スパッタリング成膜で
は、通常の場合、到達真空度は5×10-6Torr以
下、基板温度は室温〜400℃、スパッタリングガス圧
は1×10-3〜20×10-3Torr、バイアス電圧は
一般的には0〜−500Vである。
【0086】成膜に当たっては、非磁性基板を加熱する
場合、下地層形成前に行っても良いし、熱吸収率が低い
透明な基板を使用する場合には、熱吸収率を高くするた
め、Crを主成分とする種子層又はB2結晶構造を有す
る下地層を形成してから基板を加熱し、しかる後に記録
層等を形成しても良い。記録層が、希土類系の磁性膜の
場合には、腐食、酸化防止の見地から、ディスクの最内
周部及び最外周部を最初マスクして、記録層まで成膜、
続く保護層の成膜の際にマスクを外し、記録層を保護膜
で完全に覆う方法や、保護層が2層の場合には、記録層
と第一の保護層までをマスクしたまま成膜、第2の保護
層を成膜する際にマスクを外し、やはり記録層を第二の
保護膜で完全に覆うようにすると希土類系磁性層の腐
食、酸化が防げて好適である。
【0087】本発明の磁気記録装置は、少なくとも上述
してきた磁気記録媒体と、これを記録方向に駆動する駆
動部と、記録部と再生部からなる磁気ヘッドと、磁気ヘ
ッドを磁気記録媒体に対して相対移動させる手段と、磁
気ヘッドへの信号入力と磁気ヘッドからの出力信号再生
を行うための記録再生信号処理手段を有する磁気記録装
置である。
【0088】磁気記録装置として代表的な、磁気ディス
ク装置を例に説明する。磁気ディスク装置は、通常、磁
気ディスクを1枚或いは複数枚を串刺し状に固定するシ
ャフトと、該シャフトにベアリングを介して接合された
磁気ディスクを回転させるモータと、記録及び/又は再
生に用いる磁気ヘッドと、該ヘッドが取り付けられたア
ームと、ヘッドアームを介してヘッドを磁気記録媒体上
の任意の位置に移動させることのできるアクチュエータ
とからなり、記録再生用ヘッドが磁気記録媒体上を一定
の浮上量で移動している。記録情報は、信号処理手段を
経て記録信号に変換されて磁気ヘッドにより記録され
る。また、磁気ヘッドにより読み取られた再生信号は同
信号処理手段を経て逆変換され、再生情報が得られる。
【0089】ディスク上には、情報信号が同心円状のト
ラックに沿って、セクター単位で記録される。サーボパ
ターンは通常、セクター間に記録される。磁気ヘッドは
該パターンからサーボ信号を読み取り、これによりトラ
ックの中心に正確にトラッキングを行い、そのセクター
の情報信号を読み取る。記録時も同様にトラッキングを
行う。
【0090】前述の通り、サーボ信号を発生するサーボ
パターンは、情報を記録する際のトラッキングに使用す
るという性質上、特に高精度が要求される。また現在多
く使用されているサーボパターンは、1トラックあた
り、互いに1/2ピッチずれた2組のパターンからなる
ため、情報信号の1/2のピッチ毎に形成する必要があ
り、2倍の精度が要求される。
【0091】しかしながら、従来のサーボパターン形成
方法では、外部ピンとアクチュエータの重心が異なるこ
とから生じる振動の影響でライトトラック幅で0.2〜
0.3μm程度が限界であり、トラック密度の増加にサ
ーボパターンの精度が追いつかず、磁気記録装置の記録
密度向上及びコストダウンの妨げとなりつつある。本発
明によれば、マスク露光の手法を用いて効率よく精度の
高い磁化パターンを形成することができるので、従来の
サーボパターン形成方法に比べて格段に低コスト、短時
間で精度良くサーボパターンを形成でき、例えば40k
TPI以上に媒体のトラック密度を高めることができ
る。従って本媒体を用いた磁気記録装置は高密度での記
録が可能となる。
【0092】また、位相サーボ方式を用いれば連続的に
変化するサーボ信号が得られるのでよりトラック密度を
上げることができ、0.1μm幅以下でのトラッキング
も可能となり、より高密度記録が可能である。前述のよ
うに、位相サーボ方式には、例えば、内周から外周に、
半径に対して斜めに直線的に延びる磁化パターンが用い
られる。このような、半径方向に連続したパターンや斜
めのパターンは、ディスクを回転させながら1トラック
ずつサーボ信号を記録する従来のサーボパターン形成方
法では作りにくく、複雑な計算や構成が必要であった。
【0093】しかし本発明によれば、該形状に応じたマ
スクを一旦作成すれば、ディスク上の所望の位置でマス
ク露光するだけで当該パターンを容易に形成できるた
め、位相サーボ方式に用いる媒体を簡単かつ短時間、安
価に作成することができる。ひいては、高密度記録が可
能な、位相サーボ方式の磁気記録装置を提供できる。さ
て、従来主流のサーボパターン形成方法は、媒体を磁気
記録装置(ドライブ)に組み込んだのちに、クリーンル
ーム内で専用のサーボライターを用いて行う。
【0094】各ドライブをサーボライターに装着し、ド
ライブ表面あるいは裏面のいずれかにある孔よりサーボ
ライターのピンを差し入れ磁気ヘッドを機械的に動かし
ながら、トラックに沿って1パターンずつ記録を行う。
このためドライブ一台あたり15〜20分程度と非常に
時間がかかる。専用のサーボライターを用い、またドラ
イブに孔を開けるためこれら作業はクリーンルーム内で
行う必要があり、工程上も煩雑でコストアップの要因で
あった。
【0095】本発明により、予めパターンを記録したマ
スクを通してエネルギー線を照射することで、サーボパ
ターン或いはサーボパターン記録用基準パターンを一括
して記録でき、非常に簡便かつ短時間で媒体にサーボパ
ターンを形成できる。このようにしてサーボパターンを
形成した媒体を組み込んだ磁気記録装置は、上記サーボ
パターン書込み工程は不要となる。
【0096】或いはサーボパターン記録用基準パターン
を形成した媒体を組み込んだ磁気記録装置は、該基準パ
ターンをもとにして装置内で所望のサーボバースト信号
を書込むことができるため、上記のサーボライターは不
要であり、クリーンルーム内での作業も必要なく、高精
度のサーボパターンを有する磁気記録装置が簡単な工程
で安価に得られる。
【0097】また、磁気記録装置の裏側に孔を開ける必
要がなく耐久性や安全性の上でも好ましい。さらに、マ
スクと媒体との間に間隙を設けることで、マスクとの接
触による媒体の変形損傷や、微小な塵埃やゴミの挟み込
みによる媒体の損傷を防ぎ、欠陥の発生を防ぐことがで
きる。
【0098】以上のように、本発明によれば信頼性の高
い高密度記録が可能な磁気記録装置を、簡便な工程で安
価に得ることができる。磁気ヘッドとしては、薄膜ヘッ
ド、MRヘッド、GMRヘッド、TMRヘッドなど各種
のものを用いることができる。磁気ヘッドの再生部をM
Rヘッドで構成することにより、高記録密度においても
十分な信号強度を得ることができ、高記録密度を持った
磁気記録装置を実現することができる。
【0099】またこの磁気ヘッドを、浮上量が0.00
1μm以上、0.05μm未満の従来より低い高さで浮
上させると、出力が向上して高い装置S/Nが得られ、
大容量で高信頼性の磁気記録装置を提供することができ
る。また、最尤復号法による信号処理回路を組み合わせ
るとさらに記録密度を向上でき、例えば、トラック密度
13kTPI以上、線記録密度250kFCI以上、1
平方インチ当たり3Gビット以上の記録密度で記録・再
生する場合にも十分なS/Nが得られる。
【0100】さらに磁気ヘッドの再生部を、互いの磁化
方向が外部磁界によって相対的に変化することによって
大きな抵抗変化を生じる複数の導電性磁性層と、その導
電性磁性層の間に配置された導電性非磁性層からなるG
MRヘッド、あるいはスピン・バルブ効果を利用したG
MRヘッドとすることにより、信号強度をさらに高める
ことができ、1平方インチ当たり10Gビット以上、3
50kFCI以上の線記録密度を持った信頼性の高い磁
気記録装置の実現が可能となる。
【0101】
【実施例】以下に本発明について実施例を用いてより詳
細に説明するが、その要旨の範囲を越えない限り本実施
例により限定されるものではない。 (実施例1)2.5インチ径のアルミノシリケート系ガ
ラス基板を洗浄、乾燥し、その上に到達真空度:1×1
-7Torr基板温度:350℃、バイアス電圧:−2
00V、スパッタリングガス圧は、Arで3×10-3
orrの条件下で、NiAlを60nm、Cr94Mo6
を10nm、記録層としてCo72Cr18Pt10を22n
m、保護層としてカーボン(ダイヤモンドライクカーボ
ン)を5nm成膜した。表面粗度Raは0.5nm、う
ねりWaは0.5nmであった。その上には潤滑層とし
てフッ素系潤滑剤を1.5nmの厚さに塗布し、100
℃で40分焼成し、室温での保磁力3000Oe、飽和
磁化310emu/ccの面内記録用磁気ディスクを得
た。記録層のキュリー温度は250℃であった。この磁
気ディスクをスピンドル上に固定した。スピンドル下部
には永久磁石が配置されている。ディスク上に、約10
μmの間隙をあけて、石英ガラスを基材としたCrマス
クを配置した。マスクはディスク全面を覆う大きさで、
図3に示すように幅1μm×長さ15mmの透過部が1
2°おきに放射状に形成されている。このディスクをマ
スクと一体として、2rpm(30秒間で1回転)で回
転させた。ここに、波長λ=248nmのエキシマパル
スレーザをパルス幅:25nsec、パワーを80mJ
/cm2、ビーム形状:10mm×30mm(ピークエ
ネルギーの1/e2となる径)に制御し、レーザ照射口
にビーム形状を角度12°の扇形に整形する遮光板を設
置して、繰り返し周波数1Hzで30パルス照射し、同
時に約2.3kGの磁界を磁気ディスクの円周方向に永
久磁石にて印加し磁気パターンの転写を試みた。磁化パ
ターン形成の有無は、磁気現像液により磁化パターンを
現像して、光学顕微鏡で観察することで確かめた。その
結果、該マスクの透過部、非透過部に相当するパターン
が磁気ディスク上に転写されていた。また、全く同一の
条件で磁気ディスク上に磁化パターンを生成し、リード
幅0.9μmのハードディスク用MRヘッドで磁気パタ
ーンを再生し、その波形をオシロスコープで確認した。
【0102】(実施例2)実施例1と同条件で作製した
磁気ディスクをスピンドル上に固定し、同じマスクを配
置し、両者を一体として20rpm(3秒で1回転)で
回転した。ここに実施例1と同じように、エキシマーレ
ーザーを繰り返し周波数10Hzで30パルス照射し、
同時に約2.3kGの磁界を磁気ディスクの円周方向に
永久磁石にて印加し磁気パターンの転写を試みた。実施
例1と同様に磁化パターン形成の有無を確かめたとこ
ろ、該マスクの透過部、非透過部に相当するパターンが
磁気ディスク上に転写されていた。また、全く同一の条
件で磁気ディスク上に磁化パターンを生成し、リード幅
0.9μmのハードディスク用MRヘッドで磁気パター
ンを再生し、その波形をオシロスコープで確認した。
【0103】(実施例3)2.5インチ径のアルミノシ
リケート系ガラス基板を洗浄し、その上に、到達真空
度:1×10-7Torr、基板温度:350℃、バイア
ス電圧:−200V、スパッタリングガス圧は、Arで
3×10-3Torrの条件下でNi50Fe50を500n
m、記録層としてTbFeCoを30nm、保護層とし
てはカーボン(ダイヤモンドライクカーボン)を5nm
成膜した。Raは0.8nm、Waは1.0nmであっ
た。その上に潤滑層として、フッ素系潤滑剤を1.5n
mの厚さ塗布し、100℃で40分間焼成した。得られ
た垂直記録用磁気ディスクは飽和磁化70emu/c
c、室温での保磁力4000Oe、キュリー温度230
℃であった。得られた磁気ディスクを10kOeの磁界
を磁気ディスクの主面に垂直な方向に印加し、磁気ディ
スクの記録層を垂直な方向に一様に磁化した。次に、磁
気ディスク上に約10μmの間隙をあけて、石英ガラス
を基材としたCrマスクを配置した。マスクはディスク
全面を覆う大きさで、図3に示すように幅1μm×長さ
15mmの透過部が12°おきに放射状に形成されてい
る。このディスクをマスクと一体として平行に移動する
スライダーに固定し、両者を一体として、5mm/se
cの速度で移動した。波長λ=248nmのエキシマパ
ルスレーザを均一化処理後拡大処理し、遮光板を使うこ
とにより65mm×5mmのビーム形状を得た。このパ
ルス幅:25nsec、パワー80mJ/cm2のエキ
シマレーザーをディスク全面が照射されるように、繰り
返し周波数1Hzで13パルス照射し、同時にスライダ
ー下部約4kGの磁界を磁気ディスクの主面に垂直な方
向で、かつ先に記録層を均一に垂直に磁化した時に印加
した方向と逆方向に永久磁石にて印加し磁気パターンの
転写を試みた。実施例1と同様に磁化パターン形成の有
無を確かめたところ、該マスクの透過部、非透過部に相
当するパターンが磁気ディスク上に転写されていた。ま
た、全く同一の条件で磁気ディスク上に磁化パターンを
生成し、リード幅0.9μmのハードディスク用MRヘ
ッドで磁気パターンを再生し、その波形をオシロスコー
プで確認した。
【0104】(実施例4)実施例1と同条件で作成した
磁気ディスクをスピンドル上に固定し、同じマスクを配
置した。ここに、実施例1と同じエキシマーレーザーを
繰り返し周波数1Hzで1パルス照射した。同時に約
2.3kGの磁界を磁気ディスクの円周方向に永久磁石
にて印加した。このレーザー照射を検知して、ディスク
を12°回転させ、更にこの回転を検知したのち、レー
ザーを1Hzでパルス照射した。この操作を30回繰り
返すことによりディスク1周に亘り磁気パターンの転写
を行った。実施例1と同様に磁化パターン形成の有無を
確かめたところ、該マスクの透過部、非透過部に相当す
るパターンが磁気ディスク上に転写されていた。また、
全く同一の条件で磁気ディスク上に磁化パターンを生成
し、リード幅0.9μmのハードディスク用MRヘッド
で磁気パターンを再生し、その波形をオシロスコープで
確認した。
【0105】(実施例5)3.5インチ径アルミノシリ
ケート系ガラス基板を洗浄し、その上に、到達真空度:
1×10-7Torr、基板温度:350℃、バイアス電
圧:−200V、スパッタリングガス圧は、Arで3×
10-3Torrの条件下でNi50Fe50を500nm、
記録層としてTbFeCoを30nm、保護層として
は、カーボン(ダイヤモンドライクカーボン)を5nm
成膜した。Raは0.8nm、Waは1.0nmであっ
た。その上に潤滑層として、フッ素系潤滑剤を1.5n
mの厚さ塗布し、100℃で40分間焼成した。得られ
た垂直記録用磁気ディスクは飽和磁化70emu/c
c、室温での保磁力4000Oe、キュリー温度230
℃であった。得られた磁気ディスクを10kOeの磁界
を磁気ディスクの主面に垂直な方向に印加し、磁気ディ
スクの記録層を垂直な方向に一様に磁化した。次に、磁
気ディスク上に約10μmの間隙をあけて、石英ガラス
を基材としたCrマスクを配置した。マスクはディスク
全面を覆う大きさで、図4に示すように幅1μm×長さ
30mmの透過部が12°おきに放射状に形成されてい
る。このディスクをマスクと一体として平行に移動する
スライダーに固定し、両者を一体として、5mm/se
cの速度で移動した。波長λ=248nmのエキシマパ
ルスレーザを均一化処理後拡大処理し、遮光板を使うこ
とにより95mm×5mmのビーム形状を得た。このパ
ルス幅:25nsec、パワー80mJ/cm2のエキ
シマレーザーをディスク全面が照射されるように、繰り
返し周波数1Hzで19パルス照射し、同時にスライダ
ー下部約4kGの磁界を磁気ディスクの主面に垂直な方
向で、かつ先に記録層を均一に垂直に磁化した時に印加
した方向と逆方向に永久磁石にて印加し磁気パターンの
転写を試みた。実施例1と同様に磁化パターン形成の有
無を確かめたところ、該マスクの透過部、非透過部に相
当するパターンが磁気ディスク上に転写されていた。ま
た、全く同一の条件で磁気ディスク上に磁化パターンを
生成し、リード幅0.9μmのハードディスク用MRヘ
ッドで磁気パターンを再生し、その波形をオシロスコー
プで確認した。
【0106】(比較例1)実施例1と同条件で磁気ディ
スクを作製した。ディスクとマスクをスピンドルに固定
し3rpm(20秒で1回転)で回転させ、エキシマー
パルスレーザーを繰り返し周波数2Hzで30パルス照
射した以外は実施例1と同様に、磁化パターンの転写を
試みた。磁化パターン形成の有無を実施例1と同様に確
かめた。その結果、同期した部分の該マスクの透過部、
非透過部に相当するパターンが磁気ディスク上に転写さ
れていたが、重照射が起こったところのパターンは磁化
が検出されてなかったり、不明瞭であったりした。ま
た、全く同一の条件で磁気ディスク上に磁化パターンを
生成し、リード幅0.9μmのハードディスク用MRヘ
ッドで磁気パターンを再生し、その波形をオシロスコー
プで確認したところ、重ね打ちがあった部分では十分な
信号強度が検出されなかった。
【0107】
【発明の効果】本発明によれば、効率よく精密なパター
ンが形成でき、しかも媒体を傷つけることなく欠陥の少
ない磁化パターンを持った磁気記録媒体の製造方法が提
供できる。ひいては、高密度記録が可能な磁気記録媒体
及び磁気記録装置を短時間かつ安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の磁化パターン形成方法の一例を説明
するための図
【図2】 本発明の磁化パターン形成方法の他の一例を
説明するための図
【図3】 本発明の実施例1乃至4および比較例1で用
いるマスク手段の説明図
【図4】 本発明の実施例5で用いるマスク手段の説明
【符号の説明】
1 磁気ディスク 2 フォトマスク 3 パルス状レーザ 4 外部磁界 5 フォトポリマー 6 フォトマスク 7 物体光 8 プリズム 9 参照光 10 レーザ光源 11 反射板

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に磁性薄膜を設けてなる磁気記録
    媒体に対し、マスク手段を通してパルス状エネルギー線
    を照射し磁性薄膜上にエネルギー線の濃淡を形成し局所
    的に加熱する工程と、磁性薄膜に外部磁界を印加する工
    程とを含む磁化パターンの形成方法であって、 マスク手段及び/又は磁気記録媒体と、エネルギー線位
    置とを相対移動させながらパルス状エネルギー線を照射
    し、かつパルス状エネルギー線照射と、上記相対移動と
    を同期させることを特徴とする磁気記録媒体の磁化パタ
    ーン形成方法。
  2. 【請求項2】 基板上に磁性薄膜を設けてなる磁気記録
    媒体に対し、マスク手段を通して該磁気記録媒体にエネ
    ルギー線を照射し磁性薄膜上にエネルギー線の濃淡を形
    成し局所的に加熱する工程と、該磁性薄膜に外部磁界を
    印加する工程とを含む磁化パターンの形成方法であっ
    て、 マスク手段及び/又は磁気記録媒体と、エネルギー線位
    置とを相対移動させながらパルス状エネルギー線を照射
    し、かつパルス状エネルギー線の照射と、該エネルギー
    線照射の検知と、上記相対移動と、相対移動の検知とを
    順次行うことを特徴とする磁気記録媒体の磁化パターン
    形成方法。
  3. 【請求項3】 上記相対移動が、マスク手段及び/又は
    磁気記録媒体と、エネルギー線の照射系との相対移動で
    ある、請求項1又は2に記載の磁気記録媒体の磁化パタ
    ーン形成方法。
  4. 【請求項4】 上記相対移動が、マスク手段及び/又は
    磁気記録媒体の回転により行われる請求項1乃至3のい
    ずれかに記載の磁気記録媒体の磁化パターン形成方法。
  5. 【請求項5】 エネルギー線がレーザ光である請求項1
    乃至4のいずれかに記載の磁気記録媒体の磁化パターン
    形成方法。
  6. 【請求項6】 エネルギー線の光源とマスク手段との
    間、又はマスク手段と該磁気記録媒体との間に、所望の
    領域に該エネルギー線を部分的に遮光可能な遮光手段を
    設ける請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気記録媒体
    の磁化パターン形成方法。
  7. 【請求項7】 照射されるエネルギー線が、光源から出
    射したエネルギー線のビーム形状を光学的処理により所
    望の形状に変形したものである請求項1乃至6のいずれ
    かに記載の磁気記録媒体の磁化パターン形成方法。
  8. 【請求項8】 パルス状エネルギー線のパルス幅が10
    μsec以下である請求項1乃至7に記載の磁気記録媒
    体の磁化パターン形成方法。
  9. 【請求項9】 磁気記録媒体が、基板上に1層以上の下
    地層を介し、少なくとも1層のキュリー点が摂氏180
    度以上である磁性薄膜を設けてなる請求項1乃至8のい
    ずれかに記載の磁気記録媒体の磁化パターン形成方法。
  10. 【請求項10】 磁性薄膜上に、膜厚0.1nm以上、
    20nm以下の保護層を有し、磁化パターン形成のため
    のエネルギー線照射後の該保護層表面の粗さRaが3n
    m以下である請求項1乃至9に記載の磁気記録媒体の磁
    化パターン形成方法。
  11. 【請求項11】 磁化パターンが、媒体の記録及び/又
    は再生に用いる磁気ヘッドの制御用磁化パターンである
    請求項1乃至10に記載の磁気記録媒体の磁化パターン
    形成方法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至11のいずれかに記載の
    磁化パターン形成方法により磁化パターンが形成されて
    なることを特徴とする磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 基板上に磁性薄膜が設けられてなり、
    媒体の記録及び/又は再生に用いる磁気ヘッドの制御用
    磁化パターンを有する磁気記録媒体の製造方法であっ
    て、 磁気記録媒体にマスク手段を通してパルス状エネルギー
    線を照射し磁性薄膜を局所的に加熱する工程と、磁性薄
    膜に外部磁界を印加する工程とを含み、 マスク手段及び/又は磁気記録媒体と、エネルギー線位
    置とを相対移動させながらパルス状エネルギー線を照射
    し、かつパルス状エネルギー線照射と、上記相対移動と
    を同期させることにより制御用磁化パターンを形成する
    ことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】 基板上に磁性薄膜が設けられてなり、
    媒体の記録及び/又は再生に用いる磁気ヘッドの制御用
    磁化パターンを有する磁気記録媒体の製造方法であっ
    て、 磁気記録媒体にマスク手段を通してパルス状エネルギー
    線を照射し磁性薄膜を局所的に加熱する工程と、磁性薄
    膜に外部磁界を印加する工程とを含み、 マスク手段及び/又は磁気記録媒体と、エネルギー線位
    置とを相対移動させながらパルス状エネルギー線を照射
    し、かつパルス状エネルギー線の照射と、該エネルギー
    線照射の検知と、上記相対移動と、相対移動の検知とを
    順次行うことにより制御用磁化パターンを形成すること
    を特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  15. 【請求項15】 磁気記録媒体と、磁気記録媒体を記録
    方向に駆動する駆動部と、記録部と再生部からなる磁気
    ヘッドと、磁気ヘッドを磁気記録媒体に対して相対移動
    させる手段と、磁気ヘッドへの記録信号入力と磁気ヘッ
    ドからの再生信号出力を行うための記録再生信号処理手
    段を有する磁気記録装置であって、磁気記録媒体が請求
    項1乃至11のいずれかの磁化パターン形成方法により
    磁化パターンが形成されてなることを特徴とする磁気記
    録装置。
  16. 【請求項16】 磁気記録媒体を装置に組みこんだ後、
    上記磁化パターンを磁気ヘッドにより再生し信号を得、
    該信号を基準としてサーボバースト信号を該磁気ヘッド
    により記録してなる、請求項15に記載の磁気記録装
    置。
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