JP5534657B2 - リチウムニッケル複合酸化物の製造方法 - Google Patents

リチウムニッケル複合酸化物の製造方法 Download PDF

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本発明は、リチウムニッケル複合酸化物の製造方法に関し、特に、工業的に製造する際の量産性を向上させるリチウムニッケル複合酸化物の製造方法に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコン等の小型電子機器の急速な拡大とともに、充放電可能な電源として、リチウムイオン二次電池の需要が急激に伸びている。リチウムイオン二次電池の正極材料としては、リチウムコバルト複合酸化物とともにリチウムニッケル複合酸化物が広く用いられている。
通常、リチウムニッケル複合酸化物は、リチウム化合物とニッケル化合物を混合し焼成することにより、製造されている。しかしながら、リチウムコバルト複合酸化物に比べて、電池としての容量を高められるという利点を持つものの、分解温度が低いために、合成時の温度が上げられず、合成時の焼成時間がリチウムコバルト複合酸化物に比べて長くなり、生産性が悪いという問題点がある。
これまで、例えば特許文献1〜7に記載されているように、各種添加元素を添加したニッケル複合酸化物と水酸化リチウムを混合し焼成することにより、リチウムニッケル複合酸化物を合成するという発明について、多数の提案がなされている。
しかしながら、いずれの先行技術においても、原料組成、焼成温度範囲、および、焼成時間などを規定することが記載されているが、大量に処理される実際の工業的な生産工程において、電池性能を劣化させない範囲で、最大の生産性を得られる合成時間と焼成原料の充填量との関係に関しては、記載されていない。
特開平8−222220号公報 特開2002−170562号公報 特開2000−173599号公報 特開平10−214624公報 特開2007−265784号公報 特開2007−273106号公報 特開2008−117729号公報
本発明の目的は、従来技術の問題点に鑑み、工業的な生産工程における生産性を向上させうるリチウムニッケル複合酸化物の製造方法を提供することである。
本発明に係るリチウムニッケル複合酸化物の製造方法は、ニッケル複合酸化物と水酸化リチウムとからなり、かさ密度が0.5g/ml以上2.2g/ml以下である原料混合物を、焼成容器内に40mm以上の所定の焼成前層厚となるように充填して焼成する過程において、雰囲気中の酸素濃度を60vol%以上とし、450℃から650℃までの温度範囲を、式(数1)から求められる通過時間を下回らない最小時間で通過させ、かつ、650℃を超え、800℃以下の最高温度を4時間以上保持することを特徴とする。
Figure 0005534657
本発明は、特に、得られるリチウムニッケル複合酸化物の組成が、LixNi(1-y-z)yz2(式中、Mは、CoおよびMnから選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Nは、AlまたはTiから選ばれた少なくとも1種の元素を示す。xは、0.90〜1.10であり、yは、0.05〜0.35であり、かつ、Zは、0.005〜0.05である。)である場合に適用される。
本発明により、リチウムニッケル複合酸化物を、電池性能の劣化がなく、最大の生産性で合成可能となることから、その工業的利用価値は非常に大きい。
リチウムコバルト複合酸化物およびリチウムニッケル複合酸化物の工業生産においては、一般的にプッシャー炉やローラーハース炉などのように、連続的に焼成可能な炉を使用する。たとえば、リチウムニッケル複合酸化物の工業生産においては、275mm(L)×275mm(W)×95mm(H)といった大きさのセラミック製の容器に、ニッケル複合酸化物と水酸化リチウムとの原料混合物を、2〜5kg程度充填し、所定温度に調節された炉の中で移動させることにより、原料混合物に最適な熱履歴と雰囲気を与え、合成反応を行わせるように、内部に構造を有する炉を使用する。この場合、原料混合物の層厚は40mm以上となる。
連続的な焼成を可能とする構造の炉において、工業的に生産性を向上させる手段としては、炉の通過時間を速めたり、セラミック製の容器に充填する原料混合物の量を多くするという方法がある。
炉の通過時間を速める方法においては、通過時間をあまり速めると、リチウムニッケル複合酸化物の合成反応に、時間が足りず、電池材料として使用可能な結晶成長が行われなくなり、電池性能が劣化するという問題がある。
一方、セラミック製の容器に充填する原料混合物の量をさらに多くすると、容器の底部への酸素の拡散が不足し、式(化1)に示す反応が進行せず、容器の底部において、リチウムニッケル複合酸化物の合成不足が発生し、容量の低下などが発生する。
Figure 0005534657
本発明者らは、工業的な生産工程において、電池性能を低下させず、生産性を向上させることを達成するために、リチウムニッケル複合酸化物の合成条件について、鋭意研究を重ねた結果、原料混合物の焼成前の層厚と昇温速度との間にある関係を見出し、こう鉢充填量を増加させた場合でも、最小の焼成時間で、電池性能が良好なリチウムニッケル複合酸化物を得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
本発明は、工業的な生産工程におけるリチウムニッケル複合酸化物の製造方法に係る。すなわち、本発明では、焼成工程に供される原料混合物のかさ密度が0.5g/ml以上2.2g/ml以下である。かさ密度が0.5g/ml未満では、焼成容器へ一定量充填する際に必要な焼成容器の必要容量が大きくなりすぎて、生産性を著しく低下させる。一方、かさ密度が2.2g/mlを超えると、原料混合物が密に詰まることで酸素拡散が遅くなり、焼成に必要な時間が延びて生産性を低下する。
このような工業的な生産工程では、ニッケル複合酸化物と水酸化リチウムとからなる原料混合物を、焼成容器内に40mm以上の所定の焼成前層厚となるように充填して焼成する過程において、雰囲気中の酸素濃度を60vol%以上とし、450℃から650℃までの温度範囲を、式(数1)から求められる通過時間を下回らない最小時間で通過させ、かつ、650℃を超え、800℃以下の最高温度を4時間以上保持する。
Figure 0005534657
水酸化リチウムとニッケル複合酸化物との反応は、450℃付近から開始する。また、水酸化リチウムの融点は、480℃付近にあり、水酸化リチウムが溶融しながら、ニッケル複合酸化物と反応することとなる。水酸化リチウムとニッケル複合酸化物の反応は、原料混合物の昇温にしたがって進行するが、セラミック容器の底部へ十分な酸素拡散が行われない場合、未反応の溶融した水酸化リチウムがセラミック容器と反応してしまい、実質的にニッケル複合酸化物と化合する水酸化リチウムの量が不足し、生成したリチウムニッケル複合酸化物中に、電池反応を阻害する結晶が混入して、電池性能の低下を招くこととなる。
また、水酸化リチウムと反応しない容器を使用した場合でも、650℃に到達した時点で、まだ未反応の水酸化リチウムとニッケル複合酸化物が存在し、かつ、酸素が不足している場合、式(化2)の副反応が発生し、生成するリチウムニッケル複合酸化物結晶中に、電池反応時にLiイオンの移動を妨げる異相が生じ、電池性能の劣化を招く。
Figure 0005534657
以上の理由により、焼成容器内の原料混合物を均一に反応させ、電池材料に適したリチウムニッケル複合酸化物を得るためには、450℃から650℃までの温度範囲で、焼成容器の底部まで酸素拡散を行わせることが重要となる。
一方、焼成容器内に原料混合物を充填して焼成を行う場合、焼成容器の底部へ酸素が拡散するまでの時間は、焼成容器内の焼成原料の層厚と、焼成時の酸素濃度に依存する。
種々の検討の結果、焼成容器内の原料混合物を均一に反応させ、電池材料に適したリチウムニッケル複合酸化物を得るためには、酸素濃度60vol%以上の焼 成雰囲気で、450℃から650℃までの温度範囲を通過する時間と、焼成容器中の原料混合物の焼成前層厚との間で、式(数1)を満足する必要があることを見出した。
焼成雰囲気中の酸素濃度が60vol%以下では、式(数1)から求められる通過時間を上回る通過時間としても、水酸化リチウムとニッケル複合酸化物の反応が、酸素の拡散律速から酸素の濃度律速となり、反応が十分に進行しない。
また、焼成雰囲気中の酸素濃度が60vol%以上となっていても、式(数1)から求められる通過時間を下回る通過時間では、焼成容器の底部まで酸素が拡散せず、電池反応を阻害する結晶が混入する。
なお、450℃から650℃までの温度範囲における通過時間のとり方は、温度範囲の中の任意の一定温度で保持しても、450℃から650℃までの昇温を徐々に直線的に昇温しても、どちらでも同一の効果が得られる。
実際の操業においては、原料混合物の層厚に応じて、450℃から650℃までの温度範囲における通過時間を、当該式に基づいて算出し、式(数1)から得られる値を下回らない可能な限りの最小時間を設定することにより、効率的な操業が可能となる。なお、最小時間とは、式(数1)から得られる通過時間の1.5倍程度以下の時間をいう。
また、ニッケル複合酸化物と水酸化リチウムの混合物焼成時、保持する最高温度が650℃以下では、生成リチウムニッケル複合酸化物の結晶成長が十分でなく、電池性能に悪影響を与える。
また、800℃以上では、合成で生成したリチウムニッケル複合酸化物が分解を開始し、電池反応時にLiイオンの移動を妨げる結晶が混入し始め、電池性能の低下を招く。
650℃を超え、800℃以下の最高温度を、4時間以下、保持したのみでは、生成するリチウムニッケル複合酸化物の結晶成長が十分でなく、電池性能に悪影響を与える。
なお、本発明は、種々のリチウムニッケル複合酸化物の製造工程に適用可能であるが、特に、得られるリチウムニッケル複合酸化物の組成が、LixNi(1-y-z)yz2(式中、Mは、CoおよびMnから選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Nは、AlまたはTiから選ばれた少なくとも1種の元素を示す。xは、0.90〜1.10であり、yは、0.05〜0.35であり、かつ、Zは、0.005〜0.05である。)である場合に適用される。
例えば、上記組成のリチウムニッケル複合酸化物の製造工程に本発明を適用する場合、原料混合物を構成するニッケル複合酸化物の状態は任意である。例えば、ニッケル複合酸化物が、酸化ニッケルに前記添加元素MおよびNのいずれもが固溶している結晶構造を有するもの、酸化ニッケルに添加元素Mのみが固溶し、これと添加元素Nの酸化物、水酸化物、含水酸化物等を混合したもの、ないしは、酸化ニッケルに前記添加元素Mのみが固溶し、かかる酸化ニッケル粒子(二次粒子)の表面に添加元素Nの酸化物、水酸化物、含水酸化物等を被覆または表面吸着させたもののいずれの状態でもよい。
これらの状態は、公知のニッケル複合酸化物の製造方法に基づいて得ることができる。例えば、ニッケルと添加元素MおよびNを共沈させて、ニッケル複合水酸化物を得て、該ニッケル複合水酸化物を酸化焙焼させることにより、添加元素MおよびNのいずれもが酸化ニッケルに固溶している結晶構造のニッケル複合酸化物が得られる。また、ニッケルと添加元素Mを共沈させて、ニッケル複合水酸化物を得て、該ニッケル複合水酸化物を酸化焙焼して、得られた焙焼物と添加元素Nを混合することにより、酸化ニッケルに添加元素Mのみが固溶し、これと添加元素Nの酸化物、水酸化物、含水酸化物等を混合した状態のニッケル複合水酸化物が得られる。さらに、ニッケルと添加元素Mを共沈させて、ニッケル複合水酸化物を得て、該ニッケル複合水酸化物を酸化焙焼して、得られた焙焼物の表面に添加元素Nを析出させたり、ないしは、ニッケル複合水酸化物の表面に添加元素Nを析出させて、その後、該ニッケル複合水酸化物を酸化焙焼することにより、酸化ニッケルに前記添加元素Mのみが固溶し、かかる酸化ニッケル粒子(二次粒子)の表面に添加元素Nの酸化物、水酸化物、含水酸化物等を被覆または表面吸着させた状態のニッケル複合酸化物が得られる。
以下に、本発明の実施例および比較例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
後述する実施例および比較例で得られたリチウムニッケル複合酸化物は、以下のように電池を作製し、評価した。
[電池の作製方法]
まず、活物質粉末として、得られたリチウムニッケル複合酸化物90質量部と、アセチレンブラック5質量部と、ポリフッカビニリデン(PVDF)5質量部とを混合し、さらに、n−メチルピロリドン(NMP)を添加して、ペースト化した。
次に、厚さ20μmのアルミニウム箔上に、乾燥後の活物質質量が0.05g/cm2になるように塗布し、120℃の温度で真空乾燥を行なった後、直径1cmの円板に打ち抜いて、正極とした。なお、負極としては、リチウム金属を用いた。また、電解液としては、濃度1MのLiClO4を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液を用いて、ポリエチレンからなるセパレータに染み込ませた。なお、2032型のコイン電池の作製は、露点が−80℃の温度に管理されたアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行なった。
[電池の評価方法]
作製された電池を用いて、充放電サイクル特性と熱的安定性による安全性の評価を行なった。作製された電池は、24時間程度、放置し、閉回路電圧(OCV)が安定した後、評価に用いた。
初期充放電容量を調べる場合は、正極に対する電流密度を0.5mAとして、カットオフ電圧4.3V/3.0Vで充放電試験を行った。ここで、初期充放電容量が、175mAh/g以下であるように低い場合には、合成されたリチウムニッケル複合酸化物が、電池材料としての特性で劣ることを意味する。
(実施例1)
酸化ニッケルにコバルトおよびアルミニウムが固溶している結晶構造を有する酸化ニッケルからなるニッケル複合酸化物(Ni0.81Co0.15Al0.042)50kgと、水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)28.568kgとを、攪拌混合機を使用し混合した。本実施例の原料混合物は、かさ密度が0.86g/mlであった。
得られた原料混合物3kgを、内寸が275mm(L)×275mm(W)×95mm(H)のシリカアルミナ製のセラミック容器に充填したところ、原料混合物の焼成前層厚は46mmであった。
その後、酸素濃度が70vol%に保持されたローラーハース炉(株式会社ノリタケカンパニー製)で焼成を行った。焼成時の温度パターンは、常温から450℃までを1時間かけて直線的に昇温し、その後、450℃から650℃までを、焼成前層厚46(mm)×0.0387−1.3477=0.43(時間)以上である0.5時間かけて、直線的に昇温した。さらに、0.5時間かけて700℃まで昇温後、700℃で7.0時間、保持した。
焼成後、冷却し、ピンミルで塊砕後、目開き50μmのふるいでふるい、ふるい下を化学分析し、前述の[電池の作製方法]および[電池の評価方法]にしたがって電池を作製し、初期充放電容量を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1で得られた原料混合物5kgを、内寸が275mm(L)×275mm(W)×95mm(H)のシリカアルミナ製のセラミック容器に充填したところ、原料混合物の焼成前層厚は77mmであった。
その後、酸素濃度が70vol%に保持されたローラーハース炉(株式会社ノリタケカンパニー製)で焼成を行った。焼成時の温度パターンは、常温から450℃までを1時間かけて直線的に昇温し、その後、450℃から650℃までを、焼成前層厚77(mm)×0.0387−1.3477=1.63(hr)以上である2時間かけて、直線的に昇温した。さらに、0.5時間かけて700℃まで昇温後、700℃で7.0時間、保持した。
焼成後、冷却し、ピンミルで塊砕後、目開き50μmのふるいでふるい、ふるい下を化学分析し、前述の[電池の作製方法]および[電池の評価方法]にしたがって電池を作製し、初期充放電容量を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で得られた原料混合物7kgを、内寸が275mm(L)×275mm(W)×95mm(H)のシリカアルミナ製のセラミック容器に充填したところ、原料混合物の焼成前層厚は94mmであった。
その後、酸素濃度が80vol%に保持されたローラーハース炉(株式会社ノリタケカンパニー製)で焼成を行った。焼成時の温度パターンは、常温から450℃までを1時間かけて直線的に昇温し、その後、450℃から650℃までを、焼成前層厚94(mm)×0.0387−1.3477=2.29(hr)以上である2.5時間かけて、直線的に昇温した。さらに、0.5時間かけて700℃まで昇温後、700℃で7.0時間、保持した。
焼成後、冷却し、ピンミルで塊砕後、目開き50μmのふるいでふるい、ふるい下を化学分析し、前述の[電池の作製方法]および[電池の評価方法]にしたがって電池を作製し、初期充放電容量を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
ニッケルとコバルトを固溶した酸化ニッケル(Ni0.85Co0.152)10kgと、酸化チタン(TiO2)116gとを、ビニール袋中で混合し、その後、水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)5.740kgとを、攪拌混合機を使用し混合した。本実施例の原料混合物は、かさ密度が1.1g/mlであった。
得られた原料混合物6kgを、内寸が275mm(L)×275mm(W)×95mm(H)のシリカアルミナ製のセラミック容器に充填したところ、原料混合物の焼成前層厚は72mmであった。
その後、酸素濃度が80vol%に保持されたローラーハース炉(株式会社ノリタケカンパニー製)で焼成を行った。焼成時の温度パターンは、常温から450℃までを1時間かけて直線的に昇温し、その後、450℃から600℃までを、1.5時間かけて、直線的に昇温した。さらに、1時間かけて750℃まで昇温後、750℃で7.0時間、保持した。従って、450℃ら650℃までの温度範囲を通過する時間は、少なくとも1.5時間以上であり、焼成前層厚72(mm)×0.0387−1.3477=1.44(hr)より長い。
焼成後、冷却し、ピンミルで塊砕後、目開き50μmのふるいでふるい、ふるい下を化学分析し、前述の[電池の作製方法]および[電池の評価方法]にしたがって電池を作製し、初期充放電容量を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で得られた原料混合物5kgを、内寸が275mm(L)×275mm(W)×95mm(H)のシリカアルミナ製のセラミック容器に充填したところ、原料混合物の焼成前層厚は77mmであった。
その後、酸素濃度が80vol%に保持されたローラーハース炉(株式会社ノリタケカンパニー製)で焼成を行った。焼成時の温度パターンは、常温から450℃までを1時間かけて直線的に昇温し、その後、450℃から650℃までを、焼成前層厚77(mm)×0.0387−1.3477=1.63(hr)より短い1.5時間かけて、直線的に昇温した。さらに、0.5時間かけて700℃まで昇温後、700℃で7.0時間、保持した。
焼成後、冷却し、ピンミルで塊砕後、目開き50μmのふるいでふるい、ふるい下を化学分析し、前述の[電池の作製方法]および[電池の評価方法]にしたがって電池を作製し、初期充放電容量を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1で得られた原料混合物5kgを、内寸が275mm(L)×275mm(W)×95mm(H)のシリカアルミナ製のセラミック容器に充填したところ、原料混合物の焼成前層厚は77mmであった。
その後、酸素濃度が80vol%に保持されたローラーハース炉(株式会社ノリタケカンパニー製)で焼成を行った。焼成時の温度パターンは、常温から450℃までを1時間かけて直線的に昇温し、その後、450℃から650℃までを、焼成前層厚77(mm)×0.0387−1.3477=1.63(hr)以上である2時間かけて、直線的に昇温した。さらに、0.5時間かけて700℃まで昇温後、700℃で3.0時間のみ、保持した。
焼成後、冷却し、ピンミルで塊砕後、目開き50μmのふるいでふるい、ふるい下を化学分析し、前述の[電池の作製方法]および[電池の評価方法]にしたがって電池を作製し、初期充放電容量を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005534657
なお、実施例1〜4、および比較例1、2のいずれにおいても、安全性に問題はなかった。
以上より明らかなように、本発明は、リチウム2次電池用のリチウムニッケル複合酸化物を、工業的な生産工程において、生産性良く安定して製造することに有用である。

Claims (2)

  1. 連続的に焼成可能な炉を使用して、ニッケル複合酸化物と水酸化リチウムとからなり、かさ密度が0.5g/ml以上1.1g/ml以下である原料混合物を、焼成容器内に40mm以上94mm以下の所定の焼成前層厚となるように充填して焼成する過程において、雰囲気中の酸素濃度を60vol%以上とし、450℃から650℃までの温度範囲を、式(数1)から求められる通過時間を下回らない最小時間で通過させ、かつ、650℃を超え、800℃以下の最高温度を4時間以上保持することを特徴とする、リチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
    Figure 0005534657
  2. 得られるリチウムニッケル複合酸化物は、組成が、LixNi(1-y-z)yz2(式中、Mは、CoおよびMnから選ばれた少なくとも1種の元素を示し、Nは、AlまたはTiから選ばれた少なくとも1種の元素を示す。xは、0.90〜1.10であり、yは、0.05〜0.35であり、かつ、Zは、0.005〜0.05である。)であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムニッケル複合酸化物の製造方法。
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