JP2000072446A - LiNiO2系層状複合酸化物の製造方法 - Google Patents

LiNiO2系層状複合酸化物の製造方法

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JP2000072446A
JP2000072446A JP10235554A JP23555498A JP2000072446A JP 2000072446 A JP2000072446 A JP 2000072446A JP 10235554 A JP10235554 A JP 10235554A JP 23555498 A JP23555498 A JP 23555498A JP 2000072446 A JP2000072446 A JP 2000072446A
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Kaname Takeya
要 武谷
Shigeki Kubo
茂喜 久保
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の結晶構造を有する合成物を作業面を含
めて生産性よく製造することができ、また各種添加元素
への対応も良好で、特にリチウム二次電池正極材料の合
成法として好適で、かつ化学量論組成に近くで純度が高
いLiNiO系岩塩層状構造の物質を容易に製造する
ことができるため、特に純度が高いリチウムイオン二次
電池正極活物質の製造に好適であるLiNiO系層状
複合酸化物の製造方法を提供する。 【解決手段】 少なくともニッケル塩とリチウム塩とを
所定量混合して原料混合物とし、該原料混合物を焼成し
てLiNiOを合成するに際して、前記原料混合物を
造粒し得られた造粒物を焼成することを特徴とするもの
であり、前記原料混合物の造粒時のバインダーとして水
を用い、また前記原料混合物の造粒物を層厚2cm以上
となして焼成することを特徴とし、そして前記焼成時の
雰囲気ガスとして冷却ガスを反応容器上に導入する。ま
た前記原料混合物または焼成合成物を粉砕し、分級して
微粉部を除去することにより、過剰Li含有部分を除去
することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はLiNiO系複合
酸化物の製造方法に関し、より詳しくはリチウム二次電
池のための正極活物質用のLiNiO系層状複合酸化
物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年ノート型コンピューター、携帯電話
などの電子機器のポータブル化が急速に進行し、一層そ
の小型、軽量化が要求されている。そしてこれら小型、
軽量化の要求に伴い駆動用電源として小型、軽量で、か
つ高エネルギー密度を有する二次電池への要望が高ま
り、このような観点からリチウム二次電池の応用が活発
となっている。また電気自動車用あるいは大型電力貯蔵
用としてもリチウム二次電池の応用研究が盛んに行われ
ている。
【0003】現在実用化されているリチウム二次電池用
の正極材料は、岩塩層状構造を有するLiCoOが主
であり、一部LiMnなども採用されている。上
記したLiCoOは、結晶構造の安定性に優れ、約1
50mAh/gの容量を実現できる正極材料であるが、
Coが高価でありかつ価格が大きく変動するため安定供
給に問題がある。一方LiMnは、資源的に豊富
で比較的安価なMnを用いているため経済的には有利で
あるが、120mAh/g程度の容量であるため容量的
に問題がある。
【0004】そこでCo系やMn系に替わるリチウム含
有複合酸化物の研究、開発が進められ、LiNiO
注目されるようになってきた。LiNiOは高容量
で、かつ安価な正極活物質として期待されているが、前
記したLiCoOでは3価のCoが安定しているのに
対して、Niの3価は安定性が劣るために合成方法が難
しいという問題があり、また二次電池として使用する場
合、結晶構造の熱的安定性が劣ることにより安全性に対
する問題が指摘され、かつ良好なサイクル特性が得られ
難いなどの問題もあるために、Co、Al、Mnなどの
添加など種々の改良手段が検討されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そしてLiNiO
焼成合成において、前述したようにCoの3価の安定性
に比べ、Niの3価の安定性が劣るため、焼成合成雰囲
気を酸素雰囲気で行うなどしてより酸素分圧を高めた条
件で製造を行うことが検討されている。
【0006】しかしながら焼成合成用原料は、それぞれ
水酸化物、硝酸塩、炭酸塩などの塩類が用いられるた
め、酸素分圧を高めても合成反応時に水分、窒素酸化
物、炭酸ガスなどが発生して、これらが焼成合成物近傍
の酸素分圧を下げてしまうために、合成反応を阻害して
製品品質を低下させるという問題があった。
【0007】かかる問題の対策としては、層厚を小さく
したり、雰囲気酸素ガス流量を増大したり、また合成時
間を延ばすことなどが有効であるが、いずれも工業生産
上は生産性の低下やコスト高の要因となるなどの別の問
題が発生するものであった。さらに層厚を小さくした場
合は、必然的に反応容器界面(反応容器と焼成物との接
触部分)との接触面積が大きくなってしまう。該反応容
器界面付近の焼成合成物は、汚染などの発生の原因とな
る部位であり、できるだけこのような部位に位置する材
料は少ない方が好ましいが層厚を小さくすることは前記
汚染などの発生の可能性を増大することになる。
【0008】そして合成用原料には、数百μm以下の粒
子径の粉末が用いられるため取り扱い上粉塵が出やす
く、特にLi原料はアルカリ性塩であるため作業環境が
著しく悪化してしまう。またこれらのLiNiO系正
極活物質の製造時には、焼成原料に水酸化リチウムを用
いると焼成時に水酸化リチウムが400℃付近で溶解
し、Li分の揮発が生じるため原料混合物のLi/Ni
比は、1以上に設定しておくことが必要であるが、焼成
反応時に十分に均一な合成反応を維持しつつ、Li揮発
量を調整することは非常に困難であるため、焼成物のL
i/Ni比は殆ど1以上となってしまう。
【0009】この過剰なリチウム成分は吸湿や炭酸化の
原因となり、特に吸湿作用は非水系のLiイオン二次電
池の場合、電池製造工程上の電極コーティングのための
正極活物質のぺースト化の際にゲル状化するなどの問題
となる。また過剰Li分の存在は実質的には、体積当た
りあるいは重量当たりの有効活物質量の低下につなが
り、高容量化に対する要求に反することになってしま
う。
【0010】本発明は、従来の上記した問題点に鑑みな
されたものであり、その目的とするところは所望の結晶
構造を有する合成物を作業面を含めて生産性よく製造す
ることができ、また各種添加元素への対応も良好で、特
にリチウム二次電池正極材料の合成法として好適で、か
つ化学量論組成に近くで純度が高いLiNiO系岩塩
層状構造の物質を容易に製造することができるため、特
に純度が高いリチウムイオン二次電池正極活物質の製造
に好適であるLiNiO系層状複合酸化物の製造方法
を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の第1の実施態様に係るLiNiO系層状複合
酸化物の製造方法は、少なくともニッケル塩とリチウム
塩とを所定量混合して原料混合物とし、該原料混合物を
焼成してLiNiOを合成するに際して、前記原料混
合物を造粒し得られた造粒物を焼成することを特徴とす
るものであり、前記原料混合物の造粒時のバインダーと
して水を用い、また前記原料混合物の造粒物を層厚2c
m以上となして焼成し、さらに前記焼成時の雰囲気ガス
として冷却ガスを反応容器上に導入することを特徴とす
る。そして前記焼成時の雰囲気ガスとして冷却ガスを反
応容器上に導入するとともに、焼成合成物を粉砕し、分
級して微粉部を除去することにより、過剰Li含有部分
を除去することが好ましい。
【0012】また本発明の第2の実施態様に係るLiN
iO系層状複合酸化物の製造方法は、少なくともニッ
ケル塩とリチウム塩とを所定量混合して原料混合物と
し、該原料混合物を焼成してLiNiOを合成するに
際して、前記焼成合成物を粉砕し、分級して微粉部を除
去することにより、過剰Li含有部分を除去することを
特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施態様は、水酸
化ニッケルなどのようなニッケル塩と、水酸化リチウム
などのようなリチウム塩とを主成分とする合成原料を所
定量混合して原料混合物とし、該原料混合物を焼成して
LiNiOを合成するに際して、前記原料混合物を造
粒し、得られた造粒物を焼成処理するものであり、前記
原料混合物の造粒時のバインダーとして水を用い、また
該原料混合物の造粒物を層厚2cm以上で焼成するもの
である。
【0014】前述のように前記原料混合物を造粒した
後、焼成を実施することにより、従来焼成時に金属成分
の汚染などの可能性の少ないセラミックス製の容器を用
いていたが、合金製の容器を用いた場合でも、焼成物中
の金属元素の汚染などを低く抑えることができ、またこ
のような合金製の容器を用いることによってセラミック
ス製の容器に比較して、割れなどの容器の破損の問題を
解決することが可能となる。そして焼成時の雰囲気ガス
としては冷却管を用いた冷却ガスを反応容器上に導入す
ることが好ましい。
【0015】また本発明の第2の実施態様は、水酸化ニ
ッケルなどのようなニッケル塩と、水酸化リチウムなど
のようなリチウム塩とを主成分とする合成原料を所定量
混合して原料混合物とし、該原料混合物を焼成してLi
NiOを合成するに際して、前記混合物を造粒して得
られた造粒物を焼成した後、または該造粒なしに焼成し
た後、焼成合成物を粉砕・分級して微粉部を除去するこ
とにより過剰Li含有部分を除去するものである。
【0016】本発明において上記した少なくもニッケル
塩とリチウム塩とからなる合成原料粉体を造粒するため
に使用されるバインダーとしては、ポリビニルアルコー
ル水溶液などの有機系溶液が一般的に用いられるが、本
発明におけるLiNiO合成においては、特に原料リ
チウム塩としてニッケル塩と反応性が良好な水酸化リチ
ウムを用いると、焼成時のC成分の存在により合成反応
性が悪い炭酸リチウムの生成を招くため好ましくない。
したがって本発明においては原料混合物の造粒時のバイ
ンダーとして、C成分を含有しない水を用いることが好
ましい。
【0017】さらに前記組成の原料混合物の造粒物を焼
成に用いることにより、粒子間の通気性が向上するた
め、層厚2cm以上でも合成反応ムラがない良好な焼成
を行うことができるため、反応容器当たりの焼成量の大
幅増加が可能になり生産性が向上し、結果として不純物
の混入を一層抑制することができるのである。
【0018】また層厚を厚くした場合、焼成時の雰囲気
ガスとして用いられる空気、酸素またはオゾンを含んだ
ガスを冷却して反応容器上に導入することによって加熱
雰囲気中では相対的に導入ガス比重が大きくなり、導入
ガスはより下部へ移動して、原料塩の分解ガスとの置換
反応が効果的に進むため、より内部まで均一な反応が実
現できることになる。
【0019】なお合成原料の主成分とするニッケル塩と
リチウム塩は、粉体の状態で使用すると、混合、取り出
しや反応容器の装入時に、粉塵が浮遊し、特に塩基性が
高いリチウム塩は、作業環境を著しく悪化させることに
なるが、本発明では前記した合成原料を混合・造粒する
ために、それ以降の工程のハンドリング、作業環境は、
著しく向上させることができる。
【0020】また添加元素や添加方法については特に限
定するものではなく、目的添加元素の塩を混合、造粒す
る時に所定量投入する方法、ニッケル塩製造時に共沈法
などにより予めニッケル塩中に固溶させておく方法、あ
るいは用いる原料塩に予め目的添加元素を別途分散処理
して、混合、造粒に使用するなどの方法で添加すること
ができる。
【0021】またリチウム塩とニッケル塩の焼成反応
は、焼成後ニッケル塩の形状を比較的維持したものが多
いため、ニッケル塩へのリチウム塩の拡散を主とした反
応と推定されている。この焼成後のLiNiOの結晶
構造としては、スピネル型より岩塩層状型を有するもの
が電池材料として適している。例えばJounal o
f the Ceramic Society ofJ
apan 102[3]1994によれば、LiNiO
の岩塩構造の発達の度合いは、XRD(X線回折法)
測定による強度比(I(006)+I(102)/I
(101)を指標とすることができると記載されてお
り、通常の空気中の焼成ではこの値は0.78であるの
に対し、酸素中の焼成では0.46程度となり、岩塩層
状構造が発達して放電容量が増加し、電池材料として好
ましい述べられている。
【0022】所望の岩塩層状構造のLiNiOを得る
場合、600℃以上の焼成温度が必要であるが、特にリ
チウム塩として水酸化リチウムを用いた場合には400
℃付近以上で溶融して急激にニッケル塩との接触面積が
増大して固体−融体反応により反応が進行する。よっ
て、焼成合成物の接触海面には高温で融体であった未反
応の水酸化リチウムの微細な凝固物や、反応中間体的な
高リチウム化合物相が存在し、接触海面は高リチウム領
域相となっている。
【0023】焼成合成物を粉砕して分級した場合、生成
化合物の接触界面から粉砕・割れが発生し前記高リチウ
ム領域相の微粉化が進行するため、原料混合物を焼成し
た後、焼成合成物を粉砕して微粉部を分級除去すること
が、高リチウム領域相を除去することに極めて有効であ
る。この分級除去は、製品ロスの抑制や現在普及してい
る分級機の性能から1〜3μm程度を分級点とし、それ
以下の粒子径のものを除去することが好ましい。一方粗
粒部分が多く残っても、その効果が十分に発揮されず、
またLi二次電池正極は約百μm程度の厚さのシート状
とされるため、約50μm以下の粒子径とすることが必
要であり、したがって前記分級点以上で50μm以下の
粒子径のものを回収することが好ましい。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに説明
する。 [実施例1]平均粒子径10μmの水酸化ニッケルを
4.0kgと300μm以下の水酸化リチウム一水塩
1.42kgを、内容積が約10リットルで容器下部と
内壁横に撹拌プロペラを配設した、いわゆる撹拌式混合
造粒装置に装入し、十分撹拌混合した後、水を400c
c滴下し約0.5mmの造粒物を得た。得られた造粒物
を、内寸24cm角、深さ4.5cmのアルミナ製容器
に入れ、その造粒物の層厚を2cmとして箱型マッフル
炉に装入した。ついで酸素ガスを3リットル/分の流量
で導入しながら、700℃まで昇温し、24時間保持し
た後、冷却して焼成合成物を得た。
【0025】得られた焼成合成物の重量は1.45kg
で、化学成分はLi:7.42重量%、Ni:59.4
重量%であり、該焼成合成物をXRD測定したところ図
1に示すように回折角37゜と64゜のそれぞれのピー
クが完全に分離した代表的な岩塩層状構造を呈するもの
であった。XRD測定結果から、XRD強度比(I(0
06)+I(102))/I(101)を算出したとこ
ろ、0.409であった。ここでI(006)は、図1
の2θが38°付近の左側、I(102)は、38°付
近の右側、I(101)は36.7°の大きなピークの
ことである。このXRD測定による強度比が低いほど所
望の岩塩層状構造の層構造の発達を示しており、充分低
い値であった。
【0026】この分級前の焼成合成物のNi重量%/L
i重量%比は、8.01であるが、目的のLiNiO
の化学量論組成のNi重量%/Li重量%比は8.45
であった。すなわちこの分級前の焼成合成物では、XR
D測定では同定できないが、Liが過剰に残留している
ことが分かった。この焼成合成物を粒子径が50μm以
下に粉砕し、風力分級機により3μmの分級点を目標に
分級した。回収された分級品をマイクロトラックにより
粒度分布を測定したところ粗粒部分は91%、微粉部は
9%であった。
【0027】図2に粉砕後、図3に粉砕−分級後の粗粒
部の粒度分布を示すが、これらの粒度分布の関係から良
好に目的の粒度に分級されていることが分かった。それ
らの化学成分は、粗粒部でLi:7.25重量%、N
i:60.0重量%、Ni重量%/Li重量%比は8.
28であり、また微粉部でLi:9.14重量%、N
i:53.3重量%、Ni重量%/Li重量%比は5.
83であり、粉砕−微粉部除去により、高Li相が除去
されてより化学量論組成に近く、かつ所望の発達した岩
塩層状構造を有するXRD強度比Iは、0.401の合
成物が得られた。
【0028】[比較例1]合成原料の混合工程を含めた
が、造粒しなかった以外は実施例1と同様の条件で、焼
成合成物を得た。得られた合成物の重量は0.71kg
であり、反応容器への投入重量が少ないため層厚2cm
では嵩高くなってしまった。化学成分はLi:7.41
重量%、Ni:59.5重量%であり、焼成合成物のX
RD測定で岩塩層状構造であった。一方得られた焼成合
成物のXRD強度比Iは、0.427と高く、実施例1
より岩塩層状構造の発達が劣ることを示した。
【0029】[実施例2]比較例1で得られた焼成合成
物のNi重量%/Li重量比は、59.5/7.41で
あり、8.03となるが、実施例1で述べたようにLi
NiOの化学量論組成での値は8.45であり、XR
D測定では同定できないがLiが過剰に残っていること
が分かった。比較例1で得られた焼成合成物を実施例1
の処理と同様に、粒子径が50μm以下に粉砕し、風力
分級機により3μmの分級点を目標に分級した。回収さ
れた分級品をマイクロトラックにより粒度分布を測定し
たところ、粗粒部は93%、微粉部は7%であり、実施
例1と同様に良好に分級されていた。それらの化学成分
は、粗粒部でLi:7.21重量%、Ni:59.9重
量%、Ni重量%/Li重量%比は8.31であり、ま
た微粉部でLi:10.1重量%、Ni:54.2重量
%、Ni重量%/Li重量%比は5.37であった。微
粉部除去により、高Li相が除去されてより化学量論組
成に近く、発達した岩塩層状構造を有するXRD強度比
Iが0.407の合成物が得られた。このように本発明
では造粒しない条件においても、粉砕、分級操作により
製品品質を向上することが分かった。
【0030】[比較例2]造粒時のバインダーにポリビ
ニルアルコール水溶液を用いた以外は、実施例1と同様
の条件で焼成合成物を得た。得られた焼成合成物の重量
は1.48kgで、化学成分はLi7.41重量%、N
i59.4重量%であり、合成物をXRD測定したとこ
ろ岩塩層状構造であった。一方得られた焼成合成物のX
RD強度比Iは、0.438と高く、実施例1および比
較例1より岩塩層状構造の発達はさらに劣ることを示し
た。なお組成:LiNiOで造粒物の層厚を2cmと
した場合の造粒、真空乾燥の有無および造粒バインダー
の影響を比較すると、下記表1の通りである。
【0031】
【表1】
【0032】[実施例3]平均粒子径12μmのコバル
ト固溶水酸化ニッケル(Ni:54.1重量%、Co:
9.3重量%)を4.0kgと300μm以下の水酸化
リチウム一水塩1.43kgを、内容積約10リットル
で容器下部と内壁横に撹拌プロペラを配設した、いわゆ
る撹拌式混合造粒装置に装入し十分撹拌混合した後、水
を400cc滴下し約0.5mmの造粒物を得た。その
後前記造粒物を層厚8cmとすること以外は実施例1と
同様の条件で、焼成合成物を得た。得られた焼成合成物
の重量は5.85kgであった。化学成分はLi:7.
08重量%、Ni:51.3重量%、Co:8.80重
量%であり、焼成合成物のXRD測定で、岩塩層状構造
であった。一方得られた焼成合成物のXRD強度比I
は、0.417と低く、実施例1と同等の岩塩層状構造
の発達を示した。
【0033】[実施例4]雰囲気酸素ガスを冷却ノズル
から導入すること以外は、実施例3と同様の方法で焼成
合成物を得た。得られた焼成合成物の重量は5.88k
gであった。化学成分はLi:7.01重量%、Ni:
51.4重量%、Co:8.82重量%であり焼成合成
物のXRD測定では岩塩層状構造であった。一方得られ
た焼成合成物のXRD強度比Iは、0.408と低く、
実施例3より岩塩層状構造が発達していることを示し
た。
【0034】[比較例3]造粒をしないこと以外は実施
例3と同様にして焼成合成物を得た。得られた焼成合成
物の重量は4.79kgであった。化学成分はLi:
6.99重量%、Ni:51.3重量%、Co:8.8
1重量%であり焼成合成物のXRD測定で岩塩層状構造
であった。一方得られた焼成合成物のXRD強度比I
は、0.457と高く、実施例3、実施例4より岩塩層
状構造の発達は著しく劣っていることを示した。なお組
成:LiNi0.9Co0.1で造粒物を層厚8c
mとし、アルミナ容器を使用した場合の造粒の有無の影
響を比較すると、下記表2の通りである。
【0035】
【表2】
【0036】[実施例5]造粒物の層厚を2cmにする
ことと、インコネル600(Ni>72%、Cr14〜
17%、Fe6〜10%、C<0.15%のNi−Cr
−Fe系高温耐食耐熱材)製金属容器を用いること以外
は実施例3と同様の方法で焼成合成物を得た。得られた
焼成合成物の化字成分はLi:7.09重量%、Ni:
51.2重量%、Co:8.79重量%であり、焼成合
成物のXRD測定では岩塩層状構造であった。一方得ら
れた焼成合成物のXRD強度比Iは、0.418と低
く、実施例3と同等の岩塩層状構造の発達を示した。ま
た前記合金容器からの汚染成分としてCr含有量の比較
をおこなったところ、0.07重量%と僅かであった。
【0037】[比較例4]造粒しないこと以外は実施例
5と同様の方法で焼成合成物を得た。得られた焼成合成
物の化学成分はLi:7.03重量%、Ni:51.1
重量%、Co:8.62重量%であり、焼成合成物のX
RD測定では岩塩層状構造であった。一方得られた焼成
合成物のXRD強度比Iは、0.420と比較的低いが
実施例5に比べて岩塩層状構造の発達はやや劣っている
ことを示した。また前記合金容器からの汚染成分として
Cr含有量の比較をおこなったところ、0.38重量%
であり、実施例5に比べて汚染物量が多い結果を示し
た。なお組成:LiN10.9Co0.102で造粒物
を層厚2cmとし、合金容器(インコネル600)を使
用した場合の造粒の有無の影響を比較すると、下記表3
の通りである。
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】以上述べた通り本発明に係るLiNiO
系層状複合酸化物の製造方法によれば、所望の結晶構
造を有する焼成合成物を、作業面を含めて生産性よく製
造することができ、また各種添加元素への対応も良好
で、特にリチウム二次電池正極材料の合成法として好ま
しいものである。さらに本発明によればより化学量論組
成に近く純度が高いLiNiO系岩塩層状構造の物質
を製造することが容易にできるため、特に純度が高いリ
チウムイオン二次電池正極活物質の製造に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の焼成合成物のXRD測定に
よるプロフアイルを示すグラフである。
【図2】粉砕後の粒度分布を示すグラフである。
【図3】粉砕一分級後の粗粒部の粒度分布を示すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G048 AA04 AB05 AC06 AD01 AE05 5H003 AA08 BA00 BA01 BA03 BA04 BB11 BC01 BC05 BD02 5H014 AA01 AA02 BB00 BB01 BB06 CC01 EE10 HH06 5H029 AJ14 AK03 CJ00 CJ01 CJ02 CJ08 CJ12 CJ28 DJ16 DJ17 HJ04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともニッケル塩とリチウム塩とを
    所定量混合して原料混合物とし、該原料混合物を焼成し
    てLiNiOを合成するに際して、前記原料混合物を
    造粒し得られた造粒物を焼成することを特徴とするLi
    NiO系層状複合酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記原料混合物の造粒時のバインダーと
    して水を用いることを特徴とする請求項1記載のLiN
    iO系層状複合酸化物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記原料混合物の造粒物を層厚2cm以
    上となして焼成することを特徴とする請求項1または2
    記載のLiNiO系層状複合酸化物の製造方法。
  4. 【請求項4】 焼成時の雰囲気ガスとして冷却ガスを反
    応容器上に導入することを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれか1項記載のLiNiO系層状複合酸化物の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 焼成合成物を粉砕し、分級して微粉部を
    除去することにより、過剰Li含有部分を除去すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のLiN
    iO系層状複合酸化物の製造方法。
  6. 【請求項6】 少なくともニッケル塩とリチウム塩とを
    所定量混合して原料混合物とし、該原料混合物を焼成し
    てLiNiOを合成するに際して、前記焼成合成物を
    粉砕し、分級して微粉部を除去することにより、過剰L
    i含有部分を除去することを特徴とするLiNiO
    層状複合酸化物の製造方法。
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