JP5534124B2 - 吸湿もしくは吸放湿性付与剤 - Google Patents
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(A):スルホン酸(塩)基を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘
導体(a1)、ポリカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体(a2)、お
よびジオール(a3)からなるポリエステル
(B):ポリオキシアルキレン鎖含有化合物
;該付与剤を熱可塑性樹脂(C)に含有させてなる吸湿もしくは吸放湿性樹脂組成物;該組成物を成形してなる成形品;並びに該付与剤を樹脂成形品の表面に塗布してなる成形物品に関するものである。
また、芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、上記芳香族ジカルボン酸の低級アルキル(C1〜4、例えばメチル、エチル等)エステル、その塩(上記に同じ)、酸無水物および酸ハライド(酸クロライド等)が挙げられる。上記(a1)は2種以上を併用してもよい。
これらのうち後述する熱可塑性樹脂(C)との相溶性の観点から好ましいのは脂肪族および芳香族ポリカルボン酸、さらに好ましいのはアジピン酸およびイソフタル酸である。上記(a2)は2種以上を併用してもよい。
脂肪族ジオールおよびそのAO付加物には、C2〜10、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール(以下それぞれEG、DEG、TMG、PG、DPG、BD、HD、NPGと略記)、およびこれらのAO付加物;脂環含有ジオールには、C5〜8、例えばシクロペンタンジオール(シクロペンタン1,2−および1,3−ジオール)、シクロヘキサンジオール(シクロヘキサン−1,2−、1,3−および1,4−ジオール)(以下それぞれCPG、CHGと略記)、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、およびこれらのAO付加物;芳香脂肪族ジオールには、C8〜20、例えばキシリレングリコール、ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、およびこれらのAO付加物が含まれる。
上記AOとしては、C2〜4、例えばエチレンオキシド(以下EOと略記)、プロピレンオキシド(以下POと略記)、ブチレンオキシドおよびこれらの併用(付加形式はランダムおよび/またはブロックのいずれでもよい)が挙げられ、これらのうち親水性付与の観点から好ましいのはEOである。
ポリオキシアルキレン(アルキレンはC2〜4)には、数平均分子量[以下Mnと略記。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]1,000〜30,000の、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン等が含まれる。
これらの(a3)のうち親水性付与の観点から好ましいのは、EG、ポリオキシエチレンおよびこれらの混合物である。上記(a3)は2種以上を併用してもよい。
(a1)/(a2)のモル比は、吸湿もしくは吸放湿性および後述する成形品の機械物性の観点から好ましくは1/5〜1/1、さらに好ましくは1/4〜1/2である。
触媒としては、スルホン酸〔脂肪族スルホン酸(C1〜4、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸)、芳香族スルホン酸[C6〜15、例えばベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸]等〕、およびIA族(ナトリウム、カリウム等)、IIA族(カルシウム、マグネシウム等)、IIB族(亜鉛、カドミウム等)、IVB族(ジルコニウム等)、VIIB族(マンガン等)およびVIII族(鉄、コバルト、ニッケル等)からなる群から選ばれる金属の有機酸(C2〜8、例えば酢酸、プロピオン酸、オクチル酸)塩、アンチモン触媒(例えば、三酸化アンチモン)、錫触媒(例えば、モノブチル錫オキシド、ジブチル錫オキシド)、チタン触媒(例えば、テトラブチルチタネート)、ジルコニウム触媒(例えば、テトラブチルジルコネート)が挙げられる。 これらのうち反応速度および生成物の着色抑制の観点から好ましいのはテトラブチルチタネートである。
(A)中のスルホン酸(塩)基1個当たりのMnは、後述する熱可塑性樹脂(C)との相溶性および吸湿もしくは吸放湿性付与の観点から好ましくは1,000〜16,000、さらに好ましくは2,000〜7,000である。
上記(B)のうち、吸湿もしくは吸放湿性の観点から好ましいのは、脂肪族ジオ−ルのAO付加物(付加モル数14〜700)、さらに好ましいのはEGのEO90〜455モル付加物である。
(B)中のポリオキシアルキレン鎖の含有量は吸湿性もしくは吸放湿性の観点から好ましくは50〜100重量%、とくにEOを構成単位として含有する場合はさらに好ましくは80〜100重量%である。
(A)と(B)の重量比は吸湿もしくは吸放湿性の観点から好ましくは5/95〜95/5、さらに好ましくは10/90〜90/10、とくに好ましくは50/50〜85/15である。
(A)と(B)の混合方法としてはとくに限定されることはなく、プラネタリーミキサー等の混合装置を用いて、通常80〜120℃で1〜4時間均一に混合することにより製造される。
光安定剤としては、ヒンダードアミン化合物[ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−トリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等]等;
酸化防止剤(D4)としては、フェノール[2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)等]、硫黄化合物[ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート(DLTDP)等]、リン化合物[トリフェニルホスファイト(TPP)等]、アミン[オクチル化ジフェニルアミン等]等;
帯電防止剤(D5)としては、アニオン界面活性剤[(A)を除くスルホン酸塩型、硫酸エステル塩型、リン酸エステル塩型等]、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、非イオン界面活性剤[ポリエーテルエステルアミド等]等;
染料(D7)としては、アゾ系、アントラキノン系、インジゴ系、硫化物系、トリフェニルメタン系、ピラゾロン系、スチルベン系、ジフェニルメタン系、キサンテン系、アリザリン系、アクリジン系、キノンイミン系、チアゾール系、メチン系、ニトロ系、ニトロソ系、アニリン系等;
発泡剤(D9)としては、低級(C1〜5)脂肪族炭化水素(プロパン、ペンタン等)、塩素化脂肪族炭化水素(C1〜5、例えば塩化メチレン)、フッ素化脂肪族炭化水素(C1〜10、例えばフッ化エチレン)、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、ホウ水素化ナトリウム、アゾ化合物(C2〜50、例えばアゾジカルボンアミド)、ニトロソ化合物(C5〜50、例えばジニトロソペンタメチレンテトラミン)、ヒドラジド化合物(C1〜20、例えばp−トルエンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン)等が挙げられる。
溶融混練の条件としては、温度は通常100〜300℃、好ましくは吸湿もしくは吸放湿性付与剤および(C)の軟化点(測定は環球式:JIS K 2207−96による、以下同じ)より0〜100℃高い温度、圧力は通常0.1〜15MPaである。
また、該付与剤を含有しない樹脂のみの成形品における樹脂としては、成形品の製造に用いられる樹脂であれば特に限定はなく、上記熱可塑性樹脂(C)および熱硬化性樹脂が挙げられる。
これらの熱硬化性樹脂のうち、吸湿もしくは吸放湿性発現の観点から好ましいのは不飽和ポリエステル樹脂および熱硬化性ポリウレタン樹脂である。
吸放湿率は、繊維に関しては衣服着用時の衣服内の湿気を外気に放出することにより着心地性(快適性)を得るための指標であり、軽〜中作業あるいは軽〜中運動を行った際の30℃、相対湿度90%に代表される衣服内温湿度と、20℃、相対湿度65%に代表される外気温湿度との吸湿率差であって、該吸放湿率を上記範囲にすることによって、着心地性を向上させることができる。
なお実施例および比較例に記載した成形品の物性評価は以下の方法に従った。
・成形品試験片形状 タテ×ヨコ×厚み=100×50×0.5(mm)
・吸放湿率(%)=b−a
但し、aは20℃、相対湿度65%の雰囲気下で試験片を24時間静置した後の吸
湿率(%)で、下式から得られる値であり、
a=(静置後の重量−絶乾時の重量)×100/絶乾時の重量
bは30℃、相対湿度90%の雰囲気下で試験片を24時間静置した
後の吸湿率(%)で、下式から得られる値である。
b=(静置後の重量−絶乾時の重量)×100/絶乾時の重量
ここにおいて、静置後の重量および絶乾時の重量とは次の条件で測定した試験片の
重量である。
静置後の重量:試験片を上記各条件に静置した直後に測定した重量。
絶乾時の重量:試験片を105℃の恒温乾燥機内に1.5時間静置後、取出して乾燥
剤(シリカゲル等)入りデシケーター(20℃)内に30分間静置し
た後に測定した重量。
2.表面固有抵抗
試験片を20℃、相対湿度65%の雰囲気下で24時間静置後、同温湿度雰囲気下で超絶縁計[(株)アドバンテスト製]により測定した。
3.引張強度
JIS K7127(プラスチック−引張特性の試験方法−第3部:フィルム及びシートの試験条件)に従って、オートグラフ[AGS−500B、(株)島津製作所製]により測定した。
実施例1
Mn8,300のポリエチレングリコール[PEG−6000S、三洋化成工業(株)製]830部、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩ジエチレングリコールエステルのEG溶液[SIPE−40L、三洋化成工業(株)製]108部、アジピン酸29部、イソフタル酸10部およびテトラブチルチタネート0.2部を反応容器に仕込み、5mmHgの減圧下で190℃まで昇温し、水およびEGを留去しながら12時間エステル交換反応させて、ポリエステルを得た。これにMn20,000のポリエチレングリコール[PEG20000、三洋化成工業(株)製、以下同じ。]226部を加え、100℃で2時間溶融混合して、吸湿もしくは吸放湿性付与剤(K1)を得た。
実施例1において、Mn8,300のポリエチレングリコール830部に代えて、Mn2,000のポリエチレングリコール[PEG−2000、三洋化成工業(株)製]200部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、ポリエステルを得た。これにMn4,000のポリエチレングリコール[PEG−4000S、三洋化成工業(株)製、以下同じ。]226部を加え、100℃で2時間溶融混合して、吸湿もしくは吸放湿性付与剤(K2)を得た。
実施例1において、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩ジエチレングリコールエステルのEG溶液108部、イソフタル酸10部に代えて、エチレングリコール10部、イソフタル酸37部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、ポリエステルを得た。これにMn20,000のポリエチレングリコール226部を加え、100℃で2時間溶融混合して、吸湿もしくは吸放湿性付与剤(比K1)を得た。
実施例1において、Mn20,000のポリエチレングリコールを100℃で溶融混合しないこと以外は実施例1と同様に行い、吸湿もしくは吸放湿性付与剤(比K2)を得た。
実施例3
(K1)16部およびポリエチレンテレフタレート[MA−2103、ユニチカ(株)製、以下同じ。]64部をラボプラストミル[MODEL30R150、(株)東洋精機製作所製、以下同じ。]で280℃、30rpmで5分間混練後、小型プレス成形機[SA−302、テスター産業(株)製、以下同じ。]を用いて280℃、5kg/cm2で圧縮し、吸湿もしくは吸放湿性シート(S1)(厚み0.5mm)を得た。
(K2)16部および6−ナイロン[A1030BRL、ユニチカ(株)製]64部をラボプラストミルで240℃、30rpmで5分間混練後、小型プレス成形機を用いて240℃、5kg/cm2で圧縮し、吸湿もしくは吸放湿性シート(S2)(厚み0.5mm)を得た。
ポリエチレンテレフタレートのみを小型プレス成形機を用いて、280℃、5kg/cm2で圧縮成形して得た樹脂シート(厚み0.5mm)の表面に、(K1)10部をN,N−ジメチルホルムアミド90部に溶解させた溶液を固形分として1g/m2塗布し、吸湿もしくは吸放湿性シート(S3)を得た。
6−ナイロンのみを小型プレス成形機を用いて、240℃、5kg/cm2で圧縮成形して得た樹脂シート(厚み0.5mm)の表面に、(K2)10部をN,N−ジメチルホルムアミド90部に溶解させた溶液を固形分として1g/m2塗布し、吸湿もしくは吸放湿性シート(S4)を得た。
実施例3において、(K1)16部に代えて、(比K1)16部を用いたこと以外は実施例3と同様にして吸湿もしくは吸放湿性シート(比S1)を得た。
実施例3において、(K1)16部に代えて、(比K2)16部を用いたこと以外は実施例3と同様にして吸湿もしくは吸放湿性シート(比S2)を得た。
実施例5において、(K1)10部に代えて、(比K1)10部を用いたこと以外は実施例5と同様にして吸湿もしくは吸放湿性シート(比S3)を得た。
実施例5において、(K1)10部に代えて、(比K2)10部を用いたこと以外は実施例5と同様にして吸湿もしくは吸放湿性シート(比S4)を得た。
ポリエチレンテレフタレートのみを小型プレス成形機を用いて、280℃、5kg/cm2で圧縮成形して樹脂シート(厚み0.5mm)(比S5)を得た。
6−ナイロンのみを小型プレス成形機を用いて、280℃、5kg/cm2で圧縮成形して樹脂シート(厚み0.5mm)(比S6)を得た。
得られたシートの吸湿率、吸放湿率、表面固有抵抗および引張強度測定結果を表1に示す。表1の結果から、実施例の成形シートは樹脂本来の機械物性を損なうことなく、比較例の成形シートに比べて優れた吸湿性、吸放湿性および帯電防止性を有することがわかる。
Claims (7)
- 下記(A)と(B)の混合物からなることを特徴とする吸湿もしくは吸放湿性付与剤。
(A):スルホン酸(塩)基を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体(a1)、(a1)以外のポリカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体(a2)、およびジオール(a3)からなり、(a1)/(a2)のモル比が1/5〜1/1であり、(a3)が、数平均分子量1,000〜30,000のポリオキシエチレンであるポリエステル(但し、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルに5−ナトリウムスルホイソフタル酸を10モル%以上50モル%未満共重合した共重合ポリエステルを除く)
(B):エチレングリコールのエチレンオキシド90〜455モル付加物 - (A)と(B)の重量比が10/90〜90/10である請求項1記載の付与剤。
- 請求項1または2記載の付与剤を熱可塑性樹脂(C)に含有させてなる吸湿もしくは吸放湿性樹脂組成物。
- 吸湿もしくは吸放湿性付与剤の含有量が熱可塑性樹脂(C)の重量に基づいて0.5〜50%である請求項3記載の組成物。
- さらに、安定剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、顔料、染料、充填剤および発泡剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有させてなる請求項3または4記載の組成物。
- 請求項3〜5のいずれか記載の組成物を成形してなる、フィルム、シートおよびブロック物からなる群から選ばれる成形品。
- 請求項1または2記載の付与剤を樹脂成形品の表面に塗布してなる成形物品。
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