JP4342159B2 - 難燃性樹脂組成物及び難燃性成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性樹脂組成物及びこれから成形した難燃性成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックは、その優れた加工性や物性から、包装材、日用品、農業土木系資材、家電部品、自動車部品等に広く使用されている。その一方で、枯渇性資源である石油を原料としている点や、使用後廃棄されたときの廃棄物処理等が大きな社会問題になっている。
【0003】
これらの問題を解決するために、植物由来の生分解性プラスチックが、実用化され始めている。代表的な製品例としては、ポリ乳酸があげられる。ポリ乳酸は、とうもろこしや砂糖大根を原料とし発酵を行って得られる乳酸を重合したプラスチックである。
【0004】
ところが、ポリ乳酸は、包装材や日用品のような消費材として実用化された例は多数ある(特許文献1、特許文献2等参照)が、家電部品や自動車部品のような耐久材として高度な要求特性が求められる分野には、使用実績がほとんどない。
【0005】
これは、家電部品や自動車部品として使用する場合に、日本工業規格(JIS)やUL(Under−writer Laboratory)規格に決められている難燃性規格を満たす必要があるが、ポリ乳酸及びポリ乳酸を含有する既知の組成物は、ほとんど難燃性を有さないため、上記規格を満たさないからである。
【0006】
これに対し、特許文献3には、生分解性プラスチックに水酸化アルミニウム粉末又は水酸化マグネシウム粉末を添加する方法が開示され、難燃性が付与された樹脂が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−207041号公報
【特許文献2】
特開平7−308961号公報
【特許文献3】
特開平8−252823号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献3において使用される生分解性プラスチックがポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルである場合、水酸化アルミニウム粉末や水酸化マグネシウム粉末等の水酸化物を添加すると、加水分解が生じてしまうため、特に、溶融コンパウンド中や溶融成形加工中に、大幅な分子量低下が起こりやすい。このため、得られる樹脂組成物や成形体に、強度等の物性の低下が生じてしまい、実用には適さなくなってしまう。
【0009】
そこで、この発明は、難燃性を付与すると共に、分子量の低下を抑制した乳酸系樹脂を含有する樹脂組成物、及びこの樹脂組成物から得られる成形体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、乳酸系樹脂を主成分とする樹脂組成物に、ノンハロゲン系非イオン性難燃剤又は窒素系難燃剤を添加した難燃性樹脂組成物を用いることにより上記の課題を解決したのである。
【0011】
ノンハロゲン系非イオン性難燃剤又は窒素系難燃剤を用いるので、樹脂組成物の分子量低下を抑制しながら難燃性を発揮させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明にかかる難燃性樹脂組成物は、乳酸系樹脂を主成分とする樹脂組成物に、所定の難燃剤を添加したものである。
【0013】
上記乳酸系樹脂とは、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸である、ポリ(DL−乳酸)やこれらの混合体、さらには、上記L−乳酸及び/又はD−乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸、又はジオール及びジカルボン酸との共重合体をいう。
【0014】
このとき、乳酸系樹脂における乳酸のDL構成は、L体:D体=100:0〜90:10、又は、L体:D体=0:100〜10:90であることが好ましく、L体:D体=100:0〜94:6、又は、L体:D体=0:100〜6:94であることがより好ましい。かかる範囲外では、得られる樹脂組成物を成形して得られる成形体の耐熱性が十分でない傾向にあり、用途が制限されることがある。一方、上記の範囲内とすることにより、特に、自動車部品や家電部品としてより高い耐熱性を得るためのステレオコンプレックスを形成させることができる。
【0015】
上記共重合体中の上記L−乳酸及び/又はD−乳酸の含有量は、特に限定されないが、50重量%以上が好ましい。50重量%未満では、ポリ乳酸としての性質より、他の共重合成分の性質が表面に表れるからである。
【0016】
上記ポリ(L−乳酸)、ポリ(D−乳酸)又はポリ(DL−乳酸)の代表的なものとしては、(株)島津製作所製:ラクティシリーズ、三井化学(株)製:レイシアシリーズ、カーギル・ダウ社製:Nature Worksシリーズ等があげられる。
【0017】
上記共重合体に使用される上記の他のヒドロキシ−カルボン酸単位としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシn−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−メチル乳酸、2−ヒドロキシカプロン酸等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸やカプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン類が挙げられる。
【0018】
上記共重合体に使用される上記脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール,1,4−シクロヘキサンジメタノール等があげられる。また、上記共重合体に使用される上記脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸等が挙げられる。
【0019】
上記乳酸系樹脂の重合法としては、縮重合法、開環重合法など公知のいずれの方法を採用することができる。例えば、縮重合法ではL−乳酸、D−乳酸等のモノマー原料、あるいはモノマー原料の混合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持った乳酸系樹脂を得ることができる。
【0020】
また、開環重合法では乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤等を用いながら、選ばれた触媒を使用してポリ乳酸系重合体を得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の2量体であるL−ラクチド、D−乳酸の2量体であるD−ラクチド、さらにL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成、結晶性をもつ乳酸系樹脂を得ることができる。
【0021】
さらに、耐熱性を向上させるなどの必要に応じ、少量共重合成分として、テレフタル酸のような非脂肪族ジカルボン酸及び/又はビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のような非脂肪族ジオールを用いてもよい。
さらにまた、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、エポキシ化合物、酸無水物等を用いてもよい。
【0022】
また、共重合体を製造する場合、ブロック共重合を行うのが最も好ましい。ポリ乳酸セグメントをA、ポリ乳酸以外の重合体、例えばジオール/ジカルボン酸セグメントをBとすると、典型的にABAブロックコポリマーとすることにより、透明性と耐衝撃性を具備したポリマーとすることができる。この場合、Bのセグメントのガラス転移温度(Tg)は、0℃以下であることが、耐衝撃性の発現上好ましい。
【0023】
上記乳酸系樹脂の重量平均分子量の好ましい範囲としては、5万から40万、より好ましくは10万から25万である。この範囲を下回る場合は実用物性がほとんど発現されず、上回る場合には、溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣る傾向にある。
【0024】
上記樹脂組成物は、上記乳酸系樹脂を主成分とする組成物である。この主成分とは、上記樹脂組成物中の上記乳酸系樹脂の含有割合が、50〜100重量%のものをいう。50重量%より少ないと、上記乳酸系樹脂が主成分と言えなくなる。一方、上記樹脂組成物が上記乳酸系樹脂のみから構成されてもよいので、上記乳酸系樹脂の含有割合が100重量%であってもよい。
【0025】
上記樹脂組成物は、上記の通り、上記乳酸系樹脂を含有するが、この乳酸系樹脂の他に、必要に応じて、乳酸系樹脂以外の樹脂を含有させてもよい。すなわち、上記樹脂組成物に含有される樹脂として、乳酸系樹脂と、乳酸系樹脂以外の樹脂とを混合させた混合樹脂を用いてもよい。
【0026】
このような乳酸系樹脂以外の樹脂としては、ガラス転移温度(以下、「Tg」と略する。)が所定温度以下である乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル又は芳香族脂肪族ポリエステル(以下、「脂肪族等ポリエステル」と称する。)等があげられる。
【0027】
上記脂肪族等ポリエステルの好ましいTgは、0℃以下であり、より好ましいTgは、−20℃以下である。このようなTgを有する脂肪族等ポリエステルを用いることにより、得られる難燃性樹脂組成物や、得られる難燃性樹脂組成物を後述する方法で成形して得られる難燃性成形体に耐衝撃性を付与することができる。Tgが上記温度より高いと、耐衝撃性改良効果が不十分となりやすい。一方、Tgの下限は特にないが、−50℃より低い脂肪族等ポリエステルは、入手しにくいため、−45℃以上で十分である。
【0028】
上記脂肪族等ポリエステルの配合量は、上記乳酸系樹脂100質量部に対して、0〜50質量部が好ましく、0〜30質量部がより好ましい。50質量部より多いと、十分な剛性が得られない場合がある。一方、上記脂肪族等ポリエステルは、必ずしも使用する必要はないので、0質量部であってもよい。
【0029】
上記脂肪族等ポリエステルとして用いられる乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステルとしては、例えば、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
【0030】
上記脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジオールであるエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等と、脂肪族ジカルボン酸であるコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の中から、それぞれ1種類以上選んで縮重合して得られる。さらに、必要に応じてイソシアネート化合物等で鎖延長することにより、所望のポリマーを得ることができる。この具体的な例としては、昭和高分子(株)製:ビオノーレシリーズ、イレケミカル社製:Enpole、三菱ガス化(株)製ユーペック等が挙げられる。
【0031】
上記環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステルは、環状モノマーであるε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等の1種類以上を重合して得られる。この具体的な例としては、ダイセル化学工業(株)製:セルグリーンシリーズが挙げられる。
【0032】
上記合成系脂肪族ポリエステルは、環状酸無水物とオキシラン類、例えば、無水コハク酸とエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等とを共重合して得られる。
【0033】
上記脂肪族等ポリエステルとして用いられる乳酸系樹脂以外の芳香族脂肪族ポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分、及び脂肪族ジオール成分からなる生分解性を有する芳香族脂肪族ポリエステルがあげられる。
【0034】
上記芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。さらに、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。なお、芳香族ジカルボン酸成分、脂肪族ジカルボン酸成分あるいは脂肪族ジオール成分は、それぞれ2種類以上を用いることもできる。
【0035】
この発明において、最も好適に用いられる芳香族ジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、脂肪族ジカルボン酸成分はアジピン酸であり、脂肪族ジオール成分は1,4−ブタンジオールである。
【0036】
脂肪族ジカルボン酸及び脂肪族ジオールからなる脂肪族ポリエステルが生分解性を有することが知られているが、芳香族脂肪族ポリエステルにおいて、生分解性を発現させるためには、芳香環の合間に脂肪族鎖が存在することが必要である。そのため、上記芳香族脂肪族ポリエステルの芳香族ジカルボン酸成分は、50モル%以下にすることが好ましい。
【0037】
上記芳香族脂肪族ポリエステルの代表的なものとしては、ポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体(BASF社製:Ecoflex)やテトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体(EasmanChemicals製:EastarBio)等があげられる。
【0038】
上記樹脂組成物に添加される難燃剤としては、ノンハロゲン系非イオン難燃剤及び/又は窒素系難燃剤があげられる。これらの難燃剤は、樹脂組成物の分子量低下を引き起こさないので、分子量低下を抑制しながら難燃性を発揮させることができる。
【0039】
一般に、イオン性の難燃剤は、比較的広く知られている難燃剤である。この例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、カルシウムアルミネートシリケート、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ポリリン酸塩が挙げられる。ところが、これらのイオン性難燃剤は、乳酸系樹脂を含有する樹脂組成物に添加すると、混合溶融工程や溶融成形工程において、乳酸系樹脂を含有する樹脂組成物の分子量低下、すなわち分解を惹起するので、実用に適さなくなってしまう。これは、このイオン性物質が、特に微量の水の存在下で、エステル結合の分解触媒として働くためと考えられる。
なお、ここで「イオン性」とは、酸と塩基の中和反応によってできたイオン結合によって分子が構成されているという意味である。
【0040】
ただ、このイオン性難燃剤の中でも、窒素系難燃剤は例外であり、この発明にかかる難燃剤として使用することができる。これは、理由は不明であるが、イオン性にも関わらず、電荷密度が低く反応性が乏しいためか、あるいは含水率が低いためか、何らかの理由で、乳酸系樹脂を含有する樹脂組成物の分子量低下を惹起する度合いが少なく、分子量低下を抑制しながら難燃性を発揮させることができる。
【0041】
この窒素系難燃剤としては、メラミンシアヌレート、ジメラミンフォスフェート、メラミンボレート、スルファミン酸グアニシン、リン酸グアニジン、リン酸グアニール尿素等のメラミン化合物やグアニシン化合物が挙げられる。具体的には、三和ケミカル製「アピノン」シリーズ、ヘキスト社製「Exolit」シリーズ、モンサント社「Melar」シリーズ等があげられる。
【0042】
一方、非イオン性物質は総じて、分子量低下を引き起こすことは少ない。このため、非イオン性の難燃剤は、分子量低下を惹起する度合いが少なく、分子量低下を抑制しながら難燃性を発揮させることができる。なお、「非イオン性」とは、実質的に共有結合、金属結合によって分子が構成されているという意味を指す。
【0043】
この非イオン性難燃剤は、ハロゲン非イオン性難燃剤及びノンハロゲン非イオン性難燃剤に区別することができる。そして、このノンハロゲン非イオン性難燃剤としては、シリコーン系難燃剤、金属酸化物、リン系難燃剤等が例示される。
【0044】
なお、ここで、「ハロゲン系」とは、ハロゲンを含有する意味であり、「ノンハロゲン系」とは、ハロゲンを含有しないという意味である。上記ハロゲン系難燃剤は、燃焼時にダイオキシンや酸性ガスを発生する可能性があるので、環境に優しいとはいえない。
【0045】
上記リン系難燃剤としては、赤リン、ビニルフォスフェートオリゴマー、トリフェニルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ポリリン酸アンモン等が挙げられ、金属酸化物の一つとしては、酸化アンチモン類が挙げられ、この発明で用いることができるが、ハロゲン系同様に環境問題の指摘があり、積極的には推奨されない。しかし、難燃性の効果が高く、その観点からは好適に用いられる。
【0046】
この発明において、最も好適に用いることができるノンハロゲン非イオン性難燃剤は、シリコーン系難燃剤、金属酸化物である。また、これまで列記した難燃剤を併用しても構わない。
【0047】
上記シリコーン系難燃剤としては、分子内にRSiOを有するシリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、および相溶性や反応性を改良したこれらの誘導体を挙げることができる。具体的には、DOW CORNING社のResin Modifierシリーズや、GE社のSFRシリーズ等があげられる。
これらの難燃剤は、燃焼時にSiO2やSiC等の熱移動のバリア層を生成し、難燃効果を発揮する。
【0048】
上記金属酸化物としては、酸化鉄、フェロセン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化銅、酸化モリブデン、酸化ビスマス、酸化珪素、酸化ニッケル、酸化ジルコニウム等が挙げられる。具体的には、第一稀元素(株)の「ファイヤー」シリーズ(酸化ジルコニウム中心)や、Sharwin−Williams社製「KEMGARD」シリーズ(酸化亜鉛)等があげられる。
【0049】
この発明にかかる難燃性樹脂組成物の酸素指数は、21.5以上がよい。酸素指数が21.5より小さいと、十分に難燃性を発揮し得ないからである。一方、酸素指数の上限は特にないが、一般の条件下では、40を超えることはほとんどないため、40以下であれば十分である。なお、この「酸素指数」とは、対象物に火をかざした時に、燃え出すときの酸素濃度をいう。
【0050】
この酸素指数は、上記の所定の難燃剤の種類及び添加量で調整することができる。上記の所定の難燃剤の添加量は、この難燃剤の種類によって異なるが、10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。かかる範囲を下回ると、難燃効果が発揮されない傾向があり、逆に上回ると、加工時の流動特性や、成形体の強度やタフネスが損なわれる傾向にある。
【0051】
この発明にかかる難燃性樹脂組成物の分子量の低下の抑制の程度は、難燃性樹脂組成物中の樹脂組成物の分子量保持率で測定することができる。この分子量保持率は、上記樹脂組成物を溶融成形する前の重量平均分子量(Mw)と、上記樹脂組成物を溶融成形する後のMwを測定し、下記の式で計算することにより、算出することができる。この分子量保持率は、70〜100%が好ましく、90〜100%以下がより好ましい。70%未満だと、強度等の物性の低下が生じ始めるので、好ましくない。なお、分子量保持率100%が最も好ましい態様であるので、分子量保持率100%であってもよい。
分子量保持率(%)=(溶融成形後のMw)/(溶融成形前のMw)×100
【0052】
なお、Mwの測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶媒:クロロホルム、溶液濃度:0.2wt/vol%、溶液注入量:200μl、溶媒流速:1.0ml/分、溶媒温度:40℃で測定を行うことができる。また、樹脂組成物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で算出することができる。
【0053】
この発明にかかる難燃性樹脂組成物は、上記の樹脂組成物及び所定の難燃剤以外に、無機充填材、加水分解防止剤、可塑剤等を添加することができる。
【0054】
上記無機充填材は、剛性、耐摩擦性、耐熱性(核剤効果もあり)、耐久性等の向上を目的として、添加される薬剤である。この無機充填材の例としては、シリカ、タルク、カオリン、クレー、アルミナ、非膨潤性マイカ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土、アスベスト、ガラス繊維、金属粉等が例示される。
【0055】
これらの無機充填材の添加量は、上記樹脂組成物100重量部に対し、0〜50重量%がよく、0〜30重量%が好ましい。添加量がかかる範囲を上回ると、衝撃強度、成形加工性、耐加水分解性等が低下する傾向にあり、好ましくない。一方、剛性、耐摩擦性、耐熱性(核剤効果もあり)、耐久性等の向上を特に求めない場合は、0重量%でもよい。
【0056】
また、上記無機充填材として、層状珪酸塩を活用することもできる。この層状珪酸塩は、乳酸系樹脂を主成分とする樹脂組成物とナノコンポジットを形成し、得られる難燃性成形体の耐熱性や剛性を飛躍的に向上させる。また、平板粒子が整列することで、ガスバリア性も向上させる。ただし、層状珪酸塩は、樹脂中にナノ分散した場合においては、粘度の上昇により溶融成形性を著しく低下させたり、塩による分解を惹起したりするので、添加量としては、10重量%以下、好ましくは、5重量%以下である。
【0057】
上記層状珪酸塩とは、アルミニウム、マグネシウム、リチウム等から選ばれる元素を含む8面体シートの上下に珪酸4面体シートが重なって1枚の板状結晶層を形成している2:1型の構造を持ち、その板状結晶層の層間に交換性の陽イオンを有しているものである。その1枚の板状結晶の大きさは、通常幅0.05〜0.5μm、厚さ6〜15オングストロームである。また、その交換性陽イオンのカチオン交換容量は0.2〜3meq/gのものが挙げられ、好ましくはカチオン交換容量が0.8〜1.5meq/gのものである。
【0058】
上記層状珪酸塩の具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素マイカ、Li型四珪素フッ素マイカ等の膨潤性マイカ等が挙げられ、天然のものであっても合成されたものであっても良い。これらのなかでもモンモリロナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物やNa型四珪素フッ素マイカ、Li型フッ素テニオライトなどの膨潤性合成マイカが好ましい。
【0059】
上記層状珪酸塩は、層間に存在する交換性陽イオンが有機オニウムイオンで交換された層状珪酸塩であることが好ましい。未交換のものでは、乳酸系樹脂の加水分解を誘起することがある。有機オニウムイオンとしてはアンモニウムイオンやホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられる。これらのなかではアンモニウムイオンとホスホニウムイオンが好ましく、特にアンモニウムイオンが好んで用いられる。
【0060】
上記アンモニウムイオンとしては、1級アンモニウム、2級アンモニウム、3級アンモニウム、4級アンモニウムのいずれでも良い。上記1級アンモニウムイオンとしてはデシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、オレイルアンモニウム、ベンジルアンモニウムなどが挙げられる。
【0061】
上記2級アンモニウムイオンとしてはメチルドデシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。上記3級アンモニウムイオンとしてはジメチルドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
【0062】
上記4級アンモニウムイオンとしてはベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム等のベンジルトリアルキルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウムイオン、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムなどのジメチルジアルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
【0063】
また、これらの他にもアニリン、p−フェニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミノジメチルアニリン、ベンジジン、ピリジン、ピペリジン、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などから誘導されるアンモニウムイオンなども挙げられる。これらのアンモニウムイオンの中でも、トリオクチルメチルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、12−アミノドデカン酸から誘導されるアンモニウムなどが好んで用いられる。
【0064】
上記加水分解防止剤は、成形体の耐久性を付与するために添加される。具体的には、上記加水分解防止剤は、上記難燃性樹脂組成物又はこの難燃性樹脂組成物を後述する方法で成形した難燃性成形体を使用する場合、例えば、高温多湿の条件下等の加水分解を受けて分子量が低下しやすい条件下となったときに、この加水分解を抑制したり、たとえ、加水分解が生じても、鎖延長反応を生じ、結果として分子量が保持させたりするために添加される薬剤である。
【0065】
この加水分解防止剤の種類としては、疎水性ワックス、疎水性可塑剤、オレフィン系樹脂、カルボジイミド化合物等が挙げられる。
【0066】
上記疎水性ワックスとしては、下記のものがあげられる。
1)流動パラフィン、天然パラフィン、合成パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フルオロカーボンワックス等の炭化水素系ワックス。
2)高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系ワックス。
3)脂肪族アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド等の脂肪族アミド系ワックス。
4)脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステルワックス、脂肪酸ポリグリコールエステル等のエステル系ワックス。
5)脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリセロール等のアルコール系ワックス。
6)金属石鹸。
7)これらの混合系。
【0067】
上記の中でも、1)炭化水素系ワックスとして、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックスが、2)脂肪酸系ワックスとして、ステアリン酸、ラウリン酸が、3)脂肪族アミド系ワックスとして、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリロアミド、エチレンビスステアリロアミドが、4)エステル系ワックスとして、ブチルステアレート、硬化ひまし油、エチレングリコールモノステアレートが、5)アルコール系ワックスとして、セチルアルコール、ステアリルアルコールが、6)金属石鹸として、ステアリン酸アルミ、ステアリン酸カルシウムが、効果およびコスト面で好適に用いられる。
【0068】
上記疎水性可塑剤としては、下記(1)〜(10)に示される化合物から少なくとも1種類選ばれる。
(1)H5C3(OH)3-n(OOCCH3)n (0<n≦3)
これは、グリセリンのモノ−、ジ−、又はトリアセテ−トであり、これらの混合物でも構わないが、nは3に近い方が好ましい。
【0069】
(2)グリセリンアルキレート(アルキル基は炭素数2〜20、水酸基の残基があってもよい)、又はジグリセリンアルキレート。
例えば、グリセリントリプロピオネート、グリセリントリブチレート、ジグリセリンテトラアセテート等があげられる。
【0070】
(3)エチレングリコールアルキレート(アルキル基は炭素数1〜20、水酸基の残基があってもよい)。
例えば、エチレングリコールジアセテート等があげられる。
【0071】
(4)エチレン繰り返し単位が5以下のポリエチレングリコールアルキレート(アルキル基は炭素数1〜20、水酸基の残基があってもよい)。
例えば、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジアセテート等があげられる。
【0072】
(5)脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル(アルキル基は炭素数1〜20)。例えば、ステアリン酸ブチル等があげられる。
【0073】
(6)脂肪族ジカルボン酸アルキルエステル(アルキル基は炭素数1〜20、カルボキシル基の残基があってもよい)。
例えば、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アゼレート等があげられる。
【0074】
(7)芳香族ジカルボン酸アルキルエステル(アルキル基は炭素数1〜20、カルボキシル基の残基があってもよい)。
例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等があげられる。
【0075】
(8)脂肪族トリカルボン酸アルキルエステル(アルキル基は炭素数1〜20、カルボキシル基の残基があってもよい)。
例えば、クエン酸トリメチルエステル等があげられる。
【0076】
(9)重量平均分子量2万以下の低分子量脂肪族ポリエステル。
例えば、コハク酸とエチレングリコール/プロピレングリコール縮合体(大日本インキ(株)よりポリサイザ−の商品名で販売されている。)等があげられる。
【0077】
(10)天然油脂及びそれらの誘導体。
例えば、大豆油、エポキシ化大豆油、ひまし油、桐油、なたね油等があげられる。
【0078】
上記オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンを中心に、それらの誘導体や共重合体を広く用いることができる。例えば、LDPE(低密度ポリエチレン)、LLPPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)、メタロセン系樹脂、PP(ポリプロピレン)、IO(アイオノマー)、EAA(エチレンアクリル酸共重合体)、EMMA(エチレンメチルメタクリレート共重合体)、EMA(エチレンメチルアクリレート共重合体)、EEA(エチレンエチルアクリレート共重合体)、接着性ポリオレフィン樹脂等があげられる。乳酸系樹脂との分散性を考慮すると、ホモポリマーよりも、EVAやIO等の少量の極性官能基を持った樹脂が好ましい。
【0079】
上記カルボジイミド化合物としては、分子内に少なくともひとつのカルボジイミド基を有する化合物があげられる。これらのカルボジイミド化合物は、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかでもよい。
【0080】
上記カルボジイミド化合物の例としては、ビス(プロプルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等があげられる。具体的には、日清紡(株)製:カルボジライトシリーズ、ラインケミー社製:スタバクゾールシリーズが挙げられる。このカルボジイミド化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0081】
これらの加水分解防止剤の添加量は、上記樹脂組成物100重量部に対し、0〜10重量%がよく、0〜5重量%が好ましい。添加量がかかる範囲を上回ると、成形体の加工性や物性が低下する等の不具合が生ずる。特に、オレフィン系樹脂の過剰添加は、耐衝撃性の低下や外観不良を惹起し、一方、疎水性ワックス、疎水性可塑剤、カルボジイミド化合物の過剰添加は、粘度の低下に伴う成形加工性低下、機械強度の低下、成形体表面へのブリード、べたつきを引き起こす傾向にあり、好ましくない。一方、耐久性の向上を特に求めない場合は、0重量%でもよい。
【0082】
上記可塑剤は、軟質成形体や弾性成形体を得たい場合に、軟質成分の共重合の手法に加え、添加される。この可塑剤としては、限定されないが、上記疎水性可塑剤の例示の中からなら好適に使用できる。
【0083】
上記可塑剤の添加量は、上記樹脂組成物100重量部に対し、0〜50重量%がよく、0〜30重量%が好ましい。添加量がかかる範囲を上回ると、経時的に可塑剤がブリードしたり、機械物性が著しく低下したりする傾向にあり、好ましくない。一方、軟質成形体や弾性成形体を得る目的のない場合は、0重量%でもよい。
【0084】
この発明にかかる難燃性樹脂組成物に帯電防止性を付与する必要があるときは、帯電付与剤を添加するのが好ましい。この帯電防止剤としては、溶融成形中の加水分解防止の観点から、下記の(1)〜(3)の化合物から選ばれることが好ましい。
【0085】
(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエルスリット、ソルビット等の多価アルコール及び/又はその脂肪酸エステル
(2)ポリエチレングリコール及び/又はその脂肪酸エステル
(3)高級アルコール、多価アルコール、アルキルフェノールのポリエチレングリコール付加物、又はポリプロピレングリコール付加物
【0086】
上記帯電防止剤の添加量は、上記樹脂組成物100重量部に対し、0.1〜10重量%が好ましく、0.3〜4.0重量%がより好ましい。添加量がかかる範囲を上回ると、十分な帯電防止性を付与することができなくなる傾向にあり、好ましくない。一方、帯電防止性を付与する目的のない場合は、0重量%でもよい。
【0087】
この発明にかかる難燃性樹脂組成物には、さらに必要に応じて、この発明の効果を損なわない範囲で、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料、着色剤、滑剤、核剤等の添加剤を処方することができる。
【0088】
次に、上記難燃性樹脂組成物を用いての難燃性成形体を製造する成形法について説明する。この発明における成形法及び成形装置は、既知の方法、装置を採用することができる。すなわち、目的とする成形体の形状に合わせ、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、SMC法等を適宜選択して用いることができる。また、上記成形体を繊維構造体とする場合は、織物、編み物、不織布、FRP、SMC等の種々の形態に合わせて加工される。
【0089】
上記の射出成形、押出成形、ブロー成形等の溶融成形を行う場合には、組成物の各成分をドライブレンドして、成形機に直接供してもよく、また、2軸押出機等を用い、事前にコンパウンド化を行い、組成物をペレット化してもよい。事前にコンパウンドを行う方が、各成分の機能発現、トータルの作業性の観点から有利となる。
【0090】
上記の溶融成形によって得られる難燃性成形体は、相対結晶化度を50〜100%の範囲に制御されたものが好ましい。上記相対結晶化度は、樹脂組成、樹脂温度、金型温度、冷却条件等を調整(特に金型温度)したり、再加熱熱処理を行ったりして、調整することができる。
【0091】
相対結晶化度が上記範囲を下回ると、得られる難燃性成形体の耐熱性や湿熱耐久性が得られにくい。特に、耐熱性の面からは、上記難燃性成形体が、60℃を越える雰囲気で変形しやすい。この場合、上記難燃性成形体を自動車部品や家電部品として使用する場合、その使用が制限され、用途が限定されることとなる。これに対し、結晶化を促進することで、60〜130℃の雰囲気に曝されても変形しなくなる。このため、相対結晶化度は100%であってもよい。
【0092】
上記相対結晶化度は、上記難燃性成形体に含まれる上記乳酸系樹脂のDL比や、組成物の種類、核剤の添加などにより、変化するが、一般に冷却速度が遅いほど増大する。また、相対結晶化度が高いほど、この発明の本旨である難燃性も向上する傾向にある。
【0093】
なお、上記相対結晶化度とは、難燃性成形体に含まれる乳酸系樹脂の相対結晶化度をいい、難燃性成形体に含まれる乳酸系樹脂の総重量に対する、この乳酸系樹脂中の結晶化した乳酸系樹脂の重量の割合をいう。
【0094】
この上記相対結晶化度は、難燃性成形体を示差熱分析計(パーキンエルマー製:DSC−7)にかけてJIS−K7121に基づいて昇温測定を行い、この測定で得られる難燃性成形体中の乳酸系樹脂の融解熱量(ΔHm)と結晶化熱量(ΔHc)とを下記式に導入して算出することができる。
相対結晶化度(重量%)=(△Hm−△Hc)/△Hm×100
【0095】
成形法が金型を用いて行われる場合には、相対結晶化度と成形性のバランスをとるため、金型温度が60〜130℃、好ましくは、80〜120℃であることが好ましい。
【0096】
かかる温度以下では、結晶化速度が遅く、所望の相対結晶化度を得るのに時間がかかり過ぎ、一方、かかる温度以上では、結晶化速度は速いが、成形体の金型へ粘着が起こりやすく、成形サイクルが上がらなかったり、金型からの取り出し時に成形体が変形したり、さらに高温では、逆に結晶化速度が低下することがある。金型への接触時間は、1〜1000秒、好ましくは10〜100秒の範囲で調整される。
【0097】
また、得られる難燃性成形体の用途によっては、天然繊維と複合されてなることがある。この天然繊維としては、麻、黄麻、ケナフ、バガス、ジュート、とうもろこし繊維、竹繊維、羊毛などがあげられ、広義に天然物由来の、レーヨン、ビスコース、アセテート等も包含する。
【0098】
上記難燃性樹脂組成物に天然繊維を複合して難燃性成形体を得ることにより、得られる難燃性成形体の剛性や、耐衝撃性が向上する。また、近年、自動車や家電業界では、比重やリサイクル性の観点から、ガラス繊維が忌避される傾向にある。このため、天然繊維の使用は、このような不都合がないためより好ましい。さらに、上記難燃性成形体を構成する難燃性樹脂組成物中の乳酸系樹脂は、デンプンを原料として製造されるので、オール植物由来となりコンセプトの合一化を図ることができる。
【0099】
上記難燃性樹脂組成物と天然繊維との混合割合は、用途にもよるが、難燃性樹脂組成物:天然繊維=99:1〜60:40(重量%)が好ましい。かかる範囲を下回ると、剛性や耐衝撃性改良効果が十分に得られない傾向にあり、一方、上回ると、成形加工性や機械物性が低下してくる傾向にある。
【0100】
上記難燃性樹脂組成物と天然繊維との複合の方法としては、短繊維である天然繊維の上記難燃性樹脂組成物への練り込み、繊維引き抜き成形による長繊維強化ペレット(LFP)を得る方法に加え、プレス成形による、天然繊維からなる織布・不織布への上記難燃性樹脂組成物の含浸法や、記難燃性樹脂組成物と天然繊維からなる混繊不織布のプレス成形等が挙げられる。
【0101】
成形法として発泡成形を行う場合、この発泡成形法としては、公知のいかなる方法を採用することができる。すなわち、成形の形態としては、型発泡、押出発泡いずれでもよい。また、発泡の手段としては、化学発泡、ガス発泡、延伸ボイド発泡等が挙げられる。
【0102】
上記難燃性樹脂組成物の融点の関係から、化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)や炭酸水素ナトリウム等が好適であり、ガス発泡のガスとしては、二酸化炭素が均一なセルを得やすい。
【0103】
上記押出発泡においては、発泡に好適な高い溶融張力を得るために、ジクミルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシ吉草酸−n−ブチルエステル、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等の有機過酸化物を、0.05〜2.0重量%添加すると良い。
【0104】
この発明にかかる難燃性成形体は、湿熱耐久性が高いものが好ましい。この湿熱耐久性は、上記難燃性成形体を高湿度・高温化の条件下で放置した際に、上記難燃性成形体を構成する上記樹脂組成物の分子量の変化で判断することができる。すなわち、湿熱耐久性が低いと、高湿度・高温化の条件下で上記樹脂組成物が加水分解を生じ、分子量の低下を引き起こすため、物性等に悪影響を生じさせる。これに対し、湿熱耐久性が高いと、高湿度・高温化の条件下でも上記樹脂組成物が加水分解が抑制され、分子量の低下が抑制されるので、物性等に影響を及ぼさないのである。
【0105】
上記湿熱耐久性の測定は、85℃、80%Rh、100時間の湿熱耐久性条件下で静置した前後の難燃性樹脂組成物中の樹脂組成物の重量平均分子量を測定することで行われる。すなわち、この分子量保持率は、上記湿熱耐久性条件下に置く前の上記樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)と、上記湿熱耐久性条件下で静置した後の上記樹脂組成物のMwを測定し、下記の式で計算することにより、算出することができる。この湿熱耐久性は、50〜100%が好ましく、90〜100%以下がより好ましい。50%未満だと、強度等の物性の低下が生じ始めるので、好ましくない。なお、湿熱耐久性100%が最も好ましい態様であるので、分子量保持率100%であってもよい。
湿熱耐久性(%)=(湿熱耐久性条件下に置く前の樹脂組成物のMw)/(湿熱耐久性条件下に静置した後の樹脂組成物のMw)×100
【0106】
なお、Mwの測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶媒:クロロホルム、溶液濃度:0.2wt/vol%、溶液注入量:200μl、溶媒流速:1.0ml/分、溶媒温度:40℃で測定を行うことができる。また、樹脂組成物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で算出することができる。
【0107】
この発明にかかる難燃性成形体は、自動車部品や家電部品等の、現在、プラスチックが使用されている各種用途に使用することができる。
【0108】
特に、この発明にかかる難燃性樹脂組成物のポリマー構造、配合組成、成形加工上の工夫により、この発明にかかる難燃性成形体は、自動車部品や家電部品のリジッド体、弾性体、繊維構造体又は発泡体として利用することができる。
【0109】
上記自動車部品のリジット体としては、フロントバンパー、フェーシャ、フェンダー、サイドガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、リアスポイラー、ボンネット、ラジエータグリル、ドアハンドル、ヘッドランプレンズ、インパネ、トリム、エアクリーナーケース、吸気ダクト、サージタンク、燃料タンク、インテークマニホールド、ディストリビューター部品、燃料噴射部品、電装コネクター、エンジンロッカーカバー、エンジンオーナメントカバー、タイミングベルトカバー、ベルトテンショナープーリー、チェインガイド、カムスプロケット、ジェネレーターボビン等が挙げられる。
【0110】
また、上記弾性体としては、エンジン防振ゴム、各種チューブ、各種パッキン、タイヤ、タイミングベルト等が挙げられ、繊維構造体としては、シート、ピロー、マット、内板、ドアパネル、ドアボード、天井材、エアバッグ、シートベルト、内装材等が挙げられ、発泡体としては、シートクッション、断熱シート、内装材等が挙げられる。
【0111】
さらに、家電のリジット体としては、筐体、キャビネット、ローラー、ファン、軸受け、プリント基板、コネクター、バルブ、ケース、シールド板、ボタン、スイッチハンドル等が、弾性体としては、防振ゴム、チューブ、パッキン、ドアサッシ、タイミングベルト等が挙げられ、繊維構造体としては、フィルター、カバー等が挙げられる。さらにまた、上記発泡体としては、断熱材、空間充填材等が挙げられる。
【0112】
【実施例】
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中に示す測定値は次に示すような条件で測定を行い、算出した。
【0113】
(1)酸素指数の測定
型締め圧50tの小型射出成形機(東芝機械(株)製:成形機IS50E(スクリュー径:25mm))を用い、設定温度200℃で、実施例及び比較例で用いられる所定の樹脂原料から、幅10mm×長さ100mm×厚さ4mmの試験片を作製した。型温は40℃に設定した。得られた試験片を用い、JIS−K7217に則り、酸素指数を測定した。
【0114】
(2)重量平均分子量の測定
実施例及び比較例で得られる成形体を用いて、東ソー(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC−8120GPC)に、(株)島津製作所製クロマトカラム(Shim−PackシリーズのGPC−800CP)を装着し、溶媒クロロホルム、溶液濃度0.2wt/vol重量%、溶液注入量200μl、溶媒流速1.0ml/分、溶媒温度40℃で測定を行い、ポリスチレン換算で、重量平均分子量を算出した。用いた標準ポリスチレンの重量平均分子量は、2000000、670000、110000、35000、10000、4000、600である。
【0115】
(3)乳酸系樹脂の分子量保持率の測定・評価
「(1)酸素指数の測定」における射出成形前後の重量平均分子量を「(2)重量平均分子量の測定」の方法で測定し、以下の式により算出した。そして、以下の判定基準により、優劣の判定を行った。
分子量保持率(%)=(溶融成形後のMw)/(溶融成形前のMw)×100
【0116】
評価:
○:融成形中に分解が起きないか少ない(分子量保持率:90〜100%)。
△:溶融成形中にある程度分解するが、実用に適する(分子量保持率:70〜89%)。
×:溶融成形中に著しい分解が起こる(分子量保持率:0〜69%)。
【0117】
(4)相対結晶化度の測定
「(1)酸素指数の測定」において得られた射出試験片を5mmφの10mg程度の鱗片状に削り出し、示差熱分析計(パーキンエルマー製:DSC−7)を用い、JIS−K7121に基づいて昇温測定を行い、下記の式により算出した。
相対結晶化度(重量%)=(△Hm−△Hc)/△Hm×100
ここで、△Hm:乳酸系樹脂成分の融解熱量
△Hc:乳酸系樹脂成分の結晶化熱量
【0118】
(5)耐衝撃性(アイゾット衝撃試験)の測定
「(1)酸素指数の測定」において得られた射出試験片を幅10mm×長さ80mm×厚み4mmに切り出し、JIS K 7110に基づき、安田精機製作所製:万能衝撃試験機(型番258)を用い、ノッチ付(ノッチタイプA)、エッジワイズでアイゾット衝撃試験を行った。単位は、KJ/m2である。
【0119】
(6)耐熱性の評価
「(1)酸素指数の測定」において得られた射出試験片を110℃の熱風オーブン中に30分静置した。目視で判定を行い、変形が認められなかったものを○、わずかに変形が認められたが実用範囲内のものを△、明らかに変形したものを×とした。
【0120】
(7)湿熱耐久性(成形体成形後の分子量保持率)
「(1)酸素指数の測定」において得られた射出試験片を、85℃×80重量%に調整したタバイエスペック製:恒温恒湿機LH−112中に、100時間静置した(以下、「湿熱耐久性条件」とする。)。
試験前後の乳酸系樹脂の分子量保持率(重量%)を下記の式から算出し、以下の判定を行った。
湿熱耐久性(%)=(湿熱耐久性条件下に置く前の樹脂組成物のMw)/(湿熱耐久性条件下に静置した後の樹脂組成物のMw)×100
○ =分子量保持率:90〜100重量%
△ =分子量保持率:50〜 74重量%
× =分子量保持率: 0〜 49重量%
【0121】
(8)燃焼性(UL94)の評価
実施例及び比較例で用いられる所定の樹脂原料を、東芝機械(株)製成形機 IS50E(スクリュー径25mm)を用いて、L100mm×W10mm×t2mmの板材に成形した。この板材を用いて、Underwriters Laboratories社の安全標準UL94に従って測定を行い、以下の基準で燃焼性の評価を行った。
○:10秒以内に自消した。(実用可能)
×:10秒以内に自消せず、全焼した。(実用上、問題を生じる。)
【0122】
(参考例1)
L体:D体=99:1であるカーギル・ダウ社製乳酸系樹脂:NatureWorks4031D(重量平均分子量20万、以下、「PLA1」と称する。)に、窒素系難燃剤である三和ケミカル(株)製「アピノン MPP−A」(ポリリン酸メラミン、以下、「難燃剤1」と称する。)を30%ドライブレンドし、上記「(1)酸素指数の測定」に記載の方法に従って、射出成形を行って射出試験片(UL94以外の試験用)を得ると共に、「(8)燃焼性(UL94)の評価」に記載の方法に従って、射出成形を行って射出試験片(UL94の試験用)を得た。相対結晶化度、酸素指数、分子量保持率及びUL94の評価結果を表1に示す。
【0123】
(参考例2)
参考例1で得られた射出試験片を熱処理オーブンで、80℃×2時間熱処理した。相対結晶化度、酸素指数、分子量保持率及びUL94の評価結果を表1に示す。
【0124】
(比較例1)
上記PLA1単体を用いた以外は参考例1にしたがって射出試験片を製造した。相対結晶化度、酸素指数、分子量保持率及びUL94の評価結果を表1に示す。
【0125】
(比較例2)
上記PLA1に、ノンハロゲンイオン性難燃剤である水酸化マグネシウム:協和化学製「水酸化マグネシウム」(以下、「比較難燃剤」と称する。)を30%ドライブレンドしたものを用いた以外は参考例1にしたがって射出試験片を製造した。相対結晶化度、酸素指数、分子量保持率及びUL94の評価結果を表1に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
(参考例3〜5、比較例3)
上記PLA1とガラス転移温度Tgが−45℃である昭和高分子(株)製脂肪族ポリエステル樹脂(ポリブチレンサクシネートアジペート、商品名 ビオノーレ3003、以下、「ビオノーレ」と称する。)を重量比で7/3の割合で混ぜ、金属酸化物である酸化ジルコニウム「ファイヤーDT」(三酸化二アンチモンと酸化ジルコニウムの混合物、以下、「難燃剤2」と称する。)を表2に示す量だけ添加してドライブレンドし、三菱重工(株)製:小型同方向2軸押出機を用いて、200℃でコンパウンドし、組成物ペレットを得た。この組成物ペレットを用いて、上記「(1)酸素指数の測定」に記載の方法に従って、射出成形を行って射出試験片(UL94以外の試験用)を得ると共に、「(8)燃焼性(UL94)の評価」に記載の方法に従って、射出成形を行って射出試験片(UL94の試験用)を得た。酸素指数、分子量保持率、アイゾット衝撃強度及びUL94の評価結果を表2に示す。
【0128】
【表2】
【0129】
(実施例1)
上記PLA1と、上記ビオノーレと、難燃剤としてシリコーン化合物であるDow Corning社製「Resin Modifier 4−7105」(以下、「難燃剤3」と称する。)と、加水分解防止剤として、バイエル社製カルボジイミド:スタバクゾールPを、PLA/ビオノーレ/難燃剤3/加水分解防止剤=60/10/28/2(重量%)でドライブレンドし、三菱重工製小型同方向2軸押出機を用い、200℃でコンパウンドし、原料ペレットを得た。
【0130】
原料ペレットを、東芝(株)製:射出成形機TS170を用い、樹脂温200℃、金型温度40℃で、35×118×17mmの携帯電話の筐体(2ピース、重量22g)を射出成形した。次に、この筐体を枠に固定して、80℃で、10分間加熱し結晶化処理を行った。
この筐体に0.5gの金属枠と共に、1.2gのアクリル樹脂の窓をつけ、筐体表面に2液型ウレタン塗料でメタリックブルーに塗装を行い、実装ユニット、シールド板、ポリドーム、アンテナ収納ケース等の他の部品は、それぞれ既存の材料を用いて、携帯電話を組み立て、電話機能としては支障なく使用できることを確認した。
【0131】
また、上記原料ペレットを用いて、上記「(1)酸素指数の測定」に記載の方法に従って、射出成形を行って射出試験片(UL94以外の試験用)を得ると共に、「(8)燃焼性(UL94)の評価」に記載の方法に従って、射出成形を行って射出試験片(UL94の試験用)を得、次に、これらの射出試験片を枠に固定して、80℃で、10分間加熱して結晶化処理を行った。表3に酸素指数、耐熱性、湿熱耐久性及びUL94の評価結果をまとめた。
【0132】
(実施例2)
無機充填材として、ホージュン製:有機化ベントナイトを用い、PLA1/ビオノーレ/難燃剤3/無機充填材=60/10/27/3(重量%)と変更する以外は、実施例1にしたがって射出試験片を得、評価を行った。結果を表3に示す。
なお、上記有機化ベントナイトは、表面がトリメチルステアリルベンジルアンモニウムで表面処理されたナノコンポジット用無機充填材である。
【0133】
(実施例3)
乳酸系樹脂の半分を、ピューラック社製ポリD乳酸:ピュラソーブポリマーPD(以下、「PLA2」と称する。)に変更する以外は、実施例1にしたがって、射出試験片を得た。表3に酸素指数、耐熱性、湿熱耐久性及びUL94の評価結果をまとめた。
この時、ポリL乳酸とポリD乳酸とブレンドすることで、一部ステレオコンプレックスが形成していることをDSCで確認した。
【0134】
(比較例4)
難燃剤と加水分解防止剤を添加せず、PLA/ビオノーレ=85/15(重量%)と変更する以外は、実施例1にしたがって射出試験片を得、評価を行った。結果を表3に示す。
【0135】
【表3】
【0136】
【発明の効果】
この発明によれば、ノンハロゲン系非イオン性難燃剤又は窒素系難燃剤を添加した難燃性樹脂組成物を用いるので、樹脂組成物の分子量低下を抑制しながら難燃性を発揮させることができる。
【0137】
また、得られる難燃性樹脂組成物から得られる成形品は、難燃性に優れ、特に家電部品、または、自動車部品用等に好適である。
Claims (5)
- 乳酸系樹脂、及びガラス転移温度が0℃以下の乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル又は芳香族脂肪族ポリエステルを含有させた樹脂組成物に、ノンハロゲン系非イオン性難燃剤及び/又は窒素系難燃剤を添加する一方、上記樹脂組成物で表面をコーティングした充填材を添加せず、
上記樹脂組成物中の上記乳酸系樹脂の含有割合は、50重量%以上であり、かつ、上記0℃以下の乳酸系樹脂以外の脂肪族ポリエステル又は芳香族脂肪族ポリエステルの配合量は、上記乳酸系樹脂100質量部に対して、16.7質量部以上50質量部以下であり、
上記ノンハロゲン系非イオン性難燃剤は、シリコーン系難燃剤から選ばれる難燃剤であり、上記窒素系難燃剤は、メラミン化合物及びグアニシン化合物から選ばれる難燃剤であり、
上記シリコーン系難燃剤は、シリコーンオイル、シリコーンゴム、及びシリコーン樹脂から選ばれる難燃剤であり、
上記ノンハロゲン系非イオン性難燃剤及び/又は窒素系難燃剤の添加量は、全体の10質量%以上60質量%以下である難燃性樹脂組成物。 - 酸素指数が21.5以上である請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物を成形してなる難燃性成形体。
- 相対結晶化度が50〜100%である請求項3記載の難燃性成形体。
- 家電部品又は自動車部品として使用される請求項3又は4に記載の難燃性成形体。
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