JP2004216378A - リサイクル用シュレッダーダスト及びこのシュレッダーダストを用いて成る乳酸系樹脂成形体、並びに、そのリサイクル方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 リサイクル用シュレッダーダストは、乳酸系樹脂組成物を主成分として含む成形体に由来する。このシュレッダーダストを、150℃〜280℃に加熱して蒸気成分を回収することができる。また、結果的には、この蒸気成分を用いて、乳酸系樹脂組成物を主成分として含む成形体、例えば、自動車部品、家電部品等を形成することができる。
【選択図】 なし
Description
ボデースクラップは、ガラスやシートなどを含んだまま金属原料として流通しており、後工程の「シュレッダー業界」で再資源化される。シュレッダー業界では、シュレッダーマシンでボデースクラップを破砕し、機械式選別機や人手により「選別」して金属類を回収すると同時に、ガラス屑や廃プラスチック類はシュレッダーダストとして分別し、埋め立て処分している。このようなリサイクルシステムは、1970年以来普及しており、現在では自動車重量の75〜80重量%がリサイクルされている。
特にシュレッダーダストの埋め立て処分費は、処分場の新規埋め立て地が各地で住民訴訟問題を引き起こす等、極めて困難であり、上昇することはあっても低下する事は無い状況にある。
その後シュレッダーダストに対する厚生省、環境庁による実態調査が始まり、93年に水質汚染に関わる環境基準の強化、94年に廃掃法の改正があり、シュレッダーダストは96年4月より、従来の安定型埋め立て処分から遮水機能と廃水処理機能を持った「管理型埋め立て処分」に移行することが決まった。ただし、埋め立て処分費は安定型に比べ管理型の方が高く、さらに高騰することとなった。
国内のリサイクル率目標は、2002年に85重量%以上、2015年に95重量%以上、さらに日本独自の目標として2002年にシュレッダーダスト埋め立て処分量5分の3以下、2015年に埋め立て処分量5分の1以下となっている。
現在、自動車は、解体段階、シュレッダー段階、シュレッダーダスト分別処理の各段階を通じて75〜80重量%リサイクルされており、残りの20〜25重量%がシュレッダーダストとして埋め立て処分されている。
以上のような状況から、自動車の廃棄処分にかかる課題は、このシュレッダーダストの埋め立て処分に代わる新たなリサイクルルートの構築であり、そのためにはサーマルリサイクル技術を始めとした、新たなリサイクル技術の開発が必要となってくる。サーマルリサイクル技術の開発はそれなりに進んできたが、燃焼に伴うダイオキシン発生問題や燃焼残さの処理の問題もあり、完全なリサイクル技術とは言えない。
また、オイル化の検討もされているが、純度の問題等で実用的でない。
(1)乳酸系樹脂組成物を主成分として含む成形体に由来することを特徴とするリサイクル用シュレッダーダスト。
(2)上記成形体は、自動車部品又は家電部品であることができる。
(3)上記成形体は、リジッド体、弾性体、繊維構造体又は発泡体であることができる。
(4)上記乳酸系樹脂組成物が無機充填材を含有し、該無機充填材が層状珪酸塩であることができる。
(5)上記乳酸系樹脂組成物に含まれる乳酸系樹脂が、実質的にポリL−乳酸と、実質的にポリD−乳酸の混合体からなり、ステレオコンプレックスを形成していることができる。
(6)上記シュレッダーダストを、150℃〜280℃に加熱して蒸気成分を回収することを特徴とするリサイクル方法。
(7)上記リサイクル方法において、リサイクル時に、乳酸系樹脂組成物からなる構成成分が0.1〜1.0重量%の水分を含有していることが好ましい。
(8)上記蒸気成分がラクチドであり、回収したラクチドを再度重合して、乳酸系樹脂とすることができる。
(9)上記リサイクル用シュレッダーダストを用いて形成されることを特徴とする成形体。
(10)上記成形体は乳酸系樹脂組成物を主成分として含み、該乳酸系樹脂組成物が、1)乳酸系樹脂30〜100%、2)Tgが0℃以下の脂肪族ポリエステル、および/または、芳香族脂肪族ポリエステル0〜50重量%、3)無機充填材0〜50重量%、4)加水分解防止剤0〜10重量%、5)可塑剤0〜50重量%からなることができる。
(11)上記成形体が自動車部品又は家電部品であることを特徴とする請求項9又は10記載の成形体。
(12)上記成形体が、リジッド体、弾性体、繊維構造体又は発泡体であることができる。
(13)上記成形体は、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形又はSMC法で成形されることができる。
(14)上記成形体は、天然繊維と複合されていることができる。
(15)上記乳酸系樹脂組成物が加水分解防止剤を含有し、該加水分解防止剤が、疎水性ワックス、疎水性可塑剤、オレフィン系樹脂及びカルボジイミド化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種類であることができる。
(16)上記乳酸系樹脂組成物が無機充填材を含有し、該無機充填材が、層状珪酸塩であり、成形後にナノコンポジットを形成していることができる。
本発明における乳酸系樹脂とは、構造単位がL−乳酸であるポリL−乳酸、構造単位がD−乳酸であるポリD−乳酸、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸である、ポリDL−乳酸やこれらの混合体をいい、さらには、α−ヒドロキシカルボン酸やジオール/ジカルボン酸との共重合体であってもよい。
ただし、乳酸系樹脂のDL構成が、L体:D体=100:0〜90:10、もしくは、L体:D体=0:100〜10:90であることが重要である。かかる範囲外では、部品の耐熱性が得られにくく、用途が制限されることがある。
脂肪族ポリエステル、および/または、芳香族脂肪族ポリエステルとしては、乳酸系樹脂を除く脂肪族ポリエステル樹脂、例えば、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸、および/または、芳香族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステル、および/または、脂肪族芳香族ポリエステル、並びに、環状ラクトン類を開環重合した脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸、および/または、芳香族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステルは、脂肪族ジオールであるエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等と、脂肪族ジカルボン酸であるコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等、および/または、芳香族ジカルボン酸であるテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の中から、それぞれ1種類以上選んで縮合重合して得られる。必要に応じてイソシアネート、エポキシ化合物等でジャンプアップして所望のポリマーを得ることができる。具体的には、昭和高分子(株)製のビオノーレ、イレケミカル社製のEnpole、三菱ガス化学社製のユーペック、イーストマンケミカル社製のEasterbio、BASF社製のEcoflex等が挙げられる。
層状珪酸塩の具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、カネマイト、ケニヤイト、燐酸ジルコニウム、燐酸チタニウムなどの各種粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素マイカ、Li型四珪素フッ素マイカ等の膨潤性マイカ等が挙げられ、天然のものであっても合成されたものであっても良い。これらのなかでもモンモリロナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物や、Na型四珪素フッ素マイカ、Li型フッ素テニオライトなどの膨潤性合成マイカが好ましい。
2級アンモニウムイオンとしてはメチルドデシルアンモニウム、メチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。3級アンモニウムイオンとしてはジメチルドデシルアンモニウム、ジメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。4級アンモニウムイオンとしてはベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムなどのベンジルトリアルキルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどのアルキルトリメチルアンモニウムイオン、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムなどのジメチルジアルキルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
また、これらの他にもアニリン、p−フェニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミノジメチルアニリン、ベンジジン、ピリジン、ピペリジン、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などから誘導されるアンモニウムイオンなども挙げられる。これらのアンモニウムイオンの中でも、トリオクチルメチルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム、オクタデシルアンモニウム、12−アミノドデカン酸から誘導されるアンモニウムなどが好んで用いられる。
(1) H5C3(OH)3−n(OOCCH3)n 0<n≦3
これは、グリセリンのモノ−、またはジ−、またはトリアセテ−トであり、これらの混合物でも構わないが、nは3に近い方が好ましい。
(2)グリセリンアルキレート(アルキル基は炭素数2〜20、水酸基の残基があってもよい)、またはジグリセリンアルキレート。例えば、グリセリントリプロピオネート、グリセリントリブチレート、ジグリセリンテトラアセテート
(3)エチレングリコールアルキレート(アルキル基は炭素数1〜20、水酸基の残基があってもよい)。例えば、エチレングリコールジアセテート
(4)エチレン繰り返し単位が5以下のポリエチレングリコールアルキレート(アルキル基は炭素数1〜20、水酸基の残基があってもよい)。例えば、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジアセテート
(5)脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル(アルキル基は炭素数1〜20)。例えば、ステアリン酸ブチル
(6)脂肪族ジカルボン酸アルキルエステル(アルキル基は炭素数1〜20、カルボキシル基の残基があってもよい)。例えば、ジ(2-エチルヘキシル)アジペート、ジ(2-エチルヘキシル)アゼレート。
(7)芳香族ジカルボン酸アルキルエステル(アルキル基は炭素数1〜20、カルボキシル基の残基があってもよい)。例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート。
(8)脂肪族トリカルボン酸アルキルエステル(アルキル基は炭素数1〜20、カルボキシル基の残基があってもよい)。例えば、クエン酸トリメチルエステル。
(9)重量平均分子量2万以下の低分子量脂肪族ポリエステル。例えば、コハク酸とエチレングリコール/プロピレングリコール縮合体(大日本インキ(株)によってポリサイザ−の商品名で販売されている。)
(10)天然油脂およびそれらの誘導体。例えば、大豆油、エポキシ化大豆油、ひまし油、桐油、なたね油。
例えば、ポリ(4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等が挙げられる。カルボジイミド化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
(1)エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエルスリット、ソルビット等の多価アルコールおよび/またはその脂肪酸エステル
(2)ポリエチレングリコールおよび/またはその脂肪酸エステル
(3)高級アルコール、多価アルコール、アルキルフェノール等のポリエチレングリコール付加物、またはポリプロピレングリコール付加物
弾性体としては、エンジン防振ゴム、各種チューブ、各種パッキン、タイヤ、タイミングベルト等が挙げられ、繊維構造体としては、シート、ピロー、マット、内板、ドアパネル、ドアボード、天井材、エアバッグ、シートベルト、内装材等が挙げられ、発泡体としては、シートクッション、断熱シート、内装材等が挙げられる。
かかる温度以下では、結晶化速度が遅く、所望の相対結晶化度を得るのに時間がかかり過ぎ、かかる温度以上では、結晶化速度は速いが、成形体の金型へ粘着が起こりやすく、成形サイクルが上がらなかったり、金型からの取り出し時に成形体が変形したり、さらに高温では、逆に結晶化速度が低下することがある。金型への接触時間は、1〜1000秒、好ましくは10〜100秒の範囲で調整される。
天然繊維と複合することにより、部品の剛性や、耐衝撃性が向上する。また、近年、自動車や家電業界では、比重やリサイクル性の観点から、ガラス繊維が忌避される傾向にあり、天然繊維の使用は、このような不都合がない。また、乳酸系樹脂は、デンプンを原料として製造されるので、オール植物由来となりコンセプトの合一化を図ることができる。
混合割合としては、用途にもよるが、乳酸系樹脂組成物:天然繊維=99:1〜60:40(重量%)が好ましい。かかる範囲を下回ると、剛性や耐衝撃性改良効果が得られず、上回ると、成形加工性や機械物性が低下してくる。
複合の方法としては、短繊維の樹脂組成物への練り込み、繊維引き抜き成形による長繊維強化ペレット(LFP)を得る方法に加え、プレス成形による織布・不織布への乳酸系樹脂組成物の含浸法や、乳酸系樹脂組成物と天然素材の混繊不織布のプレス成形等が挙げられる。
加熱温度としては、150〜280℃、好ましくは、170〜250℃の範囲が望ましい。かかる温度を下回ると、蒸気の発生度合いが少なく、工業的にコストがかかり、逆に上回ると、熱による副反応の割合が大きくなり、有効な蒸気を回収しがたい。また、加熱容器および回収経路を100torr以下、好ましくは20torrの減圧にすると、蒸気が回収しやすい。
蒸気の主成分は、ポリ乳酸のモノマーであるラクチドであり、少量の乳酸や乳酸二量体を含む。Lラクチド、およびDラクチドの融点は95℃であるため、回収系を95℃以下、好ましくは、60℃以下、さらに好ましくは30℃以下に冷却することにより、固体ラクチドの回収効率が高まる。
成形体を5mmφの10mg程度の鱗片状に削り出し、パーキンエルマー製DSC−7を用い、JIS−K7121に基づいて昇温測定を行い、下記の式により算出した。
相対結晶化度(重量%)={(△Hm−△Hc)/△Hm} ×100
ここで、△Hm:乳酸系樹脂成分の融解熱量
△HC:乳酸系樹脂成分の結晶化熱量
試料を幅10mm×長さ80mm×厚み4mmに直接成形するか、成形体から切り出し、JISO180に基づき、安田精機製作所製の万能衝撃試験機(型番258)を用い、ノッチ付(ノッチタイプA)、エッジワイズでアイゾット衝撃試験を行った。なお、単位は、KJ/m2である。
成形体を100℃の熱風オーブン中に30分静置した。目視で判定を行い、変形が認められなかったものを○、わずかに変形が認められたものを△、明らかに変形したものを×として示した。また、一部の検討では、130℃の試験を行った。
東ソー(株)製のゲルパーミエーションクロマトグラフィーHLC−8120GPCに、(株)島津製作所製のクロマトカラムShim−PackシリーズのGPC−800CPを装着し、溶媒クロロホルム、溶液濃度0.2wt/vol重量%、溶液注入量200μl、溶媒流速1.0ml/分、溶媒温度40℃で測定を行い、ポリスチレン換算で、乳酸系樹脂の重量平均分子量を算出した。用いた標準ポリスチレンの重量平均分子量は、2000000、670000、110000、35000、10000、4000、600である。
成形体を、85℃×85重量%に調整したタバイエスペック製の恒温恒湿機LH−112中に、30時間静置した。試験前後の乳酸系樹脂の分子量保持率(重量%)を算出し、以下の判定を行った。
○ 分子量保持率が75〜100重量%
△ 分子量保持率が50〜 74重量%
× 分子量保持率が0〜 49重量%
シュレッダーダスト中から、目視で乳酸系樹脂組成物からなる構成成分を選別し、カールフィッシャー法により求めた。
50mm×150mmの試験片を100mmの間隔をあけて2点で支え、支点間の中央の点において、試験片の上面から50mm/分の速度で荷重を加えた。このときの変位と荷重の関係から、曲げ弾性率、および曲げ最大荷重を算出した。
最終的にリサイクルできた乳酸系樹脂の重量を、最初に部品成形に要した乳酸系樹脂の重量で除すことにより、リサイクル率を百分率(%)で算出し、以下の基準にしたがい判定を行った。
○ リサイクル率が50〜100重量%
△ リサイクル率が20〜49重量%
× リサイクル率が0〜19重量%
○ 良好
△ 用途限定等により使用可能
× 不良
L体:D体=99:1であるカーギル・ダウ社製の乳酸系樹脂:NatureWorks4031D(重量平均分子量20万)と、ガラス転移温度Tgが−45℃である昭和高分子社製の脂肪族ポリエステル樹脂(ポリブチレンサクシネートアジペート):ビオノーレ3003と、無機充填材として、日本タルク社製のタルク:ミクロエースLと、加水分解防止剤として、バイエル社製のカルボジイミド:スタバクゾールPを、乳酸系樹脂/脂肪族ポリエステル/無機充填材/加水分解防止剤=65/28/15/2(重量%)でドライブレンドし、三菱重工社製の小型同方向2軸押出機を用い、200℃でコンパウンドし、原料ペレットを得た。
コンパウンドした原料を、東芝社製の射出成形機TS170を用い、樹脂温度200℃、金型温度40℃で、35mm×118mm×17mmの携帯電話の筐体(2ピース、重量22g)を射出成形した。次に、この筐体を枠に固定して、80℃で、10分間加熱し結晶化処理を行った。
この筐体に0.5gの金属枠と共に、1.2gのアクリル樹脂の窓をつけ、筐体表面に2液型ウレタン塗料でメタリックブルーに塗装を行い、実装ユニット、シールド板、ポリドーム、アンテナ収納ケース等の他の部品は、それぞれ既存の材料を用いて、携帯電話を組み立て、電話機能としては支障なく使用できることを確認した。表1に、相対結晶化度、耐熱性、湿熱耐久性の評価結果をまとめた。
また、同時にアイゾット試験片形状の金型を備えた日精樹脂工業社製の小型射出成形機PS40E5Aに供し、シリンダー温度200℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒で射出成形を行い、成形体を得た。耐衝撃性の試験結果を表1に示す。
このシュレッダーダスト(水分率0.3%)を冷却装置と連結した10Lのステンレス容器中に入れ、230℃に加熱し、少量の窒素をパージする一方で、10torrで冷却装置側から減圧し、3時間そのままの状態にした。
脂肪族ポリエステル樹脂の代わりに、脂肪族芳香族ポリエステル樹脂であるイーストマンケミカル社製のイースターバイオを用いた以外は実施例1と同様にして、携帯電話の筐体を成形し、次いで携帯電話を組み立てた。その後、実施例1と同様にして、シュレッダーダストとし、次いで、Lラクチドを回収した後、乳酸系樹脂のペレットを作製した。また、実施例1と同様の方法で評価を行った。その結果を表1に示す。
加水分解防止剤を添加せず、乳酸系樹脂/脂肪族ポリエステル/無機充填材/加水分解防止剤=65/30/15/0(重量%)と変更した以外は、実施例1と同様にして携帯電話の筐体を成形し、次いで携帯電話を組み立てた。その後、実施例1と同様にして、シュレッダーダストとし、次いで、Lラクチドを回収した後、乳酸系樹脂のペレットを作製した。また、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
無機充填材の一部(15重量%中の3重量%)を、ホージュン社製の有機化ベントナイトに変更した以外は、実施例1と同様にして携帯電話の筐体を成形し、次いで携帯電話を組み立てた。その後、実施例1と同様にして、シュレッダーダストとし、次いで、Lラクチドを回収した後、乳酸系樹脂のペレットを作製した。また、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
ただし、有機化ベントナイトは、表面がトリメチルステアリルベンジルアンモニウムで表面処理されたナノコンポジット用無機充填材である。また、成形体はナノコンポジットを形成していた。この時、耐熱性試験として、実施例1の成形品では変形が発生する130℃の試験も行ったが、変形は見られなかった。
乳酸系樹脂/脂肪族ポリエステル/無機充填材/加水分解防止剤=83/0/15/2(重量%)と変更する以外は、実施例1と同様にして携帯電話の筐体を成形し、次いで携帯電話を組み立てた。その後、実施例1と同様にして、シュレッダーダストとし、次いで、Lラクチドを回収した後、乳酸系樹脂のペレットを作製した。また、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。得られた成形体は耐衝撃性が乏しく好ましくないが、用途や使用法を限定すれば、使用することができる。
射出成形後の結晶化処理を行わない以外は、実施例1と同様にして携帯電話の筐体を成形し、次いで携帯電話を組み立てた。その後、実施例1と同様にして、シュレッダーダストとし、次いで、Lラクチドを回収した後、乳酸系樹脂のペレットを作製した。また、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。耐熱性が乏しく好ましくないが、用途や使用法を限定すれば、使用することができる。
乳酸系樹脂の半分を、ピューラック社製のポリD−乳酸:ピュラソーブポリマーPDに変更する以外は、実施例1と同様にして携帯電話の筐体を成形し、次いで携帯電話を組み立てた。その後、実施例1と同様にして、シュレッダーダストとし、次いで、Lラクチドを回収した後、乳酸系樹脂のペレットを作製した。また、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。この時、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とブレンドすることで、一部ステレオコンプレックスが形成していることをDSCで確認した。
さらに、耐熱性試験として、実施例1の成形品では変形が発生する130℃の試験も行ったが、変形は見られなかった。
広末産業社製の竹繊維(直径70μm 繊維長500μm)を実施例1の樹脂組成物に対し、10重量部添加し、乳酸系樹脂/脂肪族ポリエステル/無機充填材/加水分解防止剤/竹繊維=65/28/15/2/10という組成のコンパウンドペレットを用いる以外は、実施例1と同様にして携帯電話の筐体を成形し、次いで携帯電話を組み立てた。その後、実施例1と同様にして、シュレッダーダストとし、次いで、Lラクチドを回収した後、乳酸系樹脂のペレットを作製した。また、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
また、耐熱性試験として、実施例1の成形品では変形が発生する130℃の試験も行ったが、変形は見られなかった。
加熱回収のためのステンレス容器に入れるシュレッダーダストに含まれる乳酸系樹脂組成物の水分率を、8%に調整する以外は、実施例1と同様にして携帯電話の筐体を成形し、次いで携帯電話を組み立てた。その後、実施例1と同様にして、シュレッダーダストとし、次いで、Lラクチドを回収した後、乳酸系樹脂のペレットを作製した。また、実施例と同様の方法でリサイクル性の評価を行った。結果を表2に示す。
加熱回収のためのステンレス容器を300℃に加熱する以外は、実施例1と同様にして携帯電話の筐体を成形し、次いで携帯電話を組み立てた。その後、実施例1と同様にして、シュレッダーダストとし、次いで、Lラクチドを回収した後、乳酸系樹脂のペレットを作製した。また、実施例1と同様の方法でリサイクル性の評価を行った。結果を表2に示す。
黄麻繊維(平均繊維径20デニール、繊維長30〜50mm)と、乳酸系樹脂繊維(カネボウ合繊社製のラクトロン、重量平均分子量15万のポリL乳酸100%、繊維径5デニール、繊維長50mm)とを重量比で、黄麻繊維:乳酸系樹脂繊維=70/30となるように均一に混綿して、目付が150g/m2のウエブを作製した。このウエブに対して、ニードルパンチを200本/m2の密度で施すことにより、厚さ3mmのニードルパンチ不織布を作製した。この不織布をロール温度180℃、ロール間クリアランスの熱ロールにて、挟圧することにより、厚さ0.3mmのシートを得た。
1m角に切り出した、このシート10枚を積み重ね、100t熱プレス機によって、180℃で15分熱プレスし、15分かけて徐冷して結晶化させ、ボードを得た。
できあがったボードの曲げ弾性率は、3.6GPa、曲げ最大荷重は28N/50mmであり、従来のPP繊維とケナフ繊維を用いて作製したボード以上の性能が得られた。
Claims (16)
- 乳酸系樹脂組成物を主成分として含む成形体に由来することを特徴とするリサイクル用シュレッダーダスト。
- 前記成形体が自動車部品又は家電部品であることを特徴とする請求項1記載のリサイクル用シュレッダーダスト。
- 前記成形体が、リジッド体、弾性体、繊維構造体又は発泡体であることを特徴とする請求項1又は2記載のリサイクル用シュレッダーダスト。
- 前記乳酸系樹脂組成物が無機充填材を含有し、該無機充填材が層状珪酸塩であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のリサイクル用シュレッダーダスト。
- 前記乳酸系樹脂組成物に含まれる乳酸系樹脂が、実質的にポリL−乳酸と、実質的にポリD−乳酸の混合体からなり、ステレオコンプレックスを形成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のリサイクル用シュレッダーダスト。
- 請求項1から5のいずれか1項記載のシュレッダーダストを、150℃〜280℃に加熱して蒸気成分を回収することを特徴とするリサイクル方法。
- リサイクル時に、乳酸系樹脂組成物からなる構成成分が0.1〜1.0重量%の水分を含有していることを特徴とする請求項6記載のリサイクル方法。
- 前記蒸気成分がラクチドであり、回収したラクチドを再度重合して、乳酸系樹脂とすることを特徴とする請求項6又は7記載のリサイクル方法。
- 請求項1から5のいずれか1項記載のリサイクル用シュレッダーダストを用いて形成されることを特徴とする成形体。
- 前記成形体は乳酸系樹脂組成物を主成分として含み、該乳酸系樹脂組成物が、1)乳酸系樹脂30〜100%、2)Tgが0℃以下の脂肪族ポリエステル、および/または、芳香族脂肪族ポリエステル0〜50重量%、3)無機充填材0〜50重量%、4)加水分解防止剤0〜10重量%、5)可塑剤0〜50重量%からなることを特徴とする請求項9記載の成形体。
- 前記成形体が自動車部品又は家電部品であることを特徴とする請求項9又は10記載の成形体。
- 前記成形体が、リジッド体、弾性体、繊維構造体又は発泡体であることを特徴とする請求項9から11のいずれか1項記載の成形体。
- 前記成形体が、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形又はSMC法で成形されたことを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項記載の成形体。
- 前記成形体が、天然繊維と複合されていることを特徴とする請求項9〜13のいずれか1項記載の成形体。
- 前記乳酸系樹脂組成物が加水分解防止剤を含有し、該加水分解防止剤が、疎水性ワックス、疎水性可塑剤、オレフィン系樹脂及びカルボジイミド化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種類であることを特徴とする請求項9〜14のいずれか1項記載の成形体。
- 前記乳酸系樹脂組成物が無機充填材を含有し、該無機充填材が、層状珪酸塩であり、成形後にナノコンポジットを形成していることを特徴とする請求項9〜15のいずれか1項記載の成形体。
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