JP4195638B2 - 吸湿性ポリエステル繊維 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸湿性に優れ、かつ、色調及び耐光堅牢度も良好なポリエステル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルは、優れた機械的特性及び化学的特性を有しており、広範な分野において使用され、特に合成繊維として極めて広い用途を有している。
【0003】
しかしながら、ポリエステル繊維は疎水性であるために極めて吸湿性が低く、インナー、中衣、スポーツ衣料等のように直接的に肌に触れて、あるいは肌側に近い状態で着用される分野に使用する場合は、肌からの発汗によるムレやベタつき等を生じ、快適性の点で天然繊維と比較して著しく劣り、このような衣料分野での利用が大きく制限されている。
【0004】
従来、ポリエステル繊維に親水性または吸湿性を付与しようとする試みが種々なされてきた。過去に提案された吸湿性繊維としては、ポリアルキレングリコール類を50〜70質量%含有したポリエステル組成物からなる繊維がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような繊維は、ポリアルキレングリコールを多く含有しているために、色調が悪く、また耐光堅牢度も著しく劣ったものとなり、用途が制限されてしまうという欠点を有する。
【0005】
このような問題点を解決する方法として、常温下で吸湿率が10質量%以上の吸湿性ポリマーを芯部とし、鞘部を通常のポリエステルで覆った芯鞘型複合繊維が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この複合繊維は外側が通常のポリエステルで覆われているため、色調、耐光堅牢度とも良好であるが、染色加工時の熱水により芯部の吸湿性ポリマーが大きく膨潤するため、複合繊維の表面にひび割れが生じ、水に対する親和性が高い芯部のポリマーが外部に流出してしまうという問題点がある。
【0006】
また、ポリエステルからなる外層と内層の間に、ポリエーテル化合物を含む吸湿性ポリマーが中間層として複合されており、かつ、中空部を有する中空状三層複合繊維も提案されている(例えば、特許文献3参照)。このような繊維は、染色加工時の熱水により、中間層の吸湿性ポリマーが膨潤しても中空部が変形することによって複合繊維の表面はひび割れを起こさず、水に対する親和性が高い中間層のポリマーが外部に流出することがないようにしたものである。このような繊維形態をとることにより、ある程度の染色加工は可能となるが、繊維の断面形状が複雑であるために製糸の安定性に劣り、操業性が極めて悪く、コスト的にも不利であるという問題点がある。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−267352号公報
【特許文献2】
特開平2−99612号公報
【特許文献3】
特開平9−228157号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決し、操業性よく、コストパフォーマンスよく得ることができる繊維であって、優れた吸湿性を有し、かつ色調及び耐光堅牢度も良好である吸湿性ポリエステル繊維を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、有機置換基の炭素数が10〜20であるアルキルスルホン酸塩及び/又はアルキルベンゼンスルホン酸塩を10〜40質量%、平均分子量が4000〜15000のポリアルキレングリコールを20〜40質量%含有するポリエーテルエステルAと、アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルBを、5:95〜20:80の質量比率でブレンドしたポリマーからなるポリエステル繊維であって、温度34℃、湿度90%RHの雰囲気下における吸湿率が2.5質量%以上、かつb値が4.0未満であることを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維を要旨とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の吸湿性ポリエステル繊維は、吸湿性成分として平均分子量が4000〜15000のポリアルキレングリコールを含有し、吸湿性を向上させる成分としてアルキルスルホン酸塩及び/又はアルキルベンゼンスルホン酸塩を含有するものである。
【0011】
好適なポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール(以下PEGと略記する)、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体等が挙げられるが、特にPEGが好ましい。
【0012】
ポリアルキレングリコールの平均分子量が4000未満であると、充分な吸湿性を示さず、添加量を増しても目的とする吸湿性能を持つ繊維が得られない。また、その平均分子量が15000を超える場合は、ポリエステル成分との相溶性が悪く、染色加工時等にポリアルキレングリコールが析出しやすくなるため、好ましくない。
【0013】
そして、繊維質量に対してポリアルキレングリコールを1.0〜8.0質量%含有している。従来の技術の項において述べたようにポリアルキレングリコールの含有量が多くなると、色調、耐候堅牢度に劣り、用途が限定されたものとなる。そこで、吸湿性を発現することができ、かつ繊維の色調が良好になる範囲として、1.0〜8.0質量%とするものである。
【0014】
さらに、本発明の繊維中には、アルキルスルホン酸塩とアルキルベンゼンスルホン酸塩をいずれか単独で、あるいは両方を含有するものであり、繊維中に0.5〜8.0質量%含有するものである。
含有量が0.5質量%未満であると、吸湿性向上の効果が乏しく、一方、8.0質量%を超えると、ポリエステル成分との相溶性が悪くなり、物性低下が起きるために好ましくない。
【0015】
アルキルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩は、親水性と親油性の両者を兼ね備えているため、ポリエステルとの相溶性に優れ、かつ、添加することにより吸湿性を向上させる効果がある。本発明に使用するアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、吸湿性や熱安定性等から有機置換基の炭素数が10〜20であるものを用いる。
【0016】
さらに、本発明のポリエステル繊維中には、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分が共重合されていることが好ましい。スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸は、ポリアルキレンテレフタレートを親水化する効果があり、具体的には5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のスルホン酸塩基を有するイソフタル酸が好適である。
【0017】
その共重合割合は、全酸成分に対して5モル%以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは1.5〜4.5モル%の範囲とする。共重合割合が5モル%を超えると、重合時にポリマーの溶融粘度が高くなり、十分な重合度が得られないため、繊維の物性が低下したり、またポリマー色調が悪化することにより、繊維の色調も悪くなることがある。
【0018】
本発明のポリエステル繊維を形成するポリエステル成分としては、アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルとすることが好ましく、ポリアルキレンテレフタレート、具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等が好適である。
【0019】
これらのポリエステル中には本質的な特性を損なわない限り、他の共重合成分を少量含有していてもよく、これらの共重合成分としては、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサノンジメタノール、ダイマージオール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等のグリコール成分、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸成分が挙げられる。
【0020】
そして、本発明の吸湿性ポリエステル繊維は、吸湿性能として、温度34℃、湿度90%RHの雰囲気下における吸湿率が2.5質量%以上である。
なお、本発明における吸湿率とは次の方法で測定するものである。繊維を筒編し、これを25℃、60%RHで調湿して質量W0を測定する。次いで、この筒編地を、2hPaに減圧した状態で80℃で6時間乾燥し、34℃、90%RHに設定した恒温恒湿槽に6時間放置した後、質量W1を測定する。そして、次式により吸湿率を求める。
吸湿率(質量%)=〔(W1−W0)/W0〕×100
【0021】
吸湿率が2.5質量%未満では、綿等の天然繊維と比較して充分な吸湿性が得られず、衣類とした場合の着用時に不快感を生じやすいので好ましくない。さらに好ましい吸湿率は3.0質量%以上である。
【0022】
さらに、本発明のポリエステル繊維はb値が4.0未満である。この値は繊維の色相を示す値であり、黄−青系の色相(+は黄味、−は青味)を示す。この値が4.0未満であることで、黄色の着色が少なく、その後の染色加工により所望の色彩を得ることができる。
【0023】
本発明の繊維の色調は、繊維を筒編とし、未染色の状態でミノルタ社製の色彩色差計CR−100を用いて、L、a、b値をもとめることにより評価した。
なお、L値は明度(値が大きいほど明るい)、a値は赤−緑系の色相(+は赤味、−は緑味)を表す。そして、その後の染色加工により所望の色彩を発現させるためには、L値は大きいほど、具体的には80.0以上であることが好ましく、a値が0に近いほど好ましい。
【0024】
本発明の吸湿性ポリエステル繊維は、吸湿成分の含有量が少なくても十分な吸湿性能を有するものであるので、上記のように色調にも優れた繊維とすることができる。
【0025】
また、本発明の繊維は色調に優れることから、耐候堅牢度にも優れるものであり、耐候堅牢度は、染色後の染色耐光堅牢度をJIS L-0841(第3露光法)に準拠して測定した値が、4級以上となることが好ましい。
【0026】
以上のように、本発明のポリエステル繊維は少ないポリアルキレングリコールの含有量で十分な吸湿性と良好な色調を有しているが、このような効果を奏する繊維とするには、以下のような2成分(ポリエーテルエステルAとポリエステルB)をブレンドしたポリマーからなる繊維とすることが必要である。
【0027】
つまり、アルキルスルホン酸塩及び/又はアルキルベンゼンスルホン酸塩と平均分子量が4000〜15000のポリアルキレングリコールを含有するポリエーテルエステルAと、アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルBをそれぞれ重縮合し、ペレット化した後、両者をブレンドし、このブレンドポリマーからなる繊維とすることが好ましい。
【0028】
ポリエーテルエステルAにおいては、アルキルスルホン酸塩とアルキルベンゼンスルホン酸塩をそれぞれ単独あるいは併用して10〜40質量%含有していることが必要である。含有量が10質量%未満では、吸湿性向上の効果が乏しく、一方、40質量%を超えると、ポリエーテルエステルAの重合性が悪くなったり、物性低下が起きるために好ましくない。
【0029】
さらに、ポリエーテルエステルAは、平均分子量4000〜15000のポリアルキレングリコールを20〜40質量%含有していることが必要である。ポリアルキレングリコールの含有量が20質量%未満では、繊維とした場合に充分な吸湿率が発現せず、一方、40質量%を超えるとポリエーテルエステルAの重合性が悪くなったり、物性低下が起きるために好ましくない。
【0030】
また、ポリエーテルエステルAのポリエステル成分は、ポリアルキレンテレフタレートが好適であり、中でもPET、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等が好ましい。
【0031】
次に、本発明の繊維を形成するポリエステルBとしては、ポリアルキレンテレフタレートが好適であり、中でもPET、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等が好ましい。
【0032】
そして、ポリエステルBには、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸が、全酸成分に対して5モル%以下の範囲で共重合されていることが好ましい。
スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸は、ポリアルキレンテレフタレートを親水化する効果があり、具体的には5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のスルホン酸塩基を有するイソフタル酸が好適である。
【0033】
スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分の共重合割合は、全酸成分に対して5モル%以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは1.5〜4.5モル%である。この共重合割合が5モル%を超えると、重合時にポリマーの溶融粘度が高くなり、十分な重合度が得られないため、繊維の物性が低下したり、またポリマー色調が悪化することにより、繊維の色調も悪くなるので好ましくない。
【0034】
また、ポリエステルBには、その特性を損なわない限り、他の共重合成分を少量含有していてもよく、これらの共重合成分としては、イソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸成分、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサノンジメタノール、ダイマージオール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体、ビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等のグリコール成分、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸成分が挙げられる。
【0035】
そして、本発明の繊維は、ポリエーテルエステルAとポリエステルBを5:95〜20:80の質量比率でブレンドしたポリマーで形成される。ポリエーテルエステルAは吸湿性能を有するポリマーであるので、この比率が小さすぎる場合は、繊維全体として充分な吸湿率が発現しない。一方、比率が大きすぎる場合には、ポリアルキレングリコールの含有量が多くなることから、繊維の色調や耐光堅牢度が悪化する。
【0036】
このようなブレンドポリマーからなる本発明の繊維も、上記したように、温度34℃、湿度90%RHの雰囲気下における吸湿率が2.5質量%以上、かつ色調を示すb値が4.0未満である。
【0037】
なお、本発明の吸湿性ポリエステル繊維は、上記のようなポリマー構成からなるものであるため、吸湿率の上限としては、概ね6.0質量%以下となる。また、b値の下限は、−になると青味が強くなるため、概ね0以上とすることが好ましい。
【0038】
本発明のポリエステル繊維が吸湿性に優れ、色調、耐光堅牢度が良好である理由として、発明者は次のように考えている。
ポリエステルに吸湿性を付与するためには、ある程度のセグメント長を有するポリアルキレングリコールを含有させることが必要である。しかし、このような高分子量のポリアルキレングリコールは耐熱性があまり高くないため、通常のPETのように270℃以上の高温で重縮合反応を行った場合、ポリアルキレングリコールの熱分解によって著しく着色してしまう。また、270℃未満で反応を行った場合は、ポリアルキレングリコールの熱分解は抑制されるが、重縮合反応速度も遅くなるため、繊維加工に適切な粘度とするには長時間を要し、結果的に得られるポリマーの色調は、やはり悪いものとなる。
【0039】
そこで、吸湿性の高いポリマーとしてポリエーテルエステルAと熱安定性の高いポリエステルBとをブレンドしたポリマーから形成すれば、つまり、ポリエーテルエステルAとポリエステルBをそれぞれ重縮合してペレット化した後、両者をブレンドしたブレンドポリマーからなる繊維とすれば、得られる繊維の強度を調整するには、ポリエステルBの粘度を調整すればよく、ポリエーテルエステルAを一般に繊維用途に用いられるポリマーほど高粘度である必要がなくなる。このため、ポリアルキレングリコールを270℃以下の低温で重縮合反応を行ったとしても、長い反応時間を要さず、色調が悪化することはない。
【0040】
したがって、ポリエステルBの極限粘度は0.7〜0.9とし、ポリエーテルエステルAの極限粘度は0.5〜0.6とすることが好ましい。
【0041】
また、ポリアルキレングリコールを比較的多く含有する繊維は耐光堅牢度が悪いという問題点があり、ポリアルキレングリコールを吸湿成分として多量に用いて、充分な吸湿性を付与させようとする場合には、耐光堅牢度に劣ったものとなる。
【0042】
本発明におけるポリエーテルエステルAは、吸湿成分としてポリアルキレングリコールのみならず、アルキルスルホン酸塩及び/又はアルキルベンゼンスルホン酸塩を含有しているため、ポリアルキレングリコール含有量を繊維の耐光堅牢度が悪化しない範囲内に制限しても、目標とする吸湿性を得ることができる。
【0043】
さらに、本発明におけるポリエステルBに、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸を共重合すると、ポリアルキレンテレフタレートを親水化する効果があるため、さらに繊維の吸湿性を向上させることが可能である。
これらの結果として、吸湿性に優れ、色調、耐光堅牢度が良好である繊維を得ることが可能となる。
【0044】
本発明の吸湿性ポリエステル繊維は、例えば、次のような方法により製造することができる。
テレフタル酸とジオールを直接エステル化させるか、テレフタル酸の低級アルキルエステルとジオールをエステル交換させて、ポリエステルオリゴマーを合成し、これにポリアルキレングリコール及びアルキルスルホン酸塩を添加し、重縮合反応を行うことによって、ポリエーテルエステルAを得る。
同様にポリエステルオリゴマーを合成した後、必要に応じてスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸を添加し、重縮合反応を行うことによって、ポリエステルBを得る。
【0045】
上記の重縮合反応は、通常アンチモン、ゲルマニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、コバルト等の金属化合物の存在下で、0.12〜12hPa程度の減圧下、250〜290℃の温度で、極限粘度が0.5以上となるまで行うことが好ましい。
また、効果を阻害しない範囲であれば、ヒンダードフェノール系化合物のような抗酸化剤、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料、酸化セリウムのような耐光性改良剤等の添加剤を含有させても差し支えない。
【0046】
次に、得られたポリエーテルエステルA及びポリエステルBを常法により乾燥した後、両者を規定の比率になるよう溶融紡糸機に供給し、好ましくは、ポリエステルBの融点より20℃以上高い温度で溶融紡糸する。紡糸後の糸条を冷却、固化後に未延伸糸または半未延伸糸として一旦捲き取るか、あるいは、捲き取ることなしに引き続いて延伸、熱処理等を行い、所望の強伸度となるようにしてポリエステル繊維を得る。
【0047】
なお、本発明の効果が損なわれない限り、本発明の吸湿性ポリエステル繊維を一成分とし、他の成分と併せた複合繊維としてもよい。
さらに、本発明のポリエステル繊維は長繊維としても短繊維としてもよく、またマルチフィラメントであってもモノフィラメントであってもよい。そして、必要に応じて、捲縮加工、仮撚加工、薬液による処理等の後加工を施して用いることもできる。
【0048】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種の値の測定法や評価は次の通りに行った。
(a)極限粘度〔η〕
フェノールとテトラクロロエタンとの等質量混合物を溶媒とし、温度20℃で測定した。
(b)強伸度
JIS L1013の引張り強さ及び伸び率の測定法に従い、オリエンティック社製テンシロンRTC−1210型を用い、つかみ間隔50cm、速度50cm/分で測定した。
(c)色調、耐光堅牢度、吸湿率
前記の方法で求めた。
なお、吸湿率と耐光堅牢度の測定については、繊維を筒編後、次のような染色条件で染色した後、前記の方法で測定した。
染色条件:60℃で20分の精錬を行った後、下記条件下で130℃、60分間染色して風乾し、小型ピンテンターを用いて150℃で1分間の熱セットを行った。
【0049】
実施例1
エステル化反応缶にテレフタル酸とエチレングリコールとのモル比1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MPa、滞留時間8時間の条件で、エステル化反応を行い、反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。このPETオリゴマー44.2kgを重縮合反応缶に移送し、平均分子量6000のPEGを1.4kg(生成するポリマーに対し30質量%となる量)、及びペンタデシルスルホン酸ナトリウムを16.9kg(生成するポリマーに対し20質量%となる量)と、抗酸化剤として「イルガノックス245(商品名)」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、ヒンダードフェノール系抗酸化剤)を254g(生成するポリマーに対して0.3質量%となる量)添加し、40分間攪拌混合した。その後、三酸化アンチモンを19g(全酸成分1モルに対して3×10-4モルとなる量)添加し、圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件で、攪拌しながら4時間重縮合反応を行い、常法により払い出してペレット化することにより、ポリエーテルエステルAを得た。
上記と同様な方法にて得たPETオリゴマー50.3kgを重縮合反応缶に移送した後、二酸化チタンを192g(生成するポリマーに対して0.4質量%となる量)、三酸化アンチモンを15g(全酸成分1モルに対して2×10-4モルとなる量)添加し、重縮合反応缶内の温度を30分間で280℃に昇温し、圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件で、攪拌しながら3時間重縮合反応を行い、常法により払い出してペレット化することにより、ポリエステルBを得た。
次に、ポリエーテルエステルA、及びポリエステルBのペレットを常法により乾燥した後、両者を10:90の質量比率になるようにエクストルーダーに供給し、通常の溶融紡糸装置を用いて紡糸温度290℃で溶融紡糸し、1400m/分の速度で未延伸糸を捲き取った。この未延伸糸を延伸機に供給し、80℃で予熱した後、温度150℃のヒートプレートに接触させながら3.5倍に延伸、熱処理して捲き取り、83デシテックス/36フィラメントのフィラメントヤーンを得た。
【0050】
実施例2
実施例1と同様にして得られたPETオリゴマーを用いて、実施例1と同様にポリエーテルエステルAを得た。
また、実施例1と同様にして得られたPETオリゴマー49.0kgを重縮合反応缶に移送し、エチレングリコールを5.4kg(PETオリゴマーに対し11質量%となる量)添加して40分間解重合を行った後、二酸化チタンを195g(生成するポリマーに対して0.4質量%となる量)、三酸化アンチモンを15g(全酸成分1モルに対して2×10-4モルとなる量)、5−ナトリウムスルホイソフタル酸のメチルエステル(以下、SIPMと略す)を1.9kg(全酸成分に対して2.5モル%となる量)添加し、重縮合反応缶内の温度を30分間で275℃に昇温し、圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件で、攪拌しながら4時間重縮合反応を行い、常法により払い出してペレット化することにより、ポリエステルBを得た。
次に、ポリエーテルエステルA、及びポリエステルBのペレットを常法により乾燥した後、実施例1と同様の方法にて紡糸、延伸することにより、83デシテックス/36フィラメントのフィラメントヤーンを得た。
【0051】
実施例3〜、比較例1〜8
ポリエーテルエステルA中のポリアルキレングリコールの種類および含有量、アルキルスルホン酸ナトリウム、あるいはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの種類および含有量、極限粘度〔η〕、ポリエステルB中のSIPMの共重合割合、極限粘度〔η〕、ポリエーテルエステルAとポリエステルBのブレンド比率を表1に示すように種々変更した以外は実施例2と同様に行った。
【0052】
実施例1〜、比較例1〜8で得られた繊維の強度、伸度、色調、吸湿率、耐光堅牢度の測定結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1から明らかなように、実施例1〜の繊維は、吸湿率2.5質量%以上であり、吸湿性に優れたものであり、色調及び耐光堅牢度の評価結果もよく、また、製糸、操業性よく得ることができた。
一方、比較例1の繊維ではポリエーテルエステルAに添加するPEGの分子量が小さかったために、吸湿率が低かった。
比較例2では、添加するPEGの分子量が大きく、PETとの相溶性が悪く、染色加工時にPEGが大部分が溶出してしまったために、比較例3の繊維ではポリエーテルエステルA中のPEGの含有量が少なすぎたために、比較例5の繊維ではポリエーテルエステルA中のペンタデシルスルホン酸ナトリウムの添加量が少なすぎたために、比較例7ではポリエーテルエステルAのブレンド比率が少なすぎたために、ともに得られた繊維は吸湿率が低かった。比較例8ではポリエーテルエステルAのブレンド比率が高すぎ、PEGの含有量が多すぎたために、得られた繊維の色調及び耐光堅牢度は劣るものであった。
また、比較例4ではポリエーテルエステルA中のPEGの含有量が多すぎたために、比較例6はポリエーテルエステルA中のペンタデシルスルホン酸ナトリウムの添加量が多すぎたために重合度が上がらず、ポリエーテルエステルAを得ることができなかった。
【0055】
【発明の効果】
本発明の吸湿性ポリエステル繊維は、優れた吸湿性を有し、かつ色調及び耐光堅牢度も良好であり、また操業性よく得ることができるので、主に衣料用として、吸湿性と色調とを兼ね備えた素材として広く用いることができる。

Claims (1)

  1. 有機置換基の炭素数が10〜20であるアルキルスルホン酸塩及び/又はアルキルベンゼンスルホン酸塩を10〜40質量%、平均分子量が4000〜15000のポリアルキレングリコールを20〜40質量%含有するポリエーテルエステルAと、アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルBを、5:95〜20:80の質量比率でブレンドしたポリマーからなるポリエステル繊維であって、温度34℃、湿度90%RHの雰囲気下における吸湿率が2.5質量%以上、かつb値が4.0未満であることを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維。
JP2003154386A 2003-05-30 2003-05-30 吸湿性ポリエステル繊維 Expired - Fee Related JP4195638B2 (ja)

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