JP2001049528A - 吸湿性ポリエステル繊維 - Google Patents

吸湿性ポリエステル繊維

Info

Publication number
JP2001049528A
JP2001049528A JP11216978A JP21697899A JP2001049528A JP 2001049528 A JP2001049528 A JP 2001049528A JP 11216978 A JP11216978 A JP 11216978A JP 21697899 A JP21697899 A JP 21697899A JP 2001049528 A JP2001049528 A JP 2001049528A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
fiber
moisture
polyether compound
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11216978A
Other languages
English (en)
Inventor
Sachiko Ozaki
幸子 尾崎
Masahito Tokutake
政仁 徳竹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Ester Co Ltd
Original Assignee
Nippon Ester Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Ester Co Ltd filed Critical Nippon Ester Co Ltd
Priority to JP11216978A priority Critical patent/JP2001049528A/ja
Publication of JP2001049528A publication Critical patent/JP2001049528A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維のアルカリ減量速度を実用上問題ない範
囲とし、均一な減量加工を施すことによって、ソフトな
風合いを発現させることが可能であり、かつ、優れた吸
湿性を有するポリエステル繊維を提供する。 【解決手段】 20℃の水に対する溶解率が30重量%
以下であるポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物
誘導体を3〜30重量%含有し、スルホン酸塩基含有化
合物が全酸成分に対して0.5〜3モル%、特定の式を
満足するジオールがアルキレンテレフタレート成分に対
して1〜10重量%、それぞれ共重合されているポリア
ルキレンテレフタレートからなる繊維である。そして、
アルカリ減量速度が1.5重量%/分以下であり、か
つ、温度34℃、湿度90%RHの雰囲気下における吸
湿率が4重量%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ソフトな風合いを
発現させることが可能で、かつ、吸湿性に優れたポリエ
ステル繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維、特にポリエチレンテ
レフタレート(以下、PETと略す。)を主成分とする
ものは、高結晶性で高軟化点を有するため、強度、伸度
等の機械的特性はもとより、耐熱性、耐薬品性などに優
れた性能を示し、産業資材、衣料用品分野に幅広く利用
されている。
【0003】しかしながら、ポリエステル繊維は疎水性
であるため極めて吸湿性が低く、インナー、中衣、スポ
ーツ衣料等のように直接的に肌に触れたり、あるいは肌
側に近い状態で着用される分野に使用する場合は、肌か
らの発汗によるムレやベタツキなどを生じ、快適性の点
で天然繊維と比較して著しく劣っており、このような衣
料分野での利用が大きく制限されている。
【0004】従来、ポリエステル繊維に親水性や吸湿性
を付与する試みは種々なされてきた。例えば、特開昭62
−267352号公報には、ポリアルキレングリコール類を50
〜70重量%配合したポリエステル組成物が提案されてい
る。しかしながら、このような組成物からなる繊維は耐
薬品性に劣るものであり、特にアルカリによる減量速度
が速くなるという欠点がある。
【0005】一般に、ポリエステル繊維は、アルカリ減
量加工を施すことによりソフトな風合いを発現させてい
るが、このようにアルカリによる減量速度が速い繊維で
は、減量率をコントロールして均一な減量加工を行うこ
とができず、ソフトな風合いを有する繊維を得ることが
できないという問題があった。
【0006】このような問題を解決する手段として、例
えば、特開平2-99612号公報には、常温下で吸湿率が10
重量%以上の吸湿性ポリマーを芯部とし、鞘部をポリエ
ステルで形成した芯鞘型複合繊維が提案されている。し
かしながら、このような繊維は、アルカリ減量加工時の
熱水により、芯部の吸湿性ポリマーが大きく膨潤して複
合繊維の表面にひび割れが生じ、水に対する溶解性が高
い芯部のポリマーが外部に流出してしまうという問題が
あった。
【0007】また、特開平9-228157号公報には、ポリエ
ステルからなる外層と内層の間に、ポリエーテル化合物
を含む吸湿性ポリマーの中間層が複合されており、か
つ、中空部を有する中空状三層複合繊維が提案されてい
る。このような繊維は、アルカリ減量加工時の熱水によ
り、中間層の吸湿性ポリマーが膨潤しても中空部が変形
することによって、複合繊維の表面はひび割れを起こさ
ず、水に対する溶解性が高い中間層のポリマーが外部に
流出することがないようにしたもので、ある程度のアル
カリ減量加工は可能となる。しかしながら、繊維の断面
形状が複雑であるため、製糸の安定性に劣り、操業性が
著しく悪くなるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題点を解決するものであって、繊維のアルカリ減量
速度を実用上問題のない範囲とし、均一な減量加工を施
すことによって、ソフトな風合いを発現させることが可
能であり、かつ、優れた吸湿性を有するポリエステル繊
維を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するものであって、その要旨は、20℃の水に対する
溶解率が30重量%以下であるポリエーテル化合物又はポ
リエーテル化合物誘導体を3〜30重量%含有し、スルホ
ン酸塩基含有化合物が全酸成分に対して 0.5〜3モル
%、下記の一般式及び/又は一般式で示されるジオ
ールがアルキレンテレフタレート成分に対して1〜10重
量%、それぞれ共重合されているポリアルキレンテレフ
タレートからなる繊維であって、アルカリ減量速度が
1.5重量%/分以下であり、かつ、温度34℃、湿度90%R
Hの雰囲気下における吸湿率が4重量%以上であること
を特徴とする吸湿性ポリエステル繊維にある。
【0010】
【化3】
【0011】ただし、式中、R1 及びR2 は同一もしく
は異なるアルキル基、R3 及びR4は同一もしくは異な
るアルキレン基であり、R1 、R2 、R3 及びR4 の炭
素数の合計は24〜36の範囲である。また、式中、m及び
nは1以上の整数であり、mとnの合計は2〜10の範囲
である。
【0012】
【化4】
【0013】ただし、式中、R1'及びR2'は同一もしく
は異なるアルキル基、R3'及びR4'は同一もしくは異な
るアルキレン基であり、R1'、R2'、R3'及びR4'の炭
素数の合計は24〜36の範囲である。また、式中、m'及び
n'は1以上の整数であり、m'とn'の合計は2〜10の範囲
である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0015】本発明の吸湿性ポリエステル繊維を形成す
るポリアルキレンテレフタレートは、具体的にはPE
T、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレ
フタレートなどが好適である。そして、ポリアルキレン
テレフタレートは、20℃の水に対する溶解率が30重量%
以下であるポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物
誘導体を3〜30重量%含有することが必要である。
【0016】ポリエーテル化合物又はポリエーテル化合
物誘導体の水に対する溶解率が30重量%を超えると、ア
ルカリ減量加工時にこの成分が外部に溶出しやすくな
り、結果として、これを含有するポリエステル繊維のア
ルカリ減量速度が速くなってしまうので好ましくない。
【0017】このようなポリエーテル化合物又はポリエ
ーテル化合物誘導体の例としては、次のようなものが挙
げられる。通常のポリアルキレンオキシドであれば、平
均分子量 18000以上の高分子量ポリエチレングリコール
が好適である。ポリアルキレンオキシドの末端の一部又
は全部がイソシアネート化合物等と反応して架橋してい
るものも好適であり、市販品としては、住友精化社製
「アクアコーク」などが挙げられる。ポリエーテル成分
とポリアミド成分からなるポリエーテルエステルアミド
も好適であり、市販品としては三洋化成社製「ペレスタ
ット」などが挙げられる。また、プロピレンオキシドと
エチレンオキシドの共重合体で平均分子量が9000以上の
ものも、水に対する溶解性は低く、本発明の目的に使用
することが可能であるが、吸湿性を損なわないためには
プロピレンオキシドの共重合割合が20〜80モル%のもの
が好適である。
【0018】なお、このポリエーテル化合物又はポリエ
ーテル化合物誘導体の含有量が3重量%未満であると十
分な吸湿性が発現せず、30重量%を超えるとポリエステ
ルの重合度が上がり難くなって繊維物性が低下し、操業
性も著しく低下するため好ましくない。
【0019】また、本発明の繊維を形成するポリアルキ
レンテレフタレートは、スルホン酸塩基含有化合物が全
酸成分に対して 0.5〜3モル%共重合されていることが
必要である。スルホン酸塩基含有化合物は、ポリアルキ
レンテレフタレートを親水化する効果があり、具体的に
は5-ナトリウムイソフタル酸などのスルホン酸塩基を有
するイソフタル酸が好適である。
【0020】スルホン酸塩基含有化合物の共重合割合が
0.5モル%未満になると、繊維の吸湿性を向上させる効
果が不十分となることがあり、3モル%を超えると、糸
質特性が低下したり、アルカリ減量速度が速くなること
があるため好ましくない。
【0021】さらに、本発明の繊維を形成するポリアル
キレンテレフタレートは、前記一般式及び/又は一般
式で示されるジオールがアルキレンテレフタレート成
分に対して1〜10重量%共重合されていることが必要で
ある。
【0022】このようなジオール成分は、例えば、不飽
和脂肪酸の低重合体から、分離及び水素添加によってト
リマー酸、モノマー酸などの副生生物を除去した後に得
られるダイマー酸を水素化して得られる脂肪族両末端ジ
オールにエチレンオキシドを付加することによって得ら
れるものであり、精製されたもので、95重量%以上の純
度を有するものが有利に使用される。そして、一般式
及び一般式で示されるジオールが、それぞれ単独であ
っても、また、両者の混合物のいずれであってもよい。
【0023】上記のエチレンオキシドを付加したジオー
ル成分は、アルカリによる減量速度を低下させる効果が
あり、また、エチレンオキシドを付加することにより、
このジオール成分の疎水性が緩和されているため、ポリ
エーテル化合物又はポリエーテル化合物誘導体の含有量
及びスルホン酸塩基含有化合物の共重合量などを多くす
ることなく吸湿性を高められるので、これらの成分の増
加による繊維の物性の低下を防ぐことが可能となる。
【0024】このジオール成分の共重合割合が1重量%
未満になると、アルカリによる減量速度を低下させる効
果が不十分となることがあり、10重量%を超えると、融
点が降下するなど繊維の物性が著しく低下するため好ま
しくない。
【0025】なお、ポリアルキレンテレフタレートは、
本質的な特性を損なわない限り、他の共重合成分を少量
含有していてもよく、これらの共重合成分としては、イ
ソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等
の芳香族ジカルボン酸成分、アジピン酸、セバシン酸な
どの脂肪族ジカルボン酸成分、1,4-シクロヘキサンジメ
タノールなどのグリコール成分、4-ヒドロキシ安息香
酸、ε−カプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸成
分などが挙げられる。
【0026】さらに、本発明の繊維はアルカリ減量速度
が 1.5重量%/分以下であることが必要である。アルカ
リ減量速度が 1.5重量%/分を超えると、減量の進行が
速すぎるために、減量率のコントロールが難しくなり、
均一な減量加工ができなくなる。
【0027】なお、アルカリ減量速度の値は、次の方法
で測定した値をいう。繊維を筒編みし、5重量%の水酸
化ナトリウム水溶液で70℃×40分、浴比1:50で処理し
たときの減量重量から、次式により求める。 減量速度(重量%/分)=〔(減量前重量−減量後重
量)/減量前重量〕×100/40 また、本発明の繊維は、温度34℃、湿度90%RHの雰囲気
下における吸湿率が4重量%以上であることが必要であ
る。吸湿率が4重量%未満になると、綿などの天然繊維
と比較して十分な吸湿性が得られず、衣類とした場合の
着用時に不快感を生じやすいので好ましくない。
【0028】なお、吸湿率の値は、次の方法で測定した
値をいう。繊維を筒編みし、これを25℃、60%RHで調湿
して重量W0を測定する。次いで、この筒編み地を、2hPa
の減圧下、80℃で6時間乾燥し、34℃、90%RHに設定し
た恒温恒湿槽に6時間放置した後、重量W1を測定する。
そして次式により吸湿率を求める。 吸湿率(重量%)=〔(W1 −W0)/W0〕×100
【0029】本発明の繊維は、例えば、次のような方法
により製造することができる。テレフタル酸とジオール
を直接エステル化させるか、あるいはテレフタル酸の低
級アルキルエステルとジオールをエステル交換させるこ
とにより、ポリエステルオリゴマーを合成し、これにポ
リエーテル化合物又はポリエーテル化合物誘導体と、ス
ルホン酸塩基含有化合物及び前記一般式及び/又は一
般式で示されるジオールなどを添加し、重縮合反応を
行う。
【0030】重縮合反応は、通常、アンチモン、ゲルマ
ニウム、スズ、チタン、亜鉛、アルミニウム、コバルト
等の金属化合物の存在下で、0.12〜12hPa 程度の減圧
下、220 〜 290℃の温度で、極限粘度が 0.5以上となる
まで行うことが好ましい。
【0031】また、本発明の効果を阻害しない範囲であ
れば、ヒンダードフェノール系化合物のような抗酸化
剤、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改良
剤、二酸化チタンのような顔料及び酸化セリウムのよう
な耐光剤等の添加物を含有させてもよい。
【0032】次に、得られたポリエステルを常法により
乾燥し、通常の溶融紡糸機台に供給してポリエステルの
融点より20℃以上高い温度で溶融紡糸し、1000〜4000m/
分の速度で、未延伸糸又は半未延伸糸としていったん捲
き取るか、あるいは、捲き取ることなく、引き続いて
1.5〜 3.5倍に延伸した後、80〜 180℃で熱処理を行
い、目的の繊維を得る。
【0033】なお、本発明の効果が損なわれない限り他
の成分との複合繊維としてもよい。さらに、ポリエステ
ル繊維の形態は長繊維としても短繊維としてもよく、必
要に応じて、捲縮加工、仮撚加工、薬液による処理等の
後加工を施して用いることもできる。
【0034】
【作用】本発明のポリエステル繊維が、アルカリ減量加
工を均一に施すことが可能であり、かつ、優れた吸湿性
を備えている理由について、本発明者らは次のように考
えている。ポリエステルに吸湿性を付与するためには、
ある程度のセグメント長を有するポリエーテル化合物又
はポリエーテル化合物誘導体を含有させることが必要で
あり、例えば、ポリエチレングリコールの場合、平均分
子量が約4000以上でないと良好な吸湿性は得られない。
しかし、このような高分子量のポリエーテル化合物は、
一般にポリエステルに対する相溶性が劣るために、全て
がポリエステルに共重合されず、ある程度の量はポリエ
ステル中に分散した状態となっている。このようなポリ
エステルからなる繊維にアルカリ減量加工を行うと、ま
ず、水によって共重合されていないポリエーテル化合物
又はポリエーテル化合物誘導体が溶出して繊維の表面積
を増大させ、その結果、アルカリによるポリエステルの
加水分解が急激に進行するものと考えられる。
【0035】本発明の吸湿性ポリエステル繊維は、ポリ
エーテル化合物又はポリエーテル化合物誘導体として、
20℃の水に対する溶解率が30重量%以下である、実質的
には水に難溶性のものを含有しているため、この成分が
ポリエステル中に分散した状態となっていても、アルカ
リ減量加工時にこの成分が溶出してしまうことが抑制さ
れる。また、ポリエステルに共重合されている前記一般
式及び/又は一般式で示されるジオールは、嵩高な
分子構造を有するため、立体障害によってアルカリによ
る加水分解を阻害する効果がある。これらの結果とし
て、繊維のアルカリ減量速度を 1.5重量%/分以下と、
実用上問題のない範囲にすることが可能になると推定さ
れる。
【0036】また、上記のような水に対して難溶性のポ
リエーテル化合物又はポリエーテル化合物誘導体は、実
質的にある程度の長さのセグメントを有しているため、
吸湿性は高く、また、ポリエステル自体もスルホン酸塩
基含有化合物が共重合されているため、疎水性が緩和さ
れている。さらに、耐アルカリ加水分解性を向上させる
効果があるジオール成分に、エチレンオキシドが付加さ
れてるため、この成分による疎水性の増加は緩和されて
いる。したがって、ポリエーテル化合物又はポリエーテ
ル化合物誘導体の含有量、及び、スルホン酸塩基含有化
合物の共重合量を多くすることなく優れた吸湿性が得ら
れ、また、繊維物性の低下も少ないものとなる。これら
の結果として、繊維の吸湿率は4重量%以上と、優れた
ものにすることが可能になるものと推定される。
【0037】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例中の各特性値の測定法及び評価方法は
次のとおりである。 1.溶解率 20℃に調整した水100gに、ポリエーテル化合物又はポリ
エーテル化合物誘導体を1g添加して5分間攪拌する。
完全に溶解した場合は、さらにポリエーテル化合物又は
ポリエーテル化合物誘導体を1g添加して5分間攪拌す
る操作を繰り返し、完全に溶解しなくなった時点での添
加量から、次式により求めた。 溶解率(重量%)=〔全添加量/(全添加量+100)〕×
100 2.極限粘度〔η〕 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合溶媒を用い、
温度20℃で測定した。 3.強伸度 オリエンティック社製テンシロンRTC-1210型を用い、50
cmの試料を50cm/分の速度で引張試験を行い、そのスト
レス−ストレイン曲線から求めた。 4.アルカリ減量速度 前記したアルカリ減量速度の測定方法に準じて評価し
た。 5.吸湿率 前記した吸湿率の測定方法に準じて評価した。 6.風合い 繊維を筒編みし、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液で
70℃、浴比1:50で減量重量が20重量%となるように処
理し、処理後の風合いを10人のパネラーによる官能試験
により、次の3段階で評価した。 ○:10人中7人以上が軟らかいと感じた。 △:10人中4〜6人が軟らかいと感じた。 ×:軟らかいと感じた人が10人中3人以下。
【0038】実施例1 PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶にテレフ
タル酸とエチレングリコール(以下、EGと略す。)と
のモル比 1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度 250
℃、圧力0.1MPaG 、滞留時間8時間の条件でエステル化
反応を行い、反応率95%のPETオリゴマーを連続的に
得た。
【0039】このPETオリゴマー48.0kgを重縮合反応
缶に移送し、平均分子量 20000のポリエチレングリコー
ル(以下、PEGと略す。)を 8.7kgと、R1 〜R4
びR 1'〜R4'の炭素数の合計がそれぞれ36で、m+n及
びm'+n'がそれぞれ6である、一般式/一般式=75
/25モル%のジオール混合物を 2.5kg、抗酸化剤として
「イルガノックス245 」(チバスペシャルティケミカル
ズ、ヒンダードフェノール系抗酸化剤)を120g添加し、
30分間攪拌混合した。
【0040】その後、ポリエステルに対し二酸化チタン
の含有量が 0.4重量%となる量のEGスラリー、全酸成
分1モルに対して3×10-4モルの三酸化アンチモン及び
全酸成分1モルに対して 1.5モル%の5-ナトリウムスル
ホイソフタル酸のエチレングリコールエステル(以下、
SIPGと略す。)をそれぞれ添加し、重縮合反応缶内の温
度を30分間で 270℃に昇温し、圧力を徐々に減じて60分
後に1.2hPa以下とした。この条件で攪拌しながら4時間
重縮合反応を行い、常法により払い出してペレット化し
た。
【0041】次に、このペレットを常法により乾燥した
後、通常の溶融紡糸装置を用いて紡糸温度 290℃で溶融
紡糸し、1400m/分の速度で未延伸糸を捲き取った。この
未延伸糸を延伸機に供給し、80℃で予熱した後、温度 1
50℃のヒートプレートに接触させながら 3.5倍に延伸、
熱処理して捲き取り、75d/36f のフィラメントヤーンを
得た。
【0042】実施例2〜5、比較例1〜7 ポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物誘導体の種
類および含有量、SIPG及びジオール成分の共重合割合を
表1に示すように種々変更した以外は、実施例1と同様
に行った。実施例1〜5及び比較例1〜7で得られたポ
リエステルの〔η〕と、フィラメントヤーンの物性、評
価を表1にまとめて示す。
【0043】
【表1】
【0044】表1から明らかなように、実施例1〜5
は、製糸、操業性が良好で、得られた繊維のアルカリ減
量速度は 1.5重量%/分以下と減量加工を行う上で実用
上問題のない範囲となり、減量加工を行うことより繊維
にソフトな風合いを持たせることができた。また、吸湿
率も4重量%以上となり、吸湿性にも優れた繊維を得る
ことができた。
【0045】一方、比較例1は、ポリエーテル化合物の
水に対する溶解率が高すぎたため、得られた繊維は、ア
ルカリ減量加工時において、アルカリ減量速度が速くて
均一な減量加工を施すことができず、減量加工後の風合
いを評価することができなかった。また、比較例2は、
ポリエーテル化合物の含有量が少なすぎたため、得られ
た繊維は、吸湿率が不十分なものであった。次に、比較
例3は、ポリエーテル化合物の含有量が多すぎたため、
紡糸時に糸切れが多発し、繊維を得ることができなかっ
た。
【0046】さらに、比較例4はSIPGの共重合量が少な
すぎたため、得られた繊維は、吸湿率が不十分なもので
あった。比較例5は、SIPGの共重合量が多すぎたため、
得られた繊維は強度が低いものであり、また、アルカリ
減量速度が速くて均一な減量加工を施すことができず、
減量加工後の風合いを評価することができなかった。
【0047】次に、比較例6は、ジオール成分の共重合
量が少なすぎたため、得られた繊維は、アルカリ減量速
度が速くて均一な減量加工を施すことができず、減量加
工後の風合いを評価することができなかった。比較例7
は、ジオール成分の共重合量が多すぎたため、紡糸時に
糸切れが多発し、繊維を得ることができなかった。
【0048】
【発明の効果】本発明の吸湿性ポリエステル繊維は、ア
ルカリ減量速度が実用上問題のない範囲なので、アルカ
リ減量加工を施すことにより、製編織して得られる布帛
にソフトな風合いを付与することができ、さらに、吸湿
性能にも優れているため、快適な着用感の衣料を提供す
ることが可能となる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 20℃の水に対する溶解率が30重量%以下
    であるポリエーテル化合物又はポリエーテル化合物誘導
    体を3〜30重量%含有し、スルホン酸塩基含有化合物が
    全酸成分に対して 0.5〜3モル%、下記の一般式及び
    /又は一般式で示されるジオールがアルキレンテレフ
    タレート成分に対して1〜10重量%、それぞれ共重合さ
    れているポリアルキレンテレフタレートからなる繊維で
    あって、アルカリ減量速度が 1.5重量%/分以下であ
    り、かつ、温度34℃、湿度90%RHの雰囲気下における吸
    湿率が4重量%以上であることを特徴とする吸湿性ポリ
    エステル繊維。 【化1】 ただし、式中、R1 及びR2 は同一もしくは異なるアル
    キル基、R3 及びR4は同一もしくは異なるアルキレン
    基であり、R1 、R2 、R3 及びR4 の炭素数の合計は
    24〜36の範囲である。また、式中、m及びnは1以上の
    整数であり、mとnの合計は2〜10の範囲である。 【化2】 ただし、式中、R1'及びR2'は同一もしくは異なるアル
    キル基、R3'及びR4'は同一もしくは異なるアルキレン
    基であり、R1'、R2'、R3'及びR4'の炭素数の合計は
    24〜36の範囲である。また、式中、m'及びn'は1以上の
    整数であり、m'とn'の合計は2〜10の範囲である。
JP11216978A 1999-07-30 1999-07-30 吸湿性ポリエステル繊維 Pending JP2001049528A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11216978A JP2001049528A (ja) 1999-07-30 1999-07-30 吸湿性ポリエステル繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11216978A JP2001049528A (ja) 1999-07-30 1999-07-30 吸湿性ポリエステル繊維

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001049528A true JP2001049528A (ja) 2001-02-20

Family

ID=16696907

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11216978A Pending JP2001049528A (ja) 1999-07-30 1999-07-30 吸湿性ポリエステル繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001049528A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TW317577B (ja)
KR20070045220A (ko) 아토피성 피부염 환자용 천 및 의류
WO2011131057A1 (zh) 一种改性的聚对苯二甲酸-1,3-丙二醇酯的制备方法
JP6090308B2 (ja) 共重合ポリエステルおよびそれからなるポリエステル繊維
JP2013087153A (ja) 共重合ポリエステル及びそれからなる吸湿性に優れたポリエステル繊維
JP2912472B2 (ja) 水溶性繊維
JP5133546B2 (ja) 吸放湿性ポリエステル繊維
JP2001049528A (ja) 吸湿性ポリエステル繊維
JP2002180342A (ja) 吸湿性ポリエステル混繊糸
JP2624409B2 (ja) 弾性糸
JP2001115335A (ja) 吸湿性ポリエステル繊維
JP4195638B2 (ja) 吸湿性ポリエステル繊維
JP2000073232A (ja) 吸湿性ポリエステル繊維
JPH05263316A (ja) 複合糸
JP2003306831A (ja) 吸湿性ポリエステル繊維
JP4080221B2 (ja) ポリエステル組成物及びそれよりなる繊維
JP2004084087A (ja) 吸湿性ポリエステル複合繊維
JPS6011944B2 (ja) 制電性ポリエステル組成物
JP2513651B2 (ja) 熱水可溶性共重合ポリエステル
EP0544032B1 (en) Polyester block copolymer and elastic yarn composed thereof
JP2000212835A (ja) 制電性脂肪族ポリエステル複合繊維
KR100547355B1 (ko) 친수성이 우수한 폴리에스테르 수지 및 이의 제조방법
JPH06316814A (ja) 抽出型複合繊維及びその製造方法
JP2003306833A (ja) 吸湿性ポリエステル繊維
JP3262951B2 (ja) 分割型ポリエステル複合繊維

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060728

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080609

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080617

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080909