JP4570236B2 - 合成樹脂レザー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基布およびこれに直接接して固定された合成樹脂層(以下、表皮層と称する場合もある)を構成する材料の少なくとも一部をポリエステルで構成することにより、両者間に接着剤層を設けることなく直接固定(一体化)した、接着剤層を介して前記両者を固定することによる合成樹脂レザーの柔軟性の低下などの不都合を改善した、柔軟性および強度特性の優れた合成樹脂レザーに関する。
【0002】
【従来の技術】
基布と柔軟な合成樹脂層とを接着剤で積層(接着層を介して積層)した合成樹脂レザー(合成樹脂レザー)は公知である。その際、合成樹脂レザーの柔軟性(軽量化などの効果もねらった)を付与するために発泡層などを基布と表皮層との間に設けること(発泡型合成樹脂レザーとすること)も必要に応じて行われている。
また、基布を構成する材料としては、織布、編布、不織布などが利用されている。編布は伸縮性が良く、よりレザーライクな合成樹脂レザーとなる。特に伸縮性が必要とされる場合には捲縮加工などをして伸縮性を付与した糸を用いた編布なども採用されている。
【0003】
前記合成樹脂層を形成するポリマーは、柔軟性、触感などにおいてレザー様特性を発現する材料でなければならず、例えば軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物などが用いられている。該構成材料を用いた合成樹脂レザーは、いわゆるビニルレザーとして、その原料の経済性、加工性の良さもあって、多くの分野で利用されている。
該軟質ポリ塩化ビニル樹脂組成物を用いた合成樹脂レザーには、該樹脂材料からなる単一層を(場合によっては防汚性、装飾性の表面加工層を持つ)を基布上に形成したもの(非発泡型)と、合成樹脂レザーの重量を軽くするなど改良のために発泡倍率が1.5〜7倍の発泡層を基布上に設け、その上に軟質ポリ塩化ビニルフイルムからなる表皮層を形成した構造のもの(発泡型)とがある。
しかし、前記の合成樹脂レザーは、基布と合成樹脂層または基布と合成樹脂発泡層および表皮層を種々の接着剤(溶剤型、感熱型など)を用いて積層した構造であり、それぞれの層を構成する素材のレザーライク性を向上させても、該接着剤層が得られる合成樹脂レザーの柔軟性などの特性を低下させてしまう不都合があった。
【0004】
また、前記技術に対して、基布として不織布を用いたものであるが、基布と軟質ポリ塩化ビニルからなる表皮層を接着剤を用いないで一体化(直接固定)した合成樹脂レザーが提案されている(特開平9−228257号公報)。しかしながら、この発明の課題は、不織布中に10〜90%のポリプロピレン繊維を混合することで、表皮層と基布とを加熱成型時に一体化できるようし、製造工程を簡易化することであり、得られた合成樹脂レザーのレザーライク特性の改善することについての技術的言及はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、基本的には柔軟性および強度特性を改善した合成樹脂レザーを提供することにある。前記課題を解決すべく種々検討する中で、基布と表皮層などの合成樹脂レザーを構成する材料を積層する際に用いられる接着剤が、基布や表皮層の構成材料のレザーライク性を改善しても、接着剤による一体化後のレザーライク性、特に柔軟性の改善があまり見られない原因であることを見出した。そこで、接着剤を使用することなく、且つ、最終合成樹脂レザーの柔軟性や強度特性を改善する手段はないかと、基布、表皮層および発泡層を構成する材料を検討する中で、基布およびこれに直接接して固定された合成樹脂層を構成する材料の少なくとも一部をポリエステルで構成することにより、両者間に接着剤層を設けることなく直接固定(一体化)できると共に、前記合成樹脂レザーに要求される特性が改善できることを発見し、前記課題を解決した。また、接着剤を塗布する工程を省略できるのでコストダウンも可能となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基布と軟質塩化ビニル系樹脂シートとを直接重ね合わせ、加圧加熱して一体化してなる合成樹脂レザーであって、上記基布は、ポリエステル繊維を少なくとも5重量%含有し、上記軟質塩化ビニル系樹脂シートは、多価カルボン酸および多価アルコールのいずれか一方または両方で、2種以上の多価カルボン酸または多価アルコールを用いてランダム共重合した共重合ポリエステルを、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し1〜30重量部含有することを特徴とする合成樹脂レザーである。また、本発明は、基布と軟質塩化ビニル系樹脂シートとを直接重ね合わせ、加圧加熱して一体化してなる合成樹脂レザーであって、上記基布は、ポリエステル繊維を少なくとも5重量%含有し、上記軟質塩化ビニル系樹脂シートは、軟質塩化ビニル系樹脂層と軟質塩化ビニル系樹脂発砲層からなり、該軟質塩化ビニル系樹脂発砲層は、基布側に存在し、且つ多価カルボン酸および多価アルコールのいずれか一方または両方で、2種以上の多価カルボン酸または多価アルコールを用いてランダム共重合した共重合ポリエステルを、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し1〜30重量部含有することを特徴とする合成樹脂レザーである。
【0007】
【発明の実施の態様】
本発明をより詳細に説明する。
A.本発明の基布を構成する材料は、
1.組織としては、編地、織物、不織布のいずれでも使用できるが、レザーライク性を付与する面から編地、例えば天竺編み、スムース編みなどのメリヤス編が好ましい。捲縮加工などをして伸縮性を付与した糸を用いた編布が特に好ましい。特にポリエステルは硬いので、ポリエステルのみからなる編布の場合、捲縮加工により伸縮性を増した編布が好適に用いられる。織物および不織布の場合は、織物を構成する糸をおよび不織布を構成する短繊維(ステープル)として、例えば捲縮加工などにより伸縮特性を付与したものを用いたり、短繊維から糸を作る際に弾性を付与する加工をした糸を使用するなどして、基布に柔軟性を持たせることが大切である。
【0008】
2.基布を構成する材料は、これに直接接して固定された合成樹脂層を接着剤層を介することなく固定できるようにするためにポリエステル繊維を含んでいることが必要である。これと併用される繊維材料としては、例えばレーヨン糸とポリエステル糸を混編、レーヨン繊維をポリエステル繊維と混紡して用いることが好ましい。他に、ポリアミド、綿を構成材料とする糸を混編、混織して使用できる。ポリエステル繊維を混合した不織布としても良い。
【0009】
3.ポリエステル繊維などは、中空繊維として合成樹脂レザーの、風合い、弾性、軽量化を改善することができる。また、複合繊維構造として、表面を共重合ポリエステルで構成することにより、表皮層との固定を強固にすることもできる。通常繊維として用いられているPETが一般的だが、PBT、PCT、PEN、共重合ポリエステル等でもよい。ポリエステル繊維は少なくとも5重量%以上、好ましくは20重量%含まれる。
【0010】
B.基布上に直接接触して固定される合成樹脂層を構成する材料としては、基本的には従来合成樹脂レザーを作るのに使用されてきた合成樹脂に、共重合ポリエステルを配合した樹脂組成物を用いる。
1.前記共重合ポリエステルを配合される合成樹脂としては、軟質ポリ塩化ビニルを挙げることができる。
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独を、あるいは塩化ビニルと他のモノマー、例えば、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、マレイン酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、高級ビニルエーテル等との共重合体、その他通常の塩ビレザーに一般に使用されている塩化ビニル系の重合体や共重合体などをそれぞれ単独でまたは2種以上併用することができる。
なお、基布に直接接する側が合成樹脂発泡層である場合、共重合ポリエステルの配合量は合成樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。多いと発泡セル状態が悪化し、少ないと剥離強度が悪化する。より好ましくは3〜10重量部である。
【0011】
2.塩化ビニル系樹脂を軟質化するために使用する可塑剤としては、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジウンデシルフタレート(DUP)等に代表される一般のフタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸ジオクチル(DOA)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、アゼライン酸ジオクチル(DOZ)等に代表される一般の脂肪酸エステル系可塑剤、トリメリット酸トリオクチル(TOTM)等に代表されるトリメリット酸エステル系可塑剤、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシリルホスフェート(TXP)等に代表されるトリアリールリン酸エステル系可塑剤、エポキシ化大豆油等に代表されるエポキシ系可塑剤、ポリプロピレンアジペート等に代表されるポリエステル系可塑剤等の高分子可塑剤、塩素化パラフィン等の一般の可塑剤、が挙げられ、これらはそれぞれ1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0012】
3.有機発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジニトロソペンタンメチレンテトラミン、N,N'−ジニトロソ−N,N'−ジメチルテレフタルアミド、トリヒドラジノトリアミンなどが挙げられる。これらの有機発泡剤は1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。発泡倍率は好ましくは、1.5〜7倍、好ましくは2〜5倍程度である。発泡をあまり大きくすると安定なセルができず、レザーとしての風合いを悪くするし、強度も低下するので好ましくない。ポリ塩化ビニルと共重合ポリエステルは高温での柔らかさが異なるので、配合比率によっては発泡セル状態が悪くなる。ポリ塩化ビニル100重量部に対して共重合ポリエステル30重量部以下、好ましくは10重量部以下で良好な発泡セル状態になる。
【0013】
4.熱安定剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛などの金属セッケン、フェノールやナフトールのナトリウム、亜鉛、バリウムなどの金属塩、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレートなどの有機スズ化合物、ジエチルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリイソオクチルホスファイトなどの亜リン酸エステル類などが挙げられる。
【0014】
5.無機充填剤としては、例えば沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、極微細炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム、あるいはシリカ、タルク、ケイソウ土、クレー、マイカなどのケイ酸塩、水酸化アルミニウム、アルミナなど
6.その他、顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤等の通常の塩ビレザーに一般に使用されている各種の添加剤を配合される。
【0015】
C.前記合成樹脂層を構成する樹脂組成物に配合される共重合ポリエステルについて
本発明の共重合ポリエステルとは、多価カルボン酸および多価アルコールのいずれか一方または両方で、2種類以上の多価カルボン酸または多価アルコールをランダム共重合したものである。共重合ポリエステルはこのため結晶性が低く、融点が低い。共重合ポリエステルは高結晶性ポリエステルと比べ、室温で柔軟で合成樹脂レザーのレザーライクな柔軟性を失わせることなく、また、Tmが200℃以下なので、軟質ポリ塩化ビニル、エチレン−メチルメタクリレート、動的架橋型熱可塑性オレフィンエラストマーなどのカレンダー加工温度である140〜200℃程度、発泡温度である200℃前後で軟化し加工可能になる。結晶性はより低い方が好ましく、DSC法ではTmのない、いわゆる非晶質ポリエステルが柔軟性、加工性に特に優れており好適に用いられる。
【0016】
このようなポリエステルの製造に使用される多価カルボン酸として、脂肪族としては、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などがある。脂環族としては1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジ酢酸などがある。芳香族としてはテレフタル酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジメチレンカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、トリメリット酸等の3価のカルボン酸、ピロメリット酸等の4価のカルボン酸が挙げられる。ただ、3価以上のカルボン酸は最大量0.5%モル程度である。これらの酸に対応する酸無水物、エステル及び酸塩化物が含まれることを理解されたい。このうち、環構造を持ち、回転しにくい単量体である1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などはガラス転移点が上がるので、共重合ポリエステル、ひいては合成樹脂レザーを硬くする。この硬さは高結晶性ポリエステルと比べれば柔らかいものの、合成樹脂レザーに要求される柔らかさにはならないので、可塑剤を使用する。たわみ易いメチレン鎖を持つアジピン酸などは、ガラス転移点が下がり柔軟性が付与されるので合成樹脂レザーの可塑剤量を減らすことができ好ましい。
【0017】
多価アルコールとして、脂肪族としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度5程度まで)、ポリテトラメチレングリコール、2,2−ジメチルトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどがある。トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3、4価アルコールなどもある。脂環族としては、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどがある。芳香族としては、ビスフェノールAなどがある。3価以上のアルコールは、得られるポリエステルからの成形性の観点から最大量0.5%モル程度することが望ましい。このうち、環構造を持ち、回転しにくい単量体である1,4−シクロヘキサンジメタノールなどはガラス転移点が上がるので、共重合ポリエステル、ひいては合成樹脂レザーを硬くする。この硬さは高結晶性ポリエステルと比べれば柔らかいものの、合成樹脂レザーに要求される柔らかさにはならないので、可塑剤を使用する。たわみ易いメチレン鎖を持つ1,6−ヘキサンジオールなどは、ガラス転移点が下がり柔軟性が付与されるので合成樹脂レザーの可塑剤量を減らすことができ好ましい。特にガラス転移点20℃以下の共重合ポリエステルが、柔軟性があり、可塑剤を混合しなくても合成樹脂レザーに必要な柔らかさを持つ。
【0018】
ガラス転移点50℃以下の共重合ポリエステルとしては三菱レイヨン社製DC427(ガラス転移点3〜5℃)を挙げることができる。ガラス転移点50℃を超える共重合ポリエステルとしては、アルコールとしてエチレングリコール単位約70%と1,4−シクロヘキサンジメタノール単位約30%の共重合ポリエステルイーストマンケミカル社製PETG6763(ガラス転移点81℃)を挙げることができる。共重合ポリエステルは少なくとも1重量%以上、好ましくは3重量%以上配合される。
【0019】
D.本発明において、カレンダー加工性などを改善、更に発泡特性の改善するために(メタ)アクリル酸系重合体を配合しても良い。配合される(メタ)アクリル酸系重合体としては、(メタ)アクリル酸メチルの単独重合体又は重合性分の50〜95重量%が(メタ)アクリル酸メチルであり、共重合成分としては、例えば、炭素数2〜18のアルコールのメタクリル酸エステル、炭素数1〜18のアルコールのアクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレンなど芳香族ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイン酸、イタコン酸などを挙げることができる。これら共重合成分は単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、これらの(メタ)アクリル系重合体は、重量平均分子量が50万〜500万の範囲にあるものが特に好ましい。具体的な製品としては、三菱レイヨン(株)から販売されている、商品名メタブレンP−501、530、531、550及び551、L−1000を挙げることができる。
【0020】
E.滑剤について
(R−O)nPO(OH)3-n (I)
(式中nは、1又は2の整数、Rはアルキル基、アルキルフェニル基、アルキルポリオキシエチレン基及びアルキルフェニルポリオキシエチレン基を示す。)
前記一般式(I)で表される滑剤のRのアルキル基、アルキルフェニル基のアルキル基は炭素数6〜20のアルキル基、アルキルポリオキシエチレン基及びアルキルフェニルポリオキシエチレン基のアルキル基としては炭素数6〜20のアルキル基、特に炭素数9以上のアルキル基を挙げることができ、ポリオキシエチレンとしては、2以上のオキシエチレン単位を付加したものを挙げることができる。一般式(I)で表される滑剤の添加量は、共重合ポリエステル系樹脂100重量部に対して0.01〜5.0重量部、好ましくは0.04〜2.0重量部配合するのが好ましい。0.01重量部以下では滑剤としての効果が十分でなく、5.0重量部より多く配合すると、加工時のプレートアウト、経時でのブルーム、ブリードを起こし易くなり、得られるフイルムの透明性などが低下する。
この材料としては、(1)モノステアリルリン酸エステルおよびジステアリルリン酸エステル(重量比6:4)混合化合物(AX518I:大協化成工業製)、(2)モノステアリルリン酸エステルおよびジステアリルリン酸エステル(重量比1:2)混合化合物、(3)モノラウリルリン酸エステルおよびジラウリルリン酸エステル(重量比2:1)混合化合物、(4)モノノニルフェニルポリオキシエチレン(付加モル数6モル)リン酸エステル、ジノニルフェニルポリオキシエチレン(付加モル数6モル)リン酸エステル(重量比1:1)混合化合物、および(5)モノラウリルポリオキシエチレン(付加モル数6モル)リン酸エステルおよび ジラウリルポリオキシエチレン(付加モル数6モル)リン酸エステルなどを好ましいものとして挙げることができる。
【0021】
【実施例】
1.以下に示す実施例1〜7、比較例1〜2で使用される合成樹脂層を構成する表皮層および合成樹脂発泡層を形成する材料として使用する合成樹脂組成物を表1にまとめて記載する。
2.また、以下に示す各実施例および比較例で使用される基布の糸の素材、糸および該糸を用いて作成した布帛を表2にまとめて示す。
3.以下の合成樹脂レザーの評価方法を以下に示す。
a.剥離強度;JISK=6772、5N/cm以上=○、5N/cm前後=△、5N/cm未満=×
b.発泡セル状態=断面をルーペで目視確認。
c.カレンダー加工時のロール滑性=目視確認
d.柔軟性=触感確認
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
実施例1〜7、比較例1〜2
前記表1および表2に記載した合成樹脂層を構成する表皮層および合成樹脂発泡層および基布を組み合わせて、基布上に合成樹脂発泡層(厚さ0.3mm)および表皮層(厚さ0.3mm)を170℃のカレンダーロールでシーティングしカレンダーの直後で前記基布および各層が以降の加工処理においてずれない程度に固定する加圧および加熱条件のロールを用いてラミネートした。該ラミネートした材料にマーブルプリント、艶消し処理コートをし、200℃に加熱発泡、絞りロールで加圧し、該発泡層の発泡倍率が3倍の合成樹脂レザーを作成した。なお、比較例2のみ基布にあらかじめウレタン系硬化型接着剤を30g/平方m(dry)コートしたものを使用した。その結果を表3にまとめて記載する
【0025】
【表3】
【0026】
実施例6はカレンダー加工性が×で表されているが、やや劣る程度である。前記一般式(I)のリン酸エステルの配合によりカレンダー加工性が改善される。
【0027】
実施例8〜9および比較例3〜7
ここでは、基布上に形成される合成樹脂層が一層の場合を示す。
表4に記載の合成樹脂組成物および前記表2に記載の基布を組み合わせて、基布上に合成樹脂層(厚さ0.3mm)を170℃のカレンダーロールでシーティングしカレンダーの直後で前記基布および各層が以降の加工処理においてずれない程度に固定する加圧および加熱条件のロールを用いてラミネートした。該ラミネートした材料にマーブルプリント、艶消し処理コートをし、180℃に加熱し、絞りロールで加圧し、合成樹脂レザーを作成した。その結果を表5にまとめて記載する。
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】
表5の共重合ポリエステルを、合成樹脂層を構成する合成樹脂組成物に配合しなかった場合、基布と合成樹脂層との剥離強度の測定から固定特性が良くないことが理解できる。また、接着層がないことにより柔軟性も向上することが分かった。前記各実施例では基布の片面にのみ合成樹脂層を形成する場合を示したが、基布の両面に単一のまたは複数層からなる合成樹脂層をトッピングして、表裏両面合成樹脂レザーとすることもできる。
【0031】
本発明の合成樹脂レザーは、車両内装(座席、ヘッドレスト、トノカバー、サンバイザー、天井材料など)、二輪車サドル、家具(椅子、ソファーなど)などの表皮材、バッグ、合羽、前掛けなどの本体を構成する材料としてもちいることができる。他にもいわゆるビニルレザーの用いられていた分野において利用できることはむろんである。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により接着層を設けることなく、基布上に単一の合成樹脂層または合成樹脂発泡層と表皮層からなる合成樹脂層を直接固定して合成樹脂レザーとすることがき、得られた該合成樹脂レザーは接着層を持たないにも関わらず基布と合成樹脂層の固定特性が優れ、従来の基布と前記合成樹脂層との間の接着層がないことにより得られた合成樹脂レザーが改善された柔軟性を持つという優れた作用・効果がもたらされる。
Claims (2)
- 基布と軟質塩化ビニル系樹脂シートとを直接重ね合わせ、加圧加熱して一体化してなる合成樹脂レザーであって、上記基布は、ポリエステル繊維を少なくとも5重量%含有し、上記軟質塩化ビニル系樹脂シートは、多価カルボン酸および多価アルコールのいずれか一方または両方で、2種以上の多価カルボン酸または多価アルコールを用いてランダム共重合した共重合ポリエステルを、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し1〜30重量部含有することを特徴とする合成樹脂レザー。
- 基布と軟質塩化ビニル系樹脂シートとを直接重ね合わせ、加圧加熱して一体化してなる合成樹脂レザーであって、上記基布は、ポリエステル繊維を少なくとも5重量%含有し、上記軟質塩化ビニル系樹脂シートは、軟質塩化ビニル系樹脂層と軟質塩化ビニル系樹脂発砲層からなり、該軟質塩化ビニル系樹脂発砲層は、基布側に存在し、且つ多価カルボン酸および多価アルコールのいずれか一方または両方で、2種以上の多価カルボン酸または多価アルコールを用いてランダム共重合した共重合ポリエステルを、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し1〜30重量部含有することを特徴とする合成樹脂レザー。
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