JP5532557B2 - ガスバリア性シート、ガスバリア性シートの製造方法、封止体、及び有機elディスプレイ - Google Patents

ガスバリア性シート、ガスバリア性シートの製造方法、封止体、及び有機elディスプレイ Download PDF

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Description

本発明は、ガスバリア性シート、このガスバリア性シートの製造方法、このガスバリア性シートを用いた封止体、及びこの封止体を用いた有機ELディスプレイに関する。
ディスプレイ等に用いるガスバリア性シートの開発は従来から行われている。
特許文献1は、ディスプレイ素子を被覆する表側の封止フィルムと裏側の封止フィルムとの厚さの比によって表側の封止フィルムのバリア層を保護する技術に関する。具体的には、表側の延伸フィルムと裏側の延伸フィルムの厚さの比によってヒートシール時のフィルムに曲がりの差をつけてクラックの発生の少ないバリア性に優れた透明なディスプレイ素子の封止フィルムを提供している。
特許文献2は、軽く軽量でありかつ外界の水分から遮断された有機EL素子を製造するのに好適な水蒸気バリアフィルムを提供し、この水蒸気バリアフィルムを用いた有機EL素子を提供することを課題としている。同文献では、上記の課題を解決するために、基材フィルム上に水蒸気バリア積層体を有してなる水蒸気バリアフィルムにおいて、この水蒸気バリア積層体を、珪素、アルミニウム、亜鉛、スズ、及び、鉛の酸化物並びに酸窒化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を主成分とするバリア層を有している。そして、上記の水蒸気バリア積層体が1層のバリア層のみから構成される場合には、このバリア層にアルカリ金属の酸化物を少なくとも1種類含有させる。一方、上記の水蒸気バリア積層体が二以上の層から構成される場合には、このバリア層及びこのバリア層に隣接する層から選ばれる少なくとも1層にアルカリ金属の酸化物を少なくとも1種類含有するようにしている。
特許文献3は、フィルム有機EL素子に対して、フレキシブル性を損なわずに、十分に高度なバリアを実現できる封止手段を提供することを課題とする。同文献では、上記の課題を解決するために、バリア層を有するプラスチックフィルムからなるフィルム基板と、このフィルム基板上に形成された透明電極(陽極)、正孔輸送層、発光層、金属電極(陰極)で構成される発光機能層と、この発光機能層を封止する封止手段とからなるフィルム有機EL素子を用いる。そして、上記の封止手段が、発光機能層の全体を覆うように形成したバリア性の無機薄膜からなる封止膜と、この封止膜上に接着剤を介して貼り合せた、バリア層を有するプラスチックフィルムからなる封止フィルムの組み合せになるようにしている。さらに、封止膜及びバリア層として、窒化珪素膜(SiNx)又は酸窒化珪素膜(SiOxNy)を用いている。
特開2007−66686号公報(請求項1、第0006段落、第0007段落) 特開2007−90702号公報(請求項1、第0005段落) 特開2005−339863号公報(請求項1〜3、第0007段落)
このように、特許文献1〜3では、有機ELディスプレイ素子におけるガスバリア性の向上に主眼をおいた技術が紹介されている。しかしながら、本発明者の検討によれば、所定のガスバリア性を備えたというだけでは、有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置に用いられるガスバリア性シートとしては、未だ不十分な点があることが判明した。すなわち、本発明者の検討によれば、有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置に用いられるガスバリア性シートは、高いガスバリア性だけでなく、高い放熱性も兼ね備える必要があることがわかった。
有機ELディスプレイ素子は、水分の侵入によるダークスポット等の発生を抑制するために、ガスバリア性シートで封止され密閉構造をとる。一方で、同素子における発光は、ホールと電子との再結合により行われるが、発光効率が100%とはならないために、再結合により発生したエネルギーの一部は熱となる。そして、上記の密閉構造を採用する分、発光の際のロスとして発生する熱は、必然的に有機ELディスプレイ素子内部で滞留しやすくなる。
ところが、有機物で構成される有機ELディスプレイ素子は一般的に熱に弱い。このため、長時間又は大量の熱が有機ELディスプレイ素子内部に滞留すると、同素子の誤作動や破壊が引き起こされる。このため、本発明者の検討によれば、有機ELディスプレイ素子においては、同素子を密閉するガスバリア性シートに放熱機能を付与することが重要な課題となることがわかった。そして、こうした放熱機能の付与が必要となる課題は、有機ELディスプレイ素子のみに限られず、液晶ディスプレイ等の発熱性を有するディスプレイ素子、及び有機EL照明素子等の発熱性を有する素子をガスバリア性シートで封止、密閉する際に共通して発生するものでもある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その第1の目的は、発熱性の被封止物と組み合わせて用いられる、ガスバリア性と放熱性とを兼ね備えたガスバリア性シートを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その第2の目的は、上記ガスバリア性シートの製造方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その第3の目的は、上記のガスバリア性シートを用いた封止体を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その第4の目的は、上記の封止体を用いた有機ELディスプレイを提供することにある。
本発明者は、放熱性ガスバリア膜の材料としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)を用い、さらにダイヤモンドライクカーボンの組成等の制御により放熱性ガスバリア膜の熱伝導性を調整することにより、高いガスバリア性と高い放熱性とを両立し得るガスバリア性シートを得ることができることを見出した。そして、こうしたガスバリア性シートを、有機ELディスプレイ素子等のディスプレイ素子や有機EL照明素子等の照明素子に代表される発熱性の被封止物に適用することにより、高性能な封止体が得られることを見出した。
上記課題を解決するための本発明のガスバリア性シートは、発熱性の被封止物を封止するためのガスバリア性シートであって、該ガスバリア性シートが、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜を有し、該放熱性ガスバリア膜の熱伝導率が30W/mK以上である、ことを特徴とする。
この発明によれば、ガスバリア性シートが、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜を有し、この放熱性ガスバリア膜の熱伝導率が30W/mK以上であるので、放熱性ガスバリア膜がガスバリア性と放熱性とを兼ね備えるようになり、その結果、発熱性の被封止物と良好に組み合わせることが可能となる、ガスバリア性と放熱性とを兼ね備えたガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記放熱性ガスバリア膜中の炭素(C)と珪素(Si)との原子数比が、C:Si=1000:0〜1000:40である。
この発明によれば、放熱性ガスバリア膜中の炭素(C)と珪素(Si)との原子数比が、C:Si=1000:0〜1000:40であるので、放熱性ガスバリア膜の熱伝導率を30W/mK以上としやすくなり、その結果、発熱性の被封止物と良好に組み合わせることが可能となる、ガスバリア性と放熱性とを兼ね備えたガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記ガスバリア性シートが第2のガスバリア膜及び/又は第3のガスバリア膜をさらに有し、前記第2のガスバリア膜及び前記第3のガスバリア膜が、それぞれ窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有する。
この発明によれば、ガスバリア性シートが第2のガスバリア膜及び/又は第3のガスバリア膜をさらに有し、第2のガスバリア膜及び第3のガスバリア膜が、それぞれ窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有するので、放熱性ガスバリア膜と、第2のガスバリア膜や第3のガスバリア膜とを組み合わせることができるようになり、放熱性を維持しつつガスバリア性がより高いガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記第2のガスバリア膜が前記放熱性ガスバリア膜と接して設けられる。
この発明によれば、第2のガスバリア膜が放熱性ガスバリア膜と接して設けられるので、放熱性ガスバリア膜と第2のガスバリア膜とが積層されて用いられることとなり、放熱性を維持しつつガスバリア性がより高いガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記発熱性の被封止物が、有機ELディスプレイ素子、液晶ディスプレイ素子、及び有機EL照明素子のいずれかである。
この発明によれば、発熱性の被封止物が、有機ELディスプレイ素子、液晶ディスプレイ素子、及び有機EL照明素子のいずれかであるので、発熱性の大きい被封止物を用いることとなり、その結果、本発明のガスバリア性シートを適用する意義が大きくなる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記放熱性ガスバリア膜の消衰係数が0.00001以上、0.1以下である。
この発明によれば、放熱性ガスバリア膜の消衰係数が0.00001以上、0.1以下であるので、放熱性ガスバリア膜の透明性を確保しやすくなり、その結果、透明性の高いガスバリア性シートを得ることができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、基材の上に設けられたアンカーコート剤膜と、該アンカーコート剤膜の上に設けられた前記第2のガスバリア膜と、該第2のガスバリア膜の上に設けられた前記放熱性ガスバリア膜と、をこの順に有する。
この発明によれば、基材の上に設けられたアンカーコート剤膜と、このアンカーコート剤膜の上に設けられた第2のガスバリア膜と、この第2のガスバリア膜の上に設けられた放熱性ガスバリア膜と、をこの順に有するので、第2のガスバリア膜と基材との接着性が確保されるとともに、第2のガスバリア膜及び放熱性ガスバリア膜の平坦性が確保されやすくなるので、その結果、よりガスバリア性の高いガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記基材における前記アンカーコート剤膜が設けられていない側の面に、前記第3のガスバリア膜が設けられている。
この発明によれば、基材におけるアンカーコート剤膜が設けられていない側の面に、第3のガスバリア膜が設けられているので、第3のガスバリア膜が第2のガスバリア膜とともに用いられることになり、その結果、よりガスバリア性の高いガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、帯電防止膜がさらに設けられている。
この発明によれば、帯電防止膜がさらに設けられているので、有機ELディスプレイ素子や有機EL照明素子で発生した静電気を除電しやすくなる、又は、塵や埃が付着することを抑制できるので、その結果、より機能性の高いガスバリア性シートを提供することができる。
上記課題を解決するための本発明のガスバリア性シートの製造方法は、本発明のガスバリア性シートの製造方法であって、ダイヤモンドライクカーボンからなり、熱伝導率が30W/mK以上である放熱性ガスバリア膜を形成する放熱性ガスバリア膜形成工程を有することを特徴とする。
この発明によれば、ダイヤモンドライクカーボンからなり、熱伝導率が30W/mK以上である放熱性ガスバリア膜を形成する放熱性ガスバリア膜形成工程を有するので、所定の放熱性ガスバリア膜を良好に形成することが可能となり、その結果、工業生産性の高いガスバリア性シートの製造方法を提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの製造方法の好ましい態様においては、前記放熱性ガスバリア膜形成工程が、圧力勾配型ホロカソードをプラズマ源とするプラズマCVD法によって行われる。
この発明によれば、放熱性ガスバリア膜形成工程が、圧力勾配型ホロカソードをプラズマ源とするプラズマCVD法によって行われるので、高密度のプラズマを発生させることができ、その結果、放熱性ガスバリア膜の透明性を確保しやすくなる。
上記課題を解決するための本発明の封止体は、基板上に設けられた発熱性の被封止物と、該被封止物上に設けられた本発明のガスバリア性シートと、を有し、少なくとも該ガスバリア性シートと前記被封止物周辺の前記基板表面とが接着されていることを特徴とする。
この発明によれば、本発明のガスバリア性シートを用いるので、放熱性ガスバリア膜がガスバリア性と放熱性とを兼ね備えるようになり、その結果、発熱性の被封止物に対し良好なガスバリア性と放熱性とを確保できる封止体を提供することできる。
本発明の封止体の好ましい態様においては、前記発熱性の被封止物が有機ELディスプレイ素子であり、該有機ELディスプレイ素子の陰極又は陽極と、前記放熱性ガスバリア膜と、が対向して設けられる。
この発明によれば、発熱性の被封止物が有機ELディスプレイ素子であり、この有機ELディスプレイ素子の陰極又は陽極と、放熱性ガスバリア膜と、が対向して設けられるので、有機ELディスプレイ素子から発生した熱が放熱性ガスバリア膜を介して逃げやすくなり、その結果、放熱効率がより高い封止体を提供することができる。
本発明の封止体の好ましい態様においては、前記有機ELディスプレイ素子の陰極又は陽極と、前記放熱性ガスバリア膜と、が熱伝導性の接着剤を介して接着されている。
この発明によれば、有機ELディスプレイ素子の陰極又は陽極と、放熱性ガスバリア膜と、が熱伝導性の接着剤を介して接着されているので、有機ELディスプレイ素子から発生した熱が熱伝導性の接着剤及び放熱性ガスバリア膜を介して逃げやすくなり、その結果、放熱効率がより高い封止体を提供することができる。
上記課題を解決するための本発明の有機ELディスプレイは、本発明の封止体を有することを特徴とする。
この発明によれば、本発明の有機ELディスプレイが本発明の封止体を有するので、発熱性の大きい有機ELディスプレイ素子を被封止物として用いることとなり、その結果、良好なガスバリア性と放熱性とを確保できる有機ELディスプレイを提供することできる。
本発明のガスバリア性シートによれば、発熱性の被封止物と良好に組み合わせることが可能となる、ガスバリア性と放熱性とを兼ね備えたガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの製造方法によれば、上記ガスバリア性シートを良好に製造することが可能な製造方法を提供することができる。
本発明の封止体によれば、発熱性の被封止物に対し良好なガスバリア性と放熱性とを確保できる封止体を提供することできる。
本発明の有機ELディスプレイによれば、発熱性の有機ELディスプレイ素子に対して良好なガスバリア性と放熱性とを確保できる有機ELディスプレイを提供することできる。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(ガスバリア性シートの第1の態様)
図1は本発明のガスバリア性シートの一例を示す模式的な断面図である。
ガスバリア性シート1Aは、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜3を有し、放熱性ガスバリア膜3の熱伝導率が30W/mK以上である。これにより、ガスバリア性シート1Aにガスバリア性と放熱性とを付与することができるようになり、その結果、発熱性の被封止物と良好に組み合わせて用いることが可能な、ガスバリア性と放熱性とを兼ね備えたガスバリア性シート1Aを提供することができる。なお、発熱性の被封止物の詳細は後述するが、好ましくは有機ELディスプレイ素子、液晶ディスプレイ素子、及び有機EL照明素子のいずれかを用いる。これにより、発熱性の大きい被封止物を用いることとなり、本発明のガスバリア性シートを適用する意義が大きくなる。なお、本発明において、「発熱性の被封止物」とは、その名の通り被封止物を駆動等させることにより被封止物に発熱が起こるものをいう。具体的には、駆動等する被封止物の表面温度を測定した場合に、経時的に被封止物の表面温度が上昇すれば、本発明にいう「発熱性の被封止物」となる。例えば、被封止物の表面温度を、常温(25±5℃)・常湿(50±10%RH)の環境で24時間モニターした場合に、この24時間の測定時間中に、通常1℃以上、好ましくは3℃以上、より好ましくは5℃以上上昇するものは「発熱性の被封止物」に含まれる。
ガスバリア性シート1Aは、より具体的には、図1に示すように、基材2上に放熱性ガスバリア膜3を有する。
基材2としては、各種の基材を用いることができ、主にはシート状やフィルム状、巻き取りロール状のものが用いられるが、具体的な用途や目的等に応じて、非フレキシブル基板やフレキシブル基板を用いることができる。例えば、ガラス基板、硬質樹脂基板、ウエハ、プリント基板、様々なカード、樹脂シート等の非フレキシブル基板を用いてもよいし、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリシルセスキオキサン、ポリノルボルネン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、非晶質シクロポリオレフィン、セルローストリアセテート等のフレキシブル基板を用いてもよい。基材2が樹脂製である場合、用いる樹脂としては上記例示した樹脂を適宜混合して用いてもよい。また、基材2が樹脂製である場合、好ましくは100℃以上、特に好ましくは150℃以上の耐熱性を有するものが適当である。
こうした樹脂製の基材2としては、具体的には、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルム(例えば、日本ゼオン株式会社のゼオネックス(登録商標)やゼオノア(登録商標)、JSR株式会社のARTON等)、ポリカーボネートフィルム(例えば、帝人化成株式会社のピュアエース等)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、帝人化成株式会社製のもの等)、セルローストリアセテートフィルム(例えば、コニカミノルタオプト株式会社のコニカタックKC4UX、KC8UX等)、ポリエチレンナフタレートフィルム(例えば、帝人デュポンフィルム株式会社のテオネックス(登録商標)等)の市販品を挙げることができる。
基材2の厚さは、可撓性及び形態保持性の観点から、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下とする。
基材2を含むガスバリア性シート1Aを、有機ELディスプレイ素子等のディスプレイ装置の発光面や映像面側に設ける場合には、基材2は透明であることが好ましい。基材2とともに放熱性ガスバリア膜3等の他の膜を透明とすることにより、ガスバリア性シート1Aを透明とすることが可能となる。より具体的には、例えば400nm〜700nmの範囲内での基材2の平均光透過度(全光線透過率ともいう。以下同様)が80%以上の透明性を有するように構成することが好ましい。こうした光透過度は基材2の材質と厚さに影響されるので両者を考慮して構成される。
基材2の表面は、所定の平滑性を有することが好ましい。具体的には、基材2の表面の算術平均粗さ(Ra)は、通常0.3nm以上とする。この範囲とすれば、基材2に適度な表面粗さを付与することができ、基材2を巻き取りロールとした際に互いに接触する基材2同士の接触面に滑りが生じにくくなる。また、基材2の表面の算術平均粗さ(Ra)は、通常100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下とする。この範囲とすれば、基材2の平滑性が向上し、有機ELディスプレイ等の表示素子を作製する際に発生することのある短絡を抑制できる利点が発揮されやすくなる。なお、算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601−2001(ISO4287−1997準拠)に従って測定すればよい。
基材2は、熱に対して変形しにくいことが好ましい。ガスバリア性シート1Aが有機ELディスプレイ素子に適用される場合には、ヒートサイクル試験のような加熱・冷却のストレスに対してもガスバリア性シート1Aが変形しないことが求められるからである。具体的には、基材2の線膨張係数は、通常5ppm/℃以上、また、通常80ppm/℃以下、好ましくは50ppm/℃以下とする。線膨張係数の測定は、従来公知の方法を用いて行えばよく、例えばTMA法(熱機械分析法)を挙げることができる。TMA法に用いる測定装置としては、例えば、示差膨張方式熱機械分析装置であるリガク 製 CN8098F1を用いることができる。
基材2として樹脂製のものを用いる場合には、その製造方法も従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。また、樹脂製の基材2を用いる場合には、延伸フィルムを用いてもよい。延伸の方法も従来公知の一般的な方法を用いればよい。延伸倍率は、基材2の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍とすることが好ましい。
基材2の表面は、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、加熱処理、薬品処理等の表面処理を行ってもよい。こうした表面処理の具体的な方法は従来公知のものを適宜用いることができる。また、基材2の表面には、放熱性ガスバリア膜3等との密着性の向上を目的としてアンカーコート剤膜を形成してもよい。こうしたアンカーコート剤膜としては、従来公知のものを適宜用いればよいが、詳細は後述する。
放熱性ガスバリア膜3は、ダイヤモンドライクカーボンからなり、熱伝導率が30W/mK以上である。こうした放熱性ガスバリア膜3を用いることにより、ガスバリア性シート1Aにガスバリア性と放熱性とを付与することができるようになり、その結果、発熱性の被封止物と良好に組み合わせることが可能となる、ガスバリア性と放熱性とを兼ね備えたガスバリア性シート1Aを提供することができる。
放熱性ガスバリア膜3をダイヤモンドライクカーボンから構成することにより、放熱性とガスバリア性とを両立できるだけではなく、ガスバリア性シート1Aの透明性も確保しやすくなる。すなわち、ガスバリア性と放熱性との両立を考える場合、金属材料を放熱性ガスバリア膜に用いることも考えられなくはない。しかしながら、金属材料を用いる場合には、放熱性、ガスバリア性、及び透明性の3つを同時に確保することが難しくなる。これは、金属材料を用いる場合には、放熱性ガスバリア膜の厚さを厚くしてガスバリア性を確保すると透明性が損なわれやすくなる一方で、放熱性ガスバリア膜の厚さを薄くして透明性を確保するとガスバリア性が損なわれやすくなるからである。これに対して、放熱性ガスバリア膜3をダイヤモンドライクカーボンから構成することにより、放熱性、ガスバリア性、及び透明性の3つを同時に確保しやすいという利点も発揮される。
放熱性ガスバリア膜3の材料として用いるダイヤモンドライクカーボン(DLC)とは、ダイヤモンドに類似した炭素材料のことをいい、ダイヤモンドとグラファイトとの中間的な結晶構造を持つものである。より具体的には、炭素を主成分としつつ若干の水素を含み、ダイヤモンド結合(SP3結合)とグラファイト結合(SP2結合)の両方の結合が混在しているアモルファス構造をとる。ダイヤモンドライクカーボンは、所定のガスバリア性と所定の放熱性とを発揮する材料である他、電気絶縁性を有する。このため、ダイヤモンドライクカーボンを用いることにより、ガスバリア性シート1Aをディスプレイ用基板や、有機ELディスプレイ素子等のディスプレイ用の封止フィルムとして用いた場合に、ディスプレイが有する陰極と陽極との短絡を抑制しやすくなる。
放熱性ガスバリア膜3は、熱伝導率を30W/mK以上とするが、好ましくは35W/mK以上、より好ましくは40W/mK以上とする。熱伝導率を上記範囲とすることにより、ガスバリア性シート1Aの放熱性がより確保されやすくなる。熱伝導率は、高ければ高いほど放熱性に優れるので好ましいが、通常、ダイヤモンドの熱伝導率である2000W/mK以下となる。
放熱性ガスバリア膜3の熱伝導率は、光交流法を用いて測定することができる。より具体的には、本発明においては、アルバック理工社製の光交流法熱拡散率測定装置 LaserPIT−1を用い、熱源にダイオードレーザ、測定環境を大気圧(20℃)として熱伝導率を測定した。
放熱性ガスバリア膜3の熱伝導率は、ダイヤモンドライクカーボンの組成により制御することができる。具体的には、ダイヤモンドライクカーボンは、通常、水素を所定量含み、この水素により放熱性ガスバリア膜3の熱伝導率が30W/mKよりも小さくなる場合がある。このため、放熱性ガスバリア膜3の熱伝導率を良好に制御するために、水素の含有量を調整することが好ましい。一方で、水素ガスを適量加えた場合、アッシング効果による緻密性を確保しやすくなる利点もあるので、一定程度であれば水素を含有させることも好ましい。
また、放熱性ガスバリア膜3の熱伝導率は、ダイヤモンドライクカーボンの主成分である炭素に、所定の添加元素を所定量含有させることによっても制御することができる。こうした添加元素としては、例えば、珪素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、リン(P)、硫黄(S)、及び塩素(Cl)を挙げることができる。結合構造が炭素と類似している観点から好ましいのは珪素(Si)である。また、透明性や構造の柔軟性を付与するために、窒素(N)や酸素(O)を添加することも効果的である。放熱性ガスバリア膜3の緻密性を向上させる観点から好ましいのは、硫黄(S)や塩素(Cl)である。こうした添加元素の含有量は、通常0原子%以上、好ましくは0.1原子%以上、また、通常4.5原子%以下、好ましくは2.5原子%以下とする。添加元素としてSiを用いる場合には、放熱性ガスバリア膜中の炭素(C)と珪素(Si)との原子数比が、C:Si=1000:0〜1000:40(Siを0原子%以上、4原子%以下)となるようにすることが好ましく、C:Si=1000:1〜1000:20(Siを0.1原子%以上、2原子%以下)となるようにすることがより好ましい。
こうした添加元素の含有量は、通常、XPS(X線光電子分光法)により測定することができる。本発明においては、XPS(VG Scientific社製ESCA LAB220i−XL)により測定した。X線源としては、Ag−3d−5/2ピーク強度が300Kcps〜1McpsとなるX線源であるMgKα線を用い、直径約1mmのスリットを使用した。測定は、測定に供した試料面の法線上に検出器をセットした状態で行い、適正な帯電補正を行った。測定後の解析は、上述のXPS装置に付属されたソフトウエアEclipseバージョン2.1を使用し、Si:2p、N:1s、Al:2p、Mg:2p、Ti:2p、P:2p、O:1s、C:1s、S:2p、Cl:2pのバインディングエネルギーに相当するピークを用いて行った。このとき、C:1sのピークのうち、炭化水素に該当するピークを基準として、各ピークシフトを修正し、ピークの結合状態を帰属させた。各ピークに対して、シャーリーのバックグラウンド除去を行い、ピーク面積に各元素の感度係数補正(C=1.0に対して、Si=0.87、Al=0.67、Mg=0.36、Ti=7.90、P=1.25、N=1.77、O=2.85、S=1.74、Cl=2.36)を行い、原子数比を求めた。
放熱性ガスバリア膜3の厚さは、通常2nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常50nm以下、好ましくは30nm以下とする。上記範囲とすれば、ガスバリア性と放熱性とのバランスを取りつつ、無色透明でクラックが入りにくく生産性を高くしやすくなる。
放熱性ガスバリア膜3の消衰係数は、0.00001以上、0.1以下であることが好ましい。消衰係数は、低いほど好ましいが、生産性などを考慮すると、より好ましくは0.00003以上、さらに好ましくは0.00005以上、また、より好ましくは0.07以下、さらに好ましくは0.05以下、特に好ましくは0.03以下とする。これにより、放熱性ガスバリア膜の透明性を確保しやすくなり、その結果、透明性の高いガスバリア性シート1Aを得ることができる。
放熱性ガスバリア膜3における消衰係数の測定は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、エリプソメーターを用いることができる。本発明においては、消衰係数をJOBIN YVON社製のUVISELTMにより測定した。そして、測定は、キセノンランプを光源とし、入射角度を−60°、検出角度を60°、測定範囲を1.5eV〜5.0eVの条件で行った。
放熱性ガスバリア膜3の屈折率は、通常1.4以上、好ましくは1.42以上、より好ましくは1.44以上、また、通常2.2以下、好ましくは2.1以下、より好ましくは2.0以下とする。これにより、放熱性ガスバリア膜3の透明性を確保しやすくなり、その結果、透明性の高いガスバリア性シート1Aを得ることができる。
放熱性ガスバリア膜3における屈折率の測定は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、エリプソメーターを用いることができる。本発明においては、屈折率をJOBIN YVON社製のUVISELTMにより測定した。そして、測定は、キセノンランプを光源とし、入射角度を−60°、検出角度を60°、測定範囲を1.5eV〜5.0eVとして行った。
ガスバリア性シート1Aの全光線透過率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、また、通常100%以下、好ましくは98%以下、より好ましくは95%以下とする。上記範囲とすれば、ガスバリア性シート1Aの透明性を確保して透明性を高くすることができる。
ガスバリア性シート1Aの全光線透過率の測定は、例えば、分光測色計を用いて測定することができる。本発明においては、全光線透過率の測定は、SMカラーコンピューターSM−C(スガ試験機製)を使用して測定した。そして、測定は、JIS K7105に準拠して実施した。
(ガスバリア性シートの第1の態様の製造方法)
ガスバリア性シート1Aの製造方法は、ダイヤモンドライクカーボンからなり、熱伝導率が30W/mK以上である放熱性ガスバリア膜3を形成する放熱性ガスバリア膜形成工程を有する。これにより、所定の放熱性ガスバリア膜3を良好に形成することが可能となり、その結果、工業生産性の高いガスバリア性シート1Aの製造方法を提供することができる。なお、放熱性ガスバリア膜形成工程の前に基材2を準備する基材準備工程を実施することもできる。例えば、基材2として樹脂製のものを用いる場合には、上述のとおり、その製造方法も従来公知の一般的な方法により製造することができ、こうした基材の製造が基材準備工程にあたる。
放熱性ガスバリア膜形成工程は特に制限はないが、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、及びプラズマCVD法等を用いて行うことができる。こうした製造方法は、成膜材料の種類、成膜のしやすさ、工程効率等を考慮して選択すればよい。こうした製造方法のいくつかにつき以下説明する。
スパッタリング法とは、真空チャンバー内にターゲットを設置し、高電圧をかけてイオン化した希ガス元素(通常はアルゴン)をターゲットに衝突させて、ターゲット表面の原子をはじき出し、基材2に付着させ、放熱性ガスバリア膜3を得る方法である。ダイヤモンドライクカーボンの膜を成膜する場合には、ターゲットとしては、通常、黒鉛のターゲットを用いる。このとき、チャンバー内にアルゴンガス、或いは窒素ガスを流すことにより、ターゲットからはじき出された元素が、活性化した状態で基材上に付着し、放熱性ガスバリア膜3を形成する、反応性スパッタリング法を用いてもよい。窒素や酸素を用いた場合は、ダイヤモンドライクカーボン膜に窒素や酸素を含有させることができる。また、珪素を添加する場合は、有機シリコーン、例えば、ヘキサメチレンジシロキサン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を微量加えればよい。スパッタリング法としては、例えば、DC2極スパッタリング、RF2極スパッタリング、3極・4極スパッタリング、ECRスパッタリング、イオンビームスパッタリング、及びマグネトロンスパッタリング等を挙げることができるが、工業的にはマグネトロンスパッタリングを用いることが好ましい。
イオンプレーティング法とは、真空蒸着とプラズマの複合技術であり、原則としてガスプラズマを利用して、蒸発粒子の一部をイオンもしくは励起粒子とし、活性化して薄膜を形成する方法である。ダイヤモンドライクカーボンの膜を成膜する場合には、通常、蒸発粒子の原料として黒鉛を用いる。イオンプレーティング法においては、アルゴンガスのプラズマを利用して蒸発粒子を活性化させ、添加ガスに窒素、酸素、有機シリコーン(ヘキサメチレンジシロキサン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)を微量用いることで、ダイヤモンドライクカーボン膜を合成させる反応性イオンプレーティングが有効である。また、プラズマ中の操作であるため、安定なプラズマを得るのが第1条件であり、低ガス圧の領域での弱電離プラズマによる低温プラズマを用いる場合が多い。イオンプレーティング法は、放電を起こす手段から、直流励起型と高周波励起型に大別されるが、ほかに蒸発機構にホロカソード、イオンビームを用いる場合もある。
CVD法とは、原料物質を含むガスに、熱や光によってエネルギーを与えたり、高周波でプラズマ化させて、原料物質をラジカル化し、これを基板上に吸着させて成膜を行う手法をいう。温度を上げて堆積させるものを熱CVD法、ガスをプラズマ状態に励起する方法をプラズマCVD法という。プラズマCVD法については後述する。
プラズマCVD法とは、化学気相成長法の一種である。プラズマCVD法においては、プラズマ放電中に原料を気化して供給し、系内のガスを衝突により相互に活性化してラジカル化するため、熱的励起のみによっては不可能な低温下での反応が可能となる。基材2は背後からヒータによって加熱され、電極間の放電中での反応により膜が形成される。プラズマの発生に用いる周波数により、HF(数十〜数百kHz)、RF(13.56MHz)、及びマイクロ波(2.45GHz)に分類される。マイクロ波を用いる場合は、反応ガスを励起し、アフターグロー中で成膜する方法と、ECR条件を満たす磁場(875Gauss)中にマイクロ波導入するECRプラズマCVDに大別される。また、プラズマ発生方法で分類すると、容量結合方式(平行平板型)と誘導結合方式(コイル方式)に分類される。ここで、プラズマ源としては、ホロカソード、イオンビーム、及び電子ビームを用いることができる。これらのうち、高密度のプラズマを発生できる観点から好ましいのはホロカソードをプラズマ源として用いることである。より好ましくは圧力勾配型ホロカソードを用いることである。また、ダイヤモンドライクカーボンの膜は、通常、炭化水素ガス、例えば、アセチレン、エチレン、メタン等を用いて成膜を行う。この他、ダイヤモンドライクカーボンの膜を成膜する場合の添加ガスとしては、塩化水素、硫化水素等の水素含有ガスを用いることもできる。添加ガスに水素含有ガスを用いることにより、ダイヤモンドライクカーボンの膜に硫黄や塩素が混入し、緻密化しやすくなるので放熱性ガスバリア膜の放熱性をより確保しやすくなる。一方で、水素ガスを適量加えた場合、アッシング効果による緻密性を確保しやすくなる利点もあるので、一定程度であれば水素を含有させることも好ましい。
放熱性ガスバリア膜3は、上記紹介した製造方法を適宜用いつつ、製造条件を適宜変化させて所望の物性を得るようにする。具体的には、放熱性ガスバリア膜3の熱伝導率は、ダイヤモンドライクカーボンの製造方法及び製造条件によって制御することができる。例えば、反応性スパッタリング法を用いる場合にはマグネトロンスパッタリング法で、高密度プラズマを形成する条件を採用し、プラズマCVD法を用いる場合にはMF電源を用い、原料ガスからの水素引き抜き効果を大きくする条件を採用し、反応性イオンプレーティング法を用いる場合には、ホロカソード型プラズマガンを用いることで高密度プラズマを形成する条件を採用することによって、所定の熱伝導率を確保しやすくなる。こうした条件を採用することにより、ダイヤモンドライクカーボンの構造が緻密になり、所定の熱伝導率及びガスバリア性が確保しやすくなる。
また、放熱性ガスバリア膜3のダイヤモンドライクカーボン中に、熱伝導率制御の観点から、珪素等の添加元素を所定量含有させる場合には、例えば、反応性スパッタリング法、反応性イオンプレーティング法を用いる場合には、有機シリコーン(ヘキサメチレンジシロキサン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)を添加ガスにしたり、蒸着材料に微量の珪素を混合したりすることで作製が可能となる。また、プラズマCVD法を用いる場合は、反応ガスに有機シリコーン(ヘキサメチレンジシロキサン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)を用いることで作製することができる。
さらに、熱伝導率制御の観点から、放熱性ガスバリア膜3のダイヤモンドライクカーボン中の水素含有量を低減させる場合には、例えば、反応性スパッタリング法や反応性イオンプレーティング法を用いる場合には、真空度が高い条件で作製すればよい。また、プラズマCVD法を用いる場合には、飽和炭化水素を用い、水素−炭素結合の結合エネルギーが小さい材料を用いることで水素含有量を低減することができる。
本発明においては、放熱性ガスバリア膜形成工程が、圧力勾配型ホロカソードをプラズマ源とするプラズマCVD法によって行われることが好ましい。これにより、高密度のプラズマを発生させることができ、その結果、放熱性ガスバリア膜3の透明性を確保しやすくなる。そして、本発明者の検討によれば、圧力勾配型ホロカソードをプラズマ源とするプラズマCVD法によって放熱性ガスバリア膜形成工程を行う場合、ガスの注入場所及びプラズマ源と、放熱性ガスバリア膜3を成膜する対象たる基材2等の被成膜体との距離を制御することが、放熱性ガスバリア膜3の透明性を確保する観点から重要となることがわかった。具体的には、通常設定される距離(30mm程度)よりも長くすること(例えば150mm程度、好ましくは150mm以上とする)が重要であることがわかった。この理由は不明であるが、おそらくプラズマ源による蒸着粒子の活性が距離に比例して低下し、ダングリングボンドなどの非結合状態が少なくなったためと推測される。
(ガスバリア性シートの第2の態様)
図2は、本発明のガスバリア性シートの他の一例を示す模式的な断面図である。
ガスバリア性シート1Dは、第2のガスバリア膜9をさらに有し、第2のガスバリア膜9が窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有している。これにより、放熱性ガスバリア膜3と第2のガスバリア膜9とを組み合わせることができるようになり、放熱性を維持しつつガスバリア性がより高いガスバリア性シート1Dを提供することができる。
ガスバリア性シート1Dは、より具体的には、図2に示すように、基材2上に、第2のガスバリア膜9と放熱性ガスバリア膜3とをこの順に有している。基材2、放熱性ガスバリア膜3、及びガスバリア性シートの物性値等については、すでに説明したとおりであるので、ここでの説明は省略する。
第2のガスバリア膜9は、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。こうした材料を第2のガスバリア膜9に用いることにより、第2のガスバリア膜9のガスバリア性をより確保しやすくなる。放熱性ガスバリア膜3に用いるダイヤモンドライクカーボンは、通常、水蒸気透過率で10−1〜10−3g/m/day程度の高いガスバリア性を有するが、より高いガスバリア性を確保することが望ましい場合には、第2のガスバリア膜9を併用する意義が大きくなる。例えば、有機ELディスプレイ素子においては、水蒸気透過率で10−6g/m/day程度のガスバリア性が求められる場合があるが、こうした場合に第2のガスバリア膜9を併用することが好ましい。また、第2のガスバリア膜9を、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有するようにすれば、第2のガスバリア膜9が無機材料で構成されることになり、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜3との接着性も確保しやすくなるという利点も発揮される。
第2のガスバリア膜9に用いる、窒化珪素はSiNで表される組成であり、aは通常0.7以上、1.4以下とする。また、酸化珪素はSiOで表される組成であり、bは通常1.5以上、1.8以下とする。さらに、酸窒化珪素はSiNで表される組成であり、cは通常0.7以上、1.2以下、dは通常0.1以上、0.5以下とする。第2のガスバリア膜9の組成は、放熱性ガスバリア膜3の組成分析と同様、XPSにより測定することができる。具体的には、放熱性ガスバリア膜3の組成分析で説明した方法を参考にして、測定条件やデータ処理の条件を適宜調整すればよい。
第2のガスバリア膜9中の、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素の含有量は、通常95原子%以上、好ましくは99.9原子%以上とする。第2のガスバリア膜9には、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素の他、不純物や添加剤としてSi、N、O以外の元素や物質を含有してもよい。
第2のガスバリア膜9の厚さは、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは150nm以下とする。上記範囲とすれば、ガスバリア性を確保しつつ、透明性が高く、クラックが入りにくく生産性を高くしやすくなる。
(ガスバリア性シートの第2の態様の製造方法)
ガスバリア性シート1Dの製造方法は、図1に示すガスバリア性シート1Aの製造方法と同様にすればよいが、相違点は、第2のガスバリア膜を形成する第2のガスバリア膜形成工程を行う点にある。そして、ガスバリア性シート1Aの製造方法についてはすでに説明したので、説明の重複を避けるため、以下では上記相違点についてのみ説明する。
第2のガスバリア膜形成工程は、放熱性ガスバリア膜3のダイヤモンドライクカーボンの膜の製造方法と同様の方法を適宜用いて行うことができる。具体的には、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、Cat−CVD法、及びプラズマCVD法等を用いればよい。こうした製法の一般的な説明についてはすでに記載したとおりである。また、こうした製法において従来公知の知見を適宜用いることもできる。第2のガスバリア膜9を製造する際に、例えば、スパッタリング法を用いる場合には、チャンバー内に窒素ガスや酸素ガスを流すことにより、アルゴンガスによってターゲットからはじき出された元素と、窒素や酸素とを反応させて放熱性ガスバリア膜3を形成する、反応性スパッタリング法を用いることが好ましい。また、例えば、イオンプレーティング法を用いる場合には、反応ガスのプラズマを利用して蒸発粒子と結合させ、化合物膜を合成させる反応性イオンプレーティングを用いることが好ましい。
(ガスバリア性シートの第3の態様)
図6は本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
ガスバリア性シート1Eは、基材2の上に設けられたアンカーコート剤膜4と、アンカーコート剤膜4の上に設けられた第2のガスバリア膜9と、第2のガスバリア膜9の上に設けられた放熱性ガスバリア膜3と、をこの順に有する。これにより、第2のガスバリア膜9と基材2との接着性が確保されるとともに、第2のガスバリア膜9及び放熱性ガスバリア膜3の平坦性が確保されやすくなるので、その結果、よりガスバリア性の高いガスバリア性シート1Eを提供することができる。
ガスバリア性シート1Eは、第2のガスバリア膜9と基材2との間にアンカーコート剤膜4を設けたこと以外は、図2に示すガスバリア性シート1Dと同様の構成を採用している。そして、ガスバリア性シート1Dについてはすでに説明したので、説明の重複を避けるため、以下では、相違点であるアンカーコート剤膜4について説明を行う。
アンカーコート剤膜4は、通常、易接着膜としても機能する。基材2と第2のガスバリア膜9との密着性を向上させることが必要となる用途(例えば、包装材料)においては、アンカーコート剤膜4を用いる意義が高い。アンカーコート剤膜は、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、このシランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有することが好ましい。アンカーコート剤膜の厚さは、通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常5μm以下、好ましくは1μm以下とする。
ガスバリア性シート1Eは、図6には図示していないが、帯電防止膜をさらに設けることが好ましい。これにより、有機ELディスプレイ素子や有機EL照明素子で発生した静電気を除電しやすくなる、又は、塵や埃が付着することを抑制できるので、その結果、より機能性の高いガスバリア性シートを提供することができる。帯電防止膜は、静電気を発生させる被封止物たる有機ELディスプレイ素子や有機EL照明素子と接するように、放熱性ガスバリア膜3の上に設けられてもよい。また、帯電防止膜は、塵や埃が付着することを防止する機能をもつので、基材2のアンカーコート剤膜4が設けられていない側の面の上に設けられてもよい。
帯電防止膜に用いる材料としては、通常、無機材料や有機材料を用いることができ、所定の導電性を有する材料を用いることが好ましい。無機材料(無機化合物)として、例えば、ITO、IZO、In、SnO、SnO、ATO、FTO、ZnO、ZAO、及びGZOを挙げることができる。一方、有機材料としては、例えば、PEDOT‐PSS混合物を挙げることができる。また、無機材料と有機材料との混合物でもよい。帯電防止膜の厚さは、通常0.01μm以上、好ましくは0.03μm以上、また、通常15μm以下、好ましくは10μm以下とする。
(ガスバリア性シートの第3の態様の製造方法)
ガスバリア性シート1Eの製造方法は、図2に示すガスバリア性シート1Dの製造方法と同様にすればよいが、相違点は、アンカーコート剤膜4を形成するアンカーコート剤膜形成工程を行う点にある。そして、ガスバリア性シート1Dの製造方法についてはすでに説明したので、説明の重複を避けるため、以下では上記相違点についてのみ説明する。
アンカーコート剤膜形成工程は、アンカーコート剤膜4に用いる材料に応じて適宜選択すればよく、従来公知の方法を適宜用いればよい。こうした方法としては、例えば、上記説明した所定の材料を含有する塗布液を基材2上に塗布した後、これを乾燥・硬化させることにより得る方法を挙げることができる。ここで、上記所定の材料を溶解又は分散させるための溶媒として、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;NMP(N−メチルピロリドン)、グリコールジエーテル類、シクロヘキサノン等の高沸点溶媒、THF(テトラヒドロフラン)等を使用することができる。塗布液の固形分濃度は、得ようとするアンカーコート剤膜4の厚さに応じて適宜調整すればよい。
ガスバリア性シート1Eに帯電防止膜をさらに設ける場合には、帯電防止膜形成工程をさらに行えばよい。帯電防止膜形成工程は、帯電防止膜に用いる材料に応じて適宜選択すればよく、従来公知の方法を適宜用いればよい。こうした方法としては、例えば、スパッタリング法を挙げることができる。また、帯電防止膜に用いる材料を溶媒に溶解又は分散させて塗布液を作製し、これを塗布しその後乾燥・硬化させる手法を用いることもできる。こうした塗布方法としては、例えば、グラビアコート法、グラビアリバース法、ダイコート法等を挙げることができる。
(ガスバリア性シートの第4の態様)
図7は本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
ガスバリア性シート1Fは、基材2におけるアンカーコート剤膜4が設けられていない側の面に、第3のガスバリア膜15が設けられている。これにより、第3のガスバリア膜15が第2のガスバリア膜9とともに用いられることになり、その結果、よりガスバリア性の高いガスバリア性シート1Fを提供することができる。
ガスバリア性シート1Fは、基材2の裏面に第3のガスバリア膜15を設けたこと以外は、図6に示すガスバリア性シート1Eと同様の構成を採用している。そして、ガスバリア性シート1Eについてはすでに説明したので、説明の重複を避けるため、以下では、相違点である第3のガスバリア膜15について説明を行う。第3のガスバリア膜15を設けることにより、放熱性ガスバリア膜3と、第2のガスバリア膜9や第3のガスバリア膜15とを組み合わせることができるようになり、放熱性を維持しつつガスバリア性がより高いガスバリア性シート1Fを提供することができる。第3のガスバリア膜15は、第2のガスバリア膜9と同様にすればよい。そして、第2のガスバリア膜9についてはすでに説明したとおりである。そこで、説明の重複を避けるため、ここでの詳細な説明は省略する。
ガスバリア性シート1Fは、図7には図示していないが、帯電防止膜をさらに設けることが好ましい。これにより、有機ELディスプレイ素子や有機EL照明素子で発生した静電気を除電しやすくなる、又は、塵や埃が付着することを抑制できるので、その結果、より機能性の高いガスバリア性シートを提供することができる。帯電防止膜は、図6に示すガスバリア性シート1Eと同様のものを用いることができ、その設置位置も同様とすればよい。そこで、説明の重複をさけるため、ここでの説明は省略する。
(ガスバリア性シートの第4の態様の製造方法)
ガスバリア性シート1Fの製造方法は、図6に示すガスバリア性シート1Eの製造方法と同様にすればよいが、相違点は、第3のガスバリア膜15を形成する第3のガスバリア膜形成工程を行う点にある。そして、相違点たる第3のガスバリア膜形成工程については、図2に示すガスバリア性シート1Dの製造方法における第2のガスバリア膜形成工程と同様に行えばよい。そこで、説明の重複を避けるため、ここでの説明は省略する。
(層構成のバリエーション)
ガスバリア性シート1Aは、図1に示すとおり、基材2上に放熱性ガスバリア膜3を有するものであり、ガスバリア性シート1Dは、図2に示すとおり、基材2上に第2のガスバリア膜9と放熱性ガスバリア膜3とをこの順に設けたものである。ガスバリア性シート1Eは、図6に示すように、基材2、アンカーコート剤膜4、第2のガスバリア膜9、及び放熱性ガスバリア膜3をこの順に設けたものである。ガスバリア性シート1Fは、図7に示すように、ガスバリア性シート1Eの基材2におけるアンカーコート剤膜4が設けられていない方の面の上に第3のガスバリア膜15を設けたものである。放熱性確保の観点から、放熱性ガスバリア膜3は、発熱性の被封止物に対向して設けられることが好ましく、接して設けられることがより好ましい。このため、放熱性ガスバリア膜3は、ガスバリア性シートの最表面に配置されることが好ましい。これにより、発熱性の被封止物の表面に放熱性ガスバリア膜3を対向して設けることができるようになる。さらには、発熱性の被封止物の表面に放熱性ガスバリア膜3を接して設けることができるようになって、被封止物から発生した熱が放熱性ガスバリア膜3を介して逃げやすくなり、放熱効率を確保しやすくなる。また、ガスバリア性シート1D,1E,1Fからわかるように、第2のガスバリア膜9が放熱性ガスバリア膜3と接して設けられることが好ましい。これにより、放熱性ガスバリア膜3と第2のガスバリア膜9とが積層されて用いられることとなり、ガスバリア性がより高いガスバリア性シート1D,1E,1Fとしやすくなる。
しかしながら、ガスバリア性シートの層構成は、図1,2,6,7に示すものに限られない。例えば、ガスバリア性シートの少なくとも片面にハードコート膜や平滑化膜を設けることもできる。ハードコート膜や平滑化膜は、通常、基材において、放熱性ガスバリア膜が設けられた面とは反対側の面に設けられる。また、基材と放熱性ガスバリア膜との間にアンカーコート剤膜を設けてもよい。さらに、放熱性ガスバリア膜の上に透明電極膜を設けてもよい。この他、必要に応じて、反射防止膜、上述の帯電防止膜、防汚層、及び防眩層を適宜用いることもできる。こうした、ハードコート膜、平滑化膜、アンカーコート剤膜、透明電極膜、反射防止膜、帯電防止膜、防汚層、及び防眩層等の各層は、従来公知のものを適宜用いればよい。このように、膜の積層に関するバリエーションは、本発明の要旨の範囲内において適宜行うことができる。
(封止体の第1の態様)
図3は本発明の封止体の一例を示す模式的な断面図である。
封止体10Aは、基板7上に設けられた発熱性の被封止物5と、被封止物5上に設けられたガスバリア性シート1Aと、を有し、少なくともガスバリア性シート1Aと被封止物5周辺の基板7表面とが接着されている。そして、ガスバリア性シート1Aが、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜3を有し、放熱性ガスバリア膜3の熱伝導率が30W/mK以上である。これにより、放熱性ガスバリア膜3がガスバリア性と放熱性とを兼ね備えるようになり、その結果、発熱性の被封止物5に対し良好なガスバリア性と放熱性とを確保できる封止体10Aを提供することできる。
基板7は、発熱性の被封止物5を支持しつつ、所定のガスバリア性を有すればよく、特に制限はない。こうした基板7としては、例えば、ガラス基板、ガスバリア性シート等を挙げることができる。ガスバリア性シートを用いる場合には、ダイヤモンドライクカーボンからなる所定の放熱性ガスバリア膜を有する本発明のガスバリア性シートを用いてもよいし、従来公知のガスバリア性シートを用いてもよい。好ましくは、本発明のガスバリア性シートを用いることである。これにより、発熱性の非封止体5の上下に放熱性ガスバリア膜が存在することになり、放熱特性をより向上させやすくなる。
基板7は、陽極11を透明電極としてその上に形成する場合には、透明であることが好ましい。具体的には、例えば400nm〜700nmの範囲内での基板7の平均光透過度が80%以上の透明性を有するように構成することが好ましい。更に好ましくは、380nm〜780nmの範囲で、平均光透過度を80%以上とすることである。
基板7の厚さは、通常25μm以上、好ましくは50μm以上、また、通常1mm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下とする。この範囲とすれば、発熱性の被封止物5を支持できる程度の機械的強度を保持することができる。
発熱性の被封止物5は、有機ELディスプレイ素子である。有機ELディスプレイ素子は、発熱性の大きい被封止物となるので、本発明のガスバリア性シートを適用する意義が大きくなる。より詳しくは、有機ELディスプレイ素子は、正孔と電子との再結合する際の電気エネルギーの一部が熱となり発熱を起こす一方で、同素子が有機物から構成されるために耐熱性が不十分となりやすい。このため、有機ELディスプレイ素子においては、ガスバリア性シート1Aの放熱性を確保することが重要となる。したがって、放熱性とガスバリア性とを兼ね備えた本発明のガスバリア性シートを適用する意義が大きい。但し、発熱性の被封止物5は、有機ELディスプレイ素子に限られない。すなわち、発熱性を有するものであれば特に制限はなく、発熱性の被封止物として液晶ディスプレイ素子や有機EL照明素子を用いることも好ましい。液晶ディスプレイ素子や有機EL照明素子も発熱性の大きい被封止物となるので、本発明のガスバリア性シートを適用する意義が大きくなる。
発熱性の被封止物5は、有機ELディスプレイ素子の通常の構成を有し、陽極11、正孔輸送層12、発光層13、及び陰極14からなる。こうした各層の構成は従来公知のものを適宜用いればよい。
陽極11は、正孔輸送層12に正孔を供給する電極としての機能を有していればよい。このため、陽極11の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、有機ELディスプレイ素子の用途、目的に応じて、従来公知の材料を適宜用いればよい。ディスプレイの視認性のために、陽極11を透明電極とすることが多いので、陽極11の材料としては、通常ITO又はIZOが使用される。陽極11は、上記の材料を、スパッタリング法等により基板7上の所定位置に成膜することによって形成することができる。また、必要に応じて、エッチングによるパターニングを行ってもよい。陽極11の厚さは、透明性と導電性とを兼ね備えるために、薄膜の光学干渉を考慮して、通常140nm以上、160nm以下とする。
正孔輸送層12は、陽極11から正孔を受け取り発光層13へと輸送する機能を有する。こうした正孔輸送層12は、従来公知の正孔輸送機能を有する材料を含有させればよい。こうした材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェニレンジアミン誘導体等の各種の誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、等を挙げることができる。これら材料のうち、工業的な点から好ましいのは、フェニレンジアミン誘導体であり、より具体的には、α−ナフチルフェニルジアミン(α−NPD)である。こうした正孔輸送層12は、例えば、真空蒸着法等の従来公知の製法により陽極11上に成膜することによって形成することができる。正孔輸送層12の厚さは、通常1nm以上、100nm以下とする。
発光層13は、電界印加時に、陽極11及び正孔輸送層12から正孔を受け取り、陰極14から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する。発光層13は、従来公知の材料から構成することができる。例えば、発光層13は、発光材料のみで構成されていてもよく、発光材料とホスト材料との混合層とした構成でもよい。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料でもよいが、ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であってもよく、2種類以上用いる場合は、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げることができる。さらに、発光層13中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。また、発光層13は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
発光材料に用いる蛍光発光材料としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体等の各種の誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。これら材料のうち、工業的な点から好ましいのは、8−キノリノール誘導体の金属錯体であり、より具体的には、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)である。
発光材料に用いる燐光発光材料は、例えば、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体が挙げられる。また、ホスト材料としては、例えば、カルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するもの及びアリールシラン骨格を有するもの等を挙げることができる。
発光層13は、例えば、真空蒸着法等により正孔輸送層12上に成膜することによって形成することができる。発光層13の厚さは、通常1nm以上、100nm以下とする。
陰極14は、発光層13に電子を注入する電極としての機能を有していればよい。このため、陰極14の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、有機ELディスプレイ素子の用途、目的に応じて、公知の材料を適宜用いればよい。
陰極14は、通常金属電極として用いられる。こうした陰極14を構成する材料としては、例えば、金属、合金等を挙げることができる。より具体的には、MgやCa等の第2族元素の金属、金、銀、鉛、アルミニウム、インジウム、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、イッテルビウム等の希土類金属等を挙げることができる。これら材料のうち、アルミニウムを用いることが好ましい。また、安定性や電子注入性を考慮して、上記の材料を2種類以上併用して用いてもよく、この場合、好ましくはカルシウム及び銀を用いる。
陰極14の厚さは、陰極14を構成する材料により適宜選択することができ、通常10nm以上、好ましくは50nm以上、また、通常5μm以下、好ましくは1μm以下とする。陰極14は、透明でも不透明であってもよいが、陰極14を透明とする場合、厚さを1nm以上10nm以下と薄くするか、ITOやIZO等の透明な導電性材料を用いればよい。陰極14は、真空蒸着法等を用いて発光層13上に成膜することによって形成することができる。
発熱性の被封止物5の有機ELディスプレイ素子には、以上説明した各層の他、有機ELディスプレイ素子に求められる機能により、さらに他の層を付加することもできる。こうした層としては、例えば、電子輸送層、電荷ブロック層、及び電子注入層を挙げることができる。さらに、有機ELディスプレイ素子上に封止膜を直接設けてもよい。封止膜としては、酸化珪素、窒化珪素、及び酸窒化珪素等の無機薄膜を用いることが好ましく、窒化珪素又は酸窒化珪素の無機薄膜を用いることがより好ましい。これは、ガラスや金属を用いるよりも、軽量で安価に封止することが可能となるからである。
ガスバリア性シート1Aは、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜3を有し、放熱性ガスバリア膜3の熱伝導率が30W/mK以上である。ガスバリア性シート1Aについては既に説明したとおり、例えば、放熱性ガスバリア膜3中の炭素(C)と珪素(Si)との原子数比が、C:Si=1000:0〜1000:40であることが好ましい。これにより、上述のとおり、放熱性ガスバリア膜3の熱伝導率を30W/mK以上としやすくなり、その結果、発熱性の被封止物5に対し良好なガスバリア性と放熱性とを確保できる封止体10Aを提供することできる。また、例えば、放熱性ガスバリア膜3の消衰係数を0.00001以上、0.1以下とすることが好ましい。これにより、上述のとおり、放熱性ガスバリア膜3の透明性を確保しやすくなり、その結果、透明性の高いガスバリア性シート1Aを用いた封止体10Aを提供することができる。その他の点についてもすでに説明したとおりであるので、説明の重複を避けるためにここでの説明は省略する。
封止体10Aにおいては、陰極14と、放熱性ガスバリア膜3とが対向して設けられる。より具体的には、陰極14と放熱性ガスバリア膜3とが接して設けられる。これにより、有機ELディスプレイ素子から発生した熱が放熱性ガスバリア膜3を介して逃げやすくなり、その結果、放熱効率がより高い封止体10Aを提供することができる。なお、図3には図示していないが、発熱性の被封止物を有機ELディスプレイ素子とする場合に、有機ELディスプレイ素子の陽極と、放熱性ガスバリア膜と、を対向させるように設けてもよい。より具体的には、陽極と放熱性ガスバリア膜とを接して設けてもよい。こうした構成としても、有機ELディスプレイ素子から発生した熱が放熱性ガスバリア膜を介して逃げやすくなり、その結果、放熱効率がより高い封止体を提供することができる。
接着剤層6は、ガスバリア性シート1Aと発熱性の被封止物5周辺の基板7表面とを接着するために用いられるものであり、特に制限はない。こうした接着剤層6に用いる材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、瞬間接着剤等を挙げることができる。より具体的には、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、及びポリエステル樹脂等を挙げることができる。これら材料のうち、透湿度が低く、耐熱性が良好となる観点から、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、及びアクリロニトリル樹脂を用いることが好ましい。
接着剤層6は、通常、所定の粘度を有する接着剤をスピンコート法、ダイコート法等で、基板7の表面のうち、発熱性の被封止物5の周辺に塗布した後、ガスバリア性シート1Aを被覆して、硬化させることによって形成できる。接着剤層6の厚さは、通常100nm以上、また、通常1μm以下、好ましくは500nm以下とする。
(封止体の第2の態様)
図4は本発明の封止体の他の一例を示す模式的な断面図である。
封止体10Dは、基板7上に設けられた発熱性の被封止物5と、発熱性の被封止物5上に設けられたガスバリア性シート1Dと、を有し、少なくともガスバリア性シート1Dと被封止物5周辺の基板7表面とが接着されている。そして、ガスバリア性シート1Dが、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜3を有し、放熱性ガスバリア膜3の熱伝導率が30W/mK以上である。さらに、ガスバリア性シート1Dは第2のガスバリア膜9を有し、第2のガスバリア膜9が窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有している。これにより、放熱性ガスバリア膜3と、第2のガスバリア膜9とを組み合わせることができるようになり、放熱性を維持しつつガスバリア性がより高い封止体10Dを提供することができる。
封止体10Dは、ガスバリア性シート1Aをガスバリア性シート1Dとしたこと以外は、前述の封止体10Aと同様の構成を採用している。また、ガスバリア性シート1Dについては既に説明したように、第2のガスバリア膜9が放熱性ガスバリア膜3と接して設けられる。これにより、放熱性ガスバリア膜3と第2のガスバリア膜9とが積層されて用いられることとなり、放熱性を維持しつつガスバリア性がより高い封止体10Dを提供することができる。ガスバリア性シート1Dの詳細については既に説明したとおりであるので、説明の重複を避けるため、ここでの説明は省略する。
(封止体の第3の態様)
図5は本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
封止体10Eは、基板7上に設けられた発熱性の被封止物5と、被封止物5上に設けられたガスバリア性シート1Dと、を有する。そして、ガスバリア性シート1Dと、被封止物5周辺の基板7表面と、が熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8を介して接着されているだけではなく、発熱性の被封止物5として用いる有機ELディスプレイ素子の陰極14と、放熱性ガスバリア膜3と、が熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8を介して接着されている。
封止体10Eにおいては、発熱性の被封止物5である有機ELディスプレイ素子の陰極14と、放熱性ガスバリア膜3と、が熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8を介して接着されているので、有機ELディスプレイ素子から発生した熱が熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8及び放熱性ガスバリア膜3を介して逃げやすくなり、その結果、放熱効率がより高い封止体10Eを提供することができる。
封止体10Eは、熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8を用いること以外は、前述の封止体10Dと同様の構成を採用している。例えば、ガスバリア性シート1Dは、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜3を有し、放熱性ガスバリア膜3の熱伝導率が30W/mK以上である。さらに、ガスバリア性シート1Dが第2のガスバリア膜9をさらに有し、第2のガスバリア膜9が窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有している。このため、以下においては、図4の封止体10Dとの相違点である、熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8について説明する。
熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8は、ガスバリア性シート1Dと発熱性の被封止物5とを接着しており、所定の熱伝導性を有するものであればよく特に制限はない。熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8の熱伝導率は、通常0.1W/mK以上、好ましくは0.15W/mK以上、より好ましくは0.30W/mK以上、さらに好ましくは0.50W/mK以上とする。一方、接着剤層8の熱伝導率は、高ければ高いほど好ましいが、材料の制約等から、通常10W/mK以下となる。
熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8に用いる材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、及びポリエステル樹脂等を挙げることができる。これら材料のうち、放熱性及び接着性の観点から、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、及びアクリロニトリル樹脂を用いることが好ましい。なお、熱伝導率を向上させるために、接着剤中に添加剤として、典型金属や金属酸化物等を添加することも好ましい。こうした添加剤としては、例えば、球状シリカ、球状アルミナ、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。
熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8は、通常、所定の粘度を有する接着剤をスピンコート法、ダイコート法等で、基板7表面、発熱性の被封止物5である有機ELディスプレイ素子の陰極14の表面、及び発熱性の被封止物5である有機ELディスプレイ素子の側面に塗布した後、ガスバリア性シート1Dを被覆して、硬化させることによって形成できる。熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8の厚さは、通常50nm以上、また、通常1μm以下、好ましくは500nm以下とする。
なお、封止体10Eにおいては、ガスバリア性シート1Dと被封止物5周辺の基板7表面との接着、及び陰極14と放熱性ガスバリア膜3(ガスバリア性シート1D)との接着の両方を熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8を用いて行っているが、本発明はこうした構成に限られるものではない。例えば、ガスバリア性シート1Dと被封止物5周辺の基板7表面との接着には、接着剤の熱伝導性を考慮することなく他の接着剤を用いてもよい。
また、封止体10Eにおいては、陰極14と放熱性ガスバリア膜3(ガスバリア性シート1D)とが熱伝導性の接着剤からなる接着剤層8を介して接着されているが、本発明はこうした構成に限られるものではない。例えば、有機ELディスプレイ素子の陽極と放熱性ガスバリア膜(ガスバリア性シート)とを熱伝導性の接着剤からなる接着剤層を介して接着してもよい。これにより、有機ELディスプレイ素子から発生した熱が熱伝導性の接着剤及び放熱性ガスバリア膜を介して逃げやすくなり、その結果、放熱効率がより高い封止体を提供することができる。
(封止体の第4の態様)
図8は本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
封止体10Fにおいては、基材2の上に設けられたアンカーコート剤膜4と、アンカーコート剤膜4の上に設けられた第2のガスバリア膜9と、第2のガスバリア膜9の上に設けられた放熱性ガスバリア膜3と、をこの順に有するガスバリア性シート1Eを用いている。これにより、第2のガスバリア膜9と基材2との接着性が確保されるとともに、第2のガスバリア膜9及び放熱性ガスバリア膜3の平坦性が確保されやすくなるので、その結果、よりガスバリア性の高いガスバリア性シート1Eを用いた封止体10Fを提供することができる。
封止体10Fは、ガスバリア性シート1Eを用いること以外は、図4に示す封止体10Dと同様の構成を採用している。ガスバリア性シート1Eを用いる場合、例えば、図8には図示していないが、ガスバリア性シート1Eに帯電防止膜をさらに設けることが好ましい。これにより、発熱性の被封止物5たる有機ELディスプレイ素子(又は有機EL照明素子)で発生した静電気を除電しやすくなる、又は、塵や埃が付着することを抑制できるので、その結果、より機能性の高いガスバリア性シートを用いた封止体を提供することができる。このように、封止体10Dやガスバリア性シート1Eについてはすでに説明したとおりであるので、説明の重複をさけるため、ここでの説明は省略する。
(封止体の第5の態様)
図9は本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
封止体10Gにおいては、基材2におけるアンカーコート剤膜4が設けられていない側の面に、第3のガスバリア膜15を設けたガスバリア性シート1Fを用いている。これにより、第3のガスバリア膜15が第2のガスバリア膜9とともに用いられることになり、その結果、よりガスバリア性の高いガスバリア性シート1Fを用いた封止体10Gを提供することができる。
封止体10Gは、ガスバリア性シート1Fを用いること以外は、図8に示す封止体10Fと同様の構成を採用している。そして、ガスバリア性シート1Fは、基材2の裏面に第3のガスバリア膜15を設けたこと以外は、図6に示すガスバリア性シート1Eと同様の構成を採用している。例えば、ガスバリア性シート1Fでは第3のガスバリア膜15を設けている。これにより、放熱性ガスバリア膜3と、第2のガスバリア膜9や第3のガスバリア膜15とを組み合わせることができるようになり、放熱性を維持しつつガスバリア性がより高い封止体10Gを提供することができる。また、図9には図示していないが、ガスバリア性シート1Fに帯電防止膜をさらに設けることが好ましい。これにより、発熱性の被封止物5たる有機ELディスプレイ素子(又は有機EL照明素子)で発生した静電気を除電しやすくなる、又は、塵や埃が付着することを抑制できるので、その結果、より機能性の高いガスバリア性シートを用いた封止体を提供することができる。こうした点については、ガスバリア性シート1Eやガスバリア性シート1Fにおいて説明したとおりである。また、封止体10Fについても説明したとおりである。そこで、説明の重複をさけるため、ここでの説明は省略する。
(有機ELディスプレイ)
本発明の有機ELディスプレイは、本発明の封止体を有する。これにより、発熱性の大きい有機ELディスプレイ素子を被封止物として用いることとなり、良好なガスバリア性と放熱性とを確保できる有機ELディスプレイを提供することできる。
有機ELディスプレイは、上記説明した本発明の封止体を用いる以外は、従来公知の部材、部品、及び装置等を用いればよい。また製造方法についても従来公知の方法を適宜用いることができる。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
基板として厚さ0.7mmのガラス基板を用い、発熱性の被封止物として有機ELディスプレイ素子を用いた。具体的には、上記の硝子基板上に、ITOをスパッタリング法で成膜した後、エッチングによりパターンニングして透明電極(陽極)を形成した。そして、陽極上に蒸着法により正孔輸送層、発光層、及び金属電極(陰極)を順次形成した。ここで、正孔輸送層の材料としてはα−ナフチルフェニルジアミン(α−NPD)を、発光層の材料としてはトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)を、金属電極(陰極)の材料としてカルシウム及び銀を用いた。
ガスバリア性シートは、基材、第2のガスバリア膜、及び放熱性ガスバリア膜の3層構造のものを用いた。基材としては、厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(テオネックス(登録商標)Q65F、帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた。そして、この基材上に、窒化珪素をCVD法により成膜して、厚さ150nmとなる第2のガスバリア膜(SiNの組成でa=1.3)を形成した。なお、組成分析は、後述する放熱性ガスバリア膜の組成分析と同様にXPSを用いて行った。さらに、この第2のガスバリア膜上に、ダイヤモンドライクカーボンをイオンプレーティング法により成膜して、厚さ50nmの放熱性ガスバリア膜を形成した。
成膜されたダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜の熱伝導率を、アルバック理工社製の光交流法熱拡散率測定装置 LaserPIT−1を用いて、熱源にダイオードレーザ、測定環境を大気圧(20℃)として測定したところ、38W/mKであった。
また、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜の組成を、XPS(VG Scientific社製ESCA LAB220i−XL)により測定した。X線源としては、Ag−3d−5/2ピーク強度が300Kcps〜1McpsとなるX線源であるMgKα線を用い、直径約1mmのスリットを使用した。測定は、測定に供した試料面の法線上に検出器をセットした状態で行い、適正な帯電補正を行った。測定後の解析は、上述のXPS装置に付属されたソフトウエアEclipseバージョン2.1を使用し、Si:2p、N:1s、Al:2p、Mg:2p、Ti:2p、P:2p、O:1s、C:1s、S:2p、Cl:2pのバインディングエネルギーに相当するピークを用いて行った。このとき、C:1sのピークのうち、炭化水素に該当するピークを基準として、各ピークシフトを修正し、ピークの結合状態を帰属させた。各ピークに対して、シャーリーのバックグラウンド除去を行い、ピーク面積に各元素の感度係数補正(C=1.0に対して、Si=0.87、Al=0.67、Mg=0.36、Ti=7.90、P=1.25、N=1.77、O=2.85、S=1.74、Cl=2.36)を行い、原子数比を求めた。その結果、Cが1(1000)に対して、Siが0.0原子%(0)、Nが0.3原子%(3)であった。
また、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜の消衰係数及び屈折率を、JOBIN YVON社製のUVISELTMにより測定した。測定は、キセノンランプを光源とし、入射角度を−60°、検出角度を60°、測定範囲を1.5eV〜5.0eVの条件で行った。その結果、放熱性ガスバリア膜の消衰係数は0.05であり、屈折率は1.95であった。
次いで、基板上に形成された有機ELディスプレイ素子の周辺の基板表面に、接着剤をスピンコート法で塗布し、放熱性ガスバリア膜が、有機ELディスプレイ素子の金属電極(陰極)に接するようにして、有機ELディスプレイ素子全体にガスバリア性シートをかぶせた。そして、接着剤を硬化させることにより、ガスバリア性シートと、有機ELディスプレイ素子の周辺の基板表面と、を接着した。ここで、接着剤としては、熱伝導率が0.19W/mKである、UV硬化型エポキシ樹脂を用いた。以上を経て封止体を製造した。
(発光特性の評価)
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後の素子表面の温度上昇は1℃であり、ダークスポットも発生せず、良好な発光特性を得た。
また、ガスバリア性シート単独の水蒸気透過率及び酸素透過率を測定し、ガスバリア性を評価した。また、ガスバリア性シートの全光線透過率を測定した。
(水蒸気透過率の測定)
水蒸気透過率は、測定温度37.8℃、湿度100%Rhの条件下で、水蒸気透過率測定装置(米国MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31:商品名)を用いて測定した。測定に用いた水蒸気透過率測定装置の検出限界は、0.05g/m・dayである。測定の結果、水蒸気透過率は、0.05g/m・dayであり、測定限界値以下であった。
(酸素透過率の測定)
酸素透過率は、測定温度23℃、湿度90%Rhの条件下で、酸素ガス透過率測定装置(米国MOCON社製、OX−TRAN 2/20:商品名)を用いて測定した。測定に用いた酸素ガス透過率測定装置の検出限界は、0.05cc/m・day・atmである。測定の結果、酸素透過率は、0.05cc/m・day・atmであり、測定限界値以下であった。
(全光線透過率の測定)
全光線透過率を、SMカラーコンピューターSM−C(スガ試験機製)を使用して測定した。そして、測定は、JIS K7105に準拠して実施した。その結果、ガスバリア性シートの全光線透過率は、75.3%であった。
(実施例2)
実施例1において、基板とガスバリア性シートとの接着を行う際に、基板上に形成された有機ELディスプレイ素子の周辺の基板表面だけでなく、有機ELディスプレイ素子の金属電極(陰極)、及び有機ELディスプレイ素子の側面にも接着剤を塗布し、金属電極(陰極)と放熱性ガスバリア膜との接着をさらに行ったこと、以外は、実施例1と同様にして封止体を製造した。
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後の素子表面の温度上昇は0℃であり、ダークスポットも発生せず、良好な発光特性を得た。
参考例1
ガスバリア性シートにおいて、放熱性ガスバリア膜をプラズマCVD法(PECVD法)で成膜し、その厚さを30nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして封止体を製造した。成膜された放熱性ガスバリア膜の熱伝導率を実施例1と同様にして測定したところ、35W/mKであった。また、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜の組成を実施例1と同様にして測定したところ、Cが1(1000)に対して、Siが0.1原子%(1)であった。
プラズマCVD法の測定条件は、プラズマ源として圧力勾配型ホロカソードのプラズマガンを用い、被成膜体たる基材と第2のガスバリア膜との積層体と、ガスの注入場所及びプラズマ源との距離を150mmに設定した。その他の条件は、Ar流量:20sccm、エチレンガス:50sccmとした。
ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜の消衰係数及び屈折率を実施例1と同様にして測定したところ、消衰係数は0.012であり、屈折率は1.59であった。
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後の素子表面の温度上昇は1℃であり、ダークスポットも発生せず、良好な発光特性を得た。
また、ガスバリア性シートの水蒸気透過率、酸素透過率を実施例1と同様にして測定した。その結果、水蒸気透過率は0.05g/m・dayであり、酸素透過率は、0.05cc/m・day・atmであり、いずれも測定限界値以下であった。
ガスバリア性シートの全光線透過率を実施例1と同様にして測定したところ、全光線透過率は90.0%であった。
参考例2
ガスバリア性シートにおいて、放熱性ガスバリア膜をプラズマCVD法(PECVD法)で成膜し、その厚さを30nmとしたこと(参考例1と同様の内容としたこと)以外は、実施例2と同様にして封止体を製造した。
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後の素子表面の温度上昇は0℃であり、ダークスポットも発生せず、良好な発光特性を得た。
(実施例
ガスバリア性シートにおいて、第2のガスバリア膜の材料を酸化窒化珪素としたこと、放熱性ガスバリア膜をプラズマCVD法(PECVD法)で成膜し、その厚さを20nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして封止体を製造した。
なお、プラズマCVD法の測定条件は、プラズマ源としてRF電源を用い、被成膜体たる基材と第2のガスバリア膜との積層体と、ガスの注入場所及びプラズマ源との距離を40mmに設定した。その他の条件は、Ar流量:20sccm、エチレンガス:50sccm、水素ガス:10sccm、HMDSO:3sccm、窒素ガス:5sccmとした。ここで、HMDSOとは、ヘキサメチレンジシロキサンをいう。
第2のガスバリア膜の組成を実施例1と同様にして測定したところ、SiNでc=1.0,d=0.4であった。また、成膜された放熱性ガスバリア膜の熱伝導率を実施例1と同様にして測定したところ、35W/mKであった。また、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜の組成を実施例1と同様にして測定したところ、Cが1(1000)に対して、Siが0.1原子%(1)、Nが0.2原子%(2)であった。
さらに、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜の消衰係数及び屈折率を実施例1と同様にして測定したところ、消衰係数は0.01であり、屈折率は1.59であった。
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後の素子表面の温度上昇は1℃であり、ダークスポットも発生せず、良好な発光特性を得た。
また、ガスバリア性シートの水蒸気透過率、酸素透過率を実施例1と同様にして測定した。その結果、水蒸気透過率は0.05g/m・dayであり、酸素透過率は、0.05cc/m・day・atmであり、いずれも測定限界値以下であった。
ガスバリア性シートの全光線透過率を実施例1と同様にして測定したところ、全光線透過率は81.1%であった。
(実施例
ガスバリア性シートにおいて、第2のガスバリア膜の材料を酸化窒化珪素としたこと、放熱性ガスバリア膜をプラズマCVD法(PECVD法)で成膜し、その厚さを20nmとしたこと(実施例と同様の内容としたこと)以外は、実施例2と同様にして封止体を製造した。
第2のガスバリア膜の組成を実施例1と同様にして測定したところ、SiNでc=1.1,d=0.1であった。
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後の素子表面の温度上昇は0℃であり、ダークスポットも発生せず、良好な発光特性を得た。
(比較例1)
実施例1において、第2のガスバリア膜を用いなかったこと、放熱性ガスバリア膜の成膜の際にイオンプレーティング法におけるアルゴンガスの濃度を上げて放熱性ガスバリア膜の熱伝導率を20W/mKとなるようにしたこと、以外は、実施例1と同様にして封止体を製造した。ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜の組成を実施例1と同様にして測定したところ、Cが1(1000)に対して、Siが0.5原子%(5)、Nが0.4原子%(4)であった。
さらに、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜の消衰係数及び屈折率を実施例1と同様にして測定したところ、消衰係数は0.07であり、屈折率は1.94であった。
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後の素子表面の温度上昇は5℃であり、ダークスポットが発生し、発光特性は不良であった。
また、ガスバリア性シートの水蒸気透過率、酸素透過率を実施例1と同様にして測定した。その結果、水蒸気透過率は0.1g/m・dayであり、酸素透過率は、0.2cc/m・day・atmであった。これは、放熱性ガスバリア膜の構造が多孔質となり、所望の熱伝導率が得られず、同様に多孔質であるためにガスバリア性も低下したものと推測される。
ガスバリア性シートの全光線透過率を実施例1と同様にして測定したところ、全光線透過率は57.3%であった。
本発明のガスバリア性シートの一例を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートの他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の封止体の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の封止体の他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
符号の説明
1,1A,1D,1E,1F ガスバリア性シート
2 基材
3 放熱性ガスバリア膜
4 アンカーコート剤膜
5 発熱性の被封止物(有機ELディスプレイ素子)
6 接着剤層
7 基板
8 熱伝導性の接着剤からなる接着剤層
9 第2のガスバリア膜
10,10A,10D,10E,10F,10G 封止体
11 陽極
12 正孔輸送層
13 発光層
14 陰極
15 第3のガスバリア膜

Claims (15)

  1. 発熱性の被封止物を封止するためのガスバリア性シートであって、
    前記ガスバリア性シートが、ダイヤモンドライクカーボンからなる放熱性ガスバリア膜を有し、
    前記ダイヤモンドライクカーボンが、窒素、又は、窒素及び珪素を添加元素としてそれぞれ0.1原子%以上、4.5原子%以下含み、
    前記放熱性ガスバリア膜の熱伝導率が30W/mK以上であり、
    前記放熱性ガスバリア膜の屈折率が1.4以上、2.2以下である、ことを特徴とするガスバリア性シート。
  2. 前記窒素及び珪素を添加元素として含む前記ダイヤモンドライクカーボンは
    前記放熱性ガスバリア膜中の炭素(C)と珪素(Si)との原子数比が、C:Si=1000:〜1000:40である、請求項1に記載のガスバリア性シート。
  3. 前記ガスバリア性シートが第2のガスバリア膜及び/又は第3のガスバリア膜をさらに有し、前記第2のガスバリア膜及び前記第3のガスバリア膜が、それぞれ窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有する、請求項1又は2に記載のガスバリア性シート。
  4. 前記第2のガスバリア膜が前記放熱性ガスバリア膜と接して設けられる、請求項3に記載のガスバリア性シート。
  5. 前記発熱性の被封止物が、有機ELディスプレイ素子、液晶ディスプレイ素子、及び有機EL照明素子のいずれかである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性シート。
  6. 前記放熱性ガスバリア膜の消衰係数が0.00001以上、0.1以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性シート。
  7. 基材の上に設けられたアンカーコート剤膜と、該アンカーコート剤膜の上に設けられた前記第2のガスバリア膜と、該第2のガスバリア膜の上に設けられた前記放熱性ガスバリア膜と、をこの順に有する、請求項3〜6のいずれか1項に記載のガスバリア性シート。
  8. 前記基材における前記アンカーコート剤膜が設けられていない側の面に、前記第3のガスバリア膜が設けられている、請求項7に記載のガスバリア性シート。
  9. 帯電防止膜がさらに設けられている、請求項7又は8に記載のガスバリア性シート。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のガスバリア性シートの製造方法であって、窒素、又は、窒素及び珪素を添加元素としてそれぞれ0.1原子%以上、4.5原子%以下含むダイヤモンドライクカーボンからなり、熱伝導率が30W/mK以上、かつ、屈折率が1.4以上、2.2以下である放熱性ガスバリア膜を形成する放熱性ガスバリア膜形成工程を有することを特徴とするガスバリア性シートの製造方法。
  11. 前記放熱性ガスバリア膜形成工程が、圧力勾配型ホロカソードをプラズマ源とするプラズマCVD法によって行われる、請求項10に記載のガスバリア性シートの製造方法。
  12. 基板上に設けられた発熱性の被封止物と、該被封止物上に設けられた請求項1〜9のいずれか1項に記載のガスバリア性シートと、を有し、少なくとも該ガスバリア性シートと前記被封止物周辺の前記基板表面とが接着されていることを特徴とする封止体。
  13. 前記発熱性の被封止物が有機ELディスプレイ素子であり、該有機ELディスプレイ素子の陰極又は陽極と、前記放熱性ガスバリア膜と、が対向して設けられる、請求項12に記載の封止体。
  14. 前記有機ELディスプレイ素子の陰極又は陽極と、前記放熱性ガスバリア膜と、が熱伝導性の接着剤を介して接着されている、請求項13に記載の封止体。
  15. 請求項12〜14のいずれか1項に記載の封止体を有することを特徴とする有機ELディスプレイ。
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