JP5109715B2 - ガスバリア性シート、封止体、及び有機elディスプレイ - Google Patents

ガスバリア性シート、封止体、及び有機elディスプレイ Download PDF

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Description

本発明は、ガスバリア性シート、このガスバリア性シートを用いた封止体、及びこの封止体を用いた有機ELディスプレイに関する。
ディスプレイ等の封止構造についての検討は従来から行われている。
特許文献1は、封止手段が封止膜と封止フィルムの組み合わせからなるフィルム有機EL素子に関する文献である。同文献においては、フィルム基板上に発光機能層が設けられ、この発光機能層全体を覆うように無機薄膜からなる封止膜が形成されている。さらに、封止膜上に接着剤を介してバリア層を有するプラスチックが封止フィルムとして張り合わされている。そして、封止膜としては、酸化珪素、酸窒化珪素、窒化珪素等の無機薄膜を用い、封止膜の形成はCVD(Chemical Vapor Deposition)法により行っている。
特開2005−339863号公報(第0001段落、第0013段落、第0022段落、及び図1)
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1のように、発光機能層全体を覆うように形成された封止膜自体は、必ずしも十分なガスバリア性を有しないことがわかった。これは、有機ELディスプレイ素子に代表される発光機能層は、有機物で形成される層を有し、CVD法等の成膜により破壊されやすい傾向にあるからである。すなわち、有機ELディスプレイ素子等を破壊しないように、成膜時間、成膜温度、及び圧力等の製造条件を制御する必要があり、こうした条件を採用すると封止膜のガスバリア性が不十分となりやすい。このため、特許文献1においては、封止膜に加え封止フィルムを採用している。
ところが、同文献の図1からわかるように、発光機能層の周囲に形成された封止膜の外側には接着剤が設けられている。後述するように接着剤も有機物で構成されるためにガスバリア性が不十分なので、同図の構造では、ガスバリア性に劣る接着剤及び封止膜を通じて水蒸気や酸素が発光機能層に侵入しやすくなり、ダークスポット等の発生により、ガスバリア性の確保が困難となる課題がある。
ここで、発光機能層等を上下からフィルム基板と封止フィルムとで封止した従来の封止体における、フィルム基板と封止フィルムとが接触する界面、及びこの界面に存在する接着剤を介しての水蒸気や酸素の侵入について説明する。
図13は、従来の封止体を示す模式的断面図である。従来の封止体30は、発光機能層32がフィルム基板31と封止フィルム33とで封止され、フィルム基板31と封止フィルム33とは接着剤34を介して接着されている。ところが、こうした構造では、図13の矢印に示すように、フィルム基板31と封止フィルム33とが接触する界面に存在する接着剤34を通じて、水蒸気や酸素が侵入し、発光機能層32が劣化する傾向となる。接着剤34は、通常エポキシ樹脂等の有機物が用いられるが、こうした有機物の膜は水蒸気や酸素の遮断性が十分でない。このため、フィルム基板31及び封止フィルム33自体のガスバリア性が確保されている場合においても、実際には、フィルム基板31及び封止フィルム33の界面から水蒸気や酸素が発光機能層32に侵入し、発光機能層32におけるダークスポット等の不具合の発生が起こる。そこで、従来の封止体30の利点であるフレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造の封止フィルム(以下、「ガスバリア性シート」という。)、封止体、及びこうした封止体を用いた有機ELディスプレイの開発が課題となっている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その第1の目的は、フレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造のガスバリア性シートを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その第2の目的は、上記のガスバリア性シートを用いた封止体を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その第3の目的は、上記の封止体を用いた有機ELディスプレイを提供することにある。
本発明者は、基材上にガスバリア膜が設けられたガスバリア性シートにおいて、基材上に形成されるガスバリア膜の大きさを、発光機能層等の被封止物の上面及び側面を覆う程度にすることにより、フレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造のガスバリア性シートを得ることができることを見出した。そして、こうしたガスバリア性シートを被封止物の封止に適用することにより、フレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造の封止体、有機ELディスプレイが得られることを見出した。
上記課題を解決するための本発明のガスバリア性シートは、基板上に配置された被封止物の少なくとも上面及び側面を封止するガスバリア性シートであって、該ガスバリア性シートが、基材と、該基材上に設けられたガスバリア膜と、を有し、該ガスバリア膜が前記被封止物の上面及び側面を被覆する大きさに形成されている、ことを特徴とする。
この発明によれば、ガスバリア性シートが、基材と、この基材上に設けられたガスバリア膜と、を有し、このガスバリア膜が被封止物の上面及び側面を被覆する大きさに形成されているので、ガスバリア性シートと基板との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜の端部で遮断されやすくなるとともに、ガスバリア膜が設けられていない基材表面と基板とが接着されることになるために接着性も良好となり、その結果、フレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造のガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、少なくとも前記基材上における前記ガスバリア膜が形成されていない領域に、接着剤用アンカー膜が設けられる。
この発明によれば、少なくとも基材上におけるガスバリア膜が形成されていない領域に、接着剤用アンカー膜が設けられるので、ガスバリア膜が設けられていない基材表面と基板との接着力がより高くなり、その結果、フレキシブル性や高いガスバリア性を維持しつつ、より接着力に優れる構造のガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記ガスバリア膜が、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有する。
この発明によれば、ガスバリア膜が、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有するので、ガスバリア膜のガスバリア性がより高くなって、ガスバリア性シートと基板との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜の端部でより遮断されやすくなり、その結果、フレキシブル性を損なうことなく、さらに高いガスバリア性及び接着性を有する構造のガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記ガスバリア膜が、第1のガスバリア膜と第2のガスバリア膜とを有し、前記第1のガスバリア膜が、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、前記有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有し、前記第2のガスバリア膜が、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有する。
この発明によれば、ガスバリア膜が、上記所定の第1のガスバリア膜と上記所定の第2のガスバリア膜とを有するので、ガスバリア膜のガスバリア性がより高くなって、ガスバリア性シートと基板との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜の端部でより遮断されやすくなり、その結果、フレキシブル性を損なうことなく、さらに高いガスバリア性及び接着性を有する構造のガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記ガスバリア膜が、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、前記有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有する。
この発明によれば、ガスバリア膜が、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、上記の有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有するので、基材との密着性が良好となり、その結果、ガスバリア性だけでなく、基材との接着性が向上する利点も発揮されやすくなる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記基材の両面のうち、前記ガスバリア膜が設けられていない方の面側に第3のガスバリア膜が設けられている。
この発明によれば、基材の両面のうち、ガスバリア膜が設けられていない方の面側に第3のガスバリア膜が設けられているので、基材の一方の側にはガスバリア膜が設けられ、他方の側には第3のガスバリア膜が設けられることになり、その結果、ガスバリア性をより向上させやすくなる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記ガスバリア膜上に透明導電膜を有する。
この発明によれば、ガスバリア膜上に透明導電膜を有するようにするので、この透明導電膜を有機ELディスプレイの陽極として利用する、又は放熱機能及び帯電防止機能をガスバリア性シートに付与することができるようになり、その結果、被封止物が有機ELディスプレイである場合に、その生産性や寿命を向上させることができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記被封止物が、有機ELディスプレイ素子又は液晶ディスプレイ素子である。
この発明によれば、被封止物が、有機ELディスプレイ素子又は液晶ディスプレイ素子であるので、高いガスバリア性を必要とする被封止物を採用することになり、その結果、本発明を適用する意義が大きくなる。
上記課題を解決するための本発明の封止体は、基板と、該基板上に設けられた被封止物と、該被封止物を覆うように設けられたガスバリア性シートと、を有する封止体であって、前記ガスバリア性シートが、前記被封止物の上面及び側面を被覆するガスバリア膜と、該ガスバリア膜を支持する基材と、をこの順に有し、該基材における前記ガスバリア膜が形成されていない領域と、前記基板と、が接着されている、ことを特徴とする。
この発明によれば、ガスバリア性シートが、被封止物の上面及び側面を被覆するガスバリア膜と、このガスバリア膜を支持する基材と、をこの順に有し、基材におけるガスバリア膜が形成されていない領域と、基板と、が接着されているので、ガスバリア性シートと基板との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜の端部で遮断されやすくなるとともに、ガスバリア膜が設けられていない基材表面と基板とが接着されることになるために接着性も良好となり、その結果、フレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造の封止体を提供することができる。
本発明の封止体の好ましい態様においては、少なくとも前記基材における前記ガスバリア膜が形成されていない領域に、接着剤用アンカー膜が設けられる。
この発明によれば、少なくとも基材におけるガスバリア膜が形成されていない領域に、接着剤用アンカー膜が設けられるので、ガスバリア膜が設けられていない基材表面と基板との接着力がより高くなり、その結果、フレキシブル性や高いガスバリア性を維持しつつ、より接着力に優れる構造の封止体を提供することができる。
本発明の封止体の好ましい態様においては、前記ガスバリア膜が、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有する。
この発明によれば、ガスバリア膜が、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有するので、ガスバリア膜のガスバリア性がより高くなって、ガスバリア性シートと基板との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜の端部でより遮断されやすくなり、その結果、フレキシブル性を損なうことなく、さらに高いガスバリア性及び接着性を有する構造の封止体を提供することができる。
本発明の封止体の好ましい態様においては、前記ガスバリア膜が、第1のガスバリア膜と第2のガスバリア膜とを有し、前記第1のガスバリア膜が、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、前記有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有し、前記第2のガスバリア膜が、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有する。
この発明によれば、ガスバリア膜が、上記所定の第1のガスバリア膜と上記所定の第2のガスバリア膜とを有するので、ガスバリア膜のガスバリア性がより高くなって、ガスバリア性シートと基板との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜の端部でより遮断されやすくなり、その結果、フレキシブル性を損なうことなく、さらに高いガスバリア性及び接着性を有する構造の封止体を提供することができる。
本発明の封止体の好ましい態様においては、前記ガスバリア膜が、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、前記有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有する。
この発明によれば、ガスバリア膜が、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、前記有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有するので、基材との密着性が良好となり、その結果、ガスバリア性だけでなく、基材との接着性が向上する利点も発揮されやすくなる。
本発明の封止体の好ましい態様においては、前記基材の両面のうち、前記ガスバリア膜が設けられていない方の面側に第3のガスバリア膜が設けられている。
この発明によれば、基材の両面のうち、ガスバリア膜が設けられていない方の面側に第3のガスバリア膜が設けられているので、基材の一方の側にはガスバリア膜が設けられ、他方の側には第3のガスバリア膜が設けられることになり、その結果、ガスバリア性をより向上させやすくなる。
本発明の封止体の好ましい態様においては、前記ガスバリア膜上に透明導電膜を有する。
この発明によれば、ガスバリア膜上に透明導電膜を有するようにするので、この透明導電膜を有機ELディスプレイの陽極として利用する、又は放熱機能及び帯電防止機能をガスバリア性シートに付与することができるようになり、その結果、被封止物が有機ELディスプレイである場合に、その生産性や寿命を向上させることができる。
本発明の封止体の好ましい態様においては、前記被封止物が、有機ELディスプレイ素子又は液晶ディスプレイ素子である。
この発明によれば、被封止物が、有機ELディスプレイ素子又は液晶ディスプレイ素子であるので、高いガスバリア性を必要とする被封止物を採用することになり、その結果、本発明を適用する意義が大きくなる。
上記課題を解決するための本発明の有機ELディスプレイは、本発明の封止体を有することを特徴とする。
この発明によれば、本発明の有機ELディスプレイが本発明の封止体を有するので、ガスバリア性シートと基板との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜の端部で遮断されやすくなるとともに、ガスバリア膜が設けられていない基材表面と基板とが接着されることになるために接着性も良好となり、その結果、フレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造の有機ELディスプレイを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートによれば、フレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造のガスバリア性シートを提供することができる。
本発明の封止体によれば、フレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造の封止体を提供することができる。
本発明の有機ELディスプレイによれば、フレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造の有機ELディスプレイを提供することができる。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(ガスバリア性シートの第1の態様)
図1は本発明のガスバリア性シートの一例を示す模式的な断面図である。
ガスバリア性シート1Aは、基材2と、基材2上に設けられたガスバリア膜3Aと、を有し、ガスバリア膜3Aが被封止物の上面及び側面を被覆する大きさに形成されている。そして、ガスバリア性シート1Aは、図1には図示しない、基板上に配置された被封止物に対し、ガスバリア膜3Aを被封止物にかぶせるようにして封止を行う。これにより、ガスバリア性シート1Aと基板との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜3Aの端部で遮断されやすくなるとともに、ガスバリア膜3Aが設けられていない基材2表面と基板とが接着されることになるために接着性も良好となり、フレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造のガスバリア性シート1Aを提供することができる。なお、ガスバリア膜3Aの端部での水蒸気や酸素が遮断されるメカニズムの詳細は後述する。また、被封止体の詳細も後述するが、好ましくは有機ELディスプレイ素子又は液晶ディスプレイ素子を用いる。これにより、高いガスバリア性を必要とする被封止物を採用することになり、本発明を適用する意義が大きくなる。
ガスバリア性シート1Aは、より具体的には、図1に示すように、基材2上の一部にガスバリア膜3Aが設けられ、ガスバリア膜3Aは、図1には図示しない被封止物の上面と側面とを被覆できる程度の大きさとされている。
基材2としては、各種の基材を用いることができ、主にはシート状やフィルム状、巻き取りロール状のものが用いられるが、具体的な用途や目的等に応じて、非フレキシブル基板やフレキシブル基板を用いることができる。例えば、ガラス基板、硬質樹脂基板、ウエハ、プリント基板、様々なカード、樹脂シート等の非フレキシブル基板を用いてもよいし、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリシルセスキオキサン、ポリノルボルネン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、非晶質シクロポリオレフィン、セルローストリアセテート等のフレキシブル基板を用いてもよい。基材2が樹脂製である場合、用いる樹脂としては上記例示した樹脂を適宜混合して用いてもよい。また、基材2が樹脂製である場合、好ましくは100℃以上、特に好ましくは150℃以上の耐熱性を有するものが適当である。
こうした樹脂製の基材2としては、具体的には、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルム(例えば、日本ゼオン株式会社のゼオネックス(登録商標)やゼオノア(登録商標)、JSR株式会社のARTON等)、ポリカーボネートフィルム(例えば、帝人化成株式会社のピュアエース等)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、帝人化成株式会社製のもの等)、セルローストリアセテートフィルム(例えば、コニカミノルタオプト株式会社のコニカタックKC4UX、KC8UX等)、ポリエチレンナフタレートフィルム(例えば、帝人デュポンフィルム株式会社のテオネックス(登録商標)等)の市販品を挙げることができる。
基材2の厚さは、可撓性及び形態保持性の観点から、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下とする。
基材2を含むガスバリア性シート1Aを、有機ELディスプレイ素子等のディスプレイ装置の発光面や映像面側に設ける場合には、基材2は透明であることが好ましい。基材2とともにガスバリア膜3A等の他の膜を透明とすることにより、ガスバリア性シート1Aを透明とすることが可能となる。より具体的には、例えば400nm〜700nmの範囲内での基材2の平均光透過度が80%以上の透明性を有するように構成することが好ましい。こうした光透過度は基材2の材質と厚さに影響されるので両者を考慮して構成される。
基材2の表面は、所定の平滑性を有することが好ましい。具体的には、基材2の表面の算術平均粗さ(Ra)は、通常0.3nm以上とする。この範囲とすれば、基材2に適度な表面粗さを付与することができ、基材2を巻き取りロールとした際に互いに接触する基材2同士の接触面に滑りが生じにくくなる。また、基材2の表面の算術平均粗さ(Ra)は、通常100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下とする。この範囲とすれば、基材2の平滑性が向上し、有機ELディスプレイ等の表示素子を作製する際に発生することのある短絡を抑制できる利点が発揮されやすくなる。なお、算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601−2001(ISO4287−1997準拠)に従って測定すればよい。
基材2は、熱に対して変形しにくいことが好ましい。ガスバリア性シート1Aが有機ELディスプレイ素子に適用される場合には、ヒートサイクル試験のような加熱・冷却のストレスに対してもガスバリア性シート1Aが変形しないことが求められるからである。具体的には、基材2の線膨張係数は、通常5ppm/℃以上、また、通常80ppm/℃以下、好ましくは50ppm/℃以下とする。線膨張係数の測定は、従来公知の方法を用いて行えばよく、例えばTMA法(熱機械分析法)を挙げることができる。TMA法に用いる測定装置としては、例えば、示差膨張方式熱機械分析装置であるリガク 製 CN8098F1を用いることができる。
基材2として樹脂製のものを用いる場合には、その製造方法も従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。また、樹脂製の基材2を用いる場合には、延伸フィルムを用いてもよい。延伸の方法も従来公知の一般的な方法を用いればよい。延伸倍率は、基材2の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍とすることが好ましい。
基材2の表面は、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、加熱処理、薬品処理、易接着処理等の表面処理を行ってもよい。こうした表面処理の具体的な方法は従来公知のものを適宜用いることができる。また、基材2の表面には、ガスバリア膜3A等との密着性の向上を目的としてアンカーコート剤膜を形成してもよい。こうしたアンカーコート剤膜としては、従来公知のものを適宜用いればよい。
ガスバリア膜3Aは、所定のガスバリア性を発揮できる材料から構成されればよい。こうした材料としては特に制限はないが、ガスバリア膜3Aは、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有している。これにより、ガスバリア膜3Aのガスバリア性がより高くなって、ガスバリア性シート1Aと基板(図1には図示しない。)との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜3Aの端部でより遮断されやすくなり、フレキシブル性を損なうことなく、さらに高いガスバリア性及び接着性を有する構造のガスバリア性シート1Aを提供することができる。
例えば、有機ELディスプレイ素子においては、水蒸気透過率で10−6g/m/day程度のガスバリア性が求められる場合があるが、ガスバリア膜3Aの材料に、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素のいずれを用いることにより、上記高度なガスバリア性を得やすくなる。
ガスバリア膜3Aに用いる、窒化珪素はSiNで表される組成であり、aは通常0.7以上、1.4以下とする。また、酸化珪素はSiOで表される組成であり、bは通常1.5以上、1.8以下とする。さらに、酸窒化珪素はSiNで表される組成であり、cは通常0.7以上、1.2以下、dは通常0.1以上、0.5以下とする。
ガスバリア膜3A中の、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素の含有量は、通常95原子%以上、好ましくは99.9原子%以上とする。ガスバリア膜3Aには、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素の他、不純物や添加剤としてSi、N、O以外の元素や物質を含有してもよい。
ガスバリア膜3Aの組成は、通常、XPS(X線光電子分光法)により測定することができる。本発明においては、XPS(VG Scientific社製ESCA LAB220i−XL)により測定した。X線源としては、Ag−3d−5/2ピーク強度が300Kcps〜1McpsとなるX線源であるMgKα線を用い、直径約1mmのスリットを使用した。測定は、測定に供した試料面の法線上に検出器をセットした状態で行い、適正な帯電補正を行った。測定後の解析は、上述のXPS装置に付属されたソフトウエアEclipseバージョン2.1を使用し、Si:2p、N:1s、O:1s、C:1sのバインディングエネルギーに相当するピークを用いて行った。このとき、C:1sのピークのうち、炭化水素に該当するピークを基準として、各ピークシフトを修正し、ピークの結合状態を帰属させた。各ピークに対して、シャーリーのバックグラウンド除去を行い、ピーク面積に各元素の感度係数補正(C=1.0に対して、Si=0.87、N=1.77、O=2.85)を行い、原子数比を求めた。
ガスバリア膜3Aの厚さは、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは150nm以下とする。上記範囲とすれば、ガスバリア性を確保しつつ、透明性が高く、クラックが入りにくく生産性を高くしやすくなる。
ガスバリア膜3Aの製造方法は特に制限はないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、Cat−CVD法やプラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法等を用いればよい。こうした製造方法は、成膜材料の種類、成膜のしやすさ、工程効率等を考慮して選択すればよい。こうした製造方法のいくつかにつき以下説明する。
真空蒸着法とは、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子線やイオンビーム等のビーム加熱等により、るつぼに入った材料を加熱、蒸発させて基材2に付着させ、ガスバリア膜3Aを得る方法である。その際、ガスバリア膜3Aの組成等により加熱温度、加熱方法を変化させることができ、成膜時に酸化反応等を起こさせる反応性蒸着法も使用できる。
スパッタリング法とは、真空チャンバー内にターゲットを設置し、高電圧をかけてイオン化した希ガス元素(通常はアルゴン)をターゲットに衝突させて、ターゲット表面の原子をはじき出し、基材2に付着させ、ガスバリア膜3Aを得る方法である。このとき、チャンバー内に窒素ガスや酸素ガスを流すことにより、アルゴンガスによってターゲットからはじき出された元素と、窒素や酸素とを反応させてガスバリア膜3Aを形成する、反応性スパッタリング法を用いてもよい。スパッタリング法としては、例えば、DC2極スパッタリング、RF2極スパッタリング、3極・4極スパッタリング、ECRスパッタリング、イオンビームスパッタリング、及びマグネトロンスパッタリング等を挙げることができるが、工業的にはマグネトロンスパッタリングを用いることが好ましい。
イオンプレーティング法とは、真空蒸着とプラズマの複合技術であり、原則としてガスプラズマを利用して、蒸発粒子の一部をイオンもしくは励起粒子とし、活性化して薄膜を形成する方法である。イオンプレーティング法においては、反応ガスのプラズマを利用して蒸発粒子と結合させ、化合物膜を合成させる反応性イオンプレーティングが有効である。プラズマ中の操作であるため、安定なプラズマを得るのが第1条件であり、低ガス圧の領域での弱電離プラズマによる低温プラズマを用いる場合が多い。このため、混合物や複合酸化物を形成する場合に好ましく用いられる。放電を起こす手段から、直流励起型と高周波励起型に大別されるが、ほかに蒸発機構にホローカソード、イオンビームを用いる場合もある。
プラズマCVD法とは、化学気相成長法の一種である。プラズマCVD法においては、プラズマ放電中に原料を気化して供給し、系内のガスを衝突により相互に活性化してラジカル化するため、熱的励起のみによっては不可能な低温下での反応が可能となる。基材2は背後からヒータによって加熱され、電極間の放電中での反応により膜が形成される。プラズマの発生に用いる周波数により、HF(数十〜数百kHz)、RF(13.56MHz)、及びマイクロ波(2.45GHz)に分類される。マイクロ波を用いる場合は、反応ガスを励起し、アフターグロー中で成膜する方法と、ECR条件を満たす磁場(875Gauss)中にマイクロ波導入するECRプラズマCVDに大別される。また、プラズマ発生方法で分類すると、容量結合方式(平行平板型)と誘導結合方式(コイル方式)に分類される。
上記説明した各種の製造方法を用いることにより、基材2上にガスバリア膜3Aを形成することができるが、本発明においては、ガスバリア膜3Aの大きさを被封止物の上面及び側面を被覆する程度とする。このため、ガスバリア膜3Aの大きさの制御を行う。ガスバリア膜3Aの大きさを制御する方法は特に制限されない。こうした方法としては、例えば、金属マスクを用いる方法、エッチングを用いる方法、及びパターン蒸着する方法等を挙げることができる。金属マスクを用いる方法としては、より具体的には、ガスバリア膜3Aの成膜の際に、基材2上に金属マスクを設置することで、形成されるガスバリア膜3Aの大きさを制御することができる。また、エッチングを用いる方法としては、より具体的には、基材2の全面にガスバリア膜を成膜した後に、エッチング等により不要なガスバリア膜を除去することにより、所定の大きさのガスバリア膜3Aを形成することができる。さらに、パターン蒸着する方法としては、より具体的には、真空中で、パーフルオロポリエーテル等の高沸点のフッ素オイルを、グラビア印刷法、グラビアリバース法等の従来公知の技術で基材2上にパターン状に塗工する。次いで、基材2の全面にガスバリア膜を成膜すると、フッ素オイルがパターン状に形成された部分にはガスバリア膜が形成されないので、基材2上に所定の大きさのガスバリア膜3Aを形成することができる。
(ガスバリア性シートの第2の態様)
図2は、本発明のガスバリア性シートの他の一例を示す模式的な断面図である。
ガスバリア性シート1Bは、少なくとも基材2上におけるガスバリア膜3Aが形成されていない領域に、接着剤用アンカー膜4が設けられている。より具体的には、図2からわかるように、ガスバリア性シート1Bにおいては、基材2の表面全体に接着剤用アンカー膜4が設けられており、接着剤用アンカー膜4の表面の一部に所定の大きさのガスバリア膜3Aが設けられている。これにより、少なくとも基材2上におけるガスバリア膜3Aが形成されていない領域に、接着剤用アンカー膜4が設けられることになる。
接着剤用アンカー膜4が設けることにより、ガスバリア膜3Aが設けられていない基材2表面と図2には図示しない基板との接着力がより高くなり、その結果、フレキシブル性や高いガスバリア性を維持しつつ、より接着力に優れる構造のガスバリア性シート1Bを提供することができる。
ガスバリア性シート1Bは、接着剤用アンカー膜4を用いること以外は、前述のガスバリア性シート1Aと同様の構成を採用している。このため、基材2やガスバリア膜3Aについては、説明の重複を避けるため、ここでは省略する。以下では、接着剤用アンカー膜4について説明する。
接着剤用アンカー膜4に用いる材料としては、基材2と基板との接着性を確保できるものであれば特に制限はない。こうした材料としては、例えば、アクリル酸系アミド誘導体、ポリα−オレフイン系重合体、ランダムコポリエステル、及びポリマーブレンド体を挙げることができる。
ポリα−オレフイン系重合体としては、例えば、アルキレンイミン類、ビニルラクタム類、N−ビニルカルバゾール類、ビニルピリジン類、ビニルアミン類及びポリブタジエン等を挙げることができる。
ランダムコポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレ−トと、ジカルボン酸、ジオール、及びポリアルキレングリコールからなるポリエステルエーテルと、ポリブチレンテレフタレート、1−4−ブタンジオール、テレフタル酸、及びエチレングリコール等の脂肪族ジカルボン酸と、からなるものを挙げることができる。
ランダムコポリエステルに用いるポリエステルエーテルとしては、例えば、ジカルボン酸ジオールと、ポリアルキレングリコールと、から構成されたものを挙げることができる。そして、ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及び2−6ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、及びシクロヘキサンジメタツール等を挙げることができる。さらに、ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレンオキサイドグリコール、ポリプロピレンオキサイドグリコール、ポリブチレンオキサイドグリコール、及びエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合グリコール等を挙げることができる。こうした共重合グリコールの分子量は、通常、400〜8000とする。
ポリマーブレンド体においては、通常、分子内に極性の高いグループと、疎水性のグループとが組み合わされた樹脂が用いられる。極性の高いグループとしては、例えば、水酸基、酸基、エーテル、エステル基、エポキシ、スルホン酸基、及びウレタン結合等を挙げることができ、疎水性のグループとしては、例えば、脂肪族鎖、芳香族鎖等を含むものを挙げることができる。こうした樹脂としては、ポリエステルエーテル共重合体、水溶性ポリエステル共重合体、ポリエチレングリコール・スルホン酸アルカリ金属塩を含むポリエステル共重合体等を挙げることができる。ここで、ジカルボン酸及びグリコールからなるポリエステル共重合体において、5−ナトリウムスルホイソフタル酸塩及びジエチレングリコールを成分にもつものが好ましい。また、酸成分のうち、5−ナトリウムスルホイソフタル酸塩が2〜50モル%含まれ、他の成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸またはこれらの混合物が用いられることが好ましい。さらに、グリコール成分のうちジエチレングリコールは30〜100モル%を占めるものが最も好ましく、他のグリコール成分としては、炭素数が2〜8のアルキレングリコールが好ましい。
ポリマーブレンド体に用いられるその他の樹脂としては、接着剤用アンカー膜4を構成する樹脂と相分離を起こさす、均一にブレンドされ、不連続皮膜形成能のある樹脂を用いることが好ましい。これは、接着剤用アンカー膜4が、いわゆる粘着型の樹脂ではなく、乾燥状態において、基材2に対して接着性が高く、またガスバリア膜3Aを保持する能力の高いものを用いることが好ましいからである。こうした樹脂としては、例えば、分子量が1万〜200万、好ましくは10万〜100万の水溶性高分子を挙げることができる。上記範囲の分子量とすれば、構造保持と柔軟性とのバランスが取りやすく、耐久性も確保しやすい。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール等が適用できる。ポリマーブレンド体から形成される接着剤用アンカー膜4と、基材2と、の接着性をさらに増すために、シランカップリング剤を加えることも好ましい。
これら材料のうち、生産性と機能性の観点から、ポリマーブレンド体を用いることが好ましい。
接着剤用アンカー膜4の厚さは、通常1nm以上、好ましくは3nm以上、また、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下とする。上記範囲とすれば、基材2と基板との間からの水蒸気の侵入自体を少なくすることができ、密着性も良好にしやすくなる。
接着剤用アンカー膜4は、通常、グラビア印刷法、ダイコート法、及び溶融押し出し法を用いて基材2上に形成することができる。また、これら製造方法のうち、好ましくは、溶融押し出し法を用いる。溶融押し出し法を用いる場合、共押し出し法により、基材2と接着剤用アンカー膜4とを一度に形成し、二軸延伸等の工程を経て、基材2及び接着剤用アンカー膜4を同時に作製することが好ましい。
なお、ガスバリア性シート1Bにおいては、基材2の全面に接着剤用アンカー膜4を設けたが、本発明はこうした態様に限られるものではない。例えば、ガスバリア膜の周囲の基材表面にのみ接着剤用アンカー膜を設けてもよい。
(ガスバリア性シートの第3の態様)
図3は、本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
ガスバリア性シート1Cは、ガスバリア膜3Bが、第1のガスバリア膜15と第2のガスバリア膜16とを有する。そして、第1のガスバリア膜15は、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、このシランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有する。また、第2のガスバリア膜16は、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有する。
第1のガスバリア膜15と第2のガスバリア膜16とを有するガスバリア膜3Bの採用により、ガスバリア膜3Bのガスバリア性がより高くなって、ガスバリア性シート1Cと、図3には図示しない基板との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜3Bの端部でより遮断されやすくなり、フレキシブル性を損なうことなく、さらに高いガスバリア性及び接着性を有する構造のガスバリア性シート1Cを提供することができる。
ガスバリア性シート1Cは、第1のガスバリア膜15と第2のガスバリア膜16とを有するガスバリア膜3Bを用いること以外は、前述のガスバリア性シート1Aと同様の構成を採用している。このため、基材2については、説明の重複を避けるため、ここでは省略する。以下では、ガスバリア膜3Bについて説明する。
ガスバリア膜3Bは、基材2上に、第1のガスバリア膜15と、第2のガスバリア膜16とをこの順で設けることにより形成される。
第1のガスバリア膜15は、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、この有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有する。第1のガスバリア膜15を用いることにより、ガスバリア性だけでなく、第2のガスバリア膜16と基材2との接着性が向上する利点も発揮されやすくなる。
第1のガスバリア膜15に用いるカルドポリマーとしては、例えば、側鎖が、エポキシ基を有するもの、アクリル基を有するもの等を挙げることができる。これらカルドポリマーのうち、高温時に発生する黄色の着色を抑制する観点から、エポキシ基を有するものを用いることが好ましい。
第1のガスバリア膜15に用いる多官能アクリル樹脂としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これら多官能アクリル樹脂のうち、膜応力が小さく、表面平坦性の観点から、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
第1のガスバリア膜15に用いる層状化合物としては、例えば、モンモリロナイト、層状ケイ酸塩等を挙げることができる。これら層状化合物のうち、生産性の観点から、モンモリロナイトを用いることが好ましい。
次に、第1のガスバリア膜15に用いる有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、このシランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物について説明する。
シランカップリング剤が有する有機官能基としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシ基、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリイソプロポキシ基、及びγ−アミノプロピルトリエトキシ基等を挙げることができ、反応性を制御する観点から、γ−アミノプロピルトリメトキシ基を用いることが好ましい。また、シランカップリング剤が有する加水分解基としては、例えば、γ−グリシドキシプロピル基、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びオキサゾリン含有重合体等を挙げることができ、密着性と柔軟性とを確保する観点から、γ−グリシドキシプロピル基、オキサゾリン含有重合体を用いることが好ましい。こうしたシランカップリング剤としては、好ましくは、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
架橋性化合物における、シランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、及びイソプロポキシ基等を挙げることができ、反応性を制御する観点から、メトキシ基やイソプロポキシ基を用いることが好ましい。こうした第2の有機官能基を有する架橋性化合物としては、ポリシロキサン化合物、例えば、テトラメトキシシラン加水分解物、テトラエトキシシラン加水分解物、ヘキサメチレンジシラザン加水分解物、及びヘキサメチレンジシロキサン加水分解物等を挙げることができ、反応性制御の観点から、テトラエトキシシラン加水分解物を用いることが好ましい。
組成物中における、シランカップリング剤に対する架橋性化合物の含有量は、通常90重量%以上、99.99重量%以下とする。また、組成物中には、シランカップリング剤及び架橋性化合物以外の材料(原料)を所定量含有させてもよい。
第1のガスバリア膜15の厚さは、通常50nm以上、好ましくは100nm以上、また、5μm以下、好ましくは1μm以下とする。こうした第1のガスバリア膜15の成膜は、用いる材料に応じて適宜選択すればよく、例えば、グラビア印刷法、グラビアリバース法、ダイコート法、3本ロール法、コンマコート法、及びスライドコート法等を適宜用いればよい。
第2のガスバリア膜16は、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有する。第2のガスバリア膜16は、前述したガスバリア性シート1Aにおけるガスバリア膜3Aと同様の構成とすればよいので、説明の重複を避けるため、ここでの説明は省略する。
(ガスバリア性シートの第4の態様)
図7は、本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
ガスバリア性シート1Dは、基材2の上に第1のガスバリア膜3Cが設けられ、ガスバリア膜3C上に透明導電膜8を有する。図7(a)においては、透明導電膜8は、ガスバリア膜3C上のみに設けられているが、図7(b)においては、透明導電膜8がガスバリア膜3Cを覆い、さらには基材2全体を覆うように形成されている。ガスバリア膜3C上に透明導電膜8を設けることにより、透明導電膜8を有機ELディスプレイの陽極として利用する、又は放熱機能及び帯電防止機能をガスバリア性シート1Dに付与することができるようになり、その結果、被封止物が有機ELディスプレイである場合に、その生産性や寿命を向上させることができる。
ガスバリア性シート1Dは、透明導電膜8を用いること、ガスバリア膜3Cを用いること、以外は、前述のガスバリア性シート1Aと同様の構成を採用している。そこで、説明の重複を避けるため、以下では、ガスバリア膜3C及び透明導電膜8について説明する。
ガスバリア膜3Cは、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、この有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有している。ガスバリア膜3Cの採用により、基材2との密着性が良好となり、その結果、ガスバリア性だけでなく、基材2との接着性が向上する利点も発揮されやすくなる。上記記載からわかるように、ガスバリア膜3Cは、図3のガスバリア性シート1Cにおける第1のガスバリア膜15と同様のものを用いることができる。したがって、ガスバリア膜3Cは、第1のガスバリア膜15と同様の構成とすればよく、材料や製法等については説明の重複を避けるため、ここでの説明は省略する。
透明導電膜8は、ガスバリア膜3C上に設けられる。透明導電膜8は、有機ELディスプレイの陽極として利用することができるので、透明導電膜4を設けることにより、有機ELディスプレイの生産性を向上させることができる。
透明導電膜8は、有機ELディスプレイに陽極がすでに設けられている場合には、帯電防止性能と放熱機能をガスバリア性シート1Dに付与する目的で設けられることもある。具体的には、ガスバリア性シート1Dが有機ELディスプレイを内包する場合には、透明導電膜8により有機ELディスプレイで発生するジュール熱を放熱させる、フィルム上で帯電する外部電荷を逃がすというような機能を付与することができる。例えば、有機ELディスプレイの課題である発熱による素子劣化を抑制するために透明導電膜8を設けることができるのである。但し、透明導電膜8を用いて帯電防止機能や放熱機能を付与する場合、透明導電膜8は、通常有機ELディスプレイの電極に接することになる。そのため、電極から電流がリークしないように、導電率を適切に制御することが好ましい。この場合、透明導電膜8の表面抵抗値を10Ω/□以上、10Ω/□以下に制御することが好ましく、より好ましくは10Ω/□以下に制御する。また、透明導電膜8の熱伝導率は、熱伝導率確保の観点から、通常0.5W/mK以上、好ましくは1W/mK以上、また、通常15W/mK以下、好ましくは12W/mK以下に制御される。
透明導電膜8の表面抵抗値は、従来公知の方法で測定することができ、本発明においては、表面抵抗値を、株式会社ダイアインスツルメンツ製の高抵抗率計であるハイレスタUP(MCP−HT450)を用いて測定している。また、透明導電膜8の熱伝導率も、従来公知の方法で測定することができ、本発明においては、アルバック理工社製の定常法熱伝導率測定装置GHシリーズを用いて測定を行っている。
透明導電膜8は、導電性を付与される。こうした観点から、透明導電膜8は、金属アルコキシド等の加水分解物、透明導電粒子と金属アルコキシド等の加水分解物を塗布して形成される無機酸化物を主成分とするコーティング膜としてもよい。
透明導電膜8は、導電性を付与する観点から、抵抗加熱蒸着法、誘導加熱蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、及びプラズマCVD法等の真空成膜法によって形成される膜であってもよい。透明導電膜8は、抵抗値が低くでき、表面処理が可能な装置構成が可能となることから、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法を用いて形成することが好ましい。こうした形成方法を用いる場合の透明導電膜8の材料は、例えば、インジウム−錫系酸化物(ITO)、インジウム−錫−亜鉛系酸化物(ITZO)、ZnO等の酸化亜鉛系、CdO系、及びSnO(酸化錫)系、酸化インジウム、インジウム−亜鉛系酸化物(IZO)、アルミ添加酸化亜鉛、ガリウム添加酸化亜鉛、アンチモン添加酸化錫等の酸化物;金、銀、銅、アルミニウム、パラジウム等の金属;酸化物と金属の積層体を挙げることができる。こうした材料を適宜選択して使用すればよいが、上記材料のうち、透明性及び導電性が優れている点でインジウム−錫系酸化物(ITO)が好ましい。また、透明導電膜8に放熱機能を付与する場合には、放熱効果を高める観点から透明導電膜8として赤外光を吸収する材料を用いることが好ましいが、こうした観点からもインジウム−錫系酸化物(ITO)を用いることが好ましい。インジウム−錫系酸化物(ITO)を用いる場合には、錫の含有量が5〜15モル%であるものを用いることが特に好ましい。
透明導電膜8の厚さは、通常10nm以上、好ましくは60nm以上、より好ましくは100nm以上とする。上記範囲とすれば、透明導電膜8の導電性・放熱性を確保しやすくなる。また、透明導電膜8の厚さは、通常1000nm以下、好ましくは450nm以下、より好ましくは200nm以下とする。上記範囲とすれば、透明導電膜8の透明性を確保しやすく、耐屈曲性も良好となりやすい。
透明導電膜8の大きさは、ガスバリア性シート1Dにおける透明導電膜8の機能によって変えることができる。例えば、透明導電膜8により高性能な帯電防止機能を付与するような場合には透明導電膜8をアースすることが好ましく、こうした場合には、図7(b)に示すように、透明導電膜8を、ガスバリア膜3C上だけでなくその周囲の基材2の表面を覆うように形成することが好ましい。また、例えば、透明導電膜8を有機ELディスプレイの陽極として利用する場合、又は、透明導電膜8により一定の帯電防止機能や放熱機能を備えるようにする場合には、図7(a)に示すように、透明導電膜8をガスバリア膜3Cとほぼ同じ大きさに形成すればよい。
(ガスバリア性シートの第5の態様)
図8は、本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
ガスバリア性シート1Eは、基材2の一方の面に第3のガスバリア膜17が設けられ、基材2の他方の面にガスバリア膜3A及び透明導電膜8がこの順に設けられている。すなわち、まず、ガスバリア性シート1Eは、ガスバリア膜3A上に透明導電膜8を有する。これにより、透明導電膜8を有機ELディスプレイの陽極として利用する、又は放熱機能及び帯電防止機能をガスバリア性シート1Eに付与することができるようになり、その結果、被封止物が有機ELディスプレイである場合に、その生産性や寿命を向上させることができる。次いで、ガスバリア性シート1Eでは、基材2の両面のうち、ガスバリア膜3Aが設けられていない方の面側に第3のガスバリア膜17が設けられている。これにより、基材2の一方の側にはガスバリア膜3Aが設けられ、他方の側には第3のガスバリア膜17が設けられることになり、その結果、ガスバリア性をより向上させやすくなる。
ガスバリア性シート1Eにおいては、第3のガスバリア膜17は、第1のガスバリア膜15及び第2のガスバリア膜16から形成されている。そして、第1のガスバリア膜15、第2のガスバリア膜16については、図3に示すガスバリア性シート1Cにおいて用いたものと同様の構成を用いればよい。ただし、ガスバリア性シート1Eにおいては、第1のガスバリア膜15及び第2のガスバリア膜16は、基材2の全面に形成されている。また、基材2、ガスバリア膜3Aについては、図1に示すガスバリア性シート1Aと同様のものを用いればよい。さらに、透明導電膜8については、図7に示すガスバリア性シート1Dと同様のものを用いればよい。このように、ガスバリア性シート1Eを構成する各層の詳細についてはすでに説明したので、重複をさけるためにここでの説明は省略する。
(ガスバリア性シートの第6の態様)
図9は、本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。具体的には、ガスバリア性シート1Fは、図8に示すガスバリア性シート1Eのように、基材2の両面にガスバリア膜(ガスバリア膜3A及び第3のガスバリア膜17)が存在する態様の他の一例を示している。
ガスバリア性シート1Fは、基材2の一方の面に第3のガスバリア膜17が設けられ、基材2の他方の面にガスバリア膜3C及び透明導電膜8がこの順に設けられている。すなわち、まず、ガスバリア性シート1Fは、ガスバリア膜3C上に透明導電膜8を有する。これにより、透明導電膜8を有機ELディスプレイの陽極として利用する、又は放熱機能及び帯電防止機能をガスバリア性シート1Fに付与することができるようになり、その結果、被封止物が有機ELディスプレイである場合に、その生産性や寿命を向上させることができる。次いで、ガスバリア性シート1Fでは、基材2の両面のうち、ガスバリア膜3Cが設けられていない方の面側に第3のガスバリア膜17が設けられている。これにより、基材2の一方の側にはガスバリア膜3Cが設けられ、他方の側には第3のガスバリア膜17が設けられることになり、その結果、ガスバリア性をより向上させやすくなる。
ガスバリア性シート1Fにおいては、第3のガスバリア膜17は、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有する。すなわち、第3のガスバリア膜17は、図1に示すガスバリア性シート1Aにおけるガスバリア膜3Aと同様の構成を用いればよい。また、基材2、ガスバリア膜3C、及び透明導電膜8については、図7(a)に示すガスバリア性シート1Dと同様のものを用いればよい。このように、ガスバリア性シート1Fを構成する各層の詳細についてはすでに説明したので、重複をさけるためにここでの説明は省略する。
(層構成のバリエーション)
ガスバリア性シート1Aは、図1に示すとおり、基材2上にガスバリア膜3Aを所定の大きさに形成するものであり、ガスバリア性シート1Bは、図2に示すとおり、基材2上の全面に接着剤用アンカー膜4を形成し、接着剤用アンカー膜4上にガスバリア膜3Aを所定の大きさに形成したものであり、ガスバリア性シート1Cは、図3に示すとおり、基材2上に、第1のガスバリア膜15及び第2のガスバリア膜16を有するガスバリア膜3Bを所定の大きさに形成したものである。また、ガスバリア性シート1Dは、図7に示すとおり、基材2上にガスバリア膜3Cを設け、ガスバリア膜3Cとほぼ同一又は基材2の全面を覆うような透明導電膜8をさらに設けたものである。また、ガスバリア性シート1Eは、図8に示すとおり、基材2の一方の面に所定の大きさのガスバリア膜3A及び透明導電膜8をこの順に設け、基材2の他方の面の全面に第3のガスバリア膜17(第1のガスバリア膜15及び第2のガスバリア膜16から構成される)を設けている。さらに、ガスバリア性シート1Fは、図9に示すとおり、基材2の一方の面に所定の大きさのガスバリア膜3C及び透明導電膜8をこの順に設け、基材2の他方の面の全面に第3のガスバリア膜17(ガスバリア膜3Aと同様の構成)を設けている。
しかしながら、ガスバリア性シートの層構成は、図1,2,3,7,8,9に示すものに限られない。例えば、ガスバリア性シートの少なくとも片面にハードコート膜や平滑化膜を設けることもできる。ハードコート膜や平滑化膜は、通常、基材において、ガスバリア膜が設けられた面とは反対側の面に設けられる。また、基材とガスバリア膜との間にアンカーコート剤膜を設けてもよい。この他、必要に応じて、反射防止膜、帯電防止膜、防汚層、防眩層、及びカラーフィルタを適宜用いることもできる。こうした、ハードコート膜、平滑化膜、アンカーコート剤膜、反射防止膜、帯電防止膜、防汚層、防眩層、及びカラーフィルタ等の各層は、特に説明したもの以外は従来公知のものを適宜用いればよい。こうした層は、いずれもハードコート膜の表面に形成されることが多いが、反射防止機能や視野角制御機能をハードコート膜に付随することもできる。これらのうち、反射防止膜、帯電防止膜、防汚層、防眩層、カラーフィルタは、光学粘着剤を介して本発明のガスバリア性シートと貼り合わせることで、所望の機能を得てもよい。
(封止体の第1の態様)
図4は本発明の封止体の一例を示す模式的な断面図である。
封止体10Aは、基板7と、基板7上に設けられた被封止物5と、被封止物5を覆うように設けられたガスバリア性シート1Aと、を有する封止体10Aであって、ガスバリア性シート1Aが、被封止物5の上面及び側面を被覆するガスバリア膜3Aと、ガスバリア膜3Aを支持する基材2と、をこの順に有し、基材2におけるガスバリア膜3Aが形成されていない領域と、基板7と、が接着されている。これにより、ガスバリア性シート1Aと基板7との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜3Aの端部で遮断されやすくなるとともに、ガスバリア膜3Aが設けられていない基材2表面と基板7とが接着されることになるために接着性も良好となり、フレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造の封止体10Aを提供することができる。
封止体10Aにおける、ガスバリア膜3Aの端部での水蒸気や酸素の遮断のメカニズムについてより詳しく説明する。水蒸気や酸素は、基板7と基材2とが接触する界面に存在する接着剤膜6を通じ、図4の矢印に示すように、封止体10Aの内部へと侵入しようとする。しかしながら、ガスバリア膜3Aが被封止物5の上面と側面とを覆うように形成されているために、ガスバリア膜3Aの端部が基材7と接触するようになる。その結果、封止体10Aの内部へと侵入しようとする水蒸気や酸素が、ガスバリア膜3Aの端部でブロックされるようになり、高い封止性能が発揮されるようになる。加えて、基材2上のガスバリア膜3Aは、被封止物5の上面及び側面を被覆する大きさに形成されているために、被封止物5の周囲におけるガスバリア性シート1Aと基板7との接着は、基材2と基板7とが接着剤膜6を介して直接接着されることによって行われる。その結果、通常無機材料から形成されるガスバリア膜3Aを介して接着する必要がなくなり、より接着力を高くしやすくなる。
基板7は、被封止物5を支持しつつ、所定のガスバリア性を有すればよく、特に制限はない。こうした基板7としては、例えば、ガラス基板、ガスバリア性シート等を挙げることができる。ガスバリア性シートを用いる場合には、本発明において用いるような、ガスバリア膜が所定の大きさに形成されたガスバリア性シートを用いてもよいし、従来公知のガスバリア性シートを用いてもよい。なお、ガスバリア膜が所定の大きさに形成されたガスバリア性シートを用いる場合には、ガスバリア膜の大きさを被封止物5の下面の大きさと同程度とすればよい。こうすることで、ガスバリア性と接着性とをより確保しやすくなる。
基板7は、陽極11を透明電極としてその上に形成する場合には、透明であることが好ましい。具体的には、例えば400nm〜700nmの範囲内での基板7の平均光透過度が80%以上の透明性を有するように構成することが好ましい。
基板7の厚さは、通常25μm以上、好ましくは50μm以上、また、通常1mm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下とする。この範囲とすれば、被封止物5を支持できる程度の機械的強度を保持することができる。
被封止物5は、有機ELディスプレイ素子である。被封止物5を有機ELディスプレイ素子とすると、高いガスバリア性を必要とする被封止物5を採用することになり、その結果本発明を適用する意義が大きくなる。但し、被封止物5は、有機ELディスプレイ素子に限られない。すなわち、高いガスバリア性を必要とするものであれば特に制限はなく、被封止物として液晶ディスプレイ素子を用いることも好ましい。液晶ディスプレイ素子も高いガスバリア性を必要とする被封止物となるので、本発明のガスバリア性シートを適用する意義が大きくなる。
被封止物5は、有機ELディスプレイ素子の通常の構成を有し、陽極11、正孔輸送層12、発光層13、及び陰極14からなる。こうした各層の構成は従来公知のものを適宜用いればよい。
陽極11は、正孔輸送層12に正孔を供給する電極としての機能を有していればよい。このため、陽極11の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、有機ELディスプレイ素子の用途、目的に応じて、従来公知の材料を適宜用いればよい。ディスプレイの視認性のために、陽極11を透明電極とすることが多いので、陽極11の材料としては、通常ITO又はIZOが使用される。陽極11は、上記の材料を、スパッタリング法等により基板7上の所定位置に成膜することによって形成することができる。また、必要に応じて、エッチングによるパターニングを行ってもよい。陽極11の厚さは、透明性と導電性とを兼ね備えるために、薄膜の光学干渉を考慮して、通常140nm以上、160nm以下とする。
正孔輸送層12は、陽極11から正孔を受け取り発光層13へと輸送する機能を有する。こうした正孔輸送層12は、従来公知の正孔輸送機能を有する材料を含有させればよい。こうした材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェニレンジアミン誘導体等の各種の誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン等を挙げることができる。これら材料のうち、工業的な点から好ましいのは、フェニレンジアミン誘導体であり、より具体的には、α−ナフチルフェニルジアミン(α−NPD)である。こうした正孔輸送層12は、例えば、真空蒸着法等の従来公知の製法により陽極11上に成膜することによって形成することができる。正孔輸送層12の厚さは、通常1nm以上、100nm以下とする。
発光層13は、電界印加時に、陽極11及び正孔輸送層12から正孔を受け取り、陰極14から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する。発光層13は、従来公知の材料から構成することができる。例えば、発光層13は、発光材料のみで構成されていてもよく、発光材料とホスト材料との混合層とした構成でもよい。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料でもよいが、ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は1種であっても2種以上であってもよく、2種類以上用いる場合は、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げることができる。さらに、発光層13中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。また、発光層13は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
発光材料に用いる蛍光発光材料としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体等の各種の誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の金属錯体やピロメテン誘導体の金属錯体に代表される各種金属錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。これら材料のうち、工業的な点から好ましいのは、8−キノリノール誘導体の金属錯体であり、より具体的には、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)である。
発光材料に用いる燐光発光材料は、例えば、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体が挙げられる。また、ホスト材料としては、例えば、カルバゾール骨格を有するもの、ジアリールアミン骨格を有するもの、ピリジン骨格を有するもの、ピラジン骨格を有するもの、トリアジン骨格を有するもの及びアリールシラン骨格を有するもの等を挙げることができる。
発光層13は、例えば、真空蒸着法等により正孔輸送層12上に成膜することによって形成することができる。発光層13の厚さは、通常1nm以上、100nm以下とする。
陰極14は、発光層13に電子を注入する電極としての機能を有していればよい。このため、陰極14の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、有機ELディスプレイ素子の用途、目的に応じて、公知の材料を適宜用いればよい。
陰極14は、通常金属電極として用いられる。こうした陰極14を構成する材料としては、例えば、金属、合金等を挙げることができる。より具体的には、MgやCa等の第2族元素の金属、金、銀、鉛、アルミニウム、インジウム、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、イッテルビウム等の希土類金属等を挙げることができる。これら材料のうち、アルミニウムを用いることが好ましい。また、安定性や電子注入性を考慮して、上記の材料を2種類以上併用して用いてもよく、この場合、好ましくはカルシウム及び銀を用いる。
陰極14の厚さは、陰極14を構成する材料により適宜選択することができ、通常10nm以上、好ましくは50nm以上、また、通常5μm以下、好ましくは1μm以下とする。陰極14は、透明でも不透明であってもよいが、陰極14を透明とする場合、厚さを1nm以上10nm以下と薄くするか、ITOやIZO等の透明な導電性材料を用いればよい。陰極14は、真空蒸着法等を用いて発光層13上に成膜することによって形成することができる。
被封止物5の有機ELディスプレイ素子には、以上説明した各層の他、有機ELディスプレイ素子に求められる機能により、さらに他の層を付加することもできる。こうした層としては、例えば、電子輸送層、電荷ブロック層、及び電子注入層を挙げることができる。さらに、有機ELディスプレイ素子上に封止膜を設けてもよい。封止膜としては、酸化珪素、窒化珪素、及び酸窒化珪素等の無機薄膜を用いることが好ましく、窒化珪素又は酸窒化珪素の無機薄膜を用いることがより好ましい。これは、ガラスや金属を用いるよりも、軽量で安価に封止することが可能となるからである。
ガスバリア性シート1Aは、被封止物5の上面及び側面を被覆するガスバリア膜3Aと、ガスバリア膜3Aを支持する基材2と、がこの順となるように被封止物5上に被覆される。より具体的には、ガスバリア膜3Aが被封止物5の上面及び側面を覆うようにして、ガスバリア性シート1Aが被封止物5を封止している。このように、ガスバリア性シート1Aは、基材2と、基材2上に設けられたガスバリア膜3Aと、を有し、ガスバリア膜3Aが被封止物5の上面及び側面を被覆する大きさに形成されている。こうしたガスバリア性シート1Aについては既に説明したとおりであり、例えば、ガスバリア膜3Aは、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有している。そこで、ガスバリア性シート1Aについては、説明の重複を避けるためにここでの説明は省略する。
接着剤膜6は、ガスバリア性シート1Aと、被封止物5周辺の基板7表面とを接着するために用いられるものである。より詳しくは、接着剤膜6は、ガスバリア性シート1Aの基材2上でガスバリア膜3Aが形成されていない領域と、基材7とを接着するために用いられるものであり、特に制限はない。こうした接着剤膜6に用いる材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、瞬間接着剤等を挙げることができる。より具体的には、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、及びポリエステル樹脂等を挙げることができる。これら材料のうち、透湿度が低く、耐熱性が良好となる観点から、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、及びアクリロニトリル樹脂を用いることが好ましい。
接着剤膜6は、通常、所定の粘度を有する接着剤をスピンコート法、ダイコート法等で、基板7の表面のうち、被封止物5の周辺に塗布した後、ガスバリア性シート1Aを被覆して、硬化させることによって形成できる。接着剤膜6の厚さは、通常100nm以上、また、通常1μm以下、好ましくは500nm以下とする。
(封止体の第2の態様)
図5は本発明の封止体の他の一例を示す模式的な断面図である。
封止体10Bは、基材2におけるガスバリア膜3Aが形成されていない領域に、接着剤用アンカー膜4が設けられている。より具体的には、図5からわかるように、ガスバリア性シート1Bにおいては、基材2の表面全体に接着剤用アンカー膜4が設けられており、接着剤用アンカー膜4の表面の一部に所定の大きさのガスバリア膜3Aが設けられている。これにより、少なくとも基材2上におけるガスバリア膜3Aが形成されていない領域に、接着剤用アンカー膜4が設けられることになる。
接着剤用アンカー膜4が設けることにより、ガスバリア膜3Aが設けられていない基材2表面と基板7との接着力がより高くなり、その結果、フレキシブル性や高いガスバリア性を維持しつつ、より接着力に優れる構造の封止体10Bを提供することができる。より具体的には、接着剤用アンカー膜4により接着剤膜6と接着剤用アンカー膜4との接着力を高くすることができる結果、ガスバリア膜3Aが設けられていない基材2表面と基板7との接着力を上げることができる。
封止体10Bは、ガスバリア性シート1Aをガスバリア性シート1Bとしたこと以外は、前述の封止体10Aと同様の構成を採用している。そして、ガスバリア性シート1Bについてもすでに説明したとおりである。そこで、説明の重複を避けるため、ここでの説明は省略する。
(封止体の第3の態様)
図6は本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
封止体10Cは、ガスバリア膜3Bが、第1のガスバリア膜15と第2のガスバリア膜16とを有する。そして、第1のガスバリア膜15は、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、このシランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有する。また、第2のガスバリア膜16は、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有する。
第1のガスバリア膜15と第2のガスバリア膜16とを有するガスバリア膜3Bの採用により、ガスバリア膜3Bのガスバリア性がより高くなって、ガスバリア性シート1Cと、基板7との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜3Bの端部でより遮断されやすくなり、フレキシブル性を損なうことなく、さらに高いガスバリア性及び接着性を有する構造の封止体10Cを提供することができる。
封止体10Cは、ガスバリア性シート1Aをガスバリア性シート1Cとしたこと、ガスバリア膜3Bが2層構造となる分、接着剤膜6の厚さが厚くなること、以外は、前述の封止体10Aと同様の構成を採用している。そして、ガスバリア性シート1Cについてもすでに説明したとおりである。そこで、説明の重複を避けるため、ここでの説明は省略する。
(封止体の第4の態様)
図10は本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
封止体10Dは、基材2の上に第1のガスバリア膜3C及び透明導電膜8をこの順で有するガスバリア性シート1Dを用いている。図10(a)においては、透明導電膜8は、ガスバリア膜3C上のみに設けられているが、図10(b)においては、透明導電膜8がガスバリア膜3Cを覆い、さらには基材2全体を覆うように形成されている。ガスバリア膜3C上に透明導電膜8を設けることにより、放熱機能及び帯電防止機能をガスバリア性シート1Dに付与することができるようになり、被封止物5たる有機ELディスプレイ素子の寿命を向上させることができる。なお、封止体10Dにおいては採用されていないが、透明導電膜8を有機ELディスプレイの陽極として利用してもよい。透明導電膜8を有機ELディスプレイの陽極として利用することにより、有機ELディスプレイの生産性を向上させることができる。
封止体10Dは、ガスバリア膜3Cを用いる。ガスバリア膜3Cは、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、この有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有する。これにより、基材2との密着性が良好となり、その結果、ガスバリア性だけでなく、基材2との接着性が向上する利点も発揮されやすくなる。
封止体10Dでは、ガスバリア膜3Cの端部は、ガスバリア膜3Cと透明導電膜8との2層構造となるが、透明導電膜8に無機材料を用いることにより一定のガスバリア性を確保することができるので、ガスバリア膜3Cの端部で水蒸気や酸素を遮断することができるようになる。
封止体10Dは、ガスバリア性シート1Dを用いること以外は、前述の封止体10Aと同様の構成を採用している。そして、ガスバリア性シート1Dについてもすでに説明したとおりである。そこで、説明の重複を避けるため、ここでの説明は省略する。
(封止体の第5の態様)
図11は本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
封止体10Eは、基材2の一方の面に第3のガスバリア膜17が設けられ、基材2の他方の面にガスバリア膜3A及び透明導電膜8がこの順に設けられたガスバリア性シート1Eを用いている。ガスバリア性シート1Eは、ガスバリア膜3A上に透明導電膜8を有する。これにより、放熱機能及び帯電防止機能をガスバリア性シート1Eに付与することができるようになり、その結果、被封止物5たる有機ELディスプレイ素子の寿命を向上させることができる。なお、封止体10Eにおいては採用されていないが、透明導電膜8を有機ELディスプレイの陽極として利用してもよい。透明導電膜8を有機ELディスプレイの陽極として利用することにより、有機ELディスプレイの生産性を向上させることができる。また、ガスバリア性シート1Eは、基材2の両面のうち、ガスバリア膜3Aが設けられていない方の面側に第3のガスバリア膜17が設けられている。これにより、基材2の一方の側にはガスバリア膜3Aが設けられ、他方の側には第3のガスバリア膜17が設けられることになり、その結果、封止体10Eのガスバリア性をより向上させやすくなる。
封止体10Eは、ガスバリア性シート1Eを用いること以外は、前述の封止体10Aと同様の構成を採用している。そして、ガスバリア性シート1Eについてもすでに説明したとおりである。そこで、説明の重複を避けるため、ここでの説明は省略する。
(封止体の第6の態様)
図12は本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
封止体10Fは、基材2の一方の面に第3のガスバリア膜17が設けられ、基材2の他方の面にガスバリア膜3C及び透明導電膜8がこの順に設けられているガスバリア性シート1Fを用いている。ガスバリア性シート1Fは、ガスバリア膜3C上に透明導電膜8を有する。これにより、放熱機能及び帯電防止機能をガスバリア性シート1Fに付与することができるようになり、その結果、被封止物5たる有機ELディスプレイ素子の寿命を向上させることができる。なお、封止体10Fにおいては採用されていないが、透明導電膜8を有機ELディスプレイの陽極として利用してもよい。透明導電膜8を有機ELディスプレイの陽極として利用することにより、有機ELディスプレイの生産性を向上させることができる。また、ガスバリア性シート1Fは、基材2の両面のうち、ガスバリア膜3Cが設けられていない方の面に第3のガスバリア膜17が設けられている。これにより、基材2の一方の側にはガスバリア膜3Cが設けられ、他方の側には第3のガスバリア膜17が設けられることになり、その結果、封止体10Fのガスバリア性をより向上させやすくなる。
封止体10Fは、ガスバリア性シート1Fを用いること以外は、前述の封止体10Aと同様の構成を採用している。そして、ガスバリア性シート1Fについてもすでに説明したとおりである。そこで、説明の重複を避けるため、ここでの説明は省略する。
(有機ELディスプレイ)
本発明の有機ELディスプレイは、本発明の封止体を有する。これにより、ガスバリア性シートと基板との界面から侵入する水蒸気や酸素がガスバリア膜の端部で遮断されやすくなるとともに、ガスバリア膜が設けられていない基材表面と基板とが接着されることになるために接着性も良好となり、フレキシブル性を損なうことなく、より高いガスバリア性及び接着性を有する構造の有機ELディスプレイを提供することができる。
有機ELディスプレイは、上記説明した本発明の封止体を用いる以外は、従来公知の部材、部品、及び装置等を用いればよい。また製造方法についても従来公知の方法を適宜用いることができる。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
基板として厚さ0.7mmのガラス基板を用い、被封止物として有機ELディスプレイ素子を用いた。具体的には、上記のガラス基板上に、ITOをスパッタリング法で成膜した後、エッチングによりパターンニングして透明電極(陽極)を形成した。そして、陽極上に蒸着法により正孔輸送層、発光層、及び金属電極(陰極)を順次形成した。ここで、正孔輸送層の材料としてはα−ナフチルフェニルジアミン(α−NPD)を、発光層の材料としてはトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)を、金属電極(陰極)の材料としてカルシウム及び銀を用いた。
ガスバリア性シートは、基材、ガスバリア膜の2層構造のものを用いた。基材としては、厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(テオネックス(登録商標)Q65F、帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた。そして、この基材上に、金属マスクを用いて、酸窒化珪素をイオンプレーティング法により成膜して、厚さ100nmのガスバリア膜(SiNの組成でc=1.1、d=0.35)を形成した。金属マスクを用いることにより、被封止物として用いる有機ELディスプレイ素子の上面と側面とを被覆する大きさ(5cm×5cm)に、ガスバリア膜(酸窒化珪素膜)を形成した。
なお、ガスバリア膜の組成は、XPS(VG Scientific社製ESCA LAB220i−XL)により測定した。X線源としては、Ag−3d−5/2ピーク強度が300Kcps〜1McpsとなるX線源であるMgKα線を用い、直径約1mmのスリットを使用した。測定は、測定に供した試料面の法線上に検出器をセットした状態で行い、適正な帯電補正を行った。測定後の解析は、上述のXPS装置に付属されたソフトウエアEclipseバージョン2.1を使用し、Si:2p、N:1s、O:1s、C:1sのバインディングエネルギーに相当するピークを用いて行った。このとき、C:1sのピークのうち、炭化水素に該当するピークを基準として、各ピークシフトを修正し、ピークの結合状態を帰属させた。各ピークに対して、シャーリーのバックグラウンド除去を行い、ピーク面積に各元素の感度係数補正(C=1.0に対して、Si=0.87、N=1.77、O=2.85)を行い、原子数比を求めた。
次いで、基板上に形成された有機ELディスプレイ素子の周辺の基板表面に、接着剤をスピンコート法で塗布した。そして、有機ELディスプレイ素子の上面、すなわち金属電極(陰極)の表面と、側面とがガスバリア膜で覆われるようにして、有機ELディスプレイ素子全体にガスバリア性シートをかぶせた。そして、接着剤を硬化させることにより、ガスバリア性シートの基材上でガスバリア膜が形成されていない領域と、有機ELディスプレイ素子の周辺の基板表面と、を接着した。ここで、接着剤としては、UV硬化型エポキシ樹脂を用いた。以上を経て封止体を製造した。
(発光特性の評価)
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後においても、水蒸気の侵入によるダークスポットは発生せず、良好な発光特性を得た。
また、ガスバリア性シート単独の水蒸気透過率及び酸素透過率を測定し、ガスバリア性を評価した。
(水蒸気透過率の測定)
水蒸気透過率は、測定温度37.8℃、湿度100%Rhの条件下で、水蒸気透過率測定装置(米国MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31:商品名)を用いて測定した。測定に用いた水蒸気透過率測定装置の検出限界は、0.05g/m・dayである。測定の結果、水蒸気透過率は、0.03g/m・dayであり、測定限界値以下であった。
(酸素透過率の測定)
酸素透過率は、測定温度23℃、湿度90%Rhの条件下で、酸素ガス透過率測定装置(米国MOCON社製、OX−TRAN 2/20:商品名)を用いて測定した。測定に用いた酸素ガス透過率測定装置の検出限界は、0.05cc/m・day・atmである。測定の結果、酸素透過率は、0.05cc/m・day・atmであり、測定限界値以下であった。
(実施例2)
ガスバリア性シートの製造において、金属マスクは用いず、真空中で、グラビア印刷法を用いて、高沸点のフッ素オイルであるパーフルオロポリエーテルを基材上にパターン印刷した後に、基材全面にガスバリア膜を成膜し、パーフルオロポリエーテルがパターン印刷されていない部分にガスバリア膜を形成することにより所定の大きさのガスバリア膜(酸窒化珪素膜)を得たこと以外は、実施例1と同様にして封止体を製造した。
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後においても、水蒸気の侵入によるダークスポットは発生せず、良好な発光特性を得た。
また、ガスバリア性シート単独の水蒸気透過率、酸素透過率を実施例1と同様にして測定した。その結果、水蒸気透過率は0.05g/m・dayであり、酸素透過率は、0.05cc/m・day・atmであり、いずれも測定限界値以下であった。
(実施例3)
ガスバリア性シートの製造において、金属マスクは用いず、基材全面にガスバリア膜(酸窒化珪素膜)を形成した後、有機ELディスプレイの上面と側面とを覆う部分以外を弱アルカリエッチングで除去して、所定の大きさのガスバリア膜を得たこと以外は、実施例1と同様にして封止体を製造した。
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後においても、水蒸気の侵入によるダークスポットは発生せず、良好な発光特性を得た。
また、ガスバリア性シート単独の水蒸気透過率、酸素透過率を実施例1と同様にして測定した。その結果、水蒸気透過率は0.04g/m・dayであり、酸素透過率は、0.05cc/m・day・atmであり、いずれも測定限界値以下であった。
(実施例4)
ガスバリア性シートの製造において、基材とガスバリア膜との間に接着剤用アンカー膜を設け、図2に示すガスバリア性シート1Bを得たこと、以外は実施例2と同様にして封止体を製造した。
なお、接着剤用アンカー膜の材料としては、ポリエステル共重合体とポリビニルアルコールとのポリマーブレンド体を用い、溶融押し出し法を用いて接着剤用アンカー膜を基材の全面に形成した。具体的には、共押し出し法により、基材と接着剤用アンカー膜とを一度に形成し、二軸延伸を経て、基材及び接着剤用アンカー膜を同時に製造した。接着剤用アンカー膜の厚さは10nm程度であった。
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後においても、水蒸気の侵入によるダークスポットは発生せず、良好な発光特性を得た。
また、ガスバリア性シート単独の水蒸気透過率、酸素透過率を実施例2と同様にして測定した。その結果、水蒸気透過率は、0.04g/m・day、酸素透過率は、0.05cc/m・day・atmであり、いずれも測定限界値以下であった。
(実施例5)
ガスバリア性シートの製造において、第1のガスバリア膜を設ける工程をさらに行って図3に示すガスバリア性シート1Cを得たこと、以外は実施例2と同様にして封止体を製造した。
第1のガスバリア膜は以下のようにして形成した。まず、第1のガスバリア膜の材料としては、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、このシランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物を用いた。具体的には、シランカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用い、架橋性化合物としてはテトラエトキシシラン加水分解物を用いた。そしてこの組成物を、グラビア印刷で基材上に所定の大きさとなるように形成して、厚さ1μmの第1のガスバリア膜を得た。その他の工程は実施例2と同様に行って封止体を製造した。
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後においても、水蒸気の侵入によるダークスポットは発生せず、良好な発光特性を得た。
また、ガスバリア性シート単独の水蒸気透過率、酸素透過率を実施例2と同様にして測定した。その結果、水蒸気透過率は、0.04g/m・day、酸素透過率は、0.05cc/m・day・atmであり、いずれも測定限界値以下であった。
(比較例1)
ガスバリア性シートの製造において、ガスバリア膜を基材の全面に設けたこと、以外は、実施例1と同様にして封止体を製造した。
こうして得た封止体に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後において、封止体側面からの水蒸気の侵入によるダークスポットが発生し、発光特性は不良であった。
なお、ガスバリア性シート単独の水蒸気透過率、酸素透過率を実施例1と同様にして測定したところ、水蒸気透過率は、0.04g/m・day、酸素透過率は、0.05cc/m・day・atmであり、いずれも測定限界値以下であった。
(実施例6)
ガスバリア性シートの製造において、基材2上にガスバリア膜3C及び透明導電膜8をこの順に設け、図7(a)に示すガスバリア性シート1Dを用いたこと、レジストを用いてエッチングでパターン層を形成したこと、以外は実施例1と同様にして、図10(a)に示す封止体10Dを製造した。
ガスバリア性シート1Dの製造は以下のようにして行った。
まず、ガスバリア膜3Cの材料としては、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、このシランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物を用いた。具体的には、シランカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用い、架橋性化合物としてはテトラエトキシシラン加水分解物を用いた。そしてこの組成物を、グラビア印刷で基材2上に所定の大きさとなるように形成して、厚さ1μmのガスバリア膜3Cを得た。
次いで、ガスバリア膜3C上に、厚さ50nmの透明導電膜8を設けた。透明導電膜8の成膜条件は以下のとおりとした。
透明導電膜の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:ITO粒(20%Sn)
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:20sccm、酸素流量:10sccm、水素流量:5sccm
印加電力:3.5kW
得られた透明導電膜8の表面抵抗値と熱伝導率を測定したところ、それぞれ5.8×10Ω/□、7W/mKであった。なお、表面抵抗値は、株式会社ダイアインスツルメンツ製の高抵抗率計であるハイレスタUP(MCP−HT450)を用いて測定した。また、透明導電膜の熱伝導率は、アルバック理工社製の定常法熱伝導率測定装置GHシリーズを用いて測定を行った。
ガスバリア性シート1Dを用いて得た封止体10D(図10(a)参照)に対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後においても、水蒸気の侵入によるダークスポットは発生せず、良好な発光特性を得た。
また、ガスバリア性シート1D単独の水蒸気透過率、酸素透過率を実施例1と同様にして測定した。その結果、水蒸気透過率は、0.18g/m・day、酸素透過率は、0.12cc/m・day・atmであった。
(実施例7)
ガスバリア性シートの製造において、基材2の一方の面に第3のガスバリア膜17が設けられ、基材2の他方の面にガスバリア膜3A及び透明導電膜8がこの順に設けられていたガスバリア性シート1E(図8参照)を得たこと、を用いたこと、以外は実施例1と同様にして、図11に示す封止体10Eを製造した。
ガスバリア性シート1Eの製造は以下のようにして行った。
まず、基材2の一方の面に第3のガスバリア膜17を設けた。第3のガスバリア膜17は、第1のガスバリア膜15及び第2のガスバリア膜16から構成されている。第1のガスバリア膜15の材料としては、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、このシランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物を用いた。具体的には、シランカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用い、架橋性化合物としてはテトラエトキシシラン加水分解物を用いた。そしてこの組成物を、グラビア印刷で基材2上の全面に形成して、厚さ1μmの第1のガスバリア膜15を得た。
次いで、第1のガスバリア膜15上に第2のガスバリア膜16を形成した。具体的には、酸窒化珪素を、以下に示す条件を用いてイオンプレーティング法により成膜して、厚さ60nmの第2のガスバリア膜16(SiNの組成でc=1.0、d=0.31)を形成した。なお、第2のガスバリア膜16の組成は、実施例1で説明したXPSにより測定した。
第2のガスバリア膜16の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:SiO
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:10sccm、窒素流量:5sccm、アンモニア流量:15sccm
印加電力:5.6kW
また、基材2の他方の面上に、ガスバリア膜3Aを形成した。ガスバリア膜3Aは、基材2上に、金属マスクを用いて、酸窒化珪素を、以下に示す条件を用いてイオンプレーティング法により成膜して、厚さ60nmのガスバリア膜(SiNの組成でc=1.0、d=0.31)を形成した。金属マスクを用いることにより、被封止物5として用いる有機ELディスプレイ素子の上面と側面とを被覆する大きさ(5cm×5cm)に、ガスバリア膜3A(酸窒化珪素膜)を形成した。なお、ガスバリア膜3Aの組成分析は、第2のガスバリア膜16と同様にXPSにより行った。
ガスバリア膜3Aの製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:SiO
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:10sccm、窒素流量:5sccm、アンモニア流量:15sccm
印加電力:5.6kW
次いで、ガスバリア膜3Aの形成に用いたものと同様の金属マスクを用い、ガスバリア膜3A上に、厚さ100nmの透明導電膜8を設けた。透明導電膜8の成膜条件は以下のとおりとした。
透明導電膜の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:ITO粒(15%Sn)
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:20sccm、酸素流量:10sccm
印加電力:3.5kW
得られた透明導電膜8につき、実施例6と同様にして表面抵抗値と熱伝導率を測定したところ、それぞれ3.2×10Ω/□、12W/mKであった。
ガスバリア性シート1Eを用いて得た封止体10Eに対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後においても、水蒸気の侵入によるダークスポットは発生せず、良好な発光特性を得た。
また、ガスバリア性シート1E単独の水蒸気透過率、酸素透過率を実施例1と同様にして測定した。その結果、水蒸気透過率は、0.01g/m・day、酸素透過率は、0.03cc/m・day・atmであり、いずれも測定限界値以下であった。
(実施例8)
ガスバリア性シートの製造において、基材2の一方の面に第3のガスバリア膜17が設けられ、基材2の他方の面にガスバリア膜3C及び透明導電膜8がこの順に設けられたガスバリア性シート1F(図9参照)を用いたこと、以外は実施例1と同様にして、図12に示す封止体10Fを製造した。
ガスバリア性シート1Fの製造は以下のようにして行った。
まず、基材2の一方の面に第3のガスバリア膜17を設けた。第3のガスバリア膜17は、基材2の全面に、酸窒化珪素を、以下に示す条件を用いてイオンプレーティング法により成膜して、厚さ100nmのガスバリア膜(SiNの組成でc=1.0、d=0.25)を形成した。なお、第3のガスバリア膜17の組成は、実施例1で説明したXPSにより測定した。
第3のガスバリア膜17の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:SiO(x=0.2、y=1.0)
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:10sccm、窒素流量:10sccm、酸素流量:5sccm
印加電力:6.8kW
また、基材2の他方の面上に、ガスバリア膜3Cを形成した。ガスバリア膜3Cの材料としては、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、このシランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物を用いた。具体的には、シランカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用い、架橋性化合物としてはテトラエトキシシラン加水分解物を用いた。そしてこの組成物を、グラビア印刷で基材2上に所定の大きさとなるように形成して、厚さ1μmのガスバリア膜3Cを得た。
次いで、金属マスクを用いて、ガスバリア膜3C上に、厚さ30nmの透明導電膜8を設けた。透明導電膜8の成膜条件は以下のとおりとした。
透明導電膜8の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:ITO粒(20%Sn)
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:10sccm、酸素流量:30sccm
印加電力:4.0kW
得られた透明導電膜8につき、実施例6と同様にして表面抵抗値と熱伝導率を測定したところ、それぞれ4.1×10Ω/□、3W/mKであった。
ガスバリア性シート1Fを用いて得た封止体10Fに対し、20℃/30%RHの環境下で、有機ELディスプレイ素子の発光特性を確認したところ、24時間連続発光後においても、水蒸気の侵入によるダークスポットは発生せず、良好な発光特性を得た。
また、ガスバリア性シート1F単独の水蒸気透過率、酸素透過率を実施例1と同様にして測定した。その結果、水蒸気透過率は、0.01g/m・day、酸素透過率は、0.01cc/m・day・atmであり、いずれも測定限界値以下であった。
本発明のガスバリア性シートの一例を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートの他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の封止体の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の封止体の他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の封止体のさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 従来の封止体を示す模式的断面図である。
符号の説明
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F ガスバリア性シート
2 基材
3,3A,3B,3C ガスバリア膜
4 接着剤用アンカー膜
5 被封止物(有機ELディスプレイ素子)
6 接着剤膜
7 基板
8 透明導電膜
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F 封止体
11 陽極
12 正孔輸送層
13 発光層
14 陰極
15 第1のガスバリア膜
16 第2のガスバリア膜
17 第3のガスバリア膜
30 従来の封止体
31 フィルム基板
32 発光機能層
33 封止フィルム
34 接着剤

Claims (9)

  1. 基板と、該基板上に設けられた被封止物と、該被封止物を覆うように設けられたガスバリア性シートと、を有する封止体であって、
    前記ガスバリア性シートが、前記被封止物の上面及び側面だけを被覆するガスバリア膜と、該ガスバリア膜を支持する基材と、をこの順に有し、
    前記ガスバリア膜の端部が前記基板と接触し、
    前記基材における前記ガスバリア膜が形成されていない領域と、前記基板とが接着剤膜により接着されていることを特徴とする封止体。
  2. 少なくとも前記基材における前記ガスバリア膜が形成されていない領域に、接着剤用アンカー膜が設けられており、
    前記アンカー膜と前記基板とが、前記接着剤膜により接着されている、請求項に記載の封止体。
  3. 前記ガスバリア膜が、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有する、請求項又はに記載の封止体。
  4. 前記ガスバリア膜が、第1のガスバリア膜と第2のガスバリア膜とを有し、
    前記第1のガスバリア膜が、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、前記有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有し、
    前記第2のガスバリア膜が、窒化珪素、酸化珪素、及び酸窒化珪素から選ばれる少なくとも1つを含有する、請求項又はに記載の封止体。
  5. 前記ガスバリア膜が、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、前記有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有する、請求項又はに記載の封止体。
  6. 前記基材の両面のうち、前記ガスバリア膜が設けられていない方の面側に第3のガスバリア膜が設けられている、請求項のいずれか1項に記載の封止体。
  7. 前記ガスバリア膜上に透明導電膜を有する、請求項のいずれか1項に記載の封止体。
  8. 前記被封止物が、有機ELディスプレイ素子又は液晶ディスプレイ素子である、請求項のいずれか1項に記載の封止体。
  9. 請求項のいずれか1項に記載の封止体を有することを特徴とする有機ELディスプレイ。
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