JPWO2008032526A1 - 可撓性封止フィルムの製造方法及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

可撓性封止フィルムの製造方法及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

本発明は、密着性及び高温高湿環境下での長期保存性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子とそれに用いる基材との密着性に優れたガスバリア層を有する可撓性封止フィルムの製造方法を提供する。この有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板上に有機EL素子部材を有し、該有機EL素子部材の上に、可撓性フィルム上にガスバリア層を有する可撓性封止フィルムが設けられており、該基板はガラス基板であり、該可撓性封止フィルムは、有機エレクトロルミネッセンス側にガスバリア層を有し、有機EL素子部材の周囲を囲むように前記基板と接着されており、基板との密着部領域の内周領域の可撓性封止フィルムはガスバリア層が設けられており、該可撓性封止フィルムのガスバリア層と基板が接着されており、基板との密着部領域の外周領域の可撓性封止フィルムはガスバリア層が設けられておらず、可撓性フィルムと基板が接着されていることを特徴とする

Description

本発明は、新たな貼合方式を提供するガスバリア層を有する可撓性封止フィルムの製造方法及びそれを用いた密着性及び高温高湿環境下での長期保存性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子(無機EL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する有機発光材料を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
ところで、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いられる有機発光材料等の有機物は水分や酸素等に弱く、高温あるいは高湿環境下で長期間にわたり保存した際に性能が劣化し、又電極も、酸化により大気中では特性が急激に劣化すため、これらの劣化を防止ため、一般的には金属缶や掘りガラス等で形成された封止キャップ缶を素子基板に接着剤にて貼り合せ封止することで、上記の様な環境下での有機エレクトロルミネッセンス素子の劣化を防止する方法が提案されている。これは、密閉封止空間を有し、封止空間内に不活性ガスを充填し、更に吸湿材を配置したものである。この為、素子表面の陰極上は空間を有するために素子への外部応力による劣化はない構成となっている。しかしながら、有機エレクトロルミネッセンス素子自体は極めて薄い設計がなされているにもかかわらず、封止部材の厚みと吸湿材を配置するための空間の厚みを持つこととなり全体として厚みのある有機エレクトロルミネッセンス素子となっている。
一方、薄型の有機エレクトロルミネッセンス素子を形成させることが可能な方法の1つとして、素子面上に空間を設けず封止材を貼り合せる密着タイプの封止形態が提案されている。
密着タイプの封止方法としては、例えば、フィルム基板上に金属酸化物薄膜を形成して、ガスバリア性を付与したフィルム封止基材とする方法が知られている。
従来より、液晶表示素子に使用されるガスバリア性フィルムとして、例えば、特公昭53−12953号公報では、プラスチックフィルム上に酸化珪素を蒸着したものや、特開昭58−217344号公報では酸化アルミニウムを蒸着したものが開示されており、いずれも水蒸気透過率で1g/m2/day程度の水蒸気バリア性を備えている。
近年では、更なるガスバリア性が要求される有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの大型化、高精細ディスプレイ等の開発により、フィルム基板へのガスバリア性能についての要求は、水蒸気バリアで10-2g/m2/day程度まで上がってきている。これら高い水蒸気遮断性の要望に応える方法の1つとして、緻密なセラミック層と、柔軟性を有し、外部からの衝撃を緩和するポリマー層とを交互に繰り返し積層した構成のガスバリア性フィルムが、米国特許第6,268,695号明細書にて提案されている。また、ガスバリア性の金属膜を樹脂膜で挟み込む積層構造であるガスバリア性封止フィルムを用いた有機エレクトロルミネッセンスディスプレイが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、これらのガスバリア層を有する封止フィルムをフラットパネルディスプレイである有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの封止部材として適用し、基板と封止部材とを接着剤を用いて接着させた場合、基材と封止部材間の接着が充分ではない。本発明者が検討を進めた結果、高温高湿環境下で、長期間にわたり保存した際、基材とガスバリア層を有する封止フィルムとの熱膨張による膨張、収縮を繰り返すことで、各材料の熱膨張率の違いにより、基材と封止部材間の密着性が劣化し、特に、基材と封止フィルム基材間にガスバリア層が存在すると、特に、セラミックで構成されているガスバリア層では、熱膨張率差により生じた残留応力の影響を受けやすくなり、その結果、ガスバリア層で亀裂等を起こしやすくなり、基材とガスバリア層、あるいは封止フィルム基材とガスバリア層間で剥離を生じることが判明した。その結果、ガスバリア層が剥離した箇所より、酸素や水分を含んだ外気が有機エレクトロルミネッセンス素子内部に侵入し、有機発光材料等から構成されている有機層へ重大なダメージを与える結果となっている。
この様な上記課題を改良する方法の1つとして、封止フィルムの外周部に、更に剥離防止膜を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法では、ある程度の剥離防止効果は得られるものの、封止プロセスがより複雑による作製工程数の増加と、経済面での負荷を招くと共に、基材側にもガスバリア膜を有する場合、極めて適用しにくいという課題を抱えているのが、現状である。
特開2003−45652号公報 特開2004−95503号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、密着性及び高温高湿環境下での長期保存性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子とそれに用いる基材との密着性に優れたガスバリア層を有する可撓性封止フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.基板上に有機エレクトロルミネッセンス素子部材を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機エレクトロルミネッセンス素子部材の上に、可撓性フィルム上にガスバリア層を有する可撓性封止フィルムが設けられており、該基板はガラス基板であり、該可撓性封止フィルムは、少なくとも有機エレクトロルミネッセンス側にガスバリア層を有し、有機エレクトロルミネッセンス素子部材の周囲を囲むように前記基板と接着されており、基板との密着部領域の内周領域の可撓性封止フィルムはガスバリア層が設けられており、該可撓性封止フィルムのガスバリア層と基板が接着されており、基板との密着部領域の外周領域の可撓性封止フィルムはガスバリア層が設けられておらず、可撓性フィルムと基板が接着されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
2.基板上に有機エレクトロルミネッセンス素子部材を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機エレクトロルミネッセンス素子部材の上に、可撓性フィルム上にガスバリア層を有する可撓性封止フィルムが設けられており、該基板はガスバリア層を有する可撓性フィルム基板であり、該可撓性封止フィルムと該基板は少なくとも有機エレクトロルミネッセンス側にガスバリア層を有し、有機エレクトロルミネッセンス素子部材の周囲を囲むように接着されており、基板との密着部領域の内周領域の可撓性封止フィルムはガスバリア層が設けられており、可撓性封止フィルムのガスバリア層と基板が接着されており、可撓性封止フィルムと基板との密着部領域の外周領域は可撓性封止フィルムと基板は共にガスバリア層が設けられておらず可撓性フィルムと可撓性フィルム基板とが接着されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記ガスバリア層が、無機化合物から構成されるセラミック層であることを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記1乃至3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子で用いる可撓性封止フィルムの製造方法であって、可撓性フィルム上に、所定の開口部を複数個有するマスク部材を配置し、ガスバリア膜形成材料を付与して、複数個のガスバリア性を備えたガスバリア層を形成することを特徴とする可撓性封止フィルムの製造方法。
5.前記ガスバリア層を形成する方法が、大気圧もしくはその近傍の圧力下で、対向電極の間で形成する放電空間に放電ガス及びガスバリア膜形成ガスを含有するガスを供給し、少なくとも一方の電極から該放電空間に高周波電圧を印加して該ガスを励起し、前記可撓性フィルム及び開口部を複数個有するマスク部材を該励起したガスに晒すことにより処理を行う大気圧プラズマ処理であることを特徴とする前記4に記載の可撓性封止フィルムの製造方法。
本発明により、基材との密着性に優れたガスバリア層を有する可撓性封止フィルムの製造方法及びそれを用いた密着性及び高温高湿環境下での長期保存性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができた。
従来の封止方法により構成されている有機エレクトロルミネッセンパネルの構成の一例を示す概略断面図である。 従来の封止方法により構成されている密着型の有機エレクトロルミネッセンパネル構成の、他の一例を示す概略断面図である。 図2に示される有機エレクトロルミネッセンス素子の上に、全面にガスバリア層が設けられている可撓性封止フィルムを重ね合わせた状態の有機エレクトロルミネッセンス素子の概略図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子、基材、及びガスバリア層を有する可撓性封止フィルムとから構成される比較の一例を示す概略図である。 本発明に適用される可撓性封止フィルムの構成の一例を示す概略断面図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子、基材、及び本発明に係るガスバリア層を有する可撓性封止フィルムとから構成される本発明の一例を示す概略図である。 大気圧プラズマ放電処理装置とマスク部材とを用いて、連続して可撓性フィルム上にガスバリア層を形成する一例を示す概略断面図である。 所定の開口部を複数個有するマスク部材の一例を示す模式図である。 可撓性フィルム上に、複数のガスバリア層が形成された可撓性封止フィルムシートの一例を示す模式図である。 大気圧プラズマ放電処理装置とマスク部材とを用いて、連続して可撓性フィルム上にガスバリア層を形成する他の一例を示す概略断面図である。 本発明の可撓性封止フィルムと有機エレクトロルミネッセンス素子との貼合工程の一例を示す模式図である。
符号の説明
2 可撓性封止フィルムシート
10 プラズマ放電処理装置
11、33 第1電極
12、34 第2電極
21 第1電源
22 第2電源
31 元巻部
37 高周波電源
38 マスク部材
39 ガスバリア層
40 巻き取りロール
41 遮蔽部
42 開口部
100 有機エレクトロルミネッセンス素子部材
101 フィルム基板
101′ ガラス基板
102 第1電極
103 正孔輸送層(正孔注入層)
104 有機化合物層(発光層)
105 電子注入層
106 第2電極
107、107a 接着剤
108 封止部材、可撓性封止フィルム
108a、108b ガスバリア層
110 有機エレクトロルミネッセン層群
500 可撓性封止フィルムの貼合工程
E 密着部領域
F 可撓性フィルム
G 薄膜形成ガス
G° プラズマ状態のガス
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、ガラスの基板上に有機エレクトロルミネッセンス素子部材を有する有機エレクトロルミネッセンス素子においては、有機エレクトロルミネッセンス素子部材の上に、可撓性フィルム上にガスバリア層を有する可撓性封止フィルムが設けられており、可撓性封止フィルムは、少なくとも有機エレクトロルミネッセンス側にガスバリア層を有し、有機エレクトロルミネッセンス素子部材の周囲を囲むように基板と接着することで、有機エレクトロルミネッセンス素子部材への水分や酸素の浸入を防ぎ、さらに、可撓性封止フィルムと基板とが接着した領域である密着部領域の内周領域については、可撓性封止フィルムはガスバリア層が設けられており可撓性封止フィルムのガスバリア層と基板が接着されており、密着部領域の外周領域については、可撓性封止フィルムにはガスバリア層が設けられておらず、可撓性フィルムと基板とを直接接着させることにより可撓性封止フィルムと基板との接着性を一段と向上させることで、密着性及び高温高湿環境下での長期保存性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
また、ガスバリア層を有する可撓性フィルム基板の基板上に有機エレクトロルミネッセンス素子部材を有する有機エレクトロルミネッセンス素子においては、有機エレクトロルミネッセンス素子部材の上に、可撓性フィルム上にガスバリア層を有する可撓性封止フィルムが設けられており、可撓性封止フィルムと基板は少なくとも有機エレクトロルミネッセンス側にガスバリア層を有し、有機エレクトロルミネッセンス素子部材の周囲を囲むように接着することで、有機エレクトロルミネッセンス素子部材への水分や酸素の浸入を防ぎ、さらに、可撓性封止フィルムと基板とが接着した領域である密着部領域の内周領域については、可撓性封止フィルムはガスバリア層が設けられており、可撓性封止フィルムのガスバリア層と基板が接着されており、密着部領域の外周領域については、可撓性封止フィルムと基板は共にガスバリア層が設けられておらず可撓性フィルムと可撓性フィルム基板とを直接接着させることにより可撓性封止フィルムと基板との接着性を一段と向上させることで、密着性及び高温高湿環境下での長期保存性に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
《可撓性封止フィルム》
はじめに、本発明に係る可撓性封止フィルムを適用する有機エレクトロルミネッセンス素子の基本構成について説明する。
図1は、従来の封止方法により構成されている有機エレクトロルミネッセンスパネル(以下、有機ELパネルともいう)の構成の一例を示す概略断面図である。
図1において、100は有機エレクトロルミネッセンス素子部材(以下、有機EL素子部材ともいう)を示す。有機EL素子部材100は、ガラス基板101′上に、第1電極102と、正孔輸送層(正孔注入層)103と、有機化合物層(発光層)104と、電子注入層105と、第2電極106と、接着剤107と、接着剤107との対向面にガスバリア層を有する封止部材108とをこの順番に有している。102aは第1電極102の外部取り出し電極を示し、106aは第2電極106の外部取り出し電極を示す。本図に示される有機エレクトロルミネッセンス素子1は、第1電極102の外部取り出し電極102aと、第2電極106の外部取り出し電極106aの先端部分を除いて接着剤層107を介して封止部材108で密着封止した構造となっている。この様な構成の場合、基板としては、ガラス基板が主に用いられる。
図1に示される有機エレクトロルミネッセンス素子において、第1電極102と正孔輸送層103の間に正孔注入層(不図示)を設けてもよい。又、第2電極106と有機化合物層(発光層)104と電子注入層105との間に電子輸送層(不図示)を設けてもよい。
本図に示す有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成は一例を示したものであるが、他の代表的な有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成としては次の構成が挙げられる。
(1)基板/第1電極(陽極)/発光層/電子輸送層/第2電極(陰極)/封止部材
(2)基板/第1電極(陽極)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/第2電極(陰極)/封止部材
(3)基板/第1電極(陽極)/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/第2電極(陰極)/封止部材
(4)基板/第1電極(陽極)/陽極バッファー層(正孔注入層)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/第2電極(陰極)/封止部材
有機EL素子部材の場合、第1電極(陽極)もしくは第2電極(陰極)のいずれか、あるいは、双方を、透明もしくは半透明にして観察側とする。透明電極材料としては、ITO(酸化スズと酸化インジウム混合物)、IZO(酸化亜鉛と酸化インジウム混合物)、ZnO、SnO2、In23等が知られている。中でも、ITO電極は、90%以上の高い光透過率と、10Ω/□以下の低いシート抵抗値が可能で、液晶ディスプレイや太陽電池などの透明電極としても用いられている。又、IZO電極は、形成時に基板を加熱せずに所定の低い抵抗値が得られ、ITO電極よりも膜表面が平滑であるという利点がある。陽極に用いる場合は、そのまま。陰極に用いる場合には、有機層上に、数〜数十nmのアルミ、銀などの電極を設け、さらに、前述の透明電極を設ける。
しかしながら、図1に記載の方法で封止を行った場合、この有機エレクトロルミネッセンス素子を高温高湿下で長期間にわたり保存した際、有機エレクトロルミネッセンス素子上面部のみで防湿を行っているため、防湿効果が十分でなく、また、接着剤107と封止部材108間、あるいは第1電極102、第2電極106とガラス基板101′間で亀裂の発生や剥離を起こし、その結果、ダークスポットと呼ばれる非発光点が発生し、このダークスポットの成長が有機ELパネルの寿命を短くしている原因の1つとなっている。ダークスポットは一般的に駆動直後は肉眼では見えない程度の大きさで発生し、これを核として、長期保存や連続駆動により成長していくことが知られている。
図2は、従来の封止方法により構成されている密着型有機ELパネル構成の他の一例を示す概略断面図である。
図2において、109は第1電極102と第2電極106とが重なっている部分の発光部を示し、110は外部取り出し電極102aと外部取り出し電極106aの先端部が露出する状態の外部取り出し電極102aと外部取り出し電極106aの一部を含めた発光部の外周面(図中、斜線で示す部分)を示す。他の符号は図1と同義である。
図3は、図2に示される有機EL素子部材の上に、全面にガスバリア層が設けられている可撓性封止フィルムを重ね合わせた状態の有機エレクトロルミネッセンス素子の概略図である。図3の(a)は図2に示される有機EL素子部材の上に全面にガスバリア層を有する可撓性封止フィルムを重ね合わせた状態の有機エレクトロルミネッセンス素子の概略平面図である。図3の(b)は図3の(a)のA−A′に沿った概略断面図である。
図3では、接着剤107が配置された全面にガスバリア層108aを有する可撓性封止フィルム108を用いて、有機EL素子部材の上に重ね合わせた状態を示している。可撓性封止フィルム108に配置された接着剤107は、有機EL素子部材の外部取り出し電極102a及び外部取り出し電極106aの先端部が露出する状態で発光部109と外周面110とを含めガスバリア層108aを有する可撓性封止フィルム108が貼合される様に配置されている。107aは発光部109の外周面110に対応する位置にあたる可撓性封止フィルムに配置された接着剤を示す。外周面110上の接着剤107aが可撓性封止フィルム108を介し圧着される。
しかしながら、図3に記載の様に、可撓性封止フィルムの端部まで、ガスバリア層108aが形成されている場合、上述の様に、この有機エレクトロルミネッセンス素子を高温高湿下で長期間にわたり保存した際、接着剤107とガスバリア層108a、あるいは接着剤層が極めて薄い場合には、フィルム基板101とガスバリア層108a間で亀裂の発生や剥離を生じ、その結果、ダークスポットと呼ばれる非発光点が発生する。
図4は、有機EL素子部材、基材、及びガスバリア層を有する可撓性封止フィルムとから構成される比較の一例を示す概略図である。
図4の(a)は、前記図1で示したように、ガラス基板101′上に、第1電極、正孔輸送層(正孔注入層)、有機化合物層(発光層)、電子注入層、第2電極等から構成される有機EL層群110を設け、その上面部のみに、ガスバリア層108aを有する可撓性封止フィルム108で封止した形態を示している。
また、図4の(b)は、前記図3に示すように、逆に全面にガスバリア層108aを有する可撓性封止フィルム108で有機EL層群110を封止した形態を示している。
また、図4の(c)、(d)は、全面にガスバリア層108bを有する可撓性のフィルム基板101上に有機EL層群110を設け、その上に可撓性フィルムの一部あるいは全面にガスバリア層108aを有する可撓性封止フィルム108で封止した形態を示している。
これら図4に示した封止方法においては、図4の(a)では有機EL層群110の上部のみにしかガスバリア層が設けられていないため、ガス防止効果が十分ではない。
また、図4の(b)〜(d)では、有機EL層群110を被覆するのに十分なガスバリア層は設けられているが、いずれも密着部領域Eにおいては、全てでガスバリア層が存在し、基材端部では、ガスバリア層が外部と接しているため、この様な構成により高温高湿下で長期間保存された際、ガスバリア層の劣化が進行し、クラックの発生や基材、可撓性フィルムからの剥離等を生じ、その結果、所望のガスバリア性を得ることができなくなる。
上記課題に対して、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、可撓性フィルム上にガスバリア性を備えたガスバリア層を有する領域Aと、該ガスバリア層の周辺にガスバリア層が存在しない領域Bとを有する可撓性封止フィルムを用いて、該基板とで封止する。この際、基板と該可撓性封止フィルムとが接している密着部領域Eは、ガスバリア層を有する領域(内周領域)と、該領域の外周部にガスバリア層が存在しない領域(外周領域)とを同時に有することを特徴とする。この密着部領域Eの外周領域の接着性を向上させることで、有機EL素子部材に酸素や水分が浸入するのを防いでいる。
本発明に係る可撓性封止フィルムは、可撓性フィルム上にガスバリア性を備えたガスバリア層を有する領域Aと、該ガスバリア層の周辺にガスバリア層が存在しない領域B(具体的には、可撓性フィルムのみで構成)とを有する。
図5は、本発明に適用される可撓性封止フィルムの構成の一例を示す概略断面図である。
図5において、本発明に係る可撓性封止フィルム108は、可撓性フィルムの内部にガスバリア層108aを設けた領域Aを有し、ガスバリア層108aの周辺部である領域Bにはガスバリア層を設けない構成である。領域Aに形成するガスバリア層の詳細については、後述するが、本発明に係るガスバリア層は、無機化合物から構成されるセラミック層であることが好ましく、また、ガスバリア層は単一そうで構成されていても、あるいは特性(例えば、炭素含有率、密度、弾性率等)が異なる複数の層を重ねた積層体であってもよい。
図6は、有機EL素子部材、基材、及び本発明に係るガスバリア層を有する可撓性封止フィルムとから構成される本発明の一例を示す概略図である。
図6の(a)は、ガラス基板101′上に、第1電極、正孔輸送層(正孔注入層)、有機化合物層(発光層)、電子注入層、第2電極等から構成される有機EL層群110を設け、その上面部に、図5に記載のようなガスバリア層108aを有する領域Aと領域Bとから構成される可撓性封止フィルム108で封止した形態を示している。
この時、有機EL層群110の上面部及び両側面部には、少なくともガスバリア層が存在し、かつ、密着部領域Eにおいては、全ての領域にガスバリア層が存在することはなく、密着部領域Eの内周領域は、基板とガスバリア層とが直接あるいは接着剤(不図示)を介して接触し、基材端部を含めた密着部領域Eの外周領域は、基材と可撓性フィルムとが直接あるいは接着剤(不図示)を介して接触している状態となる。
この様に、ガスバリア層存在領域の周辺部に、ガスバリア層を有しない領域を設けることで基板との接着性を向上させることにより、高温高湿環境下で長期間にわたり保存した際でも、ガスバリア層の劣化に伴うガスバリア性の劣化を引き起こすことが無く、優れた密着性と高温高湿環境下での長期保存性を実現することができた。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子においては、フィルム基板101が、ガスバリア層108bを有する可撓性フィルム基板であることが好ましく、また可撓性フィルム基板が有するガスバリア層が、無機化合物から構成されるセラミック層であることが好ましい。
図6の(b)、(c)は、ガスバリア層を有する可撓性フィルム基板101上に有機EL層群110を設け、その上面部に、図5に記載のようなガスバリア層108aを有する領域Aと領域Bとから構成される可撓性封止フィルム108で封止した形態を示している。
この時、有機EL層群110の上面部及び両側面部には、少なくともガスバリア層が存在し、かつ、密着部領域Eにおいては、全ての領域にガスバリア層が存在することはなく、基材端部を含めた少なくとも一部は、フィルム基材と可撓性フィルムとが直接あるいは接着剤(不図示)を介して接触している状態となる。
次いで、本発明に係る可撓性封止フィルムの構成要素の詳細について説明する。
本発明に係る可撓性封止フィルムを構成している樹脂フィルムとしては、特に制限はなく、例えば、エチレン、ポリプロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系(PA)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリビニルブチラート(PVB)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル−共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂等を用いることができる。
また、上記に挙げた樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物によりなる樹脂組成物や、上記アクリルレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解せしめた樹脂組成物等の光硬化性樹脂およびこれらの混合物等を用いることも可能である。さらに、これらの樹脂の1または2種以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層させたものを樹脂フィルムとして用いることも可能である。
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でもゼオネックスやゼオノア(日本ゼオン(株)製)、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルムのARTON(ジェイエスアール(株)製)、ポリカーボネートフィルムのピュアエース(帝人(株)製)、セルローストリアセテートフィルムのコニカミノルタタックKC4UX、KC8UX(コニカミノルタオプト(株)製)などの市販品を好ましく使用することができる。
また、樹脂フィルムは透明であることが好ましい。樹脂フィルムが透明であり、樹脂フィルム上に形成するガスバリア層も透明であることにより、透明なガスバリア性フィルムとすることが可能となるため、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機エレクトロルミネッセンス素子と略記する)の基板としても適用が可能となる。
本発明に係る樹脂フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、本発明に係る樹脂フィルムにおいては、前記ガスバリア膜、またポリマー膜等を形成する前にコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理などの表面処理を行ってもよい。
樹脂フィルムは、ロール状に巻き上げられた長尺品が便利である。樹脂フィルムの厚さは、得られるガスバリア性フィルムの用途によって異なるので一概には規定できないが、ガスバリア性フィルムを包装用途とする場合には、特に制限を受けるものではなく、包装材料としての適性から、3〜400μm、中でも6〜30μmの範囲内とすることが好ましい。
また、本発明に用いられる樹脂フィルムは、フィルム形状のものの膜厚としては10〜200μmが好ましく、より好ましくは50〜100μmである。
本発明に係る可撓性封止フィルムに形成するガスバリア層とは、酸素及び水蒸気の透過を阻止する層であれば、その組成等は特に限定されるものではない。本発明に係るガスバリア層を構成する材料として、具体的には無機酸化物が好ましく、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化窒化珪素、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等を挙げることができる。
また、本発明におけるガスバリア層の厚さは用いられる材料の種類、構成により最適条件が異なり、適宜選択されるが、5〜2000nmの範囲内であることが好ましい。ガスバリア層の厚さが上記の範囲より薄い場合には、均一な膜が得られず、ガスに対するバリア性を得ることが困難であるからである。またガスバリア層の厚さが上記の範囲より厚い場合には、ガスバリア性フィルムにフレキシビリティを保持させることが困難であり、成膜後に折り曲げ、引っ張り等の外的要因により、ガスバリア性フィルムに亀裂が生じる等のおそれがあるからである。
本発明に係るガスバリア層は後述する原材料をスプレー法、スピンコート法、スパッタリング法、イオンアシスト法、後述するプラズマCVD法、後述する大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法等を適用して形成することができる。
しかしながら、スプレー法やスピンコート法等の湿式法では、分子レベル(nmレベル)の平滑性を得ることが難しく、また溶剤を使用するため、後述する基材が有機材料であることから、使用可能な基材または溶剤が限定されるという欠点がある。そこで、本発明においては、プラズマCVD法等で形成されたものであることが好ましく、特に大気圧プラズマCVD法は減圧チャンバー等が不要で、高速製膜ができ生産性の高い製膜方法である点から好ましい。上記ガスバリア層を大気圧プラズマCVD法で形成することにより、均一且つ表面の平滑性を有する膜を比較的容易に形成することが可能となるからである。
プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法であるが、特に好ましくは大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法を用いて形成される。なお、プラズマCVD法の層形成条件の詳細については後述する。
プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られるガスバリア層は、原材料(原料ともいう)である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、またこれらの混合物(金属酸窒化物、金属酸化ハロゲン化物、金属窒化炭化物など)も作り分けることができるため好ましい。
例えば、珪素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、珪素酸化物が生成する。また亜鉛化合物を原料化合物として用い、分解ガスにニ硫化炭素を用いれば、硫化亜鉛が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような無機物の原料としては、典型または遷移金属元素を有していれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。また溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒はメタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。なおこれらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において分子状、原子状に分解されるため、影響は殆ど無視することができる。
このような有機金属化合物としては、珪素化合物としてシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソポロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンアセチルアセトネート、ブチルチタネートダイマー等が挙げられる。
ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムトリ−n−ブトキシドアセチルアセトネート、ジルコニウムジ−n−ブトキシドビスアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムヘキサフルオロペンタンジオネート等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、トリエチルジアルミニウムトリ−s−ブトキシド等が挙げられる。
硼素化合物としては、ジボラン、テトラボラン、フッ化硼素、塩化硼素、臭化硼素、ボラン−ジエチルエーテル錯体、ボラン−THF錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体、トリエチルボラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリ(イソプロポキシ)ボラン、ボラゾール、トリメチルボラゾール、トリエチルボラゾール、トリイソプロピルボラゾール、等が挙げられる。
錫化合物としては、テトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等が挙げられる。
またその他の有機金属化合物としては、例えば、アンチモンエトキシド、ヒ素トリエトキシド、バリウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、ベリリウムアセチルアセトナート、ビスマスヘキサフルオロペンタンジオネート、ジメチルカドミウム、カルシウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、クロムトリフルオロペンタンジオネート、コバルトアセチルアセトナート、銅ヘキサフルオロペンタンジオネート、マグネシウムヘキサフルオロペンタンジオネート−ジメチルエーテル錯体、ガリウムエトキシド、テトラエトキシゲルマン、テトラメトキシゲルマン、ハフニウムt−ブドキシド、ハフニウムエトキシド、インジウムアセチルアセトナート、インジウム2,6−ジメチルアミノヘプタンジオネート、フェロセン、ランタンイソプロポキシド、酢酸鉛、テトラエチル鉛、ネオジウムアセチルアセトナート、白金ヘキサフルオロペンタンジオネート、トリメチルシクロペンタジエニル白金、ロジウムジカルボニルアセチルアセトナート、ストロンチウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、タンタルメトキシド、タンタルトリフルオロエトキシド、テルルエトキシド、タングステンエトキシド、バナジウムトリイソプロポキシドオキシド、マグネシウムヘキサフルオロアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、ジエチル亜鉛などが挙げられる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガスなどが挙げられる。
金属元素を含む原料ガスと分解ガスを適宜選択することで、各種の金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫化物を得ることができる。
これらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。このような放電ガスとしては、窒素ガス及び/または周期表の第18属原子、具体的にはヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも特に、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、混合ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し放電ガスの割合を50%以上として反応性ガスを供給する。
本発明に係る可撓性封止フィルムの水蒸気透過度としては、高度の水蒸気バリア性を必要とする有機ELディスプレイに用いるため、JIS K7129 B法に従って測定した水蒸気透過率が、0.01g/m2/day以下であり、より好ましくは1×10-3g/m2/day以下であり、さらに、極わずかであっても、成長するダークスポットが発生し、ディスプレイの表示寿命が極端に短くなる場合があるため、水蒸気透過度が、1×10-5g/m2/day未満であることが好ましい。
次いで、本発明の可撓性封止フィルムの製造方法について説明する。
本発明においては、可撓性フィルム上に、所定の開口部を複数個有するマスク部材を配置し、ガスバリア膜形成材料を付与して、複数個のガスバリア性を備えたガスバリア層を形成することを特徴とし、更には、ガスバリア層を形成する方法が、大気圧もしくはその近傍の圧力下で、対向電極の間で形成する放電空間に放電ガス及びガスバリア膜形成ガスを含有するガスを供給し、少なくとも一方の電極から該放電空間に高周波電圧を印加して該ガスを励起し、前記可撓性フィルム及び開口部を複数個有するマスク部材を該励起したガスに晒すことにより処理を行う大気圧プラズマ処理であることが好ましい。
はじめに、大気圧プラズマ処理について、その詳細を説明する。
大気圧プラズマ法は、例えば、特開平10−154598号公報や特開2003−49272号公報、国際公開第02/048428号パンフレットなどに記載されているが、特に、特開2004−68143号公報に記載されている薄膜形成方法が、緻密でガスバリア性が高いセラミック層を形成するには好ましい。また、ロール状の元巻きからウエブ状の基材を繰り出して、ガスバリア層を連続的に形成することが出来る。
本発明に係る上記の大気圧プラズマ法は、大気圧もしくはその近傍の圧力下で行われるプラズマCVD法であり、大気圧もしくはその近傍の圧力とは20kPa〜110kPa程度であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93kPa〜104kPaが好ましい。
本発明における放電条件は、放電空間に異なる周波数の電界を2つ以上印加するものが好ましく、第1の高周波電界と第2の高周波電界とを重畳し、電界を印加する。
前記第1の高周波電界の周波数ω1より、前記第2の高周波電界の周波数ω2が高く、且つ、前記第1の高周波電界の強さV1と、前記第2の高周波電界の強さV2と、放電開始電界の強さIVとの関係が、
V1≧IV>V2
または V1>IV≧V2 を満たし、
前記第2の高周波電界の出力密度が、1W/cm2以上である。
高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものを言う。
重畳する高周波電界が、ともにサイン波である場合、第1の高周波電界の周波数ω1と該周波数ω1より高い第2の高周波電界の周波数ω2とを重ね合わせた成分となり、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重なった鋸歯状の波形となる。
本発明において、放電開始電界の強さとは、実際の薄膜形成方法に使用される放電空間(電極の構成など)および反応条件(ガス条件など)において放電を起こすことの出来る最低電界強度のことを指す。放電開始電界強度は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種または電極間距離などによって多少変動するが、同じ放電空間においては、放電ガスの放電開始電界強度に支配される。
上記で述べたような高周波電界を放電空間に印加することによって、薄膜形成可能な放電を起こし、高品位な薄膜形成に必要な高密度プラズマを発生することが出来ると推定される。
ここで重要なのは、このような高周波電界が対向する電極間に印加され、すなわち、同じ放電空間に印加されることである。特開平11−16696号公報のように、印加電極を2つ併置し、離間した異なる放電空間のそれぞれに、異なる高周波電界を印加する方法は好ましくない。
上記でサイン波等の連続波の重畳について説明したが、これに限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方が連続波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、更に周波数の異なる第3の電界を有していてもよい。
上記本発明の高周波電界を、同一放電空間に印加する具体的な方法としては、例えば、対向電極を構成する第1電極に周波数ω1であって電界強度V1である第1の高周波電界を印加する第1電源を接続し、第2電極に周波数ω2であって電界強度V2である第2の高周波電界を印加する第2電源を接続した大気圧プラズマ放電処理装置を用いる。
上記の大気圧プラズマ放電処理装置には、対向電極間に、放電ガスと薄膜形成ガスとを供給するガス供給手段を備える。更に、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
また、第1電極、第1電源またはそれらの間の何れかには第1フィルタを、また第2電極、第2電源またはそれらの間の何れかには第2フィルタを接続することが好ましく、第1フィルタは第1電源から第1電極への第1の高周波電界の電流を通過しやすくし、第2の高周波電界の電流をアースして、第2電源から第1電源への第2の高周波電界の電流を通過しにくくする。また、第2フィルタはその逆で、第2電源から第2電極への第2の高周波電界の電流を通過しやすくし、第1の高周波電界の電流をアースして、第1電源から第2電源への第1の高周波電界の電流を通過しにくくする機能が備わっているものを使用する。ここで、通過しにくいとは、好ましくは、電流の20%以下、より好ましくは10%以下しか通さないことをいう。逆に通過しやすいとは、好ましくは電流の80%以上、より好ましくは90%以上を通すことをいう。
例えば、第1フィルタとしては、第2電源の周波数に応じて数10pF〜数万pFのコンデンサ、もしくは数μH程度のコイルを用いることが出来る。第2フィルタとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサを介してアース接地することでフィルターとして使用出来る。
更に、本発明の大気圧プラズマ放電処理装置の第1電源は、第2電源より高い電界強度を印加出来る能力を有していることが好ましい。
ここで、本発明でいう印加電界強度と放電開始電界強度は、下記の方法で測定されたものをいう。
印加電界強度V1及びV2(単位:kV/mm)の測定方法:
各電極部に高周波電圧プローブ(P6015A)を設置し、該高周波電圧プローブの出力信号をオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、所定の時点の電界強度を測定する。
放電開始電界強度IV(単位:kV/mm)の測定方法:
電極間に放電ガスを供給し、この電極間の電界強度を増大させていき、放電が始まる電界強度を放電開始電界強度IVと定義する。測定器は上記印加電界強度測定と同じである。
なお、上記測定に使用する高周波電圧プローブとオシロスコープによる電界強度の測定位置については、後述の図7に示してある。
本発明で規定する放電条件をとることにより、たとえ窒素ガスのように放電開始電界強度が高い放電ガスでも、放電を開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持出来、高性能な薄膜形成を行うことが出来る。
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電界強度IV(1/2Vp−p)は3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の印加電界強度を、V1≧3.7kV/mmとして印加することによって窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることが出来る。
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることが出来る。またこの電界波形としては、連続波でもパルス波でもよい。下限は1kHz程度が望ましい。
一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
このような2つの電源から高周波電界を印加することは、第1の高周波電界によって高い放電開始電界強度を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また第2の高周波電界の高い周波数および高い出力密度によりプラズマ密度を高くして緻密で良質な薄膜を形成することが本発明の重要な点である。
また、第1の高周波電界の出力密度を高くすることで、放電の均一性を維持したまま、第2の高周波電界の出力密度を向上させることができる。これにより、更なる均一高密度プラズマが生成でき、更なる製膜速度の向上と、膜質の向上が両立出来る。
本発明に用いられる大気圧プラズマ放電処理装置は、上述のように、対向電極の間で放電させ、前記対向電極間に導入したガスをプラズマ状態とし、前記対向電極間に静置あるいは電極間を移送される基材を該プラズマ状態のガスに晒すことによって、該基材の上に薄膜を形成させるものである。また他の方式として、大気圧プラズマ放電処理装置は、上記同様の対向電極間で放電させ、該対向電極間に導入したガスを励起しまたはプラズマ状態とし、該対向電極外にジェット状に励起またはプラズマ状態のガスを吹き出し、該対向電極の近傍にある基材(静置していても移送されていてもよい)を晒すことによって該基材の上に薄膜を形成させるジェット方式の装置がある。
図7は、大気圧プラズマ放電処理装置とマスク部材とを用いて、連続して可撓性フィルム上にガスバリア層を形成する一例を示す概略断面図である。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電界印加手段の他に、図7では図示してないが、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
プラズマ放電処理装置10は、第1電極11と第2電極12から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極11からは第1電源21からの周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界が印加され、また第2電極12からは第2電源22からの周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界が印加されるようになっている。第1電源21は第2電源22より高い高周波電界強度(V1>V2)を印加し、また第1電源21の第1の周波数ω1は第2電源22の第2の周波数ω2より低い周波数を印加する。
第1電極11と第1電源21との間には、第1フィルタ23が設置されており、第1電源21から第1電極11への電流を通過しやすくし、第2電源22からの電流をアースして、第2電源22から第1電源21への電流が通過しにくくなるように設計されている。
また、第2電極12と第2電源22との間には、第2フィルター24が設置されており、第2電源22から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源21からの電流をアースして、第1電源21から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
第1電極11と第2電極12との対向電極間(放電空間)13に、ガス供給手段(不図示)から薄膜形成ガスGを導入し、第1電源21と第2電源22により第1電極11と第2電極12間に、前述した高周波電界を印加して放電を発生させ、前述した薄膜形成ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と可撓性フィルムFとで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、図示してない可撓性フィルムの元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る可撓性フィルムFの上に、処理位置14付近でガスバリア層39を形成させる。図7には、印加電界強度と放電開始電界強度の測定に使用する測定器と測定位置を示した。25及び26は高周波電圧プローブであり、27及び28はオシロスコープである。
本発明においては、この様な方法で可撓性フィルムF上に、ガスバリア層39を形成させる際、図5に記載のような本発明に係るガスバリア性を備えたガスバリア層を有する領域Aと、該ガスバリア層の周辺にガスバリア層が存在しない領域Bとを連続的に形成させるため、対向電極の下部に、可撓性フィルムFと同伴させた状態で、所定の開口部を複数個有するマスク部材を配置する。
図8は、所定の開口部を複数個有するマスク部材の一例を示す模式図である。
図8において、マスク部材38には、ガスバリア性を備えたガスバリア層を有する領域Aを形成するための開口部42と、ガスバリア層の周辺にガスバリア層が存在しない領域Bを形成するためのプラズマ処理を防止するための遮蔽部41とで形成されている。マスク部材の材質としては、プラズマ放電処理に影響を与えない部材を適宜選択することが好ましい。
図9は、可撓性フィルム上に、複数のガスバリア層が形成された可撓性封止フィルムシートの一例を示す模式図である。
上記のような構成に従って、図9に示すような可撓性フィルムF上に、ガスバリア層を有する領域Aと、ガスバリア層の周辺にガスバリア層が存在しない領域Bとから構成されるユニットを複数個形成した可撓性封止フィルムシート2を作製するものである。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置を、可撓性フィルムFの搬送方向と平行に複数台並べ、同時に同じプラズマ状態のガスを放電させることにより、同一位置に複数層の薄膜を形成可能となり、短時間で所望の膜厚を形成可能となる。また可撓性フィルムFの搬送方向と平行に複数台並べ、各装置に異なる薄膜形成ガスを供給して異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、異なった層の積層薄膜を形成することも出来る。
図10は、大気圧プラズマ放電処理装置とマスク部材とを用いて、連続して可撓性フィルム上にガスバリア層を形成する他の一例を示す概略断面図である。
図10において、大気圧プラズマ放電装置30は、第1電極33と第2電極34とが対向した位置に配置され、それぞれ高周波電源37が接続されている。
図10の構成では前述の図7とは異なり、第1電極33と第2電極34間に放電空間を形成し、この放電空間内に可撓性フィルムFとそれに同伴させた円筒形のマスク部材38とを晒して、可撓性フィルムFにガスバリア層39を連続して形成する。
元巻部31より繰り出された可撓性フィルムFは、サポートロール32を通過した後、円筒状の図8に記載のようなマスク部材38と会合、同伴して放電空間に移動し、ここでガスバリア層39が所定の位置に連続して形成される。ガスバリア層39が形成された後、サポートロール32の位置で、マスク部材38と離間し、ガスバリア層39が形成された可撓性フィルムFは、巻き取りロール40に積層される。
この様にして、図9に示すようなガスバリア層を有する領域Aと、ガスバリア層の周辺にガスバリア層が存在しない領域Bとを連続的に形成させた可撓性封止フィルムシート2が得られる。
次いで、本発明に係る可撓性封止フィルムシートを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の封止方法について説明する。
図11は、本発明の可撓性封止フィルムと有機エレクトロルミネッセンス素子との貼合工程の一例を示す模式図である。
可撓性封止フィルムの貼合工程500は、帯状の可撓性フィルム基板301i上に形成された有機EL素子ユニット301i1の位置に合わせ配置されたアライメントマーク301lを検出するアライメントマーク検出部505と、有機EL素子ユニット301i1の位置に合わせシール剤を塗設するシール剤塗設部502と、ロール状の可撓性封止部材503aの供給部503と、帯状の可撓性封止部材503bを貼合する貼合部504とを有している。
アライメントマーク検出部505はアライメントマーク検出装置505aとアライメントマーク検出装置505aを配設する筐体505bとを有している。アライメントマーク検出装置505aは予め帯状可撓性支持体C301i上に配設されたアライメントマーク301lの位置に合わせ配設されている。アライメントマーク検出装置505aにより検出された情報は制御部(不図示)に入力され、シール剤塗設部502のシール剤塗設装置502aを制御するようになっている。アライメントマーク検出装置505としては特に限定はなく、例えば、CCDカメラによる画像認識等を使用することが可能である。シール剤塗設部502はアライメントマーク検出部505からの情報に従って、有機エレクトロルミネッセンス素子に対してシール剤を塗設するシール剤塗設装置502aとシール剤塗設装置502aを配設する筐体502bとを有している。シール剤塗設装置502aの配設する数は特に限定はないが、帯状の可撓性フィルム基板301iの幅方向に配設された有機エレクトロルミネッセンス素子の数に合わせて配設することが好ましい。本図は、幅方向に配設された有機エレクトロルミネッセンス素子の数に合わせ3台のシール剤塗設装置502aを配設した場合を示している。筐体502bは駆動装置(不図示)によりx−y方向(図中の矢印方向)の移動が可能となっている。
貼合部504は本体504cと帯状の可撓性フィルム基板と接触するロール504bと帯状可撓性封止部材503b側と接触するロール504aとを有し、ロール504bとロール504aとで有機エレクトロルミネッセンス素子が形成された帯状の可撓性フィルム基板301iと帯状の可撓性封止フィルム503bとを圧着挟持することで帯状の可撓性フィルム基板を貼合する様になっている。尚、貼合部504に使用するシール剤の性質に合わせ硬化処理の機能(例えば、シール剤が紫外線硬化型の場合は紫外線照射装置を、熱硬化型の場合はロールに加熱機能を持たせる)を持たせることが好ましい。
可撓性封止フィルム503bの幅は帯状の可撓性フィルム基板301iに付けられたアライメントマーク301lが検出可能であることが好ましい。尚、本図ではシール剤塗設装置502aへのシール剤の供給系は省略してある。
シール剤を塗設する方法は特に限定はなく、例えば、スプレー方式、押出しノズル方式、スクリーン印刷方式等、通常の接着剤の塗設に使用されている方法が挙げられる。使用するシール剤の粘度は、塗布均一性、塗れ広がり防止等を考慮し、40Pa・s〜400Pa・sであることが好ましい。
本発明において、液状シール剤としては、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型シール剤、2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型等のシール剤、エポキシ系などの熱及び化学硬化型(二液混合)等のシール剤、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂シール剤等を挙げることが出来る。液状シール剤には必要に応じてフィラーを添加することが好ましい。フィラーの添加量としては、接着力を考慮し、5〜70体積%が好ましい。又、添加するフィラーの大きさは、接着力、貼合圧着後のシール剤厚み等を考慮し、1μm〜100μmが好ましい。添加するフィラーの種類としては特に限定はなく、例えばソーダガラス、無アルカリガラス或いはシリカ、二酸化チタン、酸化アンチモン、チタニア、アルミナ、ジルコニアや酸化タングステン等の金属酸化物等が挙げられる。
貼合部504は、供給部503に供給されたロール状帯状可撓性封止部材503aから繰り出された帯状の可撓性封止フィルム503bとシール剤が塗設された帯状の可撓性フィルム基板301iとを貼合するため、帯状の可撓性封止フィルム503b側の圧着ロール504aと、帯状の可撓性フィルム基板301i側の圧着ロール504bと、これらの圧着ロールを収納する本体504cとを有している。
貼合部504は、貼合安定性、貼合部内への気泡混入防止、可撓性封止部材の平面性保持等を考慮し、10〜1×10-5Paの減圧条件で行うことが好ましい。
可撓性封止フィルムの有機EL素子部材と貼合する側に予めシーラント層(シール剤)を設けることもでき、シート状のシール剤と、熱可塑性樹脂とが挙げられる。
この様にして貼り合わせが行われた後、所定のサイズに断裁する打ち抜き工程を経て1枚の有機ELパネルが出来上がる。
次いで、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成について説明する。
有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板、該基板上に設けられた第1画素電極、発光層を含む1層以上から構成される有機エレクトロルミネッセンス層、第2画素電極、可撓性封止フィルム等から構成されている。
〔基板〕
本発明に係る基板としては、枚葉シート状基板、帯状可撓性基板が挙げられる。枚葉シート状基板としては、透明ガラス板、シート状透明樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。帯状可撓性基板としては、透明樹脂フィルムが挙げられ、枚葉シート状基板と同じ樹脂フィルムが使用可能である。
基板として透明樹脂フィルム等から構成される可撓性フィルム基板であることが好ましく、更には、ガスバリア層を有する可撓性フィルム基板であることが好ましく、更には、ガスバリア層が、無機化合物から構成されるセラミック層であることが好ましい。
ガスバリア層としては、前述の可撓性封止フィルムで形成するガスバリア層と同様のものを挙げることができる。
〔第1電極〕
第1電極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。この様な電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。又、IDIXO(In23・ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、或いはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、又陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
〔正孔注入層〕
第1電極と発光層又は正孔輸送層の間、正孔注入層(陽極バッファー層)を存在させてもよい。正孔注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機エレクトロルミネッセンス素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123−166頁)に詳細に記載されている。陽極バッファー層(正孔注入層)に使用する材料の一例としては、特開2000−160328号公報に記載されている材料が挙げられる。
〔正孔輸送層〕
正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることが出来る。正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性の何れかを有するものであり、有機物、無機物の何れであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、又導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することが出来るが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。又、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することが出来る。
又、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような所謂p型正孔輸送材料を用いることも出来る。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。又、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることも出来る。その例としては、特開平4−297076号、特開2000−196140号、特開2001−102175号、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。この様なp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の有機エレクトロルミネッセンス素子を作製することが出来るため好ましい。
〔発光層〕
本発明において、発光層とは青色発光層、緑色発光層、赤色発光層を指す。発光層を積層する場合の積層順としては、特に制限はなく、又各発光層間に非発光性の中間層を有していてもよい。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性、発光に必要な電圧等を考慮し、通常2nm〜5μm、好ましくは2〜200nmの範囲で選ばれる。更に10〜20nmの範囲にあるのが好ましい。膜厚を20nm以下にすると電圧面のみならず、駆動電流に対する発光色の安定性が向上する効果があり好ましい。個々の発光層の膜厚は、好ましくは2〜100nmの範囲で選ばれ、2〜20nmの範囲にあるのが更に好ましい。青、緑、赤の各発光層膜厚の関係については、特に制限はないが、3発光層中、青発光層(複数層ある場合はその総和)が最も厚いことが好ましい。
発光層は発光極大波長が各々430〜480nm、510〜550nm、600〜640nmの範囲にある発光スペクトルの異なる少なくとも3層以上の層を含む。3層以上であれば、特に制限はない。4層より多い場合には、同一の発光スペクトルを有する層が複数層あってもよい。発光極大波長が430〜480nmにある層を青発光層、510〜550nmにある層を緑発光層、600〜640nmの範囲にある層を赤発光層と言う。又、前記の極大波長を維持する範囲において、各発光層には複数の発光性化合物を混合してもよい。例えば、青発光層に、極大波長430〜480nmの青発光性化合物と、同510〜550nmの緑発光性化合物を混合して用いてもよい。
発光層の材料として使用する有機発光材料は、(a)電荷の注入機能、すなわち、電界印加時に陽極或いは正孔注入層から正孔を注入することが出来、陰極或いは電子注入層から電子を注入することが出来る機能、(b)輸送機能、すなわち、注入された正孔及び電子を電界の力で移動させる機能、及び(c)発光機能、すなわち、電子と正孔の再結合の場を提供し、これらを発光に繋げる機能、の3つの機能を併せもつものであれば特に限定はない。例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤や、スチリルベンゼン系化合物を用いることが出来る。上記の蛍光増白剤の具体例としては、ベンゾオキサゾール系では、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)−1,3,4−チアジアゾール、4,4′−ビス(5,7−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)スチルベン、4,4′−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾオリル]スチルベン、2,5−ビス(5,7−ジ−t−ペンチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、2,5−ビス[5−α,α−ジメチルベンジル−2−ベンゾオキサゾリル]チオフェン、2,5−ビス[5,7−ジ−(2−メチル−2−ブチル)−2−ベンゾオキサゾリル]−3,4−ジフェニルチオフェン、2,5−ビス(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェン、4,4′−ビス(2−ベンゾオキサゾリル)ビフェニル、5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール、2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ナフト[1,2−d]オキサゾール等が挙げられる。ベンゾチアゾール系では、2,2′−(p−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾール等が挙げられ、ベンゾイミダゾール系では、2−[2−[4−(2−ベンゾイミダゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾイミダゾール、2−[2−(4−カルボキシフェニル)ビニル]ベンゾイミダゾール等が挙げられる。更に、他の有用な化合物は、ケミストリー・オブ・シンセティック・ダイズ(1971),第628〜637頁及び第640頁に列挙されている。
又、上記のスチリルベンゼン系化合物の具体例としては、1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルスチリル)ベンゼン、ジスチリルベンゼン、1,4−ビス(2−エチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルスチリル)ベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−メチルベンゼン、1,4−ビス(2−メチルスチリル)−2−エチルベンゼン等が挙げられる。
更に、上述した蛍光増白剤及びスチリルベンゼン系化合物以外にも、例えば、12−フタロペリノン、1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、ナフタルイミド誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラジリン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ピロロピロール誘導体、スチリルアミン誘導体、クマリン系化合物、国際公開公報WO90/13148やAppl.Phys.Lett.,vol 58,18,P1982(1991)に記載されているような高分子化合物、芳香族ジメチリディン系化合物が挙げられる。芳香族ジメチリディン系化合物の具体例としては、1,4−フェニレンジメチリディン、4,4′−フェニレンジメチリディン、2,5−キシリレンジメチリディン、2,6−ナフチレンジメチリディン、1,4−ビフェニレンジメチリディン、1,4−p−テレフェニレンジメチリディン、4,4′−ビス(2,2−ジ−t−ブチルフェニルビニル)ビフェニル、4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル等、及びこれらの誘導体が挙げられる。又、上記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム(III)等が挙げられる。
その他、上述した有機発光材料をホストとし、当該ホストに青色から緑色までの強い蛍光色素、例えばクマリン系或いは前記ホストと同様の蛍光色素をドープした化合物も、有機発光材料として好適である。有機発光材料として前記の化合物を用いた場合には、青色から緑色の発光(発光色はドーパントの種類によって異なる)を高効率で得ることが出来る。前記化合物の材料であるホストの具体例としては、ジスチリルアリーレン骨格の有機発光材料(特に好ましくは、例えば、4,4′−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル)が挙げられ、前記化合物の材料であるドーパントの具体例としては、ジフェニルアミノビニルアリレーン(特に好ましくは、例えば、N,N−ジフェニルアミノビフェニルベンゼンや4,4′−ビス[2−[4−(N,N−ジ−p−トリル)フェニル]ビニル]ビフェニル)が挙げられる。
発光層には、発光層の発光効率を高くするために公知のホスト化合物と公知のリン光性化合物(リン光発光性化合物とも言う)を含有することが好ましい。
ホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、且つ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。ホスト化合物を複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機エレクトロルミネッセンス素子を高効率化することが出来る。又、リン光性化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることが出来る。リン光性化合物の種類、ドープ量を調整することで白色発光が可能であり、照明、バックライトへの応用も出来る。
これらのホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ発光の長波長化を防ぎ、尚且つ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。公知のホスト化合物としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等に記載の化合物が挙げられる。
複数の発光層を有する場合、これら各層のホスト化合物の50質量%以上が同一の化合物であることが、有機層全体に渡って均質な膜性状を得やすいことから好ましく、更にはホスト化合物のリン光発光エネルギーが2.9eV以上であることが、ドーパントからのエネルギー移動を効率的に抑制し、高輝度を得る上で有利となることからより好ましい。リン光発光エネルギーとは、ホスト化合物を基板上に100nmの蒸着膜のフォトルミネッセンスを測定し、そのリン光発光の0−0バンドのピークエネルギーを言う。
ホスト化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子の経時での劣化(輝度低下、膜性状の劣化)、光源としての市場ニーズ等を考慮し、リン光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。すなわち、輝度と耐久性の両方を満足するためには、リン光発光エネルギーが2.9eV以上且つTgが90℃以上のものであることが好ましい。Tgは、更に好ましくは100℃以上である。
リン光性化合物(リン光発光性化合物)とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物である。先に説明したホスト化合物と合わせ使用することで、より発光効率の高い有機エレクトロルミネッセンス素子とすることが出来る。
本発明に係るリン光性化合物は、リン光量子収率は好ましくは0.1以上である。上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定出来る。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定出来るが、本発明に用いられるリン光性化合物は、任意の溶媒の何れかにおいて上記リン光量子収率が達成されればよい。
リン光性化合物の発光は原理としては2種挙げられ、1つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光性化合物に移動させることでリン光性化合物からの発光を得るというエネルギー移動型、もう1つはリン光性化合物がキャリアトラップとなり、リン光性化合物上出来ャリアの再結合が起こりリン光性化合物からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、何れの場合においてもリン光性化合物の励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
リン光性化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることが出来る。リン光性化合物としては、好ましくは元素の周期表で8族−10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、リン光性化合物のリン光発光極大波長としては特に制限されるものではなく、原理的には中心金属、配位子、配位子の置換基等を選択することで得られる発光波長を変化させることが出来る。
また、発光色として、白色発光を得る場合には、発光層に青色、緑色、黄色、赤色等に発光する発光材料を2色以上組み合わせて白色とすることが好ましい。
本発明では、異なる発光色を発光するドーパントを同一層仲に複数種含有させることが好ましい。好ましくは、選択された発光色のうち、発光波長が近い発光性化合物が同一層に含有される。これによって、長波の発光性化合物へのエネルギー遷移が高まり、発光効率が向上する。
一例を示すと、青色−緑色−赤色から構成される場合、青色−緑色、又は緑色−赤色の少なくとも一方が同一層に含有される。青色−緑色−黄色−赤色から構成される場合、青色−緑色、緑色−黄色、黄色−赤色の少なくとも一種が同一層に含有され、より長波の発光性化合物を含有する発光色が同一層に含まれる場合が好ましく。具体的には、黄色−赤色、緑色−黄色である。更に発光色が異なる複数の発光性化合物を含有する発光層が複数であることが好ましい。また、発光効率を高めるため、HOMOのエネルギー準位が高い発光性化合物を含む発光層は、発光層の中で最も陰極側に積層することが好ましい。
尚、同一発光層内に含有させる発光色が異なる発光性化合物は2種が好ましい。3種以上であると、蒸着条件のコントロールが困難になるからである。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当て嵌めた時の色で決定される。
本発明で言うところの白色素子とは、2℃視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/m2でのCIE1931 表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.07の領域内にあることを言う。
電子注入層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり広い意味で電子輸送層に含まれる。電子注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機エレクトロルミネッセンス素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。電子注入層(陰極バッファー層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
〔電子輸送材料〕
他に発光層側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることが出来、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることが出来る。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることも出来る。
又、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることが出来る。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることが出来る。又、ジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることが出来るし、正孔注入層、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることが出来る。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種又は2種以上からなる一層構造であってもよい。
又、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることも出来る。その例としては、特開平4−297076号公報、特開平10−270172号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。この様なn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することが出来るため好ましい。
〔第2電極〕
第2電極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。この様な電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することが出来る。又、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。尚、発光した光を透過させるため、有機エレクトロルミネッセンス素子の第1電極(陽極)又は第2電極(陰極)の何れか一方が、透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
又、第2電極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、第1電極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の第2電極(陰極)を作製することが出来、これを応用することで第1電極(陽極)と第2電極(陰極)の両方が透過性を有する素子を作製することが出来る。
〔その他〕
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光の室温における外部取り出し効率は1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機エレクトロルミネッセンス素子外部に発光した光子数/有機エレクトロルミネッセンス素子に流した電子数×100である。
又、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機エレクトロルミネッセンス素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光層で発生した光を効率よく取り出すために以下に示す方法を併用することが好ましい。有機エレクトロルミネッセンス素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光の内15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を生じて素子外部に取り出すことが出来ないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を生じ、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435)。基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)。素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)。基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)。基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)。基板、透明電極層や発光層の何れかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を有機エレクトロルミネッセンス素子と組合せて用いることが出来るが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、或いは基板、透明電極層や発光層の何れかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることが出来る。本発明においては、これらの手段を組合せることにより、更に高輝度或いは耐久性に優れた素子を得ることが出来る。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。又、更に1.35以下であることが好ましい。低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。全反射を起こす界面もしくは何れかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることが出来る性質を利用して、発光層から発生した光の内、層間での全反射等により外に出ることが出来ない光を、何れかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述の通り、何れかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。この時、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
更に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光層で発生した光を効率よく取り出すために、基板の光取り出し側に、例えばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、或いは、所謂集光シートと組合せることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることが出来る。マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大き過ぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。この様なシートとして例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることが出来る。プリズムシートの形状としては、例えば基板に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。又、発光素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることが出来る。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《有機エレクトロルミネッセンス素子の作製》
〔有機エレクトロルミネッセンス素子101の作製〕
(有機EL素子ユニットの作製)
陽極としてガラス上にITO(In23:Sn)を150nm成膜した基板(NHテクノグラス社製:NA−45)を、55mm×45mmの大きさに断裁し、発光部分が45mm×34mmの長方形になるようにパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明基板をiso−プロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、紫外線オゾン洗浄を5分間行った。
この透明基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、さらにステンレス鋼製の長方形穴あきマスクを取り付けた。なお、マスクは有機層が46mm×35mmの面積でITOを覆う条件となるように取り付けた。一方、5つのタンタル製抵抗加熱ボートに、α−NPD、CBP、Ir−1、BCP、Alq3をそれぞれ装填し、真空蒸着装置(第1真空槽)に取付けた。
タンタル製抵抗加熱ボートにフッ化リチウムを、タングステン製抵抗加熱ボートにアルミニウムをそれぞれ入れ、真空蒸着装置の第2真空槽に取り付けた。
まず、第1の真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、α−NPDの入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.15nm/秒で、透明支持基板に膜厚25nmの厚さになるように蒸着し、正孔注入層及び正孔輸送層を設けた。
次いで、CBPの入った加熱ボートとIr−1の入った加熱ボートをそれぞれ独立に通電して発光ホストであるCBPと発光ドーパントであるIr−1の蒸着速度が100:7になるように調節し、膜厚30nmの厚さになるように蒸着して、発光層を設けた。
次いで、BCPの入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.15nm/秒で厚さ10nmの正孔阻止層電子輸送層を設けた。更に、Alq3の入った加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.15nm/秒で、膜厚40nmの電子輸送層電子注入層を設けた。
次に、電子輸送層電子注入層まで製膜した素子を真空のまま第2真空槽に移した後、電子注入層の上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクが配置されるように装置外部からリモートコントロールして設置した。第2真空槽を2×10-4Paまで減圧した後、フッ化リチウム入りのボートに通電して蒸着速度0.015nm/秒で膜厚0.5nmの陰極バッファー層を設け、次いでアルミニウムの入ったボートに通電して蒸着速度1.5nm/秒で膜厚150nmの陰極をつけて、有機EL素子ユニット101を得た。
有機EL素子ユニットの作製に用いた各化合物の構造を、以下に示す。
更に、この有機EL素子ユニット101を、大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスで置換したグローブボックス)へ移した。
(封止工程)
〈ガスバリア性の可撓性封止フィルム1の作製〉
可撓性フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人・デユポン社製フィルム、以下、PETと略記する)の全面に、図7に記載の構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、連続して可撓性フィルム上に、SiOxからなる無機物のガスバリア膜を形成し、酸素透過度0.01ml/m2/day以下、水蒸気透過度0.01g/m2/day以下のガスバリア性の可撓性封止フィルムを作製した。
上記作製した全面にガスバリア層を有する可撓性封止フィルムを55mm×45mmの大きさに断裁し、これを可撓性封止フィルム1とした
〈接着剤の塗設〉
上記作製した可撓性封止フィルム1について、紫外線オゾン洗浄を1分間行った後、窒素雰囲気下のグローブボックスへ移動させた。
窒素雰囲気下で、全面にガスバリア層を有する可撓性封止フィルムの、ガスバリア層の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光素子面及び電極取り出し部を除く、周辺部も含めた領域に、スクリーン印刷機にて紫外線硬化性のエポキシ樹脂(ナガセケムテックス(株)製UVレジンXNR5516)の接着剤を塗布した。
〈貼合工程〉
前記接着剤の塗布されたバスバリア層を有する可撓性封止フィルムに対向する様にガラス上に形成された有機EL素子ユニット面を可撓性封止フィルム側に向け、図4の(b)に記載の構成となるように位置合わせを行い、周囲環境を10Paまで減圧を行った。減圧後、ガスバリア性の有する可撓性封止フィルムを平板プレスにより0.05MPaの圧力で圧着貼り合せを行った。次いで、高圧水銀灯の紫外線ランプを用い、6000mJ/cm2の照射エネルギー条件で陰極側から接着剤へ照射し、接着剤を硬化した。その後、グローブボックス内より取り出し、この様にして作製した有機素子を有機エレクトロルミネッセンス素子101とした。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子102の作製〕
上記有機エレクトロルミネッセンス素子101の作製において、可撓性封止フィルム1に代えて、下記の方法で作製した可撓性封止フィルム2を用い、図6の(a)に記載の構成で封止を行った以外は同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子102を作製した。
〈ガスバリア性の可撓性封止フィルム2の作製〉
可撓性フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人・デユポン社製フィルム、以下、PETと略記する)を用い、図7に記載の構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置と、図8に記載の様な構成で51mm×40mmの開口部を複数個有するマスク部材を用いて、連続して可撓性フィルム上に、SiOxからなる無機物のガスバリア膜を形成し、酸素透過度0.01ml/m2/day以下、水蒸気透過度0.01g/m2/day以下のガスバリア性の可撓性封止フィルムを作製した。
上記作製したガスバリア層を有する可撓性封止フィルムを、全面積が55mm×45mm、ガスバリア層面積が51mm×40mmの大きさとなるように断裁し、これを可撓性封止フィルム2とした。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子103の作製〕
上記有機エレクトロルミネッセンス素子101の作製において、可撓性封止フィルム1に代えて、下記の方法で作製した可撓性封止フィルム3を用い、図4の(a)に記載の構成で封止を行った以外は同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子103を作製した。
〈ガスバリア性の可撓性封止フィルム3の作製〉
可撓性フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人・デユポン社製フィルム、以下、PETと略記する)を用い、図7に記載の構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置と、図8に記載の様な構成で46mm×35mmの開口部を複数個有するマスク部材を用いて、連続して可撓性フィルム上に、SiOxからなる無機物のガスバリア膜を形成し、酸素透過度0.01ml/m2/day以下、水蒸気透過度0.01g/m2/day以下のガスバリア性の可撓性封止フィルムを作製した。
上記作製した全面にガスバリア層を有する可撓性封止フィルムを、全面積が55mm×45mm、ガスバリア層面積が46mm×35mmの大きさとなるように断裁し、これを可撓性封止フィルム3とした。
《有機エレクトロルミネッセンス素子の評価》
〔高温保存性の評価〕
各有機エレクトロルミネッセンス素子を、85℃、相対湿度5%の環境下に250時間の保存を行った後、各有機エレクトロルミネッセンス素子に10mA/cm2の一定電流で駆動させた時のダークスポット発生の有無、発光面積の縮小、発光輝度の変化の測定を行い、未処理の各有機エレクトロルミネッセンス素子の各特性と比較し、下記の基準に従って高温保存性の評価を行った。なお、発光輝度は、コニカミノルタセンシング社製のCS−1000を用いて測定した。
A:未処理品に対し、ダークスポットを含む発光面積の縮小率が5%未満で、かつ電流密度一定時の輝度変動が5%未満である
B:未処理品に対し、ダークスポットを含む発光面積の縮小率が5%以上、10%未満で、電流密度一定時の輝度変動が5%以上、10%未満である
C:未処理品に対し、ダークスポットを含む発光面積の縮小率が10%以上、または電流密度一定時の輝度変動が10%以上である
〔高湿保存性の評価〕
各有機エレクトロルミネッセンス素子を、45℃、相対湿度90%の環境下に250時間の保存を行った後、各有機エレクトロルミネッセンス素子に10mA/cm2の一定電流で駆動させた時のダークスポット発生の有無、発光面積の縮小、発光輝度の変化の測定を行い、未処理の各有機エレクトロルミネッセンス素子の各特性と比較し、下記の基準に従って高湿保存性の評価を行った。なお、発光輝度は、コニカミノルタセンシング社製のCS−1000を用いて測定した。
A:未処理品に対し、ダークスポットを含む発光面積の縮小率が5%未満で、かつ電流密度一定時の輝度変動が5%未満である
B:未処理品に対し、ダークスポットを含む発光面積の縮小率が5%以上、10%未満で、電流密度一定時の輝度変動が5%以上、10%未満である
C:未処理品に対し、ダークスポットを含む発光面積の縮小率が10%以上、または電流密度一定時の輝度変動が10%以上である
以上により得られた結果を、表1に示す。
表1に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる可撓性封止フィルムを用いて、密着部領域でガスバリア層を有する領域と、ガスバリア層が存在しない領域とを同時に有する様にして封止した本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、高温下、あるいは高湿下で長期間保存を行っても、封止部の破損が無く、優れた高温保存性及び高湿保存性を有していることが分かる。
実施例2
《有機エレクトロルミネッセンス素子の作製》
〔有機エレクトロルミネッセンス素子201の作製〕
(有機EL素子ユニットの作製)
基板として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人・デユポン社製フィルム、以下、PETと略記する)の全面に、図7に記載の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、SiOxからなる無機物のガスバリア膜を形成し、酸素透過度0.01ml/m2/day以下、水蒸気透過度0.01g/m2/day以下のガスバリア性の可撓性フィルム基板1を作製した。
この可撓性フィルム基板1を55mm×45mmの大きさに断裁し、その上に、実施例1の有機EL素子ユニットの作製と同様にして、発光部分が45mm×34mmの長方形になるようにパターニングを行って、有機EL素子ユニットを形成した。
次いで、実施例1の有機エレクトロルミネッセンス素子101の作製に用いた全面にガスバリア層を有する可撓性封止フィルム1を用いて、図4の(d)の構成となるように封止を行って、有機エレクトロルミネッセンス素子201を作製した。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子202の作製〕
上記有機エレクトロルミネッセンス素子201の作製において、可撓性封止フィルム1に代えて、可撓性封止フィルム2を用いた以外は同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子202を作製した。
〔有機エレクトロルミネッセンス素子203の作製〕
上記有機エレクトロルミネッセンス素子202の作製において、可撓性フィルム基板1に代えて、下記の方法で作製した可撓性フィルム基板2を用いた以外は同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子203を作製した。
(可撓性フィルム基板2の作製)
基板として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人・デユポン社製フィルム、以下、PETと略記する)を用い、図7に記載の構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置と、図8に記載の様な構成で51mm×40mmの開口部を複数個有するマスク部材を用いて、連続して基板上に、SiOxからなる無機物のガスバリア膜を形成し、酸素透過度0.01ml/m2/day以下、水蒸気透過度0.01g/m2/day以下のガスバリア性の可撓性封止フィルムを作製した。
上記作製したガスバリア層を有する可撓性フィルム基板を、全面積が55mm×45mm、ガスバリア層面積が51mm×40mmの大きさとなるように断裁し、これを可撓性フィルム基板2とした。
《有機エレクトロルミネッセンス素子の評価》
以上により得られた各有機エレクトロルミネッセンス素子について、実施例1に記載の方法と同様にして、高温保存性及び高湿保存性の評価を行い、得られた結果を表2に示す。
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する構成からなる可撓性封止フィルムを用いて、密着部領域でガスバリア層を有する領域と、ガスバリア層が存在しない領域とを同時に有する様にして封止した本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、高温下、あるいは高湿下で長期間保存を行っても、封止部の破損が無く、優れた高温保存性及び高湿保存性を有していることが分かる。
実施例3
図10に記載の大気圧プラズマ処理装置と、図8に記載のマスク部材を用いて、48mm×37mmの大きさのガスバリア層を複数個形成した可撓性封止フィルムシートと、実施例1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子ユニット(図11に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子301i1)を複数個有するガスバリア層を有する基材シートを用いて、図11に記載の貼合工程及び断裁工程を経て、実施例1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子102及び実施例2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子と同様の構成の有機エレクトロルミネッセンス素子を複数個形成し、実施例1に記載の方法と同様にして、高温保存性及び高湿保存性の評価を行った結果、個体間のバラツキが無く、いずれも高温下、あるいは高湿下で長期間保存を行っても、封止部の破損が無く、優れた高温保存性及び高湿保存性を有していることを確認することができた。

Claims (5)

  1. 基板上に有機エレクトロルミネッセンス素子部材を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機エレクトロルミネッセンス素子部材の上に、可撓性フィルム上にガスバリア層を有する可撓性封止フィルムが設けられており、該基板はガラス基板であり、該可撓性封止フィルムは、少なくとも有機エレクトロルミネッセンス側にガスバリア層を有し、有機エレクトロルミネッセンス素子部材の周囲を囲むように前記基板と接着されており、基板との密着部領域の内周領域の可撓性封止フィルムはガスバリア層が設けられており、該可撓性封止フィルムのガスバリア層と基板が接着されており、基板との密着部領域の外周領域の可撓性封止フィルムはガスバリア層が設けられておらず、可撓性フィルムと基板が接着されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 基板上に有機エレクトロルミネッセンス素子部材を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該有機エレクトロルミネッセンス素子部材の上に、可撓性フィルム上にガスバリア層を有する可撓性封止フィルムが設けられており、該基板はガスバリア層を有する可撓性フィルム基板であり、該可撓性封止フィルムと該基板は少なくとも有機エレクトロルミネッセンス側にガスバリア層を有し、有機エレクトロルミネッセンス素子部材の周囲を囲むように接着されており、基板との密着部領域の内周領域の可撓性封止フィルムはガスバリア層が設けられており、可撓性封止フィルムのガスバリア層と基板が接着されており、可撓性封止フィルムと基板との密着部領域の外周領域は可撓性封止フィルムと基板は共にガスバリア層が設けられておらず可撓性フィルムと可撓性フィルム基板とが接着されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記ガスバリア層が、無機化合物から構成されるセラミック層であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子で用いる可撓性封止フィルムの製造方法であって、可撓性フィルム上に、所定の開口部を複数個有するマスク部材を配置し、ガスバリア膜形成材料を付与して、複数個のガスバリア性を備えたガスバリア層を形成することを特徴とする可撓性封止フィルムの製造方法。
  5. 前記ガスバリア層を形成する方法が、大気圧もしくはその近傍の圧力下で、対向電極の間で形成する放電空間に放電ガス及びガスバリア膜形成ガスを含有するガスを供給し、少なくとも一方の電極から該放電空間に高周波電圧を印加して該ガスを励起し、前記可撓性フィルム及び開口部を複数個有するマスク部材を該励起したガスに晒すことにより処理を行う大気圧プラズマ処理であることを特徴とする請求の範囲第4項に記載の可撓性封止フィルムの製造方法。
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