JP5531634B2 - 回転電機の固定子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば車両において電動機や発電機として使用される回転電機の固定子の製造方法に関する。
従来より、回転電機の固定子として、周方向に複数のスロットを有する円環状の固定子コアと、固定子コアに巻回される複数の導線からなる固定子巻線と、を備えたものが一般的に知られている。
そして、スロット内に配置される導線の占積率を向上させるために、軸線に対して垂直方向の断面形状が矩形形状であるとともに、展開したときの全体形状がクランク状に蛇行した形状の各相巻線(U相導体、V相導体、W相導体)により、固定子巻線を構成する技術が開示されている。この場合、固定子巻線を構成する各相巻線は、所定の回数、渦巻き状に巻回して円筒状に形成された構造になっている。
そして、上記の固定子巻線は、たとえば、特許文献1に記載のように、ベルト状の固定子巻線群を、円筒状の芯部材を回転させながら渦巻状に巻き取ることにより、径方向に複数の層を為す所定寸法の円筒状に形成される。このようにして円筒状に形成された固定子巻線は、同一のスロット内に収容される複数の導線のスロット収容部が径方向に整列した状態にされている必要があるが、各相巻線を巻き付ける際には、大きなスプリングバック(弾性復帰作用)が発生することもあるため、スロット収容部の位置ずれ等が発生し易いという問題があった。
さらに、固定子巻線群の巻き取り後の固定子巻線には、スプリングバックの作用により外径方向へ広がろうとする力が発生する。このため、固定子巻線の導線同士が干渉し、互いに擦れることで被膜にダメージを与える懸念があった。
また、巻き取り後の固定子巻線には常に外周側から押さえておかないと広がってしまい、各スロット収容部の位置がズレてしまうため、製造時のハンドリング性も悪いという問題があった。
各相巻線にスプリングバックが生じてスロット収容部に位置ずれが発生すると、スロット内に配置される導線(スロット収容部)の占積率が低下するだけでなく、スロット内に配置される導線(スロット収容部)の位置精度が低下して磁気特性が低下する、導線(スロット収容部)同士が干渉して導線が損傷を生じるといった問題が発生する。具体的には、図32に示したように、スロット収容部の周方向での位置にずれが生じると、スロット収容部が径方向に並ばなくなり、磁気特性が低下する。また、図33に示したように、スロット収容部にねじれを含む位置にずれが生じると、一つのスロット収容部の角部が隣接するスロット収容部の表面に接触するようになり、スロット収容部の絶縁被膜が損傷を生じるようになる。
特開2009−247199号公報
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、固定子巻線の形成に際して、スプリングバックによる位置ずれ等の発生を回避し得るようにした回転電機の固定子の製造方法を提供することを解決すべき課題とするものである。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、複数のスロット収容部と、隣接する二つのスロット収容部を接続するターン部と、を有する導線の成形体を、複数のターン部が周方向に沿って渦巻き状に1周以上巻回された巻回体を有する固定子巻線、及び、スロット収容部を周方向に設けられるスロット内に収容する固定子コアを有する回転電機の固定子の製造方法であって、巻回体を、ターン部が成形後の変形を見込んで予め決められた曲率をなすように、導線と当接する押圧面のそれぞれが予め設定された曲率をなすように形成されているとともに、巻回体の最内周面と当接する内周押圧部材,巻回体の導線が径方向で重なり合う内周側部と外周側部の間に介在する中間押圧部材,巻回体の最外周面と当接する外周押圧部材で成形する巻回成形工程を有し、固定子巻線を固定子コアに組み付けた後の曲率に対する巻回成形工程時の曲率比は、最内周のターン部よりも最外周のターン部の方が大きいことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、ターン部が成形後の変形(スプリングバック)を見込んで予め決められた曲率をなすように成形される。そして、この予め決められた曲率は、固定子巻線を固定子コアに組み付けた後の曲率に対する巻回成形工程時の曲率比が、最内周のターン部よりも最外周のターン部の方が大きくなるように決められている。このように曲率を設定することで、固定子巻線の最内周のターン部には、径方向外方に広がる方向の力が発生する。そして、固定子巻線の最外周のターン部には、径方向外方に広がる方向の力を抑える力が発生する。すなわち、最内周のターン部には径方向外方に広がる方向の(成形後の変形に起因する)応力が発生するが、最外周のターン部に発生する(成形後の変形に起因する)応力がこの応力を抑える。この結果、固定子巻線には常に外周側から内径側に押さえる力が発生して固定子巻線が広がることが抑えられる。さらに、各スロット収容部の位置ずれも抑えられ、製造時のハンドリング性も向上する。
この結果、本発明の製造方法により製造された固定子巻線は、スロット収容部の位置ずれが生じなくなっており、この固定子巻線を用いた回転電機は、スロット収容部の位置ずれに基づく不具合の発生が抑えられたものとなる。
なお、本発明において、曲率とは、湾曲部の中心までの径(r)の逆数(1/r)を示す。曲率は、湾曲部の中心化での距離が短くなるほど、大きくなる。
請求項2に記載の発明は、導線の各ターン部の曲率は、最内周から最外周にかけて徐々に変化していることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によると、導線の各ターン部の曲率が、最内周から最外周にかけて徐々に変化すると、巻回体が径方向内方から外方に向かって広がる方向の(成形後の変形に起因する)応力が徐々に変化する。そして、この成形後の変形に起因する応力が巻回体(固定子巻線)の一部に集中しなくなり、巻回体(固定子巻線)の変形が抑えられる。さらに、径方向で重なり合うターン部同士の間の応力差が小さくなり、内径側から外径側まで径方向に並んだ導線全体で応力を緩和でき、固定子巻線が広がることが抑えられる。
請求項3に記載の発明は、導線の各ターン部の曲率比は、最内周と最外周以外のターン部においては一定であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によると、最内周と最外周以外のターン部を同じ曲率比で成形している。これにより、最内周のターン部,最外周のターン部,それ以外のターン部の3つの曲率比を設定することができ、簡単に成形後の変形が見込まれた巻回体を製造することができる。
請求項4に記載の発明によれば、ターン部は、固定子巻線を形成したときに、スロット収容部の端部から突出するように形成されている。つまり、ターン部は、固定子巻線において、周方向と軸方向がなす面において、傾斜した方向にのびている。このような形状のターン部をもつ成形体を巻回しても、本発明では、スロット収容部の位置ずれの発生を抑えることができる。
これに対し、軸方向での位置が異なる部分を有するターン部を有する成形体をそのまま巻回すると(上記の従来技術のように、ターン部のみを周方向に沿うように成形すると)、ターン部では導線ののびる方向に垂直な方向に曲げ応力が働くため、ターン部は成形できるが、ターン部のスロット収容部に対する位置は成形できない。つまり、スロット収容部の位置ずれが発生する。
請求項5に記載の発明は、ターン部は、その中央部がスロット収容部からもっとも離れた形状に形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によると、ターン部を対称な形状とすることができる。
請求項6に記載の発明は、ターン部は、階段状に成形されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によると、ターン部が階段状に成形されることで、固定子巻線のスロット収容部からの突出量を小さくすることができる。つまり、本発明の製造方法により製造された固定子巻線を小型化することができ、この固定子巻線を用いた回転電機を小型化できる。
請求項7に記載の発明は、ターン部は、固定子巻線を形成したときに、接続する二つのスロット収容部の径方向位置を変化させるクランク部を有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明によると、ターン部がクランク部を有していても、スロット収容部を規制した状態で成形することで、スロット収容部の位置ずれが抑えられた固定子巻線を製造することができる。
請求項8に記載の発明は、スロット収容部を成型ダイに固定した状態で、ターン部を成型ダイに押圧して導線を成形することを特徴とする。
請求項8に記載の発明によると、成型ダイに固定することでスロット収容部の変移が規制され、この状態で成型ダイに押圧することでスロット収容部の位置ずれが抑えられた固定子巻線を製造できる。
実施形態に係る回転電機の断面図である。 実施形態に係る回転電機の固定子の全体斜視図である。 実施形態に係る回転電機の固定子の平面図である。 実施形態に係る回転電機の固定子の側面図である。 実施形態に係る固定子コアの平面図である。 実施形態に係る分割コアの平面図である。 実施形態に係る固定子巻線の全体斜視図である。 実施形態に係る固定子巻線の側面図である。 実施形態に係る固定子巻線の平面図である。 実施形態に係る固定子巻線の底面図である。 (A)(B)実施形態において用いられる導線の断面図である。 (A)は実施形態において用いられる導線の上面図であり、(B)は導線の平面図である。 (A)は実施形態において用いられる導線のターン部の形状を示す斜視図であり、(B)は隣接する複数のターン部を示す斜視図である。 実施形態において用いられる固定子巻線の結線図である。 実施形態において各スロットの最外径側に配置される各導線の第1スロット収容部の配置位置を示す説明図である。 実施形態の固定子巻線において1本の導線(U1−4’)のスロット収容部の配置位置および軌跡を示す説明図である。 実施形態においてV相の巻線の接続状態を示す巻線仕様図である。 実施形態の製造方法の製造工程を示すブロック図である。 実施形態の導線形成工程における折曲げ加工の様子を示す説明図である。 (A)は実施形態の導線形成工程における折曲げ加工を開始する前の説明図であり、(B)は実施形態の導線形成工程における折曲げ加工を開始した直後の説明図である。 実施形態の成形工程において成形された導線の軸方向から見た平面図である。 実施形態の成形工程において成形された導線の全体斜視図である。 本実施形態の成形工程における成形装置の構成を示した図である。 本実施形態の成形工程における巻回体の曲率中心を示した図である。 スロット収容部が収容された状態のスロット収容部規制部の断面形状を示した図である。 実施形態の成形工程においてスロット収容部がスロット収容部規制部に保持された状態の内周押圧部材を示した全体斜視図である。 実施形態の成形工程において中間押圧部材が内周押圧部材の外周を一周した状態を示した全体斜視図である。 実施形態の成形工程において外周押圧部材片が中間押圧部材との間で導線を成形している状態を示した図である。 実施形態の成形工程において外周押圧部材片が中間押圧部材との間で導線を成形している状態を示した図である。 実施形態の成形工程において外周押圧部材片が中間押圧部材との間で導線を成形している状態を示した図である。 実施形態の固定子巻線形成工程において複数の導線を軸方向に相対移動させて組み付ける状態を示す説明図である。 従来の回転電機の固定子においてスロット収容部の位置にずれが生じた状態を示した断面図である。 従来の回転電機の固定子においてスロット収容部の位置にずれが生じた状態を示した断面図である。
以下、本発明に係る回転電機の固定子の製造方法について図面を参照しつつ具体的に説明する。
(回転電機)
本発明に係る製造方法により製造される回転電機の固定子を有する回転電機について図1〜図17を参照しつつ具体的に説明する。図1は、回転電機1の構成を示す断面図である。図2は、本実施形態に係る回転電機の固定子の全体斜視図である。図3は、その固定子の平面図である。図4は、その固定子の側面図である。
本実施形態の回転電機1は、略有底筒状の一対のハウジング部材が開口部同士で接合されてなるハウジングと、ハウジングに軸受けを介して回転自在に支承される回転軸に固定された回転子と、ハウジングの内部で回転子を包囲する位置でハウジングに固定された固定子20と、を備えている。
回転子は、永久磁石により周方向に交互に異なる磁極を固定子20の内周側と向き合う外周側に複数形成している。
固定子20は、図2〜図4に示すように、固定子コア30と、複数(本実施形態では48本)の導線50から形成される三相の固定子巻線40とを備えている。なお、固定子コア30と固定子巻線40との間には、絶縁紙を配してもよい。
図5は、本実施形態に係る固定子コアの平面図である。図6は、本実施形態に係る分割コアの平面図である。
固定子コア30は、図5に示すように、内周に複数のスロット31が形成された円環状を呈している。複数のスロット31は、その深さ方向が径方向と一致するように周方向に設けられている。固定子コア30に形成されたスロット31の数は、回転子の磁極数(8磁極)に対し、固定子巻線40の一相あたり2個の割合で形成されている。本実施形態では、8×3×2=48より、スロット数は48個とされている。
固定子コア30は、図6に示す分割コア32を所定の数(本実施形態では24個)を周方向に連結して形成されている。分割コア32の外周には、外筒37が嵌合されている(図2〜4参照)。分割コア32は、一つのスロット31を区画するとともに、周方向で隣接する分割コア32との間で一つのスロット31を区画する形状を呈している。具体的には、分割コア32は、径方向内方に伸びる一対のティース部33と、ティース部33を径方向外方で連結するバックコア部34とを有している。
固定子コア30を構成する分割コア32は、複数枚の電磁鋼板を積層させて形成されている。積層された電磁鋼板の間には、絶縁薄膜が配置されている。分割コア32は、この電磁鋼板の積層体からだけでなく、従来公知の金属薄板および絶縁薄膜を用いて形成してもよい。
図7は、本実施形態に係る固定子巻線の全体斜視図であり、図8は側面図、図9は平面図、図10は底面図である。
固定子巻線40は、図7〜図10に示すように、複数の導線50により円筒形状に形成されており、固定子コア30のスロット31内に収容されるストレート部41と、このストレート部41の両端においてスロット31外に配置されるコイルエンド部42を有する。一方のコイルエンド部42の端面において、出力線および中性点が軸方向に突出するとともに、内径側から突出した導線50の端部を外径側から突出した導線50の端部に接続する渡り部70が設けられている。
固定子巻線40を構成する導線50は、図11(A)に示すように、銅製の導体67と、導体67の外周を覆い導体67を絶縁する内層68a及び外層68bからなる絶縁被膜68とから形成されている。内層68aおよび外層68bを合わせた絶縁被膜68の厚みは、100μm〜200μmの間に設定されている。このように、内層68aおよび外層68bからなる絶縁被膜68の厚みが厚いので、導線50同士を絶縁するために導線50同士の間に絶縁紙等を挟み込む必要がなくなっているが、導線50同士の間あるいは固定子コア30と固定子巻線40との間に絶縁紙を配設してもよい。
外層68bはナイロン等の絶縁材で形成され、内層68aは外層68bよりもガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂またはポリアミドイミド等の絶縁材で形成されている。これにより、回転電機100に発生する熱により外層68bは内層68aよりも早く結晶化するため、外層68bの表面硬度が高くなり、導線50に傷がつきにくくなる。このため、後述するターン部52に段部を形成する加工を施した導線50の絶縁を確保することができる。
さらに、導線50は、図11(B)に示すように、内層68aおよび外層68bからなる絶縁被膜68の外周をエポキシ樹脂等からなる融着材69で被覆してもよい。これにより、融着材69は、回転電機に発生する熱により絶縁被膜68よりも早く溶融するので、同じスロット31に収容されている複数の導線50同士が融着材69同士により熱接着する。その結果、同じスロット31に収容されている複数の導線50が一体化し導線50同士が硬化することで、スロット31内の導線50の機械的強度が向上する。なお、絶縁被膜68には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)よりなる被膜を用いてもよい。
図12に、導線50を平面上に展開した場合の図を示す。導線50は、図12に示すように、固定子コア30のスロット31内に収容されるスロット収容部51と、スロット31から固定子コア30の外に突出し、周方向に異なるスロット31に収容されているスロット収容部51同士を接続しているターン部52とを有する。この導線50は、少なくとも、周方向の異なるスロット31に収容される第1スロット収容部51Aと、第1スロット収容部51Aから周方向に離間したスロット31に収容される第2スロット収容部51Bと、第2スロット収容部51Bから周方向に離間したスロット31に収容される第3スロット収容部51Cと、固定子コア30の一端側におけるスロット31の外部で第1スロット収容部51Aと第2スロット収容部52Bを接続する第1ターン部52Aと、固定子コア30の他端側におけるスロット31の外部で第2スロット収容部51Bと第3スロット収容部51Cを接続する第2ターン部52Bとを有している。なお、図11に示す導線50は、12個のスロット収容部51A〜51Lと、11個のターン部52A〜52Kを備えている。
スロット収容部51は、図12の左端に位置する第1スロット収容部51Aから順に、固定子コア30の周方向に離間したスロット31にそれぞれ収容される第2スロット収容部51B、第3スロット収容部51C、・・・、第12スロット収容部51Lの12個からなる。また、ターン部52は、固定子コア30の一端側におけるスロット31の外部と固定子コア30の他端側におけるスロット31の外部とで交互にスロット収容部51同士を接続する第1ターン部52A、第2ターン部52B、・・・、第10ターン部52J、および第11スロット収容部51Kと第12スロット収容部51Lを接続する第11ターン部52Kの11個からなる。
この導線50の隣り合うスロット収容部51同士の周方向(矢印Y方向)の離間距離Xは、全ての箇所で異なるようにされている。この場合、離間距離Xは、導線50の第1スロット収容部51A側から第12スロット収容部51L側に向かうにつれて、徐々に短くなるようにされている。即ち、離間距離Xは、X1>X2>X3>X4>X5>X6>X7>X8>X9>X10>X11となっている。なお、離間距離Xは、固定子コア30の周方向において隣り合うスロット31同士の離間距離(スロットピッチ)を考慮して適宜設定される。
導線50の両端には、他の導線50等と接続するための引出し部53a、53bが設けられている。一方の引出し部53aは、第1スロット収容部51Aの端末から内側(図12の右側)へ戻るように、略半分の長さに形成されたターン部52Mを介して形成されている。よって、一方の引出し部53aは、第1スロット収容部51Aからターン部52Mの長さだけ内側(図12の右側)へ寄った所に位置している。他方の引出し部53bは、第12スロット収容部51Lの端末から内側(図12の左側)へ戻るように、略半分の長さに形成されたターン部52Nを介して形成されている。よって、他方の引出し部53bは、第12スロット収容部51Lからターン部52Nの長さだけ内側(図12の左側)へ寄った所に位置している。他方の引出し部53bの先端には、固定子巻線40の軸方向端面上で固定子コア30の径方向外方へ折り曲げられて配置される渡り部70が設けられている。
ターン部52の略中央部には、接続するスロット収容部51の径方向での位置をずらすための段差部がもうけられている。具体的には、第1スロット収容部51A、第2スロット収容部51B、第3スロット収容部51C、・・・、第12スロット収容部51Lを導線50の長手方向およびスロット収容部51の長手方向に直交する方向に順次段差が生じるように段差部はクランク状(以下、クランク部54とする)に形成されている(図12参照)。その結果、導線50は図12(A)に示すように階段状の形状を有することになる。
図13に、図12に示す導線50を用いて円筒形状の固定子巻線40を形成した場合のターン部52の形状を示す斜視図を示す。図13(A)に示すように、固定子コア30の径方向に変位して固定子コア30の端面30aに沿って延びるクランク部54を有する。クランク部54のクランク形状によるずれ量(径方向への変位量)は、ターン部52の径方向厚み分である。これにより、ターン部52によって接続されたスロット収容部51同士は、ターン部52の径方向厚み分だけ変位している。このようにクランク部54がターン部52に設けられていることにより、図13(B)に示すように周方向に隣接している導線50のターン部52同士を密に巻回できる。また、図13(B)に示すように周方向に隣接するターン部52は互いに同じ形状であり、ターン部52同士が干渉するのを防止している。
また、スロット31から固定子コア30の外に突出するターン部52の突出箇所に、導線50がまたがって設置されているスロット同士に向けて固定子コア30の軸方向両側の端面30aに沿って段部55が形成されている。これにより、スロット31から突出している導線50のターン部52の突出箇所の間隔、言い換えればターン部52が形成する三角形状部分の底辺の長さは、導線50がまたがって設置されているスロット同士の間隔よりも狭くなっている。その結果、コイルエンドの高さが低くなる。ターン部52の突出箇所(スロット収容部51の延長線上の部位)に形成された段部55は、スロット収容部51に対して略直角に屈曲されており、その屈曲部の内側部分には、スロット収容部51の表面よりも固定子コア30の径方向両側に膨出した膨出部57が設けられている。
また、固定子コア30の端面30aに沿った段部55の長さをd1、周方向に隣接するスロット同士の間隔をd2とすると、d1≦d2になっている。これにより、導線50の段部55が周方向に隣り合うスロットから突出する導線50と干渉することを防止できる。これにより、周方向に隣接するスロットから突出する導線50同士が互いに干渉することを避けるために、コイルエンドの高さが高くなったり、あるいはコイルエンドの径方向の幅が大きくなったりすることを防止できる。その結果、コイルエンドの高さが低くなる。さらに、コイルエンドの径方向の幅が小さくなるので、固定子巻線40が径方向外側に張り出すことを防止する。
さらに、導線50には、ターン部52の略中央部のクランク部54と、ターン部52の突出箇所に形成した段部55との間に、それぞれ2個の段部56が形成されている。つまり、固定子コア30の一方の軸方向の端面30a側の導線50のターン部52には、1個のクランク部54と合計6個の段部55、56が形成されている。これにより、クランク部54や段部55、56を形成しない三角形状のターン部の高さに比べ、ターン部52の高さが低くなる。クランク部54のクランク形状も、段部55、56と同様に、固定子コア30の端面30aに沿って形成されている。したがって、導線50のターン部52は、クランク部54を挟んで両側が階段状に形成されている。
固定子巻線40は、図12に示した導線50を48本用いて形成されている。ただし、固定子巻線40に出力線や中性点などを設けるために、渡り部70を設けていない導線50を適宜混在させても良い。
この固定子巻線40を構成する導線50は、ターン部52の略中央部に、ターン部52の径方向厚み分だけ径方向にずれたクランク部54が設けられていることにより、ターン部52によって接続されたスロット収容部51同士は、固定子コア30の中心軸線からの半径距離が、スロット収容部51の径方向厚み分だけ異なっている。また、導線50は、隣り合うスロット収容部51同士の離間距離Xが、導線50の第1スロット収容部51A側から第12スロット収容部51L側に向かうにつれて、徐々に短くなるようにされており、全ての箇所で実質的に異なっている(図12参照)。これらのことから、固定子巻線40は、径方向に重なり合うスロット収容部51が、周方向に位置ずれすることなく径方向一列にストレートな状態に整列し、真円筒形状により近い形状にすることができる(図7および図8参照)。
この固定子巻線40は、複数の導線の第1スロット収容部51A同士、第2スロット収容部51B同士、・・・、第12スロット収容部51L同士をそれぞれ周方向に連続するスロットに配置するとともに、第1スロット収容部51A同士、第2スロット収容部51B同士、・・・、第12スロット収容部51L同士の固定子コアの中心軸線Oからの半径距離がそれぞれ等しくなるよう配置されているので、固定子巻線40の外径寸法および内径寸法を周方向で均一化することができる。この固定子巻線40は、図14に示すように、それぞれの相が16本の導線50を直列に接続した各相巻線43(U、V、W)をY結線した三相巻線として形成されている。
図15において、各導線50のスロット収容部51は、12個の破線円と放射方向に延びる破線とが交差する位置に配置されており、最外径側と最内径側のみが矩形断面形状で表されている。また、放射方向に1列に並んだスロット収容部51の外側には、それぞれ対応する1〜48のスロット番号が付されている(以後、図16においても同じ)。また、スロット番号の外側には、それぞれのスロットの最外径側(第12層)に、巻回の始端側となる第1スロット収容部51Aが配置される導線の番号が付されている。
各相の巻線を構成する16本の導線50は、8個の同一のスロット31にスロット収容部51が収容される8本の導線50と、それら8個のスロット31とは別の8個の同一のスロット31にスロット収容部51が収容される8本の導線50とに分かれている。例えばU相の場合には、8本の導線(U1−1)〜(U1−4)および(U1−1’)〜(U1−4’)は、外径側から内径側に向かって反時計回りに巻回されて、それぞれのスロット収容部51が、1番スロット、7番スロット、13番スロット、19番スロット、25番スロット、31番スロット、37番スロットおよび43番スロットに収容される。また、他の8本の導線(U2−1)〜(U2−4)および(U2−1’)〜(U2−4’)は、外径側から内径側に向かって反時計回りに巻回されて、それぞれのスロット収容部51が、2番スロット、8番スロット、14番スロット、20番スロット、26番スロット、32番スロット、38番スロットおよび44番スロットに収容される。
なお、図15には、代表として導線(U1−1)の軌跡が示されている。図15において、黒四角で示された部分は導線(U1−1)のスロット収容部51が配置されていることを示し、導線(U1−1)の周方向に延びる太線は、固定子コア30の軸方向一方側(図15の紙面手前側)に位置するターン部52を示し、導線(U1−1)の周方向に延びる二点鎖線は、固定子コア30の軸方向他方側(図15の紙面後側)に位置するターン部52を示す(以後、図16においても同じ)。
この固定子巻線40は、図15に示すように、各スロット31において、8本の導線50のスロット収容部51が径方向に12層、積層された状態になっている。導線(U1−1)は、始端側の第1スロット収容部51Aが1番スロットの最外層(第12層)に位置し、終端側の第12スロット収容部51Lが19番スロットの最内層(第1層)に位置している。
また、固定子巻線40を構成する48本の導線50は、長手方向(周方向)に1スロットピッチずつずれて配置されているので、各導線50の始端側となる第1スロット収容部51Aが、48個の各スロット31の最外層(第12層)に順に収容されている。下記の表1は、1番〜48番の各スロット31において、最外層に位置する導線の番号と、最内層に位置する導線の番号をまとめたものである。
Figure 0005531634
固定子巻線40を構成する導線50は、各導線50の一端側(第1スロット収容部51A側)から他端側(第12スロット収容部51L側)に向かうにつれて、スロット収容部51の固定子コア30の中心軸線Oからの半径距離が順次小さくなっている。本実施形態の場合、各導線50は、ターン部52によって接続されたスロット収容部51同士の固定子コア30の中心軸線Oからの半径方向距離がスロット収容部51の径方向厚み分異なっている。
図16は、固定子巻線40を図15の裏側から見た場合の、1本の導線(U1−4’)の軌跡を示す図である。この導線(U1−4’)は、始端側となる第1スロット収容部51Aが43番スロットの第12層(最外層)に配置され、第2スロット収容部51Bが1番スロットの第11層に配置され、第3スロット収容部51Cが7番スロットの第10層に配置され、第4スロット収容部51Dが13番スロットの第9層に配置され、最終の第12スロット収容部51Lが13番スロットの第1層(最内層)に配置されている。即ち、導線(U1−4’)は、始端側(外径側)から終端側(内径側)に向かうにつれて、スロット収容部51の固定子コア30の中心軸線Oからの半径距離が順次小さくなっている。
よって、固定子コア30の中心軸線Oから、第1スロット収容部51Aまでの半径距離r43と、第2スロット収容部51Bまでの半径距離r1と、第3スロット収容部51Cまでの半径距離r7と、第4スロット収容部51Dまでの半径距離r13は、順次スロット収容部51の径方向厚み分小さくなっており、以後同様に、第12スロット収容部51Lに至るまで、半径距離が順次スロット収容部51の径方向厚み分小さくなっている。すなわち、第1スロット収容部51Aから第12スロット収容部51Lに至るまで、半径距離が順次小さくなるのみで、途中で半径距離が大きくなることはない。
次に、16本の導線50を直列に接続してなる各相巻線43(U、V、W)のうち、代表としてV相の各相巻線43の接続状態を、図14、図17および上記の表1を参照して説明する。なお、U相、W相の各相巻線もV相と同様の接続となっている。
図14において出力線Vの始端に位置する導線(V1−1)は、表1および図17に示すように、始端側の第1スロット収容部51Aが5番スロットの最外層(第12層)に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが23番スロットの最内層(第1層)に配置されている。導線(V1−1)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが17番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが35番スロットの第1層に配置された導線(V1−2)の始端側が接続されている。
導線(V1−2)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが29番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが47番スロットの第1層に配置された導線(V1−3)の始端側が接続されている。導線(V1−3)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが41番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが11番スロットの第1層に配置された導線(V1−4)の始端側が接続されている。導線(V1−4)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが6番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが24番スロットの第1層に配置された導線(V2−1)の始端側が接続されている。
導線(V2−1)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが18番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが36番スロットの第1層に配置された導線(V2−2)の始端側が接続されている。導線(V2−2)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが30番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが48番スロットの第1層に配置された導線(V2−3)の始端側が接続されている。導線(V2−3)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが42番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが12番スロットの第1層に配置された導線(V2−4)の始端側が接続されている。
導線(V2−4)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが48番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが18番スロットの第1層に配置された導線(V2−4’)の始端側が接続されている。導線(V2−4’)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが36番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが6番スロットの第1層に配置された導線(V2−3’)の始端側が接続されている。導線(V2−3’)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが24番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが42番スロットの第1層に配置された導線(V2−2’)の始端側が接続されている。導線(V2−2’)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが12番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが30番スロットの第1層に配置された導線(V2−1’)の始端側が接続されている。
導線(V2−1’)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが47番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが17番スロットの第1層に配置された導線(V1−4’)の始端側が接続されている。導線(V1−4’)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが35番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが5番スロットの第1層に配置された導線(V1−3’)の始端側が接続されている。導線(V1−3’)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが23番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが41番スロットの第1層に配置された導線(V1−2’)の始端側が接続されている。導線(V1−2’)の終端側には、始端側の第1スロット収容部51Aが11番スロットの第12層に配置され、終端側の第12スロット収容部51Lが29番スロットの第1層に配置された導線(V1−1’)の始端側が接続されている。
次に、表1、図12および図17を参照して各導線50の接続状態を説明する。ここでは、代表として2本の導線(V1−1)(V1−2)の接続状態を説明する。一方の導線(V1−1)は、始端側となる第1スロット収容部51Aが4番スロットの最外層(第12層)に配置され、終端側となる第12スロット収容部51Lが23番スロットの最内層(第1層)に配置されている。この導線(V1−1)の終端側に設けられた引出し部53b(内周側端部)は、第12スロット収容部51Lが配置されている23番スロットからターン部52Nの長さ分だけ戻った所(20番スロット付近)に位置している。
そして、他方の導線(V1−2)は、始端側となる第1スロット収容部51Aが17番スロットの最外層(第12層)に配置され、終端側となる第12スロット収容部51Lが35番スロットの最内層(第1層)に配置されている。この導線(V1−2)の始端側に設けられた引出し部53a(外周側端部)は、第1スロット収容部51Aが配置されている17番スロットからターン部52Mの長さ分だけ戻った所(20番スロット付近)に位置している。図7〜図10に示すように、この導線(V1−1)の引出し部53b(内周側端部)は、径方向外方側へ略直角に折り曲げられた後、その先端が、固定子巻線40の外周端部に位置する導線(V1−2)の引出し部53a(外周側端部)の先端部に溶接接合されることにより接続されている。
この溶接接合は、固定子巻線40の最も外径側に位置するターン部52よりも外径側において溶接により接続されている。この場合、導線(V1−1)の引出し部53b(内周側端部)の折り曲げ部は、固定子巻線40の軸方向端面(ターン部52の軸方向外面)上を通る渡り部70を形成しており、2本の導線(V1−1)(V1−2)は、渡り部70を介して接続されている。これにより、内径側に位置するス第12ロット収容部51Lの径方向内方への膨出をより効果的に防止することができるので、内径側に位置する回転子との干渉を回避することが可能となる。
なお、渡り部70は、図3および図9に示すように、渡り部70の径方向両端部が、固定子コア30(固定子巻線40)の中心軸線Oから放射方向に延びる直線に沿って延びるように形成されている。渡り部70の形状をこのようにすることによって、導線の折り曲げを容易にするとともに、溶接接合を容易にすることができる。
また、この渡り部70は、図3および図9に示すように、固定子巻線40の軸方向端面上において、周方向に略3/4周する範囲の領域に設けられている。そして、固定子巻線40の軸方向端面上の残り1/4周する範囲の領域には、中性点V、出力線W、中性点U、出力線V、中性点Wおよび出力線Uの引出し部が順番に並んで設けられている。即ち、固定子巻線40の軸方向端面において、中性点U、V、Wの引出し部と同じ領域に出力線U、V、Wの引出し部が設けられているとともに、渡り部70が設けられる領域と中性点U、V、Wおよび出力線U、V、Wの引出し部が設けられる領域が分離されている。
上記のように構成された固定子巻線40は、外周側から分割コア32が挿入されることによって固定子コア30と組み付けられている(図2〜図4参照)。これにより、固定子巻線40を構成する導線50は、固定子コア30の内周側で周方向に沿って波巻きされた状態に組み付けられている。導線50のターン部52によって接続されたスロット収容部51同士は、所定のスロットピッチ(本実施形態では、3相×2個=6スロットピッチ)だけ離間したスロット31に収容されている。隣り合うスロット収容部51同士を接続するターン部52は、固定子コア30の軸方向の両端面からそれぞれ突出し、その突出している部分によりコイルエンドが形成されている。
(製造方法)
次に、本実施形態の固定子20の製造方法について説明する。本実施形態の固定子20の製造方法は、図18に示すように、導線形成工程101と、成形工程102と、固定子巻線形成工程103と、コア組付工程104とからなる。
最初の導線形成工程101では、図19および図20に示すように、治具を用いて、線材50aに対して、スロット31に収容されるスロット収容部51と、周方向に異なるスロット31に収容されるスロット収容部51同士を接続するターン部52とを形成し、図12に示す導線50を作製する。ここで用いられる治具は、線材50aの幅に相当する距離を隔てて対向配置された第1および第2固定治具81、82と、支軸83aに回転可能に取着され、第1および第2固定治具81、82の間に挟持された線材50aを第1固定治具81側へ屈曲させる回転治具83とを備えている。第1固定治具81は、線材50aが屈曲される際に屈曲部が当接する略直角のコーナ部81aを有する。コーナ部81aは、所定の大きさのアール形状とされている。
この治具により、ターン部52を形成するには、図20(A)に示すように、第1および第2固定治具81、82の間に、線材50aのスロット収容部51となる部分を挟持させて、支軸83aを中心にして回転治具83を第1固定治具81側へ回転させる。なお、第1固定治具81と第2固定治具82の対向方向は、固定子コア30の周方向に相当する(図19参照)。これにより、図20(B)に示すように、回転治具83が線材50aを第1固定治具81のコーナ部81aに押し付け、コーナ部81aのアール形状に沿って屈曲させる。
これにより、スロット31から突出するターン部52の突出箇所(スロット収容部51の延長線上の部位)が、スロット収容部51に対して略直角に屈曲され、ターン部52の突出箇所に、固定子コア30の端面に沿った段部55が形成される。
また、上記の治具を上記と同様に操作して、各ターン部52に、固定子コア30の端面に平行な4個の段部56からなる階段部を形成する。
次の成形工程102では、導線形成工程101で作製した導線50を塑性変形させて、所定の大きさの1周以上の渦巻き状に巻回して巻回体とする。この成形工程102では、図21〜22に示すように、導線50が周方向に略2周する渦巻き状に成形される。図21には巻回体の平面図を示し、図22には巻回体の斜視図を示した。
成形工程102は、図23に成形を行う押圧部材の構成を示した巻回装置9を用いて行われる。巻回装置9は、内周押圧部材91、中間押圧部材92、外周押圧部材93を有している。
内周押圧部材91は、導線50を1周以上の渦巻き状に成形するときの渦巻き状の巻回体の最内周面と当接する押圧部材である。つまり、内周押圧部材91は、巻回体の内周面の形成に寄与する。内周押圧部材91は、中間押圧部材92及び外周押圧部材93との間に配置された導線50を、成形する。
内周押圧部材91は、導線50のスロット収容部51が収容・固定されるスロット収容部規制部911と、ターン部52と当接してターン部52の変形に寄与する曲成形部912と、を備えている。そして、曲成形部912は、軸方向の一方のターン部52を成形する第一曲成形部9121と、他方のターン部52を成形する第二曲成形部9122と、を備えている。内周押圧部材91は、第一及び第二曲成形部9121,9122を、スロット収容部規制部911で接続した構成となっている。
スロット収容部規制部911は、内周押圧部材91の外周面に形成されたスロット収容部51が収容される断面凹字状の空隙を備えた溝条である。この溝条は、固定子巻線40の軸方向に平行にのびている。また、この溝条は、その断面形状が、スロット収容部51の外周形状に対応する形状であり、具体的には、スロット収容部51の外周形状と略一致する形状に形成されている。溝条は、スロット収容部51が収容(嵌合)された状態では、スロット収容部51の変移(ずれ)が生じなくなっている。つまり、溝条に収容された状態のスロット収容部51は、位置が規制される。図25に、スロット収容部規制部911の断面形状を示した。
曲成形部912は、導線50のターン部52と当接し、ターン部52をその外周面にそった形状に成形する。曲成形部912の外周面は、渦巻き状の巻回体を形成できる形状に形成されている。すなわち、固定子巻線40を固定子コア30に組み付けたときに、固定子巻線40が所定の寸法精度を有することができるように予め設定された曲率をなすように、曲成形部912の形状(曲率)が設定されている。
中間押圧部材92は、1周以上の渦巻き状の巻回体を構成する導線50が径方向で重なり合う内周側部と外周側部の間に少なくとも介在し、その内周側に位置する内周壁部と内周押圧部材91との間で、両押圧部材91,92間に位置する導線50の内周側部を押圧して成形する。本実施形態においては、中間押圧部材92は、内周押圧部材91の外周を1周するように形成されている。
また、中間押圧部材92は、導線50の径方向で重なり合う内周側部と外周側部との外周側部の内周面と当接する外周壁部を有している。この外周壁部は、内周壁部と径方向で背向してもうけられている。外周壁部を含む中間押圧部材92の外周面には、内周押圧部材91の外周面と同様に、スロット収容部規制部921F〜Aと、曲成形部922と、が形成されている。
中間押圧部材92は、それぞれが揺動可能な状態で周方向の端部が接続された、複数の中間押圧部材片92A〜Fから形成されている。なお、中間押圧部材片92A〜Fのそれぞれは、揺動可能な状態で接続されていればよく、揺動可能に接続する方法については限定されるものではない。
中間押圧部材92は、内周押圧部材91と同様に、軸方向の一方のターン部52を成形する第一曲成形部9221と、他方のターン部52を成形する第二曲成形部9222と、を備えている。中間押圧部材92は、第一及び第二曲成形部9221,9222を、スロット収容部規制部921で接続した構成となっている。
曲成形部922の外周面は、内周押圧部材91の曲成形部912と同様に、固定子巻線40を固定子コア30に組み付けたときに、固定子巻線40が所定の寸法精度を有することができるように予め設定された曲率をなすように、曲成形部912の形状(曲率)が設定されている。
外周押圧部材93は、中間押圧部材92の外周面との間で、導線50を成形する。外周押圧部材93は、複数の外周押圧部材片93A〜Fから形成される。
本実施形態において、内周押圧部材91,中間押圧部材92,外周押圧部材93の導線50と当接して押圧する押圧面には、ターン部52を成形するときに、ターン部52のクランク部54の段差に対応した形状を有する段差規制部94が形成されている。この段差規制部94は、その形状から成形時にクランク部54の位置を規制する。ここで、段差規制部94は、成形時にクランク部54の位置を規制できる形状であれば限定されるものではない。本実施形態において段差規制部94は、中間押圧部材92の中間押圧部材片92A〜F及び外周押圧部材93の外周押圧部材片93A〜Fのそれぞれが周方向で接続される接続部にもうけられている。
本実施形態において、内周押圧部材91,中間押圧部材92,外周押圧部材93の導線50と当接する押圧面のそれぞれは、予め設定された曲率をなすように形成されている。具体的には、ターン部52A〜K,M〜Nのそれぞれに対応した各押圧部材91,92,93の押圧面は、湾曲形状の半径及び中心点が一致していない。より具体的には、巻回体において、ターン部52A〜Kのそれぞれには、クランク部54A〜Kが設けられており、ターン部52に接続されるふたつのスロット収容部51,51の径方向での位置は、異なっている。すなわち、一つのターン部52においては、クランク部54から一方のスロット収容部51までの曲率と、他方のスロット収容部51までの曲率と、が異なる。例えば、ターン部52Kにおいて、ターン部54Kからスロット収容部51Kまでの曲率と、ターン部54Kからスロット収容部51Lまでの曲率とが異なっている。このような形状に成形するためには、対応した押圧面がそれぞれ異なる曲率を持つことが求められる。そして、異なる曲率を持つように各押圧部材91,92,93の押圧面が形成されている。各押圧部材91,92,93の押圧面は、湾曲形状の半径及び中心点(湾曲形状の中心)が異なっている。図24(A),(B)に示す様に、巻回装置9で導線50を成形している状態で押圧面の各曲率中心を示すとそれぞれが異なる位置にあるとともに略正六角形を形成する。なお、図24(A)には、各押圧部材91〜93により成形されている状態(図23に示した状態)での巻回体の周方向にのびる部分のそれぞれの曲率中心を、図24(B)には、図24(A)の中心近傍の拡大図を示した。なお、曲率とは、周方向にそって湾曲した湾曲部の中心までの径(r)の逆数(1/r)を示す。
本実施形態において、固定子巻線40を固定子コア30に組み付けた状態での曲率に対して、成形工程時の曲率と、の比を曲率比とすると、導線50の成形時の最外径側に位置する部分の曲率比は、最内径側に位置する部分の曲率比よりも大きくなっている。具体的には、成形後のスロット収容部51Lに接続するターン部52K,N、及びスロット収容部51Aに接続するターン部52A,Mの成形時の曲率比を比較すると、ターン部52K,Nの曲率比よりも、ターン部52A,Mの曲率比の方が大きくなっている。より具体的には、図21に示した様に、固定子巻線を形成したときの最内径側に位置するターン部52K,Nの曲率をaとしたときの、成形工程時のターン部52K,Nの曲率は1.21aであり、曲率比は1.21となっている。そして、最外径側に位置するターン部52A,Mの曲率をbとしたときの、成形工程時のターン部52A,Mの曲率は1.26bであり、曲率比は1.26となっている。
そして、導線50のターン部52A〜Kの曲率比は、最内径側(52K,N)から最外径側(52A,M)にかけて徐々に変化している。なお、これらの数値は、本実施形態における一例であり、例えば最内径側(52K,N)の曲率比を1.20〜1.22とし、最外径側(52A,M)の曲率比を1.25〜1.27としても同様の効果が得られる。また、これらの数値は、本実施形態を示す一例であり、製造される固定子巻線の材料や寸法等の条件により適宜設定することができる。
巻回装置により導線50を1周以上の渦巻き状に巻回して巻回体とする巻回方法について説明する。
まず、導線50のスロット収容部51のうち、固定子巻線40を形成したときに最内周に位置するスロット収容部51Lを、内周押圧部材91のスロット収容部規制部911Lの断面凹字状の溝条に挿入・保持する。スロット収容部51Lがスロット収容部規制部911Lに挿入・保持された状態は、図25に示した。図25に示したように、スロット収容部51Lは、スロット収容部規制部911Lに固定されて位置が規制されており、周方向や径方向内方へのずれやねじれといった変位が規制されている。図26に、スロット収容部51Lがスロット収容部規制部911Lに保持された状態の内周押圧部材91を示した。
そして、スロット収容部51Lの変位が規制された状態で、このスロット収容部規制部911L(に固定されたスロット収容部51L)に対応した中間押圧部材片92Aを、スロット収容部規制部911Lの径方向外方に配置した後に、径方向内方に変位して内周押圧部材91に押圧して導線50を成形する。このとき、中間押圧部材92のスロット収容部規制部921の内周壁部と内周押圧部材91のスロット収容部規制部911Lとで、スロット収容部51Lが径方向外方に変位することが規制される。なお、スロット収容部51Lは、スロット収容部規制部911Lの溝条に嵌入しており、径方向内方及び周方向への変位が規制されている。つまり、中間押圧部材片92Aと内周押圧部材91のスロット収容部規制部911Lとで、スロット収容部51Lの位置がねじれを含めて完全に規制されている。
中間押圧部材片92を径方向内方に変移していくと、スロット収容部規制部921Lの軸方向の一端側にもうけられた第一曲成形部9221Aはターン部52Nを、他端側にもうけられた第二曲成形部9222はターン部52Lを、押圧して成形する。この押圧により、ターン部52Kのクランク部54Kからスロット収容部51Lまで及びターン部52Nが成形される。
そして、中間押圧部材片92Aを径方向内方に変移していくと、中間押圧部材片92Aに接続された中間押圧部材片92Bが連続して内周押圧部材91の周方向に沿うように(中間押圧部材92が内周押圧部材92に巻き付くように)変移して、中間押圧部材片92Bが導線50を押圧するようになる。
図23に示したように、中間押圧部材片92Bの内周壁部は、中間押圧部材片92Aの内周壁部と径方向での位置がずれて形成されており、二つの中間押圧部材片92A,92Bの接続部がクランク部54Kの位置を規制する段差規制部94となっている。つまり、中間押圧部材片92Aが導線50を成形している状態(完全に内周押圧部材91を押圧した状態)では、中間押圧部材片92Bが中間押圧部材片92Aに接続されていることから、クランク部54Kの位置が段差規制部94により最初に規制される。そして、中間押圧部材片92Bをさらに内周押圧部材91に押圧すると、ターン部52Kに接続されたスロット収容部51Kが、内周押圧部材91のスロット収容部規制部911Kに収容・固定される。このとき、ターン部52Kは、その中央(周方向の中央)に位置するクランク部54Kからスロット収容部51までの位置が、中間押圧部材片92Aにより規制されており、ターン部52Kに接続するスロット収容部51Kは、スロット収容部規制部911Kに簡単に挿入・固定できた。
上記の中間押圧部材片92A〜Bでの成形と同様の工程を繰り返して、中間押圧部材片92Fまでを用いて導線50を1周分成形する。つまり、スロット収容部51Gまでを成形する。図27に、中間押圧部材92が内周押圧部材91の外周を一周した状態を示した。
図27に示したように、中間押圧部材92が内周押圧部材91の外周を一周した状態では、スロット収容部51A〜Fが、中間押圧部材92の径方向外方(外周側)に位置する。外周押圧部材93の外周押圧部材片93A〜Fのうち、スロット収容部51Fに対応した外周押圧部材片93Aを、スロット収容部51Fの径方向外方に配置し、径方向内方に変移させて、中間押圧部材92の外周壁部との間で、スロット収容部51F及びターン部52E,Fを成形する。ここで、中間押圧部材92の外周壁部にも、内周押圧部材91の外周面と同様に、導線50を所定の形状に成形できるように形成されており、ターン部52Fも所定の形状(所定の寸法精度の渦巻き状)に成形される。
スロット収容部51F及びターン部52E,Fの成形時には、スロット収容部51Fが中間押圧部材92のスロット収容部規制部921の外周面に形成されたスロット収容部51Fが収容されるスロット収容部規制部921Fに挿入・保持され、位置が規制される。図28〜29に、外周押圧部材片93Aが中間押圧部材92との間で導線50を成形している状態を示した。
上記の外周押圧部材片93Aでの成形と同様の工程を繰り返して、外周押圧部材片93Fまでを用いて導線50を1周分成形する。つまり、スロット収容部51F〜Aを、外周押圧部材片93A〜Fを順次用いて成形する。図30に、外周押圧部材93が中間押圧部材92との間で導線50を成形している状態を示した。図30に示したように、導線50のターン部52F〜Aまでの部分(外周側部571)は、ターン部52K〜Gまでの部分(内周側部570)と径方向で重なり合っている。
成形後に、各押圧部材91〜93から取り外して、渦巻き状の導線50の巻回体が得られた。
次の固定子巻線形成工程103では、成形工程102で渦巻き状に成形された48本の導線50を互いに軸方向に相対移動させて組み付け、円筒状の固定子巻線40を形成する。この工程での導線50の組付けは、例えば図31に示すように、複数の導線50を所定の状態に組み付けてなる1つの導線集合体50bに対して1本の導線50を軸方向に相対移動させることにより行う。この場合、導線50および導線集合体50bは、弾性変形範囲内において径方向に変形させた状態にされており、それらを軸方向に相対移動させる際に、導線50の干渉が少なくなるようにして軸方向への相対移動がより円滑且つ容易になるようにされている。
以上のようにして48本の導線50の組付けを行った後、所定の導線50の引出し部53a、53bを溶接で接続することにより、図7〜図10に示す固定子巻線40が得られる。この固定子巻線40は、48本の導線50を互いに軸方向に相対移動させることにより組み付けられているので、スロット収容部51の位置ずれや固定子巻線40の形くずれ等の発生が回避されている。
次のコア組付工程104では、固定子巻線形成工程103で形成された固定子巻線40と固定子コア30との組付けを行う。この場合、円筒状に形成された固定子巻線40に対して、所定数の分割コア32を外周側から挿入して円環状に組み付けることで、図2〜図4に示す固定子20が完成する。
以上のように、本実施形態によれば、固定子巻線の製造時に導線50の曲率比が、内周のターン部52Kよりも最外周のターン部52Aの方が大きくなるように設定している。このように曲率を設定することで、最内周のターン部52Kには、径方向外方に広がる方向の力が発生する。そして、最外周のターン部52Aには、径方向外方に広がる方向の力を抑える力が発生する。すなわち、最内周のターン部Kには径方向外方に広がる方向の(成形後の変形に起因する)応力が発生するが、最外周のターン部52Aに発生する(成形後の変形に起因する)応力が相対的に小さく、この応力を抑える。この結果、固定子巻線40には常に外周側から内径側に押さえる力が発生して固定子巻線40が径方向に広がることが抑えられた。さらに、各スロット収容部51の位置ずれも抑えられ、製造時のハンドリング性も向上した。このように、本実施形態において製造された固定子巻線40は、スロット収容部51の位置ずれが生じなくなっており、この固定子巻線40を用いた回転電機は、スロット収容部51の位置ずれに基づく不具合の発生が抑えられたものとなっている。
本実施形態によれば、各ターン部51の曲率が、最内周から最外周にかけて徐々に変化しており、巻回体が径方向内方から外方に向かって広がる方向の(成形後の変形に起因する)応力が徐々に変化する構成となっている。このため、この成形後の変形に起因する応力が固定子巻線40の一部に集中しなくなり、固定子巻線40の変形が抑えられたものとなった。さらに、径方向で重なり合うターン部51同士の間の応力差が小さくなり、内径側から外径側まで径方向に並んだ導線50全体で応力を緩和でき、固定子巻線40が広がることが抑えられた。
本実施形態によれば、最内周と最外周以外のターン部を同じ曲率比で成形したことで、最内周のターン部52K,最外周のターン部52A,それ以外のターン部52B〜Jの3つの曲率比を設定することができ、簡単に成形後の変形が見込まれた巻回体を製造することができた。
本実施形態によれば、ターン部52においてクランク部54がスロット収容部51から最も離れた形状である対称な形状に形成されている。また、ターン部52が階段状に形成されている。これによると、ターン部52が階段状に成形されることで、固定子巻線40のスロット収容部51(固定子コア30の端面)からの突出量を小さくすることができ、本発明の製造方法により製造された固定子巻線を小型化することができた。
本実施形態によれば、ターン部52が径方向位置を変化させるクランク部54を有していても、スロット収容部51を規制した状態で成形しており、スロット収容部51の位置ずれが抑えられた固定子巻線を製造することができた。
本実施形態によれば、スロット収容部51を押圧部材91,92に固定した状態で成形を行うことで、成形時のスロット収容部51の位置が規制され、この状態で押圧部材91,92に押圧することでスロット収容部51の位置のずれが抑えられた固定子巻線40を製造できた。
また、本実施形態によれば、スロット収容部51の位置を規制するスロット収容部規制部911,921を有する製造装置を用いて固定子巻線40を製造している。これによると、スロット収容部規制部911,921でスロット収容部51の位置を規制した状態でターン部52を成形しており、ターン部51が成形された成形体(巻回体)では、スロット収容部51が変移を生じなくなっている。すなわち、スロット収容部51とターン部52とを同時に成形することで、スロット収容部52の位置ずれの発生を抑えることができた。
本実施形態において固定子巻線40を製造する製造装置は、上記した製造方法による各効果を達成できた。
さらに、本実施形態において固定子巻線40を製造する製造装置は、押圧部材91,92が、第一及び第二曲成形部9121,9122,9221,9222を、スロット収容部規制部911,921で接続した構成となっていることで、それぞれの曲成形部の相対位置を簡単な構造で固定できた。加えて、中間押圧部材92を、このような構成とすることで、中間押圧部材片92A〜Fを軽量化することができ、押圧のための変移を簡単に行うことができた。
1:回転電機
20:固定子
30:固定子コア 30a:端面
31:スロット
40:固定子巻線 43:各相巻線
45:導線集積体
50:導線 51:スロット収容部
52:ターン部 53a:引出し部(外周側端部)
53b:引出し部(内周側端部)
54:クランク部 55、56:段部
570:内周側部 571:外周側部
67:導体 68:絶縁皮膜
70,70B:渡り部
81:第1固定治具 82:第2固定治具
83:回転治具
9:巻回装置 91:内周押圧部材
92:中間押圧部材 93:外周押圧部材
911,921:スロット収容部規制部
912,922:曲成形部
94:段差規制部

Claims (8)

  1. 複数のスロット収容部と、隣接する二つの該スロット収容部を接続するターン部と、を有する導線の成形体を、複数の該ターン部が周方向に沿って渦巻き状に1周以上巻回された巻回体を有する固定子巻線、及び、該スロット収容部を周方向に設けられるスロット内に収容する固定子コアを有する回転電機の固定子の製造方法であって、
    該巻回体を、該ターン部が成形後の変形を見込んで予め決められた曲率をなすように、該導線と当接する押圧面のそれぞれが予め設定された曲率をなすように形成されているとともに、該巻回体の最内周面と当接する内周押圧部材,該巻回体の該導線が径方向で重なり合う内周側部と外周側部の間に介在する中間押圧部材,該巻回体の最外周面と当接する外周押圧部材で成形する巻回成形工程を有し、
    該固定子巻線を該固定子コアに組み付けた後の曲率に対する該巻回成形工程時の曲率比は、最内周の該ターン部よりも最外周の該ターン部の方が大きいことを特徴とする回転電機の固定子の製造方法。
  2. 前記導線の各前記ターン部の曲率は、前記最内周から前記最外周にかけて徐々に変化している請求項1に記載の回転電機の固定子の製造方法。
  3. 前記導線の各前記ターン部の曲率比は、最内周と最外周以外の前記ターン部においては一定である請求項1に記載の回転電機の固定子の製造方法。
  4. 前記ターン部は、軸方向での位置が異なる部分を有する請求項1〜3のいずれかに記載の回転電機の固定子の製造方法。
  5. 前記ターン部は、その中央部が前記スロット収容部からもっとも離れた形状に形成されている請求項4記載の回転電機の固定子の製造方法。
  6. 前記ターン部は、階段状に成形されている請求項4〜5のいずれかに記載の回転電機の固定子の製造方法。
  7. 前記ターン部は、前記固定子巻線を形成したときに、接続する二つの前記スロット収容部の径方向位置を変化させるクランク部を有する請求項1〜6のいずれかに記載の回転電機の固定子の製造方法。
  8. 前記スロット収容部を成型ダイに固定した状態で、前記ターン部を該成型ダイに押圧して前記固定子巻線を巻回する請求項1〜7のいずれかに記載の回転電機の固定子の製造方法。
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