JP5531140B2 - 警報器 - Google Patents

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Description

本発明は、火災などの異常を検出して警報すると共に他の警報器に信号を無線送信して警報を連動出力させる警報器に関する。
本願は、2008年5月1日に出願された日本国特許出願第2008−119583号および2008年5月15日に出願された日本国特許出願第2008−128182号に対して優先権を主張し、これらの内容をここに援用する。
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異常を検出して警報する住宅用警報器(以下「警報器」という)が普及しており、近年にあっては、1つの住戸に複数の警報器を設置して部屋毎に火災などの異常を監視する傾向も増加している(例えば、下記特許文献1参照)。
このように、住戸内に複数台の警報器を設置した場合、異常が発生した部屋とは別の部屋に人がいた場合、その人に警報音が聞こえない虞がある。このため、各警報器同士を有線接続し、ある警報器で火災を検出して警報を発した場合、この警報器から他の警報器に警報信号を送って同時に警報させる連動警報ができるようにしたものが提案されている。
しかしながら、各警報器同士を有線接続するには有線工事が必要となるため、コストが高くなる問題がある。この問題は、無線式の警報器を採用することで解消可能である。しかも、最近の無線回路用ICは低消費電力化されているため、他の警報器からの警報信号を受信可能とするために常時受信可能な動作状態としても、たとえば5年を超えるような、実用に耐える電池寿命が保証されている。よって、無線式の警報器を実用化する環境が整いつつある。
無線式の警報器にあっては、他の警報器からいつ異常を示す信号が送信されるのかがわからないため、いつでも信号を受信できるように受信回路部を待機動作状態にしておく必要がある。しかし、これでは消費電力が大きくなるため、所定の受信周期毎に間欠的に受信動作を行うようにしている。
このような間欠受信動作により、常時、受信回路部を待機動作状態とする必要がなくなるため、受信回路部の消費電流が低減して、無線式警報器であっても5年を超える電池寿命を保証することができる。
この間欠受信方式では、例えば、10秒間隔で受信回路部を動作してキャリアセンスを行う。キャリアがあった場合、信号受信に必要な一定時間だけ受信動作を継続してから休止モードとし、一方、キャリアがなかった場合には直ちに休止モードに入るようにしている。
このようなキャリアセンスによる間欠受信にあっては、キャリアセンス時間の短縮が消費電流の低減に有効であり、高速のPLLシンセサイザなどを利用することにより、キャリアセンスの所要時間を1ミリ秒前後に短縮して、消費電流の削減が図られている。
特開2007−094719号公報
従来の警報器における間欠受信動作のためのキャリアセンスにあっては、キャリアの有無を判別するためのキャリアセンス閾値を固定設定していた。そのため、警報器を設置した場所の電波環境が悪い場合、ノイズ成分をキャリアと判断して一定時間受信動作を継続させてしまうことがあり、キャリアが存在しないにもかかわらず休止モードとならないため、余分な電流を消費し、電池寿命を低減してしまう問題がある。
そこで、本発明は、キャリアセンスを伴う間欠受信において、消費電流の低減ができる警報器の提供を目的とする。
本発明は、上記課題を解決して係る目的を達成するために以下の手段を採用した。
本発明の一態様に係る警報器は、異常を検出した場合に異常検出信号を出力するセンサ部と;前記異常検出信号に基づき異常警報を出力する報知部と;所定の受信周期毎に間欠的に受信動作を行って他の警報器からイベント信号を受信する受信回路部と;前記受信周期以上の送信時間に亘って前記イベント信号を前記他の警報器に送信する送信回路部と;前記センサ部が異常を検出したときに、前記異常検出信号に基づき前記報知部に前記異常警報を出力させ、かつ、前記送信回路部に、前記警報器の異常に係るイベント信号を前記他の警報器へ送信させ、一方、前記他の警報器からの前記他の警報器の異常に係るイベント信号を前記受信回路部が受信したときに、前記報知部に前記異常警報を出力させる異常監視部と;イベント信号を受信してキャリア信号強度を測定するキャリア信号強度測定部と;前記受信回路部の前記受信動作の開始時に、前記キャリア信号強度測定部にキャリア信号強度を測定させ、測定されたキャリア信号強度が所定のキャリアセンス閾値未満の場合には前記受信回路部の前記受信動作を休止させる一方、前記測定されたキャリア信号強度が前記キャリアセンス閾値を越えた場合には前記受信回路部の前記受信動作を所定時間に亘って行わせる間欠受信制御部と;前記受信回路部の前記受信動作の開始時に測定された前記キャリア信号強度に基づいて前記キャリアセンス閾値を求めることにより、前記所定のキャリアセンス閾値を適宜変更可能とする、キャリアセンス閾値設定部と;を備え
上記の態様に係る警報器では、高低2つのキャリア信号強度の値を、前記キャリアセンス閾値の候補として予め設定可能であり、設定された2つのキャリアセンス閾値の候補のいずれか一方を選択して前記キャリアセンス閾値として設定するキャリアセンス閾値選択部をさらに備えてもよい。
上記の態様に係る警報器では、前記キャリアセンス閾値設定部が、所定期間に亘って前記電波強度測定部により測定されたキャリア信号強度の平均値に基づいて前記キャリアセンス閾値を求めてもよい。
本発明の一態様に係る警報器は、警報器の設置場所が、ノイズ成分が多いといった電波環境の悪い場合に、使用者によるスイッチなどの選択操作により、予め設定されている高低2つのキャリアセンス閾値のうちの高い方のキャリアセンス閾値を選択して、間欠受信制御部に設定する。これにより、キャリア周波数帯域にノイズが多くて電波環境が悪い場合であっても、キャリアセンス閾値を高く設定するため、ノイズ成分をキャリアとして検出しない。そのため、受信動作の継続を防止し、余計なキャリアセンスを行わずに確実に休止モードに入ることができるので、間欠受信における消費電流を低減し、電池寿命を延ばすことができる。
さらに、受信したイベント信号のキャリア信号強度から自動的にキャリアセンス閾値を設定したことで、警報器の設置場所の電波環境に適合した最適なキャリアセンス閾値を設定できる。そのため、ノイズ成分による余計なキャリアセンスを行わずに確実に休止モードに入ることができるので、より電池寿命を延ばすことができる。
図1Aは、本発明の第1の実施形態に係る警報器の外観を示す正面図である。 図1Bは、同警報器の外観を示す側面図である。 図2は、住宅に警報器を設置した状態を示す説明図である。 図3は、同警報器を用いた警報システムのブロック図である。 図4は、同実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示す説明図である。 図5は、図3のCPUによる同実施形態での火災監視処理を示すフローチャートである。 図6は、図3のCPUによる他の実施形態での火災監視処理を示すフローチャートである。 図7は、図3のCPUによる他の実施形態での火災監視処理を示すフローチャートである。 図8Aは、本発明の第2の実施形態に係る警報器の外観を示す正面図である。 図8Bは、同実施形態に係る警報器の外観を示す側面図である。 図9は、住宅に警報器を設置した状態を示す説明図である。 図10は、同警報器を用いた警報システムのブロック図である。 図11は、同実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示す説明図である。 図12は、同実施形態における間欠受信動作を示すタイムチャートである。 図13は、キャリアセンスを行わずに休止モードに入る場合の間欠受信動作を示すタイムチャートである。 図14は、図10のCPUによる同実施形態での火災監視処理を示すフローチャートである。 図15は、図10のCPUによる同実施形態での間欠受信処理を示すフローチャートである。 図16は、本発明の他の実施形態に係る警報器を用いた警報システムのブロック図である。 図17は、図16のCPUによる他の実施形態での間欠受信処理を示すフローチャートである。
(第1実施形態)
図1A及び図1Bは本発明の第1実施形態に係る無線式の警報器の外観を示し、図1Aが正面図を、図1Bが側面図を示している。
図1A及び図1Bにおいて、本実施形態の警報器10は、カバー12と本体14とを備えている。カバー12の中央には、煙流入口となる開口が周囲に形成された検煙部16が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出する。
図1Aに示すように、カバー12の検煙部16の左下側には、音響孔18が設けられている。この音響孔18の背後にはスピーカが内蔵され、この音響孔18を通して警報音や音声メッセージを出力する。検煙部16の下側には、警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20は、点検スイッチとしての機能を兼ねている。
警報停止スイッチ20の内部には、点線で示すようにLED22が配置されている。LED22が点灯すると、警報停止スイッチ20のスイッチカバーの部分を透過してLED22の点灯状態が外部から認識できる。
本体14の裏側上部には取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビス(不図示)などをねじ込み、このビスに取付フック15を取り付けることで、壁面に警報器10を設置できる。
なお、図1A及び図1Bに示す警報器10は、火災による煙を検煙部16で検出する構成を例示しているが、この他、火災による熱を検出するサーミスタを備えた警報器や、火災以外にガス漏れを検出する警報器についても、本発明の対象に含まれる。
図2は、本実施形態の警報器を住宅に設置した状態を示す説明図である。図2の例では、住宅24の台所、居間、主寝室、子供部屋のそれぞれに本実施形態の警報器10−1〜10−4が設置され、更に屋外に建てられたガレージ26にも警報器10−5が設置されている。
警報器10−1〜10−5のそれぞれは、イベント信号を相互に無線により送受信する機能を備えており、5台の警報器10−1〜10−5で1つのグループを構成して、この住宅24全体の火災監視を行っている。
住宅24の例えば子供部屋で火災が発生した場合、警報器10−4が火災を検出して警報を開始する。この火災を検出して警報を開始することを、警報器における「発報」と呼ぶ。警報器10−4が発報すると、警報器10−4は連動元として機能し、連動先となる他の警報器10−1〜10−3,10−5に対し、火災発報を示すイベント信号を無線により送信する。他の警報器10−1〜10−3,10−5は、連動元の警報器10−4からの火災発報を示すイベント信号を受信すると、連動先としての警報動作を行う。
連動元となった警報器10−4の警報音として、例えば音声メッセージにより「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」が連続して出力される。一方、連動先の警報器10−1〜10−3,10−5には、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージが連続して出力される。警報器10−1〜10−5が警報音を出している状態で、図1Aに示した警報器に設けられている警報停止スイッチ20を操作すると、警報音の停止処理が行われる。
また、警報器10−1〜10−5は、障害監視機能を備えており、障害を検知すると、例えば「ピッ」といった警報音を所定時間置きに間欠的に出力し、障害が発生したことを報知する。また、障害を検出した障害元の警報器は、他の警報器に障害発生を示すイベント信号を無線送信し、他の警報器においても同じ障害警報が出力される。この結果、任意の警報器で障害が検出されると、連動警報を行うグループを構成している全ての警報器から障害警報が出力される。
警報器から出力されている障害警報は、警報停止スイッチ20を操作することにより停止させることができる。本実施形態において、警報器で検出されて警報する障害とは、電池電圧の低下を検出して警報するローバッテリー警報が主なものであり、この他に、検煙部などのセンサ障害などの障害警報が含まれる。
図3は本実施形態の警報器の構成を示すブロック図である。図3は、図2に示した5台の警報器10−1〜10−5のうち、警報器10−1について回路構成を詳細に示している。
警報器10−1は、CPU28を備えている。また、このCPU28に対応して、アンテナ31を備えた無線回路部30と、記録回路部32と、センサ部34と、報知部36と、操作部38と、電池電源40とをさらに備えている。
無線回路部30には、送信回路42と、受信回路44と、が備えられ、他の警報器10−2〜10−5との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線回路部30としては、日本国内の場合には例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備の標準規格)、またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を採用するのが好ましい。
もちろん、無線回路部30としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した構成を採用するのが好ましい。
受信回路44は、間欠受信動作を行っている。受信回路44の間欠受信動作は、例えばT1=5ミリ秒の受信動作時間に続いて、例えばT2=10秒の休止時間を置く周期T12(=T1+T2)の間欠受信となる。この間欠受信に対応して、送信回路42は、イベント信号を間欠受信周期T12(=T1+T2)以上となるT4時間に亘り連続的に送信する。
更に、本実施形態の送信回路42および受信回路44は、CPU28からの制御指示により、送信動作および受信動作を停止できる。
記録回路部32にはメモリ46が設けられている。メモリ46には警報器を特定するID(識別子)となる送信元符号50と、図2のように複数の警報器で連動警報を行うグループを構成するためのグループ符号52とが格納されている。送信元符号50は、国内に提供される警報器の数を予測し、例えば同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用される。
グループ符号52は、グループを構成する複数の警報器に共通に設定される符号であり、無線回路部30で受信した他の警報器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ46に登録しているグループ符号52に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理する。
なお、本実施形態では、記録回路部32にメモリ46を使用しているが、メモリ46の代わりにディップスイッチを設けて、このディップスイッチにより送信元符号50やグループ符号52を設定してもよい。送信元符号50やグループ符号52の符号長(ビット数)が少ない場合には、ディップスイッチを用いた記録回路部32が望ましい。
本実施形態は、センサ部34に検煙部16が設けられ、煙濃度に応じた煙検出信号をCPU28に出力している。センサ部34には、検煙部16以外に、火災による温度を検出するサーミスタを設けてもよい。また、ガス漏れ監視用の警報器の場合には、センサ部34にガス漏れセンサが設けられる。
報知部36には、スピーカ58とLED22とが設けられている。スピーカ58は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音を出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常及び障害を表示する。
操作部38には、警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20を操作すると、警報器10−1から流している警報音を停止させることができる。警報停止スイッチ20は、本実施形態では点検スイッチを兼用している。
警報停止スイッチ20は、報知部36からスピーカ58により警報音を出力しているときに有効となる。一方、警報音を出力していない通常監視状態では、警報停止スイッチ20が点検スイッチとして機能し、点検スイッチを押すと、報知部36から点検用の音声メッセージなどが出力される。
電池電源40は、例えば所定セル数のアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては警報器10−1における無線回路部30を含む回路部全体の低消費電力化により、約10年の電池寿命を保証している。
CPU28には、プログラムの実行により実現される機能として、異常監視部60及び通信制御部62が設けられている。
異常監視部60は、センサ部34の検煙部16からの煙検出信号が火災レベルを超えて火災を検出したときに、報知部36のスピーカ58から連動元を示す警報音である音声メッセージとして、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、火災発報を示すイベント信号を無線回路部30の送信回路42によりアンテナ31から他の警報器10−2〜10−5に向けて送信させる。
異常監視部60は、他の警報器10−2〜10−5のいずれかから火災発報を示すイベント信号を無線回路部30の受信回路44により受信したときに、報知部36のスピーカ58から連動先を示す警報音として、例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました確認してください」との音声メッセージを連続的に出力させる。
ここで、異常監視部60で火災発報を検出して連動元警報音を出すときには、報知部36のLED22を例えば明滅させる。一方、連動先警報音を出す場合には、報知部36のLED22を点滅させる。これによって、連動元警報と連動先警報とにおけるLED22の表示を区別できるようにしている。もちろん、連動元警報と連動先警報のいずれについても、同じLED22の明滅または点滅表示であってもよい。
また異常監視部60は、電池電源40の電圧低下によるローバッテリーを障害として検出した時に、例えば1分に1回、「ピッ」といった短いローバッテリー警報音を出すことにより障害警報音を出力させると共に、障害を示すイベント信号を他の警報器10−2〜10−5に送信する。
ローバッテリーの検出は、電池電圧が警報器として例えば72時間に亘り正常に機能可能な限界電圧に低下したときに検出される。
また、異常監視部60は、他の警報器10−2〜10−5のいずれかからローバッテリーを示すイベント信号を受信した時に、ローバッテリー警報音を同様に間欠的に出すことにより、障害警報音の連動出力を行う。このローバッテリーの連動先での警報については、警報音に同期してLED22を点滅させても良い。
通信制御部62は、所定の事象を検出した場合に、無線回路部30による送受信動作を停止させる。無線回路部30の送受信動作を停止させる所定の事象には例えば次のものがある。
(1)電池電圧が所定値以下に低下するローバッテリー、
(2)所定の機器故障、送受信回路部の異常、
(3)他の警報器からの無線通信の異常、
(4)他の警報器からの定期通報の停止、又は、
(5)他の警報器からの無線電波の低下
これらの無線回路部30の送受信動作を停止させる所定の事象は、(1)のローバッテリーの他は、連動警報を行うための無線通信系の障害を検出する場合である。
また、(4)については、本実施形態の警報器10−1〜10−5に定期通報機能を設ける必要がある。定期通報機能では、警報器10−1〜10−5の各々が所定時間毎に、例えば24時間に一回、ランダムにずらしたタイミングで定期通報のイベント信号が送信される。24時間以内に予め登録している同じグループに属する他の警報器からの定期通報のイベント信号を受信した場合、正常と判断する。一方、例えば25時間を経過しても、定期通報のイベント信号を全く受信できなった場合、定期通報の停止と判断する。
通信制御部62による無線回路部30の送受信動作の停止制御として、無線回路部30に対応する電池電源40からの電源ラインにスイッチング回路を設け、スイッチング回路をCPU28からの制御信号によりオフして電源供給を停止することで、送信回路42の動作及び受信回路44の間欠受信動作を停止させる。
このような(1)〜(5)のいずれかの所定の事象を検出した時の無線回路部30の送受信動作の停止により、それ以降、受信回路44は間欠受信動作を行わないため、その分の電池電源40の消費電流を低下できる。また、火災や障害が発生しても、送信回路42によるイベント信号の送信動作も行われないため、その分の電池電源40の消費電流を低下できる。また、無線回路部30の送受信動作の停止に伴い警報器10−1は、無線通信による連動警報はできなくなるが、単独の警報器としては設置場所の火災を継続して監視することができ、無線回路部30の送受信動作の停止による消費電流を低下できる。そのため、送受信動作を維持した場合に比べ、より長い電池寿命を確保できる。
図4は、本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示す説明図である。図4に示すようにイベント信号48は、送信元符号50と、グループ符号52と、イベント符号54とで構成されている。送信元符号50は例えば26ビットの符号である。また、グループ符号52は、例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図3の5台の警報器10−1〜10−5につき同じグループ符号が設定されている。
なお、グループ符号52としては、同一グループの各警報器に同一のグループ符号を設定するが、この他、予め定めたグループを構成する各警報器に共通な基準符号と、各警報器に固有な送信元符号との演算から求めた各警報器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
イベント符号54は、火災、ガス漏れなどの異常や障害といったイベント内容を表す符号である。本実施形態では、3ビット符号を使用しており、例えば「001」で火災、「010」でガス漏れ、「011」で障害、残りをリザーブとしている。
なお、イベント符号54のビット数は、イベントの種類が増加したときには更に4ビット、5ビットと増加させることで、複数種類のイベント内容を表すことができる。
図5は、図3の警報器10−1に設けられたCPU28による火災監視処理を示すフローチャートである。まず、警報器の電池電源を有効(オン)にすると、ステップS1において、初期化処理が行われる。この初期化処理には他の警報器10−2〜10−5との間で連動警報のグループを構成するためのグループ符号の設定が含まれる。
続いて警報器が監視状態に入り、ステップS2において、予備異常が検出されたか否かを判別する。具体的には、センサ部34の検煙部16からの煙検出信号が、所定の火災レベルを超えるか否かで火災発報の有無を判別する。
ステップS2において、火災発報が判別された場合、ステップS3に進む。ステップS3において、火災発報のイベント信号を他の警報器10−2〜10−5に送信した後、ステップS4において、火災警報が連動元の各警報器10−2〜10−5の報知部36のスピーカ58から音響出力され、LED22が点灯制御される。
連動元の各警報器10−2〜10−5が火災警報を行った後、ステップS5において、警報停止スイッチ20による警報停止操作の有無を判別する。そして、警報停止操作があれば、ステップS6で警報停止を行う。
一方、ステップS2で火災発報が判別されない場合、ステップS7において、他の警報器10−2〜10−5からの火災発報のイベント信号の受信の有無をチェックする。火災発報のイベント信号の受信を判別した場合、ステップS8で連動先の火災警報を出力し、ステップS5に進む。そして、ステップ5において、警報停止操作があれば、ステップS6で警報を停止する。
続いてステップS9において、ローバッテリー検出の有無を判別する。ローバッテリー検出を判別した場合、ステップS14に進み、無線回路部30に設けられている送信回路42の送信動作および受信回路44の間欠受信動作を停止することにより、可能な限り電池寿命を延ばすようにローバッテリー状態にある電池電源40の消費電流を抑える。
また、ステップS10において、センサ部34などの機器障害を検出した場合、同様にステップS14に進み、無線回路部30に設けられている送信回路42の送信動作および受信回路44の間欠受信動作を停止することにより、可能な限り電池寿命を延ばすように電池電源40の消費電流を抑える。
また、ステップS11において、無線回路部30の異常を判別した場合、同様にステップS14に進み、無線回路部30に設けられている送信回路42の送信動作および受信回路44の間欠受信動作を停止することにより、可能な限り電池寿命を延ばすように電池電源40の消費電流を抑える。
また、ステップS12において、他の警報器10−2〜10−5からの定期通報の停止を検出した場合、同様にステップS14に進み、無線回路部30に設けられている送信回路42の送信動作および受信回路44の間欠受信動作を停止することにより、可能な限り電池寿命を延ばすように電池電源40の消費電流を抑える。なお、各警報器10−1〜10−5に定期通報機能を設けていない場合、ステップS12の処理をスキップする。
また、ステップS13において、無線回路部30の異常を判別した場合、同様にステップS14に進み、無線回路部30に設けられている送信回路42の送信動作および受信回路44の間欠受信動作を停止することにより、可能な限り電池寿命を延ばすように電池電源40の消費電流を抑える。
他の警報器10−2〜10−5からの受信電波の低下は、受信回路44に設けられている電波強度測定部で測定された電波強度をCPU28で読込むことにより検出される。電波強度測定部により測定された電波強度が、所定の閾値強度以下の場合、受信電波の低下と判定する。
電波強度の判定に使用する閾値強度は、例えば受信回路44の受信感度から余裕を含めた値とする。受信感度とは、受信回路44において正常に信号を受信することのできる電波の強さの最小値であり、例えば−110dBmである。
図6は、図3の警報器10−1に設けられたCPU28による他の実施形態の火災監視処理を示したフローチャートである。この実施形態では、前述の(1)〜(5)の所定の事象を検出した場合、送信電力を低下させることを特徴とする。
図6において、ステップS21〜S33の処理は、図5のステップS1〜S13の処理と同じである。ステップS34の処理では、無線回路部30に設けられている送信回路42による送信電力を低下させる。即ち、ステップS29〜S33において、前述の(1)〜(5)の所定の事象のいずれかが検出された場合、ステップS34において、送信回路42による通常時の送信電力10ミリワットを例えば1ミリワットに低下させることにより、可能な限り電池寿命を延ばすように送信回路42の消費電流を低減する。
図7は、図3の警報器10−1に設けられたCPU28による他の実施形態の火災監視処理を示すフローチャートである。この実施形態では、前述の(1)〜(5)の所定の事象を検出した場合、受信動作を停止させる。
図7において、ステップS41〜S53の処理は、図5のステップS1〜S13の処理と同じである。ステップS54の処理では、無線回路部30に設けられている受信回路44による間欠受信動作を停止させる。即ち、ステップS49〜S53で前述の(1)〜(5)の所定の事象のいずれかが検出された場合、ステップS54において、受信回路44による間欠受信動作を停止させることにより、可能な限り電池寿命を延ばす。
この受信回路44の受信動作の停止は、図6の実施形態の場合の送信電力の低下よりも消費電流の低減度合いが大きいため、より電池寿命を延ばすことができる。
なお、上記実施形態は、火災検出を対象とした警報器を例に取るものであったが、この他にガス漏れ警報器や防犯用の警報器など、他の異常を検出する警報器についても、本実施形態の予備異常を含む監視処理をそのまま適用できる。また、住宅用に限らず、ビルやオフィス用などの各種の用途に応じた警報器にも適用できる。
また、上記実施形態は、警報器にセンサ部が一体に設けられた場合を例に取るものであったが、他の実施形態として警報器からセンサ部を別体として設けられた警報器であってもよい。
また、本発明は、上記実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記実施形態に示した数値のみによる限定は受けない。
(第2実施形態)
図8A及び図8Bは、本発明の第2実施形態にかかる無線式の警報器の外観を示し、図8Aが正面図を、図8Bが側面図を示している。
図8A及び図8Bにおいて、本実施形態の警報器510は、カバー512と本体514とを備えている。カバー512の中央には、煙流入口となる開口が周囲に形成された検煙部516が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出する。
図8Aに示すように、カバー512の検煙部516の左下側には、音響孔518が設けられている。この音響孔518の背後にはスピーカが内蔵され、この音響孔518を通して警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部516の下側には、警報停止スイッチ520が設けられている。警報停止スイッチ520は、点検スイッチとしての機能を兼ねている。
警報停止スイッチ520の内部には、点線で示すようにLED522が配置されている。LED522が点灯すると、警報停止スイッチ520のスイッチカバーの部分を透過してLED522の点灯状態が外部から認識できる。
本体514の裏側上部には取付フック515が設けられており、設置する部屋の壁にビス(不図示)などをねじ込み、このビスに取付フック515を取り付けることで、壁面に警報器510を設置できる。
なお、図8A及び8Bに示す警報器510は、検煙部516で検出する構成を例示しているが、この他、火災による熱を検出するサーミスタを備えた警報器や、火災以外にガス漏れを検出する警報器についても、本発明の対象に含まれる。
図9は、本実施形態の警報器を住宅に設置した状態を示す説明図である。図9の例では、住宅524の台所、居間、主寝室、子供部屋のそれぞれに本実施形態の警報器510−1〜510−4が設置され、更に屋外に建てられたガレージ526にも警報器510−5が設置されている。
警報器510−1〜510−5のそれぞれは、イベント信号を相互に無線により送受信する機能を備えており、5台の警報器510−1〜510−5で1つのグループを構成して、この住宅524全体の火災監視を行っている。
住宅524の例えば子供部屋で火災が発生した場合、警報器510−4が火災を検出して警報を開始する。この火災を検出して警報を開始することを、警報器における「発報」と呼ぶ。警報器510−4が発報すると、警報器510−4は連動元として機能し、連動先となる他の警報器510−1〜510−3,510−5に対し、火災発報を示すイベント信号を無線により送信する。他の警報器510−1〜510−3,510−5は、連動元の警報器510−4からの火災発報を示すイベント信号を受信すると、連動先としての警報動作を行う。
連動元となった警報器510−4の警報音として、例えば音声メッセージにより「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」が連続して出力される。一方、連動先の警報器510−1〜510−3,510−5は、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージを連続して出力する。警報器510−1〜510−5が警報音を出している状態で、図8Aに示した警報器に設けられている警報停止スイッチ520を操作すると、警報音の停止処理が行われる。
また、警報器510−1〜510−5は障害監視機能を備えており、障害を検知すると、例えば「ピッ」といった警報音を所定時間置きに間欠的に出力し、障害が発生したことを報知する。また障害を検出した障害元の警報器は、他の警報器に障害発生を示すイベント信号を無線送信し、他の警報器においても同じ障害警報が出力される。この結果、任意の警報器で障害が検出されると、連動警報を行うグループを構成している全ての警報器から障害警報が出力される。
警報器から出力されている障害警報は、警報停止スイッチ520を操作することにより停止させることができる。本実施形態において、警報器で検出されて警報する障害とは、電池電圧の低下を検出して警報するローバッテリー警報が主なものであり、この他に、検煙部などのセンサ障害などの障害警報が含まれる。
図10は本実施形態の警報器の構成を示すブロック図である。図10は、図9で示した5台の警報器510−1〜510−5のうちの、警報器510−1の回路構成を詳細に示している。
警報器510−1は、CPU528を備えている。また、このCPU528に対応して、アンテナ531を備えた無線回路部530と、記録回路部532と、センサ部534と、報知部536と、操作部538と、電池電源540とをさらに備えている。
無線回路部530には、送信回路542と、受信回路544と、電波強度測定部545とが備えられ、他の警報器510−2〜510−5との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線回路部530としては、日本国内の場合には例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備の標準規格)、またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を採用するのが好ましい。
もちろん、無線回路部530としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した構成を採用するのが好ましい。
受信回路544は、間欠受信動作を行っている。受信回路544の間欠受信動作は、例えばT1=5ミリ秒の受信動作時間に続いて、例えばT2=10秒の休止時間を置く周期T12(=T1+T2)の間欠受信となる。この間欠受信に対応して、送信回路542は、イベント信号を間欠受信周期T12(=T1+T2)以上となるT3時間に亘り連続的に送信する。
電波強度測定部545は、イベント信号の電波を受信して電波強度、即ちキャリア信号強度を測定する。電波強度測定部545は、一般的に、電波強度が強のとき出力電圧が高となり、電波強度が弱のとき出力電圧が低となるように電波の強度に応じた電圧を出力する回路となっている。
受信回路544の間欠受信動作は、CPU528に設けられた間欠受信制御部562により制御される。間欠受信制御部562は、受信回路544の受信動作の開始時に電波強度測定部545で測定されたキャリア信号強度を読込む。間欠受信制御部562は、キャリア信号強度が所定のキャリアセンス閾値未満の場合、受信回路544の動作を休止し、キャリア信号強度がキャリアセンス閾値を越えた場合、受信回路544を所定時間に亘り動作させてイベント信号の受信処理を行わせる。
更に、本実施形態において、間欠受信制御部562でキャリアの有無の判定に使用するキャリアセンス閾値を、ユーザのスイッチ操作により電波環境に応じて高低2段階に選択可能としている。
記録回路部532には、メモリ546が設けられている。メモリ546には警報器を特定するID(識別子)となる送信元符号550と、図9のように複数の警報器で連動警報を行うグループを構成するためのグループ符号552とが格納されている。送信元符号550は、国内に提供される警報器の数を予測し、例えば同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用される。
グループ符号552は、グループを構成する複数の警報器に共通に設定される符号であり、無線回路部530で受信した他の警報器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ546に登録しているグループ符号552に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理する。
更に、メモリ546には、間欠受信制御部562で使用する予め設定された高低2つのキャリアセンス閾値555がTH1,TH2として記憶されている。
なお、本実施形態では、記録回路部532にメモリ546を使用しているが、メモリ546の代わりにディップスイッチを設けて、このディップスイッチにより送信元符号550やグループ符号552を設定してもよい。送信元符号550やグループ符号552の符号長(ビット数)が少ない場合には、ディップスイッチを用いた記録回路部532が望ましい。
本実施形態は、センサ部534に検煙部516が設けられ、煙濃度に応じた煙検出信号をCPU528に出力している。センサ部534には、検煙部516以外に、火災による温度を検出するサーミスタを設けてもよい。また、ガス漏れ監視用の警報器の場合には、センサ部534にガス漏れセンサが設けられる。また、メモリ546は、CPU528内部の記憶領域に設けてもよい。
報知部536には、スピーカ556とLED522とが設けられている。スピーカ556は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音を出力する。LED522は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常及び障害を表示する。
操作部538には、警報停止スイッチ520と閾値選択スイッチ558が設けられている。警報停止スイッチ520を操作すると、警報器510−1から流している警報音を停止させることができる。本実施形態では、警報停止スイッチ520は、点検スイッチを兼用している。
警報停止スイッチ520は、報知部536からスピーカ556により警報音を出力しているときに有効となる。一方、警報音を出力していない通常監視状態では、警報停止スイッチ520が点検スイッチとして機能し、点検スイッチを押すと、報知部536から点検用の音声メッセージなどが出力される。
閾値選択スイッチ558として、筐体内の回路基板に実装されたディップスイッチなどが使用される。CPU528に設けられたキャリアセンス閾値選択部564の機能により、警報器の設置場所の電波環境に応じて間欠受信制御部562で使用するメモリ546のキャリアセンス閾値555として、高低2つの閾値TH1,TH2を選択可能としている。
即ち、ノイズ成分が余り目立つことのない電波環境の場所に警報器を設置した場合、閾値選択スイッチ558により低い方のキャリアセンス閾値TH1を選択する。これに対しノイズ成分の多い電波環境の悪い場所に警報器を設置した場合、閾値選択スイッチ558により高い方のキャリアセンス閾値TH2を選択する。
電池電源540は、例えば所定セル数のアルカリ乾電池を使用しており、電池容量は、警報器510−1の無線回路部530を含む回路部全体の低消費電力化により、約10年の電池寿命を保証している。
CPU528には、プログラムの実行により実現される機能として、異常監視部560と、間欠受信制御部562と、キャリアセンス閾値選択部564とが設けられている。なお、間欠受信制御部562及びキャリアセンス閾値選択部564の機能は、既に説明したとおりである。
異常監視部560は、センサ部534の検煙部516からの煙検出信号が火災レベルを超えて火災を検出したときに、報知部536のスピーカ556から連動元を示す警報音である音声メッセージとして、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、火災発報を示すイベント信号を無線回路部530の送信回路542によりアンテナ531から他の警報器510−2〜510−5に向けて送信させる。
また、異常監視部560は、他の警報器510−2〜510−5のいずれかから火災発報を示すイベント信号を無線回路部530の受信回路544により受信したときに、報知部536のスピーカ556から連動先を示す警報音として、例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」との音声メッセージを連続的に出力させる。
ここで、異常監視部560で火災発報を検出して連動元警報音を出すときには、報知部536のLED522を例えば明滅させる。一方、連動先警報音を出す場合には、報知部536のLED522を点滅させる。これによって、連動元警報と連動先警報とにおけるLED522の表示を区別できるようにしている。もちろん、連動元警報と連動先警報のいずれについても、同じLED522の明滅または点滅表示であってもよい。
また、異常監視部560は、電池電源540の電圧低下によるローバッテリーを障害として検出した時に、例えば1分に1回、「ピッ」といった短いローバッテリー警報音を出すことにより障害警報音を出力させると共に、障害を示すイベント信号を他の警報器510−2〜510−5に送信する。
また、異常監視部560は、他の警報器510−2〜510−5のいずれかから障害を示すイベント信号を受信した時に、ローバッテリー警報音を同様に間欠的に出すことにより、障害警報音の連動出力を行う。このローバッテリーの連動先での警報については、警報音に同期してLED522を点滅させても良い。
図11は、本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示す説明図である。図11に示すようにイベント信号548は、送信元符号550と、グループ符号552と、イベント符号554とで構成されている。送信元符号550は例えば26ビットの符号である。また、グループ符号552は、例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図10の5台の警報器510−1〜510−5につき同じグループ符号が設定されている。
なお、グループ符号552としては、同一グループの各警報器に同一のグループ符号を設定するが、この他、予め定めたグループを構成する各警報器に共通な基準符号と、各警報器に固有な送信元符号との演算から求めた警報器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
イベント符号554は、火災、ガス漏れなどの異常や障害といったイベント内容を表す符号である。本実施形態では、3ビット符号を使用しており、例えば「001」で火災、「010」でガス漏れ、「011」で障害、残りをリザーブとしている。
なお、イベント符号554のビット数は、イベントの種類が増加したときには更に4ビット、5ビットと増加させることで、複数種類のイベント内容を表すことができる。
図12は、本実施形態における間欠受信動作を示したタイムチャートである。図12の(A)は送信側警報器の送信動作であり、(B)は受信側警報器の受信動作である。
図12の(B)に示すように、受信側警報器は、通常の監視状態で、受信動作時間T1と休止時間T2とを含む間欠受信周期T12(=T1+T2)により間欠的な受信動作を行っている。例えば、受信動作時間T1はT1=5ミリ秒、休止時間T2はT2=10秒の場合、間欠受信周期T12はT12=約10秒となる。
図中において更に詳細に拡大して示すように、受信動作時間T1は、受信動作開始直後のキャリアセンス時間T4と、これに続く受信動作時間T5とを含む。キャリアセンス時間T4は、間欠受信周期T12の到達毎に、図10に示すCPU528の間欠受信制御部562によるキャリアセンス処理を実行する時間である。
電波強度測定部545で測定されたキャリア信号強度はCPU528に読み込まれ、図10に示したCPU528の間欠受信制御部562において、キャリアセンス閾値選択部564による選択で設定されているキャリアセンス閾値と比較され、閾値以上の場合は「キャリアあり」と判定する。そして、図12の(B)に拡大して示すようにキャリアセンス時間T4および受信動作時間T5に亘り受信動作を行う。
受信動作時間T5で受信された受信信号は、CPU528に読み込まれ、図10に示す異常監視部560による監視処理に使用される。
一方、電波強度測定部545で測定されたキャリア信号強度がキャリアセンス閾値未満であった場合は「キャリアなし」と判断し、直ちに受信動作を停止して休止モードに入る。即ち、キャリアセンスのために動作していた送信回路542及び受信回路544の動作を停止し、次の間欠受信周期に至るまでの休止動作に入る。
図12の(A)に示すように、送信側警報器は、適宜のタイミングで火災を検出した場合に、図11に示したイベント符号554を例えば火災の「001」に設定したイベント信号548を、間欠受信周期T12以上の時間T3に亘り繰り返し連続的に送信する。したがって、この送信時間T3に亘り、受信側警報器は、イベント信号を含むキャリア周波数の電波を受信する。
図12の(A)に示すように、送信時間T3の送信信号のタイミングに、図12の(B)に示す2番目の受信動作時間T1のタイミングが重なっている。したがって、この場合、受信動作時間T1の最初のキャリアセンス時間T4でキャリア信号強度はキャリアセンス閾値以上となり、これに続く受信動作時間T5に亘り受信動作を行い、送信されたイベント信号を受信する。
これに対し、送信時間T3前後の受信動作時間T1のタイミングには、送信信号が存在しない。そのため、電波強度測定部545で測定されたキャリア信号強度は、キャリアセンス閾値未満であるため、「キャリアなし」と判断し、キャリアセンス時間T4直後に休止モードに入る。
図13は、「キャリアなし」と判断して休止モードに入った場合の間欠受信動作を示すタイムチャートである。図13の(A)は送信側警報器の送信動作であり、(B)は受信側警報器の受信動作である。受信側警報器は、間欠受信周期T12ごとに間欠受信動作を行っているが、受信動作直後のキャリアセンス時間T4のタイミングで検出したキャリア信号強度がキャリアセンス閾値未満であるため、キャリアセンス時間T4経過時点で休止モードに入り、その後の受信動作時間T5に亘る受信動作を行わない。
図12の(B)に拡大して示す間欠受信動作におけるキャリアセンス時間T4は、約1ミリ秒であり、これに続く受信動作時間T5は約4ミリ秒である。
このため、図13の(B)に示すように、「キャリアなし」の休止モードにおける間欠受信動作は、間欠受信周期T12ごとにキャリアセンス時間T4=1ミリ秒だけの受信動作しか行わない。そのため、キャリアがない状態での消費電流を大幅に低減できる。
しかしながら、図13の(A)に示すように、送信側警報器からイベント信号の送信がない状態、即ちキャリアが存在しない状態でも、ノイズ成分の多い悪い電波環境では、キャリア周波数を含むノイズにより「キャリアあり」が判別されてしまう。この場合、ノイズにも関わらず、図12の(B)に拡大して示す受信動作時間T5に亘る受信動作が、不必要に行われてしまうため、無駄な消費電流が流れる虞がある。
このような無駄な電流消費を防ぐため、本実施形態では、ノイズ成分が多くて電波環境が悪い場所に警報器を設置する場合は、図10に示した操作部538に設けられている閾値選択スイッチ558をキャリアセンス閾値の高い方を選択する位置に切り替える。これにより、キャリアセンス閾値選択部564が、メモリ546に記憶している高い方のキャリアセンス閾値TH2を選択して、間欠受信制御部562に対しこれを設定する。
このため、電波強度測定部545からノイズ成分によるキャリア信号強度が出力されても、高めのキャリアセンス閾値TH2が設定されているため、ノイズ成分によって「キャリアあり」が、不必要に検出されることがない。そのため、キャリアセンス時間T4経過後に受信動作時間T5に亘る受信動作が行われることを防止し、確実に休止モードに入るので、ノイズ成分があっても消費電流の低減を確実に行うことができる。
図14は、図10の警報器510−1に設けられたCPU528による火災監視処理を示すフローチャートである。警報器の電池電源を有効(オン)にすると、ステップS501において、初期化処理が行われる。この初期化処理には他の警報器510−2〜510−5との間で連動警報のグループを構成するためのグループ符号の設定が含まれる。
続いて警報器は監視状態に入り、ステップS502において、センサ部534の検煙部516からの煙検出信号が、所定の火災レベルを超えるか否かで火災発報の有無を判別する。ステップS502において、火災発報が判別された場合、ステップS503に進む。
ステップS503において、火災発報のイベント信号を他の警報器510−2〜510−5に送信した後、ステップS504において、火災警報が連動元の各警報器510−2〜510−5の報知部536のスピーカ556から音響出力されLED522が点灯制御で出力される。
連動元の各警報器510−2〜510−5が火災警報を行った後、ステップS507において、警報停止スイッチ520による警報停止操作の有無を判別する。そして、警報停止操作があれば、ステップS508で警報停止を行う。
一方、ステップS502で火災発報が判別されない場合、ステップS505において、他の警報器510−2〜510−5からの火災発報のイベント信号の受信の有無をチェックする。火災発報のイベント信号の受信を判別した場合、ステップS506で連動先の火災警報を出力し、ステップS507に進む。そして、ステップS507において、警報停止操作があれば、ステップS508で警報を停止する。
図15は、図10のCPU528による本実施形態の間欠受信処理を示すフローチャートである。本実施形態の間欠受信処理は、まずステップS511において、操作部538に設けられている閾値選択スイッチ558のスイッチ状態を読み込む。そして、ステップS512において、高レベルのスイッチ位置であることを判別するとステップS513に進む。ステップS513において、メモリ546に格納しているキャリアセンス閾値555のうち高い方のキャリアセンス閾値TH2を選択して、間欠受信制御部562に対しこれを設定する。
一方、ステップS502において、低レベルのスイッチ位置を判別した場合は、ステップS514において、メモリ546のキャリアセンス閾値555のうち低い方の閾値TH1を選択して、間欠受信制御部562に対しこれを設定する。
間欠受信のためのキャリアセンス閾値の初期設定が済むと、ステップS515に進み、間欠受信周期T12ごとの間欠受信タイミングか否かを判別する。間欠受信タイミングを判別した場合、ステップS516に進み、無線回路部530に対しアクティブモードをセットする。
具体的には、図10に示すように、CPU528から受信回路544に対し送信動作制御信号Ctを出力すると同時に、受信回路544に対し受信動作制御信号Crを出力して、送信回路542および受信回路544に対し電源供給を行って動作状態とする。
続いてステップS517において、電波強度測定部545で測定される受信電波のキャリア信号強度の測定値を読み込む。ステップS518において、受信電波のキャリア信号強度の測定値が、このとき設定されているキャリアセンス閾値TH1またはTH2以上か否か判別する。キャリアセンス閾値以上の場合、ステップS519に進み、受信処理を行い、この受信処理をステップS520において、図12の(B)に拡大して示す受信動作時間T5を経過するまで維持する。受信動作時間T5を経過した後、ステップS521に進み、休止モードをセットする。
一方、ステップS518において、キャリア信号強度がキャリアセンス閾値未満であった場合は、直ちにステップS521に進み休止モードをセットする。
図16は、他の実施形態の警報器を示すブロック図である。この実施形態では、他の警報器からイベント信号を受信した場合の受信電波強度、即ちキャリア信号強度に基づいて自動的にキャリアセンス閾値を設定する。
図16において、警報器510−1の回路構成は、基本的に図10の実施形態と同じである。CPU528に設けられたキャリアセンス閾値設定部590は、他の警報器510−2〜510−5のいずれかからイベント信号を受信した場合、無線回路部530に設けられた電波強度測定部545より得られるキャリア信号強度の測定値を読み込む。このキャリア信号強度の測定値に応じてキャリアセンス閾値を求めて、このキャリアセンス閾値を間欠受信制御部562に対し設定する。
このため、電波強度測定部545で測定されたイベント信号受信時のキャリア信号強度測定値は、メモリ546にキャリア信号強度測定値592として所定期間に亘り保存されている。所定期間が経過すると、キャリアセンス閾値設定部590が、メモリ546に格納されている複数のキャリア信号強度測定値592を読み出し、その平均値を算出する。
キャリア信号強度の平均値として1以下の値を持つ係数を掛け合わせてキャリアセンス閾値555を算出し、この算出したキャリアセンス閾値を間欠受信制御部562に対し設定する。
キャリアセンス閾値を算出は、例えば1未満の係数αとしてα=0.8を設定し、複数のキャリア信号強度から算出した平均値に係数α=0.8を乗じて、キャリアセンス閾値THを求めればよい。
また、キャリア信号強度の平均値に係数αを掛け合わせる場合の他に、キャリア信号強度の平均値から所定のキャリア信号強度例えば20dBmを差し引くことにより、キャリアセンス閾値を設定してもよい。
また、キャリアセンス閾値設定部590で算出するキャリアセンス閾値は、受信回路544による受信感度以下では無意味であるため、最小値であっても、受信感度例えば−119[dBm]を下回らない値に制限する。
このように警報器が、その設置場所に応じて、受信するイベント信号のキャリア信号強度から自動的にキャリアセンス閾値を算出して設定することにより、警報器の設置場所の電波環境の変化に追従した最適なキャリアセンス閾値が設定される。そのため、ノイズ成分の多い環境に警報器が設置された場合であっても、ノイズ成分に影響を受けることがないため、イベント信号の受信のない状態即ちキャリアセンスがない場合、直ちに休止モードに入る。これにより、消費電流の低減を確実に行うことができる。
なお、上記実施形態では、CPU528のプログラムの実行により実現される機能として、間欠受信制御部562、キャリアセンス閾値選択部564、キャリアセンス閾値設定部590が設けられているが、無線回路部530の送信回路542及び受信回路544に対し専用のデジタル回路を設けて、その機能として実現するようにしてもよい。
また図9の実施形態にあっては、閾値選択スイッチ558により大小2つの値のキャリアセンス閾値の選択を例に取っているが、3つ以上のキャリアセンス閾値の選択を行うようにしてもよい。
また、上記実施形態は、火災検出を対象とした警報器を例に取るものであったが、この他にガス漏れ警報器や防犯用の警報器など、他の異常を検出する警報器についても、本実施形態の予備異常を含む監視処理をそのまま適用できる。また、住宅用に限らず、ビルやオフィス用などの各種の用途に応じた警報器にも適用できる。
また、上記実施形態は、警報器にセンサ部が一体に設けられた場合を例に取るものであったが、他の実施形態として警報器からセンサ部を別体として設けた警報器であってもよい。
また、本発明は、上記実施形態のみに限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記実施形態に示した数値のみによる限定は受けない。
本発明の警報器によれば、警報器が無線式であっても、可能な限り送受信回路部の消費電流を低減して、電池寿命を延ばすことができる。
10,10−1〜10−5 警報器
12 カバー
14 本体
15 取付フック
16 検煙部
18 音響孔
20 警報停止スイッチ
22 LED
24 住宅
26 ガレージ
28 CPU
30 無線回路部
31 アンテナ
32 記録回路部
34 センサ部
36 報知部
38 操作部
40 電池電源
42 送信回路
44 受信回路
46 メモリ
48 イベント信号
50 送信元符号
52 グループ符号
54 イベント符号
58 スピーカ
60 異常監視部
62 通信制御部
510,510−1〜510−5 警報器
512 カバー
514 本体
515 取付フック
516 検煙部
518 音響孔
520 警報停止スイッチ
522 LED
524 住宅
526 ガレージ
528 CPU
530 無線回路部
531 アンテナ
532 記録回路部
534 センサ部
536 報知部
538 操作部
540 電池電源
542 送信回路
544 受信回路
545 電波強度測定部
546 メモリ
548 イベント信号
550 送信元符号
552 グループ符号
554 イベント符号
555 キャリアセンス閾値
556 スピーカ
558 閾値選択スイッチ
560 異常監視部
562 間欠受信制御部
564 キャリアセンス閾値選択部
590 キャリアセンス閾値設定部
592 キャリア信号強度測定値

Claims (3)

  1. 異常を検出した場合に異常検出信号を出力するセンサ部と;
    前記異常検出信号に基づき異常警報を出力する報知部と;
    所定の受信周期毎に間欠的に受信動作を行って他の警報器からイベント信号を受信する受信回路部と;
    前記受信周期以上の送信時間に亘って前記イベント信号を前記他の警報器に送信する送信回路部と;
    前記センサ部が異常を検出したときに、前記異常検出信号に基づき前記報知部に前記異常警報を出力させ、かつ、前記送信回路部に、前記警報器の異常に係るイベント信号を前記他の警報器へ送信させ、一方、前記他の警報器からの前記他の警報器の異常に係るイベント信号を前記受信回路部が受信したときに、前記報知部に前記異常警報を出力させる異常監視部と;
    イベント信号を受信してキャリア信号強度を測定するキャリア信号強度測定部と;
    前記受信回路部の前記受信動作の開始時に、前記キャリア信号強度測定部にキャリア信号強度を測定させ、測定されたキャリア信号強度が所定のキャリアセンス閾値未満の場合には前記受信回路部の前記受信動作を休止させる一方、前記測定されたキャリア信号強度が前記キャリアセンス閾値を越えた場合には前記受信回路部の前記受信動作を所定時間に亘って行わせる間欠受信制御部と;
    前記受信回路部の前記受信動作の開始時に測定された前記キャリア信号強度に基づいて前記キャリアセンス閾値を求めることにより、前記所定のキャリアセンス閾値を適宜変更可能とする、キャリアセンス閾値設定部と;
    を備えことを特徴とする警報器。
  2. 請求項1に記載の警報器であって、
    高低2つのキャリア信号強度の値を、前記キャリアセンス閾値の候補として予め設定可能であり、設定された2つのキャリアセンス閾値の候補のいずれか一方を選択して前記キャリアセンス閾値として設定するキャリアセンス閾値選択部をさらに備えることを特徴とする警報器。
  3. 請求項1または2に記載の警報器であって、
    前記キャリアセンス閾値設定部は、所定期間に亘って前記電波強度測定部により測定されたキャリア信号強度の平均値に基づいて、前記キャリアセンス閾値を求めることを特徴とする警報器。
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