図1は住宅に対する本発明による警報システムの機器設置例を示した説明図である。図1の例にあっては、住宅24で例えば居間、台所、子供部屋、寝室、階段室のそれぞれに火災を検出して警報する無線式住警器100が設置されている。また台所には本発明による日常的な通報機能を備えた無線式の発信機となるマスタ発信機10が設置され、寝室と廊下には、日常的な通報機能を持たない無線式の発信機11を設置している。このような発信機11を、例えばトイレや脱衣所等にも設置しても良い。
なお本発明の警報システムは、少なくともマスタ発信機10を1台と住警器100を1台備えていれば良く、それ以外に台数構成を制限するものではない。
住警器100は、イベント信号を無線により相互に送受信する機能を備え、住宅の各所で火災監視を行っている。いま住宅24の台所で万一、火災が発生したとすると、火災発生場所の住警器100が火災を検出して警報を開始する。このように火災を検出して警報を開始することを、住警器における「発報」という。
住警器100が発報するとき、その住警器は連動元として機能し、連動先となる他の住警器100に対し、火災発生を示すイベント信号を無線送信する。連動先となる他の住警器100は、連動元の住警器100からの火災発生を示すイベント信号を受信した場合に、音と表示の出力により連動先としての警報動作を行う。なお、イベント信号を受信した住警器100は、必要に応じ当該イベント信号の中継送信を行う。
住警器100が検出する自己のイベント(以下「警報器イベント」という)としては、上述の火災発生だけでなく、火災復旧、警報停止操作等があり、また他の住警器からの各種イベント信号受信も含まれる。これらについては後述する。
連動元となった住警器100の警報動作としては、例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる警報音を出力する。一方、連動先の住警器100にあっては、警報動作として例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる警報音を出力する。
また連動元となった住警器100の警報に伴う表示(警報表示という)としては、例えばLEDを点灯させる。一方、連動先の住警器100にあっては、LEDを点滅させる。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLEDによる警報表示を区別できるようにしている。
なお、連動元のLEDを点滅とし、連動先のLEDを点灯や連動元と周期の異なる点滅としても良いし、連動元警報と連動先警報のいずれについても、同じLEDの明滅または点滅、点灯表示であっても良い。また例えば赤色LEDと黄色LEDを設け、連動元は赤色LEDを駆動し、連動先は黄色LEDを駆動するといった色分け表示としても良い。この場合もちろん、LEDには赤色と黄色の両方を発光可能な2色LEDが採用できる。
住警器100が警報音を出力している状態で、警報停止スイッチ(後述)を操作すると、警報音及び/又は警報表示の停止処理が行われる。
このとき例えば、連動元である住警器で警報停止操作が行われた場合には、全ての住警器の警報(警報音出力および/または警報表示出力)を停止し、連動先である住警器の何れかで警報停止操作が行われた場合には、連動元の住警器の警報動作は停止せず、連動先の住警器の警報動作を停止するようにする。
マスタ発信機10は非常操作部として非常押釦を設けており、火災などの非常時に居住者が非常押釦を操作すると、非常通報を示すイベント信号(非常通報イベント信号という)を送信する。マスタ発信機10から送信された非常通報を示すイベント信号は住警器100で受信され、住警器100において警報動作が行われる。この警報動作としては「ウーウー 発信機が作動しました 確認してください」といった音声メッセージによる警報音を出力する。また警報表示としては、例えばLEDを点灯させる。
また、マスタ発信機10には発信機灯が設けられており、非常押釦を操作すると発信機灯が点滅して非常通報が行われたことを報知する。この表示報知は、非常通報を示すイベント信号の送信中に出力したり、送信終了後に出力したりすることができる。また例えば、送信中は点滅とし、送信終了後所定時間点灯としてその後消灯する等、適宜のパターンで出力することができる。またマスタ発信機10にはスピーカも設けられており、非常押釦の操作音や非常通報イベント信号の送信完了音などを出すことできでる。更にマスタ発信機10には試験操作部として試験スイッチが設けられ、これを操作することで非常通報機能の確認試験ができる。
また、マスタ発信機10には、例えば食事、お風呂、起床、就寝など、住居内で日常的に通知したい内容を選択操作する種別スイッチと、通報先の住警器100を選択する通報スイッチが設けられる。即ち種別スイッチと通報スイッチは、通報操作部となる。
マスタ発信機10は、種別スイッチの操作によって選択された通報内容及び通報先住警器を指定する通報スイッチの操作を検出した場合に、通報内容及び通報先警報器IDを含む通報イベント信号を送信して通報先の住警器100から選択した通報内容を報知させる。
発信機11はマスタ発信機10と同様に非常押釦を設けているが、種別スイッチと通報スイッチは設けられておらず、日常的な通報機能を持たない点で相違し、それ以外の点はマスタ発信機10と同じである。なお、発信機10は必ずしも設ける必要はなく、全ての発信機をマスタ発信機10としても良い。
図2は本発明による無線式のマスタ発信機10の外観を示した説明図であり、図2(A)に正面図を、図2(B)に側面図を示している。
図2において、本実施形態のマスタ発信機10の筐体はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には、非常押釦16が設けられる。非常押釦16は、半透明部材で形成されたスイッチカバーと、スイッチカバーの内部に配置されたタクトスイッチ(図示せず)とで構成されている。即ち、スイッチカバーを押圧操作すると、タクトスイッチが押圧されるようになっている。
スイッチカバー内部のタクトスイッチ近傍には、点線で示すように発信機灯として機能するLED17が配置されており、その作動光が非常押釦16のスイッチカバーの部分を透過して外部から視認できるようにしている。非常押釦16を押圧操作するとLED18が例えば点滅し、非常通報イベント信号の送信完了が内部的に確認されると点灯に切り替わり、所定時間後に消灯する。
なお、通常時にもLED17を比較的長周期で間欠的に発光させ、利用者が普段から所在を確認できるようにしても良い。
非常押釦16の左下側にはスリット状の音響穴20が複数設けられ、この背後(内部側)にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。
また本体14の裏側上部には、略中央部に挿通孔を有する取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、この取付フック15の挿通孔にビスを通して引っかけることで、手の届く位置にマスタ発信機10を所謂壁掛け状に固定設置することができる。
カバー12の右側には通報スイッチ18(18a〜18e)が配置されている。通報スイッチ18は日常的な通報内容を送信する通報先の住警器を選択して、選択した住警器への通報イベント信号送信を実行させるものである。通報スイッチ18a〜18eには、住警器割当番号1〜5が印刷等により表示されている。ここでは例えば図1に示した居間、子供部屋、寝室、階段室の住警器100にそれぞれ番号1〜5を割り当てている。
なお、通報スイッチ18a〜18eに対して割り当てられた通報先住警器の表示は、通報スイッチ18a〜18eの横に居間、子供部屋、寝室、階段室といったラベルを貼っても良い。また通報スイッチの最大数は必要に応じて更に増やすことができる。
また例えば他のスイッチを1つ追加して、このスイッチと各通報スイッチのコンビネーション操作(例えば同時押圧や順次押圧)で、第2の割当番号を選択できるようにしても良い。具体的には、追加されたスイッチと通報スイッチ18aを同時に押圧操作すると、割当番号1ではなく割当番号6の住警器100を選択して通報イベント信号を送信することができるようにしても良い。
カバー12の左側には種別スイッチ19(19a〜19d)が配置される。種別スイッチ19は日常的な通報内容を選択操作するものである。本実施形態にあっては、日常的な通報内容として例えば、食事呼出、風呂呼出、起床呼出、就寝呼出などが予め準備されており、選択操作した種別スイッチ19a〜19dに割り当てられた上記各通報メッセージを通報先の住警器から出力させることができる。
例えば種別スイッチ19aに食事呼出を設定していたとすると、種別スイッチ19aを操作することで、通報スイッチ18で選択する通報先の住警器から例えば「ピンポーン ごはんですよ」といった通報メッセージを出力させることができる。なお、種別スイッチの最大数は必要に応じて更に増やすことができる。また通報スイッチ同様に、コンビネーション操作等によって選択数(種別数)を増やすこともできる。
図3は図1に示した無線式発信機11の外観を示した説明図であり、図3(A)に正面図を、図3(B)に側面図を示しており、図2のマスタ発信機10に設けている呼出スイッチ18と種別スイッチ19を取り除いたものとなっている。
図4は本発明による無線式の住警器100の外観を示した説明図であり、図4(A)に正面図を、図4(B)に側面図を示している。
図4において、本実施形態の住警器100の筐体はカバー112と本体114で構成されている。カバー112の中央に突出部を設け、その周囲に複数の煙流入口を開口し、更にその内部には検煙部116が配置され、例えば火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出(検知)するようにしている。
カバー112に設けた複数の開口部の内部には検煙部116を備え、検煙部116の左下側には複数の音響穴118が設けられ、この背後(内部側)にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部116の下側には警報停止スイッチ120が設けられている。
警報停止スイッチ120はその操作により住警器100の機能自己点検を指示(要求)する点検指示スイッチとしての機能を兼ねている。たとえば、火災警報出力中に警報停止スイッチ120が操作されると当該警報出力を停止し、通常状態(少なくとも、火災警報出力中でない状態)で警報停止スイッチ120が操作されると、機能の自己点検を実施して結果を報知する。
警報停止スイッチ120は、半透明部材で形成されたスイッチカバーと、スイッチカバーの内部に配置されたタクトスイッチ(図示せず)とで構成されている。即ち、スイッチカバーを押圧操作すると、タクトスイッチが押圧されるようになっている。スイッチカバー内部のタクトスイッチ近傍には、点線で示すように警報等表示を行うLED122が配置されており、LED122が点灯、点滅、明滅作動すると、作動光が警報停止スイッチ120のスイッチカバーの部分を透過して外部から視認できるようにしている。
また本体114の裏側上部には、略中央部に挿通孔を有する取付フック115が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、この取付フック115の挿通孔にビスを通して引っかけることで、壁面に住警器100を所謂壁掛け状に固定設置することができる。
なお図4の住警器100にあっては、検煙部116を備え、火災に伴う煙を検出する住警器を例に取っているが、これ以外に火災に伴う熱を検出するサーミスタ等の温度検出素子を備えた住警器や、火災に伴うその他の現象を検出する住警器、火災以外にガス漏れを検出する警報器、侵入者や地震その他の異常(異状)を検出する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器等についても、本発明の対象に含まれる。
図5は図1の警報システムに設けた本発明によるマスタ発信機の実施形態を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる、また各機能の実行は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであってもハードウェアによって実行されるものであっても良い。
マスタ発信機10はワンチップCPUとして知られたプロセッサ28を備え、プロセッサ28に対してはアンテナ31を備えた無線通信部30、記録回路部(メモリ)32、報知部36、操作部36及び電池電源40を設けている。
無線通信部30には送信回路42と受信回路44が設けられ、住警器100との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線通信部30としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
もちろん無線通信部30としては、日本国内以外の場所に向けたものでは、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
記憶部としてのメモリ32には、イベント信号の順番を示す連続番号である連番48、各マスタ発信機、発信機および住警器(以下、三者を総称する場合は「端末」という)を特定するID(自己の識別子)となる送信元符号50、図1のように設置した住警器100で連動警報を行う連動グループを構成するためのグループ符号52が格納されている。後述するが、連動グループには発信機11、住警器100を含み、これらについても住警器マスタ発信機10同様に設定される。
連番48は各端末の、特に無線通信に於いてイベント信号の処理順等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
送信元符号50としては、国内に提供される何れの端末とも同一符号として重複しないように、例えば26ビット程度の充分な多符号コードとし、各端末のシリアル番号等を利用している。
グループ符号52は連動グループを構成する各端末に共通に設定される符号であり、マスタ発信機10から送信する非常通報イベント信号や通報イベント信号に付加される。また無線通信部30で受信した各イベント信号に含まれるグループ符号が、メモリ32に登録しているグループ符号52に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として処理することになるので、例えば近隣の住宅等に設置された、連動を要しない他のグループに属する端末との不要な連動を回避できる。
なお、受信したイベント信号は必要に応じ、或いは設定状態に応じ中継送信されるが、このような中継機能を省略することもできる。
グループ符号52は各端末について必ずしも同一の符号である必要は無く、これを元に演算等を行うことによって自己が属するグループと他の端末が属するグループが同じか否かを判定できるものであれば良い。
グループ符号の設定や変更は、出荷前や設置時、運用途中に適宜の方法で行うことができる。
報知部36には警報音等を出力するスピーカ56と発信機灯として機能するLED17が設けられている。スピーカ56は、図示しない音声合成回路部から、自己が保持しているデータに基づいて各種の音声メッセージや警報音等を、図示しない増幅部を介して出力する。LED17は点滅や明滅、点灯などにより、非常通報の送信、確認、その他を表示する。スピーカ56に代えて、ブザー等を用いても良い。
操作部38には非常押釦16と試験スイッチ38が設けられている。非常押釦16は非常通報の動作指示(要求)スイッチとして機能するが、非常通報を示すイベント信号を送信して住警器100で連動警報動作が行われている場合に、例えば長押等の押分操作(特殊操作)を行うと、自己が警報を出力している場合には当該警報出力を停止し、また警報停止を示すイベント信号を送信して住警器100の警報動作を停止させる(警報停止処理)。もちろん、このような押分によらず、通常操作によって警報停止処理を行わせるようにしても良い。
試験スイッチ38は例えば本体14の側面に配置されたスライドスイッチであり(図2では図示せず)、試験スイッチ38を操作すると試験非常通報を示すイベント信号が住警器100等他の端末に送信され、住警器100等他の端末から非常通報の試験報知音を出力させる。
また操作部38には通報スイッチ18と種別スイッチ19が設けられ、具体的には図2に示したように、通報スイッチ18a〜18eと種別スイッチ19a〜19dを備えている。
電池電源40は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては非常通報のために必要充分に長い動作期間を保証している。電池電源に代えて商用AC電源や他の専用電源としても良く、この場合は、発信機灯としてのLED17を常時点灯として設置していても、遠方から設置場所が視認できる。
プロセッサ28にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検出部58、送信処理部60、受信処理部62、発信制御部64及び通報制御部66が設けられている。
イベント検出部58は、操作部36の非常押釦16による非常通報指示(要求)入力、受信処理部62を介して得られた他の端末からのイベント信号の解読結果からイベント内容を検出する。
送信処理部60は、発信機制御部64の指示に基づき無線通信部30からアンテナ31を介して他の端末へ非常通報イベント信号を送信する。受信処理部62は、の端末からのイベント信号を、アンテナ31および無線通信部30を介して受信し解読する。
発信制御部64は、イベント検出部58により自己の非常押釦16の操作による非常通報指示(要求)の入力イベントを検出した場合に、非常通報イベント信号を生成し、送信処理部60により他の端末へ送信させる。
また、発信制御部64は、ベント検出部58により非常押釦16の操作を検出した場合に、発信機灯として機能するLED17をパターンで作動させ、スイッチ操作が受付られて非常通報イベント信号が送信されたことを報知する。このとき報知部34のスピーカ56から非常押釦16の操作音を出力させても良い。
また、発信制御部64は、LED17を作動させた状態で、イベント検出部58により住警器100から送信される確認応答イベント信号の受信イベントを検出した場合、LED17の作動を停止して、その後所定時間点灯させて(切替点灯)、通報完了を報知する。この通報完了の報知は、LED17の切替点灯と共にスピーカ56から通報完了を示す例えば「非常通報を完了しました」といった報知音を出力させても良い。
なお、住警器100が非常通報イベント信号を中継送信する場合、この中継送信された非常通報イベント信号を確認応答イベント信号としても良い。
また、発信制御部64は、イベント検出部58で非常押釦16の長押操作を検出した場合、警報停止を示すイベント信号を生成して送信処理部60により他の端末へ送信させ、非常通報イベント信号受信で住警器100はじめ他の端末から出力されている異常発生警報を停止させる。
なお、非常通報に伴う異常発生警報の出力は、他のマスタ発信機10や発信機11では行わず、住警器100でのみ行うようにしても良い。
また、発信機制御部64は、イベント検出部58で試験スイッチ38の操作を検出した場合、非常通報試験を示すイベント信号(非常通報試験イベント信号)を生成して送信処理部60により他の端末へ送信させ、他の端末で非常通報受信による異常発生警報の試験警報動作を行わせる。他の端末における試験警報動作は、例えばスピーカから「ピッピッ 発信機の試験が行われました」といった音声メッセージを出力すると共に表示LEDを例えば所定時間点灯させる。
また、発信制御部64は、イベント検出部58で他の端末からの火災イベント信号受信(中継送信された火災イベント信号受信を含む)を検出した場合に、報知部36のスピーカ56から火災を示す警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です」を繰り返し出力させると共に、報知部36のLED17を例えば点灯させるようにしても良い。なお、火災イベント信号受信に基づく報知部36の、少なくともスピーカ56による警報動作は、マスタ発信機10を住警器100に近接した場所(例えば同じ部屋)に設置する場合には不要であることから、操作部36に設けたディップスイッチ等(図示省略)により、火災警報動作の禁止モードを設定しておくようにすることもできる。
このようにすれば、同じ場所に設置された住警器100とマスタ発信機10とで火災警報の音声出力が重複することを回避できる。これについては、発信機11と住警器100が近隣設置される場合の発信機11についても同様となる。このような場合のマスタ発信機10や発信機11は、住警器100から受信したイベント信号を中継送信する必要も無い。
また、発信制御部64は、イベント検出部58によるローバッテリー障害検出により警報する。イベント検出部58によるローバッテリー障害の検出は、図示しない電圧検出回路からの信号を、所定の測定時間間隔、例えばT1=4時間間隔で電池電源40から供給される電源電圧をA/D変換により読み込んで所定の閾値電圧と比較し、この閾値電圧以下の時にローバッテリー障害と仮判定し、更にローバッテリー障害との仮判定が連続して所定回数続いた場合にローバッテリー障害を判定(確定)し、報知部36のスピーカ56からの警報音出力とLED17の表示出力によりローバッテリー障害警報を出力させる。ローバッテリー障害状態にあっても、マスタ発信機10は所定の動作を継続するようにしており、したがってこのローバッテリー障害警報は、電池切れによる動作停止の予告報知となる。
ローバッテリー障害の警報音としてたとえば「ピッ 電池切れです」を所定回数繰り返し出力すると共にLED17を例えば所定期間点滅し、その後は、一定時間毎に「ピッ 電池切れです」の音声出力(1回)とLED17による表示出力(ワンパルス点灯)を行う処理を繰り返す。
また、発信制御部64は、イベント検出部58でローバッテリー障害を検出(確定)した場合、ローバッテリー障害を示すイベント信号(以下、ローバッテリーイベント信号)を他の端末へ送信してローバッテリー障害警報を警報音および/または表示で行わせるようにしても良い。
このとき、ローバッテリー障害が発生しているマスタ発信機10(信号送信元)と他の端末(信号送信先)では異なる警報音および/または表示内容とする。これによりユーザはローバッテリー障害が発生しているマスタ発信機10を識別特定して電池交換などの対応を適切に行うことができる。
その他、スピーカ56への出力線の断線や他の回路故障、通信異常等を同様に障害監視することができる。これらの処理は、後に説明する住警器100の場合と同様に行う。ただし、以下では説明を簡単にするためマスタ発信機10での障害およびその復旧は、住警器100では連動処理されないこととする。
通報制御部66は、イベント検出部58で種別スイッチ19のいずれかの操作による通報内容及び通報スイッチ18のいずれかの操作による通報先警報器の指定を検出した場合に、通報内容及び通報先警報器を示すイベント信号(通報イベント信号)を送信処理部60により送信して通報先の住警器100の報知部から選択した通報内容を報知させる。もちろん、通報先として住警器100以外に他のマスタ発信機10や発信機11を選択指定可能とし、これらを通報先とする通報イベント信号を送信させて、通報先端末の報知部から報知させるようにしても良い。
図6はマスタ発信機10から他の端末へ送信される通報イベント信号に設定する通報内容を示すイベント符号と通報メッセージ(報知音声)の一覧を示している。図6はインデックスとなる項番A〜Dに対応して4ビットのイベント符号1001〜1100が設定され、イベント符号1001は食事呼出で、通報メッセージは「ピンポーン ごはんですよ」とし、イベント符号1010は風呂呼出で、通報メッセージは「ピンポーン お風呂ですよ」とし、イベント符号1011は起床呼出で、通報メッセージは「ピンポーン 起きてください」とし、イベント符号1100は就寝呼出で、通報メッセージは「ピンポーン おやすみなさい」としている。これらの各情報は、例えば図示しない記憶部に予め記憶されており、必要に応じ読み出されて処理される。
再び図5を参照するに、通報制御部66は、ベント検出部58により種別スイッチ19及び通報スイッチ18それぞれの操作による通報内容と通報先の選択を検出した場合に、発信機灯として機能するLED17を点滅又は明滅させ、スイッチ操作が受け付られて通報内容を示すイベント信号が通報先に送信されたことを報知する。このとき報知部36のスピーカ56からスイッチ操作音を出力させても良い。
また、通報制御部66は、このようにLED17が点滅又は明滅している状態で、イベント検出部58により住警器100からの確認応答イベント信号を検出した場合、通報内容を示すイベント信号が通報先の住警器100で受信されて通報内容が出力されたことを判定し、LED17の点滅又は明滅を停止した後所定時間点灯させ(切替点灯)、通報完了を報知する。この通報完了の報知は、LED17の切替点灯と共にスピーカ56から通報完了を示す例えば「通報を完了しました」といった報知音を出力させても良い。
或いは、通報制御部66は、LED17が点滅又は明滅している状態で所定時間が経過した場合、通報イベント信号が通報先の住警器100で受信されて通報内容が出力されたとみなし、LED18の点滅又は明滅を停止して点灯に切り替え、通報完了を報知しても良い。
なお、確認応答イベント信号は少なくとも何れか1台の住警器100から受信されれば良く、この受信に基づいて処理を行った後に他の住警器から送信される確認応答イベント信号を受信した場合は、無視して処理しないようにしても良い。
図7は図1の警報システムに設けた発信機11の実施形態を示したブロック図である。発信機11は日常的な通報機能を持たないため、図5のマスタ発信機10の操作部36に設けた通報スイッチ18と種別スイッチ19を取り除き、また、プロセッサ28に設けている通報制御部66の機能を取り除いている。それ以外の点は図5のマスタ発信機10と同じになることから、同一符号で示している。メモリ32に記憶する送信元符号50としては、発信機11のシリアル番号等を利用する。
図8は図1の警報システムに設けた住警器の実施形態を示したブロック図である。これは一例であり、各機能の分離、統合は任意に行うことができる、また各機能の実行は、ソフトウェア(プログラム)によって実行されるものであってもハードウェアによって実行されるものであっても良い。
図8において、住警器100はワンチップCPUとして知られたプロセッサ128を備え、プロセッサ128に対してはアンテナ131を備えた無線通信部130、記録回路部(メモリ)132、センサ部134、報知部136、操作部138及び電池電源140を設けている。
無線通信部130には図5のマスタ発信機10の無線通信部30に設けた送信回路42、受信回路44と同様の送信回路142及び受信回路144が設けられ、他の端末との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。
無線通信部130及びメモリ132の記憶情報は、図5のマスタ発信機10のメモリ32の各記憶情報と同様である。ここで送信元符号50としては、住警器100のシリアル番号等を利用する。
センサ部134には、煙を検出して信号を出力する検煙部116を設けている。前述のように、センサ部134には検煙部116に代えて、温度や温度上昇を検出する素子や、火災に伴うその他の現象を検出する各種素子を設けても良い。
報知部136には警報音等を出力するスピーカ156と警報等表示等を行うLED122が設けられている。スピーカ156は、図示しない音声合成回路部から、自己が保持しているデータに基づき、各種の音声メッセージや警報音等を、図示しない増幅部を介して出力する。LED122は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常(異状)その他を表示する。スピーカ156に代えて、ブザー等を用いても良い。またLED122に代え、2色LEDや液晶表示器等を設けても良い。もちろん、LEDと液晶表示器を併設するなどしても良い。
操作部138には警報停止スイッチ120が設けられている。警報停止スイッチ120は、報知部136のスピーカ156から火災や障害の警報音を出力しているとき又はLED122により警報表示を行っているときにのみ警報停止スイッチとして機能する。例えば連動元を示す警報中に警報停止スイッチ120を操作すると、警報音及び警報表示は停止され、一方、連動先を示す警報出力中に警報停止スイッチ120を操作すると、警報音を停止し、警報表示を停止または警報音停止から所定時間後に停止するといった警報停止処理が行われる。
一方、少なくとも連動元または連動先を示す警報を出力していない通常監視状態においては、警報停止スイッチ120は点検指示(要求)スイッチとして機能し、この状態で警報停止スイッチ120を操作すると、所定の自己点検動作が実行されて報知部136のスピーカ156から点検結果を示す音声メッセージなどが出力される。
なお、障害警報出力中に警報停止スイッチ120が操作された場合には、所定の自己点検動作を実施して結果を報知した後に障害警報停止処理を行うようにしても良い。このようにすれば、例えば点検動作によりセンサ故障等を再チェックした後に障害警報停止処理が行われるので、利用者に対し、故障等の障害状態をより明確に認知させることができる。そして、このとき障害状態が解消している場合には、例えば「障害は解消しました」等のメッセージを出力して、障害停止処理に移行しても良い。なお、本発明の警報システムにおいては、このような障害警報停止や点検についても端末間で適宜連動させることができるが、ここでは説明を省略する。
電池電源140は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器100における無線通信部130を含む回路部全体の低消費電力化により、例えば10年の電池寿命を保証している。ここで、マスタ発信機10からの通知イベント信号受信やそれに伴う通知(報知)動作に要する消費電力を考慮し、別に増設電源等を設けても良い。
プロセッサ128にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検出部158、送信処理部160、受信処理部162、警報処理部164が設けられている。
イベント検出部158は、センサ部134による異常(ここでは火災)検出、操作部138による警報停止指示(要求)入力や点検指示(要求)入力、センサ部134の異常検出がなくなる異常復旧等のイベントを検出する。またイベント検出部158はアンテナ31、受信回路144および受信処理部162を介して他の端末から受信したイベント信号の解読結果として得られたイベント内容を検出する。
送信処理部160は、イベント検出部158でセンサ部134による異常検出、操作部138による各指示(要求)入力、センサ部134の異常検出がなくなる異常復旧等の自己のイベントを検出した場合に、検出イベント内容を示すイベント信号を、無線通信部130の送信回路142を介してアンテナ131から連動先となる他の住警器100やマスタ発信機10へ送信させる。また、送信処理部160はイベント検出部158で端末からのイベント信号を検出した場合、必要に応じ又は自己の設定状態に応じてこれを中継送信する。受信処理部162は、アンテナ131、受信回路144を介して受信した他の端末からのイベント信号を解読する。
警報処理部164は、イベント検出部158で自己の異常として火災を検出した場合に報知部136のスピーカ156から連動元を示す警報音を出力させると共に、LED122を駆動して連動元を示す警報表示を行い、更に、火災イベント信号を他の端末に送信する。
具体的に説明すると、警報処理部164は、センサ部134に設けた検煙部116の煙検出信号に基づきイベント検出部158で火災を検出した場合に、報知部136のスピーカ156から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火事です 火事です」を繰り返し出力させると共に、LED122を例えば点灯して連動元を示す警報表示を行い、更に、送信処理部64および送信回路142を介して無線通信部130の送信回路142によりアンテナ131から火災イベント信号を他の端末に向けて送信させる。
また、警報処理部164は、無線通信部130の受信回路144により他の住警器100から(或いは中継送信により他の端末から)火災イベント信号を受信し、受信処理部162でグループ符号の照合等を行い有効となった場合に、報知部136のスピーカ156から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時にLED122を例えば点滅して連動先を示す警報表示を行う。
また、警報処理部164は、無線通信部130の受信回路144によりマスタ発信機10から(或いは中継送信により他の端末から)非常通報を示すイベント信号を受信し、受信処理部162でグループ符号の照合等を行い有効となった場合に、報知部136のスピーカ156から非常通報を示す警報音例えば「「ウーウー 発信機が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時にLED122を例えば点滅して異常発生を示す警報表示を行う。
また、警報処理部164は、無線通信部130の受信回路144によりマスタ発信機10から(或いは中継送信により他の端末から)試験非常通報を示すイベント信号を受信し、受信処理部162でグループ符号の照合等を行い有効となったときに、報知部136のスピーカ156から試験非常通報を示す警報音例えば「「ピッピッ 発信機の試験動作が行われました」となる警報音を繰り返し出力させ、同時にLED122を例えば点滅して試験動作を示す警報表示を行う。
また、警報処理部164は、無線通信部130の受信回路144によりマスタ発信機10から(或いは中継送信により他の端末から)図6に示したイベント符号による通報内容を示すイベント信号(通報イベント信号)を受信し、受信処理部162でグループ符号の照合等を行い有効となった場合に、報知部136のスピーカ156からイベント符号に対応した通報メッセージを出力させると共にLED122を例えば点滅して通報表示を行う。
ここで、イベント検出部158はセンサ障害とローバッテリー障害を検出する。センサ障害の検出は、所定の測定時間間隔、例えばT2=1秒間隔でセンサ部134の検煙部116から出力される煙検出信号をA/D変換により読み込んでメモリ132のバッファ領域に保持し、例えば所定の時間間隔T3=10分毎に、メモリ132のバッファ領域に保持している10分間ぶんの検出データの平均値を求め、この平均値が所定の基準レベル(零点レベルという)を下回った時に検出信号出力停止状態である等としてセンサ部134の障害と判定する。
このように煙濃度検出信号の10分間平均値が零点レベルを下回る原因は、検煙部116に設けている受光素子故障や受光素子からの配線断線、受光アンプ停止などの障害が発生したことによるものである可能性が高いため、障害(センサ障害と総称する)とする。なお、センサ部116にサーミスタなどの温度検出素子を設けた場合にも、各種の処理により、同様にセンサ障害を検出することができる。その他、スピーカ156への出力線の断線や他の回路故障や通信異状等を同様に障害監視することができる。このような障害についても、検出後はセンサ障害と同様の処理を行う。
ローバッテリー障害の検出とその処理については、図5のマスタ発信機10と同様に行う。
警報処理部164は、イベント検出部158でセンサ障害又はローバッテリー障害を検出した場合に、報知部136のスピーカ156からの警報音および/またはLED122の表示により連動元を示すセンサ障害又はローバッテリー障害警報を出力させる。住警器100はローバッテリー警報出力状態であっても所定の機能を引き続き実行可能であり、従ってローバッテリー障害警報は、電池切れにより間もなく動作停止に至ることを予告報知するものとなる。
また警報処理部164は、センサ障害又はローバッテリー障害イベント信号を他の住警器100端末に送信して連動先を示すセンサ障害又はローバッテリー障害警報を警報音および/または表示で行わせる。なお、これら障害についてはマスタ発信機10や発信機11との相互連動を行わないようにしても良い。
更に警報処理部164は、アンテナ131、受信回路144および受信処理部162を介して他の端末の何れかからセンサ障害(住警器のみ)又はローバッテリー障害イベント信号を受信し有効となった場合に、報知部136のスピーカ156からの警報音と、LED122の表示とにより連動先を示すセンサ障害又はローバッテリー障害警報を出力させる。
警報処理部164は、イベント検出部158でセンサ障害を検出した場合、報知部136のスピーカ156から連動元(障害元)を示すセンサ障害の警報音として例えば「ピッ 故障です」を所定回数繰り返して出力すると共にLED122を例えば点滅し、その後は一定時間毎に「ピッ 故障です」の音声出力(1回)とLED122による表示出力(ワンパルス点灯)を行う処理を繰り返す。
また警報処理部164は、送信処理部160および送信回路142を介してアンテナ131からセンサ障害を示すイベント信号(センサ障害イベント信号)を他の端末に送信することで、連動先を示すセンサ障害警報を報知出力させる。このとき、連動先の端末では警報音として例えば「ピッ 別の警報器が故障です」や「ピッ 警報器が故障です」といったメッセージが出力されると共に連動元とは異なる点滅表示が行われる。
また警報処理部164は、イベント検出部158でローバッテリー障害を検出した場合、報知部136のスピーカ156から連動元(障害元)を示すローバッテリー障害の警報音としてたとえば「ピッ 電池切れです」といったメッセージを所定回数繰り返して出力すると共にLED122を例えば点滅し、その後は、一定時間毎に「ピッ 電池切れです」といったメッセージ出力(1回)とLE1D22による表示出力(ワンパルス点灯)を行う処理を繰り返す。
また警報処理部164は、ローバッテリー障害を示すイベント信号(ローバッテリー障害イベント信号)を他の端末に送信することで、連動先の端末に連動先を示すローバッテリー障害警報、例えば警報音として「ピッ 別の警報器が電池切れです」や「ピッ 警報器が電池切れです」といったメッセージを出力させると共に連動元とは異なる点滅表示を行わせる。
また警報処理部164は連動元を示す火災警報または連動先を示す火災警報音の出力中にイベント検出部158で自己の警報停止スイッチ120の操作を検出した場合、又は他の住警器100の何れかからの警報停止を示すイベント信号(警報停止イベント信号)受信(任意の端末で中継送信されたものを含む)を検出した場合、スピーカ156からの音声メッセージとLED122の警報表示による火災警報の出力を停止する。このとき、LED122による警報表示については、音声メッセージ出力停止後所定時間継続した後に停止しても良い。なお、連動元を示す火災警報中には、警報停止イベント信号受信があった場合は、少なくとも警報音の出力は継続させるようにしても良い。
更に警報処理部164は、連動元を示すセンサ障害又はローバッテリー障害警報の出力中にイベント検出部158で自己の操作部138に設けた警報停止スイッチ120の警報停止操作を検出した場合、自己の連動元を示す警報音を停止すると共に障害表示を停止し、更に連動先を示す障害警報出力中の他の端末に警報停止イベント信号を送信して、障害警報音と障害表示を停止させる。
図9は本実施形態で端末間の連動に使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図である。図9において、イベント信号46は連番48、送信元符号50、グループ符号52及びイベント符号54で構成され、更に日常的な通報内容と通報先を示すイベント信号の場合は、点線で示す通報先符号55と、通報内容を示すイベント符号56(図6)が付加される。連番48はイベント信号の順番を示す連続番号であり、イベント信号を送信する毎に1つずつ増加させる。また、連番48は非同期で端末毎に都度生成している。連番48は各端末間の、主に無線通信に於いてイベント信号の処理順等を管理するためのものであるが、本発明に直接関係しないので詳細な説明を省略する。
送信元符号50は例えば26ビットの符号であり、各端末のシリアル番号等を利用している。グループ符号52は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図1の各マスタ発信機10と住警器100につき同じグループ符号が設定されている。
なおグループ符号52としては、同一グループの各端末に同一のグループ符号を設定する以外に、例えば予め定めたグループを構成する各端末に共通な基準符号と各住警器に固有な送信元符号との演算から求めた、住警器ごとに異なるグループ符号であっても良い。
イベント符号54は、火災、非常通報などのイベント内容を表す符号であり、本実施形態にあっては4ビット符号を使用しており、例えば
0001=火災
0010=通報(通知・連絡)
0011=非常通報
0100=警報停止
0101=復旧(火災復旧・障害復旧)
0110=センサ障害
0111=ローバッテリー障害
1000=非常通報試験
としている。ここで、0000はイベント検出を伴わない、例えば定期通報に使用する。なお、図9では確認応答を示す確認応答イベント符号は省略している。
更に通報イベント符号56には図6に示したように、日常的な管理内容を示す符号を例えば
1001=食事管理呼出
1010=風呂管理呼出
1011=起床管理呼出
1100=就寝管理呼出
としている。
即ち、通報イベント信号には、イベント符号54として通報を示す「0010」が設定され、通報イベント符号56にその通報内容、例えば食事呼出通報であれば「1001」が設定され、更に通報先符号55として、通報を行わせる住警器100のアドレス(当該住警器の送信元符号、例えばシリアル番号等を用いても良い)が設定されることになる。
なおイベント符号54のビット数は5ビット、6ビットと増加させることで、更に多くのイベント内容を表すことができる。例えば、復旧のイベント符号は火災復旧と障害復旧に分けても良い。
また、火災以外の異常を検出する警報器では、上記イベント符号54の0001を検出対象となる異常イベントに置き換えても良いし、検出対象となる異常イベントの種類を、例えば上記に追加しても良い。このようにして、同じグループ内に、例えば検出対象とする異常種別の異なる警報器を混在させることもできる。
図10及び図11は図5のマスタ発信機10における発信機処理の例を示したフローチャートである。
なお、以下で各イベント信号の「受信有り」とは、共通符号の照合等によってイベント信号が有効と判定されたことまでを含んでいる。また、イベント信号中継送信の処理は省略している。
図10において、マスタ発信機10の電池電源40による電源供給が開始されると、ステップS1で初期化、自己診断を実行し、異常がなければステップS2に進み、非常押釦16の操作検出有無を判別している。
ステップS2で非常押釦16の操作検出有りを判別するとステップS3に進み、非常通報イベント信号を送信し、ステップS4でLED17を点滅して非常通報が行われたことを報知する。
続いてステップS5において、ステップS3で送信した非常通報イベント信号に対する住警器100からの非常通報確認応答イベント信号(他で中継送信されたものを含む)の有無を判別しており、受信有りを判別するとステップS6に進み、LED18の点滅を停止して点灯に切替え、非常通報完了を表示し、更にステップS7で非常通報完了を示す報知音をスピーカ56から出力する。なお、点灯に切り替わったLED18は所定時間後に消灯する(図示省略)。
続いてステップS8で非常押釦16の長押操作検出の有無を判別しており、長押操作検出有りを判別するとステップS9に進み、警報停止イベント信号を送信し、他の端末で出力している非常通報に基づく異常発生警報を停止させる。
この警報停止イベント信号の送信に伴い、ステップS3〜S6の場合と同様の処理を行う(ステップS9〜ステップS12)。なお、非常通報の警報停止についてはステップS10〜S13の処理は省略しても良い。
続いてステップS14で試験スイッチ38の操作検出の有無を判別しており、試験スイッチ38の操作検出有りを判別するとステップS15に進んで非常通報試験イベント信号を送信して他の端末に異常発生警報の試験動作を行わせる。なお、他の端末から非常通報試験イベント信号(中継送信されたものを含む)の受信有りを検出した場合には試験動作を行うが、図示を省略している。
続いて図11のステップS16に進み、種別スイッチの操作検出有無を判別しており、操作検出有りを判別するとステップS17に進み、操作されたスイッチに割り当てられた種別に対応するイベント符号を取得する。続いてステップS18で通報スイッチの操作検出有無を判別しており、操作検出有りを判別するとステップS19に進み、通報先の住警器送信元符号を取得する。続いてステップS20に進み、ステップS17で取得したイベント符号とステップS19で取得した通報先符号を含む通報イベント信号を生成して送信する。
ステップS20で通報イベント信号を送信すると、ステップS21でLED17を点滅して通報が行われたことを報知する。続いてステップS22において、ステップS20で送信した通報イベント信号に対する確認応答イベント信号(中継送信されたものを含む)受信の有無を判別しており、受信有りを判別するとステップS23に進み、LED17の点滅を停止して点灯に切替えて通報完了を表示し、更にステップS24で通報完了を示す報知音をスピーカ56から出力する。なお、点灯に切り替わったLED17は所定時間後に消灯する(図示省略)。
なお、図7では自己の障害(回路障害、通信部障害、ローバッテリー障害)や障害復旧が検出された場合の処理についても図示を省略しているが、適宜次のような処理を挿入すれば良い。
即ち、障害検出が判定された場合にはスピーカ56からの警報音およびLED17の表示で警報すると共に障害イベント信号を送信し、また障害復旧が検出された場合には当該障害警報を停止すると共に障害復旧イベント信号を送信するようにする。
また中継送信については、イベント信号を受信した場合に、予め定められたルールや設定状態等に応じて、少なくとも自己の送信元符号を付加して、若しくは受信したイベント信号に含まれる送信元符号を自己の送信元符号に代えて、当該イベント信号を中継送信する。
図12は図7の日常的な通報機能を持たない発信機11における発信機処理の例を示したフローチャートである。図12において、ステップS101〜S115は図10のマスタ発信機処理におけるステップS1〜S15と同様であるので説明を省略する。その他自己の障害や障害復旧、中継送信処理についても図10のマスタ発信機処理の場合と同様である。
図13乃至図15は図8の住警器100における監視処理の例を示したフローチャートである。ここでも中継送信については省略しているが、マスタ発信機10や発信機11の場合と同様である。
図13において、住警器100の電池電源140による電源供給が開始されると、ステップS31で初期化、自己診断を実行し、異常がなければステップS32に進み、火災を監視している。センサ部134の検煙部116から出力された煙検出信号が所定の火災レベルを超えるとステップS32で火災を判別してステップS33に進み火災イベント信号を無線送信した後、ステップS34で報知部136のスピーカ156からの音声メッセージやブザー音等による警報音とLED122の点灯による警報表示とにより連動元を示す火災警報を出力する。
続いて、ステップS35でセンサ部134の検煙部116からの煙検出信号レベルが低下して火災状態が解消する火災復旧の有無を判別しており、火災復旧有りを判別するとステップS36で火災復旧イベント信号を他の端末へ送信した後、ステップS37でスピーカ156からの警報音とLED122の点灯による警報表示とによる連動元を示す火災警報を停止する。なお、LED122による警報表示は警報音の停止から所定時間経過後に消灯しても良い。
続いてステップS38で自己の警報停止スイッチ120の操作有無を判別し、スイッチ操作が判別されるとステップS39で警報中か否かを判別する。ステップS39で警報中が判別されると、ステップS40に進んで警報停止イベント信号を他の端末へ送信し、更にステップS41に進んでスピーカ156からの連動元を示す警報音出力を停止し、LED122の点灯による警報表示を消灯する。なお、このときもLED122は警報音の停止から所定時間経過後に消灯しても良い。
ステップS39で警報中でないと判別した場合には、所定の点検動作を実施して結果を報知するようにしているが、図示を省略している。
続いて図14のステップS42に進み、他の端末から送信または中継送信された火災イベント信号受信の有無を判別している。火災イベント信号受信を判別すると、ステップS43に進んで連動先を示す火災警報としてスピーカ156から警報音を出力し、LED122の点滅による警報表示を行う。
次にステップS44で他の端末から送信または中継送信された火災復旧イベント信号受信の有無を判別しており、火災復旧イベント信号を受信すると、ステップS45に進んで連動先の警報として行っているスピーカ156からの警報音出力とLED122の点滅による警報表示を停止する。
次にステップS46で他の端末から送信または中継送信された非常通報イベント信号受信の有無を判別しており、非常通報イベント信号を受信すると、ステップS47に進んでスピーカ156からの非常通報を示す異常警報音の出力とLED122の点滅による警報表示を行う。
次にステップS48で他の端末から送信または中継送信された警報停止イベント信号受信の有無をチェックしており、警報停止イベント信号の受信を判別すると、ステップS49に進んで警報中か否かを判別し、警報中を判別するとステップS50に進んで連動先としての警報音出力を停止し、警報表示も停止させる。
次にステップS51で他の端末から送信または中継送信された非常通報試験イベント信号受信の有無を判別しており、非常通報試験イベント信号を受信すると、ステップS52に進んでスピーカ156からの非常通報試験を示す異常警報音の出力とLED122の点滅による試験警報表示を行う。
次に図15のステップS53に進み、マスタ発信機10からの送信された、または他の端末から中継送信された通報イベント信号受信の有無を判別しており、通報イベント信号を受信すると、ステップS54に進んで通報イベント信号の通報先符号が自己のアドレス、例えば自己の送信元符号に一致したか否か判別し、一致を判別するとステップS55に進んでイベント符号に対応した通報メッセージをスピーカ156から出力させる。
なお、上記実施形態で説明した非常通報試験に伴う異常警報の出力は、いずれも所定時間経過後に停止するものとする。さらに、マスタ発信機10や発信機11においても、他の端末から受信した非常通報試験イベント信号に基づいて非常通報試験動作を行うようにしても良い。
ところで、各端末に中継送信を行わせる場合のメリットは、例えば端末同士が相互に通信を確保できない場所に配置されている場合にも、この間に中継送信を行う端末が配置されていることで、全体の通信可能エリアを拡げたり、通信の安定性や確実性を確保することにある。
また、上記の実施形態はマスタ発信機と連動する住警器として、火災を検出して警報する住警器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムやそれら各種の警報器を混在させて配置した警報システムについても同様に適用できる。
また、マスタ発信機10や発信機11にはスピーカを設けず、他の端末からのイベント信号受信による連動警報、連動報知機能を省略しても良い。
また、本発明のマスタ発信機が適用される警報システムは、警報器およびマスタ発信機がそれぞれ1台であることを妨げない。
また、マスタ発信機と警報器間の連携は無線通信によるものでなくても良く、有線通信によっても、また有線と無線を適宜混在させるものであっても良い。
また上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等ができる。
また、上記実施の形態で示した各機器のプロセッサは、その機能の一部又は全部を、例えばワイヤードロジック等による他の手段に代えることができる。プロセッサを含め他の電気的、機能的構成は適宜に統廃合することもできる。
また、上記実施形態で例示した各端末のLEDによる表示手段は、本発明の目的を達成できるものであれば、これに代えてどのような表示手段を用いても構わない。そして、表示手段は各端末本体と別体に設けられていても良い。
また、上記の実施形態では、電池電源によって動作する発信機を例に取ったが、電池電源以外の電源で動作するものにも本発明を適用できる。
また、各端末の無線通信部は、各端末本体と別体に設けられても良い。
また、上記実施形態で説明した例の他にも各端末にそれぞれ設けた複数のスイッチ等操作部は、適宜複数の機能を兼用するようにしても良い。
また、上記の実施形態は住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の発信機にも適用できる。
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした警報器であっても良い。
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。