JP5529392B2 - 弾性不織布及びこれを用いた繊維製品 - Google Patents

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本発明は、優れた弾性回復性を有すると共に、べたつきがなく、肌触りが良好な弾性不織布及びこの弾性不織布を用いた繊維製品に関する。
近年、弾性繊維及び弾性不織布は、例えば使い捨ておむつ、生理用品、衛生製品、衣料素材、包帯、包装材等の各種用途に供せられている。特に使い捨ておむつや生理用品等は、直接身体に接触させて使用されるため、身体への良好な装着感や装着後の身体の動きやすさなどの観点から、適度な伸縮性、及び弾性回復性が要求されている。
弾性回復性が付与された弾性繊維として、特許文献1には、オレフィン共重合体やスチレンブロック共重合体のようなエラストマーと他の樹脂成分とをブレンドした弾性繊維が開示されている。しかしながら、これらのエラストマーはポリプロピレンとの相溶性に劣り、かつ非結晶性であるため、これらのエラストマーとポリプロピレンとを混合して弾性繊維を形成した場合、上記エラストマーが繊維表面にブリードしてくる。そのため、この弾性繊維からなる弾性不織布にはべたつき感があり、また、この弾性不織布を用いた繊維製品は肌触りが悪いという問題があった。
特許文献2には、不織布を構成するプロピレンポリマーをフリーラジカル開始剤で処理することが開示されている。このような処理によってプロピレンポリマーの流動性は向上するが、プロピレンポリマーの熱安定性は低下する。
また、特許文献3には、結晶性プロピレンコポリマーと結晶性アイソタクチックプロピレンホモポリマーを含む結晶性プロピレンポリマー組成物で繊維を形成することが開示されている。しかしながら、結晶性プロピレンコポリマーは低結晶性ポリプロピレンに比べて、結晶性アイソタクチックプロピレンホモポリマーとの相溶性に劣り、このため、混練性の低下や、繊維表面へのブリードによる物性低下が懸念される。
さらに、特許文献4には、[mmmm]が60%未満のオレフィンホモポリマーを含む繊維が開示されているが、高規則性ポリプロピレンの配合量の規定はなく、弾性と成形性のバランスに課題がある。
特許文献5には、(mmmm)が0.2〜0.6であり、[rrrr/(1−mmmm)]≦0.1であるプロピレンポリマーとオレフィンポリマーを含む樹脂組成物が開示されているが、低結晶性ポリプロピレンの配合量が十分ではないため、繊維を形成し、これを引っ張った場合に伸長はするものの、伸長したままである。このため、伸長したままではなく縮むもの、すなわち弾性回復性を有する繊維を与える樹脂組成物が要求されている。
特開2003−129330号公報 特表2007−511680号公報 特表2001−520324号公報 特表2003−511578号公報 特開2003−27331号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、優れた弾性回復性を有すると共に、べたつきがなく、肌触りが良好な弾性不織布及びこの弾性不織布を用いた繊維製品を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、低結晶性ポリプロピレンと高結晶性ポリプロピレンを含む結晶性樹脂組成物で形成した弾性不織布により上記目的が達成されることを見出した。すなわち、立体規則性が低く、結晶化速度が小さく、かつ高結晶性ポリプロピレンとの親和性が高い低結晶性ポリプロピレンは、高結晶性ポリプロピレンを効果的に可塑化することができるので、流動性を向上させるためのフリーラジカル開始剤による処理が不要であり、この処理を行わないため熱安定性が高い。本発明者らは、このような低結晶性ポリプロピレンに高結晶性ポリプロピレンを添加した結晶性樹脂組成物は、弾性不織布の形成材料として好適であることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明は、以下の弾性不織布及びこれを用いた繊維製品を提供するものである。
1. 低結晶性ポリプロピレン及び高結晶性ポリプロピレンを含有する結晶性樹脂組成物からなる弾性不織布であって、該低結晶性ポリプロピレンが、以下の(a)及び(b)を満たし、かつ示差走査型熱量計(DSC)で測定した上記結晶性樹脂組成物の結晶化温度(Tc)が20〜100℃であることを特徴とする弾性不織布。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
(b)立体規則性指数([mm])が50〜90モル%である。
2. 結晶性樹脂組成物が、低結晶性ポリプロピレン80〜99質量%と高結晶性ポリプロピレン20〜1質量%との組み合わせを含有する上記1に記載の弾性不織布。
3. 低結晶性ポリプロピレンが、以下の(c)〜(h)を満たす上記1又は2に記載の弾性不織布。
(c)[mmmm]=20〜60モル%
(d)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
(e)[rmrm]>2.5モル%
(f)[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0
(g)質量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000
(h)分子量分布(Mw/Mn)<4
4. 上記1〜3のいずれかに記載の弾性不織布を用いた繊維製品。
本発明によれば、優れた弾性回復性を有すると共に、べたつきがなく、肌触りが良好な弾性不織布を提供することができる。本発明の弾性不織布を形成する結晶性樹脂組成物においては、結晶性樹脂組成物に流動性を付与するための、フリーラジカル開始剤による処理が不要であるため、簡略化された工程で弾性不織布を得ることができる。
本発明の弾性不織布は、低結晶性ポリプロピレン及び高結晶性ポリプロピレンを含有する結晶性樹脂組成物からなる。ここで、本発明において、結晶性ポリプロピレンとは、上述の融点(Tm−D)が観測されるポリプロピレンのことをいう。低結晶性ポリプロピレンとは、この融点が0〜120℃の結晶性ポリプロピレンをいい、高結晶性ポリプロピレンとは、この融点が155℃以上の結晶性ポリプロピレンをいう。
本発明の弾性不織布を形成する結晶性樹脂組成物において、低結晶性ポリプロピレンと高結晶性ポリプロピレンは、低結晶性ポリプロピレン80〜99質量%と高結晶性ポリプロピレン20〜1質量%の組み合わせであることが好ましく、より好ましくは低結晶性ポリプロピレン95〜99質量%と高結晶性ポリプロピレン5〜1質量%の組み合わせである。
高結晶性ポリプロピレンの割合が1質量%以上であると、結晶性樹脂組成物の結晶化度が低すぎず適度のものとなるため、結晶性樹脂組成物の固化が進行し、容易に紡糸することができる。また、紡糸により得られた繊維の収縮が抑制されるため、容易に不織布に成形することができる。一方、高結晶性ポリプロピレンの割合が20質量%以下であると、結晶化度が高すぎず適度のものとなるため、紡糸により得られた繊維を伸長したときに塑性変形が生じず、かつ弾性回復性も高い。
本発明の弾性不織布において、示差走査型熱量計(DSC)で測定した上記結晶性樹脂組成物の結晶化温度(Tc)は20〜100℃であり、好ましくは20〜90℃である。ここで、Tcは上記結晶性樹脂組成物の結晶化速度を表す指標であり、Tcが高いほど上記結晶性樹脂組成物の結晶化速度が大きい。Tcが20℃以上であると、結晶化速度が小さすぎず適度のものとなり、紡糸直後の糸が十分に固化するため付着や収縮が生じず、均一な糸や不織布を得ることができる。一方、Tcが100℃以下であると、結晶化速度が抑制され、これに伴って結晶化度が抑制されるため、紡糸により得られた繊維の弾性回復性が高くなる。
なお、上記Tcは、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下、220℃で5分間保持した後、20℃/分で−30℃まで降温させることにより得られた発熱カーブのピークのピークトップとして求めることができる。
本発明の弾性不織布において、上記低結晶性ポリプロピレンは、以下の(a)及び(b)を満たす。以下の(a)及び(b)は、低結晶性ポリプロピレンを製造する際の触媒の選択や反応条件により調整することができる。後述する(c)〜(h)についても同様である。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
低結晶性ポリプロピレンの融点(Tm−D)が0℃以上であると、紡糸により得られた繊維におけるべたつきの発生が抑制され、120℃以下であると、十分な弾性回復性が得られる。このような観点から、融点(Tm−D)は、好ましくは0〜100℃である。
なお、上記融点(Tm−D)は、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして求めることができる。
(b)立体規則性指数([mm])が50〜90モル%である。
立体規則性指数([mm])が50モル%以上であると、べたつきの発生が抑制され、90モル%以下であると、不織布の製造工程における操作性が向上する。このような観点から、この立体規則性指数([mm])は、好ましくは60〜90モル%、より好ましくは60〜80モル%である。
立体規則性指数([mm])は、後述の日本電子(株)製JNM−EX400型装置を用い、13C−NMRスペクトルを後述する条件と同様にして測定し、プロピレン連鎖のメソトリアッド分率[mm]を測定して求めた値である。立体規則性指数([mm])の値が大きいほど、立体規則性が高い。
上記低結晶性ポリプロピレンは、さらに以下の(c)〜(h)を満たすことが好ましい。
(c)[mmmm]=20〜60モル%
上記低結晶性ポリプロピレンのメソペンタッド分率[mmmm]が20モル%以上であると、べたつきの発生が抑制され、60モル%以下であると、結晶化度が高くなりすぎることがないので、弾性回復性が良好となる。このメソペンタッド分率[mmmm]は、好ましくは30〜50モル%、より好ましくは40〜50モル%である。
上記メソペンタッド分率[mmmm]、後述するラセミペンタッド分率[rrrr]及びラセミメソラセミメソペンダッド分率[rmrm]は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」で提案された方法に準拠し、13C−NMRスペクトルのメチル基のシグナルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのメソ分率、ラセミ分率、及びラセミメソラセミメソ分率である。メソペンタッド分率[mmmm]が大きくなると、立体規則性が高くなる。また、後述するトリアッド分率[mm]、[rr]及び[mr]も上記方法により算出した。
なお、13C−NMRスペクトルの測定は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案されたピークの帰属に従い、下記の装置及び条件にて行うことができる。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
<計算式>
M=m/S×100
R=γ/S×100
S=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
(d)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
[rrrr]/[1−mmmm]の値は、上記のペンタッド単位の分率から求められ、上記低結晶性ポリプロピレンの規則性分布の均一さを示す指標である。この値が大きくなると、既存触媒系を用いて製造される従来のポリプロピレンのように高規則性ポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物となり、べたつきの原因となる。
上記低結晶性ポリプロピレンにおいて、[rrrr]/(1−[mmmm])が0.1以下であると、紡糸により得られた繊維におけるべたつきが抑制される、このような観点から、[rrrr]/(1−[mmmm])は、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.04以下である。
(e)[rmrm]>2.5モル%
上記低結晶性ポリプロピレンのラセミメソラセミメソ分率[rmrm]が2.5モル%を超える値であると、該低結晶性ポリプロピレンのランダム性が増加し、紡糸により得られた繊維における弾性回復性がさらに向上する。[rmrm]は、好ましくは2.6モル%以上、より好ましくは2.7モル%以上である。
(f)[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0
[mm]×[rr]/[mr]2は、上記低結晶性ポリプロピレンのランダム性の指標を示し、この値が2.0以下であると、紡糸により得られた繊維において十分な弾性回復性が得られ、かつべたつきも抑制される。[mm]×[rr]/[mr]2は、0.25に近いほどランダム性が高くなる。上記十分な弾性回復性を得る観点から、[mm]×[rr]/[mr]2は、好ましくは0.25を超え1.8以下、より好ましくは0.5〜1.5である。
(g)質量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000
上記低結晶性ポリプロピレンにおいて質量平均分子量が10,000以上であると、該低結晶性ポリプロピレンの粘度が低すぎず適度のものとなるため、紡糸の際の糸切れが抑制される。また、質量平均分子量が200,000以下であると、上記低結晶性ポリプロピレンの粘度が高すぎず、紡糸性が向上する。この質量平均分子量は、好ましくは30,000〜150,000であり、より好ましくは50,000〜150,000である。この質量平均分子量の測定法については後述する。
(h)分子量分布(Mw/Mn)<4
上記低結晶性ポリプロピレンにおいて、分子量分布(Mw/Mn)が4未満であると、紡糸により得られた繊維におけるべたつきの発生が抑制される。この分子量分布は、好ましくは3以下である。
上記質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、下記の装置及び条件で測定したポリスチレン換算の質量平均分子量であり、上記分子量分布(Mw/Mn)は、同様にして測定した数平均分子量(Mn)及び上記質量平均分子量(Mw)より算出した値である。
<GPC測定装置>
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :2.2mg/ml
注入量 :160μl
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
上記低結晶性ポリプロピレンは、例えば、WO2003/087172号公報に記載されているような、いわゆるメタロセン触媒と呼ばれる均一系の触媒を用いて合成することができる。また、上記高結晶性ポリプロピレンとしては、HF461Y(商品名、BASEL社製)などを用いることができるが、結晶性を示すプロピレン系重合体であればいずれのものでもよく、特に限定されない。例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体などが挙げられる。高結晶性ポリプロピレンの分子量については、いずれの場合にも成形性の観点から選択され、メルトブロー法による成形の場合には、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が100〜2000g/10分程度のものが好ましく、スパンボンド法による成形の場合には10〜100g/10分程度のものが好ましい。これらの範囲から、繊維や不織布の目的とする用途により選択して用いることができる。具体的には、成形性が重視される用途には、結晶化温度が高く、かつ結晶性の高いポリプロピレンが好ましく、結晶化温度(Tc)が100℃以上であるものがより好ましい。
本発明に係る結晶性樹脂組成物には、必要に応じて、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消剤、着色剤、ゴム等の柔軟性付与剤、その他各種の改良剤等を配合することができる。これらは、結晶性樹脂組成物の調製の際に加えてもよく、低結晶性ポリプロピレン又は高結晶性ポリプロピレンの製造の際に加えてもよい。
本発明の弾性不織布は、上記結晶性樹脂組成物を用いて製造される連続フィラメント、部分延伸糸(POY)、塊状(バルク)連続フィラメント、短繊維等のファインデニール繊維から製造したり、上記結晶性樹脂組成物を用いてメルトブロー法、スパンボンド法などの方法により製造したり、メルトブロー法やスパンボンド法で得られた不織布を積層して、不織布積層体とすることで得られ、弾性不織布の用途に応じて製造方法を適宜選定することができる。メルトブロー法によって製造した不織布は、該不織布を構成する繊維の平均径が小さいため、良好な風合を有する。また、スパンボンド法では、弾性不織布を連続的に製造することができ、スパンボンド法によって製造した弾性不織布は、該不織布を構成する繊維が延伸された連続の長繊維であるため、強度が大きい。
ファインデニール繊維は、例えば、結晶性樹脂組成物を直径0.3mm〜0.8mm程度の金型における孔(ノズル)を通して押し出すことで製造することができる。その際、結晶性樹脂組成物が低溶融粘度を有することが好ましく、結晶性樹脂組成物を高溶融温度(230℃〜280℃)及び高メルトフロー速度(15g/10分〜40g/10分)で用いることにより達成することができる。比較的大きな押出機であれば、通常、融解樹脂を高出力で8〜20個のノズルに供給するための連結部分を有する。各スピンヘッドは通常、別個のギアポンプを備えることで産出量を調整し、また、該スピンヘッド(ブレーカー・プレート)により支えられたフィルターパック、及び当該ヘッド内にノズルプレートを有する。ノズルプレートにおける孔の数は、編み糸中のフィラメントの数を決定するものであり、求められる編み糸構造により異なるが、一般的には、20〜250の範囲である。孔は通常、冷気流がよく分配するように、円形、環状、または長方形パターンにグループ化される。
(連続フィラメント)
連続フィラメントの編み糸は通常、40デニール〜2,000デニールの範囲である(デニール=グラム/9000ヤードの数値)。フィラメントは1〜20デニール/フィラメント(dpf)であってもよい。紡績速度は通常、800m/分〜1500m/分である。その典型的な方法を以下に示す。フィラメントを延伸比3:1またはそれ以上で延伸し(1段または2段延伸)、パッケージ上に巻き付ける。2段延伸によれば高延伸比が可能となる。巻取り速度は、通常2,000m/分〜3,500m/分程度である。900m/分を超える巻取り速度では、良好な紡糸性を維持しつつより細いフィラメントを得るために、分子量分布の狭い結晶性樹脂組成物を用いることが好ましい。具体的には、5g/10分以上のMFRを有し、狭い分子量分布を有し、2.8以下の多分散性指数(PI)を有する結晶性樹脂組成物を用いることが好ましい。
(部分延伸糸(POY))
部分延伸糸(POY)は、上述の連続フィラメントのような固体状態の延伸を行わない、紡糸から直接生成した繊維である。繊維中の分子の延伸は、結晶性樹脂組成物がノズルを出た直後に、溶融状態で行われる。繊維が固まると、繊維延伸は行われず、繊維はパッケージに巻き取られる。POY糸は高延伸及び低引張り強さを有する傾向にあり、固体状態での延伸を行い、高引張強度及び低延伸を有する十分に配向された糸(FOY)とは対照的である。
(塊状(バルク)連続フィラメント)
塊状連続フィラメント加工工程としては、一段工程及び二段工程の2つの基本的な工程が挙げられる。例えば、二段工程では、非延伸糸は1,000m/分未満、通常は750m/分未満で紡糸され、パッケージ上に配置される。糸は通常二段で延伸され、テクスチャライザーと呼ばれる機械上で“塊状”になる。巻取り及び延伸速度はバルキングまたはテクスチャライザー装置により2,500m/分以下に制限される。二段連続フィラメント工程と同様に、二次的な結晶化は素早い延伸織りを必要とする。今日において最も一般的な工程は一段紡糸/延伸/織り(SDT)工程である。この工程は二段工程と比較して、経済性、効率及び品質において優れ、バルキング装置が直列である以外は一段連続フィラメント工程に類似する。バルクまたは織り方は糸の外観を変化させ、糸を分離して、十分な緩やかな曲げ及びしわを加えるので、糸がより太く(かさ張って)見える。
(短繊維)
短繊維紡績工程としては、従来型紡績方法及びコンパクトスピニングが挙げられる。従来型紡績方法は通常、以下の2つの工程を含む:1)製造、仕上げ工程及び巻取り、続いて、2)延伸、第二仕上げ工程、圧接(クリンピング)、及び短繊維への切断である。フィラメントとしては、例えば、用途に応じて1.5dpfから70dpfのものが用いられる。短繊維の長さは用途に適するように、7mm程度の短いものや、または200mmの長いものまである。多くの用途において、繊維はクリンプ付与される。クリンピングは、一対のニップロールを用いて、蒸気加熱した箱にトウを過剰供給することにより達成される。過剰供給により、トウが箱内で折り畳まれ、フィラメントの曲げまたはクリンプを生じる。これらの曲げは箱内に吹き込まれる蒸気によりヒートセットされる。樹脂の分子量、分子量分布及びアイソタクチック含量は全てクリンプ安定性、振幅及びクリンピングのし易さに影響を及ぼす。
(メルトブロー法)
メルトブロー法としては、従来公知の方法を採用することができる。たとえば溶融混練した結晶性樹脂組成物をノズルより押し出した後に高速の加熱気体流と接触させて微細繊維とし、この微細繊維を多孔質支持体に捕集して不織布化し、必要に応じて熱融着処理することによって、弾性不織布を製造することができる。このメルトブローン不織布を形成する繊維の平均繊維径は、0.1〜20μm程度であり、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。メルトブロー法によって製造した不織布は、該不織布を構成する繊維の平均径が小さいため、優れたバリア特性を有し、良好な風合を有する。
メルトブローの具体的な工程としては、例えば、押出機で融解された結晶性樹脂組成物を定量溶融ポンプに移送し、溶融結晶性樹脂組成物は溶融ポンプによって安定した産出速度で特別な溶融吹き込み金型に送る。金型を出た溶融結晶性樹脂組成物を、高温・高速風に接触させる。この高温・高速風はフィラメントを延伸し、さらに、冷却空気と共にフィラメントを凝固させる。上述の全ての繊維形成工程は通常、金型から数インチ内で行われる。金型の設計は効果的に良質品を生成するために重要である。布地はフィラメントを細孔形成ベルト上に直接吹き付けることにより形成され、ノズルと多孔質形成ベルトとの距離は、通常200〜400mmである。また、可能な限り細い繊維を得るためには、200g/10分以上の非常に高いMFRを有する結晶性樹脂組成物を用いることが要求されるが、より高い加工温度においては、20g/10分程度の低MFRの結晶性樹脂組成物を用いることもできる。
(スパンボンド法)
スパンボンド法では、溶融混練した結晶性樹脂組成物を紡糸し、延伸、開繊することによって連続長繊維を形成し、引き続き連続した工程で連続長繊維を移動捕集面上に堆積させ、絡合することによって弾性不織布を製造する。スパンボンド法では、弾性不織布を連続的に製造することができ、スパンボンド法によって製造した弾性不織布は、該不織布を構成する繊維が延伸された連続の長繊維であるため、強度が大きい。
スパンボンド法としても、従来公知の方法を採用することができ、例えば、数千の孔を有する大ノズルや、或いは例えば40程度の孔を有する小ノズル群から、溶融ポリマーの押出しにより繊維を製造することができる。ノズルを出た後、溶融繊維はクロスフロー冷気システムにより冷却され、次にノズルから引き離され、高速空気により延伸される。通常、2種類の空気減衰方法があり、その両方ともベンチュリー効果を用いる。第1の方法は、吸引スロットを用いてフィラメントを延伸し(スロット延伸)、ノズルの幅または機械の幅で行う。第2の方法は、ノズルまたは吸引銃を通してフィラメントを延伸する。この方法で形成されるフィラメントはスクリーン(ワイヤー)上または細孔形成ベルト上で収集されウェブを形成する。次に、ウェブは圧縮ロールを通過し、続いて加熱カレンダーロール間を通り、1つのロール上の盛り上がり部分がウェブの10%〜40%の面積を含む部分で結合して、不織布を形成する。
(不織布積層体)
スパンボンド法で得られるスパンボンド不織布(S)は結晶性樹脂組成物から得られるメルトブローン不織布(M)と積層されていてもよい。少なくとも一組のスパンボンド不織布からなるS層であるスパンボンド不織布層/メルトブローン不織布層のSM構造からなる不織布積層体は優れた柔軟性を示す。SM構造が繰り返されていてもいい。また、少なくとも一つの結晶性樹脂組成物から得られるメルトブローン不織布(M)の層の両側に、スパンボンド不織布(S)の層が存在する構造を有する積層体であってもいい。すなわちスパンポンド不織布層/メルトブローン不織布層/スパンボンド不織布層のSMS構造の不織布積層体であってもよいし、その構造が繰り返されていてもよい。積層体の強度と柔軟性のバランスの点からは、SMSの不織布積層体が好ましい。SMSの目付量は通常7〜100g/m2、好ましくは10〜70g/m2である。さらに好ましくは、10〜50g/m2である。
上記不織布積層体の製造方法は、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを積層し、両者を一体化して積層体を形成できる方法であれば、いずれの方法にしたがって行ってもよく、特に制限されない。たとえばメルトブローン法によって形成される繊維をスパンボンド不織布の上に直接堆積させてメルトブローン不織布を形成した後、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを融着させる方法、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを重ね合わせ、加熱加圧により両不織布を融着させる方法、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを、ホットメルト接着剤、溶剤系接着剤等の接着剤によって接着する方法等を採用することができる。
スパンボンド不織布の上に、直接メルトブローン不織布を形成する方法は、結晶性樹脂組成物の溶融物をスパンボンド不織布の表面に吹き付け、繊維を堆積させるメルトブローン法によって行うことができる。このとき、スパンボンド不織布に対して、溶融物が吹き付けられる側の面の反対側の面は負圧にして、メルトブローン法によって形成される繊維を吹き付け、堆積させると同時に、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布を一体化させて、スパンボンド不織布層とメルトブローン不織布層とを有する柔軟性不織布積層体を得る。両不織布の一体化が不十分である場合は、加熱加圧エンボスロール等により十分に一体化させることができる。
熱融着によリスパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを融着する方法としては、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布との接触面の全面を熱融着する方法、スパンポンド不織布とメルトブローン不織布との接触面の一部を熱融着する方法がある。本発明では、熱エンボス加工法によリスパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを融着することが好ましく、この場合融着面積は、スパンボンド不織布とメルトブローン不織布との接触面積の5〜35%、好ましくは10〜30%である。融着面積が前記の範囲にあると柔軟性不織布積層体は、剥離強度と柔軟性のパランスに優れる。
接着剤によってスパンボンド不織布とメルトブローン不織布とを接着する方法において用いられるホットメルト接着剤としては、たとえば酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系等の樹脂系接着剤、スチレンーブタジエン系、スチレンーイソプレン系等のゴム系接着剤などが挙げられる。また、溶剤系接着剤としては、たとえばスチレンーブタジエン系、スチレンーイソプレン系、ウレタン系等のゴム系接着剤、酢酸ビニル、塩化ビニル等の樹脂系の有機溶剤または水性エマルジョン接着剤などが挙げられる。これらの接着剤の中でも、スチレンーイソプレン系、スチレンーブタジエン系等のゴム系のホットメルト接着剤が、スパンボンド不織布の特性である風合いを損なわない点で好ましい。
(アニーリング)
延伸性及び弾性に優れた本発明の弾性不織布は、上述の方法に加えて、さらにアニーリング工程を行って製造することができる。
アニーリングは連続フィラメントにおいて繊維形成後、または繊維から不織布を製造した後に行うことができる。アニーリングは延伸繊維の内部応力を部分的に軽減し、繊維における結晶性樹脂組成物の弾性回復特性を回復させる。アニーリングは内部の結晶構造、並びにアモルファス及び半結晶相の相対順序を著しく変化させ、弾性特性を回復させる。例えば、40℃以上、かつ、結晶性樹脂組成物の結晶融点よりも少し低い温度での繊維のアニーリングは、繊維の弾性特性の回復に適している。
結晶性樹脂組成物の熱アニーリングは、結晶性樹脂組成物または当該組成物から作られた材料を、例えば、室温〜160℃、或いは室温〜130℃の温度で数秒間〜1時間維持することにより行われる。一般的なアニーリング時間は、100℃で1〜5分である。アニーリング時間及び温度は結晶性樹脂組成物に応じて調節できる。アニーリング温度は60℃〜130℃の範囲であってもよく、約100℃程度であってもよい。場合によっては、例えば、従来の連続紡糸、アニーリングは、繊維を加熱ロールに通すことにより行うこともでき、従来のアニーリング技術を適用しなくてもよい。アニーリングは、繊維に弾性を与える観点から、非常に低い繊維張力下で行い、繊維が収縮するようにすべきである。不織布工程において、ウェブは通常カレンダーを通過して、ウェブを点結合(強化)させる。比較的高温で非強化不織布を加熱カレンダーに通過させることで、繊維をアニールして、不織布ウェブの弾性を増加させることができる。繊維アニーリングと同様に、不織布ウェブは不織布ウェブの弾性を高めるために、低張力下で、流れ方向(MD)及び横方向(CD)の両方のウェブの収縮を可能にすべきである。結合カレンダーロール温度は、例えば、100℃〜130℃であり、約100℃であってもよい。アニーリング温度は結晶性樹脂組成物に応じて調節できる。
上述のようにして得られた繊維は、そのまま裸糸として使用したり、或いは他の繊維、例えば、ポリアミド繊維、ウール、綿、再生繊維、ポリエステル繊維など、従来公知の繊維で被覆して被覆弾性繊維として使用し、タイツ、パンティストッキング、ファンデーション、靴下留め、口ゴム、コルセット、外科用の包帯、織物及び編物の水着、スポーツ衣料等の各種用途に用いることができる。
また、本発明の弾性不織布を用いた繊維製品としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の繊維製品を挙げることができる。すなわち、紙オムツのサイドバンド、ギャザー等の使い捨ておむつ用部材、おむつカバー用伸縮性部材、生理用品用伸縮性部材、衛生製品用伸縮性部材、伸縮性テープ、絆創膏、衣料用伸縮性部材、衣料用絶縁材、衣料用保温材、防護服、帽子、マスク、手袋、サポーター、伸縮性包帯、湿布剤の基布等、伸縮性、通気性、人体の動きへの追随性などが要求される部材や、スベリ止め基布、振動吸収材、指サック、クリーンルーム用エアフィルター、エレクトレット加工を施したエレクトレットフィルター、セパレーター、断熱材、コーヒーバッグ、食品包装材料、自動車用天井表皮材、防音材、クッション材、スピーカー防塵材、エアクリーナー材、インシュレーター表皮、バッキング材、接着不織布シート、ドアトリム等の各種自動車用部材、複写機のクリーニング材等の各種クリーニング材、カーペットの表材や裏材、農業捲布、木材ドレーン、スポーツシューズ表皮等の靴用部材、かばん用部材、工業用シール材、ワイピング材、合成皮革用の基材、シーツ、袋物、家具、インテリア、カーシート、衣服、引伸ばし可能な保護カバー、包装材、パップ材、伸縮テープ、サポーター、手袋、上着、下着などを挙げることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
(1)低結晶性ポリプロピレンの製造
攪拌機付きの内容積20Lのステンレス製反応器に、n−ヘプタンを20L/h、トリイソブチルアルミニウムを15mmol/h、さらに、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートと(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドとトリイソブチルアルミニウムとプロピレンとを質量比1:2:20で、事前に接触させて得られた触媒成分を、ジルコニウム換算で6μmol/hで連続供給した。
重合温度を70℃に設定し、反応器の気相部の水素濃度が8モル%、反応器内の全圧が0.7MPa・Gに保たれるように、プロピレンと水素を連続供給し、重合反応を行った。
得られた重合溶液に、安定剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)をその含有割合が500質量ppmになるように添加し、次いで溶媒であるn−ヘプタンを除去することにより、低結晶性ポリプロピレンを得た。
得られた低結晶性ポリプロピレンについて、上述した方法により、融点(Tm−D)、立体規則性指数([mm])、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミメソラセミメソ分率[rmrm]、[rrrr]/(1−[mmmm])、[mm]×[rr]/[mr]2、質量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を測定した。結果を表1に示す。
(2)弾性不織布の成形
上記(1)で得られた低結晶性ポリプロピレン85質量%、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレート(MFR)が1500g/10分の高結晶性ポリプロピレン(BASEL社製、HF461Y)15質量%の配合比で混合し、結晶性樹脂組成物を調製した。この結晶性樹脂組成物の結晶化温度(Tc)を上述した方法により測定した。結果を表1に示す。
次に、スクリュー径65mmのギヤポンプを有する単軸押出機、ダイ(孔径0.36mm、孔数720ホール)、高温圧縮空気発生装置、ネットコンベアー及び巻取り装置を備えた装置に、上記結晶性樹脂組成物を供給し、成形して弾性不織布を得た。すなわち、樹脂温度220℃で上記結晶性樹脂組成物を溶融し、ダイから単孔当たり0.3g/分の速度で溶融状態の結晶性樹脂組成物を糸状物として吐出させ、この糸状物を、0.13MPa、226℃の圧縮空気を用いて、ライン速度2.5m/分のネットコンベアー上に吹き付けることによって、弾性不織布を得た。ネットコンベアーで搬送された弾性不織布を巻取り機にてロール状に巻き取った。
得られた弾性不織布について、下記の測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
(1)弾性回復率の測定
得られた弾性不織布から、長さ200mm×幅25mmの試験片を、機械方向(MD)と機械方向に対して垂直方向(TD)についてサンプリングした。引張試験機((株)島津製作所製、オートグラフAG−I)を用いて、初期長L0を100mmに設定し、引張速度300mm/分で100%伸長した後、直ちに300mm/分で戻し、応力が0となったときの長さL(mm)を測定した。下記式により弾性回復率(%)を算出した。
弾性回復率(%)=(2−L/L0)×100
(2)弾性不織布のべたつきの評価
パネラー10名により手触りの評価を行った。べたつきが無いと感じる場合を2点、少しべたつきを感じる場合を1点、べたつきを感じる場合を0点として採点し、パネラー10名の合計点が14点以上を評価A、10〜13点を評価B、9点以下を評価Cと判定した。
(3)紡糸性
実施例1、2及び参考例4については、1時間の紡糸中に、ダイスのノズル168本から得られる糸のうち破断した糸の本数で評価し、参考例1〜3については、1時間の紡糸中に、全てのノズルから得られる糸のうち破断した糸の本数で評価した。なお、実施例1、2及び参考例4において、全てのノズルから得られる糸で評価した結果もノズル168本から得られる糸で評価した結果と同じであった。
◎:破断がない。
○:破断が1〜2本である。
×:破断が3本以上である。
(4)ローピング
ノズルとエジェクターとの間で、隣接する糸が付着した束になる現象(ローピング)の発生の有無を目視で確認した。
◎:発生しない。
○:発生が少ない。
×:発生が多い。
(5)熱融着性
ウェブをエンボスロールにより熱融着して不織布化するときのエンボス温度で評価した。温度が高すぎるとウェブはロールに付着して巻き付き、温度が低すぎると十分な接着強度が得られず、毛羽立ちやほつれが発生する。このようなロール付着、毛羽立ちが発生しない温度をエンボス温度と定義した。また、評価条件は下記のとおりである。
エンボス圧力(線圧):39.2kN/m
速度:5m/分
ウェブ幅:0.5m
実施例2
実施例1において、低結晶性ポリプロピレン92.5質量%、高結晶性ポリプロピレン7.5質量%の配合比とした以外は、実施例1と同様にして弾性不織布を成形し、同様の測定及び評価を行った。結果を表1及び2に示す。
参考例1
実施例1の重合反応において、重合温度を67℃に設定し、反応器の気相部の水素濃度が0.8モル%、反応器内の全圧が0.75MPa・Gに保たれるように、プロピレンと水素を連続供給した以外は実施例1と同様にして低結晶性ポリプロピレンを得た。
得られた低結晶性ポリプロピレンについて実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
この低結晶性ポリプロピレン樹脂を95質量%、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したMFRが60g/10minの高結晶性ポリプロピレン(プライムポリマー社製、Y6005GM)を5質量%の配合比で混合し、結晶性樹脂組成物を調製した。この結晶性樹脂組成物の結晶化温度(Tc)を上述した方法により測定した。結果を表1に示す。
次に、スクリュー径65mmのギヤポンプを有する単軸押出機を用いて樹脂温度220℃で上記結晶性樹脂組成物を溶融押出し、ノズル径0.5mmのノズル(孔数501ホール)より、単孔当たり0.5g/minの速度で溶融樹脂を吐出させて紡糸した。紡糸により得られた繊維を温度15℃、風速0.8m/secの空気で冷却しながら、ノズル下1400mmに設置したエジェクターでエジェクター圧力0.22MPaで吸引して、ノズル下255mmで5m/minのライン速度で移動しているネット面に繊維を積層した。ネット面に積層された繊維束を40℃に加熱したエンボスロールで線圧39.2kN/mでエンボス加工し、引取りロールに巻き取った。
得られた弾性不織布について、実施例1と同様の測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
参考例2
参考例1において、高結晶性ポリプロピレン(プライムポリマー社製、Y6005GM、過酸化物による分解品)を、高結晶性ポリプロピレン(プライムポリマー社製、Y2000GP、非分解品)に変え、弾性不織布の成形に用いるノズル径を0.3mm、孔数を841ホール、エジェクター圧力を0.40MPa、ライン速度を11m/minに変えた以外は、参考例1と同様にして弾性不織布を成形し、同様の測定及び評価を行った。結果を表1及び2に示す。
参考例3
参考例2において低結晶性ポリプロピレン98質量%、高結晶性ポリプロピレン2質量%とした以外は、参考例2と同様にして弾性不織布を成形し、同様の測定及び評価を行った。結果を表1及び2に示す。
参考例4
実施例1において、低結晶性ポリプロピレン40質量%、高結晶性ポリプロピレン60質量%の配合比とした以外は、実施例1と同様にして弾性不織布を成形し、同様の測定及び評価を行った。結果を表1及び2に示す。
Figure 0005529392
Figure 0005529392
本発明の弾性不織布は、例えば使い捨ておむつ、生理用品、衛生製品、衣料素材、包帯、包装材等の各種繊維製品に好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 低結晶性ポリプロピレン80〜92.5質量%及び高結晶性ポリプロピレン20〜7.5質量%を含有する結晶性樹脂組成物からなる弾性不織布であって、該低結晶性ポリプロピレンが、以下の(a)及び(b)を満たし、かつ示差走査型熱量計(DSC)で測定した上記結晶性樹脂組成物の結晶化温度(Tc)が20〜100℃であることを特徴とする弾性不織布。
    (a)示差走査型熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0〜120℃である。
    (b)立体規則性指数([mm])が50〜90モル%である。
  2. 低結晶性ポリプロピレンが、以下の(c)〜(h)を満たす請求項1に記載の弾性不織布。
    (c)[mmmm]=20〜60モル%
    (d)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
    (e)[rmrm]>2.5モル%
    (f)[mm]×[rr]/[mr]2≦2.0
    (g)質量平均分子量(Mw)=10,000〜200,000
    (h)分子量分布(Mw/Mn)<4
  3. メルトブロー法によって製造された請求項1又は2に記載の弾性不織布。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の弾性不織布を用いた繊維製品。
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