JP6515382B2 - 不織布積層体及び不織布積層体の製造方法 - Google Patents

不織布積層体及び不織布積層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、不織布と接着層を有する不織布積層体及びその製造方法に関するものである。
ポリオレフィン系不織布は、例えば使い捨ておむつ、生理用品、衛生製品、衣料素材、包帯、フィルター等の各種用途に供せられている。特に使い捨ておむつや生理用品等は、直接身体に接触させて使用されるため、身体への良好な装着感が求められている。近年の動向としては、不織布に柔軟性を付与し、目付を下げ、強度を維持するという市場ニーズがあり、軟質ポリプロピレンを添加することなどをして改良されてきている。本用途は不織布同士や不織布やフィルム等を積層して使用するため、中間層にホットメルト接着剤を用いるが、接着剤は少量で高い接着強度が要求される。
特許文献1では、(1)極限粘度[η]が0.01〜0.5デシリットル/g、(2)融点(Tm−D)が0〜120℃の結晶性樹脂、(3)立体規則性指数([mm])が50〜90モル%の高流動プロピレン系重合体を含有するプロピレン系改質剤、当該高流動プロピレン系重合体99〜50重量%及び粘着付与剤50〜1重量%からなるホットメルト接着剤組成物が記載されている。
国際公開公報WO2003/091289号
従来のホットメルト接着剤としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等の熱可塑性エラストマーをベースポリマーに使用し、これに粘着性付与樹脂や可塑剤を配合した樹脂組成物が主に使用されている。
しかしながら、そのようなホットメルト接着剤は不織布との親和性が悪く、不織布同士の接着強度が低い。また、これらのベースポリマーは分子内に二重結合を多数含むため、これらを用いて製造されたホットメルト接着剤は、加熱時の熱安定性が悪く、酸化、ゲル化、分解、着色を起こしやすい。また、塗工時に臭気が発生する。
プロピレン系重合体は従来よりホットメルト接着剤のベースポリマーとして使用されている。しかしながら、チーグラー触媒等の不均一系触媒を用いて重合したプロピレン系重合体を用いたホットメルト接着剤はそのベースポリマー中に多量の高分子量成分を含むため、不織布との貼合わせ時に接着剤が広がりにくいなどの塗布性に問題がある。
本発明は、不織布との優れた接着性を有する層を含む不織布積層体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の[1]〜[12]に関する。
[1] ΔHが0〜80J/gのオレフィン系重合体(A)を含む樹脂組成物からなる不織布と、前記不織布に隣接する、ΔHが0〜80J/gのプロピレン単独重合体(B)を含む接着層と、を有する不織布積層体。
[2] 前記プロピレン単独重合体(B)が、下記(a)を満たす、[1]に記載の不織布積層体。
(a)メソペンタッド分率[mmmm]が20〜80mol%である。
[3] 前記プロピレン単独重合体(B)が、下記(b)〜(e)を満たす、[1]又は[2]に記載の不織布積層体。
(b)[rrrr]/(1‐[mmmm])≦0.1
(c)[rmrm]≧ 2.5mol%
(d)[mm]×[rr]/[mr]2≦ 2.0
(e)分子量分布(Mw/Mn)<4.0
[4] 前記プロピレン単独重合体(B)が(f)を満たす、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の不織布積層体。
(f)重量平均分子量(Mw)が10,000〜70,000である。
[5] 前記接着層がエチレン系重合体を含む、[4]に記載の不織布積層体。
[6] 前記プロピレン単独重合体(B)を含む層がホットメルト接着剤である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の不織布積層体。
[7] 前記オレフィン系重合体(A)が、重合体を構成するモノマーの50mol%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体である[1]〜[6]のいずれか1項に記載の不織布積層体。
[8] 前記オレフィン系重合体(A)が、下記(a’)を満たす[7]に記載の不織布積層体。
(a’)メソペンタッド分率[mmmm]が20〜80mol%である。
[9] 前記オレフィン系重合体(A)が、下記(b’)〜(e’)を満たす、[7]又は[8]に記載の不織布積層体。
(b’)[rrrr]/(1‐[mmmm])≦ 0.1
(c’)[rmrm]≧ 2.5mol%
(d’)[mm]×[rr]/[mr]2 ≦ 2.0
(e’)分子量分布(Mw/Mn)<4.0
[10] 前記オレフィン系重合体(A)が、下記(f’)を満たす、[7]〜[9]のいずれか1項に記載の不織布積層体。
(f’)重量平均分子量(Mw)が10,000〜500,000である。
[11] 前記不織布が前記オレフィン系重合体(A)を0.1〜20質量%と、その他のポリオレフィンを80〜99.9質量%含む、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の不織布積層体。
[12] ΔHが0〜80J/gのプロピレン単独重合体(B)を含む接着剤を溶融し、ΔHが0〜80J/gのオレフィン系重合体(A)を含む樹脂組成物からなる不織布または他の基材に塗布する工程、及び塗布された該接着剤に前記不織布または他の基材を接着する工程を含む、不織布積層体の製造方法。
本発明によれば、不織布との優れた接着性を有する層を含む不織布積層体を提供することができる。本発明の不織布積層体は、紙おむつ等の衛生材料として、好適に使用できる。
[不織布積層体]
本発明の不織布積層体は、ΔHが0〜80J/gのオレフィン系重合体(A)を含む樹脂組成物からなる不織布と、前記不織布に隣接する、ΔHが0〜80J/gのプロピレン単独重合体(B)を含む接着層と、を有する。
不織布積層体は、好ましくは、前記接着層に隣接する、不織布または他の基材を含み、より好ましくは、ΔHが0〜80J/gのオレフィン系重合体(A1)を含む樹脂組成物からなる第2の不織布を更に有する。
〔不織布〕
不織布は、樹脂組成物からなる。樹脂組成物は、オレフィン系重合体(A)を含む
オレフィン系重合体(A)は、ΔHが0〜80J/gである。本発明においてΔHは、融解吸熱量を意味する。融解熱量が上記範囲であることにより、不織布は柔軟性を発現する。
ΔHは、好ましくは10〜70J/g、より好ましくは20〜60J/g、更に好ましくは30〜50J/gである。
なお、ΔHは、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブのピークを含むラインと熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線(ベースラインとする)とで囲まれる面積を求めることで算出される。
オレフィン系重合体(A)は、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを重合して得られるオレフィン系重合体が好ましい。
炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン及び1−イコセン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素数3〜24のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、更に好ましくは炭素数3〜6のα−オレフィン、特に好ましくは炭素数3〜4のα−オレフィン、最も好ましくはプロピレンである。
エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンのうちの1種を単独で重合した重合体を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて共重合して得られる重合体を使用してもよい。
オレフィン系重合体(A)は、重合体を構成するモノマーの50mol%以上がエチレンモノマーであるエチレン系重合体、重合体を構成するモノマーの50mol%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がブテンモノマーであるブテン系重合体などが挙げられ、好ましくはプロピレン系重合体である。
プロピレン系重合体としては、好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、及びプロピレン−α−オレフィングラフト共重合体等から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはプロピレン単独重合体である。
プロピレン系重合体は、炭素数が2のオレフィンを含有する共重合体の場合には、炭素数が2のオレフィン(すなわち、エチレンモノマー)の構成単位が、好ましくは0mol%を超え25mol%以下、より好ましくは0mol%を超え23mol%以下、さらに好ましくは0mol%を超え20mol%以下、より更に好ましくは0mol%を超え18mol%以下である。また、炭素数が3のオレフィンを含有する共重合体の場合には、炭素数が3のオレフィン(すなわち、プロピレンモノマー)の構成単位が、好ましくは50mol%以上、より好ましくは65mol%以上、更に好ましくは75mol%以上、より更に好ましくは80mol%以上である。また、炭素数が4以上のαオレフィンを含有する共重合体の場合には、炭素数が4以上のαオレフィン含有量が、好ましくは0mol%を超え30mol%以下、より好ましくは0mol%を超え27mol%以下、更に好ましくは0mol%を超え20mol%以下である。
オレフィン系重合体(A)は、好ましくは下記(a’)を満たし、より好ましくは、下記(b’)〜(e’)を更に満たし、更に好ましくは下記(f’)を更に満たす。
(a’)メソペンタッド分率[mmmm]が20〜80mol%である。
(b’)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
(c’)[rmrm]≧ 2.5mol%
(d’)[mm]×[rr]/[mr]2 ≦ 2.0
(e’)分子量分布(Mw/Mn)<4.0
(f’)Mwが10,000〜500,000である。
(a’)メソペンタッド分率[mmmm]
メソペンタッド分率[mmmm]は、オレフィン系重合体(A)の立体規則性を表す指標であり、メソペンタッド分率[mmmm]が大きくなると、立体規則性が高くなる。
オレフィン系重合体(A)のメソペンタッド分率[mmmm]は、好ましくは20〜80mol%、より好ましくは30〜60mol%、更に好ましくは40〜55mol%である。メソペンタッド分率[mmmm]が20mol%以上であると、不織布のべた付きを抑制でき、80mol%以下であると、不織布に柔軟性を付与でき、成形する際の紡糸性か改良(紡糸線での繊維破断を抑制)できる。
(b’)[rrrr]/(1−[mmmm])
[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、メソペンタッド分率[mmmm]及びラセミペンタッド分率[rrrr]から求められ、オレフィン系重合体の規則性分布の均一さを示す指標である。[rrrr]/(1−[mmmm])のこの値が大きくなると既存触媒系を用いて製造される従来のポリプロピレンのように高立体規則性ポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物となり、べたつきの原因となる。なお、上記式における[rrrr]及び[mmmm]の値は、mol%/100の値で算出する。
オレフィン系重合体(A)の[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、べたつきの観点から、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.001〜0.05、更に好ましくは0.001〜0.04、更に好ましくは0.01〜0.04である。
(c’)ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]
ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、オレフィン系重合体の立体規則性のランダム性を表す指標であり、値が大きいほどオレフィン系重合体のランダム性が増加する。
オレフィン系重合体(A)のラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、好ましくは2.5mol%以上である。[rmrm]が2.5mol%以上であることにより、高立体規則性のオレフィン系重合体とのブレンド物(樹脂組成物)の組成が均一となり、紡糸性が安定しやすい。
このような観点から、オレフィン系重合体(A)のラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、より好ましくは2.7mol%以上である。また[rmrm]は、通常、好ましくは10mol%以下であり、より好ましくは7mol%以下、更に好ましくは5mol%以下、更に好ましくは4mol%以下である。
(d’)[mm]×[rr]/[mr]2
上記は、トリアッド分率[mm]、[rr]及び[mr]から算出される。当該値は、重合体のランダム性の指標を表し、1に近いほどランダム性が高くなる。
オレフィン系重合体(A)の「[mm]×[rr]/[mr]2」の値は、好ましくは2以下、より好ましくは1.8〜0.5、更に好ましくは1.7〜0.5の範囲である。なお、上記における[mm]及び[rr]の単位は、mol%である。
ここで、メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]、及び後述するラセミメソラセミメソペンダッド分率[rmrm]は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」や「Macromolecules,8,687(1975)」で提案された方法に準拠し、13C−NMRスペクトルのメチル基のシグナルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのメソ分率、ラセミ分率、及びラセミメソラセミメソ分率である。また、トリアッド分率[mm]、[rr]及び[mr]も上記方法により算出される。
(e’)分子量分布(Mw/Mn)
オレフィン系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、高強度の観点から、好ましくは4.0未満である。同様の観点から、オレフィン系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.5以下、より好ましくは1.5〜2.5である。
(f’)重量平均分子量(Mw)
オレフィン系重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、高強度の観点から、好ましくは10,000〜500,000である。
重量平均分子量は、好ましくは30,000〜400,000であり、より好ましくは50,000〜300,000、更に好ましくは80,000〜300,000、更に好ましくは100,000〜300,000である。
ここで、分子量分布(Mw/Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mw、並びに該Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
オレフィン系重合体(A)は、低結晶性ポリプロピレンであることが好ましい。なお、低結晶性ポリプロピレンは、融点が154℃以下のポリプロピレンを意味する。
上記オレフィン系重合体(A)は、例えば、WO2003/087172号に記載されているようなメタロセン系触媒を使用して製造することができる。特に、配位子が架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物を用いたものが好ましく、なかでも、2個の架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られるメタロセン系触媒が好ましい。
〔その他のポリプロピレン〕
樹脂組成物には、上記のオレフィン系重合体以外のポリプロピレンが含まれていてもよい。ポリプロピレンは、種類は特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、プロピレンブロック共重合体などが挙げられる。これらの中でも、好ましくはプロピレン単独重合体である。
ポリプロピレンは、高結晶性ポリプロピレンであることが好ましい。高結晶性ポリプロピレンは、融点が155℃以上の結晶性ポリプロピレンを意味する。
またポリプロピレンのメルトフローレイトは、好ましくは20〜100g/10min、より好ましくは30〜80g/10min、更に好ましくは30〜60g/10minである。
〔樹脂組成物〕
不織布に用いられる樹脂組成物は、少なくともオレフィン系重合体(A)を含む。樹脂組成物は、好ましくはオレフィン系重合体(A)、及びその他のポリプロピレンを更に含む。
オレフィン系重合体(A)の含有量は、樹脂組成物中、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜18質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。
その他のポリプロピレンの含有量は、樹脂組成物中、好ましくは80〜99.9質量%、より好ましくは82〜99質量%、更に好ましくは85〜95質量%である。
樹脂組成物は、他の熱可塑性樹脂や添加剤を含有してもよい。
他の熱可塑性樹脂としては、オレフィン系重合体が挙げられ、具体的にはポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ジエン共重合体、ポリエチレン、エチレン/α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、水素添加スチレン系エラストマー等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
添加剤としては、従来公知の添加剤を配合することができ、例えば、発泡剤、結晶核剤、耐侯安定剤、紫外線吸収剤,光安定剤,耐熱安定剤、帯電防止剤、離型剤,難燃剤,合成油,ワックス、電気的性質改良剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、粘度調製剤、着色防止剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、塩素捕捉剤,酸化防止剤、粘着防止剤などの添加剤が挙げられる。
樹脂組成物のメルトフローレイトは、成形性の観点から、好ましくは25〜80g/10min、より好ましくは30〜80g/10min、更に好ましくは40〜70g/10minである。
〔不織布の製造方法〕
不織布の製造方法に特に制限はなく、公知の乾式法、湿式法、スパンボンド法(メルトブロー法を含む)等を利用することができ、これらの中でも、スパンボンド法が好ましい。以下、スパンボンド法によって製造された不織布を、スパンボンド不織布と称する。
通常、スパンボンド法においては溶融混練した樹脂組成物を紡糸し、延伸、開繊することによって連続長繊維を形成し、引き続き連続した工程で連続長繊維を移動捕集面上に堆積させ、絡合することによって不織布を製造する。当該方法は、不織布を連続的に製造することができ、また、該不織布を構成する繊維が延伸された連続の長繊維であるため、強度が大きい。
該スパンボンド法としては、従来公知の方法を採用することができる。例えば、数千の孔を有する大ノズルや、或いは例えば40程度の孔を有する小ノズル群などから、溶融ポリマーの押出しにより繊維を製造することができる。ここで、単孔当たりの繊維の吐出量は、0.1〜1g/分であることが好ましく、0.3〜0.7g/分であることがより好ましい。ノズルを出た後、溶融繊維はクロスフロー冷気システムにより冷却され、次にノズルから引き離され、高速空気により延伸される。通常、2種類の空気減衰方法があり、その両方ともベンチュリー効果を用いる。第1の方法は、吸引スロットを用いてフィラメントを延伸し(スロット延伸)、ノズルの幅又は機械の幅で行う方法である。また、第2の方法は、ノズル又は吸引銃を通してフィラメントを延伸する。この方法で形成されるフィラメントはスクリーン(ワイヤー)上又は細孔形成ベルト上で収集されウェブを形成する。次に、ウェブは圧縮ロールを通過し、続いて加熱カレンダーロール間を通り、1つのロール上の盛り上がり部分がウェブの10%〜40%の面積を含む部分で結合して、不織布を形成する方法である。
ボンディング形式としては、エンボス、ホットエアー、カレンダーなどの熱接着、接着剤接着、ニードルパンチ、ウォーターパンチなどの機械的交絡などが採用できる。
不織布として、多層不織布を用いることも可能である。
なお、多層不織布の製造方法にも特に制限はなく、公知の方法により製造できる。例えば、最初に不織布を製造し、この上にスパンボンド法やメルトブロー法等によって不織布を形成し、必要に応じてさらにその上に不織布を重ね合わせて、加熱加圧によって融着させる方法が挙げられる。多層不織布にする際の積層手段としては、熱接着、接着剤接着などの各種積層手段があるが、簡便、安価な熱接着積層手段、特に熱エンボスロール法も採用できる。該熱エンボスロール法は、エンボスロールとフラットロールによる公知の積層装置を用いて積層することができる。エンボスロールとしては、各種形状のエンボスパターンを採用でき、各溶着部が連続した格子状、独立した格子状、任意分布などがある。
[接着層]
接着層は、ΔHが0〜80J/gのプロピレン単独重合体(B)を含む。
接着層は、好ましくは、粘着付与樹脂(C)、オイル(D)及びワックス(E)から選ばれる少なくとも1種を含有する。また必要に応じて無機フィラー、酸化防止剤等の各種添加剤を含有してもよい。
(B)プロピレン単独重合体
プロピレン単独重合体(B)は、被着体への濡れ性の観点から、ΔHが0〜80J/gである。
ΔHは、好ましくは10〜70J/g、より好ましくは20〜60J/g、更に好ましくは30〜50J/gである。
プロピレン単独重合体(B)は、好ましくは下記(a)を満たし、より好ましくは、下記(b)〜(e)を更に満たし、更に好ましくは下記(f)を更に満たす。
(a)メソペンタッド分率[mmmm]が20〜80mol%である。
(b)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
(c)[rmrm]≧ 2.5mol%
(d)[mm]×[rr]/[mr]2 ≦ 2.0
(e)分子量分布(Mw/Mn)<4.0
(f)Mwが10,000〜70,000である。
(a)メソペンタッド分率[mmmm]
プロピレン単独重合体(B)のメソペンタッド分率[mmmm]は、好ましくは20〜80mol%、より好ましくは30〜60mol%、更に好ましくは35〜50mol%である。メソペンタッド分率[mmmm]が20mol%以上であると、凝集力が優れ、80mol%以下であると、濡れ性に優れる。
(b)[rrrr]/(1−[mmmm])
プロピレン単独重合体(B)の[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、べたつきの観点から、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.001〜0.05、更に好ましくは0.001〜0.04、更に好ましくは0.01〜0.04である。
(c)ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]
プロピレン単独重合体(B)のラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、好ましくは2.5mol%以上である。[rmrm]が2.5mol%以上であることにより、濡れ性に優れる。
このような観点から、プロピレン単独重合体(B)のラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、より好ましくは2.7mol%以上である。また[rmrm]は、通常、好ましくは10mol%以下であり、より好ましくは7mol%以下、更に好ましくは5mol%以下、更に好ましくは4mol%以下である。
(d)[mm]×[rr]/[mr]2
上記は、トリアッド分率[mm]、[rr]及び[mr]から算出される。当該値は、重合体のランダム性の指標を表し、1に近いほどランダム性が高くなる。
プロピレン単独重合体(B)の「[mm]×[rr]/[mr]2」の値は、好ましくは2以下、より好ましくは1.8〜0.5、更に好ましくは1.5〜0.5の範囲である。なお、上記における[mm]及び[rr]の単位は、mol%である。
(e)分子量分布(Mw/Mn)
プロピレン単独重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、塗布性の観点から、好ましくは4.0未満である。同様の観点から、プロピレン単独重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは2.5以下、より好ましくは1.5〜2.5である。
(f)重量平均分子量(Mw)
プロピレン単独重合体(B)の重量平均分子量(Mw)は、高強度の観点から、好ましくは10,000〜70,000である。
重量平均分子量は、好ましくは10,000〜60,000であり、より好ましくは10,000〜50,000である。
上記プロピレン単独重合体(B)は、例えば、WO2003/087172号に記載されているようなメタロセン系触媒を使用して製造することができる。特に、配位子が架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物を用いたものが好ましく、なかでも、2個の架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られるメタロセン系触媒が好ましい。
プロピレン単独重合体(B)の含有量は、不織布との優れた接着性の観点から、接着層中好ましくは30〜80質量%、より好ましくは40〜70質量%である。
(C)粘着付与樹脂
粘着付与樹脂としては、脂肪族系炭化水素石油樹脂の水素化誘導体、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常温で固体、半固体あるいは液状のもの等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、ベースポリマーとの相溶性を考慮して、水素添加物を用いることが好ましい。中でも、熱安定性に優れる石油樹脂の水素化物がより好ましい。
(C)粘着付与樹脂の市販品としては、アイマーブP−125、P−100、P−90(以上、出光興産(株)製)、ユーメックス1001(三洋化成工業(株)製)、ハイレッツT1115(三井化学(株)製)、クリアロンK100(ヤスハラケミカル(株)製)、ECR−227、エスコレッツ2101、エスコレッツ5000シリーズ(以上、東燃化学合同会社製)、アルコンP100(荒川化学(株)製)、Regalrez 1078(ハーキュレス(Hercules)社製)等を挙げることができる(いずれも商品名)。
粘着付与樹脂の含有量は、粘着性向上、塗布性、及び粘度低下による被着体への濡れ性向上の観点から、接着層中、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜60質量%である。粘着性付与樹脂の配合量が上記範囲より多い場合、接着層が脆くなるために接着強度が低下することがある。粘着性付与樹脂の配合量が上記範囲より少ない場合、初期接着性が小さくなることがある。
(D)オイル
オイルとしては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。(D)オイルの市販品としては、ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名、出光興産(株)製)等を挙げることができる。
オイルの含有量は、粘着性向上、塗布性、及び粘度低下による被着体への濡れ性向上の観点から、接着層中、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。オイルの配合量が上記範囲より多い場合、接着剤の凝集力が大幅に低下し、滲み出しにより外観を損ねたり、接着剤がべたつき、かぶれの原因になることある。
(E)ワックス
ワックスとしては、動物ワックス、植物ワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、木蝋、蜜蝋、鉱物ワックス、石油ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、高級脂肪酸ワックス、高級脂肪酸エステルワックス、フィッシャー・トロプシュワックス等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ワックスの含有量は、塗布性、及び粘度低下による被着体への濡れ性向上の観点から、接着層中、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。ワックスの配合量が上記範囲より多い場合、ホットメルト接着剤の接着力が発現しない傾向がある。
(添加剤)
無機フィラーとしては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ウォラストナイト、シリカ、雲母、カオリン、酸化チタン、ケイソウ土、尿素系樹脂、スチレンビーズ、澱粉、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、石英粉末等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、トリスノニフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、アデカスタブ1178((株)ADEKA製、「アデカスタブ」は登録商標)、スミライザーTNP(住友化学(株)製、「スミライザー」は登録商標)、イルガフォス168(BASF社製、「イルガフォス」は登録商標)、SandostabP−EPQ(サンド社製、「Sandostab」は登録商標)、等のリン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スミライザーBHT(住友化学(株)製)、イルガノックス1010(BASF社製、「イルガノックス」は登録商標)等のフェノール系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、スミライザーTPL(住友化学(株)製)、ヨシノックスDLTP(吉富製薬(株)製、「ヨシノックス」は登録商標)アンチオックスL(日油(株)製、「アンチオックス」は登録商標)等のイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。
可塑剤としては、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、脂肪酸エステル類、グリコール類、エポキシ系高分子可塑剤などを例示できる。
接着剤は、プロピレン単独重合体(B)、更に必要に応じて粘着付与樹脂(C)、オイル(D)及び各種添加剤を、ヘンシェルミキサー等を用いてドライブレンドし、単軸又は2軸押出機、プラストミルやバンバリーミキサー等により溶融混練することで製造することができる。
[不織布積層体の製造方法]
不織布積層体の製造方法は、好ましくは、ΔHが0〜80J/gのプロピレン単独重合体(B)を含む接着剤を溶融し、ΔHが0〜80J/gのオレフィン系重合体(A)を含む樹脂組成物からなる不織布または他の基材に塗布する工程、及び塗布された該接着剤に前記不織布または他の基材を接着する工程を含む。
なお、前記塗布する工程では、不織布または他の基材の一部に接着剤を塗布してもよい。
本発明の不織布積層体は、紙おむつ等の衛生材料として好適に使用することができ、パンツ型オムツの一部としてより好適に使用することができる。
以下、各種数値の測定方法について説明する。
[ΔH(融解吸熱量)、融点]
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから融解吸熱量(ΔH−D)として求めた。また、得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップから融点(Tm−D)を求めた。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用いた、DSC測定により得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。
[重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)測定]
ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。測定には、下記の装置および条件を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量および数平均分子量を得た。分子量分布(Mw/Mn)は、これらの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)より算出した値である。
<GPC測定装置>
カラム :東ソー(株)製「TOSO GMHHR−H(S)HT」
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出 ウォーターズ・コーポレーション製「WATERS 150C」
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :2.2mg/ml
注入量 :160μl
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
[NMR測定]
以下に示す装置および条件で、13C−NMRスペクトルの測定を行った。なお、ピークの帰属は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」や「Macromolecules,8,687(1975)」で提案された方法に従った。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
<計算式>
M=m/S×100
R=γ/S×100
S=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
メソペンタッド分率[mmmm]、ラセミペンタッド分率[rrrr]およびラセミメソラセミメソペンダッド分率[rmrm]は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,6,925(1973)」や「Macromolecules,8,687(1975)」で提案された方法に準拠して求めたものであり、13C−NMRスペクトルのメチル基のシグナルにより測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのメソ分率、ラセミ分率、およびラセミメソラセミメソ分率である。メソペンタッド分率[mmmm]が大きくなると、立体規則性が高くなる。また、トリアッド分率[mm]、[rr]および[mr]も上記方法により算出した。
[メルトフローレイト(MFR)測定]
JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
合成例1
[錯体(1)((1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド)の製造]
特許第4053993号公報の参考例1の記載に従って、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドを合成した。
製造例[オレフィン系重合体(A1)、プロピレン単独重合体(B1)の製造]
攪拌機付きの内容積20Lのステンレス製反応器に、n−ヘプタンを20L/hr、トリイソブチルアルミニウムを15mmol/hr、さらに、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド(上記錯体(1))及びトリイソブチルアルミニウムを質量比1:2:20でプロピレンと事前に接触させて得られた触媒成分を、ジルコニウム換算で6μmol/hrで連続供給した。
反応器内の全圧を1.0MPa・Gに保つようプロピレンと水素とを連続供給し、重合温度を適宜調整し所望の分子量を有する重合溶液を得た。
得られた重合溶液に、酸化防止剤をその含有割合が1000質量ppmになるように添加し、次いで溶媒であるn−ヘプタンを除去することにより、オレフィン系重合体(A1)及びプロピレン単独重合体(B1)を得た。
Figure 0006515382
(製造例1:不織布の製造)
オレフィン系重合体(A1)10質量%、ポリプロピレン(PP、ExxonMobil Chemical社製、PP Exxon3155、MFR:36g/10min、ΔH=96J/g)90質量%配合比で混合した樹脂混合物に対し、該樹脂混合物基準で2000ppmのエルカ酸アミドを添加して、樹脂組成物を調製した。
不織布の成形はスパンボンド装置(Reicofil社製Reicofil4)を用いて行った。異なる3機の単軸押出機を用い、それぞれ樹脂温度240℃で原料を溶融押出し、ノズル径0.6mmのノズル(孔数5800ホール/m)より、単孔吐出量0.47g/分の速度で溶融樹脂を吐出させて紡糸した。紡糸により得られた繊維を空気で冷却しながら、ノズル下で冷却エアーダクトにより6500Paのキャビン圧力で吸引して、545m/minのライン速度で移動しているネット面に繊維を積層した。ネット面に積層された繊維束を150℃に加熱したエンボスロールで線圧100N/mでエンボス加工し、引取りロールに巻き取った(SSS)。
(製造例:ホットメルト接着剤の製造)
各成分を表に示す割合(質量%)で配合し、1リットル容のステンレス製容器に入れてマントルヒーターで180℃で30分間加熱して溶融させた後、回転翼で十分に攪拌して実施例1,2および比較例1〜3で使用したホットメルト接着剤を製造した。
製造したホットメルト接着剤について溶融粘度を測定した。
[溶融粘度]
JIS K-6862に準拠して、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて160℃で測定した。
(実施例1〜2、比較例1〜3:不織布積層体の製造)
メック(株)社製HMAコーターシステムにノードソン(株)社製のスパイラルスプレーガンをセットして、表2に示すホットメルト接着剤が塗布された塗工基材と貼り合わせ基材とが接着された積層体を作成した。
塗工基材としては、表2に示される基材を使用し、ライン速度150m/分で貼り合わせた。
スパイラルスプレーガン(ノズル径約0.5mmφ)の塗工条件は、表2に示すホットメルト接着剤の溶融温度を150℃、スプレーガン温度を150℃、ホットエアー温度を180℃とした。ホットメルト接着剤の塗布量は3g/mとし、塗工されたスパイラルの巾が約15mmとなるようにホットエアー圧を調節した。塗工後にプレスローラーで圧着するための圧力は0.1MPa、オープンタイムは約0.1秒として、不織布積層体を製造した。
[接着強度:T形剥離試験]
ホットメルト接着剤で貼り合わせた積層体は、基材の進行方向に対して垂直の方向(CD方向)に25mm巾で切断し、T形剥離接着強度を測定するための試験片とした。試験片は23℃,50%RHで24時間以上養生した後に、同環境下でT形剥離試験を行った。
T型剥離試験には島津製作所(株)社製オートグラフAGS-Xを用い、剥離速度100mm/min,剥離長さ30mmで剥離試験を行い、極大値2点の平均値を計算した。各積層体について5個の試験片の測定を行い、上位3個の平均値をもって剥離接着強度とした。
Figure 0006515382
上記表2で使用した材料の詳細は以下のとおりである。
クレイトン:スチレンブタジエンブロック共重合体 Kraton Polymer社製、商品名「クレイトンD−1102JSZ」(破断伸び629%、引張弾性率22.6MPa)
VESTOPLAST708:チーグラーナッタ触媒で重合して得られたプロピレン/エチレン/1−ブテン共重合体 Evonik Degussa社製、商品名「Vestoplast 708」(ΔH=38J/g)
INFUSE9807:メタロセン触媒を用いて重合したエチレン-オクテン共重合体 Dow Chemical社製、商品名「INFUSE9807」(ΔH=19J/g)
エスコレッツ5300:水添石油樹脂 東燃化学合同会社製、商品名「エスコレッツ5300」
PW90:パラフィン系プロセスオイル 出光興産(株)製、商品名「ダイアナプロセスオイルPW-90」
製造例1Nw:製造例1で得られた不織布(SSS3層,15g/m,100mm巾)
一般Nw:ポリプロピレン(ExxonMobil Chemical社製、PP Exxon3155)製不織布(SMS3層,17g/m,100mm巾)
PE:通気性のPE製フィルム(20g/m,100mm巾)
本発明によれば、不織布との優れた接着性を有する層を含む不織布積層体を提供することができ、紙おむつ等の衛生材料に応用できる。

Claims (11)

  1. ΔHが0〜80J/gのオレフィン系重合体(A)を含む樹脂組成物からなる不織布と、前記不織布に隣接する、ΔHが0〜80J/gのプロピレン単独重合体(B)を含む接着層と、を有する不織布積層体であって、
    前記プロピレン単独重合体(B)が、下記(b)〜(e)を満たす、不織布積層体
    (b)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
    (c)[rmrm]≧ 2.5mol%
    (d)[mm]×[rr]/[mr] 2 ≦ 2.0
    (e)分子量分布(Mw/Mn)<4.0
  2. 前記プロピレン単独重合体(B)が、下記(a)を満たす、請求項1に記載の不織布積層体。
    (a)メソペンタッド分率[mmmm]が20〜80mol%である。
  3. 前記プロピレン単独重合体(B)が、下記(f)を満たす、請求項1又は2に記載の不織布積層体。
    (f)重量平均分子量(Mw)が10,000〜70,000である。
  4. 前記接着層がエチレン系重合体を含む、請求項に記載の不織布積層体。
  5. 前記プロピレン単独重合体(B)を含む層がホットメルト接着剤である、請求項1〜のいずれか1項に記載の不織布積層体。
  6. 前記オレフィン系重合体(A)が、重合体を構成するモノマーの50mol%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体である請求項1〜のいずれか1項に記載の不織布積層体。
  7. 前記オレフィン系重合体(A)が、下記(a’)を満たす請求項に記載の不織布積層体。
    (a’)メソペンタッド分率[mmmm]が20〜80mol%である。
  8. 前記オレフィン系重合体(A)が、下記(b’)〜(e’)を満たす、請求項又はに記載の不織布積層体。
    (b’)[rrrr]/(1−[mmmm])≦ 0.1
    (c’)[rmrm]≧ 2.5mol%
    (d’)[mm]×[rr]/[mr]2 ≦ 2.0
    (e’)分子量分布(Mw/Mn)<4.0
  9. 前記オレフィン系重合体(A)が、下記(f’)を満たす、請求項のいずれか1項に記載の不織布積層体。
    (f’)重量平均分子量(Mw)が10,000〜500,000である。
  10. 前記不織布が前記オレフィン系重合体(A)を0.1〜20質量%と、その他のポリオレフィンを80〜99.9質量%含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の不織布積層体。
  11. ΔHが0〜80J/gのプロピレン単独重合体(B)を含む接着剤を溶融し、ΔHが0〜80J/gのオレフィン系重合体(A)を含む樹脂組成物からなる不織布または他の基材に塗布する工程、及び塗布された該接着剤に前記不織布または他の基材を接着する工程を含む、不織布積層体の製造方法であって、
    前記プロピレン単独重合体(B)が、下記(b)〜(e)を満たす、不織布積層体の製造方法
    (b)[rrrr]/(1−[mmmm])≦0.1
    (c)[rmrm]≧ 2.5mol%
    (d)[mm]×[rr]/[mr] 2 ≦ 2.0
    (e)分子量分布(Mw/Mn)<4.0
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