JP5528984B2 - 機械プレスのプレス荷重制御装置 - Google Patents

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Description

本発明はクランクやリンク機構で駆動される機械プレスのプレス荷重制御装置に係り、特に機械プレスのスライド内に設けたシリンダ−ピストン機構によりプレス荷重を制御する技術に関する。
従来、この種の機械プレスとして、特許文献1、2、3に記載のものがある。
特許文献1に記載の機械プレスの過負荷防止装置は、機械プレスのスライド内に過負荷吸収用の油圧室を設け、その油圧室の圧力が設定オーバロード圧力を越えた時にリリーフ作動する過負荷防止弁を設けるようにしている。この過負荷防止弁には、リリーフ部材をリリーフ弁座に押圧する閉弁バネ及び空圧シリンダが設けられており、上記空圧シリンダの空圧作動室に対して所定圧力の圧縮空気を供給及び排出させことにより、前記設定オーバロード圧力を、プレス能力曲線に沿って変更できるようにしている。
特許文献1に記載の機械プレスの過負荷防止装置は、過負荷防止弁内の空圧シリンダの空圧作動室に対して所定圧力の圧縮空気を供給及び排出させることにより、設定オーバロード圧力をプレス能力曲線に沿って変更するものであり、機械プレスのスライド内に設けた過負荷吸収用の油圧室の圧力が、前記設定オーバロード圧力を越える場合には、過負荷防止弁がリリーフ作動し、これにより過負荷を防止するようにしている。
特許文献2に記載のリンクプレス機のオーバーロードプロテクタは、スライド内に設けられた油圧室の油圧を調整するアキュムレ−タと、このアキュムレ−タに対して油圧調整用の圧油を供給する油圧ポンプとを設け、油圧室の圧力が所定値を越えないように油圧ポンプを制御するようにしている。
特許文献3に記載の機械プレスの加圧力保持装置は、コンロッドとスライドとの間に油圧シリンダを介装し、油圧制御機構により油圧シリンダに供給排出される作動油を制御し、コンロッドとスライドの間で相対運動を行わせてコンロッドが移動するにも拘らず、スライドを一定位置に維持し、下死点付近で加圧力を保持し、スプリングバックの大きい材料に対しても成形ムラのない品質の良いプレス加工製品を得るものである。
特開2001−1199号公報 特開平8−118083号公報 特開平6−155088号公報
従来のこの種の機械プレスには、以下の課題がある。
(1)製品毎に、ダイハイト量を厳密に(アジャスタ機構により)調整する手間を要す。
製品やプレス機械によっては、ダイハイト量を厳密に調整しても運転時間に伴い(機械の線膨張に合わせて)、ダイハイト量を再度調整する手間を要す。ダイハイト量が厳密に調整されず、ダイハイト量が小さ過ぎると、機械(コラム、スライド内蔵シリンダ・油圧室も含む)の弾性変形(に伴い、弾性回復しようとする作用)により、プレス・スライドとボルスタ間に挟まれた金型や製品、強いてはプレス機械自身に過負荷が生じ、金型や機械を破損させ、反対にダイハイト量が大き過ぎると、金型に作用するプレス(成形)荷重が小さ過ぎて良品が成形できない問題が生じる。
(2)金型や機械に作用する過負荷を抑制するために、プレス下死点における加圧時間が(短く)制限される。(1)と同様にダイハイト量を小さくすると過負荷が生じる。これを抑制するために、ダイハイト量が微調整された結果、プレス下死点の極近傍でのみ拘束される(スライド−金型(上型−下型)ボルスタ間で胴体接触する)ため、加圧時間は短く制限される。
(3)金型や機械に作用する過負荷の制限作用が遅れたり、制限する場合にエネルギ損失を伴ったり、スライド位置(高さ)毎に過負荷を制限不可能であったり、スライド位置毎に過負荷を制限可能な場合でもスライドストローク数(spm)に制約を有したり、制限した結果としてプレス機械は異常停止したりする問題がある。
一般的に(大半の機械式プレスは)、スライド内蔵シリンダ・油圧室に、過負荷防止用にリリーフ弁(リリーフ機構)を設け、過負荷が作用すると、過負荷に比例して生じる(油圧室の)圧力がリリーフ弁により過負荷分除去される。しかし、リリーフ弁の構造として、概ねバネ力により閉じている弁が過負荷分の圧力による力に負けて開く構造を有しており、作用するまでに機構が応答するだけの時間遅れが生じる。その遅れ時間内は過負荷が作用することになる。更に、リリーフ弁が開いて、過負荷分の圧力を放出する際は、リリーフ弁を介して、(油圧室の)圧油が高圧側から(タンク等)低圧側へ排出される(その後復帰時に、再蓄圧を要す)ため、その分のエネルギを損失する。更に、機械式のプレス機械は、スライド位置が高くなるにつれて、負荷能力が低下するが、一般的にリリーフ弁の圧力設定は一定(固定)であり、通常は下死点における最大負荷能力に合わせて設定されている。そのため、スライド位置が高い場合に過負荷が生じると、過負荷防止機構として意味を成さず、機械や金型は破損に至る。
これに対し、特許文献1に記載の機械プレスの過負荷防止装置は、設定オーバロード圧力を、プレス能力曲線に沿って(スライド位置(高さ))に応じて変更し、これによりスライド位置が高い場合に過負荷が生じても適切に過負荷を防止することができるが、過負荷によってリリーフ弁が作動した場合には、油圧室の圧油がリリーフ(排出)されるため(莫大な油量が放出され)、プレス機械は一旦、異常停止を余儀無くされる。また、過負荷の原因となったダイハイト量の調整を行う必要がある。
即ち、特許文献1に記載の発明は、機械プレスのスライド内に設けた油圧室の圧力を制御するものではなく、単に機械プレスに過負荷が作用しないようにする過負荷防止装置にすぎず、したがって、上記課題(1)、(2)を解決することはできず、また、機械や金型の破損を防止することができるが、過負荷防止時のリリーフ動作を回避することはできない。
特許文献2に記載の発明は、アキュムレータの弾性作用により、ダイハイト量を小さくしても、スライド(上型)―ボルスタ(下型)間で材料が拘束される際に過負荷は生じない。また、油圧駆動であることも相まって下死点における加圧保持時間を長くすることもできる。しかし、アキュムレータをオーバーロードプロテクタの油圧制御回路に備えることにより、プレスフレームの剛性を下げた時と同様の現象が起きる。即ち、加圧終了時(弾性回復時)に、アキュムレータに蓄積された圧油のエネルギが急激に開放される際に生じるブレークスルー現象が大きくなるという問題がある。また、課題(3)は解決できない。
特許文献3に記載の発明は、スライド初期位置調整機構や油圧シリンダの油圧室への作動油の供給又は排出により油圧シリンダのピストンのストローク可能範囲を可変にし、スライドを下死点位置に維持して加圧力を保持するものであり、スライドを下死点位置に維持し、かつ過負荷状態にならないように油圧シリンダのシリンダ部分から作動油を絞り弁の機能で排出速度を調整しながら油タンクに排出し(特許文献4の段落[0016])、その後、スライドの上昇中に作動油を供給してストローク可能範囲を再び拡げるようにしている。
上記のように特許文献3に記載の発明は、機械プレスのスライド内に設けた油圧室の圧力を制御するものではなく、スライドを下死点位置に維持するために油圧シリンダの油圧室の作動油をリリーフしており、リリーフされる圧油は全てエネルギロスになる。また、課題(3)を解決できない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ダイハイト量を厳密に調整する手間を省くことができ、下死点近傍における加圧時間を長くすることが可能であり、加圧終了時にブレークスルー現象の発生がなく、更に過負荷が生じる手前でプレス荷重を制限可能であるため、プレス動作が中断することがなく、上記課題を全て解決することができる機械プレスのプレス荷重制御装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に係る機械プレスのプレス荷重制御装置は、機械プレスのスライド内に設けたシリンダ−ピストン機構と、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力が設定過負荷圧力を超えた時に作動するリリーフ弁と、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室に接続された液圧ポンプ/モータと、前記液圧ポンプ/モータの回転軸に接続された電動サーボモータと、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を検出する圧力検出手段と、予め設定されたプレス荷重指令に基づいて前記液圧室の圧力を指令する圧力指令手段と、前記圧力指令手段からの圧力指令と前記圧力検出手段により検出した圧力とに基づいて、前記電動サーボモータのトルクを操作することにより、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を制御する制御手段と、を備え、前記圧力指令手段は、前記スライドのスライド位置に伴うプレス荷重に対応する圧力を指令し、前記制御手段は、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を制御することにより、スライドの移動中に当該スライドに作用するプレス荷重を制御することを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、機械プレスのスライド内に設けたシリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を、電動サーボモータにより駆動される液圧ポンプ/モータにより高応答に可変制御可能なため、過負荷が発生するようにダイハイト量を小さめに設定しても過負荷が発生する手前でプレス荷重を制限することができ、これによりダイハイト量を厳密に調整する手間を省くことができる。また、シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を制御可能なため、下死点近傍における加圧時間を長くすることができるとともに、加圧終了時にブレークスルー現象の発生を抑制することができ、更に過負荷が生じないため前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧液がリリーフされることがなく、プレス動作が中断することがない。尚、前記リリーフ弁は、圧力制御時には未使用であり、安全弁として機能するだけであり、圧力制御に伴うエネルギロスはない。
請求項2に係る機械プレスのプレス荷重制御装置は、械プレスのスライド内に設けた複数のシリンダ−ピストン機構と、前記複数のシリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力が設定過負荷圧力を超えた時にそれぞれ作動する複数のリリーフ弁と、前記複数のシリンダ−ピストン機構の液圧室にそれぞれ接続された複数の液圧ポンプ/モータと、前記複数の液圧ポンプ/モータの回転軸にそれぞれ接続された複数の電動サーボモータと、前記複数のシリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力をそれぞれ検出する複数の圧力検出手段と、予め設定されたプレス荷重指令に基づいて前記液圧室の圧力を指令する圧力指令手段と、前記圧力指令手段からの圧力指令と前記複数の圧力検出手段によりそれぞれ検出した圧力とに基づいて、前記複数の電動サーボモータのトルクをそれぞれ操作することにより、前記複数のシリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力をそれぞれ制御する制御手段と、を備え、前記圧力指令手段は、前記スライドのスライド位置に伴うプレス荷重に対応する圧力を指令し、前記制御手段は、前記複数のシリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を制御することにより、スライドの移動中に当該スライドに作用するプレス荷重を制御することを特徴としている。
請求項2に係る発明によれば、機械プレスのスライド内に複数のシリンダ−ピストン機構を設け、各シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力をそれぞれ制御するようにしたため、大型のスライドであっても偏心したプレス荷重がかからないようにすることができる。
請求項3に示すように請求項1又は2に記載の機械プレスのプレス荷重制御装置において、前記液圧ポンプ/モータは、前記シリンダ−ピストン機構の1つの液圧室に並列に接続された複数の液圧ポンプ/モータからなり、前記電動サーボモータは、前記並列に接続された複数の液圧ポンプ/モータの回転軸にそれぞれ接続された複数の電動サーボモータからなり、前記制御手段は、前記圧力指令手段からの圧力指令と前記圧力検出手段により検出した圧力とに基づいて、前記並列に接続された複数の電動サーボモータのトルクをそれぞれ操作することにより、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を制御することを特徴としている。これにより、シリンダ−ピストン機構の液圧室への圧液の供給量が多くなる場合でも対応できるようにしている。
請求項4に示すように請求項1から3のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置において、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を減圧する際に生じる圧液の動力を、前記液圧ポンプ/モータ及び電動サーボモータを介して電源側に電気エネルギとして回生する回生手段を備えたことを特徴としている。
前記シリンダ−ピストン機構の液圧室は、加圧と減圧とが繰り返されるが、加圧する場合に消費したエネルギは減圧する場合に回生することができ、エネルギ効率の良い装置となる。
請求項5に示すように請求項1から4のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置において、前記電動サーボモータの回転角速度を検出するための角速度検出器を備え、前記制御手段は、前記角速度検出器によって検出される角速度を圧力の動的安定性を確保するための角速度フィードバックとして用いることを特徴としている。
請求項6に示すように請求項1から5のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置において、前記機械プレスのクランクのクランク角度を検出する角度検出器を備え、前記圧力指令手段は、前記角度検出器から検出されるクランク角度、又は前記クランク角度から演算される前記スライドのスライド位置を用いて、前記液圧室の圧力を指令することを特徴としている。
請求項7に示すように請求項1から5のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置において、前記機械プレスのスライドのスライド位置を検出するスライド位置検出器を備え、前記圧力指令手段は、前記スライド位置検出器から検出される前記スライドのスライド位置を用いて、前記液圧室の圧力を指令することを特徴としている。
請求項8に示すように請求項6又は7に記載の機械プレスのプレス荷重制御装置において、前記圧力指令手段は、前記スライドのスライド位置を用いて許容加圧能力曲線に沿うように前記液圧室の圧力を指令するとともに、前記スライドの下死点近傍では成形性確保のために前記許容加圧能力曲線以下の一定値に沿うように前記液圧室の圧力を指令することを特徴としている。これにより、比較的長い時間加圧することができ、製品形状を安定させる決め押し効果が得られる。
請求項9に示すように請求項1から8のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置において、前記機械プレスのクランクのクランク角速度を検出する角速度検出器と、前記機械プレスのクランクのクランク角度を検出する角度検出器とを備え、前記制御手段は、前記角速度検出器から検出されるクランク角速度と前記角度検出器から検出されるクランク角度とから演算されるスライド速度を前記液圧室の圧力制御の補償に用いることを特徴としている。
請求項10に示すように請求項1から8のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置において、前記機械プレスのスライドのスライド速度を検出する速度検出器を備え、前記制御手段は、前記スライド速度検出器から検出されるスライド速度を前記液圧室の圧力制御の補償に用いることを特徴としている。
請求項11に示すように請求項1から10のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置において、前記機械プレスのスライドのスライド位置を検出するスライド位置検出器と、前記機械プレスのクランクのクランク角度を検出する角度検出器とを備え、前記制御手段は、前記スライド位置検出器から検出されるスライド位置と前記角度検出器から検出されるクランク角度とから演算される前記シリンダ−ピストン機構のシリンダ位置を前記液圧室の圧力制御の補償に用いることを特徴としている。
請求項12に示すように請求項1から10のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置において、前記シリンダ−ピストン機構のシリンダ位置を検出するシリンダ位置検出器を備え、前記制御手段は、前記シリンダ位置検出器から検出されるシリンダ位置を前記液圧室の圧力制御の補償に用いることを特徴としている。
本発明によれば、機械プレスのスライド内に設けたシリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を高応答に可変制御できるようにしたため、過負荷が発生するようにダイハイト量を小さめに設定しても過負荷が発生する手前でプレス荷重を制限することができ、これによりダイハイト量を厳密に調整する手間を省くことができ、また、下死点近傍における加圧時間を長くすることができるとともに、加圧終了時にブレークスルー現象の発生を抑制することができる。更に、過負荷が生じないため、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧液がリリーフされることがなく、プレス動作が中断することがないという効果を奏する。
本発明に係る機械プレスのプレス荷重制御装置の第1の実施の形態を示す構成図 図1に示した機械プレスのプレス荷重制御装置の制御部を示すブロック図 機械プレスのスライドを1サイクルさせた場合のスライド位置と、スライド位置に伴うプレス荷重(成形力)、スライド内蔵シリンダ力指令、及びシリンダ力の各物理量の変化を示す波形図 図3に示した波形図のうちのスライドの下死点近傍の要部拡大図 本発明に係る機械プレスのプレス荷重制御装置の第2の実施の形態を示す構成図 図5に示した機械プレスのプレス荷重制御装置の制御部を示すブロック図 本発明に係る機械プレスのプレス荷重制御装置の第3の実施の形態を示す構成図 図7に示した機械プレスのプレス荷重制御装置の制御部を示すブロック図 本発明に係る機械プレスのプレス荷重制御装置の第4の実施の形態を示す構成図 図9に示した機械プレスのプレス荷重制御装置の制御部を示すブロック図
以下、添付図面に従って本発明に係る機械プレスのプレス荷重制御装置の好ましい実施の形態について詳説する。
[機械プレスのプレス荷重制御装置の構成(第1の実施の形態)]
<機械プレスの構造>
図1は本発明に係る機械プレスのプレス荷重制御装置の第1の実施の形態を示す構成図である。
図1に示す機械プレスは、コラム(フレーム)20、スライド26、ベッド28上のボルスタ27等により構成され、スライド26は、コラム20に設けられたガイド部により鉛直方向に移動自在に案内されている。スライド26は、図示しない駆動手段によって回転駆動力が伝達されるクランク軸21、コンロッド22及びスライド26内に設けたシリンダ−ピストン機構(スライド内蔵シリンダ25、スライド内蔵ピストン23)を含むクランク機構を介して図1上で上下方向に移動させられる。尚、符号24は、上記シリンダ−ピストン機構の油圧室を示す。
機械プレスのボルスタ27側には、スライド26の位置を検出するスライド位置検出器15が設けられ、クランク軸21には、クランク軸21の角速度及び角度を検出する角速度検出器14及び角度検出器16が設けられている。尚、角度速度検出器14は、角度検出器16から出力される角度信号を微分することにより角度速度信号を取得するものでもよい。
スライド26には上型31aが装着され、ボルスタ27上には下型31bが装着されている。本例における金型31(上型31a、下型31b)は、上に閉じた中空カップ状(絞り形状)の製品の成形用途のものである。
上記の機械プレスの構造は、一般的なものである。
<プレス荷重制御装置の油圧回路>
本発明に係るプレス荷重制御装置の油圧回路10−1は、主としてアキュムレータ1と、油圧ポンプ/モータ2と、油圧ポンプ/モータ2の回転軸に接続された電動サーボモータ3と、パイロット操作チェック弁4と、電磁弁5と、リリーフ弁6とから構成されている。
アキュムレータ1は、1〜5kg/cm程度のガス圧がセットされ、10kg/cm以下程度の低圧状態(略一定低圧)の作動油を蓄積し、タンクの役割を果たす。
油圧ポンプ/モータ2の一方のポートは、パイロット操作チェック弁4を介して油圧室24に接続され、他方のポートはアキュムレータ1に接続され、油圧ポンプ/モータ2は、電動サーボモータ3から加えられるトルクと、両ポートに作用する油圧力に応じて、正方向(油圧室24を加圧する側)、逆方向(油圧室から除圧する側)に回転動作する。
パイロット操作チェック弁4は、プレス(スライド)1サイクル動作の中で、非加工工程(少なくともスライドストロークの上半分)の領域では、電動サーボモータ3(+油圧ポンプ/モータ2)の負荷を低減させるために、電動サーボモータ3が無負荷状態(トルク0状態)でも、油圧室24の圧力を一定に保持可能にしている。パイロット操作用には、油圧ポンプ/モータ2の油圧室側のポートに作用する圧力を用いている。
したがって、電動サーボモータ3を無負荷にすると、油圧ポンプ/モータ2の油圧室側のポートに作用する圧力は低下し、パイロット操作チェック弁4が閉じて、油圧室24の圧力を保持する。逆に、電動サーボモータ3を負荷させると、パイロット操作チェック弁4は開く。加工領域(多くとも、スライドストロークの上下半分)では、電動サーボモータ3を負荷させ、油圧室24の圧力を制御している。
電磁弁5は、油圧室24に作用する圧力を強制的に脱圧する役割を果たす。通常時(機能時)には使用せず、保守時(機械解体時前)等に使用する。
リリーフ弁6は、油圧室24に意図的に制御する圧力とは別に、予期せぬ異常圧力が作用した場合に、圧油を略一定低圧(アキュムレータ1)側に逃がす役割を果たす。本発明においては、過負荷防止機構(機能)は別に存在するため(電動サーボモータ3+油圧ポンプ/モータ2で行うため)、万一の場合に装置を保護するための安全弁として機能する。
尚、油圧ポンプ/モータ2の油圧室側のポートに作用する圧力(パイロット操作チェック弁4が開いている時の油圧室24の圧力)、及び油圧ポンプ/モータ2のアキュムレータ側のポートに作用する圧力は、それぞれ圧力検出器11及び12により検出され、また、電動サーボモータ3の角速度は角速度検出器13により検出される。
<スライド内蔵の油圧室の圧力制御の原理>
プレス荷重の制御は、スライド内蔵の油圧室24の圧力(即ち、油圧ポンプ/モータ2のトルク)を制御することにより行うことができる。
以下、油圧室24の圧力制御の原理について説明する。
いま、スライド内蔵シリンダ25(油圧室24)の断面積:A
スライド内蔵シリンダ25(油圧室24)の体積:V
油圧室24の圧力:P
電動サーボモータ3のトルク:T
電動サーボモータ3の慣性モーメント:I
電動サーボモータ3の粘性抵抗係数:D
電動サーボモータ3の摩擦トルク:f
油圧ポンプ/モータ2の押し退け容積:Q
スライド26からスライド内蔵シリンダ25に加わる力:F
スライド内蔵シリンダ25が圧縮される速度:v
スライド内蔵シリンダ25(・スライド連動)質量:M
スライド内蔵シリンダ25の粘性抵抗係数:D
スライド内蔵シリンダ25の摩擦力:f
電動サーボモータ3の角速度:ω
作動油の体積弾性係数:K
比例定数:k、k
とする。
スライド内蔵シリンダ25の圧力Pが、Pからスライド26を介してスライド内蔵シリンダ25にプレス荷重Fが作用した場合、以下の[数1]式から[数3]式が成り立つ。
[数1]
P=P+∫K{(v・A−kQ・ω)/V}dt
[数2]
F−P・A=M・dv/dt+D・v+f
[数3]
・PQ/(2π)−T=I・dω/dt+D・ω+f
プレス・スライド26を介してスライド内蔵シリンダ25に伝わった力は、スライド26に連動するスライド内蔵シリンダ25を圧縮し、圧力(増・減分)変化を生じさせようとする([数1]式の右辺の第2項)。
[数2]式、[数3]式は、スライド内蔵シリンダ25(連動質量)と電動サーボモータ3(連動慣性)部の運動方程式を示す。
[数1]式・右辺の圧力変化分を、スライド内蔵シリンダ25の圧縮量、圧縮速度によらず0にするべく、電動サーボモータ3のトルクTを制御することで、油圧室24の圧力Pを目標値Prに沿って制御可能になる。
この時、油圧室24の圧力を設定値通りかつ安定に制御するために、圧力Pやモータ角速度ωやスライド速度、あるいはシリンダ圧縮速度vを検出、演算して、操作側モータトルクTを演算・決定するための補償に用いる。また、スライド位置を検出して、圧力の指令手段として用いる。また、直接検出したり、複数の検出信号を演算したりして求めたシリンダ位置を、圧力制御の補償手段に使用する。
<プレス荷重制御装置の制御部>
図2は図1に示した機械プレスのプレス荷重制御装置の制御部を示すブロック図である。
図2に示すように制御部40−1は、主としてスライド内蔵の油圧室24の圧力を指令する圧力指令器42と、油圧室24の圧力を制御する圧力制御器44−1とから構成されている。
圧力指令器42は、プレス荷重指令器42aと指令変換器42bとからなり、プレス荷重指令器42aには、予めスライド26の位置に応じたプレス荷重指令が設定されている。そして、プレス荷重指令器42aは、スライド位置検出器15から入力するスライド26の位置を示すスライド位置信号に基づいてスライド位置に対応するプレス荷重指令を指令変換器42bに出力する。指令変換器42bは、プレス荷重指令器42aから入力するプレス荷重指令を油圧室24の圧力指令に変換し、この圧力指令を圧力制御器44−1に出力する。
一方、圧力制御器44−1の他の入力には、角速度検出器13から電動サーボモータ3の角速度を示す角速度信号と、圧力検出器11から油圧室24の圧力を示す圧力信号と、スライド位置検出器15からスライドの位置を示すスライド位置信号と、角速度検出器14及び角度検出器16からそれぞれクランク角速度及び角度を示すクランク角速度信号及びクランク角度信号とが加えられており、圧力制御器44−1は、前記圧力指令器42から加えられる圧力指令と前記各検出器により検出された信号とに基づいて、電動サーボモータ3のトルクを制御するためのトルク指令を演算・決定し、この決定したトルク指令をサーボアンプ46を介して電動サーボモータ3に出力し、油圧室24の圧力が目標値(圧力指令が示す圧力)になるように制御する。
また、油圧室24の圧力を減圧する場合、油圧ポンプ/モータ2に発生する回転軸トルクが電動サーボモータ3の駆動トルクを上回り、油圧ポンプ/モータ2は、油圧モータとして作用し、電動サーボモータ3を回転(回生作用)させる。この電動サーボモータ3の回生作用によって発電された電力は、サーボアンプ46、及び電力回生機能付き直流電源48を介して交流電源50に回生される。
尚、図2には図示していないが、圧力制御器44−1には、油圧ポンプ/モータ2のアキュムレータ側のポートに作用する圧力を検出する圧力検出器12から圧力信号が加えられており、油圧回路10からの油漏れを検出したり、油圧ポンプ/モータ2の油圧室側のポートに作用する圧力(油圧室圧力)とアキュムレータ側のポートに作用する圧力との差圧から油圧ポンプ/モータ2のトルク、ひいては電動サーボモータ3のトルクが検出したりできるようになっている。
<動作波形による工程説明>
図3は、本発明の基本的な作用例として機械プレスのスライドを1サイクルさせた場合のスライド位置と、スライド位置に伴うプレス荷重(成形力)、スライド内蔵シリンダ力指令、及びシリンダ力の各物理量の変化を示す波形図であり、図4はスライドの下死点近傍の要部拡大図である。尚、スライド内蔵シリンダ力は、油圧室24の油圧にシリンダ受圧面積を乗じたものである。
[A:非加工工程]
スライド26が上死点を含む非加工領域(本例の場合はスライド26のストローク上半分;波形上0〜0.75s及び2.25〜3s)では、電動サーボモータ3は無負荷(0トルク)状態とし、スライド内蔵シリンダ力は、パイロット操作チェック弁4により、油圧室24の圧力を保持することで、発生している。
[B:加工工程・序盤(比較的スライド位置が高い時)]
加工領域(本例の場合はスライドの下半分;波形上0.75s〜2.25s)では、電動サーボモータ3を駆動し、油圧室24の油圧を、基本的に過負荷防止の意図で、スライド位置に応じた許容加圧能力曲線に沿って制御している。即ち、図2に示したプレス荷重指令器42aは、スライド位置信号に基づいて(許容加圧能力曲線に沿うように)、スライド内蔵シリンダ力指令に相当するプレス荷重指令を生成し、指令変換器42bは、この生成されたプレス荷重指令を油圧室24の圧力指令に変換して圧力制御器44−1に出力する。圧力制御器44−1は、前記圧力指令と油圧室24の圧力信号等に基づいて、電動サーボモータ3のトルクを制御することにより、前記圧力指令に追従するように油圧室24の圧力を制御する。
この時、制御対象である圧力信号や、動的安定性を維持するための電動サーボモータ3の角速度信号やスライド速度信号が用いられる。また、シリンダ位置は圧力制御の補償用に使用される。このようにしてシリンダ力は、機械プレス固有の許容加圧能力曲線に沿って、(可変)制御される。その過程で、0.85sを過ぎた時点でプレス荷重(成形力)が作用し始める。この時点では、プレス荷重<シリンダ力であるため、スライド内蔵シリンダ25はストローク限の状態にある(最も伸張している)。
[C:加工工程・中盤(プレス荷重(成形力)が許容加圧能力曲線を超過しようとする時)]
1.25s前後で、プレス荷重がシリンダ力を上回る(超過しようとする)傾向を示すと、シリンダ力は依然として許容加圧能力曲線に沿った力で制御されるため、プレス荷重はシリンダ力で制限され、それ以上作用しない。この時、スライド内蔵シリンダ25はプレス荷重に押され、若干量ストローク動作(圧縮)する。また、この時、油圧室24から排出される圧油により油圧ポンプ/モータ2を介して電動サーボモータ3が回転(回生作用)し、この電動サーボモータ3の回生作用によって発電された電力は、サーボアンプ46、及び電力回生機能付き直流電源48を介して交流電源50に回生される。
[D:加工工程・終盤(下死点近傍における成形性を確保するためのプレス荷重制御)]
スライド26が更に下降し、スライド位置が10mmになると(1.3sを過ぎると)、本例では、製品(材料)を急激に変形させないために(成形性確保のために、これまで行ってきた過負荷抑制を意図とした基本的な許容加圧能力曲線に沿ったシリンダ力に対して)、シリンダ力を一定値の1600kNに制御し、その後、テーパ状に増力させ、最終的に2000kNに制御する。これらはC工程と同様に、シリンダ力指令に基づく荷重制御装置の作用による。この間(1.35s〜1.6s)は、シリンダ力が成形性を確保するために制御され、結果として、スライド内蔵シリンダ25は3mm以下程度圧縮され、0.25sの比較的長い時間加圧することを可能にしている。これにより、製品形状を安定させる決め押し効果が得られる。
また、連続運転時間に応じて、機械プレスが熱により伸張(コンロッド22が伸張したり、その後、コラム20が伸張したり)しても、スライド内蔵シリンダ25が伸縮(ストローク)しながら、油圧室24の圧力が設定圧に制御されるため、過負荷が生じることなく、成形は最適に行われる。
[E:上昇工程]
1.6s〜2.25sまでは、B工程と同様に過負荷を能動的に抑制する(過負荷が生じようとしても、過負荷が生じないように抑制しつつ、スライド動作を続行する)ために許容加圧能力曲線に沿ってシリンダ力を制御する。
[機械プレスのプレス荷重制御装置の構成(第2の実施の形態)]
図5は本発明に係る機械プレスのプレス荷重制御装置の第2の実施の形態を示す構成図であり、図6は第2の実施の形態の機械プレスのプレス荷重制御装置の制御部を示すブロック図である。
図5及び図6に示す第2の実施の形態の機械プレスのプレス荷重制御装置は、主として図1及び図2に示した第1の実施の形態のプレス荷重制御装置の油圧回路10及び制御部40−1の替わりに、油圧回路10−2及び制御部40−2等が適用されている点で相違している。尚、図5及び図6において、図1及び図2に示した第1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図5に示す第2の実施の形態の機械プレスのプレス荷重制御装置の油圧回路10−2は、主として第1の実施の形態の1組の油圧ポンプ/モータ2と電動サーボモータ3の替わりに、2組の油圧ポンプ/モータと電動サーボモータ(油圧ポンプ/モータ2aと電動サーボモータ3a、及び油圧ポンプ/モータ2bと電動サーボモータ3b)が設けられている点で相違する。
上記2つの油圧ポンプ/モータ2a、2bは、それぞれ油圧室24側とアキュムレータ1側との間に並列に配設されている。また、油圧ポンプ/モータ2a、2bの回転軸には、それぞれ電動サーボモータ3a、3bが接続され、電動サーボモータ3a、3bの回転軸にはそれぞれ角速度検出器13a、13bが配設されている。
図5に示す第2の実施の形態の機械プレスのプレス荷重制御装置の制御部40−2は、上記2つの電動サーボモータ3a、3bのトルクをそれぞれ操作することにより油圧室24の圧力を制御する。
即ち、制御部40−2の圧力制御器44−2は、角速度検出器13a、13bから電動サーボモータ3a,3bの角速度を示す角速度信号と、圧力検出器11から油圧室24の圧力を示す圧力信号と、スライド位置検出器15からスライドの位置を示すスライド位置信号と、角速度検出器14及び角度検出器16からそれぞれクランク角速度及び角度を示すクランク角速度信号及びクランク角度信号とが加えられており、圧力制御器44−2は、圧力指令器42から加えられる圧力指令と前記各検出器により検出された信号とに基づいて、電動サーボモータ3a,3bのトルクを制御するためのトルク指令をそれぞれ演算・決定し、これらの決定したトルク指令をサーボアンプ46a,46bを介して電動サーボモータ3a,3bに出力し、油圧室24の圧力が目標値(圧力指令が示す圧力)になるように制御する。
このように電動サーボモータ3a,3bのトルク制御は、第1の実施の形態の単一の電動サーボモータ3のトルク制御と同様に行われるが、これらの電動サーボモータ3a,3bの容量は、単一の電動サーボモータ3の容量の2分の1にすることができる。
尚、2組の油圧ポンプ/モータと電動サーボモータに限らず、3組以上の油圧ポンプ/モータと電動サーボモータを使用するようにしてもよい。
[機械プレスのプレス荷重制御装置の構成(第3の実施の形態)]
図7は本発明に係る機械プレスのプレス荷重制御装置の第3の実施の形態を示す構成図であり、図8は第3の実施の形態の機械プレスのプレス荷重制御装置の制御部を示すブロック図である。
図7及び図8に示す第3の実施の形態の機械プレスのプレス荷重制御装置は、主として左右対称に2系統のプレス荷重制御装置が設けられている点で、図1及び図2に示した1系統のプレス荷重制御装置からなる第1の実施の形態と相違する。
尚、図7上で、図1に示した第1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、アポストロフィ[’]付きの符号は、アポストロフィのない符号が示す構成と同等のものを示しており、アポストロフィのない符号が示す構成とアポストロフィ付きの符号が示す構成とで、2系統のプレス荷重制御装置が構成されている。
第3の実施の形態の機械プレスのプレス荷重制御装置は、機械プレスのスライド内に左右一対のシリンダ−ピストン機構を設け、各シリンダ−ピストン機構の油圧室24、24’の圧力をそれぞれ制御可能にしている。また、第3の実施の形態では、左右一対のシリンダ−ピストン機構のスライド内蔵シリンダ25、25’のシリンダ位置を検出するシリンダ位置検出器19、19’が設けられている。
図8に示す第3の実施の形態のプレス荷重制御装置の制御部40−3は、左右一対の電動サーボモータ3、3’のトルクをそれぞれ操作することにより油圧室24、24’の圧力を制御する。また、制御部40−3の圧力指令器42−3は、クランク角度信号を入力する変換器42cを有し、この変換器42cは、クランク角度信号に基づいてクランク角度からスライド位置に変換し、そのスライド位置を示すスライド位置信号をプレス荷重指令器42aに出力している。
一方、制御部40−3の圧力制御器44−3、44−3’は、角速度検出器13、13’から電動サーボモータ3、3’の角速度を示す角速度信号と、圧力検出器11、11’から油圧室24、24’の圧力を示す圧力信号と、シリンダ位置検出器19、19’からスライド内蔵シリンダ25、25’のシリンダ位置を示すシリンダ位置信号と、角速度検出器14及び角度検出器16からそれぞれクランク角速度及び角度を示すクランク角速度信号及びクランク角度信号とが加えられており、圧力制御器44−3、44−3’は、圧力指令器42から加えられる圧力指令と前記各検出器により検出された信号とに基づいて、電動サーボモータ3,3’のトルクを制御するためのトルク指令をそれぞれ演算・決定し、これらの決定したトルク指令をサーボアンプ46,46’を介して電動サーボモータ3,3’に出力し、油圧室24、24’の圧力が目標値(圧力指令が示す圧力)になるように制御する。尚、スライド内蔵シリンダ25、25’のシリンダ位置を示すシリンダ位置信号は、油圧室24、24’の圧力制御の補償手段に使用される。
第3の実施の形態によれば、各シリンダ−ピストン機構の油圧室24、24’の圧力をそれぞれ制御することにより、大型のスライド25であっても偏心したプレス荷重がかからないようにすることができる。
[機械プレスのプレス荷重制御装置の構成(第4の実施の形態)]
図9は本発明に係る機械プレスのプレス荷重制御装置の第4の実施の形態を示す構成図であり、図10は第4の実施の形態の機械プレスのプレス荷重制御装置の制御部を示すブロック図である。
図9及び図10に示す第4の実施の形態の機械プレスのプレス荷重制御装置は、主として図7及び図8に示した第3の実施の形態のプレス荷重制御装置の油圧回路10、10’及び制御部40−3の圧力制御器44−3、44−3’の替わりに、油圧回路10−4、10−4’及制圧力制御器44−4、44−4’等が適用されている点で相違している。尚、図9及び図10において、図7及び図8に示した第3の実施の形態と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図9に示す第4の実施の形態の機械プレスのプレス荷重制御装置の油圧回路10−4、10−4’は、主として第3の実施の形態の一対の油圧ポンプ/モータ2、2’と電動サーボモータ3、3’の替わりに、二対の油圧ポンプ/モータと電動サーボモータ(油圧ポンプ/モータ2a、2bと電動サーボモータ3a、3b、及び油圧ポンプ/モータ2a’、2b’と電動サーボモータ3a’、3b’)が設けられている点で相違する。
尚、各油圧回路10−4、10−4’において、それぞれ2組の油圧ポンプ/モータと電動サーボモータが設けられている点は、図5に示した第2の実施の形態と同じである。
一方、図10に示す第4の実施の形態の機械プレスのプレス荷重制御装置の制御部40−4は、上記左右二対の電動サーボモータ3a、3b、及び3a’、3b’のトルクをそれぞれ操作することにより左右一対の油圧室24、24’の圧力を制御する。
即ち、制御部40−4の圧力制御器44−4、44−4’は、角速度検出器13a、13b及び13a’、13’から電動サーボモータ3a,3b及び3a’、3b’の角速度を示す角速度信号と、圧力検出器11、11’から油圧室24、24’の圧力を示す圧力信号と、スライド位置検出器15、15’からスライドの位置を示すスライド位置信号と、角速度検出器14及び角度検出器16からそれぞれクランク角速度及び角度を示すクランク角速度信号及びクランク角度信号とが加えられており、圧力制御器44−4、44−4’は、圧力指令器42−4から加えられる圧力指令と前記各検出器により検出された信号とに基づいて、電動サーボモータ3a,3b及び3a’、3b’のトルクを制御するためのトルク指令をそれぞれ演算・決定し、これらの決定したトルク指令をサーボアンプ46a,46b及び46a’、46b’を介して電動サーボモータ3a,3b及び3a’、3bに出力し、油圧室24、24’の圧力が目標値(圧力指令が示す圧力)になるように制御する。
また、圧力制御器44−4、44−4’は、それぞれスライド位置検出器15、15’により検出されるスライド位置と、角度検出器16により検出されるクランク角度とからそれぞれスライド内蔵シリンダ25、25’のシリンダ位置を演算し、これらの演算したシリンダ位置を油圧室24、24’の圧力制御の補償に使用している。
[その他]
この実施の形態では、プレス荷重制御装置の作動液として油を使用した場合について説明したが、これに限らず、水やその他の液体を使用してもよい。また、本発明に係るプレス荷重制御装置は、クランクプレスに限らず、リンクプレス等の他の機械プレスにも適用することができる。
また、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
1、1’…アキュムレータ、2、2’、2a、2b、2a’、2b’…油圧ポンプ/モータ、3、3’、3a、3b、3a’、3b’…電動サーボモータ、4、4’…パイロット操作チェック弁、6、6’…リリーフ弁、11、11’、12、12’…圧力検出器、13、13’、13a、13b、13a、13b’、14…角速度検出器、15…スライド位置検出器、16…角度検出器、20…コラム、22…コンロッド、23、23’…スライド内蔵ピストン、24、24’…油圧室、25、25’…スライド内蔵シリンダ、26…スライド、27…ボルスタ、28…ベッド、31…金型、40−1、40−2,40−3、40−4…制御部、42…圧力指令器、42a…プレス荷重指令器、42b…指令変換器、44−1、44−2、44−3、44−3’、44−4、44−4’…圧力制御器、48、48a、48b、48a’、48b’…電力回生機能付き直流電源、50、50a、50b、50a’、50b’…交流電源

Claims (12)

  1. 機械プレスのスライド内に設けたシリンダ−ピストン機構と、
    前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力が設定過負荷圧力を超えた時に作動するリリーフ弁と、
    前記シリンダ−ピストン機構の液圧室に接続された液圧ポンプ/モータと、
    前記液圧ポンプ/モータの回転軸に接続された電動サーボモータと、
    前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を検出する圧力検出手段と、
    予め設定されたプレス荷重指令に基づいて前記液圧室の圧力を指令する圧力指令手段と、
    前記圧力指令手段からの圧力指令と前記圧力検出手段により検出した圧力とに基づいて、前記電動サーボモータのトルクを操作することにより、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を制御する制御手段と、を備え、
    前記圧力指令手段は、前記スライドのスライド位置に伴うプレス荷重に対応する圧力を指令し、
    前記制御手段は、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を制御することにより、スライドの移動中に当該スライドに作用するプレス荷重を制御することを特徴とする機械プレスのプレス荷重制御装置。
  2. 械プレスのスライド内に設けた複数のシリンダ−ピストン機構と、
    前記複数のシリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力が設定過負荷圧力を超えた時にそれぞれ作動する複数のリリーフ弁と、
    前記複数のシリンダ−ピストン機構の液圧室にそれぞれ接続された複数の液圧ポンプ/モータと、
    前記複数の液圧ポンプ/モータの回転軸にそれぞれ接続された複数の電動サーボモータと、
    前記複数のシリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力をそれぞれ検出する複数の圧力検出手段と、
    予め設定されたプレス荷重指令に基づいて前記液圧室の圧力を指令する圧力指令手段と、
    前記圧力指令手段からの圧力指令と前記複数の圧力検出手段によりそれぞれ検出した圧力とに基づいて、前記複数の電動サーボモータのトルクをそれぞれ操作することにより、前記複数のシリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力をそれぞれ制御する制御手段と、を備え、
    前記圧力指令手段は、前記スライドのスライド位置に伴うプレス荷重に対応する圧力を指令し、
    前記制御手段は、前記複数のシリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を制御することにより、スライドの移動中に当該スライドに作用するプレス荷重を制御することを特徴とする機械プレスのプレス荷重制御装置。
  3. 前記液圧ポンプ/モータは、前記シリンダ−ピストン機構の1つの液圧室に並列に接続された複数の液圧ポンプ/モータからなり、
    前記電動サーボモータは、前記並列に接続された複数の液圧ポンプ/モータの回転軸にそれぞれ接続された複数の電動サーボモータからなり、
    前記制御手段は、前記圧力指令手段からの圧力指令と前記圧力検出手段により検出した圧力とに基づいて、前記並列に接続された複数の電動サーボモータのトルクをそれぞれ操作することにより、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の機械プレスのプレス荷重制御装置。
  4. 前記シリンダ−ピストン機構の液圧室の圧力を減圧する際に生じる圧液の動力を、前記液圧ポンプ/モータ及び電動サーボモータを介して電源側に電気エネルギとして回生する回生手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置。
  5. 前記電動サーボモータの回転角速度を検出するための角速度検出器を備え、
    前記制御手段は、前記角速度検出器によって検出される角速度を圧力の動的安定性を確保するための角速度フィードバックとして用いることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置。
  6. 前記機械プレスのクランクのクランク角度を検出する角度検出器を備え、
    前記圧力指令手段は、前記角度検出器から検出されるクランク角度、又は前記クランク角度から演算される前記スライドのスライド位置を用いて、前記液圧室の圧力を指令することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置。
  7. 前記機械プレスのスライドのスライド位置を検出するスライド位置検出器を備え、
    前記圧力指令手段は、前記スライド位置検出器から検出される前記スライドのスライド位置を用いて、前記液圧室の圧力を指令することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置。
  8. 前記圧力指令手段は、前記スライドのスライド位置を用いて許容加圧能力曲線に沿うように前記液圧室の圧力を指令するとともに、前記スライドの下死点近傍では成形性確保のために前記許容加圧能力曲線以下の一定値に沿うように前記液圧室の圧力を指令することを特徴とする請求項6又は7に記載の機械プレスのプレス荷重制御装置。
  9. 前記機械プレスのクランクのクランク角速度を検出する角速度検出器と、前記機械プレスのクランクのクランク角度を検出する角度検出器とを備え、
    前記制御手段は、前記角速度検出器から検出されるクランク角速度と前記角度検出器から検出されるクランク角度とから演算されるスライド速度を前記液圧室の圧力制御の補償に用いることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置。
  10. 前記機械プレスのスライドのスライド速度を検出する速度検出器を備え、
    前記制御手段は、前記スライド速度検出器から検出されるスライド速度を前記液圧室の圧力制御の補償に用いることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置。
  11. 前記機械プレスのスライドのスライド位置を検出するスライド位置検出器と、前記機械プレスのクランクのクランク角度を検出する角度検出器とを備え、
    前記制御手段は、前記スライド位置検出器から検出されるスライド位置と前記角度検出器から検出されるクランク角度とから演算される前記シリンダ−ピストン機構のシリンダ位置を前記液圧室の圧力制御の補償に用いることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置。
  12. 前記シリンダ−ピストン機構のシリンダ位置を検出するシリンダ位置検出器を備え、
    前記制御手段は、前記シリンダ位置検出器から検出されるシリンダ位置を前記液圧室の圧力制御の補償に用いることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の機械プレスのプレス荷重制御装置。
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