JP5801841B2 - プレス機械及びプレス機械のスライド制御方法 - Google Patents

プレス機械及びプレス機械のスライド制御方法 Download PDF

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Description

本発明はプレス機械及びプレス機械のスライド制御方法に係り、特に金型に微振動を与えながら材料を成形する技術に関する。
従来、プレス機械の上型に振動子を接続し、振動子により上型を超音波振動させながら下降させ、下型との間で材料をプレス加工するプレス振動成形法が提案されている(特許文献1)。
また、てこ機構によりプレスヘッドに振動を伝達する振動加工装置や、スライドを駆動するリンク機構の中間回転支点に、カム部を有する振動機構を入れたプレス成形装置が提案されている(特許文献2、3)。
更に、クランク軸をギア等を介して間接的に駆動するサーボモータによりスライドを加振するプレス機械(特許文献4、5)、リニアサーボモータで直接スライドを加振するプレス(特許文献6)、サーボモータを使用して減速器を介さずにスクリュナット機構を用いてスライドを駆動するプレス機械において、スクリュナット機構を微動させた高周波振動を加えるものが提案されている(特許文献7)。
特開平1−122624号公報 特開平9−285896号公報 特開2008−260042号公報 特開2011−16138号公報 特開2011−245515号公報 特開平11−77389号公報 特開平11−151631号公報
特許文献1に記載の発明は、現在のようにプレス機械製造側が、そのスライドを自在に動作させる技術が確立されていなかった時代を背景に、金型に微小振動を加えながらプレス成形を行うというもので、金型(上型)に超音波振動子を接続した実施形態の金型構造を余儀無くされたものと考えられる。この場合、金型毎に振動機構を設けることになり、非常な高価格化を招くという問題を有する。
特許文献2、3に記載の発明は、鉛直に上下して成形を司るスライドを鉛直方向に加振したものでは無く、スライドには、振動に伴う鉛直方向以外の振動成分が加わる。その為、スライドは、ギブ隙間や軸隙間により鉛直方向以外にも動作する(隙間分の微動を伴う)。この作用は、金型と材料間の摩擦を低減する利点にも増して、両者間に成形を阻害する抵抗を付与する欠点が支配的になり、成形性を向上させる作用が得られない。
特許文献4、5に記載の発明は、振動させるスライド等の慣性質量が大きくなることや、ギアのバックラッシや、機構内各所の上下方向及び左右方向の隙間による影響で、振動数を増加させることが困難であったり、振動波形が不規則化したりして、成形性向上には不適であると考えられ、その利用目的もスライドのスティック防止程度に限られている。また、機構そのものを破損させる懸念も有している為、成形用途(摩擦低減の為の用途)での実施は困難である。
特許文献6に記載の発明は、リニアサーボモータで直接スライドを加振する為、出力の大きさが限定され、例えば、力、エネルギの大きさが100kN未満程度、20kW未満程度に限定される。その為、成形対象も限られ、プレス機械に適用すること自体に無理がある。
特許文献7に記載の発明は、スクリュナット機構を介して回転方向に振動を付与する為、スライドは鉛直方向以外に回転(ねじり)方向にも振動し、ギブ隙間の影響により不連続な回転方向の振動が発生し、成形を阻害し易いという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、金型に大きな加圧力を加えることができるとともに、加圧する直進方向のみの振動であって、滑らかな振動を金型に与えることができ、これによりプレス成形性の向上を図ることができるプレス機械及びプレス機械のスライド制御方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成する為に本発明の一の態様に係るプレス機械は、直進方向に往復移動可能に配設されたメインスライドと、前記メインスライドを往復駆動させるメインスライド駆動手段と、金型が装着されるサブスライドであって、前記メインスライドと同方向に往復移動可能に配設され、かつ前記メインスライドに加わる加圧力が液圧を介して伝達されるサブスライドと、前記メインスライドに対して前記サブスライドを相対的に往復駆動させるサブスライド駆動手段であって、前記液圧の圧力を変化させることにより前記サブスライドを前記メインスライドと同方向に往復駆動させるサブスライド駆動手段と、前記サブスライドが振動するように前記サブスライド駆動手段を制御する加振制御手段と、を備え、前記メインスライド駆動手段は、プレス機械のコンロッドを介して前記メインスライドを、少なくとも成形期間連続的に移動させ、前記加振制御手段は、材料の成形中に前記サブスライドの速度の方向が反転しないように前記サブスライド駆動手段を制御する。
本発明の一の態様によれば、スライドを、メインスライドと、金型が装着されるサブスライドとにより構成し、メインスライド駆動手段によりスライド(メインスライドとサブスライド)を直進方向に往復動作させ、サブスライド駆動手段によりサブスライドをメインスライドに対して相対的に往復動作(振動)させる為、振動させるサブスライド等の慣性質量を小さくすることができ、振動させる金型の可変速応性を向上させることができる。また、サブスライドは、メインスライドが往復する直進方向と同方向に往復移動可能に配設されている為、材料を加圧する直進方向のみに金型を振動させることができ、金型と材料との間の摩擦低減作用により、プレス成形性の向上(成形中の材料の破断や亀裂の防止)を図ることができる。更に、メインスライド駆動手段からメインスライドに加えられる加圧力は、液圧を介してサブスライドに伝達される為、サブスライド(金型)に大きな加圧力を加えることができるとともに、メインスライドとサブスライドとの間に機械的な伝達要素が介在しない為、機械的な隙間等による影響がなく、サブスライドを滑らかに振動させることができる。
更にまた、材料の成形中にサブスライドの速度の方向が反転しないように前記サブスライド駆動手段を制御するようにしたため、材料の応力緩和作用により限界絞り率を大きくすることができる。
本発明の他の態様に係るプレス機械において、前記サブスライドの振動の周波数が0.8Hz以上11.6Hz以下となり、かつ前記サブスライドの振動幅が0.04mm以上、前記サブスライドの成形中の速度の方向を反転させない値以下となるように前記サブスライド駆動手段を制御することが好ましい。金型の振動条件(振動の周波数、振動幅)によりプレス成形が成功する場合と失敗する場合とがあることを発見し、プレス成形が成功する振動条件を振動の実験結果により見出した。即ち、金型の振動の周波数が0.8Hz以上11.6Hz未満となり、かつ振動幅が0.04mm以上、成形中の速度の方向を反転させない値以下となるように金型(サブスライド)を振動させることにより、材料の応力緩和作用により限界絞り率が大きくなることが振動の実験結果により見い出された。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械において、前記加振制御手段は、前記メインスライドに対する前記サブスライドの相対的な位置を示す相対位置指令信号を出力する相対位置指令手段と、前記メインスライドに対する前記サブスライドの相対的な位置を検出し、検出した相対的な位置を示す相対位置検出信号を出力する相対位置検出手段とを備え、前記相対位置指令手段から出力された相対位置指令信号と前記相対位置検出手段から出力される相対位置検出信号とに基づいて前記サブスライド駆動手段を制御することが好ましい。即ち、成形中に金型に振動を与える場合には、直進方向への移動中のメインスライドに対してサブスライドの相対位置(振動波形に対応する直進方向の位置)を制御し、メインスライドの位置と該メインスライドに対するサブスライドの相対位置とによりサブスライド(金型)の位置を制御するようにしている。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械において、前記メインスライドを基準にした前記サブスライドの位置を示す位置指令信号を出力する位置指令器と、前記サブスライドの振動の周波数及び振動幅を示す振動指令信号を出力する振動指令器と、を備え、前記相対位置指令手段は、前記位置指令器から出力される位置指令信号に、前記振動指令器から出力される振動指令信号を加算して前記相対位置指令信号を出力するようにしている。
前記位置指令器から出力される位置指令信号は、サブスライドのスライドモーションが所望のスライドモーション(メインスライドのスライドモーションとは異なるスライドモーション)となるようにサブスライドの相対位置を制御する為の信号として使用され、この位置指令信号に振動指令信号が加算された相対位置指令信号は、サブスライドが所望のスライドモーションとなるように相対位置を制御しつつ、適宜の期間等においてサブスライドを振動させる為の信号として使用される。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械において、前記メインスライドと前記サブスライドとはシリンダ−ピストン機構を構成し、前記メインスライドは、前記シリンダ−ピストン機構のシリンダ及びピストンのうちの一方であり、前記サブスライドは、前記シリンダ−ピストン機構のシリンダ及びピストンのうちの他方である。これにより、メインスライドに加えられた加圧力は、シリンダ−ピストン機構内の作動液を介してサブスライドに伝達され、また、シリンダ−ピストン機構内の作動液の液圧を別途制御することによりサブスライドに振動等を付与することができる。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械において、前記サブスライド駆動手段は、サーボモータと、該サーボモータにより駆動され、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室に圧液を供給する液圧ポンプ/モータとを有する。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械において、前記加振制御手段は、前記サブスライドの振動の周波数及び振動幅のうちの少なくとも一方を、材料の成形中に変更すべく前記サブスライド駆動手段を制御することが好ましい。これにより、メインスライドの速度変化等に応じてサブスライドの振動条件を可変させることができる。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械のスライド制御方法は、直進方向に往復移動可能に配設されたメインスライドと、金型が装着されるサブスライドであって、前記メインスライドと同方向に往復移動可能に配設されたサブスライドとを有するプレス機械において、前記メインスライドを直進方向に駆動するとともに、該メインスライドの駆動に連動して前記サブスライドを直進方向に駆動し、少なくとも材料の成形中に前記メインスライドの駆動に連動して加圧される液圧を介して前記サブスライドに加圧力を伝達する工程と、少なくとも材料の成形中に前記液圧の圧力を周期的に変化させ、前記サブスライドを振動させる工程と、を含み、プレス機械のコンロッドを介して前記メインスライドを、少なくとも成形期間連続的に移動させ、前記サブスライドの振動は、材料の成形中に前記サブスライドの速度の方向が反転しないように、当該振動の振動幅及び周波数が設定される。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械のスライド制御方法において、前記サブスライドの振動の周波数が0.8Hz以上11.6Hz未満となり、かつ前記サブスライドの振動幅が0.04mm以上、前記サブスライドの成形中の速度の方向を反転させない値以下となるように設定されることが好ましい。
本発明の更に他の態様に係るプレス機械のスライド制御方法において、前記サブスライドの振動は、前記振動の周波数及び振動幅のうちの少なくとも一方が、材料の成形中に変更されることが好ましい。
本発明によれば、直進方向に往復移動可能に配設されたメインスライドと、メインスライドと同方向に往復移動可能に配設されたサブスライドとによりスライドを構成し、プレス成形中にメインスライドの駆動に連動して加圧される液圧を介してサブスライドに加圧力を伝達し、かつ液圧の圧力を周期的に変化させてサブスライドを振動させるようにしたため、サブスライド(金型)に大きな加圧力を加えることができるとともに、メインスライドとサブスライドとの間に機械的な伝達要素が介在しない為、機械的な隙間等による影響がなく、滑らかに振動させることができる。また、サブスライドをメインスライドに対して相対的に往復動作(振動)させる為、振動させるサブスライド等の慣性質量を小さくすることができ、振動に要するエネルギを小さくすることができ、また、金型の可変速応性を格段に向上させることができる。
また、材料の成形中にサブスライドの速度の方向が反転しないように当該サブスライド(金型)を振動させることにより、材料の応力緩和作用により限界絞り率を大きくすることができ、比較的困難なプレス成形の条件下であっても良好なプレス成形を行うことができる。
本発明が適用されるプレス機械の実施形態を示す構成図 図1に示したプレス機械のサブスライドを制御するサブスライド制御器の実施形態を示すブロック図 上型(ダイ),下型(パンチ)により材料を成形(絞り加工)する様子を示す図 運転条件(1)でプレス機械を運転した場合の絞り加工過程におけるサブスライド位置、プレス荷重及びサブスライド相対位置を示す波形図 運転条件(2)でプレス機械を運転した場合の絞り加工過程におけるサブスライド位置、プレス荷重及びサブスライド相対位置を示す波形図 運転条件(3)でプレス機械を運転した場合の絞り加工過程におけるサブスライド位置、サブスライド相対位置、サブスライド速度、及びプレス荷重(サブスライド負荷)を示す波形図 運転条件(4)でプレス機械を運転した場合の絞り加工過程におけるサブスライド位置、サブスライド相対位置、サブスライド速度、及びプレス荷重(サブスライド負荷)を示す波形図 運転条件(5)でプレス機械を運転した場合の絞り加工過程におけるサブスライド位置、サブスライド相対位置、サブスライド速度、及びプレス加荷重(サブスライド負荷)を示す波形図 絞り加工の実験結果に基づく、材料が破断せずに完了した場合のサブスライドの振動数−振動幅の相関結果を示すグラフ 相対位置指令器の実施形態を示すブロック図 相対位置指令信号の実施形態を示す波形図
以下添付図面に従って本発明に係るプレス機械及びプレス機械のスライド制御方法の好ましい実施形態について詳説する。
[プレス機械の実施形態]
<プレス機械の構造>
図1は本発明が適用されるプレス機械の実施形態を示す構成図である。
図1に示すプレス機械10は、コラム(フレーム)20、クランク軸21、コンロッド22、メインスライド24、サブスライド26、ベッド28上のボルスタ27等を有するクランクプレスである。
メインスライド24は、コラム20に設けられたガイド部により直進方向(図1上で上下方向)に往復移動可能に案内されている。
メインスライド24とサブスライド26とは、シリンダ−ピストン機構(油圧シリンダ)を構成しており、メインスライド24は油圧シリンダのシリンダに対応し、サブスライド26は、油圧シリンダのピストンに対応する。サブスライド26は、メインスライド24に対して、メインスライド24が移動する直進方向と同方向に往復移動可能に配設されている。
クランク軸21に設けられたコンロッド22の先端部は、メインスライド24と連結されている。クランク軸21には、図示しないサーボモータ、減速ギア等を介して回転駆動力が伝達されるようになっており、クランク軸21が回転すると、メインスライド24は、クランク軸21及びコンロッド22を介して加えられる駆動力によりサブスライド26とともに、図1上で上下方向に移動させられる。
また、油圧シリンダの下降側油圧室25aには、油圧回路9から圧油が供給できるようになっており、油圧回路9から下降側油圧室25aに供給される圧油は、サブスライド26をメインスライド24に対して、相対的に下降させる動力源になる。また、サブスライド26をメインスライド24に対して、相対的に上昇させる動力源は、上昇側油圧室25bにエアタンク7から空気圧を供給することで発生する力や、上型を介して下型から受けるプレス荷重の反力やダイクッション力による上昇させようとする力で賄う。
クランク軸21には、クランク軸21の角速度及び角度を検出する角速度検出器14及び角度検出器16が設けられ、メインスライド24とサブスライド26との間には、メインスライド24に対するサブスライド26の相対的な位置を検出する相対位置検出器17が設けられている。尚、角速度検出器14は、角度検出器16から出力される角度信号を微分することにより角度速度信号を取得するものでもよい。
サブスライド26には上型(ダイ)31aが装着され、ボルスタ27上には下型(パンチ)31bが装着されている。本例における金型31(上型31a、下型31b)は、上に閉じた中空カップ状(絞り形状)の製品の成形用途のものである。
上型31aと下型31bとの間には皺押さえ板34があり、皺押さえ板34の下側が複数のクッションピン35を介してクッションパッドで支持され、上側には材料がセットされる(接触する)。皺押さえ板34には、材料の成形中にクッションパッド及びクッションピン35を介してダイクッション力が加えられるようになっている。
<油圧回路>
プレス機械10に使用される油圧回路9は、主としてアキュムレータ1と、油圧ポンプ/モータ2と、油圧ポンプ/モータ2の回転軸に接続されたサーボモータ3と、パイロット操作チェック弁4と、電磁弁5と、リリーフ弁6とから構成されている。
アキュムレータ1は、1〜5kg/cm2程度のガス圧がセットされ、10kg/cm
2以下程度の低圧状態(略一定低圧)の作動油を蓄積し、タンクの役割を果たす。
油圧ポンプ/モータ2の一方のポートは、パイロット操作チェック弁4を介して油圧シリンダの下降側油圧室25aに接続され、他方のポートはアキュムレータ1に接続されており、油圧ポンプ/モータ2は、サーボモータ3から加えられるトルクと、両ポートに作用する油圧力に応じて、正方向(下降側油圧室25aを加圧する側)、逆方向(下降側油圧室25aから除圧する側)に回転動作する。
パイロット操作チェック弁4は、プレス(スライド)1サイクル動作の中で、非加工工程(少なくともスライドストロークの上半分)の領域では、サーボモータ3(+油圧ポンプ/モータ2)の負荷を低減させる為に、サーボモータ3が無負荷状態(トルク0状態)でも下降側油圧室25aの圧力を一定に保持可能にし、サブスライド26をメインスライド24に対して下降端(限)に保持している。パイロット操作用には、一例として、油圧ポンプ/モータ2の下降側油圧室25a側のポートに作用する圧力を用いている。
電磁弁5は、下降側油圧室25aに作用する圧力を強制的に脱圧する役割を果たす。通常時(機能時)には使用せず、保守時(機械解体時前)等に使用する。
リリーフ弁6は、モーションを制御することに伴い正常に発生する圧力とは別に、予期せぬ異常圧力が下降側油圧室25aに作用した場合に、圧油を略一定低圧(アキュムレータ1)側に逃がす役割を果たす。
尚、油圧ポンプ/モータ2の下降側油圧室25a側のポートに作用する圧力、及び油圧ポンプ/モータ2のアキュムレータ1側のポートに作用する圧力は、それぞれ圧力検出器11及び12により検出され、また、サーボモータ3の角速度は角速度検出器13により検出される。
<プレス機械のサブスライド制御器>
図2は、図1に示したプレス機械10のサブスライドを制御するサブスライド制御器の実施形態を示すブロック図である。
図2に示すように、サブスライド制御器100は、主として相対位置指令器(相対位置指令手段)51、比例制御器52、53、位置制御補償器54、55、相対位置検出器(相対位置検出手段)17、減算器80、81、加算器83、84から構成されている。
サブスライド制御器100による制御は、メインスライド24に対するサブスライド26の相対位置指令信号に対して相対位置検出信号を追従させるべく、両者の偏差量に比例制御器52を介して増幅した第1の操作量信号と、サーボモータ3の角速度信号との偏差量に比例制御器53を介して増幅した第2の操作量信号(サーボモータ3のトルク指令信号)に基づいて、サーボモータ3を駆動する形を基本とする。比例制御器52は、相対位置制御を司り、比例制御器53は、動的安定性を確保する(遅れた位相を戻す)作用を司る。
位置制御補償器54、55は、本発明を実現する為に絶対必要なものでは無く、制御性を向上させる為に設けることが望ましいものである。位置制御補償器54は、油圧シリンダの下降側油圧室25aに作用する油圧による力や重力によるアンバランスな力を補正するもの、位置制御補償器55は、制御系に外部から作用した力(例えば、成形力)による影響を軽減させるものである。
次に、サブスライド制御器100について具体的に説明する。
相対位置指令器51は、プレス周期内の所定の期間、サブスライド26を振動させる為の相対位置指令信号を減算器80に出力する。尚、サブスライド26(上型31a)の振動条件(振動の周波数、振動幅)は、相対位置指令器51から出力される相対位置指令信号の周波数及び振幅により制御することができる。
減算器80の他の入力には、相対位置検出器17からメインスライド24に対するサブスライド26の相対位置を示す相対位置検出信号が加えられており、減算器80は、2入力の偏差(相対位置指令信号から相対位置検出信号を減算した偏差信号)を求め、この偏差信号を比例制御器52に出力する。比例制御器52は入力する偏差信号を増幅し、第1の操作量信号として減算器81に出力する。
減算器81の他の入力には、角速度検出器13からサーボモータ3の角速度を示す角速度信号が加えられており、減算器81は、第1の操作量信号と角速度信号との偏差を求め、この偏差信号を比例制御器53に出力する。比例制御器53は入力信号を増幅し、第2の操作量信号として加算器83に出力する。
加算器83の他の入力には、位置制御補償器55からサーボモータ3の角速度信号と第2の操作量信号とに基づいて生成されたフィードフォワード信号が加えられており、加算器83は、2入力信号を加算した信号を加算器84に出力する。加算器84の他の入力には、位置制御補償器54から圧力検出器11により検出された下降側油圧室25aの圧力に対応するフィードフォワード信号が加えられており、加算器84は、2入力信号を加算した信号をサーボモータ3のトルク指令信号としてサーボアンプ61に出力する。
サブスライド制御器100は、上記のようにしてサーボモータ3のトルクを制御する為のトルク指令信号を演算し、この演算したトルク指令信号をサーボアンプ61を介してサーボモータ3に出力し、サーボモータ3により駆動される油圧ポンプ/モータ2を介して油圧シリンダを駆動し、サブスライド26の相対位置が相対位置指令に追従するように制御する。
尚、プレス成形後に油圧シリンダの下降側油圧室25aの圧力を減圧する場合、油圧ポンプ/モータ2に発生する回転軸トルクがサーボモータ3の駆動トルクを上回り、油圧ポンプ/モータ2は、油圧モータとして作用し、サーボモータ3を回転(回生作用)させる。このサーボモータ3の回生作用によって発電された電力は、サーボアンプ61、及び電力回生機能付き直流電源63を介して交流電源62に回生される。
[振動の実験]
図3は、上型(ダイ)31a,下型(パンチ)31bにより材料を成形(絞り加工)する様子を示す図であり、図3(a)は絞り加工中の状態を示し、図3(b)は絞り加工された中空カップ状の製品30を示している。尚、図3(b)上で、30aはフランジ部、30bは円筒部、30cは底部である。
図3(a)に示すように上型31aを下降方向に移動させ、ボルスタ27上に固定された下型31bとの間で材料32に成形力を加える。絞り加工の進行に伴い、材料32のフランジ部に皺押さえ板34を介してダイクッション力を加え、これによりフランジ部に作用する円周方向の圧縮力により発生する皺を防いでいる。
上記のような絞り加工を行う場合において、上型31aに様々な振動を付与する振動の実験を行った。
<共通の加工条件>
プレス・スライド(メインスライド): 5spm(ストローク数/分)
振動付与位置(mm): 下死点上50〜5.5
ダイクッション:
ダイクッションストローク: 下死点上78mmから
[変圧設定] 下死点上スライド位置(mm):78〜35, 35〜20, 20 〜5
ダイクッション荷重(kN) : 160, 160〜50, 50〜40
[材料] 材質 :SUS304
厚さ : 1mm
直径 :300mm
[金型] 絞り径:150mm
絞り率:50%
<実験波形・概要>
以下、運転動条件(1)、(2)毎に行った絞り加工の実験結果を示す。
[運転条件(1)]
クランク軸21を一定角速度で回転させてメインスライド24を通常動作させ、サーボダイクッションを効果的に使用して(ダイクッション力を、効果的に変圧させて)、成形した場合
[運転条件(2)]
運転条件(1)にプラスして、サブスライド26をメインスライド24に対して、振動数20Hz、振動幅(全振幅)0.2mmで振動させた場合
図4(a)〜(c)は、それぞれ運転条件(1)でプレス機械10を運転した場合の絞り加工過程におけるサブスライド位置、プレス荷重及びサブスライド相対位置を示す波形図であり、図5(a)〜(c)は、それぞれ運転条件(2)でプレス機械10を運転した場合の絞り加工過程におけるサブスライド位置、プレス荷重及びサブスライド相対位置を示す波形図である。
本例(実験)は、前述したように材質SUS304、厚さ1mm、絞り率50%と、比較的困難な絞り条件における実験例である。
運転動条件(1),(2)共に、クランク式のプレス機械において、一定のストローク数/分(5spm)で成形している。また、共に、サーボダイクッション装置を使用しており、絞り加工進捗(ストローク)に応じて、ダイクッション力を変圧(降圧)させ、絞り性を向上させている。
それでも、基本的な絞り条件が困難である為、運転条件(1)の場合には、図4に示すように絞り加工の終盤で材料に亀裂が生じた。プレス荷重を示す波形図(b)において、荷重が急激に減少している部分が、材料が破断した瞬間を示している。また、その時、サブスライド位置を示す波形図(a)やサブスライド相対位置を示す波形図(c)にも大きな変化が示されているが、これらは、材料が破断したことにより発生した大きな加速度により、瞬間的に各検出器の出力信号に異常を来たした為に生じたものである。
そこで、運転条件を、運転条件(1)から運転条件(2)に変更した。運転条件(2)は、サブスライド26を振動させない運転条件(1)と比較して、サブスライド26をメインスライド24に対して、振動数20Hz、振動幅0.2mm(振幅0.1mm)で振動させる点で相違する。
この運転条件(2)により金型−材料間の摩擦を低減することができ、材料に亀裂を生じさせることなく、一連の絞り加工を行うことができた。
即ち、運転条件(2)の場合、絞り加工を可能にする要因として、スライドの振動によってもたらされる金型と材料との摩擦低減作用が挙げられる。
実験では、円板形状の材料を深絞りし、図3(b)に示すようにフランジ部30a、円筒部30b、底部30cからなる形状に成形している。
絞り加工が開始されると、加工終了時に底部となる材料中央部がパンチ先端に押される(図3(b))。加工の進行とともにフランジ部は放射方向に引張りを受けるとともに円周方向に圧縮を受け、板厚を増す。円筒部には、パンチに押された底部に引っ張られることにより起きるフランジ部からの材料の塑性流動によって材料が供給される。
そして、パンチの半径部と円柱部の境界部(パンチ先端外周部)において、材料に最も高い引張り応力が生じ、材料の板厚も薄くなる。
材料と金型との摩擦は、絞り加工における塑性流動の阻害要因であり、前記パンチの半径部と円柱部の境界部における材料破断の原因となる。
運転条件(1)においては、絞り加工の進行に伴い円周方向に圧縮を受け、板厚を増すフランジ部の皺の発生を抑えつつ、フランジ部から円筒部への材料の塑性流動を妨げないようにダイクッション力(フランジ部に対するしわ押え力)の調整を試みても前記境界部の破断は避けられなかった。
しかし、運転条件(2)で加工することにより、材料と金型との摩擦力が低減され、材料の塑性流動が促進され、破断することなく絞り加工を行うことができた。
次に、以下に示す運転動条件(3)〜(5)毎に行った絞り加工の実験結果を示す。
[運転条件(3)]
前述した運転条件(1)にプラスして、サブスライド26をメインスライド24に対して、振動数3Hz、振動幅(全振幅)4.1mmで振動させた場合
[運転条件(4)]
運転条件(1)にプラスして、サブスライド26をメインスライド24に対して、振動数5Hz、振動幅(全振幅)2.0mmで振動させた場合
[運転条件(5)]
運転条件(1)にプラスして、サブスライド26をメインスライド24に対して、振動数5Hz、振動幅(全振幅)2.5mmで振動させた場合
運転条件(3)〜(5)は、前述した運転条件(2)に比べて、サブスライド26の振動数が低く、振動幅が大きくなる特殊な条件となっている。
図6(a)〜(d)は、それぞれ運転条件(3)でプレス機械10を運転した場合の絞り加工過程におけるサブスライド位置、サブスライド相対位置、サブスライド速度、及びプレス荷重(サブスライド負荷)を示す波形図である。
運転条件(3)は、運転条件(2)に比べて特殊な制御によって、大きな振動幅を確保し、かつ、サブスライド速度が反転しない(0より大きくならない)ように、サブスライド26の上昇速度や下降速度、速度変更タイミングを制御した条件である。
運転条件(3)によるサブスライド26の振動は、サブスライド26の速度が0以上にならず(逆転せず)(図6(c)参照)、これにより材料に部分的に作用する応力を低減することができ、材料に亀裂を生じさせることなく、一連の絞り加工を行うことができた。
図7(a)〜(d)は、それぞれ運転条件(4)でプレス機械10を運転した場合の絞り加工過程におけるサブスライド位置、サブスライド相対位置、サブスライド速度、及びプレス荷重(サブスライド負荷)を示す波形図である。
運転条件(4)は、運転条件(3)に比べてサブスライド26の振動数が大きくなり、一方、振動幅が小さくなっている。
運転条件(4)の場合も、サブスライド26の速度が0以上にならず(図7(c)参照)、これにより材料に部分的に作用する応力を低減することができ、材料に亀裂を生じさせることなく、一連の絞り加工を行うことができた。
図8(a)〜(d)は、それぞれ運転条件(5)でプレス機械10を運転した場合の絞り加工過程におけるサブスライド位置、サブスライド相対位置、サブスライド速度、及びプレス荷重(サブスライド負荷)を示す波形図である。
運転条件(5)は、運転条件(4)に比べてサブスライド26の振動幅が、2.0mmから2.5mmに変更されている。
運転条件(5)の場合、運転条件(4)に比べてサブスライド26の振動幅が大きくなった結果、サブスライド26の速度が絞り加工の終盤で反転し(0を越え)(図8(c)参照)、絞り成形は失敗(成形中、終盤に材料が破断)した。プレス荷重を示す波形図(d)において、荷重が急激に減少している部分が、材料が破断した瞬間を示している。また、その時、サブスライド位置を示す波形図(a)やサブスライド相対位置を示す波形図(b)やサブスライド速度を示す波形図(c)にも大きな変化が示されているが、これらは、材料が破断したことにより発生した大きな加速度により、瞬間的に各検出器の出力信号に異常を来たした為に生じたものである。
運転条件(3)、(4)の場合は、上型が時間の経過に対し階段状に下降する際(図6(a)、図7(a))、下降をほぼ停止した、あるいは緩和した時間に起きる材料の部分応力緩和作用が、破断の起きやすい前記境界部の材料に発生する応力を低下させ、限界絞り率を大きくする。
但し、運転条件(5)のように、サブスライド26が成形途中で上昇(速度が反転)すると(図8(c))、絞り加工が失敗する。
パンチを下型にセットし、ダイを上型にセットし、ダイクッションによる皺押え力で材料フランジ部をダイに押付けている状態を考える。
加工途中で、メインスライド24に対するサブスライド26の振動による上昇速度がメインスライド24の下降速度を上回ると、その合算速度によりメインスライド24が下降中であるにも関わらず、サブスライド26(上型)は、下型に対して上昇することになる。
そうすると、フランジ部はダイクッション力(皺押え力)でダイに押付けられているので、サブスライド26と共に上昇する。即ち、材料は下型に取り付けられたパンチから抜ける方向に移動する。
パンチが材料から抜け出す方向へ移動する際、パンチ側面と材料円筒部内面との間に作用する摩擦力は、材料円筒面に対し絞り加工に伴う円筒部の材料の塑性流動方向とは逆の方向に作用することになる。
このようにパンチ側面と材料円筒部内面との間に作用する摩擦力の向きの反転が起きると、前記境界部への材料の流動が阻害され加工途中で破断が起こる。
以上の運転条件(1)〜(5)による実験結果は、一部の実験結果であるが、運転条件(サブスライド26の振動条件(振動の周波数、振動幅))を変更して、多数の振動の実験を行った。
図9は、絞り加工の実験結果に基づく、材料が破断せずに完了した場合のサブスライドの振動数−振動幅の相関結果を示すグラフである。
図9に示すように、絞り加工が成功した領域Aは、サブスライドの振動の周波数が9Hz以上33.3Hz以下となり、かつ振動幅が0.05mm以上0.5mm以下となる領域であり、絞り加工が成功した他の領域Bは、サブスライドの振動の周波数が0.8Hz以上11.6Hz未満となり、かつ振動幅が0.04mm以上、サブスライドの成形中の速度の方向が反転させない値以下となる領域である。
即ち、周波数が比較的高い領域Aは、金型−材料間の摩擦低減作用により絞り加工が成功したと考えられ、周波数が比較的低い領域Bは、材料に部分的に作用する応力を緩和させる部分応力緩和作用により絞り加工が成功したと考えられる。
したがって、図9に示す領域A又はB内の振動条件を満たすようにサブスライドを振動させることにより、比較的困難なプレス成形の条件下であっても良好なプレス成形を行うことができる。
[相対位置指令器51の他の実施形態]
図10は、図2に示した相対位置指令器51の他の実施形態を示すブロック図である。
図10に示す相対位置指令器51aは、位置指令器511、振動指令器512、及び加算器513から構成されている。
位置指令器511は、クランク角度により設定された所定の期間、メインスライド24を基準にしたサブスライド26の位置を示す位置指令信号を出力するものであり、実質的にメインスライド24のスライドモーションを制御する為の位置指令信号を出力する。
クランク軸やリンク機構でスライドを駆動するプレス機械は、スライドの可変速応性が低く、特にフライホイールを有するものは、スライドを変速制御ができないが、位置指令器511から上記位置指令信号を出力し、この位置指令信号に基づいてサブスライド26の相対位置を制御することにより、上型が装着されるサブスライド26のスライドモーションを制御することができる。これにより、例えば、成形中のサブスライド26の下降速度を一定にしたり、下死点でサブスライド26を一定時間停止させるようなスライドモーションとすることができる。
振動指令器512は、図2に示した相対位置指令器51と同様に、クランク角度により設定された所定の期間、サブスライド26の振動の周波数及び振動幅を示す振動指令信号を出力する。
加算器513は、位置指令器511から加えられる位置指令信号と、振動指令器512から加えられる振動指令信号とを加算し、加算した信号を最終的なサブスライド26に対する相対位置指令信号として出力する。
[相対位置指令信号の実施形態]
前述した運転条件(1)〜(4)におけるサブスライド26の振動条件(周波数及び振動幅)は、振動期間中、固定されているが、これに限らず、例えば、メインスライド24の位置に応じて周波数及び振動幅のうちの少なくとも一方を可変にしてもよい。
即ち、クランク角度信号(メインスライド24の位置)に応じて相対位置指令器51(図2)から出力されるサブスライド26の相対位置指令信号を、図11(a)に示すようにサブスライド26の振動の振動幅を段階的(又は連続的)に変更し、又は図11(b)に示すようにサブスライド26の振動の周波数を段階的(又は連続的)に変更してもよい。
メインスライド24の速度は、クランク軸21が一定の角速度で回転していることにより下死点に近づくにつれて低速になるため(図6(c))、サブスライド26の振動条件が固定の場合、下死点の近傍において、サブスライド26(金型)の速度の方向が反転しやすくなるが、上記のようにサブスライド26の振動の振動幅又は周波数を可変にすることにより、サブスライド26の速度の方向が反転することなく、より下死点の近傍までサブスライド26を振動させることができる。
[その他]
本発明は、クランクプレスに限らず、他の機械式プレス、油圧式プレス等のプレス機械にも適用できる。また、メインスライドとサブスライドとにより構成されたシリンダ−ピストン機構の作動液として油を使用した場合について説明したが、これに限らず、水やその他の液体を使用してもよい。更に、本発明は複数のコンロッドにより1つのメインスライドを駆動するプレス機械等にも適用できる。
また、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
2…油圧ポンプ/モータ、3…サーボモータ、9…油圧回路、10…プレス機械、11、12…圧力検出器、13、14…角速度検出器、16…角度検出器、17…相対位置検出器、21…クランク軸、22…コンロッド、24…メインスライド、25a…下降側油圧室、26…サブスライド、31…金型、31a…上型、31b…下型、34…皺押さえ板、51、51a…相対位置指令器、52…比例制御器、54、55…位置制御補償器、100…サブスライド制御器、511…位置指令器、512…振動指令器

Claims (10)

  1. 直進方向に往復移動可能に配設されたメインスライドと、
    前記メインスライドを往復駆動させるメインスライド駆動手段と、
    金型が装着されるサブスライドであって、前記メインスライドと同方向に往復移動可能に配設され、かつ前記メインスライドに加わる加圧力が液圧を介して伝達されるサブスライドと、
    前記メインスライドに対して前記サブスライドを相対的に往復駆動させるサブスライド駆動手段であって、前記液圧の圧力を変化させることにより前記サブスライドを前記メインスライドと同方向に往復駆動させるサブスライド駆動手段と、
    前記サブスライドが振動するように前記サブスライド駆動手段を制御する加振制御手段と、を備え、
    前記メインスライド駆動手段は、プレス機械のコンロッドを介して前記メインスライドを、少なくとも成形期間連続的に移動させ、
    前記加振制御手段は、材料の成形中に前記サブスライドの速度の方向が反転しないように前記サブスライド駆動手段を制御するプレス機械。
  2. 前記加振制御手段は、前記サブスライドの振動の周波数が0.8Hz以上11.6Hz以下となり、かつ前記サブスライドの振動幅が0.04mm以上、前記サブスライドの成形中の速度の方向を反転させない値以下となるように前記サブスライド駆動手段を制御する請求項1に記載のプレス機械。
  3. 前記加振制御手段は、前記メインスライドに対する前記サブスライドの相対的な位置を示す相対位置指令信号を出力する相対位置指令手段と、前記メインスライドに対する前記サブスライドの相対的な位置を検出し、検出した相対的な位置を示す相対位置検出信号を出力する相対位置検出手段とを備え、前記相対位置指令手段から出力された相対位置指令信号と前記相対位置検出手段から出力される相対位置検出信号とに基づいて前記サブスライド駆動手段を制御する請求項1又は2に記載のプレス機械。
  4. 前記メインスライドを基準にした前記サブスライドの位置を示す位置指令信号を出力する位置指令器と、前記サブスライドの振動の周波数及び振動幅を示す振動指令信号を出力する振動指令器と、を備え、
    前記相対位置指令手段は、前記位置指令器から出力される位置指令信号に、前記振動指令器から出力される振動指令信号を加算して前記相対位置指令信号を出力する請求項3に記載のプレス機械。
  5. 前記メインスライドと前記サブスライドとはシリンダ−ピストン機構を構成し、前記メインスライドは、前記シリンダ−ピストン機構のシリンダ及びピストンのうちの一方であり、前記サブスライドは、前記シリンダ−ピストン機構のシリンダ及びピストンのうちの他方である請求項1から4のいずれか1項に記載のプレス機械。
  6. 前記サブスライド駆動手段は、サーボモータと、該サーボモータにより駆動され、前記シリンダ−ピストン機構の液圧室に圧液を供給する液圧ポンプ/モータとを有する請求項5に記載のプレス機械。
  7. 前記加振制御手段は、前記サブスライドの振動の周波数及び振動幅のうちの少なくとも一方を、材料の成形中に変更すべく前記サブスライド駆動手段を制御する請求項1からのいずれか1項に記載のプレス機械。
  8. 直進方向に往復移動可能に配設されたメインスライドと、金型が装着されるサブスライドであって、前記メインスライドと同方向に往復移動可能に配設されたサブスライドとを有するプレス機械において、
    前記メインスライドを直進方向に駆動するとともに、該メインスライドの駆動に連動して前記サブスライドを直進方向に駆動し、少なくとも材料の成形中に前記メインスライドの駆動に連動して加圧される液圧を介して前記サブスライドに加圧力を伝達する工程と、
    少なくとも材料の成形中に前記液圧の圧力を周期的に変化させ、前記サブスライドを振動させる工程と、を含み、
    プレス機械のコンロッドを介して前記メインスライドを、少なくとも成形期間連続的に移動させ、
    前記サブスライドの振動は、材料の成形中に前記サブスライドの速度の方向が反転しないように、当該振動の振動幅及び周波数が設定されるプレス機械のスライド制御方法。
  9. 前記サブスライドの振動は、前記サブスライドの振動の周波数が0.8Hz以上11.6Hz以下となり、かつ前記サブスライドの振動幅が0.04mm以上、前記サブスライドの成形中の速度の方向を反転させない値以下となるように設定される請求項に記載のプレス機械のスライド制御方法。
  10. 前記サブスライドの振動は、前記振動の周波数及び振動幅のうちの少なくとも一方が、材料の成形中に変更される請求項又はに記載のプレス機械のスライド制御方法。
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