JP5528915B2 - 移動無線システム - Google Patents
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Description
図8は従来の移動無線システムの構成例を示す図である。この図では、説明を簡略化するために、固定局を1箇所、中継局を2箇所(A、B)、移動局を1箇所として説明する。また、中継局54、57からの受信レベルは、混変調による受信障害を防ぐために、A中継局54の方がB中継局57より高くなるように設定している(即ち、A中継局4はB中継局より優先度が高い)。その結果、固定局51がA中継局54とB中継局57から同時に受信した場合は、マスキング効果により、受信レベルが高いA中継局54の信号を復調するように働く。このような条件下で、固定局51と移動局59との間で通信を行う場合、例えば、A中継局54から中継された電波が、障害物(山)55により妨害されて受信電界が低く、且つ明瞭度が悪くなり移動局59に伝達し、B中継局57から中継された電波は、どこにも妨害されずに受信電界がA中継局54より高く、且つ明瞭度が良い状態で移動局59に伝達されたとする(尚、移動局59の場所によりこの状態は変化する)。その結果、移動局59ではマスキング効果によりB中継局57の電波が復調される。
この問題を解決するために、特許文献1には、単一通話路方式の複数の中継局無線装置において、トーンスケルチ制御回路を備えたもので、特に固定局の選局通信から混信障害を排除する回路に利用して好適なトーン信号による中継局選択回路について開示されている。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、固定局から音声信号を送信する場合、それぞれの中継局を特定する特定信号を付加して送信し、マスキング効果により選択された中継局の特定信号を付加した音声信号を受信した移動局は、その特定信号を音声信号にそのまま付加して送信することにより、電界強度が強く、且つ明瞭度が良好な通信回線を自動的に設定することができる移動無線システムを提供することを目的とする。
最初に固定局から送信する場合は、移動無線局が、どの無線中継所のサービスエリアにいるか分からないので、全ての中継局の特定信号を付加して送信する。中継局は、自局の特定信号であるか否かを判断する中継局特定信号識別手段を備え、自局が識別されると、その特定信号を音声信号に付加して移動局に送信する。また、移動局は、移動しながら通信する場合が多いので、通信環境が常に変化する場合が多い。従って、1つの中継局の電波を受信する場合や、複数の中継局からの電波を受信する場合がある。前者の場合は、応答するのであれば、受信した中継局の特定信号を音声信号に付加する。後者の場合は、マスキング効果により1つの中継局が選択されるので、その特定信号を音声信号に付加する。これにより、固定局、中継局、及び移動局が特定信号に基づいて通信ルートを確立することができる。
固定局は1つの中継局を選択して、その中継局を中継して移動局と通信を確立する場合がある。そのような時には、固定局は選択する中継局の特定信号のみを音声信号に付加して送信する。電波を受信した中継局は、自局の特定信号であれば、その特定信号を音声信号に付加して移動局に送信する。受信した移動局は、その特定信号をそのまま音声信号に付加して中継局に送信する。これにより、固定局により選択された中継局を介して移動局と通信を確立することができる。
移動局が複数の中継局から電波を受信した場合は、マスキング効果により、受信電界が最も強い電波を復調するように働く。従って、移動局は特定信号を識別する必要がなく、受信した特定信号をそのまま音声信号に付加して送信する。これにより、移動局の送信動作がマスキング効果により自動的に確立させることができる。
複数の中継局から電波を受信した場合は、マスキング効果により1つの中継局からの電波が復調される。従って、その電波によって固定局から呼ばれた移動局が所定の時間内に音声により応答する場合は、その通信ルートで固定する必要がある。そこで本発明では、応答した中継局から受信した特定信号をそのまま付加して送信する。これにより、良好な通信状態を維持したまま通信を行うことができる。
移動局が所定の時間内に音声信号に応答しない場合は、呼び出しに対する応答とは別の通信、例えば、他の無線局の呼び出し等と判断して、固定局と同様に全中継局の特定信号を音声信号に付加する。これにより、他の無線局(例えば、他の移動局)との通信を迅速に行うことができる。
音声信号は、500Hzから3kHz帯域で行われる。従って、その帯域外は制御信号の帯域として利用することができる。本発明では、特定信号を音声信号の周波数帯域と異なる周波数により構成されたトーン信号とする。これにより、各特定信号を識別する回路が簡略化することができる。
また、固定局は1つの中継局を選択して、その中継局を中継して移動局と通信を確立する場合がある。そのような時には、固定局は選択する中継局の特定信号のみを音声信号に付加して送信する。電波を受信した中継局は、自局の特定信号であれば、その特定信号を音声信号に付加して移動局に送信する。受信した移動局は、その特定信号をそのまま音声信号に付加して中継局に送信するので、固定局により選択された中継局を介して移動局と通信を確立することができる。
また、移動局が複数の中継局から電波を受信した場合は、マスキング効果により、受信電界が最も強い電波を復調するように働く。従って、移動局は特定信号を識別する必要がなく、受信した特定信号をそのまま音声信号に付加して送信するので、移動局の送信動作がマスキング効果により自動的に確立させることができる。
また、応答した中継局から受信した特定信号をそのまま付加して送信するので、良好な通信状態を維持したまま通信を行うことができる。
また、特定信号を音声信号の周波数帯域と異なる周波数により構成されたトーン信号とするので、各特定信号を識別する回路が簡略化することができる。
固定局1は、二周波(F1、F2)による無線通信の変復調を行う送受信部(固定局送受信手段)11と、各中継局4、7をそれぞれ特定するトーン信号(特定信号)を、送信する音声信号に付加するトーン信号付加回路(固定局特定信号付加手段)13と、送受信部11を介して受信した受信信号に含まれるトーン信号が何れの中継局かを識別するトーン信号識別部(固定局特定信号識別手段)12と、各部を制御する制御部14と、を備えて構成されている。尚、送受信部11にはアンテナ2が備えられている。
即ち、送信時は、制御部14は、全ての中継局それぞれを特定するトーン信号をトーン信号付加回路13により、送信する音声信号に付加して周波数F1で送受信部11により変調してアンテナ2から送信する。受信時は、アンテナ2から受信した周波数F2の電波を送受信部11で復調して、トーン信号識別部12で識別して、どの中継局から送信されたトーン信号であるかを判断する。また、音声信号は制御部14に別ルートで入力される。以後の通信は、識別した中継局のトーン信号を、送信する音声信号に付加して周波数F1で送受信部11で変調してアンテナ2から中継局に送信する。
即ち、受信時は、アンテナ3から受信した周波数F1の電波を送受信部15で復調して、トーン信号識別部16でトーン信号が識別されて、自局のトーン信号であるか否かを識別する。音声信号は制御部14に別ルートで入力される。送信時は、制御部19は、トーン信号識別部16で自局が呼ばれていることを認識すると、自局の中継局を特定するトーン信号をトーン信号付加回路17により、送信する音声信号に付加して周波数F2で送受信部15により変調してアンテナ3から送信する。
即ち、受信時は、アンテナ8から受信した周波数F2の電波を送受信部20で復調して、トーン信号識別部21でトーン信号を識別する。このとき制御部24は、応答時間計時手段23をスタートさせて受信した電波に応答するか否かをチェックする。時間内に応答した場合は、受信したトーン信号をそのままトーン信号付加回路22により、送信する音声信号に付加して周波数F1で送受信部20で変調してアンテナ8から送信する。時間内に応答しない場合は、全ての中継局のトーン信号をトーン信号付加回路22により、送信する音声信号に付加して周波数F1で送受信部20により変調してアンテナ8から送信する。
Claims (6)
- 固定局と、移動手段を有し通信サービスエリア内で前記固定局との間で通信を行う移動局と、前記固定局と前記移動局との間の通信を中継する中継局と、を備え、前記各局での送信時と受信時でそれぞれ異なる周波数を使用する二周波中継方式による移動無線システムであって、
前記固定局は、前記二周波による無線通信の変復調を行う固定局送受信手段と、各中継局をそれぞれ特定する特定信号を送信する音声信号に付加する固定局特定信号付加手段と、前記固定局送受信手段を介して受信した受信信号に含まれる前記特定信号が何れの中継局かを識別する固定局特定信号識別手段と、を備え、
前記中継局は、前記二周波による無線通信の変復調を行う中継局送受信手段と、該中継局を特定する特定信号を前記固定局から受信した音声信号に付加する中継局特定信号付加手段と、前記中継局送受信手段を介して受信した受信信号に含まれる前記特定信号が自局の特定信号か否かを識別する中継局特定信号識別手段と、を備え、
前記移動局は、前記二周波による無線通信の変復調を行う移動局送受信手段と、該移動局送受信手段により電波を受信してから応答するまでの時間を計時する応答時間計時手段と、各中継局を特定する特定信号を音声信号に付加する移動局特定信号付加手段と、前記移動局送受信手段を介して受信した受信信号に含まれる前記特定信号を検知する特定信号検知手段と、を備え、前記移動局送受信手段は、前記応答時間計時手段により計時された時間に応じた特定信号を音声信号に付加して前記中継局に送信することを特徴とする移動無線システム。 - 前記移動局が1つの中継局から電波を受信して前記固定局と通信を行う場合、
前記固定局は、該固定局から送信する音声信号に前記中継局を特定する特定信号を付加して該中継局に送信し、前記中継局特定信号識別手段により自局を特定する特定信号であると識別した中継局は、該特定信号を前記音声信号に付加して前記移動局に送信し、該電波を受信した移動局は、前記特定信号検知手段により特定信号を検知すると、検知した特定信号をそのまま音声信号に付加して前記中継局に送信することを特徴とする請求項1に記載の移動無線システム。 - 前記移動局が複数の中継局から電波を受信して前記固定局と通信を行う場合、
前記固定局は、該固定局から送信する音声信号に前記複数の中継局をそれぞれ特定する複数の特定信号を付加して該中継局に送信し、前記中継局特定信号識別手段により自局を特定する特定信号であると識別した各中継局は、該特定信号を前記音声信号に付加して前記移動局に送信し、該電波を受信した移動局は、マスキング効果により復調された電波に係る特定信号をそのまま音声信号に付加して前記中継局に送信することを特徴とする請求項1に記載の移動無線システム。 - 前記移動局が複数の中継局から電波を受信し、前記移動局が所定の時間内に前記音声信号に応答する場合は、マスキング効果により復調された電波に係る特定信号をそのまま音声信号に付加して前記中継局に送信することを特徴とする請求項1に記載の移動無線システム。
- 前記移動局が所定の時間内に前記音声信号に応答しない場合は、該移動局は、それぞれの中継局を特定する特定信号を前記音声信号に付加して送信することを特徴とする請求項1に記載の移動無線システム。
- 前記特定信号は、前記音声信号の周波数帯域と異なる周波数により構成したトーン信号であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の移動無線システム。
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