JP5527602B2 - 吸着部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体ウエハや液晶用ガラス基板等などの基板を吸着保持する真空吸着装置に用いる吸着部材及びその製造方法に関する。
従来、たとえば半導体ウエハ等の基板の搬送、研磨、ダイシング、洗浄などの製造工程において、載置面に半導体基板を載置し、載置面と対向する面側から真空吸引することにより半導体基板を吸着保持する吸着部材を備えた真空吸着装置が用いられている。
例えば、特許文献1には、多孔質セラミックスからなる板状の吸着部材を用いた真空吸着装置が開示されている。
特開2009−148868号公報
上記に代表されるような多孔質材料からなる吸着部材では、真空吸引における圧損を小さくして十分な吸着力を得ることと、構造体として必要な強度を得ることと、を両立するために、多くは気孔率が20〜50%、平均気孔径が10〜200μm程度に構成されている。
近年、半導体基板の大型化、薄型化が進み、半導体基板の吸着時に反りや傷が生じやすくなっているため、半導体基板に負荷をかけないように、吸着部材の載置面において、表面粗さなど高い面精度が要求されるようになってきた。
しかし、上述の技術では、平均気孔径及び気孔率が大きいため、高い面精度を得ることが困難であるという問題があった。
また、面精度を向上させるために、平均気孔径及び気孔率を小さくすると、真空吸引における圧損が大きくなり、十分な吸着力が得られないという問題があった。
そこで、本発明は、面精度が高い載置面を有するとともに、圧損が小さく十分な吸着力を得ることができる真空吸着装置に用いる多孔質セラミックスからなる吸着部材及びその製造方法を実現することを目的とする。
この発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、真空吸着装置に用い、基板を吸着保持するための平板状の多孔質セラミックスからなる吸着部材の製造方法であって、平均粒径が異なる複数種のセラミックス粉を混合してなる骨材と、成形体の状態で骨材を結合するための液状の一次バインダと、焼成時に溶融して骨材を結合するための二次バインダと、を用意し、所定の割合で調合する調合工程と、前記調合工程において調合された原料を混練し、スラリーを作製する混練工程と、前記混練工程で作製されたスラリーを成形型に注型する注型工程と、前記注型工程で注型されたスラリーを加振し、下面から上面に向かって平均粒径が大きくなる粒度分布を有する構造体を作製する加振工程と、前記加振工程で作製された構造体の一次バインダを硬化させて骨材を結合し、成形体を作製する硬化工程と、前記成形体を焼成する焼成工程とを備えた、という技術的手段を用いる。
請求項1に記載の発明によれば、多孔質セラミックスの骨格を形成する骨材を平均粒径が異なる複数種のセラミックス粉を混合してなるものとし、注型工程で注型されたスラリーを加振し、下面から上面に向かって平均粒径が大きくなる粒度分布を有する構造体を作製する加振工程を備えているため、平均気孔径及び気孔率が一方の面から他方の面に向かって増大する気孔構造の吸着部材を製造することができる。
この製造方法により製造された吸着部材では、半導体を載置する載置面を平均気孔径及び気孔率が小さい方の面として面精度を向上させることができる。また、平均気孔径及び気孔率が大きい方の面を真空吸引される吸引面とすることにより、圧損を小さくして十分な吸着力を維持することができる。
請求項2に記載の発明では、真空吸着装置に用い、基板を吸着保持するための平板状の多孔質セラミックスからなる吸着部材の製造方法であって、1種又は平均粒径の異なる2種以上のセラミックス粉を混合してなる骨材と、成形体の状態で骨材を結合するための液状の一次バインダと、焼成時に溶融して骨材を結合するための二次バインダと、を用意し、所定の割合で調合する調合工程と、前記調合工程において調合された原料を混練し、前記セラミックス粉の平均粒径が異なるスラリーを2種以上作製する混練工程と、前記混練工程で作製された2種以上のスラリーを平均粒径の小さいものから順に成形型に注型する注型工程と、前記注型工程で注型されたスラリーを加振し、下面から上面に向かって平均粒径が大きくなる粒度分布を有する構造体を作製する加振工程と、前記加振工程で作製された構造体の一次バインダを硬化させて骨材を結合し、成形体を作製する硬化工程と、前記成形体を焼成する焼成工程と、を備えた、前記骨材は球状である、という技術的手段を用いる。
請求項2に記載の発明によれば、多孔質セラミックスの骨格を形成する骨材を1種又は平均粒径の異なる2種以上のセラミックス粉を混合してなるものとし、混練工程においてセラミックス粉の平均粒径が異なるスラリーを2種以上作製し、注型工程において混練工程で作製された2種以上のスラリーを平均粒径の小さいものから順に成形型に注型し、注型工程で注型されたスラリーを加振し、下面から上面に向かって平均粒径が大きくなる粒度分布を有する構造体を作製する加振工程を備えているため、平均気孔径及び気孔率が一方の面から他方の面に向かって増大する気孔構造の吸着部材を製造することができる。
この製造方法により製造された吸着部材では、半導体を載置する載置面を平均気孔径及び気孔率が小さい方の面として面精度を向上させることができる。また、平均気孔径及び気孔率が大きい方の面を真空吸引される吸引面とすることにより、圧損を小さくして十分な吸着力を維持することができる。
また、骨材の粒度が異なる2種以上のスラリーを積層するため、気孔構造の制御が容易である。そして、スラリーを積層した後に加振するため、異なるスラリー間で骨材の移動が生じて、層間の境界が不明確となり、焼成工程において各層で焼成収縮が異なることに起因するクラックが発生しにくい。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の吸着部材の製造方法において、前記骨材は球状である、という技術的手段を用いる。
請求項3に記載の発明のように、球状の骨材を用いると、加振工程において骨材が移動しやすく、面精度を向上させることができ、好ましい。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の吸着部材の製造方法において、前記一次バインダはエチルシリケートである、という技術的手段を用いる。
請求項4に記載の発明のように、エチルシリケートは粘性の調整など取り扱いが容易であり、一次バインダとして好適に用いることができる。
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の吸着部材の製造方法において、前記二次バインダはガラスフリットである、という技術的手段を用いる。
請求項5に記載の発明のように、二次バインダとしてガラスフリットを用いると、低温焼成が可能であり、焼成工程の降温時の熱収縮による反り、歪なども小さくすることもできるため、好ましい。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の吸着部材の製造方法により製造された平板状の多孔質セラミックスからなる吸着部材であって、基板を載置する載置面から、載置面と対向し真空吸引される吸引面に向かって、平均気孔径及び気孔率が増大する気孔構造を有する、という技術的手段を用いる。
請求項6に記載の発明によれば、吸着部材が、基板を載置する載置面から、載置面と対向し真空吸引される吸引面に向かって、平均気孔径及び気孔率が増大する気孔構造を有するため、平均気孔径及び気孔率が小さい方の面である載置面の面精度を向上させることができるとともに、平均気孔径及び気孔率が大きい方の面である吸引面からの真空吸引における圧損を小さくして十分な吸着力を維持することができる。
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の吸着部材において、前記載置面は、平均気孔径が1〜10μm、気孔率が5〜20%に形成されている、という技術的手段を用いる。
請求項7に記載の発明によれば、従来の吸着部材の載置面に比べ平均気孔径及び気孔率が小さいので、高い面精度を有する吸着部材とすることができる。
請求項8に記載の発明では、請求項6または請求項7に記載の吸着部材において、前記載置面は、仕上げ研削工程を経て表面粗さRy(最大高さ)が5μm以下となるように形成されている、という技術的手段を用いる。
請求項8に記載の発明によれば、従来の吸着部材の載置面に比べ表面粗さRy(最大高さ)が小さいので、高い面精度を有する吸着部材とすることができる。
請求項9に記載の発明では、請求項6ないし請求項8のいずれか1つに記載の吸着部材において、前記吸面は平均気孔径が50〜150μm、気孔率が20〜50%に形成されている、という技術的手段を用いる。
面を請求項9に記載の発明のような気孔構造に形成すると、真空吸引時の圧損を小さくすることができるので、十分な吸着力を生じさせることができる吸着部材とすることができる。
本発明の吸着部材を用いた真空吸着装置の概略構造を示す断面説明図である。 吸着部材の構造を示す断面説明図である。 吸着部材の製造工程を示す説明図である。
[第1実施形態]
本発明の吸着部材及びその製造方法について、図を参照して説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の吸着部材を備えた真空吸着装置1は、図1に示すように、半導体基板を載置し吸着保持するための多孔質セラミックスからなる平板状の吸着部材11と、半導体基板を載置する載置面11aを開放した状態で吸着部材11を支持し、底面に設けられた吸引孔12aを介して図示しない吸引手段と連通する吸引部材12と、を備えている。
真空吸着装置1によれば、吸着部材11の載置面11aを覆うように半導体基板を載置し、載置面11aと対向する吸引面11b側から吸引部材12の吸引孔12aを介して真空吸引することにより、半導体基板を載置面11aに吸着保持することができる。
吸着部材11は、平均粒径が異なる数種のセラミックス粉を混合してなる骨材をガラスで結合して形成された多孔質セラミックスからなる。骨材の形状は、面精度の向上及び後述する加振工程での骨材の移動のしやすさの観点より、鋭い角部がないことが好ましく、特に球状であることが好ましい。
吸着部材11は、載置面11aから吸引面11bに向かって平均気孔径及び気孔率が増大する気孔構造を有している。
ここで、「載置面11aから吸引面11bに向かって気孔率及び平均気孔径が増大する」とは、平均気孔径及び気孔率の平均的な分布が載置面11aから吸引面11bに向かって小さくなることがなければよい。
図2には、平均粒径が異なる3種類のセラミックス粉a,b,cを用いて製造した吸着部材11の構造を模式的に示す。ここで、平均粒径はセラミックス粉aが最も小さく、セラミックス粉b,cの順に大きくなるものとする。セラミックス粉aの割合が大きい領域ほど平均気孔径及び気孔率が小さくなり、セラミックス粉cの割合が大きい領域ほど平均気孔径及び気孔率が大きくなる。
吸着部材11は、図2(A)に示すように、載置面11aから吸引面11bに向かってセラミックス粉cの割合が徐々に大きくなる傾斜構造でもよいし、図2(B)に示すように、セラミックス粉a主体の層S、セラミックス粉b主体の層M、セラミックス粉c主体の層Lが積層された構造であって気孔率及び平均気孔径が階段状に変化する層状構造であってもよい。
載置面11aは、平均気孔径が1〜10μm、気孔率が5〜20%になるように形成されている。
ここで、載置面11aの気孔率とは、載置面11aを平面視した場合に、気孔による開口面積を載置面11aの面積で除したものであり、走査型電子顕微鏡(SEM)や光学顕微鏡の観察視野の画像解析などにより求められた値を代表して用いる。
載置面11aの平均気孔径は、載置面11aを平面視した場合の気孔形状から求めたものであり、SEMや光学顕微鏡の観察視野の画像解析などにより求められた値を代表して用いる。
載置面11aは従来の吸着部材の載置面に比べて平均気孔径及び気孔率が小さく形成されているので、高い面精度を得ることができる。
また、載置面11aは、仕上げ研削工程を経て表面粗さRy(最大高さ)が5μm以下となるように形成することもできる。これによれば、従来の吸着部材の載置面に比べて表面粗さが小さく形成されているので、高い面精度を得ることができる。
吸引面11bは、真空吸引時に圧損が小さく、載置面11aにおいて十分な吸着力が得られるように、平均気孔径及び気孔率を設定すればよい。例えば、平均気孔径が50〜150μm、気孔率が20〜50%となるように形成することができる。
ここで、吸引面11bの気孔率、平均気孔径も載置面の気孔率、平均気孔径と同様の方法で求めたものである。
上述のように、本発明の吸着部材11によれば、載置面11aの面精度を向上させることができるとともに、吸引面11bからの真空吸引における圧損を小さくして十分な吸着力を維持することができる。
次に、吸着部材11の製造工程について図3を参照して説明する。
まず、調合工程S1では、吸着部材の原料として、多孔質セラミックスの骨格を形成する骨材と、成形体の保形性を確保するため、成形体の状態で骨材を結合するための液状の一次バインダ、焼成時に溶融して骨材を結合する二次バインダと、を用意し、所定の割合で調合する。ここで、成形体の保形性の向上など、必要に応じて、有機バインダなども添加することができる。
骨材としては、平均粒径が異なる複数種のセラミックス粉を混合して用いる。ここで、セラミックス粉体は、面精度の向上及び後述する加振工程での骨材の移動のしやすさの観点より、鋭い角部がないことが好ましく、特に球状であることが好ましい。
骨材は、目的とする平均気孔径及び気孔率に応じて選択された平均粒径のものを使用する。骨材は、平均粒径が異なるセラミックス粉を2種以上用意すればよいが、平均粒径の差が大きすぎると気孔構造を形成しにくくなるため、3種以上用いることが好ましい。例えば、載置面11aの平均気孔径を3μmとするには、平均粒径が最も小さいセラミックス粉として、平均粒径9μm程度のものを用いるとよく、平均粒径が9μm、40μm、150μmの3種類のセラミックス粉を用いることができる。
各セラミックス粉の配合比は、気孔構造にあわせて適宜選択することができるが、圧損を小さくするために、載置面11aが形成できることを条件に最も平均粒径が小さいセラミックス粉の配合比は小さくする方が好ましい。
骨材の材質としては、アルミナなどの酸化物セラミックス、窒化けい素、窒化アルミニウムなどの窒化物セラミックス、炭化けい素などの炭化物セラミックスなどを採用することができる。ここで、アルミナは二次バインダとして用いるガラスフリットとの親和性が高く、価格が安いため、好適に用いることができる。
一次バインダは、エチルシリケート、水硬性アルミナなどの無機系溶液を用いることができる。
一次バインダは、成形体の保形性を確保できる量だけ添加すればよく、例えば、骨材及び後述する二次バインダに対して15〜30重量部を添加することが好適である。
以下、一次バインダとしてエチルシリケートのエタノール溶液を用いた場合を例に説明する。エチルシリケートは粘性の調整など取り扱いが容易である。
二次バインダは、焼成工程で溶融して骨材を結合させる焼結助剤であり、低温焼成が可能なガラスフリットを好適に用いることができる。二次バインダは、気孔の形成を阻害しないように平均粒径がこのセラミックス粉末の平均粒径よりも小さいものを用いることが好ましい。
ここで、二次バインダの量は、骨材の結合強度、目的とする気孔構造が得られる範囲においてできるだけ少ないことが好ましく、骨材に対して5〜20重量部を混合することが、好適である。
一次バインダとしてエチルシリケートを用いる場合には、成形体の保形性の向上のため、アクリル系エマルジョンなどの有機バインダを添加することが好ましい。例えば、1次バインダに対して5〜10重量部を添加することができる。
続く混練工程S2では、調合工程S1で用意した骨材及び二次バインダをポットミルなどの混合機により乾式混合し、続いて、一次バインダと、必要に応じて溶剤や有機バインダなどとを添加、混合し、スラリーを形成する。
続く注型工程S3では、スラリーを所望の形状、ここでは、板状に造形するための成形型に流し込む。
続く加振工程S4では、加振機を用いて成形型を振動させることにより、スラリーに加速度を印加する。これにより、粒径が小さい骨材は下方に、粒径が大きい骨材は上方に移動していく。加速度、加振時間などの加振条件を適宜設定することにより、下面から上面に向かって平均粒径が大きくなる粒度分布を有する構造体を形成することができる。
加振条件は、例えば、加速度0.1〜1G、加振時間5〜20分とすることができる。
スラリーに水平方向・垂直方向の加振を付加し、骨材を移動させやすくすることもできる。必要に応じて、スラリー中の気泡を除去するための真空脱泡などを行う。
続く硬化工程S5では、加振工程S4を経た構造体について、一次バインダを硬化させて骨材を結合させて成形体とする。一次バインダにエチルシリケートを用いた場合には、温風加熱により硬化させることができる。このとき、エチルアルコールの蒸発により、気孔が目詰まりしていた部分の造孔が促進される。この工程により、骨材と二次バインダとの混合物が一次バインダで結合した状態で硬化するため、保形性が高く、離型してハンドリングが容易な成形体を得ることができる。
続く焼成工程S6では、硬化工程S5を経た成形体を焼成することにより、二次バインダが溶融して骨材を結合する。焼成は、大気中等の酸化雰囲気で行うことができ、例えば、昇温速度50℃/hrで600〜800℃まで昇温し、1〜3時間保持することにより行う。二次バインダとして、ガラスフリットを用いているので、このような低温焼成が可能であり、降温時の熱収縮による反り、歪なども小さくすることができる。
そして、載置面11aに平面研削などによる仕上げ加工を施して、正確な面出しを行い、所定の表面粗さに仕上げることにより、平均気孔径及び気孔率が一方の面(加振工程S4における下面)から他方の面(加振工程S4における上面)に向かって増大する気孔構造の吸着部材11を製造することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る吸着部材11の製造工程では、混練工程S2においてセラミックス粉の平均粒径が異なるスラリーを2種以上作製する。
そのため、調合工程S1の骨材として、異なる粒度のセラミックス粉を複数種用意する、または、平均粒径の異なる2種以上のセラミックス粉を混合して粒度を制御したものを複数種用意する。
続く注型工程S3では、混練工程S2で作製された2種以上のスラリーを平均粒径の小さいものから順に成形型に流し込んで、積層された状態とする。
続く加振工程S4、硬化工程S5、焼成工程S6は第1実施形態と同様であり、載置面11aに平面研削などによる仕上げ加工を施して、正確な面出しを行い、所定の表面粗さに仕上げることにより、第1実施形態と同様に、平均気孔径及び気孔率が下面から上面に向かって増大する気孔構造の吸着部材11を製造することができる。
本実施形態では、骨材の粒度が異なる2種以上のスラリーを積層するため、各スラリー層の平均粒径、厚さを制御することにより、気孔構造の制御を容易に行うことができる。例えば、載置面11a側の平均粒径の小さいスラリーの層を薄く形成し、吸引面11b側の平均粒径の大きいスラリーの層を厚く形成することにより、吸引面11bからの真空吸引における圧損をより小さくすることができる気孔構造とすることができる。
また、スラリーを積層した後に加振するため、異なるスラリー間で骨材の移動が生じて、層間の境界が不明確となる。これにより、グリーンシートを積層して焼成した場合のように層間の境界が明確でないため、焼成工程S6において各層で焼成収縮が異なることに起因するクラックが発生しにくい。更に、所望の気孔構造を得るための加振時間を短くすることができる。
[実施例]
以下に本発明の実施例を示す。以下に示す調合内容及び製造条件により、直径320mm、厚さ10mmの円板状の吸着部材を作製した。
(調合内容)
・骨材
AS―50(平均粒径9μm:昭和電工株式会社製)を20重量%、
AS―10(平均粒径40μm:昭和電工株式会社製)を30重量%、
ナイガイセラビーズ#650(平均粒径150〜200μm:伊藤忠セラテック株式会社製)を50重量%、
の2種類のアルミナ粉末と人工球状セラミックス粉末とを混合
・一次バインダ
エチルシリケート:HAS-6(コルコート株式会社製)を骨材及び二次バインダに対して20重量部
・二次バインダ
ガラスフリット:4021(平均粒径5μm:日本琺瑯釉薬社製)を骨材に対して10重量部
・有機バインダ
アクリル系エマルジョン:バインドセラムSA−501(三井化学株式会社製)を一次バインダに対して10重量部
(製造条件)
・加振条件:水平方向に0.5Gを5分間印加
・乾燥条件:温度50℃、乾燥時間24時間
・焼成条件:昇温速度50℃/hr、焼成温度710℃、保持時間4時間
上記条件により製造された吸着部材は、載置面から吸引面に向かって平均気孔径及び気孔率が増大する気孔構造を有していた。
従来の吸着部材に比べて圧損の上昇は認められず、真空吸引における圧損を小さくして十分な吸着力を維持することができることが確認された。
[実施形態の効果]
(1)本発明の第1実施形態に係る吸着部材11の製造方法によれば、多孔質セラミックスの骨格を形成する骨材を平均粒径が異なる複数種のセラミックス粉を混合してなるものとし、注型工程で注型されたスラリーを加振し、下面から上面に向かって平均粒径が大きくなる粒度分布を有する構造体を作製する加振工程を備えているため、載置面11aから吸引面11bに向かって平均気孔径及び気孔率が増大する気孔構造を有する吸着部材11を製造することができる。
本発明の吸着部材11によれば、載置面11aの面精度を向上させることができるとともに、吸引面11bからの真空吸引における圧損を小さくして十分な吸着力を維持することができる。
(2)本発明の第2実施形態に係る吸着部材11の製造方法によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、骨材の粒度が異なる2種以上のスラリーを積層するため、気孔構造の制御が容易である。また、スラリーを積層した後に加振するため、異なるスラリー間で骨材の移動が生じて、層間の境界が不明確となる。これにより、グリーンシートを積層して焼成した場合のように層間の境界が明確でないため、焼成工程S6において各層で焼成収縮が異なることに起因するクラックが発生しにくい。
1 真空吸着装置
11 吸着部材
11a 載置面
11b 吸引面
12 吸引部材
12a 吸引孔

Claims (9)

  1. 真空吸着装置に用い、基板を吸着保持するための平板状の多孔質セラミックスからなる吸着部材の製造方法であって、
    平均粒径が異なる複数種のセラミックス粉を混合してなる骨材と、成形体の状態で骨材を結合するための液状の一次バインダと、焼成時に溶融して骨材を結合するための二次バインダと、を用意し、所定の割合で調合する調合工程と、
    前記調合工程において調合された原料を混練し、スラリーを作製する混練工程と、
    前記混練工程で作製されたスラリーを成形型に注型する注型工程と、
    前記注型工程で注型されたスラリーを加振し、下面から上面に向かって平均粒径が大きくなる粒度分布を有する構造体を作製する加振工程と、
    前記加振工程で作製された構造体の一次バインダを硬化させて骨材を結合し、成形体を作製する硬化工程と、
    前記成形体を焼成する焼成工程と、を備えたことを特徴とする吸着部材の製造方法。
  2. 真空吸着装置に用い、基板を吸着保持するための平板状の多孔質セラミックスからなる吸着部材の製造方法であって、
    1種又は平均粒径の異なる2種以上のセラミックス粉を混合してなる骨材と、成形体の状態で骨材を結合するための液状の一次バインダと、焼成時に溶融して骨材を結合するための二次バインダと、を用意し、所定の割合で調合する調合工程と、
    前記調合工程において調合された原料を混練し、前記セラミックス粉の平均粒径が異なるスラリーを2種以上作製する混練工程と、
    前記混練工程で作製された2種以上のスラリーを平均粒径の小さいものから順に成形型に注型する注型工程と、
    前記注型工程で注型されたスラリーを加振し、下面から上面に向かって平均粒径が大きくなる粒度分布を有する構造体を作製する加振工程と、
    前記加振工程で作製された構造体の一次バインダを硬化させて骨材を結合し、成形体を作製する硬化工程と、
    前記成形体を焼成する焼成工程と、を備えたことを特徴とする吸着部材の製造方法。
  3. 前記骨材は球状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸着部材の製造方法。
  4. 前記一次バインダはエチルシリケートであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の吸着部材の製造方法。
  5. 前記二次バインダはガラスフリットであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の吸着部材の製造方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の吸着部材の製造方法により製造された平板状の多孔質セラミックスからなる吸着部材であって、
    基板を載置する載置面から、載置面と対向し真空吸引される吸引面に向かって、平均気孔径及び気孔率が増大する気孔構造を有することを特徴とする吸着部材。
  7. 前記載置面は、平均気孔径が1〜10μm、気孔率が5〜20%に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の吸着部材。
  8. 前記載置面は、仕上げ研削工程を経て表面粗さRy(最大高さ)が5μm以下となるように形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の吸着部材。
  9. 前記吸引面は平均気孔径が50〜150μm、気孔率が20〜50%に形成されていることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1つに記載の吸着部材。
JP2010133471A 2010-06-11 2010-06-11 吸着部材及びその製造方法 Active JP5527602B2 (ja)

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