JP3663215B2 - 真空吸着装置とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、多孔質部からなる吸着部と緻密質部からなる支持部とを備える吸着板を具備した真空吸着装置とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、真空吸着装置には、吸着板の吸着部材が多孔質体からなるポーラスタイプのものと、吸着部材に多数のピン孔を穿設した多ピンタイプのものがあるが、被加工物を載置面の全面で均一に吸着固定できるポーラスタイプの吸着板を具備した真空吸着装置が好適に使用されている。
【0003】
上記ポーラスタイプの吸着板は、例えば図4(a),(b)に示すように、中央に吸着部材11として円板状の多孔質セラミック材を備え、その周囲に支持部材12としてリング状の緻密質セラミック材をガラス13で接合したものがあった。そして、吸着部材11をなす多孔質セラミック材の気孔を吸引孔とし、真空ポンプ(不図示)により吸引することで被加工物14を載置面10a上に吸着固定するようになっていた。このとき載置面10aは、凹凸面であると被加工物14との間に隙間が生じ吸着力が低下することから、平滑平坦な面に仕上げられていた。
【0004】
また、上記吸着板10を構成するセラミック材としては、セラミック主原料に所定の焼結助剤とバインダーとをぞれぞれ添加して混練乾燥したのち顆粒を製作し、この顆粒を金型中に充填して各々所定の形状に成形し、支持部材12をなす緻密質セラミック材は通常の焼成温度で、吸着部材11をなす多孔質セラミック材は通常の焼成温度より少し低い温度で焼成されたものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような真空吸着装置の吸着板10は、吸着部材11と支持部材12をガラス接合するためにガラス13の融点近傍まで加熱するために、軟化したガラス13の一部が吸着部材11を構成する多孔質セラミック材の気孔中に流入して接合部全面にガラス13を介在させることができず、十分な接合強度を得ることができなかった。その為、このような吸着板10を真空吸着装置に装着して使用すると、吸引力に耐えきれず吸着部材11が支持部材12から脱落する恐れがあった。
【0006】
また、吸着部材11をなす多孔質セラミック材は通常の焼成温度より低い温度で焼成されたものであるためにセラミック粒子同士が完全に焼結されておらず、支持部材12をなす緻密質セラミック材に比べ硬度が低かった。その為、載置面10a全体に切削加工を施すと、支持面12aに比べ吸着面11aが多く削られてしまい、載置面10a全体を平滑平坦な面とすることが難しかった。
【0007】
さらに、被加工物14がSiウエハなどである場合、載置面10aをクリーンな状態に保たなければならないことから頻繁に洗浄が繰り返えされるのであるが、上記多孔質セラミック材はセラミック粒子同士が完全に焼結したものでないことから耐薬品性が低く、強酸や強アルカリの洗浄液によってセラミック粒子同士を結合させるガラス成分などが浸食を受け、数回の洗浄により表面のセラミック粒子が脱落して載置面10aが凹凸面となり、その度に切削加工を施さなければならないといった不都合があった。しかも、支持部材12をなす緻密質セラミック材と吸着部材11をなす多孔質セラミック材もガラス13で接合されているために、洗浄の繰り返しにより接合強度が低下し、使用中に吸着部材11が支持部材12から脱落する恐れもあった。さらに、洗浄以外でもSiウエハのエッチング又はラッピング処理工程においても強アルカリの液が使用されるため、上述のような課題があった。
【0008】
また、このような吸着板10を製造する場合、多孔質セラミック材と緻密質セラミック材とをそれぞれ別々に製作したあとに、各セラミック材同士をガラス13で接合しなければならず製造効率が悪かった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、多孔質部からなる吸着部と緻密質部からなる支持部とを備える真空吸着装置の吸着板全体を、同一組成のセラミックスにより形成し、吸着部をなす多孔質部と、該多孔質部を囲繞する支持部をなす緻密質部とを一体構造としたものであり、さらに、吸着部をなす多孔質部の気孔率を5.0〜35%で、且つ平均気孔径を15〜45μmの範囲で設けたものである。また、本発明は、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素のうち一種からなる主原料に対し、所望の焼結助剤とバインダーとをそれぞれ添加したセラミック原料と、さらに、焼成時に燃えてなくなる焼失材を添加したセラミック原料とを、金型中の所定位置にそれぞれ充填して圧縮成形し、しかるのち1100〜2000℃の焼成温度にて焼成することにより、支持部をなす多孔質部を一体的に形成した真空吸着装置の吸着板を製造したものである。
【0010】
【作用】
本発明によれば、吸着板全体を同一組成のセラミックスにより一体的に形成してあるため、吸着部をなす多孔質部と支持部をなす緻密質部との境界には接合部が存在せず、また、多孔質部は完全に焼結されたセラミックスからなる。その為、吸着板のどの部分をとっても同程度の硬度を有するとともに、機械的強度、耐薬品性及び耐熱性に優れている。
【0011】
また、本発明によれば、主原料に対し、所望の焼結助剤とバインダーとをそれぞれ添加したセラミック原料と、さらに、焼成時に燃えてなくなる焼失材を添加したセラミック原料とを、金型中の所定位置にそれぞれ充填して成形し、しかるのち主原料を完全に焼結させる温度で焼成して吸着板を形成するというように、一度の成形及び焼成工程を経るだけで、吸着部をなす多孔質部と支持部をなす緻密質部とを一体的に形成した吸着板を効率的に製造することができる。しかも、吸着板の多孔質部を形成するために、主原料に焼失材を適宜調整して添加してあることから、主原料を完全に焼結させる温度で焼成することができる。その為、セラミック粒子同士が完全に焼結した多孔質部とすることができるとともに、吸引面から吸着面にかけて連通する貫通気孔を備えている。
【0012】
【実施例】
以下、本発明実施例を説明する。
【0013】
図1(a)は本発明実施例に係る真空吸着装置の概略を示す斜視図であり、図1(b)は(a)に示す吸着板1のX−X線断面図である。
【0014】
図1(a)に示すように、本発明実施例に係る真空吸着装置は、中央に多孔質セラミックス4からなる吸着部2と、該吸着部2の周囲に緻密質セラミックス5からなる支持部3とを備える円板状の吸着板1を具備してなり、上記吸着板1の載置面1a上に被加工物14を載置して他方の吸引面2bより吸引管15を介して真空ポンプ(不図示)により吸引することで、被加工物14を載置面1a上に吸着固定するようになっている。なお、吸着板1の載置面10aは、凹凸面であると被加工物14との間に隙間を生じ吸着力が低下することから、平滑平坦な面に仕上げてある。
【0015】
また、上記吸着板1は全体を同一組成のセラミックスにより構成してあり、吸着部2をなす多孔質部4と、該多孔質部4を囲繞する支持部3をなす緻密質部5とは一体的に形成してある。即ち、図1(b)に示すように、吸着部2をなす多孔質部4及び支持部3をなす緻密質部5は互いが完全に焼結した同一組成のセラミックスからなるため、多孔質部4は、緻密質部5と同程度の硬度を有するとともに、耐薬品性及び耐熱性に優れている。さらに、多孔質部4と緻密質部5との境界には接合部が存在しない一体構造となっているため、緻密質部3を構成するセラミック粒子同士の結合力と同程度の力で緻密質部3のセラミック粒子と多孔質部2のセラミック粒子とが焼結しており機械的強度にも優れている。
【0016】
その為、この吸着板1の載置面1aに切削加工を施せば、多孔質部2及び緻密質部3とも同じ量だけ切削することができることから、載置面1aを容易に平滑平坦な面とすることができる。しかも、耐薬品性及び耐熱性にも優れることから、吸着板1を強酸や強アルカリの洗浄液に浸したとしてもセラミック粒子の脱落や、吸着板1の破損を生じることがなく、また、高温下で使用したとしても図4(a),(b)に示す従来の吸着板10のように大きな強度劣化を生じ吸着部材11が支持部材12から脱落するといったことがない。
【0017】
また、被加工物14を載置面1aの全面で均一に吸着固定するためには、吸着部2をなす多孔質部4には、適度な大きさの径を有する気孔が吸着面2aから吸引面2bにかけて連通する貫通気孔2cを備えていなければならないことから、吸着部2をなす多孔質部4の気孔率を5.0〜35%で、且つ平均気孔径を15〜45μmの範囲に設けてある。
【0018】
即ち、多孔質部4の気孔率が5.0%未満であると、内部に殆ど気孔が存在しておらず、吸着面2aから吸引面2bにかけて連通する貫通気孔2cが少ないため十分な吸着力が得られないからである。ただし、多孔質部4の気孔率が35%より大きくなると、機械的強度並びに硬度が大幅に低下するとともに、製造が困難となる。また、多孔質部4の平均気孔径が15μm未満であると、気孔の径が小さすぎるために十分な吸引力を得ることができず、載置面1a上に被加工物14を吸着固定することができず、逆に、多孔質部4の平均気孔径を45μmより大きくすることは製造が困難となるからである。
【0019】
さらに、上記吸着板1を構成することができるセラミックスとしては、アルミナセラミックス、ジルコニアセラミックスなどの酸化物系セラミックスや、炭化珪素質セラミックスや窒化珪素質セラミックスなどの非酸化物系セラミックスなどさまざまなものを使用することができ、これらは使用目的および使用条件などに応じて適宜設定すればよい。
【0020】
次に、図1に示す吸着板1を例にとってその製造方法を説明する。
【0021】
まず、主原料をなすセラミック粉末に、所定の焼結助剤あるいは安定化剤とバインダーをそれぞれ添加したセラミック原料を用意する。例えば、Al2 3 に対しては焼結助剤としてMgO、CaO、SiO2 のうち少なくとも一種を添加し、ZrO2 に対しては安定化剤としてMgO、CaO、Y2 3 、CeO2 等のうち少なくとも一種を、SiCに対してはC、B、B4 C、Al2 3 、Y2 3 等のうち少なくとも一種を、Si3 4 に対しては周期律表2a、3a族元素の酸化物や窒化物のうち少なくとも一種をそれぞれ焼結助剤として添加する。また、高純度の吸着板1を製造する時には、高純度のセラミック粉末を準備すれば良い。
【0022】
そして、このセラミック原料を2つに分け、一方のセラミック原料に3〜20重量%の範囲で焼失材を添加混合する。ここで、焼失材とは焼成時に燃えてなくなる材質のことであり、例えば、粉末ポリエチレン、酢酸ビニール、セルロース、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂などの樹脂剤、あるいは炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどを好適に用いることができる。
【0023】
一方、図2に示すように、一軸方向加圧成形機の金型20中に、ステンレス、プラスチック、樹脂などからなる薄肉円筒状の仕切り板21を載置し、この仕切り板21により仕切られた円筒の内側22に焼失材を含むセラミック原料Aを、円筒の外側23に焼失材を含まないセラミック原料Bをそれぞれ充填したあと、上記仕切り板21を取り除いて上下のパンチ24,25により圧縮成形することで、中央が焼失材を含んだセラミック原料Aからなり、焼失材を含まないセラミック原料Bが上記セラミック原料Aを囲繞した円板状の成形体を得る。
【0024】
なお、上記成形工程において、焼失材を含んだセラミック原料Aと焼失材を含まないセラミック原料Bとを区隔する仕切り板21は、抜き取りの時、各々のセラミック原料A,Bに充填密度のバラツキを生じないようにするため、できるだけ薄肉のものを使用することが重要で、少なくとも肉厚hが10mm以下、好ましくは1mm以下の仕切り板21を使用すれば、充填密度のバラツキを生じることなく成形することができる。また、一軸方向加圧成形機以外に、硬質ゴムからなる型の中に仕切り板21を配置して焼失材を含んだセラミック原料Aと焼失材を含まないセラミック原料Bとをそれぞれ所定位置に充填したあと、均一に静水圧をかけて成形するCIP(冷間静水圧プレス)やHIP(熱間静水圧プレス)により成形することもできる。
【0025】
このようにして得た成形体を、主原料がAl2 3 に対しては1600〜1750℃の焼成温度で、主原料がZrO2 に対しては1400〜1700℃の焼成温度で、主原料がSiCに対しては、1700〜1900℃の焼成温度で、Si3 4 に対しては1800〜2000℃の焼成温度というように、各セラミック粉末を完全に焼結させる温度にて焼成すれば、セラミック原料A中の焼失材が燃えてなくなり、その跡が気孔となって残るため、図1に示すような中央が多孔質部4からなり、緻密質部5が上記多孔質部4を囲繞するとともに、多孔質部2と緻密質部3とが一体構造をなし完全に焼結されている真空吸着装置の吸着板1を得ることができる。
【0026】
なお、上記実施例では、中央が円板状の多孔質部2からなり、その周囲を環状の緻密質部3が囲繞した吸着板1についてのみ示したが、その他の実施例として、例えば、図3(a)に示すような緻密質部5からなる円板状支持体3’の中央に2つの直方体をした吸着部2をなす多孔質部4を並設した吸着板1を形成することができ、この場合、金型20の中央に2つの角筒体をした仕切り板21を並設して載置し、各々の仕切り板21の内側にセラミック原料Aを、その外側にセラミック原料Bを充填して仕切り板21を取り除いたあと、成形及び焼成すれば良い。また、図3(b)に示すような支持部3,3''をなす緻密質部5,5''と吸着部2,2''をなす多孔質部4,4''が同心円状に交互に設けられた吸着板1も形成することができ、この場合、金型20中に直径の異なる3つの円筒状をした仕切り板21を同心円状に載置し、中央からセラミック原料A、セラミック原料B、セラミック原料A、セラミック原料Bという順序で充填して各仕切り板21を取り除き、成形・焼成すれば良い。特に図3(b)に示す吸着板1は、一つの吸着板1で大きさの異なる被加工物を吸着固定することができ、吸着板1として最適である。
【0027】
また、吸着部2をなす多孔質部4の気孔率及び平均気孔径は、焼失材の粒子径や添加量を適宜調整することにより、所望の大きさに調整することができ、異なる気孔率及び平均気孔径を有する多孔質部4を持った吸着板1を形成することもできる。
【0028】
上述のように製造すれば、一度の成形・焼成工程を経ることにより、多孔質部2と緻密質部3とを一体的に形成した吸着板1を効率的に製造することができ、従来のように各セラミック材を別々に製作したあとガラス接合する必要がない。しかも、この方法によれば、多孔質部2及び緻密質部3ともに完全に焼結した吸着板1とすることができるため、図4(a),(b)に示す従来の吸着板10と比べ機械的強度並びに硬度が高く、且つ耐薬品性、耐熱性に優れた吸着板1とすることができる。
【0029】
(実施例)
ここで、アルミナセラミック製の吸着板の具体的実施例を示す。
【0030】
まず、主原料として純度99%、平均粒子径0.1〜1.0μm程度のアルミナ粒子を用い、このアルミナ粉末に焼結助剤としてMgO、SiO2 、CaOとバインダーとをそれぞれ所定量添加して2種類のセラミック原料を用意するとともに、そのうちの一方に焼失材として直径90μmの球状をした粉末ポリエチレンを7重量%添加混合した。次に、肉厚1mm程度のステンレスにより形成した薄肉円筒状の仕切り板を金型中に配置し、仕切り板の内側に焼失材を混合したセラミック原料を、仕切り板の外側には焼失材を混合していないセラミック原料をそれぞれ充填したあと、仕切り板を取り除き1ton/cm2 の成形圧で圧縮形成した。次に、得られた成形体を焼成温度1700℃程度で焼成することにより、中央の多孔質部と、該多孔質部を囲繞する緻密質部からなるアルミナセラミック製の吸着板を得た。なお、この吸着板の特性はアルミナ純度が93%で、吸着部をなす多孔質部の気孔率が10.6%、ロックウエル硬度(HR15Y)が97.9kg/cm2 であり、吸着面から吸引面にかけて連通する貫通気孔を備えていた。
【0031】
(実験例)
ここで、焼失材の添加量をそれぞれ変えて、上記アルミナセラミック製の吸着板を形成したときの成形性および吸着板としての使用可能性について実験を行った。
【0032】
吸着板の製造条件は上記実施例の通り行い、まず、焼失材として直径90μmの球状をした粉末ポリエチレンを0〜30重量%の範囲でそれぞれ添加して成形体を形成した時の成形性を確認し、次に、成形体を焼成して得た吸着板の載置面上に被加工物として8インチのSiウエハを載置し、真空ポンプにより吸引して吸着固定できるか否かの使用可能性について確認した。
【0033】
それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0034】
【表1】
Figure 0003663215
【0035】
表1より判るように、比較例の試料No.1は、焼失材の添加量が0重量%であるために内部に殆ど気孔が存在せず、また、吸着面から吸引面にかけて連通する貫通気孔を備えていなかった。その為、8インチのSiウエハを載置面上に吸着固定することができなかった。
【0036】
また、比較例の試料No.2は、焼失材を1重量%添加してあるため、吸着面から吸引面にかけて連通する貫通気孔を備えていたものの、吸着部の平均気孔径が小さすぎるため、充分な吸引力を得ることができず、8インチのSiウエハを載置面上に吸着固定することができなかった。
【0037】
一方、比較例の試料No.9では、焼失材の添加量が30重量%と多すぎるために、成形工程において焼失材の弾性回復が大きすぎ、成形体にラミネーションを生じ、吸着板を製造することができなかった。
【0038】
これに対し、本発明の範囲にある試料No.3〜8は、焼失材を3〜20重量%の範囲で添加してあるため、吸着部の気孔率が5.0〜35%で、且つ平均気孔径が15〜45μmの範囲にあり、吸着面から吸引面まで連通する貫通気孔を備えていた。その為、充分な吸引力が得られ、8インチのSiウエハを載置面上に強固に吸着固定することができた。
【0039】
この結果より、吸着板として使用するためには、焼失材の添加量は3〜20重量%の範囲で添加すれば良いことが判る。
【0040】
なお、上記実験例では、アルミナセラミック製の吸着板についてのみ示したが、他にジルコニアセラミックスや窒化珪素質セラミックス、あるいは炭化珪素質セラミックスにより形成した吸着板であっても、焼失材を3〜20重量%の範囲で添加すれば、吸着部をなす多孔質部の気孔率が5.0〜35%で、且つ平均気孔径が15〜45μmの範囲あり、且つ吸引面から吸着面にかけて連通する貫通気孔を備えた吸着板を形成することができ、Siウエハなどの被加工物を載置面上に強固に吸着固定することができた。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明の真空吸着装置に備える吸着板は、吸着部をなす多孔質部と支持部をなす緻密質部とが共に同一組成のセラミックスにより一体的に形成してあることから、多孔質部は緻密質部と同程度の硬度を有するとともに、機械的強度、耐薬品性、及び耐熱性に優れている。その為、載置面を容易に平滑平坦な面とすることができるため、被加工物を強固に吸着固定することができるととに、吸引力により支持部から吸着部が脱落することがない。また、洗浄を繰り返したとしてもセラミック粒子の脱落がなく、高温下での使用においても大幅な強度劣化を生じることがないため、長期間にわたり使用することができる。
【0042】
また、本発明は、吸着板の吸着部をなす多孔質部を構成するために、セラミック原料中に焼成時に燃えてなくなる焼失材を添加して成形し、しかるのちセラミック粉末を完全に焼結させる温度で焼成して製造したことにより、従来のように各セラミック材を別々に制作し、その後ガラス接合するというような面倒な作業をすることなく、一度の成形・焼成工程を経るだけで、多孔質部と緻密質部とを一体的に形成した吸着板を効率良く製造することができる。しかも、この方法により製造すれば多孔質部も完全に焼結したセラミックスとすることができる。
【0043】
その為、上記吸着板を備える本発明の真空吸着装置を用いれば、長期間にわたり被加工物を吸着板の載置面上に強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る真空吸着装置の概略を示す斜視図であり、(b)は(a)に示す吸着板のXーX線断面図である。
【図2】本発明の真空吸着装置に備える吸着板の成形工程を示す斜視図である。
【図3】(a),(b)はそれぞれ本発明に係る真空吸着装置に備える吸着板の他の実施例を示す斜視図である。
【図4】(a)は従来の真空吸着装置の概略を示す斜視図であり、(b)は(a)に示す吸着板のYーY線断面図である。
【符号の説明】
1…吸着板
2…吸着部
3…支持部
4…多孔質部
5…緻密質部
20…金型
21…仕切り板

Claims (1)

  1. 多孔質部からなる吸着部と緻密質部からなる支持部とを備える吸着板を具備した真空吸着装置の製造方法であって、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素のうち一種からなる主原料に対し、所望の焼結助剤とバインダーを添加したセラミック原料と、さらに、焼成時に燃えてなくなる焼失材を添加したセラミック原料とを、薄肉円筒状の仕切り板により仕切られた型内の所定位置にそれぞれ充填した後、仕切り板を取り除いて圧縮成形し、しかるのち1100〜2000℃の温度範囲にて焼成することにより、吸着部をなす多孔質部と、支持部をなす緻密質部を一体的に形成した吸着板を製作する工程からなる真空吸着装置の製造方法。
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