JP6989361B2 - 基板吸着部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板吸着部材、特にウエハなどの基板を吸着する基板吸着部材及びその製造方法に関する。
半導体製造装置において、ウエハなどの基板を真空吸着して保持するために真空チャックなどの基板吸着部材が用いられる。このような基板吸着部材として、多孔質体からなる基体を用いるものがある。
そして、特許文献1には、合成樹脂粒子を焼成して得た多孔質体からなる基体に金属板を埋設することにより、基板の変形を抑制することが開示されている。
特許第4740656号公報
しかしながら、特許文献1のように多孔質体からなる基体に金属板を埋設すると、金属板は通気性を有さないので、金属板を埋設した上方部分において、真空吸着が困難になるという課題がある。そして、金属板の埋設面積を小さくすると、変形抑制効果が劣るという課題が生じる。
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであり、真空吸着力を保持しながら基板の変形の抑制を効果的に図ることが可能な基板吸着部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の基板吸着部材は、基板を吸着する上面と、前記上面の反対側の下面と、前記上面と下面との間の側面とを有し、セラミック多孔質体からなる基体と、前記基体の下面の少なくとも一部を支持する支持面を含む前記基体と接する接触面を有する緻密質体からなる支持部材であって、前記接触面に開口する開口部と外部空間とを連通する通気路が形成された支持部材と、前記基体に内蔵され、前記基体よりヤング率が高い高剛性部材とを備えることを特徴とする。
本発明の基板吸着部材によれば、基体よりヤング率が高い高剛性部材が基体に内蔵されるので、基体の剛性を高めることが可能となる。これにより、基体の上面に基板を真空吸着したときに基体に生じる変形を抑制することができ、基板の平面度を良好に維持することが可能となる。そして、基体の厚さを低減することができ、基板吸着部材の全体としての厚さの低減が可能となる。
本発明の基板吸着部材において、例えば、前記支持部材の支持面と、前記基体の側面と接する前記支持部材の側壁面とからなる前記接触面により画定される凹部を備える。
本発明の基板吸着部材において、前記高剛性部材は多孔質体であることが好ましい。
この場合、高剛性部材を介した真空排気の経路を確保することが可能となり、吸着力低下の抑制を図ることが可能となる。
そして、前記高剛性部材はセラミックス多孔質体又は金属多孔質体であることが好ましい。
この場合、基体を形成する際の焼成時における高剛性部材の耐熱性を確保することが可能となる。
また、本発明の基板吸着部材において、前記高剛性部材は、前記基体の上面に沿って延びる板状であり、前記高剛性部材には、自身の厚み方向に貫通する孔が形成されていることが好ましい。
この場合、高剛性部材の孔を介した真空排気の経路を確保することが可能となり、吸着力低下の抑制を図ることが可能となる。
また、本発明の基板吸着部材において、前記高剛性部材は、前記基体の上面に沿って延びる板状であり、前記基体の厚さLに対する前記高剛性部材の厚さTとの比T/Lが、0.2〜0.7であることが好ましい。
これは、後述する実施例及び比較例から、比T/Lが0.2未満では剛性向上の効果が少なく、比T/Lが0.7を超えると基体にクラックなどの不具合、及び高剛性部材の直上及び直下における排気流路が狭小化して真空吸着に悪影響が生じ得ることが分かったことによる。
また、本発明の基板吸着部材において、前記高剛性部材は、前記基体の上面に沿って延びる板状であり、前記基体の厚さL、前記高剛性部材の厚さT、及び前記基体の下面から高剛性部材の下面までの距離Zが、Z<−0.8T+0.8Lの関係式を満たすことが好ましい。
これは、後述する実施例及び比較例から、上記の関係式が成立しないと基体にクラックなどの不具合が生じ得ることが分かったことによる。
また、本発明の基板吸着部材において、前記基体の厚さL[mm]、前記高剛性部材の厚さT[mm]、及び前記基体の下面から前記高剛性部材の下面までの距離Z[mm]が、L−Z−T≧3[mm]の関係式を満たすことが好ましい。
これは、後述する実施例及び比較例から、高剛性部材の上方に存在する基体の厚さが薄くなり過ぎ、この部分にクラックなどの不具合が生じ得ることが分かったことによる。
本発明の第1の基板吸着部材の製造方法は、上記本発明に係る基板吸着部材の製造方法であって、前記支持部材を用意する工程と、前記支持部材に形成された前記凹部内にスラリーを充填し、前記基体の一部となる第1の充填部を形成する工程と、前記第1の充填部の上面に形成された凹部内に、前記高剛性部材を配置する工程と、前記第1の充填部及び前記高剛性部材の上方であって、前記支持部材の凹部内に、スラリーを充填し、前記基体の一部となる第2の充填部を形成する工程と、前記第1の充填部及び前記第2の充填部を焼成し、前記基体を形成する工程とを備えることを特徴とする。
この場合、第1の充填体の上面に形成された凹部内に高剛性部材が配置されるため、第2の充填部を形成する際のスラリーの流れによる高剛性部材の位置ずれを防止することが可能となる。
本発明の第2の基板吸着部材の製造方法は、上記本発明に係る基板吸着部材の製造方法であって、前記支持部材を用意する工程と、前記支持部材の前記凹部内にスラリーを充填し、前記基体の一部となる第1の充填部を形成する工程と、前記支持部材の凹部内において、前記第1の充填部の上面に接着剤を介して前記高剛性部材を配置する工程と、前記第1の充填部及び前記高剛性部材の上方であって、前記支持部材の凹部内に、スラリーを充填し、前記基体の一部となる第2の充填部を形成する工程と、前記第1の充填部及び前記第2の充填部を焼成し、前記基体を形成する工程とを備えることを特徴とする。
この場合、第1の充填部の上面に接着剤を介して高剛性部材が配置されるため、第2の充填部を形成する際のスラリーの流れによる高剛性部材の位置ずれを防止することが可能となる。
本発明の実施形態に係る真空チャックの模式縦断面図。 本発明の実施形態に係る真空チャックの製造方法における各工程を説明する模式縦断面図。 真空チャックの製造方法を示すフローチャート。 実施例5における高剛性部材の上面図。 実施例7における高剛性部材の上面図。 実施例8における高剛性部材の縦断面図。
本発明の基板吸着部材の実施形態に係る真空チャック100について図面を参照して説明する。
真空チャック100は、図1に示すように、基体10、支持部材20及び高剛性部材30を備える。
基体10は、セラミック多孔質体からなる。セラミック多孔質体として、例えば、アルミナ(AL)、二酸化珪素(SiO)又はこれらを複合したセラミックスを主成分とした複合粒子から成形体を焼成した焼結体が挙げられる。ただし、基体10の素材であるセラミック多孔質体は、これに限定されない。例えば、基体10の素材として、炭化珪素多孔質体、石英ガラス多孔質体、コージエライト多孔質体などの他、酸化物(シリカ、ゼオライト、アルミナ、アパタイト、酸化チタンなど)、炭化物、窒化物などの多孔質体を用いてもよい。
そして、基体10は、例えば、気孔率が40〜60%、ヤング率が10〜100GPaである。
基体10は、ウエハなどの基板Wを吸着する上面11と、上面11の反対側の下面12と、上面11と下面12との間の側面13とを有している。上面11には多数の凸部(ピン)が形成されていてもよく、その場合、凸部の頂面は平坦になっていればよい。そして、この凸部を取り囲むように円環状の凸部が上面11に形成されていてもよく、この円環状凸部の頂面も平坦になっていればよい。
支持部材20は、緻密質体からなる。支持部材20は、基体10の下面11の少なくとも一部を支持する支持面21を含む基体10と接する接触面22を有する。支持部材20には、接触面22に開口する開口部23と外部空間とを連通する通気路24が形成されている。
これにより、基板吸着部材100は、支持部材20の支持面21と、基体10の側面13と接する支持部材20の側壁面とからなる接触面22により画定される凹部を備える。
高剛性部材30は、基体10よりヤング率が高い高剛性材料からなる。高剛性部材30は、基体10に内蔵されている。高剛性部材30は、1個のみでも複数個であってもよい。高剛性部材30の素材は、例えば、ニッケル、モリブデンなどの金属の他、セラミックス多孔質体であってもよい。高剛性部材30は、900℃以上の耐熱性を有し、ヤング率が100GPa以上であることが好ましい。
高剛性部材30は、例えば、基体10の上面に沿って延びる板状であり、高剛性部材30には、自身の厚み方向に貫通する孔が形成されてもよい。
基体10の変形を抑制するために基体10に高剛性部材30が内蔵されることによって、基体10の剛性が高められる。これにより、基体10の上面11に基板Wを真空吸着するときに基体10に生じる変形を抑制することができ、基板Wの平面度を良好に維持することが可能となる。さらに、基体10の厚さLを低減することができ、真空チャック100の全体としての厚さを低減することが可能となる。
基体10の剛性を効果的に高めるために、基体10に内蔵する高剛性部材30の厚さT及び配置位置を適切なものとすることが好ましい。例えば、一般的には基体10の変形量は中央部付近で最大となるので、基体10の中央部付近に高剛性部材30を埋設することが好ましい。また、高剛性部材30の厚さTは、基体10の厚さLに対して所定割合以上とすることが好ましい。
さらに、基体10に内蔵する高剛性部材30の形状、位置などによって、基体10内の真空排気を制御することが可能となる。すなわち、適切な形状の高剛性部材30を基体10内の適切な位置に内蔵させることによって、真空チャック100の吸着力の面内分布及び吸着力の面内伝播を調整することが可能となる。
例えば、凹状に大きく反りを有する基板Wに対しては、中心部から半径方向外周に向かって吸着力を伝播させ基板Wの中心付近から外周に向けて平面度の矯正を行いながら基板Wを吸着させることが必要である。この場合、基体10の中央部付近での真空排気が相対的に強くなるように、単なる無垢の円板状の部材を内蔵する場合と比較して、基体10の中央部の周囲に高剛性部材30を複数設けることが好ましい。あるいは、厚さ方向に貫通孔を有する高剛性部材30を用意し、この貫通孔が基体10の中央部付近に位置するように、この高剛性部材30を内蔵させることも好ましい。
これらにより、真空排気の開始初期時は、基体10の中央付近の相対的に間隙が多く真空排気流路面積が大きい領域を介して真空排気されることにより、基体10の中央部付近に大きな真空吸引力が発現する。その後、中央部から半径方向に離れて配置された高剛性部材30間の間隙を介して真空排気されることにより、この部分にも真空吸引力が発現する。このようにして、基体10の中央部で発現した真空吸引力は半径方向外側に伝播するので、凹状に反った基板Wの平面矯正を好適に行うことが可能となる。
なお、真空吸着力の伝播方向が中央部から半径方向外側に向かう場合に限定されない。例えば、凸状に反った基板Wを吸着する場合には、吸引開始初期時は基体10の外縁部付近の領域を介して真空吸引を開始し、その後、半径方向内側に真空吸引力を伝播するように、基体10の中央部付近に高剛性部材30を内蔵させることも可能である。また、例えば、馬蹄形に凹状に反った基板Wを吸着する場合には、その馬蹄形を取り囲むような形状に高剛性部材30を内蔵させればよい。
以上のように、高剛性部材30の形状及び内蔵位置などを適宜設定することにより、様々な態様の反りを有する基板Wに適した真空吸着力の伝播を制御することが可能となる。
高剛性部材30は多孔質体であることが好ましい。これにより、高剛性部材30自体が通気性を有するものとなり、高剛性部材30を介しての真空排気が可能となる。これにより、吸着力低下の抑制を図ることが可能となる。さらに、高剛性部材30が多孔質体であると、多孔質体ではなく通気性がないものと比較して、基体10との通気性の差が小さくなるので、真空吸着力の面内伝播の制御が容易となる。
高剛性部材30は、セラミックス多孔質体又は金属多孔質体であることが好ましい。これにより、高剛性部材30は、高い剛性を有し、かつ、焼成時における耐熱性を確保することが可能となる。高剛性部材30は、例えば気孔率30〜60%の多孔質アルミナ質焼結体又は多孔質炭化珪素質焼結体、気孔率30〜90%のニッケル又はニッケルクロム合金の多孔質体であることが好適である。
多孔質体からなる基体10及び高剛性部材30は、その気孔率に応じて、厚さ5mm当たり200〜2000Paの圧力損失で気体を流速10L/minで透過させることが可能となる。すなわち、多孔質体からなる高剛性部材30が内蔵されていない領域と内蔵されている領域を適宜設定することにより、より細かく真空吸着力の面内の伝播を制御することが可能となる。
高剛性部材30としてセラミックス多孔質体、特に900℃程度以上の温度で焼結したセラミックス多孔質体を用いることが好ましい。これにより、高剛性部材30を構成するセラミック多孔質体の剛性が基体10を構成する多孔質体に比べて高いものとなり得る。
さらに、高剛性部材30は、基体10の上面11に沿って延びる板状であることが好ましい。これは、基体10の部分的な変形を抑制するためである。
また、高剛性部材30は、基体10の厚さLに対する高剛性部材30の厚さTとの比T/Lが、0.2〜0.7であることが好ましい。これは、後述する実施例から分かるように、比T/Lが0.2〜0.7の範囲であれば、高剛性部材30を内蔵しない従来の基体10と比較して基板Wの変形量を効果的に抑制することが可能であるからである。
具体的には、比T/Lが0.2未満であると、高剛性部材30を基体10に内蔵したことによって得られる、基体10と高剛性部材30とが上面視で重り合う領域の剛性の向上が十分ではなく、基板Wの変形を抑制する効果が小さいからである。一方、比T/Lが0.7を超えると、高剛性部材30の上下に配置される基体10の厚さが薄くなり、この薄い基体10の部分に焼成時にクラックが生じるおそれが高まるからである。また、高剛性部材30の直上及び直下の基体10における排気流路が狭小化するので、十分な真空吸引力が発現するまでの時間が長くなり過ぎるなど真空排気機能に支障が生じるおそれがあるからである。
また、高剛性部材30の厚さTは、3mm以上であることが好ましい。これは、高剛性部材30の厚さTが3mm未満であると、高剛性部材30を基体10に埋設することによる剛性の向上効果が十分ではなく、基板Wの変形を抑制する効果が小さいからである。
また、高剛性部材30の厚さTの上限は、比T/Lの上限値及び基体10の厚さLに依存する。高剛性部材30は少なくとも基体10の上面に露出しないことが好ましい。
そして、基体10の厚さL、高剛性部材30の厚さT及び基体10の下面から高剛性部材30の下面までの距離Zが、以下の式(1)の関係式を満たすことが好ましい。
L−Z−T≧3 ・・・ (1)
すなわち、高剛性部材30の直上に位置する領域の基体10の厚さが3mm以上であることが好ましい。この領域の厚さが3mm未満であると、この領域の基体10が薄いために焼結時にクラックが生じるおそれが高まり、また、この領域での基体10の排気流路が狭小化するので、真空排気機能に支障が生じるおそれがあるからである。
さらに、後述する実施例から分かるように、高剛性部材30の基体10に対する相対的な内蔵位置も、真空吸引時における基板Wの変形量に影響を及ぼす。すなわち、高剛性部材30は基体10の厚み方向(上下方向)において基体10の下面12側に内蔵されるよりも、上面11側に内蔵されるほうが、基板Wの変形量は減少する。これは、基体10の上面11側のほうが、真空吸引力による影響を大きく受けるからであると思われる。
具体的には、後述する実施例から分かるように、以下の式(2)の関係式を満たすことが好ましい。
Z<−0.8T+0.8L ・・・ (2)
なお、高剛性部材30は、図6を参照して、外周縁部などの縁部に、上方に向かって中心側に傾斜する傾斜部31を有するものであることも好ましい。これにより、後述する第2の充填部形成工程S4において、高剛性部材30とスラリーとの密着性が増すので、これらの間に隙間が生じることをより確実に抑制することが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係る真空チャック100の製造方法について図面を参照して説明する。
図2及び図3に示すように、真空チャック100の製造方法は、支持部材用意工程S1、第1の充填部形成工程S2、高剛性部材配置工程S3、第2の充填部形成工程S4及び焼成工程S5を備える。
支持部材用意工程S1においては、図2Aに示すように、支持部材20を用意する。この支持部材20には、支持面21及び接触面22を含む面を内面とする凹部25が形成されている。
第1の充填部形成工程S2においては、図2Bに示すように、支持部材20の凹部25内に、基体10の原料となるスラリーを充填し、その後、乾燥させる。これにより、基体10の一部となる第1の充填部10Aが形成される。なお、支持部材20の凹部25内にスラリーを充填する前に、支持部材20の開口部23及び通気路24に樹脂などの図示しない充填材を充填しておき、スラリーがこれらの内部に流入することを防止する。
高剛性部材配置工程S3においては、図2Cに示すように、まず、支持部材20の凹部25の内部であって、第1の充填部10Aの上面に、切削加工などによって凹部10Bを形成する。その後、凹部10B内に高剛性部材30を配置する。
なお、凹部10Bの大きさは、高剛性部材30がその内部に配置されてずれないものであることが好ましい。また、凹部10Bの深さは、高剛性部材30がずれない程度の深さ、例えば0.5mm〜5mmであればよい。
第2の充填部形成工程S4においては、図2Dに示すように、第1の充填部10A及び高剛性部材30の上方であって、支持部材20の凹部25内に、スラリーを充填し、その後、乾燥させる。これにより、基体10の一部となる第2の充填部10Cが形成される。
焼成工程S5においては、第1の充填部10A及び第2の充填部10Cを焼成し、基体10を形成する。これにより、図1に示す真空チャック100が完成する。
以上のように、高剛性部材配置工程S3において、第1の充填部10Aの上面に形成された凹部10B内に高剛性部材30を配置するので、その後の第2の充填部形成工程S4におけるスラリーの流れによる高剛性部材30の位置ずれを抑制することができる。
これにより、基体10内の所望の位置に高剛性部材30を内蔵させることができるので、所望の真空排気流路を得ることが可能となる。これにより、基板Wの真空吸着開始時に真空吸引力が発現する領域、及びその後の真空吸着力の伝播の制御が所望のものとなり、基板Wを良好な平面度で吸着することが可能となる。
また、高剛性部材30が内蔵された状態で焼成されることにより基体10が形成されるので、これらが良好に一体化され、高剛性部材30を内蔵した基体10全体としての剛性が高くなり、真空圧に対する基体10の凹状の変形が抑制される。その結果、基体10の上面11に吸着される基板Wの平面度を良好に維持することが可能となる。
また、高剛性部材30の位置ずれをより確実に防止するために、高剛性部材配置工程S3において、第1の充填部10Aの上面に接着剤を介して高剛性部材30を配置することも好ましい。この場合、第1の充填部10Aの上面に形成した凹部10B内に高剛性部材30を配置してもよいが、第1の充填部10Aの上面に凹部10Bを形成せず、第1の充填部10Aの平らな上面に接着材を介して高剛性部材30を配置してもよい。
(実施例1)
実施例1(実施例1A乃至実施例1J)においては、まず、支持部材用意工程S1として、公知の製造方法で製造したアルミナ焼結体からなる支持部材20を用意した。
この支持部材20は、緻密質アルミナからなり、外寸が360mm、内径Dが300mm、高さ(厚さ)が30mm、深さが15mm、熱膨張係数が8.0×10−6/℃であった。支持部材20には、開口部23及び通気路24を形成し、これらに樹脂を充填した。
次に、第1の充填部形成工程S2として、支持部材20に形成されている凹部25内にスラリーを充填した。
スラリーとして、2種類の粒度のアルミナ粉末(平均粒径が120μmと60μm)とガラス粉末(ほう珪酸ガラス、平均粒径が15μm、熱膨張係数が4 .0×10−6/℃、軟化点:800℃)と蒸留水とを、40:20:20:20の質量比で秤量し、ミキサーを用いて混練して作製したものを用いた。
このスラリーを支持部材20の凹部25に注ぎ、真空脱泡を行った後、振動を加えてスラリーに含まれる粉末を沈降充填させた。その後、これを100℃で乾燥させることにより、第1の充填部10Aを形成した。
次に、高剛性部材配置工程S3として、第1の充填部10Aの上面に切削加工により凹部10Bを形成し、この凹部10B内に、高剛性部材30を配置した。高剛性部材30は、ニッケルからなり、円板状であって、外径D1及び厚さTは表1に示す通りであった。
次に、第2の充填部形成工程S4として、第1の充填部10A及び高剛性部材30の上方であって、支持部材20の凹部25内に、スラリーを充填した。
スラリーは、第1の充填部形成工程S2で用いたものと同じスラリーを用いた。スラリーを追加して注ぎ、真空脱泡を行った後、100℃で乾燥させた。これにより、第2の充填部10Cを形成した。
次に、焼成工程S5として、第1の充填部10A及び第2の充填部10Cを焼成し、基体10を形成した。焼成工程S5では、1000℃で3時間焼成した。
これによりスラリーが充填された部分にアルミナとガラスからなるセラミックス多孔質体からなる基体10が形成され、真空チャック100が完成された。このセラミックス多孔質体は、平均気孔径が250μm、気孔率が40%、ヤング率が50GPaであった。
このように作製された真空チャック100を用いて基板Wを吸着した。基板Wとして、外径300mm、厚さ0.7mmの円板状のシリコンウエハを用いた。真空チャック100は、図示しない真空吸引装置を通気路24に接続し、各実施例において真空吸着装置を同じように動作させ、基板Wを真空吸着した。なお、評価に用いた基板Wは、定盤上に静置した状態で、基板Wが凹状を示しその反り量が400μm〜500μmであるものを使用した。
真空吸着された状態の基板Wの中心部及び外縁部における基板Wの厚み方向の反りの差を、レーザ測長器を用いて計測し、変形量とした。
(実施例2〜4)
実施例2(実施例2A乃至実施例2C)、実施例3及び実施例4(実施例4A及び実施例4B)においては、実施例1と同様にして真空チャック100を完成させ、この真空チャック100を用いて実施例1及び比較例1と同様にして基板Wを真空吸着させた。
ただし、高剛性部材30の外径D1及び厚さTは表1に示す通りであった。また、実施例3及び実施例4の各実施例においては、基体10にクラックが発生したことが目視で確認された。
(比較例)
比較例として、基体10内に高剛性部材30を埋設しない場合を実験した。
実施例1と同じ支持部材20を用意し、この支持部材20の凹部に実施例1と同じスラリーを充填し、真空脱泡を行った後、100℃で乾燥させた。その後、実施例1と同様にして、焼成工程S5を行い、真空チャックを完成させた。
そして、実施例1と同じ基板Wを用いて、実施例1と同様にして、この基板Wを真空吸着させた。
Figure 0006989361
表1から分かるように、実施例1及び実施例2の各実施例における基板Wの変形量は、比較例における基板Wの変形量と比較して小さかった。
また、実施例2の各実施例においては比T/Lが0.13であり、実施例1の各実施例とは異なり、0.2未満であった。そして、実施例2の各実施例における基板Wの変形量は、実施例1の各実施例における基板Wの変形量と比較して大きかった。よって、比T/Lは0.2以上であることが好ましい。
また、実施例3においては比T/Lが0.72であり、実施例1の各実施例とは異なり、0.7を超えていた。そして、実施例3においては、基体10にクラックが発生した。よって、比T/Lは0.7以下であることが好ましい。
また、実施例4においては、実施例1の各実施例とは異なり、高剛性部材30の厚さZが−0.8T+0.8Lを超えていた。そして、実施例4においては、基体10にクラックが発生した。よって、高剛性部材30の厚さZは−0.8T+0.8L未満であることが好ましい。
また、実施例3及び実施例4においては、実施例1の各実施例とは異なり、(L−Z−T)が3mm未満であった。そして、実施例3及び実施例4においては、基体10にクラックが発生した。よって、(L−Z−T)は3mm以上であることが好ましい。
(実施例5)
実施例5(実施例5A及び実施例5B)においては、上述した実施例1と同様にして真空チャック100を完成させた。
ただし、高剛性部材30は、Niからなり、図4に示すように、n個の同心の円環板状からなるものを用いた。各円環状板の幅は10mm、厚さTは6mmであり、表2に示すように、n番目の円環状板は外径がDn[mm]であった。なお、真空チャック100において、高剛性部材30を構成する円環状板間は空隙となっている。
(実施例6)
実施例6においては、上述した実施例1と同様にして真空チャック100を完成させた。
ただし、高剛性部材30は緻密質アルミナ焼結体からなり、ヤング率は390Paであった。
Figure 0006989361
表1及び表2から分かるように、実施例5の各実施例における基板Wの変形量は、比較例における基板Wの変形量と比較して小さかった。
また、表2から分かるように、実施例6における基板Wの変形量は、実施例5Aにおける基板Wの変形量と比較して小さかった。これは、実施例6の基体10に埋設された高剛性部材30のヤング率が実施例5Aの基体10のヤング率と比較して大きく、基体10の剛性が高かったためであると考えられる。
(実施例7)
実施例7においては、上述した実施例1と同様にして真空チャック100を完成させた。
ただし、高剛性部材30は、Niからなり、図5に示すように、厚さ6mmの円板を8等分して得た扇状体を、15mmずつ離間させて、仮想最外径が240mmとなるように配置したものを用いた。
そして、この真空チャック100を用いて、反り形状が中心対称ではないシリコンウエハからなる基板Wを真空吸着させた。真空吸着力は円周方向に伝播され、基板Wは良好な平面度で吸着保持された。
(実施例8)
実施例8においては、上述した実施例1Aと同様にして真空チャック100を完成させた。
ただし、高剛性部材30は、Niからなり、図6に示すように、外周縁部に上方に向かって中心側に45°傾斜する傾斜部31を有するものとした。
そして、実施例1Aと同じ基板Wを用いて、実施例1Aと同様にして、この基板Wを真真空吸着させた。基板Wの変形量は実施例1Aと同じであった。真空吸着力は円周方向に伝播され、基板Wは良好な平面度で吸着保持された。
(実施例9)
実施例9においては、上述した実施例5Bと同様にして真空チャック100を完成させた。
ただし、高剛性部材30として、セラミックス多孔質体からなるものを用いた。具体的には、実施例9Aにおいては、気孔率50%のアルミナ質多孔質体からなるものを、実施例9Bにおいては、気孔率50%の炭化珪素質多孔質体からなるものを、実施例9Cにおいては、気孔率70%のニッケル質多孔質体からなるものを、実施例9Dにおいては、気孔率80%のニッケルクロム合金質多孔質体からなるものを用いた。
そして、この真空チャック100を用いて、実施例5Bと同じ基板Wを真空吸着した。結果を表3に示す。
Figure 0006989361
表3から分かるように、実施例8の各実施例における基板Wの変形量は、実施例5Bと同程度に基板Wの変形量は小さかった。
10…基体、 10A…第1の充填部、 10B…凹部、 10C…第2の充填部、 11…上面、 12…下面、 13…側面、 20…支持部材、 21…支持面、 22…接触面、側壁面、 23…開口部、 24…通気路、 25…凹部、 30…高剛性部材、 31・・・傾斜部、 100…真空チャック(基板吸着部材)、 W…基板。

Claims (10)

  1. 基板を吸着する上面と、前記上面の反対側の下面と、前記上面と下面との間の側面とを有し、セラミック多孔質体からなる基体と、
    前記基体の下面の少なくとも一部を支持する支持面を含む前記基体と接する接触面を有する緻密質体からなる支持部材であって、前記接触面に開口する開口部と外部空間とを連通する通気路が形成された支持部材と、
    前記基体に内蔵され、前記基体よりヤング率が高い高剛性部材とを備えることを特徴とする基板吸着部材。
  2. 前記支持部材の支持面と、前記基体の側面と接する前記支持部材の側壁面とからなる前記接触面により画定される凹部を備えることを特徴とする請求項1に記載の基板吸着部材。
  3. 前記高剛性部材は多孔質体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板吸着部材。
  4. 前記高剛性部材はセラミックス多孔質体又は金属多孔質体であることを特徴とする請求項3に記載の基板吸着部材。
  5. 前記高剛性部材は、前記基体の上面に沿って延びる板状であり、
    前記高剛性部材には、自身の厚み方向に貫通する孔が形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の基板吸着部材。
  6. 前記高剛性部材は、前記基体の上面に沿って延びる板状であり、
    前記基体の厚さLに対する前記高剛性部材の厚さTとの比T/Lが、0.2〜0.7であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の基板吸着部材。
  7. 前記高剛性部材は、前記基体の上面に沿って延びる板状であり、
    前記基体の厚さL、前記高剛性部材の厚さT、及び前記基体の下面から高剛性部材の下面までの距離Zが、Z<−0.8T+0.8Lの関係式を満たすことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の基板吸着部材。
  8. 前記基体の厚さL[mm]、前記高剛性部材の厚さT[mm]、及び前記基体の下面から前記高剛性部材の下面までの距離Z[mm]が、L−Z−T≧3[mm]の関係式を満たすことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の基板吸着部材。
  9. 請求項2に記載の基板吸着部材の製造方法であって、
    前記支持部材を用意する工程と、
    前記支持部材に形成された前記凹部内にスラリーを充填し、前記基体の一部となる第1の充填部を形成する工程と、
    記第1の充填部の上面に形成された凹部内に、前記高剛性部材を配置する工程と、
    前記第1の充填部及び前記高剛性部材の上方であって、前記支持部材の凹部内に、スラリーを充填し、前記基体の一部となる第2の充填部を形成する工程と、
    前記第1の充填部及び前記第2の充填部を焼成し、前記基体を形成する工程とを備えることを特徴とする基板吸着部材の製造方法。
  10. 請求項2に記載の基板吸着部材の製造方法であって、
    前記支持部材を用意する工程と、
    前記支持部材の前記凹部内にスラリーを充填し、前記基体の一部となる第1の充填部を形成する工程と、
    前記支持部材の凹部内において、前記第1の充填部の上面に接着剤を介して前記高剛性部材を配置する工程と、
    前記第1の充填部及び前記高剛性部材の上方であって、前記支持部材の凹部内に、スラリーを充填し、前記基体の一部となる第2の充填部を形成する工程と、
    前記第1の充填部及び前記第2の充填部を焼成し、前記基体を形成する工程とを備えることを特徴とする基板吸着部材の製造方法。
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