JP6120702B2 - 真空吸着装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、真空吸着装置およびその製造方法に関する。
半導体ウエハ等の被吸着物の吸着性能の向上を図りうる真空吸着装置が提案されている(特許文献1参照)。この真空吸着装置は、多孔質の中央載置部と、その外側を囲うように配置されている多孔質の環状載置部と、当該載置部の間に配置されている環状隔壁部と、載置部の気孔に連通する吸引孔を有する緻密質の支持部とが、実質的に隙間なく接合されることにより構成されている。
特許第4908263号公報
しかし、隔壁部を構成するセラミックス溶射膜は、多孔質の載置部に対する密着性が高い一方、緻密質の支持部に対する密着性が低い。このため、支持部の吸引孔を通じた載置部の気孔が真空吸引される際、隔壁部と支持部との接合箇所においてリークが生じ、吸着性能の低下を招来する可能性があった。
そこで、本発明は、物体吸着性能のさらなる向上を図りうる真空吸着装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、中央載置部およびこれを一重または多重に環状に囲うように配置されている一または複数の環状載置部を含む、セラミックス/ガラス複合多孔質体からなる複数の載置部と、前記複数の載置部の間に配置されているセラミックス溶射膜により形成されている一または複数の環状の隔壁部と、被吸着物が載置される載置面を構成する上端面を露出させた状態の前記複数の載置部および前記一または複数の隔壁部のそれぞれを支持するように構成され、前記載置部の気孔に連通する吸引孔を有するセラミックス緻密質体からなる支持部と、を備え、前記セラミックス緻密質体、前記セラミックス/ガラス複合多孔質体および前記セラミックス溶射膜が相互に直接的に接合されることにより構成されている真空吸着装置に関する。
本発明の真空吸着装置は、前記セラミックス/ガラス複合多孔質体と前記セラミックス溶射膜との接合界面である第2接合界面のうち少なくとも下端部が、前記セラミックス緻密質体と前記セラミックス溶射膜との接合界面である第1接合界面に対して鋭角をなして上方に連続する上り斜面により構成されていることを特徴とする。前記第2接合界面のうち少なくとも下端部が、前記第1接合界面との連続箇所から傾斜度が徐々に高くなるような上り斜面により構成されていることが好ましい。
本発明は、前記支持部を構成する、凹部および前記凹部に連通する前記吸引孔を有するセラミックス緻密質体を作製する工程と、セラミックス粉末と第1のガラスの粉末とを含む第1のスラリーを調製する工程と、前記第1のスラリーを前記セラミックス緻密質体の前記凹部に充填したうえで、前記第1のガラスの軟化点以上の温度で焼成してセラミックス/ガラス複合多孔質体を形成する工程と、前記セラミックス/ガラス複合多孔質体、または前記セラミックス/ガラス複合多孔質体および前記セラミックス緻密質体に加工を施すことにより、前記複数の載置部のうち内側から奇数番目または偶数番目の載置部に相当する領域を除いて、前記セラミックス緻密質体が露出している底面と、前記セラミックス/ガラス複合多孔質体が露出している環状の側面とを有する溝または穴を形成する工程と、前記溝または穴の前記側面にセラミックスを溶射することにより前記隔壁部を構成するセラミックス溶射膜を形成する工程と、セラミックス粉末と第2のガラスの粉末とを含む第2のスラリーを調製する工程と、前記第2のスラリーを前記側面に前記セラミックス溶射膜が形成されている前記溝または穴に充填し、前記第2のガラスの軟化点以上の温度で焼成して、セラミックス/ガラス複合多孔質体からなる、前記複数の載置部のうち内側から偶数番目または奇数番目の載置部を形成する工程と、を含む、前記真空吸着装置を製造する方法に関する。
本発明の方法は、前記底面が平面により構成され、かつ、前記側面のうち少なくとも下端部が当該平面に対して鋭角をなして上方に連続する面により構成されるように、前記溝または穴を形成することを特徴とする。前記底面から傾斜度が徐々に高くなるような上り斜面により前記側面のうち少なくとも下端部が構成されるように、前記溝または穴を形成することが好ましい。前記環状の溝または穴の前記底面を、その表面粗さRaが3.0〜5.0[μm]の範囲に収まるように加工することが好ましい。
発明者は、前記のようなリークが生じる原因が、第1接合界面を構成する緻密質体の端面と第2接合界面を構成する多孔質体の端面とが垂直に連続していることに起因していることを知見した。セラミックス溶射膜の多孔質体(第1スラリー由来)および緻密質体のそれぞれに対する密着力が相違するため、多孔質体(第2スラリー由来)の形成のための熱処理に際して、セラミックス溶射膜が収縮して当該垂直な角部において多孔質体および緻密質体から局所的に浮き上がりやすい。
当該知見に基づいてなされた本発明の真空吸着装置によれば、第2接合界面のうち少なくとも一部(下端部)が第1接合界面に対して鋭角をなして上方に連続している面により構成されている。これにより、第1接合界面と第2接合界面との連続箇所においてセラミックス溶射膜が多孔質体および緻密質体から局所的に浮き上がる事態が抑制されうる。よって、当該浮き上がりが抑制される分だけ、真空吸着装置の物体吸着性能の向上が図られる。
本発明の一実施形態としての真空吸着装置の斜視図。 図1の真空吸着装置の上面図。 図1の真空吸着装置の図2のIII−III線に沿った断面図。 図3のX部分拡大図。 図1の真空吸着装置の製造方法に関する説明図。 従来の真空吸着装置の要部断面図。
(真空吸着装置の構成)
図1〜図4に示されている本発明の一実施形態としての真空吸着装置は、半導体ウエハ等の被吸着物を吸着保持するように構成されている。
真空吸着装置は、略円盤状の中央載置部21と、これを内側から順に三重に囲うように配置されている円環状の環状載置部22〜24と、載置部21〜24の間に配置されている円環状の隔壁部31〜33と、載置部21〜24および隔壁部31〜33を支持するように構成されている凹部を有する略有底円筒状の支持部10と、を備えている(図1参照)。支持部10は、載置部21〜24のそれぞれの開気孔に対して、吸引溝11を介して別個独立に連通する吸引孔12を有する(図3参照)。
被吸着物が載置される載置面100において、略円形状の中央載置部21、中央載置部21に隣接する円環状の隔壁部31、隔壁部31の外側に隣接する環状載置部22、環状載置部22に隣接する円環状の隔壁部32、隔壁部32の外側に隣接する環状載置部23、環状載置部23に隣接する円環状の隔壁部33、隔壁部33の外側に隣接する環状載置部24、環状載置部24に隣接する円環状の支持部10の上端面が、真空吸着装置の径方向に同心円状に連接されている(図2参照)。
載置部21〜24の個数が4であるため、サイズが相違する4種類の被吸着物の吸着保持のために使用される。たとえば、サイズが異なる(φ4インチ、φ5インチ、φ6インチおよびφ8インチ)4種類の半導体ウエハの吸着保持に真空吸着装置が適用されうるように、隔壁部31、32および33ならびに支持部10の上面の内側縁部のそれぞれの真空吸着装置の中心からの距離が設定されている。
被吸着物の外側縁部が隔壁部31〜33のうち当該被吸着物の径に対応する一の隔壁部の上端面またはそれよりも若干外側に位置するように当該一の隔壁部の径が決定される。これにより、被吸着物の外側縁部と隔壁部上端面の内側縁部との間隙に由来するリークが防止され、吸着力の低下防止が図られている。被吸着物の径が隔壁部上端面の径よりも大きい場合、両者の差が1[mm]以下に設計されることが好ましい。これにより、被吸着部の径の過大のため、その外側縁部に吸着力が作用せずに反り上がるような変形が防止されうる。
支持部10は、たとえばアルミナ、窒化珪素、炭化珪素およびジルコニアの中から選ばれたセラミックスの緻密質体から構成されている。当該セラミックスは、載置部21〜24を構成するセラミックスと同じものであることが好ましい。支持部10は緻密質であるため、真空吸着装置の使用環境に必要な機械的強度が確保されている。
載置部21〜24は、セラミックス/ガラス複合多孔質体からなる。載置部21〜24の開気孔率が20〜50%の範囲に収まっている。これにより、載置部21〜24における過度の圧力損失および吸着力の低下、機械的強度の低下、ならびに、載置面100の平坦性の低下が回避されうる。載置部21〜24の平均気孔径が10〜150[μm]の範囲に収まっている。これにより、平均気孔径の過小に由来する圧力損失の過大および吸着力の低下、平均気孔径の過大に由来する凹凸構造による界面精度の低下が回避されうる。
載置部21〜24のそれぞれの開気孔率および平均気孔径は同等に設計されている。これにより、載置部21〜24の間での段差の発生および吸着力のばらつきの発生が回避されうる。
具体的には、載置部21〜24の開気孔率の最大値と最小値との差が5%以下に構成されている。たとえば、当該最大値が40%であり、当該最小値が35%である。載置部21〜24の平均気孔径の最大値と最小値との差が、平均気孔径の最大値の20%以下に構成されている。たとえば、平均気孔径が最大値を示す載置部の平均気孔径が50[μm]である場合、載置部の平均気孔径の最小値は40[μm]以上である。
隔壁部31〜33は、セラミックス溶射膜により形成されている。隔壁部31〜33を構成するセラミックスとしては、アルミナ、チタニアが添加されたアルミナ等が用いられる。
載置部21〜24、隔壁部31〜33および支持部10は、接着剤または接合材を介することなく相互に直接的に接合されている。具体的には、2つの部材のうち一方の部材の表層を構成する材料の一部が、他方の部材の表層に存在する開気孔または凹凸等の微細構造に入り込んで密着することによって、当該微細構造に由来するリークを招来するような隙間が実質的に存在しないように当該2つの部材が接合されている。
たとえば、多孔質体を構成するガラスの一部がセラミックス緻密質体の表面凹凸の凹部に入り込んで密着することにより、載置部21〜24と支持部10とが直接的に接合されている。セラミックス溶射膜の一部がセラミックス緻密質体の表面凹凸の凹部に入り込んで密着することにより、隔壁部31〜33と支持部10とが直接的に接合されている。多孔質体を構成するガラスの一部がセラミックス溶射膜の気孔に入り込んで密着し、かつ、セラミックス溶射膜の一部が多孔質体の気孔に入り込んで密着することにより、載置部21および22と隔壁部31とが直接的に接合されている。
載置部21〜24、隔壁部31〜33および支持部10が実質的に隙間なく直接的に接合されているので、載置面100が研削または研磨処理により平坦化される際、各接合界面近傍で段差が生じることが抑制される。これにより、載置面100と半導体ウエハ等の被吸着物との間に隙間発生、吸着性能低下および非吸着物の平坦度低下が防止される。
図4(a)(b)において、支持部10(またはこれを構成するセラミックス緻密質体)と隔壁部31〜33(またはこれを構成するセラミックス/ガラス複合多孔質体)との接合界面である第1接合界面P1が一点鎖線で表わされ、載置部21〜24(またはこれを構成するセラミックス多孔質体)と隔壁部31〜33(またはこれを構成するセラミックス溶射膜)との接合界面である第2接合界面P2が二点鎖線で表わされている。
第2接合界面P2の少なくとも下端部が、第1接合界面P1に対して鋭角をなして上方に連続する面により構成されている。第2接合界面P2の少なくとも下端部が、第1接合界面P1から徐々に高くなるような上り斜面により構成されている。当該上り斜面が一定の曲率半径を有していてもよい。
第2接合界面P2の全部が第1接合界面P1に対して傾斜している必要はなく、少なくとも下端部(たとえば第1接合界面P1を基準とする第2接合界面P2の高さのうち5〜20%程度)のみが第1接合界面P1に対して傾斜し、少なくとも上端部は第1接合界面P1に対して垂直であってもよい。
後述する複数の載置部21〜24の作製手順の相違に応じて、第1接合界面P1に対する第2接合界面P2の傾斜態様が異なる。すなわち、内側から奇数番目の載置部21および23が第1のスラリー由来の多孔質体であり、内側から偶数番目の載置部22および24が第2のスラリー由来の多孔質体である場合、図4(a)に示されているように、奇数番目の載置部21(23)の下端部が張り出すように形成されるような形態で、第1接合界面P1に対して第2接合界面P2が傾斜して連続する。一方、内側から奇数番目の載置部21および23が第2のスラリー由来の多孔質体であり、内側から偶数番目の載置部22および24が第1のスラリー由来の多孔質体である場合、図4(b)に示されているように、偶数番目の載置部22(24)の下端部が張り出すように形成されるような形態で、第1接合界面P1に対して第2接合界面P2が傾斜して連続する。
「面」は、ここでは数学的な意味での面ではなく、各部材の表面構造に由来する多少の凹凸の存在が許容されているような面を意味する。
隔壁部31、32および33の上端面ならびに支持部10上端面の内側縁部の形状、ひいてはこれらにより画定される載置部21〜24のそれぞれの外側縁部の形状は円形状に限定されず、吸着保持対象となる被吸着物の形状に応じて略矩形状等、さまざまに変更されてもよい。環状載置部の個数が3とは異なるように変更され、これに応じて環状の隔壁部の個数も変更されてもよい。
(真空吸着装置の機能)
隔壁部31〜33のうちいずれか1つの上端面または支持部10の環状の上端面に被吸着物の外側縁部が全周にわたり位置するように、当該被吸着物が載置面100に載置される。支持部1の吸引孔12に接続されている真空ポンプ等の真空吸引装置(図示略)を動作させることにより、各載置部21〜24のそれぞれの開気孔を通じて被吸着物に対して吸引力が作用する。これにより、被吸着物が真空吸着装置により吸着保持される。
(真空吸着装置の製造方法)
前記構成の真空吸着装置の製造に際して、まず、支持部10を構成する略有底円筒状のセラミックス緻密質体が作製される。具体的には、所定量のバインダが添加されたアルミナ等のセラミックス粉末が造粒処理され、該造粒粉末が一軸プレス成形された上でさらにCIP成形されることにより略円盤状または円柱状のセラミックス成形体が作製される。
このセラミックス成形体が加工されることにより、上方に開口した略円柱状の凹部が形成され、吸引溝11となる所定形状の溝が当該凹部の底部に形成され、かつ、吸引孔12となる貫通孔が溝の所定箇所に形成される。当該加工が施されたセラミックス成形体が、必要に応じて脱脂処理された後、適当な雰囲気および温度の時間変化態様により定義される焼成条件下で焼成され、適宜加工されることにより支持部10を構成する略有底円筒状のセラミックス緻密質体が作製される(図5(a)参照)。
支持部10の吸引溝11および吸引孔12に樹脂等の焼失材料が充填される。また、アルミナ粉末または炭化珪素粉末等のセラミックス粉末および第1のガラスの粉末に水またはアルコール等の溶剤が添加された上で、ボールミルまたはミキサー等の公知の方法により当該粉末が混合されることにより第1のスラリーが調製される。
第1のスラリーの流動性が適当に確保されるように、セラミックス粉末の粒度および第1のガラスの粉末の添加量などが勘案された上で、水またはアルコール等の添加量が調節される。
セラミックス粉末の粒径(粒度分布)および焼成温度におけるガラスの粘性等が勘案されて、セラミックス粉末に対する第1のガラスの粉末の添加量が定められる。第1のガラスの粉末の添加量の過多である場合、セラミックス成形体の充填率の低下を招来しひいては焼成収縮が生じる。これとは逆に第1のガラスの粉末が過少である場合、セラミックス成形体におけるセラミックス粉末の結合強度が低下し、脱粒または欠け等が生ずる。このため、ガラス粉末の量は、セラミックス成形体におけるセラミックス粉末同士の所望の結合強度および平均気孔径が確保されることを条件としてできるだけ少ないことが好ましい。たとえば、セラミックス粉末100質量部に対して第1のガラスの粉末5〜30質量部が添加されることが好ましい。
第1のスラリーが支持部10の凹部に充填され、必要に応じて、第1のスラリー中の残留気泡を除去するための真空脱泡処理または振動処理が施される。第1のスラリーが十分に乾燥された後、当該乾燥体が第1のガラスの軟化点以上の温度で焼成されることにより、セラミックス/ガラス複合多孔質体20が形成される(図5(a)参照)。この段階では、支持部10および多孔質体20はともに加工代または削り代の確保の観点から、最終的な厚みよりも厚くなるように設計されることが好ましい。
この際の焼成温度が第1のガラスの軟化点より低いと、ガラスが支持部10に融着しないため支持部10と多孔質体20とを密着させることができない。この焼成温度が高過ぎても第1のスラリー乾燥物の変形または収縮が生じるために、支持部10と多孔質体20とを密着させることができない。したがって、第1のスラリー乾燥物の焼成温度は、第1のガラスの軟化点以上のできるだけ低い温度に調節されることが望ましい。
多孔質体20(およびこれに由来する載置部)の開気孔率および平均気孔径は、基本的に、原料粉末であるセラミックス粉末の粒度分布の調整により調節される。セラミックス粉末および第1のガラスの粉末の配合比率、第1のスラリーの粘度、第1のスラリーの支持部10への充填率、粒子状樹脂、繊維状樹脂およびカーボン粉末等の焼失材の添加態様の調節等によっても多孔質体20の開気孔率および平均気孔径が調節されうる。
多孔質体20の開気孔率を20〜50%の範囲に制御し、かつ、その平均気孔径を10〜150[μm]の範囲に制御するためには、平均粒径20〜500[μm]であるセラミックス粉末が用いられ、セラミックス粉末と比較して平均粒径が小さい第1のガラスの粉末が用いられる。第1のガラスの粉末の平均粒径は、セラミックス粉末の平均粒径の1/3以下であることが好ましく、1/5以下であることがより好ましい。これは、第1のガラスの粉末の平均粒径がセラミックス粉末よりも大きいと、セラミックス粉末の充填が阻害されて第1のスラリー乾燥物がその焼成時に焼成収縮を起こし、多孔質体20にクラックが発生し、あるいは、支持部10と多孔質体20との密着性が低下する可能性がある。
多孔質体20の構成材料であるセラミックスと比較して熱膨張係数の値が小さいガラスが第1のガラスとして採用されることが好ましい。これにより、第1のスラリー乾燥物の焼成に際して、支持部10の凹部底面および側面に対して実質的に隙間なく直接的に接合される多孔質体20が作製されうる。多孔質体20において結合材としての役割を果たすガラスに圧縮応力が加わった状態が実現される。ガラスは一般的に引張強度に弱いため、当該状態の実現により、多孔質体20ひいてはこれに由来する載置部の強度が高められ、研削加工時の脱粒または欠け等の発生が抑制される。
続いて、多孔質体20(または多孔質体20および支持部10)が加工処理されることにより、複数の載置部21〜24のうち内側から奇数番目の載置部21および23に相当する領域を除いて、内側から偶数番目の載置部22および24のそれぞれが形成される円環状の溝202および204が形成される(図5(b)参照)。各溝202、204の幅は、被溶射面に対して、アルミナ等のセラミックス溶射材を到達させるための空間が確保される程度の幅に設定されている。
溝202は、支持部10を構成するセラミックス緻密質体が露出している底面と、載置部21および23のそれぞれを構成するセラミックス/ガラス複合多孔質体が露出している環状の両側面とを有する。溝204は、支持部10を構成するセラミックス緻密質体が露出している底面および環状の外側面と、載置部23を構成するセラミックス/ガラス複合多孔質体が露出している環状の内側面とを有する。各溝202、204の底面が水平面(第1接合界面P1を構成する)により構成され、かつ、多孔質体が露出している側面の少なくとも下端部が当該平面に対して鋭角をなして連続する上り斜面(第2接合界面P2を構成する。)により構成されている。各溝202、204の多孔質体が露出している側面は、下端部が上端部よりも外側に張り出しているような勾配を有している(図4(a)参照)。
各溝202、204の底面は水平面に限られず、多孔質体が露出している側面が当該底面に対して鋭角をなして上方に連続するという条件が満たされる範囲で、少なくとも当該連続箇所において局所的にまたは全体的に斜面または勾配曲面により構成されていてもよい。
次に、溝202および204のそれぞれの多孔質体の露出箇所およびこれに連続する緻密質体の露出箇所にプラズマ溶射またはローカイド溶射により、環状の隔壁部31〜33のそれぞれを構成するセラミックス溶射膜301〜303が形成される(図5(c)参照)。これにより、セラミックス溶射膜301〜303は、溝202および204の側面を構成する多孔質体全体と、溝202および204の底面において少なくとも側面(多孔質体の露出箇所)に対する連続箇所で緻密質体にも密着するように形成される(図4(a)(b)参照)。この際、被溶射面を構成する多孔質体の露出箇所にはサンドブラスト等により粗面化する必要はない。一方、各溝202、204の形成時または当該形成後に、被溶射面を構成する緻密質体の露出箇所の表面粗さRaが3.0〜5.0[μm]の範囲に収まるように加工(粗面化処理)されていることが好ましい。
セラミックス溶射膜301〜303、ひいては隔壁部31〜33の厚みは、一般に溶射によって実現可能な膜厚であって気密性が確保されれば特に限定されず、たとえば0.1〜3[mm]の範囲に収まるように調節される。セラミックス溶射膜301〜303の厚さは、溶射ガンの変位速度または溶射回数の調節により制御される。必要に応じてセラミックス溶射膜301〜303の表面が研削されてもよく、溶射膜が不要な箇所にあらかじめマスキングが施されていてもよい。プラズマ溶射に用いられる原料粉末の粒径は被溶射面である側面において露出している多孔質体の気孔率および平均気孔径に応じて調整されるが、たとえば密着性および気密性の観点から10〜50[μm]の範囲に収まるように調整される。
セラミックス溶射膜301〜303は、被溶射面である各溝202、204の側面が多孔質体であるので、被溶射面が緻密質体である場合よりも緻密化し難い。しかるに、セラミックス溶射膜301〜303に適度な気孔をもたせることで、載置部21〜24と隔壁部31〜33との支持剛性の偏差が低減されるので、被吸着物に対する隔壁部31〜33の転写が防止される。
セラミックス溶射膜301〜303に含まれる気孔が後工程で第2のスラリーに含まれるガラスにより封止される。すなわち、隔壁部31〜33はセラミックス溶射膜301〜303とその気孔に入り込んで融着したガラスとから構成されている。これにより、隔壁部31〜33の気密性が高められる。さらに隔壁部31〜33の強度が載置部21〜24の多孔質体に近づくために転写の問題が解消される。
セラミックス溶射膜301〜303に形成される気孔の気孔径は、原料であるセラミックス溶射材の粒径の調整により調整され、たとえば被溶射面である多孔質体の気孔径に合わせて調整されることが望ましい。隔壁部31〜33は、載置部21、23と実質的に隙間なく接合されているが、支持部10の凹部底面とも同様に実質的に隙間なく接合されている。
隔壁部31〜33の気孔率は、その気密性および強度を確保する観点から10%以下に制御されている。溶射ガンの先端から被溶射面である溝202、204における多孔質体が露出している側面までの距離(溶射距離)の調節により隔壁部31〜33の気孔率が調節される。例えば溶射距離は100〜200[mm]の範囲で調節されうる。隔壁部31〜33の気孔率の下限値は、載置部21〜24との支持剛性の偏差が勘案され、好ましくは3%、より好ましくは5%である。
隔壁部31〜33の気孔率は、セラミックス溶射膜301〜303に含まれる気孔が第2のスラリーに含まれるガラスの融着により封止された結果としての値であり、セラミックス溶射膜301〜303それ自体の気孔率については特に限定されない。
次に、溝202、204に連通する吸引溝11および吸引孔12に樹脂等の焼失材料が充填される。また、アルミナ粉末または炭化珪素粉末等のセラミックス粉末および第2のガラスの粉末を含む第2のスラリーが第1のスラリーと同様の方法で調製される。
第1のガラスおよび第2のガラスは同一であっても異なっていてもよい。第1のガラスおよび第2のガラスが同一である場合、比較的軟化点が低いガラスが採用されることが好ましい。第1のガラスおよび第2のガラスが異なる場合、少なくとも第2のガラスとして比較的軟化点が低いガラスが採用されることが好ましい。
溝202および202に第2のスラリーが充填されたうえで十分に乾燥され、当該乾燥物が第2のガラスの軟化点以上(第1のガラスの軟化点未満)の温度で焼成される。これにより、第2のスラリー由来の載置部22および24が形成される(図5(d)参照)。この際、第1のスラリー由来の載置部21および23の一部またはセラミックス溶射膜301〜303が溶融または軟化して収縮または隙間が生じる事態が回避される必要がある。このため、焼成収縮を起こしやすいセラミックス溶射膜301〜303が加熱される第2のスラリー乾燥物の焼成は、できるだけ低温で実施されることが望ましい。
たとえば、第1のガラスおよび第2のガラスが同一である場合、当該ガラスとして軟化点が900[℃]以下のホウ珪酸系ガラスが採用される。第1のガラスおよび第2のガラスが異なる場合、第1のガラスとして軟化点が1000[℃]近傍のアルミノ珪酸塩系ガラスが採用され、第2のガラスとして軟化点が900[℃]以下のホウ珪酸系ガラスが採用される。
そして、支持部10、載置部21〜24および隔壁部31〜33のそれぞれの上端面が研削または研磨処理されることにより、平坦度が0.8[μm]以下である載置面100が形成される。この際、載置部21〜24および隔壁部31〜33は支持部10よりも研削・研磨抵抗が小さいために削られやすいが、前記のように多孔質体により構成される載置部21〜24およびセラミックス溶射膜により構成される隔壁部31〜33の開気孔率または平均気孔径の調整により、各部間の段差発生が防止され、載置面100の平坦度の向上が図られる。支持部10、載置部21〜24および隔壁部31〜33が相互に直接的に接合されているので、当該研磨加工が容易となる。これにより、真空吸着装置により吸着保持された際の被吸着物の平坦度の向上が図られる。
本実施形態では、内側から奇数番目の載置部21および23が第1のスラリー由来の多孔質体であり、内側から偶数番目の載置部22および24が第2のスラリー由来の多孔質体であるが、他の実施形態としてこれが逆であってもよい。すなわち、多孔質体20(または多孔質体20および支持部10)が加工処理されることにより、内側から偶数番目の載置部22および24に相当する領域を除いて、内側から奇数番目の載置部21および23のそれぞれが形成される円形状の穴および円環状の溝が形成されてもよい。
この場合も、穴および溝の緻密質体が露出している底面が水平面(第1接合界面P1を構成する)により構成され、かつ、多孔質体が露出している側面の少なくとも一部が当該水平面に対して鋭角をなして上方に連続する面(第2接合界面P2を構成する。)により構成されている(図4(b)参照)。そして、当該穴および溝のそれぞれの被溶射面にセラミックス溶射膜301〜303が形成された後、第2のスラリーが当該穴および溝のそれぞれに充填された上で乾燥され、当該乾燥物が焼成されることによって載置部21および23が作製される。
支持部10の凹部において第2のスラリー由来の載置部に相当する部分に樹脂が配置され、その後で第1のスラリーが当該凹部の残りの部分に充填され、第1のスラリー乾燥物の焼成に際して当該樹脂を焼失させることにより溝202および204が形成されてもよい。樹脂にセラミックス粉末等のフィラーを混ぜ、溝202および204の成形性を高めることも可能である。
(実施例)
(実施例1)
支持部10として、径(内径)φ200[mm]、高さ(深さ)35[mm]の凹部を有し、径(外径)φ250[mm]、高さ(厚さ)50[mm]の略有底円筒状のアルミナ緻密質焼結体(熱膨張係数:8.0×10-6[K-1])が作製された。
第1のスラリーが、アルミナ粉末(平均粒径125[μm])、ほう珪酸ガラス粉末(平均粒径20[μm]、熱膨張係数40×10-7[K-1]、軟化点750[℃])および蒸留水が100:20:20の質量比で混合された上でミキサーを用いて混錬されることにより調整された。第1のスラリーが支持部10の凹部に注入され、真空脱泡後、振動により沈降充填された上で、100[℃]で乾燥され、当該乾燥物が1000[℃]で焼成されることにより多孔質体が形成された(図5(a)参照)。
当該多孔質体の表面がダイヤモンド砥石により研削され、径φ99[mm]の中央載置部21と、内径φ125[mm]および外径φ149[mm]の環状載置部23を残すように、溝202および204が形成された(図5(b)参照)。この際、側面(第2接合界面P2を構成する。)の少なくとも底面(第1接合界面P1を構成する。)に対する連続箇所または下端部における曲率半径が6.0[mm]になるように、溝202および204のそれぞれの形状が調整された(図4(a)(b)参照)。底面から徐々に高くなるような上り斜面(上り勾配曲面)により側面が構成されている。
曲率半径rを有する側面の傾斜角度θ(図4(a)(b)参照)は、側面および底面の連続点と、側面の曲率中心から底面に下ろした垂線の足との径方向間隔d(<r)に基づき、arcsin(d/r)にしたがって定義される。たとえばr=6.0[mm]、d=3.0[mm]である場合はθ=30°であり、r=6.0[mm]、d=2.0[mm]である場合はθ=19.3°である。
側面が全体的に同一の曲率半径rを有するように形成されている場合、側面の上端における底面に対する傾斜角度φは、当該側面の高さ、すなわち、載置部21〜23の高さh(<r)に基づき、arccos(1−(h/r))にしたがって定義される。たとえばr=6.0[mm]、h=3.0[mm]である場合はθ=60°であり、r=6.0[mm]、h=5.0[mm]である場合はθ=71.7°である。
溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する緻密質体の表面粗さRaが3.2[μm]に調整された。
溝202および204において被溶射面である側面および当該側面に対する底面の連続箇所に向かって、アルミナ粉末(純度99.9%、平均粒径30[μm])がプラズマ溶射されることにより厚さ0.5[mm]のセラミックス溶射膜301〜303が形成された(図5(c)参照)。溶射出力は50[kW]に制御され、溶射雰囲気はアルゴンおよび水素の混合雰囲気に制御され、ガン変位速度は300[mm/s]に制御された。
次に第1のスラリーと同一配合の第2のスラリーが溝に注入され、100[℃]で乾燥された上で、当該乾燥物が1000[℃]で焼成されることにより載置部22および24に相当する多孔質体が形成された(図5(d)参照)。そして、載置面100の平坦度が1.0[μm]未満となるように研削加工が施され、最終的に厚さ30[mm]の実施例1の真空吸着装置が作製された。
(実施例2)
第1接合界面P1に対する連続箇所における第2接合界面P2の曲率半径が5.0[mm]になるように溝202,204が形成され、溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さRaが3.1[μm]に調節されたほかは、実施例1と同様の条件下で実施例2の真空吸着装置が作製された。
(実施例3)
第1接合界面P1に対する連続箇所における第2接合界面P2の曲率半径が4.0[mm]になるように溝202,204が形成されたほかは、実施例1と同様の条件下で実施例3の真空吸着装置が作製された。
(実施例4)
第1接合界面P1に対する連続箇所における第2接合界面P2の曲率半径が3.0[mm]になるように溝202,204が形成され、溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さRaが3.0[μm]に調節されたほかは、実施例1と同様の条件下で実施例4の真空吸着装置が作製された。
(実施例5)
第1接合界面P1に対する連続箇所における第2接合界面P2の曲率半径が2.0[mm]になるように溝202,204が形成され、溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さRaが3.5[μm]に調節されたほかは、実施例1と同様の条件下で実施例5の真空吸着装置が作製された。
(実施例6)
第1接合界面P1に対する連続箇所における第2接合界面P2の曲率半径が1.0[mm]になるように溝202,204が形成され、溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さRaが3.4[μm]に調節されたほかは、実施例1と同様の条件下で実施例6の真空吸着装置が作製された。
(実施例7)
溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さRaが4.9[μm]に調節されたほかは、実施例1と同様の条件下で実施例7の真空吸着装置が作製された。
(実施例8)
溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さが4.8[μm]に調節されたほかは、実施例2と同様の条件下で実施例8の真空吸着装置が作製された。
(実施例9)
溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さが4.8[μm]に調節されたほかは、実施例3と同様の条件下で実施例9の真空吸着装置が作製された。
(実施例10)
溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さが4.8[μm]に調節されたほかは、実施例4と同様の条件下で実施例10の真空吸着装置が作製された。
(実施例11)
溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さが5.0[μm]に調節されたほかは、実施例5と同様の条件下で実施例11の真空吸着装置が作製された。
(実施例12)
溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さが5.0[μm]に調節されたほかは、実施例6と同様の条件下で実施例12の真空吸着装置が作製された。
(実施例13)
第1接合界面P1に対する連続箇所における第2接合界面P2の曲率半径が5.5[mm]になるように溝202,204が形成され、溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さRaが3.8[μm]に調節されたほかは、実施例1と同様の条件下で実施例13の真空吸着装置が作製された。
(実施例14)
第1接合界面P1に対する連続箇所における第2接合界面P2の曲率半径が2.5[mm]になるように溝202,204が形成され、溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さRaが3.2[μm]に調節されたほかは、実施例1と同様の条件下で実施例14の真空吸着装置が作製された。
(実施例15)
第1接合界面P1に対する連続箇所における第2接合界面P2の曲率半径が3.5[mm]になるように溝202,204が形成され、溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さRaが4.0[μm]に調節されたほかは、実施例1と同様の条件下で実施例15の真空吸着装置が作製された。
(実施例16)
第1接合界面P1に対する連続箇所における第2接合界面P2の曲率半径が1.5[mm]になるように溝202,204が形成され、溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さRaが4.6[μm]に調節されたほかは、実施例1と同様の条件下で実施例16の真空吸着装置が作製された。
(実施例17)
第1接合界面P1に対する連続箇所における第2接合界面P2の曲率半径が4.5[mm]になるように溝202,204が形成され、溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さRaが3.8[μm]に調節されたほかは、実施例1と同様の条件下で実施例17の真空吸着装置が作製された。
(実施例18)
第1接合界面P1に対する連続箇所における第2接合界面P2の曲率半径が2.5[mm]になるように溝202,204が形成され、溝202および204の底面のうち少なくとも第1接合界面P1を構成する部分の表面粗さRaが4.6[μm]に調節されたほかは、実施例1と同様の条件下で実施例18の真空吸着装置が作製された。
(比較例1)
第2接合界面P2が、第1接合界面P1(水平面)に対して垂直に連続する円環状(上面視)の鉛直面(曲率半径が0)になるように形成され、第1接合界面P1の表面粗さRaが5.0[μm]になるように調節されたほかは、実施例1と同様の条件下で比較例1の真空吸着装置が作製された(図6参照)。
(比較例2)
第2接合界面P2が、第1接合界面P1(水平面)に対して垂直に連続する円環状(上面視)の鉛直面(曲率半径が0)になるように形成されたほかは、実施例1と同様の条件下で比較例2の真空吸着装置が作製された。
(評価方法)
実施例および比較例の真空吸着装置のそれぞれについて、φ5インチのシリコンウエハを吸着させたときの真空度(ゲージ圧)が測定されることにより真空吸着性能が評価された。当該評価結果が各真空吸着装置の特徴量とともに表1に示されている。
表1から次のことがわかる。
第1接合界面P1に対する連続箇所における第2接合界面P2の曲率半径が1.0〜6.0[mm]の範囲に含まれる実施例1〜18の真空吸着装置は、当該曲率半径が当該範囲から外れている比較例1〜2の真空吸着装置よりも吸着性能が高い。観察の結果、比較例1〜2の真空吸着装置において、図6に示されているように、隔壁部31(32,33)が、緻密質体10の端面(横破線参照)および多孔質体21(23)の端面(縦破線)の垂直な連続箇所(角部)において局所的に両端面から浮き上がっていることが確認された。これは、前記のように、多孔質体(第1スラリー由来)21(23)および緻密質体10のそれぞれに対するセラミックス溶射膜301(302、303)の密着力が相違することに起因していると考えられる。
第2接合界面P2に対する連続箇所における第1接合界面P1の表面粗さRaが3.8〜5.0[μm]の範囲に含まれる実施例7〜13,15〜18の真空吸着装置は、実施例1〜6の真空吸着装置よりも吸着性能が高い。
10‥支持部、11‥吸引溝、12‥吸引孔、21‥中央載置部、22〜24‥環状載置部、31〜33‥隔壁部、202、204‥環状溝、301〜303‥セラミックス溶射膜、P1‥第1接合界面、P2‥第2接合界面。

Claims (5)

  1. 中央載置部およびこれを一重または多重に環状に囲うように配置されている一または複数の環状載置部を含む、セラミックス/ガラス複合多孔質体からなる複数の載置部と、
    前記複数の載置部の間に配置されているセラミックス溶射膜により形成されている一または複数の環状の隔壁部と、
    被吸着物が載置される載置面を構成する上端面を露出させた状態の前記複数の載置部および前記一または複数の隔壁部のそれぞれを支持するように構成され、前記載置部の気孔に連通する吸引孔を有するセラミックス緻密質体からなる支持部と、を備え、
    前記セラミックス緻密質体、前記セラミックス/ガラス複合多孔質体および前記セラミックス溶射膜が相互に直接的に接合されることにより構成されている真空吸着装置であって、
    前記セラミックス/ガラス複合多孔質体と前記セラミックス溶射膜との接合界面である第2接合界面のうち少なくとも下端部が、前記セラミックス緻密質体と前記セラミックス溶射膜との接合界面である第1接合界面に対して鋭角をなして上方に連続する上り斜面により構成されていることを特徴とする真空吸着装置。
  2. 請求項1記載の真空吸着装置において、
    前記第2接合界面のうち少なくとも下端部が、前記第1接合界面との連続箇所から傾斜度が徐々に高くなるような上り斜面により構成されていることを特徴とする真空吸着装置。
  3. 請求項1記載の真空吸着装置の製造方法であって、
    前記支持部を構成する、凹部および前記凹部に連通する前記吸引孔を有するセラミックス緻密質体を作製する工程と、
    セラミックス粉末と第1のガラスの粉末とを含む第1のスラリーを調製する工程と、
    前記第1のスラリーを前記セラミックス緻密質体の前記凹部に充填したうえで、前記第1のガラスの軟化点以上の温度で焼成してセラミックス/ガラス複合多孔質体を形成する工程と、
    前記セラミックス/ガラス複合多孔質体、または前記セラミックス/ガラス複合多孔質体および前記セラミックス緻密質体に加工を施すことにより、前記複数の載置部のうち内側から奇数番目または偶数番目の載置部に相当する領域を除いて、前記セラミックス緻密質体が露出している底面と、前記セラミックス/ガラス複合多孔質体が露出している環状の側面とを有する溝または穴を形成する工程と、
    前記溝または穴の前記側面にセラミックスを溶射することにより前記隔壁部を構成するセラミックス溶射膜を形成する工程と、
    セラミックス粉末と第2のガラスの粉末とを含む第2のスラリーを調製する工程と、
    前記第2のスラリーを前記側面に前記セラミックス溶射膜が形成されている前記溝または穴に充填し、前記第2のガラスの軟化点以上の温度で焼成して、セラミックス/ガラス複合多孔質体からなる、前記複数の載置部のうち内側から偶数番目または奇数番目の載置部を形成する工程と、を含み、
    前記底面が平面により構成され、かつ、前記側面のうち少なくとも下端部が当該平面に対して鋭角をなして上方に連続する面により構成されるように、前記溝または穴を形成することを特徴とする方法。
  4. 請求項3記載の方法において、
    前記底面から傾斜度が徐々に高くなるような上り斜面により前記側面のうち少なくとも下端部が構成されるように、前記溝または穴を形成することを特徴とする方法。
  5. 請求項3または4記載の方法において、
    前記環状の溝または穴の前記底面を、その表面粗さRaが3.0〜5.0[μm]の範囲に収まるように加工することを特徴とする方法。
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