JP5527247B2 - 気筒間空燃比ばらつき異常検出装置 - Google Patents

気筒間空燃比ばらつき異常検出装置 Download PDF

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Description

本発明は、気筒間空燃比のばらつき異常を検出するための装置に係り、特に、多気筒内燃機関において気筒間の空燃比が比較的大きくばらついていることを検出する装置に関する。
一般に、触媒を利用した排気浄化システムを備える内燃機関では、排気中有害成分の触媒による浄化を高効率で行うため、内燃機関で燃焼される混合気の空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが欠かせない。こうした空燃比の制御を行うため、内燃機関の排気通路に空燃比センサを設け、これによって検出された空燃比を所定の目標空燃比に一致させるようフィードバック制御を実施している。
一方、多気筒内燃機関においては、通常全気筒に対し同一の制御量を用いて空燃比制御を行うため、空燃比制御を実行したとしても実際の空燃比が気筒間でばらつくことがある。このときばらつきの程度が小さければ、空燃比フィードバック制御で吸収可能であり、また触媒でも排気中有害成分を浄化処理可能なので、排気エミッションに影響を与えず、特に問題とならない。
しかし、例えば一部の気筒の燃料噴射系が故障するなどして、気筒間の空燃比が大きくばらつくと、排気エミッションを悪化させてしまい、問題となる。このような排気エミッションを悪化させる程の大きな空燃比ばらつきは異常として検出するのが望ましい。特に自動車用内燃機関の場合、排気エミッションの悪化した車両の走行を未然に防止するため、気筒間空燃比ばらつき異常を車載状態(オンボード)で検出することが要請されており、最近ではこれを法規制化する動きもある。
例えば特許文献1に記載の装置では、気筒間の空燃比ばらつきに関するパラメータを検出し、この検出されたパラメータに基づき空燃比センサの出力を補正している。
特開2009−209747号公報
ところで、1気筒当たりに吸気通路噴射用インジェクタと筒内噴射用インジェクタとの2本のインジェクタを備え、且つ、全気筒が二つの気筒群に分かれている内燃機関(例えばV型内燃機関)が公知である。この場合、ばらつき異常検出の精度を高めるため、気筒群毎に各インジェクタの噴射割合を変更してばらつき異常検出を行うことが考えられる。
しかし、両バンクに対し同一タイミングで噴射割合を変更してしまうと、トルク変動やトルク段差が大きくなる、燃料系駆動音変化による変音感が発生するなどのドラバビリティ上の問題が発生する。
そこで本発明は、上記の事情に鑑みて創案され、その目的は、ばらつき異常検出時におけるドライバビリティの向上に有利な気筒間空燃比ばらつき異常検出装置を提供することにある。
本発明の一の態様によれば、
第1および第2の気筒群と、各気筒に設けられた吸気通路噴射用インジェクタおよび筒内噴射用インジェクタとを有する多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置であって、
前記ばらつき異常の検出時、気筒群毎に、前記吸気通路噴射用インジェクタおよび筒内噴射用インジェクタの噴射割合を変更して前記ばらつき異常を検出すると共に、前記噴射割合の変更タイミングを前記第1および第2の気筒群の間で異ならせることを特徴とする気筒間空燃比ばらつき異常検出装置が提供される。
好ましくは、前記第1および第2の気筒群の一方についての前記噴射割合変更終了後、所定時間経過した時点から、前記第1および第2の気筒群の他方についての前記噴射割合変更を開始する。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置が、前記第1および第2の気筒群の各排気通路に個別に設置された第1および第2の空燃比センサを備え、
前記ばらつき異常の検出時、前記第1の空燃比センサの出力変動に基づいて前記第1の気筒群のばらつき異常を検出すると共に、前記第2の空燃比センサの出力変動に基づいて前記第2の気筒群のばらつき異常を検出する。
好ましくは、前記気筒間空燃比ばらつき異常検出装置が、前記内燃機関の回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、
前記ばらつき異常の検出時、前記回転速度検出手段によって検出された回転速度の変動に基づいて前記第1および第2の気筒群のばらつき異常を検出する。
好ましくは、前記内燃機関が、第1および第2のバンクを有するV型内燃機関であり、前記第1および第2の気筒群が、前記第1および第2のバンクにそれぞれ設けられた気筒群である。
本発明によれば、ばらつき異常検出時におけるドライバビリティを向上できるという、優れた効果が発揮される。
本発明の実施形態に係る内燃機関の概略図である。 触媒前センサおよび触媒後センサの出力特性を示すグラフである。 噴き分け率を設定するためのマップを示す。 空燃比センサ出力の変動を示すタイムチャートである。 図4のV部に相当する拡大図である。 インバランス割合と空燃比変動パラメータの関係を示すグラフである。 回転変動パラメータを説明するためのタイムチャートである。 インバランス割合と回転変動パラメータの関係を示すグラフである。 リッチずれ異常検出の原理を説明するための図である。 リッチずれ異常検出の原理を説明するための図である。 ばらつき異常検出時における両バンクの噴き分け率変更タイミングを示すタイムチャートである。 噴き分け率変更タイミングの別の例を示すタイムチャートである。 ばらつき異常検出ルーチンを示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
図1に本実施形態に係る内燃機関を概略的に示す。図示される内燃機関(エンジン)1はV型6気筒デュアル噴射式ガソリンエンジンである。各気筒#1〜#6に吸気通路噴射用インジェクタ2と筒内噴射用インジェクタ3とが設けられている。エンジン1は第1のバンク4と第2のバンク5とを有し、第1のバンク4には奇数番気筒すなわち#1,#3,#5気筒が設けられ、第2のバンク5には偶数番気筒すなわち#2,#4,#6気筒が設けられている。#1,#3,#5気筒が本発明にいう第1の気筒群をなし、#2,#4,#6気筒が本発明にいう第2の気筒群をなす。
吸気通路噴射用インジェクタ2は、いわゆる均質燃焼を実現するよう、対応気筒の吸気通路特に吸気ポート6内に向けて燃料を噴射する。以下、吸気通路噴射用インジェクタを「PFI」ともいう。他方、筒内噴射用インジェクタ3は、いわゆる成層燃焼を実現するよう、対応気筒の筒内(燃焼室内)に向けて燃料を直接噴射する。以下、筒内噴射用インジェクタを「DI」ともいう。
吸気を導入するための吸気通路7は、前記吸気ポート6の他、集合部としてのサージタンク8と、各気筒の吸気ポート6およびサージタンク8を結ぶ複数の吸気マニホールド9と、サージタンク8の上流側の吸気管10とを含む。吸気管10には、上流側から順にエアフローメータ11と電子制御式スロットルバルブ12とが設けられている。エアフローメータ11は吸気流量に応じた大きさの信号を出力する。各気筒には、筒内の混合気に点火するための点火プラグ13が設けられる。
排気ガスを排出するための排気通路は、本実施形態の場合、第1のバンク4に対する第1の排気通路14Aと第2のバンク5に対する第2の排気通路14Bとが別系統で設置されている。つまり排気系統はバンク毎に独立して2系統ある。両バンクについて排気系統の構成は同じなので、ここでは第1のバンク4についてのみ説明し、第2のバンク5については図中同一符号を付して説明を省略する。
第1の排気通路14Aは、#1,#3,#5の各気筒の排気ポート15と、これら排気ポート15の排気ガスを集合させる排気マニホールド16と、排気マニホールド16の下流端に接続する排気管17とを含む。そして排気管17の上流側と下流側にはそれぞれ三元触媒からなる触媒、すなわち上流触媒18と下流触媒19が直列に設けられている。上流触媒18の上流側及び下流側にそれぞれ排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ、即ち触媒前センサ20及び触媒後センサ21が設置されている。これらセンサは排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する。このように、片バンクに対する排気通路の集合部には単一の触媒前センサ20が設置されている。この触媒前センサ20が本発明にいう「空燃比センサ」に該当する。
特に、第1のバンク4に対する第1の排気通路14Aと、第2のバンク5に対する第2の排気通路14Bとに、個別に触媒前センサ20が設置され、これら触媒前センサ20が本発明にいう「第1および第2の空燃比センサ」に該当する。
上述のPFI2、DI3、スロットルバルブ12及び点火プラグ13等は、制御手段としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)100に電気的に接続されている。ECU100は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。またECU100には、図示されるように、前述のエアフローメータ11、触媒前センサ20、触媒後センサ21のほか、エンジン1のクランク角を検出するためのクランク角センサ22、アクセル開度を検出するためのアクセル開度センサ23、エンジン1の冷却水の温度を検出するための水温センサ24、その他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU100は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、PFI2、DI3、スロットルバルブ12及び点火プラグ13等を制御し、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度、点火時期等を制御する。またECU100は、クランク角センサ22の出力に基づきエンジン1のクランク角を検出すると共に、エンジンの回転速度を計算する。ここでエンジンの回転速度としては1分当たりの回転数(rpm)を用いる。
触媒前センサ20は所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能である。図2に触媒前センサ20の出力特性を示す。図示するように、触媒前センサ20は、排気ガスの空燃比に比例した大きさの電圧信号Vfを出力する。排気空燃比がストイキ(理論空燃比、例えばA/F=14.6)であるときの出力電圧はVreff(例えば約3.3V)である。
他方、触媒後センサ21は所謂O2センサからなり、ストイキを境に出力値が急変する特性を持つ。図2に触媒後センサ21の出力特性を示す。図示するように、排気ガスの空燃比がストイキであるときの出力電圧、すなわちストイキ相当値はVrefr(例えば0.45V)である。触媒後センサ21の出力電圧は所定の範囲(例えば0〜1(V))内で変化する。排気空燃比がストイキよりリーンのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより低くなり、排気空燃比がストイキよりリッチのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより高くなる。
上流触媒18及び下流触媒19は、それぞれに流入する排気ガスの空燃比A/Fがストイキ近傍のときに排気中の有害成分であるNOx、HCおよびCOを同時に浄化する。この三者を同時に高効率で浄化できる空燃比の幅(ウィンドウ)は比較的狭い。
上流触媒18に流入する排気ガスの空燃比がストイキ近傍に制御されるように、空燃比制御(ストイキ制御)がECU100により実行される。この空燃比制御は、触媒前センサ20によって検出された排気空燃比を所定の目標空燃比であるストイキに一致させるような主空燃比制御(主空燃比フィードバック制御)と、触媒後センサ21によって検出された排気空燃比をストイキに一致させるような補助空燃比制御(補助空燃比フィードバック制御)とからなる。
このような空燃比制御はバンク毎に行われる。すなわち、第1のバンク4側の触媒前センサ20および触媒後センサ21の出力に基づいて、第1のバンク4に属する#1,#3,#5気筒の空燃比制御が行われる。他方、第2のバンク5側の触媒前センサ20および触媒後センサ21の出力に基づいて、第2のバンク5に属する#2,#4,#6気筒の空燃比制御が行われる。但し同一バンク内の各気筒に対しては同一の補正量が用いられる。
また本実施形態では、1気筒で1噴射サイクル中に噴射される全燃料噴射量を所定の噴き分け率αに応じてPFI2及びDI3に分担させる噴き分けが行われる。このときECU100は、噴き分け率αに応じて、PFI2から噴射される燃料量(ポート噴射量という)と、DI3から噴射される燃料量(筒内噴射量という)とを設定し、これら燃料量に応じて各インジェクタ2,3を通電制御する。噴き分け率αは、ここでは全燃料噴射量に対するポート噴射量の比をいい、0〜1の値を持つ。全燃料噴射量をQtとした場合、ポート噴射量Qpはα×Qtで表され、筒内噴射量Qdは(1−α)×Qtで表され、両者の噴射割合はQp:Qd=α:(1−α)である。このように噴き分け率αはPFI2とDI3、もしくはポート噴射量Qpと筒内噴射量Qdとの噴射割合を規定する値である。全燃料噴射量はECU100によりエンジン運転状態(例えばエンジン回転数と負荷)に基づいて設定される。
図3に、噴き分け率αを設定するためのマップを示す。図示するように、噴き分け率αは、エンジン回転数Neと負荷KLで規定される各領域に応じてαからαまで変化する。例えばα=0、α=0.35、α=0.5、α=0.7であるが、これらの値や領域分けは任意に変更可能である。この例では、低回転高負荷側に向かうほどポート噴射量の割合が増加する。またα=αの領域では噴き分けは行われず筒内噴射のみで燃料が供給される。
噴き分け率αは、両バンクの各気筒に対し同一の値が用いられる。すなわち噴き分け率αについてはバンク毎の設定はなされない。
さて、例えば全気筒のうちの一部の気筒のインジェクタが故障し、気筒間に空燃比のばらつき(インバランス:imbalance)が発生したとする。例えば#1気筒が他の#2〜#6気筒よりも燃料噴射量が多くなり、#1気筒の空燃比が他の#2〜#6気筒の空燃比よりも大きくリッチ側にずれる場合等である。このとき、#1気筒を含む第1のバンク2について、前述の主空燃比フィードバック制御により比較的大きな補正量を与えれば、トータルガスの空燃比をストイキに制御できる場合がある。しかし、気筒別に見ると、#1気筒がストイキより大きくリッチ、#3,#5気筒がストイキよりリーンであり、全体のバランスとしてストイキとなっているに過ぎず、エミッション上好ましくないことは明らかである。そこで本実施形態では、かかる気筒間空燃比ばらつき異常を検出する装置が装備されている。
図4は、本実施形態とは異なる直列4気筒エンジンにおける空燃比センサ出力の変動を示す。図示するように、空燃比センサによって検出される排気空燃比A/Fは、1エンジンサイクル(=720°CA)を1周期として周期的に変動する傾向にある。そして気筒間空燃比ばらつきが発生すると、1エンジンサイクル内での変動が大きくなる。(B)の空燃比線図a,b,cはそれぞればらつき無し、1気筒のみ20%のインバランス割合でリッチずれ、及び1気筒のみ50%のインバランス割合でリッチずれの場合を示す。見られるように、ばらつき度合いが大きくなるほど空燃比変動の振幅が大きくなる。本実施形態のようなV型6気筒エンジンでも、片バンクについて同様の傾向がある。
ここでインバランス割合(%)とは、気筒間空燃比のばらつき度合いを表すパラメータである。即ち、インバランス割合とは、全気筒のうちある1気筒のみが燃料噴射量ズレを起こしている場合に、その燃料噴射量ズレを起こしている気筒(インバランス気筒)の燃料噴射量がどれくらいの割合で、燃料噴射量ズレを起こしていない気筒(バランス気筒)の燃料噴射量即ち基準噴射量からズレているかを示す値である。インバランス割合をIB、インバランス気筒の燃料噴射量をQib、バランス気筒の燃料噴射量即ち基準噴射量をQsとすると、IB=(Qib−Qs)/Qsで表される。インバランス割合IBが大きいほど、インバランス気筒のバランス気筒に対する燃料噴射量ズレが大きく、空燃比ばらつき度合いは大きい。
[気筒間空燃比ばらつき異常検出]
上記の説明から理解されるように、空燃比ばらつき異常が発生すると空燃比センサ出力の変動が大きくなる。そこでこの出力変動に基づいてばらつき異常を検出することが可能である。
ここで、ばらつき異常の種類としては、1気筒の燃料噴射量がリッチ側(過剰側)にずれているリッチずれ異常と、1気筒の燃料噴射量がリーン側(過少側)にずれているリーンずれ異常とがある。本実施形態では、リッチずれ異常を空燃比センサ出力変動に基づいて検出し、リーンずれ異常は後述の方法によりエンジン回転変動に基づいて検出する。但し、リッチずれ異常およびリーンずれ異常を区別せず、広くばらつき異常を空燃比センサ出力変動およびエンジン回転変動の少なくとも一方に基づいて検出してもよい。
リッチずれ異常の検出に際しては、空燃比センサ出力の変動度合いに相関するパラメータである空燃比変動パラメータを算出すると共に、この空燃比変動パラメータを所定の異常判定値と比較して異常を検出する。ここで異常検出はバンク毎に、対応する空燃比センサである触媒前センサ20の出力を用いて行う。
以下、空燃比変動パラメータの算出方法を説明する。図5は、図4のV部に相当する拡大図であり、特に1エンジンサイクル内の触媒前センサ出力の変動を示す。触媒前センサ出力としては、触媒前センサ20の出力電圧Vfを空燃比A/Fに換算した値を用いる。但し触媒前センサ20の出力電圧Vfを直接用いることも可能である。
(B)図に示すように、ECU100は、1エンジンサイクル内において、所定のサンプル周期τ(単位時間、例えば4ms)毎に、触媒前センサ出力A/Fの値を取得する。そして今回のタイミング(第2のタイミング)で取得した値A/Fと、前回のタイミング(第1のタイミング)で取得した値A/Fn−1との差ΔA/Fの絶対値を次式(1)により求める。この差ΔA/Fは今回のタイミングにおける微分値あるいは傾きと言い換えることができる。
Figure 0005527247
最も単純には、この差ΔA/Fが触媒前センサ出力の変動を表す。変動度合いが大きくなるほど空燃比線図の傾きが大きくなり、差ΔA/Fが大きくなるからである。そこで所定の1タイミングにおける差ΔA/Fの値を空燃比変動パラメータとすることができる。
但し、本実施形態では精度向上のため、複数の差ΔA/Fの平均値を空燃比変動パラメータとする。本実施形態では、1エンジンサイクル内において、各タイミング毎に差ΔA/Fを積算し、最終積算値をサンプル数Nで除し、1エンジンサイクル内の差ΔA/Fの平均値を求める。そしてさらに、Mエンジンサイクル分(例えばM=100)だけ差ΔA/Fの平均値を積算し、最終積算値をサイクル数Mで除し、Mエンジンサイクル内の差ΔA/Fの平均値を求める。こうして求められた最終的な平均値を空燃比変動パラメータとし、以下「X」で表示する。
触媒前センサ出力の変動度合いが大きいほど空燃比変動パラメータXは大きくなる。そこで空燃比変動パラメータXが所定の異常判定値以上であれば異常ありと判定され、空燃比変動パラメータXが異常判定値より小さければ異常なし、即ち正常と判定される。
なお、触媒前センサ出力A/Fは増加する場合と減少する場合とがあるので、これら各場合の一方についてだけ上記差ΔA/Fあるいはその平均値を求め、これを空燃比変動パラメータとしても良い。特に1気筒のみリッチずれの場合、当該1気筒に対応した排気ガスを触媒前センサが受けた時にその出力が急速にリッチ側に変化(すなわち急減)するので、減少側のみの値をリッチずれ検出のために用いることも可能である。もっとも、これに限定されず、増加側の値のみを用いることも可能である。
また、触媒前センサ出力の変動度合いに相関する如何なる値をも空燃比変動パラメータとすることができる。例えば、1エンジンサイクル内の触媒前センサ出力の最大値と最小値の差(所謂ピークトゥピーク; peak to peak)に基づいて、空燃比変動パラメータを算出することもできる。触媒前センサ出力の変動度合いが大きいほど当該差も大きくなるからである。
図6には、インバランス割合IBと空燃比変動パラメータXの関係を示す。図示されるように、インバランス割合IBと空燃比変動パラメータXの間には強い相関性があり、インバランス割合IBが増加するほど空燃比変動パラメータXも増加する。ここで図中のIB1は、正常と異常の境目であるクライテリアに相当するインバランス割合IBの値であり、例えば60(%)である。
次に、リーンずれ異常の検出について説明する。この検出に際しては、エンジン回転速度の変動度合いに相関するパラメータである回転変動パラメータを算出すると共に、この回転変動パラメータを所定の異常判定値と比較して異常を検出する。この場合、異常検出はいずれのバンクであるかを問わず、単に検出されたエンジン回転速度の変動に基づいて行う。
図7において、(a)はクランク角(°CA)、(b)は30°CA時間T30(s)、(c)は回転変動パラメータYの変化を示す。図示例は通常の直列4気筒エンジンの例であるが、以下の説明により本実施形態のようなV型6気筒エンジンにも適用可能であることが理解される。点火順序は#1、#3、#4、#2の各気筒順である。図中、「正常」とは、いずれの気筒にも空燃比ズレが生じていない場合を示し、「リーンずれ異常」とは、#1気筒のみにインバランス割合IB=−30(%)のリーンずれ異常が生じている場合を示す。
30°CA時間T30とは、クランクシャフトが30°CA回転するのに要した時間のことをいう。30°CA時間T30が長い(大きい)ほど回転速度は遅い。回転変動パラメータYとは、今回点火気筒TDCと前回点火気筒TDCとの間の30°CA時間T30の差のことをいう。
まずリーンずれ異常の場合に着目する。図示例では#1気筒にリーンずれ異常が生じているので、(b)に示すように、#1気筒を点火しても燃焼が悪化し、トルクが十分出ず、その後の30°CA時間T30が長くなっている。これに対応して、#1気筒TDCから#3気筒TDCまでの30°CA時間T30の差は大きく、(c)に示す回転変動パラメータYの値は大きくなっている。
これに対し、#1以外の気筒、例えば#3気筒の場合は正常であるので、(b)に示すように、#3気筒TDCから#4気筒TDCまでの30°CA時間T30の差は小さく、(c)に示す回転変動パラメータYの値も小さくなっている。
次に正常の場合に着目すると、いずれの気筒も正常であるので、気筒間の燃焼バラツキは少なく、(b)に示すように、前回点火気筒TDCから今回点火気筒TDCまでの30°CA時間T30の差はいずれも小さくほぼ一定で、(c)に示す回転変動パラメータYの値も常に小さくほぼゼロ付近である。
従って、かかる回転変動パラメータYを所定の異常判定値と比較することでリーンずれ異常を検出することが可能である。本実施形態では、回転変動パラメータYが異常判定値以上であれば異常ありと判定し、回転変動パラメータYが異常判定値より小さければ異常なし、即ち正常と判定する。
なお、ECU100の気筒判別機能により、点火気筒とこれに対応する回転変動パラメータYとの関連付けは可能である。従ってリーンずれ異常があることを検出した場合、異常気筒自体を特定することが可能である。
図8には、インバランス割合IBと回転変動パラメータYの関係を示す。図示されるように、インバランス割合IBと回転変動パラメータYの間には強い相関性があり、インバランス割合IBが減少(マイナス側に増加)するほど回転変動パラメータYは増加する。ここで図中のIB2は、正常と異常の境目であるクライテリアに相当するインバランス割合IBの値であり、例えば−30(%)である。
ところで、ばらつき異常検出、特に空燃比変動パラメータXを用いたリッチずれ異常検出に際しては、噴き分け率αを図3のマップから定まる基準値に対し変更しなければならない場合がある。本実施形態のようなデュアル噴射式エンジンの場合、仮に噴き分け率αが小さいと、筒内噴射量に対してポート噴射量が少なくなる。よってPFI2にリッチずれ異常が生じている場合であっても、その影響がトータルの噴射量にそれほど反映されず、空燃比変動がそれほど大きくならないからである。
従ってこの場合には、噴き分け率αをマップから定まる基準値よりも増大する。こうすればPFI2のリッチずれ異常の影響をトータルの噴射量に大きく反映させることができ、空燃比変動を大きくすることができる。
以下、図9および図10を用いて本実施形態のリッチずれ異常検出の原理を説明する。なお本実施形態では空燃比変動パラメータXを用い、且つ噴き分け率αを変更して、吸気系の故障等に起因する空燃比ずれ即ち吸気系異常をも検出するようにしている。
まず図9の例を説明する。図中左側の状態Iは、噴き分け率αが基準値A=0.4の場合である。また図中右側の状態IIは、噴き分け率αが基準値よりも大きいB=0.8の場合である。状態Iから状態IIに変わると、噴き分け率αは0.4から0.8に変化し、筒内噴射量割合は減少し、ポート噴射量割合は増大する。ここでは仮に、異常判定値Zをインバランス割合20%相当の値として定める。図示される波形は片バンクの触媒前センサ20の出力波形である。すなわちここでは片バンクのみに着目する。
図9(a)は、何れの気筒のPFI2およびDI3にも異常が生じておらず、また吸気系にも異常が生じていない正常時を示す。この場合、状態Iではインバランス割合0%相当の空燃比変動パラメータXが得られ、状態IIでもインバランス割合0%相当の空燃比変動パラメータXが得られる。X<Z且つX<Zであり、この場合には正常と判定する。
図9(b)は、何れの気筒のPFI2およびDI3にも異常が生じていないが、吸気系にインバランス割合50%相当の異常が生じている吸気系異常50%時を示す。この場合、状態Iではインバランス割合50%相当の空燃比変動パラメータXが得られ、状態IIでもインバランス割合50%相当の空燃比変動パラメータXが得られる。X≧Z且つX≧Zであり、この場合には吸気系異常と判定する。なお状態Iと状態IIとで空燃比変動パラメータXの値が変わらない理由は、PFI2およびDI3が正常なので噴き分け率αの変化の影響を受けないからである。
図9(c)は、1気筒のDI3にインバランス割合50%相当の異常が生じており、残りのPFI2およびDI3には異常が生じておらず、吸気系にも異常が生じていないDI異常50%時を示す。この場合、状態Iではインバランス割合30%相当の空燃比変動パラメータXが得られる。なぜならDI3の噴射割合は(1−0.4)=0.6であり、50%×0.6=30%、つまりDI3の異常の影響が噴き分けの結果減じられてしまうからである。他方、状態IIではインバランス割合10%相当の空燃比変動パラメータXが得られる。なぜならDI3の噴射割合は(1−0.8)=0.2であり、50%×0.2=10%だからである。X≧Z且つX<Zであり、この場合にはDI異常と判定する。
図9(d)は、1気筒のPFI2にインバランス割合50%相当の異常が生じており、残りのPFI2およびDI3には異常が生じておらず、吸気系にも異常が生じていないPFI異常50%時を示す。この場合、状態Iではインバランス割合20%相当の空燃比変動パラメータXが得られる。なぜならPFI2の噴射割合は0.4であり、50%×0.4=20%、つまりPFI2の異常の影響が噴き分けの結果減じられてしまうからである。他方、状態IIではインバランス割合40%相当の空燃比変動パラメータXが得られる。なぜならPFI2の噴射割合は0.8であり、50%×0.8=40%だからである。X<Z且つX≧Zであり、この場合にはPFI異常と判定する。
特に、状態Iのまま噴き分け率αを変更(増大)しない場合には、PFI異常を検出することができない。それ故、異常検出時に噴き分け率αを変更する必要がある。
次に図10の例を説明する。この例は前記と逆で、噴き分け率が減少させられる。図中左側の状態Iは、噴き分け率αが基準値A=0.4の場合である。また図中右側の状態IIは、噴き分け率αが基準値Aよりも小さいC=0.0の場合、すなわちDI3のみで燃料噴射が行われる場合である。状態Iから状態IIに変わると、噴き分け率αは0.4から0.0に変化し、ポート噴射量割合は減少し、筒内噴射量割合は増大する。ここでは仮に、異常判定値Zをインバランス割合30%相当の値として定める。図示される波形が片バンクの触媒前センサ20の出力波形であり、片バンクのみに着目する点は前記同様である。
図10(a)は、何れの気筒のPFI2およびDI3にも異常が生じておらず、また吸気系にも異常が生じていない正常時を示す。この場合、状態Iではインバランス割合0%相当の空燃比変動パラメータXが得られ、状態IIでもインバランス割合0%相当の空燃比変動パラメータXが得られる。X<Z且つX<Zであり、この場合には正常と判定する。
図10(b)は、何れの気筒のPFI2およびDI3にも異常が生じていないが、吸気系にインバランス割合50%相当の異常が生じている吸気系異常50%時を示す。この場合、状態Iではインバランス割合50%相当の空燃比変動パラメータXが得られ、状態IIでもインバランス割合50%相当の空燃比変動パラメータXが得られる。X≧Z且つX≧Zであり、この場合には吸気系異常と判定する。
図10(c)は、1気筒のDI3にインバランス割合40%相当の異常が生じており、残りのPFI2およびDI3には異常が生じておらず、吸気系にも異常が生じていないDI異常40%時を示す。この場合、状態Iではインバランス割合24%相当の空燃比変動パラメータXが得られる。なぜならDI3の噴射割合は(1−0.4)=0.6であり、40%×0.6=24%、つまりDI3の異常の影響が噴き分けの結果減じられてしまうからである。他方、状態IIではインバランス割合40%相当の空燃比変動パラメータXが得られる。なぜならDI3の噴射割合は(1−0.0)=1.0であり、40%×1.0=40%だからである。X<Z且つX≧Zであり、この場合にはDI異常と判定する。
図10(d)は、1気筒のPFI2にインバランス割合80%相当の異常が生じており、残りのPFI2およびDI3には異常が生じておらず、吸気系にも異常が生じていないPFI異常80%時を示す。この場合、状態Iではインバランス割合32%相当の空燃比変動パラメータXが得られる。なぜならPFI2の噴射割合は0.4であり、80%×0.4=32%、つまりPFI2の異常の影響が噴き分けの結果減じられてしまうからである。他方、状態IIではインバランス割合0%相当の空燃比変動パラメータXが得られる。なぜならPFI2の噴射割合は0.0であり、80%×0.0=0%だからである。X≧Z且つX<Zであり、この場合にはPFI異常と判定する。
特に、状態Iのまま噴き分け率αを変更(減少)しない場合には、DI異常を検出することができない。それ故、異常検出時に噴き分け率αを変更する必要がある。
上記の原理に従い、本実施形態では次の方法で片バンクに関するリッチずれ異常と吸気系異常とを検出する。この検出はECU100によって実行される。
ステップS1:噴き分け率αが基準値Aのときの空燃比変動パラメータXを取得する。
ステップS2:噴き分け率αを基準値Aより大きい所定値Bに変更し、このときの空燃比変動パラメータXを取得する。
ステップS3:噴き分け率αを基準値Aより小さい所定値Cに変更し、このときの空燃比変動パラメータXを取得する。
ステップS4:X,X,Xを所定の異常判定値Zと比較し、PFI異常、DI異常、吸気系異常および正常のいずれかの判定を行う。この判定は次の通りである。
<Z、X<Z、X<Zのときは正常と判定。
≧Z、X≧Z、X≧Zのときは吸気系異常と判定。
<Z、X≧Z、X<ZのときはPFI異常と判定。
≧Z、X<Z、X≧ZのときはDI異常と判定。
ステップS5:噴き分け率αを元の基準値Aに変更(復帰)して、終了する。
このような検出方法を採用することにより、PFI異常、DI異常および吸気系異常を区別して的確に検出することが可能となり、検出精度の向上が図れる。
なお、ここでは一律の異常判定値Zを用いたが、X、X、Xの種別毎に異常判定値の値を変えても良い。また変更後の噴き分け率αの値は、燃焼安定性、トルク変動およびDI熱保護等の観点から適切に定めるのが好ましい。
ところで、上記の如き噴き分け率αの変更を両バンクにおいて同一タイミングで行ってしまうと、トルク変動やトルク段差が大きくなる、燃料系駆動音変化による変音感が発生するなどのドラバビリティ上の問題が発生する。
そこで本実施形態では、噴き分け率αの変更タイミングを両バンクの間で異ならせる。これにより、上述のドラバビリティ上の問題を克服し、ばらつき異常検出時におけるドライバビリティの向上を図れる。
図11において、(a)は第1のバンク4における噴き分け率αの変更タイミングを示し、(b)は第2のバンク5における噴き分け率αの変更タイミングを示す。異常検出は第1のバンク4、第2のバンク5の順で行われる。
時刻t0で検出を開始した後、時刻t1で第1のバンク4の噴き分け率変更が開始される。第1のバンク4の噴き分け率は、時刻t1でAからBに変更(増大)され、時刻t2でBからCに変更(減少)され、時刻t3でCからAに変更(増大復帰)される。時刻t3において第1のバンク4の噴き分け率変更は終了し、同時に第1のバンク4についての異常検出も実質的に終了する。
その後、所定時間(t3〜t4)を経過した時点t4において第2のバンク5の噴き分け率変更が開始される。第2のバンク5の噴き分け率は、時刻t4でAからBに変更(増大)され、時刻t5でBからCに変更(減少)され、時刻t6でCからAに変更(増大復帰)される。時刻t6において第2のバンク5の噴き分け率変更は終了し、同時に、第2のバンク5についての異常検出ひいては今回の異常検出も実質的に終了する。
このように、両バンク間で噴き分け率αの変更タイミングを異ならせた(ずらした)ので、これらを同一タイミングとした場合に比べ、トルク変動やトルク段差を抑制し、燃料系駆動音変化による変音感を減少し、ドラバビリティを向上することができる。
また、第1のバンク4についての噴き分け率変更終了後、所定時間(t3〜t4)を経過した時点t4から第2のバンク5についての噴き分け率変更を開始するようにしたので、第1のバンク4についての噴き分け率変更の影響を前記所定時間(t3〜t4)内で十分解消してから第2のバンク5についての噴き分け率変更を開始でき、検出精度およびドライバビリティの一層の向上が図れる。
図12は、噴き分け率変更タイミングの別の例を示す。この例では、第2のバンク5の噴き分け率変更期間の一部が第1のバンク4の噴き分け率変更期間の一部に重なる(オーバーラップする)ようになっている。図示例では、第1のバンク4の噴き分け率がBからCに変更される時刻t2と、CからAに変更される時刻t3との間の時刻t4で、第2のバンク5の噴き分け率がAからBに変更され、時刻t3の後の時刻t5で第2のバンク5の噴き分け率がBからCに変更される。
この場合、t4からt3までの期間で両バンクの噴き分け率が基準値Aでないため、当該期間内で図11の例と比較してドラバビリティの悪化が懸念される。しかしながらそれでも、両バンクの変更タイミングは常に同一とならないので、これを同一とした場合に比べドラバビリティを向上できる。
なお、回転変動パラメータYに基づくリーンずれ異常検出も噴き分け率変更を伴って実施するのが好ましい。しかしながらここでは便宜上、噴き分け率変更を伴わず、噴き分け率が基準値Aの状態でリーンずれ異常検出を実施する。
次に、図13を用いて、図11の例に基づくばらつき異常検出ルーチンを説明する。このルーチンはECU100により実行される。
検出開始後、ステップS101において、第1のバンク4について噴き分け率αを基準値Aとした状態で空燃比変動パラメータXを取得すると共に、第2のバンク5について噴き分け率αを基準値Aとした状態で空燃比変動パラメータXを取得する。また同時に回転変動パラメータYも取得する。iは気筒番号であり、i=1,2,・・・6である。このステップS101の実行期間は図11のt0〜t1に相当する。
次いでステップS102において、第1のバンク4について噴き分け率αを基準値Aより大きい所定値Bに変更し、この状態で空燃比変動パラメータXを取得する。第2のバンク5については噴き分け率αを基準値Aに維持し、空燃比変動パラメータの取得も行わない。このステップS102の実行期間は図11のt1〜t2に相当する。
次いでステップS103において、第1のバンク4について噴き分け率αを基準値Aより小さい所定値Cに変更し、この状態で空燃比変動パラメータXを取得する。第2のバンク5についてはステップS102と同様である。このステップS103の実行期間は図11のt2〜t3に相当する。
空燃比変動パラメータXの取得を終えたならば、ステップS104に進み、第1のバンク4について噴き分け率αを基準値Aに変更する。
次いでステップS105では、第1のバンク4について、既に取得した空燃比変動パラメータX、X、Xおよび回転変動パラメータY、Y、Yを対応する異常判定値とそれぞれ比較し、正異常判定を行う。リッチずれ異常については前述のステップS4の通りであり、リーンずれ異常についても前述した通りである。
この後、ステップS106では、第1のバンク4の噴き分け率変更終了時点(図11のt3)から所定時間(図11のt3〜t4)が経過したか否かを判断する。経過してなければ待機し、経過した場合にはステップS107に進む。
ステップS107では、第2のバンク5について噴き分け率αを基準値Aより大きい所定値Bに変更し、この状態で空燃比変動パラメータXを取得する。第1のバンク4については噴き分け率αを基準値Aに維持し、空燃比変動パラメータの取得も行わない。このステップS107の実行期間は図11のt4〜t5に相当する。
次いでステップS108において、第2のバンク5について噴き分け率αを基準値Aより小さい所定値Cに変更し、この状態で空燃比変動パラメータXを取得する。第1のバンク4についてはステップS107と同様である。このステップS108の実行期間は図11のt5〜t6に相当する。
空燃比変動パラメータXの取得を終えたならば、ステップS109に進み、第2のバンク5について噴き分け率αを基準値Aに変更する。
次いでステップS110では、第2のバンク5について、既に取得した空燃比変動パラメータX、X、Xおよび回転変動パラメータY、Y、Yを対応する異常判定値とそれぞれ比較し、正異常判定を行う。リッチずれ異常については前述のステップS4の通りであり、リーンずれ異常についても前述した通りである。以上でルーチンを終了する。
以上の説明で理解されるように、両バンクの噴き分け率変更に関しては、一方のバンクの噴き分け率αを基準値Aとした状態で他方のバンクの噴き分け率αを基準値A以外に変更するのが好ましい。基準値Aが、エンジンのあらゆる運転条件を考慮して大凡最適に定められた値だからである。
以上、本発明の好適な実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば本発明はV型エンジン以外にも適用可能である。例えば、一部の2気筒(例えば#1,3気筒)で第1の気筒群が形成され、残部の2気筒(例えば#2,4気筒)で第2の気筒群が形成される直列4気筒エンジンや、一部の3気筒(例えば#1,3,5気筒)で第1の気筒群が形成され、残部の3気筒(例えば#2,4,6気筒)で第2の気筒群が形成される直列6気筒エンジン等にも本発明は適用可能である。また水平対向型エンジン(バンク角が180°のV型エンジンとも解せる)にも本発明は適用可能である。エンジンの気筒数、形式、用途等は特に限定されない。ガソリンエンジンのような火花点火式内燃機関の場合、代替燃料(アルコール、CNG等の気体燃料等)の使用も可能である。
前記実施形態では、空燃比センサの出力変動に基づくばらつき異常検出と、エンジンの回転変動に基づくばらつき異常検出との両者を実施したが、これに限らず、いずれか一方のみを実施してもよい。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 内燃機関
2 吸気通路噴射用インジェクタ(PFI)
3 筒内噴射用インジェクタ(DI)
4 第1のバンク
5 第2のバンク
20 触媒前センサ
22 クランク角センサ
100 電子制御ユニット(ECU)

Claims (5)

  1. 第1および第2の気筒群と、各気筒に設けられた吸気通路噴射用インジェクタおよび筒内噴射用インジェクタとを有する多気筒内燃機関の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置であって、
    前記ばらつき異常の検出時、気筒群毎に、前記吸気通路噴射用インジェクタおよび筒内噴射用インジェクタの噴射割合を変更して前記ばらつき異常を検出すると共に、前記噴射割合の変更タイミングを前記第1および第2の気筒群の間で異ならせることを特徴とする気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  2. 前記第1および第2の気筒群の一方についての前記噴射割合変更終了後、所定時間経過した時点から、前記第1および第2の気筒群の他方についての前記噴射割合変更を開始する
    ことを特徴とする請求項1に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  3. 前記第1および第2の気筒群の各排気通路に個別に設置された第1および第2の空燃比センサを備え、
    前記ばらつき異常の検出時、前記第1の空燃比センサの出力変動に基づいて前記第1の気筒群のばらつき異常を検出すると共に、前記第2の空燃比センサの出力変動に基づいて前記第2の気筒群のばらつき異常を検出する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  4. 前記内燃機関の回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、
    前記ばらつき異常の検出時、前記回転速度検出手段によって検出された回転速度の変動に基づいて前記第1および第2の気筒群のばらつき異常を検出する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
  5. 前記内燃機関が、第1および第2のバンクを有するV型内燃機関であり、前記第1および第2の気筒群が、前記第1および第2のバンクにそれぞれ設けられた気筒群である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の気筒間空燃比ばらつき異常検出装置。
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