JP5526180B2 - 均質アニオン交換膜、複合不均質アニオン交換膜及び複合均質アニオン交換膜 - Google Patents

均質アニオン交換膜、複合不均質アニオン交換膜及び複合均質アニオン交換膜 Download PDF

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Description

本発明は、耐熱性に優れた均質アニオン交換膜、複合不均質アニオン交換膜及び複合均質アニオン交換膜に関するものである。
従来、アニオン交換膜は様々な種類の共重合体からなるものが知られており、例えば、クロロメチル基が導入されたスチレン系架橋共重合体とアミン類との反応によって得られるアニオン交換膜やビニルピリジン架橋共重合体およびその四級化物からなるアニオン交換膜、アミノ基もしくは四級アンモニウム基を導入した(メタ)アクリレート架橋重合体からなるアニオン交換膜、フッ素系ポリマーに四級アンモニウム基を導入したアニオン交換膜などが知られている。これらの中で、スチレン系アニオン交換膜は、耐薬品性や機械的特性に優れることから、幅広い用途で用いられてきた。しかし、従来のスチレン系アニオン交換膜は、その分子骨格が剛直なため膜にクラックが入りやすく、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性重合体をブレンドし、更にクロスやメッシュなどの補強材を加えた形で使用されている。更に、従来のスチレン系アニオン交換膜は、メチレン基を介してスチレン/
ジビニルベンゼン共重合体中のフェニル基と四級アンモニウム基が結合しているため、高pH条件下での耐熱性が低く、その使用条件に制約を受けていた。
このようなスチレン系アニオン交換膜の耐熱性を改善する方法として、特開2000−212306号公報(特許文献1)や、特開2002−114854号公報(特許文献2)には、四級アンモニウム基をアルキレン基又はアルコキシメチレン基からなるスペーサーを介してスチレン/ジビニルベンゼン共重合体中のフェニル基に導入した耐熱性の高い
アニオン交換膜が開示されている。
しかし、これらアニオン交換膜は、ω-ハロアルキルスチレンまたはω-ハロアルキルオキシメチルスチレンとジビニルベンゼンを共重合した後、トリアルキルアミンと反応させて製造されるため、アニオン交換容量が低下するという問題がある。また、特開2007−262389号(特許文献3)には、四級アンモニウム基を炭素数3〜6のアルコキシアルキレン基からなるスペーサーを介してスチレン重合体中のフェニル基に導入したアニオン交換体が開示されている。
特開2000−212306号公報(特許請求の範囲) 特開2002−114854号公報(特許請求の範囲) 特開2007−262389号(特許請求の範囲)
しかしながら、上記従来技術でもなお、耐熱性が不十分であり、更なる耐熱性の向上が求められている。
従って、本発明の課題は、耐熱性に優れたアニオン交換膜を提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、膜状の架橋アニオン交換体からなるアニオン交換膜であって、該架橋アニオン交換体が、下記一般式(1);
(式中、R、R、Rは同一または異なって、炭素数1〜8の炭化水素基を示す。Xはアニオンを示す。nは4〜12の整数を示す。)で表される構成単位と、一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーから誘導される構成単位と、を有するものである均質アニオン交換膜を提供するものである。
また、本発明は、粒子径が1〜80μmである架橋アニオン交換体30〜90重量%と、熱可塑性重合体10〜70重量%と、からなる複合不均質アニオン交換膜であって、該架橋アニオン交換体が、上記一般式(1);
(式中、符号の説明は同じ。)で表される構成単位と、一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーから誘導される構成単位とを有する架橋アニオン交換体であることを特徴とする複合不均質アニオン交換膜を提供するものである。
また、本発明は、熱可塑性重合体マトリックス中に、1μm未満の粒径の架橋アニオン交換体粒子が分散している複合均質アニオン交換膜であって、該架橋アニオン交換体が、上記一般式(1);
(式中、符号の説明は同じ。)で表される構成単位と、一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーから誘導される構成単位とを有するものであり、
該架橋性モノマーから誘導される構成単位の導入量が、全構成単位に対して、0.5〜30モル%であり、
該複合均質アニオン交換膜中、該熱可塑性重合体の含有量が5〜80重量%であること
を特徴とする複合均質アニオン交換膜を提供するものである。
本発明によれば、耐熱性に優れた均質アニオン交換膜、複合不均質アニオン交換膜及び複合均質アニオン交換膜を提供することができる。
本発明の均質アニオン交換膜は、膜状の該架橋アニオン交換体である。本発明の架橋アニオン交換膜は、膜状の架橋アニオン交換体からなるアニオン交換膜であって、該架橋アニオン交換体が、上記一般式(1);
(式中、符号の説明は同じであるので省略する)
で表される構成単位と、一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーから誘導される構成単位と、を有するものである。
本発明の均質アニオン交換膜に係る該架橋アニオン交換体は、前記一般式(1)で表わされる構造単位を有し、且つ、一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーにより架橋された構造単位を有する。
本発明の均質アニオン交換膜に係る該架橋イオン交換体において、一般式(1)中の炭素数1〜8の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基などの直鎖状、分岐鎖状、
環状の炭素数1〜8のアルキル基;ビニル基、プロペニル基等、上記アルキル基に対応する炭素数2〜8のアルケニル基を挙げることができる。好適には炭素数1〜6の炭化水素基である。一般式(1)中、炭化水素基が、炭素数8を超えるものは、イオン交換特性が低下してしまうため、好ましくない。
一般式(1)中のXで示されるアニオンとしては、特に制限はなく、具体例としては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、水酸化物イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、シアン化物イオン、炭酸水素イオン、硫酸水素イオン、燐酸二水素イオン、次亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、蟻酸イオン、酢酸イオン、酒石酸イオン、安息香酸イオン、フェノラートイオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン等が挙げられる。また、当該アニオンとしては、上記一価イオンのみならず、硫酸イオン、燐酸イオン、ポリアクリル酸等の多価イオンであってもよい。
一般式(1)中のnは4〜12、好ましくは4〜10、更に好ましくは4〜8である。nが3以下であると耐熱性が急激に低くなるため好ましくなく、一方、12を越えると、イオン交換容量が低くなるため好ましくない。また、nが8を越えると、沸点が上がり、蒸留分離が困難となり、工業的にコストがかかる。
本発明の均質アニオン交換膜に係る該架橋イオン交換体において、一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーから誘導される構成単位に係る該架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、ビス(ビニルフェニル)スルホン、ビス(ビニルフェニル)エタン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチレンビス(アクリルアミド)、エチレンビス(アクリルアミド)等を挙げることができる。好適な架橋性モノマーは、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレンである。
該架橋性モノマーから誘導される構成単位の導入量は、全構成単位に対して0.5〜30モル%であることが必要である。架橋導入量が0.5モル%未満であると、膜の強度が著しく低下して膜に亀裂が生じたり、膜が過度に膨張したりするため好ましくない。一方、架橋導入量が30モル%を超えると、膜が脆くなったり、アニオン交換膜のアニオン交換容量が低くなり性能が低下するため好ましくない。好適な架橋導入量は、0.5〜25モル%、更に好適には1.0〜20モル%である。
なお、本発明の均質アニオン交換膜に係る該架橋イオン交換体は、その目的を逸脱しない範囲内において、第三成分としてビニル系モノマーから誘導される構成単位を有していてもよい。該第三成分としてのビニル系モノマーは、後述する本発明の均質アニオン交換膜を製造する方法において列挙したビニル系モノマーが挙げられる。
本発明の均質アニオン交換膜に係る該架橋イオン交換体のアニオン交換容量は、乾燥状態で単位重量当り1.0〜4.5mg当量/gであり、好ましくは2.0〜4.0mg当
量/gである。該架橋イオン交換体のアニオン交換容量が、1.0mg当量/g未満だと、アニオン交換膜としての性能が低くなり易く、また、4.5mg当量/gを超えると、膜
の膨潤が大きくなり過ぎ、強度が低くなり易い。
本発明の均質アニオン交換膜は、オキシアルキレン基からなるスペーサーを有しているため、可とう性に優れており、従来のイオン交換膜のように熱可塑性重合体を添加したり、補強材と複合化したりしなくてもアニオン交換膜を形成できる。その結果、高いアニオン交換容量を維持でき、電気抵抗の低下や輸率の向上等好ましい特性を付与できる。
ただし、本発明の均質アニオン交換膜は補強材との複合化を排除するものではなく、膜の使用環境によっては、ポリオレフィンやポリ塩化ビニルからなるクロスや不織布、ポリオレフィン製多孔質膜等を補強材として用いることができる。なお、用途によって、膜の柔軟性が更に要求される場合は、本発明の目的を逸脱しない範囲内において、第三成分として柔軟セグメントとしてのビニル系モノマーから誘導される構成単位を導入したり、フタル酸ジオクチルやフタル酸ジブチル等のフタル酸ジアルキル類やソルビタンモノオレエートやソルビタンモノラウレート等のソルビタン脂肪酸エステル等の可塑剤を加えても良い。
本発明の均質アニオン交換膜の膜厚に特に制限はないが、通常、5〜500μmであり、好ましくは10〜300μmである。膜厚が5μm未満であると、実使用条件下で要求される強度の維持が困難になり易く、一方、500μmを超えると、イオンの透過特性等イオン交換膜としての性能が低くなり易い。
次ぎに、本発明の均質アニオン交換体の製造方法について説明する。本発明の均質アニオン交換体は、例えば、以下のような製造方法により製造される。すなわち、下記一般式(2);
(式中、R、Rは同一または異なって、炭素数1〜8の炭化水素基を示す。nは4〜12の整数を示す。)で表されるアミノアルコキシスチレンと、一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーを全モノマー中、0.5〜30モル%とを、アゾ系重合開始剤を混合して均一溶液とし、次いで、この均一溶液をポリオレフィン製又はフッ素樹脂製の型に流し込み、密封後加熱及び重合して、フィルム状又はシート状の膜状三級アミノ基含有架橋重合体を得、次いで、有機ハロゲン化物と該膜状三級アミノ基含有架橋重合体とを反応させて、本発明の均質アニオン交換膜を得る製造方法である。
前記一般式(2)中、R、R及びnは、前記一般式(1)におけるものと同様のものが挙げられる。前記一般式(2)で表されるアミノアルコキシスチレンの具体例としては、p−(4−N,N−ジメチルアミノブトキシ)スチレン、p−(4−N,N−ジエチルアミノブトキシ)スチレン、p−(4−N,N−ジ−n−プロピルアミノブトキシ)スチレン、p−(4−N,N−ジ−i−プロピルアミノブトキシ)スチレン、p−(4−N,N−ジ−n−ブチルアミノブトキシ)スチレン、p−(4−N,N−ジ−i−ブチルアミノブトキシ)スチレン、p−(4−N,N−ジ−s−ブチルアミノブトキシ)スチレン、p−(4−N,N−ジ−t−ブチルアミノブトキシ)スチレン、p−(5−N,N−ジメチルアミノペンチルオキシ)スチレン、p−(5−N,N−ジエチルアミノペンチルオキシ)スチレン、p−(5−N,N−ジ−n−プロピルアミノペンチルオキシ)スチレン、p−(5−N,N−ジ−i−プロピルアミノペンチルオキシ)スチレン、p−(5−N,N−ジ−n−ブチルアミノペンチルオキシ)スチレン、p−(5−N,N−ジ−i−ブチルアミノペンチルオキシ)スチレン、p−(5−N,N−ジ−s−ブチルアミノペンチルオキシ)スチレン、p−(5−N,N−ジ−t−ブチルアミノペンチルオキシ)スチレン、p−(6−N,N−ジメチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、p−(6−N,N−ジエチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、p−(6−N,N−ジ−n−プロピルアミノ
ヘキシルオキシ)スチレン、p−(6−N,N−ジ−i−プロピルアミノヘキシルオキシ)スチレン、p−(6−N,N−ジ−n−ブチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、p−(6−N,N−ジ−i−ブチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、p−(6−N,N−ジ−s−ブチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、p−(6−N,N−ジ−t−ブチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、p−(7−N,N−ジメチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、p−(7−N,N−ジエチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、p−(7−N,N−ジ−n−プロピルアミノヘプチルオキシ)スチレン、p−(7−N,N−ジ−i−プロピルアミノヘプチルオキシ)スチレン、p−(7−N,N−ジ−n−ブチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、p−(7−N,N−ジ−i−ブチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、p−(7−N,N−ジ−s−ブチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、p−(7−N,N−ジ−t−ブチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、p−(8−N,N−ジメチルアミノオクチルオキシ)スチレン、p−(8−N,N−ジエチルアミノオクチルオキシ)スチレン、p−(8−N,N−ジ−n−プロピルアミノオクチルオキシ)スチレン、p−(8−N,N−ジ−i−プロピルアミノオクチルオキシ)スチレン、p−(8−N,N−ジ−n−ブチルアミノオクチルオキシ)スチレン、p−(8−N,N−ジ−i−ブチルアミノオクチルオキシ)スチレン、p−(8−N,N−ジ−s−ブチルアミノオクチルオキシ)スチレン、p−(8−N,N−ジ−t−ブチルアミノオクチルオキシ)スチレン、p−(9−N,N−ジメチルアミノノナニルオキシ)スチレン、p−(9−N,N−ジエチルアミノノナニルオキシ)スチレン、p−(9−N,N−ジ−n−プロピルアミノノナニルオキシ)スチレン、p−(9−N,N−ジ−i−プロピルアミノノナニルオキシ)スチレン、p−(9−N,N−ジ−n−ブチルアミノノナニルオキシ)スチレン、p−(9−N,N−ジ−i−ブチルアミノノナニルオキシ)スチレン、p−(9−N,N−ジ−s−ブチルアミノノナニルオキシ)スチレン、p−(9−N,N−ジ−t−ブチルアミノノナニルオキシ)スチレン、
p−(10−N,N−ジメチルアミノデカニルオキシ)スチレン、p−(10−N,N−ジエチルアミノデカニルオキシ)スチレン、p−(10−N,N−ジ−n−プロピルアミノデカニルオキシ)スチレン、p−(10−N,N−ジ−i−プロピルアミノデカニルオキシ)スチレン、p−(10−N,N−ジ−n−ブチルアミノデカニルオキシ)スチレン、p−(10−N,N−ジ−i−ブチルアミノデカニルオキシ)スチレン、p−(10−N,N−ジ−s−ブチルアミノデカニルオキシ)スチレン、p−(10−N,N−ジ−t−ブチルアミノデカニルオキシ)スチレン、p−(11−N,N−ジメチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、p−(11−N,N−ジエチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、p−(11−N,N−ジ−n−プロピルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、p−(11−N,N−ジ−i−プロピルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、p−(11−N,N−ジ−n−ブチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、p−(11−N,N−ジ−i−ブチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、p−(11−N,N−ジ−s−ブチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、p−(11−N,N−ジ−t−ブチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、p−(12−N,N−ジメチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、p−(12−N,N−ジエチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、p−(12−N,N−ジ−n−プロピルアミノドデカニルオキシ)スチレン、p−(12−N,N−ジ−i−プロピルアミノドデカニルオキシ)スチレン、p−(12−N,N−ジ−n−ブチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、p−(12−N,N−ジ−i−ブチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、p−(12−N,N−ジ−s−ブチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、p−(12−N,N−ジ−t−ブチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、
m−(4−N,N−ジメチルアミノブトキシ)スチレン、m−(4−N,N−ジエチルアミノブトキシ)スチレン、m−(4−N,N−ジ−n−プロピルアミノブトキシ)スチレン、m−(4−N,N−ジ−i−プロピルアミノブトキシ)スチレン、m−(4−N,
N−ジ−n−ブチルアミノブトキシ)スチレン、m−(4−N,N−ジ−i−ブチルアミノブトキシ)スチレン、m−(4−N,N−ジ−s−ブチルアミノブトキシ)スチレン、m−(4−N,N−ジ−t−ブチルアミノブトキシ)スチレン、m−(5−N,N−ジメチルアミノペンチルオキシ)スチレン、m−(5−N,N−ジエチルアミノペンチルオキシ)スチレン、m−(5−N,N−ジ−n−プロピルアミノペンチルオキシ)スチレン、m−(5−N,N−ジ−i−プロピルアミノペンチルオキシ)スチレン、m−(5−N,N−ジ−n−ブチルアミノペンチルオキシ)スチレン、m−(5−N,N−ジ−i−ブチルアミノペンチルオキシ)スチレン、m−(5−N,N−ジ−s−ブチルアミノペンチルオキシ)スチレン、m−(5−N,N−ジ−t−ブチルアミノペンチルオキシ)スチレン、m−(6−N,N−ジメチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、m−(6−N,N−ジエチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、m−(6−N,N−ジ−n−プロピルアミノヘキシルオキシ)スチレン、m−(6−N,N−ジ−i−プロピルアミノヘキシルオキシ)スチレン、m−(6−N,N−ジ−n−ブチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、m−(6−N,N−ジ−i−ブチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、m−(6−N,N−ジ−s−ブチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、m−(6−N,N−ジ−t−ブチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、m−(7−N,N−ジメチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、m−(7−N,N−ジエチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、m−(7−N,N−ジ−n−プロピルアミノヘプチルオキシ)スチレン、m−(7−N,N−ジ−i−プロピルアミノヘプチルオキシ)スチレン、m−(7−N,N−ジ−n−ブチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、m−(7−N,N−ジ−i−ブチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、m−(7−N,N−ジ−s−ブチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、m−(7−N,N−ジ−t−ブチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、m−(8−N,N−ジメチルアミノオクチルオキシ)スチレン、m−(8−N,N−ジエチルアミノオクチルオキシ)スチレン、m−(8−N,N−ジ−n−プロピルアミノオクチルオキシ)スチレン、m−(8−N,N−ジ−i−プロピルアミノオクチルオキシ)スチレン、m−(8−N,N−ジ−n−ブチルアミノオクチルオキシ)スチレン、m−(8−N,N−ジ−i−ブチルアミノオクチルオキシ)スチレン、m−(8−N,N−ジ−s−ブチルアミノオクチルオキシ)スチレン、m−(8−N,N−ジ−t−ブチルアミノオクチルオキシ)スチレン、m−(9−N,N−ジメチルアミノノナニルオキシ)スチレン、m−(9−N,N−ジエチルアミノノナニルオキシ)スチレン、m−(9−N,N−ジ−n−プロピルアミノノナニルオキシ)スチレン、m−(9−N,N−ジ−i−プロピルアミノノナニルオキシ)スチレン、m−(9−N,N−ジ−n−ブチルアミノノナニルオキシ)スチレン、m−(9−N,N−ジ−i−ブチルアミノノナニルオキシ)スチレン、m−(9−N,N−ジ−s−ブチルアミノノナニルオキシ)スチレン、m−(9−N,N−ジ−t−ブチルアミノノナニルオキシ)スチレン、m−(10−N,N−ジメチルアミノデカニルオキシ)スチレン、m−(10−N,N−ジエチルアミノデカニルオキシ)スチレン、m−(10−N,N−ジ−n−プロピルアミノデカニルオキシ)スチレン、m−(10−N,N−ジ−i−プロピルアミノデカニルオキシ)スチレン、m−(10−N,N−ジ−n−ブチルアミノデカニルオキシ)スチレン、m−(10−N,N−ジ−i−ブチルアミノデカニルオキシ)スチレン、m−(10−N,N−ジ−s−ブチルアミノデカニルオキシ)スチレン、m−(10−N,N−ジ−t−ブチルアミノデカニルオキシ)スチレン、
m−(11−N,N−ジメチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、p−(11−N,N−ジエチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、m−(11−N,N−ジ−n−プロピルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、m−(11−N,N−ジ−i−プロピルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、m−(11−N,N−ジ−n−ブチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、m−(11−N,N−ジ−i−ブチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、m−(11−N,N−ジ−s−ブチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、m−(11−N,N−ジ−t−ブチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、m−(12−N,N−ジメチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、m−(12−N,N−ジエ
チルアミノドデカニルオキシ)スチレン、m−(12−N,N−ジ−n−プロピルアミノドデカニルオキシ)スチレン、m−(12−N,N−ジ−i−プロピルアミノドデカニルオキシ)スチレン、m−(12−N,N−ジ−n−ブチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、m−(12−N,N−ジ−i−ブチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、m−(12−N,N−ジ−s−ブチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、m−(12−N,N−ジ−t−ブチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、o−(4−N,N−ジメチルアミノブトキシ)スチレン、o−(4−N,N−ジエチルアミノブトキシ)スチレン、o−(4−N,N−ジ−n−プロピルアミノブトキシ)スチレン、o−(4−N,N−ジ−i−プロピルアミノブトキシ)スチレン、o−(4−N,N−ジ−n−ブチルアミノブトキシ)スチレン、o−(4−N,N−ジ−i−ブチルアミノブトキシ)スチレン、o−(4−N,N−ジ−s−ブチルアミノブトキシ)スチレン、o−(4−N,N−ジ−t−ブチルアミノブトキシ)スチレン、o−(5−N,N−ジメチルアミノペンチルオキシ)スチレン、o−(5−N,N−ジエチルアミノペンチルオキシ)スチレン、o−(5−N,N−ジ−n−プロピルアミノペンチルオキシ)スチレン、o−(5−N,N−ジ−i−プロピルアミノペンチルオキシ)スチレン、o−(5−N,N−ジ−n−ブチルアミノペンチルオキシ)スチレン、o−(5−N,N−ジ−i−ブチルアミノペンチルオキシ)スチレン、o−(5−N,N−ジ−s−ブチルアミノペンチルオキシ)スチレン、o−(5−N,N−ジ−t−ブチルアミノペンチルオキシ)スチレン、o−(6−N,N−ジメチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、o−(6−N,N−ジエチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、o−(6−N,N−ジ−n−プロピルアミノヘキシルオキシ)スチレン、o−(6−N,N−ジ−i−プロピルアミノヘキシルオキシ)スチレン、o−(6−N,N−ジ−n−ブチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、o−(6−N,N−ジ−i−ブチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、o−(6−N,N−ジ−s−ブチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、o−(6−N,N−ジ−t−ブチルアミノヘキシルオキシ)スチレン、o−(7−N,N−ジメチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、o−(7−N,N−ジエチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、o−(7−N,N−ジ−n−プロピルアミノヘプチルオキシ)スチレン、o−(7−N,N−ジ−i−プロピルアミノヘプチルオキシ)スチレン、o−(7−N,N−ジ−n−ブチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、o−(7−N,N−ジ−i−ブチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、o−(7−N,N−ジ−s−ブチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、o−(7−N,N−ジ−t−ブチルアミノヘプチルオキシ)スチレン、o−(8−N,N−ジメチルアミノオクチルオキシ)スチレン、o−(8−N,N−ジエチルアミノオクチルオキシ)スチレン、o−(8−N,N−ジ−n−プロピルアミノオクチルオキシ)スチレン、o−(8−N,N−ジ−i−プロピルアミノオクチルオキシ)スチレン、o−(8−N,N−ジ−n−ブチルアミノオクチルオキシ)スチレン、o−(8−N,N−ジ−i−ブチルアミノオクチルオキシ)スチレン、o−(8−N,N−ジ−s−ブチルアミノオクチルオキシ)スチレン、o−(8−N,N−ジ−t−ブチルアミノオクチルオキシ)スチレン、o−(9−N,N−ジメチルアミノノナニルオキシ)スチレン、o−(9−N,N−ジエチルアミノノナニルオキシ)スチレン、o−(9−N,N−ジ−n−プロピルアミノノナニルオキシ)スチレン、o−(9−N,N−ジ−i−プロピルアミノノナニルオキシ)スチレン、o−(9−N,N−ジ−n−ブチルアミノノナニルオキシ)スチレン、o−(9−N,N−ジ−i−ブチルアミノノナニルオキシ)スチレン、o−(9−N,N−ジ−s−ブチルアミノノナニルオキシ)スチレン、o−(9−N,N−ジ−t−ブチルアミノノナニルオキシ)スチレン、o−(10−N,N−ジメチルアミノデカニルオキシ)スチレン、o−(10−N,N−ジエチルアミノデカニルオキシ)スチレン、o−(10−N,N−ジ−n−プロピルアミノデカニルオキシ)スチレン、o−(10−N,N−ジ−i−プロピルアミノデカニルオキシ)スチレン、o−(10−N,N−ジ−n−ブチルアミノデカニルオキシ)スチレン、o−(10−N,N−ジ−i−ブチルアミノデカニルオキシ)スチレン、o−(10−N,N−ジ−s−ブチルアミノデカニルオキシ)スチレン、o−(10−N,N−ジ−t−ブチルアミノデカニルオキシ)スチレン、
o−(11−N,N−ジメチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、o−(11−N,N−ジエチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、o−(11−N,N−ジ−n−プロピルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、o−(11−N,N−ジ−i−プロピルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、o−(11−N,N−ジ−n−ブチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、o−(11−N,N−ジ−i−ブチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、o−(11−N,N−ジ−s−ブチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、o−(11−N,N−ジ−t−ブチルアミノウンデカニルオキシ)スチレン、o−(12−N,N−ジメチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、o−(12−N,N−ジエチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、o−(12−N,N−ジ−n−プロピルアミノドデカニルオキシ)スチレン、o−(12−N,N−ジ−i−プロピルアミノドデカニルオキシ)スチレン、o−(12−N,N−ジ−n−ブチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、o−(12−N,N−ジ−i−ブチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、o−(12−N,N−ジ−s−ブチルアミノドデカニルオキシ)スチレン、o−(12−N,N−ジ−t−ブチルアミノドデカニルオキシ)スチレン等を挙げることができる。これらのアミノアルコキシスチレン類の製造方法に特に制限はないが、アミノアルコキシフェニルマグネシウムハライドを、触媒の存在下にビニルハライドと反応させることにより、効率よく製造できる。
本発明の均質アニオン交換膜を製造する方法において、該一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーの具体例としては、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、ビス(ビニルフェニル)スルホン、ビス(ビニルフェニル)エタン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチレンビス(アクリルアミド)、エチレンビス(アクリルアミド)等を挙げることができる。この架橋性モノマーの使用量は、全モノマーに対して0.5〜30モル%が好ましい。該架橋性モノマーの使用量が0.5モル%未満であると、強度が低下して膜に亀裂を生じ易くなったり、過度の膨潤を生じ易くなる。一方、架橋性モノマーが30モル%を超えると、アニオン交換膜のアニオン交換容量が低くなり易い。好適な架橋性モノマー使用量は、0.5〜25モル%、更に好適には1.0〜20モル%である。
本発明の均質アニオン交換膜を製造する方法において、本発明の目的を逸脱しない範囲内において、第三成分としてその他のビニル系モノマーが共重合されていても良く、そのようなビニル系モノマーの具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、t−ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、1−エトキシエトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン、スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸メチル、スチレンスルホン酸エチル、スチレンスルホン酸シクロヘキシル等のスチレン系単量体、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−又はi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、ヒドロキシベンジルメタクリレート、ヒドロキシフェネチルメタクリレート、ジヒドロキシフェネチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリ
ルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシフェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル系単量体、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−又はi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、ヒドロキシベンジルアクリレート、ヒドロキシフェネチルアクリレート、ジヒドロキシフェネチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシフェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチルアクリレート等のアクリル酸エステル系単量体等を挙げることができる。
本発明の均質アニオン交換膜を製造する方法において、該重合開始剤としては、アゾ系開始剤が用いられる。重合開始剤として、過酸化物系開始剤を用いると、アミノアルコキシスチレン類と過酸化物が酸化又は還元反応を起こして、dead-end重合を引き起こすため重合体が得られない。それに対して、アゾ系開始剤は酸化能力が低いためdead-end重合が起こらない。好適なアゾ系開始剤の具体例としては、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)−2-メチルプロピオンアミド]、2-シアノ-2-プロピルアゾホルムアミド、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチル
プロピオンアミド)等が挙げられる。これらアゾ系開始剤の使用量は、全モノマー量に対して0.01〜2モル%が好ましい。
本発明の均質アニオン交換膜を製造する方法において、重合温度は、重合開始剤の半減温度、重合開始剤使用量、モノマーの重合速度により幅広く選択できるが、一般的には20〜120℃、好ましくは30〜100℃の範囲から選択される。重合時間は、上記重合温度の影響を大きく受け、0.5〜48時間、好ましくは1〜24時間の範囲から選択される。
本発明の均質アニオン交換膜を製造する方法において、該有機ハロゲン化合物は、下記一般式(3):R−Y (3)
(式中、Rは炭素数が1〜8の炭化水素基を示し、Yはハロゲン原子を示す。)
で表わされる有機ハロゲン化合物であり、該有機ハロゲン化合物の具体例としては、メチルクロライド、メチルブロマイド、メチルヨーダイド、エチルクロライド、エチルブロマイド、エチルヨーダイド、n−プロピルクロライド、n−プロピルブロマイド、n−プロピルヨーダイド、i−プロピルクロライド、i−プロピルブロマイド、i−プロピルヨーダイド、n−ブチルクロライド、n−ブチルブロマイド、n−ブチルヨーダイド、i−ブチルクロライド、i−ブチルブロマイド、i−ブチルヨーダイド、s−ブチルクロライド、s−ブチルブロマイド、s−ブチルヨーダイド、t−ブチルクロライド、t−ブチルブロマイド、t−ブチルヨーダイド、クロロメチルアルコール、ブロモメチルアルコール、ヨードメチルアルコール、1−クロロエタノール、1−ブロモエタノール、1−ヨードエタノール、2−クロロエタノール、2−ブロモエタノール、2−ヨードエタノール、1−クロロプロパノール、1−ブロモプロパノール、1−ヨードプロパノール、2−クロロプ
ロパノール、2−ブロモプロパノール、2−ヨードプロパノール、3−クロロプロパノール、3−ブロモプロパノール、3−ヨードプロパノール、1−クロロブタノール、1−ブロモブタノール、1−ヨードブタノール、2−クロロブタノール、2−ブロモブタノール、2−ヨードブタノール、3−クロロブタノール、3−ブロモブタノール、3−ヨードブタノール、4−クロロブタノール、4−ブロモブタノール、4−ヨードブタノール等が挙げられる。
この有機ハロゲン化合物と該膜状三級アミノ基含有架橋重合体との反応は、定法に従って行えばよく、例えば溶媒中に該膜状三級アミノ基含有架橋重合体を浸漬し、これに有機ハロゲン化合物を加えて反応させればよい。溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;水;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セロソルブ類等のエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホロアミド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。これらは単独或いは混合することにより用いることができる。場合によっては、これら溶媒を用いることなく、有機ハロゲン化合物と架橋重合体を直接反応させることも可能である。反応温度は、使用する有機ハロゲン化合物の種類により異なるが、通常、20〜200℃で常圧下または加圧下で実施される。反応時間は、反応温度及び使用する有機ハロゲン化合物の種類により異なるが、通常0.5〜48時間である。該有機ハロゲン化物の添加量は、重合体中の三級アミノ基単位に対して1〜10倍モルである。使用量が1倍モル未満の場合には、4級化反応が十分に進行せず、また10倍モル以上の場合には経済的に不利となる。
次に、本発明の複合不均質アニオン交換膜について説明する。本発明の複合不均質アニオン交換膜は、粒子径が1〜80μmである架橋アニオン交換体30〜90重量%と、熱可塑性重合体10〜70重量%と、からなるものであって、該架橋アニオン交換体が、前記一般式(1)で表される構成単位と、一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーから誘導される構成単位とを有するものである。
本発明の複合不均質アニオン交換膜に係る該架橋アニオン交換体は、本発明のアニオン交換膜に係る該架橋アニオン交換体と同様である。
本発明の複合不均質アニオン交換膜中の該架橋アニオン交換体は粒状であり、粒状の該架橋アニオン交換体の粒子径は、1〜80μmであり、好ましくは、10〜50μmである。該架橋アニオン交換体の粒子径が1μm以下であると、複合不均質アニオン交換膜中での架橋アニオン交換体の分散不良が生じやすく、特性低下が引き起こされるため好ましくない。一方、該架橋アニオン交換体の粒子径が80μmを越えると、複合不均質アニオン交換膜の強度低下やピンホールが多発するようになるため好ましくない。
本発明の複合不均質アニオン交換膜に係る該架橋アニオン交換体は、粒状である。このような粒状の該架橋アニオン交換体は、本発明の均質アニオン交換膜、例えば、本発明の均質アニオン交換膜を製造する方法により得られる均質アニオン交換膜を、粉砕したものが挙げられるが、以下に記載の方法で得られる粒子状架橋アニオン交換体、もしくはその粉砕物が好ましい。
該粒子状架橋アニオン交換体を製造する方法としては、前記一般式(2)で表されるアミノアルコキシスチレンと、一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーを全モノマー中、0.5〜30モル%とを、水難溶解性のアゾ系重合開始剤を用いて、
水性媒体中、懸濁重合させて粒子状架橋重合体を得る第1工程と、第1工程で得られた粒子状架橋重合体を、有機ハロゲン化合物と反応させ、該粒子状架橋アニオン交換体を得る第2工程と、を行う方法である。
該粒子状架橋アニオン交換体を製造する方法に係る前記一般式(2)で表されるアミノアルコキシスチレン、該一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマー、該有機ハロゲン化合物は、本発明の均質アニオン交換膜を製造する方法に係る前記一般式(2)で表されるアミノアルコキシスチレン、該一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマー、該有機ハロゲン化合物と同様である。
該粒子状架橋アニオン交換体を製造する方法に係る該第1工程において、該一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーは、全モノマー中、0.5〜30モル%であり、0.5〜25モル%が好ましく、1.0〜20モル%が特に好ましい。
なお、該粒子状架橋アニオン交換体を製造する方法に係る該第1工程において、本発明の目的を逸脱しない範囲内において、前記一般式(2)で表されるアミノアルコキシスチレン及び該一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーと共に、第三成分としてその他のビニル系モノマーを添加することできる。該粒子状架橋アニオン交換体を製造する方法に係る該第三成分としてその他のビニル系モノマーは、本発明の均質アニオン交換膜を製造する方法に係る該第三成分としてその他のビニル系モノマーと同様である。
該粒子状架橋アニオン交換体を製造する方法に係る該第1工程で使用される重合開始剤は、水難溶解性のアゾ系重合開始剤である。本発明において、水難溶解性とは、25℃における水への溶解度が0.03g/100gHO以下のものを言う。重合開始剤として
、過酸化物系開始剤を用いると、アミノアルコキシスチレンと過酸化物が酸化又は還元反応を起こして、dead-end重合を引き起こすため重合体が得られない。それに対して、アゾ系開始剤は酸化能力が低いためdead-end重合とはならないが、水への溶解度が上記範囲を超えるアゾ系開始剤を用いると、水への溶解性が比較的高いアミノアルコキシスチレンが水中で重合し、微粒子が生成し、それがバインダーとなって粒子の凝集が起こるため好ましくない。この微粒子生成を抑制するためには、水への溶解度がほとんどない、すなわち溶解度が0.02g/100gHO以下、特に0.01g/100gHO以下のアゾ系重合開始剤を用いるとよい。好適なアゾ系開始剤の具体例としては、2,2’-アゾビ
ス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル
)が挙げられる。これらアゾ系開始剤の使用量は、全モノマー量に対して、通常0.01〜2モル%である。
該第1工程において、アミノアルコキシスチレン及び架橋性モノマーからなるモノマーと水の比率は、1:2から1:20の範囲で任意に設定できる。重合の際、粒子の安定性を保持しつつアミノアルコキシスチレンの水相への分配を抑制するため、pHを4〜10の範囲に維持し、更に分散剤を添加することが好ましい。pHを維持するため、各種塩類を水に添加して水相を緩衝溶液とすることが、球状粒子の占める割合が90%以上となる良好な粒子形状と定量的な粒子収率を与えるため好ましい。
該粒子状架橋アニオン交換体を製造する方法に係る該第1工程で用いられる分散剤としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリジアリルアミン及びその塩、ポリアクリル酸及びその塩、スチレン/マレイン酸共重合体及びその塩、ヒドロキシアルキルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース、アルキルセルロース、ゼラチン、キサンタンガム等が挙げられる。これら分散剤は1種単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該分散剤の添加量は、モノマーと水の比率や粒子径の設定値によってその最適な添加量は変動するが、水相中の濃度が0.05〜5.0重量%となるように添加すればよい。好ましい分散剤添加量は、0.1〜3.0重量%である。
該粒子状架橋アニオン交換体を製造する方法に係る該第1工程において、重合温度は、重合開始剤の半減温度、重合開始剤使用量、モノマーの重合速度により幅広く選択できるが、一般的には20〜120℃、好ましくは30〜100℃の範囲から選択される。重合時間は、上記重合温度の影響を大きく受け、0.5〜48時間、好ましくは1〜24時間の範囲から選択される。
粒子径が1〜80μmである粒子状架橋アニオン交換体を得るには、懸濁重合の際に分散剤量を増加させ、攪拌回転数を高く設定すればよい。また、第1工程で得られた粒子状架橋重合体を上記数値範囲の粒子径となるように粉砕してもよい。
該粒子状架橋アニオン交換体を製造する方法に係る該第2工程は、該有機ハロゲン化合物と反応させるものが、該第1工程で得られた該粒子状架橋重合体であること以外は、本発明のアニオン交換膜を製造する方法において、該有機ハロゲン化物と該膜状三級アミノ基含有架橋重合体とを反応させる方法と同様である。
本発明の複合不均質アニオン交換膜中、該架橋アニオン交換体の含有量は、30〜90重量%である。該架橋アニオン交換体の含有量が、30重量%未満であると、複合不均質アニオン交換膜の電気抵抗が高くなる、イオン交換特性が低下するといった膜性能の低下が認められるようになるため好ましくない。一方、該架橋アニオン交換体の含有量が、90重量%を超えて配合されると、複合不均質アニオン交換膜の強度低下が著しくなるため好ましくない。
本発明の複合不均質アニオン交換膜に係る該熱可塑性重合体は、粒状の該架橋アニオン交換体のバインダーとしての働きをする。本発明の複合不均質アニオン交換膜に係る該熱可塑性重合体は、柔軟かつ熱安定性が良好で、該架橋アニオン交換体との親和性に優れたものが好ましい。該熱可塑性重合体の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール
共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリオレフィン系重合体;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、エチレン-塩化ビニル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等のハロゲン含有重合体;ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)-ポリスチレン
ブロック共重合体、ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)-ポリスチレンブロック
共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
本発明の複合不均質アニオン交換膜は、粒状の該架橋アニオン交換体と、残部の該熱可塑性重合体とによって、形成されている。よって、本発明の複合不均質アニオン交換膜中、該熱可塑性重合体の含有量は、10〜70重量%である。
本発明の複合不均質アニオン交換膜を製造する方法に特に制限はないが、溶媒を用いてキャスト製膜する方法や、加熱及び溶融製膜する方法が挙げられる。これらの方法の中で、粒状の該架橋アニオン交換体とバインダーである該熱可塑性重合体とを加熱混練した後、押し出し成形やプレス成形等でシート状に成形する溶融製膜法が好ましく用いられる。このように、本発明の複合不均質アニオン交換膜は、極めて簡便かつ安価に製造可能であり、この点が、該膜の特徴である。なお、膜の使用環境によっては、ポリオレフィンやポリ塩化ビニルからなるクロスや不織布、ポリオレフィン製多孔質膜等を補強材として用い
ることができる。
次に、本発明の複合均質アニオン交換膜について説明する。本発明の複合均質アニオン交換膜は、熱可塑性重合体マトリックス中に、1μm未満の粒径の架橋アニオン交換体粒子が分散している複合均質アニオン交換膜であって、該架橋アニオン交換体が、前記一般式(1)で表される構成単位と、一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーから誘導される構成単位とを有するものである。
本発明の複合均質アニオン交換膜に係る該架橋アニオン交換体は、本発明の均質アニオン交換膜に係る該架橋アニオン交換体と同様である。
本発明の複合均質アニオン交換膜に係る該熱可塑性重合体に要求される特性は、柔軟で耐久性があると共に、一般式(2)で示されるアミノアルコキシスチレンモノマーとの親和性を有することである。そのため、好ましい該熱可塑性重合体としては、エチレン-酢
酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の極性基含有ポリオレフィ
ン系重合体;ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、エチレン-塩化ビニル共重合体、ポ
リフッ化ビニリデン等のハロゲン含有重合体;ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)-ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)-ポリスチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーが例として挙げられる。
本発明の複合均質アニオン交換膜中の該架橋アニオン交換体は粒状であり、粒状の該架橋アニオン交換体の粒子径は1μm未満である。そして、本発明の複合均質アニオン交換膜では、粒状の該架橋アニオン交換体が、該熱交換性重合体のマトリックスに、均質に分散している。ここで、均質アニオン交換膜の「均質」とは、該熱可塑性重合体マトリックス中に、粒状の該架橋アニオン交換体が1μm未満の大きさで分散していることを指すものであり、少なくとも光学顕微鏡レベルでは分散相である架橋アニオン交換体ドメインが観察されることはない。
このような該架橋アニオン交換体の微細な分散相は、該熱可塑性重合体マトリックス中に溶解していた前記一般式(2)で示されるアミノアルコキシスチレンが重合の過程で相分離(重合誘起型相分離)し、形成されたものと考えられる。更に、前記一般式(2)で示されるアミノアルコキシスチレンは、その重合過程で一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーと共重合していくため、重合誘起型相分離は速やかに進行し、微細なドメインが形成されたものと考えられる。
本発明の複合均質アニオン交換膜を製造する方法としては、前記一般式(2)で示されるアミノアルコキシスチレンと一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーと必要に応じて重合開始剤とを該熱可塑性重合体に含浸させ、得られた均一溶液もしくはペーストを型に入れ、重合し、三級アミノ基含有架橋重合体が該熱可塑性重合体に均質に分散されている膜状物を得る工程が必須である。次いで、得られた三級アミノ基含有架橋重合体が該熱可塑性重合体に均質に分散されている膜状物と、有機ハロゲン化物と反応させ、本発明の複合均質アニオン交換膜を得る。
本発明の複合均質アニオン交換膜を製造する方法に係る前記一般式(2)で示されるアミノアルコキシスチレン、該一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマー、該重合開始剤、該有機ハロゲン化合物は、本発明の均質アニオン交換膜を製造する方法に係る前記一般式(2)で示されるアミノアルコキシスチレン、該一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマー、該重合開始剤、該有機ハロゲン化合物と同様である。
本発明の複合均質アニオン交換膜を製造する方法において、該三級アミノ基含有架橋重合体が該熱可塑性重合体に均質に分散されている膜状物を得る工程は、該有機ハロゲン化合物と反応させるものが、該三級アミノ基含有架橋重合体が該熱可塑性重合体に均質に分散されている膜状物であること以外は、本発明の均質アニオン交換膜を製造する方法において、該有機ハロゲン化物と該膜状三級アミノ基含有架橋重合体とを反応させる方法と同様である。
熱可塑性重合体マトリックス中に、1μm未満の粒径の架橋アニオン交換体粒子を分散させるには、熱可塑性重合体の種類を適宜選択して制御すればよい。前記一般式(2)で示されるアミノアルコキシスチレンと親和性が大きい熱可塑性重合体を選択すれば、より小さな粒径の架橋アニオン交換体粒子が得られ、逆に、親和性が小さな熱可塑性重合体を選択すれば、アミノアルコキシスチレンが分離して成長し、大きな粒径の架橋アニオン交換体粒子が得られる。従って、本発明においては、上記の好適な熱可塑性重合体を選択すれば、熱可塑性重合体マトリックス中に、1μm未満の粒径の架橋アニオン交換体粒子を分散させることができる。
本発明の複合均質アニオン交換膜中、該熱可塑性重合体の含有量は、5〜80重量%である。該熱可塑性重合体の含有量が、5%未満であると、膜強度が低下するため好ましくなく、一方、80重量%を超えると、アニオン交換膜としての性能低下が著しくなるため好ましくない。
なお、膜の使用環境によっては、より高い耐久性を要求される場合があり、そのような時には、ポリオレフィンやポリ塩化ビニルからなるクロスや不織布、ポリオレフィン製多孔質膜等を補強材として用いることができる。
実施例
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
<均質アニオン交換膜の製造>
p−(4−N,N−ジメチルアミノブトキシ)スチレン(純度98.8%、東ソー製)6.0g(27ミリモル)、ジビニルベンゼン(純度80%、アルドリッチ製)0.6g(3.6ミリモル、全モノマーに対して12モル%)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬製)0.027g、ソルビタンモノオレエート(和光純薬製)1.0gを混合し、均一溶液を調製した。この溶液をポリエチレン製の型(100mm×200mm×0.2mm)に流し込み、密封後、60℃で24時間重合した。重合後、急冷して膜を型から剥離させ、得られた膜をヨードメタン(東京化成製)20gをメタノール200mlに溶解させた溶液に浸漬させ、40℃で24時間反応させた。反応終了後、メタノールで十分洗浄して未反応ヨードメタンを除去し、純水で洗浄して厚み200μmの均質アニオン交換膜を得た。
<均質アニオン交換膜の特性評価>
得られた均質アニオン交換膜の中性塩分解容量は、乾燥状態で3.0mg当量/g、0
.5モル/Lの食塩水中、交流1000Hzで測定した比抵抗は400Ω・cm、静的輸率は0.97であった。なお、静的輸率は、(0.5モル/L食塩水)/(1.0モル/L
食塩水)の膜電位を25℃で測定して求めた。
次いで、上記のイオン交換膜を0.1モル/L水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、その
後純水で洗浄して再生型(OH型)アニオン交換膜を調製した。このアニオン交換膜を純水中、80℃で6ヶ月浸漬し、耐熱性試験を行った。試験後の膜特性を表1に「試験後」として示すが、試験前の結果と比べて、均質アニオン交換膜の劣化はほとんど認められなかった。
参考例1
<粒子状p−(4−N,N,N−トリメチルアンモニウムブトキシ)スチレン架橋重合体の合成>
窒素雰囲気下、攪拌装置及び還流装置を備えた1000mlセパラブルフラスコ中に、標準緩衝液(pH=7.4)600ml(和光純薬製)、部分ケン化ポリビニルアルコール(PVA−224、平均重合度2400、ケン化度88%、クラレ製)8.0gを加え、60℃に昇温してポリビニルアルコールを溶解させた後、室温まで冷却した。p−(4−N,N−ジメチルアミノブトキシ)スチレン(純度98.8%、東ソー製)114.0g(0.52モル)、ジビニルベンゼン(純度80%、アルドリッチ製)6.0g(0.03
6モル、全モノマーに対して6.5モル%)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロ
ニトリル)(和光純薬製)0.54gを混合し、均一溶液とした後、フラスコに加えた。撹拌回転数を400rpmに設定し、窒素雰囲気下60℃で24時間重合した。重合後、重合生成物をろ過し、十分水洗した後、メタノールで洗浄し、減圧乾燥して淡黄色透明球状のp−(4−N,N−ジメチルアミノブトキシ)スチレン架橋重合体107.8gを得た。収率は90%、平均粒径35μmの真球状の粒子を得た。
次いで、窒素雰囲気下、攪拌装置及び還流装置を備えた1000mlセパラブルフラスコ中に、テトラヒドロフラン(THF)500ml(和光純薬製)、上記架橋重合体60.0gを加え、40℃で1時間攪拌し、重合体を膨潤させた。その後、ヨードメタン200g(東京化成製)を加え、40℃で24時間四級化反応を行った。反応終了後、濾過により重合体を取り出し、THFで洗浄して過剰のヨードメタンを取除いた後、十分に純水で洗浄して粒子状架橋アニオン交換体を得た。得られた粒子状アニオン交換体の中性塩分解容量は、乾燥状態で3.1mg当量/g、平均粒径は40μmであった。
<複合不均質アニオン交換膜の製造>
参考例1で得られた粒子状架橋アニオン交換体をメタノールで洗浄し、60℃で24時間減圧乾燥した乾燥状態の粒子状架橋アニオン交換体60重量部と、ポリスチレン-ポリ
(エチレン/プロピレン)-ポリスチレンブロック共重合体(クレイトンポリマー製、クレイトンG1730M)40重量部とを予備混合し、ラボプラストミルで200℃、5分間
溶融混練した。得られた溶融混合物を粗粉砕し、200℃で加熱溶融プレスして、500μmの厚みを有する膜を得た。次いで、膜を50℃の純水に浸漬し、水湿潤状態のアニオン交換膜を得た。
得られたアニオン交換膜の中性塩分解容量は、乾燥状態で1.9mg当量/g、比抵抗は500Ω・cm、静的輸率は0.95であった。なお、比抵抗、静的輸率の測定方法は、実施例1と同様である。
次いで、上記のイオン交換膜を実施例1と同様の操作により再生型(OH型)アニオン交換膜とし、実施例1と同条件で耐熱性試験を行った。試験後の膜特性を表1に示すが、劣化はほとんど認められなかった。
<複合均質アニオン交換膜の製造>
p−(4−N,N−ジメチルアミノブトキシ)スチレン(純度98.8%、東ソー製)
100重量部、ジビニルベンゼン(純度80%、アルドリッチ製)10重量部(全モノマーに対して12モル%)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬製)1.0重量部、ポリ塩化ビニル(大洋塩ビ製)40重量部、ジオクチルフタレート(和光純薬製)10重量部を混合し、均一なペーストを調製した。このペーストを厚み150μm、目付80g/mのポリ塩化ビニル製クロスに含浸させ、70℃で12時間重
合を行って厚み200μmの膜状重合体を製造した。次に、該膜状重合体を実施例1と同様にヨードメタンと反応させ、アニオン交換膜を得た。
得られたアニオン交換膜の中性塩分解容量は、乾燥状態で2.0mg当量/g、比抵抗
は420Ω・cm、静的輸率は0.97であった。なお、比抵抗、静的輸率の測定方法は、実施例1と同様である。
次いで、上記のイオン交換膜を実施例1と同様の操作により再生型(OH型)アニオン交換膜とし、実施例1と同条件で耐熱性試験を行った。試験後の膜特性を表1に示すが、劣化はほとんど認められなかった。
比較例1
<複合不均質アニオン交換膜の製造>
参考例1で得られた粒子状架橋アニオン交換体に代えて、フェニル基と四級アンモニウム基がアルコキシプロピレン結合(一般式(2)中のnが3)を介して結合されている粒子状架橋アニオン交換体粉砕品(粒径45μm以下)を用いたことを除いて、実施例2と同様の方法により膜厚500μmのアニオン交換膜を製造した。得られたアニオン交換膜の中性塩分解容量は、乾燥状態で1.8mg当量/g、比抵抗は480Ω・cm、静的輸率は0.94であった。
次いで、上記のイオン交換膜を実施例1と同様の操作により再生型(OH型)アニオン交換膜とし、実施例1と同条件で耐熱性試験を行った。試験後の膜特性を表1に示すが、試験後の膜特性は大きく低下しており、実施例に比べ耐熱性に劣ることがわかる。
実施例2の複合不均質アニオン交換膜は一般式(1)中のnは4であり、比較例1の複合不均質アニオン交換膜は一般式(1)中のnは3である。nが3と4とで耐熱性にこのような大きな差がでることは驚くべきことである。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、新規な耐熱性に優れたアニオン交換膜を得ることができ、該アニオン交換膜は、海水濃縮、かん水の脱塩、酸の濃縮又は回収、有価金属の回収等を目的とする電気透析装置や拡散透析装置に用いることができる。特
に、本発明のアニオン交換膜はアルカリ性条件下での耐熱性に優れているため、高温殺菌が必要な溶液処理装置や電気再生式脱イオン水製造装置、高pH条件で用いられる電気透析装置や拡散透析装置、高温で作動する燃料電池や二次電池等のセパレーターに好適に用いられる。

Claims (1)

  1. 熱可塑性重合体マトリックス中に、1μm未満の粒径の架橋アニオン交換体粒子が分散している複合均質アニオン交換膜であって、該架橋アニオン交換体が、下記一般式(1);
    (式中、R、R、Rは同一または異なって、炭素数1〜8の炭化水素基を示す。Xはアニオンを示す。nは4〜12の整数を示す。)
    で表される構成単位と、一分子中に少なくとも二つのビニル基を有する架橋性モノマーから誘導される構成単位とを有するものであり、
    該架橋性モノマーから誘導される構成単位の導入量が、全構成単位に対して、0.5〜30モル%であり、
    該複合均質アニオン交換膜中、該熱可塑性重合体の含有量が5〜80重量%であること
    を特徴とする複合均質アニオン交換膜。
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